説明

スルホン酸アミドおよびスルホキシイミン置換ジアリール−シヒドロピリミジノンおよびその使用

本発明は、新規スルホン酸アミドまたはスルホキシイミン−置換1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体、それらの製造方法、疾患の治療および/または予防(特に、肺および心血管系の障害の治療および/または予防)のためのそれらの単独使用または併用使用、ならびに疾患の治療および/または予防(特に、肺および心血管系の障害の治療および/または予防)のための薬剤の製造のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規スルホンアミド−またはスルホキシイミン−置換1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体、それらの製造方法、疾患の治療および/または予防(特に、肺および心血管系の障害の治療および/または予防)のためのそれらの単独使用または併用使用、ならびに疾患の治療および/または予防(特に、肺および心血管系の障害の治療および/または予防)のための薬剤の製造のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト白血球エラスターゼ(HLE、 EC 3.4.21.37)は、ヒト好中球エラスターゼ(HNE、hNE)とも称され、セリンプロテアーゼのファミリーに属する。このタンパク質分解酵素は、多形核白血球(PMN白血球)のアズール親和性顆粒中にある。細胞内エラスターゼは、ファゴサイトーシスによって捕らえられた外来粒子を分解することによって病原体に対する防御において重要な機能を果たす。活性好中球は、HNEを顆粒から細胞外空間へ放出し(細胞外HNE)、この放出されたHNEのいくらかは好中球膜の外側に留まる(膜結合型HNE)。高度に活性な酵素は、多数の結合組織タンパク質、例えば、タンパク質エラスチン、コラーゲンおよびフィブロネクチンを分解することができる。エラスチンは、高弾性を示す組織型の全てにおいて、例えば肺および動脈において、高濃度で生じる。HNEは、多数の病理過程(例えば、組織損傷)に関連する組織の破壊およびトランスフォーメーション(組織リモデリング)に関与している。HNEは、また、炎症過程の重要なモジュレーターである。HNEは、例えばインターロイキン−8(IL−8)遺伝子発現の増加を誘発する。
【0003】
したがって、HNEは、形成および/または進行が炎症性事象および/または増殖性および肥厚性組織および血管トランスフォーメーションであるかまたはそれらに関連している多くの障害、損傷および病理変化において重要な役割を果たすと推測される。これは、特に、肺または心血管系の障害および/または損傷であり得るが、敗血症、癌性障害または他の炎症性障害でもあり得る。
【0004】
これに関して挙げられ得る肺の障害または損傷は、特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、嚢胞性線維症(CF;ムコビシドーシス(mucoviscidosis)とも称される)、肺気腫および急性肺損傷(ALI)である。HNEが関与する心血管系の障害および損傷は、例えば、心不全の間の組織トランスフォーメーションおよび急性心筋梗塞(AMI)後の再灌流損傷、心原性ショック、急性冠動脈症候群(ACS)、ならびに動脈瘤である。敗血症に関連する障害は、例えば、全身性炎症反応症候群(SIRS)、重症敗血症、敗血症性ショックおよび多臓器不全(MOF;多臓器機能障害、MODS)および播種性血管内凝固症(DIC)である。癌プロセスにおける組織破壊およびトランスフォーメーションの例は、癌細胞の健常組織への移動(転移の形成)および新しい供給血管の形成(血管新生)である。HNEが一因である他の炎症性疾患は、リウマチ性障害、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)および動脈硬化症である。
【0005】
一般に、エラスターゼ媒介病理過程は、遊離エラスターゼと内因性エラスターゼ阻害タンパク質(主に、α1アンチトリプシン、AAT)との間のずれた平衡に基づくと考えられる[非特許文献1]。AATは、血漿中に大過剰に存在しており、かくして、遊離HNEを非常に迅速に中和する。遊離エラスターゼの濃度は様々な病理過程で上昇し、それによって、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害物質との間のバランスが該プロテアーゼ側に局所的にシフトする。また、活性PMN細胞の膜結合型エラスターゼは、AATによる阻害から非常に実質的に保護される。それは、好中球と隣接組織細胞(例えば、内皮細胞)との間のアクセスが困難なマイクロコンパートメントに位置している遊離エラスターゼにも当てはまる。また、活性白血球付近は強い酸化条件に支配されており(酸化バースト)、かくして、AATは、酸化され、阻害効果を桁違いに喪失する。
【0006】
したがって、新規のエラスターゼ阻害活性化合物(体外から投与されたHNE阻害物質)は、膜結合型HNEおよび保護されたマイクロコンパートメント中に存在するHNE(上記を参照)に到達し、阻害することができるように、低分子量でなければならない。また、この目的のためには、物質の良好なインビボ安定性(低インビボクリアランス)が必要とされる。また、これらの化合物は、病理過程における阻害力を失わないように、酸化条件下で安定していなければならない。
【0007】
肺動脈高血圧症(PAH)は、処置しない場合には診断されてから平均2.8年以内に死に至る進行性の肺障害である。肺循環の狭窄がひどくなれば、右心に対するストレスが増大し、右心不全を発症する可能性がある。慢性肺高血圧症の場合の平均肺動脈圧(mPAP)は、定義上、安静時には>25mmHgであり、労作中には>30mmHgである(正常値<20mmHg)。肺動脈高血圧症の病態生理学は、血管狭窄および肺血管のリモデリングを特徴とする。慢性PAHでは、当初は筋肉化されていなかった肺血管の新筋肉化が生じ、既に筋肉化されている血管の血管筋肉は外周が増大する。肺循環のこの閉塞の漸増により、右心に対するストレスが進行し、右心からの拍出量が減少し、最終的には右心不全となる(非特許文献2)。PAHは、有病率が100万人に1〜2人の非常に稀な障害である。患者の平均年齢は36歳と推定されており、60歳を超えるのは患者の10%だけである。明らかに男性よりも女性のほうが罹患する(非特許文献3)。
【0008】
肺動脈高血圧症の治療のあらゆる進歩にもかかわらず、今のところ、この重篤な障害の治癒の見込みは全くない。商業的に入手可能な標準的な治療薬(例えば、プロスタサイクリン・アナログ、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害物質)は、患者の生活の質、運動耐容能および予後を改善することができる。これらの治療の原理は、主に血行動態的であり、血管緊張に影響を及ぼすが、病因的リモデリング過程に対して直接的な影響を及ぼさない。また、これらの薬剤を使用する可能性は、しばしば生じる重大な副作用および/または複雑な投与様式により制限される。患者の臨床的状況が特定の単独療法によって改善され得るかまたは安定化され得る期間は限定される(例えば、耐性発現のため)。最終的には治療が段階的に拡大して、複数の薬剤を並行して投与しなければならない併用療法が施されるようになる。
【0009】
新しい併用療法は、肺動脈高血圧症の治療のための最も期待できる将来的な治療選択肢の1つである。これに関して、PAHの治療のための新しい薬理学的メカニズムの発見に特に関心が持たれている(非特許文献4;非特許文献5)。リモデリング事象に直接関与する治療選択肢(アンチリモデリングメカニズムは、リモデリンクメカニズムを逆転させる)は、特に、原因治療の基礎となり得、かくして、患者にとって大いに有利である。これに関して、既知療法および新規療法を併用することができる。このような併用療法における薬剤間の相互作用を妨害するリスクを最小限にするために、これらの新規の活性化合物は、当然、P450 CYP酵素の代謝を非常に僅かしか阻害しないかまたは全く阻害しないものでなければならない。
【0010】
最近、エラスターゼが病因的リモデリングにおいて中心的な役割を果たすという前提で研究が進んでいる。肺動脈血圧を上昇させた(肺動脈高血圧症)動物モデルおよび患者における結合組織(内部弾性板)のフラグメンテーションを見出すことができており[非特許文献6]、肺動脈高血圧の動物モデル(低酸素ラットおよびマウスモデル、モノクロタリンラットモデル)において、エラスターゼ活性が増大し、結合組織のフラグメンテーションに関連していたことを示すことができた[非特許文献7]。肺動脈高血圧症の疾患過程の間に見られる組織リモデリングは、結合組織関連増殖因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)のエラスターゼ媒介放出によって誘発されると考えられる[非特許文献8]。肺動脈高血圧症の低酸素マウスモデルにおいて過剰発現エラスターゼ阻害タンパク質によるポジティブな効果を示すことができた[非特許文献9]。肺動脈高血圧症のモノクロタリンラットモデルにおいて合成低分子量エラスターゼ阻害物質によるポジティブな効果を示すができた;この場合、組織リモデリングに対する有益な効果も見られた[非特許文献10]。しかしながら、これまでに開示された低分子量エラスターゼ阻害物質は、全て、選択性が低く、化学的反応性があり、および/または、ごく僅かな経口アベイラビリティしかなく、かくして、今日まで、これらの適応症についての経口エラスターゼ阻害物質の臨床的な開発が妨げられてきた。
【0011】
「肺動脈高血圧症」という用語は、例えば世界保健機構(WHO)によって特定されているような特別なタイプの肺高血圧症を含む(非特許文献11、非特許文献12)。
【0012】
この分類に従って、肺動脈高血圧症としては、特発性肺動脈高血圧症(IPAH、以前は、原発性肺高血圧症(PPH)とも称されていた)、家族性肺動脈高血圧症(FPAH)、新生児遷延性肺高血圧症、ならびに膠原線維症、先天性全身−肺シャント性心疾患(congenital systemic−pulmonary shunt vitiae)、門脈圧亢進症、HIV感染症、特定の薬物および薬剤(例えば、食欲低下薬)の摂取に伴うか、肺静脈塞栓症および肺毛細血管血管腫症のような顕著な静脈/毛細管関与(significant venous/capillary involvement)を有する疾患に伴うか、または、甲状腺障害、糖原病、ゴーシェ病、遺伝性末梢血管拡張症、異常ヘモグロビン症、骨髄性増殖障害および脾臓摘出術のような他の障害に伴う、随伴性肺動脈高血圧症(APAH)が挙げられる。
【0013】
他の型の肺高血圧症としては、例えば、左心疾患(例えば、心室障害または弁膜障害)に伴う肺高血圧症、気道および/または肺の疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患または肺線維症)に伴う肺高血圧症、慢性血栓および/または塞栓障害に起因する(例えば、肺動脈の血栓塞栓性閉塞に伴う)肺高血圧症、ならびに一般的な炎症性疾患プロセスまたは特別な原因(例えば、住血吸虫症、サルコイドーシスおよび腫瘍性疾患に伴う)によって引き起こされる肺高血圧症が挙げられる。
【0014】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、ゆっくりと進行し、肺気腫および/または慢性気管支炎によって引き起こされる呼吸閉塞によって特徴付けられる肺疾患である。この障害の最初の症状は、一般的には、50歳〜60歳に現れる。その後の数年間で、息切れが頻繁に悪化し、多量でしばしば長期の分泌物および息切れに達する呼吸妨害を伴う咳(呼吸困難)が現れる。COPDは、本来、喫煙者の疾患である:全COPD症例の90%、そしてCOPDによって引き起こされるすべての死亡の80〜90%は、喫煙が原因である。COPDは、大きな医学的問題であり、世界中で6番目に多い死因である。45歳以上の約4〜6%の人が罹患している。
【0015】
呼吸の妨害は、部分的および一時的に過ぎない場合もあり得るが、COPDは治癒できない。それ故、処置の標的は、生活の質を改善し、症状を改善し、急激な悪化を予防し、そして進行する肺機能障害を減速させることである。ここ20〜30年間にわたってほとんど変わっていない既存の薬物療法は、気道の遮断を広げる気管支拡張剤の使用であり、場合によっては肺の炎症を制御するコルチコステロイドを使用することである[非特許文献13]。喫煙または他の刺激物によって引き起こされる肺の慢性的炎症は、該疾患の発症の背後にある要因である。基礎となっているメカニズムには、肺の炎症反応の間に、様々なケモカインを分泌する免疫細胞が含まれている。これは、好中球、引き続いて肺胞マクロファージを、肺と内腔との結合組織に引きつける。好中球は、主としてHNEおよびプロテアーゼ3を含有しているプロテアーゼカクテルを分泌する。これによって、局所的なプロテアーゼ/アンチプロテアーゼバランスがプロテアーゼ側にシフトし、その結果、特にエラスターゼ活性の歯止めが利かなくなり、その結果、肺胞細胞のエラスチンの過剰な分解をもたらす[非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献13]。この組織分解は、気管支を虚脱させる。これは、肺の弾力性の低下に関連しており、呼吸閉塞および呼吸障害が導かれる。加えて、頻繁に起こる持続的な肺の炎症は、気管支のリモデリングおよびその結果として病変の形成に繋がる可能性がある。このような病変は、慢性気管支炎を特徴付けている慢性の咳の一因となる。
【0016】
α1 アンチトリプシン(AAT)は、小さな内因性タンパク質であり、上記したように最も重要な内因性エラスターゼ阻害物質である。このタンパク質の遺伝的欠損(AADT)を有する患者では、プロテアーゼ/アンチプロテアーゼバランスがシフトしている。それ故、AADT患者では、HNE作用の有効範囲および持続期間は、それぞれ、2.5倍および6.5倍増加する[非特許文献17]。AADT患者は、肺気腫またはCOPDを発症するリスクが高く、多くのAADT患者では、肺移植が指示されている。
【0017】
気管支拡張症は、気管支樹の異常な拡張であると解される。2つの形態に区別され得る:サック状限局性気管支拡張症および全般性円柱状気管支拡張症。気管支拡張症は先天的に起こり得る;しかしながら、ほとんどのケースでは、急性であり、特に喫煙者に見られる。この拡張によって、気管支分泌物のドレナージがより困難になり、遺残する気管支分泌物が感染を促進する。しばしば、気管支拡張症は、また、異常な粘度の気管支分泌物を伴うムコビシドーシス(mucoviscidosis)のような先天的な粘膜障害のケースおよび線毛機能不全症候群のケースでも直面する。この症候群(カルタゲナー症候群)のケースでは、線毛の構造および機能が損なわれて、分泌物のドレナージが損なわれる。気管支拡張症の他の原因は、拡張の近位にある、例えば腫瘍または異物による障害物であり得る。気管支壁を弱める反復性および持続性の感染症もまた原因であると考えられる。さらにまた、感染または外因性病原性毒素の状態と明確に結び付けることができない気管支拡張症(特発性気管支拡張症)がある。
【0018】
気管支拡張症は、好中球の肺組織への移動を特徴とする。その患者は好中球活性と保護的阻害タンパク質との間の顕著な不均衡を示し、その結果、好中球によって分泌されるプロテアーゼ(主に、HNE)による肺組織へのダメージがもたらされる[非特許文献18]。
【0019】
閉塞性細気管支炎は、細気管支および隣接する肺胞における上皮の崩壊およびフィブリンリッチ滲出液の形成を伴う細気管支の炎症である。滲出液の器質化により、気管支から肺胞に伸びる結合組織のプラグが生じる。この疾患は、気道における好中球の数の増加、および遊離エラスターゼと内因性エラスターゼ阻害タンパク質との不均衡を特徴としている[非特許文献19]。考えられる原因として、以前の感染および薬剤が検討されている。この疾患は、移植拒絶反応に関連して生じることもある。
【0020】
急性肺傷害(ALI)、およびそのより明白な形態である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、50〜60%の死亡率を伴う重篤な障害である。1994年のNorth American−European Consensus Conference(NAECC)の定義によれば、ALIおよびARDSは、急性発症、両側性のX線写真で可視の浸潤、≦300mmHg(ALI)または≦200mmHg(ARDS)のPaO/FiO指数、<18mmHgの肺毛細血管楔入圧、および、左心房高血圧症の臨床的証拠なしによって定義される。
【0021】
急性肺傷害の発症は、肺障害および肺外障害のどちらの後でも生じ得る。胃内容吸引、肺炎、喫煙中毒、肺挫傷および溺水が、肺特異的な素因であると考えられる。特に、胃内容吸引および肺炎は、肺源のALI/ARDSの初期疾患として頻繁に見られる。最も頻繁な間接的な事象は、多発性外傷、敗血症、度重なる輸血、急性膵炎および熱傷である。罹患率は、ALIの場合は1年間に人口100,000人当たり17.9件、ARDSの場合は13.5件である[非特許文献20]。
【0022】
これらの障害の発症における中心的な役割は、肺における大規模な炎症的変化が担っており、これは広く分岐したメディエーターの系によって誘発されている。肺傷害の発症における重要な役割は、また、好中球顆粒球が担っており、その数は、炎症過程の間に永久的に増加する[非特許文献21]。このメディエーターの作用は肺胞毛細血管膜に損傷を与え、その結果、肺胞毛細血管関門の透過性が増大させられる。この透過性の増大のため、タンパク質を豊富に含む液は、肺胞へ、また、間質空間へと透過することができる;低圧肺浮腫が発生する。ALI/ARDSに特徴的なこれは、非心原性浮腫である。この浮腫液は、主として、フィブリン、赤血球、白血球、ヒアリン膜および他のタンパク質を含む。活性好中球の産生物と共に、タンパク質が豊富な滲出液は、サーファクタントの機能不全に繋がる。この炎症過程は、サーファクタントを形成しているII型肺細胞の損傷および欠損を引き起こし、結果的にサーファクタント産生を減少させる。サーファクタント欠損によって肺胞における表面張力が増加し;肺胞虚脱および無気肺が形成される。灌流を維持すると、肺左右シャントの増大をもたらす換気/灌流不均衡が生じる。さらにまた、換気される領域はあるが、肺高血圧症のためにもはや十分に灌流しないので、コンプライアンスが低下し、対照的に肺胞死腔が増大する。
【0023】
エラスターゼ活性の増大(これは肺傷害の重篤度と相関関係がある)は、ARDS患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)で測定することができるであろう。肺を損傷している(例えば、LPS投与による)動物モデルで、この効果を再現することができる。ここで、エラスターゼ阻害物質(例えば、シベレスタットまたはエラフィン(下記参照))を用いる処置は、BALF中のエラスターゼ活性を顕著に減少させ、肺機能を改善する。
【0024】
日本および韓国では、エラスターゼ阻害物質(シベレスタット、Elaspol(登録商標))が、SIRSに伴う急性肺傷害の処置のために承認されている。可逆的であるが、反応性のある化合物は、HNE(K 200nM)に対して比較的弱い作用のみを有しており、膵臓エラスターゼにも作用する(IC50 5.6μM)。活性化合物は、静脈内投与され、経口投与は不可である。
【0025】
エラフィンおよび構造的アナログは、また、治療的に有用なエラスターゼ阻害因子として研究されている。エラフィンは、エラスターゼとプロテイナーゼ3の双方を阻害する内因性の低分子タンパク質である。しかしながら、タンパク質作動性特性のため、エラフィンの経口投与は不可である。
【0026】
本発明の目的は、特に肺障害および心血管系障害の治療および/または予防に適している、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の低分子量非反応性選択的阻害物質として作用する新規物質を提供することである。
【0027】
特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4は、慢性閉塞性肺疾患、急性冠動脈症候群、心筋梗塞および心不全の処置のためのHNE阻害物質として様々な1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体を開示している。呼吸器障害の処置のためのこのような化合物の二量体および多量体が、特許文献5、特許文献6および特許文献7のクレームに記載されている。特許文献8には、肺動脈高血圧症の処置のための1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体の使用が記載されている。特許文献9には、高血圧症の処置のためのカルシウムチャネル機能の阻害物質として4−アリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】国際公開第2004/024700号
【特許文献2】国際公開第2004/024701号
【特許文献3】国際公開第2005/082863号
【特許文献4】国際公開第2005/082864号
【特許文献5】国際公開第2006/082412号
【特許文献6】国際公開第2006/136857号
【特許文献7】国際公開第2007/042815号
【特許文献8】国際公開第2008/003412号
【特許文献9】国際公開第2005/009392号
【非特許文献】
【0029】
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【非特許文献3】G.E. D'Alonzo et al., Ann. Intern. Med. 1991, 115, 343-349
【非特許文献4】Ghofrani et al., Herz 2005, 30, 296-302;E.B. Rosenzweig, Expert Opin. Emerging Drugs 2006, 11, 609-619
【非特許文献5】T. Ito et al., Curr. Med. Chem. 2007, 14, 719-733
【非特許文献6】Rabinovitch et al., Lab. Invest. 55, 632-653 (1986):
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【非特許文献8】Rabinovitch, Am. J. Physiol. 277, L5-L12 (1999):
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【非特許文献20】Luhr et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 159, 1849-1861 (1999):
【非特許文献21】Chollet-Martin et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 154, 594-601 (1996):
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
このたび、ある種の1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体が、当該障害治療および/または予防に特に適していることが見出された。以下に記載するこれら化合物は、低分子量であり、非反応性であり、選択的な、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)阻害物質であり、驚くべきことに、このプロテアーゼの阻害を、先行技術により知られている化合物よりもかなり強く示す。加えて、本発明の化合物は、肝細胞に関して予測できない低いインビトロクリアランスを有し、したがって、代謝安定性が改善されている。さらにまた、本発明の化合物には、処方能および/または静脈内投与能に関して優れている水性系において優れた溶解性を有するものがある。それ故、本発明の物質は、特に、肺および心血管系の障害を処置および/または予防するための新規な薬剤のための前途有望な出発点である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
詳しくは、本発明は、一般式(I):
【化1】

[式中、
Zは、式:
【化2】

で示されるスルホンアミド基を表すか、または、式:
【化3】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*は、フェニル環への結合位置を示し、
Z1は、水素を表すか、または、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノによって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C6)−アルキルを表し、
Z2は、水素、(C3〜C6)−シクロアルキル、4〜6員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを表すか、または
ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノ、(C1〜C4)−アルキルカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルコキシカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルキルスルフィニル、(C1〜C4)−アルキルスルホニル、(C3〜C6)−シクロアルキル、フェニル、4〜6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、または式−C(=O)−NRZ5Z6で示される基によって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C6)−アルキルを表し、
ここで、その一部について記載されているアルコキシ置換基は、フッ素によって3回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロシクリル基は、フッ素、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C1〜C4)−アルキルアミノからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
記載されているフェニル基および記載されているヘテロアリール基は、フッ素、塩素、シアノ、(C1〜C4)−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
Z5およびRZ6は、同一または異なっており、お互いに独立して、水素または(C1〜C4)−アルキルを表すか、
または
Z5およびRZ6は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、N、OおよびSからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノによって置換されていてもよい、4〜6員アザヘテロサイクルを形成するか、
あるいは、
Z1およびRZ2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、N、OおよびSからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、フッ素、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C1〜C4)−アルキルアミノからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよい、4〜10員アザヘテロサイクルを形成し、
Z3は、(C3〜C6)−シクロアルキルによって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C6)−アルキルを表すか、またはフッ素、塩素、シアノ、(C1〜C4)−アルキル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよいフェニルを表すか、または、(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
Z4は、水素、(C1〜C4)−アルキルまたは(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
1は、シアノまたはアセチルを表し、
2は、水素を表すか、フッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルまたは(C1〜C4)−アルキルスルホニルを表すか、または、式−CH2−C(=O)−NH−R4で示される基を表し、ここで、
4は、水素を表すか、(C3〜C6)−シクロアルキルによって置換されていてもよいかまたはフッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルを表すか、または、(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
3は、水素、フッ素または塩素を表す]
で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の化合物は、式(I)で示される化合物およびそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物、式(I)によって包含される以下に記載する式で示される化合物およびそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物、式(I)によって包含される例示的具体例として以下に記載する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物(式(I)によって包含される以下に記載される化合物がすでに塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物ではない場合における)である。
【0033】
本発明の化合物は、それらの構造に依存して、様々な立体異性体形態で、すなわち、立体配置異性体の形態で、または、適切な場合には配座異性体の形態(アトロプ異性体の場合を包含するエナンチオマーおよび/またはジアステレオマー)で存在することができる。したがって、本発明は、エナンチオマーおよびジアステレオマーおよびそれらの個々の混合物を包含する。立体異性体的に純粋な構成成分は、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーのこのような混合物から公知の方法で単離され得る。
【0034】
本発明の化合物が互変異性体を生じ得る場合、本発明は、全ての互変異性体を包含する。
【0035】
本発明の目的のために好ましい塩は、本発明の化合物の生理的に許容される塩である。それ自身では、医薬使用には適切ではないが、例えば、本発明の化合物を単離するかまたは精製するために使用され得る塩もまた包含される。
【0036】
本発明の化合物の生理的に許容される塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0037】
本発明の化合物の生理的に許容される塩にはまた、例示として、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、および例示としてそして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リシン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジンのようなアンモニアまたは1〜16個の炭素原子を有する有機アミンから誘導されるアンモニウム塩のような通例の塩基の塩が含まれる。
【0038】
本発明の目的のための溶媒和物とは、固体または液体状態で、溶媒分子との配位により錯体を形成する本発明の化合物の形態を意味する。水和物は、水との配位が行われる特別な形態の溶媒和物である。本発明に関しては水和物が好ましい溶媒和物である。
【0039】
本発明は、更に、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。用語「プロドラッグ」は、それ自体では、生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、体内でのそれらの滞留時間の間に本発明の化合物に(例えば、代謝または加水分解により)変換され得る化合物を包含する。
【0040】
本発明に関して、置換基は、他に特に明記しない限り、以下の意味を有する:
【0041】
(C1〜C6)−アルキルおよび(C1〜C4)−アルキルは、本発明の目的のために、それぞれ、1〜6個および1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基を表す。1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基が好ましい。好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。
【0042】
(C1〜C4)−アルキルカルボニルは、1〜4個の炭素原子を有しており、カルボニル基を介して結合している、直鎖または分枝アルキル基を表す。好ましい例としては、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、n−ペンタノイルおよびピバロイルが挙げられる。
【0043】
(C1〜C4)−アルコキシは、本発明の目的のために、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルコキシ基を表す。好ましい例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。
【0044】
(C1〜C4)−アルコキシカルボニルは、本発明の目的のために、カルボニル基を介して結合している1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルコキシ基を表す。好ましい例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルが挙げられる。
【0045】
モノ−(C1〜C4)−アルキルアミノは、本発明の目的のために、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル置換基を有しているアミノ基を表す。好ましい例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノおよびtert−ブチルアミノが挙げられる。
【0046】
ジ−(C1〜C4)−アルキルアミノは、本発明の目的のために、各々1〜4個の炭素原子を有する2つの同一または異なる直鎖または分枝アルキル置換基を有しているアミノ基を表す。好ましい例としては、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノが挙げられる。
【0047】
(C1〜C4)−アルキルカルボニルアミノは、本発明の目的のために、アルキル基において1〜4個の炭素原子を有しており、カルボニル基を介して窒素原子と結合している、直鎖または分枝アルキルカルボニル置換基を有するアミノ基を表す。好ましい例としては、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、n−ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、n−ペンタノイルアミノおよびピバロイルアミノが挙げられる。
【0048】
(C1〜C4)−アルコキシカルボニルアミノは、本発明の目的のために、アルコキシ基において1〜4個の炭素原子を有しており、カルボニル基を介して窒素原子と結合している、直鎖または分枝アルコキシカルボニル置換基を有するアミノ基を表す。好ましい例としては、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノおよびtert−ブトキシカルボニルアミノが挙げられる。
【0049】
(C1〜C4)−アルキルスルフィニルは、本発明の目的のために、1〜4個の炭素原子を有しており、スルフィニル基[−S(=O)−]を介して結合している、直鎖または分枝アルキル基を表す。好ましい例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニルおよびtert−ブチルスルフィニルが挙げられる。
【0050】
(C1〜C4)−アルキルスルホニルは、本発明の目的のために、1〜4個の炭素原子を有しており、スルホニル基[−S(=O)2−]を介して結合している、直鎖または分枝アルキル基を表す。好ましい例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニルおよびtert−ブチルスルホニルが挙げられる。
【0051】
(C3〜C6)−シクロアルキルは、本発明の目的のために、3〜6個の環炭素原子を有する単環式飽和シクロアルキル基を表す。好ましい例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0052】
4〜10員アザヘテロサイクルは、本発明の目的のために、合計4〜10個の環原子を有しており、結合している環窒素原子を含有しており、さらにN、OおよびSからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよい、単環式または場合によっては二環式の飽和ヘテロサイクルを表す。好ましい例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、1,3−オキサゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル、オクタヒドロアゾシニル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピリジル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピリジル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピリジル、オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロピリド[1,2−a]ピラジニル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクチルおよび9−アザビシクロ[3.3.1]ノニルが挙げられる。好ましくは、窒素原子に加えてさらにNおよびOからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよい単環式または場合によっては二環式の5〜10員アザヘテロサイクル、例えば、ピロリジニル、ピラゾリジニル、1,3−オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル、オクタヒドロアゾシニル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピリジル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピリジル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピリジル、オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロピリド[1,2−a]ピラジニル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクチルおよび9−アザビシクロ[3.3.1]ノニルが挙げられる。特に好ましくは、窒素原子に加えてNおよびOからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよい単環式5または6員アザヘテロサイクル、例えば、ピロリジニル、1,3−オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルが挙げられる。
【0053】
4〜6員ヘテロシクリルは、本発明の目的のために、合計4〜6個の環原子を有しており、N、OおよびSからなる群から選択される1または2個の環ヘテロ原子を含有しており、環炭素原子および場合によっては環窒素原子を介して結合している、単環式飽和ヘテロサイクルを表す。例としては、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、1,3−オキサゾリジニル、チオラニル、1,3−チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルが挙げられる。好ましくは、NおよびOからなる群から選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する4〜6員ヘテロサイクル、例えば、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジオキサニルおよびモルホリニルが挙げられる。特に好ましくは、NおよびOからなる群から選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する5または6員ヘテロサイクル、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジオキサニルおよびモルホリニルが挙げられる。
【0054】
5または6員ヘテロアリールは、本発明の目的のために、N、OおよびSからなる群から選択される3個までの同一または異なる環ヘテロ原子を含有しており、環炭素原子または適切な場合には環窒素原子を介して結合している、合計5または6個の環原子を有する芳香族ヘテロサイクル(ヘテロ芳香族)を表す。例としては、フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルが挙げられる。好ましくは、N、OおよびSからなる群から選択される1または2個の環ヘテロ原子を有する5または6員ヘテロアリール基、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニルが挙げられる。
【0055】
本発明の目的のために、オキソ置換基は、炭素原子と二重結合を介して結合している酸素原子である。
【0056】
本発明の化合物における基が置換されている場合、この基は、他に特に明記されない限り、一置換されていても多置換されていてもよい。本発明の目的のために、2回以上出てくる全ての基の意味は、お互いに独立している。好ましくは、1または2つの同一または異なる置換基による置換が挙げられる。特に好ましくは、1つの置換基による置換が挙げられる。
【0057】
本発明の目的のために、
Zが、式:
【化4】

で示されるスルホンアミド基を表すか、または、式:
【化5】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z1が、水素を表すか、または、ヒドロキシル、メトキシもしくはエトキシによって置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルを表し、
Z2が、水素、(C3〜C6)−シクロアルキル、5もしくは6員ヘテロシクリル、または5もしくは6員ヘテロアリールを表すか、または
ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノ、(C1〜C4)−アルキルカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルコキシカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルキルスルフィニル、(C1〜C4)−アルキルスルホニル、(C3〜C6)−シクロアルキル、フェニル、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、または式−C(=O)−NRZ5Z6で示される基によって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C4)−アルキルを表し、ここで、
その一部について記載されているアルコキシ置換基が、フッ素によって3回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロシクリル基が、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
記載されているフェニル基および記載されているヘテロアリール基が、フッ素、塩素、シアノ、(C1〜C4)−アルキル、トリフルオロメチルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
Z5およびRZ6が、同一または異なっていて、お互いに独立して、水素または(C1〜C4)−アルキルであるか、
または
Z5およびRZ6が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、NおよびOからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシルまたは(C1〜C4)−アルコキシによって置換されていてもよい、5または6員アザヘテロサイクルを形成するか、
または
Z1およびRZ2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、NおよびOからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよい、5〜10員アザヘテロサイクルを形成し、
Z3が、(C3〜C6)−シクロアルキルによって置換されていてもよいかまたはフッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルを表すか、または、フッ素、塩素、シアノ、メチルおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよいフェニルを表すか、または、(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
Z4が、水素、メチルまたはシクロプロピルを表し、
1が、シアノを表し、
2が、水素を表すか、または、フッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルまたは(C1〜C4)−アルキルスルホニルを表すか、または、式−CH2−C(=O)−NH−R4で示される基を表し、ここで、
4は、水素、メチル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルを表し、
3が、水素またはフッ素を表す、
式(I)で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物が好ましい。
【0058】
本発明に関して、
Zが、式:
【化6】

で示されるスルホンアミド基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z1が、水素、メチルまたは2−ヒドロキシエチルを表し、
Z2が、水素、シクロプロピル、5もしくは6員ヘテロシクリル、または5もしくは6員ヘテロアリールを表すか、
または
ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチルアミノ、シクロプロピル、5もしくは6員ヘテロシクリル、または式−C(=O)−NRZ5Z6で示される基によって置換されていてもよい、(C1〜C4)−アルキルを表し、ここで、
それらの一部について記載されているメトキシおよびエトキシ置換基が、フッ素によって3回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロシクリル基が、メチル、エチル、オキソ、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロアリール基が、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
Z5およびRZ6が、お互いに独立して、水素もしくはメチルを表すか、または、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成するか、
または
Z1およびRZ2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチル、メチルスルホニル、または式−CH2−C(=O)NH2で示される基を表し、
3が、水素を表す、
式(I)で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物が特に好ましい。
【0059】
本発明に関して、
Zが、式:
【化7】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z3が、シクロプロピルによって置換されていてもよいかまたはフッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C4)−アルキルを表すか、またはシクロプロピルを表し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチル、メチルスルホニル、または式−CH2−C(=O)NH2で示される基を表し、
3が、水素を表す、
式(I)で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物が特に好ましい。
【0060】
本発明に関して、
Zが、式:
【化8】

で示されるスルホンアミド基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し
Z2が、水素、メチル、または式−CH2−C(=O)−NH2で示される基を表し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチルまたはメチルスルホニルを表し、
3が、水素を表す、
式(I)で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物が特に好ましい。
【0061】
本発明に関して、
Zが、式:
【化9】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチルまたはメチルスルホニルを表し、
3が、水素を表す、
式(I)で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物が特に好ましい。
【0062】
式(I−ent):
【化10】

[式中、Z、R1、R2およびR3は、それぞれ、上記の意味を有する]
で示される、ジヒドロピリミジノン環の4位においてS立体配置を有する式(I)で示される化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および該塩の溶媒和物が特に重要なものである。
【0063】
基の個々の組み合わせまたは好ましい組み合わせにおいて与えられた特定の基の定義は、各々の場合に与えられた基の組み合わせとは独立して、他の組み合わせの基の定義と置き換えられる。
【0064】
上記した2つ以上の好ましい範囲の組み合わせが特に好ましい。
【0065】
本発明は、さらにまた、
Zが式:
【化11】

で示されるスルホンアミド基を表し、ここで、
*がフェニル環への結合位置を示し、
Z1およびRZ2が上記の意味を有する、
本発明の式(I)で示される化合物の製造方法であって、
まず、式(II):
【化12】

[式中、R1、R2およびR3は、上記の意味を有する]
で示されるアニリン誘導体を、亜硝酸ナトリウムおよび塩酸により、対応するジアゾニウム塩に変換し、次いで、ワンポット反応において塩化銅(I)の存在下で二酸化硫黄と反応させて、式(III):
【化13】

[式中、R1、R2およびR3は、上記の意味を有する]
で示されるスルホニルクロライドを得、次いで、これを式(IV):
【化14】

[式中、RZ1およびRZ2は、上記の意味を有する]
で示されるアミンと、必要に応じて補助塩基の存在下で、反応させて、式(I−A):
【化15】

[式中、R1、R2、R3、RZ1およびRZ2は、上記の意味を有する]
で示されるスルホンアミドを得、必要に応じて、この方法で得られた式(I−A)で示される化合物を、当業者にとって既知の方法でそれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、および/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸によりそれらの溶媒和物、塩および/または該塩の溶媒和物に変換することを特徴とする製造方法を提供する。
【0066】
(II)→(III)の工程におけるジアゾ化およびその後のスルホクロリネーションは、当業者にとって慣用の方法によって、まず、式(II)で示されるアニリン誘導体を−20℃〜0℃での塩酸水溶液中における亜硝酸ナトリウムとの反応によってジアゾニウム塩に変換し、次いで、そのまま−20℃〜+20℃で触媒としての塩化銅(I)の存在下で酢酸中にて二酸化硫黄の飽和溶液と反応させることによって行われる。
【0067】
(III)+(IV)→(I−A)の工程におけるスルホンアミド形成のための不活性溶媒は、反応条件下で変化しない慣用の有機溶媒である。これらとしては、例えば、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン;炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロメタンもしくはクロロベンゼン;または他の溶媒、例えば酢酸エチル、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)もしくはN−メチルピロリジノン(NMP)が挙げられる。このような溶媒の混合物を使用することもできる。テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタンを使用するのが好ましい。
【0068】
(III)+(IV)→(I−A)の反応は、通常、補助塩基の存在下で行われる。この目的に適しているのは、特に、4級有機アミン塩基、例えばトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ピリジンまたは4−N,N−ジメチルアミノピリジンであり;トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンを使用するのが好ましい。適切な場合には、該反応は、また、補助塩基のさらなる添加なしで、過剰のアミン(IV)を使用して行われ得る。
【0069】
(III)+(IV)→(I−A)の工程は、一般に、−20℃〜+60℃の温度範囲で、好ましくは、0℃〜+40℃で行われる。該反応は、大気圧、高圧または減圧(例えば、0.5〜5バール)にて行われ得る;一般に、該反応は、大気圧にて行われる。
【0070】
本発明は、さらにまた、
Zが式:
【化16】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*がフェニル環への結合位置を示し、
Z3が、上記の意味を有する、
本発明の式(I)で示される化合物の製造方法であって、
まず、式(V):
【化17】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるフェニルチオエーテル誘導体を過酸化水素、過酸または過ヨウ素酸で酸化して、式(VI):
【化18】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるスルホキシドを得、次いで、触媒としての酢酸ロジウム(II)二量体および塩基としての酸化マグネシウムの存在下で2,2,2−トリフルオロアセトアミドおよび(ジアセトキシヨード)ベンゼンによって式(VII):
【化19】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるN−アシルスルホキシイミンに変換し、次いで、塩基性条件下にて、(VII)におけるトリフルオロアセチル基を除去して、式(I−B):
【化20】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるスルホキシイミンを得、必要に応じて、この方法で得られた式(I−B)で示される化合物を、当業者にとって既知の方法でそれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、および/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基または酸によりそれらの溶媒和物、塩および/または該塩の溶媒和物に変換することを特徴とする製造方法を提供する。
【0071】
(V)→(VI)の工程に適している酸化剤は、特に、有機または無機のペルオキソ化合物である。これらとしては、例えば、過酸化水素(必要に応じて、触媒補助を伴う)、過酸、例えば過酢酸もしくはm−クロロ過安息香酸、またはこのような化合物の塩、例えば過ヨウ素酸ナトリウムが挙げられる。メチルトリオキソレニウム触媒の存在下での過酸化水素、または過ヨウ素酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0072】
(V)→(VI)の酸化は、好ましくは、メタノールまたはエタノールのようなアルコール溶媒(必要に応じて水を添加した)中にて、−20℃〜+100℃の温度範囲で、好ましくは0℃〜+60℃で、行われる。
【0073】
スルホキシド(VI)のN−トリフルオロアセチルスルホキシイミン(VII)への変換は、触媒としての酢酸ロジウム(II)二量体および塩基としての酸化マグネシウムの存在下での2,2,2−トリフルオロアセトアミドおよび(ジアセトキシヨード)ベンゼンとの金属触媒化酸化イミノ化反応を介する文献記載の方法に従って行われる[H. Okamura and C. Bolm, Org. Lett. 6(8), 1305-1307 (2004)を参照]。該反応は、好ましくは、0℃〜+40℃の温度範囲でジクロロメタン溶媒中にて行われる。
【0074】
(VII)→(I−B)の工程におけるトリフルオロアセチル基の除去は、アルコール溶媒または水性溶媒中での炭酸アルカリ金属または水酸化アルカリ金属による処理によって慣用の方法で行われる。メタノールまたはアセトニトリル/メタノール混合物中にて炭酸カリウムを使用するのが好ましい。該反応は、一般的に、−10℃〜+30℃の温度範囲で行われる。
【0075】
本発明の式(I−C):
【化21】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記した意味を有し、
Z4Aは、(C1〜C4)−アルキルまたは(C3〜C6)−シクロアルキルを表す]
で示されるスルホキシイミン誘導体は、ナトリウムtert−ブトキシドもしくはカリウムtert−ブトキシドまたは水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムのような強塩基の存在下における上記化合物(I−B)と式(VIII):
【化22】

[式中、RZ4Aは、上記した意味を有し、
1は、脱離基、例えば、ハロゲン、メシラート、トシラートまたはトリフラートを表す]
で示される化合物との反応によって得られ得る。適切な場合には、臭化テトラブチルアンモニウムまたは臭化ベンジルトリエチルアンモニウムのような相間移動触媒の使用が有利であり得る[例えば、C.R. Johnson and O.M. Lavergne, J. Org. Chem. 58(7), 1922-1923 (1993)を参照]。
【0076】
式(II)で示される化合物は、文献に記載の方法に従って、例えば酸または酸無水物の存在下で式(IX):
【化23】

で示される4−シアノ−2−ニトロベンズアルデヒドと式(X):
【化24】

[式中、R1は上記の意味を有する]
で示されるケト化合物および式(XI):
【化25】

[式中、R3は上記の意味を有する]
で示されるフェニルウレア誘導体を三成分ワンポット反応においてまたは連続的に縮合させて、式(XII−A):
【化26】

[式中、R1およびR3は、上記の意味を有する]
で示される化合物を得、次いで、式(I)における基R2が水素ではない場合には、塩基の存在下で式(XIII):
【化27】

[式中、
2Aは、上記のR2の意味を有するが、水素ではなく、
2は、脱離基、例えば、ハロゲン、メシラート、トシラートまたはトリフラートを表す]
で示される化合物と反応させて、式(XII−B):
【化28】

[式中、R1、R2AおよびR3は、上記の意味を有する]
で示される化合物を得、次いで、式(XII−A)または(XII−B)で示されるニトロ化合物を式(II):
【化29】

[式中、R1、R2およびR3は、上記の意味を有する]
で示されるアニリン誘導体に還元することによって製造され得る。
【0077】
(IX)+(X)+(XI)→(XII−A)の工程に適している溶媒は、反応条件下で変化しない慣用の有機溶媒である。これらとしては、例えば、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロメタンもしくはクロロベンゼン;または他の溶媒、例えば酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドもしくはN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。記載された溶媒の混合物を使用することもできる。メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンを使用するのが好ましい。
【0078】
(IX)+(X)+(XI)→(XII−A)の工程に適している酸は、慣用の無機または有機の酸または酸無水物である。これらとしては、好ましくは、カルボン酸、例えば酢酸もしくはトリフルオロ酢酸;スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸もしくはp−トルエンスルホン酸;塩酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸、またはリン酸無水物もしくはエステルまたはホスホン酸無水物もしくはエステル、例えばポリリン酸、リン酸トリエチルエステル、ポリリン酸エチルエステル、五酸化リンもしくはプロパンホスホン酸無水物が挙げられる。リン酸トリエチルエステルと五酸化リンの併用が好ましい。該酸は、一般に、化合物(X)1モルに基づいて、0.25モル〜100モルの量で用いられる。
【0079】
(IX)+(X)+(XI)→(XII−A)の工程は、一般的に、+20℃〜+150℃の温度範囲で、好ましくは+50℃〜+100℃で行われる。該反応は、大気圧、高圧または減圧(例えば、0.5〜5バール)にて行うことができ;一般に、該工程は、大気圧にて行われる。
【0080】
(XII−A)+(XIII)→(XII−B)の工程に適している溶媒は、反応条件下で変化しない慣用の有機溶媒である。これらとしては、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン;炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロメタンもしくはクロロベンゼン;または他の溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルtert−ブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)もしくはN−メチルピロリジノン(NMP)が挙げられる。このような溶媒の混合物を使用することもできる。テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはN,N−ジメチルホルムアミドを使用するのが好ましい。
【0081】
(XII−A)+(XIII)→(XII−B)の工程に適している塩基は、慣用の無機塩基または有機塩基である。これらとしては、特に、炭酸アルカリ金属もしくは炭酸アルカリ土類金属、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムもしくは炭酸セシウム;アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムtert−ブトキシドもしくはカリウムtert−ブトキシド;水素化アルカリ金属、例えば水素化ナトリウムもしくは水素化カリウム;アミド、例えばリチウムビス(トリメチルシリル)アミドもしくはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドもしくはリチウムジイソプロピルアミド(LDA);有機アミン、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ピリジンもしくは4−N,N−ジメチルアミノピリジン;またはホスファゼン塩基(「Schwesinger塩基」)、例えばP1−t−Bu、P2−t−BuもしくはP4−t−Buが挙げられる。炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドを使用するのが好ましく;水素化ナトリウムおよびリチウムビス(トリメチルシリル)アミドが特に好ましい。該塩基は、化合物(XII−A)1モルに基づいて、0.1モル〜10モル、好ましくは1モル〜3モルの量で用いられる。
【0082】
(XII−A)+(XIII)→(XII−B)の工程は、一般に、−78℃〜+100℃の温度範囲で、好ましくは−78℃〜+80℃で、特に好ましくは−78℃〜+25℃で行われる。該反応は、大気圧、高圧または減圧(例えば、0.5〜5バール)にて行うことができ;一般に、該工程は、大気圧にて行われる。
【0083】
ニトロ化合物(XII−A)または(XII−B)のアニリン誘導体(II)への還元は、標準的な方法に従って、慣用のパラジウムまたは白金触媒の存在下での接触水素添加により行われ;活性炭上パラジウムを使用するのが好ましい。該水素添加は、大気圧または高水素圧力下にて行うことができ;一般に、大気圧かにて行われる。該反応は、好ましくは、メタノールまたはエタノールのようなアルコール溶媒中にて室温で、必要に応じてテトラヒドロフランまたは酢酸エチルのような不活性共溶媒を使用して、行われる。
【0084】
一の変法によると、式(I)における基R1がシアノを表す場合、化合物(IX)および(XI)との縮合反応において、化合物(X)の代わりに、式(XIV):
【化30】

[式中、
Tは、(C1〜C4)−アルキルまたはアリルを表す]
で示されるアセト酢酸エステルを使用することができ;次いで、得られた式(XV):
【化31】

[式中、R3およびTは、上記の意味を有する]
で示される生成物を、エステル開裂を介する標準的な方法によって処理して、式(XVI):
【化32】

[式中、R3は、上記の意味を有する]
で示されるカルボン酸を得、その後、式(XVII):
【化33】

[式中、R3は、上記の意味を有する]
で示される1級カルボキサミドに変換し、
その後、アミド基の脱水により、式(XII−A)[R1 = CN]で示される5−シアノジヒドロピリミジノンに変換することができる(下記反応スキーム1を参照)。
【0085】
式(V)で示される化合物は、類似の方法において、まず、塩基の存在下にて式(XVIII):
【化34】

で示される4−シアノ−2−フルオロベンズアルデヒドと式(XIX):
【化35】

[式中、RZ3は、上記の意味を有する]
で示されるチオールを反応させて、式(XX):
【化36】

[式中、RZ3は、上記の意味を有する]
で示される2−スルファニル−置換ベンズアルデヒドを得、次いで、上記の(IX)+(X)+(XI)→(XII−A)→(XII−B)または(IX)+(XIV)+(XI)→(XV)→(XVI)→(XVII)→(XII−A)の反応シーケンスに従って化合物(IX)の代わりにこの化合物をさらに反応させることによって製造され得る(下記反応スキーム2を参照)。
【0086】
都合がよければ、上記のプロセスによって得られた式(I)で示される他の化合物を用いて開始して、個々の置換基の官能基の変換、特にRZ1およびRZ2のもとに挙げられた基の変換によって、本発明の式(I)で示されるさらなる化合物を製造することもできる。これらの変換は、当業者にとって既知の慣用方法に従って行われ、例えば、求核もしくは求電子置換反応、遷移金属媒介カップリング反応(例えば、Suzuki反応、Heck反応またはHartwig-Buchwald反応)、酸化、還元、水素添加、アルキル化、アシル化、アミノ化、ヒドロキシル化、エーテル化、エステル化、エステル開裂およびエステル加水分解、ニトリル、カルボキサミドおよびカルバメートの形成、ならびに一時的保護基の導入および除去のような反応を包含する。
【0087】
本発明の化合物の対応するエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーへの分離は、都合に応じて、化合物(I−A)、(I−B)および(I−C)の段階で、または、化合物(II)、(V)、(VI)もしくは(VII)の段階で、または中間体(XII−A)、(XII−B)、(XV)、(XVI)もしくは(XVII)またはそれらのRZ3S−置換アナログの段階で行ってよく、次いで、これらの中間体を、別々の形態で、上記の工程に従ってさらに反応させることができる。このような立体異性体の分離は、当業者にとって既知の慣用方法らわって行うことができ;クロマトグラフィー法、特にキラル相でのHPLCクロマトグラフィーにかけることができる。
【0088】
式(IV)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XIII)、(XIV)、(XVIII)および(XIX)で示される化合物は、市販されているか、文献により自体公知であるか、または、文献二期債の慣用方法によって製造され得る。
【0089】
上記方法は、下記反応スキームによって例示され得る:
【0090】
【化37】

【0091】
【化38】

【0092】
【化39】

【0093】
【化40】

【0094】
本発明の化合物は、有用な薬理学的特性を有しており、ヒトおよび動物の障害の予防および処置に用いることができる。
【0095】
本発明の化合物は、驚くべきことに先行技術により知られている化合物よりもかなり強いこのプロテアーゼの阻害をもたらす、ヒト好中球エラスターゼの低分子量非反応性選択的阻害物質である。加えて、本発明の化合物は、予測できないほどに、肝細胞に関して低インビトロクリアランスを有し、したがって、代謝安定性の改善を有する。さらにまた、本発明の化合物には、それらの一般的な処方能および/または静脈内投与能に関して優れている水性系における優れた溶解性を有するものがある。
【0096】
したがって、本発明の化合物は、障害および病理過程、特に、好中球エラスターゼ(HNE)が炎症性事象および/または組織もしくは血管リモデリングに関与しているものの処置および/または予防に特に適している。
【0097】
本発明の目的のために、これには、特に、肺動脈高血圧症(PAH)および他の形態の肺高血圧症(PH)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺損傷(ALI)、α1−アンチトリプシン欠損症(AATD)、肺線維症、肺気腫(例えば、喫煙誘発性肺気腫)、嚢胞性線維症(CF)、急性冠症候群(ACS)、心筋の炎症(心筋炎)および他の自己免疫心臓病(心膜炎、心内膜炎、弁膜炎、大動脈炎、心筋症)、心筋梗塞、心原性ショック、心不全、動脈瘤、敗血症(SIRS)、多臓器不全(MODS、MOF)、動脈硬化症、腎臓の炎症性障害、腸の慢性炎症(IBD、CD、UC)、膵炎、腹膜炎、リウマチ性障害、炎症性皮膚障害、ならびに、炎症性眼障害のような疾患が含まれる。
【0098】
さらにまた、本発明の化合物は、断続的または持続的な経過を伴う種々の重篤度の喘息障害(難治性喘息、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、薬剤または粉塵によって誘発される喘息)、多種多様の形態の気管支炎(慢性気管支炎、感染性気管支炎、好酸球性気管支炎)、閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肺炎、農夫肺および関連する疾患、咳および風邪(慢性炎症性咳嗽、医原性咳嗽)、鼻粘膜の炎症(薬剤関連鼻炎、血管運動性鼻炎および季節性アレルギー性鼻炎、例えば、花粉症)およびポリープの処置および/または予防のために使用することができる。
【0099】
加えて、本発明の化合物は、また、微小血管および大血管の損傷(脈管炎)、再灌流障害、動脈および静脈血栓、関節リウマチ患者における整形外科的介入に関連する血栓、糖尿病性および非糖尿病性腎症、糸球体腎症、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、微量アルブミン尿、急性および慢性腎機能障害、急性および慢性腎不全、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、精巣炎、卵巣炎、卵管炎、外陰膣炎、勃起機能不全、ハンナー潰瘍、ペイロニー病、動脈性高血圧症、ショック、心房および心室性不整脈、一過性および虚血性発作、心不全、脳卒中、内皮機能不全、末梢性および心血管障害、末梢灌流不全、浮腫形成(肺浮腫、脳浮腫、腎浮腫および心不全関連浮腫)、再狭窄(血栓溶解療法、経皮経管血管形成術(PTA)、経管的冠動脈形成術(PTCA)、心臓移植およびバイパス手術後)の処置および/または予防、フィブリノーゲンおよび低密度LDLレベルの増大、および、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI−1)濃度の増大の処置および/または予防、脂質異常症(高コレステロール血症、高グリセリド血症、食後の血漿トリグリセリドの濃度の増大、低アルファリポタンパク血症、複合型高脂血症)、および、メタボリック障害(メタボリック症候群、高血糖症、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、妊娠性糖尿病、高インスリン血症、インスリン抵抗性、耐糖能障害、脂肪過多症、および、網膜症、腎症およびニューロパシーのような糖尿病続発症)、腫瘍性障害(皮膚がん、脳腫瘍、乳がん、骨髄腫瘍、白血病、脂肪肉腫、消化管、肝臓、膵臓、肺、腎臓、尿道、前立腺および生殖管の癌、および、例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫などのリンパ球増殖系の悪性腫瘍)の処置および/または予防、消化管および腹部の疾患(舌炎、歯肉炎、歯周炎、食道炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、結腸炎、直腸炎、肛門そう痒症、下痢、セリアック病、肝炎、肝線維症、肝硬変、膵臓炎および胆嚢炎)の処置および/または予防、中枢神経系の疾患および神経変性障害(脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症、てんかん、うつ病、多発性硬化症)、免疫障害、甲状腺障害(甲状腺機能亢進症)、皮膚障害(乾癬、アクネ、湿疹、神経皮膚炎、多種多様の形態の皮膚炎、例えばアバクリブス皮膚炎、光線過敏性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アンモニア性皮膚炎、自傷性皮膚炎、自源性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、熱性紅斑、火傷性皮膚炎、凍傷性皮膚炎、化粧品皮膚炎、焼痂性皮膚炎、剥離性皮膚炎、壊疸性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、ヘルペス状皮膚炎、苔癬状皮膚炎、線状皮膚炎、悪性皮膚炎、薬疹性皮膚炎、手掌または足裏の皮膚炎、寄生虫性皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、光毒性皮膚炎、膿疱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、日光皮膚炎、中毒性皮膚炎、メレニー潰瘍、毒物性皮膚炎、感染性皮膚炎、化膿性皮膚炎および口囲皮膚炎など、および、角膜炎、水疱症、血管炎、蜂巣炎、脂肪織炎、紅斑性狼瘡、紅斑症、リンパ腫、皮膚がん、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、瘢痕形成、いぼ形成、凍瘡)の処置および/または予防、炎症性眼疾患(サルコイドーシス、眼瞼炎、結膜炎、虹彩炎、ブドウ膜炎、脈路膜炎、眼球炎)、ウイルス性疾患(インフルエンザウイルス、アデノウイルスおよびコロナウイルス、例えば、HPV、HCMV、HIV、SARSに起因する)の処置および/または予防、骨格の骨および関節ならびに骨格筋の障害(多種多様の形態の関節炎、例えば、アルカプトン尿症性関節炎、強直性関節炎、赤痢性関節炎、滲出性関節炎、真菌性関節炎、淋菌性関節炎、破壊性関節炎、乾癬性関節炎、化膿性関節炎、リウマチ性関節炎、漿膜性関節炎、梅毒性関節炎、結核性関節炎、痛風性関節炎、色素性絨毛結節性関節炎、非定型関節炎、血友病性関節炎、若年性慢性関節炎、関節リウマチおよび転移性関節炎、さらにまた、スティル症候群、フェルティー症候群、シェーグレン症候群、クラットン症候群、ポンセ症候群、ポット症候群およびライター症候群、多種多様な形態の関節症、例えば、変形性関節症、神経障害性関節症、更年期関節症、乾癬性関節症および脊髄ろう性関節症、全身性硬化症など、多種多様な形態の炎症性ミオパチー(例えば、流行性ミオパチー、線維性ミオパチー、ミオグロビン尿症性ミオパチー、骨化性ミオパチー、神経症性骨化性ミオパチー、多発性進行性骨化性ミオパチー、化膿性ミオパチー、リウマチ性ミオパチー、旋毛虫性ミオパチー、熱帯性ミオパチーおよびチフス性ミオパチー、および、ギュンター症候群およびミュンヒマイアー症候群など)の処置および/または予防、動脈の炎症性変化(多種多様な形態の動脈炎、例えば、動脈内膜炎、動脈中膜炎、動脈周囲炎、汎動脈炎、リウマチ性動脈炎、変形性動脈炎、側頭動脈炎、頭蓋動脈炎、巨細胞性動脈炎および肉芽腫性動脈炎、および、ホートン症候群、チャーグ・ストラウス症候群および高安動脈炎など)の処置および/または予防、マックル・ウェルズ症候群の処置および/または予防、菊池病の処置および/または予防、多発性軟骨炎、強皮症、および、炎症性または免疫性要素を有する他の障害、例えば、白内障、悪液質、骨粗鬆症、痛風、失禁、ハンセン病、セザリー症候群および腫瘍随伴症候群などの処置および/または予防、臓器移植後の拒絶反応の処置および/または予防、ならびに創傷治癒および血管形成、特に慢性創傷の場合のための処置および/または予防に使用され得る。
【0100】
本発明の化合物は、それらの特性プロファイルによって、特に、肺動脈高血圧症(PAH)および他の形態の肺高血圧症(PH)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、肺気腫、α1−アンチトリプシン欠損症(AATD)、嚢胞性線維症(CF)、敗血症および全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全(MOF、MODS)、炎症性腸障害(IBD、クローン病、大腸炎)、慢性気管支炎、喘息、鼻炎、関節リウマチ、炎症性の皮膚および眼疾患、動脈硬化症および癌性障害の処置および/または予防に適している。
【0101】
本発明は、さらにまた、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0102】
本発明は、さらにまた、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための薬剤の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0103】
本発明は、さらにまた、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための方法における本発明の化合物の使用を提供する。
【0104】
本発明は、さらにまた、少なくとも1つの本発明の化合物の有効量を使用する、障害、特に上記障害の処置および/または予防のための方法を提供する。
【0105】
本発明の化合物は、単独で、または、必要に応じて、他の活性化合物と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明は、さらにまた、少なくとも1つの本発明の化合物および1つ以上のさらなる活性化合物を含む、特に上記障害の処置および/または予防のための薬剤を提供する。組み合わせに適している活性化合物は、例えば、好ましくは、以下ものである:
【0106】
・シグナル伝達カスケードを阻害する化合物[例えば、好ましくは、キナーゼ阻害物質の群から、特に、チロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼ阻害物質の群から];
【0107】
・細胞外マトリックスの分解およびリモデリングを阻害する化合物[例えば、好ましくは、マトリックスメタロプロテアーゼ類(MMP)の阻害物質、特に、ストロメライシン、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼおよびアグリカナーゼ(ここでは、特に、MMP−1、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11およびMMP−13)およびメタロエラスターゼ(MMP−12)の阻害物質];
【0108】
・セロトニンのその受容体への結合を遮断する化合物[例えば、好ましくは、5−HT2b受容体のアンタゴニスト];
【0109】
・有機硝酸塩およびNOドナー[例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1、および、吸入NOなど];
【0110】
・NO−非依存性であるがヘム−依存性である可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激物質[例えば、特に、WO 00/06568、WO 00/06569、WO 02/42301およびWO 03/095451中に記載されている化合物];
【0111】
・NO−およびヘム−非依存性の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化物質[例えば、特にWO 01/19355、WO 01/19776、WO 01/19778、WO 01/19780、WO 02/070462およびWO 02/070510中に記載されている化合物]:
【0112】
・プロスタサイクリンアナログ[例えば、好ましくは、イロプロスト、ベラプロスト、トレプロスチニルまたはエポプロステノール];
【0113】
・可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を阻害する化合物[例えば、N,N’−ジシクロヘキシルウレア、12−(3−アダマンタン−1−イルウレイド)ドデカン酸または1−アダマンタン−1−イル−3−{5−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}ウレアなど];
【0114】
・心臓のエネルギー代謝に作用する化合物[例えば、好ましくは、エトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン];
【0115】
・サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)および/またはサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物[例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害物質、特に、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルのようなPDE5阻害物質];
【0116】
・抗血栓作用を有する薬剤[例えば、好ましくは、血小板凝集阻害物質の群、抗凝固剤の群、または線維素溶解促進性物質の群から];
【0117】
・血圧を低下させる活性化合物[例えば、好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害物質、バソペプチダーゼ阻害物質、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害物質、α受容体ブロッカー、β受容体ブロッカー、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、Rhoキナーゼ阻害物質および利尿剤の群から];
【0118】
・気管支拡張作用を有する薬剤[例えば、好ましくは、特にアルブテロール、イソプロテレノール、メタプロテレノール、テルブタリン、フォルモテロールまたはサルメテロールのようなβアドレナリン受容体アゴニストの群から、または、特にイプラトロピウムブロミドのような抗コリン作用薬の群から]
【0119】
・抗炎症作用を有する薬剤[例えば、好ましくは、特にプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルニソリド、ブデソニドまたはフチカゾンのような糖質コルチコイドの群から];および/または
【0120】
・脂質代謝を変える活性成分[例えば、好ましくは、甲状腺受容体アゴニストの群、コレステロール合成阻害物質の群(例えば、好ましくは、HMG−CoAリダクターゼ阻害物質類またはスクワレン合成阻害物質)、ACAT阻害物質、CETP阻害物質、MTP阻害物質、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、コレステロール吸収阻害物質、リパーゼ阻害物質、ポリマー性胆汁吸着剤、胆汁酸再吸収阻害物質およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群から]
【0121】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、キナーゼ阻害物質、例えば、好ましくは、ボルテゾミブ、カネルチニブ、エルロチニブ、ゲフイチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ロナファルニブ、ペガプチニブ、ペリチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンヅチニブ、チピファルニブ、バタラニブ、ファスジル、ロニダミン、レフルノミド、BMS−3354825またはY−27632と組み合わせて使用される。
【0122】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、セロトニン受容体アンタゴニスト、例えば、好ましくは、PRX−08066と組み合わせて使用される。
【0123】
抗血栓作用を有する薬剤は、好ましくは、血小板凝集阻害物質、抗凝固剤または線維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0124】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールのような血小板凝集阻害物質と組み合わせて投与される。
【0125】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンのようなトロンビン阻害物質と組み合わせて投与される。
【0126】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブのようなGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0127】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、リバロキサバン、DU−176b、フィデキサバン、ラザキサバン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX 9065a、DPC 906、JTV 803、SSR−126512またはSSR−128428のようなXa因子阻害物質と組み合わせて投与される。
【0128】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0129】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、クマリンのようなビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0130】
血圧降下剤は、好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害物質、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害物質、α受容体ブロッカー、β受容体ブロッカー、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、Rhoキナーゼ阻害物質および利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0131】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムのようなカルシウムアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0132】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、プラゾシンのようなα1受容体ブロッカーと組み合わせて投与される。
【0133】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールのようなβ受容体ブロッカーと組み合わせて投与される。
【0134】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエムブサルタンのようなアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0135】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、フォシノプリル、キノプリル、ペリンドプリルまたはトランドプリルのようなACE阻害物質と組み合わせて投与される。
【0136】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ボセンタン、ダルセンタン、アムブリセンタンまたはシタクスセンタンのようなエンドセリンアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0137】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、アリスキレン、SPP−600またはSPP−800のようなレニン阻害物質と組み合わせて投与される。
【0138】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンのようなミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0139】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ファスジル、Y−27632、SLx−2119、BF−66851、BF−66852、BF−66853、KI−23095、SB−772077、GSK−269962AまたはBA−1049のようなRhoキナーゼ阻害物質と組み合わせて投与される。
【0140】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、フロセミドのような利尿剤と組み合わせて投与される。
【0141】
脂質代謝を変える薬剤は、好ましくは、CETP阻害物質類、甲状腺受容体アゴニスト類、HMG−CoAリダクターゼ阻害物質類またはスクワレン合成阻害物質類のようなコレステロール合成阻害物質類の群、ACAT阻害物質、MTP阻害物質、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、コレステロール吸収阻害物質、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害物質、リパーゼ阻害物質およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0142】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、トルセトラピブ(CP−529414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)のようなCETP阻害物質と組み合わせて投与される。
【0143】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、D−チロキシン、3,5,3’−トリヨードチロニン(T3)、CGS 23425またはアキシチローム(CGS 26214)のような甲状腺受容体アゴニストと組み合わせて投与される。
【0144】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンのようなスタチン類からのHMG−CoAリダクターゼ阻害物質と組み合わせて投与される。
【0145】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、BMS−188494またはTAK−475のようなスクワレン合成阻害物質と組み合わせて投与される。
【0146】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、アバシミベ、メリナミデ、パクチミベ、エフルシミベまたはSMP−797のようなACAT阻害物質と組み合わせて投与される。
【0147】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、イムプリタピド、BMS−201038、R−103757またはJTT−130のようなMTP阻害物質と組み合わせて投与される。
【0148】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンのようなPPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0149】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、GW−501516またはBAY 68−5042のようなPPAR−δアゴニストと組み合わせて投与される。
【0150】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、エゼチミブ、チクエシドまたはパマクエシドのようなコレステロール吸収阻害物質と組み合わせて投与される。
【0151】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、オルリスタットのようなリパーゼ阻害物質と組み合わせて投与される。
【0152】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム、CholestaGelまたはコレスチミドのようなポリマー性胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0153】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害物質、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などのような胆汁酸再吸収阻害物質と組み合わせて投与される。
【0154】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、ゲムカベンカルシウム(CI−1027)またはニコチン酸のようなリポタンパク質(a)アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0155】
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明の化合物を、通例、1つ以上の不活性で非毒性の薬学的に適切な賦形剤と組み合わせて含む薬剤、ならびに上記に言及されている目的のためのその使用を提供する。
【0156】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的な作用を有し得る。この目的では、それらは、適切な方法で、例えば、経口、非経口、肺、鼻腔、舌下、舌、頬側、直腸、皮膚、経皮、結膜もしくは耳経路によって、またはインプラントもしくはステントとして、投与することができる。
【0157】
本発明の化合物は、これらの投与経路に適している投与形態で投与することができる。
【0158】
先行技術に応じて機能し、急速に、および/または改変された方法で本発明の化合物を送達し、結晶および/または非晶および/または溶解形態で本発明の化合物を含有する投与形態が経口投与に好適であり、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば、胃液に抵抗性があるか、または不溶であるか、または遅延溶解し、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有する)、口中で急速に崩壊する錠剤、またはフィルム剤/オブラート剤、フィルム剤/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアロゾル剤または液剤などがある。
【0159】
非経口投与は、吸収段階を回避するか(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)、または吸収を含んで(例えば、吸入、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経口投与に適している投与形態は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌散剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0160】
例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器、エアロゾル)、点鼻薬、液剤、スプレー剤;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム剤/オブラート剤またはカプセル剤、坐剤、耳および眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション剤、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮治療システム(例えば、パッチ剤)、ミルク剤、ペースト剤、フォーム剤、散布用パウダー剤、インプラントまたはステントが、他の投与ルートに適する。
【0161】
経口または非経口投与、特に経口および静脈投与および吸入による投与が好ましい。
【0162】
本発明の化合物は、明示した投与形態に変換することができる。これは、不活性で非毒性の薬学的に適切な賦形剤と混合することにより、自体公知の方法で行うことができる。これらの賦形剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸)、着色剤(例えば無機色素、例えば酸化鉄)および味および/または臭気のマスキング剤が含まれる。
【0163】
非経口投与では、約0.001〜1mg/kg(体重)、好ましくは約0.01〜0.5mg/kg(体重)を投与するのが、有効な結果を達成するのに有利であるということが一般的に証明された。経口投与では、投与量は、約0.01〜100mg/kg(体重)、好ましくは約0.01〜20mg/kg(体重)、特に好ましくは約0.1〜10mg/kg(体重)である。
【0164】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に体重、投与経路、活性成分に対する個体の応答、製剤の種類および投与が行われる時間または間隔に応じて、明示した量から逸脱することが必要であり得る。すなわち、場合によっては上記の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方、場合によっては言及されている上限を超えなければならない。比較的大量に投与する場合には、1日につき複数の単回投与にこれらを分配することが望ましいことがあり得る。
【0165】
下記の例示的実施態様は、本発明を説明する。本発明は、これらの例に限定されない。
【0166】
下記の試験および実施例におけるパーセントのデータは、他に特に示さない限り、重量パーセントであり;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、それぞれの場合、他に特に示さない限り、容量を基準としている。
【実施例】
【0167】
























A.実施例

【0168】
HPLC、GC−MSおよびLC−MSの方法:
【0169】
方法1(GC−MS):
機器:Micromass GCT, GC 6890;カラム:Restek RTX-35,15m×200μm×0.33μm;一定のへリウム流量:0.88ml/分;オーブン:70℃;注入口:250℃;グラジエント:70℃、30℃/分→310℃(3分間維持)。
【0170】
方法2(分析HPLC):
機器:DAD検出付きHP1100;カラム:Kromasil 100 RP-18,60mm×2.1mm,3.5μm;移動相A:5mlのHClO(70%強度)/水(l)、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分 2%B→0.5分 2%B→4.5分 90%B→9.0分 90%B→9.2分 2%B→10分 2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0171】
方法3(分析HPLC):
機器:DAD検出付きHP1100;カラム:Kromasil 100 RP-18,60mm×2.1mm,3.5μm;移動相A:5mlのHClO(70%強度)/水(l)、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分 2%B→0.5分 2%B→4.5分 90%B→6.5分 90%B→6.7分 2%B→7.5分 2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0172】
方法4(LC−MS):
機器:Waters UPLC Acquity付きMicromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50mm×1mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度ギ酸;グラジエント:0.0分 90%A→0.1分 90%A→1.5分 10%A→2.2分 10%A;流速:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0173】
方法5(LC−MS):
MS機器タイプ:Micromass ZQ;HPLC機器タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度ギ酸;グラジエント:0.0分 90%A→0.1分 90%A→3.0分 5%A→4.0分 5%A→4.01分 90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0174】
方法6(LC−MS):
MS機器タイプ:Micromass ZQ;HPLC機器タイプ:HP 1100 Series;UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30mm×3.0mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度ギ酸;グラジエント:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0175】
方法7(LC/MS):
MS機器タイプ:Waters ZQ; HPLC機器タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18,100mm×3mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度ギ酸;グラジエント:0.0分 90%A→2分 65%A→4.5分 5%A→6分 5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0176】
方法8(LC−MS):
機器:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ,50mm×1mm;移動相A:1lの水+0.25mlの99%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.25mlの99%強度ギ酸;グラジエント:0.0分 90%A→1.2分 5%A→2.0分 5%A;流速:0.40ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210−400nm。
【0177】
方法9(LC−MS):
機器:HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro Micro MS ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度ギ酸;グラジエント:0.0分 100%A→3.0分 10%A→4.0分 10%A→4.01分 100%A(流速2.5ml/分)→5.00分 100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0178】
方法10(LC−MS):
MS機器:Waters ZQ;HPLC機器タイプ:Agilent 1100 Series;UV DAD;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mm×4mm;移動相A:1lの水+0.5mlの50%強度ギ酸、移動相B:1lのアセトニトリル+0.5mlの50%強度のギ酸;グラジエント:0.0分 100%A→3.0分 10%A→4.0分 10%A→4.1分 100%A(流速2.5ml/分);オーブン:55℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0179】
方法11(LC−MS):
MS機器:Waters ZQ 2000;HPLC機器:Agilent 1100、2−カラム回路;オートサンプラー:HTC PAL;カラム:YMC-ODS-AQ、50mm×4.6mm、3.0μm;移動相A:水+0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル+0.1%ギ酸;グラジエント:0.0分 100%A→0.2分 95%A→1.8分 25%A→1.9分 10%A→2.0分 5%A→3.2分 5%A→3.21分 100%A→3.35分 100%A;オーブン:40℃;流速:3.0ml/分;UV検出:210nm。
【0180】
出発物質および中間体:
実施例1A
(rac)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸アリル
【化41】

この反応はアルゴン下で行った。室温にて、まず、アセト酢酸アリル(5.94g、41.5mmol;1.0当量)をTHF(117ml)中に入れた。次いで、4−シアノ−2−ニトロベンズアルデヒド(10.45g、純度70%、41.5mmol;1.0当量)、1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(8.48g、41.5mmol)およびリン酸トリエチル(17.7g)を添加した。該混合物を還流下にて16時間撹拌した。後処理のために、まず、氷水を添加し、次いで、該混合物を酢酸エチル(400ml)に溶解した。有機相を固体硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物を熱水/イソプロパノール(2:1、約400ml)から再結晶した。得られた固体をジエチルエーテル(60ml)中にて撹拌し、もう一度吸引濾過し、少量のジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させた。標記化合物を固体として得た(16.63g、理論値の82%)。
LC−MS(方法7):R=3.70分;MS(ESIpos):m/z(%)=487.1(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=2.10(s,3H)、4.40(m,2H)、4.95(d,1H)、5.05(d,1H)、5.70(m,1H)、6.15(d,1H)、6.05(d,1H)、7.70−7.90(m,4H)、8.10(br.d,1H)、8.25(dd,1H)、8.45(d,1H)、8.55(d,1H)。
【0181】
実施例2A
(rac)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸
【化42】

この反応はアルゴン下にて行った。室温にて、まず、(rac)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸アリル(15.0g、30.8mmol)およびモルホリン(1.5当量、4.03g、46.3mmol)を乾燥THF(300ml)中に入れた。該反応混合物を繰り返し脱気した(排気、次いで、アルゴンを用いて換気)。保護ガス下にて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05当量、1.78g、1.54mmol)を添加し、該反応混合物を室温にて2時間撹拌した(HPLCによりモニターした)。次いで、混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチル(700ml)に溶解した。有機相を0.5N塩酸(500ml)で洗浄し、次いで、塩化ナトリウム飽和溶液(300ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物を酢酸エチルから再結晶させ、高真空下で乾燥させた。標記化合物を固体として得た(12.87g、理論値の93%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=2.05(s,3H)、6.00(d,1H)、7.65−7.90(m,4H)、8.10(d,1H)、8.25(dd,1H)、8.40(d,1H)、8.50(d,1H)、12.5(br.s,1H)。
【0182】
実施例3A
(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸
【化43】

(rac)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸(590g)を、キラル相による分取HPLCクロマトグラフィー処理[カラム:ポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)セレクターをベースとしたキラルシリカゲル相;カラム寸法:670mm×40mm;試料調製:試料100gをTHF 2000mlに溶解;注入量:70ml;移動相:酢酸エチル/メタノール 100:1→1:100;流速:80ml/分;温度:24℃;検出:260nm]によってエナンチオマーに分離した。これにより4Rエナンチオマー280g(理論値の95%;99.6%ee)を得た。
エナンチオマー過剰(ee)をクロマトグラフィー処理[カラム:ポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシン−tert−ブチルアミド)セレクターをベースとしたキラルシリカゲル相;カラム寸法:250mm×4.6mm;移動相:酢酸エチル/メタノール 10:1;流速:2ml/分;検出:265nm;R=1.38分]によって決定した。
【0183】
実施例4A
(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキサミド
【化44】

この反応はアルゴン下で行った。室温にて、まず、(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸(6.0g、11.4mmol、純度85%)、DMAP(140mg、1.143mmol;0.1当量)、DIEA(1.77g、13.7mmol;1.2当量)およびPyBOP(7.14g、13.71mmol;1.2当量)を乾燥THF(34ml)に入れ、短時間(15分)撹拌した後、アンモニアのTHF中0.5M溶液(5当量、57.1mmol)を添加し、次いで、該混合物を室温にて1時間撹拌した。次いで、該反応混合物に酢酸エチル(250ml)を添加した。有機相を重炭酸ナトリウム飽和溶液、水および塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルによりフラッシュクロマトグラフィー処理した(移動相:ジクロロメタン/メタノール 20:1)。標記化合物を無色の固体として得た(5.0g、理論値の98%)。
MS(ESIpos):m/z(%)=446.2(100)[M+H]
【0184】
実施例5A
(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化45】

この反応はアルゴン下にて行った。まず、(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキサミド(5.0g、10.1mmol;純度90%)を乾燥THF(135ml)に入れ、メトキシカルボニルスルファモイルトリエチルアンモニウムヒドロキシド(Burgess試薬;3.85g、16.17mmol;1.6当量)を添加し、次いで、該混合物を室温にて2時間撹拌した。次いで、該反応混合物に酢酸エチル(300ml)を添加した。有機相を水で2回洗浄し、塩化ナトリウム飽和溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物をシクロヘキサン/酢酸エチルから再結晶した。得られた結晶を高真空下で乾燥させた。標記化合物を固体として得た(2.8g、理論値の65%)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、5.95(s,1H)、7.75−8.25(m,6H)、8.35(dd,1H)、8.65(s,1H)。
【0185】
実施例6A
(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化46】

この反応はアルゴン下にて行った。まず、(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(5.0g、11.7mmol)を無水THF(500ml)に入れ、−78℃にてリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)のTHF中1M溶液(13.5ml、13.5mmol;1.15当量)を添加した。30分間撹拌した後、THF中のヨードメタン(8.30g、58.5mmol;5当量)を添加し、該混合物を、−78℃から室温に徐々に加温しながら、16時間撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、まず、1N塩酸(14.0ml)を添加し、次いで、MTBE(500ml)を添加した。有機相を水(2×)、重炭酸ナトリウム飽和溶液、塩化アンモニウム飽和溶液および塩化ナトリウム飽和溶液で連続洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。標記化合物を固体として得た(4.3g、理論値の83%)。
LC−MS(方法4):R=1.28分;MS(ESIpos):m/z(%)=442.2(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=440.2(50)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.70(s,3H)、5.95(s,1H)、7.75−8.25(m,5H)、8.35(dd,1H)、8.65(s,1H)。
【0186】
実施例7A
(4R)−4−(2−アミノ−4−シアノフェニル)−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化47】

アルゴン下、(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(6.0g、11.3mmol)をメタノール(420ml)に溶解した。次いで、活性炭上10%パラジウム(5.5g)を添加し、該混合物を室温および大気圧下にて5.5時間水素添加した(HPLCにより正確にモニターした)。次いで、該反応混合物を珪藻土で濾過し、フィルター残渣をメタノール(1000ml)で洗浄した。濾液を濃縮し、粗生成物をシリカゲルによりフラッシュクロマトグラフィー処理した(移動相:酢酸エチル/シクロヘキサン 2:1)。標記化合物を固体として得た(2.28g、理論値の40%)。
LC−MS(方法8):R=1.06分;MS(ESIpos):m/z(%)=412.3(80)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=410.3(100)[M−H]
【0187】
実施例8A
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド
【化48】

アルゴン下、まず、(4R)−4−(2−アミノ−4−シアノフェニル)−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(2.1g、5.1mmol)を、−10℃で酢酸/濃塩酸/水の2:1:1混合液(合計50ml)に入れた。亜硝酸ナトリウム(371mg、5.38mmol)の水(2ml)中溶液をゆっくりと滴下し、該混合物を−10℃〜−5℃で40分間撹拌した。次いで、この溶液を、−10℃に前冷却して二酸化硫黄で飽和させた塩化銅(I)(101.4mg、1.0mmol)の氷酢酸(44ml)中懸濁液45mlに添加した。該混合物を0℃で約30分間撹拌し、次いで、+15℃で1時間撹拌した(HPLCおよびLC−MSにより反応をモニターした)。次いで、該反応混合物をもう一度0℃に冷却し、次いで、ピペットで約300mlの氷冷水中に移した。沈殿物を濾過し、酢酸エチル(150ml)に溶解した。該溶液を塩化ナトリウム飽和溶液で二回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。標記化合物を固体として得(2.13g、理論値の77%、純度92%)、これをさらなる精製を行わずに次反応に使用した。
LC−MS(方法4):R=1.37分;MS(ESIpos):m/z(%)=495.1(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.70(s,3H)、6.55(s,1H)、7.75−8.00(m,6H)、8.10(s,1H)。
【0188】
実施例9A
(4R)−4−(2−アミノ−4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化49】

アルゴン下、(4R)−4−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(39.5g、92.4mmol)をエタノール(1975ml)に溶解した。次いで、活性炭上10%パラジウム(19.8g)を添加し、該混合物を室温および大気圧下にて2時間水素添加した(TLCによって正確にモニターした)。次いで、該反応混合物を珪藻土で濾過した。濾液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルによりフラッシュクロマトグラフィー処理した(移動相:酢酸エチル/シクロヘキサン 2:1)。標記化合物を固体として得た(25.5g、理論値の68%)。
LC−MS(方法10):R=2.21分;MS(ESIpos):m/z(%)=398.2(100)[M+H]
【0189】
実施例10A
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド
【化50】

アルゴン下、まず、(4R)−4−(2−アミノ−4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(3.0g、7.55mmol)を−10℃にて酢酸/濃塩酸/水の2:1:1混合液(合計50ml)に入れた。亜硝酸ナトリウム(547mg、7.93mmol)の水(6ml)中溶液を添加し、該混合物を−10℃で15分間撹拌した。次いで、この溶液を、−10℃に前冷却して二酸化硫黄で飽和させた塩化銅(I)(75mg、755μmol;0.1当量)の氷酢酸(60ml)中懸濁液に添加した。該反応物を−10℃(内部温度)で60分間撹拌し、次いで、3時間にわたってゆっくりと+15℃に加温した(HPLCおよびLC−MSによって反応をモニターした)。次いで、該反応混合物をもう一度0℃に冷却し、次いで、ピペットで約300mlの氷冷水中に移した。水性相をMTBEで繰り返し抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。標記化合物を固体として得(1.67g、LC−MSによる純度73%、理論値の32%)、さらなる精製を行わずに次反応に使用した。
LC−MS(方法6):R=2.52分;MS(ESIpos):m/z(%)=481.0(100)[M+H]
【0190】
実施例11A
3−フルオロ−4−ホルミルベンゾニトリル
【化51】

この反応はアルゴン下で行った。3−フルオロ−4−メチルベンゾニトリル(121g、895mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(245g、2.06mol)をDMF(1.8リットル)に溶解し、還流下にて一夜撹拌した。次いで、フラスコの内容物を水(2リットル)中に注ぎ、該混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機相を濃縮し、残留物をTHF/水(1:1、2.7リットル)に再溶解した。過ヨウ素酸ナトリウム(503g、2.35mol)を添加し、該混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、沈殿物を除去し、濾液を回収し、酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を重炭酸ナトリウム飽和溶液で1回洗浄し、塩化ナトリウム飽和溶液で1回洗浄し、乾燥させ、濃縮して、油状物を得た。この油状物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー処理(移動相:石油エーテル/ジクロロメタン 6:4、次いで、4:6、最後に純粋なジクロロメタン)によって精製した。生成物フラクションを濃縮した。これにより、白色の結晶質固体として目的化合物28.0g(理論値の20%)を得た。
GC−MS(方法1):R=3.63分;MS(ESIpos):m/z(%)=149.0(48)[M]+、150.0(5)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=7.89(d,1H)、8.00(t,1H)、8.11(d,1H)、10.24(s,1H)。
【0191】
実施例12A
4−ホルミル−3−(メチルスルファニル)ベンゾニトリル
【化52】

3−フルオロ−4−ホルミルベンゾニトリル(2.00g、13.4mmol)をDMSO(27ml)に溶解し、氷浴で冷却しながらナトリウムメタンチオレート(1.50g、21.5mmol)を添加した。混合物を45分間撹拌し、次いで、水(100ml)で希釈した。得られた沈殿生成物を吸引濾過し、水で洗浄し、減圧下にて乾燥させた。これにより、黄色の結晶質固体として目的化合物1.36g(理論値の51%)を得た。
GC−MS(方法1):R=5.90分;MS(ESIpos):m/z(%)=177.0(100)[M]+、178.0(11)[M+H]
【0192】
実施例13A
(rac)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸アリル
【化53】

この反応はアルゴン下で行った。リン酸トリエチル(1.46g、8.04mmol)および五酸化リン(761mg、5.36mmol)を50℃で一夜撹拌した。次いで、混合物をMTBE(27ml)で希釈し、4−ホルミル−3−(メチルスルファニル)ベンゾニトリル(1.18g、6.70mmol)、1[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(1.37g、6.70mmol)およびアセト酢酸アリル(1.43g、10.1mmol)を添加した。混合物を還流下にて一夜撹拌した。後処理のために、溶媒を減圧下にて除去し、残留物をジエチルエーテルに懸濁させ、次いで、吸引濾過した。これにより、標記化合物978mg(理論値の19%)を得た。
LC−MS(方法4):R=1.37分;MS(ESIpos):m/z(%)=488.3(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=486.2(65)[M−H]
【0193】
実施例14A
(rac)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸
【化54】

(rac)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸アリル(750mg、1.54mmol)をTHF(10ml)に溶解し、モルホリン(201mg、2.308mmol)を添加した。該反応溶液をアルゴンで飽和させた(該溶液にアルゴンを30分間通気させた)。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.47mg、0.006mmol)を添加し、該混合物を室温にて一夜撹拌した。HPLCによりほとんど変換が見られなかったので、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.47mg、0.006mmol)を添加し、該混合物を室温にてさらに3時間撹拌した。次いで、フラスコの内容物を珪藻土で濾過し、残留物をTHFで洗浄した。濾液を減圧濃縮し、残留物をジエチルエーテル(15ml)から再結晶した。結晶を吸引濾過し、高真空下で乾燥させた。これにより目的化合物663mg(理論値の96%)を得た。
LC−MS(方法4):R=1.10分;MS(ESIpos):m/z(%)=448.0(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=446.3(100)[M−H]
【0194】
実施例15A
(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸
【化55】

(rac)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸(663mg、1.48mmol)をキラル相による分取HPLCクロマトグラフィー処理[カラム:ポリ(N−メタクリロイル−D−ロイシン−ジシクロプロピルメチルアミド)セレクターをベースとしたキラルシリカゲル相;カラム寸法:670mm×40mm;試料調製:試料をメタノール/酢酸エチル(1:3)20mlに溶解した;注入量:15ml;グラジエント溶離液:酢酸エチル(100%)→メタノール(100%);流速:80ml/分;温度:25℃;検出:260nm]によってエナンチオマーに分離した。これにより、無色の非晶質固体として4Sエナンチオマー279mg(理論値の84%、96%ee)を得た。
HPLC(方法2):R=4.15分。
MS(DCI/NH):m/z=448.1[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=2.07(s,3H)、2.57(s,3H)、5.80(d,1H)、7.62−7.83(m,7H)、8.02(d,1H)。
旋光度:[α]20Na=+14.0°(c=0.210(DMF中))。
【0195】
実施例16A
(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキサミド
【化56】

この反応はアルゴン下にて行った。(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸(240mg、0.536mmol)をTHF(5ml)に溶解し、PyBOP(419mg、0.805mmol)およびトリエチルアミン(380mg、3.76mmol)を添加した。短時間撹拌した後、該混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム(143mg、2.68mmol)を添加した。該反応混合物を室温にて一夜撹拌し、次いで、フラスコの内容物を1N塩酸に添加した。混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を1N塩酸で洗浄し、次いで、塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製した。これにより、標記化合物161mg(理論値の67%)を得た。
LC−MS(方法4):R=0.99分;MS(ESIpos):m/z(%)=447.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=445.3(100)[M−H]
【0196】
実施例17A
(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化57】

この反応はアルゴン下にて行った。(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキサミド(95.0mg、0.213mmol)をTHF(4ml)に溶解し、メトキシカルボニルスルファモイルトリエチルアンモニウムヒドロキシド(Burgess試薬;101mg、0.426mmol)を添加した。室温で30分間撹拌した後、HPLCによって変換が完了したことが示された。混合物を酢酸エチル(4ml)で希釈し、水(1ml)を添加した。次いで、混合物をMerck Extrelut(登録商標)NT3カラムに負荷し、濾液を分取HPLCによって精製した。生成物フラクションを濃縮して、標記化合物96.0mg(定量的)を得た。
HPLC(方法3):R=4.61分。
MS(DCI/NH):m/z=429.1[M+H]、446.1[M+NH4]+
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.61(s,3H)、5.76(s,1H)、7.67−7.89(m,7H)、8.28(s,1H)。
【0197】
実施例18A
(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
および
(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー混合物):
【化58】

方法A:
(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(55mg、0.13mmol)をエタノール(5.5ml)に溶解し、メチルトリオキソレニウム(3.20mg、0.013mmol)および過酸化水素(16.0mg、0.14mmol)を添加した。該反応混合物を室温にて60分間撹拌し、次いで、減圧濃縮し、残留物を分取HPLCによって精製した。これにより、ジアステレオマー混合物として目的化合物27mg(理論値の47%)を得た。
LC−MS(方法4):R=1.05分;MS(ESIpos):m/z(%)=445.0(100)[M+H]
【0198】
方法B:
まず、(4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルファニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル(2.00g、4.67mmol)メタノール/水(4.4:1、約40ml)に入れ、過ヨウ素酸ナトリウム(1.90g、8.87mmol;1.9当量)を添加し、該混合物を30℃で16時間撹拌した。次いで、さらに過ヨウ素酸ナトリウム(0.45g、2.10mmol;0.45当量)を添加し、反応物を50℃でさらに4時間撹拌した(HPLCによってモニターした)。次いで、該反応混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(約200ml)に添加し、酢酸エチル(4×50ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルによりフラッシュクロマトグラフィー処理した(グラジエント:シクロヘキサン→酢酸エチル)。無色の固体の形態でジアステレオマー混合物として目的化合物を得た(2.18g、定量的)。
LC−MS(方法9):R=1.98分;MS(ESIpos):m/z(%)=402.0(100)、445.0(60)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=400.1(100)、443.1(40)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.85(2s,3H)、2.85(2s,3H)、5.75(2s,1H)、7.70−8.50(m,8H)。
【0199】
実施例19A
(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
および
(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー混合物):
【化59】

この反応はアルゴン下で行った。まず、(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6 メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(535mg、1.2mmol)を無水THF(12ml)中に入れ、−78℃にてリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)のTHF中1M溶液(1.45ml;1.2当量)を添加した。−78℃で20分間撹拌した後、ヨードメタン(854mg;5当量)を添加し、該混合物を−78℃から室温に加温しながら16時間撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、塩化アンモニウム飽和溶液(50ml)を添加し、次いで、該混合物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機相を固体硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18 10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、固体として標記化合物を得た(488mg、理論値の88%)。
LC−MS(方法6):R=2.12分;MS(ESIpos):m/z(%)=459.0(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=456.9(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(2s,3H)、2.65(2s,3H)、2.90(2s,3H)、5.80(2s,1H)、7.70−8.20(m,6H)、8.45(2s,1H)。
【0200】
実施例20A
(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
および
(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
(ジアステレオマー混合物):
【化60】

この反応はアルゴン下で行った。まず、(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−3,6 ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(488mg、1.1mmol)をジクロロメタン(10ml)中に入れ、2,2,2−トリフルオロアセトアミド(241mg、2.13mmol;2.0当量)、酸化マグネシウム(172mg、4.26mmol;4.0当量)、酢酸ロジウム(II)二量体(24mg、53μmol;0.05当量)および(ジアセトキシヨード)ベンゼン(514mg、1.60mmol;1.5当量)を連続添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、さらに2,2,2−トリフルオロアセトアミド(120mg、1.06mmol;1.0当量)、酸化マグネシウム(86mg、2.13mmol;2.0当量)、酢酸ロジウム(II)二量体(12mg、27μmol;0.025当量)および(ジアセトキシヨード)ベンゼン(257mg、798μmol;0.75当量)を添加し、該混合物を室温でさらに24時間撹拌した。次いで、該反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18 10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→80:20)によって精製した。これにより、固体の形態でジアステレオマー混合物として標記化合物を得た(160mg、理論値の25%)。
LC−MS(方法4):R=1.35分および1.37分;MS(ESIpos):m/z(%)=570.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=567.9(100)[M−H]
【0201】
実施例21A
(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
または
(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
(ジアステレオマー1):
【化61】

(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミドおよび(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミドのジアステレオマー混合物(160mg)をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー処理(移動相グラジエント:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル 45:55)によって精製した。最初に溶出したフラクションとしてジアステレオマー1を得た(収量:52mg)。
LC−MS(方法4):R=1.38分;MS(ESIpos):m/z(%)=570.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=568.3(100)[M−H]
【0202】
実施例22A
(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
または
(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
(ジアステレオマー2):
【化62】

(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミドおよび(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミドのジアステレオマー混合物(160mg)をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー処理(移動相グラジエント:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル 45:55)によって精製した。後で溶出したフラクションとしてジアステレオマー2を得た(収量:68mg)。
LC−MS(方法4):R=1.35分;MS(ESIpos):m/z(%)=570.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=568.4(100)[M−H]
【0203】
実施例23A
(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
および
(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
(ジアステレオマー混合物):
【化63】

この反応はアルゴン下で行った。まず、(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6 メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(600mg、1.35mmol)をジクロロメタン(13.5ml)に入れ、2,2,2−トリフルオロアセトアミド(305mg、2.7mmol;2.0当量)、酸化マグネシウム(217mg、5.4mmol;4.0当量)、酢酸ロジウム(II)二量体(29.8mg、68μmol;0.05当量)および(ジアセトキシヨード)ベンゼン(652mg、2.03mmol;1.5当量)を連続添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、さらに2,2,2−トリフルオロアセトアミド(152.6mg、1.35mmol;1.0当量)、酸化マグネシウム(109mg、2.7mmol;2.0当量)、酢酸ロジウム(II)二量体(15mg、34μmol;0.025当量)および(ジアセトキシヨード)ベンゼン(326mg、1013μmol;0.75当量)を添加し、該混合物を室温でさらに3時間撹拌した。次いで、該反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルによりフラッシュクロマトグラフィー処理した(グラジエント:シクロヘキサン→酢酸エチル)。これにより、固体の形態でジアステレオマー混合物として標記化合物を得た(485mg、理論値の65%)。
LC−MS(方法4):R=1.28分;MS(ESIpos):m/z(%)=556.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.85(2s,3H)、4.00(2s,3H)、6.50(2s,1H)、7.70−8.55(m,8H)。
【0204】
実施例24A
(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
および
(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー混合物):
【化64】

この反応はアルゴン下で行った。まず、(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6 メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(444.4mg、1000μmol)をTHF(10ml)中に入れ、水素化ナトリウム(鉱油中60%;56mg、1400μmol)を0℃にて添加した。混合物を室温に加温し、20分間撹拌した。ついで、メタンスルホニルクロライド(160.4mg、1400μmol;1.4当量)のTHF(5ml)中溶液をゆっくりと滴下した。16時間の反応時間の後、さらにメタンスルホニルクロライド(54mg、467μmol;0.47当量)を添加し、該混合物を室温にてさらに60分間撹拌した。塩化アンモニウム飽和溶液(50ml)を添加し、次いで、該混合物を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。合わせた有機相を固体硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18 10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→80:20)によって精製した。これにより、無色の固体として標記化合物を得た(245mg、理論値の47%)。
LC−MS(方法6):R=2.20分;MS(ESIpos):m/z(%)=522.9(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=440.9(100)、520.9(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(2s,3H)、2.90(2s,3H)、〜3.40(2s,3H)、6.40(2s,1H)、7.75−8.20(m,6H)、8.50(2s,1H)。
【0205】
実施例25A
(R)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
および
(S)−N−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)(メチル)オキシド−λ−スルファニリデン]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
(ジアステレオマー混合物):
【化65】

この反応はアルゴン下で行った。まず、(R,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S,4S)−4−[4−シアノ−2−(メチルスルフィニル)フェニル]−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(160mg、0.306mmol)をジクロロメタン(3ml)中に入れ、2,2,2−トリフルオロアセトアミド(69mg、0.612mmol;2.0当量)、酸化マグネシウム(49.4mg、1.225mmol;4.0当量)、酢酸ロジウム(II)二量体(6.8mg、15μmol;0.05当量)および(ジアセトキシヨード)ベンゼン(147.9mg、0.459mmol;1.5当量)を連続添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、さらに2,2,2−トリフルオロアセトアミド(34.6mg、0.306mmol;1.0当量)、酸化マグネシウム(24.7mg、0.612mmol;2.0当量)、酢酸ロジウム(II)二量体(3.4mg、8μmol;0.025当量)および(ジアセトキシヨード)ベンゼン(74mg、230μmol;0.75当量)を添加し、該混合物を室温でさらに24時間撹拌した。次いで、該反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルによりフラッシュクロマトグラフィー処理した(グラジエント:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル 1:2→酢酸エチル)。これにより、固体の形態でジアステレオマー混合物として標記化合物を得た(25mg、理論値の8%、純度61%)。この生成物は、さらなる後処理を行わずに次反応に用いた。
LC−MS(方法5):R=2.27分;MS(ESIpos):m/z(%)=634.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=632.1(100)[M−H]
【0206】
例示的実施態様:
実施例1
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホンアミド
【化66】

室温で、アンモニアのジオキサン中0.5M溶液(25.79ml、12.9mmol;10当量)およびトリエチルアミン(130mg、1.3mmol;1当量)を5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(3.10g、含有量20%、1.29mmol)に添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物に水/アセトニトリル(約10:1)を添加し、該溶液を凍結乾燥した。得られた物質をアセトニトリルに溶解し、次いで、分取HPLC(カラム:Waters Sunfire C18、5μm;カラム寸法:250mm×20mm;検出:240nm;温度:28℃;流速:25ml/分;注入量:500μl;移動相:アセトニトリル/0.2% トリフルオロ酢酸 45:55)によって精製した。標記化合物を固体として得た(0.155g、理論値の26%)。
LC−MS(方法4):R=1.10分;MS(ESIpos):m/z(%)=462.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.85(s,3H)、6.30(s,1H)、7.73−7.90(m,6H)、7.99(d,1H)、8.20−8.30(m,3H)。
【0207】
実施例2
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N−メチルベンゼンスルホンアミド
【化67】

5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(40mg、83μmol)をTHF(5ml)に溶解し、メチルアミンのTHF中2M溶液(208μl、415μmol;5当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(14.3mg、理論値の36%)。
LC−MS(方法6):R=2.29分;MS(ESIpos):m/z(%)=476.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.85(s,3H)、2.55(s,3H)、6.30(s,1H)、7.70−8.00(m,5H)、8.20−8.30(m,4H)。
【0208】
実施例3
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド
【化68】

5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(40mg、83μmol)をTHF(5ml)に溶解し、ジメチルアミンのエタノール(37μl、208μmol;2.5当量)中33%強度溶液を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(13.8mg、理論値の34%)。
LC−MS(方法6):R=2.41分;MS(ESIpos):m/z(%)=489.9(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.80(s,6H)、6.20(s,1H)、7.70−8.00(m,4H)、8.25−8.40(m,4H)。
【0209】
実施例4
(4S)−4−[4−シアノ−2−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化69】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(20mg、42μmol)を無水ジクロロメタン(2.5ml)に溶解し、モルホリン(7.3μl、83μmol;2当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(8.6mg、理論値の35%)。
LC−MS(方法6):R=2.39分;MS(ESIpos):m/z(%)=532.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、3.10(m,2H)、3.15(m,2H)、3.70(m,4H)、6.20(s,1H)、7.70−8.00(m,4H)、8.25−8.40(m,4H)。
【0210】
実施例5
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンスルホンアミド
【化70】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(50mg、101μmol)を無水THF(2.5ml)に溶解し、ジエタノールアミン(29μl、303μmol;3当量)およびトリエチルアミン(10.2mg、101μmol;1当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(4.9mg、理論値の9%)。
LC−MS(方法4):R=1.11分;MS(ESIpos):m/z(%)=564.0(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=562.8(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.65(s,3H)、3.45(m,4H)、3.65(m,4H)、5.00(br.s,2H)、6.20(s,1H)、7.70−8.00(m,4H)、8.25−8.40(m,3H)。
【0211】
実施例6
(4S)−4−[4−シアノ−2−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化71】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(50mg、101μmol)を無水THF(2.5ml)に溶解し、モルホリン(26μl、303μmol;3当量)およびトリエチルアミン(10.2mg、101μmol;1当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Kromasil C−18、5μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(44mg、理論値の80%)。
LC−MS(方法4):R=1.27分;MS(ESIpos):m/z(%)=545.9(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=544.0(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.70(s,3H)、3.30(m,4H)、3.70(m,4H)、6.20(s,1H)、7.70−8.05(m,4H)、8.25−8.40(m,3H)。
【0212】
実施例7
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N−(モルホリン−4−イル)ベンゼンスルホンアミド
【化72】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(50mg、101μmol)を無水THF(2.5ml)に溶解し、N−アミノモルホリン(29μl、303μmol;3当量)およびトリエチルアミン(10.2mg、101μmol;1当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Kromasil C−18、5μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(38mg、理論値の67%)。
LC−MS(方法5):R=1.98分;MS(ESIpos):m/z(%)=101.0(100)、561.2(15)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=459.1(100)、475.1(60)、559.2(30)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.60(m,4H)、2.75(s,3H)、3.50(br.s,4H)、6.50(s,1H)、7.70−8.00(m,4H)、8.10−8.40(m,4H)。
【0213】
実施例8
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド
【化73】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、まず、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(50mg、108μmol)を無水THF(4.5ml)中に入れ、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)のTHF中1M溶液(130μl、130μmol;1.2当量)を−78℃で添加した。30分間撹拌した後、THF(1ml)中のヨードメタン(77mg、542μmol;5当量)を添加し、該混合物を−78℃から室温へ徐々に加温しながら16時間撹拌した。次いで、少量の酢酸を添加し、該反応混合物を減圧濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(7.6mg、理論値の14%)。
LC−MS(方法4):R=1.29分;MS(ESIpos):m/z(%)=504.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=502.2(100)[M−H]
【0214】
実施例9
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N−メチルベンゼンスルホンアミド
【化74】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(30mg、61μmol)を無水THF(2ml)に溶解し、メチルアミンのTHF中2M溶液(91μl、182μmol;3当量)およびトリエチルアミン(6.1mg、61μmol;1当量)を室温で添加し、該混合物を3時間撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(25mg、理論値の83%)。
LC−MS(方法4):R=1.21分;MS(ESIpos):m/z(%)=490.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=488.1(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.60(d,3H)、2.65(s,3H)、6.25(s,1H)、7.70−8.30(m,8H)。
【0215】
実施例10
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホンアミド
【化75】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、アンモニアのジオキサン中0.5M溶液(4000μl、2021μmol;10当量)およびトリエチルアミン(20.4mg、202μmol;1当量)を5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(100mg、202μmol)に室温で添加し、該混合物を3時間撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(56mg、理論値の58%)。
LC−MS(方法4):R=1.14分;MS(ESIpos):m/z(%)=476.0(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=473.9(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.70(s,3H)、6.25(s,1H)、7.60−8.30(m,9H)。
【0216】
実施例11
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンスルホンアミド
【化76】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(50mg、101μmol)を無水THF(2.5ml)に溶解し、エタノールアミン(18μl、303μmol;3当量)およびトリエチルアミン(10.2mg、101μmol;1当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Kromasil C−18、5μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(43mg、理論値の81%)。
LC−MS(方法4):R=1.13分;MS(ESIpos):m/z(%)=520.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.65(s,3H)、3.00(m,2H)、3.45(m,2H)、6.30(s,1H)、7.70−8.30(m,7H)、8.35(s,1H)、8.45(t,1H)。
【0217】
実施例12
5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}−N−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド
【化77】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(25mg、51μmol)を無水THF(1.5ml)に溶解し、3−アミノプロパノール(11μl、152μmol;3当量)およびトリエチルアミン(5.1mg、51μmol;1当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Kromasil C−18、5μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(18mg、理論値の67%)。
LC−MS(方法4):R=1.14分;MS(ESIpos):m/z(%)=534.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=532.1(100)[M−H]
【0218】
実施例13
N2−[(5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}フェニル)スルホニル]グリシンアミド
【化78】

アルゴン保護ガスの雰囲気下、5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(50mg、101μmol)を無水THF(2.5ml)に溶解し、グリシンアミド塩酸塩(57mg、505μmol;5当量)およびトリエチルアミン(102mg、1010μmol;10当量)を室温で添加し、該混合物を一夜撹拌した。次いで、該反応混合物を減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→90:10)によって精製した。これにより、無色の非晶質固体を得た(39.2mg、73理論値の%)。
LC−MS(方法4):R=1.09分;MS(ESIpos):m/z(%)=532.9(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.65(s,3H)、3.60(m,2H)、6.30(s,1H)、7.15(s,1H)、7.40(s,1H)、7.70−8.30(m,6H)、8.40(s,1H)、8.70(t,1H)。
【0219】
他のスルホンアミド 誘導体の一般的な製造方法:
まず、問題のアミン成分(0.1mmol)を1,2−ジクロロエタン(0.2ml)中に入れた。次いで、1,2−ジクロロエタン(0.3ml)に溶解したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(25.8mg、0.2mmol)および5−シアノ−2−{(4S)−5−シアノ−6 メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゼンスルホニルクロライド(48.1mg、0.1mmol)を添加した。混合物を室温で一夜撹拌した。次いで、ジクロロエタンを真空遠心分離器中にて蒸発させた。残留物をジメチルスルホキシド(0.5ml)に溶解し、分取HPLC/MSによって精製した。
この方法に従って下記表に記載の化合物を得た:
【0220】
【表1】

【0221】
【表2】

【0222】
【表3】

【0223】
【表4】

【0224】
【表5】

【0225】
【表6】

【0226】
【表7】

【0227】
【表8】

【0228】
【表9】

【0229】
【表10】

【0230】
【表11】

【0231】
【表12】

【0232】
実施例37
(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
または
(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー1):
【化79】

この反応はアルゴン下で行った。まず、実施例21Aの化合物(「ジアステレオマー1」;63mg、111μmol)をアセトニトリル/メタノール混合物(10:1、6ml)中に入れた。0℃で、固体炭酸カリウム(7.6mg、55μmol;0.5当量)を添加し、反応物を15分間撹拌した。次いで、混合物をトリフルオロ酢酸(6.3mg、55μmol;0.5当量)で中和し、減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→80:20)によって精製した。標記化合物を固体として単離した(48mg、理論値の91%)。
LC−MS(方法8):R=0.99分;MS(ESIpos):m/z(%)=474.3(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=472.4(100)[M−H]
LC−MS(方法4):R=1.13分;MS(ESIpos):m/z(%)=474.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=472.4(100)[M−H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.70(s,3H)、3.30(s,3H)、4.85(s,1H)、6.75(s,1H)、7.70−8.30(m,6H)、8.50(s,1H)。
【0233】
実施例38
(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
または
(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−3,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー2):
【化80】

この反応はアルゴン下で行った。まず、実施例22Aの化合物(「ジアステレオマー2」;78mg、137μmol)をアセトニトリル/メタノール混合物(10:1、7.7ml)中に入れた。0℃で、固体炭酸カリウム(9.5mg、68μmol;0.5当量)を添加し、反応物を15分間撹拌した。次いで、混合物をトリフルオロ酢酸(7.8mg、68μmol;0.5当量)で中和し、減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→80:20)によって精製した。標記化合物を固体として単離した(60mg、理論値の93%)。
LC−MS(方法8):R=0.98分;MS(ESIpos):m/z(%)=474.3(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=472.4(100)[M−H]
LC−MS(方法5):R=1.76分;MS(ESIpos):m/z(%)=474.1(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=472.2(100)[M−H]
キラル分析用HPLC[カラム:Chiralpak AD−H、5μm、250mm×4.6mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 50:50;流速:1ml/分;注入量:10μl;温度:40℃;検出:220nm]:R=4.40分。
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(s,3H)、2.70(s,3H)、3.30(s,3H)、6.80(s,1H)、7.70−8.30(m,6H)、8.45(s,1H)。
[α]20=−286.9°(c=0.49、クロロホルム)。
【0234】
実施例39
(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
および
(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー混合物):
【化81】

この反応はアルゴン下で行った。まず、実施例23Aのジアステレオマー混合物(485mg、873μmol)をアセトニトリル/メタノール混合物(10:1、44ml)中に入れた。0℃で、固体炭酸カリウム(60.3mg、437μmol;0.5当量)を添加し、反応物を15分間撹拌した。次いで、混合物をトリフルオロ酢酸(49.8mg、437μmol;0.5当量)で中和し、減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル(50ml)に溶解した。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液(2×15ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。標記化合物を固体として単離した(400mg、定量的)。
LC−MS(方法6):R=2.03分;MS(ESIpos):m/z(%)=417.0(50)、460.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.80(2s,3H)、3.30(2s,3H)、4.75(2s,1H)、6.65(2s,1H)、7.70−8.40(m,8H)。
【0235】
実施例40
(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
または
(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー1):
【化82】

(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(400mg)をキラル相上の分取HPLCクロマトグラフィー[カラム:Daicel Chiralpak AD H、250mm×20mm;試料調製:試料をエタノール20mlに溶解した;注入量:0.750ml;移動相:イソヘキサン/エタノール 3:7;流速:15ml/分;温度:40℃;検出:220nm]によって分離した。固体形態で最初に溶出したフラクションとしてジアステレオマー1を得た(296mg、理論値の74%、含有量>99%)。
LC−MS(方法6):R=2.04分;MS(ESIpos):m/z(%)=417.0(40)、460.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.85(s,3H)、3.25(s,3H)、4.85(s,1H)、6.65(s,1H)、7.70−8.40(m,8H)。
キラル分析用HPLC[カラム:Chiralpak AD−H、5μm、250mm×4.6mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 3:7;流速:1ml/分;注入量:10μl;温度:40℃;検出:220nm]:R=4.16分。
【0236】
実施例41
(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
または
(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー2):
【化83】

(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリルのジアステレオマー混合物(400mg)をキラル相上の分取HPLCクロマトグラフィー[カラム:Daicel Chiralpak AD H、250mm×20mm;試料調製:試料をエタノール20mlに溶解した;注入量:0.750ml;移動相:イソヘキサン/エタノール 3:7;流速:15ml/分;温度:40℃;検出:220nm]によって分離した。固体の形態で後で溶出したフラクションとしてジアステレオマー2を得た(103mg、理論値の26%、含有量>98.5%)。
LC−MS(方法6):R=2.04分;MS(ESIpos):m/z(%)=417.0(40)、460.0(100)[M+H]
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.85(s,3H)、3.30(s,3H)、4.55(s,1H)、6.70(s,1H)、7.70−8.30(m,7H)、8.40(s,1H)。
キラル分析用HPLC[カラム:Chiralpak AD−H、5μm、250mm×4.6mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 3:7;流速:1ml/分;注入量:10μl;温度:40℃;検出:220nm]:R=4.94分。
【0237】
実施例42
(R)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
および
(S)−(4S)−4−[4−シアノ−2−(S−メチルスルホンイミドイル)フェニル]−6−メチル−3−(メチルスルホニル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
(ジアステレオマー混合物):
【化84】

この反応はアルゴン下で行った。まず、実施例25Aのジアステレオマー混合物(25mg、39μmol)アセトニトリル/メタノール混合物(10:1、2.2ml)中に入れた。0℃で、固体炭酸カリウム(2.7mg、20μmol;0.5当量)を添加し、反応物を15分間撹拌した。次いで、混合物をトリフルオロ酢酸(2.3mg、20μmol;0.5当量)で中和し、減圧濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Gromsil C−18、10μm;移動相:アセトニトリル/水+0.1%TFA 10:90→75:25)によって精製した。標記化合物を無色の固体として単離した(4.3mg、理論値の20%)。
LC−MS(方法5):R=1.84分;MS(ESIpos):m/z(%)=538.3(100)[M+H];MS(ESIneg):m/z(%)=415.3(100)、536.3(100)[M−H]
【0238】
B.薬理学的活性の評価
本発明の化合物の薬理学的作用は、以下に記載のアッセイにおいて示すことができる:
【0239】
【表13】

【0240】
B−1.インビトロHNE阻害アッセイ
本発明の化合物の効力がインビトロ阻害アッセイで確認される。これに関して、適切なペプチド基質のHNE媒介アミド分解的開裂は、蛍光を増大させる。蛍光のシグナル強度は、酵素活性に正比例する。酵素の半分を阻害する試験化合物の有効濃度(50%シグナル強度の蛍光)が、IC50として示される。
【0241】
手順:
酵素(80pM HNE;HeidelbergのServaから)および基質(20μM MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMC;Weil am RheinのBachemから)を、384−ウェルマイクロタイタープレート中、合計50μlのアッセイバッファー(0.1M HEPES pH7.4、0.5M NaCl、0.1%w/v BSA、1%v/v DMSO)のアッセイ容量で、試験物質の存在下および不在下で、37℃で、2時間インキュベートする。このアッセイ混合物からの蛍光強度を測定する(励起波長380nm、発光波長460nm)。活性物質濃度に対して蛍光強度をプロットすることによってIC50値を決定する。
【0242】
本発明の化合物の代表的なIC50値(HNE濃度80pM)を下記表Aに示す:
表A:ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害
【表14】

【0243】
B−2.肺動脈高血圧症の動物モデル
ラットにおけるモノクロタリン誘発肺高血圧症は、広く用いられている肺動脈高血圧症の動物モデルである。ピロリジジンアルカロイドモノクロタリンは、皮下注射後、肝臓で毒性のあるモノクロタリンピロールに代謝され、数日以内に肺循環における内皮損傷をもたらし、次いで、肺小動脈のリモデリングをもたらす(中膜肥厚、新規筋肉化)。単回皮下注射は、4週間以内にラットにおいて顕著な肺高血圧症を誘発するのに十分である[Cowan et al., Nature Med. 6, 698-702 (2000)]。
【0244】
雄性Sprague-Dawleyラットをモデルに使用する。0日目に、これらの動物にモノクロタリン60mg/kgを皮下注射する。動物処理については、モノクロタリン注射から14日目以降に開始し、少なくとも14日間にわたって施す。研究の最後に、これらの動物の血行動態調査を行い、動脈および中心静脈の血酸素飽和度が決定される。血行動態測定のためには、ラットを、まず、ペントバルビタール(60mg/kg)で麻酔する。次いで、動物に気管切開を施し、人工呼吸を施す(速度:呼吸60回/分;吸気対呼気比:50:50;終末呼気陽圧:1cm HO;1回換気量:10ml/kg(体重);FIO:0.5)。イソフルラン吸入麻酔によって麻酔を維持する。全身血圧を、Millarマイクロチップカテーテルを用いて左頚動脈で測定する。ポリエチレンカテーテルを、右頚静脈を通して右心室に進め、右心室内圧を測定する。心拍出量を熱希釈法によって測定する。血行動態の後、心臓を取り出し、隔膜を含む左心室に対する右心室の比率を測定する。また、血漿試料を得て、バイオマーカー(例えば、proBNP)および血漿物質レベルを決定する。
【0245】
B−3.急性肺不全の動物モデル
マウス、ラットまたはハムスターにおけるエラスターゼ誘発肺不全は、広く使用されている急性肺不全(「急性肺損傷」、「急性呼吸窮迫性症候群」)の動物モデルである[Tremblay et al., Chest 121, 582-588 (2002); Kuraki et al., Am. J. Resp. Crit. Care Med. 166, 596-500 (2002)]。これらの動物をヒト好中球エラスターゼ(HNE)の経口気管内投与の1時間前に処理する。経口気管内HNE投与の2時間後に、気管支肺胞洗浄を行い、ヘモグロビン含量および洗浄液の示差的細胞像(differential cell picture of the lavage)を決定する。
【0246】
B−4.肺気腫の動物モデル
マウス、ラットまたはハムスターにおけるエラスターゼ誘発肺気腫は、肺気腫の広く使用されている動物モデルである[Sawada et al., Exp. Lung Res. 33, 277-288 (2007)]。これらの動物にブタ膵臓エラスターゼを経口気管内投与する。動物の処理は、ブタ膵臓エラスターゼの投与日に始まり、3週間にわたって施す。研究の最後に、肺コンプライアンスを決定し、肺胞形態計測を行う。
【0247】
B−5.CYP阻害アッセイ
ヒトにおいてCYP1A2、CYP2C9、CYP2D6およびCYP3A4を阻害することができる物質の能力を、CYP特異的代謝物を形成する標準的な基質(下記参照)の存在下で酵素源としてプールヒト肝臓ミクロソームを用いて調査する。阻害作用を、試験化合物の不在下での標準的な物質のCYP特異的代謝物形成の程度と比較して、6種類の濃度[2.8、5.6、8.3、16.7、20(または25)および50μM]の試験化合物を用いて調査し、相当するIC50値を計算する。異なるシリーズ間で結果を比較するために、インキュベーション中に、単一のCYPアイソフォームを特異的に阻害する標準的な阻害剤を常に含む。
【0248】
手順:
それぞれの場合で、6種類の濃度の試験化合物(可能性のある阻害剤として)の存在下で、ヒト肝臓ミクロソームとのフェナセチン、ジクロフェナク、トルブタミド、デキストロメトルファンまたはミダゾラムのインキュベーションを作業台上で行う(Tecan, Genesis, Crailsheim, Germany)。標準的なインキュベーション混合物は、1.3mM NADP、3.3mM MgCl×6HO、3.3mMグルコース6−リン酸、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(0.4U/ml)および100mMリン酸バッファー(pH7.4)を含む(全容量200μl)。試験化合物をアセトニトリルに溶解するのが好ましい。96ウェルプレートを、所定の時間、37℃でプールヒト肝臓ミクロソームとインキュベートする。適切な内部標準が常に存在している100μlのアセトニトリルを加えることによって、この反応を停止させる。沈殿したタンパク質を遠心分離によって除去し、上清を合わせ、LC−MS/MSによって分析する。
【0249】
B−6.代謝安定性を判定する肝細胞アッセイ
肝細胞の存在下での試験化合物の代謝安定性を、実験においてできる限り線形動力学的条件を確実にするために化合物を低濃度(好ましくは、1μM未満または約1μM)および低細胞数(好ましくは、1×10細胞/ml)でインキュベートすることによって決定する。それぞれの場合に化合物の半減期(すなわち、分解)を判定するために、インキュベーション溶液の試料7個をLD−MS分析のために定められた時間パターンで取り込まれる。この半減期から様々なクリアランスパラメーター(CL)およびFmax値を算出する(下記参照)。
【0250】
このCLおよびFmax値は、肝細胞中の該化合物のフェーズ1およびフェーズ2代謝の程度を表す。インキュベーション混合物中の酵素に対する有機溶媒の影響を最小限にするために、この濃度は、一般に、1%(アセトニトリル)または0.1%(DMSO)に限定されている。
【0251】
1.1×10細胞/g(肝臓)の肝臓中の肝細胞の細胞数を、すべての種および品種(species and breeds)の場合の計算に使用する。インキュベーション時間(通常、90分)を実質的に超えている半減期を基準にして算出されたCLパラメーターは、単に大まかなガイドラインとみなされ得るにすぎない。
【0252】
算出されたパラメーターおよびそれらの意味は、次の通りである:
【表15】

【0253】
化合物をラット肝細胞とインキュベーションした後のこのアッセイからの本発明の化合物の代表的値を下記表Bに示す:
【0254】
表B:ラット肝細胞とのインキュベーション後の、算出した血液クリアランスおよびバイオアベイラビリティー
【表16】

【0255】
B−7.溶解度の測定
必要な試薬:
・PBSバッファーpH6.5:NaCl p.a.(例えば、Merckから、Art.No.1.06404.1000)90.00g、KHPO p.a.(例えば、Merckから、Art.No.1.04873.1000)13.61gおよび1N水酸化ナトリウム水溶液(例えば、Bernd Kraft GmbHから、Art.No.01030.4000)83.35gを1リットルのメスフラスコ中に計量し、このフラスコに蒸留水を加えて1リットルにし、この混合物を1時間撹拌する。次いで、1N塩酸(例えば、Merckから、Art.No.1.09057.1000)を用いて、pHを6.5に調整する。
・PEG/水の溶液(70:30 v/v):ポリエチレングリコール400(例えば、Merckから、Art.No.8.17003.1000)70mlおよび蒸留水30mlを100mlのメスフラスコ中でホモジナイズする。
・PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80 v/v):ポリエチレングリコール400(例えば、Merckから、Art.No.8.17003.1000)20mlおよびPBSバッファーpH6.5 80mlを100mlのメスフラスコ中でホモジナイズする。
・ジメチルスルホキシド(例えば、Bakerから、Art.No.7157.2500):
・蒸留水。
【0256】
出発溶液(原液)の調製:
少なくとも4mgの試験物質を、スクリューキャップおよび隔壁を付けた広口10mmスクリューVバイアル(Glastechnik Graefenroda GmbHから、Art.No.8004-WM-H/V15μ)中に正確に計量し、ピペッティングロボットでDMSOを添加して50mg/mlの濃度にし、この混合物を10分間振盪する。
【0257】
キャリブレーション溶液の調製:
キャリブレーション溶液のための出発溶液(貯蔵溶液)の調製:ピペッティングロボットによって、原液10μlをマイクロプレートに移し、DMSOを600μg/mlの濃度に調整する。溶液になってしまうまで試料を振盪する。
キャリブレーション溶液1(20μg/ml):貯蔵溶液34.4μlにDMSO 1000μlを添加し、この混合物をホモジナイズする。
キャリブレーション溶液2(2.5μg/ml):キャリブレーション溶液1 100μlにDMSO 700μlを添加し、この混合物をホモジナイズする。
【0258】
試料溶液の調製:
PBSバッファーpH6.5中5g/リットルまでの溶解度のための試料溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PBSバッファーpH6.5 1000μlを添加する。
PEG/水(70:30)中5g/リットルまでの溶解度のための試料溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PEG/水(70:30)1000μlを添加する。
PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80)中5g/リットルまでの溶解度のための試料溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80)1000μlを添加する。
【0259】
手順:
この方法で調製した治療溶液を、温度調整振盪器(例えば、交換可能ブロックArt.No.5362.000.019を有するEppendorf Thermomixer comfort Art.No.5355 000.011)中にて1400rpmにて20℃で24時間振盪する。それぞれの場合、これらの溶液から180μlを取り出し、Beckman Polyallomer Centrifuge Tubes(Art.No.343621)に移す。これらの溶液を約223 000×gで1時間遠心分離する(例えば、42000rpmのType 42.2 Ti Rotor付きBeckman Optima L−90K Ultracentrifuge)。これらの試料溶液の各々から、上清100μlを取り出し、DMSOで1:5および1:100に希釈する。各希釈から、試料を、HPLC分析に適している容器に移す。
【0260】
分析:
試料をRP−HPLCによって分析する。DMSO中で試験化合物の二点較正曲線を用いて定量化を行う。溶解度はmg/リットルで表す。分析シーケンス:1)キャリブレーション溶液2.5mg/ml;2)キャリブレーション溶液20μg/ml;3)試料溶液1:5;4)試料溶液1:100。
【0261】
酸のためのHPLC法:
DAD(G1315A)、quat.ポンプ(G1311A)、オートサンプラーCTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)付きのAgilent 1100;カラム:Phenomenex Gemini C18、50mm×2mm、5μ;温度:40℃;移動相 A:水/リン酸pH2;移動相B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分 85% A、15% B;ramp:0.5−3分 10% A、90% B;3−3.5分 10% A、90% B;ramp:3.5−4分 85% A、15% B;4−5分 85% A、15% B。
【0262】
塩基のためのHPLC法:
DAD(G1315A)、quat.ポンプ(G1311A)、オートサンプラーCTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)付きのAgilent 1100;カラム:VDSoptilab Kromasil 100 C18、60mm×2.1mm、3.5μ;温度:30℃;移動相 A:水+過塩素酸5ml/リットル;移動相 B:アセトニトリル;流速:0.75ml/分;グラジエント:0−0.5分 98% A、2% B;ramp:0.5−4.5分 10% A、90% B;4.5−6分 10% A、90% B;ramp:6.5−6.7分 98% A、2% B;6.7−7.5分 98% A、2% B。
【0263】
この方法によって測定された、pH6.5のPBSバッファー中の本発明の化合物の溶解度を下記表Cに示す:
【0264】
表C:PBSバッファーpH6.5中の溶解度
【表17】

【0265】
C.医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(Germany, LudwigshafenのBASFから)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)を用いて造粒する。乾燥後、この顆粒をステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を慣用の打錠機で打錠する(錠剤のフォーマットについては上記を参照)。打錠のためのガイドライン打錠力は、15kNである。
【0266】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(USA, PennsylvaniaのFMCからのキサンタンガム)400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigelをエタノールに懸濁し、この懸濁液に本発明の化合物を添加する。撹拌しながら水を添加する。この混合物を、Rhodigelの膨潤が完了するまで、約6時間撹拌する。
【0267】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールとポリソルベートの混合物中に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、撹拌過程を継続する。
【0268】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理学的に許容される溶媒(例えば、等張生理食塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に、飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、滅菌無パイロジェン注射容器に充填するのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中
Zは、式:
【化2】

で示されるスルホンアミド基を表すか、または、式:
【化3】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*は、フェニル環への結合位置を示し、
Z1は、水素を表すか、またはヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノで置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C6)−アルキルを表し、
Z2は、水素、(C3〜C6)−シクロアルキル、4〜6員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを表すか、または
ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノ、(C1〜C4)−アルキルカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルコキシカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルキルスルフィニル、(C1〜C4)−アルキルスルホニル、(C3〜C6)−シクロアルキル、フェニル、4〜6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、または式−C(=O)−NRZ5Z6で示される基によって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C6)−アルキルを表し、
ここで、その一部について記載されているアルコキシ置換基は、フッ素によって3回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロシクリル基は、フッ素、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C1〜C4)−アルキルアミノからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
記載されているフェニル基および記載されているヘテロアリール基は、フッ素、塩素、シアノ、(C1〜C4)−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
Z5およびRZ6は、同一または異なっており、お互いに独立して、水素または(C1〜C4)−アルキルを表すか、
または
Z5およびRZ6は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、N、OおよびSからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノによって置換されていてもよい、4〜6員アザヘテロサイクルを形成するか、
あるいは
Z1およびRZ2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、N、OおよびSからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、フッ素、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C1〜C4)−アルキルアミノからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよい、4〜10員アザヘテロサイクルを形成し、
Z3は、(C3〜C6)−シクロアルキルによって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C6)−アルキルを表すか、またはフッ素、塩素、シアノ、(C1〜C4)−アルキル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよいフェニルを表すか、(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
Z4は、水素、(C1〜C4)−アルキルまたは(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
1は、シアノまたはアセチルを表し、
2は、水素を表すか、フッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルまたは(C1〜C4)−アルキルスルホニルを表すか、または式−CH2−C(=O)−NH−R4で示される基を表し、ここで、
4は、水素を表すか、(C3〜C6)−シクロアルキルによって置換されていてもよいかまたはフッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルを表すか、または(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
3は、水素、フッ素または塩素を表す]
で示される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは該塩の溶媒和物。
【請求項2】
Zが、式:
【化4】

で示されるスルホンアミド基を表すか、または、式:
【化5】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z1が、水素を表すか、または、ヒドロキシル、メトキシもしくはエトキシによって置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルを表し、
Z2が、水素、(C3〜C6)−シクロアルキル、5もしくは6員ヘテロシクリルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを表すか、または
ヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノ、(C1〜C4)−アルキルカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルコキシカルボニルアミノ、(C1〜C4)−アルキルスルフィニル、(C1〜C4)−アルキルスルホニル、(C3〜C6)−シクロアルキル、フェニル、5もしくは6員ヘテロシクリル、5もしくは6員ヘテロアリール、または式−C(=O)−NRZ5Z6で示される基によって置換されていてもよく、フッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C4)−アルキルを表し、ここで、
その一部について記載されているアルコキシ置換基が、フッ素によって3回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロシクリル基が、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
記載されているフェニル基および記載されているヘテロアリール基が、フッ素、塩素、シアノ、(C1〜C4)−アルキル、トリフルオロメチルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
Z5およびRZ6が、同一または異なっていて、お互いに独立して、水素または(C1〜C4)−アルキルであるか、
または
Z5およびRZ6 それらが結合している窒素原子と一緒になって、が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、NおよびOからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシルまたは(C1〜C4)−アルコキシによって置換されていてもよい、5または6員アザヘテロサイクルを形成するか、
または
Z1およびRZ2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、NおよびOからなる群から選択されるさらなる環ヘテロ原子を含有していてもよく、(C1〜C4)−アルキル、オキソ、ヒドロキシルおよび(C1〜C4)−アルコキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよい、5〜10員アザヘテロサイクルを形成し、
Z3が、(C3〜C6)−シクロアルキルによって置換されていてもよいかまたはフッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルを表すか、または、フッ素、塩素、シアノ、メチルおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよいフェニルを表すか、または、(C3〜C6)−シクロアルキルを表し、
Z4が、水素、メチルまたはシクロプロピルを表し、
1が、シアノを表し、
2が、水素を表すか、または、フッ素によって3回まで置換されていてもよい(C1〜C4)−アルキルまたは(C1〜C4)−アルキルスルホニルを表すか、または、式−CH2−C(=O)−NH−R4で示される基を表し、ここで、
4は、水素、メチル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルを表し、
3が、水素またはフッ素を表す、
請求項1記載の式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは該塩の溶媒和物。
【請求項3】
Zが、式:
【化6】

で示されるスルホンアミド基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z1が、水素、メチルまたは2−ヒドロキシエチルを表し、
Z2が、水素、シクロプロピル、5もしくは6員ヘテロシクリル、または5もしくは6員ヘテロアリールを表すか、
または
ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチルアミノ、シクロプロピル、5もしくは6員ヘテロシクリル、または式−C(=O)−NRZ5Z6で示される基によって置換されていてもよい、(C1〜C4)−アルキルを表し、ここで、
それらの一部について記載されているメトキシおよびエトキシ置換基が、フッ素によって3回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロシクリル基が、メチル、エチル、オキソ、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
記載されているヘテロアリール基が、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される同一または異なる置換基によって2回まで置換されていてもよく、
Z5およびRZ6が、お互いに独立して、水素もしくはメチルを表すか、または、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成するか、
または
Z1およびRZ2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチル、メチルスルホニル、または式−CH2−C(=O)NH2で示される基を表し、
3が、水素を表す、
請求項1または2記載の式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは該塩の溶媒和物。
【請求項4】
Zが、式:
【化7】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z3が、シクロプロピルによって置換されていてもよいかまたはフッ素によって3回まで置換されていてもよい、(C1〜C4)−アルキルを表すか、またはシクロプロピルを表し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチル、メチルスルホニル、または式−CH2−C(=O)NH2で示される基を表し、
3が、水素を表す、
請求項1または2記載の式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは該塩の溶媒和物。
【請求項5】
Zが、式:
【化8】

で示されるスルホンアミド基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z2が、水素、メチル、または式−CH2−C(=O)−NH2で示される基を表し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチルまたはメチルスルホニルを表し、
3が、水素を表す、
請求項1〜3いずれか1項記載の式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは該塩の溶媒和物。
【請求項6】
Zが、式:
【化9】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
1が、シアノを表し、
2が、水素、メチルまたはメチルスルホニルを表し、
3が、水素を表す、
請求項1、2および4いずれか1項記載の式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは該塩の溶媒和物。
【請求項7】
Zが、式:
【化10】

で示されるスルホンアミド基を表し、ここで、
*が、フェニル環への結合位置を示し、
Z1およびRZ2が、請求項1、2、3および5いずれか1項に記載の意味を有する
式(I)で示される化合物の製造方法であって、
まず、式(II):
【化11】

[式中、R1、R2およびR3は、請求項1、2、3および5いずれか1項に記載の意味を有する]
で示されるアニリン誘導体を、亜硝酸ナトリウムおよび塩酸により、対応するジアゾニウム塩に変換し、次いで、ワンポット反応において塩化銅(I)の存在下で二酸化硫黄と反応させて、式(III):
【化12】

[式中、R1、R2およびR3は、上記の意味を有する]
で示されるスルホニルクロライドを得、次いで、これを式(IV):
【化13】

[式中、RZ1およびRZ2は、請求項1、2、3および5いずれか1項に記載の意味を有する]
で示されるアミンと、必要に応じて補助塩基の存在下で、反応させて、式(I−A):
【化14】

[式中、R1、R2、R3、RZ1およびRZ2は、上記の意味を有する]
で示されるスルホンアミドを得、必要に応じて、この方法で得られた式(I−A)で示される化合物を、当業者にとって既知の方法でそれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、および/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸によりそれらの溶媒和物、塩および/または該塩の溶媒和物に変換することを特徴とする製造方法。
【請求項8】
Zが式:
【化15】

で示されるスルホキシイミン基を表し、ここで、
*がフェニル環への結合位置を示し、
Z3が、請求項1、2、4および6いずれか1項に記載の意味を有する、
式(I)で示される化合物の製造方法であって、
まず、式(V):
【化16】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、請求項1、2、4および6いずれか1項記載の意味を有する]
で示されるフェニルチオエーテル誘導体を過酸化水素、過酸または過ヨウ素酸で酸化して、式(VI):
【化17】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるスルホキシドを得、次いで、触媒としての酢酸ロジウム(II)二量体および塩基としての酸化マグネシウムの存在下で2,2,2−トリフルオロアセトアミドおよび(ジアセトキシヨード)ベンゼンによって式(VII):
【化18】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるN−アシルスルホキシイミンに変換し、次いで、塩基性条件下にて、(VII)におけるトリフルオロアセチル基を除去して、式(I−B):
【化19】

[式中、R1、R2、R3およびRZ3は、上記の意味を有する]
で示されるスルホキシイミンを得、必要に応じて、この方法で得られた式(I−B)で示される化合物を、当業者にとって既知の方法でそれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、および/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基または酸によりそれらの溶媒和物、塩および/または該塩の溶媒和物に変換することを特徴とする製造方法。
【請求項9】
疾患の治療および/または予防のための請求項1〜6いずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
肺動脈高血圧症(PAH)および他の形態の肺高血圧症(PH)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、α1−アンチトリプシン欠損症(AATD)ならびに嚢胞性線維症(CF)の治療および/または予防のための方法において用いるための請求項1〜6いずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
肺動脈高血圧症(PAH)および他の形態の肺高血圧症(PH)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、α1−アンチトリプシン欠損症(AATD)ならびに嚢胞性線維症(CF)の治療および/または予防のための薬剤の製造のための請求項1〜6いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1〜6いずれか1項記載の化合物を、1つ以上の不活性で非毒性の医薬上許容される補助剤と合わせて含む、薬剤。
【請求項13】
請求項1〜6いずれか1項記載の化合物を、キナーゼ阻害物質、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害物質、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激物質および活性化物質、プロスタサイクリンアナログ、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害物質、βアドレナリン受容体アゴニスト、抗コリン作用薬および糖質コルチコイドからなる群から選択される1つ以上のさらなる活性化合物と合わせて含む、薬剤。
【請求項14】
肺動脈高血圧症(PAH)および他の形態の肺高血圧症(PH)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、α1−アンチトリプシン欠損症(AATD)ならびに嚢胞性線維症(CF)の治療および/または予防のための請求項12または13記載の薬剤。
【請求項15】
請求項1〜6いずれか1項記載の少なくとも1つの化合物の有効量または請求項12〜14いずれか1項記載の薬剤の有効量を使用する、ヒトおよび動物における肺動脈高血圧症(PAH)および他の形態の肺高血圧症(PH)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、α1−アンチトリプシン欠損症(AATD)ならびに嚢胞性線維症(CF)の治療および/または予防のための方法。

【公表番号】特表2012−522814(P2012−522814A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503892(P2012−503892)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002000
【国際公開番号】WO2010/115548
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】