説明

スワスSAR用の効率的なオートフォーカス方法

可動レーダは、パッチから反射された周期的なパルス反射波からパッチの探索モード合成開口画像を生成する。パッチは2以上のオーバーラップするアレイから得られるレーダ反射波から画像化される。強力な散乱体が各アレイ内で突き止められ、その後各アレイからのデータはレーダの運動と強力な散乱体に関して運動補償される。各アレイの運動補償された結果は各アレイの位相誤差を得るためにオートフォーカスされる。各アレイの位相誤差を使用して、接続された位相誤差評価が計算され、各アレイの位相誤差に加算され、アレイ間のオーバーラップで位相間の差を最小にし、アレイ間のオーバーラップ領域には位相不連続性が全く存在しないか最小であることを保証する。位相の不連続性の防止はパッチをレンダリングするアレイの組み合わせのクリアなSAR画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は探索(スワス)合成開口レーダ(SAR)画像化用のオートフォーカス方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は2004年11月23日出願の米国特許第10,996,246号明細書(発明の名称“Autofocus Method Based on Successive Parameter Adjustments for Contrast Optimization”)において米国特許商標庁の部分継続出願である(ref PD-03W148)。
【0003】
本発明は米国空軍により与えられた契約番号F19628-00-C-0100により政府の支援で行われた。米国政府は本発明に対してある権利を有する。
【0004】
合成開口レーダ(SAR)は地上マッピングとターゲット識別に使用されている。SARの裏の一般的な原理は複数の逐次的に送信されたパルスからのレーダ反射波の振幅と位相情報をコヒーレントに結合することである。これらのパルスは運動しているプラットフォーム上の比較的小さいアンテナからである。プラットフォームが移動すると、パルスに含まれる情報は高分解能のSAR画像に到着するためにコヒーレントに結合される。
【0005】
プラットフォームの推定される既知のパスに沿って送信されたパルスにより発生されるSAR画像を生成する複数の反射波はアレイを形成する。理論的に、アレイ期間中、各パルスの反射された振幅および位相情報は、それぞれの多くの距離ビンにおいて保存される。SAR画像は各距離ビン内の反射波の振幅および位相のコヒーレントな組合わせから形成され、アレイ期間中の反射波の捕捉中に移動するプラットフォームの空間的変位に対して運動を補償される。
【0006】
SAR画像の明瞭性は多くの観点でSAR画像計算前に各レーダ反射波に与えられた運動補償の品質に依存している。運動補償は基準点に関して移動するプラットフォームの空間中の運動にしたがって各レーダサンプルの位相をシフトする(典型的にアナログデジタル変換器から得られたI+jQ複素数量)。SAR画像化プロセスはアレイ内で予測される全てのレーダ反射波のコヒーレントで位相が正確な和に依存している。
【0007】
ある応用では、各レーダA/Dサンプルに与えられる運動補償誘導位相補償の正確度は不十分である。さらに良好な位相整列では、正確なオートフォーカス(AF)方法が使用されている。オートフォーカス(AF)方法は典型的に運動補償だけから得られるよりも良好な正確度でレーダ反射波サンプルを位相整列するためにSARレーダ自体のレーダ反射波に含まれる情報を使用する。集められたSARデータから得られる評価された位相誤差は結果的なSAR画像を改良するために運動補償されたSARデータに与えられる。位相誤差評価と補償のためのこのSARデータ駆動方法は通常オートフォーカス(AF)と呼ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スポットライトモードに加えて、SARレーダはまた探索(スワスまたはストリップ)マップモードで動作されることもできる。スポットライトモードはフレーム(またはアレイ)期間中にアンテナビームをマップ(画像)中心の中心線へ操縦することによって限定された領域の限定された寸法の2次元画像を生成する。反対に、探索モードはSARデータ集収期間またはアレイ期間中に固定された方位角アンテナの指向を維持することによって理論的に限定されない長さの画像ストリップを生成する。典型的に距離−方位角方向に指向されている画像を生成するスポットライトモードと異なって、探索モードはトラックに沿っておよび交差トラック方向で指向されている画像を生成する。探索モード期間中に補償されていないプラットフォームの運動は方位角の応答に影響するパルススデータによって生じる方位角方向での画像の不鮮明を生じる。両者の画像軸方向におけるターゲット画像の不鮮明のために、1次元のバッチ処理を使用してオートフォーカスに対して残留する位相誤差を評価し修正することは困難である。
【0009】
探索モード期間中に存在する困難な問題はパッチのSAR画像を形成する多数の部分の位相誤差をマージすることである。パッチの境界部分がぼやけ、その領域で位相定義として良好に規定されない境界は明白に規定されず、連続的ではない。したがって位相誤差が補償される必要があり、連続的な方法で全ての地上ターゲットに対して評価されることができない。これらのパッチの個々の部分は連続的な画像に対して補正される必要がある。このような補正が行われなければ、結果的な画像において不所望で偽の高周波数成分が導入され、その品質と利用性を落とす。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の制限は減少され、SAR画像はパッチから反射された周期的なパルス反射波からパッチの探索モード合成開口画像を生成するためにレーダによって改良される。レーダは運動しているプラットフォーム上に設けられる。第1の数の周期的なパルス反射波は第1のアレイから反射され、第2の数の周期的なパルス反射波は第2のアレイから反射される。第1のアレイはあるオーバーラップ量だけ第2のアレイとオーバーラップする。オーバーラップする第1のアレイと第2のアレイはパッチをカバーする。通常、多数のオーバーラップするアレイはパッチをカバーする。
【0011】
レーダは第1のアレイからのパルス反射波を第1の距離ビンを有する第1のデジタルアレイへ変換するためのアナログデジタル変換器(ADC)を具備する。同じまたは別のADCは第2のアレイからのパルス反射波を第2の距離ビンを有する第2のデジタルアレイへ変換する。
【0012】
デジタルコンピュータは、
前記第1のデジタルアレイ内の第1の強力な散乱体の位置を突き止め、
前記第2のデジタルアレイ内の第2の強力な散乱体の位置を突き止め、
前記第1のデジタルアレイと前記第1の強力な散乱体が、運動補償された第1のデジタルアレイを獲得する期間中に前記移動プラットフォームの前記運動に関して前記第1のデジタルアレイを運動補償し、
前記第2のデジタルアレイが運動補償された第2のデジタルアレイを獲得する期間中に前記移動プラットフォームの前記運動に関して前記第2のデジタルアレイを運動補償し、
前記運動補償された第1のデジタルアレイをオートフォーカスして、前記第1のデジタルアレイにおける第1の位相誤差評価を獲得し、
前記運動補償された第2のデジタルアレイをオートフォーカスして、前記第2のデジタルアレイにおける第2の位相誤差評価を獲得し、
最適化された位相を前記第2の誤差評価に加算して、前記第2のアレイに対するシフトされた誤差評価を獲得し、
前記第1の位相誤差評価と、前記シフトされた誤差評価とを前記オーバーラップにわたってマージし、接続された位相誤差評価を獲得し、
前記接続された位相誤差評価を前記運動補償された第1のデジタルアレイと前記運動補償された第2のデジタルアレイに供給して、前記パッチの画像を計算するために使用される。
【0013】
第1の強力な散乱体は、前記第1のデジタルアレイ内の各前記第1の距離ビンの第1の距離ビンパワーを計算し、前記第1の距離ビンの中から最高の第1の距離ビンパワーを有している前記第1の距離ビンの1つを選択することによって第1のアレイ内で発見される。第2の強力な散乱体は、前記第2のデジタルアレイ内の各第2の距離ビンの第2の距離ビンパワーを計算し、前記第2の距離ビンの中から最高の第2の距離ビンパワーを有している前記第2の距離ビンの1つを選択することによって位置を突き止められる。
【0014】
最適化された位相は最小二乗法則を使用して前記オーバーラップにわたって前記第1の誤差評価と前記第2の誤差評価との間の差を最小にする。1実施形態では、オーバーラップは前記第1のアレイにおける複数のパルスと、前記第2のアレイにおける同数のパルスを含み、典型的には第1のアレイを形成するパルス数の10%を超える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明はパッチをカバーするオーバーラップアレイを使用してパッチの探索型SAR画像を改良するための方法を説明する。
【0016】
SAR画像はそこに含まれる情報の同位相の組み合わせを実現するために反射されたパルスの正確な位相整列を必要とする。位相誤差は運動補償からのナビゲーションデータの不正確性、またはSAR画像の焦点外れを起こすレーダ反射波における大気の影響から生じる。これらのタイプの誤差の補償に使用される方法はオートフォーカス(AF)と呼ばれる。AFは元来運動補償により与えられていない比較的微細で正確な位相補正を行うために、運動補償されたレーダ集収データに含まれる情報に依存している。
【0017】
スポットSARモードの場合とは異なって、探索SARモードにおけるAFの処理は位相誤差の連続的な評価を必要とし、したがって多数のSARアレイが大きいパッチに組み合わせられることができる。さらに、スポットモードとは異なって、探索モードで生成される画像はトラックに沿った方向、トラックを交差する方向で指向される。ここで説明される最良のモードの実施形態は極フォーマットアルゴリズム(PFA)により形成される画像を使用してバッチ処理の前にAFを行う。連続的なパラメータ調節(SPA)は各AFアレイの位相誤差の評価に使用される。予備領域の探索は強力な反射波を有する画像中の領域を選択するために行われる。SPAによる高次の位相誤差を評価するためのAF画像は方位角の歪除去(deskew)を使用せずに、開口(方位角周波数)ドメインで時間においてデータを整列するためPFAを使用して形成される。各アレイの別々の位相誤差評価はパッチを形成する全てのアレイに与えられる複合位相誤差を得るためにマージされる。
【0018】
図1はレーダ送信機/受信機による合成開口(SAR)探索方法画像化パッチ101を使用しているレーダ送信機/受信機を搭載する運動プラットフォーム間の典型的な従来技術の幾何学形状の関係を示している。運動プラットフォームは最初に位置103に存在し、位置105と示されている方向へ速度Vで移動する。SAR探索(またはスワス)モードでは、SARアンテナの方位角はプラットフォームが速度Vで動くときパッチ101方向へ指向される方位角θで固定される。運動プラットフォームは固定された角度θを維持しながら、位置103から位置105へ移動し、それによってアンテナは進行するときにパッチ101の部分を照射する。レーダパルスが送信され、対応する反射波が位置103と位置105との間で集められるアレイ期間中に多くの点で受信される。SARレーダの探索タイプは技術でよく知られており、例えばJ. C. Curlander等の文献Synthetic Aperture Radar: Systems and Processing、Wiley、1991年(以後参考文献1として識別する)に記載され、ここでその全体が参考文献とされている。
【0019】
運動補償は、レーダの反射波を捕捉するとき運動プラットフォームに関する散乱体の位置の変化により生じるSAR画像を形成するSARフレーム中の各レーダ反射波に対するレーダ位相誤差をデジタル補正するプロセスである。焦点に関する運動プラットフォームの運動は典型的にGPS/INSシステムに結合された加速度計を使用して測定される。運動補償はレーダ反射波の各I/Qサンプルについて機上のデジタルコンピュータ(プロセッサ)で行われる。運動補償の正確な形態はレーダ反射波からのSAR画像を編集するために使用される方法にしたがう。残留位相誤差は運動補償が考慮された後に存在する位相誤差である。補償されていないセンサ運動または大気の影響のような種々の原因による残留位相誤差によって劣化されたSAR画像品質が生じる。全体的な(探索)パッチにわたる補償されていない位相誤差の減少がこの実施形態の目標である。
【0020】
(1)SAR探索モードとデータ取得についてのオートフォーカスの概論
SAR探索モードはスポットライトモードとは異なる。スポットライトモードは一般的に、距離および方位角方向に指向される画像を生成する。探索モードでは、画像はトラックに沿った方向とトラックを交差する方向に存在する。運動補償が不完全であると結果的な画像を両軸で不鮮明にすることである。したがって不鮮明は1つが各軸に対応する2つの誤差源の結果である。両軸からの誤差が影響するために、1次元処理を用いた残留事後運動補償誤差を評価し補正することは困難である。
【0021】
探索モードの位相誤差は画像形成のバッチ処理段階で評価され補正されることができる。即ちパルス・ツー・パルス処理はデータが捕捉されるときに行われ、オートフォーカスが後に実行される。オートフォーカス処理の1例は2004年8月24日出願の米国特許第6,781,541号明細書に記載されており、その全体がここで参考文献とされている。この’541号明細書と異なって、本発明の方法および装置はバッチ処理前に計算される位相補償方法について説明する。
【0022】
探索モードのオートフォーカスにおける挑戦は、探索パッチのオーバーラップされたサブセットである2以上のAFアレイを使用して、評価される位相誤差セグメントをマージすることである。補償される必要のある位相誤差は連続的な方法で地上の全てのターゲットについて補償されることはできない。それ故、位相誤差はAFパッチを使用して、パルスのグループで評価され、その後パッチ画像を説明する全ての集収されたパルスに与えられる位相誤差補正の連続流のために適切に接続される。最終的な画像中の高周波数雑音を防止するためにオーバーラップされた共通の期間中に評価をマージすることによって画像の別々のサブセット、即ちAFアレイの平滑な接続を行うことが必要である。一定で線形の位相評価された補正項が導入され、それによって連続する位相誤差セグメント間のオーバーラップされた部分は最小二乗法則を使用して最適化され、各AFアレイからの評価された位相誤差は二次式よりも低い項を含まないことを考慮する。プラットフォーム運動誤差の完全な補償は、このような補償が角度誤差と遅延または位相誤差の評価を必要とするので、AF機能により単独で計算されることはできない。したがってAF機能は画像品質を改善するためだけに位相誤差を評価し補正する。画像のシフトおよび設計のやり直しもAF機能を適用せずに計算されることができる。それ故、画像の不鮮明は位相誤差が任意のAF方法を使用して補正されるときのレーダデータの捕捉において遭遇する運動誤差のタイプに応じて、さらに良好になるか悪くなる。1つのAF方法はD. E. Wahl等のNew Approach to Strip Map SAR Autofocus、Digital Signal Processing Workshop、1994年、第6IEEE、1994年10月2−5日、53−56頁により示唆されている方法であり、これはその全体がここで参考文献とされている。
【0023】
探索モードのSAR処理は2つの処理段に分割され、これはSAR画像に対するパルス・ツー・パルスおよびバッチ処理である。図2はここでの方法が典型的な探索モードの画像形成チェーンで適用される場合を示している。AF機能への入力は全ての収集されたパルスにおける距離のサンプルされたデータである。距離圧縮202は送信されたパルスが線形の周波数変調された(LFM)波形を使用するとき、それぞれ受信されたパルス中の二次位相成分を除去する。その結果は距離の再サンプル204へ送られる。オートフォーカス(AF)機能206により発生されたΔΦAFは集収されたレーダ反射波に含まれている評価された誤差である。この評価された誤差は方位角の再サンプル208が計算される前に補償される。
【0024】
−jΔΦAFのAF計算は図3に示されているように行われる。主なAF処理ステップを開始する前に、全体的な探索画像の一部分を表す各AFアレイのレーダ反射波はAFアレイ301のパルス取得において選択される。この方法に適用可能なレーダ反射波集収が図4に示されており、AF評価された位相誤差を得るために使用されるパラメータを含んでいる。
【0025】
図4では、パッチ402のデータ取得の長さLDTは所望のAT分解能δATと方位角の画像パッチの幅LPWから決定される。データ取得はパッチに対して404、408…406のような2以上のNAFAオートフォーカスアレイへ分割され、それによって組合された位相誤差評価はNAFA位相誤差評価が完了されたとき長さLDTのパルスに適用されることができる。AFアレイのアレイ長とそれぞれLDT,AFとLOVによるオーバーラップ部分を表示する。その後、次式のオーバーラップ比を使用する。
γOV=LOV/LDT,AF
DT,AFは次式から計算される。
DT,AF=LDT/(NAFA−γOV(NAFA−1))
AFアレイは距離および方位角方向で指向されるAF画像を形成するために使用される。スキント角度θsqを有する方位角のAF画像の寸法は所望の方位角分解能δAZ、波長λ、マッピング距離R、主ローブの広がり係数kについて計算される。
PW,AF=(LDT,AF−(kRλ/(2δAZcosθsq))cosθsq
各AFアレイのパルスの数NAFAはプラットフォーム速度vに対して次式を使用してLDT,AFから計算される。
AFA=(LDT,AF・PRF)/v
プラットフォーム速度がパッチに対するデータ集収期間中に顕著に変化するとき、各AFアレイのパルス数は一定に維持される。AFアレイは固定されない。
【0026】
(2)強力な反射波を有する領域の選択
SPAはここで使用される方法であり、これはコントラストの最適化に基づいている。この実施形態では高いレーダエネルギ反射性を有する画像化された領域が好ましい。低いレーダエネルギの反射性の領域は湖水および近隣の丘、山または他の特性により遮蔽されたまたは遮られた湖および地形を含んでいる。図5に示されているように、チャープを除去された距離サンプル(チャープとは送信パルスの線形周波数変調のことである)はMCの情景中心線(SCL)上の点からSCL上の点501に関して運動補償(MC)される。MC点は図6に示されているように各AFアレイのスキント角度θsqと距離Rにより決定される。データの回転503は出力サンプルを減少する。距離FFT505は距離ビンデータを画像(周波数)ドメインへ変換する。方位角FFTは距離ビンパワーの計算に必要とされない。距離ビンパワーの計算507は特定のアレイ内の各距離ビンのレーダ反射波エネルギ量を計算する。最も強い反射波を有する特定の方位角の距離ビン、即ち最高の距離ビンパワーは以下説明するようにPFAを使用して画像形成に使用される中心基準点(CRP)の座標を与える。
【0027】
図6では、アレイ602は距離ビン608が強力な散乱体を有するSCL周囲のデータを集収する。アレイ602に、オーバーラップするアレイ604もまたSCL周辺のデータを集め、距離ビン606で強力な散乱体を有する。データを集収するプラットフォームは速度Vで移動する。
【0028】
(3)PFAにより形成される画像を使用するSPAに基づいた位相誤差評価
各アレイの位相誤差は多くの利用可能なAF技術の1つを使用して評価される。1実施形態では、逐次パラメータ近似(SPA)と呼ばれる技術が使用され、それは2004年11月23日出願の米国特許第10,996,246号明細書(発明の名称“Autofocus Method Based on Successive Parameter Adjustments for Contrast Optimization”)に記載されている。この技術は、D. E. Wahl等のPhase Gradient Autofocus-A Robust Tool for High Resolution SAR Phase Correction、IEEE Trans. Aerosp. Electron. Sys、30巻、827−834頁、1994年3月に記載されている位相勾配オートフォーカス方法(PGA)で典型的に使用されるターゲットのような点に依存しないので、この好ましい実施形態では頑強であることが発見されている。
【0029】
SPAはこの好ましい実施形態で使用されるとき、エントロピーにより測定される画像コントラストを最大にするため反復ループを通じて位相誤差の近似に使用されるルジャインドルの多項式の係数を評価する。SPAを使用するために、画像はPFAまたは距離移行アルゴリズム(RMA)のような画像形成アルゴリズムの1つを使用して形成される。しかしながらRMAにより形成される画像から方位角で変位されるターゲットの位相経歴は時間において整列されない。したがって方位角の歪除去が2003年12月30日のK. M. Choによる米国特許第6,670,907号明細書に記載されているように、時間において位相経歴を整列するために使用される。方位角の歪解除機能の使用を防止するため、PFAはRMAの代わりに好ましい実施形態で使用される。図6に関して説明されているように強力な距離ビンの反射波を有することが発見されているCRP位置の周辺における形成された画像の領域は図7ではSPAを適用する前に示されている。図7では、アレイ602によりカバーされる領域703は距離ビン608中で発見された強力な散乱体に関して運動補償されている。同様に、アレイ604によりカバーされている領域701は強力な散乱体606に関して運動補償されている。
【0030】
PFAの処理シーケンスが図8に示されている。PFAへの入力は(距離補償された)チャープを除去された反射波I/Qレーダデータである。距離の歪解除機能は典型的に比較的小さいAF画像のPFA画像では必要とされない。CRPを使用する運動補償802は図6で概説したように中心基準点(CRP)を使用してレーダデータの運動を補償する。距離補間804と方位角補間806は参考文献1に記載されているように多相フィルタを使用して行われる。距離FFT808は方位角において距離周波数を有する距離ビンデータを生成する。距離FFT808からの出力はこのCIP応用の親出願で記載したようにSPAへ入力される。
【0031】
(4)オーバーラップする隣接(AF)アレイからの位相誤差評価のマージ
最良のコントラストに対して評価された位相誤差は方位角周波数で均一のサンプルされたデータを使用して前述のセクション(3)にしたがって計算される。各AFアレイに対して計算された別々の位相誤差からのパッチを示すパルスに与えられる複合位相誤差を計算するために、位相誤差は各AFアレイの位相誤差を特徴付けるルジャインドルの多項式を使用して各パルスに対して計算される。各パルスに対応する方位各周波数は図9に示されている幾何学形状に基づいて次式を使用して計算され、ここでMはSAR集収角度を等しく分割する中間アレイ点である。
tanΔθ=tan(θ−θ
=(tanθ−tanθ)/(1+tanθtanθ
ここで、
tanθ
(R・cosψsinθ−(n−M)・v・PRI)/Rcosψcosθ
ここで、
θは中間アレイ点Mにおけるスキント角度であり、
θはパルスnにおけるスキント角度であり、
ψは中間アレイ点Mにおけるグレージング角度であり、
PRIはパルス反復インターバル(PRI)である。
【0032】
各パルスの位相誤差はパルスnに対して次式により関連付けられるパルスに対応する方位角周波数でセクション(3)において得られた係数を有する多項式を使用して計算される。
Δkx=(2/λ)tan(Δθ
次に、隣接する位相誤差評価は線形位相を計算することによりスムースに接続され、これは隣接する位相誤差評価を相対的な位相近接にする。
【0033】
この手順の好ましい実施形態は従来技術から離れた教示である。典型的な方法では、位相アレイ誤差の二次導関数はルジャインドルの多項式により特徴付けられ、オーバーラップ部分NOVにわたり平均される。これに続いて(全体的な)パッチに適用される位相誤差を計算するために二重積分が行われる。しかしながら近隣の評価された位相と組み合わせたときの安定な結果を除外すると、評価される位相のエッジ周辺の二次導関数は非常に変動する傾向があるため、これはここでは機能しない。したがってこの従来技術は役に立たない。
【0034】
対照的に、好ましい実施形態は図11に示されているように、線形で一定の位相項を加算することにより最小二乗法則を使用してオーバーラップ領域NOV中の各アレイからの別々の位相誤差評価を適合することによって最適化(線形)位相を計算する。ここで位相誤差評価1101、Φm−1(n)はオーバーラップ間隔NOVにわたって隣接位相評価1107、Φ(n)から位相差Eだけ分離される。位相差Eを減少し、平滑にし、最適化することが望ましい。
【0035】
位相差Eを最小にするため、一定で線形の位相が導入され、それによって位相差Eはオーバーラップ領域NOVにわたって第1の位相誤差評価1101と第2の位相誤差評価1107との間で最小にされる。次式で計算される一定で線形の位相は第2の誤差評価1107に加算される最適化位相であり、これは最小二乗規則を使用して位相差Eを最小にする。Φ(n)をアレイmの評価された位相誤差、パルスインデックスn=0,1,…NAF−1をオーバーラップされたNOVパルスを有する各AFアレイのNAFとして表す。オーバーラップされる領域NOVの2つの位相誤差間の位相差Eは次式として表される。
n=0,1,…NOV−1では、
ΔΦ(n)=Φm−1(NAF−NOV+n)−Φ(n)
最小二乗最適化規準を使用してΔΦ(n)を近似する線形関数、即ちf(n)=a+anの係数aとaは、次式のように計算される。
【数1】

【0036】
その後、Φ’(n)が更新され、シフトされた位相は、f(n)を使用して計算された線形位相を加算することにより生成される。
n=0,1,2…NAF−1では、
Φ’(n)=Φ(n)+f(n)
次に、近隣アレイのデータはアレイからアレイへ漸進的で平滑な位相転移でマージされ、パッチのSAR画像を形成する。アレイにわたって使用される位相ΦSMOOTH(n)は次式のように考慮される。
ΦSMOOTH(n)=A・Φm−1(NAF−NOV+n)+(1−A)・Φ’(n)
ここで、n=0.1.2…,NOV−1では、
=(NOV−1−n)/(NOV−1)
アレイのオーバーラップしない部分には変化はない。即ち、
n=NOV,NOV+1…NAFでは、
ΦSMOOTH(n)=Φ’(n)
全てのアレイについてのこのプロセスを反復すると、更新されたΦSMOOTHは次のオーバーラップする領域の位相データを調節しマージするためにΦm+1(n)に加算される線形位相を決定するための第1のアレイとして使用される。
【0037】
全てのアレイ(AFセグメント)の線形の位相調節とマージが完了されたとき、スムースに接続される位相誤差はパッチの全てのアレイデータを補償するために適用される。線形位相調節の適用により生じた画像シフトを除去するために、線形成分は第1のパッチの複合位相から除去される。連続的なパッチのアレイ間の位相マージは同様に、先行するデータの取得の最後のAFアレイと、現在のデータ取得の最初のAFアレイとの間のオーバーラップ比に基づいて行われる。
【0038】
ここで説明する装置および方法の要約はさらに図12で詳細に示されている。アナログデジタル変換器1210は、レーダ1200の一部分であり、コンピュータ1212内で処理されるデジタルデータを発生する。近隣オーバーラップアレイ1202の位相誤差評価の計算は、第1のデジタルアレイ内で第1の強力な散乱体の位置を突き止め、さらに前記第1のデジタルアレイと前記第1の強力な散乱体が運動補償された第1のデジタルアレイを獲得する期間中のプラットフォーム運動に関して前記第1のデジタルアレイを運動補償しながら第2のデジタルアレイ内で第2の強力な散乱体を突き止める。運動補償は運動補償された第2のデジタルアレイを獲得するために第2のデジタルアレイに対して行われる。
【0039】
第1のデジタルアレイは前記第1のデジタルアレイにわたる第1の位相誤差評価を得るためにオートフォーカスされ、第2のデジタルアレイもまた前記第2のデジタルアレイにわたる第2の位相誤差評価を得るためにオートフォーカスされる。
【0040】
一定で線形の位相の加算1204は最適化された位相を第2の誤差評価へ加算し、前記第2のアレイに対するシフトされた誤差評価を得る。
【0041】
オーバーラップ領域のデータのマージ1206では、第1の位相誤差評価はオーバーラップ領域にわたるシフトされた誤差評価へマージされ、接続された位相誤差評価を得る。
【0042】
完全なパッチにわたる最適化された位相誤差評価の計算1208は接続された位相誤差評価を運動補償された第1のデジタルアレイと運動補償された第2のデジタルアレイへ適用し、第1および第2のデジタルアレイによりカバーされたパッチの強化されたSAR画像を計算する。
【0043】
この明細書で述べた全ての参考文献はその全体がここで参考文献とされている。
【0044】
特定の実施形態を使用する例示的な方法で示されているが、説明された構造はこのように限定されることを意図されていない。例えばここで説明された最適化はレーダシステムの文脈で説明されているが、ソナーまたは類似の画像化方法にも応用可能であり、その場合に散乱体の画像は複数の位相の正確な反射波のコヒーレントな和から抽出される。
【0045】
当業者は多くの変化および変形が本発明の技術的範囲を逸脱せずにここで説明された実施形態に対して行われることができることも認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来技術のSARスワス構造の図。
【図2】好ましい実施形態のパルス・ツー・パルス処理を示す図。
【図3】パッチの画像を生成するため複数のアレイのマージを示す図。
【図4】パッチに関する複数のアレイの幾何学形態を示す図。
【図5】特定のアレイの中心基準点(CRP)を発見するためのチャープの除去された距離サンプルの処理を示す図。
【図6】パッチをカバーし、それぞれCRPとして使用するのに適したターゲットを有する強力な距離ビンを有するオーバーラップするアレイの幾何学形状を示す図。
【図7】図6で見られるCRPがそのCRP近辺に画像を形成するために使用されるパッチをカバーしているオーバーラップするアレイの幾何学形状を示す図。
【図8】ここで使用される極フォーマットアルゴリズム(PFA)の使用を示す図。
【図9】方位角周波数の計算に使用される幾何学形状を示す図。
【図10】方位角周波数ドメインの幾何学形状を示す図。
【図11】2つのオーバーラップするアレイ間の位相関係と、オーバーラップ領域で行われる調節を示す図。
【図12】アレイ間のオーバーラップでデータをマージするために使用さえる装置および方法のステップを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチから反射された周期的なパルス反射波からパッチの探索モード合成開口画像を生成し、運動しており、第1のアレイから反射される第1の数の前記周期的なパルスの反射波と、第2のアレイから反射される第2の数の周期的なパルスの反射波とを有し、前記第1のアレイはオーバーラップにより第2のアレイとオーバーラップし、前記第1のアレイと前記第2のアレイは前記パッチをカバーしているレーダ(1200)において、
前記第1のアレイからの前記パルス反射波を第1の距離ビンを有する第1のデジタルアレイへ変換し、前記第2のアレイからの前記パルス反射波を第2の距離ビンを有する第2のデジタルアレイへ変換するアナログデジタル変換器(1210)と、
コンピュータ(1212)とを具備し、このコンピュータは、
前記第1のデジタルアレイ内で第1の強力な散乱体の位置を突き止め、
前記第2のデジタルアレイ内で第2の強力な散乱体の位置を突き止め、
前記第1のデジタルアレイと前記第1の強力な散乱体が、運動補償された第1のデジタルアレイを獲得する期間中に前記運動に関して前記第1のデジタルアレイの運動を補償し、
前記第2のデジタルアレイが運動補償された第2のデジタルアレイを獲得する期間中に前記運動に関して前記第2のデジタルアレイの運動を補償し、
前記運動補償された第1のデジタルアレイをオートフォーカスして、前記第1のデジタルアレイにおける第1の位相誤差評価を獲得し、
前記運動補償された第2のデジタルアレイをオートフォーカスして、前記第2のデジタルアレイにおける第2の位相誤差評価を獲得し、
最適化された位相を前記第2の誤差評価に加算して、前記第2のアレイに対するシフトされた誤差評価を獲得し、
前記第1の位相誤差評価と、前記シフトされた誤差評価とを前記オーバーラップにわたってマージして接続された位相誤差評価を獲得し、
前記接続された位相誤差評価を前記運動補償された第1のデジタルアレイと前記運動補償された第2のデジタルアレイに供給して前記パッチの画像を計算するレーダ。
【請求項2】
前記第1の強力な散乱体は、前記第1のデジタルアレイ内の各前記第1の距離ビンの第1の距離ビンパワーを計算し、前記第1の距離ビンの中から最高の第1の距離ビンパワーを有している前記第1の距離ビンの1つを選択することによって突き止められる請求項1記載のレーダシステム。
【請求項3】
第2の強力な散乱体は、前記第2のデジタルアレイ内の各第2の距離ビンの第2の距離ビンパワーを計算し、前記第2の距離ビンの中から最高の第2の距離ビンパワーを有している前記第2の距離ビンの1つを選択することによって突き止められる請求項2記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記最適化された位相は、最小二乗法則を使用して前記オーバーラップにわたって前記第1の誤差評価と前記第2の誤差評価との間の差を最小にする請求項3記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記オーバーラップは、前記第1のアレイにおける第3の数のパルスと、前記第2のアレイにおける第3の数のパルスとを含んでいる請求項4記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記オーバーラップに含まれる前記第3の数のパルスは、前記第1のアレイ中に含まれる第1の数のパルスの10%以上である請求項5記載のレーダシステム。
【請求項7】
レーダ(1200)を使用してパッチから反射された周期的なパルス反射波からパッチの探索モード合成開口画像を生成する方法において、
前記レーダは運動しており、第1のアレイから反射される第1の数の前記周期的なパルスの反射波と、第2のアレイから反射される第2の数の周期的なパルスの反射波とを有しており、前記第1のアレイはオーバーラップにより第2のアレイとオーバーラップし、前記第1のアレイと前記第2のアレイは前記パッチをカバーしており、
前記第1のアレイからの前記パルス反射波を第1の距離ビンを有する第1のデジタルアレイへ変換し、前記第2のアレイからの前記パルス反射波を第2の距離ビンを有する第2のデジタルアレイへ変換し、
前記第1のデジタルアレイ内で第1の強力な散乱体の位置を突き止め、
前記第2のデジタルアレイ内で第2の強力な散乱体の位置を突き止め、
前記第1のデジタルアレイと前記第1の強力な散乱体が運動補償された第1のデジタルアレイを獲得する期間中に前記運動に関して前記第1のデジタルアレイの運動を補償し、
前記第2のデジタルアレイが運動補償された第2のデジタルアレイを獲得する期間中に前記運動に関して前記第2のデジタルアレイを運動補償し、
前記運動補償された第1のデジタルアレイをオートフォーカスして、前記第1のデジタルアレイにおける第1の位相誤差評価を獲得し、
前記運動補償された第2のデジタルアレイをオートフォーカスして、前記第2のデジタルアレイにおける第2の位相誤差評価を獲得し、
最適化された位相を前記第2の誤差評価に加算して前記第2のアレイに対するシフトされた誤差評価を獲得し、
前記第1の位相誤差評価と、前記シフトされた誤差評価を前記オーバーラップにわたってマージして接続された位相誤差評価を獲得し、
前記接続された位相誤差評価を前記運動補償された第1のデジタルアレイと前記運動補償された第2のデジタルアレイに供給し、前記パッチの画像を計算するステップを含んでいる方法。
【請求項8】
前記第1の強力な散乱体は、前記第1のデジタルアレイ内の各前記第1の距離ビンの第1の距離ビンパワーを計算し、前記第1の距離ビンの中から最高の第1の距離ビンパワーを有している前記第1の距離ビンの1つを選択することによって位置を突き止められる請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2の強力な散乱体は、前記第2のデジタルアレイ内の各第2の距離ビンの第2の距離ビンパワーを計算し、前記第2の距離ビンの中から最高の第2の距離ビンパワーを有している前記第2の距離ビンの1つを選択することによって位置を突き止められる請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記最適化された位相は最小二乗法則を使用して前記オーバーラップで前記第1の誤差評価と前記第2の誤差評価との間の差を最小にする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記オーバーラップは、前記第1のアレイにおける第3の数のパルスと、前記第2のアレイにおける第3の数のパルスとを含んでいる請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記オーバーラップに含まれる前記第3の数のパルスは前記第1のアレイ中に含まれる前記第1の数のパルスの10%以上である請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−505068(P2009−505068A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526066(P2008−526066)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030025
【国際公開番号】WO2007/075198
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】