ズームレンズ
【課題】ズームレンズにおける、小型化、広角化および収差の抑制。
【解決手段】ズームレンズ100は、第2レンズ群120に少なくとも非球面を1面含み、変倍時に、第2レンズ群120,第3レンズ群130、第4レンズ群140をそれぞれ独立して可動させ、絞り150の位置を、変倍中に像側から物体側へ光軸上で突(凸)の軌跡となるように移動させる。こうすることにより、本発明のズームレンズは、低コストかつ小型化を図ることができ、また、種々の収差を効率的に補正できる。よって、本発明のズームレンズは、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【解決手段】ズームレンズ100は、第2レンズ群120に少なくとも非球面を1面含み、変倍時に、第2レンズ群120,第3レンズ群130、第4レンズ群140をそれぞれ独立して可動させ、絞り150の位置を、変倍中に像側から物体側へ光軸上で突(凸)の軌跡となるように移動させる。こうすることにより、本発明のズームレンズは、低コストかつ小型化を図ることができ、また、種々の収差を効率的に補正できる。よって、本発明のズームレンズは、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球面レンズを用いて構成したズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置では、広い画角を持つズームレンズが使用されている。従来、この種のズームレンズでは、物体側より順に、正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のものが多く使用されている。4群構成のズームレンズにおいて、第1レンズ群と第3レンズ群が固定で、第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍(ズーミング)を行い、変倍に伴う像面の変動を第4レンズ群を移動させて補正を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させて合焦を行うようにした、いわゆる4群フォーカスズーム方式が主流となっている。
【0003】
このようなズームレンズでは、種々の種類のものが提案されている。例えば、第1レンズ群を4枚構成としたり(特許文献1)、絞りを単独で可動とすることで、広角化および歪曲の抑制が図られている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−324265号公報
【特許文献2】特公昭63−29718号公報
【特許文献3】特開2001−133687号公報
【特許文献4】特開平3−215810号公報
【特許文献5】特開平5−134178号公報
【特許文献6】特公昭64−682号公報
【特許文献7】特開昭57−5012号公報
【特許文献8】特許第2738099号
【特許文献9】特許第3392881号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレンズ構成では、広角端における画面対角線の画角はせいぜい60度程度であり、60度を上回る程度に広角化することは達成できてない。また、特許文献1では、第1レンズ群は、4枚のレンズを有するため、ズームレンズが大型化するという問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、物体側より順に正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のズームレンズにおける、小型化、広角化および収差の抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
適用例1のズームレンズは、最も物体側に配置され、正の屈折力を有する第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像側に配置され、少なくとも非球面を1面含み、負の屈折力を有する第2レンズ群と、前記第2のレンズ群の像側に配置された絞りと、前記絞りの像側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、変倍時に、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記絞り、および、前記第4のレンズ群を、それぞれ独立して可動させる変倍機構と、を備える。
【0009】
適用例1のズームレンズによれば、変倍時に第3レンズ群も移動させることにより第3レンズ群にも変倍作用を持たせることができる。よって、主として変倍作用を担っている第1レンズ群および第2レンズ群の屈折力を弱めることができる。従って、収差の補正を効率的に行える。また、適用例1のズームレンズによれば、第2レンズ群に非球面が含まれているため、第1レンズ群中に非球面を含むよりも各種収差を抑制できるとともにズームレンズを小型にできる。よって、適用例1のズームレンズによれば、小型化および広角化を図ることができる。
【0010】
適用例1のズームレンズにおいて、前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記絞りの軌跡を、前記像面側から前記物体側に移動後、前記物体側から前記像面側に移動させる。
【0011】
適用例1のズームレンズによれば、広角側から望遠側への変倍時に、絞りを物体側へ突の軌跡で動かすことができる。従って、広角端において、第3レンズ群および前記第4レンズ群の径の増大を抑制でき、ズームレンズの小型化を図ることができる。また、広角端から望遠端への変倍時に、第1レンズ群の光線高さを抑制でき、高次の正の歪曲収差を抑制できるとともに、第1レンズ群の径の増大を抑制できる。
【0012】
適用例1のズームレンズにおいて、前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記第2レンズ群を前記物体側から前記像面側へ移動させ、前記第3レンズ群および前記第4レンズ群を、前記像面側から前記物体側へ移動させる。
【0013】
適用例1のズームレンズによれば、広角端における画角を約78度以上の広画角にでき、かつ、歪曲を3%以下に抑制できる。従って、小型で広画角かつ歪曲の抑制されたズームレンズを提供できる。
【0014】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと、2枚の正レンズとから構成されている。例えば、前記第3レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとから構成されており、前記第4レンズ群は、1枚の正レンズで構成されていてもよい。また、例えば、前記第3レンズ群は、1枚の正レンズで構成されており、前記第4レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズで構成されていてもよい。係る場合には、前記第4レンズ群に含まれる前記負レンズは、屈折率が約1.8以上となるように、かつ、アッベ数が約25以下となるように、構成されていることが好ましい。
【0015】
適用例1のズームレンズによれば、第3レンズ群および前記第4レンズ群に含まれるレンズのうち、負レンズが1枚であっても、色収差、歪曲収差、コマ収差、非点収差などの各種収差を補正できる。
【0016】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.第1実施例:
A−1.ズームレンズの構成:
図1は、第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図である。図示するように、撮像装置10は、ズームレンズ100と、ズームレンズ100によって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換するCCD(電荷結合素子)などの固体撮像素子20と、ズームレンズ100と固体撮像素子20との間に設けられた光学要素30とを備えている。光学要素30は、例えば、光学フィルタや固体撮像素子のカバーガラスなどを含んでいる。固体撮像素子20は、像面(撮像面)ISを有している。
【0018】
ズームレンズ100は、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110と、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120と、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130と、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140とにより構成されている。第2レンズ群120と第3レンズ群130との間には絞り150が設けられている。この構成により、ズームレンズ100は、4群インナーフォーカスズーム方式のズームレンズとなっている。
【0019】
図1は、広角端における各レンズ群の位置関係を示しており、望遠端への変倍時には第2レンズ群120は光軸に沿って物体側から像側に単調に移動する。第1レンズ群110は固定である。第3レンズ群130および第4レンズ群140は、望遠端への変倍時に、光軸に沿って移動する。第4レンズ群は合焦を行う。
【0020】
第1レンズ群110は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL1は負メニスカスレンズ(負の屈折力を持つメニスカスレンズ)であり、他の第2および第3レンズL2,L3は正レンズである。物体側からみて第2番目の第2レンズL2および物体側からみて第3番目の第3レンズL3は物体側に凸面を向けている。第1レンズL1と第2レンズL2とは張り合わされ接合レンズを構成している。なお、第2または第3レンズL2,L3の凸面の向く方向は上記に限る必要はなく、強い凸面を上記の向きとは反対側に向ける構成とすることもできる。また、本実施例では、第1レンズL1は負メニスカスレンズとなっているが、必ずしも負メニスカスレンズに限る必要はなく、負の屈折力を有するレンズ(負レンズ)であれば他の種類のレンズに替えてもよい。
【0021】
第2レンズ群120は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第4レンズL4は、物体側に凸面を向け、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。第5レンズL5は、物体側の面が非球面形状に形成された両凹レンズである。最も像側に配置された第6レンズL6は両凸レンズである。なお、第5レンズL5と第6レンズL6は、必ずしも離れて構成されている必要はなく、張り合わされていてもよい。なお、第2レンズ群120において、第5レンズL5の物体側の面が必ずしも非球面である必要はなく、第2レンズ群120に含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。
【0022】
第3レンズ群130は、単レンズにより構成されている。単レンズとしての第7レンズL7は、物体側、像側の両面が非球面形状に形成された両凸レンズである。第7レンズL7は、必ずしも両面が非球面である必要はなく、片面のみを非球面としても良い、
【0023】
第4レンズ群140は、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第8レンズL8は、物体側に凸面を向け、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100全体の最終レンズ)としての第9レンズL9は、両凸レンズで、像側の面が非球面形状に形成されている。第8レンズL8と第9レンズL9とは張り合わされて接合レンズを構成している。第8レンズL8と第9レンズL9とは必ずしも張り合わされている必要はなく、両者の間に空隙を有する構成としてもよい。
【0024】
図2は、第1実施例における広角端から望遠端への変倍時における第2レンズ群、第3レンズ群、前記第4レンズ群および絞りの光軸上での移動の軌跡を例示する説明図である。このようにズームレンズ100は、レンズ群の位置関係を変えて、広角端から望遠端の間で変倍を行う。
【0025】
図2において、軌跡Aは、第2レンズ群の軌跡を表している。軌跡Bは、絞りの軌跡を表している。軌跡Cは、第3レンズ群の軌跡を表している。軌跡Dは、第4レンズ群の軌跡を表している。
【0026】
絞り150は、軌跡Bに示すように、像側から物体側へ移動後、物体側から像側へ移動する。すなわち、突(凸)の軌跡で移動する。こうすることにより、広角端において、第3レンズ群および前記第4レンズ群の径の増大を抑制できる。また、広角端から少し望遠側へ変倍した場合の、第1レンズ群の光線高さを抑制できる。このため、高次の正の歪曲を抑制でき、第1レンズ群の径の増大を抑制できる。
【0027】
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100では、第2レンズ群120に少なくとも非球面を1面含むことにより、第1レンズ群110内に非球面を採用する場合に対して、非球面のレンズ径を縮小できる。一般的に、広角端のみの歪曲補正であれば、主光線の高さが最も高い第1レンズ群110に非球面を採用するのが効果的である。しかしながら、第1レンズ群110は、広角ズームでは、特に径が大きくなり易いため、非球面の製造コストの増大およびズームレンズの大型化を招く。よって、第2レンズ群120に非球面を採用することにより、第1レンズ群110を3枚のレンズから構成でき、低コストかつ小型化を図ることができる。また、第1レンズ群110に非球面を採用すると、望遠端において、マージナル光線の光線高さが第1レンズ群110で最も高いため、望遠端の球面収差の補正に影響を与え、非球面の製造誤差が望遠端の性能に大きく影響を与えてしまう。よって、第2レンズ群120に非球面を採用することにより、種々のズームにおいて生じうる各種収差を効率的に補正できる。
【0028】
また、第3レンズ群130を独立可動とすることにより、第3レンズ群130に変倍作用を持たせることができる。この結果、主として変倍を担う第1レンズ群110および第2レンズ群120の屈折力(パワー)を弱めることができる。従って、各種収差を容易に補正できる。特に、画角65度を超えるような広角レンズを実現する場合、変倍に伴う第1レンズ群110の光線高さの変動が増加し、これに伴い歪曲収差の変動が増加するという問題がある。広角端での歪曲収差を抑制すると、広角端から少し望遠側へ変倍したときの第1レンズ群110の光線高さが高くなり、高次の正の歪曲が大きく発生してしまう。よって、第3レンズ群130を独立して可動とすることにより、歪曲収差を効率的に抑制した広角化を容易に行うことができる。
【0029】
また、絞り150の位置を、変倍中に像側から物体側へ光軸上で突(凸)の軌跡となるように移動させることにより、広角端における第3レンズ群130および第4レンズ群140の径の増大を抑制できる。また、広角端から望遠側への微少変倍時における第1レンズ群110の光線高さを抑制できる。よって、高次の正の歪曲収差を抑制できるとともに、第1レンズ群110の径の増大を抑制できる。
【0030】
A2.レンズデータ:
図3は、第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図である。面番号iは、ズームレンズ100を構成する各レンズの面(レンズ面)の番号を示している。ただし、面番号12は絞り150を示し、面番号18,19は光学要素30を示す。曲率半径Riは、面Siの曲率半径(mm)を示している。物体側に凸の面の曲率半径は正の値で表されており、物体側に凹の面の曲率半径は負の値で表されている。
【0031】
面間隔Diは、面Siと面Si+1との間の光軸上の距離(mm)を示している。すなわち、面番号iがレンズの物体側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの光軸上の厚みを表しており、面番号iがレンズの像側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの像側の面と後段の光学素子(例えばレンズ)の物体側の面との間の光軸上の距離を表している。
【0032】
屈折率Ndiは、面Siを有するレンズのd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示している。
【0033】
アッベ数νdiは、面Siを有するレンズのアッベ数を示している。なお、アッベ数νdiは、レンズなどの光の分散に関する性質を表す値であり、d線,C線(波長656.3nm),F線(波長486.1nm)に対する屈折率をnd,nC,nFとすると、(nd−1)/(nF−nC)で表される。
【0034】
第1実施例では、第3レンズ群130と第4レンズ群140とは、1枚の負レンズ(第4レンズ群140に含まれる第8レンズL8)と2枚の正レンズを含む計3枚のレンズから構成されている。第3レンズ群130と第4レンズ群140に含まれる負レンズL8は、図3に示すように、屈折率Nd15=1.80809かつアッベ数νd15=22.8である。第4レンズ群140に負レンズが含まれる場合、係る負レンズは、屈折率nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下となるように構成されることが好ましく、屈折率nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下であることがより好ましい。
【0035】
図3において、面番号iに「*」が付された面は、非球面形状を有する。前述したように、本実施例では、第5レンズL5の像側の面S8と、第7レンズL7の物体側の面S13,および像側の面S14と、第9レンズL9の像側の面17とが非球面形状に形成されている。非球面形状は、次式によって表される。
【0036】
【数1】
【0037】
ここで、Hは、非球面と光軸との交点を原点とすると、原点からの光軸と垂直な方向への距離(光軸からの高さ)を表す。Xは、該原点からの光軸上の距離を表す。Rは、曲率半径を表し、Kは円錐係数(コーニック定数)を表し、A4,A6,A8、A10は、高次非球面係数を表す。なお、曲率半径Rは適宜設定される。
【0038】
図4は、第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図である。図4は、各非球面(面S8、面S13、面S14、面S17)の非球面係数を示している。非球面係数としては、コーニック定数Kの値および高次非球面係数(4次、6次、8次、10次の非球面係数)A4,A6,A8,A10の各値が示されている。
【0039】
図5は、第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図である。第1実施例では、移動面は、面番号5,11,12,14の各面であり、図5は、面間隔D5,D11,D12,D14の各値を示している。図5に示すように、第1レンズ群110と第2レンズ群120との間の光軸上の距離に相当する面間隔D5を0.700に、第2レンズ群120と絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D11を9.688に、絞りと第3レンズ群130との間の光軸上の距離に相当する面間隔D12を12.455に、第3レンズ群130と第4レンズ群140との間の距離を4.046とすることにより、ズームレンズ100を広角端の状態とすることができる。同様に、面間隔D5,D11,D12,D14を図5に示す値にすることで、ズームレンズ100を広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0040】
図6は、第1実施例における光学仕様を示す説明図である。図6に示すように、広角端において、焦点距離=4.00、画角2ω=78.0度、Fナンバ=2.81をとり、中間において、焦点距離8.82、画角2ω=39.6度、Fナンバ3.00をとり、望遠端において、焦点距離=20.39、画角2ω=17.6度、Fナンバ=3.20をとる。このように、第1実施例のズームレンズ100は、広角端において、画角78.0度という広画角を提供できる。
【0041】
A3.ズームレンズの特性:
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100の収差特性を図7ないし図9に示した。図7は、第1実施例における広角端のときの収差特性を示す。図8は、第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図9は、第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図7〜9において、左側のグラフはFナンバに対する球面収差の大きさを示し、中央のグラフは結像面の高さ方向に対する非点収差の大きさを示し、右側のグラフは結像面の高さ方向に対する歪曲収差の大きさを示している。図7の球面収差を表すグラフにおける符号C,d,gはそれぞれ収差を求めるのに用いた光線の波長の違い(C線:波長656.3nm,d線:587.6nm,g線:435.8nm)を示しており、図7の非点収差を表すグラフにおける符号Tは、その特性がタンゼンシャル光線に対するものであることを、Sはサジタル光線に対するものであることを、それぞれ示している。以下、図8および図9についても同様である。なお、図7ないし図9は、シミュレーション結果である。
【0042】
図7ないし図9に示すように、第1実施例のズームレンズ100では、従来のズームレンズの収差特性に比べ、5倍以上の高変倍比でありながら、広角端から望遠端のそれぞれにおいて、球面収差、非点収差、歪曲収差が大きく改善されている。特に、歪曲収差については、約3%以下と、利用者にほぼ歪曲収差を感じさせない状態まで抑制されている。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0043】
以上説明した第1実施例のズームレンズ100によれば、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0044】
B.第2実施例:
B1.ズームレンズの構成:
図10は、第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図である。撮像装置10Bは、ズームレンズ100Bの構成以外は、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0045】
ズームレンズ100Bは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Bと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Bと、全体として正の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第3レンズ群130Bと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Bと、変倍時に光軸上を突(凸)の軌道で移動する絞りとにより構成されている。
【0046】
第1レンズ群110Bは、第1実施例の第1レンズ群110とほぼ同じ構成である。すなわち、第2実施例の第1レンズ群110Bは、3枚のレンズL21,L22,L23により構成されており、各レンズL21,L22,L23は、第1実施例の第1ないし第3レンズL1,L2,L3とそれぞれほぼ同じ構成で、同じ方向を向いている。ここで、ほぼ同じ構成というのは、正レンズ、負レンズ、メニスカスレンズ等のレンズの種類については同一であり、レンズの厚さ等を示す数値データ(レンズデータ)だけが相違するという意味である(以下の記載においても同じ)。
【0047】
第2レンズ群120Bは、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第4レンズL24は、像側に凹面を向けた負レンズである。物体側からみて第2番目の第5レンズL25は、両面が非球面形状に形成され、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された第6レンズL26は、両凸レンズである。
【0048】
第3レンズ群130Bは、単レンズにより構成されている。単レンズとしての第7レンズL27は、両面が非球面形状に形成された両凸レンズである。
【0049】
第4レンズ群140Bは、第1実施例の第4レンズ群140Bとほぼ同じ構成である。すなわち、第4レンズ群140Bは、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第8レンズL28は、物体側に凸面を向け、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100B全体の最終レンズ)としての第9レンズL29は、両凸レンズで、像側の面が非球面形状に形成されている。第8レンズL28と第9レンズL29とは張り合わされて接合レンズを構成している。
【0050】
第2レンズ群120B、絞り150,第3レンズ群130Bおよび第4レンズ群140Bの変倍時における移動軌跡を、それぞれ、図10に軌跡A,B,C,Dで示す。軌跡Bに示すように、絞り150は、像側から物体側へ移動後、物体側から像側へ移動する。なお、実線で示す軌跡Dは、無限遠にフォーカス時の軌跡を表しており、破線で示す軌跡Dは、近距離の物体にフォーカス時の軌跡を表している。以下、同様である。
【0051】
また、第3レンズ群130Bは、軌跡Cに示すように、変倍時に独立して光軸上を移動する。
【0052】
B2.レンズデータ:
図11は、第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図11は、第1実施例において説明した図3に対応する。本実施例では、第5レンズL25の両面S9およびS10と、第7レンズL27の両面S14およびS15と、第9レンズL29の像側の面S18が非球面形状に形成されている。図12は、第2実施例における面S9,S10、S14、S15、S18の非球面係数を示している。図12は、第1実施例において説明した図4に対応している。図13は、第2実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号6,12,13,15の各面)についての面間隔D6,D12,D13,D15の各値を示す説明図である。図13は、第1実施例において説明した図5に対応している。
【0053】
第2実施例では、第1実施例と同様に、第3レンズ群130Bと第4レンズ群140Bとは、1枚の負レンズ(第4レンズ群140Bに含まれる第8レンズL28)と2枚の正レンズを含む計3枚のレンズから構成されている。第3レンズ群130Bと第4レンズ群140Bに含まれる負レンズL28は、図11に示すように、屈折率Nd16=1.92286かつアッベ数νd16=18.9である。第4レンズ群140Bに負レンズが含まれる場合、係る負レンズは、屈折率nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下となるように構成されることが好ましく、屈折率nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下であることがより好ましい。
【0054】
図14は、第2実施例における光学仕様を示す説明図である。図14に示すように、広角端において、焦点距離=3.90、画角2ω=80.6度、Fナンバ=2.81をとり、中間において、焦点距離=8.78、画角2ω=39.8度、Fナンバ3.02をとり、望遠端において、焦点距離=20.07、画角2ω=18.0度、Fナンバ=3.19をとる。このように、第2実施例のズームレンズ100Bは、広角端において、画角80.6度という広画角を提供できる。
【0055】
B3.ズームレンズの特性:
図15ないし図17は、ズームレンズ100Bの収差特性を示す説明図である。図15は、第2実施例における広角端のときの収差特性を示す。図16は、第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図17は、第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図15、図16、図17は、それぞれ第1実施例において説明した図7、図8、図9に対応する。
【0056】
図15ないし図17に示すように、第2実施例のズームレンズ100Bでは、第1実施例のズームレンズ100Bと同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、5倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が大きく改善されている。特に、歪曲収差については、約3%以下と、利用者にほぼ歪曲収差を感じさせない状態まで抑制されている。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0057】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第2実施例のズームレンズ100Bは、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0058】
C.第3実施例:
C1.ズームレンズの構成:
図18は、第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図である。撮像装置10Cは、ズームレンズ100Cの構成以外、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0059】
ズームレンズ100Cは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Cと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Cと、全体として正の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第3レンズ群130Cと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Cと、変倍時に光軸上を突(凸)の軌道で移動する絞りとにより構成されている。
【0060】
第1レンズ群110Cは、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL31は、両凸レンズである。物体側からみて第2番目の第2レンズL32は、物体側に凹面を向けた負レンズである。第3レンズL33は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。図18に示すように、第3実施例の第1レンズ群110Cは、第1実施例の第1レンズ群110および第2実施例の第1レンズ群110Bと異なり、物体側から正レンズ、負レンズ、正レンズの順で配置されている。
【0061】
第2レンズ群120Cは、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第4レンズL34は、像側に非球面の凹面を向けた負メニスカスレンズである。物体側からみて第2番目の第5レンズL35は、両凹レンズである。最も像側に配置された第6レンズL36は、両凸レンズである。
【0062】
第3レンズ群130Cは、単レンズにより構成されている。単レンズとしての第7レンズL37は、物体側、像側の両面が非球面形状に形成された両凸レンズである。
【0063】
第4レンズ群140Cは、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第8レンズL38は、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100C全体の最終レンズ)としての第9レンズL39は、両凸レンズで、像側の面が非球面形状に形成されている。第8レンズL8と第9レンズL9とは張り合わされて接合レンズを構成している。
【0064】
第2レンズ群120C、絞り150,第3レンズ群130Cおよび第4レンズ群140Cの変倍時における光軸上での移動軌跡を、それぞれ、図18に軌跡A,B,C,Dで示す。軌跡Cに示すように、絞り150は、像側から物体側へ移動後、物体側から像側へ移動する。
【0065】
また、第3レンズ群130Cは、軌跡Cに示すように、変倍時に独立して光軸上を移動する。
【0066】
C2.レンズデータ:
図19は、第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図19は、第1実施例において説明した図3に対応する。本実施例では、第4レンズL34の像側の面S7と、第7レンズL37の両面S13およびS14と、第9レンズL39の像側の面S17が非球面形状に形成されている。図20は、第3実施例における面S7,S13、S14、S17の非球面係数を示している。図20は、第1実施例において説明した図4に対応する。図21は、第3実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号5,11,12,14の各面)についての面間隔D5,D11,D12,D14の各値を示す説明図である。図21は、第1実施例において説明した図5に対応する。
【0067】
第3実施例では、第1実施例と同様に、第3レンズ群130Cと第4レンズ群140Cとは、1枚の負レンズ(第4レンズ群140Cに含まれる第8レンズL8)と2枚の正レンズを含む計3枚のレンズから構成されている。第3レンズ群130Cと第4レンズ群140Cに含まれる負レンズL38は、図19に示すように、屈折率Nd15=1.84666かつアッベ数νd15=23.8である。第4レンズ群140Cに負レンズが含まれる場合、係る負レンズは、屈折率nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下となるように構成されることが好ましく、屈折率nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下であることがより好ましい。
【0068】
図22は、第3実施例における光学仕様を示す説明図である。図22に示すように、広角端において、焦点距離=4.01、画角2ω=78.4度、Fナンバ=2.82をとり、中間において、焦点距離9.01、画角2ω=38.2度、Fナンバ3.03をとり、望遠端において、焦点距離=20.53、画角2ω=17.2度、Fナンバ=3.21をとる。このように、第3実施例のズームレンズ100Cは、広角端において、画角78.4度という広画角を提供できる。
【0069】
C3.ズームレンズの特性:
図23ないし図25は、第3実施例におけるズームレンズ100Cの収差特性を示す説明図である。図23は第3実施例における広角端のときの収差特性を示す。図24は、第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図25は、第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図23、図24、図25は、それぞれ第1実施例において説明した図7、図8、図9に対応する。
【0070】
図23ないし図25に示すように、第3実施例のズームレンズ100Cでは、第1実施例のズームレンズ100と同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、5倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が大きく改善されている。特に、歪曲収差については、約3%以下と、利用者にほぼ歪曲収差を感じさせない状態まで抑制されている。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0071】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第3実施例のズームレンズ100Cは、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0072】
D.変形例:
(1)上記第1実施例〜第3実施例では、第3レンズ群を単レンズで構成し、第4レンズ群を2枚のレンズで構成して、第3レンズ群と第4レンズ群とを合わせて3枚のレンズで構成しているが、例えば、第3レンズ群を2枚のレンズで構成し、第4レンズ群を単レンズで構成しても良い。係る場合には、例えば、第3レンズ群を、1枚の正レンズと1枚の負レンズで構成し、第4レンズ群を1枚の正レンズで構成してもよい。第3レンズ群に含まれる負レンズは、屈折率Nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下、より好ましくは、屈折率Nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下となるように構成することが好ましい。
【0073】
(2)上記実施例では、ズームレンズは、書画カメラ、監視カメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用されているが、これに代えて、プロジェクタなどの投影装置に適用されてもよい。
【0074】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図。
【図2】第1実施例における広角端から望遠端への変倍時における第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群および絞りの光軸上での移動の軌跡を例示する説明図。
【図3】第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図4】第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図5】第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図6】第1実施例における光学仕様を示す説明図。
【図7】第1実施例における広角端のときの収差特性を示す。
【図8】第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。
【図9】第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す。
【図10】第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図。
【図11】第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図12】第2実施例における非球面の非球面係数を示している。
【図13】第2実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面についての面間隔を示す説明図。
【図14】第2実施例における光学仕様を示す説明図。
【図15】第2実施例における広角端のときの収差特性を示す。
【図16】第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。
【図17】第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す。
【図18】第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図。
【図19】第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図20】第3実施例における非球面の非球面係数を示している。
【図21】第3実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面についての面間隔を示す説明図である。
【図22】第3実施例における光学仕様を示す説明図である。
【図23】第3実施例における広角端のときの収差特性を示す。
【図24】第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。
【図25】第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す。
【符号の説明】
【0076】
10…撮像装置
10B…撮像装置
10C…撮像装置
20…固体撮像素子
30…光学要素
100…ズームレンズ
100B…ズームレンズ
100C…ズームレンズ
110…第1レンズ群
110B…第1レンズ群
110C…第1レンズ群
120…第2レンズ群
120B…第2レンズ群
120C…第2レンズ群
130…第3レンズ群
130B…第3レンズ群
130C…第3レンズ群
140…第4レンズ群
140B…第4レンズ群
140C…第4レンズ群
【技術分野】
【0001】
本発明は、非球面レンズを用いて構成したズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置では、広い画角を持つズームレンズが使用されている。従来、この種のズームレンズでは、物体側より順に、正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のものが多く使用されている。4群構成のズームレンズにおいて、第1レンズ群と第3レンズ群が固定で、第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍(ズーミング)を行い、変倍に伴う像面の変動を第4レンズ群を移動させて補正を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させて合焦を行うようにした、いわゆる4群フォーカスズーム方式が主流となっている。
【0003】
このようなズームレンズでは、種々の種類のものが提案されている。例えば、第1レンズ群を4枚構成としたり(特許文献1)、絞りを単独で可動とすることで、広角化および歪曲の抑制が図られている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−324265号公報
【特許文献2】特公昭63−29718号公報
【特許文献3】特開2001−133687号公報
【特許文献4】特開平3−215810号公報
【特許文献5】特開平5−134178号公報
【特許文献6】特公昭64−682号公報
【特許文献7】特開昭57−5012号公報
【特許文献8】特許第2738099号
【特許文献9】特許第3392881号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレンズ構成では、広角端における画面対角線の画角はせいぜい60度程度であり、60度を上回る程度に広角化することは達成できてない。また、特許文献1では、第1レンズ群は、4枚のレンズを有するため、ズームレンズが大型化するという問題が生じる。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、物体側より順に正、負、正、正の屈折力配置の4群構成のズームレンズにおける、小型化、広角化および収差の抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
適用例1のズームレンズは、最も物体側に配置され、正の屈折力を有する第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像側に配置され、少なくとも非球面を1面含み、負の屈折力を有する第2レンズ群と、前記第2のレンズ群の像側に配置された絞りと、前記絞りの像側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、変倍時に、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記絞り、および、前記第4のレンズ群を、それぞれ独立して可動させる変倍機構と、を備える。
【0009】
適用例1のズームレンズによれば、変倍時に第3レンズ群も移動させることにより第3レンズ群にも変倍作用を持たせることができる。よって、主として変倍作用を担っている第1レンズ群および第2レンズ群の屈折力を弱めることができる。従って、収差の補正を効率的に行える。また、適用例1のズームレンズによれば、第2レンズ群に非球面が含まれているため、第1レンズ群中に非球面を含むよりも各種収差を抑制できるとともにズームレンズを小型にできる。よって、適用例1のズームレンズによれば、小型化および広角化を図ることができる。
【0010】
適用例1のズームレンズにおいて、前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記絞りの軌跡を、前記像面側から前記物体側に移動後、前記物体側から前記像面側に移動させる。
【0011】
適用例1のズームレンズによれば、広角側から望遠側への変倍時に、絞りを物体側へ突の軌跡で動かすことができる。従って、広角端において、第3レンズ群および前記第4レンズ群の径の増大を抑制でき、ズームレンズの小型化を図ることができる。また、広角端から望遠端への変倍時に、第1レンズ群の光線高さを抑制でき、高次の正の歪曲収差を抑制できるとともに、第1レンズ群の径の増大を抑制できる。
【0012】
適用例1のズームレンズにおいて、前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記第2レンズ群を前記物体側から前記像面側へ移動させ、前記第3レンズ群および前記第4レンズ群を、前記像面側から前記物体側へ移動させる。
【0013】
適用例1のズームレンズによれば、広角端における画角を約78度以上の広画角にでき、かつ、歪曲を3%以下に抑制できる。従って、小型で広画角かつ歪曲の抑制されたズームレンズを提供できる。
【0014】
適用例1のズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと、2枚の正レンズとから構成されている。例えば、前記第3レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとから構成されており、前記第4レンズ群は、1枚の正レンズで構成されていてもよい。また、例えば、前記第3レンズ群は、1枚の正レンズで構成されており、前記第4レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズで構成されていてもよい。係る場合には、前記第4レンズ群に含まれる前記負レンズは、屈折率が約1.8以上となるように、かつ、アッベ数が約25以下となるように、構成されていることが好ましい。
【0015】
適用例1のズームレンズによれば、第3レンズ群および前記第4レンズ群に含まれるレンズのうち、負レンズが1枚であっても、色収差、歪曲収差、コマ収差、非点収差などの各種収差を補正できる。
【0016】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
A.第1実施例:
A−1.ズームレンズの構成:
図1は、第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図である。図示するように、撮像装置10は、ズームレンズ100と、ズームレンズ100によって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換するCCD(電荷結合素子)などの固体撮像素子20と、ズームレンズ100と固体撮像素子20との間に設けられた光学要素30とを備えている。光学要素30は、例えば、光学フィルタや固体撮像素子のカバーガラスなどを含んでいる。固体撮像素子20は、像面(撮像面)ISを有している。
【0018】
ズームレンズ100は、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110と、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120と、全体として正の屈折力を有し固定された第3レンズ群130と、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140とにより構成されている。第2レンズ群120と第3レンズ群130との間には絞り150が設けられている。この構成により、ズームレンズ100は、4群インナーフォーカスズーム方式のズームレンズとなっている。
【0019】
図1は、広角端における各レンズ群の位置関係を示しており、望遠端への変倍時には第2レンズ群120は光軸に沿って物体側から像側に単調に移動する。第1レンズ群110は固定である。第3レンズ群130および第4レンズ群140は、望遠端への変倍時に、光軸に沿って移動する。第4レンズ群は合焦を行う。
【0020】
第1レンズ群110は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL1は負メニスカスレンズ(負の屈折力を持つメニスカスレンズ)であり、他の第2および第3レンズL2,L3は正レンズである。物体側からみて第2番目の第2レンズL2および物体側からみて第3番目の第3レンズL3は物体側に凸面を向けている。第1レンズL1と第2レンズL2とは張り合わされ接合レンズを構成している。なお、第2または第3レンズL2,L3の凸面の向く方向は上記に限る必要はなく、強い凸面を上記の向きとは反対側に向ける構成とすることもできる。また、本実施例では、第1レンズL1は負メニスカスレンズとなっているが、必ずしも負メニスカスレンズに限る必要はなく、負の屈折力を有するレンズ(負レンズ)であれば他の種類のレンズに替えてもよい。
【0021】
第2レンズ群120は、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第4レンズL4は、物体側に凸面を向け、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。第5レンズL5は、物体側の面が非球面形状に形成された両凹レンズである。最も像側に配置された第6レンズL6は両凸レンズである。なお、第5レンズL5と第6レンズL6は、必ずしも離れて構成されている必要はなく、張り合わされていてもよい。なお、第2レンズ群120において、第5レンズL5の物体側の面が必ずしも非球面である必要はなく、第2レンズ群120に含まれる面内の少なくとも1面が非球面であればよい。
【0022】
第3レンズ群130は、単レンズにより構成されている。単レンズとしての第7レンズL7は、物体側、像側の両面が非球面形状に形成された両凸レンズである。第7レンズL7は、必ずしも両面が非球面である必要はなく、片面のみを非球面としても良い、
【0023】
第4レンズ群140は、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第8レンズL8は、物体側に凸面を向け、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100全体の最終レンズ)としての第9レンズL9は、両凸レンズで、像側の面が非球面形状に形成されている。第8レンズL8と第9レンズL9とは張り合わされて接合レンズを構成している。第8レンズL8と第9レンズL9とは必ずしも張り合わされている必要はなく、両者の間に空隙を有する構成としてもよい。
【0024】
図2は、第1実施例における広角端から望遠端への変倍時における第2レンズ群、第3レンズ群、前記第4レンズ群および絞りの光軸上での移動の軌跡を例示する説明図である。このようにズームレンズ100は、レンズ群の位置関係を変えて、広角端から望遠端の間で変倍を行う。
【0025】
図2において、軌跡Aは、第2レンズ群の軌跡を表している。軌跡Bは、絞りの軌跡を表している。軌跡Cは、第3レンズ群の軌跡を表している。軌跡Dは、第4レンズ群の軌跡を表している。
【0026】
絞り150は、軌跡Bに示すように、像側から物体側へ移動後、物体側から像側へ移動する。すなわち、突(凸)の軌跡で移動する。こうすることにより、広角端において、第3レンズ群および前記第4レンズ群の径の増大を抑制できる。また、広角端から少し望遠側へ変倍した場合の、第1レンズ群の光線高さを抑制できる。このため、高次の正の歪曲を抑制でき、第1レンズ群の径の増大を抑制できる。
【0027】
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100では、第2レンズ群120に少なくとも非球面を1面含むことにより、第1レンズ群110内に非球面を採用する場合に対して、非球面のレンズ径を縮小できる。一般的に、広角端のみの歪曲補正であれば、主光線の高さが最も高い第1レンズ群110に非球面を採用するのが効果的である。しかしながら、第1レンズ群110は、広角ズームでは、特に径が大きくなり易いため、非球面の製造コストの増大およびズームレンズの大型化を招く。よって、第2レンズ群120に非球面を採用することにより、第1レンズ群110を3枚のレンズから構成でき、低コストかつ小型化を図ることができる。また、第1レンズ群110に非球面を採用すると、望遠端において、マージナル光線の光線高さが第1レンズ群110で最も高いため、望遠端の球面収差の補正に影響を与え、非球面の製造誤差が望遠端の性能に大きく影響を与えてしまう。よって、第2レンズ群120に非球面を採用することにより、種々のズームにおいて生じうる各種収差を効率的に補正できる。
【0028】
また、第3レンズ群130を独立可動とすることにより、第3レンズ群130に変倍作用を持たせることができる。この結果、主として変倍を担う第1レンズ群110および第2レンズ群120の屈折力(パワー)を弱めることができる。従って、各種収差を容易に補正できる。特に、画角65度を超えるような広角レンズを実現する場合、変倍に伴う第1レンズ群110の光線高さの変動が増加し、これに伴い歪曲収差の変動が増加するという問題がある。広角端での歪曲収差を抑制すると、広角端から少し望遠側へ変倍したときの第1レンズ群110の光線高さが高くなり、高次の正の歪曲が大きく発生してしまう。よって、第3レンズ群130を独立して可動とすることにより、歪曲収差を効率的に抑制した広角化を容易に行うことができる。
【0029】
また、絞り150の位置を、変倍中に像側から物体側へ光軸上で突(凸)の軌跡となるように移動させることにより、広角端における第3レンズ群130および第4レンズ群140の径の増大を抑制できる。また、広角端から望遠側への微少変倍時における第1レンズ群110の光線高さを抑制できる。よって、高次の正の歪曲収差を抑制できるとともに、第1レンズ群110の径の増大を抑制できる。
【0030】
A2.レンズデータ:
図3は、第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図である。面番号iは、ズームレンズ100を構成する各レンズの面(レンズ面)の番号を示している。ただし、面番号12は絞り150を示し、面番号18,19は光学要素30を示す。曲率半径Riは、面Siの曲率半径(mm)を示している。物体側に凸の面の曲率半径は正の値で表されており、物体側に凹の面の曲率半径は負の値で表されている。
【0031】
面間隔Diは、面Siと面Si+1との間の光軸上の距離(mm)を示している。すなわち、面番号iがレンズの物体側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの光軸上の厚みを表しており、面番号iがレンズの像側の面を示す場合には、面間隔Diは、該レンズの像側の面と後段の光学素子(例えばレンズ)の物体側の面との間の光軸上の距離を表している。
【0032】
屈折率Ndiは、面Siを有するレンズのd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示している。
【0033】
アッベ数νdiは、面Siを有するレンズのアッベ数を示している。なお、アッベ数νdiは、レンズなどの光の分散に関する性質を表す値であり、d線,C線(波長656.3nm),F線(波長486.1nm)に対する屈折率をnd,nC,nFとすると、(nd−1)/(nF−nC)で表される。
【0034】
第1実施例では、第3レンズ群130と第4レンズ群140とは、1枚の負レンズ(第4レンズ群140に含まれる第8レンズL8)と2枚の正レンズを含む計3枚のレンズから構成されている。第3レンズ群130と第4レンズ群140に含まれる負レンズL8は、図3に示すように、屈折率Nd15=1.80809かつアッベ数νd15=22.8である。第4レンズ群140に負レンズが含まれる場合、係る負レンズは、屈折率nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下となるように構成されることが好ましく、屈折率nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下であることがより好ましい。
【0035】
図3において、面番号iに「*」が付された面は、非球面形状を有する。前述したように、本実施例では、第5レンズL5の像側の面S8と、第7レンズL7の物体側の面S13,および像側の面S14と、第9レンズL9の像側の面17とが非球面形状に形成されている。非球面形状は、次式によって表される。
【0036】
【数1】
【0037】
ここで、Hは、非球面と光軸との交点を原点とすると、原点からの光軸と垂直な方向への距離(光軸からの高さ)を表す。Xは、該原点からの光軸上の距離を表す。Rは、曲率半径を表し、Kは円錐係数(コーニック定数)を表し、A4,A6,A8、A10は、高次非球面係数を表す。なお、曲率半径Rは適宜設定される。
【0038】
図4は、第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図である。図4は、各非球面(面S8、面S13、面S14、面S17)の非球面係数を示している。非球面係数としては、コーニック定数Kの値および高次非球面係数(4次、6次、8次、10次の非球面係数)A4,A6,A8,A10の各値が示されている。
【0039】
図5は、第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図である。第1実施例では、移動面は、面番号5,11,12,14の各面であり、図5は、面間隔D5,D11,D12,D14の各値を示している。図5に示すように、第1レンズ群110と第2レンズ群120との間の光軸上の距離に相当する面間隔D5を0.700に、第2レンズ群120と絞り150との間の光軸上の距離に相当する面間隔D11を9.688に、絞りと第3レンズ群130との間の光軸上の距離に相当する面間隔D12を12.455に、第3レンズ群130と第4レンズ群140との間の距離を4.046とすることにより、ズームレンズ100を広角端の状態とすることができる。同様に、面間隔D5,D11,D12,D14を図5に示す値にすることで、ズームレンズ100を広角端と望遠端との中間の状態、あるいは望遠端の状態とすることができる。
【0040】
図6は、第1実施例における光学仕様を示す説明図である。図6に示すように、広角端において、焦点距離=4.00、画角2ω=78.0度、Fナンバ=2.81をとり、中間において、焦点距離8.82、画角2ω=39.6度、Fナンバ3.00をとり、望遠端において、焦点距離=20.39、画角2ω=17.6度、Fナンバ=3.20をとる。このように、第1実施例のズームレンズ100は、広角端において、画角78.0度という広画角を提供できる。
【0041】
A3.ズームレンズの特性:
以上のように構成された第1実施例のズームレンズ100の収差特性を図7ないし図9に示した。図7は、第1実施例における広角端のときの収差特性を示す。図8は、第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図9は、第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図7〜9において、左側のグラフはFナンバに対する球面収差の大きさを示し、中央のグラフは結像面の高さ方向に対する非点収差の大きさを示し、右側のグラフは結像面の高さ方向に対する歪曲収差の大きさを示している。図7の球面収差を表すグラフにおける符号C,d,gはそれぞれ収差を求めるのに用いた光線の波長の違い(C線:波長656.3nm,d線:587.6nm,g線:435.8nm)を示しており、図7の非点収差を表すグラフにおける符号Tは、その特性がタンゼンシャル光線に対するものであることを、Sはサジタル光線に対するものであることを、それぞれ示している。以下、図8および図9についても同様である。なお、図7ないし図9は、シミュレーション結果である。
【0042】
図7ないし図9に示すように、第1実施例のズームレンズ100では、従来のズームレンズの収差特性に比べ、5倍以上の高変倍比でありながら、広角端から望遠端のそれぞれにおいて、球面収差、非点収差、歪曲収差が大きく改善されている。特に、歪曲収差については、約3%以下と、利用者にほぼ歪曲収差を感じさせない状態まで抑制されている。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0043】
以上説明した第1実施例のズームレンズ100によれば、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0044】
B.第2実施例:
B1.ズームレンズの構成:
図10は、第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図である。撮像装置10Bは、ズームレンズ100Bの構成以外は、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0045】
ズームレンズ100Bは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Bと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Bと、全体として正の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第3レンズ群130Bと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Bと、変倍時に光軸上を突(凸)の軌道で移動する絞りとにより構成されている。
【0046】
第1レンズ群110Bは、第1実施例の第1レンズ群110とほぼ同じ構成である。すなわち、第2実施例の第1レンズ群110Bは、3枚のレンズL21,L22,L23により構成されており、各レンズL21,L22,L23は、第1実施例の第1ないし第3レンズL1,L2,L3とそれぞれほぼ同じ構成で、同じ方向を向いている。ここで、ほぼ同じ構成というのは、正レンズ、負レンズ、メニスカスレンズ等のレンズの種類については同一であり、レンズの厚さ等を示す数値データ(レンズデータ)だけが相違するという意味である(以下の記載においても同じ)。
【0047】
第2レンズ群120Bは、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第4レンズL24は、像側に凹面を向けた負レンズである。物体側からみて第2番目の第5レンズL25は、両面が非球面形状に形成され、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された第6レンズL26は、両凸レンズである。
【0048】
第3レンズ群130Bは、単レンズにより構成されている。単レンズとしての第7レンズL27は、両面が非球面形状に形成された両凸レンズである。
【0049】
第4レンズ群140Bは、第1実施例の第4レンズ群140Bとほぼ同じ構成である。すなわち、第4レンズ群140Bは、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第8レンズL28は、物体側に凸面を向け、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100B全体の最終レンズ)としての第9レンズL29は、両凸レンズで、像側の面が非球面形状に形成されている。第8レンズL28と第9レンズL29とは張り合わされて接合レンズを構成している。
【0050】
第2レンズ群120B、絞り150,第3レンズ群130Bおよび第4レンズ群140Bの変倍時における移動軌跡を、それぞれ、図10に軌跡A,B,C,Dで示す。軌跡Bに示すように、絞り150は、像側から物体側へ移動後、物体側から像側へ移動する。なお、実線で示す軌跡Dは、無限遠にフォーカス時の軌跡を表しており、破線で示す軌跡Dは、近距離の物体にフォーカス時の軌跡を表している。以下、同様である。
【0051】
また、第3レンズ群130Bは、軌跡Cに示すように、変倍時に独立して光軸上を移動する。
【0052】
B2.レンズデータ:
図11は、第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図11は、第1実施例において説明した図3に対応する。本実施例では、第5レンズL25の両面S9およびS10と、第7レンズL27の両面S14およびS15と、第9レンズL29の像側の面S18が非球面形状に形成されている。図12は、第2実施例における面S9,S10、S14、S15、S18の非球面係数を示している。図12は、第1実施例において説明した図4に対応している。図13は、第2実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号6,12,13,15の各面)についての面間隔D6,D12,D13,D15の各値を示す説明図である。図13は、第1実施例において説明した図5に対応している。
【0053】
第2実施例では、第1実施例と同様に、第3レンズ群130Bと第4レンズ群140Bとは、1枚の負レンズ(第4レンズ群140Bに含まれる第8レンズL28)と2枚の正レンズを含む計3枚のレンズから構成されている。第3レンズ群130Bと第4レンズ群140Bに含まれる負レンズL28は、図11に示すように、屈折率Nd16=1.92286かつアッベ数νd16=18.9である。第4レンズ群140Bに負レンズが含まれる場合、係る負レンズは、屈折率nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下となるように構成されることが好ましく、屈折率nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下であることがより好ましい。
【0054】
図14は、第2実施例における光学仕様を示す説明図である。図14に示すように、広角端において、焦点距離=3.90、画角2ω=80.6度、Fナンバ=2.81をとり、中間において、焦点距離=8.78、画角2ω=39.8度、Fナンバ3.02をとり、望遠端において、焦点距離=20.07、画角2ω=18.0度、Fナンバ=3.19をとる。このように、第2実施例のズームレンズ100Bは、広角端において、画角80.6度という広画角を提供できる。
【0055】
B3.ズームレンズの特性:
図15ないし図17は、ズームレンズ100Bの収差特性を示す説明図である。図15は、第2実施例における広角端のときの収差特性を示す。図16は、第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図17は、第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図15、図16、図17は、それぞれ第1実施例において説明した図7、図8、図9に対応する。
【0056】
図15ないし図17に示すように、第2実施例のズームレンズ100Bでは、第1実施例のズームレンズ100Bと同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、5倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が大きく改善されている。特に、歪曲収差については、約3%以下と、利用者にほぼ歪曲収差を感じさせない状態まで抑制されている。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0057】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第2実施例のズームレンズ100Bは、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0058】
C.第3実施例:
C1.ズームレンズの構成:
図18は、第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図である。撮像装置10Cは、ズームレンズ100Cの構成以外、第1実施例の撮像装置10とほぼ同一の構成を有する。
【0059】
ズームレンズ100Cは、物体側から順に配列された、全体として正の屈折力を有し固定された第1レンズ群110Cと、全体として負の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第2レンズ群120Cと、全体として正の屈折力を有し変倍時に光軸上を移動する第3レンズ群130Cと、全体として正の屈折力を有し像面位置補正のために光軸上を移動する第4レンズ群140Cと、変倍時に光軸上を突(凸)の軌道で移動する絞りとにより構成されている。
【0060】
第1レンズ群110Cは、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第1レンズL31は、両凸レンズである。物体側からみて第2番目の第2レンズL32は、物体側に凹面を向けた負レンズである。第3レンズL33は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズである。図18に示すように、第3実施例の第1レンズ群110Cは、第1実施例の第1レンズ群110および第2実施例の第1レンズ群110Bと異なり、物体側から正レンズ、負レンズ、正レンズの順で配置されている。
【0061】
第2レンズ群120Cは、3枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第4レンズL34は、像側に非球面の凹面を向けた負メニスカスレンズである。物体側からみて第2番目の第5レンズL35は、両凹レンズである。最も像側に配置された第6レンズL36は、両凸レンズである。
【0062】
第3レンズ群130Cは、単レンズにより構成されている。単レンズとしての第7レンズL37は、物体側、像側の両面が非球面形状に形成された両凸レンズである。
【0063】
第4レンズ群140Cは、2枚のレンズで構成されている。最も物体側に配置された第8レンズL38は、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズである。最も像側に配置された最終レンズ(ズームレンズ100C全体の最終レンズ)としての第9レンズL39は、両凸レンズで、像側の面が非球面形状に形成されている。第8レンズL8と第9レンズL9とは張り合わされて接合レンズを構成している。
【0064】
第2レンズ群120C、絞り150,第3レンズ群130Cおよび第4レンズ群140Cの変倍時における光軸上での移動軌跡を、それぞれ、図18に軌跡A,B,C,Dで示す。軌跡Cに示すように、絞り150は、像側から物体側へ移動後、物体側から像側へ移動する。
【0065】
また、第3レンズ群130Cは、軌跡Cに示すように、変倍時に独立して光軸上を移動する。
【0066】
C2.レンズデータ:
図19は、第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図である。図19は、第1実施例において説明した図3に対応する。本実施例では、第4レンズL34の像側の面S7と、第7レンズL37の両面S13およびS14と、第9レンズL39の像側の面S17が非球面形状に形成されている。図20は、第3実施例における面S7,S13、S14、S17の非球面係数を示している。図20は、第1実施例において説明した図4に対応する。図21は、第3実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面(面番号5,11,12,14の各面)についての面間隔D5,D11,D12,D14の各値を示す説明図である。図21は、第1実施例において説明した図5に対応する。
【0067】
第3実施例では、第1実施例と同様に、第3レンズ群130Cと第4レンズ群140Cとは、1枚の負レンズ(第4レンズ群140Cに含まれる第8レンズL8)と2枚の正レンズを含む計3枚のレンズから構成されている。第3レンズ群130Cと第4レンズ群140Cに含まれる負レンズL38は、図19に示すように、屈折率Nd15=1.84666かつアッベ数νd15=23.8である。第4レンズ群140Cに負レンズが含まれる場合、係る負レンズは、屈折率nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下となるように構成されることが好ましく、屈折率nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下であることがより好ましい。
【0068】
図22は、第3実施例における光学仕様を示す説明図である。図22に示すように、広角端において、焦点距離=4.01、画角2ω=78.4度、Fナンバ=2.82をとり、中間において、焦点距離9.01、画角2ω=38.2度、Fナンバ3.03をとり、望遠端において、焦点距離=20.53、画角2ω=17.2度、Fナンバ=3.21をとる。このように、第3実施例のズームレンズ100Cは、広角端において、画角78.4度という広画角を提供できる。
【0069】
C3.ズームレンズの特性:
図23ないし図25は、第3実施例におけるズームレンズ100Cの収差特性を示す説明図である。図23は第3実施例における広角端のときの収差特性を示す。図24は、第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。図25は、第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す。図23、図24、図25は、それぞれ第1実施例において説明した図7、図8、図9に対応する。
【0070】
図23ないし図25に示すように、第3実施例のズームレンズ100Cでは、第1実施例のズームレンズ100と同様に、従来のズームレンズの収差特性に比べ、5倍以上の高変倍比でありながら、広角端〜望遠端において、球面収差、非点収差、歪曲収差が大きく改善されている。特に、歪曲収差については、約3%以下と、利用者にほぼ歪曲収差を感じさせない状態まで抑制されている。従って、全画角に亘って高品質な像を撮影することが可能になる。
【0071】
以上のような特徴的な構成を備えることにより、第3実施例のズームレンズ100Cは、5倍以上の高変倍比で、広角端の画角約78度を超える広画角を実現できると共に、歪曲収差を3%以下に抑制した高性能で小型のズームレンズを提供できる。
【0072】
D.変形例:
(1)上記第1実施例〜第3実施例では、第3レンズ群を単レンズで構成し、第4レンズ群を2枚のレンズで構成して、第3レンズ群と第4レンズ群とを合わせて3枚のレンズで構成しているが、例えば、第3レンズ群を2枚のレンズで構成し、第4レンズ群を単レンズで構成しても良い。係る場合には、例えば、第3レンズ群を、1枚の正レンズと1枚の負レンズで構成し、第4レンズ群を1枚の正レンズで構成してもよい。第3レンズ群に含まれる負レンズは、屈折率Nd=1.8以上かつアッベ数νd=25以下、より好ましくは、屈折率Nd=1.9以上かつアッベ数νd=20以下となるように構成することが好ましい。
【0073】
(2)上記実施例では、ズームレンズは、書画カメラ、監視カメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用されているが、これに代えて、プロジェクタなどの投影装置に適用されてもよい。
【0074】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1実施例における撮像装置10の要部を示す説明図。
【図2】第1実施例における広角端から望遠端への変倍時における第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群および絞りの光軸上での移動の軌跡を例示する説明図。
【図3】第1実施例におけるズームレンズ100を構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図4】第1実施例における非球面係数の各値を示す説明図。
【図5】第1実施例における広角端から望遠端までの変倍時の移動面についての面間隔の各値を示す説明図。
【図6】第1実施例における光学仕様を示す説明図。
【図7】第1実施例における広角端のときの収差特性を示す。
【図8】第1実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。
【図9】第1実施例における望遠端のときの収差特性を示す。
【図10】第2実施例における撮像装置10Bの要部を示す説明図。
【図11】第2実施例におけるズームレンズ100Bを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図12】第2実施例における非球面の非球面係数を示している。
【図13】第2実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面についての面間隔を示す説明図。
【図14】第2実施例における光学仕様を示す説明図。
【図15】第2実施例における広角端のときの収差特性を示す。
【図16】第2実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。
【図17】第2実施例における望遠端のときの収差特性を示す。
【図18】第3実施例における撮像装置10Cの要部を示す説明図。
【図19】第3実施例におけるズームレンズ100Cを構成する各レンズの面データを示す説明図。
【図20】第3実施例における非球面の非球面係数を示している。
【図21】第3実施例における広角端から望遠端まで変倍をおこなったときの移動する面についての面間隔を示す説明図である。
【図22】第3実施例における光学仕様を示す説明図である。
【図23】第3実施例における広角端のときの収差特性を示す。
【図24】第3実施例における広角端と望遠端との中間のときの収差特性を示す。
【図25】第3実施例における望遠端のときの収差特性を示す。
【符号の説明】
【0076】
10…撮像装置
10B…撮像装置
10C…撮像装置
20…固体撮像素子
30…光学要素
100…ズームレンズ
100B…ズームレンズ
100C…ズームレンズ
110…第1レンズ群
110B…第1レンズ群
110C…第1レンズ群
120…第2レンズ群
120B…第2レンズ群
120C…第2レンズ群
130…第3レンズ群
130B…第3レンズ群
130C…第3レンズ群
140…第4レンズ群
140B…第4レンズ群
140C…第4レンズ群
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズであって、
最も物体側に配置され、正の屈折力を有する第1レンズ群と、
前記第1レンズ群の像側に配置され、少なくとも非球面を1面含み、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
前記第2のレンズ群の像側に配置された絞りと、
前記絞りの像側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、
最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、
変倍時に、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記絞り、および、前記第4のレンズ群を、それぞれ独立して可動させる変倍機構と、を備えるズームレンズ。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズであって、
前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記絞りの軌跡を、前記像面側から前記物体側に移動後、前記物体側から前記像面側に移動させる、ズームレンズ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のズームレンズであって、
前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記第2レンズ群を前記物体側から前記像面側へ移動させ、前記第3レンズ群および前記第4レンズ群を、前記像面側から前記物体側へ移動させる、ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載のズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと、2枚の正レンズとから構成されている、ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群は、1枚の正レンズで構成されており、
前記第4レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとから構成されている、ズームレンズ。
【請求項6】
請求項5記載のズームレンズであって、
前記第4レンズ群に含まれる前記負レンズは、屈折率が約1.8以上となるように、かつ、アッベ数が約25以下となるように、構成されている、ズームレンズ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとから構成されており、
前記第4レンズ群は、1枚の正レンズで構成されている、ズームレンズ。
【請求項8】
請求項7記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群に含まれる前記負レンズは、屈折率が約1.8以上となるように、かつ、アッベ数が約25以下となるように、構成されている、ズームレンズ。
【請求項1】
ズームレンズであって、
最も物体側に配置され、正の屈折力を有する第1レンズ群と、
前記第1レンズ群の像側に配置され、少なくとも非球面を1面含み、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
前記第2のレンズ群の像側に配置された絞りと、
前記絞りの像側に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と、
最も像面側に配置され、正の屈折力を有するフォーカシング用の第4レンズ群と、
変倍時に、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記絞り、および、前記第4のレンズ群を、それぞれ独立して可動させる変倍機構と、を備えるズームレンズ。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズであって、
前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記絞りの軌跡を、前記像面側から前記物体側に移動後、前記物体側から前記像面側に移動させる、ズームレンズ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のズームレンズであって、
前記変倍機構は、広角側から望遠側への変倍時、前記第2レンズ群を前記物体側から前記像面側へ移動させ、前記第3レンズ群および前記第4レンズ群を、前記像面側から前記物体側へ移動させる、ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載のズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと、2枚の正レンズとから構成されている、ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群は、1枚の正レンズで構成されており、
前記第4レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとから構成されている、ズームレンズ。
【請求項6】
請求項5記載のズームレンズであって、
前記第4レンズ群に含まれる前記負レンズは、屈折率が約1.8以上となるように、かつ、アッベ数が約25以下となるように、構成されている、ズームレンズ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズとから構成されており、
前記第4レンズ群は、1枚の正レンズで構成されている、ズームレンズ。
【請求項8】
請求項7記載のズームレンズであって、
前記第3レンズ群に含まれる前記負レンズは、屈折率が約1.8以上となるように、かつ、アッベ数が約25以下となるように、構成されている、ズームレンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−8975(P2009−8975A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171683(P2007−171683)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】
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