説明

セキュリティドキュメント

【課題】本発明は、第一透明光学エレメント(74)が配置された第一透明領域(72)と第二不透明光学エレメント(73)が配置された第二領域(71)とを有するセキュリティドキュメント(7)に関する。
【解決手段】第二不透明光学エレメント(73)は第一光学効果を示す。第一および第二領域が互いに重ね合わされた関係にされ得るように、第一領域(72)および第二領域(71)は相互に間隔を置いた関係でセキュリティドキュメントのキャリア(75)に配置される。第二光学エレメントと第一光学エレメントとが第一および第二光学エレメントの間に第一間隔(26)で重ね合わされると第二光学効果が現れ、第二光学エレメントと第一光学エレメントとが第一および第二光学エレメントの間に第一間隔(26)より大きい第二間隔(25)で重ね合わされると第二光学効果とは異なる第三光学効果(51)が現れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の透明光学エレメントが配置された第一領域と、第二の不透明光学エレメントが配置された第二領域と、を有するセキュリティドキュメント、特に紙幣(banknote)または身分証明書に関する。この場合、第一領域および第二領域は、第一および第二領域が例えば可撓性キャリアを撓めたり折り畳んだり曲げたりすることによって互いに重ね合わされるように、セキュリティドキュメントの可撓性キャリアに相互に間隔を置いた関係に配置される。
【背景技術】
【0002】
EP0930979B1は可撓性プラスチックキャリアを有する自己検査紙幣を開示している。可撓性プラスチックキャリアは透明材料から成り、きれいな透明表面を窓として残している濁った被覆材料を備えている。ここで、自己検査手段として拡大レンズが可撓性窓に配置される。ミクロプリント領域が紙幣にさらに設けられ、このミクロプリントは小さな文字、小さな線、またはフィリグリーパターンを表す。ここで、紙幣を確認または検査するために、紙幣は折られて透明窓およびミクロプリント領域は重ね合わされた関係になる。拡大レンズはここでミクロプリントを観察者にとって可視にすることが可能となり、従って紙幣を確認することができる。この場合、観察者に提供されたミクロパターンの拡大は、明瞭な視覚範囲(普通に目の見える人の場合25cm)および拡大レンズの焦点距離によって決定される。したがってEP0930979B1において提案された紙幣の構成により、紙幣に隠されて配置された安全特性が紙幣に配置された確認手段によってはっきりと示されるということになる。
【0003】
さらにEP0256176A1は、銀行通帳(bank passbook)の裏カバーに、またはその通帳のページに内面的に印刷され、透明領域の形態で信頼性確認のための手段を有する暗号化された識別キャリアを有する銀行通帳を開示している。透明領域は読み取りスクリーンとして構成され、ブックカバーを閉じることによって暗号化された識別文字を含む表面とこのスクリーンとが重ね合わされるとすぐに、暗号化された識別文字が復号化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本発明の目的は、改良されたセキュリティドキュメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、第一透明光学エレメントが配置された第一透明領域と、第一光学効果を示す第二不透明光学エレメントが配置された第二領域とを有するセキュリティドキュメントによって達成される。第一領域および第二領域は、第一および第二の領域が相互に重なった関係になり得るように、セキュリティドキュメントのキャリアに相互に間隔をおいて配置される。第二光学エレメントと第一光学エレメントとが第一光学エレメントと第二光学エレメントとの間において第一間隔で重ねられるとき第二の光学効果が生じ、第二光学エレメントと第一光学エレメントとが第一間隔よりも大きい第一光学エレメントと第二光学エレメントとの間の第二間隔で重ねられるとき、第二光学効果とは異なる第三の光学効果が生じる。
【0006】
従って第一および第二光学エレメントが重ねられるとき、第一および第二光学エレメントの間の間隔に依存する間隔依存性光学効果が現れる。第一および第二エレメントが重なり合う関係にされたかどうかに依存して、また、さらに相互に重なり合った第一および第二光学エレメントの間の間隔に依存して、観察者に対して現れる光学効果は異なる。従って本発明は隠された安全特性をはっきりさせるだけのものを遙かに超えた新たな確認プロセスを使用者に提供する。本発明は特に使用者にとって確認の容易な、著しく目立つ驚くべき安全特性をセキュリティドキュメントが備えることを可能にする。さらに本発明は、とりわけ安価な方法でさらなる安全特性をセキュリティドキュメントに組み入れることの可能性を提供する。一つの透明光学エレメントと一つの不透明光学エレメントとをのみ用いることは、セキュリティドキュメントが3つ以上の安全特性を備え得るということを意味する。これは、生産するのが安価で、模倣するのが非常に困難で、且つ容易に確認され得るセキュリティドキュメントを生じることを可能にする。
【0007】
本発明の有利な構成は付随する請求項に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好適な実施例によると、第二光学エレメントと第一光学エレメントとが第一間隔で重ねられるときに第一パターンが第二光学効果として現れ、第二光学エレメントと第一光学エレメントとが第二間隔で重ねられるときに第一パターンの拡大表示が第三光学効果として現れる。光学エレメント間の距離が減少すると縮小作用が起こり、距離が増大すると拡大作用が起こる。このような予期しない光学的な錯覚効果は非常にはっきり見え、気付くのに容易である。
【0009】
第一および第二光学エレメントを重ね合わせて干渉パターンが観察者に現れるとき、特に目立った効果が達成され得る。このパターンは第一間隔で小さく見え、第二間隔でより著しく大きく見える。
【0010】
さらに、第一パターンの縮小されたまたは変貌した表示が第二の間隔で現れることもまた可能である。
【0011】
さらに好適な実施例によると、間隔が減少または増大すると、第一間隔でまたは第二間隔で異なる情報アイテムが観察者に現れるように特定の情報アイテムの消失および/または情報の変化が起こる。第一および第二光学エレメントの間の第三または第四間隔で、さらに異なる光学効果が現れることもまた可能である。
【0012】
この点において、第二光学効果と第三光学効果との両者が著しく第一光学効果と異なること、従って、例えば異なる情報アイテムまたは情報アイテムの大きさにおいて著しく異なる表示であることが好ましい。
【0013】
本発明の好適な実施例によると、不透明な第二光学エレメントはミクロパターンに従って構造化された第一層を有する。この点においてミクロパターンとは、パターンが、その代表的なサイズが人間の分解能力より大きい高解像パターンを含むということを意味する。第一透明光学エレメントは透明層を有し、この透明層では、焦点距離がおよそ第二間隔に相当する凸レンズがミクロパターンに整合するレンズラスタと重ね合わされている。このレンズラスタは、第一間隔に相当する焦点距離の複数の屈折または回折ミクロレンズを有する。相互に重なった第一および第二光学エレメントの間の間隔が第一間隔に相当するとき、ミクロパターンおよびレンズラスタのパターン領域またはパターン領域の部分のずれにおいて暗号化された情報アイテムが現れる。相互に重なった第一および第二光学エレメントの間の間隔が第二間隔に相当するときには、ミクロパターンまたはミクロパターンの部分の一方または両者が観察者に可視となる。本発明の実施において特に有利なのは、相互に重なった第一および第二光学エレメントの異なる間隔で現れる情報アイテムは、実質的に相互に独立に設計され、相対的に二成分の情報の急激な変化が達成され得るということである。
【0014】
この点においてミクロパターンは100μmより小さい代表的な大きさ、好ましくは100〜40μmであることが好ましい。さらにミクロパターンは多くの同一の繰り返し構造エレメントを有することが好ましい。この場合、個々の構造エレメントの大きさは200μmより小さくすべきである。このような繰り返しパターンは、観察者に現れる第二および第三光学効果の簡単な設計および確認を可能にする。
【0015】
さらに、さらなる光学エレメントを直接観察するときに生じる第一光学効果がグレースケール画像の態様で構造エレメントの分布の表面密度に依存するように、ミクロパターンの構造エレメントが第二光学エレメントの領域において異なる表面分布で配置されることもまた可能である。
【0016】
ミクロパターンに従って構造化された第二光学エレメントの第一層は、ミクロパターンに従って構造化された着色層または反射層であってもよい。しかしながら、第一から第三光学効果が回折パターンを示すように、ミクロパターンに従って形成されたパターン領域で第一層において回折構造が形成されることが好ましい。これにより特に高いレベルの偽造に対する保護が達成され得る。凸レンズが、光学回折効果を有し凸レンズ効果を光学回折的に生じさせる構造によって形成されることが好ましい。この構造は格子周波数および選択的なさらなる格子定数が表面領域にわたって連続的に変化する格子構造によって形成されることが好ましい。この格子構造は、二成分構造であるか、格子溝の一側面が互いに平行に且つ境界層の主平面への垂線に対してほぼ平行に伸びる一方、格子表面の個々の他の側面の角度が表面領域にわたって境界層の主平面への垂線に関して実質的に連続的に変化するという性質の構造であるかのいずれかである。
【0017】
この場合、レンズ構造の格子深さは10μmより小さいことが好ましい。このような‘回折レンズ’の利用は‘屈折レンズ’例えばフレネルの拡大レンズの利用に対して、必要な構造深さが著しく減少し、従って対応する大きさの面積の凸レンズがセキュリティドキュメントに結合され得るという効果を有する。この点においてレンズラスタのミクロレンズが‘回折レンズ’の形態で具体化されることもまた可能である。
【0018】
凸レンズとレンズラスタとの重ね合わせは、第二光学エレメントが複数の隣接する第一及び第二領域に分割されることによって実施されるのが好ましい。ミクロレンズラスタの1つ以上のミクロレンズは第一領域のそれぞれに形成され、凸レンズを形成する構造が第二領域に形成される。この場合第一及び第二領域の幅および/または長さは、それぞれ人間の解像能力以下である。このような凸レンズとレンズラスタとの重ね合わせは、凸レンズだけでなくレンズラスタのための高いレベルの効率および光度を保証する。
【0019】
さらに、凸レンズおよびレンズラスタを形成する構造のラスタは第一光学エレメントの透明層に形成されることもまた可能である。
【0020】
本発明のさらに好適な実施例によると、第二光学エレメントはミクロ構造化されたモアレパターンを有する。関連する第一光学エレメントは、モアレパターンに整合するモアレアナライザと凸レンズとが重ねられた少なくとも部分的な透明層を有し、このレンズは第二間隔に相当する焦点距離を有し、モアレパターンのミクロ構造を可視にするのに適している。相互に重なり合う第一および第二光学エレメントの間の間隔が非常に小さいとき、モアレ画像とモアレアナライザとの重ね合わせによってモアレ画像が生じる。相互に重なり合う第一および第二光学エレメントの間の間隔が第二間隔まで増加するとき、モアレ画像はもはや生じずモアレパターンのミクロ構造の拡大が観察者に現れる。第一および第二光学エレメントの間が第一間隔ではモアレ画像が現れ、第一および第二光学エレメントの間が第二間隔ではモアレパターンのミクロ構造の拡大表示が現れる。
【0021】
ミクロレンズラスタを有する視認可能なレンズのラスタでは、視認可能レンズは例えば3mm〜50mm、好ましくは10mm〜30mmの直径を有する。視認可能レンズの焦点距離は好ましくは直径の半分から直径の10倍の間、特に直径の1倍から直径の5倍の間が好ましい。ミクロレンズラスタ(例えば二方または六方最密パッキング)は5μm〜500μm、好ましくは50μm〜200μmの複数のミクロレンズを有する。ミクロレンズの焦点距離は直径の半分から直径の100倍の間、好ましくは直径の1倍から直径の10倍の間である。
【0022】
この本発明の実施例はまた第二および第三光学効果として表示される情報アイテムが互いに独立に設計されることが可能であり、間隔が増減するときに、示された情報アイテムにおいて急激な二成分変化が起こり得るという効果を有する。これは、特有の著しく目立った安全特性がセキュリティドキュメントにおいて実行され得るということを意味する。
【0023】
本発明のさらに好適な実施例によると、第二光学エレメントは凹面鏡エレメントを有し、第一光学エレメントは凸レンズを有する。凹面鏡エレメントと凸レンズとの間の間隔が減少すると、システムの拡大力は減少し反映される画像はより小さく見える。凹面鏡エレメントと凸レンズとの間の間隔が増大する場合システムの拡大力は増大して反映される画像はより大きく見える。したがって、上述した縮小効果は間隔が減少するときに達成される。
【0024】
間隔の変化に伴った画像の縮小/拡大効果は、直感的には反対だと予期するので、観察者の観点からは予期されない。結果として、関連する人が視覚効果に気づいてそれを伝達することは容易である。さらに、偽造に対する高い程度の保護が達成されるので、このような光学効果を市販の入手可能な技術で模倣することは非常に困難である。
【0025】
第二光学エレメントは複製ラッカー層と、複製ラッカー層に隣接する反射層とを有することが好ましい。回折レリーフ構造は複製ラッカー層と反射層との間の境界に形成される。この回折レリーフ構造は光学回折手段によって凹面鏡エレメントの効果を生じる。このような‘回折’凹面鏡エレメントの利用は‘回折レンズ’の利用に関してすでに上述した効果を達成する。
【0026】
第二光学エレメントが観察者の鏡像を反映するのみであることが可能である。この観察者は、重ねられた第一光学エレメントを通して観察するときに上述した光学的変化を体験する。
【0027】
複製ラッカー層と反射層との間の境界に形成されたレリーフ構造が光学回折手段によって凹面鏡エレメントの効果を生じる構造と光学パターンを生じる回折構造との重ね合わせであるとき、特有の効果が達成される。このように、例えばホログラムまたはキネグラム(登録商標、KINEGRAM)が第一光学エレメントを通して観察されるときに上述の光学的変化を受けるということ、つまりホログラムの大きさが間隔の減少にともなって減少し、間隔の増大にともなって増大するということが可能となる。このような効果は市販で入手可能な技術を用いたとき非常に大きな困難をともなってのみ模倣され得る。
【0028】
本発明は例として添付の図面を参照して多くの実施例によって後述される。
【実施例】
【0029】
図1は様々な観察条件41、42および43におけるセキュリティドキュメント1を示す。
【0030】
セキュリティドキュメント1は有価ドキュメント、例えば紙幣あるいは小切手である。さらに、セキュリティドキュメント1が識別ドキュメント、例えば身分証明書を形成することもまた可能である。
【0031】
セキュリティドキュメント1は可撓性キャリア17を有し、この可撓性キャリア17には、透明光学エレメント18が領域11に、不透明光学エレメント19が領域12に配置されている。キャリア17は、その上にプリントが設けられ、さらに安全特性、例えば透かしまたはセキュリティスレッドが備えられている紙材のキャリアであることが好ましい。
【0032】
しかしながら、キャリア17がプラスチックフィルムまたは一つ以上の紙およびプラスチック材料層を有するラミネートであることもまた可能である。
【0033】
キャリア17において領域11には窓形状の開口が例えばスタンピングによって形成され、透明光学エレメント18の適用によって再び閉じられる。このように、セキュリティドキュメント1は領域11に透明光学エレメント18を有する透明な窓を備えている。
【0034】
しかしながら、キャリア17に用いられる材料がすでに透明あるいは部分的に透明な材料であり、従ってキャリア17は領域11において残されるということもまた可能である。これは、例えばキャリア17が領域11にもはや濁った層を有さない透明プラスチックフィルムを備えている場合である。さらに、透明窓がすでに紙生産過程において形成され、透明光学エレメント18がセキュリティスレッドの態様でキャリア17に導入されることもまた可能である。
【0035】
図1に示されるように、パッチ13がセキュリティドキュメント1の領域11とは反対の側面においてキャリア17に適用され、このパッチには不透明光学エレメント19が配置されている。パッチ13は転写フィルムの転写層、例えば圧力や熱の作用下で接着層によってキャリア17に接合されるホットスタンピングフィルムであることが好ましい。図1に示されるように、光学エレメント12に加えてパッチ13は一つ以上のさらなる光学エレメント14および16を有することも可能である。このようなさらなる光学エレメントは、領域15において光学エレメント19と組み合わせの表示を形成することができる。光学エレメント14および16は例えば回折格子、ホログラム、キネグラムまたは作用色素で生じるインディカ(indica)である。
【0036】
さらに、透明光学エレメント18および不透明光学エレメント19がセキュリティドキュメント、そのシートが例えば接着剤またはステッチによって共に結合されている例えばパスポートの二つの異なるシートに配置されることもまた可能である。
【0037】
光学エレメント18の詳細な構造は図2、図4a、図4bおよび図4cを参照して次ぎに記述される。
【0038】
図2は、厚さ約100μmの紙材を有し、領域11においてスタンピングあるいは切削処理によって形成された開口を有するキャリア17を示す。光学エレメント18は、熱および圧力下で熱および圧力によって活性化した光学エレメント18の接着剤層によってキャリア17の紙材に適用されるのが好ましい。図2に示された凹部は、かけられた圧力によって光学エレメント18の領域に同時に形成される。
【0039】
光学エレメント18はキャリアフィルム181、接着層182、複製ラッカー層183、光学分離層184および接着剤層186を有する。
【0040】
キャリアフィルム181は例えば層厚さ10〜50μmのPETまたはBOPPフィルムから成る。キャリアフィルムの機能は、開口を越えて橋渡すために必要な安定性を提供することである。接着層182は厚さ0.2〜2μmであり、印刷加工によってキャリアフィルムに適用される。複製ラッカー層183は熱可塑性または架橋性ポリマーを備え、このポリマーには、熱および圧力の作用下で複製ツールによってあるいはUV複製によってレリーフ構造185が複製されている。光学分離層184は、屈折率(例えば0.2)において複製ラッカー層183とは十分に大きな違いを有するものからなり、図2に示されるように、レリーフ構造とは反対の表面では実質的に平らである。
【0041】
この場合、光学分離層184なしで済まさせることも可能である。さらに、レリーフ構造185が直接外気に接触するようにレリーフ構造185の領域において接着剤層186なしで済ませることも可能である。
【0042】
レリーフ構造185は屈折レンズを形成するレリーフ構造ではなく、光学回折手段によって凸レンズの効果を生じる回折レリーフ構造であることが好ましい。この目的のために用いられ得る回折レリーフ構造は、例えば図4aおよび4bに示されるように表面領域にわたって格子周波数および必要ならばさらに格子定数において連続的に変化する回折構造を含む
【0043】
図4aは複製ラッカー層183と光学分離層184との間に形成されたレリーフ構造185を示す。このレリーフ構造において、格子溝のそれぞれの側面65が相互に平行関係に伸び、一方、他の側面64の角度67は分離層の垂直な主平面に対して表面領域にわたって実質的に連続的に変化する。放物部66がレンズの中心に配置され、格子周波数および側面64の角度67の両者が図4cに示されるようにこの放物部から連続的に変化する。
【0044】
図4bは、複製ラッカー層183と光学分離層184との間に形成され、光学回折手段によって凸レンズの効果を生じる二成分レリーフ構造187を示す。図4aに示されたレリーフ構造または正弦関数レリーフ構造と比較して、このような二成分レリーフ構造を用いることの利点は、レンズ効果を生じるのに必要な断面深さ68が減少させられ得るという点にある。
【0045】
図4aおよび4b中で特定されるレリーフ深さの値は、ラジアンでの位相差を含み、この値から、用いられた光の波長(例えば人間の眼の最大検出感度として500nm)に依存する既知の方法においてレリーフ構造の幾何学的な深さが計算され得る。レンズ構造の直径は略0.5〜300mmであり、これらレンズの焦点距離は大抵レンズの直径の値とその5倍の値との間である。
【0046】
光学エレメント19の精密な構造は、図3を参照して次ぎに記述される。
【0047】
図3はキャリア17および領域12に光学エレメント19を有するパッチ13を示す。この場合、パッチ13は接着剤層131、反射層132、複製ラッカー層134、パターン形状に形成された装飾層135および保護ラッカー層135を示す。レリーフ構造136は領域12において複製ラッカー層134と反射層131との境界に形成される。
【0048】
反射層132は蒸着金属薄膜またはHRI(光屈折率)層であることが好ましい。例として、TiO、ZnSまたはNbがHRI層のための材料として見なされる。考えられる金属層としての材料は、実質的にはクロム、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、銀、金またはそれらの材料を用いた合金である。反射力は、外気に対して密閉されたシステム(屈折率において十分に大きな差を有する二つの好適な材料)を用いて達成され得る。さらに、金属または導電性反射層のようなものの代わりに、複数の導電性層または導電性層と金属層とを有する薄膜層アレイを用いることが可能である。
【0049】
複製ラッカー層134と反射層132との間のレリーフ構造136は凹面鏡エレメントを形成する。この場合、レリーフ構造136は屈折性凹面鏡エレメントを形成するマクロ構造を含まず、光学回折手段によって凹面鏡エレメントの効果を生じる回折レリーフ構造を含む。この目的のために用いられ得るレリーフ構造に関しては、図4a〜4cに関連する記載に留意すべきである。この目的のために採用され得るレリーフ構造は、図4a〜4cに関して記載されたレリーフ構造に対して対称な関係にある鏡において形成される。回折周波数は凹面鏡エレメントの中心から始まって連続的に増加するが、その曲率は反対の符号となる。
【0050】
本実施例において、レリーフ構造136は、レリーフ構造185および187と同様に凹面鏡エレメントの効果を生じる構造と光学パターンを生じるさらなる回折構造との付加的な重ね合わせから形成されるレリーフ構造によって形成される。この回折構造は例えばスイスの十字の形状のホログラムである。
【0051】
装飾層135はちょうど人間の眼の解像能力以下のミクロパターンに従ってパターン形状に構造化されることが好ましい。ここで考えられる実施例において、装飾層135は数‘100’の形状に構造化される。この点において、ミクロパターンが複数の同様な構造エレメントからなる繰り返しミクロパターンであることが有利である。例えばこれらの構造エレメントのそれぞれが数‘100’の表示によって形成される。この点において、構造エレメントの表面密度がグレイスケール画像の形態において変化し、従って人間の眼に直接知覚されるさらなる画像情報アイテムを含むこともまた可能である。
【0052】
装飾層は印刷加工によって適用されたプリント上にあることが好ましく、透明の着色層か、または干渉層色素またはコレステリック液晶色素を含み光学的に可変な色彩の印象を生じる層かを有することができる。用いられる装飾層が干渉によって視角依存色シフトを生じるための薄膜層システムであることもまた可能である。この場合、装飾層は複製ラッカー層134と反射層132との間に配置されることが好ましい。反射層132を複製ラッカー層134にわたって適用することではなく、パターン形状にそれを構造化する、好ましくはすでに述べたようにミクロパターンによるパターン形状に構造化することも選択される。この目的のために、複製ラッカー層132が全表面積にわたって適用された後、反射層132はポジ/ネガエッチングによって部分的に非金属化されるか、またはレーザーアブレーションによって部分的に除去される。
【0053】
上述したように達成されたセキュリティドキュメント1の構成により、セキュリティドキュメント1が観察状況41、42および43において、次の光学効果を提供するようになる。相互に重なり合う光学エレメント18および19の間の間隔24で、光学効果52が数‘100’の表示の背景に対して、スイス十字のホログラフィック表示の形態に見える。相互に重なり合う光学エレメント18および19の間のより大きな間隔22では、光学効果51が、スイス十字のホログラフィック表示に対して、光学効果52に比して著しく拡大された数‘100’の表示形態で現れる。光学エレメント18および19が重なり合う関係にないとき、現れる光学効果は装飾層135の構造にコード化されたグレイスケール画像となる。
【0054】
本発明のさらなる実施例を記載するために図5が参照される。
【0055】
図5は領域71に不透明光学エレメント73を有し、領域72に透明光学エレメント74を有するセキュリティドキュメント7を示す。この場合、光学エレメント73および74はキャリア75に適用される。観察状況44では、光学エレメント73および74は重なり合う関係になく、観察状況45では光学エレメント73および74は間隔25で重なり合う関係にあり、観察状況46ではそれらはより小さい間隔26で配置されている。
【0056】
光学エレメント73はミクロパターンに従って構造化された層を有し、例えば保護ラッカー層と、ミクロパターンによって構造化された装飾層と、接着剤層とを有する。装飾層は例えばポジ/ネガエッチングまたはアブレーションによってその上にパターン化された好適なプリントによってミクロパターンの形状に構造化された着色層、作用色素層または反射層を有する。従って、例えば図6は、複数の文字‘A’の形状の同様な繰り返しの構造エレメント76によって形成されたミクロパターンを示す光学エレメント73の拡大スケールの平面図を示す。すでに上述したように、構造エレメント76は、人間の眼に直接知覚可能なさらなる情報アイテムがグレイスケール画像の形態でミクロパターンにコード化されるように、異なる表面密度で光学エレメント73上に配置されることが可能である。ミクログラフィック、ミクロイメージまたは完全なミクロ文章の一節が構造エレメントとして用いられることもまた可能である。さらに、ミクロパターンが相互に異なる構造エレメントからなることもまた可能である。
【0057】
さらに光学エレメント73は、回折構造136が光学回折手段によって凹面鏡エレメントを生じる構造の付加的な重ね合わせを有さない点で異なるが、図3に示されるように光学エレメント19と同様に作られることもまた可能である。複製ラッカー層と反射層との間の光学エレメント73に形成された回折構造は、背景表示を形成し観察状況44で可視となるホログラムであることが好ましい。さらなる好適な実施例によると、回折構造例えばブラックミラー構造は、ミクロパターンに従って形成されたパターン領域、例えば構造エレメント76によって覆われた表面領域に設けられる。この場合、第二の異なる回折構造、例えばマット構造が背景領域に設けられ得る。
【0058】
光学エレメント74は、図1、2および4a〜4cに示される光学エレメント18と同様に設計されるが、ここではレリーフ構造185が間隔25に対応する焦点距離の凸レンズを有するラスターに相当するという点で、光学エレメント73のミクロパターンに整合し、間隔26に対応する焦点距離の複数のミクロレンズを有するレンズラスタと異なる。
【0059】
従って、レリーフ構造185は例えばミクロレンズラスタを有する肉眼で視認できるレンズの60μm/60μmラスタを有する。肉眼で視認できるレンズは3mm〜50mmの範囲の、好ましくは10mm〜30mmの直径を有する。レンズの焦点距離は直径の半分と直径の10倍との間、好ましくは直径の1倍と5倍との間である。従って例えば肉眼で視認できるレンズは直径25mmであり、75mmの焦点距離である。ミクロレンズラスタは5μm〜500μmの範囲、好ましくは50μm〜200μmの直径のミクロレンズを有する。ミクロレンズの焦点距離はその直径の半分とその直径の100倍との間、好ましくは直径の1倍と10倍との間である。例として、ミクロレンズの直径は150μmで1mmの焦点距離を有する。
【0060】
図7a〜7cはこのような凸レンズとミクロレンズラスタとの重ね合わせの多くの実施例を示す。
【0061】
図7aに示すように、光学エレメント74の表面領域は、それぞれ相互に隣接した関係に配置された第一領域77と第二領域78とに分割される。この場合、第一および第二領域77および78は、二つの第一領域または二つの第二領域の間の間隔が例えば200μmより小さくなるように人間の眼の解像能力以下である。
【0062】
ミクロレンズラスタのミクロレンズは領域77に配置される。この場合、ミクロレンズは好ましくは屈折レンズの形態であるが、図4a〜4cに示された実施例と同様に、これらのレンズが‘回折’レンズの形状であることも可能である。さらに、図4a〜4cに示されるように凸レンズを形成する回折レリーフ構造は光学エレメント73の表面領域に表面領域78にわたって分配されて配置される。
【0063】
図7bに示されるように、第一領域81および第二領域82は表面領域80において互いに交互に並列関係に配置される。ここでも二つの第一領域81および二つの第二領域82の間の間隔は人間の解像能力以下である。
【0064】
図7cに示されるような表面領域83において、第一表面領域84および第二表面領域85は隣接して相互に並列関係に配置される。この場合、レンズラスタの単一の凸レンズのみが第一表面領域84のそれぞれに配置され、次いでこのレンズは‘回折’レンズの形状であることが好ましい。
【0065】
従って、観察状況44〜46における次の光学効果が観察者に見える。
【0066】
観察状況45では、観察者は一つ以上の構造エレメント76の拡大表示の形状の光学効果を受ける。観察状況46では、観察者はレンズラスタに関連してミクロパターンまたはミクロパターンの部分の相対的な位置でコード化された情報アイテムを観察する。観察状況44では、現れる光学効果は、光学エレメント73のミクロパターンまたは、ホログラムあるいは他の光学回折発生パターン、例えばパターン領域において形成された回折構造によって生じる光学効果の重ね合わせによって生じるキネグラムの構成に暗号化されたグレイスケール画像である。
【0067】
さらに、モアレアナライザの構造が光学エレメント74の図7a〜7cに示されるような領域77、81および84においてミクロレンズラスタの代わりに配置され、モアレパターンが光学エレメント73の図6のミクロパターンの代わりに配置されることもまた可能である。
【0068】
この点において、モアレパターンという言葉は、繰り返し構造から形成され、モアレアナライザとして働く繰り返し構造によって形成されるさらなるパターンの重ね合わせの上にあるいはそれを通して、新たなパターンつまりモアレパターンに隠されたモアレ画像を呈するパターンを意味する。もっとも単純な場合、このモアレ効果は線状ラスタによって配置される濃淡縞の重ね合わせによって生じる。この線状ラスタはモアレ画像を生じるように部分的に位相シフトされる。線状ラスタに加えて、線状ラスタの線が曲線状の領域を有し、例えば波形または環状に配置されることも可能である。さらに、互いに逆さまのあるいは重ね合わされた関係にある二つ以上の線状ラスタに重ねられたモアレパターンを用いることもまた可能である。このような線状ラスタにおけるモアレ画像の復号化は、線状ラスタの部分的な位相変位によっても生じる。この場合、二つ以上の異なるモアレ画像がこのようなモアレパターンにおいて暗号化され得る。さらに、いわゆる‘スクランブルド−インディカ(登録商標、Scrambled Indica)テクノロジー’に基づく、またはホールパターン(様々な構造の円形、長円形または角状ホール)に基づくモアレパターンおよびモアレアナライザを用いることもまた可能である。
【0069】
従って、領域77、82および84に配置されたモアレアナライザは例えば不透明ストライプパターンを有する。光学エレメント74に設けられたモアレパターンは、構造化された装飾層の形状でまたはパターン領域に形成された回折構造で、図6に示されたミクロパターンを参照して記述された方法において実施され得る。この場合、モアレパターンは準構造化され、準構造化はミクロテキストまたは繰り返しのミクロイメージの形状に生じることが好ましい。
【0070】
光学エレメント74および73が相互にそれぞれ重なり合った関係に配置されたとき、つまり光学エレメント73と74との間の間隔が非常に小さいとき、モアレパターンとモアレアナライザとの重ね合わせによって生じるモアレ画像が現れる。間隔が増大すると、ミクロパターンのミクロ構造の拡大表示、つまり例えば拡大され従って読みとり可能なミクロテキストの表示が観察者に現れる。光学エレメント73および74が重なり合う関係にないとき、観察状況44に関して上述した光学効果が起こる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明によるセキュリティドキュメントの様々な観察状況の概略図。
【図2】図1に示された本発明のセキュリティドキュメントのための透明光学エレメントの断面図。
【図3】図1に示された本発明のセキュリティドキュメントのための不透明光学エレメントの断面図。
【図4a】図2の光学エレメントのためのレリーフ構造の概略図。
【図4b】図2の光学エレメントのためのさらなるレリーフ構造の概略図。
【図4c】図2に示された光学エレメントのためのレリーフ構造の平面図。
【図5】本発明のさらなる実施例での本発明のセキュリティドキュメントの様々な観察状況の概略図。
【図6】図5のセキュリティドキュメントのための不透明光学エレメントの平面図。
【図7a】図5のセキュリティドキュメントのための透明光学エレメントを明瞭に説明する概略図。
【図7b】図5のセキュリティドキュメントのための透明光学エレメントを明瞭に説明する概略図。
【図7c】図5のセキュリティドキュメントのための透明光学エレメントを明瞭に説明する概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一透明光学エレメント(18、74)が配置される第一透明領域(11、72)と第一光学効果を有する第二不透明光学エレメント(19、73)が配置される第二領域(12、71)とを有するセキュリティドキュメント(1、7)であって、
前記第一領域(11、72)および前記第二領域(12、71)は、前記第一および第二領域が互いに重なり合わされ得るように前記セキュリティドキュメントのキャリア(17、75)に相互に間隔を置いた関係で配置され、
前記第一光学エレメント(18、74)および前記第二光学エレメント(19、73)は、互いに整合され、且つ
前記第一光学エレメント(18、74)および前記第二光学エレメント(19、73)は、前記第二光学エレメントと前記第一光学エレメントとが前記第一および第二光学エレメントの間に第一間隔(24、26)で重なり合うとき第二光学効果(52)が生じ、前記第二光学エレメントと前記第一光学エレメントとが前記第一および第二光学エレメントの間に前記第一間隔より大きい第二間隔(22、25)で重なり合うとき前記第二光学効果とは異なる第三光学効果(51)が生じる構造を有することを特徴とするセキュリティドキュメント。
【請求項2】
前記第二光学エレメントと前記第一光学エレメントとが前記第一間隔(24、26)で重なり合うとき第一パターンが第二光学効果(52)として現れ、前記第二光学エレメントと前記第一光学エレメントとが前記第二間隔(22、25)で重なり合うとき前記第一パターンの拡大表示が前記第三光学効果として現れることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項3】
前記第一パターンが回折パターンであることを特徴とする請求項2に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項4】
前記第二光学エレメント(73)はミクロパターンに従って構造化された層を有し、
前記第一光学エレメント(74、2)は透明層を有し、
前記透明層において、前記第二間隔(25)に相当する焦点距離の凸レンズのラスタリングは、前記ミクロパターンに整合されたレンズラスタと重ね合わせられ、
前記レンズラスタは前記第一間隔(26)に相当する焦点距離の複数のミクロレンズ(79、82、84)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項5】
前記ミクロパターンは200μmより小さい代表的なサイズから成ることを特徴とする請求項4に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項6】
前記ミクロパターンは、複数の同一の繰り返し構造エレメント(76)から形成されるパターンであり、個々の構造エレメントの大きさは200μmより小さいことを特徴とする請求項4に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項7】
前記ミクロパターンに従って形成されたパターン領域において回折構造が前記第一層に形成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項8】
前記第一層が前記ミクロパターンに従って構造化された着色層または反射層であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項9】
前記凸レンズは、光学回折手段によって凸レンズ効果を生じる回折構造によって形成されることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項10】
前記第一光学エレメント(74)は複数の隣接する第一および第二領域を有し、
前記第一および第二領域の幅および/または長さはそれぞれ200μmより小さく、前記ミクロレンズラスタの1つ以上のミクロレンズ(79、82)がそれぞれ前記第一領域に形成され、前記凸レンズを形成する構造(78、81、85)が前記第二領域に形成されることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項11】
前記第二光学エレメントはミクロ構造化されたモアレパターンを有し、前記第一光学エレメントは少なくとも部分的に透明層を有し、前記モアレパターンに整合されたモアレアナライザと前記第二間隔に相当しモアレパターンのミクロ構造を可視にするのに適する焦点距離の凸レンズとが重ね合わされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項12】
前記凸レンズによって拡大されたミクロ構造はモアレパターンとモアレアナライザとの重ね合わせによって生じるモアレ画像の拡大表示を示すことを特徴とする請求項11に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項13】
前記第二光学エレメント(19)は凹面鏡エレメントを有し、前記第一光学エレメント(18)は凸レンズを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項14】
前記第二光学エレメント(19)は複製ラッカー層(134)および前記複製ラッカー層に隣接する反射層(132)を有し、光学回折手段によって凹面鏡効果を生じる回折レリーフ構造(136)が前記複製ラッカー層と前記反射層との間の境界に形成されることを特徴とする請求項13に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項15】
前記複製ラッカー層(134)と前記反射層(132)との間の前記境界に形成された前記レリーフ構造(136)は、光学回折手段によって凹面鏡エレメントの効果を生じる構造と光学パターンを生じる構造、例えばホログラムを生じる回折構造との重ね合わせであることを特徴とする請求項14に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項16】
前記第二光学エレメント(19)は、凹面鏡要素を重ね合わせる装飾層(135)を有することを特徴とする請求項14または15に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項17】
前記装飾層はミクロパターンのパターン形状に従って構造化されることを特徴とする請求項16に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項18】
前記装飾層は、干渉によって視角依存色変化を生じる薄膜層システムを有することを特徴とする請求項16または17に記載のセキュリティドキュメント。
【請求項19】
前記装飾層(135)はプリント、特に作用色素を含むプリントを有することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項20】
前記反射層はミクロパターンに従って構造化されることを特徴とする請求項15〜19のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項21】
前記第一光学エレメント(18)は複製ラッカー層(184)を有し、前記複製ラッカー層には、光学回折手段によって凸レンズ効果を生じる回折レリーフ構造(185)が形成されることを特徴とする請求項13〜20のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項22】
前記第二光学エレメントは複製ラッカー層および前記複製ラッカー層に隣接する反射層を有し、直接観察するとき前記第一光学効果を示す回折レリーフ構造が前記複製ラッカー層と前記反射層との間の境界に形成されることを特徴とする前述の請求項のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。
【請求項23】
前記第二光学エレメントは転写フィルムの転写層、特にホットスタンピングフィルムを含むことを特徴とする前述の請求項のいずれか1つに記載のセキュリティドキュメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公表番号】特表2008−513816(P2008−513816A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531639(P2007−531639)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009583
【国際公開番号】WO2006/029744
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(506151626)オーファウデー キネグラム アーゲー (30)
【Fターム(参考)】