説明

スロットマシン

【課題】 自動的、かつ確実にメダルをメダル投入口に誘導する。
【解決手段】 メダルが投入されるメダル投入口21と、メダルを誘導可能にメダル投入口21に通じ、このメダル投入口21に向かって上方に傾斜するとともに、メダルを載置可能に凹設されたメダル載置部23と、メダル載置部23の上を、この傾斜方向に沿って上下に移動し、メダルをメダル投入口21に誘導するメダル誘導部24と、を備え、メダル誘導部24は、この先端部に傾斜方向とほぼ直交するメダル当接面241を有する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体としてメダルを用いるスロットマシンに関し、特に、メダルが自動的に投入されるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダルをメダル投入口から投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄を表示した複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始する。そして、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押下されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数のメダルがメダル払出口より払い出されるように構成されている。
【0003】
このようなスロットマシンへのメダルの投入は、遊技者がメダルを指でつまみ、つまんだメダルをメダル投入口に向けて投下することで行われる。
この際には、通常一枚ずつ投入せずに、複数枚をつまんで、順次投入する。
このようなメダル投入において、メダルの扱いに不慣れな遊技者にとって、複数枚をつまんで、メダルをスムーズに投入することは、容易ではなかった。
このようなメダル投入に係る遊技動作を簡素化するため、自動的にメダルを投入する投入装置の発明が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−230863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の投入装置は、以下のような問題が生じるおそれがあった。
例えば、メダルを縦置きに並べて載置ずる部分が、水平になっているため、メダル投入口にメダルを誘導するときに、メダルが倒れてしまい、メダルを確実に誘導することができない。
また、メダルを誘導する部分が、すべて外部に露出していることから、この部分が破壊される。
さらに、この投入装置は、遊技者が所定の操作ボタンを操作することで、作動するように構成されているため、メダル投入に係る遊技動作がボタン操作に代わったに過ぎず、完全な自動化が図られていない。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、実用性を有し、破壊されにくく、自動的、かつ確実にメダルをメダル投入口に誘導する画期的なメダル投入装置を備えたスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、メダルが投入されるメダル投入口と、メダルを誘導可能に前記メダル投入口に通じ、このメダル投入口に向かって上方に傾斜するとともに、メダルを載置可能に凹設されたメダル載置部と、前記メダル載置部の上を、この傾斜方向に沿って上下に移動し、メダルを前記メダル投入口に誘導するメダル誘導部と、を備え、前記メダル誘導部は、その先端部に前記傾斜方向とほぼ直交するメダル当接面を有する構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスロットマシンによれば、自動的、かつ確実にメダルをメダル投入口に誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
ここで、以下の実施形態に示す本発明のスロットマシンは、プログラムに制御されたコンピュータにより動作するようになっている。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、所定の制御、例えば、リールの回転開始,リールの停止制御,内部抽せん等を行わせる。このように、本発明にかかるスロットマシンにおける各制御,動作は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現されるものである。なお、プログラムは予めROM等の記録媒体に格納され、コンピュータに実装された記録媒体から当該コンピュータにプログラムを読み込ませて実行される。
【0010】
[スロットマシン本体]
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、同じく本実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。また、図3は、本実施形態に係るスロットマシンのメダル投入装置を示す概略斜視図であり、図4は、本実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機である。
【0011】
具体的には、本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部50及び必要な機械,装置等を収納可能な筐体状に構成されており、筐体1bの前面側が前扉1aによって開閉可能に覆われている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る各装置等が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0012】
前扉1aの中央右側には、遊技媒体となるメダルを自動的に投入する本発明のメダル投入装置2が配置されている。
図3に示すように、メダル投入装置2には、メダルの受入れ口であるメダル投入口21が設けられ、このメダル投入口21から投入されたメダルは、このメダル投入口21より下流側に配置されたメダルセレクター10に流入する。
なお、メダル投入装置2の詳細な構成については、後述する。
【0013】
前扉1aの中央左側には、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、遊技者により、スタートレバー3が操作されることで、スタート信号が出力される。
そして、ゲーム可能な状態において、このスタート信号が出力されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転開始する。
【0014】
前扉1aの中央部には、各リール41に対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられており、遊技者により、各停止ボタン5が押下操作されることで、ストップ信号が出力され、回転している各リール41を停止させることができるようになっている。
【0015】
前扉1aの中央上側には表示窓6が設けられており、各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄が、当該表示窓6を介して視認できるようになっている。
【0016】
前扉1aの下部には、メダルが排出されるメダル払出口8が設けられている。
このメダル払出口8からは、入賞時に払出されるメダルのみならず、投入メダルが返却される遊技状態において、後述のメダルセレクター10に設けられたブロッカー12が作動しているときに投入されたメダルも排出される。
【0017】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサなどを備えるドラムユニット4が設けられている。
ドラムユニット4は、制御部50によって制御され、ゲーム可能な状態で、スタートレバー3が操作されると、各リール41が一斉に回転を開始し、また、停止ボタン5が操作されると、この操作タイミングと、制御部50で行われるボーナス役や小役等を抽せんする内部抽せん結果とに基づき、各リール41が停止される。
【0018】
筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出すメダル払出装置7が設けられている。各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せが所定の組合せで停止表示された場合に、このメダル払出装置7が作動して、所定数のメダルがメダル払出口8から払出される。
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられている。
メダル投入口21から投入されたメダルは、メダルセレクター10に流入し、センサなどの検出手段11で検出された後に、当該ホッパー7aに貯留される。
【0019】
前扉1aの裏面には、上述のメダル投入口21と連通し、メダル投入口21から投入されたメダルを検出するとともに、ホッパー7aに誘導するメダルセレクター10が設けられている。
メダルセレクター10は、詳細には図示しないが、メダル投入口21とホッパー7aとの間に架設されたメダルのバイパス流路として形成され、このバイパス流路に、種々の装置が付設されたものである。
【0020】
具体的には、メダルセレクター10には、流入したメダルをホッパー7aへ誘導するか、メダル払出口8に誘導するかの流路切替えを行うブロッカー12と、このブロッカー12より下流側に設けられ、遊技に費やされるメダルを検出するセンサ等の検出手段11と、が設けられている(図4参照)。
【0021】
ブロッカー12は、例えば、ソレノイドを駆動源とし、励磁されることで、ホッパー7aへメダルを誘導するように構成された流路切替装置である。
そして、ソレノイドが非励磁となると、ブロッカー12が作動し、メダルセレクター10を通過するメダルは、メダルセレクター10から離脱し、メダルセレクター10の下部に設けられたシュート9を経て、メダル払出口8から排出され、遊技者に返却される。
【0022】
検出手段11は、投入メダルを返却する遊技状態以外の遊技状態であって、ブロッカー12が未作動時にメダルが到達するように、ブロッカー12より下流側に設けられ、この検出手段11によって検出されたメダルは、ホッパー7aへ誘導される。
検出手段11からの検出信号は、後述する制御部50に入力され、この検出信号に基づき、制御部50が、スタートレバー3が操作可能な状態、すなわちゲーム可能な状態に制御し、また、ゲームに賭け得るメダル数を制御部50の内部メモリ(RAM50c)に記憶する、所謂クレジットすることができる。
【0023】
筐体1bの上部には、上記の各部、各装置を制御することでスロットマシン遊技を進行させる制御部50が設けられている。
制御部50は、図4に示すように、中央演算処置装置(CPU50a)、各種データや遊技プログラムが記録されたROM50b、ワーク領域として機能するRAM50c、上記各装置との信号を送受するI/O(入出力インターフェイス)50dなどが設けられたマイクロコンピュータとして構成されている。
【0024】
そして、制御部50は、I/O50dを監視することで、メダルセレクター10の検出手段11からの検出信号を検出し、この検出信号に基づき、スロットマシン1をゲーム可能な状態に制御するとともに、所定の遊技状態においては、上述のブロッカー12を作動させ、メダル投入口21から投入されたメダルをメダル払出口8に誘導し、遊技者に返却する。
【0025】
具体的には、ROM50bには、遊技状態毎の、ゲーム可能な状態、つまり、スタートレバー3の操作を有効な状態とするために必要なメダル数(以下、有効メダル数という)があらかじめ記憶されている。
そして、制御部50は、遊技状態毎に、この有効メダル数をROM50bから読込む処理を行う(投入数決定手段)。
制御部50は、一遊技毎に、検出手段11からの検出信号に基づいて計数した投入メダル数と、読込んだ有効メダル数とを比較し、一致している場合には、スロットマシン1をゲーム可能な状態、つまり、スタートレバー3の操作を有効な状態にする。
【0026】
例えば、ROM50bには、ボーナスゲームなどの特別遊技状態では、一枚(獲得枚数の調整によって、二枚又は三枚でもよい)、それ以外の通常遊技状態では、三枚が有効メダル数として記憶され、制御部50は、一遊技毎に、この有効メダル数と投入メダル数との比較し、一致したときにスロットマシン1をゲーム可能な状態に移行させる。
そして、この状態でスタートレバー3が操作されると、制御部50は、スタート信号を検出し、その結果、パルスモータを制御するパルス信号をドラムユニット4に送信して、各リール41の回転を開始させる。
【0027】
また、スタート信号を検出したタイミングで、メダルセレクター10のブロッカー12を作動させ、メダル投入口21から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
さらに、このタイミングで、所定数のメダルを獲得可能な小役、小役に高確率で当せんするボーナスゲームに移行するボーナス役、メダル投入することなく再遊技可能なリプレイ役などの抽せん対象を抽せんする内部抽せんを行う。
【0028】
そして、各リール41が回転した状態で、各停止ボタン5が操作されると、制御部50は、ストップ信号を検出し、このストップ信号と内部抽せんの抽せん結果とに基づき、パルスモータを制御するパルス信号をドラムユニット4に送信し、各リール41を停止制御する。
また、内部抽せんでリプレイ役に当せんし、各リール41が、このリプレイ役に対応した所定の図柄の組合せで停止表示した場合には、制御部50は、メダルを投入することなく再遊技可能な状態に制御し、スタート信号の入力を監視する。
このときには、ブロッカー12を作動させ、メダル投入口21から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
【0029】
また、制御部50は、ゲームに賭け得るメダル数をRAM50cに記憶する、所謂クレジットを行う。
図示しない所定のクレジットボタンが操作され、クレジット可能な状態において、メダル投入口21からメダルが投入されたときや、小役に入賞したときには、制御部50は、検出信号の入力数や、払出される払出数を積算し、メダル枚数にして最大五十枚まで、RAM50cに記憶する。
そして、RAM50cに五十枚のメダルが記憶されている場合には、メダルセレクター10のブロッカー12を作動させ、メダル投入口21から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
【0030】
このように、制御部50は、検出信号や、スタート信号、ストップ信号などの入力信号に基づき、各リール41を回転・停止させ、スロットマシン遊技の進行を制御するとともに、その時々の遊技状態に応じて、メダルセレクター10のブロッカー12を作動させ、メダル投入口21から新たに投入されたメダルをメダル払出口8に誘導する。
そして、ブロッカー12が作動した場合には、メダル投入口21から新たに投入されたメダルは、メダル払出口8から遊技者に返却される。
【0031】
[メダル投入装置]
次に、メダル投入装置2について、図3〜図6を参照しつつ、詳細に説明する。
図5は、メダル投入装置2を長手方向に沿って切断した断面図であり、図6は、図5におけるB−B断面を示す断面図である。
本実施形態のメダル投入装置2には、メダル投入口21と、背部22と、メダル載置部23と、メダル誘導部24などが設けられている。
【0032】
メダル投入口21は、矩形状に開口された開口部21aを有し、その寸法は、投入可能なメダルの外径及び厚みを規制するように形成され、規定の大きさ以上のメダルが投入できないようになっている。
メダル投入口21から投入されたメダルは、流路211を経て、前述したメダルセレクター10に流入する。
【0033】
また、メダル投入口21は、その開口部21a長辺と当該スロットマシン1の奥行き方向とがほぼ平行となるように配置してある(図1,3参照)。その結果、本実施形態のメダル投入装置2は全体が横長に形成されていることから、その長手方向が前扉1aの表面と平行となるように配置されることになる。
これにより、従来の筐体構造を設計変更することなく、メダル投入装置2を取付けることができ、製造コストの低減が図られるようになっている。
【0034】
背部22は、図5に示すように、メダル投入口21の後面であって、上方に延出するように形成され、メダルがメダル投入口21に流入し易いように斜めに傾いて立設されている。
【0035】
メダル載置部23は、メダルを誘導可能にメダル投入口21に通じ、メダル投入口21に向かって上方に傾斜(約15度)するとともに、メダルを載置可能に凹曲面として形成されている。
曲面の曲率は、メダル外径と曲率とほぼ一致し、図5に示すように、a点からb点まで、約五十枚のメダルMを縦置きに並べて載置することができる。
また、b点の近傍には、メダル投入口21に向かって下方に傾斜するテーパ部233が設けられ、メダル誘導部24によって、b点の近傍まで誘導されたメダルMが、自重でメダル投入口21に落下するようになっている。
【0036】
また、メダル載置部23には、メダル投入口21に向かう傾斜方向に対して左右両端側に、後述のメダル誘導部24の凸部242(本発明の被支持部)がガイドされる凹状のガイド部231が、傾斜方向に沿って形成されている。
このガイド部231によって凸部242の可動範囲が制限され、メダル誘導部24が左右に揺動することなく、傾斜方向に沿って、上下に移動することができるようになっている(図6参照)。
また、特許文献1記載のメダル投入装置のように、メダル載置部の底面に凹状のガイド部を設けると、ゴミ等が蓄積することになるが、本実施形態のガイド部231のように、底面に設けることなく、メダル載置部23の左右両端側に形成することで、そのような心配もなく、掃除等のメンテナンス作業が容易になる。
なお、本実施形態では、ガイド部231を凹状に形成したが、メダル誘導部24の被支持部を凹状に形成した場合には、これをガイド可能に、ガイド部231を凸状に形成してもよい。
【0037】
メダル誘導部24は、メダル載置部23の上を、その傾斜方向に沿って上下に移動し、メダルMをメダル投入口21に誘導するように構成されている。
具体的には、メダル誘導部24は、メダル載置部23の曲面を摺動可能な曲率を有する丸棒状に形成され、その先端部には、本発明のメダル当接面241が設けられている。
【0038】
メダル当接面241は、メダル載置部23の傾斜方向とほぼ直交し、メダル投入口21の開口部21a長辺(背部22)と対向するように形成されている。
その結果、図5に示すように、傾斜方向に沿ったメダルMの重量分がメダル当接面241に垂直に加わるため、メダルMの表面をメダル当接面241に当接させたままの状態で、メダルMを上下に移動させることができる。
これにより、メダルMを倒すことなく、確実にメダル投入口21に誘導することができる。
【0039】
また、メダル誘導部24を、棒状に形成することで、メダル誘導部24の剛性を増大させることができ、耐久性が向上する。
さらに、丸形状とすることで、遊技者がメダルをメダル載置部23に載置する際に、手や指などを損傷する危険が回避され、安全性が確保されるだけでなく、メダル当接面241がメダルMの表面を無駄なく押圧することができる。
【0040】
また、メダル誘導部24は、その両端部に、上述のガイド部231によってガイドされるフランジ状の凸部242が形成されている(図6参照)。
なお、本実施形態では、凸部242を左右両端部に形成したが、左端部又は右端部のいずれか一方のみに形成してもよい。この場合には、ガイド部231も凸部242の形成位置に対応して、いずれか一方に設けることは勿論である。
【0041】
また、メダル誘導部24の後端部側は、カバー部232で覆われている。
これにより、メダル誘導部24が、すべて外部に露出されることがなくなり、メダル誘導部24を破壊から保護することができる。
【0042】
そして、このように構成されたメダル誘導部24は、内部に螺合された雄ネジを有する棒材であるボルト252が回転することで、上下に移動する。
具体的には、図5に示すように、メダル誘導部24は、その内部にボルト252が挿抜可能な穴を開け、その内周面にボルト252と螺合する雌ネジ243が設けられている。
【0043】
ボルト252は、メダル載置部23の傾斜方向を軸方向として取付けられている。ボルト252が回転すると、これに螺合する雌ネジ243によって、メダル誘導部24も回転する。ところが、上述のガイド部231が凸部242の揺動を制限することから、メダル誘導部24は、メダル載置部23の傾斜方向に沿って上下に移動することになる。
このように、メダル誘導部24は、ボルト252の回転が伝達されて、傾斜方向に沿って上下に移動することから、雌ネジ243のピッチを細かく形成することで、メダル誘導部24を微小に移動させることができ、メダルを一枚単位でメダル投入口21に誘導することができる。
【0044】
ボルト252は、本発明の駆動手段であるモータ251の回転に従って回転する。
モータ251は、例えば、入力パルス数に対して回転角が定まるパルスモータで構成され、制御部50から出力されるパルスによって回転制御される。
モータ251の回転は、複数のギヤが内蔵されたギヤボックス25によって、回転数及びトルクが調整されて、ボルト252に伝達される。
また、ギヤボックス25の各ギヤ比とボルト252のピッチはあらかじめ定められているため、入力されたパルス数からメダル誘導部24が移動した距離を簡単に算出できるようになっている。
すなわち、メダル誘導部24を、図5におけるa点からb点に移動させる場合、モータ251に入力するパルス数は一定値(後述の所定のパルス数)を示すことになる。
【0045】
また、メダル誘導部24の後端部側には、原点位置(a点)を検出するために、検出手段が設けられている。
検出手段は、メダル誘導部24の後端部に形成された遮光板244と、フォトインタラプタ等のセンサ245などからなる。遮光板244がセンサ245を遮光することで、センサ245から検出信号が制御部50に出力され、制御部50が原点位置(a点)を検出できるようになっている。
【0046】
また、メダル投入口21からメダルセレクター10に連通する流路221における、メダル投入口21の開口部21a近傍には、メダル投入口21から投入されたメダルを検出する検出手段が設けられている。
この検出手段は、メダルセレクター10の検出手段11と別個独立して設けられ、フォトインタラプタなどのセンサ26で構成されている。そして、メダル投入口21から投入されたメダルが、センサ26を通過することで、センサ26から検出信号が制御部50に出力され、制御部50が、投入されたメダル数を計数することができるようになっている。
また、センサ26を開口部21a近傍に設けることで、投入されたメダルを速やかに検出できるため、誘導して投入されるメダル数が有効メダル数を超過しないように、制御部50がメダル誘導部24をメダル投入口21に向けて移動させることができる。
【0047】
さらに、流路221におけるセンサ26の下流側には、本発明の閉塞手段が設けられている。
閉塞手段は、本実施形態では、流路221に対して進退可能に設けられ、ソレノイド27に挿入されるプランジャと一体に形成された突出部271と、弾性をもって伸縮するバネ272と、電磁石からなり、制御部50によって制御されるソレノイド27などから構成されている。
このような構成により、ソレノイド27が非励磁のときは、バネ272が伸長することで、突出部271の先端面が流路211の壁面に当接し、流路221が閉塞される。
一方、ソレノイド27が励磁されたときは、プランジャが吸引されることで、バネ272が弾性力に抗して縮み、これに伴い、突出部271もソレノイド27側に移動する(図5参照)。その結果、閉塞が解除され、流路221をメダルが流下可能な状態にすることができる。
【0048】
ここで、閉塞手段の異なる実施形態を図7に示す。これは、突出部271をメダル投入口21の上部に設けた例である。
この場合、突出部271は、同図に示すように、ソレノイド27が非励磁のときは、メダル投入口21をメダル投入不能に閉塞する(突出部271b参照)。
一方、ソレノイド27が励磁されたときは、閉塞を解除し、メダル投入口21へのメダル投入を可能な状態にするとともに、背部22として機能するようになっている(突出部271a参照)。
【0049】
そして、以上のような構成からなる本実施形態のメダル投入装置2は、図4に示すように、本発明の制御手段である制御部50によって制御されている。
すなわち、メダル誘導部24を移動させるモータ251と、メダル誘導部24の原点位置を検出するセンサ245と、投入されたメダルを検出するセンサ26と、流路221を閉塞するソレノイド27とは、制御部50のI/O50dに接続され、CPU50aで制御することができる。
そして、制御部50は、一遊技毎にROM50bから読込んだ前述の有効メダル数と、センサ26からの検出信号とに基づき、モータ251を回転制御することで、載置部23に載置されたメダルを自動的にメダル投入口21に誘導するようになっている。以下、制御部50において行われるメダル投入制御について説明する。
【0050】
まず、制御部50は、メダル誘導部24の位置を常時監視している。
例えば、電源投入時は、センサ245からの検出信号に基づき、メダル誘導部24を原点位置(a点)に移動させるように制御する。
また、制御部50は、メダル投入に伴いメダル誘導部24をメダル投入口21に向けて移動させるときには、モータ251に出力したパルス数を累計する。そして、この累計値が、所定のパルス数(前述の一定値)となったときには、メダル当接面241が終端位置(b点)に位置したと判定し、メダル誘導部24を、原点位置(a点)に移動させるように制御する。
すなわち、制御部50は、メダル誘導部24を、メダル投入に伴い終端位置(b点)に向けて移動させ、終端位置(b点)に達した場合は、原点位置(a点)に戻す制御を繰り返すようになっている。
なお、この場合において、制御部50は、モータ251に出力したパルス数を累計し、メダル誘導部24の位置を常時監視していることから、常に原点位置(a点)に戻す制御を行わなくとも、上記の所定のパルス数から任意のパルス数を減算した位置に戻してもよい。このとき戻す位置は、遊技者が操作可能な入力手段を制御部50に接続し、この入力手段からの入力信号に基づいて決定してもよい。これにより、メダル載置部23に載置するメダル数に応じて戻す位置を変更することができる。
【0051】
また、制御部50は、メダル誘導部24を移動させる場合に、以下のような制御を行う。
例えば、メダル誘導部24を原点位置(a点)に戻すときには、終端位置(b点)に向けて移動させるときよりも、モータ251に入力するパルス周波数を高くし、メダル誘導部24を速く原点位置(a点)に戻すように制御している。
また、メダル誘導部24を終端位置(b点)に向けて移動させるときも、投入メダル数が有効メダル数に近づくにつれ、モータ251に入力するパルス周波数を徐々に低くし、投入メダル数が有効メダル数を超過することを防止している。
【0052】
そして、制御部50は、投入メダルを返却する遊技状態以外の遊技状態、すなわち、ブロッカー12が未作動のときは、メダルが投入可能な状態と判定し、センサ26から出力される検出信号を監視しつつ、モータ251を制御して、メダル誘導部24をメダル投入口21に向けて移動させる。
具体的には、センサ26から出力される検出信号に基づき、投入メダル数を計数し、この計数値があらかじめ読込んだ有効メダル数に達するまで、モータ251を回転させ、メダル誘導部24をメダル投入口21に向けて移動させる。そして、計数値が有効メダル数に達した場合は、モータ251の回転を停止する。
これにより、有効メダル数が確実に投入される。
このように、本発明のメダル投入装置2は、メダル誘導部24を、実際に投入されたメダル数を監視しつつ、メダル投入口21に移動させるので、遊技状態に応じた必要数のメダルを過不足なく確実に投入できる。
【0053】
さらに、制御部50は、ソレノイド27を制御することで、突出部271を移動させ、流路221を閉塞又は流下可能な状態に制御することができる。
例えば、上記のように、計数値が有効メダル数に達した場合は、モータ251の回転を停止すると同時に、ソレノイド27をオフ制御(非励磁)し、突出部271を突出させ、メダル投入口2又は流路221を閉塞することもできる。
これにより、モータ251の応答の遅れやメカ的な遅れにより、メダル誘導部24が万一オーバーランした場合でも、メダル投入口2又は流路221を閉塞することで、無用なメダルが投入されることを防止することができる。
【0054】
また、制御部50は、ブロッカー12が作動し、投入メダルを返却する遊技状態において、ソレノイド27を制御し、メダル投入口2又は流路221を閉塞することもできる。
例えば、各リール41が回転中の場合や、リプレイ役に対応した所定の図柄の組合せで停止表示した場合、五十枚のメダルがクレジットされている場合などの投入メダルを返却する遊技状態であることに気づかずに、遊技者が自らメダルをメダル投入口21から投入したときには、投入したメダルはメダル払出口8から返却されることになる。その結果、遊技者は、返却されたメダルをメダル払出口8から取り出し、再びメダル投入口21に投入する作業を行わなければならない。
【0055】
そこで、制御部50は、このような投入したメダルが返却される遊技状態になると、ソレノイド27を制御し、流路221を閉塞するようになっている。
これにより、返却されたメダルを再びメダル投入口2に戻すような余分な作業をなくすことができ、遊技者の作業負担を軽減することができる。
【0056】
以上述べたように、本実施形態のスロットマシン1では、メダル投入口21にメダルを自動的に投入するメダル投入装置2が設けられている。これにより、遊技者は、リール41の回転中などの遊技の合間に、メダル載置部23にメダルを載せる操作を行うだけで、遊技状態に応じた必要な数のメダルが過不足なく、自動的、かつ確実に投入される。
このように、単にメダルをメダル載置部23に載せる操作を行うのみで、メダルが順次投入されることから、メダルの扱いに不慣れな遊技者であっても、ストレスを感じることなく、円滑に遊技を進行させることができる。
【0057】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0058】
例えば、本実施形態では、突出部271は、ソレノイド27がオフ制御(非励磁)で、メダル投入口21又は流路221を閉塞する構成としたが、突出部271の位置及び動作方向は同一で、ソレノイド27を逆向きに取付け、オン制御(励磁)で、突出部271を突出させて閉塞する構造とすることもできる。
また、突出部271を突出させる動力源として、ソレノイド27に代えて、モータを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、メダルを使用して遊技が行われるスロットマシン(回胴式遊技機)に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入装置を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入装置を長手方向に沿って切断した断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入装置を短手方向に沿って切断した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入装置の閉塞手段が異なる実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 スロットマシン
2 メダル投入装置
21 メダル投入口
22 背部
221 流路
23 メダル載置部
231 ガイド部
232 カバー部
24 メダル誘導部
241 メダル当接面
242 凸部(被支持部)
25 ギヤボックス
251 モータ
252 ボルト
3 スタートレバー
4 ドラムユニット
41(41a,41b,41c) リール
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 メダル払出口
9 シュート
10 メダルセレクター
11 検出手段
12 ブロッカー
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルが投入されるメダル投入口と、
メダルを誘導可能に前記メダル投入口に通じ、このメダル投入口に向かって上方に傾斜するとともに、メダルを載置可能に凹設されたメダル載置部と、
前記メダル載置部の上を、この傾斜方向に沿って上下に移動し、メダルを前記メダル投入口に誘導するメダル誘導部と、を備え、
前記メダル誘導部は、その先端部に前記傾斜方向とほぼ直交するメダル当接面を有すること特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記メダル誘導部を、上下に移動させる所定の駆動手段を備える請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記メダル誘導部の後端部側を操作不能に覆うカバーを備える請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記メダル誘導部は、前記傾斜方向を軸方向として取付けられた雄ネジを有する棒材に螺合して上下に移動する請求項1〜3のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記メダル誘導部の内部に、前記棒材に螺合する雌ネジを形成した請求項4記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記メダル載置部は、メダル径の曲率を有する曲面として形成され、
前記メダル誘導部は、この曲面に沿う丸棒状に形成された請求項1〜5のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項7】
前記メダル誘導部は、前記傾斜方向に沿って凸設又は凹設された被支持部を備え、
前記メダル載置部に、前記被支持部をガイドするガイド部を設けた請求項1〜6のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項8】
前記ガイド部を、前記メダル載置部の底面以外に設けた請求項7記載のスロットマシン。
【請求項9】
前記メダル投入口を、このメダル投入口の開口部長辺と当該スロットマシンの奥行き方向とがほぼ平行となるように配置した請求項1〜8のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項10】
一遊技毎に遊技に必要なメダル投入数を決定する投入数決定手段と、
前記メダル投入口の開口部近傍に設けられ、前記メダル投入口から投入されたメダルを検出する検出手段と、
決定されたメダル投入数とこの検出手段からの検出信号とに基づき、前記メダル誘導部の移動を制御する制御手段と、を備える請求項1〜9のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項11】
前記メダル投入口又は、このメダル投入口と連通する流路を閉塞する閉塞手段を備える請求項1〜10のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項12】
前記閉塞手段が、前記決定されたメダル投入数と前記検出手段からの検出信号とに基づき、前記メダル投入口又は、前記流路を閉塞する請求項11記載のスロットマシン。
【請求項13】
前記閉塞手段が、投入したメダルが返却される所定の遊技状態のときに、前記メダル投入口又は、前記流路を閉塞する請求項11又は12記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−88780(P2010−88780A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264091(P2008−264091)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】