説明

スロットマシン

【課題】リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減可能なスロットマシンを提供する。
【解決手段】未停止リールの有効ラインが通過する箇所に仮想的に図柄を配置して発生し得る入賞役を想定し、当選フラグとの関係において発生を禁止すべき入賞役の入賞の可能性がある場合には、その仮想的に配置した図柄が停止することを禁止するようにリール制御する。ある図柄を配置したときに発生し得る入賞役を特定するために、リール別の入賞検索テーブルを利用する。ただし、入賞検索テーブルには、1つのリールに同じ図柄が複数配列されている場合でも、各図柄に対応させて重複して入賞役データを格納せず、図柄種類毎に入賞役データを格納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、スロットマシンに関する。詳しくは、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示領域を含む可変表示装置を備え、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記可変表示領域に表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、前記可変表示領域に導出表示された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスロットマシンでは、スタート操作に応じてリールが回転を開始するとともに、入賞抽選するための乱数に基づいて各入賞役別に当選の有無が判定される。その結果、いずれかの入賞役に当選した場合には、リールの停止操作が検出されたときに、基準位置(たとえば、可変表示装置の上段、中段、下段のいずれかの位置)に位置する図柄から所定の最大滑りコマ数の範囲内で図柄が滑り、その入賞役に対応する表示結果が導出されるようにリールが停止制御される。
【0003】
このようにリールを停止制御する技術としては、リールの停止操作が検出された時点でのリールの出目と、その出目に対応する滑りコマ数との関係を規定した複数種類の滑りコマ数テーブルを予めスロットマシンに記憶しておき、ゲーム状況に応じた滑りコマ数テーブルを選択してリールを停止制御する技術が知られている。
【0004】
ところが、すべてのゲーム状況に対応してリールを停止制御できるようにするためには数多くの滑りコマ送り数テーブルが必要となり、必要記憶容量の増大を招くという問題が生じる。このような問題を解決するためのリール制御の技術として、ゲームの開始時に当選状況に応じた停止制御テーブルを選択し、リールが停止したときに、停止結果と当選状況とを判定して、その停止制御テーブルで用いる滑りコマ数テーブルの見直しを図るようにする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−325753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、出目のバリエーションやリール制御のバリエーションを増やすために入賞の種類は増加傾向にあり、滑りコマ数テーブルの見直し等を図るための判定用のデータの記憶に必要とされる容量も増加傾向にあった。
【0007】
本発明は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減可能なスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を変動表示可能な可変表示領域(透視窓3から見える左、中、右リールの各部分)を含む可変表示装置を備え、遊技用価値(メダル、クレジット)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記可変表示領域に表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、前記可変表示領域に導出表示された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
前記可変表示領域において一巡する複数の識別情報のうちには、いずれが導出表示されても同じ入賞を発生させる同種の識別情報が含まれており(図3;左リールの場合には、たとえば、リプレイが図柄番号位置2,7,11,15,19に配列)、
入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(図21のS2)と、
前記可変表示領域に導出表示される識別情報によって発生し得る全ての入賞を特定可能な入賞特定用データを記憶している入賞特定用データ記憶手段(図16の入賞検索テーブル)と、
前記入賞特定用データと前記事前決定手段の決定とに基づいて、発生し得る入賞を検索する入賞検索手段(図24のS57〜S60)と、
入賞検索手段の検索結果を用いて、前記識別情報の導出パターンを作成する導出パターン作成手段(図24のS61〜S68、図21のS10、S11、S14〜S16)と、
前記可変表示領域について表示結果を導出表示させる操作を検出したときに、前記導出パターンを参照して当該可変表示領域に表示結果を導出表示させる導出表示制御手段(図21のS12、S13、S17、S18)とを含み、
前記入賞特定用データ記憶手段は、当該可変表示領域において一巡する複数の識別情報の種類毎に前記入賞特定用データを記憶している(図16の入賞検索テーブル)。
【0009】
このような構成によれば、入賞特定用データ記憶手段には、可変表示領域において一巡する複数の識別情報の種類毎に前記入賞特定用データが記憶されているため、可変表示領域において一巡する複数の識別情報の各々毎に前記入賞用特定データを記憶するような構成と比較して、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減可能となる。
【0010】
ここで、前述した遊技用価値とは、カードなどの記録媒体によって特定可能とされる残高(カード残高)、メダル(コイン)に代表される各種の遊技媒体(遊技玉を含む)、あるいはクレジットなどのデータで表される点数を含む概念である。
【0011】
また、「同じ入賞を発生させる同種の識別情報」とは、事前決定手段により入賞の発生が許容された一の入賞役に対応する識別情報であって、それぞれを比較したときに形態が同一のものをいう。
【0012】
(2) (1)のスロットマシンにおいて、
前記可変表示装置は複数の可変表示領域(透視窓3から見える左、中、右リールの各部分)を含んでおり、前記スロットマシンは前記複数の可変表示領域のそれぞれに導出表示された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能とされ、
前記入賞特定用データ記憶手段は、前記複数の可変表示領域の各々に対応して、前記入賞特定用データを記憶している(図16の入賞検索テーブル)。
【0013】
このような構成によれば、複数の可変表示領域の各々に対応して、入賞特定用データが記憶されているため、各可変表示領域について、発生し得る入賞を検索することが可能となる。また、複数の可変表示領域分について、入賞特定用データの記憶容量を削減でき、記憶容量削減効果を高めることが可能となる。
【0014】
(3) (2)のスロットマシンにおいて、
前記複数の可変表示領域の各々には識別情報の変動表示方向に複数の識別情報を導出表示可能であって、前記複数の可変表示領域に対して予め定めた複数の有効ラインのいずれかに予め定めた識別情報の組合せが成立したときに入賞が発生可能とされており(図1、図8の有効ライン)、
前記入賞検索手段は、発生し得る入賞を前記複数の有効ライン毎に検索する(図24のS57〜S60、図25〜図28)。
【0015】
このような構成によれば、発生し得る入賞が複数の有効ライン毎に検索されるため、発生し得る入賞を漏れなく把握できる。
【0016】
(4) (3)のスロットマシンにおいて、
一巡する複数の識別情報の各々を特定可能にするための複数の識別情報データを一巡する複数の識別情報の順番に従って前記可変表示領域別に記憶する識別情報記憶手段(図7のリールテーブル)を含み、
前記入賞検索手段は、
前記複数の有効ラインのうちの一の有効ラインに前記識別情報データにより特定される一の識別情報が導出表示されたと仮定した場合に当該識別情報との組合せで発生し得る入賞を検索する第1検索手段(図25のS571、S572等)と、
前記一の識別情報とともに同じ可変表示領域に導出表示される当該一の識別情報の前又は後の識別情報を前記識別情報データにより特定して、前記一の有効ラインと異なる他の有効ラインに当該識別情報が導出表示されたと仮定した場合に当該識別情報との組合せで発生し得る入賞を検索する第2検索手段(図27のS591、S592等、図8の上下方向矢印部分)とを含み、
前記識別情報記憶手段の記憶領域において、前記複数の識別情報データの先頭よりも前に前記複数の識別情報データの最後尾の識別情報データが付加されているか、又は、前記複数の識別情報データの最後尾よりも後ろに前記複数の識別情報データの先頭の識別情報データが付加されている(図7の第1停止リールテーブルの図柄番号0,20、第2停止リールテーブルの図柄番号0,20、第3停止リールテーブルの図柄番号0,20参照)。
【0017】
このような構成によれば、最後尾の識別情報データの次に先頭の識別情報データを識別情報記憶手段から読出す場合、または先頭の識別情報データの次に最後尾の識別情報データを識別情報記憶手段から読出す場合の各々の処理について、手順を変える必要がなく、両処理を共通化でき、その結果、プログラムの記憶容量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】スロットマシンの内部構造を示す図である。
【図3】リールに付された図柄の配列表を示す図である。
【図4】スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図5】入賞役を説明するための図である。
【図6】仮想的に設定される第1〜第3停止リールと、左、中、右リールとの対応関係を示す図である。
【図7】リールテーブルを説明するための図である。
【図8】有効ラインを説明するための図である。
【図9】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【図10】条件装置信号として送信される情報の一例を説明するための図である。
【図11】当選番号と入賞役との関係を説明するための図である。
【図12】当選番号と入賞役との関係を説明するための図である。
【図13】当選番号と入賞役との関係を説明するための図である。
【図14】当選番号と入賞役との関係を説明するための図である。
【図15】当選フラグを説明するための図である。
【図16】入賞検索テーブルを説明するための図である。
【図17】入賞予想フラグを説明するための図である。
【図18】入賞予想フラグ保持データを説明するための図である。
【図19】優先ポイントテーブルを説明するための図である。
【図20】入賞予想バッファを説明するための図である。
【図21】リールの停止制御に関するメインフローを示す図である。
【図22】第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】第2第3停止時テーブル選択処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】優先ポイント算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】有効ライン1の入賞検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図26】有効ライン2の入賞検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図27】有効ライン3の入賞検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図28】有効ライン4の入賞検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図29】第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図30】第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図31】第1停止時テーブルを説明するための図である。
【図32】変換用テーブルを説明するための図である。
【図33】滑りコマ数テーブル(第1停止前)の一例を示す図である。
【図34】検索用テーブルを説明するための図である。
【図35】検索用テーブルを説明するための図である。
【図36】第2第3停止時テーブルを説明するための図である。
【図37】第2第3停止時テーブルおよび作成される滑りコマ数テーブルの一例を示す図である(第2停止前の第2停止リール用)。
【図38】第2第3停止時テーブルおよび作成される滑りコマ数テーブルの一例を示す図である(第2停止前の第3停止リール用)。
【図39】仮想位置検索データテーブルおよび滑りコマ数の補正例を示す図である。
【図40】リール停止制御の具体例を示す図である。
【図41】リール停止制御の具体例に基づいた処理の流れを示す図である。
【図42】第1停止後の第2停止リールの滑りコマ数の設定例を示す図である。
【図43】第2停止後の第3停止リールの滑りコマ数の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。また、図2は、スロットマシンの内部構造を示す図である。また、図3は、可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。また、図4は、スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成されている。
【0020】
スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0021】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ、「ベル(たとえば、左リール2Lの領域番号20の図柄)」、「リプレイ(たとえば、左リール2Lの領域番号19の図柄)」、「白7(たとえば、左リール2Lの領域番号18の図柄)」、「ロゴ(たとえば、左リール2Lの領域番号17の図柄)」、「紋章(たとえば、左リール2Lの領域番号14の図柄)」、「スイカ(たとえば、左リール2Lの領域番号13の図柄)」、「赤7(たとえば、左リール2Lの領域番号10の図柄)」、「バー(たとえば、左リール2Lの領域番号6の図柄)」、「チェリー(たとえば、左リール2Lの領域番号5の図柄)」、「青7(たとえば、左リール2Lの領域番号1の図柄)」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。
【0022】
リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各リール毎に、各々上中下三段に表示される。透視窓3から覗く各リールに対応する表示領域によって、左、中、右の可変表示領域(変動表示領域)が構成されている。リール2L、2C、2Rの図柄が描かれた部分以外は白色であり、高い透過率で光を透過するようになっており、図柄が描かれた部分についても、その図柄の色彩に応じて光を透過するようになっている。
【0023】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図2、図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0024】
本実施の形態では、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータをリールモータ32L、32C、32Rに用いている。各リール2L、2C、2Rには、1図柄が移動するステップ数(8ステップ)毎に分割した21の領域が定められている。これら21の領域の1つを“1コマ”と称し、リールの回転に伴う図柄の移動数(変動数)を“コマ数”と称する。これら21の領域の各々には、リールに予め定めた“リール原点位置”から0〜20(図3参照)の図柄番号が割り当てられており、各々に、図3に示される種類の図柄が配列されている。
【0025】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から白色光で照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する9つのLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0026】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてその範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0027】
本実施の形態では、規定数の賭数として、遊技状態がビッグボーナスおよびレギュラーボーナス(以下、ボーナスともいう)であることに応じて「2」が定められて、遊技状態がビッグボーナスおよびレギュラーボーナス以外の遊技状態(以下、一般遊技あるいは一般遊技状態ともいう)であることに応じて「3」が定められている。
【0028】
また、前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L、2C、2Rの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0029】
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリール2L、2C、2Rの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0030】
また、図4に示すように、前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するRAM異常エラーを除くエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のBB終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のBB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられたホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図4参照)が設けられている。
【0031】
筐体1a内部には、リール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図4参照)、リールLED55からなるリールユニット、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0032】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0033】
電源ボックス100の前面には、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはRAM異常エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0034】
スロットマシン1においてゲームを行なう場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。
【0035】
遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L4(図1参照)の対応するラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
【0036】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために予め設定されているラインである。本実施の形態では、図1に示すように、入賞ラインL1〜L4の4種類が入賞ラインとして定められている。
【0037】
入賞ラインL1は、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL2は、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL3は、リール2Lの上段、リール2Cの上段、リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL4は、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。なお、入賞ラインは、L1〜L4に示すラインに限らず、たとえば各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨るラインなどを含むものであってもよい。
【0038】
ビッグボーナスおよびレギュラーボーナス以外の一般遊技状態であるときに規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L4(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。ビッグボーナスおよびレギュラーボーナスであるときに規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL2〜L4が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。
【0039】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。以下、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかの操作を“停止操作”と称する。
【0040】
全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化された入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。
【0041】
なお、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施の形態では、12枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化された入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0042】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
【0043】
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0044】
このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリール2L、2C、2Rの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、その結果として当該図柄から6コマ先までの図柄を上段に表示させることができる。すなわち、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリール2L、2C、2Rの下段に表示されている図柄を含めて7コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
【0045】
スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0046】
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40および遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
【0047】
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0048】
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0049】
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0050】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0〜65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、日時を計時するためのリアルタイムクロック50(以下、RTC50という)、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0051】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行なうととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブルなどの固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域などとして使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0052】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51および液晶表示装置71(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55などの電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
【0053】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51および液晶表示装置71の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報および時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路など、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0054】
スロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に有利度が段階的に低くなる。
【0055】
本実施の形態のスロットマシン1においては、可変表示装置のいずれかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0056】
[入賞役]
図5は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する情報ついて説明するための図である。
【0057】
図5を参照して、入賞役のうち特別役には、3種類のビッグボーナス1〜3(以下、各々のビッグボーナスをBBとも称する)と、レギュラーボーナス(以下、レギュラーボーナスをRBとも称する)とが含まれる。
【0058】
BB1は、入賞ラインのいずれかに「白7−白7−白7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB2は、入賞ラインのいずれかに「赤7−赤7−赤7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB3は、入賞ラインのいずれかに「青7−青7−青7」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0059】
BB1〜BB3のいずれかに入賞すると、ビッグボーナスに制御される。遊技状態がビッグボーナスに制御されている間は、入賞したBBの種類に対応するビッグボーナス中フラグがRAM41cに設定される。また、ビッグボーナスに制御されている間は、小役の所定確率に向上したBB時用のRBに制御される。BB時用のRBに制御されている間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。すなわち、ビッグボーナス中フラグがON状態に設定されている間は、毎ゲーム、レギュラーボーナス中フラグがON状態に設定された状態に制御される。
【0060】
BB1またはBB2の入賞に起因して発生したビッグボーナスは、361枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。BB3の入賞に起因して発生したビッグボーナスは、241枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。
【0061】
RBは、入賞ラインのいずれかに「赤7−赤7−青7」あるいは「青7−青7−赤7」の組合せが揃ったときに入賞となる。RBに入賞すると、レギュラーボーナスに制御される。遊技状態がレギュラーボーナスに制御されている間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。RBの入賞に起因して発生したレギュラーボーナスは、いずれかの入賞役に4回入賞することを条件として終了する。
【0062】
内部抽選においてBB1〜BB3およびRBのうちいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。BB1〜BB3およびRBを構成する図柄(「赤7」、「白7」、「青7」)は、各々、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていないためである。なお、内部抽選においてBB1〜BB3およびRBのうちいずれかに当選しているときには、当選しているボーナスに入賞するまで、当該ボーナスの当選フラグが持ち越される。
【0063】
SBは、入賞ラインのいずれかに「紋章−赤7−紋章」の組合せが揃ったときに入賞となる。SB入賞すると、小役(たとえば、ベル1)の当選確率を通常遊技状態であるときよりも向上させた遊技状態であるシングルボーナスに制御される。シングルボーナスに制御されている間は、シングルボーナス中フラグがRAM41cに設定される。SBの入賞に起因して発生したシングルボーナスは、1回ゲームが行なわれることにより終了する。
【0064】
内部抽選においてSBに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。SBを構成する図柄(「紋章」、「赤7」)は、各々、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていないためである。
【0065】
内部抽選においてSBに当選したゲームにおいて、当該SBに入賞しなかったときには、BB1〜BB3やRBと異なり、当該SBの当選フラグが消去される。また、内部抽選においてSBに当選したゲームにおいてSB入賞させるタイミングで停止操作がされず、当該SBの図柄組合せを入賞ライン上に引込むことができないときには、特殊出目が入賞ラインL1〜L4のいずれかに引込むように、リール制御が行なわれる。この特殊出目は、SB当選ゲームでSB入賞させることができなかった場合にのみ導出される出目である。すなわち特殊出目は、SB入賞取りこぼしの専用出目であり、たとえば、その出目の組合せは「ベル−チェリー−リプレイ」である。
【0066】
次に、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、1枚役、スイカ、ベル1〜ベル4、チェリーが含まれる。
【0067】
小役のうち1枚役は、入賞ラインのいずれかに「紋章−ロゴ−赤7」の組合せが揃ったときに入賞となる。1枚役が入賞すると1枚メダルが払い出される。1枚役は、当選していてもストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。1枚役を構成する図柄(「紋章」、「ロゴ」、「赤7」)は、左リール2L〜右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0068】
小役のうちスイカは、入賞ラインのいずれかに「スイカ−スイカ−スイカ」の組合せが揃ったときに入賞となる。スイカは、当選していてもストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。スイカを構成する図柄(「スイカ」)は、左リール2L〜右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0069】
小役のうちベル1は、入賞ラインのいずれかに「any−ベル−any」あるいは「ベル−ロゴ−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となる。なお、「any」は、いずれの図柄でも構わないことを意味する。このため、ベル1は、中リール2Cの「ベル」の図柄が有効な入賞ラインに停止表示されることにより、左リール2Lおよび右リール2Rの図柄との組合せに関わらず、入賞が発生し得る入賞役といえる。
【0070】
ベル1は、当選していれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらず入賞する。ベル1を構成する図柄(たとえば、「ベル」)は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されているためである。
【0071】
次に、ベル2〜4について説明する。ベル2は、入賞ラインのいずれかに「バー−白7−ロゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。ベル3は、入賞ラインのいずれかに「バー−ロゴ−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となる。ベル4は、入賞ラインのいずれかに「バー−ロゴ−ロゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0072】
ここで、図3を参照すると、ベル2〜4各々を構成する図柄は、少なくとも、左リール2L〜右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。このため、後述する内部抽選においてベル2〜4のいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、当選しているベル2〜4のうち当選しているベルに入賞することはない。
【0073】
しかしながら、ベル2〜4は、後述するように、ビッグボーナス中を除いて、常にベル1と同時に抽選対象役として読み出されて当選する。このため、ベル2〜4に当選しているときには、ビッグボーナス中を除いて、ベル1を入賞させることができる。
【0074】
小役のうちチェリーは、入賞ラインのいずれかに「チェリー−白7−リプレイ」、「チェリー−赤7−リプレイ」、「チェリー−青7−リプレイ」、および「チェリー−スイカ−リプレイ」のうちいずれかの組合せが揃ったときに入賞となる。チェリーは、当選していてもストップスイッチ8Lを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。チェリーを構成する左リール2Lの図柄(「チェリー」)は、左リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0075】
本実施の形態に係るスロットマシンでは、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)が採用されている。遊技者は、一般遊技状態中であってATに制御されていないときには、当該チェリー入賞させるための操作手順で停止操作することにより、チェリーの取りこぼしを防止できるとともに、たとえば左リール2Lの図柄配列からSBを構成する左図柄である「紋章」を引込むことがなくSBを取りこぼすことによりSB入賞によりRT2に制御されてしまうことを防止することができる。
【0076】
次に、スイカ、ベル1〜4、およびチェリーのいずれかに入賞したときに払出されるメダルの枚数について説明する。スイカ、ベル1〜4、およびチェリーのいずれかに入賞すると、当該入賞したゲームが開始されたときの遊技状態および入賞ライン数に応じた枚数分のメダルが払い出される。
【0077】
一般遊技状態においてスイカ、ベル1〜4、およびチェリーのいずれかに入賞したときには、4枚メダルが払い出される。一方、一般遊技状態と異なるボーナスにおいてスイカ、ベル1〜4、およびチェリーのいずれかに入賞したときには、8枚メダルが払い出される。
【0078】
なお、入賞ラインL1、L3、L4は、中リール2Cの中段において交差している。また、ベル1の「any−ベル−any」は、中リール2Cの停止図柄のみより入賞が発生し得る。このため、ベル1は、複数の入賞ラインにおいて発生し得る入賞役といえる。このため、ベル1の「any−ベル−any」が停止されることによりベル1に入賞したときには、入賞ライン数に応じた枚数のメダルが払い出される。たとえば、中リール2Cの「ベル」が中段に停止されたときには、一般遊技状態において入賞ラインL1、L3、L4において入賞することになるため4×3=12枚メダルが払い出され、ボーナスにおいて入賞ラインL3、L4において入賞することになるため8×2=16となり払出上限の12枚メダルが払い出される。
【0079】
次に、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、リプレイ1〜リプレイ11が含まれる。再遊技役のいずれかに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した枚数分のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0080】
リプレイ1は、入賞ラインのいずれかに「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。通常リプレイを構成する図柄(「リプレイ」)は、左リール2L〜右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ1については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L〜8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。リプレイ1は、入賞してもRT移行を伴わず、現状の遊技状態を維持する通常のリプレイであるため、通常リプともいう。
【0081】
リプレイ2は、入賞ラインのいずれかに「リプレイ−リプレイ−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ2を構成する図柄(「リプレイ」、「ベル」)は、左リール2L〜右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ2については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L〜8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。
【0082】
リプレイ3は、入賞ラインのいずれかに「リプレイ−リプレイ−白7」あるいは「リプレイ−リプレイ−チェリー」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ3を構成する左図柄および中図柄(「リプレイ」)は、左リール2Lおよび中リール2C各々において5コマ以内に配置されており、リプレイ3を構成する右図柄(「白7」および「チェリー」)は、右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ3については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L〜8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。
【0083】
リプレイ4は、入賞ラインのいずれかに「ベル−チェリー−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ4を構成する図柄(「ベル」「チェリー」)は、左リール2L〜右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ4については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L〜8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。
【0084】
リプレイ5は、入賞ラインのいずれかに「ロゴ−ロゴ−ロゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ6は、入賞ラインのいずれかに「ロゴ−ロゴ−白7」あるいは「ロゴ−ロゴ−チェリー」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ7は、入賞ラインのいずれかに「ロゴ−白7−リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ8は、入賞ラインのいずれかに「ロゴ−リプレイ−ロゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ9は、入賞ラインのいずれかに「ロゴ−ロゴ−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ10は、入賞ラインのいずれかに「白7−リプレイ−リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ11は、入賞ラインのいずれかに「白7−白7−紋章」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0085】
リプレイ5〜11各々を構成する図柄は、少なくとも1以上のリールにおいて、5コマ以内に配置されていない図柄を含む。このため、内部抽選においてリプレイ5〜11のうちいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L〜8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞しない。
【0086】
しかし、リプレイ5〜11は、各々、他のリプレイと同時に当選するため、ストップスイッチ8L〜8Rの操作タイミングに関わらず、当選しているいずれかのリプレイを構成する図柄を入賞ラインに引き込むことができる。このため、リプレイ5〜11は、原則として、当選しても入賞させることができない場合も生じるが、いずれかのリプレイを入賞させることができる役といえる。
【0087】
[内部抽選]
次に、内部抽選について詳細に説明する。内部抽選は、上記した各入賞役の発生を許容するか否か、すなわち入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7操作時に)、決定するものである。内部抽選では、乱数回路42から内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)を取得する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各入賞役の判定値数に応じて行なわれる。
【0088】
本実施の形態においては、各役および役の組合せの判定値数から、小役や再遊技役などの一般役、特別役がそれぞれ単独で当選する判定値の範囲と、一般役のいずれかと特別役とが重複して当選する判定値の範囲と、が特定されるようになっており、内部抽選における当選は、排他的なものではなく、1ゲームにおいて一般役と特別役とが同時に当選することがあり得る。ただし、種類の異なる特別役については、重複して当選する判定値の範囲が特定されることがなく、種類の異なる特別役については、排他的に抽選を行なうものである。
【0089】
内部抽選では、内部抽選の対象となる役または役の組合せおよび現在の遊技状態について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役または役の組合せに当選したものと判定される。
【0090】
ボーナスの内部抽選において取得される判定値数は、設定値が大きいほど大きくなるように設定されている。これにより、設定値が大きいほど、内部抽選において特別役に当選する確率を高くすることができる。
【0091】
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メインCPU41aは、リールの回転が開始したとき、および、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行なう。
【0092】
停止制御テーブルは、停止操作が行なわれたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施の形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20(図3参照)の領域番号が割り当てられている。
【0093】
一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0〜20の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から21番図柄に対して、それぞれ0〜20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。
【0094】
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。
【0095】
ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。
【0096】
具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0097】
また、本実施の形態では、滑りコマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0098】
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0099】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役(チェリーなど)に当選した場合や、特別役が同時当選役と同時に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0100】
すなわち、このような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。その結果、小役を優先的に入賞させた後に特別役を入賞させることにより、小役よりも特別役を優先的に入賞させるものと比較して、小役を入賞させてメダルを獲得した後に特別役を入賞させることができるため、特別役入賞前に遊技者のメダルを極力増加させるようにすることができ、遊技者にとって有利なリール制御が行なわれる。なお、特別役と小役とを同時に引き込める場合には、小役のみを引き込み、小役と同時に特別役が入賞ライン上に揃わないようになっている。
【0101】
次に、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合や、特別役と再遊技役が同時に当選している場合などでは、当選した再遊技役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行なわれる。
【0102】
複数種類の再遊技役が同時に当選している場合には、同時当選した再遊技役の種類および停止操作順に応じて定められた再遊技役を入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
【0103】
本実施の形態では、可変表示装置の中段位置(中段の入賞ライン4の位置)を“基準位置”としている。また、停止操作が検出されたときに基準位置にある図柄を含んで図柄停止に至るまでに送った図柄数を“滑りコマ数”と称し、停止操作が検出されたときに基準位置にある図柄で停止させた場合の滑りコマ数は、“0”とする。さらに、引き込み可能な最大コマ数(たとえば、停止操作検出時に基準位置にある図柄を除くと4コマ、基準位置にある図柄を入れて5コマ)を“最大滑りコマ数”と称する。
【0104】
なお、基準位置は、可変表示装置の中段位置に限定されるものではなく、可変表示装置の上段位置としても、下段位置としてもよい。あるいは、可変表示装置の上中下三段のいずれかの位置に限定されるものではなく、可変表示装置のリールに配列された各図柄の可変表示部に対する位置を特定できる箇所であれば、いずれの箇所を基準位置としてもよい。
【0105】
ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応する停止操作が検出されると、停止操作を検出した時点のリール原点位置からのステップ数に基づいて、基準位置(可変表示装置の中段)に位置する図柄の図柄番号が特定される。
【0106】
次に、特定した図柄番号に対応する滑りコマ数が、滑りコマ数テーブルから取得される。滑りコマ数テーブルは、たとえば、図33に示されるように、各リールに対応して、図柄番号別に滑りコマ数を規定したデータである。メイン制御部41は、滑りコマ数テーブルを参照することで、停止させるリールの基準位置に位置する図柄の図柄番号に対応する滑りコマ数を取得する。
【0107】
続いて、メイン制御部41は、停止操作を検出した時点で基準位置にある図柄を滑りコマ数分だけ滑らせて(滑りコマ数分だけリールを回転させて)停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出されたときに基準位置に位置する図柄から滑りコマ数テーブルに従う滑りコマ数だけ移動した図柄番号に対応する図柄が基準位置(可変表示装置の中段)に停止する。
【0108】
図6は、全リールの回転開始から全リールの回転停止までにメイン制御部41(図4参照)によって仮想的に設定される、第1停止リール〜第3停止リールと、左、中、右リール(リール2L、2C、2R)との対応関係を示す図である。
【0109】
図6を参照して、1ゲームの開始によって回転を開始した左、中、右リール(リール2L、2C、2R)は、ストップスイッチ8L、8C、8Rが任意の順序で操作されることに基づいて停止する。
【0110】
以下では、1ゲーム開始後、3つのリールのうちの1つ目のリールを停止させるための停止操作を“第1停止操作”、2つ目のリールを停止させるための停止操作を“第2停止操作”、3つ目のリールを停止させるための操作を“第3停止操作”と称する。
【0111】
また、第1停止操作で停止するリールを“第1停止リール”、第2停止操作で停止するリールを“第2停止リール”、第3停止操作で停止するリールを“第3停止リール”と称する。
【0112】
メイン制御部41は、1ゲーム開始後、第1停止操作が検出される前の段階で、仮想的に、第1停止リールを左リール2L、第2停止リールを中リール2C、第3停止リールを右リール2Rと設定する。その上で、メイン制御部41は、後述する手順によって第1〜第3停止リールに対応する滑りコマ数テーブルを用意する。
【0113】
スロットマシン1は、第1停止操作に応じた各リールの滑りコマ数テーブルを予め複数種類記憶しており、第1停止操作前に滑りコマ数テーブルを選択して停止制御に用いる。しかし、第2停止操作あるいは第3停止操作に応じた各リールの滑りコマ数テーブルについては記憶しておらず、第1停止操作の検出によって停止した第1停止リールの停止結果に応じて、さらには第2停止操作の検出によって停止した第2停止リールの停止結果に応じて、夫々、滑りコマ数テーブルをその都度、作成する。
【0114】
第1停止操作に備えて第1〜第3停止リールを仮想的に設定した後、設定した第1停止リールと異なるリールに対応する第1停止操作が検出されたときには、検出された第1停止操作に対応する種類のリールに対して用意した滑りコマ数テーブルをそのまま用いてリールの停止制御を行なう。
【0115】
たとえば、第1停止操作が、第3停止リールとして仮想的に設定した右リール2Rに対応するものであったときには、右リール2R用(第3停止リール)に用意した滑りコマ数テーブルをそのまま用いて右リール2Rを停止させる。このような場合には、第1停止前に仮想的に設定した第1〜第3停止リールの組合せに変更が生じる。
【0116】
そこで、第1停止操作の検出後、第2停止操作の検出前に、第2、第3停止リールを再設定する。この場合、図6に示されるように、第1停止リールが左リールであるか中リールであるか右リールであるかによって、第2、第3停止リールの設定が異なってくる。
【0117】
図6に示されるように、第1停止リールが左のときは、第2停止リールを中、第3停止リールを右に設定し、第1停止リールが中のときは、第2停止リールを左、第3停止リールを右に設定し、第1停止リールが右のときは、第2停止リールを左、第3停止リールを中に設定する。ただし、第2停止操作の検出前であるので、いずれも仮想的な設定になる。
【0118】
第2、第3停止リールを仮想的に設定した後、メイン制御部41は、後述する手順によって第2、第3停止リールに対応する滑りコマ数テーブルを作成する。
【0119】
その後、仮想的に設定した第2停止リールと異なるリールに対応する第2停止操作が検出されたときには、第1停止操作が検出されたときと同様に、検出された第2停止操作に対応する種類のリールに対して用意した滑りコマ数テーブルをそのまま用いてリールの停止制御を行なう。このような場合には、第2停止前に仮想的に設定した第2、第3停止リールの組合せに変更が生じる。
【0120】
そこで、第2停止操作の検出後、第3停止操作の検出前に、第3停止リールを再設定する。この場合、図6に示されるように、第1停止リールおよび第2停止リールの種類によって第3停止リールの設定が異なる。この場合、残る未停止リールは1つであるので、第3停止リールの設定は、確定的な設定になる。
【0121】
第3停止リールを設定した後、メイン制御部41は、後述する手順によって第3停止リールに対応する滑りコマ数テーブルを作成し直し、第3停止操作に応じて、作成し直した滑りコマ数テーブルに基づいて第3停止リールを停止させる。
【0122】
このように、本実施の形態に係るスロットマシン1は、第1停止操作検出前に、第1停止〜第3停止リールを仮決めするため、停止操作に備えた停止制御を極力簡単にすることができる。
【0123】
[メイン制御部41による処理]
次に、本実施の形態にかかるスロットマシン1におけるメイン制御部41により実行される処理について説明する。スロットマシン1においては、ゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることで遊技が進行されるものであるが、そのためには、まず、遊技の進行が可能な状態となっていなければならない。
【0124】
遊技の進行が可能な状態であるためには、たとえば、メインCPU41aを含むメイン制御部41が起動された状態で正常範囲の設定値が設定値ワークに格納されており、RAM41cに格納されたデータに異常がないことが条件となる。そして、遊技の進行が可能な状態となると、スロットマシン1においてゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることとなる。以下、スロットマシン1における各ゲームについて説明する。
【0125】
なお、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L、2C、2Rが停止するまでをいうものであるが、ゲームを行なう際には、スタートスイッチ7の操作前の賭数の設定や、リール2L、2C、2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行なわれるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。
【0126】
ゲーム制御処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行なった後、またはリセット/設定スイッチ38の操作により設定変更を行なった直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、MAXBETスイッチ6を操作することにより、あるいはメダル投入口4からメダルを投入することにより賭数を設定し、スタートスイッチ7を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行なう。
【0127】
前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイゲーム中フラグにより前のゲームと同じ賭数が自動設定される(この段階でリプレイゲーム中フラグが消去される)。BET処理では、賭数が設定される毎に、賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なBETコマンドが演出制御基板90に送信される。
【0128】
BET処理により賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定するといった内部抽選を行なう内部抽選処理を行なう。内部抽選処理では、抽選結果に応じてRAM41cに設定されている当選フラグの設定状況を示す内部当選コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0129】
また、内部抽選処理では、BB1〜BB3およびRBのいずれかに当選したときに、内部中RTに制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に内部中RTフラグの値を設定など)が行なわれる。
【0130】
内部抽選処理が終了すると、次にリール回転処理が行なわれる。リール回転処理では、前回のゲームでのリール2L、2C、2Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リールモータ32L、32C、32Rを駆動させ、左、中、右の全てのリール2L、2C、2Rを回転開始させる。
【0131】
リール2L、2C、2Rの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ33SL、33SC、33SRにより基準位置を検出すること)が成立すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作有効とする。その後、ストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者によって操作されることにより、操作されたストップスイッチに対応するリールモータ32L、32C、32Rを駆動停止させ、リール2L、2C、2Rの回転を停止させる。本実施の形態におけるスロットマシン1は、ストップスイッチを操作することにより対応するリールの回転を停止させる例について説明するが、たとえば、リール回転開始から所定時間経過したときにストップスイッチが操作されたか否かに関わらず、回転中のリールを強制的に停止させるようにしてもよい。
【0132】
リール回転処理では、リール2L、2C、2Rの回転開始時にリールの回転の開始を通知するリール回転コマンドが演出制御基板90に送信され、リール2L、2C、2Rのうちいずれかの回転が停止する毎に、当該停止したリールがいずれであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号を特定可能なリール停止コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0133】
リール2L、2C、2Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、入賞ライン上にいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行なわれる。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板40において発生した入賞に応じた各種の処理が行なわれる。
【0134】
入賞判定処理においては、入賞判定が行なわれた後に、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能な入賞判定コマンドが演出制御基板90に送られる。なお、入賞判定処理において、BB1〜BB3およびRBのうちいずれかに入賞したと判断されたときには、対応するボーナスに制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に対応するボーナスの値を設定など)が行なわれる。
【0135】
また、RT1、通常遊技状態、およびRT3のいずれかにおける入賞判定処理において、SBに入賞したと判断されたときには、RT2に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT2の値を設定など)が行なわれる。また、通常遊技状態における入賞判定処理において、昇格リプに入賞したと判断されたときには、RT3に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT3の値を設定など)が行なわれる。また、RT3における入賞判定処理において、突入リプに入賞したと判断されたときには、RT4に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT4の値を設定など)が行なわれる。また、RT3における入賞判定処理において、転落リプに入賞したと判断されたときには、通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0136】
また、RT1、RT2、およびRT3においていずれの入賞も発生しておらずかつ特殊出目が入賞ラインL1〜L4のいずれかに停止していると判断されたときには、通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0137】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行なわれる。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルの払出しまたはクレジット加算させる。ただし、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ34bを駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払出口9から払い出させる。
【0138】
また、払出処理では、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに、メダルの払出開始を通知する払出開始コマンドが演出制御基板90に送信され、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに、メダルの払出終了を通知する払出終了コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0139】
また、払出処理では、入賞に関わらない各種の処理として、ボーナス中においてはボーナスに応じたボーナス終了条件が成立したか否かを判定するためのボーナス終了判定処理が行なわれる。
【0140】
ボーナス終了判定処理において、ボーナス終了条件が成立したと判定されたときには、RT1に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT1フラグの値を設定など)が行なわれる。
【0141】
また、RT4中における払出処理では、当該RT4中において消化したゲーム数(SB入賞してシングルボーナスに制御されたゲームを含む)を特定可能に計数し、消化したゲーム数が50ゲームに到達したか否かを判定し、50ゲームに到達したと判定したときに通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0142】
また、払出処理では、次のゲームの遊技状態(RT1〜RT4のいずれであるか、通常遊技状態であるか、内部中RTであるか、BBであるか、非BB中のRBであるかなど)を特定可能な遊技状態コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0143】
また、払出処理では、持ち越しのない当選フラグ(小役、再遊技役、SBの当選フラグ)の消去なども行なわれ、特別ワークに格納されるBBやRBのボーナスの当選フラグが消去されない。これにより、ボーナスの当選フラグは、当選しているボーナスに入賞するまで次のゲームに持ち越される。払出処理の最後、すなわち1ゲームの最後で次のゲームの遊技状態を示す遊技状態コマンドが演出制御基板90に送られる。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
【0144】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板40のメイン制御部41は、RT1〜RT4、内部中RT、通常遊技状態、ボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板90に送信している。これに対して、演出制御基板90のサブ制御部91は、遊技制御基板40から受信したコマンドに基づいて、各種処理を行なう。
【0145】
図7は、リールテーブルを説明するための図である。ROM41bには図7に示すリールテーブルが記憶されている。メイン制御部41は、図7に示すリールテーブルの図柄番号を参照することによって、その図柄番号に対応する図柄の種類を特定する。なお、図7では、第1停止リールを左リール、第2停止リールを中リール、第3停止リールを右リールとしている。これは、1ゲーム開始後、第1停止操作が検出される前の段階で、メイン制御部41が仮想的に設定するリールに合わせて命名したものに過ぎない。
【0146】
図3に示した図柄配列図と比較しても理解されるとおり、第1停止リールテーブルには、図柄番号0〜20に対応する図柄データが順番に記憶されており、さらに、その先頭データである図柄番号0よりも1つ前には図柄番号0〜20のうちの最後尾の図柄番号20の図柄データが配置されている。また、その最後尾のデータである図柄番号20よりも1つ後ろには図柄番号0〜20のうちの先頭の図柄番号0の図柄データが配置されている。
【0147】
このため、メイン制御部41は、図柄番号0の図柄データを取得した後、引き続いて図柄番号20の図柄データを取得する際には、隣のデータ格納位置を参照することで事足りる。同様に、メイン制御部41は、図柄番号20の図柄データを取得した後、引き続いて図柄番号0の図柄データを取得する際には、隣のデータ格納位置を参照することで事足りる。
【0148】
一方、図柄番号0〜20の21個分の図柄データのみを図柄番号順にリールテーブルに格納していた場合には、図柄番号n(nは0〜19)のデータを取得した後に図柄番号n+1のデータを取得するときのプログラムの処理と、図柄番号20の図柄データを取得した後に図柄番号0のデータを取得するときのプログラムの処理と、を異ならせる必要がある。前者の場合には、隣の図柄データを取得する処理である一方、後者の場合にはテーブルの先頭に戻って図柄データを取得する処理だからである。このため、その分だけ、プログラムが複雑化し、プログラムの格納に必要な記憶容量が多くなる。
【0149】
ところが、本実施の形態のようにリールテーブルを構成すると、図柄番号n(nは0〜19)のデータを取得した後に図柄番号n+1のデータを取得するときのプログラムの処理と、図柄番号20の図柄データを取得した後に図柄番号0のデータを取得するときのプログラムの処理とを異ならせる必要がなくなる。その結果、本実施の形態のようにリールテーブルのデータの持たせ方、記憶のさせ方を工夫することによって、プログラム容量を削減できる。
【0150】
第3停止リールテーブルについても、第1停止リールテーブルと同様に、図柄番号0〜20のデータを挟むようにして、その先頭部分に図柄番号20の図柄データが追加して配置され、その最後尾部分に図柄番号0の図柄データが追加して配置されている。
【0151】
第2停止リールテーブルについては、第1、第2停止リールテーブルと異なり、先頭部分にはデータが追加されておらず、最後尾部分のみに図柄番号0のデータが追加配置された構成とされている。第2停止リールテーブルがこのように構成されているのは、第2停止リールについては、有効ラインの設定との関係上、図柄番号0の図柄データを取得した後、引き続いて図柄番号20の図柄データを取得する状況が発生しないからである。この点については、図8を用いて説明するが、要するに、図7に示されるリールテーブルでは、冗長的にデータを追加配置することによって処理の高速化を図りつつも、処理の上で不要なデータを冗長的に付加することを避けることによって、記憶容量の削減を図っている。
【0152】
図8は、有効ラインを説明するための図である。すでに説明したとおり、有効ラインは、ビッグボーナスおよびレギュラーボーナスの場合を除いて4本であり、ビッグボーナスおよびレギュラーボーナスの場合は、3本である。
【0153】
メイン制御部41は、いずれかのリールが停止したときに、いずれかの有効ラインに発生し得る入賞を検索し、その検索結果を用いて、以降の停止制御に用いる停止制御パターンを決定する。図8に示されるように、メイン制御部41は、発生し得る入賞を有効ライン1、有効ライン2、有効ライン3、有効ライン4の順番で検索する。
【0154】
たとえば、左リールが第1停止したときには、中リールの基準位置(中段)に図柄番号0〜20の図柄を順次、仮想的に配置して、各有効ラインで発生し得る入賞を検索する。このとき、メイン制御部41は、中リールの各図柄番号の図柄データを特定するために、図7に示したリールテーブルを参照する。有効ライン1および2については、中リールの中段を通過するため、有効ライン2での入賞検索の際には、有効ライン1での入賞検索の際に参照した中リールの図柄番号の図柄データがそのまま利用できる。ところが、有効ライン3での入賞検索の際には、中リールの上段の図柄データが必要となる。このため、メイン制御部41は、この段階で改めてリールテーブルを参照して上段位置の図柄データを特定する。たとえば、中リールの中段に図柄番号20の図柄を仮想配置しているときには、中リールの上段は図柄番号0の図柄が位置する。
【0155】
メイン制御部41は、図7のリールテーブルを参照して図柄番号20の図柄データを特定した後で、図柄番号0の図柄データを特定することになる。図7を用いて説明したように、第2停止リールテーブルでは、図柄番号20の図柄データよりも1つ後ろに図柄番号0の図柄データが追加配置されている。このため、図柄番号20の図柄データを特定した後で、図柄番号0の図柄データを特定するために、リールテーブルでデータの参照位置を1つ移動するだけで事足りる。その結果、処理の高速化が図られる。一方、図8に示すように、中リールの下段にはいずれの有効ラインも通過していないため、入賞検索をする際には、中リールの中段に仮想配置した図柄を基準として、その図柄よりも下方の図柄データを参照する処理は必要がない。このため、第2リールテーブルでは、図柄番号0よりも前に図柄番号20のデータが追加配置されていないのである。
【0156】
上記の説明では、第1停止が左リールの場合を例としたが、第1停止が中あるいは右リールである場合には、図8の上下方向の矢印に示すように、左リールの中段あるいは右リールの中段に図柄を仮想配置し、その仮想配置した図柄を基準として、発生し得る入賞が検索される。このとき左リールおよび右リールの中段のいずれに図柄を仮想配置したときでもその上下段のいずれにも有効ラインが存在する。このため、左リールおよび右リールについては、仮想配置した図柄の前後のいずれについても図柄データをリールテーブルから取得して入賞検索をする必要が生じる。それゆえ、図7に示したように、左および右リールテーブルでは、図柄番号0〜20のデータの先頭および最後尾に図示するように冗長的に図柄データが追加配置されており、これによって、図柄データを特定する際の処理の高速化を図っている。
【0157】
[遊技状態の遷移]
図9は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図である。本実施の形態におけるスロットマシンは、図9に示すように、メイン制御部41により、通常遊技状態、再遊技役の当選確率が通常遊技状態よりも向上されるRT1〜RT4および内部中RT、および所定枚数払出されるまで小役の当選確率が向上されるビッグボーナスやレギュラーボーナスのうち、いずれかに制御される。また、本実施の形態におけるスロットマシンは、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるATに演出状態を制御可能となっている。
【0158】
図9に示すように、BB1〜BB3およびRBのいずれかに内部当選してから入賞するまでは、内部中RTに遊技状態が制御される。内部中RTでは、リプレイに当選する確率が通常遊技状態であるときよりも高確率となる。また、図9に示すように、BB1〜BB3やRBが終了した後は、RT1に遊技状態が制御される。
【0159】
通常遊技状態、RT1、およびRT3のうちいずれかに制御されているときにSB入賞し、当該入賞に起因するシングルボーナスとしての1ゲームが終了した後は、RT2に遊技状態が制御される。一方、RT4に制御されているときにSB入賞し、当該入賞に起因するシングルボーナスとしての1ゲームが終了した後は、当該SB入賞前のRT4に引き続き制御される。なお、シングルボーナスは、1ゲームで終了する。このため、図9では、シングルボーナスを図示していないが、通常遊技状態、RT1、およびRT3のうちいずれかに制御されているときにSB入賞したときには、一旦シングルボーナスに制御された後にRT2に制御され、RT4に制御されているときにSB入賞したときには、一旦シングルボーナスに制御されるが再びRT4に制御されることになる。以下においては、便宜上、RT2およびRT4各々に、SB入賞によるシングルボーナスを概念的に含む遊技状態として説明するが、実質的には、上記したようにSB入賞によって一旦シングルボーナスに制御された後、当該SB入賞時の遊技状態に応じてRT2あるいはRT4に制御されることを意味する。
【0160】
図9に示すように、通常遊技状態においてリプレイ2に入賞した後は、通常遊技状態よりもリプレイ当選確率が向上したRT3に制御される。このため、リプレイ2は、以下では昇格リプともいう(図5参照)。後述するように、リプレイ2は、RT1やRT2における内部抽選においては当選しないように設定されており、通常遊技状態における内部抽選において所定確率で当選するように設定されている。このため、RT1やRT2においてはリプレイ2に入賞しない。その結果、RT1やRT2から直接RT3に制御されないように構成されており、通常遊技状態に制御された後、リプレイ2に入賞することにより、RT3に制御されるように構成されている。
【0161】
なお、通常遊技状態以外の遊技状態(たとえば、RT1やRT2)であるときにも、所定確率(極めて低い確率、1%)でリプレイ2について抽選して当選し得るようにし、通常遊技状態以外の遊技状態からもRT3に制御されるように構成してもよい。
【0162】
図9に示すように、RT3においてリプレイ3に入賞した後は、RT3よりもリプレイ当選確率がさらに向上したRT4に制御される。このため、リプレイ3は、以下では突入リプともいう。後述するように、リプレイ3は、通常遊技状態、RT1、およびRT2における内部抽選においては当選しないように設定されており、RT3における内部抽選において所定確率で当選するように設定されている。このため、通常遊技状態、RT1、およびRT2においてはリプレイ3に入賞しない。その結果、通常遊技状態、RT1、およびRT2から直接RT4に制御されないように構成されており、RT3に制御された後、リプレイ3に入賞することにより、RT4に制御されるように構成されている。
【0163】
なお、RT3以外の遊技状態(たとえば、通常遊技状態、RT1、およびRT2)であるときにも、所定確率(極めて低い確率、1%)でリプレイ3について抽選して当選し得るようにし、RT3以外の遊技状態からも有利RTに制御されるように構成してもよい。
【0164】
また、RT4へ一旦制御されると、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選しない限り、50ゲーム消化するまでの間、当該RT4への制御が維持される。また、図9に示すように、RT3においてリプレイ4に入賞したときには、通常遊技状態に制御される。このため、リプレイ4は、転落リプともいう(図5参照)。
【0165】
なお、リプレイ5は、ロゴの3つ揃いであるため、リプレイ5をロゴリプともいう。また、リプレイ6〜11は、各々、ロゴが2つ揃い、すなわちロゴがテンパイ状態となるため、テンパイリプa〜テンパイリプfともいう(図5参照)。
【0166】
図9に示すように、RT1〜RT3においてSBの入賞取りこぼし出目である特殊出目が停止した後は、通常遊技状態に制御される。RT4において特殊出目が停止されたとしても、通常遊技状態に制御されない。また、通常遊技状態において特殊出目が停止されたとしても、当該通常遊技状態への制御が維持される。
【0167】
図10は、条件装置信号としてスロットマシン1から送信される情報の一例を説明するための図である。また、図11〜図14は、当選番号と入賞役との関係を説明するための図である。
【0168】
本実施の形態では、乱数抽選による当選の番号として、図11および図12の「SB中または一般遊技中」、図13の「BB中のRB中」、および図14の「BB未作動時のRB中」の3種類が設けられており、それぞれ図示したデータが対応する乱数範囲と共にROM41bに予め記憶されている。
【0169】
たとえば、図11および図12の「SB中または一般遊技中」において、乱数抽選の結果、当選番号1が当選したときには、チェリー役の当選となる。同様に、図11および図12の「SB中または一般遊技中」において、当選番号2が当選したときにはチェリー役およびRB役の当選となり、当選番号13が当選したときにはベル1役、ベル3役、およびベル4役の当選となる。
【0170】
図10に示した送信情報は、乱数抽選の結果をスロットマシン1の外部に通知するために送信される情報である。メイン制御部41は、乱数抽選の結果を外部送信するために、図10に示した2バイトのデータを所定の条件装置出力エリアに設定する。たとえば、乱数抽選の結果が「外れ」であれば、「80H(Hは16進数)40H」を設定し、乱数抽選の結果が「リプレイ1」であれば、「80H41H」を設定し、乱数抽選の結果が「リプレイ1+リプレイ2+リプレイ10」であれば、「80H42H」を設定する。
【0171】
メイン制御部41は、条件装置出力エリアに設定した情報を外部出力基板1000(図4)から外部へ送信する。さらに、メイン制御部41は、条件装置出力エリアに設定した情報を参照して当選状態を特定する。さらに、メイン制御部41は、当選状態に応じて当選フラグを設定する。
【0172】
図15は当選フラグを説明するための図である。当選フラグは、「+0」〜「+3」の3種類の8ビットデータで構成されている。「+0」の当選フラグのビット0〜ビット7には、図15に示した各入賞役が対応している。「+1」の当選フラグのビット0〜ビット5には、図15に示した各入賞役が対応している。ビット6、7は使用されない。「+2」の当選フラグのビット0〜ビット4には、図15に示した各入賞役が対応している。ビット5〜7は使用されない。「+3」の当選フラグのビット2〜ビット7には、図15に示した各入賞役が対応している。ビット0、1は使用されない。
【0173】
メイン制御部41は、当選フラグ「+0」〜「+3」のうち、当選した入賞役に対応するビット部分を1、非当選の入賞役に対応するビット部分を0に設定する。
【0174】
図16は、入賞検索テーブルを説明するための図である。ROM41bには図16に示す入賞検索テーブルが記憶されている。メイン制御部41は、図16に示す入賞検索テーブルを参照することによって、図8を用いて説明した入賞検索を行なう。なお、図16では、第1停止リールを左リール、第2停止リールを中リール、第3停止リールを右リールとしている。これは、1ゲーム開始後、第1停止操作が検出される前の段階で、メイン制御部41が仮想的に設定するリールに合わせて命名したものに過ぎない。
【0175】
入賞検索テーブルには、各図柄が有効ラインに停止することによって発生し得る入賞役がリール別に格納されている。たとえば、第1停止リールに対応する入賞検索テーブルでは、「白7」に対して、「BB1役(白7−白7−白7)」、「リプレイ10役(白7−リプレイ−リプレイ)」、「リプレイ11役(白7−白7−紋章)」、「ベル1役(any−ベル−any)」の4種類の入賞役が対応付けられている。これは、左リールのいずれかの有効ラインに「白7」が停止したときに、それら4種類の入賞役がいずれかの有効ラインで発生する可能性があることを示している。あるいは、第2停止リールに対応する入賞検索テーブルでは、「チェリー」に対して、「リプレイ4役(ベル−チェリー−ベル)」のみが対応付けられている。このことから、中リールにチェリーが停止したときに発生する入賞役がいずれの有効ラインを考慮しても「リプレイ4役(ベル−チェリー−ベル)」に限られることがわかる。
【0176】
メイン制御部41は、各有効ラインにリールテーブル(図7参照)を参照して得られた図柄を仮想的に配置して、その仮想配置した図柄がその位置に停止した場合に発生し得る入賞役を図16に示した入賞検索テーブルで特定する。ところで、図7に示したリールテーブルの場合には、各図柄番号毎に図柄データが格納されているが、図16に示した入賞検索テーブルの場合にはそのような構成とされておらず、各リール別に図柄の種類に応じたデータが格納されているのみである。たとえば、第2停止リールに対応する入賞検索テーブルの場合には、中リールに配置された白7、赤7、青7、スイカ、ベル、チェリー、リプレイ、ロゴの計8種類のデータしか格納されておらず、図柄番号0〜20の21個の図柄の各々に対応してデータを格納する構成とされていない。第1停止リールおよび第3停止リールに対応する入賞検索テーブルについても同様に、図柄番号0〜20の21個の図柄の各々に対応してデータを格納する構成とされておらず、各リールに配置された図柄の種類数でデータをまとめて格納している。
【0177】
このように、入賞検索テーブルは、図柄番号0〜20の21個の図柄の各々に対応してデータを格納する構成とされておらず、リールに配置された図柄の種類数でデータをまとめて格納する構成としているため、前者の構成に比べて、入賞検索テーブルの記憶容量を削減できる。特に、このような構成は、本実施の形態のように入賞の組合せが非常に多いような場合に極めて有効である。
【0178】
図17は、入賞予想フラグを説明するための図である。また、図18は、入賞予想フラグ保持データを説明するための図である。入賞予想フラグと入賞予想フラグ保持データとのフォーマットは同一であり、いずれも図15に示した当選フラグと同一である。
【0179】
入賞予想フラグは、図8を用いて説明した入賞検索の結果をメイン制御部41が記憶するためのフラグである。一方、入賞予想フラグ保持データは、入賞予想フラグを作成する過程で繰り返し初期化されて使用されるデータである。メイン制御部41は、入賞検索の処理を有効ライン別に実行し、1つの有効ラインに対する入賞検索処理を終えるまで、その入賞検索処理で逐次得られる結果を入賞予想フラグ保持データに一時記憶し、1つの有効ラインの入賞検索処理が終わると、その一時記憶した結果を入賞予想フラグに反映させる。その後、入賞予想フラグ保持データを初期化した上で、次の有効ラインに対する入賞検索処理を実行することを繰り返す。その結果、最終的には、全有効ラインを考慮したときに発生し得る入賞役のデータ、すなわち、発生が予想される全入賞役のデータが入賞予想フラグに記憶されることになる。具体的には、図17に示す入賞予想フラグのデータ「+0」〜「+3」のうち、発生が予想される入賞役に対応するビット部分が1にセットされる。
【0180】
図19は優先ポイントテーブルを説明するための図である。また、図20は、入賞予想バッファを説明するための図である。優先ポイントは、入賞を発生させる優先度を示すデータであり、各入賞役別に定められている。優先ポイントは数値が大きい程、優先度が高いことを意味しており、最大値は255である。また、優先度=1は停止可能であることを意味し、優先度=0は停止禁止を意味する。本実施の形態では、図19に示すように優先ポイントが2枚投入時と3枚投入時とに分けて定められている。特に、3枚投入時において、再遊技役(リプレイ役)はいずれも最大値が設定されており、BB役が他の入賞役よりも低い値の2が設定されている。
【0181】
このように、本実施の形態では、3枚投入時において、リプレイとビッグボーナスと小役(1枚役を除く)との3種類の入賞役を比較したときの、図柄の引き込み優先順序が「リプレイ>小役(1枚役を除く)>ビッグボーナス」の順となるように、滑りコマ数テーブルが作成される。
【0182】
このため、ビッグボーナス当選フラグとリプレイ当選フラグとの双方がセットされているときに、リプレイの方がビッグボーナスよりも優先されて発生することになり、セットされているビッグボーナス当選フラグによるビッグボーナスの発生は、次回のゲーム以降に持ち越される。また、ビッグボーナスが持ち越された場合には、その持ち越し分が次回のゲームの当選フラグデータ(図15参照)に反映される。なお、図19に示す優先ポイントは例示であって、各入賞役に対する優先ポイントをどのような値に設定してもよい。
【0183】
図20に示す入賞予想バッファは例示である。入賞予想バッファは各リール別のデータとしてRAM41cに記憶されている。入賞予想バッファは、各図柄位置(図柄番号)に対応するバッファ0〜20のデータから成り、優先ポイントが格納される。この入賞予想バッファに格納された優先ポイントに基づいて、一旦作成された滑りコマ数テーブルが補正される。
【0184】
図21は、リールの停止制御に関するメインフローである。また、図22〜図30は、このメインフローのサブルーチンを示すフローチャートである。さらに、図31〜図39は、リールの停止制御に用いられる各種データを説明するための図である。以下では、これらの図面を用いて、リールの停止制御を詳細に説明する。なお、図21に示される処理は、メイン制御部41が実行する。
【0185】
[メインフローのS1〜S5]
図21のメインフローに従って、必要に応じて図22〜図39を参照しつつ、リールの停止制御を説明する。まず、スタートスイッチ7が操作されることに基づいて、スタート操作が検出される(S1)。次に、内部抽選処理が実行される(S2)。また、スタート操作の検出に基づいて、リール2L、2C、2Rの変動(回転)が開始される。
【0186】
S2の内部抽選処理について詳細に説明する。内部抽選とは、入賞の発生(入賞表示結果の導出)を許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の操作検出時に)決定することである。
【0187】
内部抽選では、まず、乱数回路42から内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)が取得される。次に、遊技状態に応じて定められた抽選対象役の組合せについて、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態、賭数および設定値に応じて定められた各役および役の組合せの当選値とが判定される。判定の結果、当選ありとなったときには、当選した役に対応する当選フラグが設定される。この当選フラグは、1ゲームが終了する毎に消去される。ただし、ビッグボーナス当選フラグについては、ビッグボーナス入賞が発生するまで、次回のゲームに持ち越される。RAM41cにより、当選フラグを記憶する当選フラグ記憶手段が構成されている。
【0188】
S2の内部抽選処理の後、図10を用いて説明した条件装置信号が設定される(S3)。続いて、設定された条件装置信号のデータが参照され、当選状況、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、持越しフラグの有無に応じた、第1停止前の滑りコマ数テーブルを作成するための第1停止時テーブルが選択される(S4)。
【0189】
具体的には、図31(A)〜(C)に示されるような、遊技状況および当選役に対応してROM41bに記憶されている第1停止時テーブルに基づいて第1停止時テーブルが選択される。
【0190】
たとえば、遊技状態が一般遊技で、当選状況(S2)が「外れ」のときには、図31(A)に示される第1停止時テーブル1が選択される。あるいは、遊技状態が一般遊技で、当選状況(S2)が「リプレイ1」または「リプレイ1+リプレイ2+リプレイ10」のとき、図31(A)に示される第1停止時テーブル9が選択される。
【0191】
図31(D)には、第1停止時テーブルの具体例が示されている。メイン制御部41には、番号1〜番号41までの合計42の第1停止時テーブルが予め記憶されている。第1停止時テーブルには、各リール2L、2C、2Rに配列された図柄の図柄番号に対応する滑りコマ数のデータが、左中右のリール順および図柄番号0〜20の順に羅列されており、その一部がデータ圧縮されている。たとえば、図31(D)に示すように、第1停止時テーブル1には、「F9,0B,C7,FE,00,EF,E0,07,0D,18」のデータが格納されている。
【0192】
そこで、図21のS5では、選択された第1停止時テーブルに基づいて第1〜第3停止リール別に滑りコマ数テーブルを作成するための「第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理」が実行される。ここで、図22を参照して、「第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理」を説明する。
【0193】
[第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理]
図22は、第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、図21のメインフローのS5で実行されるサブルーチンである。
【0194】
第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、選択された第1停止時テーブルのデータの先頭から単位データ分のデータを順番に読み出し、読み出したデータを第1〜第3停止リールの各図柄の滑りコマ数として順番に設定する処理である。
【0195】
設定順序は、仮想的に設定された第1停止リール(リール2L)、第2停止リール(リール2C)、第3停止リール(リール2R)の順である。また、滑りコマ数を格納する領域としては、第1〜第3停止リール用に第1〜第3停止用領域が用意されている。第1〜第3停止用領域の各々には、リールの図柄番号0〜20に対応する21の格納領域が設けられており、各格納領域の先頭から順に第1停止時テーブルの単位データ分のデータが格納されていくことによって、第1〜第3停止用領域に滑りコマ数テーブルが作成される。
【0196】
以下、フローチャートに基づいて、第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明する。最初に、読出す単位データの番号が0に初期化される(S21)。次に、単位データnのデータが第1停止時テーブルから読出される(S22)。たとえば、図31に示される第1停止時テーブル1の場合の単位データ0のデータは先頭の「F」であり、単位データ1のデータは後続の「9」であり、単位データ2のデータはさらに後続の「0」である。
【0197】
次に、読出されたデータが「5」以下であるか否かが判断され(S23)、YESの場合には、その読出されたデータがそのまま滑りコマ数データとして格納される。この場合、このデータを格納する領域を検索するために、最初に第1停止用領域へは格納済みであるか否かが判断される(S24)。
【0198】
第1停止用領域の格納領域0〜21のすべてにデータを格納済みの場合にはS28に進み、同様に、第2停止用領域へは格納済みであるか否かが判断され、第2停止用領域の格納領域0〜21のすべてにデータを格納済みの場合にはS30に進み、同様に、第3停止用領域へは格納済みであるか否かが判断される。そして、第3停止用領域の格納領域0〜21のすべてにデータを格納済みの場合には、第1〜第3停止リール用の滑りコマ数テーブルが完成しているため、データを格納することなく処理を終える。
【0199】
たとえば、S24で第1停止用領域へ格納済みでないと判断されると、第1停止用領域のデータを格納していない格納領域のうち、最も若い番号の格納領域へデータが格納される。S24で第1停止用領域へ格納済みと判断されてS28で第2停止用領域へ格納済みでないと判断されたとき、あるいはS28で第2停止用領域へ格納済みと判断されてS30で第3停止用領域へ格納済みでないと判断されたときも同様に、未格納の格納領域のうち最も若い番号の格納領域へデータが格納される。
【0200】
S25、S29、S31のいずれかでデータが格納されたときには、nが+1されて(S26)、再びS22に戻り、第1停止時テーブルの次の単位データが読出される。もし、S22で読出されたデータが5以上のときには、すなわち、圧縮されたデータであるので、変換用テーブルを用いてデータ変換する処理が実行される(S27)。
【0201】
図32に変換用テーブルの例を示す。図32において、「変換対象データ」は、第1停止用テーブルから読出されたデータである。また、「変換後データ」は、第1停止用テーブルから読出されたデータを変換したデータである。
【0202】
たとえば、第1停止用テーブルから読出されたデータが「5」の場合には、S27によって、「1、0、3、2、1、0、3、2、1、0」の滑りコマ数データに変換される。第1停止用領域のすべての格納領域にデータが格納されていない場合には、S24にてNOと判断されて、S25において、データを未格納の格納領域の先頭から順に、滑りコマ数データが格納される。なお、仮に、変換後データの各々を格納領域へ格納していく途中で、最後の格納領域へのデータ格納を終えた場合には、その第1停止用領域へのデータ格納が終了したと判断されて、第2停止用領域へのデータ格納処理(S29)に移行し、変換後データの後半部分は、第2停止用領域へ順次格納される。
【0203】
同様に、変換後データの各々を第2停止用領域へ格納していく途中で最後の格納領域へのデータ格納を終えた場合にも、第3停止用領域へのデータ格納処理(S31)に移行し、変換後データの後半部分は、第3停止用領域へ順次格納される。
【0204】
また、変換後データの各々を第3停止用領域へ格納していく途中で最後の格納領域へのデータ格納を終えた場合には、その段階で、本処理が終了する。
【0205】
以上の第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理が実行されることによって、第1停止時テーブルに格納された滑りコマ数データが第1〜第3停止用領域へ展開される。これにより、図33に例示されるような、第1停止前に対応する滑りコマ数テーブルが各リール別に作成される。
【0206】
このように、第1停止時テーブルの羅列データに基づいて、各リール別の滑りコマ数テーブルを作成できるため、第1停止用の滑りコマ数テーブルの生成処理を単純化することができる。また、第1停止時テーブル毎に異なるデータ列を共通の解凍用データ(変換用テーブル)を使って作ることができる。
【0207】
なお、第1停止前に対応する滑りコマ数テーブルは、第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理によって作成されるが、実質的には、第1停止時テーブル自体が第1停止前に対応する滑りコマ数テーブルである。第1停止時テーブルは、圧縮されたデータを含むものの、基本的には、予め定めた滑りコマ数が羅列されたデータであり、第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、第1停止時テーブルに圧縮データとともに含まれるリール別の滑りコマ数データを展開する処理に過ぎないからである。
【0208】
それゆえ、第1停止時テーブルを記憶させる代わりに、第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理によって作成される滑りコマ数テーブル自体を記憶させるようにし、これを図21のS4で選択するようにしてもよい。ただし、本実施の形態のように第1停止時テーブルを記憶させる方がデータ圧縮の作用によって、必要とする記憶容量を削減できるという効果が奏される。
【0209】
[メインフローのS6〜S8]
第1停止用滑りコマ数テーブル作成処理が終了すると、図21のメインフローに戻る。S5において第1停止用滑りコマ数テーブルが作成された後、第1停止操作が検出されると(S6)、リール2L、2C、2Rのうち、実際に検出された第1停止操作に対応するリールを第1停止リールとして、S5で作成された滑りコマ数テーブルに基づいて停止させる処理が実行される(S7)。
【0210】
たとえば、仮想的に設定された第1停止リールは左リールであるが、第1停止操作としてストップスイッチ8Rの操作が検出され、実際の第1停止リールが右リールであったときには、第3停止リール用として作成された右リールの滑りコマ数テーブルに基づいて右リールが停止制御される。
【0211】
次に、第2停止操作に備えて、第2、第3停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するために、第2第3停止時テーブルを選択する処理(第2第3停止時テーブル選択処理)が実行される(S8)。
【0212】
このとき、第1停止操作前に仮想的に設定した第1停止リール(左)と異なるリールが第1停止リールとして停止したとき、メイン制御部41は、図6を用いて説明したように、第2、第3停止リールの仮想的な設定を再度し直した上で、第2第3停止時テーブルを選択し、さらには第2、第3停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成する。
【0213】
第2第3停止時テーブルは、S2による当選状況に加えて、実際の第1停止リールの種類(左、中、右)、および第1停止リールの基準位置(可変表示装置の中段位置)に停止している図柄の図柄番号に基づいて選択される。ここで、図23を参照して、「第2第3停止時テーブル選択処理」を説明する。
【0214】
[第2第3停止時テーブル選択処理]
図23は、第2第3停止時テーブル選択処理を説明するためのフローチャートである。第2第3停止時テーブル選択処理は、図21のメインフローのS8で実行されるサブルーチンである。
【0215】
第2第3停止時テーブルは、図36に例示されるように、第2停止リール用と第3停止リール用とに分類されて記憶されている。第2停止リール用のテーブルとしては、先頭桁を「1」とするテーブル番号[1X(X=01〜21)]により識別される22種類のテーブルが用意されている。これに対して、第3停止リール用のテーブルとしては、先頭桁を「2」とするテーブル番号[2X(X=01〜21)]により識別される22種類のテーブルが用意されている。
【0216】
各第2第3停止時テーブルは、図柄番号0〜20の各々に対応する8ビット×21のデータから成る。換言すると、各第2第3停止時テーブルは、図36に示すように、図柄番号0〜20の各々に対応する21個のビットデータから成るデータ列Y(Y=0〜7)により構成される。
【0217】
ここでは、説明のため、図36に示すように、8ビット×21のデータのうち、先頭ビット(0ビット目)に位置する21個のデータを0列目のデータ、1ビット目に位置する21個のデータを1列目のデータ、…最終ビットに位置する21個のデータを7列目のデータと称する。
【0218】
第2第3停止時テーブルに含まれるビットデータは、各図柄番号に対応する図柄を基準位置で停止させることを許可するか禁止するかを示すデータであり、「1」は停止許可を、「0」は停止禁止をそれぞれ意味する。
【0219】
以下、図23のフローチャートに基づいて、第2第3停止時テーブル選択処理を説明する。最初に、第2第3停止時テーブルの選択に用いる検索用テーブルのテーブル番号が特定される(S41)。この番号の特定は、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、当選状況等に基づいて行なわれる。
【0220】
図34には検索用テーブルの例が示されている。検索用テーブルとしては、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)や当選状況に応じた複数種類のテーブル1〜98が用意されている。この検索用テーブルは、(A)一般遊技中、(B)BB未作動時のRB中、(C)BB中のRB中、の各々の遊技状況別、かつ、当選している入賞役別に分類されて記憶されている。たとえば、一般遊技中でリプレイ1のみが当選しているときには、S41において、検索用テーブル1が選択される。
【0221】
図35に検索用テーブルの詳細を示す。各検索用テーブルは、夫々、「左」「中」「右」の3つのテーブルを含んでいる。検索用テーブル「左」は、第1停止リールが左リールであったときに選択される。検索用テーブル「中」は、第1停止リールが中リールであったときに選択される。検索用テーブル「右」は、第1停止リールが右リールであったときに選択される。
【0222】
図35に示すように、各検索用テーブルは、「[X*8+Y](X=01〜21、Y=0〜7)」のデータから成る。[X]は、検索対象となる第2第3停止時テーブルの3桁のテーブル番号のうち、下2桁を示すデータである(図36参照)。[Y]は、選択された第2第3停止時テーブルのデータのうち、滑りコマ数テーブルの作成に用いるデータ列の位置を示すデータである(図36参照)。
【0223】
特に、検索用テーブル「左」「中」「右」は、既に停止済みの第1停止リールの基準位置に停止している図柄の番号に応じた複数種類のデータを含んでいる場合がある。たとえば、図35に示す検索用テーブル17の「左」に対応するテーブルには、「1*8+2」、「1*8+5」、「1*8+1」の3種類のデータが含まれている。これら複数種類のデータのうちのいずれを使用するかは、既に停止している第1停止リールの基準位置の図柄の図柄番号に応じて決定される。
【0224】
たとえば、検索用テーブル17の「左」に対応するテーブルの場合、第1停止リールの基準位置に停止している図柄の図柄番号が(18)のときに「1*8+2」を使用することが決定され、図柄番号が(17)のときに「1*8+5」を使用することが決定され、図柄番号がそれら以外のときに「1*8+1」を使用することが決定される。
【0225】
S41において、使用する検索用テーブルの番号が特定された後、停止済みの第1停止リールが左中右のいずれのリールであるかが判定され、その判定結果に基づいて、S41で特定された番号nに対応する検索用テーブル「左」「中」「右」のうち、いずれを用いるかが選択される(S42)。
【0226】
検索用テーブルが選択されると、第1停止リールの基準位置に停止している図柄の図柄番号に基づいて、使用する第2第3停止時テーブルの番号Xと、第2第3停止時テーブルXの複数のデータ列のうち滑りコマ数テーブルの作成に使用するデータ列Yとが特定される(S43)。
【0227】
次に、S43で特定されたテーブル番号Xに基づいて、第2停止リール用の第2第3停止時テーブルとして第2第3停止時テーブル1Xが選択され(S44)、第3停止リール用の第2第3停止時テーブルとして第2第3停止時テーブル2Xが選択され(S45)、処理が終了する。
【0228】
このように、第2第3停止時テーブルを複数種類の中から選択するときに、遊技状態(特別遊技中か一般遊技中か)、当選状況、さらには第1停止リールに応じた検索用テーブルが用いられるため、検索用テーブルを用いることなく適切な第2第3停止時テーブルを逐一検索する処理を行なう場合に比べて、第2第3停止時テーブルの選択処理を単純化することができる。
【0229】
[メインフローのS9]
第2第3停止時テーブル選択処理が終了すると、図21のメインフローに戻る。S8で第2第3停止時テーブルが選択された後、第2第3停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成する前に、優先ポイント算出処理が実行される(S9)。ここで、図24を参照して、「優先ポイント算出処理」を説明する。
【0230】
[優先ポイント算出処理]
図24は、優先ポイント算出処理を説明するためのフローチャートである。優先ポイント算出処理は、図21のメインフローのS9で実行されるサブルーチンである。
【0231】
優先ポイント算出処理は、停止済みの第1停止リールの表示結果を考慮して、第2、第3停止リールの表示結果として優先して停止すべき図柄を決定するための処理である。優先ポイント処理では、既に確定している第1停止リールの表示結果と当選状況とを考慮し、第2、第3停止リールの表示結果のすべてをシミュレーションした上で、第2、第3停止リールに配列された図柄を基準位置に停止させる優先度が第2、第3リール別、かつ、各図柄別に演算される。そして、その演算結果が第2第3停止リール用の滑るコマ数テーブルの作成処理に反映される。このため、望ましい表示結果を精度よく導出させることができる。
【0232】
以下、図24のフローチャートに基づいて優先ポイント算出処理を説明する。最初に、シミュレーション対象とする図柄の図柄番号nを0に初期化する処理が実行される(S51)。
【0233】
次に、入賞予想フラグ(図17参照)および入賞予想フラグ保持データ(図18参照)の双方が初期化される(S52)。次に、設定済みの当選フラグ(図15参照)が参照される(S53)。次に、参照された当選フラグに基づいて、入賞予想フラグ保持データが作成される(S54)。つまり、ここでは、当選フラグの値がそのまま入賞予想フラグ保持データとして記憶され、これによって当選フラグの値が入賞予想フラグ保持データに反映される。これにより、この段階での入賞予想フラグ保持データは、当選状況からみたときに発生し得る入賞役を表す(予想される入賞役を表す)データとなる。
【0234】
次に、第2停止リールの停止によって入賞が確定する役があるか否かが判断される(S55)。たとえば、「ベル1役(any−ベル−any)」は、中リール2Cの有効ラインにベルが停止すれば、それだけで入賞が確定する役である。このため、第1停止リールが左リールあるいは右リールであれば、この「ベル1役(any−ベル−any)」は、第2停止リールの停止によって入賞が確定する役となる。
【0235】
このような入賞役が存在するか否かの予測は、第2停止前の段階で行ない、当選状況がその入賞役による入賞を許容しないものであるときには、その入賞を発生させる図柄が第2停止の段階で停止しないように制御する必要がある(これに対して、仮に、第2停止の段階で見逃しても第3停止の段階でいずれかの図柄の停止を回避することで入賞を避けることができる入賞役であれば、この第2停止の段階でわざわざ入賞予想フラグ保持データにその入賞役を反映させる必要がない。)。
【0236】
換言すると、第2停止の段階で見逃しても第3停止の段階でいずれかの図柄の停止を回避することで入賞を避けることができる入賞役についてまで、第2停止の段階で早々と入賞の可能性がないように停止制御してしまうと、第2停止の段階でその入賞の可能性がないことが遊技者に悟られてしまい、入賞に対する遊技者の期待感が損なわれてしまう可能性がある。
【0237】
そこで、S55では、第2停止リールの停止によって入賞が確定する役があるか否かを判断しているのである。
【0238】
S55において、第2停止リールの停止によって入賞が確定する役があると判定されたときには、入賞予想フラグ保持データにその役が取り込まれる(S56)。具体的には、入賞予想フラグ保持データのビットのうち、その役に対応する箇所のビットが1に設定される。
【0239】
S56の後、またはS55においてNOと判定された後、各有効ライン1〜4別に入賞検索処理が実行される(S57〜S60)。各々の入賞検索処理では、次の第1、第2の2つの処理が実行される。まず、第1の処理では、次に停止する第2停止リール(第1停止リールが左であったときには第2停止リールは中と想定される)の上中下段の図柄停止箇所のうち、有効ラインが通過している図柄停止箇所に仮想的に図柄番号nの図柄を配置して、その仮想配置された図柄との組合せで発生し得る全入賞役が検索される。第2の処理では、既に停止している第1停止リールの上中下段の図柄停止箇所のうち、有効ラインが通過している図柄停止箇所に実際に停止している図柄との組合せで発生し得る全入賞役が検索される。すなわち、第1の処理では第2停止リールに仮想配置された図柄に基づいて、第2の処理では第1停止リールに実際に停止済みの図柄に基づいて、それぞれの図柄との組合せで発生し得る入賞役が検索される。この検索には、図16を用いて説明した入賞検索テーブルが用いられる。
【0240】
ここで、図25〜図28を参照して、各有効ライン別の入賞検索処理を説明する。図25は、有効ライン1の入賞検索処理を示すサブルーチンである。図26は、有効ライン2の入賞検索処理を示すサブルーチンである。図27は、有効ライン3の入賞検索処理を示すサブルーチンである。図28は、有効ライン4の入賞検索処理を示すサブルーチンである。
【0241】
図25を参照して、有効ライン1の入賞検索処理を説明する。有効ライン1は、左リールの上段、中リールの中段、右リールの下段を通過するラインである。これを図6を用いて説明した仮想設定の第1〜第3停止リールで対応付けると、有効ライン1は、第1停止リールの上段、第2停止リールの中段、第3リールの下段を通過するラインとなる。以下では、第1、第2、第3停止リールが、仮想設定されたとおり、左、中、右リールであるとの仮定で説明する。
【0242】
まず、第2停止リールの基準位置に図柄番号nの図柄が仮想的に配置される(S571)。nは図24のS51で初期化(=0)され、S68で更新される値であるから、初めは図柄番号0の図柄が第2停止リールの基準位置に仮想配置されることになる。なお、図柄番号nの図柄を仮想的に配置する際には、図柄番号nに基づいて、その図柄番号に対応する図柄データが参照される。このときの図柄データの参照に用いられるテーブルが図7に示したリールテーブルである。メイン制御部41は、このリールテーブルを参照するこによって、図柄番号nに対応する図柄の種類を特定可能となる。
【0243】
第2停止リールの基準位置は中段である(図8参照)。この中段位置は、有効ライン1上にある。このため、続いて、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S572)。その結果、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が入賞検索テーブルのデータによって特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S573)。
【0244】
次に、第1停止リールの上段に停止済みの図柄が特定され、その図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S574)。これにより、第1有効ライン1を通過する第1停止リールの上段位置に停止済みの図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S575)。
【0245】
次に、有効ライン1に関して得られた入賞予想フラグ保持データのデータが入賞予想フラグに累積され(S576)、その上で入賞予想フラグ保持データがクリアされ(S577)、処理が終了する。
【0246】
図26を参照して、有効ライン2の入賞検索処理を説明する。有効ライン2は、第1停止リール(左)の下段、第2停止リール(中)の中段、第3停止リール(右)の上段を通過するラインである。まず、第2停止リールの基準位置(中段)に図柄番号nの図柄が仮想的に配置される(S581)。この中段位置は、有効ライン2上にある。このため、続いて、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S582)。その結果、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が入賞検索テーブルのデータによって特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S583)。
【0247】
次に、第1停止リールの下段に停止済みの図柄が特定され、その図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S584)。これにより、第1有効ライン2を通過する第1停止リールの下段位置に停止済みの図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S585)。
【0248】
次に、有効ライン2に関して得られた入賞予想フラグ保持データのデータが入賞予想フラグに累積され(S586)、その上で入賞予想フラグ保持データがクリアされ(S587)、処理が終了する。
【0249】
図27を参照して、有効ライン3の入賞検索処理を説明する。有効ライン3は、第1停止リール(左)の上段、第2停止リール(中)の上段、第3停止リール(右)の上段を通過するラインである。まず、第2停止リールの基準位置(中段)に図柄番号nの図柄が仮想的に配置される(S591)。この中段位置は、有効ライン3よりも1段下の位置に該当する。このため、続いて、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄よりも1つ上の上段に位置する図柄が検索され、その上段位置の図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S592)。その結果、第2停止リールの上段位置に仮想配置された図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が入賞検索テーブルのデータによって特定される。
【0250】
なお、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄よりも1つ上の上段に位置する図柄を検索する際にも、図7に示したリールテーブルが参照される。ここで、図7を参照して、たとえば、図柄番号n=20を第2停止リールの基準位置(中段)に配置した場合には、それよりも1つ上の上段位置の図柄を特定する際には図柄番号0の図柄データを参照する必要がある。既に図7を用いて説明したように、第2停止リールテーブルでは、図柄番号20の図柄データの格納領域に続けて図柄番号0の図柄データが格納されている。このため、図柄番号n=20を第2停止リールの基準位置(中段)に配置したとき、それよりも1つ上の上段位置の図柄番号0の図柄データを特定する際の処理を高速に行なうことができる。
【0251】
次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S593)。
【0252】
次に、第1停止リールの上段に停止済みの図柄が特定され、その図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S594)。これにより、第1有効ライン3を通過する第1停止リールの上段位置に停止済みの図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S595)。
【0253】
次に、有効ライン3に関して得られた入賞予想フラグ保持データのデータが入賞予想フラグに累積され(S596)、その上で入賞予想フラグ保持データがクリアされ(S597)、処理が終了する。
【0254】
図28を参照して、有効ライン4の入賞検索処理を説明する。有効ライン4は、第1停止リール(左)の中段、第2停止リール(中)の中段、第3停止リール(右)の中段を通過するラインである。まず、第2停止リールの基準位置(中段)に図柄番号nの図柄が仮想的に配置される(S601)。この中段位置は、有効ライン4上にある。このため、続いて、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S602)。その結果、第2停止リールの中段位置に仮想配置された図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が入賞検索テーブルのデータによって特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S603)。
【0255】
次に、第1停止リールの中段に停止済みの図柄が特定され、その図柄に対応する入賞検索テーブルのデータが取得される(S604)。これにより、第1有効ライン4を通過する第1停止リールの中段位置に停止済みの図柄との組合せによって発生し得る全入賞役が特定される。次に、取得された入賞検索テーブルのデータと入賞予想フラグ保持データとの論理積が演算され、その結果が新たな入賞予想フラグ保持データとして保存される(S605)。
【0256】
次に、有効ライン4に関して得られた入賞予想フラグ保持データのデータが入賞予想フラグに累積され(S606)、その上で入賞予想フラグ保持データがクリアされ(S607)、処理が終了する。
【0257】
以上の要領で、図24の優先ポイント算出処理のS57〜S60までの処理が実行される。その結果、S60が終了した時点で、入賞予想フラグには、全有効ラインを考慮したときに発生し得る入賞役のデータが蓄積されていることになる。このように、全有効ラインを対象として、各有効ライン毎に発生し得る入賞が順次チェックされるため、発生し得る入賞を漏れなく検出できる。また、本実施の形態では、有効ラインの数は、遊技状態によって変化するが、この図24の優先ポイント算出処理では、遊技状態であるかに関わらず、有効ラインとなり得る4本の全ラインについて、入賞検索処理が実行される。その結果、有効化されているライン以外のラインに入賞の組合せが揃うことが防止される。
【0258】
次に、入賞予想フラグの反転データと当選フラグとの論理積が演算されることによって、入賞禁止判定が行なわれる(S61)。次に、演算結果に基づいて禁止入賞が有るか否かが判定される(S62)。これにより、当選フラグの設定によって入賞の発生が許容されている入賞役以外の発生が、入賞予想フラグによって予想されているか否かが判定される。その結果、当選フラグの設定によって入賞の発生が許容されている入賞役以外の発生が、入賞予想フラグによって予想されていると判定されたときには、停止禁止を示す優先ポイント(停止禁止は0)が第2停止用の入賞予想バッファ(図20参照)の対応する仮想停止位置に格納される(S67)。たとえば、図柄番号0でS51〜S60の処理を行なった上で、S62にてYESと判定された場合には、図柄番号0を第2停止リールの有効ライン位置に停止してしまうと、当選状況とは異なる入賞が発生する可能性があることになる。このような場合には、第2停止用の入賞予想バッファのうち、図柄番号0に対応するバッファ0の優先ポイントを0に設定するのである。
【0259】
このように、入賞予想フラグは、現状、発生が予測されるすべての入賞役を割り出して、その入賞役を記憶しておくためのデータである。また。優先ポイント算出処理は、入賞予想フラグで予想される入賞役のうち当選状況との関係で発生を禁止しなければならない入賞役をS61およびS62によって割り出して、その入賞の発生を禁止するために停止してはいけない図柄位置に停止禁止を示す優先ポイントを格納する処理(S67)であるともいえる。
【0260】
S62において、禁止入賞がないと判断された場合には、仮想図柄停止位置における有線ポイントが算出される(S63)。つまり、発生可能な入賞役の種類に応じた優先ポイントが算出される。なお、仮にそのような入賞役が複数存在する場合にはそれぞれの入賞役に対応する優先ポイントが加算される。優先ポイントの設定の際には、入賞役の種類と優先ポイントとの関係を示す優先ポイントテーブルが参照される。優先ポイントテーブルは、図19に示したとおりであり、メイン制御部41に記憶されている。たとえば、3枚賭け遊技において、図柄番号=0を対象として図24の優先ポイント算出処理を実行した結果、入賞の発生が予想される入賞役がスイカ「スイカ−スイカ−スイカ」となった場合には、それが禁止入賞でなければ、優先ポイントとして6が算出される。
【0261】
次に、S63において算出された優先ポイントが第2停止用の入賞予想バッファのうち、図柄番号=nに対応する仮想停止位置(バッファn)に格納される(S64)。
【0262】
S64、またはS67の後、全図柄番号(0〜20)をチェック済みかが判断され(S65)、チェック済みでない場合には、図柄番号nが更新(+1)されて(S68)、再びS57以降の処理が繰り返される。
【0263】
S65において、全図柄番号をチェック済みと判断された場合には、チェック対象のリールが第2停止リールから第3停止リールに変更された上で、これまで説明したものと同様の優先ポイント算出処理が実行される(S66)。これにより、第3停止リールの図柄番号0〜20の各々に対して、優先ポイントが設定され、その後、処理が終了する。
【0264】
以上、説明した優先ポイント算出処理においては、第2停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに第1停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別が第2停止リールに配列された図柄毎に逐一、検索されるため、導出される可能性のある入賞種別を漏れなく特定できる。
【0265】
[メインフローのS10]
優先ポイント算出処理が終了すると、図21のメインフローに戻る。S9において第2停止リールおよび第3停止リールの各々の図柄番号に対応して優先ポイントが設定された後、第2第3停止用滑りコマ数テーブルを作成する処理が実行される(S10)。
【0266】
ここで、図29を参照して、「第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理」を説明する。
【0267】
[第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理]
図29は、第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理は、図21のメインフローのS10で実行されるサブルーチンである。
【0268】
第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理においては、最初に第2停止リール用の滑りコマ数テーブルが作成され(S71)、次に、第3停止リール用の滑りコマ数テーブルが作成される(S72)。
【0269】
具体的には、図23のS44で選択された第2停止リール用の第2第3停止時テーブル1Xと、図23のS45で選択された第2停止リール用の第2第3停止時テーブル2Xと、図23のS43で特定されたデータ列Yとが参照されて、滑りコマ数テーブルが作成される。
【0270】
たとえば、第2停止リール用の第2第3停止時テーブル1Xとして、図36に示されるテーブル101が選択済みでかつデータ列Yとして0が特定されていたときには、図37(A−1)の太枠内に示すように、データ列0に対応する「1000…0000」のデータが用いられて、図37(A−2)の太枠内に示すような滑りコマ数データから成る滑りコマ数テーブルが作成される。なお、図37(A−1)のデータ列0以外のデータ、および図37(A−2)の右リールのデータは、記載を省略している。
【0271】
滑りコマ数テーブルの作成手順は、こうである。図柄番号に対応するデータ列Yのビットデータは、「0」が停止禁止、「1」が停止許可を示すデータであるため、図37(A−1)の太枠内のデータのうち、「1」が格納された図柄番号0、4、8、12、16の図柄位置が、基準位置での停止を許可された停止許可位置である。
【0272】
ゆえに、図柄番号0から順に検索し、最大滑りコマ数を考慮して4コマ先以内に停止許可位置が存在する図柄位置の各々には、停止許可位置を目標とした滑りコマ数が設定される。その結果、図37(A−2)に示されるように、図柄番号4に対する滑りコマ数は「0」が設定され、それより1コマ分だけ先に基準位置に到達する図柄番号3に対する滑りコマ数は「1」が設定される。これにより、停止操作が検出された時点で基準位置に図柄番号3の図柄が位置する場合には、1コマ滑って基準位置に停止が許可された図柄番号4の図柄が停止する。
【0273】
以上、説明した滑りコマ数テーブルの作成において、滑りコマ数を設定するための滑りコマ数設定処理のフローチャートを図29(B)に示している。図29(B)を参照して、最初に、滑りコマ数データの作成対象とする図柄番号n、および滑りコマ数を指定するデータaを夫々初期化(0)する(S81)。
【0274】
次に、対象の第2第3停止時テーブルの使用データ列Yのデータのうち、n番目のビットデータが停止許可データであるか否かが判断される(S82)。たとえば、図37(A−1)の例では、1番目のビットデータは0であるので、停止許可データでないと判断されることになる。
【0275】
この場合には、nおよびaが更新(+1)され(S87)、図柄番号20まで滑りコマ数を設定したかが判断される(S88)。NOの場合には、再びS82に進んで、更新されたnでn番目のデータが停止許可データであるか否かが判断される。たとえば、図37(A−1)の例では、0番目のビットデータは1であるので、停止許可データと判断されることになる。
【0276】
この場合には、図柄番号nの滑りコマ数が「0」に設定され(S83)、続いてaが0を超える値かが判断される(S84)。aが0を超える値でない場合にはS87に進むが、超える値の場合には、図柄番号[n−a]、[n−(a+1)]、…[n−1]に対応して、滑りコマ数として[a]、[a−1]、…[1]が設定される(S85)。
【0277】
その後、aが初期化され(S86)、S87に進む。このような処理が繰り返し実行されることにより、図37(A−1)に対応して、図37(A−2)のような滑りコマ数テーブルが作成される。そして、図柄番号20まで滑りコマ数が設定された段階で、処理が終了する。
【0278】
以上説明した滑りコマ数設定処理は、図29(A)のS71およびS72で実行され、これにより、第2停止リール用および第3停止リール用の滑りコマ数テーブルが作成される。
【0279】
以上、説明したように、第2第3停止時テーブルには、リールに配列された図柄別に、予め設定した基準位置に当該図柄が位置する状態でリールの変動を停止させることを許可するか否かを特定可能なビットデータが格納されているため、滑りコマ数テーブルの作成処理を単純化することができる。
【0280】
また、スロットマシン1は、第2停止リール用あるいは第3停止リール用に予め作成された数多くの滑りコマ数テーブルを予め記憶しているのではなく、第1停止リールの図柄の表示結果を考慮してその都度第2、第3停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成しているため、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減できる。
【0281】
[メインフローのS11]
第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理が終了すると、図21のメインフローに戻る。S10で第2第3停止用の滑りコマ数テーブルが作成された後、第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理が実行される(S11)。この補正処理は、第2第3停止用の滑りコマ数テーブルの滑りコマ数データを、S9で算出された優先ポイントに基づいて補正する処理である。
【0282】
[第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理]
ここで、図30および図39を参照して、「第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理」を説明する。図30は、第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理を説明するためのフローチャートである。図39(A)は、滑りコマ数の補正に用いる仮想位置検索データテーブルの構成を示す図であり、図39(B)は、滑りコマ数の補正例を説明するための図である。
【0283】
第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理は、図23のS10で作成された第2停止用滑りコマ数テーブルおよび第3停止用滑りコマ数テーブルについて、図柄番号順に5コマ分の図柄を補正対象として優先ポイントを参照し、補正対象のうちで最大の優先ポイントが設定されている図柄番号の位置を滑りコマ数0に補正するとともに、補正対象の残りの4コマのうち、滑りコマ数を0に補正した図柄番号よりも若い図柄番号の図柄について、滑りコマ数を0に補正した図柄位置に向けて滑るように滑りコマ数を補正する処理である。
【0284】
図30を参照して、最初に補正対象の図柄番号を選択するためのnを初期化(=0)する処理が実行される(S90)。次に、図柄番号n〜n+4の4図柄分が補正対象として設定される。
【0285】
次に、補正対象の図柄番号の中で最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが検索される(S92)。次に、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが複数存在するか否かが判断される(S93)。
【0286】
一方、S93において、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが複数存在しない場合には、図柄番号Mの滑りコマ数が0に補正される(S94)。次に、補正対象の図柄番号のうち、図柄番号Mへ向けて図柄を滑らせることが可能な図柄番号について、図柄番号Mを基準とした滑りコマ数に補正される(S95)。
【0287】
次に、図柄番号20までの滑りコマ数が補正されたか否かが判断され(S96)、NOの場合にはnがM+1に更新され(S100)、更新後のnが16に達していないことを条件(S101でNO)に再度、処理がS91に戻る。
【0288】
もし、nが16に達しているとき(S101でYES)には、「n+4」が図柄番号の最大値である20を超えるため、補正対象としては、図柄番号n〜20およびそれで補正対象数5に満たない場合には、補正対象数が5になるまでさらに図柄番号0から順に補正対象が選択されることになる(S102)。その後、再度、S92に進む。
【0289】
この場合、図39(A)に示す仮想位置検索データテーブルを用いて、以下の手順でいずれの図柄番号の滑りコマ数を0に補正するかが決定される。
【0290】
まず、補正対象の図柄番号のうち、先頭の図柄番号に対して現在設定されている滑りコマ数が特定される(S97)。
【0291】
図39(B)の太枠内の場合には、図柄番号4が先頭であるので、これの滑りコマ数「1」が参照される。
【0292】
次に、仮想位置検索データテーブルのうち、参照した滑りコマ数に対応する優先順序データが読出される(S98)。図39(B)の太枠内の場合には、図柄番号4の滑りコマ数が「1」であるので、これに対応する優先順序データとして、「4、2、3、0、1」が読出される。
【0293】
次に、読出された仮想位置検索データテーブルの優先順序データに基づいて、最優先とする図柄番号Mが決定される(S99)。具体的には、最初に、仮想位置検索データテーブルから読出された優先順序が補正対象の図柄番号の先頭から順に対応付けされる。その結果、図39(B)に示すように、太枠内の4〜8の図柄番号のデータをそれぞれ「0番目」、「1番目」、「2番目」、「3番目」、「4番目」のデータとすると、それぞれに優先順が「五位」、「三位」、「二位」、「四位」、「一位」と対応付けされる。
【0294】
図39(B)の場合には、図柄番号4よりも図柄番号5の方が優先順が高い(図柄番号4は五位、図柄番号5は三位)ため、最優先の図柄番号Mが図柄番号5と決定される。この場合、図柄番号5を対象として滑りコマ数が0に補正され、図柄番号5の一つ手前の図柄番号4については、滑りコマ数が1に補正される(S95)。その後、次の補正対象として、図柄番号6、7、8、9、10の5つが選択される。
【0295】
このように、最も高い優先ポイントが設定された図柄番号Mが複数存在する場合であっても、位置検索テーブルを用いることによって、いずれの図柄番号に対応する滑りコマ数を0とすべきかを決定可能となる。
【0296】
以上のような処理が繰り返し実行されて図柄番号20までの滑りコマ数が補正された段階で処理が終了する。その結果、たとえば、図39(B)に示すように、先に作成された滑りコマ数テーブルが優先ポイントに基づいて補正される。
【0297】
第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理が第2停止リール用の滑りコマ数テーブルと、第3停止リール用の滑りコマ数テーブルとの双方に対して実行されることによって、第2および第3停止リール用の2種類の滑りコマ数テーブルが補正される。
【0298】
以上、説明した第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理によれば、優先ポイントの大小に応じて停止を優先すべき図柄が特定されて滑りコマ数データが補正されるため、特定の入賞種別について、意図的に優先して導出させることが可能となる。
【0299】
また、優先ポイントは、複数の入賞役が揃う可能性のある図柄に対応して、夫々の入賞役に応じた値の合計値が設定されるため、複数種類の入賞種別による入賞の発生の可能性のある位置に図柄が停止する優先度が高くなる。その結果、複数種類の入賞種別のいずれかを導出させる機会が優先的に遊技者に与えられるようになり、その結果、遊技の面白味を向上できる。
【0300】
なお、図39(B)は補正前後で滑りコマ数テーブルが変化する例を示しているが、結果的に補正前後で滑りコマ数テーブルが変化しない場合もある。
【0301】
[メインフローのS12〜S18]
第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理が終了すると、図21のメインフローに戻る。S11において第2および第3停止リール用の滑りコマ数テーブルが補正された後、第2停止操作が検出されると(S12)、回転中の2つのリールのうち、実際に検出された第2停止操作に対応するリールを第2停止リールとして、S11で補正された滑りコマ数テーブルに基づいて停止させる処理が実行される(S13)。
【0302】
たとえば、仮想的に設定された第2停止リールおよび第3停止リールが、夫々、中リールおよび右リールであるにも関わらず、実際の第2停止リールが、右リールであったときには、第3停止リール用として作成された右リールの滑りコマ数テーブルに基づいて右リールが停止制御される。
【0303】
このように、スロットマシン1は、図21のS10で作成された滑りコマ数テーブルを直接、第2停止リールの停止制御に用いるのではなく、優先ポイントに基づいて補正された滑りコマ数テーブルを用いて第2停止リールの停止制御を行なう(後述する第3停止リールの停止制御時も同様)。このため、遊技者のリール停止操作のタイミングを考慮しながらも、優先ポイントに基づく補正によって目標の最終表示結果に近づくようにリールの出目を誘導することが可能になる。
【0304】
次に、第3停止操作に備えて、第3停止リール用の優先ポイントを算出する処理が実行される(S14)。この処理は、図24〜図28を用いて説明した優先ポイント算出処理と基本的には同じ処理である。具体的には、図24を参照して、S55の「第2停止リールの停止によって入賞が確定する役があるか」という判断ステップを削除し、S64の「優先ポイントを第2停止用入賞予想バッファの…」を「優先ポイントを第3停止用入賞予想バッファの…」に置き換え、S66を削除する。
【0305】
また、図25〜図28の有効ライン1〜4の入賞検索処理では、第2停止リールではなく第3停止リールの基準位置(中段)に対して仮想的に図柄番号nの図柄を配置し、停止済みの第1および第2停止リールと、未停止の第3停止リールとの関係において、各有効ライン別に発生可能な全入賞役を検索する。
【0306】
これにより、第2停止後で第3停止前に、第3停止リールの図柄番号の各々に対して、優先ポイント(停止禁止=0を含む)が再設定される。
【0307】
S14の処理の後、第3停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するための第3停止リール用滑りコマ数テーブル作成処理が実行される(S15)。この処理では、実質的には、S10の第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理で作成された第2停止リール用滑りコマ数テーブルと第3停止リール用滑りコマ数テーブルとのうち、第2停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルが新たに第3停止リール用滑りコマ数テーブルとして置き換えられる。
【0308】
それゆえ、たとえば、第2停止操作に対応するリールが、仮想的に設定した第2停止リールと一致していたときには、S10で作成された第3停止用の滑りコマ数テーブルがそのまま流用される。これに対して、第2停止操作前に仮想的に設定した第2停止リールと異なるリールが第2停止リールとして停止したとき、メイン制御部41は、図6を用いて説明したように、第3停止リールを再度設定し直した上で、第2停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルを新たに第3停止リール用滑りコマ数テーブルとする。
【0309】
このように、仮想的に設定した第2停止リールと異なるリールが停止リールとして停止したときでも停止リールの設定を変更して滑りコマ数テーブルを作成するため、実際の停止操作に応じた柔軟な停止制御が可能となる。
【0310】
次に、第3停止用の滑りコマ数テーブルが補正される(S16)。ここでの処理は、S15で作成された第3停止用の滑りコマ数テーブルの滑りコマ数データを、S14で算出された優先ポイントに基づいて補正する処理である。この処理は、図30を用いて説明した第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理と同様であるので、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0311】
次に、第3停止操作が検出されると(S17)、第3停止操作に対応する第3停止リールをS16で補正された滑りコマ数テーブルに基づいて停止させる処理が実行され(S18)、これによりリールの停止制御が終了する。その結果、可変表示装置は、滑りコマ数テーブルによって誘導された左、中、右リールの表示結果が導出された状態となる。
【0312】
次に、リールの停止制御の具体例を説明する。
[具体例]
図40は、リール停止制御の具体例を示す図である。また、図41は、この具体例に基づいた処理の流れを示す図である。図41には、遊技者によるスタート操作(スタートスイッチ7の操作)、第1リールの停止操作(この具体例ではストップスイッチ8Lの操作)、第2リールの停止操作(この具体例ではストップスイッチ8Cの操作)、および第3リールの停止操作(この具体例ではストップスイッチ8Rの操作)と、第1〜第3リールの回転/停止と、第1〜第3リールの停止制御のための各種処理内容とが示されている。特に、リールの回転開始から第2リールの停止に至るまでの処理には、(1)〜(9)の符号を付している。一方、第2リールの停止から第3リールの停止に至るまでの処理は、リールの回転開始から第2リールの停止に至るまでの処理と重複するものであるため、それらの符号は省略している。
【0313】
この具体例では、遊技状態が一般遊技中で、今回のゲームでの当選状況が当選番号30、すなわち、リプレイ1のみ当選で、かつ持越し中の当選フラグがない状態を想定している。
【0314】
また、実際の停止操作に基づいた第1〜第3停止リールが、仮想的に設定される第1〜第3停止リールと同じであり(第1が左、第2が中、第3が右)、かつ、第1〜第3停止操作検出時の基準位置の図柄がそれぞれ「ベル(図柄番号20)」「白7(図柄番号18)」「白7(図柄番号16)」であるものとする。
【0315】
[内部抽選処理(具体例)]
図41を参照して、スタート操作が検出されると、第1〜第3リールが一斉に回転を開始するとともに、(1)の内部抽選処理が実行される。内部抽選処理では、リプレイ1のみが当選する。リプレイ1は当選番号30である(図12参照)。
【0316】
[第1停止時テーブルの選択(具体例)]
次に、(2)の第1停止時テーブルの選択では、当選状況等からして(図31(A)参照)、第1停止時テーブルとして第1停止時テーブル9が選択される。第1停止時テーブル9は、図31に示されている。
【0317】
[第1停止時テーブルの参照(具体例)]
図31(D)に示されるとおり、第1停止時テーブル9に含まれる「B7、53、06、6A、66、90」のデータが参照される。
【0318】
[第1停止用滑りコマ数テーブルの作成(具体例)]
次に、図41の(3)において、滑りコマ数テーブルが作成される。参照されている第1停止時テーブル9のデータのうち、5を超えるデータは図32の変換用テーブルで変換される。その結果、その第1停止時テーブル9のデータは、「210(B)、43210321032(7)、1032103210(5)、3、0、…43210(9)、0」となる(括弧内は変換前の圧縮データ)。
【0319】
これを、先頭から第1(左)、第2(中)、第3(右)停止リール順かつ図柄番号順に滑りコマ数データとして展開すると、図33(A)に示される滑りコマ数データとなる。これにより、第1〜第3停止リール別に滑りコマ数テーブルが作成される。
【0320】
[第1停止(具体例)]
次に、図41に示されるように、リール中段の基準位置に左リールのベル(図柄番号20)が位置するタイミングで、左リールを対象とする第1停止操作が検出される。ベル(図柄番号20)に対する滑りコマ数は、図33(A)に示されるように、3に設定されている。このため、図41に示すように、図柄が3コマ滑る。その結果、図柄番号2のリプレイが基準位置に停止し、左リールの上段、中段、下段の順にベル(図柄番号3)、リプレイ(図柄番号2)、青7(図柄番号1)が並ぶ。これが、第1停止出目となる。
【0321】
[検索用テーブルの選択(具体例)]
第1リールが停止すると、図41の(4)に示されるように、検索用テーブルが選択される。この検索用テーブルは、遊技状態と当選状況と持越し中の当選フラグの状態とから選択される。図34を参照して、この具体例の場合には、一般遊技かつリプレイ1が当選であるため、図34(A)のうちの検索用テーブル1が選択される。検索用テーブルの詳細は図35に示されている。
【0322】
[第2第3停止時テーブルの番号X,使用データ列Yの特定(具体例)]
次に、図41の(5)に示されるように、第2第3停止時テーブルの番号X,使用データ列Yが特定される。これらの特定は、図41に示されるように、第1停止リールの種類(左か中か右か)に基づいて行なわれる。この具体例では、第1停止リールは「左」であった。このため、図35に示す検索用テーブル1「左」が選択される。検索用テーブル1「左」のデータは「1*8+0」とされている。
【0323】
つまり、第2第3停止時テーブルの番号Xとして、X=01が特定され,使用データ列Yとして、Y=0が特定される(図36)。
【0324】
[第2停止用、第3停止用の第2第3停止時テーブルの特定(具体例)]
次に、図41の(6)に示されるように、第2停止用の第2第3停止時テーブルおよび第3停止用の第2第3停止時テーブルが選択される。
【0325】
具体的には、検索用テーブル1「左」のデータが「X*8+Y」=「1*8+0」であるため、3桁のテーブル番号で識別される複数種類の第2第3停止時テーブルの中から、下2桁が「01(X)」のテーブル番号の第2第3停止時テーブルが選択される。また、テーブル番号の1桁目は、「1」が第2停止リール用、「2」が第3停止リール用とされている。その結果、ここでは、第2停止用の第2第3停止時テーブルとして、テーブル1X(X=01)、すなわち、テーブル101が選択され、第3停止用の第2第3停止時テーブルとして、テーブル2X(X=01)、すなわち、テーブル201が選択される。(図36〜図38参照)。
【0326】
[優先ポイント算出処理(具体例)]
次に、図41の(7)において、優先ポイント算出処理が実行される。第2停止リールおよび第3停止リール別に、図24を用いて説明した優先ポイント算出処理が実行されて、図柄番号別に優先ポイントが設定される。そして、第2停止リールの各図柄について、優先ポイントが算出されてポイント総数が算出される。同様に、第3停止リールの各図柄について、優先ポイントが算出されてポイント総数が算出される。図42(A)には、第2停止リールの各図柄について、優先ポイントを算出してポイント総数を求めるための概念図が示されており、図42(B)には、第3停止リールの各図柄について、優先ポイントを算出してポイント総数を求めるための概念図が示されている。ただし、図42(A)(B)のいずれについても優先ポイント数およびポイント総数の記載は省略されている。
【0327】
[第2停止用、第3停止用の滑りコマ数テーブルの作成(具体例)]
次に、図41の(8)に示されるように、テーブル101に基づいて、第2停止用滑りコマ数テーブルが作成され、テーブル201に基づいて、第3停止用滑りコマ数テーブルが作成される。第2第3停止時テーブルのデータが「X*8+Y」=「1*8+0」であるため、選択された第2停止用、第3停止用の第2第3停止時テーブルのうち、データ列0(Y)のビットデータが滑りコマ数データの作成に用いられる。
【0328】
図37(A−1)の太枠内に、第2停止用滑りコマ数データの作成に用いられるテーブル101のビットデータを示している。また、図38(B−1)の太枠内に、第3停止用滑りコマ数データの作成に用いられるテーブル201のビットデータを示している。
【0329】
第2停止リール用の滑りコマ数テーブルの作成について、図37(A−1)(A−2)を参照して説明する。第2第3停止時テーブル101のデータ列0のビットデータのうち、停止許可を示すビット位置は、図柄番号0、4、8、12、16であるので、これらに対応する第2停止リール(中)の滑りコマ数が0に設定される。また、滑りコマ数が0に設定された図柄位置を基準にして、図37(A−2)に示すように、各図柄番号の滑りコマ数が設定される。
【0330】
第3停止リール用の滑りコマ数テーブルの作成について、図38(B−1)(B−2)を参照して説明する。第2第3停止時テーブル201のデータ列0のビットデータのうち、停止許可を示すビット位置は、図柄番号3、7、11、15、20であるので、これらに対応する第3停止リール(右)の滑りコマ数が0に設定される。また、滑りコマ数が0に設定された図柄位置を基準にして、図38(B−2)に示すように、各図柄番号の滑りコマ数が設定される。
【0331】
以上より、図37(A−2)が第2停止用(中リール)の滑りコマ数テーブルとなり、図38の(B−2)が第3停止用(右リール)の滑りコマ数テーブルとなる。
【0332】
[第2停止前の滑りコマ数テーブルの補正(具体例)]
次に、図41の(9)に示されるように、ポイント総数に基づいて滑りコマ数が補正されて、補正後の滑りコマ数が、図42(A)(B)のとおりに算出される。なお、この具体例は、補正前の図37および図38と、補正後の図42(A)(B)とで、第2第3停止リール用の滑りコマ数が変化しない例である。
【0333】
[第2停止(具体例)]
次に、図41に示されるように、リール中段の基準位置に中リールの白7(図柄番号18)が位置するタイミングで、中リールを対象とする第2停止操作が検出される。白7(図柄番号18)に対する滑りコマ数は、図42(A)に示されるように、3に設定されている。このため、図41に示すように、図柄が3コマ滑る。その結果、図柄番号0のリプレイが基準位置に停止し、中リールの上段、中段、下段の順にスイカ(図柄番号1)、リプレイ(図柄番号0)、ベル(図柄番号20)が並ぶ。これが第2停止出目となる。
【0334】
[第3停止前の優先ポイント算出処理(具体例)]
図24を用いて説明した優先ポイント算出処理が実行されて、第3停止リール(この具体例では右リール)の図柄番号別に優先ポイントが設定される。ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0335】
[第2第3停止時テーブルに基づく滑りコマデータの作成(具体例)]
第2停止前に作成された第2停止リール用滑りコマ数テーブルと第3停止リール用滑りコマ数テーブルとのうち、第2停止が検出されたときに用いられなかった方のテーブルが新たに第3停止リール用滑りコマ数テーブルとして置き換えられる。具体例の場合には、図38(B−2)に示されるテーブルが、第3停止前の第3停止リール用滑りコマ数テーブルとされる。
【0336】
[第3停止前の滑りコマ数テーブルの補正(具体例)]
先に算出された優先ポイントのポイント総数に基づいて第3停止リール用の滑りコマ数が補正されて、補正後の滑りコマ数が、図43のとおりに算出される。
【0337】
[第3停止(具体例)]
次に、図41に示されるように、リール中段の基準位置に右リールの白7(図柄番号16)が位置するタイミングで、右リールを対象とする第3停止操作が検出される。白7(図柄番号16)に対する滑りコマ数は、図43に示されるように、4に設定されている。このため、図柄が4コマ滑る。その結果、図柄番号20のリプレイが基準位置に停止し、右リールの上段、中段、下段の順にチェリー(図柄番号0)、リプレイ(図柄番号20)、ベル(図柄番号19)が並ぶ。第3停止出目となる。
【0338】
これにより、図41あるいは図43に示されるとおり、中段の有効ラインに、リプレイ−リプレイ−リプレイの組合せが導出され、当選状況の「リプレイ1」に応じた入賞結果が得られる。
【0339】
次に、以上説明した本実施の形態の変形例や特徴点を列挙する。
(1) 本実施の形態では、リールの停止制御に関して、スロットマシンのリールとして3リールのものを例に挙げて説明した。しかしながら、上記したリールの停止制御は、1リールのスロットマシンにも適用可能である。この場合、スタート操作によってリールが回転し始めたときに、基準位置(たとえば、1リール中段位置)に図柄を順次、仮想的に配置した上で、1リールの入賞検索テーブルを用いて、可能性のある入賞を上下段位置をも考慮して検索し、当選状況との関係で不適切な位置(当選状況と異なる入賞が発生し得る図柄停止位置)を停止禁止位置とするなどの上記のリール停止制御を実行する。
【0340】
また、上記実施の形態では、リールの第1停止については予め定められた滑りコマ数テーブルの中から選択したテーブルを用い、リールの第1停止以降において、入賞検索テーブルを用いて、発生し得る入賞を検索してその検索結果を用いて停止制御に用いる滑りコマ数テーブルを作成した。しかしながら、リールの第1停止に用いる滑りコマ数テーブルについても、入賞検索テーブルを用いた上記の手法によって発生し得る入賞の検索を経て、その都度作成するようにしてもよい。
【0341】
(2) 滑りコマ数テーブルの作成に用いられる各種データは、たとえば、メイン制御部41のROM41bに格納されている。なお、図面に示した各種テーブルは概念図であって、図面に示したようなテーブル形式でROM41bに格納する必要はない。たとえば、各テーブルに含まれるデータが制御プログラム内のアドレスによって指定される領域に離散的に配置されていてもよい。すなわち、本実施の形態のテーブルの概念は、このようにテーブルデータが制御プログラム内に離散配置されるようなケースをも包含している。
【0342】
(3) 本実施の形態に係るスロットマシンでは、各リール2L、2C、2Rの手前側の位置に液晶表示器51の表示領域51aが配置されている。しかしながら、このような表示領域51aは、必須の構成ではない。
【0343】
(4) リールの停止制御に必要となる、遊技状態情報(一般遊技、特別遊技)、および当選フラグの設定状況を示す情報等をメイン制御部41からサブ制御部91へコマンド送信してもよい。この場合、リールの停止制御をサブ制御部91が実行するように構成することも可能である。
【0344】
(5) 第1〜第3停止リールを設定するタイミングは、たとえば、スタート操作検出時(第1〜第3停止リールを設定)、第1停止操作検出時(第2〜第3停止リールを設定)、第2停止操作検出時(第3停止リールを設定)とすることが考えられる。あるいは、スタート操作検出時(第1〜第3停止リールを設定)、第1停止操作に基づくリール停止時(第2〜第3停止リールを設定)、第2停止操作に基づくリール停止時(第3停止リールを設定)としてもよい。
【0345】
(6) リール2L、2C、2Rを含む可変表示装置を画像表示装置によって構成することにより、図柄を仮想的な画像リール2L、2C、2Rによって変動表示させてもよい。
【0346】
(7) 本実施の形態では、第1停止リールが第1停止操作検出前に仮想的に左リールに定められており、この停止操作順を原則として、リールの停止制御が実行される。また、この原則と異なる停止操作の順序があった場合には、禁止入賞等が発生しないように、入賞が発生する入賞ラインを制限してリールの停止制御が行なわれる。なお、原則とする第1停止リールは“左”に限定されるものではなく、特定のリールとすればよい。本実施の形態では、原則の停止順と異なる変則的な停止順(中を第1停止、または右を第1停止とする)でリールの停止操作が行なわれたとき、当選役に応じた入賞ラインが制限される。
【0347】
なお、複数のリールを備えたスロットマシンの一例として、リール2L、2C、2Rの3つのリール2L、2C、2Rを備えるスロットマシンを例示したが、リールの数は3つに限定されるものではなく、4つあるいはそれ以上の数のリールにしてもよい。この場合にも、入賞を発生させることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高いものから入賞図柄を揃える制御が行なわれる。
【0348】
たとえば、「複数のリール」を「4リール」で構成した場合には、第1〜第4停止リールが停止することによって最終的な表示結果が導出されるが、複数種類の入賞役が当選している場合に第1停止リールが停止し、続いて第2停止リールが停止するときに、入賞図柄を揃えることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高い入賞役の入賞図柄を優先的に揃える制御が行なわれる。さらに、第2停止リールが停止し、続いて第3停止リールが停止するときにも同様に、入賞図柄を揃えることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高い入賞役の入賞図柄を優先的に揃える制御が行なわれる。4リール構成の場合には、この段階で、状況により当選入賞役がテンパイする。
【0349】
リールを5リール以上で構成したときにも同様の制御を行なうことにより、複数種類の当選入賞役が存在するときに、最終停止操作以前の停止操作の検出に基づいて当該停止操作に対応するリールの変動を停止させたときに当該複数種類の当選入賞役のうちの多くの入賞役について入賞の可能性が残るようになる。
【0350】
また、上述のとおり、本実施の形態に係るリールの停止制御は、リールを1つしか備えていないスロットマシンにも適用可能であるが、このような場合についても、入賞を発生させることが可能な当選入賞役のうち、引き込み優先順位が高いものから入賞図柄を揃える制御が行なわれることになる。
【0351】
(8) 本実施の形態では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0352】
(9) また、本実施の形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。
【0353】
(10) 本実施の形態では、リールの第1停止前においては予め定めた第1停止時テーブルの中から条件に合致するテーブルが選択される(図31参照)。各第1停止時テーブルは圧縮されているものの、予め定めた滑りコマ数が記憶されたものである。しかしながら、当選状況等に基づいて、ゲーム毎にその都度、滑りコマ数を設定して第1停止に用いる滑りコマ数テーブルを作成するようにしてもよい。また、逆に、本実施の形態では、第2、第3停止に用いる滑りコマ数テーブルは、その都度、滑りコマ数を設定して作成するようにしたが、第2、第3停止に用いる滑りコマ数テーブルを予め記憶されたテーブルの中から選択するものとしてもよい。
【0354】
(11) 図40〜図43等を用いて説明したリール停止制御の具体例では、一例としてリプレイ1が当選した場合を挙げて説明したが、その他の入賞役が当選した場合(図11〜図13に示したように複数の役が重複当選した場合を含む)についても、同様に、たとえば、図41に示したような流れの処理が実行されることによるリール停止制御が行なわれる。このため、図21に示したメインフローがリプレイ1が当選ときのみならず、想定されるすべての遊技状況において実行されることはいうまでもない。また、図31に示した第1停止時テーブル、図34および図35に示した検索用テーブル、図36に示した第2第3停止時テーブルの各々のテーブルは、テーブルの一例を示したものに過ぎず、当選状況を含めたすべての遊技状況に対応可能となるように、各テーブルがスロットマシンに記憶されているものであることもいうまでもない。
【0355】
(12) 本実施の形態は、以下のスロットマシンを含む。
(A) 複数のリールの各々に配列された複数種類の図柄を変動させる可変表示装置を備え、1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、全リールで図柄の変動が停止して図柄の表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、導出された図柄の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
入賞の発生を許容するか否かを入賞種別毎に決定する事前決定手段(図21のS2)と、
前記複数のリールの各々に対応して設けられ、前記リールの図柄の変動を停止させる停止操作を行なうための停止操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記停止操作手段の停止操作を検出する停止操作検出手段(図21のS6、S12、S17)と、
全リールで図柄を変動開始させた後、前記停止操作手段の停止操作が検出されたときに、リールに配列された図柄を単位コマとする所定の最大滑りコマ数の範囲内(引き込み可能な最大コマ数(停止操作検出時に基準位置にある図柄を除くと4コマ、基準位置にある図柄を入れて5コマ)、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間(たとえば、190ミリ秒))で停止操作に対応するリールの図柄の変動を停止させることにより、当該リールの図柄の表示結果を導出させる制御を行なう導出制御手段(メイン制御部41)とを含み、
前記導出制御手段は、
1ゲーム開始後の第1停止操作に対応する第1停止リールの図柄の表示結果が導出されたときに、前記事前決定手段が入賞の発生を許容した入賞種別のうち、前記第1停止リールの図柄の表示結果と未停止リールの図柄の表示結果との組合せにより発生し得る入賞種別を検索する入賞種別予想手段(図24のS51〜S59)と、
前記第1停止リールの図柄の表示結果が導出されたときに、前記第1停止リールの図柄の表示結果に基づいて、前記第1停止操作に続く第2停止操作に対応して停止させる第2停止リールの図柄の滑りコマ数を特定するための滑りコマ数テーブル(図37(A−2)、図38(B−2))を作成する停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段(図21のS10、図10の第2第3停止用滑りコマ数テーブル作成処理)と、
前記入賞種別予想手段の検索結果に基づいて、前記停止リール用滑りコマ数テーブル作成手段が作成した滑りコマ数テーブルの滑りコマ数データを補正する滑りコマ数データ補正手段(図21のS11、図30の第2第3停止用滑りコマ数テーブル補正処理)と、
前記第1停止リールの停止後、前記第2停止操作が検出されたときに、前記滑りコマ数データ補正手段が補正した滑りコマ数テーブルに基づいた図柄が前記第2停止リールの予め設定した基準位置に達した段階で前記第2停止リールの図柄の変動を停止させる第2停止リール停止制御手段(図21のS13)とを含む。
【0356】
このような構成によれば、第2停止リール用の数多くの滑りコマ数テーブルを予め用意して記憶しておくのではなく、第1停止リールの図柄の表示結果を考慮してその都度第2停止リール用の滑りコマ数テーブルを作成するため、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減できる。
【0357】
また、滑りコマ数テーブル作成手段が作成した滑りコマ数データを直接停止制御に用いるのではなく、入賞種別予想手段の検索結果に基づいて補正されたコマ数テーブルを用いて第2停止に応じたリール停止制御を実行するため、リールの停止制御に必要なデータ記憶容量を削減可能としつつも、目標の最終表示結果を予想した上でその予想表示結果に近づくようにリールを停止制御可能となる。
【0358】
(B) 前記入賞種別予想手段は、
前記第2停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに前記第1停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別を前記第2停止リールに配列された図柄毎に検索する検索手段(図24のS59)と、
入賞種別に応じたポイントを前記検索手段により検索された前記第2停止リールの図柄毎に設定するポイント設定手段(図24のS65、S67)とを含み、
前記滑りコマ数データ補正手段は、前記ポイント設定手段が設定したポイントの大きさに基づいて、前記最大滑りコマ数の範囲にある図柄のうちから前記基準位置に停止させる第2停止リールの図柄を決定し、当該決定結果に基づいて前記最大滑りコマ数の範囲にある各々の図柄に対応する滑りコマ数データを補正する(図30のS94、S95)。
【0359】
このような構成によれば、ポイントの大小に応じて停止を優先すべき図柄が特定されて滑りコマ数データが補正されるため、特定の入賞種別について、優先して導出させることが可能となる。また、第2停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに第1停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別が第2停止リールに配列された図柄毎に検索されるため、表示結果として導出される可能性のある入賞種別を漏れなく特定できる。
【0360】
(C) 前記ポイント設定手段は、前記第2停止リールに配列された一箇所の図柄に対して前記検索手段により複数種類の入賞種別が検索されたときには各入賞種別に応じたポイントを加算した値を設定する(図24のS67)。
【0361】
このような構成によれば、複数種類の入賞種別による入賞の発生の可能性のある位置に図柄が優先して停止するため、複数種類の入賞種別のいずれかを表示結果として導出させる機会が優先的に遊技者に与えられるようになり、その結果、遊技の面白味を向上できる。
【0362】
(D) 前記入賞種別予想手段は、
前記第2停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに前記第1停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別を前記第2停止リールに配列された図柄毎に検索する検索手段(図24のS59)と、
前記検索手段により検索された入賞種別が前記事前決定手段により入賞の発生が許容された入賞種別に対応しない禁止入賞であるか否かを判定する禁止入賞判定手段(図24のS60)と、
前記禁止入賞判定手段によって禁止入賞と判定された前記第2停止リールの図柄に対応して、停止禁止データを設定する停止禁止データ設定手段(図24のS61)とを含み、
前記滑りコマ数データ補正手段は、前記停止禁止データ設定手段が停止禁止データを設定した前記第2停止リールの図柄が前記基準位置に停止しないように前記滑りコマ数テーブルの滑りコマ数データを補正する(図30のS94、S95)。
【0363】
このような構成によれば、禁止入賞となる位置に図柄が停止しないように制御されるため、禁止入賞が発生することを防止可能となる。
【0364】
(E) 前記入賞種別予想手段は、
前記第2停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに前記第1停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別を前記第2停止リールに配列された図柄毎に検索する検索手段(図24のS59)と、
入賞種別に応じたポイントを前記検索手段により検索された前記第2停止リールの図柄毎に設定するポイント設定手段(図24のS65、S67)とを含み、
前記ポイント設定手段は、有価価値(メダル、クレジット)を用いることなくゲームを行なうことが可能な再ゲームが付与される再遊技の入賞種別(再遊技1,2)が前記検索手段により検索されたときには、最大ポイントを設定し(図19、図24のS65)、
前記滑りコマ数データ補正手段は、前記最大滑りコマ数の範囲に最大ポイントが設定された図柄が存在するとき、前記第2停止リールの当該図柄を前記基準位置に停止させる図柄とする(図30のS94)。
【0365】
このような構成によれば、再遊技の入賞種別による入賞の発生が許容されているときには、再遊技の入賞種別による入賞を他のいずれの入賞種別による入賞よりも優先して発生させることが可能となる。これにより、単位時間あたりの遊技者の投資額を適度に抑えて射倖性が極端に高まり過ぎることを極力防止できる。
【0366】
(F) 前記入賞種別予想手段は、
前記第2停止リールの図柄の変動が停止したと仮定したときに前記第1停止リールの図柄の表示結果との関係において発生し得る入賞種別を前記第2停止リールに配列された図柄毎に検索する検索手段(図24のS59)と、
入賞種別に応じたポイントを前記検索手段により検索された前記第2停止リールの図柄毎に設定するポイント設定手段(図24のS65、S67)とを含み、
前記滑りコマ数補正手段は、前記最大滑りコマ数の範囲の図柄の各々に対応して設定されたポイントの中に、前記基準位置に停止する図柄とすべき同じ大きさのポイントが複数存在するときに、所定の位置検索テーブル(図21(A)の仮想位置検索データテーブル)に基づいて、前記基準位置に停止させる図柄を決定する(図11のS93、S97〜S99)。
【0367】
このような構成によれば、位置検索テーブルを用いることによって、ポイントが同数の図柄のうちのいずれを優先して停止すべきかを決定可能となる。
【0368】
(13) なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0369】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a メインCPU、41b ROM、41c RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示領域を含む可変表示装置を備え、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記可変表示領域に表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、前記可変表示領域に導出表示された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
前記可変表示領域において一巡する複数の識別情報のうちには、いずれが導出表示されても同じ入賞を発生させる同種の識別情報が含まれており、
入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
前記可変表示領域に導出表示される識別情報によって発生し得る全ての入賞を特定可能な入賞特定用データを記憶している入賞特定用データ記憶手段と、
前記入賞特定用データと前記事前決定手段の決定とに基づいて、発生し得る入賞を検索する入賞検索手段と、
入賞検索手段の検索結果を用いて、前記識別情報の導出パターンを作成する導出パターン作成手段と、
前記可変表示領域について表示結果を導出表示させる操作を検出したときに、前記導出パターンを参照して当該可変表示領域に表示結果を導出表示させる導出表示制御手段とを含み、
前記入賞特定用データ記憶手段は、当該可変表示領域において一巡する複数の識別情報の種類毎に前記入賞特定用データを記憶している、スロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2013−111392(P2013−111392A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262506(P2011−262506)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】