セキュリティエレメント
本発明は、光学セキュリティエレメントに関し、及び、目的物を識別し認証するためのそれらの利用に関し、並びに、光学セキュリティエレメントを用いて目的物を識別し認証するためのプロセス及び装置に関する。また本発明は、複数のマイクロリフレクタがランダムに分布される少なくとも一層の透明層を含むセキュリティエレメントであって、少なくとも所定数のマイクロリフレクタは、透明層の表面インプット平行ではない少なくとも一つの反射表面を有することを特徴とするセキュリティエレメントに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学セキュリティエレメント、目的物の識別と認証のためのその利用、並びに、それら光学セキュリティエレメントを用いて目的物の識別と認証を行なうための方法及び装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
IDカード、紙幣及び製品などには、今日、特殊なノウハウ及び/又は高度な技術的努力を用いてのみ複写され得る偽造防止エレメントが設けられる。そのようなエレメントについて、本明細書ではセキュリティエレメントと称している。セキュリティエレメントは、保護対象物に不可分に結合しているのが好ましい。対象物からセキュリティエレメントを分離しようと試みても、不適切な利用を防ぐべく破壊状態に終わるものである。
【0003】
目的物の認証は、一つ又はそれ以上のセキュリティエレメントの存在によりチェックされ得る。
【0004】
例えば、ウオータマーク、特殊インク、ギロシェパターン、マイクロテキスト、及びホログラムなどの、光学セキュリティエレメントは、全世界的に十分確立された技術である。特に、文書保護に適切であり又それに限定されない光学セキュリティエレメントの概略は、次の本、即ち非特許文献1に記載されている。
【0005】
認証がいかにしてチェックされるかにより、光学セキュリティエレメントは、以下のカテゴリに更に分けられ得る。
【0006】
クラス1:可視(公然)−セキュリティエレメントは人間の目に可視であり、簡単にチェック可能であり補助も必要ない。可視セキュリティエレメントにより、誰もが第1の“明白テスト”で目的物の認証をチェックできる。
クラス2:不可視(秘密):−セキュリティエレメントは人間の眼に不可視である。認証をチェックするのに(簡単な)装置が必要である。
クラス3:フォレンシック−認証が特別な器具によりチェックされる。
【0007】
上記カテゴリは、それらエレメントを偽造するのに必要とされる努力量の量的兆候を示す。それ故に、それらは(セキュリティ)クラスを付される。
【0008】
保護を必要とする目的物を守るために、複数のセキュリティエレメントが組み合わせで利用されることが多い。コスト上の理由からは、保護を要求する目的物に複数の異なるセキュリティエレメントを設ける代わりに、単体のエレメント内に複数のセキュリティ特性を統合する方が有利である。特許文献1では、少なくとも一つのスペーサ層を含む薄膜層アセンブリにより、干渉による色ずれを生成し、更には安全強化のための解析構造が設けられ得る、特別な光学可変装置(OVD)が開示される。干渉により生成される色ずれと、回折構造から生じる回折現象の両方は、人間の目により検出され得る。よって、この装置は、2つの(クラス1、可視)特徴の組み合わせである。
【0009】
単体のセキュリティエレメント内に全ての上述のセキュリティクラスを組み合わせることが、好ましい。
【0010】
セキュリティエレメントを作成するのに必要な努力の程度が大きい程、そのエレメントを偽造するのに要する努力も通常大きくなる。よって、通常、複雑なセキュリティエレメントは、簡素なセキュリティエレメントよりも保護は大きくなる。今日、複雑なセキュリティエレメントは主として高価な商品のために用いられている。というのは、エレメントを作成するのに要する努力量は、もちろん商品のコストに影響するからである。セキュリティエレメントの利用は、多数の消費財にとって価値あるものではない。しかしながら、低コストで作成されて利用され、同時に偽造に対して強い保護を示し、よって消費財などの高価ではない商品も保護され得るセキュリティエレメントが利用可能であることは、好ましいことである。
【0011】
現在のカラー複写機、即ち、高解像度スキャナ及びカラーレーザプリンタを用いて得られ得る、複写物の即座の利用可能性及び高品質によって、光学セキュリティ特性の非偽造可能性を継続して向上させる要求が存在する。
【0012】
様々な視角からの様々な光学的印象を形成する光学可変セキュリティエレメントは公知である。そのようなセキュリティエレメントは、例えば、様々な視角における様々な像を再構成する光学回折パターンを有する。従来、一般に利用されていた複写及び印刷技術によっては、そのような効果は再現され得ない。そのような回折光学可変像装置(DOVID)の一つの特別な変形例、いわゆるエンボスホログラムが、特許文献2に記載されている。エンボスホログラムは、光回折パターンが三次元レリーフパターンに変換され、それがエンボスダイに移されることを、特徴とする。このエンボスダイは、マスタホログラムとしてプラスチックフィルム内にインプレスされ得る。これにより、多数のセキュリティエレメントを低コストで製造できる。しかしながら、この技術の欠点は、デザインや美感上の理由のために、多数の商品には可視ホログラムを設けられないということである。香水ビンは、通常は大規模で偽造される対象物であるが、ホログラムはマーケット上の理由のためにそれら香水ビンのイメージに合わないので、それらはホログラムを含まない。よって、商品の“イメージ”上への悪影響を与えること無く(デザイン)商品にも統合され得るセキュリティエレメントが利用可能であることが好ましい。
【0013】
上述のエンボスホログラムの欠点は、それらの認証に対して機械チェックできないということにもある。サプライチェーンでのギャップを回避するべく、種々のポイントで素早く且つ信頼性高く認証を確認できることが必要である。例えば、バーコードなどの、通常、光学コードが、商品を“追跡しトレースする”のに利用される。しかしながら、バーコードは、セキュリティ特性を表示することが無く、目的物を追跡しトレースするために利用されるに過ぎないエレメントである。それらは複写及び偽造が容易である。RFIDチップは、商品を追跡しトレースするための特性の組み合わせを提供する。しかしながら、それらの比較的高いコスト、遅い読み取り速度、及び電磁干渉場に対する感度のために、限定された程度にしかそれらは利用され得ない。サプライチェーンの間中、商品を自動的に追跡しトレースできるだけでなく、それらの認証も自動的に(即ち、機械により)チェックできるように、機械読み取り可能なセキュリティ特性が、設けられるのが好ましい。機械のみによる認証の試験は十分ではない。というのは、エンドカスタマも利用されるセキュリティ特性から目的物の認証をチェックできるべきであるからである。エンドカスタマは通常、装置の助力無しで、即ち、生来の感覚のみを利用することにより、認証するものである。
【0014】
エンボスホログラムの更なる欠点は、先行技術に従って利用されるそれらセキュリティエレメントは他と区別され得ないということである。エンボスホログラムは、区別可能なものではない。偽造商品のために多数のエンボスホログラムを取得するためには偽造者は一つの単体のマスタホログラムを複製し/偽造しさえすればよい、ということだけでなく、目的物がエンボスホログラムの区別不可能性のためにエンボスホログラムによっては他と区別され得ない、ということを、このことは意味する。
【0015】
偽造に対する保護の改善のために、及び個別の目的物を追跡しトレースする可能性のために、他と区別され得る、即ち、保護されるべき個々の商品に対して個別のセキュリティ特性を有する、セキュリティ特性を利用することが好ましい。個別の特性とは、例えば、シリアル番号、製造年月日、個人セキュリティ文書の場合には名前、ID番号、若しくは、バイオメトリック特徴であると理解される。困難を伴ってのみ若しくは多大な努力を伴ってのみ識別可能な、セキュリティ特性と個別の特性との組み合わせは、先行技術から公知である。一つの他と区別可能なセキュリティエレメントは、例えば、特許文献3に記載され、そこでは、他との区別はセキュリティエレメントの作成の間に実施されるのであり、区別は確定的過程に基づくものである。セキュリティエレメントの作成のためのパラメータの選択は、セキュリティエレメントのデザインを明確に且つ再現可能に決定する。確定的区別は、根本的に再現可能である/複製可能であるという欠点を有する。というのは、区別の特徴は特定の再現可能過程により作成されるからである。更に、可変性は通常、確定的過程で制約される。即ち、制約された数のみの個別の特徴が、制約されたセットのパラメータにより作成可能であり、よって制約された数の目的物が区別可能であると考えられる。
【0016】
偽造に対する保護、及び、区別され得る目的物の数は、純粋な確定的な特徴を伴うセキュリティ特性の場合によりも、ランダムな特徴を有するセキュリティエレメントの場合の方が、通常高い。
【0017】
特許文献4は、(例えば、紙などの)繊維構造を有する目的物が、そのランダムな表面特性により明確に認識される過程を記載する。この過程では、レーザビームが目的物の表面上で焦点を合わされ、表面中を移動し、更に様々な程度で、表面の様々な領域からの様々な角度で散乱されるビームは、光検出器により検出される。検出される散乱放射は、多数の様々な部材に関して特徴的であり、個々の表面に対して個別のものである。目的物の作成の間のランダム変数に基づくものであるから、複製は非常に難しい。個別のオブジェクトに対しての散乱データは、後の時点でオブジェクトを認証できるように、データベース内に格納される。このために、目的物は再計測され、散乱データは格納された参照データと比較される。この過程の欠点は、十分に多数のランダムは散乱センターを伴う目的物しか検出され得ない、ということである。更に、常に、認証には件の過程の利用が要求され、よって対応の装置が要求される。そのような対応物を手に持つ者が目的物の認証の明確なテストを行なうことは可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国特許第10232245A1号
【特許文献2】独国特許第10126342C1号
【特許文献3】EP0896260A3
【特許文献4】WO2005088533A1
【特許文献5】DE−OS2735144
【特許文献6】DE−OS2735092
【特許文献7】DE−OS2305413
【特許文献8】DE−OS1719244
【特許文献9】US3365517
【特許文献10】US3960815
【特許文献11】DE−OS2517033
【特許文献12】DE−OS2531240
【特許文献13】WO2005/078530A1
【特許文献14】WO2006016144A1
【特許文献15】US7333641B2
【特許文献16】DE10260642A1
【特許文献17】DE10260638A1
【特許文献18】EP1435586B1
【特許文献19】米国特許第4368240号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Rudolf L.van Renesse,Optical Document Security,Third Edition,Artech House Boston/London,2005(pp.63−259)
【非特許文献2】”Beilsteins Handbuch der organischen Chemie”(Beilstein’s Manual of Organic Chemistry),fourth edition,Third Supplement B 1.5,pp.1163−1169,Publisher:Springer Verlag 1964
【非特許文献3】”Polystyrol l.Teil,Herstellungsverfahren und Eigenschaften der Produkte”(polystyrene,Part 1,Manufacturing Processes and Properties of the Products),Publisher:Springer Verlag(1955)
【非特許文献4】Image Analysis and Proceeding:8th International Conference,ICIAP’95,San Remo,Italy,September 13−15, 1995.Proceedings(Lecture Notes in Computer Science)
【非特許文献5】C.Demant,B.Streicer−Abel,P.Waszkewitz,”Industrielle Bildverarbeitung”(Industrial Image Processing),Publishers:Springer−Verlag,1998,pp.133 et seq,
【非特許文献6】J.Rosenbaum,”Barcode”,Publishers:Verlag Technik Berlin,2000,pp.84 et seq
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
現存の先行技術に基づくと、セキュリティクラスを変えるセキュリティ特性が組み合わせて利用されるセキュリティエレメントに関して、問題が生じた。セキュリティ特性は、上述のクラス(可視、不可視、フォレンシック)の全てを含むのが好ましい。セキュリティエレメントは、補助器具(装置)の利用無しで人の感覚のみを利用して人により(“明白性”テストで)明白な偽造をテストできる様式(即ち、可視様式)であるべきのみならず、偽造を困難にして且つ対応する補助器具の助力により検出され得るより高いセキュリティクラス(不可視、フォレンシック)の特性も同時に含むべきである。セキュリティエレメントは、機械によりチェックできるものであるべきであり、他と区別できるものであるべきである。セキュリティエレメントは、偽造に対して最大限の保護を保証し多数の目的物の区別を同時に可能にするため、セキュリティエレメントは少なくとも一つのランダム性の特性を含むべきである。セキュリティエレメントは廉価であるべきであり、目的物のデザインに悪影響を与えることなく多数の目的物に付すことができるものであるべきである。セキュリティエレメントの認証及び/又は識別の過程は、自動的且つ迅速に実施することが可能であるべきである。セキュリティエレメントを認証する及び/又は識別するための装置は、廉価であるべきであり、専門家の知識を必要とすること無く、非常に短いデモンストレーションの後でどの人も操作できるものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚いたことに、多数のランダムに分配され及び/又は方向付けされたマイクロリフレクタを含む少なくとも一つの層を含むセキュリティエレメントにより、この問題が解決され得ることが見出されている。
【0022】
従って本発明は、多数のマイクロリフレクタがランダムに分配された少なくとも一つの透明層を含み、マイクロリフレクタの少なくとも幾つかが透明層の表面に平行に配置されていない少なくとも一つの反射表面を有することを特徴とする、セキュリティエレメントに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】マイクロリフレクタ(3)がランダムに分布して中に含まれる透明層(2)を含む、本発明に係るセキュリティエレメントの拡大断面の平面図を概略示す。
【図2】本発明に係るセキュリティエレメント(1)の拡大断面の側面図(断面図)を概略示す。
【図3】マイクロリフレクタ(3)に対する反射の法則を示す。
【図4】ポリマーの中にマイクロリフレクタを組み込んだ製品の光学顕微鏡写真である。
【図5】例2からの薄膜の光学顕微鏡写真である
【図6】例3からのIDカード内の金属識別プレートレットの光学顕微鏡写真である。
【図7】本発明に係るセキュリティエレメントにより、目的物を認証し及び/又は識別するための、本発明に係る装置及び本発明に係るプロセスの、変形例の例を示す。
【図8】レーザ(5)と検出器(8)に対して相対的に移動するIDカードの形態で、セキュリティエレメント(1)を認証/識別する、例4で用いられる構成を示す(移動の方向は太矢印で概略示される)。
【図9】例3に係るセキュリティエレメントの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【図10】マイクロリフレクタの無いホワイトIDカードの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【図11】格納のための及び/又は他のデータセットとの比較のための、ゼロ交差の生成の例のグラフ描写である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
セキュリティエレメントは、少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射に透過的な少なくとも一つの層を含むことを特徴とする。透過性は、層を貫通する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の部分が、層に吸収され、若しくは層の境界面から反射される少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の部分の合計よりも、大きいことを意味すると理解される。層の透過率、即ち、層を通過する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度と、層上に衝突する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度との間の比率は、よって50%よりも大きい。以下では、そのような層を透過層と称する。
【0025】
少なくとも一つの波長のための透過層の透過率は、60%と100%との間であることが好ましく、特に、80%と100%との間であることが好ましい。
【0026】
本発明に係るセキュリティエレメントの少なくとも一つの層が透過性に関して上述の特性を有する電磁波放射の少なくとも一つの波長は、300nmと1000nmとの間であることが好ましく、特に、400nmと800nmとの間であることが好ましい。
【0027】
好適な変形例では、本発明に係るセキュリティエレメントの透過層は、400nmと800nmの間の波長を伴う電磁波放射に対して、少なくとも60%の透過率を有する。本発明に係るセキュリティエレメントの透過層は、1μmと1cmの間の厚さを有する。層の厚さは、1μmと1mmの間の範囲であるのが好ましく、10μmと500μmの間であるのが特に好ましい。
【0028】
透過層は、ガラス、セラミック部材又はプラスチックからなるのが好ましい。
【0029】
透過層は、ラッカー、又はホイルからなるフィルムであるのが好ましい。フィルム及びホイルは、三次元の一つ(厚さ)が、体積の残りの二次元(長さと幅)よりも、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、小さいことを特徴とする。ラッカーは、品物に薄く塗布される液体若しくは粉状コーティング部材であり、(例えば、溶剤の蒸発、又はラッカー内に含まれるモノマー若しくはオリゴマーの重合などの)化学的若しくは物理的処理の結果として連続薄膜を形成する。ホイルは、品物上に若しくは品物周りにラップされ得る固形物である。
【0030】
本発明に係るセキュリティエレメントに関する好適な変形例では、ホイルの形態の熱可塑性部材が透過層として利用される。本発明に係る好適な熱可塑性のホイルは、例えば、25000から200000の重量平均分子量Mwを、好ましくは、30000から120000の重量平均分子量Mwを、特に好ましくは30000から80000の重量平均分子量Mwを、有する公知の熱可塑性の芳香族ポリカーボネートから製造されるものであり、直鎖の(特許文献5参照)若しくは分岐の(特許文献6、特許文献7参照)公知の熱可塑性のポリスルホンから製造されるものである。
【0031】
更に好ましいホイルは、熱可塑性セルロースエステル、熱可塑性塩化ポリビニール、熱可塑性コポリスチレン/アクリロニトリル、及び熱可塑性ポリウレタンなどである。
【0032】
好ましいセルロースエステルは、脂肪族モノカルボン酸無水物により、好ましくは、酢酸及び酪酸、若しくは酢酸及びプロピオ酸無水物により、セルロースをエステル化する従来の処理により得られる。
【0033】
更に好ましい熱可塑性物質は、例えば、好ましくは、ポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン若しくはコポリスチレンなど、例えば、好ましくは、透明ポリスチレン(PS)若しくはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)、透明熱可塑性ポリウレタン、及びポリオレフィンなど、例えば、好ましくは、透明タイプの、(トーマスアドバンストポリマーのTORAS(登録商標)などの)環状オレフィンに基づくポリプロピレン若しくはポリオレフィンなどの、ポリアクリル酸塩若しくはコポリアクリル酸塩、及び、ポリメタクリル酸若しくはコポリメタクリル酸、例えば、好ましくは、ポリエチレン若しくはコポリテレフタレート(PET若しくはCoPET)若しくはエチレン共重合体(PETG)、ポリエチレングリコールナフテン酸塩(PEN)及び透明ポリスルホン(PSU)などの、テレフタル酸の重縮合若しくは共重縮合である。
【0034】
好ましい直鎖ポリアリールスルホンは、約15000と55000の間の、好ましくは20000と40000の間のMw(例えば、光散乱により計測される重量平均分子量)を伴う芳香族ポリスルホン若しくはポリエーテルスルホンなどとして公知である。そのようなポリアリールスルホンは、例えば、特許文献8や特許文献9などに記載される。好ましい分岐ポリアリールスルホンは、特に、特許文献7や特許文献10などに記載の分岐ポリアリールスルホンであり、それらのMw(例えば、光散乱により計測される重量平均分子量)は、約15000と55000の間、好ましくは20000と40000の間である。
【0035】
好適な熱可塑性塩化ポリビニールは、例えば、市場で入手され得るPVCタイプである。
【0036】
好適な熱可塑性スチレン/アクリロニトリル共重合体は、スチレン、好ましくはアクリロニトリルの共重合体であり、それらは、例えば、10000から600000のMwを伴うモノマー若しくはモノマーの混合物の、触媒の存在の下での、懸濁重合により得られる(Mwは、C=5g/l且つ20℃にてDMF内で計測される)。この事に関する文献として、非特許文献2及び非特許文献3を参照されたい。
【0037】
例えば、スチレン/アクリロニトリルの、若しくはアルファ−メチルスチレン/アクリロにトリルの共重合体などの、熱可塑性樹脂は、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、及びエマルション重合による公知の方法により生成され得る。
【0038】
シクロオレフィン共重合体は、Mitsui Chemicalの特許文献US5912070及びTicona GmbHの特許文献EP765909に記載される。
【0039】
積層材の製品に関して、特にホイルに関して、特許文献11や特許文献12が引用され得る。
【0040】
本発明に係る層を作成するため、熱可塑性ポリウレタンを利用することも可能である。
【0041】
ホイルは、艶消しでも、片側のみ構成されていてもよい。これは、例えば、スロットダイを介して熱可塑性部材の溶解物を押圧し、艶消し若しくは構造された冷却ローラを超えて溶解物のウェブを引き出すことで、得られる。
【0042】
熱可塑性層は、そのようなプラスチックの単分子層でも、各々0.001〜1mmの厚さである種々のプラスチックの個別の層から成る多分子層のプラスチック層でも、よい。
【0043】
本発明に係るセキュリティエレメントは、透明層の内部にランダムに分布され及び/又は方向付けされた多数のマイクロリフレクタも、含む。
【0044】
ランダムの分布及び/又は方向付けは、透明層内部の、個別のマイクロリフレクタの位置、及び/又は、個別のマイクロリフレクタの方向付けが、製造過程によって予測可能に予め決定され得ない、ということを意味すると理解される。個別のマイクロリフレクタの位置及び/又は方向付けは、製造過程の間、ランダムな変動を受ける。個別のマイクロリフレクタの位置及び/又は方向付けは、それ故に簡単に再現可能ではない。このことが、本発明に係るセキュリティ特性により提供される高程度の保護の特質である。それらは、非常に高程度の努力でしか複製され得ない。好適な変形例では、位置(透明層内部のマイクロリフレクタの分布)と方向付けの両方は、ランダムな性質を持つ。ランダムは、厳密な数学的意味において理解されるべきでなく、個別のマイクロリフレクタの位置と方向付けを正確に予測することを不可能にするような程度のランダムさが存在する、ということを意味する。しかしながら、マイクロリフレクタが一つの好適な位置及び/又は方向付けを有することは可能である。夫々個別のマイクロリフレクタの位置及び/又は方向付けは不確かのままであるが、この位置の周りのマイクロリフレクタの分布及び/又は方向付けは、製造過程により決定され得る。
【0045】
本発明に係るマイクロリフレクタは、入射電磁波放射を特徴的に反射する少なくとも一つの表面を有することを特徴とする。この特徴的な反射は、少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射が入射角により決定される少なくとも一つの方向で反射され、少なくとも一つの波長の反射された放射の部分が少なくとも一つの波長の吸収され伝播された放射の部分の合計よりも大きいことを、特徴とする。上記少なくとも一つの表面の反射率は、従って50%よりも大きく、ここで、反射率は、表面により反射し戻される少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度と、表面に衝突する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度との間の、比率であると理解される。以下では、そのような表面を、反射表面と称する。
【0046】
少なくとも一つの波長のためのマイクロリフレクタの反射表面の反射率は、60%と100%の間であることが好ましく、特に80%と100%の間であることが好ましい。
【0047】
本発明に係るセキュリティエレメントのマイクロリフレクタの少なくとも一つの表面が上述の特性を有する対象である電磁波放射の少なくとも一つの波長は、300nmと1000mmの間の範囲にあることが好ましく、特に、400nmと800mmの間の範囲にあることが好ましい。
【0048】
好適な変形例では、本発明に係るセキュリティエレメントのマイクロリフレクタの反射表面は、400〜800nmの波長を伴う電磁波放射に対して、60%の反射率を有する。
【0049】
この反射は、鏡面(指向性)反射及び/又は回折であるのが好ましく、即ち、放射を散乱反射する(散乱性)割合は50%より小さいことが好ましく、特に、40%より小さいことが好ましい。回折性の及び鏡面性の放射は両方とも、本発明明細書では反射放射と称している。
【0050】
マイクロリフレクタの反射表面は、1×10−14m2と1×10−5m2の間のサイズを有する。反射表面のサイズは、1×10−12m2と1×10−6m2の間の範囲であることが好ましく、特に、1×10−10m2と1×10−7m2の間であることが好ましい。
【0051】
“多数のマイクロリフレクタ”の用語は以下のように理解される。本発明に係るセキュリティエレメントの透明層が上部から若しくは底部から見られると、1cm2の面積あたり平均1〜1000のマイクロリフレクタが、好ましくは、10から00のマイクロリフレクタが、存在する。2つのマイクロリフレクタの間の平均距離は、マイクロリフレクタの反射表面エリアの平均サイズの少なくとも5倍であることが、好ましい。特に好適な変形例では、平均距離は、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの10から50の間である。本明細書では、平均サイズは、対応する寸法の算術平均のことである。
【0052】
マイクロリフレクタの反射表面は平坦若しくは湾曲である。表面が平坦であれば、表面に当たる平行の光束は、やはり平行な状態で表面から反射し戻される。表面が湾曲していれば、表面に当たる平行の光束は、(凸面の曲率により)発散光線の形態で、若しくは(凸面の曲率により)収束光線の形態で、反射し戻される。平坦表面には、狭い角度範囲において鋭利な反射帯が生成される、という利点がある(例えば、図9参照)。湾曲した表面には、より広い角度範囲で反射が生成されるという利点があるが、角度もより広い。三週用途に従って、平坦な反射表面、又は、湾曲した反射表面が選択される。
【0053】
反射表面は平坦でもよいが、電磁波放射の回折を作成する一つ若しくはそれ以上の構造を有していてもよい。
【0054】
マイクロリフレクタは、概略、球形状、棒状、平行六面体形状、多面体形状、若しくはプレートレット形状でもよく、又は、他のどんな想定される形状であってもよい。本発明に係るセキュリティエレメントの好適な変形例では、マイクロリフレクタはプレートレット形状であり、即ち、2次元でのそれらの空間広がりは殆ど同じであり、3次元の空間広がりは、他の2次元の空間広がりより、少なくとも4倍小さい。“殆ど同じ”は、空間広がりが最大2の係数で異なることを意味する。同じ広がりを伴う2次元におけるマイクロリフレクタの空間広がりにより形成される表面は、反射表面であることが好ましい。
【0055】
驚いたことに、マイクロプレートレットを含むシートを押出することで、セキュリティエレメントの生成のためにプレートレット形状のマイクロリフレクタが用いられるとき、認証及び識別の目的に特に適切な方向付け分布を有していることが、見出されている。押出過程の結果として、プレートレット形状のマイクロリフレクタは、透明層の表面に平行な選択的方向付けを有する。しかしながら、個別のマイクロプレートレットの方向付けは、依然として相当程度ランダムである。しかしながら、マイクロプレートレットは、透明層の表面に対して、垂直ではなく、平行である明確な傾向を確かに有している。マイクロプレートレットの方向付けは、透明層の表面に平行な方向の周りにランダムに分布されている。
【0056】
この選択的な方向付けにより、マイクロリフレクタの大部分は、本発明に係るセキュリティエレメントを用いて目的物を認証し及び/又は識別するため、本発明に係る過程に利用可能である。好適な変形例では、マイクロリフレクタの反射表面が、透明層の表面に対して0〜60°の範囲で角度においてランダムに方向付けされていることを特徴とする、選択的方向付けを、マイクロリフレクタが有する。透明層の表面に対する反射表面の傾きは、0〜50°の間の範囲であることが好ましく、特に0〜30°の間であることが好ましい。
【0057】
好適な実施形態では、マイクロリフレクタは200μmより小さい最大限の長手方向サイズ、2〜10μmの厚さ、及び、円形、楕円、若しくはn角形状(n≧3)を、有する。本明細書では、楕円は、厳密な数学的意味を有さない。本明細書では、楕円形は、角が丸い、矩形や平行四辺形や不等辺四辺形やn角形状のこととして理解されている。
【0058】
好適なマイクロリフレクタは、少なくとも一つの金属部材を含む。好適な金属は、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、金、クロム、亜鉛、錫、及びそれら金属のうちの少なくとも2つの合金を含む、シリーズからの一つである。マイクロリフレクタは、金属や合金をコートされてもよく、完全に一つの金属若しくは合金から成ってもよい。
【0059】
好適な変形例では、例えば、特許文献13に記載の種類の金属識別プレートレットが、マイクロプレートレットとして利用される。それらは反射表面を有する。多数の、そのような金属識別プレートレットが透明層内でランダムに分布し及び/又は方向付けされると、様々な角度で透明層を照射すると特徴的な反射パターンが形成される。このパターンは、識別及び認証過程で用いられ得る。更に、金属識別プレートレットは、拡大技術(例えば、拡大鏡若しくはマイクロスコープ)の助力により見ることができるマーキングにより、特徴付けられる。金属識別プレートレットは、(ホログラムなどの)回折構造/パターンを印刷可能であり、及び/又は、有することができ、又は、任意の形状のスルーホールにより、特徴付けられ得る。金属識別プレートレットは、外部形状(三角形、四角形、六角形、塩、楕円、文字、数字、シンボル、絵文字、若しくは他の想定される様式)によっても、特徴付けられる。
【0060】
マイクロリフレクタは、公知技術を介して透明層内に導入され得る。透明層が生成される部材が、例えば、熱可塑性物質であるならば、例えば、押出機内で熱可塑性物質をマイクロリフレクタと混合することが可能である(溶融押出)。透明層が生成される部材が、例えば、開始状態が液体であるラッカーであるならば、例えば、液体ラッカー内でマイクロリフレクタを分散し、分散したマイクロリフレクタを含むラッカーを薄膜状で広げて、その後ラッカーを取り除くことが、可能である。
【0061】
本発明に係るセキュリティエレメントの生成の間、せん断方向の好ましい方向付けを伴うランダムな分布を得るために、層状のマイクロリフレクタがせん断されるステップが、含まれることが好ましい。せん断の方向は、その後の透明層の表面に平行であるのが好ましい。
【0062】
本発明に係るセキュリティエレメントは、透明層に対する更なる層を含むこともできる。一つ若しくはそれ以上の更なる層が、透明層の上及び/又は下に配置されることが、想定される。例えば、透明層に必要な剛性及び/又は寸法安定性を与え、マイクロリフレクタを含む透明層の処理を容易にするために、透明層の下部にいわゆるキャリア層を配置することが、想定される。
【0063】
例えば、マイクロリフレクタを含む透明層の上に、引っかき抵抗性及び/又は紫外線安定性を与える更なる透明層を配置することも想定される。
【0064】
透明層の表面、及び、セキュリティエレメントの表面は、相互に平行であることが好ましい。
【0065】
好適な変形例では、本発明に係るセキュリティエレメントは、例えば、ラミネーション、及び/又は、ボンディング、及び/又は、後側射出成形により、別のホイルに添付され得るホイルの形態である。
【0066】
この形態では、セキュリティエレメントは目的物に容易に添付可能であり、例えば、プラスチックカード及び/又はIDカードのセキュリティホイルの形態などの、多数の種々の様々な用途に対して、包装内の若しくは包装面のラベルとして、若しくは、電子回路基板の部品として、利用され得る。セキュリティエレメントは、5μmと2mmの間の厚さを有し、少なくとも0.25m2多くとも100cm2の二次元エリアを有するのが好ましい。
【0067】
セキュリティエレメントは、マイクロリフレクタが透明層内で、ランダムに分布され及び/又は方向付けされている、という特性を有する。よって、光源に向かって傾けられたセキュリティエレメントを眺めると、種々の領域から、及び/又は、種々の傾斜角にて、反射が生じるが、この反射の発生は、放射源に対する及び観察者に対する角度で反射表面が方向付けられよって反射法則が適用されるマイクロリフレクタを、セキュリティエレメントが含む場所に、依存する。この効果は、インク及び顔料を利用する印刷技術を利用して再現され得るものではない。というのは、印刷技術によりキャリアに塗布される顔料は同一の方向付けを有しており、キャリアに対して傾いていないかたである。本発明に係るセキュリティエレメントの認証をテストするとき、種々のマイクロリフレクタが種々の視角にて明るくなることは非常に重要である。というのは、マイクロリフレクタの反射表面は、透明層に対して種々の傾斜角(方向付け)を有するからである。印刷技術、若しくは蒸着した金属粒子により得られる再現では、同じ視角にて明るくなるのみである。
【0068】
本発明は、目的物を認証し及び/又は識別するための、好ましくは、目的物の個別の認証及び/又は識別のための、本発明に係るセキュリティエレメントの利用に関する。この目的のため、本発明に係るセキュリティエレメントは、保護対象目的物に、不可分に添付されるのが好ましい。目的物からセキュリティエレメントを除去しようと試みても、セキュリティエレメント及び/又は目的物が壊れてしまう事態になることが、好ましい。セキュリティエレメントがシートの形態であるならば、セキュリティエレメントはボンディング及び/又はラミネーションにより、目的物に添付され得る。ホイルプロセスの技術の当業者は、壊れることなく且つ絶たれ得ないボンドが形成されるように、ボンディング及び/又はラミネーションにより、ホイルを結合する方法を知っている。特に好適な変形例では、認証及び/又は識別される目的物は、個人化されたセキュリティ若しくは識別文書であってよい。そのようなセキュリティ文書、及び好ましくは識別文書は、例えば、IDカード、パスポート、運転免許書、クレジットカード、バンクカード、アクセスコントロールカード、若しくは他のID文書であり、これら文書のタイプに制約はない。
【0069】
セキュリティエレメントは、目的物表面の、若しくは目的物に添付された、印付き領域として、認識され得る。目的物が、例えば、IDカードならば、セキュリティエレメントは、IDカード上の印付き領域の形態であればよい。他の印付き領域は、例えば、ホログラムやフォトであり、そこから、この領域が対応するエレメントを含むことが即座に認識される。好適な変形例では、セキュリティエレメントは、上記のようには気付かれず及び/又は明白には認識されないように、目的物内に統合される。目的物が、例えば、クレジットカードの形態のIDカードであるならば、セキュリティエレメントは、IDカードの側面全体に渡って、若しくは、IDカードの両側に渡って、延在するのが好ましい。セキュリティエレメントは他の機能を組み合わされてもよい。よって、セキュリティエレメントは、例えば、部分的にプリントされてもよい。プリントがマイクロリフレクタの幾つかを覆ったとしても、セキュリティエレメントは、十分に多数のマイクロリフレクタが存在し認証及び/又は識別の手段として機能すべく可視である限り、その機能を既に満たすものである。プリントとセキュリティエレメントの組み合わせには以下の利点がある。つまり、プリントされたイメージ若しくはプリントされたイメージの一部は、電磁波放射のソース、及び、セキュリティエレメントにより目的物を識別し及び/又は認証するための検出器に関連させて、本発明に係るセキュリティエレメントを配置するために、用いられ得る。更に、プリントされたイメージとセキュリティエレメントの組み合わせにより、セキュリティエレメントの認証/識別と、プリントされたイメージの照合とを、同時にできる(例4も参照されたい)。
【0070】
本発明は、セキュリティエレメント、若しくは、本発明に係るセキュリティエレメントが添付される目的物を、認証する(認証を確認する)方法にも関する。認証は、疑惑のアイデンティティをチェックする(照合する)過程として理解される。目的物、文書、人若しくはデータの認証は、それらが本物であることを、即ち、それらが、変化無く、複製で無く、及び/又は、偽造でないオリジナルであることを、識別する過程である。最も簡素な形態では、認証は、明白さに対して確認することから成る。即ち、確認が容易である特徴を、対象の目的物が明白な偽造であるか否かのために、調査する。
【0071】
本発明に係るセキュリティエレメントでは、様々なやり方で認証が確認され得る。本発明に係るセキュリティエレメントは、肉眼で識別され得る多数のマイクロリフレクタが中に配置された透明層を含むことを特徴とする。電磁波放射のソース、少なくとも一つのマイクロリフレクタの少なくとも一つの反射表面、及び反射された電磁波放射の検出器の組み合わせが、反射法則に従うとき、マイクロリフレクタは少なくとも一つの波長で電磁波放射を反射する、という属性をマイクロリフレクタは有する。本発明に係るセキュリティエレメントによって、目的物を認証することに関する本発明に係る方法は、少なくとも、以下のステップを含む。
【0072】
(A)少なくとも幾つかのマイクロリフレクタに対して、電磁波放射のソース、反射表面、及び少なくとも一つの電磁波放射検出器を含む構成が反射の法則に従うように、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの電磁波放射検出器に関連させて、セキュリティエレメントを配置するステップ。
(B)セキュリティエレメントの少なくとも一部分を電磁波放射で照射するステップ。
(C)マイクロリフレクタから反射された放射を検出するステップ。
【0073】
電磁波放射は、単色でも、多色でもよい。電磁波放射は、好ましくは300nmから1000nmの範囲の、特に好ましくは400nmから800nmの範囲の、少なくとも一つの波長を有する。光源は、例えば、レーザ、LED、ハロゲンランプ、フィラメントランプ、ろうそく、太陽光でもよく、300nmから1000nmの範囲で少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射を放つ電磁波放射の別のソースでもよい。レーザが用いられてもよい。
【0074】
放射は、エリアを覆ってもよく、線や点の形態であってもよい。エリアを覆う放射とは、セキュリティエレメントの大部分が放射に覆われることを意味し、点状放射とは、セキュリティエレメントの小部分が放射により覆われることを意味する。例えば、レンズや回折素子の利用による、当業者に周知の技術により、放射プロファイルは相応に調整され得る。
【0075】
反射した放射の検出は、例えば、フォトダイオード若しくはフォトトランジスタ(スポットセンサ)、カメラセンサ(フルフレームセンサ(CCD、CMOS))などの、利用される電磁波放射に感度があるセンサを用いて、実行される。
【0076】
本発明に係るプロセスの利点は、機械を利用せず人間により、その最も簡単な(定性的な)変形例が実行され得る、ということである。この変形例は、太陽光やランプやろうそくや別の光源が電磁波放射のソースとして利用され、人間が検出器として利用される、ということを、特徴とする。セキュリティエレメントは、個別のマイクロリフレクタが反射を為すように、光源に対しある角度で観察者により保持される。観察者はセキュリティエレメントを光源に対して傾けると、反射が消えて新たな反射がセキュリティエレメントの別のエリア内に選択的に現れる。このことにより、肉眼に可視であるマイクロリフレクタは印刷技術により作成された偽造ではないことを、人間は即座に確認できる。
【0077】
本発明に係るプロセスの更なる利点は、機械の助力により若しくは助力と共に実行可能であり、定量的評価も可能である、ということである。機械の助力による照合によって、照合が人間によって(のみ)為される場合よりもより短期間で且つより低コストで、セキュリティエレメントの助力により多数のセキュリティエレメント即ち目的物をチェックできることが、可能になる。更に、機械による照合若しくは機械の助力による照合により、種々の時点で認証されたセキュリティエレメントの反射パターンの間で、比較をすることができる。
【0078】
本発明に係るプロセスの好適な変形例では、少なくともステップ(C)が機械により実行される。
【0079】
更なる好適な変形例では、放射のソース及び検出器に対する、目的物(セキュリティエレメント)の相対的位置の関数として、種々のエリアにて及び/又は種々の方向付け角度にてきらめくマイクロリフレクタを記録するために、認証される目的物、及び/又は、放射のソース、及び/又は、少なくとも一つの検出器は、相互に移動される。この好適な変形例では、本発明に係るプロセスは、ステップ(C)に続く更なるステップ(D)及び(E)も含む。
【0080】
(D)異なる部位のマイクロリフレクタに対して反射の法則が満たされるように、放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を変更するステップ。
(E)十分な数の反射マイクロリフレクタが検出されるまで、ステップ(B)と(C)、必要であればステップ(D)と(E)を繰り返すステップ。
【0081】
放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を変更するステップは、以下のように実行され得る。つまり、放射のソースと少なくとも一つの検出器は、相互に対して固定された(動かない)位置で保持され、一方で、セキュリティエレメント(若しくは目的物)は、検出器と放射のソースの固定配置に対して、移動する。目的物(セキュリティエレメント)に対する固定配置の移動と、固定配置に対する目的物(セキュリティエレメント)の移動の両方が、可能である。セキュリティエレメントと少なくとも一つの検出器が相互に対して固定された(動かない)位置で保持され、放射のソースと、セキュリティエレメント及び検出器の固定配置との間で、相対的移動を行なうことも、想定され得る。更なる組み合わせも可能である。位置を変更するステップは、セキュリティエレメントの位置が変わったときに放射のソースがセキュリティエレメントの別の部分を照射するようにしても、実行され得る。しかしながら、セキュリティエレメントの同じ部位が異なる角度で照射されるようにしても、実行され得る。検出器が異なる角度で照射される放射をスキャンする一方で、セキュリティエレメントの同じ部位が同じ角度で照射されるようにすることでも、位置を変更するステップは実施され得る。全ての場合、位置の変更が生じるとマイクロリフレクタの異なる部位がスキャンされる。
【0082】
一定の速度で移動は継続可能である。若しくは、加速しても、一時停止しても、例えば、段階状に断続的にしてもよい。
【0083】
ステップ(B)(C)(D)及び(E)は、関連する目的に十分な数のマイクロリフレクタがスキャンされるまで、繰り返される。明白な偽造を判定するために認証が実行されるのであれば、反射の法則を満たす放射のソース及び検出器に対する配置において反射表面が透明層の表面に平行でないマイクロリフレクタを配置することによって、本発明に係るプロセスのステップ(A)(B)及び(C)のみが実行されると想定される。このような場合、印刷の方法で得られる偽造を排除するために、透明層の表面に対し平行には方向付けされていないマイクロリフレクタが、存在するかどうかのみが、チェックされる疑問点である。
【0084】
セキュリティエレメントにより目的物を識別することに利用するならば、反射パターンが間違いなく目的物に割り当てされているように、複数のマイクロリフレクタが検出されねばならない。本発明に係るセキュリティエレメントの助力による目的物の識別に関する更なる情報は、以下に記載する。
【0085】
本発明に係るプロセスの更なる好適な変形例では、セキュリティエレメントは、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの検出器に対して、所与の方向付けを既に有するキャリアに対して、最初のステップで閉じ込められる。キャリアはそのような性質を持ち、本発明に係るセキュリティエレメントがキャリアに閉じ込められた後、マイクロリフレクタ、少なくとも一つの検出器及び放射のソースからなる構成が反射の法則を満たすべく複数のマイクロリフレクタが配置される、というように、放射のソースお酔い少なくとも一つ検出器に対して、キャリアは配置可能であり、若しくは既に配置されている。キャリアの性質及び特徴は、通常は、閉じ込めるセキュリティエレメントにより認証される目的物によって、決定される。目的物が、例えば、クレジットカードフォーマットを伴うIDカードであるならば、例えば、IDカードが中に配置され得るくぼみを伴うキャリアとして平坦な表面を用いることが可能である。キャリア上のIDカードの位置は、くぼみにより明確に予め決定される。放射のソース及び検出器は、マイクロリフレクタの幾つかに対して反射の法則が満たされるように、キャリアの周囲に配置される。
【0086】
クレジットカードフォーマットのIDカードなどの目的物を、キャリアとしてのキャリッジに閉じ込めることも想定される。幾つかのマイクロリフレクタ、放射のソース及び検出器からなる構成が反射の法則を満たす位置に、キャリッジを持ってくることができる。
【0087】
本発明に係るプロセスの更なる変形例では、少なくとも一つのレーザが放射のソースとして用いられる。レーザ光は、非常に実効的にコリメート可能であり、高強度を有する。認証プロセスに対して、集中したレーザビームが、セキュリティエレメント全体にスキャンされ得る。このプロセスでは、レーザが目的物(セキュリティエレメント)に対して移動することも、目的物(セキュリティエレメント)がレーザに対して移動することも可能である。本発明に係るプロセスの好適な変形例では、少なくとも一つのレーザ及び少なくとも一つの検出器が、相互に対して固定された位置で配置される。少なくとも一つのレーザ及び少なくとも一つの検出器の固定配置に対して、幾つかのマイクロリフレクタについて反射の法則が満たされるように、目的物は方向付けされる。方向付けはキャリッジによって簡素化され得る。好適な変形例では、目的物は、少なくとも一つのレーザ及び少なくとも一つの検出器の固定配置に対して、移動自在に設計されたキャリッジによって、移動される。移動の結果として、種々のマイクロリフレクタが引き続いて反射を生成するように、移動は設計される。レーザビームをセキュリティエレメントに焦点合わせしレーザビームを過ぎて目的物をガイドすることが想定される。結果として、セキュリティエレメントの種々の領域はレーザビームによって引き続いてスキャンされる。反射表面、放射のソース、及び検出器の構成が反射の法則を満たすように反射表面が方向付けされたマイクロリフレクタに対して、レーザビームが衝突すると、このマイクロリフレクタは、検出器により検出され得るスキャンの瞬間に反射を生成する。
【0088】
スキャンするレーザビームは、セキュリティエレメント上に明確なプロファイルを生成する。このプロファイルは、円、楕円、線、ダンベル形状若しくは他の形状であればよい。
【0089】
プロファイルは、例えば、楕円、線若しくはダンベル形状プロファイルに関して通常そうであるように、長軸及び短軸を有する。短軸の長さは、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズのオーダーである。長軸は、2つのマイクロリフレクタの間の平均距離のオーダーである。本明細書では、大きさのオーダーとは、2つのサイズが10より小さく0.1より大きい係数だけ異なるか若しくは同一であることを意味する、と理解される。長軸は、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離よりも幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離の1〜10倍の範囲にあることが好ましい。短軸は、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズより幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの1〜10倍の範囲にあることが好ましい。
【0090】
本発明に係るプロセスの更なる好適な変形例では、セキュリティエレメントがその表面に渡って明るくされ、種々の角度で種々のマイクロリフレクタから反射されるビームは、複数のスポットセンサの助力により、若しくはフルフレームセンサの助力により、検出される。セキュリティエレメント及び/又は放射のソース及び/又は検出器の間にて相対的な移動を要求されることなく、種々の配置で及び種々の方向付けでマイクロリフレクタが検出され得る、ということがこの変形例の利点である。
【0091】
更に好適な変形例では、本発明に係るプロセスは、ステップ(C)若しくは(E)に続いて、更なるステップ(F)及び(G)を含む。
【0092】
(F)相対的位置の関数として検出される反射パターンを少なくとも一つのターゲットパターンと比較するステップ。
(G)ステップ(F)で実行された比較の結果の関数として、目的物の認証に関する信号を発するステップ。
【0093】
ステップ(F)と(G)の具体的性質は、利用例に依存する。認証プロセスが、明白な偽造に対する調査であるならば、透明層の表面に反射表面が平行に配置されていないマイクロリフレクタが存在するかどうかを調査する。この場合、透明層の表面、放射のソース、及び検出器を含む構成が反射の法則を満たさないならば、個別の反射が発生することを、本発明に係るターゲットパターンは要求する。ステップ(G)では、目的物が明白な偽造であるか否かに関するメッセージが、はい/いいえの信号の形態で存在し得る。例えば、この目的のために光信号を利用することができる。目的物が明白な偽造でないならば、緑光が現れ、明白な偽造であるならば、赤光が現れる。一方で、音響信号や、人間の知覚により検出される別のメッセージが、用いられてもよい。認証の目的が具体的な目的物の識別を照合することであるならば、特定の時に検出される参照パターンと、推定的目的物(ターゲットパターン)の反射パターンとの間の、いわゆる1対1の比較がステップ(F)にて要求される。反射パターンは、放射のソース及び検出器に対する目的物の位置の関数として検出される、セキュリティエレメントからの若しくはセキュリティエレメントの一部からの、反射を表す。従って反射パターンは、例えば、種々の配置で種々の角度で計測された、セキュリティエレメントから反射し戻された放射の強度が記録された数値テーブルの形態である。そのような数値テーブルは、ターゲットの数値テーブルと直接比較可能である。ターゲットパターンとの比較を行なう前に、数学的手法を用いて、計測した強度分布から反射パターンの異なるフォームを準備することもできる。フーリエ変換されたデータは移動の非分散を表示し、より高い位置付けの許容差が得られるので、当初局所的に計測されたデータのフーリエ変換が実行されてもよい。
【0094】
データボリュームを減じるために、強度分布から特徴を抽出することが可能である。これらの特徴は、セキュリティエレメントの指紋若しくは署名の形態を示す。この署名は、セキュリティエレメントに関する、デジタルで格納可能で、機械処理可能な表象である。それは明白なものである。つまり、同一のセキュリティエレメントは同じ署名を生成する。異なるセキュリティエレメントは異なる署名を生成する。ステップ(F)に記載される反射パターンは、署名であってもよい。
【0095】
反射パターンと少なくとも一つのターゲットパターンとの間の比較は、完全な数値テーブルに基づいて、若しくは、数値テーブルから抽出された特徴に基づいて、為され得る。この目的のために、例えば、データセット間の類似性が探索される高知のパターンマッチングプロセスを利用することが可能である(例えば、以下を参照されたい。非特許文献4、特許文献4、特許文献14、非特許文献5、非特許文献6、特許文献15,特許文献16,特許文献17,特許文献18)。特別なプロセスを例4に記載する。
【0096】
本発明に係るプロセスの好適な変形例では、少なくともステップ(A)から(G)は機械で(自動的に)実行される。以下は、そのような自動的な変形の例である。ユーザが明確なやり方でキャリッジ上に目的物を配置し、ボタンを押して自動手続を開始する。例えば、ステッパモータを利用して、キャリッジは一つの位置に移動する。その位置は、セキュリティエレメントの表面、複写のソース及び検出器が、反射の法則が満たされない構成を形成するものであるが、一方で、放射のソース、検出器、及び、セキュリティエレメントの表面に対し角度γの傾斜を持つ仮想平面が、反射の法則を満たす構成を形成するものである。マイクロリフレクタがこの仮想平面に横たわるセキュリティエレメント内に存在するならば、マイクロリフレクタが仮に照射されると反射を生成するものである。セキュリティエレメントへのレーザビームの空間広がり、検出器のセンサエリアの空間広がり、及びそれらに対してセキュリティエレメントの透明層の比較的薄い厚みのために、仮想平面には無いがそれに平行な全てのマイクロリフレクタは反射を生成する。目的物が対応する位置に持って来られた後、放射のソースは、例えば、コントロールユニットにより活性化し、よって放射はセキュリティエレメントの一つの領域に衝突する。マイクロリフレクタがこの領域に存在しこのとき方向付けが上述の仮想平面に平行であるならば、検出器は、増加した強度の入射放射の形態で反射を検出する。異なる方向付けを有しているかもしれない更なるマイクロリフレクタを検出するために、ステッパモータによりキャリアは動かされ及び/又は更に傾けられ得る。検出器が反射を記録しないならば、目的物は明らかに偽造である。反射が記録されると、目的物の位置に依存する反射パターンの形態でコントロールユニット及び/又はコンピュータユニットを介して、反射は格納され得る。好適な変形例では、計測されたデータの記録を始動させるいわゆるシャフトコードが用いられる。シャフトコードは位置の変化を検出し、位置の漸進的変化の際にインパルスを発する。インパルスが発せられると、計測された値が検出器により記録され格納される。センサが所定の経路長に沿って移動すると、シャフトエンコーダは、計測されるポイントが夫々から一定の距離にて経路長に渡って分布されることを、保証する。
【0097】
スムージング、及び/又は、フィルタリング、及び/又は、数学的変換の後、特定の時点に記録された反射パターンは、例えば、より前の時点に既に記録されコンピュータユニットと繋がるデータベース内に格納された反射パターンなどの、少なくとも一つのターゲットパターンと、コンピュータユニットを介して、比較され得る。比較の結果、即ち、相互に比較される反射パターンの間の適合の程度は、コントロールユニット若しくはコンピュータユニットと接続される、アウトプットユニット(モニタ、プリンタ、若しくはラウドスピーカなど)を介して、可視の若しくは可聴のメッセージの形態で、ユーザに転送される。
【0098】
本発明は、セキュリティエレメント、若しくは本発明に係るセキュリティエレメントを含む本発明に係る目的物を、識別するプロセスにも関する。識別とは、人や目的物を間違いなく認識するプロセスであると理解される。
【0099】
本発明に係るプロセスは、目的物を認証するプロセス、及びこの関連で議論した変形例に対して、既に議論した少なくともステップ(A)〜(C)、(F)〜(G)を含むが、例外としてステップ(G)において認証の変わりに目的物の識別に関するメッセージが供給されている。例えば、セキュリティエレメントがその表面全体において明るくされ、利用例において十分な数のマイクロリフレクタが、検出器としてのフルフレームセンサの助力により同時に記録されるならば、位置の変更、若しくは更なるマイクロリフレクタの検出は必要では無い。本発明に係るセキュリティエレメントを利用して目的物を識別するプロセスは、少なくとも一つのステップを含む。
【0100】
(A)少なくとも幾つかのマイクロリフレクタに対して、電磁波放射のソース、反射表面、及び少なくとも一つの電磁波放射検出器を含む構成が反射の法則に従うように、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの電磁波放射検出器に関連させて、セキュリティエレメントを配置するステップ。
(B)セキュリティエレメントの少なくとも一部分を電磁波放射で照射するステップ。
(C)マイクロリフレクタから反射された放射を検出するステップ。
(D)異なる部位のマイクロリフレクタに対して反射の法則が満たされるように、放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を選択的に変更するステップ。
(E)十分な数の反射マイクロリフレクタが検出されるまで、ステップ(B)と(C)、必要であればステップ(D)と(E)を選択的に繰り返すステップ。
(F)相対的位置の関数として検出される反射パターンを少なくとも一つのターゲットパターンと比較するステップ。
(G)ステップ(F)で実行された比較の結果の関数として、目的物の認証に関する信号を発するステップ。
【0101】
好適な変形例では、本発明に係るステップ(A)〜(G)は自動的に(機械によって9実行される。
【0102】
本発明に係るプロセスのステップ(F)では、対象の目的物の反射パターンが、より先の時点にて既に決定された反射パターンと比較される。このように、目的物の識別は反射パターンにより決定され、データベースに格納される既に検出された目的物の反射パターンの全てと、観察中の反射パターンの比較(1:n比較)が実行される。
【0103】
一方で、目的物の識別が異なる特徴により決定されることも想定される。例えば、目的物に設けられたバーコードによること、及び、特定の時点に計測された反射パターンを、割り当ての正しさ(認証)を確認するための、識別対象の目的物に割り当てられた反射パターンと比較することによることなどである。
【0104】
本発明は、本発明に係るセキュリティエレメントによって識別し及び/又は認証するデバイスにも関連し、該デバイスは、電磁波放射の少なくとも一つのソースと、セキュリティエレメントから反射された放射を検出する検出器とを含む。
【0105】
電磁波放射のソースは、単色性放射、若しくは多色性放射を発する。電磁波放射のソースは、好ましくは300nmから1000nmの範囲の、特に好ましくは400nmから800nmの範囲の、少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射を発する。レーザ、LED、ハロゲンランプ、フィラメントランプ、ろうそく、太陽光、若しくは、300nmから1000nmの範囲で少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射を発する電磁波放射の別のソースが、放射のソースとして用いられてよい。レーザが用いられてもよい。
【0106】
例えば、フォトダイオード若しくはフォトトランジスタ(スポットセンサ)、カメラセンサ(フルフレームセンサ(CCD、CMOS))などの、利用される電磁波放射に感度があるセンサが、検出器として利用される。
【0107】
好適な変形例では、目的物が上に固定され得るキャリッジが存在する。キャリッジは、識別される若しくは認証される目的物と接触するに到らせる領域を含む。この目的のために、目的物は、キャリッジ上に配置され、キャリッジ内に引っ掛けられ、若しくはキャリッジに貼付され、これにより、目的物所与の、予測可能な方向付け(位置)となる。目的物とキャリッジの間の繋がりにより、目的物と繋がるセキュリティエレメントは、既に反射の法則を満たす構成にあるか、若しくは、キャリッジを動かすことでそのような構成に容易に到ることができる。特別の変形例では、キャリッジは、例えば、目的物とキャリッジがユーザにより容易に繋がれ得る第1の位置に到ることができ、更に、セキュリティエレメント内に含まれるマイクロリフレクタ、放射のソース、及び検出器が反射の法則を満たす構成を形成する第2の位置にいたることができる、スライドである。
【0108】
特に好適な変形例では、キャリッジは移動可能であり、よって、同じ角度で若しくは異なる角度でマイクロリフレクタを照射して同じ角度で若しくは異なる角度で種々のマイクロリフレクタから反射を検出するべく、セキュリティエレメントは放射のソース及び/又は検出器に対して、移動可能である。
【0109】
更に好適な変形例では、レーザが放射のソースとして用いられ、フォトトランジスタが検出器として用いられる。レーザとフォトトランジスタは、相互に対して、固定された配置にある。認証され及び/又は識別される目的物は、レーザ及びフォトダイオードの固定配置に対して、移動可能なキャリッジで移動され得る。レーザは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置される。検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ≠δ’である。レーザ、垂直方向及び検出器は、同一平面にある。レーザ、セキュリティエレメントの表面、及び検出器を含むこの構成は、δ≠δ’であることから、反射の法則を満たさない。よってこの構成では、セキュリティエレメントの表面に対して、反射表面が相応に傾いた方向付けを有するマイクロリフレクタが、検出されることになる。(キャリッジにより)セキュリティエレメントを移動することで、種々のマイクロリフレクタが一定の角度で引き続いて検出される。角度δは、0°から80°の範囲であり、0°から60°の範囲が好ましい。角度δ’は、0°から80°の範囲であり、0°から60°の範囲が好ましい。
【0110】
レーザにより、セキュリティエレメントは、所与のスポットプロファイルで明るくされる。このプロファイルは、例えば、楕円、線若しくはダンベル形状プロファイルのように、長軸及び短軸を有する。短軸の長さは、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズのオーダーであるのが好ましい。長軸は、2つのマイクロリフレクタの間の平均距離のオーダーである。長軸は、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離よりも幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離の1〜10倍の範囲にあることが好ましい。短軸は、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズより幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの1〜10倍の範囲にあることが好ましい。
【0111】
更に好適な変形例では、装置は、コンピュータユニットとデータベースに接続するコントロールユニットも含む。コントロールユニットは、放射のソースを制御するために用いられ、また、目的物の位置を変えて検出器により記録された信号を検出することができるように、移動可能なキャリッジを制御するためにも用いられることがある。データベースでは、1:1若しくは1:nの比較で利用され得るセキュリティエレメントの反射パターンが格納される。コンピュータユニットを用いて、データセットに関し数学的演算が為され、反射パターン間で比較が実行される。マイクロプロセッサは、例えば、コンピュータユニット及びコントロールユニットとして用いるのに適する。
【0112】
更に好適な変形例では、装置は、少なくとも一つのアウトプットを有し、そのアウトプットを介して比較の結果がメッセージの形で装置のユーザに送られ得る。このアウトプットは、例えば、明白性テストが目的物が明らかに偽造であることを示す場合に点灯するランプであってもよい。アウトプットは、例えば、特定の時点に検出されたセキュリティエレメントの反射パターンが接続されるデータベースからの反射パターンに適合する程度に関して、情報を示すスクリーンであってもよい。例えば、プリンタ、ラウドスピーカ、若しくは、機械(装置)と人間(ユーザ)との間のインタフェースとして利用される他の装置などの、他のアウトプットも、想定され得る。
【0113】
本発明は、目的物の認証を保証するための、先行技術から知られた解決案に対して、多くの利点がある。
【0114】
本発明に係るセキュリティエレメントは、複数のセキュリティクラスの組み合わせを示す。マイクロリフレクタは、肉眼で認識可能であり(公然)、個別のマイクロリフレクタの分布及び/又は方向付けは、本発明に係る装置により検出可能であり(秘密)、更にマイクロリフレクタの形状及び特徴は、拡大装置により分析可能である(秘密、フォレンシック)。
【0115】
マイクロリフレクタのランダムな分布及び/又は方向付けは複写するのが困難であるから、本発明に係るセキュリティエレメントは、偽造及び/又は複製に対して高い程度の保護を提供する。
【0116】
本発明に係るセキュリティエレメントにより、補助器具の利用無くどの人も実行できる明白性の調査がかのうである。
【0117】
マイクロリフレクタのランダムな分布及び/又は方向付けは個々のセキュリティエレメントに対して固有のものであるから、本発明に係るセキュリティエレメントにより、目的物の個別化が可能である。
【0118】
本発明に係るセキュリティエレメントは廉価であり、目的物のデザインに悪影響を与えることなしに多数の目的物に添付できる。
【0119】
本発明に係るセキュリティエレメントを用いて、目的物を認証する本発明に係るプロセス、及び、目的物を識別する本発明に係るプロセスは、機械により迅速に実行可能である。
【0120】
本発明に係る装置は、コスト効率もよく、僅かなデモンストレーションをすれば専門家の知識が無くとも人手により操作可能である。
【0121】
以下、図面及び例を用いて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0122】
図1は、マイクロリフレクタ(3)がランダムに分布して中に含まれる透明層(2)を含む、本発明に係るセキュリティエレメントの拡大断面の平面図を概略示す。この変形例では、マイクロリフレクタは、認証目的のためには拡大装置(例えば、拡大グラス若しくはマイクロスコープ)により見ることができる6角形を有する。
【0123】
図2は、本発明に係るセキュリティエレメント(1)の拡大断面の側面図(断面図)を概略示す。セキュリティエレメントは、マイクロリフレクタ(3)が埋め込まれる透明層(2)を有する。これらはランダムに分布しており、個々のマイクロリフレクタの反射表面(4)はランダムに方向付けされている。セキュリティエレメントは電磁波放射のソース(5)により照射される。このプロセスでは、反射表面に衝突するビーム(6)はそこから反射し戻される。反射したビーム(7)は検出器(8)に捕獲され得る。放射のソース(5)及び検出器(8)に対して特定の方向付けを有する表面のみが、検出器内に信号を生成する(図3参照)。
【0124】
図3は、マイクロリフレクタ(3)に対する反射の法則を示す。電磁波放射(6)は、表面(4)の垂直方向(9)に対して角度αを為してマイクロリフレクタ(3)の表面(4)に衝突する。ビームは、表面(4)の垂直方向(9)に対して角度βを為して反射し戻る。反射の法則により、角度αとβは、大きさが同じである。適切な位置に配置された検出器(8)を用いて、特定の反射した放射が捕獲され得る。
【0125】
マイクロリフレクタの表面が回折パターンを含むならば、回折パターン(より高次の回折次数)に依存する、特定の反射したビーム(いわゆるゼロ次数回折)近辺の所定の角度で、特定の反射したビームに加えて、更なるビームが形成される。これらの回折ビームは、特定の反射したビームよりも、低い強度を有する。一つ以上の波長の電磁波放射を有するセキュリティエレメントが照射されると、種々の波長を有するビームが様々な角度で回折される。こんことにより、波長依存の検出が可能になる。
【0126】
図4は、ポリマーの中にマイクロリフレクタを組み込んだ製品の光学顕微鏡写真である。
【0127】
図5は、例2からの薄膜の光学顕微鏡写真である
【0128】
図6は、例3からのIDカード内の金属識別プレートレットの光学顕微鏡写真である。
【0129】
図7は、本発明に係るセキュリティエレメントにより、目的物を認証し及び/又は識別するための、本発明に係る装置及び本発明に係るプロセスの、変形例の例を示す。装置は、電磁波放射のソース(5)、電磁波放射の検出器(8)、放射のソース(5)を制御し検出器(8)の計測する信号を処理するためのコントロールユニット、数学的演算を実行し更に特定の時点で検出されたセキュリティエレメント(1)の反射パターンを少なくとも一つのターゲット若しくは参照パターンと比較するコンピュータユニット、比較の目的のために参照パターン及び/又はターゲットパターンが格納されるデータベース、及び、比較の結果がユーザに送られるアウトプット(13)を、含む。ユニット5、8、10、11、12、13は電気的に接続され、無線や様々な信号転送チャネルにより接続されても良い(点線を参照されたい)。装置はもちろん、ユーザが装置を操作できるインプットデバイスも含む(図7には明確には示されていない)。インプットデバイスは、コントロールユニットやコンピュータユニットの部品であってもよい。デバイス10〜13の二つ以上が、一つの装置に統合されていてもよい。アウトプットデバイス13がコントロールユニット10に直接接続してもよい。
【0130】
放射のソース(5)と検出器は、セキュリティエレメントの表面の法線方向と同じ平面名に存在する。それらは、相互に対して、固定の(移動しない)配置にあり、セキュリティエレメントの表面と共に、反射の法則を満たさない構成を形成する。即ち、セキュリティエレメントに衝突する放射(6)は、セキュリティエレメントの表面から、更には透明層とセキュリティエレメントの任意の別の層との間の境界層から、反射し戻され(7’’)、検出器に入力しない。一方で、検出器(8)は、ビーム7’’に対してγの角度で傾いている(ビーム7’とビーム7’’は角度γを為す)。この構成において、検出器(8)は、反射表面がセキュリティエレメントの表面に対して角度γで傾くマイクロリフレクタからの反射を、検出する。このことは、セキュリティエレメントが、マイクロリフレクタがプリント技術により目的物に付された偽造物ではない、ということだけでなく、セキュリティエレメントの表面から反射して検出器に入って内部でオフセット信号を生成する放射が、無い、ということも、保証する。この最後の特徴により、信号対ノイズの比率(SN比)における相当な向上がもたらされる。角度γは1〜20°の範囲であることが好ましい。
【0131】
図7では、セキュリティエレメントは、放射のソース(5)と検出器(8)との固定された構成の下で(両矢印で概略示されるように)並進移動し、このことによりセキュリティエレメントの種々の領域が引き続いて検出される。
【0132】
図8は、レーザ(5)と検出器(8)に対して相対的に移動するIDカードの形態で、セキュリティエレメント(1)を認証/識別する、例4で用いられる構成を示す(移動の方向は太矢印で概略示される)。この移動の間、カードの一部は照射され、この表面(14)から反射する放射が検出される。
【0133】
図9は、例3に係るセキュリティエレメントの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【0134】
図10は、マイクロリフレクタの無いホワイトIDカードの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【0135】
図11は、格納のための及び/又は他のデータセットとの比較のための、ゼロ交差の生成の例のグラフ描写である。点線カーブ(15)は、対象の経路長の関数として(フィルタリングや平滑化の後であることもある)元の計測された強度信号である。このカーブの個々の個別ポイントの±50の近傍値を平均することにより、一点破線カーブ(16)により示されるような、算術平均値が得られる。オリジナルのデータ(15)と平均されたデータ(16)との間の交差ポイントは、いわゆるゼロ交差を形成する(非折線(17))。経路長xの関数としてゼロ交差は格納される。それらは、識別及び/又は認証の目的のために、更なるセキュリティ特性の対応するデータセットとの比較を為すために、利用され得る。
【0136】
[実施例]
例1:マイクロリフレクタを含む合成物の生成
ニッケルから成り、5μmの厚さと100μmの対向する面間の距離を有し、称号“0V Dot B”を伴う6角形金属識別プレートレットが、マイクロリフレクタとして用いられた。プレートレットはプリントされ、文字“0VDot”の部分が判読可能であった。貫通穿孔の形態の大きい“B”がプレートレットの中心に位置した。穿孔から辺までの距離は25μmであり、穿孔は金属識別プレートレットの全体表面エリアの12.5%の割合を占めた。
【0137】
金属識別プレートレットにより混合物を生成した。
【0138】
上述の金属識別プレートレットの150gを、強いミキサ内でMakrolon(登録商標)3108 550115パウダ(平均粒子直径800μm)の2.35kgと混合した。Makrolon(登録商標)3108 550115は、EU/FDA品質であり、紫外線(UV)吸収剤を含まない。ISO1133に係る溶解体積流量(MVR)は、300℃及び1.2kg負荷において6.0cm3/(10分)である。
【0139】
50kg/時の押出機のスループットでは、Makrolon(登録商標)3108 550115円筒状顆粒の47.5kgが、ZSK二軸スクリュ押出機のバレル1内に押出された。金属識別プレートレット/Makrolon(登録商標)パウダは、側面押出機を介して計測された。透明の粒子含有溶解物が、6ホールダイプレートの下流で得られ、水槽での冷却の後、ストランドペレット化により、0.3重量%の金属識別プレートレットを含む50kgの円筒状顆粒が生成された。
【0140】
円筒状顆粒ペレットの光学顕微鏡検査画像(図4)は、金属識別プレートレットが小さい光を反射する6角形であることを示した。曲がったプレートレット、損傷したプレートレット、若しくは破壊したプレートレットのいずれも認められない。せん断力及び熱応力にも拘らず、“B”の形態の貫通穿孔は、損傷を受けないままであった。更に、プレートレット上のプリンティングは容易に判読可能であり、ポリカーボネート溶解物内で300℃の処理温度で影響を受けなかった。
【0141】
例2:ホイルを形成する混合物の押出
例1の混合物からホイルを押出した。
ホイルの生成に利用された器具は、以下のものから成る。
・105mm直径と41xDの長さを持ち脱ガスゾーンを含むスクリュを伴う、メイン押出機と、
・アダプタと、
・1500mm幅のスロットダイと、
・水平ローラ構成を伴う3ローラ平滑化カレンダであって、第3のローラが水平に対して±45°で回転し得る、3ローラ平滑化カレンダと、
・ローラコンベヤと、
・保護薄膜の両面塗布のためのデバイスと、
・除去デバイスと、
・巻きステーション
【0142】
例1の混合物が、押出機のフィードホッパに加えられた。夫々の部材の溶解及び運搬は、押出機の夫々のシリンダ/スクリュ可塑化システムで為された。部材の溶解物は、アダプタを介して平滑化カレンダに与えられ、その際そのローラは表1に示される温度であった。薄膜の最終形状及び冷却は、(3つのローラから成る)平滑化カレンダ上で為された。ラバーローラ(微細な艶消し第2の表面)とスチールローラ(艶消し第6の表面)が、薄膜表面の構成に用いられた。薄膜表面の構成に用いたラバーローラは、Nauta Roll Corporation(米国)の特許文献19に開示されている。薄膜は、除去デバイスを介して運ばれた。この後、ポリエチレンの保護薄膜が両側に塗布され薄膜が巻かれ得る。
【0143】
【表1】
【0144】
レーザプリンティングのためのその特性に関して、出来上がった薄膜を調査することができるように、レーザ添加物が薄膜内に追加して組み込まれた。
【0145】
金属識別プレートレット及びカーボンブラックを含む以下の合成物が押出機に与えられた。
68.6重量%のMakrolon(登録商標)3108 550115(Bayer MaterialScienceAGからのPC)。
0.3重量%の0V Dot“B”金属識別プレートレットを伴う)例1からの20.0重量%のマスターバッチ。
11.4重量%のMakrolon(登録商標)3108 751006(Bayer MaterialScienceAGからの、カーボンブラック含有のPC)。
【0146】
艶消し/微細な艶消し(6−2)表面、0.06重量%の金属識別プレートレットコンテンツ、及び100μmの厚さを伴う透明グレー(レーザプリント可能の)押出シートが、そこから得られた。
【0147】
金属識別プレートレットは、シートの光学顕微鏡検査画像内で、小さい暗い6角形として明確に認識され得る。金属識別プレートレットは、ホイル表面全体に一様に且つランダムに分布された。凝集された/塊になったプレートレットは識別され得なかった。また、損傷した若しくは破壊したプレートレットは認識されなかった。薄膜穿孔内のせん断力及び熱応力にも拘らず、貫通穿孔“B”は、損傷を受けないままであった。
【0148】
シヤーリングは、金属識別プレートレットが完全にはランダムに方向付けられるのではなく、それらがホイルの表面に平行な選択的方向の近傍にランダムに方向付けされることを、意味する。選択的方向の近傍のこのランダムな分布は、目的物を認証し識別する本発明に係るプロセスにとって特に有利である。というのは、マイクロリフレクタの大部分がプロセスに適切であるからである。透明層の尿面に垂直に方向付けされたマイクロリフレクタは、本発明に係るプロセスにおいて反射を為さない。というのは、それらは反射計測が実行され得ない角度の範囲にあるからである。そのようなマイクロリフレクタは目的を満たさない。それらは機能的ではない。本例で得られる、透明層の表面に平行な選択的方向付けは、マイクロリフレクタの機能の高い割合を有する。
【0149】
ホイルは、本発明に係るセキュリティエレメントとして用いられ得る。例えば、ホイルは、他のホイルに積層されて、IDカードとして利用され得るカードがパンチされ得るホイル合成物を形成し得る(例3参照)。従ってセキュリティエレメントは、目的物(IDカード)の固定された部品であり、破壊すること無くそこから除去することはできない。
【0150】
例3:ホイル合成物の積層、及びIDカードの生成
ホイル合成物は以下の薄膜から積層した。
コア薄膜: 375μm薄膜MakrofolID6−4カラー010207(白)
この上の一層及びこの下の一層:
本発明に係る薄膜:例3、6−2からの100μm薄膜
オーバレイ薄膜: 100μm薄膜MakrofolID6−2、カラー000000(ナチュラル)
【0151】
薄膜は、10バール及び180℃にて、Burkle press内で積層された。その後クレジットカードのサイズ(形状ID−1)を有するカードが、合成物シートからパンチされた。金属識別プレートレットは、それらの外観に関しては光学顕微鏡検査法により調査した。
【0152】
金属識別プレートレットの光学顕微鏡検査法では、積層プロセスによってそれらは損傷も破壊もしないことが分かった。ラミネート間の圧力及び熱応力にも拘らず、貫通穿孔“B”は、損傷を受けないままであった。プレートレット上のプリンティングは明確に判読可能であった。薄膜を構成する元の表面は、積層プロセスの間に平滑に押圧された。
【0153】
例4:本発明に係るセキュリティエレメントを用いて目的物(IDカード)を認証し識別するための装置及びプロセス。
図8に係る装置を利用した。タイプFP−65/5のFlexpoint(登録商標)レーザ(波長650nm、最大出力5mW)が、放射のソースとして利用された。ビームプロファイルが描かれ、2mmの波長と20μmの幅を有した。
【0154】
STMカンパニのタイプFT−30のSi−NPNフォトトランジスタが、検出器として用いられた。例3に従って生成されたIDカードは、セキュリティエレメントとして用いた。
【0155】
レーザは、セキュリティエレメントの表面の垂直方向に対してδ=45°の角度で傾けた。フォトトランジスタは、セキュリティエレメントの表面の垂直方向に対してδ’=42°の角度で傾けた。
【0156】
レーザとフォトトランジスタは、相互に対して、固定された位置で配置した。セキュリティエレメントは、固定配置に対して1cm移動した(図8の太矢印参照)。速度は毎秒約1cmである。相対的な移動の間、セキュリティエレメントはレーザ光で照射した。線形のビームプロファイルの長い側は、移動の方向に垂直であった。相対的な移動の間に、(検出光の強度の)7000計測値を、フォトトランジスタにより検出した。
【0157】
図9は、計測の結果のグラフ表示である。経路長xに対して、反射光の強度Iをプロットした。シャープなバンドの形態の反射が明確に認識され得る。バンドハイト(高さ)は、マイクロリフレクタの方向付けと相互に相関する。レーザのソース、反射表面及びフォトトランジスタが反射の法則を満たす構成を形成するように正確に方向付けされたマイクロリフレクタが、最も高い強度を表示し、一方で、正確な方向付けから僅かに逸脱するマイクロリフレクタは逸脱に従ってより低い強度を表示する。
【0158】
比較として、図10は、マイクロリフレクタの無いIDカードで実行された、対応する計測の結果を示す。用いた手順は上述と同じである。図9に示すようなシャープなバンドは認められない。
【0159】
図9に示すカーブは、セキュリティエレメントの特徴的反射パターンの一部である。最初の段階で、未処理のデータは通常平滑化され及び/又はフィルタされる。例えば、ノイズを減少させるために、隣接する値の範囲で全ての値の平均を計算するということもできる。本発明の場合、±5の近接値の平均化が有利である。第二の段階で、データの減少(信号概算)が実行される、即ち、特性にまで減少される。この時点で特別のプロセスを簡潔に記載する。いわゆるゼロ交差プロセスにおいて、相対的に広い範囲に渡って、近接値の全ての平均を計算する。図11では、例えば、±50の近接値の平均を計算した。平均値と(平滑化の後でもよい)元の値を、相互に差し引きし合う。この引き算で符号が変化するx座標において、いわゆるゼロ交差が生じる。これは、x座標の関数として格納され、セキュリティエレメントのためのサインとして利用される。このサインは、(1対n(1対多)の比較による)識別若しくは(1対1(1対1)の比較による)認証を実行するために、他のサインと最後に比較され得る。
【0160】
セキュリティエレメントは、マイクロリフレクタに加えて、印刷イメージなどのサラ夏光学特性を含むことも可能である。それら光学特性より生じる信号は、マイクロリフレクタにより生成される信号と混ぜられる。例えば、印刷イメージなどの、他の光学特性を解析に含めることも可能である。この印刷イメージは、位置調整をするだけでなく、マイクロリフレクタと共に、認証及び/又は識別をするのに、用いられ得る。光で照射すると、印刷イメージは反射光の明/暗パターンを生成し、これらは検出器により捕獲される。明/暗パターンは、特別の角度で光を反射するマイクロリフレクタの相対的な位置を示す参照部として利用され得る。特徴的な明/暗パターンの存在は、認証若しくは識別の目的にも用いられ得る。
【符号の説明】
【0161】
1・・・セキュリティエレメント、
2・・・透明層、
3・・・マイクロリフレクタ、
4・・・反射表面、
5・・・電磁波放射のソース、
6・・・入射放射、
7・・・反射した放射、
7’・・・マイクロリフレクタから反射した放射、
7’’・・・セキュリティエレメントの表面から反射した放射、
8・・・感光性検出器、
9・・・表面に対する垂線、
10・・・コントロールユニット、
11・・・コンピュータデバイス、
12・・・データベース、
13・・・アウトプット、
14・・・検出されたエリア(スキャンされたエリア)、
15・・・経路長xの関数としての、検出器の計測する反射放射の強度、
16・・・平均値、
17・・・ゼロ交差、
α・・・入射角、
β・・・反射角。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学セキュリティエレメント、目的物の識別と認証のためのその利用、並びに、それら光学セキュリティエレメントを用いて目的物の識別と認証を行なうための方法及び装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
IDカード、紙幣及び製品などには、今日、特殊なノウハウ及び/又は高度な技術的努力を用いてのみ複写され得る偽造防止エレメントが設けられる。そのようなエレメントについて、本明細書ではセキュリティエレメントと称している。セキュリティエレメントは、保護対象物に不可分に結合しているのが好ましい。対象物からセキュリティエレメントを分離しようと試みても、不適切な利用を防ぐべく破壊状態に終わるものである。
【0003】
目的物の認証は、一つ又はそれ以上のセキュリティエレメントの存在によりチェックされ得る。
【0004】
例えば、ウオータマーク、特殊インク、ギロシェパターン、マイクロテキスト、及びホログラムなどの、光学セキュリティエレメントは、全世界的に十分確立された技術である。特に、文書保護に適切であり又それに限定されない光学セキュリティエレメントの概略は、次の本、即ち非特許文献1に記載されている。
【0005】
認証がいかにしてチェックされるかにより、光学セキュリティエレメントは、以下のカテゴリに更に分けられ得る。
【0006】
クラス1:可視(公然)−セキュリティエレメントは人間の目に可視であり、簡単にチェック可能であり補助も必要ない。可視セキュリティエレメントにより、誰もが第1の“明白テスト”で目的物の認証をチェックできる。
クラス2:不可視(秘密):−セキュリティエレメントは人間の眼に不可視である。認証をチェックするのに(簡単な)装置が必要である。
クラス3:フォレンシック−認証が特別な器具によりチェックされる。
【0007】
上記カテゴリは、それらエレメントを偽造するのに必要とされる努力量の量的兆候を示す。それ故に、それらは(セキュリティ)クラスを付される。
【0008】
保護を必要とする目的物を守るために、複数のセキュリティエレメントが組み合わせで利用されることが多い。コスト上の理由からは、保護を要求する目的物に複数の異なるセキュリティエレメントを設ける代わりに、単体のエレメント内に複数のセキュリティ特性を統合する方が有利である。特許文献1では、少なくとも一つのスペーサ層を含む薄膜層アセンブリにより、干渉による色ずれを生成し、更には安全強化のための解析構造が設けられ得る、特別な光学可変装置(OVD)が開示される。干渉により生成される色ずれと、回折構造から生じる回折現象の両方は、人間の目により検出され得る。よって、この装置は、2つの(クラス1、可視)特徴の組み合わせである。
【0009】
単体のセキュリティエレメント内に全ての上述のセキュリティクラスを組み合わせることが、好ましい。
【0010】
セキュリティエレメントを作成するのに必要な努力の程度が大きい程、そのエレメントを偽造するのに要する努力も通常大きくなる。よって、通常、複雑なセキュリティエレメントは、簡素なセキュリティエレメントよりも保護は大きくなる。今日、複雑なセキュリティエレメントは主として高価な商品のために用いられている。というのは、エレメントを作成するのに要する努力量は、もちろん商品のコストに影響するからである。セキュリティエレメントの利用は、多数の消費財にとって価値あるものではない。しかしながら、低コストで作成されて利用され、同時に偽造に対して強い保護を示し、よって消費財などの高価ではない商品も保護され得るセキュリティエレメントが利用可能であることは、好ましいことである。
【0011】
現在のカラー複写機、即ち、高解像度スキャナ及びカラーレーザプリンタを用いて得られ得る、複写物の即座の利用可能性及び高品質によって、光学セキュリティ特性の非偽造可能性を継続して向上させる要求が存在する。
【0012】
様々な視角からの様々な光学的印象を形成する光学可変セキュリティエレメントは公知である。そのようなセキュリティエレメントは、例えば、様々な視角における様々な像を再構成する光学回折パターンを有する。従来、一般に利用されていた複写及び印刷技術によっては、そのような効果は再現され得ない。そのような回折光学可変像装置(DOVID)の一つの特別な変形例、いわゆるエンボスホログラムが、特許文献2に記載されている。エンボスホログラムは、光回折パターンが三次元レリーフパターンに変換され、それがエンボスダイに移されることを、特徴とする。このエンボスダイは、マスタホログラムとしてプラスチックフィルム内にインプレスされ得る。これにより、多数のセキュリティエレメントを低コストで製造できる。しかしながら、この技術の欠点は、デザインや美感上の理由のために、多数の商品には可視ホログラムを設けられないということである。香水ビンは、通常は大規模で偽造される対象物であるが、ホログラムはマーケット上の理由のためにそれら香水ビンのイメージに合わないので、それらはホログラムを含まない。よって、商品の“イメージ”上への悪影響を与えること無く(デザイン)商品にも統合され得るセキュリティエレメントが利用可能であることが好ましい。
【0013】
上述のエンボスホログラムの欠点は、それらの認証に対して機械チェックできないということにもある。サプライチェーンでのギャップを回避するべく、種々のポイントで素早く且つ信頼性高く認証を確認できることが必要である。例えば、バーコードなどの、通常、光学コードが、商品を“追跡しトレースする”のに利用される。しかしながら、バーコードは、セキュリティ特性を表示することが無く、目的物を追跡しトレースするために利用されるに過ぎないエレメントである。それらは複写及び偽造が容易である。RFIDチップは、商品を追跡しトレースするための特性の組み合わせを提供する。しかしながら、それらの比較的高いコスト、遅い読み取り速度、及び電磁干渉場に対する感度のために、限定された程度にしかそれらは利用され得ない。サプライチェーンの間中、商品を自動的に追跡しトレースできるだけでなく、それらの認証も自動的に(即ち、機械により)チェックできるように、機械読み取り可能なセキュリティ特性が、設けられるのが好ましい。機械のみによる認証の試験は十分ではない。というのは、エンドカスタマも利用されるセキュリティ特性から目的物の認証をチェックできるべきであるからである。エンドカスタマは通常、装置の助力無しで、即ち、生来の感覚のみを利用することにより、認証するものである。
【0014】
エンボスホログラムの更なる欠点は、先行技術に従って利用されるそれらセキュリティエレメントは他と区別され得ないということである。エンボスホログラムは、区別可能なものではない。偽造商品のために多数のエンボスホログラムを取得するためには偽造者は一つの単体のマスタホログラムを複製し/偽造しさえすればよい、ということだけでなく、目的物がエンボスホログラムの区別不可能性のためにエンボスホログラムによっては他と区別され得ない、ということを、このことは意味する。
【0015】
偽造に対する保護の改善のために、及び個別の目的物を追跡しトレースする可能性のために、他と区別され得る、即ち、保護されるべき個々の商品に対して個別のセキュリティ特性を有する、セキュリティ特性を利用することが好ましい。個別の特性とは、例えば、シリアル番号、製造年月日、個人セキュリティ文書の場合には名前、ID番号、若しくは、バイオメトリック特徴であると理解される。困難を伴ってのみ若しくは多大な努力を伴ってのみ識別可能な、セキュリティ特性と個別の特性との組み合わせは、先行技術から公知である。一つの他と区別可能なセキュリティエレメントは、例えば、特許文献3に記載され、そこでは、他との区別はセキュリティエレメントの作成の間に実施されるのであり、区別は確定的過程に基づくものである。セキュリティエレメントの作成のためのパラメータの選択は、セキュリティエレメントのデザインを明確に且つ再現可能に決定する。確定的区別は、根本的に再現可能である/複製可能であるという欠点を有する。というのは、区別の特徴は特定の再現可能過程により作成されるからである。更に、可変性は通常、確定的過程で制約される。即ち、制約された数のみの個別の特徴が、制約されたセットのパラメータにより作成可能であり、よって制約された数の目的物が区別可能であると考えられる。
【0016】
偽造に対する保護、及び、区別され得る目的物の数は、純粋な確定的な特徴を伴うセキュリティ特性の場合によりも、ランダムな特徴を有するセキュリティエレメントの場合の方が、通常高い。
【0017】
特許文献4は、(例えば、紙などの)繊維構造を有する目的物が、そのランダムな表面特性により明確に認識される過程を記載する。この過程では、レーザビームが目的物の表面上で焦点を合わされ、表面中を移動し、更に様々な程度で、表面の様々な領域からの様々な角度で散乱されるビームは、光検出器により検出される。検出される散乱放射は、多数の様々な部材に関して特徴的であり、個々の表面に対して個別のものである。目的物の作成の間のランダム変数に基づくものであるから、複製は非常に難しい。個別のオブジェクトに対しての散乱データは、後の時点でオブジェクトを認証できるように、データベース内に格納される。このために、目的物は再計測され、散乱データは格納された参照データと比較される。この過程の欠点は、十分に多数のランダムは散乱センターを伴う目的物しか検出され得ない、ということである。更に、常に、認証には件の過程の利用が要求され、よって対応の装置が要求される。そのような対応物を手に持つ者が目的物の認証の明確なテストを行なうことは可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国特許第10232245A1号
【特許文献2】独国特許第10126342C1号
【特許文献3】EP0896260A3
【特許文献4】WO2005088533A1
【特許文献5】DE−OS2735144
【特許文献6】DE−OS2735092
【特許文献7】DE−OS2305413
【特許文献8】DE−OS1719244
【特許文献9】US3365517
【特許文献10】US3960815
【特許文献11】DE−OS2517033
【特許文献12】DE−OS2531240
【特許文献13】WO2005/078530A1
【特許文献14】WO2006016144A1
【特許文献15】US7333641B2
【特許文献16】DE10260642A1
【特許文献17】DE10260638A1
【特許文献18】EP1435586B1
【特許文献19】米国特許第4368240号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Rudolf L.van Renesse,Optical Document Security,Third Edition,Artech House Boston/London,2005(pp.63−259)
【非特許文献2】”Beilsteins Handbuch der organischen Chemie”(Beilstein’s Manual of Organic Chemistry),fourth edition,Third Supplement B 1.5,pp.1163−1169,Publisher:Springer Verlag 1964
【非特許文献3】”Polystyrol l.Teil,Herstellungsverfahren und Eigenschaften der Produkte”(polystyrene,Part 1,Manufacturing Processes and Properties of the Products),Publisher:Springer Verlag(1955)
【非特許文献4】Image Analysis and Proceeding:8th International Conference,ICIAP’95,San Remo,Italy,September 13−15, 1995.Proceedings(Lecture Notes in Computer Science)
【非特許文献5】C.Demant,B.Streicer−Abel,P.Waszkewitz,”Industrielle Bildverarbeitung”(Industrial Image Processing),Publishers:Springer−Verlag,1998,pp.133 et seq,
【非特許文献6】J.Rosenbaum,”Barcode”,Publishers:Verlag Technik Berlin,2000,pp.84 et seq
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
現存の先行技術に基づくと、セキュリティクラスを変えるセキュリティ特性が組み合わせて利用されるセキュリティエレメントに関して、問題が生じた。セキュリティ特性は、上述のクラス(可視、不可視、フォレンシック)の全てを含むのが好ましい。セキュリティエレメントは、補助器具(装置)の利用無しで人の感覚のみを利用して人により(“明白性”テストで)明白な偽造をテストできる様式(即ち、可視様式)であるべきのみならず、偽造を困難にして且つ対応する補助器具の助力により検出され得るより高いセキュリティクラス(不可視、フォレンシック)の特性も同時に含むべきである。セキュリティエレメントは、機械によりチェックできるものであるべきであり、他と区別できるものであるべきである。セキュリティエレメントは、偽造に対して最大限の保護を保証し多数の目的物の区別を同時に可能にするため、セキュリティエレメントは少なくとも一つのランダム性の特性を含むべきである。セキュリティエレメントは廉価であるべきであり、目的物のデザインに悪影響を与えることなく多数の目的物に付すことができるものであるべきである。セキュリティエレメントの認証及び/又は識別の過程は、自動的且つ迅速に実施することが可能であるべきである。セキュリティエレメントを認証する及び/又は識別するための装置は、廉価であるべきであり、専門家の知識を必要とすること無く、非常に短いデモンストレーションの後でどの人も操作できるものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚いたことに、多数のランダムに分配され及び/又は方向付けされたマイクロリフレクタを含む少なくとも一つの層を含むセキュリティエレメントにより、この問題が解決され得ることが見出されている。
【0022】
従って本発明は、多数のマイクロリフレクタがランダムに分配された少なくとも一つの透明層を含み、マイクロリフレクタの少なくとも幾つかが透明層の表面に平行に配置されていない少なくとも一つの反射表面を有することを特徴とする、セキュリティエレメントに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】マイクロリフレクタ(3)がランダムに分布して中に含まれる透明層(2)を含む、本発明に係るセキュリティエレメントの拡大断面の平面図を概略示す。
【図2】本発明に係るセキュリティエレメント(1)の拡大断面の側面図(断面図)を概略示す。
【図3】マイクロリフレクタ(3)に対する反射の法則を示す。
【図4】ポリマーの中にマイクロリフレクタを組み込んだ製品の光学顕微鏡写真である。
【図5】例2からの薄膜の光学顕微鏡写真である
【図6】例3からのIDカード内の金属識別プレートレットの光学顕微鏡写真である。
【図7】本発明に係るセキュリティエレメントにより、目的物を認証し及び/又は識別するための、本発明に係る装置及び本発明に係るプロセスの、変形例の例を示す。
【図8】レーザ(5)と検出器(8)に対して相対的に移動するIDカードの形態で、セキュリティエレメント(1)を認証/識別する、例4で用いられる構成を示す(移動の方向は太矢印で概略示される)。
【図9】例3に係るセキュリティエレメントの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【図10】マイクロリフレクタの無いホワイトIDカードの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【図11】格納のための及び/又は他のデータセットとの比較のための、ゼロ交差の生成の例のグラフ描写である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
セキュリティエレメントは、少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射に透過的な少なくとも一つの層を含むことを特徴とする。透過性は、層を貫通する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の部分が、層に吸収され、若しくは層の境界面から反射される少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の部分の合計よりも、大きいことを意味すると理解される。層の透過率、即ち、層を通過する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度と、層上に衝突する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度との間の比率は、よって50%よりも大きい。以下では、そのような層を透過層と称する。
【0025】
少なくとも一つの波長のための透過層の透過率は、60%と100%との間であることが好ましく、特に、80%と100%との間であることが好ましい。
【0026】
本発明に係るセキュリティエレメントの少なくとも一つの層が透過性に関して上述の特性を有する電磁波放射の少なくとも一つの波長は、300nmと1000nmとの間であることが好ましく、特に、400nmと800nmとの間であることが好ましい。
【0027】
好適な変形例では、本発明に係るセキュリティエレメントの透過層は、400nmと800nmの間の波長を伴う電磁波放射に対して、少なくとも60%の透過率を有する。本発明に係るセキュリティエレメントの透過層は、1μmと1cmの間の厚さを有する。層の厚さは、1μmと1mmの間の範囲であるのが好ましく、10μmと500μmの間であるのが特に好ましい。
【0028】
透過層は、ガラス、セラミック部材又はプラスチックからなるのが好ましい。
【0029】
透過層は、ラッカー、又はホイルからなるフィルムであるのが好ましい。フィルム及びホイルは、三次元の一つ(厚さ)が、体積の残りの二次元(長さと幅)よりも、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、小さいことを特徴とする。ラッカーは、品物に薄く塗布される液体若しくは粉状コーティング部材であり、(例えば、溶剤の蒸発、又はラッカー内に含まれるモノマー若しくはオリゴマーの重合などの)化学的若しくは物理的処理の結果として連続薄膜を形成する。ホイルは、品物上に若しくは品物周りにラップされ得る固形物である。
【0030】
本発明に係るセキュリティエレメントに関する好適な変形例では、ホイルの形態の熱可塑性部材が透過層として利用される。本発明に係る好適な熱可塑性のホイルは、例えば、25000から200000の重量平均分子量Mwを、好ましくは、30000から120000の重量平均分子量Mwを、特に好ましくは30000から80000の重量平均分子量Mwを、有する公知の熱可塑性の芳香族ポリカーボネートから製造されるものであり、直鎖の(特許文献5参照)若しくは分岐の(特許文献6、特許文献7参照)公知の熱可塑性のポリスルホンから製造されるものである。
【0031】
更に好ましいホイルは、熱可塑性セルロースエステル、熱可塑性塩化ポリビニール、熱可塑性コポリスチレン/アクリロニトリル、及び熱可塑性ポリウレタンなどである。
【0032】
好ましいセルロースエステルは、脂肪族モノカルボン酸無水物により、好ましくは、酢酸及び酪酸、若しくは酢酸及びプロピオ酸無水物により、セルロースをエステル化する従来の処理により得られる。
【0033】
更に好ましい熱可塑性物質は、例えば、好ましくは、ポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン若しくはコポリスチレンなど、例えば、好ましくは、透明ポリスチレン(PS)若しくはポリスチレンアクリロニトリル(SAN)、透明熱可塑性ポリウレタン、及びポリオレフィンなど、例えば、好ましくは、透明タイプの、(トーマスアドバンストポリマーのTORAS(登録商標)などの)環状オレフィンに基づくポリプロピレン若しくはポリオレフィンなどの、ポリアクリル酸塩若しくはコポリアクリル酸塩、及び、ポリメタクリル酸若しくはコポリメタクリル酸、例えば、好ましくは、ポリエチレン若しくはコポリテレフタレート(PET若しくはCoPET)若しくはエチレン共重合体(PETG)、ポリエチレングリコールナフテン酸塩(PEN)及び透明ポリスルホン(PSU)などの、テレフタル酸の重縮合若しくは共重縮合である。
【0034】
好ましい直鎖ポリアリールスルホンは、約15000と55000の間の、好ましくは20000と40000の間のMw(例えば、光散乱により計測される重量平均分子量)を伴う芳香族ポリスルホン若しくはポリエーテルスルホンなどとして公知である。そのようなポリアリールスルホンは、例えば、特許文献8や特許文献9などに記載される。好ましい分岐ポリアリールスルホンは、特に、特許文献7や特許文献10などに記載の分岐ポリアリールスルホンであり、それらのMw(例えば、光散乱により計測される重量平均分子量)は、約15000と55000の間、好ましくは20000と40000の間である。
【0035】
好適な熱可塑性塩化ポリビニールは、例えば、市場で入手され得るPVCタイプである。
【0036】
好適な熱可塑性スチレン/アクリロニトリル共重合体は、スチレン、好ましくはアクリロニトリルの共重合体であり、それらは、例えば、10000から600000のMwを伴うモノマー若しくはモノマーの混合物の、触媒の存在の下での、懸濁重合により得られる(Mwは、C=5g/l且つ20℃にてDMF内で計測される)。この事に関する文献として、非特許文献2及び非特許文献3を参照されたい。
【0037】
例えば、スチレン/アクリロニトリルの、若しくはアルファ−メチルスチレン/アクリロにトリルの共重合体などの、熱可塑性樹脂は、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、及びエマルション重合による公知の方法により生成され得る。
【0038】
シクロオレフィン共重合体は、Mitsui Chemicalの特許文献US5912070及びTicona GmbHの特許文献EP765909に記載される。
【0039】
積層材の製品に関して、特にホイルに関して、特許文献11や特許文献12が引用され得る。
【0040】
本発明に係る層を作成するため、熱可塑性ポリウレタンを利用することも可能である。
【0041】
ホイルは、艶消しでも、片側のみ構成されていてもよい。これは、例えば、スロットダイを介して熱可塑性部材の溶解物を押圧し、艶消し若しくは構造された冷却ローラを超えて溶解物のウェブを引き出すことで、得られる。
【0042】
熱可塑性層は、そのようなプラスチックの単分子層でも、各々0.001〜1mmの厚さである種々のプラスチックの個別の層から成る多分子層のプラスチック層でも、よい。
【0043】
本発明に係るセキュリティエレメントは、透明層の内部にランダムに分布され及び/又は方向付けされた多数のマイクロリフレクタも、含む。
【0044】
ランダムの分布及び/又は方向付けは、透明層内部の、個別のマイクロリフレクタの位置、及び/又は、個別のマイクロリフレクタの方向付けが、製造過程によって予測可能に予め決定され得ない、ということを意味すると理解される。個別のマイクロリフレクタの位置及び/又は方向付けは、製造過程の間、ランダムな変動を受ける。個別のマイクロリフレクタの位置及び/又は方向付けは、それ故に簡単に再現可能ではない。このことが、本発明に係るセキュリティ特性により提供される高程度の保護の特質である。それらは、非常に高程度の努力でしか複製され得ない。好適な変形例では、位置(透明層内部のマイクロリフレクタの分布)と方向付けの両方は、ランダムな性質を持つ。ランダムは、厳密な数学的意味において理解されるべきでなく、個別のマイクロリフレクタの位置と方向付けを正確に予測することを不可能にするような程度のランダムさが存在する、ということを意味する。しかしながら、マイクロリフレクタが一つの好適な位置及び/又は方向付けを有することは可能である。夫々個別のマイクロリフレクタの位置及び/又は方向付けは不確かのままであるが、この位置の周りのマイクロリフレクタの分布及び/又は方向付けは、製造過程により決定され得る。
【0045】
本発明に係るマイクロリフレクタは、入射電磁波放射を特徴的に反射する少なくとも一つの表面を有することを特徴とする。この特徴的な反射は、少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射が入射角により決定される少なくとも一つの方向で反射され、少なくとも一つの波長の反射された放射の部分が少なくとも一つの波長の吸収され伝播された放射の部分の合計よりも大きいことを、特徴とする。上記少なくとも一つの表面の反射率は、従って50%よりも大きく、ここで、反射率は、表面により反射し戻される少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度と、表面に衝突する少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射の強度との間の、比率であると理解される。以下では、そのような表面を、反射表面と称する。
【0046】
少なくとも一つの波長のためのマイクロリフレクタの反射表面の反射率は、60%と100%の間であることが好ましく、特に80%と100%の間であることが好ましい。
【0047】
本発明に係るセキュリティエレメントのマイクロリフレクタの少なくとも一つの表面が上述の特性を有する対象である電磁波放射の少なくとも一つの波長は、300nmと1000mmの間の範囲にあることが好ましく、特に、400nmと800mmの間の範囲にあることが好ましい。
【0048】
好適な変形例では、本発明に係るセキュリティエレメントのマイクロリフレクタの反射表面は、400〜800nmの波長を伴う電磁波放射に対して、60%の反射率を有する。
【0049】
この反射は、鏡面(指向性)反射及び/又は回折であるのが好ましく、即ち、放射を散乱反射する(散乱性)割合は50%より小さいことが好ましく、特に、40%より小さいことが好ましい。回折性の及び鏡面性の放射は両方とも、本発明明細書では反射放射と称している。
【0050】
マイクロリフレクタの反射表面は、1×10−14m2と1×10−5m2の間のサイズを有する。反射表面のサイズは、1×10−12m2と1×10−6m2の間の範囲であることが好ましく、特に、1×10−10m2と1×10−7m2の間であることが好ましい。
【0051】
“多数のマイクロリフレクタ”の用語は以下のように理解される。本発明に係るセキュリティエレメントの透明層が上部から若しくは底部から見られると、1cm2の面積あたり平均1〜1000のマイクロリフレクタが、好ましくは、10から00のマイクロリフレクタが、存在する。2つのマイクロリフレクタの間の平均距離は、マイクロリフレクタの反射表面エリアの平均サイズの少なくとも5倍であることが、好ましい。特に好適な変形例では、平均距離は、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの10から50の間である。本明細書では、平均サイズは、対応する寸法の算術平均のことである。
【0052】
マイクロリフレクタの反射表面は平坦若しくは湾曲である。表面が平坦であれば、表面に当たる平行の光束は、やはり平行な状態で表面から反射し戻される。表面が湾曲していれば、表面に当たる平行の光束は、(凸面の曲率により)発散光線の形態で、若しくは(凸面の曲率により)収束光線の形態で、反射し戻される。平坦表面には、狭い角度範囲において鋭利な反射帯が生成される、という利点がある(例えば、図9参照)。湾曲した表面には、より広い角度範囲で反射が生成されるという利点があるが、角度もより広い。三週用途に従って、平坦な反射表面、又は、湾曲した反射表面が選択される。
【0053】
反射表面は平坦でもよいが、電磁波放射の回折を作成する一つ若しくはそれ以上の構造を有していてもよい。
【0054】
マイクロリフレクタは、概略、球形状、棒状、平行六面体形状、多面体形状、若しくはプレートレット形状でもよく、又は、他のどんな想定される形状であってもよい。本発明に係るセキュリティエレメントの好適な変形例では、マイクロリフレクタはプレートレット形状であり、即ち、2次元でのそれらの空間広がりは殆ど同じであり、3次元の空間広がりは、他の2次元の空間広がりより、少なくとも4倍小さい。“殆ど同じ”は、空間広がりが最大2の係数で異なることを意味する。同じ広がりを伴う2次元におけるマイクロリフレクタの空間広がりにより形成される表面は、反射表面であることが好ましい。
【0055】
驚いたことに、マイクロプレートレットを含むシートを押出することで、セキュリティエレメントの生成のためにプレートレット形状のマイクロリフレクタが用いられるとき、認証及び識別の目的に特に適切な方向付け分布を有していることが、見出されている。押出過程の結果として、プレートレット形状のマイクロリフレクタは、透明層の表面に平行な選択的方向付けを有する。しかしながら、個別のマイクロプレートレットの方向付けは、依然として相当程度ランダムである。しかしながら、マイクロプレートレットは、透明層の表面に対して、垂直ではなく、平行である明確な傾向を確かに有している。マイクロプレートレットの方向付けは、透明層の表面に平行な方向の周りにランダムに分布されている。
【0056】
この選択的な方向付けにより、マイクロリフレクタの大部分は、本発明に係るセキュリティエレメントを用いて目的物を認証し及び/又は識別するため、本発明に係る過程に利用可能である。好適な変形例では、マイクロリフレクタの反射表面が、透明層の表面に対して0〜60°の範囲で角度においてランダムに方向付けされていることを特徴とする、選択的方向付けを、マイクロリフレクタが有する。透明層の表面に対する反射表面の傾きは、0〜50°の間の範囲であることが好ましく、特に0〜30°の間であることが好ましい。
【0057】
好適な実施形態では、マイクロリフレクタは200μmより小さい最大限の長手方向サイズ、2〜10μmの厚さ、及び、円形、楕円、若しくはn角形状(n≧3)を、有する。本明細書では、楕円は、厳密な数学的意味を有さない。本明細書では、楕円形は、角が丸い、矩形や平行四辺形や不等辺四辺形やn角形状のこととして理解されている。
【0058】
好適なマイクロリフレクタは、少なくとも一つの金属部材を含む。好適な金属は、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、金、クロム、亜鉛、錫、及びそれら金属のうちの少なくとも2つの合金を含む、シリーズからの一つである。マイクロリフレクタは、金属や合金をコートされてもよく、完全に一つの金属若しくは合金から成ってもよい。
【0059】
好適な変形例では、例えば、特許文献13に記載の種類の金属識別プレートレットが、マイクロプレートレットとして利用される。それらは反射表面を有する。多数の、そのような金属識別プレートレットが透明層内でランダムに分布し及び/又は方向付けされると、様々な角度で透明層を照射すると特徴的な反射パターンが形成される。このパターンは、識別及び認証過程で用いられ得る。更に、金属識別プレートレットは、拡大技術(例えば、拡大鏡若しくはマイクロスコープ)の助力により見ることができるマーキングにより、特徴付けられる。金属識別プレートレットは、(ホログラムなどの)回折構造/パターンを印刷可能であり、及び/又は、有することができ、又は、任意の形状のスルーホールにより、特徴付けられ得る。金属識別プレートレットは、外部形状(三角形、四角形、六角形、塩、楕円、文字、数字、シンボル、絵文字、若しくは他の想定される様式)によっても、特徴付けられる。
【0060】
マイクロリフレクタは、公知技術を介して透明層内に導入され得る。透明層が生成される部材が、例えば、熱可塑性物質であるならば、例えば、押出機内で熱可塑性物質をマイクロリフレクタと混合することが可能である(溶融押出)。透明層が生成される部材が、例えば、開始状態が液体であるラッカーであるならば、例えば、液体ラッカー内でマイクロリフレクタを分散し、分散したマイクロリフレクタを含むラッカーを薄膜状で広げて、その後ラッカーを取り除くことが、可能である。
【0061】
本発明に係るセキュリティエレメントの生成の間、せん断方向の好ましい方向付けを伴うランダムな分布を得るために、層状のマイクロリフレクタがせん断されるステップが、含まれることが好ましい。せん断の方向は、その後の透明層の表面に平行であるのが好ましい。
【0062】
本発明に係るセキュリティエレメントは、透明層に対する更なる層を含むこともできる。一つ若しくはそれ以上の更なる層が、透明層の上及び/又は下に配置されることが、想定される。例えば、透明層に必要な剛性及び/又は寸法安定性を与え、マイクロリフレクタを含む透明層の処理を容易にするために、透明層の下部にいわゆるキャリア層を配置することが、想定される。
【0063】
例えば、マイクロリフレクタを含む透明層の上に、引っかき抵抗性及び/又は紫外線安定性を与える更なる透明層を配置することも想定される。
【0064】
透明層の表面、及び、セキュリティエレメントの表面は、相互に平行であることが好ましい。
【0065】
好適な変形例では、本発明に係るセキュリティエレメントは、例えば、ラミネーション、及び/又は、ボンディング、及び/又は、後側射出成形により、別のホイルに添付され得るホイルの形態である。
【0066】
この形態では、セキュリティエレメントは目的物に容易に添付可能であり、例えば、プラスチックカード及び/又はIDカードのセキュリティホイルの形態などの、多数の種々の様々な用途に対して、包装内の若しくは包装面のラベルとして、若しくは、電子回路基板の部品として、利用され得る。セキュリティエレメントは、5μmと2mmの間の厚さを有し、少なくとも0.25m2多くとも100cm2の二次元エリアを有するのが好ましい。
【0067】
セキュリティエレメントは、マイクロリフレクタが透明層内で、ランダムに分布され及び/又は方向付けされている、という特性を有する。よって、光源に向かって傾けられたセキュリティエレメントを眺めると、種々の領域から、及び/又は、種々の傾斜角にて、反射が生じるが、この反射の発生は、放射源に対する及び観察者に対する角度で反射表面が方向付けられよって反射法則が適用されるマイクロリフレクタを、セキュリティエレメントが含む場所に、依存する。この効果は、インク及び顔料を利用する印刷技術を利用して再現され得るものではない。というのは、印刷技術によりキャリアに塗布される顔料は同一の方向付けを有しており、キャリアに対して傾いていないかたである。本発明に係るセキュリティエレメントの認証をテストするとき、種々のマイクロリフレクタが種々の視角にて明るくなることは非常に重要である。というのは、マイクロリフレクタの反射表面は、透明層に対して種々の傾斜角(方向付け)を有するからである。印刷技術、若しくは蒸着した金属粒子により得られる再現では、同じ視角にて明るくなるのみである。
【0068】
本発明は、目的物を認証し及び/又は識別するための、好ましくは、目的物の個別の認証及び/又は識別のための、本発明に係るセキュリティエレメントの利用に関する。この目的のため、本発明に係るセキュリティエレメントは、保護対象目的物に、不可分に添付されるのが好ましい。目的物からセキュリティエレメントを除去しようと試みても、セキュリティエレメント及び/又は目的物が壊れてしまう事態になることが、好ましい。セキュリティエレメントがシートの形態であるならば、セキュリティエレメントはボンディング及び/又はラミネーションにより、目的物に添付され得る。ホイルプロセスの技術の当業者は、壊れることなく且つ絶たれ得ないボンドが形成されるように、ボンディング及び/又はラミネーションにより、ホイルを結合する方法を知っている。特に好適な変形例では、認証及び/又は識別される目的物は、個人化されたセキュリティ若しくは識別文書であってよい。そのようなセキュリティ文書、及び好ましくは識別文書は、例えば、IDカード、パスポート、運転免許書、クレジットカード、バンクカード、アクセスコントロールカード、若しくは他のID文書であり、これら文書のタイプに制約はない。
【0069】
セキュリティエレメントは、目的物表面の、若しくは目的物に添付された、印付き領域として、認識され得る。目的物が、例えば、IDカードならば、セキュリティエレメントは、IDカード上の印付き領域の形態であればよい。他の印付き領域は、例えば、ホログラムやフォトであり、そこから、この領域が対応するエレメントを含むことが即座に認識される。好適な変形例では、セキュリティエレメントは、上記のようには気付かれず及び/又は明白には認識されないように、目的物内に統合される。目的物が、例えば、クレジットカードの形態のIDカードであるならば、セキュリティエレメントは、IDカードの側面全体に渡って、若しくは、IDカードの両側に渡って、延在するのが好ましい。セキュリティエレメントは他の機能を組み合わされてもよい。よって、セキュリティエレメントは、例えば、部分的にプリントされてもよい。プリントがマイクロリフレクタの幾つかを覆ったとしても、セキュリティエレメントは、十分に多数のマイクロリフレクタが存在し認証及び/又は識別の手段として機能すべく可視である限り、その機能を既に満たすものである。プリントとセキュリティエレメントの組み合わせには以下の利点がある。つまり、プリントされたイメージ若しくはプリントされたイメージの一部は、電磁波放射のソース、及び、セキュリティエレメントにより目的物を識別し及び/又は認証するための検出器に関連させて、本発明に係るセキュリティエレメントを配置するために、用いられ得る。更に、プリントされたイメージとセキュリティエレメントの組み合わせにより、セキュリティエレメントの認証/識別と、プリントされたイメージの照合とを、同時にできる(例4も参照されたい)。
【0070】
本発明は、セキュリティエレメント、若しくは、本発明に係るセキュリティエレメントが添付される目的物を、認証する(認証を確認する)方法にも関する。認証は、疑惑のアイデンティティをチェックする(照合する)過程として理解される。目的物、文書、人若しくはデータの認証は、それらが本物であることを、即ち、それらが、変化無く、複製で無く、及び/又は、偽造でないオリジナルであることを、識別する過程である。最も簡素な形態では、認証は、明白さに対して確認することから成る。即ち、確認が容易である特徴を、対象の目的物が明白な偽造であるか否かのために、調査する。
【0071】
本発明に係るセキュリティエレメントでは、様々なやり方で認証が確認され得る。本発明に係るセキュリティエレメントは、肉眼で識別され得る多数のマイクロリフレクタが中に配置された透明層を含むことを特徴とする。電磁波放射のソース、少なくとも一つのマイクロリフレクタの少なくとも一つの反射表面、及び反射された電磁波放射の検出器の組み合わせが、反射法則に従うとき、マイクロリフレクタは少なくとも一つの波長で電磁波放射を反射する、という属性をマイクロリフレクタは有する。本発明に係るセキュリティエレメントによって、目的物を認証することに関する本発明に係る方法は、少なくとも、以下のステップを含む。
【0072】
(A)少なくとも幾つかのマイクロリフレクタに対して、電磁波放射のソース、反射表面、及び少なくとも一つの電磁波放射検出器を含む構成が反射の法則に従うように、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの電磁波放射検出器に関連させて、セキュリティエレメントを配置するステップ。
(B)セキュリティエレメントの少なくとも一部分を電磁波放射で照射するステップ。
(C)マイクロリフレクタから反射された放射を検出するステップ。
【0073】
電磁波放射は、単色でも、多色でもよい。電磁波放射は、好ましくは300nmから1000nmの範囲の、特に好ましくは400nmから800nmの範囲の、少なくとも一つの波長を有する。光源は、例えば、レーザ、LED、ハロゲンランプ、フィラメントランプ、ろうそく、太陽光でもよく、300nmから1000nmの範囲で少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射を放つ電磁波放射の別のソースでもよい。レーザが用いられてもよい。
【0074】
放射は、エリアを覆ってもよく、線や点の形態であってもよい。エリアを覆う放射とは、セキュリティエレメントの大部分が放射に覆われることを意味し、点状放射とは、セキュリティエレメントの小部分が放射により覆われることを意味する。例えば、レンズや回折素子の利用による、当業者に周知の技術により、放射プロファイルは相応に調整され得る。
【0075】
反射した放射の検出は、例えば、フォトダイオード若しくはフォトトランジスタ(スポットセンサ)、カメラセンサ(フルフレームセンサ(CCD、CMOS))などの、利用される電磁波放射に感度があるセンサを用いて、実行される。
【0076】
本発明に係るプロセスの利点は、機械を利用せず人間により、その最も簡単な(定性的な)変形例が実行され得る、ということである。この変形例は、太陽光やランプやろうそくや別の光源が電磁波放射のソースとして利用され、人間が検出器として利用される、ということを、特徴とする。セキュリティエレメントは、個別のマイクロリフレクタが反射を為すように、光源に対しある角度で観察者により保持される。観察者はセキュリティエレメントを光源に対して傾けると、反射が消えて新たな反射がセキュリティエレメントの別のエリア内に選択的に現れる。このことにより、肉眼に可視であるマイクロリフレクタは印刷技術により作成された偽造ではないことを、人間は即座に確認できる。
【0077】
本発明に係るプロセスの更なる利点は、機械の助力により若しくは助力と共に実行可能であり、定量的評価も可能である、ということである。機械の助力による照合によって、照合が人間によって(のみ)為される場合よりもより短期間で且つより低コストで、セキュリティエレメントの助力により多数のセキュリティエレメント即ち目的物をチェックできることが、可能になる。更に、機械による照合若しくは機械の助力による照合により、種々の時点で認証されたセキュリティエレメントの反射パターンの間で、比較をすることができる。
【0078】
本発明に係るプロセスの好適な変形例では、少なくともステップ(C)が機械により実行される。
【0079】
更なる好適な変形例では、放射のソース及び検出器に対する、目的物(セキュリティエレメント)の相対的位置の関数として、種々のエリアにて及び/又は種々の方向付け角度にてきらめくマイクロリフレクタを記録するために、認証される目的物、及び/又は、放射のソース、及び/又は、少なくとも一つの検出器は、相互に移動される。この好適な変形例では、本発明に係るプロセスは、ステップ(C)に続く更なるステップ(D)及び(E)も含む。
【0080】
(D)異なる部位のマイクロリフレクタに対して反射の法則が満たされるように、放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を変更するステップ。
(E)十分な数の反射マイクロリフレクタが検出されるまで、ステップ(B)と(C)、必要であればステップ(D)と(E)を繰り返すステップ。
【0081】
放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を変更するステップは、以下のように実行され得る。つまり、放射のソースと少なくとも一つの検出器は、相互に対して固定された(動かない)位置で保持され、一方で、セキュリティエレメント(若しくは目的物)は、検出器と放射のソースの固定配置に対して、移動する。目的物(セキュリティエレメント)に対する固定配置の移動と、固定配置に対する目的物(セキュリティエレメント)の移動の両方が、可能である。セキュリティエレメントと少なくとも一つの検出器が相互に対して固定された(動かない)位置で保持され、放射のソースと、セキュリティエレメント及び検出器の固定配置との間で、相対的移動を行なうことも、想定され得る。更なる組み合わせも可能である。位置を変更するステップは、セキュリティエレメントの位置が変わったときに放射のソースがセキュリティエレメントの別の部分を照射するようにしても、実行され得る。しかしながら、セキュリティエレメントの同じ部位が異なる角度で照射されるようにしても、実行され得る。検出器が異なる角度で照射される放射をスキャンする一方で、セキュリティエレメントの同じ部位が同じ角度で照射されるようにすることでも、位置を変更するステップは実施され得る。全ての場合、位置の変更が生じるとマイクロリフレクタの異なる部位がスキャンされる。
【0082】
一定の速度で移動は継続可能である。若しくは、加速しても、一時停止しても、例えば、段階状に断続的にしてもよい。
【0083】
ステップ(B)(C)(D)及び(E)は、関連する目的に十分な数のマイクロリフレクタがスキャンされるまで、繰り返される。明白な偽造を判定するために認証が実行されるのであれば、反射の法則を満たす放射のソース及び検出器に対する配置において反射表面が透明層の表面に平行でないマイクロリフレクタを配置することによって、本発明に係るプロセスのステップ(A)(B)及び(C)のみが実行されると想定される。このような場合、印刷の方法で得られる偽造を排除するために、透明層の表面に対し平行には方向付けされていないマイクロリフレクタが、存在するかどうかのみが、チェックされる疑問点である。
【0084】
セキュリティエレメントにより目的物を識別することに利用するならば、反射パターンが間違いなく目的物に割り当てされているように、複数のマイクロリフレクタが検出されねばならない。本発明に係るセキュリティエレメントの助力による目的物の識別に関する更なる情報は、以下に記載する。
【0085】
本発明に係るプロセスの更なる好適な変形例では、セキュリティエレメントは、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの検出器に対して、所与の方向付けを既に有するキャリアに対して、最初のステップで閉じ込められる。キャリアはそのような性質を持ち、本発明に係るセキュリティエレメントがキャリアに閉じ込められた後、マイクロリフレクタ、少なくとも一つの検出器及び放射のソースからなる構成が反射の法則を満たすべく複数のマイクロリフレクタが配置される、というように、放射のソースお酔い少なくとも一つ検出器に対して、キャリアは配置可能であり、若しくは既に配置されている。キャリアの性質及び特徴は、通常は、閉じ込めるセキュリティエレメントにより認証される目的物によって、決定される。目的物が、例えば、クレジットカードフォーマットを伴うIDカードであるならば、例えば、IDカードが中に配置され得るくぼみを伴うキャリアとして平坦な表面を用いることが可能である。キャリア上のIDカードの位置は、くぼみにより明確に予め決定される。放射のソース及び検出器は、マイクロリフレクタの幾つかに対して反射の法則が満たされるように、キャリアの周囲に配置される。
【0086】
クレジットカードフォーマットのIDカードなどの目的物を、キャリアとしてのキャリッジに閉じ込めることも想定される。幾つかのマイクロリフレクタ、放射のソース及び検出器からなる構成が反射の法則を満たす位置に、キャリッジを持ってくることができる。
【0087】
本発明に係るプロセスの更なる変形例では、少なくとも一つのレーザが放射のソースとして用いられる。レーザ光は、非常に実効的にコリメート可能であり、高強度を有する。認証プロセスに対して、集中したレーザビームが、セキュリティエレメント全体にスキャンされ得る。このプロセスでは、レーザが目的物(セキュリティエレメント)に対して移動することも、目的物(セキュリティエレメント)がレーザに対して移動することも可能である。本発明に係るプロセスの好適な変形例では、少なくとも一つのレーザ及び少なくとも一つの検出器が、相互に対して固定された位置で配置される。少なくとも一つのレーザ及び少なくとも一つの検出器の固定配置に対して、幾つかのマイクロリフレクタについて反射の法則が満たされるように、目的物は方向付けされる。方向付けはキャリッジによって簡素化され得る。好適な変形例では、目的物は、少なくとも一つのレーザ及び少なくとも一つの検出器の固定配置に対して、移動自在に設計されたキャリッジによって、移動される。移動の結果として、種々のマイクロリフレクタが引き続いて反射を生成するように、移動は設計される。レーザビームをセキュリティエレメントに焦点合わせしレーザビームを過ぎて目的物をガイドすることが想定される。結果として、セキュリティエレメントの種々の領域はレーザビームによって引き続いてスキャンされる。反射表面、放射のソース、及び検出器の構成が反射の法則を満たすように反射表面が方向付けされたマイクロリフレクタに対して、レーザビームが衝突すると、このマイクロリフレクタは、検出器により検出され得るスキャンの瞬間に反射を生成する。
【0088】
スキャンするレーザビームは、セキュリティエレメント上に明確なプロファイルを生成する。このプロファイルは、円、楕円、線、ダンベル形状若しくは他の形状であればよい。
【0089】
プロファイルは、例えば、楕円、線若しくはダンベル形状プロファイルに関して通常そうであるように、長軸及び短軸を有する。短軸の長さは、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズのオーダーである。長軸は、2つのマイクロリフレクタの間の平均距離のオーダーである。本明細書では、大きさのオーダーとは、2つのサイズが10より小さく0.1より大きい係数だけ異なるか若しくは同一であることを意味する、と理解される。長軸は、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離よりも幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離の1〜10倍の範囲にあることが好ましい。短軸は、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズより幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの1〜10倍の範囲にあることが好ましい。
【0090】
本発明に係るプロセスの更なる好適な変形例では、セキュリティエレメントがその表面に渡って明るくされ、種々の角度で種々のマイクロリフレクタから反射されるビームは、複数のスポットセンサの助力により、若しくはフルフレームセンサの助力により、検出される。セキュリティエレメント及び/又は放射のソース及び/又は検出器の間にて相対的な移動を要求されることなく、種々の配置で及び種々の方向付けでマイクロリフレクタが検出され得る、ということがこの変形例の利点である。
【0091】
更に好適な変形例では、本発明に係るプロセスは、ステップ(C)若しくは(E)に続いて、更なるステップ(F)及び(G)を含む。
【0092】
(F)相対的位置の関数として検出される反射パターンを少なくとも一つのターゲットパターンと比較するステップ。
(G)ステップ(F)で実行された比較の結果の関数として、目的物の認証に関する信号を発するステップ。
【0093】
ステップ(F)と(G)の具体的性質は、利用例に依存する。認証プロセスが、明白な偽造に対する調査であるならば、透明層の表面に反射表面が平行に配置されていないマイクロリフレクタが存在するかどうかを調査する。この場合、透明層の表面、放射のソース、及び検出器を含む構成が反射の法則を満たさないならば、個別の反射が発生することを、本発明に係るターゲットパターンは要求する。ステップ(G)では、目的物が明白な偽造であるか否かに関するメッセージが、はい/いいえの信号の形態で存在し得る。例えば、この目的のために光信号を利用することができる。目的物が明白な偽造でないならば、緑光が現れ、明白な偽造であるならば、赤光が現れる。一方で、音響信号や、人間の知覚により検出される別のメッセージが、用いられてもよい。認証の目的が具体的な目的物の識別を照合することであるならば、特定の時に検出される参照パターンと、推定的目的物(ターゲットパターン)の反射パターンとの間の、いわゆる1対1の比較がステップ(F)にて要求される。反射パターンは、放射のソース及び検出器に対する目的物の位置の関数として検出される、セキュリティエレメントからの若しくはセキュリティエレメントの一部からの、反射を表す。従って反射パターンは、例えば、種々の配置で種々の角度で計測された、セキュリティエレメントから反射し戻された放射の強度が記録された数値テーブルの形態である。そのような数値テーブルは、ターゲットの数値テーブルと直接比較可能である。ターゲットパターンとの比較を行なう前に、数学的手法を用いて、計測した強度分布から反射パターンの異なるフォームを準備することもできる。フーリエ変換されたデータは移動の非分散を表示し、より高い位置付けの許容差が得られるので、当初局所的に計測されたデータのフーリエ変換が実行されてもよい。
【0094】
データボリュームを減じるために、強度分布から特徴を抽出することが可能である。これらの特徴は、セキュリティエレメントの指紋若しくは署名の形態を示す。この署名は、セキュリティエレメントに関する、デジタルで格納可能で、機械処理可能な表象である。それは明白なものである。つまり、同一のセキュリティエレメントは同じ署名を生成する。異なるセキュリティエレメントは異なる署名を生成する。ステップ(F)に記載される反射パターンは、署名であってもよい。
【0095】
反射パターンと少なくとも一つのターゲットパターンとの間の比較は、完全な数値テーブルに基づいて、若しくは、数値テーブルから抽出された特徴に基づいて、為され得る。この目的のために、例えば、データセット間の類似性が探索される高知のパターンマッチングプロセスを利用することが可能である(例えば、以下を参照されたい。非特許文献4、特許文献4、特許文献14、非特許文献5、非特許文献6、特許文献15,特許文献16,特許文献17,特許文献18)。特別なプロセスを例4に記載する。
【0096】
本発明に係るプロセスの好適な変形例では、少なくともステップ(A)から(G)は機械で(自動的に)実行される。以下は、そのような自動的な変形の例である。ユーザが明確なやり方でキャリッジ上に目的物を配置し、ボタンを押して自動手続を開始する。例えば、ステッパモータを利用して、キャリッジは一つの位置に移動する。その位置は、セキュリティエレメントの表面、複写のソース及び検出器が、反射の法則が満たされない構成を形成するものであるが、一方で、放射のソース、検出器、及び、セキュリティエレメントの表面に対し角度γの傾斜を持つ仮想平面が、反射の法則を満たす構成を形成するものである。マイクロリフレクタがこの仮想平面に横たわるセキュリティエレメント内に存在するならば、マイクロリフレクタが仮に照射されると反射を生成するものである。セキュリティエレメントへのレーザビームの空間広がり、検出器のセンサエリアの空間広がり、及びそれらに対してセキュリティエレメントの透明層の比較的薄い厚みのために、仮想平面には無いがそれに平行な全てのマイクロリフレクタは反射を生成する。目的物が対応する位置に持って来られた後、放射のソースは、例えば、コントロールユニットにより活性化し、よって放射はセキュリティエレメントの一つの領域に衝突する。マイクロリフレクタがこの領域に存在しこのとき方向付けが上述の仮想平面に平行であるならば、検出器は、増加した強度の入射放射の形態で反射を検出する。異なる方向付けを有しているかもしれない更なるマイクロリフレクタを検出するために、ステッパモータによりキャリアは動かされ及び/又は更に傾けられ得る。検出器が反射を記録しないならば、目的物は明らかに偽造である。反射が記録されると、目的物の位置に依存する反射パターンの形態でコントロールユニット及び/又はコンピュータユニットを介して、反射は格納され得る。好適な変形例では、計測されたデータの記録を始動させるいわゆるシャフトコードが用いられる。シャフトコードは位置の変化を検出し、位置の漸進的変化の際にインパルスを発する。インパルスが発せられると、計測された値が検出器により記録され格納される。センサが所定の経路長に沿って移動すると、シャフトエンコーダは、計測されるポイントが夫々から一定の距離にて経路長に渡って分布されることを、保証する。
【0097】
スムージング、及び/又は、フィルタリング、及び/又は、数学的変換の後、特定の時点に記録された反射パターンは、例えば、より前の時点に既に記録されコンピュータユニットと繋がるデータベース内に格納された反射パターンなどの、少なくとも一つのターゲットパターンと、コンピュータユニットを介して、比較され得る。比較の結果、即ち、相互に比較される反射パターンの間の適合の程度は、コントロールユニット若しくはコンピュータユニットと接続される、アウトプットユニット(モニタ、プリンタ、若しくはラウドスピーカなど)を介して、可視の若しくは可聴のメッセージの形態で、ユーザに転送される。
【0098】
本発明は、セキュリティエレメント、若しくは本発明に係るセキュリティエレメントを含む本発明に係る目的物を、識別するプロセスにも関する。識別とは、人や目的物を間違いなく認識するプロセスであると理解される。
【0099】
本発明に係るプロセスは、目的物を認証するプロセス、及びこの関連で議論した変形例に対して、既に議論した少なくともステップ(A)〜(C)、(F)〜(G)を含むが、例外としてステップ(G)において認証の変わりに目的物の識別に関するメッセージが供給されている。例えば、セキュリティエレメントがその表面全体において明るくされ、利用例において十分な数のマイクロリフレクタが、検出器としてのフルフレームセンサの助力により同時に記録されるならば、位置の変更、若しくは更なるマイクロリフレクタの検出は必要では無い。本発明に係るセキュリティエレメントを利用して目的物を識別するプロセスは、少なくとも一つのステップを含む。
【0100】
(A)少なくとも幾つかのマイクロリフレクタに対して、電磁波放射のソース、反射表面、及び少なくとも一つの電磁波放射検出器を含む構成が反射の法則に従うように、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの電磁波放射検出器に関連させて、セキュリティエレメントを配置するステップ。
(B)セキュリティエレメントの少なくとも一部分を電磁波放射で照射するステップ。
(C)マイクロリフレクタから反射された放射を検出するステップ。
(D)異なる部位のマイクロリフレクタに対して反射の法則が満たされるように、放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を選択的に変更するステップ。
(E)十分な数の反射マイクロリフレクタが検出されるまで、ステップ(B)と(C)、必要であればステップ(D)と(E)を選択的に繰り返すステップ。
(F)相対的位置の関数として検出される反射パターンを少なくとも一つのターゲットパターンと比較するステップ。
(G)ステップ(F)で実行された比較の結果の関数として、目的物の認証に関する信号を発するステップ。
【0101】
好適な変形例では、本発明に係るステップ(A)〜(G)は自動的に(機械によって9実行される。
【0102】
本発明に係るプロセスのステップ(F)では、対象の目的物の反射パターンが、より先の時点にて既に決定された反射パターンと比較される。このように、目的物の識別は反射パターンにより決定され、データベースに格納される既に検出された目的物の反射パターンの全てと、観察中の反射パターンの比較(1:n比較)が実行される。
【0103】
一方で、目的物の識別が異なる特徴により決定されることも想定される。例えば、目的物に設けられたバーコードによること、及び、特定の時点に計測された反射パターンを、割り当ての正しさ(認証)を確認するための、識別対象の目的物に割り当てられた反射パターンと比較することによることなどである。
【0104】
本発明は、本発明に係るセキュリティエレメントによって識別し及び/又は認証するデバイスにも関連し、該デバイスは、電磁波放射の少なくとも一つのソースと、セキュリティエレメントから反射された放射を検出する検出器とを含む。
【0105】
電磁波放射のソースは、単色性放射、若しくは多色性放射を発する。電磁波放射のソースは、好ましくは300nmから1000nmの範囲の、特に好ましくは400nmから800nmの範囲の、少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射を発する。レーザ、LED、ハロゲンランプ、フィラメントランプ、ろうそく、太陽光、若しくは、300nmから1000nmの範囲で少なくとも一つの波長を伴う電磁波放射を発する電磁波放射の別のソースが、放射のソースとして用いられてよい。レーザが用いられてもよい。
【0106】
例えば、フォトダイオード若しくはフォトトランジスタ(スポットセンサ)、カメラセンサ(フルフレームセンサ(CCD、CMOS))などの、利用される電磁波放射に感度があるセンサが、検出器として利用される。
【0107】
好適な変形例では、目的物が上に固定され得るキャリッジが存在する。キャリッジは、識別される若しくは認証される目的物と接触するに到らせる領域を含む。この目的のために、目的物は、キャリッジ上に配置され、キャリッジ内に引っ掛けられ、若しくはキャリッジに貼付され、これにより、目的物所与の、予測可能な方向付け(位置)となる。目的物とキャリッジの間の繋がりにより、目的物と繋がるセキュリティエレメントは、既に反射の法則を満たす構成にあるか、若しくは、キャリッジを動かすことでそのような構成に容易に到ることができる。特別の変形例では、キャリッジは、例えば、目的物とキャリッジがユーザにより容易に繋がれ得る第1の位置に到ることができ、更に、セキュリティエレメント内に含まれるマイクロリフレクタ、放射のソース、及び検出器が反射の法則を満たす構成を形成する第2の位置にいたることができる、スライドである。
【0108】
特に好適な変形例では、キャリッジは移動可能であり、よって、同じ角度で若しくは異なる角度でマイクロリフレクタを照射して同じ角度で若しくは異なる角度で種々のマイクロリフレクタから反射を検出するべく、セキュリティエレメントは放射のソース及び/又は検出器に対して、移動可能である。
【0109】
更に好適な変形例では、レーザが放射のソースとして用いられ、フォトトランジスタが検出器として用いられる。レーザとフォトトランジスタは、相互に対して、固定された配置にある。認証され及び/又は識別される目的物は、レーザ及びフォトダイオードの固定配置に対して、移動可能なキャリッジで移動され得る。レーザは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置される。検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ≠δ’である。レーザ、垂直方向及び検出器は、同一平面にある。レーザ、セキュリティエレメントの表面、及び検出器を含むこの構成は、δ≠δ’であることから、反射の法則を満たさない。よってこの構成では、セキュリティエレメントの表面に対して、反射表面が相応に傾いた方向付けを有するマイクロリフレクタが、検出されることになる。(キャリッジにより)セキュリティエレメントを移動することで、種々のマイクロリフレクタが一定の角度で引き続いて検出される。角度δは、0°から80°の範囲であり、0°から60°の範囲が好ましい。角度δ’は、0°から80°の範囲であり、0°から60°の範囲が好ましい。
【0110】
レーザにより、セキュリティエレメントは、所与のスポットプロファイルで明るくされる。このプロファイルは、例えば、楕円、線若しくはダンベル形状プロファイルのように、長軸及び短軸を有する。短軸の長さは、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズのオーダーであるのが好ましい。長軸は、2つのマイクロリフレクタの間の平均距離のオーダーである。長軸は、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離よりも幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、2つのマイクロリフレクタ間の平均距離の1〜10倍の範囲にあることが好ましい。短軸は、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズより幾分長いのが好ましく、特にそのサイズが、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの1〜10倍の範囲にあることが好ましい。
【0111】
更に好適な変形例では、装置は、コンピュータユニットとデータベースに接続するコントロールユニットも含む。コントロールユニットは、放射のソースを制御するために用いられ、また、目的物の位置を変えて検出器により記録された信号を検出することができるように、移動可能なキャリッジを制御するためにも用いられることがある。データベースでは、1:1若しくは1:nの比較で利用され得るセキュリティエレメントの反射パターンが格納される。コンピュータユニットを用いて、データセットに関し数学的演算が為され、反射パターン間で比較が実行される。マイクロプロセッサは、例えば、コンピュータユニット及びコントロールユニットとして用いるのに適する。
【0112】
更に好適な変形例では、装置は、少なくとも一つのアウトプットを有し、そのアウトプットを介して比較の結果がメッセージの形で装置のユーザに送られ得る。このアウトプットは、例えば、明白性テストが目的物が明らかに偽造であることを示す場合に点灯するランプであってもよい。アウトプットは、例えば、特定の時点に検出されたセキュリティエレメントの反射パターンが接続されるデータベースからの反射パターンに適合する程度に関して、情報を示すスクリーンであってもよい。例えば、プリンタ、ラウドスピーカ、若しくは、機械(装置)と人間(ユーザ)との間のインタフェースとして利用される他の装置などの、他のアウトプットも、想定され得る。
【0113】
本発明は、目的物の認証を保証するための、先行技術から知られた解決案に対して、多くの利点がある。
【0114】
本発明に係るセキュリティエレメントは、複数のセキュリティクラスの組み合わせを示す。マイクロリフレクタは、肉眼で認識可能であり(公然)、個別のマイクロリフレクタの分布及び/又は方向付けは、本発明に係る装置により検出可能であり(秘密)、更にマイクロリフレクタの形状及び特徴は、拡大装置により分析可能である(秘密、フォレンシック)。
【0115】
マイクロリフレクタのランダムな分布及び/又は方向付けは複写するのが困難であるから、本発明に係るセキュリティエレメントは、偽造及び/又は複製に対して高い程度の保護を提供する。
【0116】
本発明に係るセキュリティエレメントにより、補助器具の利用無くどの人も実行できる明白性の調査がかのうである。
【0117】
マイクロリフレクタのランダムな分布及び/又は方向付けは個々のセキュリティエレメントに対して固有のものであるから、本発明に係るセキュリティエレメントにより、目的物の個別化が可能である。
【0118】
本発明に係るセキュリティエレメントは廉価であり、目的物のデザインに悪影響を与えることなしに多数の目的物に添付できる。
【0119】
本発明に係るセキュリティエレメントを用いて、目的物を認証する本発明に係るプロセス、及び、目的物を識別する本発明に係るプロセスは、機械により迅速に実行可能である。
【0120】
本発明に係る装置は、コスト効率もよく、僅かなデモンストレーションをすれば専門家の知識が無くとも人手により操作可能である。
【0121】
以下、図面及び例を用いて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0122】
図1は、マイクロリフレクタ(3)がランダムに分布して中に含まれる透明層(2)を含む、本発明に係るセキュリティエレメントの拡大断面の平面図を概略示す。この変形例では、マイクロリフレクタは、認証目的のためには拡大装置(例えば、拡大グラス若しくはマイクロスコープ)により見ることができる6角形を有する。
【0123】
図2は、本発明に係るセキュリティエレメント(1)の拡大断面の側面図(断面図)を概略示す。セキュリティエレメントは、マイクロリフレクタ(3)が埋め込まれる透明層(2)を有する。これらはランダムに分布しており、個々のマイクロリフレクタの反射表面(4)はランダムに方向付けされている。セキュリティエレメントは電磁波放射のソース(5)により照射される。このプロセスでは、反射表面に衝突するビーム(6)はそこから反射し戻される。反射したビーム(7)は検出器(8)に捕獲され得る。放射のソース(5)及び検出器(8)に対して特定の方向付けを有する表面のみが、検出器内に信号を生成する(図3参照)。
【0124】
図3は、マイクロリフレクタ(3)に対する反射の法則を示す。電磁波放射(6)は、表面(4)の垂直方向(9)に対して角度αを為してマイクロリフレクタ(3)の表面(4)に衝突する。ビームは、表面(4)の垂直方向(9)に対して角度βを為して反射し戻る。反射の法則により、角度αとβは、大きさが同じである。適切な位置に配置された検出器(8)を用いて、特定の反射した放射が捕獲され得る。
【0125】
マイクロリフレクタの表面が回折パターンを含むならば、回折パターン(より高次の回折次数)に依存する、特定の反射したビーム(いわゆるゼロ次数回折)近辺の所定の角度で、特定の反射したビームに加えて、更なるビームが形成される。これらの回折ビームは、特定の反射したビームよりも、低い強度を有する。一つ以上の波長の電磁波放射を有するセキュリティエレメントが照射されると、種々の波長を有するビームが様々な角度で回折される。こんことにより、波長依存の検出が可能になる。
【0126】
図4は、ポリマーの中にマイクロリフレクタを組み込んだ製品の光学顕微鏡写真である。
【0127】
図5は、例2からの薄膜の光学顕微鏡写真である
【0128】
図6は、例3からのIDカード内の金属識別プレートレットの光学顕微鏡写真である。
【0129】
図7は、本発明に係るセキュリティエレメントにより、目的物を認証し及び/又は識別するための、本発明に係る装置及び本発明に係るプロセスの、変形例の例を示す。装置は、電磁波放射のソース(5)、電磁波放射の検出器(8)、放射のソース(5)を制御し検出器(8)の計測する信号を処理するためのコントロールユニット、数学的演算を実行し更に特定の時点で検出されたセキュリティエレメント(1)の反射パターンを少なくとも一つのターゲット若しくは参照パターンと比較するコンピュータユニット、比較の目的のために参照パターン及び/又はターゲットパターンが格納されるデータベース、及び、比較の結果がユーザに送られるアウトプット(13)を、含む。ユニット5、8、10、11、12、13は電気的に接続され、無線や様々な信号転送チャネルにより接続されても良い(点線を参照されたい)。装置はもちろん、ユーザが装置を操作できるインプットデバイスも含む(図7には明確には示されていない)。インプットデバイスは、コントロールユニットやコンピュータユニットの部品であってもよい。デバイス10〜13の二つ以上が、一つの装置に統合されていてもよい。アウトプットデバイス13がコントロールユニット10に直接接続してもよい。
【0130】
放射のソース(5)と検出器は、セキュリティエレメントの表面の法線方向と同じ平面名に存在する。それらは、相互に対して、固定の(移動しない)配置にあり、セキュリティエレメントの表面と共に、反射の法則を満たさない構成を形成する。即ち、セキュリティエレメントに衝突する放射(6)は、セキュリティエレメントの表面から、更には透明層とセキュリティエレメントの任意の別の層との間の境界層から、反射し戻され(7’’)、検出器に入力しない。一方で、検出器(8)は、ビーム7’’に対してγの角度で傾いている(ビーム7’とビーム7’’は角度γを為す)。この構成において、検出器(8)は、反射表面がセキュリティエレメントの表面に対して角度γで傾くマイクロリフレクタからの反射を、検出する。このことは、セキュリティエレメントが、マイクロリフレクタがプリント技術により目的物に付された偽造物ではない、ということだけでなく、セキュリティエレメントの表面から反射して検出器に入って内部でオフセット信号を生成する放射が、無い、ということも、保証する。この最後の特徴により、信号対ノイズの比率(SN比)における相当な向上がもたらされる。角度γは1〜20°の範囲であることが好ましい。
【0131】
図7では、セキュリティエレメントは、放射のソース(5)と検出器(8)との固定された構成の下で(両矢印で概略示されるように)並進移動し、このことによりセキュリティエレメントの種々の領域が引き続いて検出される。
【0132】
図8は、レーザ(5)と検出器(8)に対して相対的に移動するIDカードの形態で、セキュリティエレメント(1)を認証/識別する、例4で用いられる構成を示す(移動の方向は太矢印で概略示される)。この移動の間、カードの一部は照射され、この表面(14)から反射する放射が検出される。
【0133】
図9は、例3に係るセキュリティエレメントの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【0134】
図10は、マイクロリフレクタの無いホワイトIDカードの経路長xの関数として、検出器により捕獲される放射の強度Iを示す(例4参照)。
【0135】
図11は、格納のための及び/又は他のデータセットとの比較のための、ゼロ交差の生成の例のグラフ描写である。点線カーブ(15)は、対象の経路長の関数として(フィルタリングや平滑化の後であることもある)元の計測された強度信号である。このカーブの個々の個別ポイントの±50の近傍値を平均することにより、一点破線カーブ(16)により示されるような、算術平均値が得られる。オリジナルのデータ(15)と平均されたデータ(16)との間の交差ポイントは、いわゆるゼロ交差を形成する(非折線(17))。経路長xの関数としてゼロ交差は格納される。それらは、識別及び/又は認証の目的のために、更なるセキュリティ特性の対応するデータセットとの比較を為すために、利用され得る。
【0136】
[実施例]
例1:マイクロリフレクタを含む合成物の生成
ニッケルから成り、5μmの厚さと100μmの対向する面間の距離を有し、称号“0V Dot B”を伴う6角形金属識別プレートレットが、マイクロリフレクタとして用いられた。プレートレットはプリントされ、文字“0VDot”の部分が判読可能であった。貫通穿孔の形態の大きい“B”がプレートレットの中心に位置した。穿孔から辺までの距離は25μmであり、穿孔は金属識別プレートレットの全体表面エリアの12.5%の割合を占めた。
【0137】
金属識別プレートレットにより混合物を生成した。
【0138】
上述の金属識別プレートレットの150gを、強いミキサ内でMakrolon(登録商標)3108 550115パウダ(平均粒子直径800μm)の2.35kgと混合した。Makrolon(登録商標)3108 550115は、EU/FDA品質であり、紫外線(UV)吸収剤を含まない。ISO1133に係る溶解体積流量(MVR)は、300℃及び1.2kg負荷において6.0cm3/(10分)である。
【0139】
50kg/時の押出機のスループットでは、Makrolon(登録商標)3108 550115円筒状顆粒の47.5kgが、ZSK二軸スクリュ押出機のバレル1内に押出された。金属識別プレートレット/Makrolon(登録商標)パウダは、側面押出機を介して計測された。透明の粒子含有溶解物が、6ホールダイプレートの下流で得られ、水槽での冷却の後、ストランドペレット化により、0.3重量%の金属識別プレートレットを含む50kgの円筒状顆粒が生成された。
【0140】
円筒状顆粒ペレットの光学顕微鏡検査画像(図4)は、金属識別プレートレットが小さい光を反射する6角形であることを示した。曲がったプレートレット、損傷したプレートレット、若しくは破壊したプレートレットのいずれも認められない。せん断力及び熱応力にも拘らず、“B”の形態の貫通穿孔は、損傷を受けないままであった。更に、プレートレット上のプリンティングは容易に判読可能であり、ポリカーボネート溶解物内で300℃の処理温度で影響を受けなかった。
【0141】
例2:ホイルを形成する混合物の押出
例1の混合物からホイルを押出した。
ホイルの生成に利用された器具は、以下のものから成る。
・105mm直径と41xDの長さを持ち脱ガスゾーンを含むスクリュを伴う、メイン押出機と、
・アダプタと、
・1500mm幅のスロットダイと、
・水平ローラ構成を伴う3ローラ平滑化カレンダであって、第3のローラが水平に対して±45°で回転し得る、3ローラ平滑化カレンダと、
・ローラコンベヤと、
・保護薄膜の両面塗布のためのデバイスと、
・除去デバイスと、
・巻きステーション
【0142】
例1の混合物が、押出機のフィードホッパに加えられた。夫々の部材の溶解及び運搬は、押出機の夫々のシリンダ/スクリュ可塑化システムで為された。部材の溶解物は、アダプタを介して平滑化カレンダに与えられ、その際そのローラは表1に示される温度であった。薄膜の最終形状及び冷却は、(3つのローラから成る)平滑化カレンダ上で為された。ラバーローラ(微細な艶消し第2の表面)とスチールローラ(艶消し第6の表面)が、薄膜表面の構成に用いられた。薄膜表面の構成に用いたラバーローラは、Nauta Roll Corporation(米国)の特許文献19に開示されている。薄膜は、除去デバイスを介して運ばれた。この後、ポリエチレンの保護薄膜が両側に塗布され薄膜が巻かれ得る。
【0143】
【表1】
【0144】
レーザプリンティングのためのその特性に関して、出来上がった薄膜を調査することができるように、レーザ添加物が薄膜内に追加して組み込まれた。
【0145】
金属識別プレートレット及びカーボンブラックを含む以下の合成物が押出機に与えられた。
68.6重量%のMakrolon(登録商標)3108 550115(Bayer MaterialScienceAGからのPC)。
0.3重量%の0V Dot“B”金属識別プレートレットを伴う)例1からの20.0重量%のマスターバッチ。
11.4重量%のMakrolon(登録商標)3108 751006(Bayer MaterialScienceAGからの、カーボンブラック含有のPC)。
【0146】
艶消し/微細な艶消し(6−2)表面、0.06重量%の金属識別プレートレットコンテンツ、及び100μmの厚さを伴う透明グレー(レーザプリント可能の)押出シートが、そこから得られた。
【0147】
金属識別プレートレットは、シートの光学顕微鏡検査画像内で、小さい暗い6角形として明確に認識され得る。金属識別プレートレットは、ホイル表面全体に一様に且つランダムに分布された。凝集された/塊になったプレートレットは識別され得なかった。また、損傷した若しくは破壊したプレートレットは認識されなかった。薄膜穿孔内のせん断力及び熱応力にも拘らず、貫通穿孔“B”は、損傷を受けないままであった。
【0148】
シヤーリングは、金属識別プレートレットが完全にはランダムに方向付けられるのではなく、それらがホイルの表面に平行な選択的方向の近傍にランダムに方向付けされることを、意味する。選択的方向の近傍のこのランダムな分布は、目的物を認証し識別する本発明に係るプロセスにとって特に有利である。というのは、マイクロリフレクタの大部分がプロセスに適切であるからである。透明層の尿面に垂直に方向付けされたマイクロリフレクタは、本発明に係るプロセスにおいて反射を為さない。というのは、それらは反射計測が実行され得ない角度の範囲にあるからである。そのようなマイクロリフレクタは目的を満たさない。それらは機能的ではない。本例で得られる、透明層の表面に平行な選択的方向付けは、マイクロリフレクタの機能の高い割合を有する。
【0149】
ホイルは、本発明に係るセキュリティエレメントとして用いられ得る。例えば、ホイルは、他のホイルに積層されて、IDカードとして利用され得るカードがパンチされ得るホイル合成物を形成し得る(例3参照)。従ってセキュリティエレメントは、目的物(IDカード)の固定された部品であり、破壊すること無くそこから除去することはできない。
【0150】
例3:ホイル合成物の積層、及びIDカードの生成
ホイル合成物は以下の薄膜から積層した。
コア薄膜: 375μm薄膜MakrofolID6−4カラー010207(白)
この上の一層及びこの下の一層:
本発明に係る薄膜:例3、6−2からの100μm薄膜
オーバレイ薄膜: 100μm薄膜MakrofolID6−2、カラー000000(ナチュラル)
【0151】
薄膜は、10バール及び180℃にて、Burkle press内で積層された。その後クレジットカードのサイズ(形状ID−1)を有するカードが、合成物シートからパンチされた。金属識別プレートレットは、それらの外観に関しては光学顕微鏡検査法により調査した。
【0152】
金属識別プレートレットの光学顕微鏡検査法では、積層プロセスによってそれらは損傷も破壊もしないことが分かった。ラミネート間の圧力及び熱応力にも拘らず、貫通穿孔“B”は、損傷を受けないままであった。プレートレット上のプリンティングは明確に判読可能であった。薄膜を構成する元の表面は、積層プロセスの間に平滑に押圧された。
【0153】
例4:本発明に係るセキュリティエレメントを用いて目的物(IDカード)を認証し識別するための装置及びプロセス。
図8に係る装置を利用した。タイプFP−65/5のFlexpoint(登録商標)レーザ(波長650nm、最大出力5mW)が、放射のソースとして利用された。ビームプロファイルが描かれ、2mmの波長と20μmの幅を有した。
【0154】
STMカンパニのタイプFT−30のSi−NPNフォトトランジスタが、検出器として用いられた。例3に従って生成されたIDカードは、セキュリティエレメントとして用いた。
【0155】
レーザは、セキュリティエレメントの表面の垂直方向に対してδ=45°の角度で傾けた。フォトトランジスタは、セキュリティエレメントの表面の垂直方向に対してδ’=42°の角度で傾けた。
【0156】
レーザとフォトトランジスタは、相互に対して、固定された位置で配置した。セキュリティエレメントは、固定配置に対して1cm移動した(図8の太矢印参照)。速度は毎秒約1cmである。相対的な移動の間、セキュリティエレメントはレーザ光で照射した。線形のビームプロファイルの長い側は、移動の方向に垂直であった。相対的な移動の間に、(検出光の強度の)7000計測値を、フォトトランジスタにより検出した。
【0157】
図9は、計測の結果のグラフ表示である。経路長xに対して、反射光の強度Iをプロットした。シャープなバンドの形態の反射が明確に認識され得る。バンドハイト(高さ)は、マイクロリフレクタの方向付けと相互に相関する。レーザのソース、反射表面及びフォトトランジスタが反射の法則を満たす構成を形成するように正確に方向付けされたマイクロリフレクタが、最も高い強度を表示し、一方で、正確な方向付けから僅かに逸脱するマイクロリフレクタは逸脱に従ってより低い強度を表示する。
【0158】
比較として、図10は、マイクロリフレクタの無いIDカードで実行された、対応する計測の結果を示す。用いた手順は上述と同じである。図9に示すようなシャープなバンドは認められない。
【0159】
図9に示すカーブは、セキュリティエレメントの特徴的反射パターンの一部である。最初の段階で、未処理のデータは通常平滑化され及び/又はフィルタされる。例えば、ノイズを減少させるために、隣接する値の範囲で全ての値の平均を計算するということもできる。本発明の場合、±5の近接値の平均化が有利である。第二の段階で、データの減少(信号概算)が実行される、即ち、特性にまで減少される。この時点で特別のプロセスを簡潔に記載する。いわゆるゼロ交差プロセスにおいて、相対的に広い範囲に渡って、近接値の全ての平均を計算する。図11では、例えば、±50の近接値の平均を計算した。平均値と(平滑化の後でもよい)元の値を、相互に差し引きし合う。この引き算で符号が変化するx座標において、いわゆるゼロ交差が生じる。これは、x座標の関数として格納され、セキュリティエレメントのためのサインとして利用される。このサインは、(1対n(1対多)の比較による)識別若しくは(1対1(1対1)の比較による)認証を実行するために、他のサインと最後に比較され得る。
【0160】
セキュリティエレメントは、マイクロリフレクタに加えて、印刷イメージなどのサラ夏光学特性を含むことも可能である。それら光学特性より生じる信号は、マイクロリフレクタにより生成される信号と混ぜられる。例えば、印刷イメージなどの、他の光学特性を解析に含めることも可能である。この印刷イメージは、位置調整をするだけでなく、マイクロリフレクタと共に、認証及び/又は識別をするのに、用いられ得る。光で照射すると、印刷イメージは反射光の明/暗パターンを生成し、これらは検出器により捕獲される。明/暗パターンは、特別の角度で光を反射するマイクロリフレクタの相対的な位置を示す参照部として利用され得る。特徴的な明/暗パターンの存在は、認証若しくは識別の目的にも用いられ得る。
【符号の説明】
【0161】
1・・・セキュリティエレメント、
2・・・透明層、
3・・・マイクロリフレクタ、
4・・・反射表面、
5・・・電磁波放射のソース、
6・・・入射放射、
7・・・反射した放射、
7’・・・マイクロリフレクタから反射した放射、
7’’・・・セキュリティエレメントの表面から反射した放射、
8・・・感光性検出器、
9・・・表面に対する垂線、
10・・・コントロールユニット、
11・・・コンピュータデバイス、
12・・・データベース、
13・・・アウトプット、
14・・・検出されたエリア(スキャンされたエリア)、
15・・・経路長xの関数としての、検出器の計測する反射放射の強度、
16・・・平均値、
17・・・ゼロ交差、
α・・・入射角、
β・・・反射角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロリフレクタがランダムに分布される少なくとも一層の透明層を含むセキュリティエレメントであって、
少なくとも所定数のマイクロリフレクタは、透明層の表面インプット平行ではない少なくとも一つの反射表面を有することを特徴とする
セキュリティエレメント。
【請求項2】
マイクロリフレクタの反射表面のサイズが、1×10−10m2と1×10−7m2の間で範囲であることを特徴とする
請求項1に記載のセキュリティエレメント。
【請求項3】
2つのマイクロリフレクタの間の平均距離が、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの少なくとも5倍であることを特徴とする
請求項1又は2に記載のセキュリティエレメント。
【請求項4】
マイクロリフレクタの反射表面が、透明層の表面に対して0〜60°の範囲で角度においてランダムに方向付けされていることを特徴とする
請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメント。
【請求項5】
マイクロリフレクタがプレートレット形状であり、セキュリティエレメントの生成の間のシヤーリングの結果、透明層の表面に平行な選択的な方向付けの近傍でランダムに分布されている
請求項1乃至4のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメント。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメントによって、目的物を認証する及び/又は識別するプロセスであって、
(A)少なくとも所定数のマイクロリフレクタに対して、電磁波放射のソース、反射表面、及び少なくとも一つの電磁波放射検出器を含む構成が反射の法則に従うように、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの電磁波放射検出器に関連させて、セキュリティエレメントを配置するステップと、
(B)セキュリティエレメントの少なくとも一部分を電磁波放射で照射するステップと、
(C)マイクロリフレクタから反射された放射を検出するステップと、
(D)異なる部位のマイクロリフレクタに対して反射の法則が満たされるように、放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を選択的に変更するステップと、
(E)十分な数の反射マイクロリフレクタが検出されるまで、ステップ(B)と(C)、必要であればステップ(D)と(E)を選択的に繰り返すステップと、
(F)相対的位置の関数として検出される反射パターンを少なくとも一つのターゲットパターンと比較するステップと、
(G)ステップ(F)で実行された比較の結果に依存して、目的物の認証及び/又は識別に関するメッセージを発するステップと
を含むプロセス。
【請求項7】
上記ステップ(D)において、セキュリティエレメントが、放射のソースと検出器の固定された配置に対して、移動される
ことを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ≠δ’である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項9】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ=δ’である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項10】
セキュリティエレメントに衝突する放射のプロファイルが長軸及び短軸を有し、長軸の長さは、2つのマイクロリフレクタの間の平均距離のオーダーであり、短軸の長さは、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズのオーダーである
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちのいずれか一に記載のプロセス。
【請求項11】
移動がビームプロファイルの長軸に垂直に為される
ことを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメントにより目的物を識別する及び/又は認証する装置であって、
少なくとも一つの電磁波放射のソースと、
電磁波放射の検出器と、
目的物を受けるキャリアと、
コントロールユニットと、
メッセージがユーザに伝えられるアウトプットと
を含む装置。
【請求項13】
放射のソースと検出器が相互に対して固定された位置で配置され、検出器と放射のソースの固定配置に対してキャリアが移動可能である
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ≠δ’である
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ=δ’である
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項16】
目的物の個別化された認証及び/又は識別のための、請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメント、個別化セキュリティ若しくは識別文書の利用。
【請求項1】
複数のマイクロリフレクタがランダムに分布される少なくとも一層の透明層を含むセキュリティエレメントであって、
少なくとも所定数のマイクロリフレクタは、透明層の表面インプット平行ではない少なくとも一つの反射表面を有することを特徴とする
セキュリティエレメント。
【請求項2】
マイクロリフレクタの反射表面のサイズが、1×10−10m2と1×10−7m2の間で範囲であることを特徴とする
請求項1に記載のセキュリティエレメント。
【請求項3】
2つのマイクロリフレクタの間の平均距離が、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズの少なくとも5倍であることを特徴とする
請求項1又は2に記載のセキュリティエレメント。
【請求項4】
マイクロリフレクタの反射表面が、透明層の表面に対して0〜60°の範囲で角度においてランダムに方向付けされていることを特徴とする
請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメント。
【請求項5】
マイクロリフレクタがプレートレット形状であり、セキュリティエレメントの生成の間のシヤーリングの結果、透明層の表面に平行な選択的な方向付けの近傍でランダムに分布されている
請求項1乃至4のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメント。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメントによって、目的物を認証する及び/又は識別するプロセスであって、
(A)少なくとも所定数のマイクロリフレクタに対して、電磁波放射のソース、反射表面、及び少なくとも一つの電磁波放射検出器を含む構成が反射の法則に従うように、電磁波放射のソース及び少なくとも一つの電磁波放射検出器に関連させて、セキュリティエレメントを配置するステップと、
(B)セキュリティエレメントの少なくとも一部分を電磁波放射で照射するステップと、
(C)マイクロリフレクタから反射された放射を検出するステップと、
(D)異なる部位のマイクロリフレクタに対して反射の法則が満たされるように、放射のソース及び/又は少なくとも一つの検出器に対する、セキュリティエレメントの相対的位置を選択的に変更するステップと、
(E)十分な数の反射マイクロリフレクタが検出されるまで、ステップ(B)と(C)、必要であればステップ(D)と(E)を選択的に繰り返すステップと、
(F)相対的位置の関数として検出される反射パターンを少なくとも一つのターゲットパターンと比較するステップと、
(G)ステップ(F)で実行された比較の結果に依存して、目的物の認証及び/又は識別に関するメッセージを発するステップと
を含むプロセス。
【請求項7】
上記ステップ(D)において、セキュリティエレメントが、放射のソースと検出器の固定された配置に対して、移動される
ことを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ≠δ’である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項9】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ=δ’である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項10】
セキュリティエレメントに衝突する放射のプロファイルが長軸及び短軸を有し、長軸の長さは、2つのマイクロリフレクタの間の平均距離のオーダーであり、短軸の長さは、マイクロリフレクタの反射表面の平均サイズのオーダーである
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちのいずれか一に記載のプロセス。
【請求項11】
移動がビームプロファイルの長軸に垂直に為される
ことを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメントにより目的物を識別する及び/又は認証する装置であって、
少なくとも一つの電磁波放射のソースと、
電磁波放射の検出器と、
目的物を受けるキャリアと、
コントロールユニットと、
メッセージがユーザに伝えられるアウトプットと
を含む装置。
【請求項13】
放射のソースと検出器が相互に対して固定された位置で配置され、検出器と放射のソースの固定配置に対してキャリアが移動可能である
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ≠δ’である
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
放射のソースは、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δを為して、配置され、検出器は、セキュリティエレメントの表面に対して垂直な方向に角度δ’を為して、配置され、ここでδ=δ’である
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項16】
目的物の個別化された認証及び/又は識別のための、請求項1乃至5のうちのいずれか一に記載のセキュリティエレメント、個別化セキュリティ若しくは識別文書の利用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−511322(P2011−511322A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545382(P2010−545382)
【出願日】平成21年1月24日(2009.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000450
【国際公開番号】WO2009/097979
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月24日(2009.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000450
【国際公開番号】WO2009/097979
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】
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