説明

スルホン酸類、その誘導体、およびそれらを含む医薬組成物

選択したスルホン酸類、その誘導体、およびこのような化合物を含有する医薬組成物は、インターロイキン−8(IL−8)とCXCR1およびCXCR2膜受容体との相互作用によって誘導される好中球(PMN白血球)の走化性活性化を阻害するのに有用である。当該化合物を、前記活性化に由来する病理の予防および治療に使用する。とりわけ、選択したスルホン酸類およびその誘導体は、シクロ−オキシゲナーゼ阻害活性が無く、好中球に依存する病理、例えば、乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、慢性関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎の治療、並びに虚血および再潅流によって引き起こされる損傷の予防および治療に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の簡単な説明
本発明は、多形核好中球(PMN白血球)の炎症部位における過剰動員に起因する組織損傷の予防および治療に使用する、スルホン酸類およびその誘導体並びにこれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
技術水準
特定の血液細胞(マクロファージ、顆粒球、好中球、多形核球)は化学的な刺激に応答するが、ケモカインと呼ばれる物質によって刺激された場合には、走化と呼ばれる過程によって刺激物質の濃度勾配に沿って遊走することで応答する。主要な公知の刺激物質またはケモカインは、補体C5aの分解産物、細菌表面の溶解によって生成する一部のN−ホルミルペプチドや合成由来のペプチド、例えばホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(f−MLP)に代表され、主にインターロイキン−8(IL−8、CXCL8ともいう)などの各種サイトカイン類に代表される。インターロイキン−8は、線維芽細胞やマクロファージといった殆どの有核細胞によって産生される内在性の走化性因子である。
【0003】
好中球の過剰増員を特徴とする一部の病態では、その部位での組織損傷が重篤であるほど好中球細胞の浸潤を伴う。
【0004】
近年、虚血後再潅流や肺高酸素症に伴う損傷の判定において、好中球の活性化が果たす役割が広く実証されている。
【0005】
IL−8の生物活性は、当該インターロイキンとCXCR1およびCXCR2膜受容体との相互作用によって仲介され、これらの膜受容体は7回膜貫通型受容体のファミリーに属し、ヒト好中球および特定のT−細胞の表面に発現している(L.Xuら、J.Leukocyte Biol.、57、335、1995)。CXCR1とCXCR2とを識別することのできる選択的リガンドが知られており、GRO−αはCXCR2の選択的走化因子の一例である。
【0006】
CXCR1の活性化はIL−8介在型の走化性において重大な役割を果たしていることが知られているが、最近では、CXCR2の活性化が乾癬等の慢性炎症性疾患において病態生理学的な役割を果たす可能性があると考えられている。実際に、乾癬におけるIL−8の病態生理学的な役割は、表皮細胞の機能に対するIL−8の作用によっても裏付けられている。
【0007】
実際、IL−8は、乾癬の病理発生の重要な側面である表皮細胞の増殖および血管新生の強力な刺激剤であることが示されている(A.Tuschilら、J Invest Dermatol、99、294、1992;Koch AEら、Science、258、1798、1992)。
【0008】
また、黒色腫の進行および転移におけるIL−8の病態生理学的な役割がCXCR2の活性化によって仲介される可能性があるという証拠も蓄積されつつある(L.R.Bryanら、Am J Surg、174、507、1997)。
【0009】
肺疾患(肺障害、急性呼吸窮迫症候群、喘息、慢性肺炎症、嚢胞性線維症)において考えられるIL−8の病原的な役割、具体的にはCXCR2受容体経路を介したCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の病理発生における役割が広く記載されている(D.WP Hay及びH.M.Sarau.、Current Opinion in Pharmacology 2001、1:242−247)。
【0010】
ケトプロフェンの(S)および(R)の単一エナンチオマーがそのラセミ体の抗炎症活性へ寄与することに関する研究や、ケモカインの調節におけるその役割に関する研究から(P.Ghezziら、J.Exp.Pharm.Ther.、287、969、1998)、これら2つのエナンチオマー、並びにそのキラルおよび非キラル有機塩基との塩が、IL−8によってヒトPMN白血球に対して誘導される走化性と細胞内Ca2+イオン濃度の上昇とを用量依存的に阻害し得ることが実証されている(特許出願US6,069,172)。これに続いて、ケトプロフェンの他にも、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシンといった非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のクラスに属する他の分子にIL−8の生物活性を阻害する特性が認められることが実証されている(C.Bizzarriら、Biochem.Pharmacol.61、1429、2001)。NSAIDに特有のシクロオキシゲナーゼ酵素(COX)阻害活性のため、好中球に依存する病理学的な状態や炎症病態(例えば乾癬、特発性肺線維症、急性呼吸不全、再潅流に起因する損傷、糸球体腎炎)の治療という意味では、これらの化合物は治療応用が制限される。シクロオキシゲナーゼ酵素の作用に由来するプロスタグランジン合成が阻害されるとサイトカイン産生が増加し、TNF−αと同様、好中球の望ましくない炎症性作用の増幅に寄与してしまう。
【0011】
「in vivo」での投与に適した、IL−8の生物活性に対する新規クラスの強力かつ選択的な阻害剤が見出されている。R−2−アリールプロピオン酸アミド類およびN−アシルスルホンアミド類が、IL−8誘導性の好中球走化性や脱顆粒の有効な阻害剤として記載されている(WO01/58852;WO00/24710)。さらに、最近では、新規のRおよびS−2−フェニルプロピオン酸類が、望ましくないCOX阻害作用を全く持たない強力なIL−8阻害剤として記載されている(PCT/EP02/12939)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明者らは、あるクラスのスルホン酸類およびその誘導体が、IL−8誘導性の好中球走化性や脱顆粒を有効に阻害し得ることを見出した。
【0013】
従って本発明は、IL−8誘導性のヒトPMN走化性を阻害するための医薬の製造における、下記の式(I)で表されるスルホン酸類および誘導体、並びにその薬学的に許容される塩の使用を提供する:
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、
Arは未置換のフェニル基、もしくはハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜C−アシルアミノ、ハロゲン−C〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルコキシ、ベンゾイルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル基であるか、またはArは置換もしくは未置換の5〜6員ヘテロアリール環であり;
Xは−CH−基または−CH(CH)−基または式(II)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R’はHまたはCHである)で表されるE配置のエチレン型の基のいずれかを表し;
YはO(酸素)およびNHから選択され;
− YがO(酸素)である場合には、RはH(水素)であり;
− YがNHである場合には、Rは
− H、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アシル;
− 式−CH−CH−Z−(CH−CHO)R”で表される残基(式中、R”はHまたはC〜C−アルキルであり、nは0〜2の整数であり、Zは酸素または硫黄である);
− 式−(CH−NRaRbで表される残基(式中、nは0〜5の整数であり、RaおよびRbは同一でも異なっていてもよく、それぞれC〜C−アルキル、C〜C−アルケニルであるか、あるいはRaおよびRbは自身が結合している窒素原子と共に式(III)
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Wは単結合、CH、O、S、N−Rcを表し、RcはH、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルキルフェニルである)で表される3〜7員の複素環を形成する)
から選択される]。
【0020】
上記定義における用語「置換」とは、C〜C−アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C〜C−アルコキシ基、アミノ基、C〜C−アルキルアミノ基、ニトロ基またはシアノ基から選択される基で置換されていることを意味する。
【0021】
Arは、3’−ベンゾイルフェニル、3’−(4−クロロ−ベンゾイル)−フェニル、3’−(4−メチル−ベンゾイル)−フェニル、3’−アセチル−フェニル、3’−プロピオニル−フェニル、3’−イソブタノイル−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルオキシ−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルメチル−フェニル、4’−アセトキシフェニル、4’−プロピオニルオキシ−フェニル、4’−ベンゾイルオキシ−フェニル、4’アセチルアミノ−フェニル、4’プロピオニルアミノ−フェニル、4’−ベンゾイルアミノ−フェニルから選択される置換フェニル基であるか、またはピリジン、ピロール、チオフェン、フラン、インドールから選択される複素芳香環である。
【0022】
YがNHである場合、好適なR基は下記のいずれかである:
− H、C〜C−アルキル、C〜C−アシル;
− 式−CH−CH−O−(CH−CHO)R”で表される残基(式中、R”はHまたはC〜C−アルキルである);
− 式−(CH−NRaRbで表される残基(式中、nは2〜3の整数、より好ましくは3であり、NRaRb基はN,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、1−ピペリジル、4−モルホリル、1−ピロリジル、1−ピペラジニル、1−(4−メチル)ピペラジニルである)。
【0023】
本発明はさらに、先に定義したような式(I)で表される新規のスルホン酸類および誘導体化合物であって、下記から選択されるもの、並びにその薬学的に許容される塩を提供する:
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホン酸
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホン酸
1−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]エタンスルホン酸
1−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]エタンスルホン酸
2−(4−フェニルスルホニルオキシ)エタンスルホン酸
2−(4−フェニルスルホニルオキシ)エタンスルホン酸
(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホン酸
2−(3−ベンゾイルフェニル)エタンスルホン酸
2−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホン酸
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(4−メタンスルホニルアミノフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテンスルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンスルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテンスルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテンスルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホンアミド
(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミド
1−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−メチルスルホンアミド
1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−メチルスルホンアミド
1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−メチルスルホンアミド
1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−メチルスルホンアミド
1−[4−イソブチルフェニル]エタン−N−アセチルスルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)−2−メチル−エテンスルホンアミド
E−2−(3−イソプロピルフェニル)−2−メチル−エテンスルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)−2−メチル−エテンスルホンアミド。
【0024】
好ましくは、塩はナトリウム塩である。
【0025】
上述のエタンスルホンアミド類はキラル化合物であり、本発明では、ラセミ体だけでなく、(+)および(−)の単一エナンチオマーも提供する。
【0026】
式(I)で表される本発明の化合物は、酸性または塩基性の基を有する場合、一般には、有機および無機の薬学的に許容される酸または塩基との付加塩の形態で単離される。
【0027】
このような酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、クエン酸から選択される。
【0028】
このような塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、(D,L)−リジン、L−リジン、トロメタミンから選択される。
【0029】
式(I)で表される化合物のうち、YRがOHであるものは、下記の式(IV)で表される対応の化合物(式中、JはHまたはCOCHである)を、適切な酸化剤(例えばH、HClOおよび過酸、好ましくはm−クロロ過安息香酸)と反応させることにより得られる。
【0030】
【化4】

【0031】
式(I)で表される化合物のうち、YがNHであり、Xが−CH−であるものは、対応のハロゲン化スルホニル、例えば塩化スルホニルを、1または2当量の式NHRで表されるアミンと、必要に応じて適切な有機塩基または無機塩基の存在下にて反応させることにより得られる。
【0032】
式(I)で表される化合物のうち、YがNHであり、Xが−CH(CH)−であるものは、実施例に具体的に詳述するように、式(IV)で表される対応のチオールを、適切なN−ブロモイミド、例えばN−ブロモフタルイミドと反応させ、次いで硫黄原子を酸化させた後、スルホンアミド誘導体を脱保護することにより得られる。
【0033】
式(I)で表される化合物のうち、YがNHであり、Xが式(II)で表される基であるものは、対応のハロゲン化スルホニル、例えば塩化スルホニルを、式NHRで表されるアミンと反応させることにより得られる。
【0034】
本発明の化合物は、IL−8誘導性のヒトPMN走化性の阻害剤として特に有用である。
【0035】
本発明のさらなる目的は、上述した新規のスルホン酸類および誘導体化合物の医薬としての使用を提供することである。
【0036】
IL−8画分およびGRO−α画分によって誘導される多形核白血球(以下、PMNという)および単球の走化性に対する阻害能について式(I)で表される化合物をin vitroで評価した。このため、成人健常ボランティアより採取したヘパリン添加ヒト血液からPMNを単離するために、単核球をデキストラン沈降法によって除去し(W.J.Mingら、J.Immunol.、138、1469、1987に開示された手順に準拠)、赤血球を低張液によって除去した。細胞の生存率は、トリパンブルーを用いた色素排除法により算出し、循環多形核球の比率は、Diff Quickで染色した後、細胞遠心法に基づいて推定した。
【0037】
走化性実験では、ヒト組換えIL−8(Pepro Tech)を刺激物質として使用し、ほぼ同一の結果を得た。即ち、凍結乾燥タンパク質を一定量の0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)含有HBSSに溶解し、10−5M濃度のストック溶液を得、この溶液をHBSSで10−9Mの濃度に希釈して走化性アッセイに用いた。
【0038】
走化性アッセイ(W Falketら、J.Immunol.Methods、33、239、1980に準拠)の際には、多孔率5μmのPVP−不含フィルターと再現に適したマイクロチャンバーを使用した。
【0039】
式(I)で表される化合物は10−6〜10−10Mの濃度で評価した。このため、化合物を同一濃度にて、マイクロチャンバーの下部および上部双方の孔に添加した。式(I)で表される本発明の化合物の、IL−8誘導性のヒト単球走化性の阻害能についての評価は、Van Damme J.ら(Eur.J.Immunol.、19、2367、1989)によって開示された方法に従って行った。
【0040】
一部の代表的な化合物について、IL−8誘導性のPMN走化性試験における生物学的な結果を表IIに報告する(阻害データ、C=10−8M)。
【0041】
特に好適なのは、Ar基が3’−ベンゾイルフェニル、3’−(4−クロロ−ベンゾイル)−フェニル、3’−(4−メチル−ベンゾイル)−フェニル、3’−アセチル−フェニル、3’−プロピオニル−フェニル,3’−イソブタノイル−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルオキシ−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルメチル−フェニル、4’−アセトキシフェニル、4’−プロピオニルオキシ−フェニル、4’−ベンゾイルオキシ−フェニル、4’−アセチルアミノ−フェニル、4’−プロピオニルアミノ−フェニル、4’−ベンゾイルアミノ−フェニルであって、GRO−αによって誘導されたPMN走化性を有効に阻害する特性をさらに示す式(I)の化合物の使用である。本活性により、CXCR2経路が特異的に関与しているか、またはCXCR1のシグナル伝達と連携して関与しているIL−8関連病理において、これらの化合物の治療使用が可能となる。
【0042】
目的とする治療応用の観点からは、IL−8とGRO−αによってそれぞれ誘導される生物活性に対する2重阻害剤が極めて好適であるが、後述するように、CXCR1 IL−8受容体またはCXCR2 GRO−α/IL−8受容体に選択的に作用する記載の化合物には、特定の病理の処置において有用な治療応用が見出される可能性がある。
【0043】
式(I)で表される化合物は、PatrignaniらによってJ.Pharmacol.Exper.Ther.、271、1705、1994に開示された手順に従って血液全体にてex vivoで評価したところ、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の阻害剤としては全く効力のないことが判明した。
【0044】
多くの場合、式(I)で表される化合物は、リポ多糖類(LPS、1μg/mL)による刺激によって誘導されるマウスマクロファージでのPGE産生を、10−5〜10−7Mの濃度では干渉しない。PGE産生の阻害は、記録されるとしても、殆どが統計学的な有意差の限界にあり、さらに基底値の15〜20%未満であることが多い。マクロファージ細胞にとってプロスタグランジン合成の阻害は、好中球の活性化やサイトカインであるインターロイキン−8の産生に対する刺激の重要なメディエーターであるTNF−αの合成(LPSまたは過酸化水素によって誘導)を増幅する刺激となるが、本発明の化合物の治療応用にとってはCO阻害における効力の低下は利点となる。
【0045】
上述の実験的証拠、並びに、好中球の活性化・浸潤を伴う過程においてインターロイキン−8(IL−8)やその類似物(congenetics)が果たす役割から見ると、本発明の化合物は乾癬等の疾患の治療に特に有用である(R.J.Nicholoffら、Am.J.Pathol.、138、129、1991)。本発明の化合物で治療可能な疾患としては、さらに以下のものがある:潰瘍性大腸炎等の腸の慢性炎症病理(Y.R.Mahidaら、Clin.Sci.、82、273、1992)や黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、慢性関節リウマチ(M.Selzら、J.Clin.Invest.、87、463、1981)、特発性線維症(前出のE.J.MillerおよびP.C.Carreら、J.Clin.Invest.、88、1882、1991)、糸球体腎炎(T.Wadaら、J.Exp.Med.、180、1135、1994)、並びに虚血および再潅流によって引き起こされる損傷の予防および治療。
【0046】
CXCR1およびCXCR2の活性化に対する阻害剤には、上述のように、有用な応用が見出されており、特に、両IL−8受容体の活性化が疾患の発症において重大な病態生理学的役割を果たすと考えられている慢性炎症病理(例えば乾癬)の治療において有用である。
【0047】
実際に、CXCR1の活性化は、IL−8介在型のPMN走化性において不可欠であることが知られている(Hammond Mら、J Immunol、155、1428、1995)。一方、CXCR2の活性化は、乾癬患者でのIL−8介在型の表皮細胞増殖および血管新生において不可欠であると考えられている(Kulke Rら、J Invest Dermatol、110、90、1998)。
【0048】
また、CXCR2の選択的アンタゴニストには、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような重要な肺疾患の処置において特に有用な治療応用が見出されている(D.WP Hay及びH.M.Sarau.、Current Opinion in Pharmacology 2001、1:242−247)。
【0049】
したがって、本発明のさらなる目的は、乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、慢性関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎を治療するための医薬の製造、並びに虚血および再潅流によって引き起こされる損傷の予防および治療における医薬の製造において、式(I)で表される化合物の使用を提供することであり、また、このような化合物の利用を提供することである。本発明の化合物およびその適切な担体を含む医薬組成物も本発明の範囲内である。
【0050】
本発明の化合物は、従来慣用の補助剤、担体、希釈剤または賦形剤と共に、実際には医薬組成物やその単位投与量の形態とすることができ、また、そのような形態では、錠剤もしくは充填カプセル剤等の固体、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくはこれらを充填したカプセル剤(全て経口使用)等の液体として使用することができ、あるいは、滅菌注射用液剤の形態で非経口(例えば皮下)用に使用してもよい。このような医薬組成物およびその単位剤形は、成分を従来の比率で含むことができ、追加の活性化合物または成分はあってもなくてもよく、また、このような単位剤形は、採用すべき1日当たりの投与量範囲に見合った、任意の適切な有効量の有効成分を含有していればよい。
【0051】
医薬品として利用する場合、本発明の酸類は典型的には医薬組成物の形態で投与する。このような組成物は、製薬分野で周知の方法にて調製可能であり、少なくとも1種類の活性化合物を含む。
【0052】
通常、本発明の化合物は薬学的に有効な量で投与する。実際に投与する化合物の量は、典型的には、関連の状況、例えば治療対象の病態、選択した投与経路、実際に投与する化合物、個々の患者の年齢、体重および応答性、患者の症状の重篤度等を考慮して治療者が判断することになる。
【0053】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内といった様々な経路で投与可能である。意図する送達経路に応じて、注射用または経口用組成物のいずれかとして化合物を製剤化するのが好ましい。経口投与用の組成物は、バルク液剤もしくは懸濁剤、またはバルク散剤の形態をとることができる。
【0054】
しかしながら、より一般的には、当該組成物は正確な投薬を容易にするため単位剤形で提供される。用語「単位剤形」とは、ヒト被験者や他の哺乳動物に対して単位投与量として適した形状的に個別の単位をいい、各単位には、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質が、適切な製剤用賦形剤と共に含有される。典型的な単位剤形としては、液体組成物の場合には予め分量が決められたプレフィルドアンプルもしくはシリンジが、固体組成物の場合には丸剤、錠剤、カプセル剤等が挙げられる。このような組成物では、酸化合物は通常少量成分であり(約0.1〜約50重量%、好ましくは約1〜約40重量%)、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ各種ビヒクルまたは担体および加工助剤である。
【0055】
経口投与に適した液体剤形としては、適切な水性または非水性ビヒクルを緩衝剤、懸濁・分配剤、着色剤、着香剤等と組み合わせたものが挙げられる。後述の注射用組成物をはじめとする液体剤形は常時遮光保存して、ヒドロペルオキシドまたはペルオキシドの形成といった光による触媒作用を回避する。固体剤形としては、例えば、以下の成分または類似の性質の化合物のいずれかを含むことができる:微結晶セルロース、トラガカントゴム、ゼラチン等の結合剤;デンプン、乳糖等の賦形剤;アルギン酸、Primogel、コーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤;スクロース、サッカリン等の甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバー等の着香料。
【0056】
注射用組成物は、典型的には、注射用滅菌生理食塩水もしくはリン酸緩衝生理食塩水または当該技術分野で公知の他の注射用担体を基剤とする。上述したように、このような組成物における式(I)の酸誘導体は典型的には少量成分であって、多くの場合0.05〜10重量%の範囲であり、残りは注射用担体等である。平均的な1日当たりの投与量は、疾患の重篤度や患者の状態(年齢、性別、体重)といった各種要因に依存する。式(I)の化合物の用量は、通常1日当たり1mgまたは数mg〜1500mgまでであり、必要に応じて複数回に分けて投与する。本発明の化合物は毒性が低いため、これよりも高い投与量を長期間にわたって投与することも可能である。
【0057】
上述した経口投与用または注射用組成物の成分は単なる例示である。これ以外の材料や加工技術等は、本明細書に援用される「レミントンの薬学便覧」、第18版、1990、Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルバニアの第8部に記載されている。
【0058】
本発明の化合物は、徐放性形態で投与することもでき、また、徐放型薬物送達システムからも投与可能である。代表的な徐放性材料の記載も、上記レミントンの便覧の配合材料の項に記載されている。
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0060】
アリールメタンスルホン酸類、式R−Ar−C(CH)H−SOHで表される1−アリールエタンスルホン酸類および関連のエナンチオマーの一般的な合成手順
置換ベンゼン(17ミリモル)と塩化アセチル(18ミリモル)の乾燥CHCl(25mL)溶液を冷却(T=0〜4℃)したものに、AlCl(18ミリモル)を激しく撹拌しながら少しずつ添加する。次いで氷浴を除去し、出発原料が完全に消失したことが明らかになるまで溶液を還流する(2〜3時間)。室温で冷却後、混合物を冷却2N HClへ注ぎ、30分間撹拌する。次いで酸溶液を分液ロートへ移し、CHCl(3×20mL)で抽出する。回収した有機抽出物をNaCl飽和溶液(2×25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて純粋なアリールアセトフェノン(14.45〜16.15ミリモル)を高収率(85〜95%)で得る。
【0061】
アリールアセトフェノン(11.5ミリモル)のメチルアルコール(40mL)溶液を撹拌したものに、水素化ホウ素ナトリウム(17.2ミリモル)を少しずつ添加する。出発原料が完全に消失するまで混合物を還流する(3時間)。室温で冷却後、1M HClを混合物へ添加し、アルコールを留去する。水相を酢酸エチル(3×15mL)で抽出し、回収した有機抽出物をNaCl飽和溶液(2×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて純粋な1−アリールエチルアルコールを得る(収率およそ75%)。
【0062】
l−アリールエチルアルコール(4.5ミリモル)の乾燥CHCl(10mL)溶液を撹拌したものに、チオール酢酸(5.39ミリモル)およびヨウ化亜鉛(2.24ミリモル)を添加する。反応混合物を3時間還流し、室温で冷却後、混合物を水(15mL)で希釈し、分液ロートへ移す。これら2相を振盪し、分離する。有機相をNaHCO飽和溶液(3×20mL)で洗浄し、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて純粋な1−アリールエチルチオアセテートを得る(収率およそ80%)。
【0063】
1−アリールエチルチオアセテート(0.91ミリモル)の氷酢酸(2mL)溶液を60℃で撹拌し、30%H(4.56ミリモル)を一滴ずつ作用させ、得られた溶液を60℃で24時間撹拌し、次いで酢酸をトルエンと共沸させて除去する。残渣を水(5mL)で希釈し、1N NaOHで中和し、ジエチルエーテル(2×15mL)で洗浄し、凍結乾燥させて1−アリールエタンスルホン酸ナトリウム塩を白色固体のラセミ混合物として得る(収率およそ90%)。
【0064】
光学分割
ラセミ体である1−アリールエタンスルホン酸ナトリウム塩を、アンバーライトIR−120樹脂(H型)を充填したカラムで濾過し、水で溶出して生成物をペースト状の油状物質として得る。2つの異性体の分離は、アリールプロピオン酸類の光学分割についてAkgun H.ら、Arzneim.−Forsch./Drug Res.、46(II)、Nr.9、891−894(1996)に記載されているように、対応の(+)または(−)α−フェニルエチルアンモニウム塩をエタノール溶液中で結晶化させることにより行う。純粋なエナンチオマーをそれぞれナトリウム塩として単離する。
【0065】
上記の方法に従い、以下の化合物を調製した:
(−)−1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホン酸ナトリウム塩(1)
本化合物は市販のイソブチルベンゼンを出発原料として合成した。
【0066】
[α]=−35(c=1;HO)
H−NMR(DMSO−d):δ7.25(d,2H,J=7Hz);7.05(d,2H,J=7Hz);3.62(m,1H);2.37(d,2H,J=7Hz);1.86(m,1H);1.40(d,3H,J=7Hz);0.91(d,6H,J=7Hz).
(+)−1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホン酸ナトリウム塩(2)
本化合物は市販のイソブチルベンゼンを出発原料として合成した。
【0067】
[α]=+34.5(c=1;HO)
H−NMR(DMSO−d):δ7.25(d,2H,J=7Hz);7.08(d,2H,J=7Hz);3.62(m,1H);2.37(d,2H,J=7Hz);1.86(m,1H);1.42(d,3H,J=7Hz);0.90(d,6H,J=7Hz).
(−)−1−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]エタンスルホン酸ナトリウム塩(3)
本化合物は、上記の方法に従い、中間体である4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)アセトフェノンを出発原料として調製した。本中間体は、市販試薬のフタルアルデヒドおよび4−アミノアセトフェノンから、Ichiro,T.ら、Heterocycles 43:11、2343−2346(1996)に記載の方法に基づいて調製した。
【0068】
[α]=−52.4(c=1;HO)
H−NMR(DMSO−d):δ7.68(m,3H);7.35(m,3H);7.15(d,2H,J=7Hz);4.68(s,2H);3.65(q,1H,J=7Hz,J=3Hz);1.28(d,3H,J=7Hz).
(+)−1−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]エタンスルホン酸ナトリウム塩(4)
本化合物は、上記の方法に従い、中間体である4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)アセトフェノンを出発原料として調製した。本中間体は、市販試薬のフタルアルデヒドおよび4−アミノアセトフェノンから、Ichiro,T.ら、Heterocycles 43:11、2343−2346(1996)に記載の方法に基づいて調製した。
【0069】
[α]=+50(c=1;HO)
H−NMR(DMSO−d):δ7.708(m,3H);7.35(m,3H);7.18(d,2H,J=7Hz);4.68(s,2H);3.65(q,1H,J=7Hz,J=3Hz);1.30(d,3H,J=7Hz).
(−)−2−(4−フェニルスルホニルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(5)
本化合物は、上記の方法に従い、市販の4−ヒドロキシアセトフェノンから公知の実験手順に従って得られる中間体の4−ベンゼンスルホニルオキシアセトフェノンを出発原料として調製した。
【0070】
[α]=−47.5(c=1;HO)
H−NMR(DO):δ7.90(d,2H,J=7Hz);7.70(t,1H,J=7Hz);7.55(t,2H,J=7Hz);7.32(d,2H,J=7Hz);6.95(d,2H,J=7Hz);3.64(m,1H);1.41(d,3H,J=7Hz).
(+)−2−(4−フェニルスルホニルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(6)
本化合物は、上記の方法に従い、市販の4−ヒドロキシアセトフェノンから公知の実験手順に従って得られる中間体の4−ベンゼンスルホニルオキシアセトフェノンを出発原料として調製した。
【0071】
[α]=+49(c=1;HO)
H−NMR(DO):δ7.93(d,2H,J=7Hz);7.70(t,1H,J=7Hz);7.55(t,2H,J=7Hz);7.32(d,2H,J=7Hz);6.91(d,2H,J=7Hz);3.67(m,1H);1.41(d,3H,J=7Hz).
(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホン酸ナトリウム塩(7)
(7)の合成は、市販試薬のメチル−1−メチル−2−ピロールアセテートを出発原料として行い、塩化アセチルを用いたフリーデル−クラフツアシル化によって(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンアセテートを生成した。次いでエステル基を加水分解した。WO02/0704095に記載の実験手順に従い、関連の(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
【0072】
H−NMR(DMSO−d):δ7.5(s,1H);6.18(s,1H);3.60(s,3H);3.51(s,2H);2.10(s,3H).
(±)−2−(3−ベンゾイルフェニル)エタンスルホン酸ナトリウム塩(8)
(8)の合成は、市販試薬の3−(1−シアノエチル)安息香酸を出発原料として行い、ベンゼン中でのフリーデル−クラフツアシル化によって2−(3’−ベンゾイルフェニル)プロピオニトリルを生成した。WO02/0704095に記載の実験手順に従い、関連の2−(3’−ベンゾイルフェニル)エタンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
【0073】
H−NMR(DO):δ7.80(d,2H,J=7Hz);7.70(s,1H);7.62(d,1H,J=7Hz);7.51(m,2H);7.30(m,3H);3.62(m,1H);1.40(d,3H,J=7Hz).
(±)−2−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホン酸ナトリウム塩(9)
(9)の合成は、市販試薬の3−(1−シアノエチル)アセトフェノンを出発原料として行い、周知の方法に従ってメチレン基のヴィティヒ反応および還元を行って2−(3−イソプロピルフェニル)プロピオニトリルを生成した。WO02/0704095に記載の実験手順に従い、関連の2−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
【0074】
H−NMR(DO):δ7.30(m,2H);7.10(m,2H);3.92(m,1H);3.63(m,1H);1.42(d,3H,J=7Hz);1.25(d,6H, J=8Hz).
【実施例2】
【0075】
E−アリールエテンスルホン酸類(ナトリウム塩)の調製
アリールエタンスルホン酸を塩化チオニル(5mL)に溶解し、溶液を還流下で一晩放置する。室温で冷却後、塩化チオニルを真空下で蒸発させ、粗製アリールエタンスルホニルクロライドを乾燥THF(5mL)で希釈し、氷水浴中、T=0℃にて冷却する;1N NaOH水溶液(0.64ミリモル)をT=4℃で添加する;氷水浴を除去して反応混合物を室温になるまで約1時間放置すると、白色固体が沈殿する。この有機ナトリウム塩を真空下で濾過し、THFで洗浄し、40℃、真空下にて乾燥器中で乾燥させて純粋なE−アリールエテンスルホン酸ナトリウム塩(0.32〜0.51ミリモル)を白色粉末として得る(収率50〜80%)。
【0076】
上記の手順に従い、以下の化合物を調製した:
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテンスルホン酸ナトリウム塩(10)
H−NMR(DO):δ7.60(d,1H,J=8Hz);7.55−7.32(m,4H);7.05(d,1H,J=14Hz);2.62(m,2H);1.90(m,1H);0.97(d,6H,J=7Hz).
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンスルホン酸ナトリウム塩(11)
H−NMR(DO):δ7.80(d,2H,J=7Hz);7.70(s,1H);7.65(d,1H,J=8Hz);7.62(d,1H,J=7Hz);7.51(m,2H);7.30(m,3H);7.00(d,1H,J=14Hz).
E−2−(4−メタンスルホニルアミノフェニル)エテンスルホン酸ナトリウム塩(12)
H−NMR(DMSO−d):δ7.60(d,1H,J=8Hz);7.35(d,2H,J=8Hz);7.20(d,2H,J=8Hz);7.07(d,1H,J=14Hz);6.51(bs,1H,SONH);3.00(s,3H).
E−2−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)エテンスルホン酸ナトリウム塩(13)
H−NMR(CDCl):δ7.62(d,1H,J=8Hz);7.50(d,2H,J=7Hz);7.25(d,2H,J=7Hz);7.05(d,1H,J=14Hz).
【実施例3】
【0077】
E−アリールエテンスルホンアミド類の一般的な合成手順
アリールエタンスルホン酸(0.64ミリモル)の溶液を塩化チオニル(5mL)に溶解し、溶液を還流下で一晩放置する。室温で冷却後、塩化チオニルを真空下で蒸発させ、粗製アリールエタンスルホニルクロライドを乾燥THF(5mL)で希釈し、氷水浴中、T=0℃にて冷却する;選択したアミン(1.28ミリモル)を滴下する。氷水浴を除去し、反応混合物を室温になるまで放置する。出発試薬が完全に消失した後、溶媒を真空下で蒸発させ、CHCl(10mL)と水(10mL)を残渣に添加する;これら2相を振盪し、分離し、有機相を水(3×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて粗生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製する。純粋なE/Z−アリールエテンスルホンアミド(0.32〜0.51ミリモル)を無色の油状物質として単離する(収率50〜80%)。
【0078】
上記の方法に従い、アンモニア(0.5M 1,4−ジオキサン溶液)をアミンとして用いて以下の化合物を調製した:
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテンスルホンアミド(14)
H−NMR(CDCl):δ7.55(d,1H,J=14Hz);7.38(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);6.88(d,1H,J=14Hz);4.75(bs,2H,SONH);2.55(d,2H,J=7Hz);1.94(m,1H);1.02(d,6H,J=7Hz).
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンスルホンアミド(15)
H−NMR(CDCl):δ7.80(d,2H,J=7Hz);7.72(s,1H);7.62(d,1H,J=8Hz);7.52(d,1H,J=14Hz);7.50(m,2H);7.30(m,3H);6.88(d,1H,J=14Hz);4.75(bs,2H,SONH).
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテンスルホンアミド(16)
H−NMR(CDCl):δ7.60(d,1H,J=8Hz);7.52(d,2H,J=7Hz);7.28(d,2H,J=7Hz);7.10(d,1H,J=14Hz);4.85(bs,2H,SONH).
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテンスルホンアミド(17)
H−NMR(CDCl):δ7.55(d,1H,J=14Hz);7.37(d,2H,J=8Hz);7.22(d,2H,J=8Hz);6.90(d,1H,J=14Hz);6.45(bs,1H,SONH);4.80(bs,2H,SONH);2.98(s,3H).
上記の方法に従い、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミンをアミンとして用いて以下の化合物を調製した:
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(18)
H−NMR(CDCl):δ7.45(m,3H);7.20(d,2H,J=7Hz);6.70(d,1H,J=14Hz);6.40(bs,1H,SONH);3.18(m,2H);2.55(m,4H);2.30(s,6H);1.92(m,1H);1.75(m,2H);0.97(d,6H,J=7Hz).
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンN−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(19)
H−NMR(CDCl):δ7.82(d,2H,J=7Hz);7.74(s,1H);7.60(d,1H,J=8Hz);7.50(d,1H,J=14Hz);7.45(m,2H);7.26(m,3H);6.70(d,1H,J=14Hz);6.45(bs,1H,SONH);3.15(m.,2H);2.50(m,4H);2.35(s,6H).
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(20)
H−NMR(CDCl):δ7.62(d,1H,J=14Hz);7.48(d,2H,J=7Hz);7.25(d,2H,J=7Hz);7.00(d,1H,J=14Hz);6.50(bs,1H,SONH);3.17(m.,2H);2.48(m,4H);2.35(s,6H).
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(21)
H−NMR(CDCl):δ7.57(d,1H,J=14Hz);7.37(d,2H,J=8Hz);7.22(d,2H,J=8Hz);6.75(d,1H,J=14Hz);6.50(bs,2H,SONH);3.15(m,2H);2.98(s,3H);2.50(m,4H);2.40(s,6H).
上記の方法に従い、メチルアミン(2M THF溶液)をアミンとして用いて以下の化合物を調製した:
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−メチルスルホンアミド(22)
H−NMR(CDCl):δ7.55(d,1H,J=14Hz);7.38(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);6.88(d,1H,J=14Hz);4.80(bs,1H,SONH);2.75(d,3H,J=4Hz);2.55(d,2H,J=7Hz);1.95(m,1H);1.04(d,6H,J=7Hz).
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−メチルスルホンアミド(23)
H−NMR(CDCl):δ7.81(d,2H,J=7Hz);7.70(s,1H);7.62(d,1H,J=8Hz);7.55(d,1H,J=14Hz);7.45(m,2H);7.30(m,3H);6.90(d,1H,J=14Hz);4.60(bs,1H,SONH);2.70(d,3H,J=4Hz).
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−メチルスルホンアミド(24)
H−NMR(CDCl):δ7.60(d,1H,J=8Hz);7.52(d,2H,J=7Hz);7.28(d,2H,J=7Hz);7.10(d,1H,J=14Hz);4.85(bs,1H,SONH);2.70(d,3H,J=4Hz).
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−メチルスルホンアミド(25)
H−NMR(CDCl):δ7.56(d,1H,J=14Hz);7.35(d,2H,J=8Hz);7.20(d,2H,J=8Hz);6.92(d,1H,J=14Hz);6.50(bs,1H,SONH);4.70(bs,1H,SONH);3.00(s,3H),2.75(d,3H,J=4Hz).
上記の方法に従い、2−メトキシエチルアミンをアミンとして用いて以下の化合物を調製した:
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(26)
H−NMR(CDCl):δ7.57(d,1H,J=14Hz);7.38(d,2H,J=7Hz);7.20(d,2H,J=7Hz);6.90(d,1H,J=14Hz);4.80(bs,1H,SONH);3.74(m,2H);3.55(m,2H);3.45(s,3H);2.52(d,2H,J=7Hz);1.95(m,1H);1.05(d,6H,J=7Hz).
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(27)
H−NMR(CDCl):δ7.80(d,2H,J=7Hz);7.72(s,1H);7.62(d,1H,J=8Hz);7.55(d,1H,J=14Hz);7.40(m,2H);7.30(m,3H);6.95(d,1H,J=14Hz);4.62(bs,1H,SONH);3.75(m,2H);3.50(m,2H);3.40(s,3H).
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(28)
H−NMR(CDCl):δ7.62(d,1H,J=8Hz);7.50(d,2H,J=7Hz);7.30(d,2H,J=7Hz);7.15(d,1H,J=14Hz);4.80(bs,1H,SONH);3.77(m,2H);3.52(m,2H);3.40(s,3H).
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(29)
H−NMR(CDCl):δ7.58(d,1H,J=14Hz);7.35(d,2H,J=8Hz);7.25(d,2H,J=8Hz);6.90(d,1H,J=14Hz);6.52(bs,1H,SONH);4.75(bs,1H,SONH);3.70(m,2H);3.50(m,2H);3.40(s,3H);3.05(s,3H).
【実施例4】
【0079】
アリールメタンスルホンアミド類の一般的な合成手順
(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホンアミド(30)
(30)の合成は、市販試薬のメチル−1−メチル−2−ピロールアセテートを出発原料として行い、塩化イソブチリルを用いたフリーデル−クラフツアシル化によって(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンアセテートを生成した。次いでエステル基を加水分解した。WO02/0704095に記載の実験手順に従い、関連の(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
【0080】
(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホン酸ナトリウム塩(0.64ミリモル)の溶液を塩化チオニル(5mL)に溶解し、溶液を還流下で一晩放置する。室温で冷却後、塩化チオニルを真空下で蒸発させ、粗製(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホニルクロライドを乾燥THF(5mL)で希釈し、氷水浴中、T=0℃にて冷却する;アンモニア(1.28ミリモル)の溶液を滴下する。氷水浴を除去し、反応混合物を室温になるまで放置する。出発試薬が完全に消失した後、溶媒を真空下で蒸発させ、CHCl(10mL)と水(10mL)を残渣に添加する;これら2相を振盪し、分離し、有機相を水(3×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて粗生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製する。純粋な(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホンアミド(0.60ミリモル)を黄色の油状物質として単離する(収率93%)。
【0081】
H−NMR(DMSO−d):δ7.5(s,1H);6.18(s,1H);4.65(bs,2H,SONH);3.60(s,3H);3.51(s,2H);3.38(m,1H);1.25(d,6H,J=8Hz).
上記の方法に従い、(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホン酸ナトリウム塩(7)(上述したアリールメタンスルホン酸類の一般的な合成手順の方法に従って調製)を用いて以下の化合物を調製した:
(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホンアミド(31)
H−NMR(DMSO−d):δ7.5(s,1H);6.18(s,1H);4.40(bs,2H,SONH);3.60(s,3H);3.51(s,2H);2.10(s,3H).
化合物32および33の(+)および(−)エナンチオマーのエナンチオ選択的合成
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミドの(+)および(−)エナンチオマーのエナンチオ選択的合成は、Davis F.A.ら、J.Org.Chem.、58、4890−4896(1993)に記載の通りに行った。手順としては、4−イソブチルベンジルスルホンアミド(27)とN,N−ジイソプロピル−(1S)−(+)−10−カンファースルホンアミドまたはN,N−ジイソプロピル−(1R)−(−)−10−カンファースルホンアミドとから生成するN−スルホニルカンファーイミンをジアステレオ選択的にC−メチル化することからなる。ジアステレオ異性体の酸加水分解により、所望の化合物が双方とも透明な油状物質として得られる。
【0082】
(−)−1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミド(32)
[α]=−8.5(c=1.2;CHCl
H−NMR(CDCl):δ7.30(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);4.25(m,1H+bsSONH);2.45(d,2H,J=7Hz);1.87(m,4H);0.97(d,6H,J=7Hz).
(+)−1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミド(33)
[α]=+15(c=1;CHCl
H−NMR(CDCl):δ7.30(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);4.25(m,1H+bsSONH);2.45(d,2H,J=7Hz);1.87(m,4H);0.97(d,6H,J=7Hz).
【実施例5】
【0083】
アリールエタンスルホンアミド類の別合成
(+)−1−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホンアミド(34)の合成
標題化合物は、市販試薬の3−(1−シアノエチル)安息香酸を出発原料として調製し、Kindler K.ら、Chem.Ber.、99、226(1966)およびKindler K.ら、Liebigs Ann.Chem.、26、707(1967)に記載の実験手順に従って、中間体の3−イソプロピル安息香酸を生成した。LiAlHによってベンジルアルコール誘導体へ還元した後、アルコールをチオール酢酸で処理し、中間体のエチルチオアセテートを得た。その後、Corey E.J.ら、Tet.Lett.、33、4099(1992)に記載の通りにチオール誘導体への加水分解を行った。
【0084】
3−イソプロピルベンジルチオール(3.85g;23.2ミリモル)とカリウムtert−ブトキシド(2.6g;23.2ミリモル)のCHCl(15mL)懸濁液に、18−クラウン−6(0.6g;2.3ミリモル)を添加する。T=0〜4℃で15分間撹拌した後、N−Br−フタルイミド(5.24g;23.2ミリモル)を添加する。添加後、氷水浴を除去し、溶液を室温で1時間撹拌する;次いで有機相を水(3×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で蒸発させて油状の残渣を得、フラッシュクロマトグラフィーで精製して3−イソプロピルベンジルチオフタルイミド(6.05g;18.56ミリモル)を淡黄色の油状物質として得る(収率80%)。次いで、ラセミ体1−(3−イソプロピルフェニル)エチルチオフタルイミドを得るメチル化を、Davis F.A.ら、J.Org.Chem.、58、4890−4896(1993)に記載の通りに行った。当該技術分野で周知の方法に従って、3−クロロ過安息香酸(2当量)で酸化し、ヒドラジンで処理することによりフタルイミド部分を切断して最終化合物である1−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホンアミド(31)を得た。
【0085】
H−NMR(CDCl):δ7.28(m,2H);7.05(m,2H);4.40(bs,2H,SONH);3.90(m,1H);3.65(m,1H);1.35(d,3H,J=7Hz);1.20(d,6H,J=8Hz).
Gajda T.ら、Synthesis、1005(1981)およびBurke P.O.ら、Synthesis、935(1985)に記載の通りに、相間移動条件にて、3−ジメチルアミノプロピルクロライドをアルキル化試薬として対応の1−アリールエタンスルホンアミド類(上記の方法に従い調製)のアルキル化を行った。以下の化合物を調製した:
(±)−1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(35)
H−NMR(CDCl):δ7.32(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);4.26(m,1H);4.10(bs,1H,SONH);3.18(m,2H);2.55(m,4H);2.45(d,2H,J=7Hz);2.40(s,6H);1.85(m,4H);1.00(d,6H,J=7Hz).
(±)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(36)
H−NMR(CDCl):δ7.80(d,2H,J=7Hz);7.70(s,1H);7.62(d,1H,J=7Hz);7.51(m,2H);7.30(m,3H);4.35(bs,1H,SONH);3.62(m,1H);3.18(m,2H);2.55(m,4H);2.40(s,6H);1.30(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(37)
H−NMR(CDCl):δ7.50(d,2H,J=7Hz);7.25(d,2H,J=7Hz);4.30(bs,1H,SONH);3.85(m,1H);3.20(m,2H);2.60(m,4H);2.45(s,6H);1.25(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド(38)
H−NMR(CDCl):δ7.37(d,2H,J=8Hz);7.22(d,2H,J=8Hz);6.45(bs,1H,SONH);4.80(bs,1H,SONH);3.82(m,1H);3.25(m,2H);2.98(s,3H);2.65(m,4H);2.45(s,6H);1.05(d,3H,J=7Hz).
Gajda T.ら、Synthesis、1005(1981)およびBurke P.O.ら、Synthesis、935(1985)に記載の通りに、相間移動条件にて、2−ブロモエチルメチルエーテルをアルキル化試薬として対応の1−アリールエタンスルホンアミド類(上記の方法に従い調製)のアルキル化を行った。以下の化合物を調製した:
(±)−1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(39)
H−NMR(CDCl):δ7.30(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);4.25(m,1H);4.80(bs,1H,SONH);3.74(m,2H);3.55(m,2H);3.45(s,3H);2.45(d,2H,J=7Hz);1.87(m,1H);1.65(d,3H,J=7Hz);0.97(d,6H,J=7Hz).
(±)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(40)
H−NMR(CDCl):δ7.82(d,2H,J=7Hz);7.75(s,1H);7.62(d,1H,J=7Hz);7.55(m,2H);7.30(m,3H);4.25(bs,1H,SONH);3.75(m,2H);3.60(m,1H);3.55(m,2H);3.48(s,3H);1.55(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(41)
H−NMR(CDCl):δ7.50(d,2H,J=7Hz);7.25(d,2H,J=7Hz);4.30(bs,1H,SONH);3.85(m,1H); 3.60(m,2H);3.55(m,2H);3.48(s,3H);1.35(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド(42)
H−NMR(CDCl):δ7.52(d,2H,J=7Hz);7.28(d,2H,J=7Hz);6.45(bs,1H,SONH);4.32(bs,1H,SONH);3.85(m,1H);3.62(m,2H);3.55(m,2H);3.48(s,3H);3.00(s,3H);1.35(d,3H,J=7Hz).
Muller E.ら、Liebigs Ann.Chem.、623、34(1959)およびSaegusa T.ら、Tet.Lett.、6131(1966)に記載の通りに、ジアゾメタンによる対応のl−アリールエタンスルホンアミド類(上記の方法に従い調製)のモノメチル化を行った。以下の化合物を調製した:
(±)−1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−メチルスルホンアミド(43)
H−NMR(CDCl):δ7.25(d,2H,J=7Hz);7.18(d,2H,J=7Hz);4.80(bs,1H,SONH);4.20(m,1H);2.70(d,3H,J=4Hz);2.45(d,2H,J=7Hz);1.87(m,1H);1.65(d,3H,J=7Hz);0.97(d,6H,J=7Hz).
(±)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−メチルスルホンアミド(44)
H−NMR(CDCl):δ7.82(d,2H,J=7Hz);7.75(s,1H);7.62(d,1H,J=7Hz);7.55(m,2H);7.30(m,3H);4.25(bs,1H,SONH);4.15(m,1H);2.70(d,3H,J=4Hz);1.55(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−メチルスルホンアミド(45)
H−NMR(CDCl):δ7.52(d,2H,J=7Hz);7.28(d,2H,J=7Hz);4.10(bs,1H,SONH);3.80(m,1H);2.75(d,3H,J=4Hz);1.20(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−メチルスルホンアミド(46)
H−NMR(CDCl):δ7.50(d,2H,J=7Hz);7.27(d,2H,J=7Hz);6.50(bs,1H,SONH);4.30(bs,1H,SONH);3.90(m,1H);3.05(s,3H);2.70(d,3H,J=4Hz);1.32(d,3H,J=7Hz).
(±)−1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−アセチルスルホンアミド(47)
本化合物は、上述の通り、関連の1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミドの塩化アセチルによるアシル化によって合成した。
【0086】
H−NMR(CDCl):δ7.28(d,2H,J=7Hz);7.20(d,2H,J=7Hz);4.82(bs,1H,SONH);4.30(m,1H);2.45(d,2H,J=7Hz);1.85(m,1H);1.80(s,3H);1.65(d,3H,J=7Hz);0.97(d,6H,J=7Hz).
【実施例6】
【0087】
E/Z 2−アリール−2−メチルエテンスルホンアミド類の一般的な合成手順
適当なアリールアセトフェノン(20ミリモル)(上述した1−アリールエタンスルホン酸類の一般的な合成手順の方法に従って調製)のt−ブチルアルコール(10mL)溶液を、反応温度を25℃未満に維持しながら20分かけて市販のイリドであるヨードメチレントリフェニルホスホラン(25ミリモル)へ滴下し、得られた混合物を室温で4時間撹拌する。反応の最後に、混合物を50mlのペンタンおよび50mlの水と共に振盪し、濾過し、層を分離する。水層を3×50mlのペンタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フラッシュクロマトグラフィーで精製した後、純粋なヨウ化2−(アリール)プロペン(E/Z異性体混合物)を得る(収率およそ70%)。Sotaro Miyanoら、Bull.Chem.Soc.J.、1197、52(1979)に記載の通りに、上述のカルボニル化合物のヴィティヒオレフィン化を利用した。
【0088】
ヨウ化2−(アリール)プロペン(2ミリモル)をアセトニトリル(5mL)に溶解し、チオ酢酸カリウム(4ミリモル)のアセトニトリル(2ml)溶液へ室温にて添加する;反応混合物を4時間撹拌する。混合物を水で急冷し、EtOAcで抽出する;分離した有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して2−アリールプロペンチオアセテート(E/Z異性体混合物)を得る(ほぼ定量的な収率)。
【0089】
2−アリール−2−メチルエテンチオアセテート(1.00ミリモル)の氷酢酸(2mL)溶液を60℃で撹拌し、30%H(4.56ミリモル)を一滴ずつ作用させる;得られた溶液を60℃で24時間撹拌し、次いで酢酸をトルエンと共沸させて除去する。残渣を水(5mL)で希釈し、1N NaOHで中和し、ジエチルエーテル(2×15mL)で洗浄し、凍結乾燥させて2−アリール−2−メチルエテンスルホン酸ナトリウム塩を白色固体のE/Z異性体混合物として得る(収率およそ90%)。
【0090】
E/Z 2−アリール−2−メチルエテンスルホンアミド類は、上述したE−アリールエテンスルホンアミド類の一般的な合成手順の方法に従って調製し、E/Z−2−アリール−2−メチル−エテンスルホンアミド類(0.75〜0.85 ミリモル)を無色の油状物質として得る(収率85〜95%)。
【0091】
上述の手順に従い、以下の化合物を合成した:
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)−2−メチルエテンスルホンアミド(48)
H−NMR(CDCl):δ7.75(m,3H);7.62(m,2H);7.53(m,4H);6.15(d,1H,J=1.4Hz),5.96(d,1H,J=1.3Hz);4.38(bs,2H,SONH);2.10(d,3H,J=1.4Hz);2.0(d,3H,J=1.3Hz).
E−2−(3−イソプロピルフェニル)−2−メチルエテンスルホンアミド(49)
H−NMR(CDCl):δ7.28(m,1H);7.15(m,1H);7.05(m,2H);6.15(d,1H,J=1.4Hz),5.96(d,1H,J=1.3Hz);4.38(bs,2H,SONH);3.15(m,1H);2.10(d,3H,J=1.4Hz);2.0(d,3H,J=1.3Hz);1.25(d,6H,J=7Hz).
E−2−(4−イソブチルフェニル)−2−メチルエテンスルホンアミド(50)
H−NMR(CDCl):δ7.32(d,2H,J=7Hz);7.23(d,2H,J=7Hz);6.15(q,1H,J=1.4Hz);5.96(q,1H,J=1.3Hz);4.35(bs,2H,SONH);2.45(d,2H,J=7Hz);2.10(d,3H,J=1.4Hz);2.0(d,3H,J=1.3Hz);1.88(m,1H);0.97(d,6H,J=7Hz).
実施例1〜6における化合物の化学名および構造の一覧を、表Iに報告する。
【0092】
【表1−1】

【0093】
【表1−2】

【0094】
【表1−3】

【0095】
【表1−4】

【0096】
【表1−5】

【0097】
【表2−1】

【0098】
【表2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL−8誘導性のヒトPMN走化性を阻害するための医薬の製造における、下記の式(I)で表されるスルホン酸類および誘導体化合物、並びにその薬学的に許容される塩の使用:
【化1】

[式中、
Arは未置換のフェニル基、もしくはハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜C−アシルアミノ、ハロゲン−C〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルコキシ、ベンゾイルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル基であるか、またはArは置換もしくは未置換の5〜6員ヘテロアリール環であり;
Xは−CH−基または−CH(CH)−基または式(II)
【化2】

(式中、R’はHまたはCHである)で表されるE配置のエチレン型の基のいずれかを表し;
YはO(酸素)およびNHから選択され;
− YがO(酸素)である場合には、RはH(水素)であり;
− YがNHである場合には、RはH、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アシル、式−CH−CH−Z−(CH−CHO)R”で表される残基(式中、R”はHまたはC〜C−アルキルであり、nは0〜2の整数であり、Zは酸素または硫黄である)、式−(CH−NRaRbで表される残基(式中、nは0〜5の整数であり、RaおよびRbは同一でも異なっていてもよく、それぞれC〜C−アルキル、C〜C−アルケニルであるか、あるいはRaおよびRbは自身が結合している窒素原子と共に式(III)
【化3】

(式中、Wは単結合、CH、O、S、N−Rcを表し、RcはH、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルキルフェニルである)で表される3〜7員の複素環を形成する)から選択される]。
【請求項2】
Arが、3’−ベンゾイルフェニル、3’−(4−クロロ−ベンゾイル)−フェニル、3’−(4−メチル−ベンゾイル)−フェニル、3’−アセチル−フェニル、3’−プロピオニル−フェニル、3’−イソブタノイル−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルオキシ−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルメチル−フェニル、4’−アセトキシフェニル、4’−プロピオニルオキシ−フェニル、4’−ベンゾイルオキシ−フェニル、4’アセチルアミノ−フェニル、4’プロピオニルアミノ−フェニル、4’−ベンゾイルアミノ−フェニルから選択される置換フェニル基であるか、またはピリジン、ピロール、チオフェン、フラン、インドールから選択されるヘテロアリール環である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
YRがOHである、請求項1記載の使用。
【請求項4】
YがNHであり、Rが下記のいずれかである、請求項1記載の使用:
− H、C〜C−アルキル、C〜C−アシル;
− 式−CH−CH−O−(CH−CHO)R”で表される残基(式中、R”はHまたはC〜C−アルキルである);
− 式−(CH−NRaRbで表される残基(式中、nは2または3の整数、より好ましくは3であり、NRaRb基はN,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、1−ピペリジル、4−モルホリル、1−ピロリジル、1−ピペラジニル、1−(4−メチル)ピペラジニルである)。
【請求項5】
下記から選択される、請求項1記載の式(I)で表されるスルホン酸類および誘導体化合物、並びにその薬学的に許容される塩:
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホン酸
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホン酸
1−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]エタンスルホン酸
1−[4−(1−オキソ−2−イソインドリニル)フェニル]エタンスルホン酸
2−(4−フェニルスルホニルオキシ)エタンスルホン酸
2−(4−フェニルスルホニルオキシ)エタンスルホン酸
(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホン酸
2−(3−ベンゾイルフェニル)エタンスルホン酸
2−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホン酸
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(4−メタンスルホニルアミノフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル)エテンスルホン酸
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテンスルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテンスルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテンスルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテンスルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−メチルスルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
E−2−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
E−2−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エテン−N−(2”−メトキシエチル)スルホンアミド
(1−メチル−5−イソブチリルピロリル)−1−メタンスルホンアミド
(1−メチル−5−アセチルピロリル)−1−メタンスルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタンスルホンアミド
1−(3−イソプロピルフェニル)エタンスルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−(N,N−ジメチルアミノプロピル)スルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−(2−メトキシエチル)スルホンアミド
1−(4−イソブチルフェニル)エタン−N−メチルスルホンアミド
1−(3−ベンゾイルフェニル)エタン−N−メチルスルホンアミド
1−[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エタン−N−メチルスルホンアミド
1−[4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル]エタン−N−メチルスルホンアミド
1−[4−イソブチルフェニル]エタン−N−アセチルスルホンアミド
E−2−(3−ベンゾイルフェニル)−2−メチル−エテンスルホンアミド
E−2−(3−イソプロピルフェニル)−2−メチル−エテンスルホンアミド
E−2−(4−イソブチルフェニル)−2−メチル−エテンスルホンアミド。
【請求項6】
エタンスルホンアミド類であって、(−)または(+)の単一エナンチオマー形態である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
請求項1記載の式(I)で表される化合物のうち、YRがOHである化合物の製造方法であって、式(IV)
【化4】

(式中、JはHまたはCOCHである)で表される中間体化合物を、適切な酸化剤(例えばH、HClO、またはm−クロロ過安息香酸などの過酸)と反応させることを含む、前記方法。
【請求項8】
請求項1記載の式(I)で表される化合物のうち、YがNHであり、Xが−CH−または式(II)
【化5】

で表されるE配置のエチレン型の基である化合物の製造方法であって、対応のハロゲン化スルホニル(例えば塩化スルホニル)を、1または2当量の式NHRで表されるアミンと反応させることを含む、前記方法。
【請求項9】
請求項1記載の式(I)で表される化合物のうち、YがNHであり、Xが−CH(CH)−である化合物の製造方法であって、式(IV)
【化6】

(式中、JはHまたはCOCHである)で表される中間体化合物を、適切なN−ブロモイミド(例えばN−ブロモフタルイミド)と反応させ、次いで硫黄原子を酸化させた後、スルホンアミド誘導体を脱保護することを含む、前記方法。
【請求項10】
請求項5または6記載の化合物を、その適切な担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項5または6記載の化合物。
【請求項12】
乾癬、潰瘍性大腸炎、黒色腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、水疱性類天疱瘡、慢性関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎を治療するため、並びに虚血および再潅流によって引き起こされる損傷を予防および治療するための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2006−520367(P2006−520367A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505463(P2006−505463)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050293
【国際公開番号】WO2004/080951
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(506102293)ドムペ・ファ.ル.マ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (11)
【Fターム(参考)】