説明

セキュリティロック

【課題】係合部材を揺動させるレバーを具え、矩形スリットへの取付けを容易にすることができるセキュリティロックを提供する。
【解決手段】器具の矩形スリットに取り付けられる連結具と、連結具に連繋されたケーブルを具えたセキュリティロックにおいて、連結具20は、ケーブル100が連繋され、先端側に開口を有するケーシング30と、ケーシングの先端から軸方向に略垂直に突出され、先端に爪片91が形成された第1係合部材90と、前記開口から第1係合部材と軸方向に平行に配備され、先端に爪片96を有し、第1係合部材に対して揺動可能に支持され、基端側に係合溝98が凹設され、側方に揺動用レバー99を具える第2係合部材と、第2係合部材を付勢する付勢部材95と、前記第2係合部材に向けてスライド可能に配備され、先端が前記係合溝と係合して第2係合部材の揺動を規制する規制部材80と、規制部材のロック手段40と、を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン、液晶ディスプレイ、その他のパソコン関連機器等の器具を持ち出しや盗難から護るために、ケーブルをこれら器具に連結することのできるセキュリティロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコンや液晶ディスプレイには、ケーシングに、矩形のスリットが開設されており、該スリットにケーブルの一端が連結された連結具を挿入し、ケーブルの他端を柱や机等の固定物に掛けることで、これら器具の持ち出しや盗難を防止している(例えば、特許文献1参照)。
連結具には、ケーシングに固定された第1係合部材と、該第1係合部材に対して回転し、先端に爪片を有する第2係合部材を有し、これら係合部材を矩形スリットに嵌めた状態で、第2係合部材を回転又は揺動させることで、連結具を矩形スリットに固定している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−508917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連結具には、八万ロック(「八万錠」、「チューブラー錠」とも称される)等のロック手段が内蔵されている。八万ロックのシリンダーは、第2係合部材と一体に回転可能となっており、八万ロックを施錠、開錠する丸キーによって、シリンダーを回転させると、第2係合部材が一体に回転する。
従って、連結具の矩形スリットへの取付けは、以下の手順を要する。まず、八万ロックに丸キーを差し込み、第1係合部材に対して第2係合部材を位置合わせする。この状態で、係合部材を矩形スリットに挿入し、丸キーを捻って、第2係合部材を回転させる。これにより、係合部材が矩形スリットに係合し、連結具が器具に取り付けられる。その後、丸キーを抜き取る。
連結具を矩形スリットから取外すには、上記と逆の手順となる。
【0005】
即ち、係合部材を矩形スリットに係合するには、係合部材を矩形スリットに挿入した状態で、丸キーを捻るというような操作が必要であり、この操作中に、係合部材が矩形スリットから抜け落ちてしまうことがあった。
また、連結具の形状が器具の矩形スリットに適合するかを確かめるために、連結具を器具に仮止めする場合も丸キーの操作が必要となり、手間が掛かる問題があった。
【0006】
ケーブルとして、一般的に撚線のワイヤーが用いられるが、ケーブルは、ケーシングに回動自在に取り付けられているだけで、ケーシングに対して端部が傾動不可であるため、ケーブルの自由度が低い。
しかしながら、器具の矩形スリットは、一般的に器具の側面又は背面に、特に、ノート型パソコンでは底面に近い位置に形成されているから、壁際等の障害物に近い位置で取付けを行なったり使用をすると、ケーブルが屈曲し、ケーブルの復帰力によって、取付けが困難となり、また、使い勝手が悪くなることもあった。
【0007】
本発明の目的は、係合部材を揺動させるレバーを具え、矩形スリットへの取付けを容易にすることができるセキュリティロックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のセキュリティロックは、
器具の盗難を防止するために器具に形成された矩形スリットに取り付けられる連結具と、該連結具に連繋されたケーブルを具えたセキュリティロックにおいて、
連結具は、
ケーブルの一端が連繋され、先端側に開口を有するケーシングと、
ケーシングの先端から軸方向に略垂直に突出され、先端に横方向に延びる爪片が形成された第1係合部材と、
前記ケーシングの開口から前記第1係合部材と軸方向に平行に配備され、先端に前記第1係合部材とは逆方向に形成された爪片を有し、第1係合部材に対して揺動可能に支持された第2係合部材であって、該第2係合部材は、基端側に凹設された係合溝と、揺動面内に突設され先端がケーシングの側面から突出する揺動用レバーを具えた第2係合部材と、
該第2係合部材を傾斜方向に付勢する付勢部材と、
前記第2係合部材に向けてスライド可能に配備され、先端が第2係合部材の前記係合溝と係合して第2係合部材の揺動を規制する規制部材と、
規制部材のスライドを許容及び阻止するロック手段と、
を具える。
【0009】
ケーシングの外周には、ケーブルを回転自在に連繋するケーブル止めを有し、該ケーブル止めは、ケーブルをケーシングに対して横方向から後方に傾動可能に支持することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のセキュリティロックによれば、付勢手段によって、傾斜状態にある第2係合部材を、揺動用レバーの操作によって、第1係合部材と位置合わせし、器具の矩形スリットに挿入することができる。この状態で、揺動用レバーを離すと、付勢手段の付勢力によって、第2係合部材は、再度傾斜状態に復帰し、係合部材が矩形スリットに係合する。これにより、連結具は、器具に取り付けられた状態となり、この状態からロック手段を操作することで、規制部材が第2係合部材と係合し、第2係合部材の揺動が規制され、連結具の取付けが完了する。
【0011】
また、本発明のセキュリティロックによれば、ケーブルは、連結具に対して回動自在に取り付けられているだけではなく、ケーシングの側方から後方に向けて傾動可能となっているから、連結具に対するケーブルの自由度が高く、ケーブルも屈曲しにくくできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明のセキュリティロック(10)について詳述する。
図1は、本発明のセキュリティロック(10)の斜視図、図2は分解図である。また、図3は、連結具(20)の底面図、図4は側面図、図5は背面図である。さらに、図6乃至図9は、連結具(20)の断面図であって、図6乃至図8は、図3の線A−Aに沿う断面図、図9は、図3の線B−Bに沿う断面図である。より詳しくは、図6及び図7は、ロック手段(40)を開錠状態とした図であって、図7は、第2係合部材(94)を揺動させた図、図7及び図8は、ロック手段(40)を施錠状態とした図である。
【0013】
セキュリティロック(10)は、図1に示すように、パソコン等の器具の筐体に形成された矩形スリットに連結される連結具(20)と、該連結具(20)に連繋されたケーブル(100)から構成される。なお、図1において、ケーブル(100)をケーブル係止部材(107)(107)(107)によって束ねて示しているが、実際に使用する際には、ケーブル係止部材(107)(107)(107)は、適宜取り外される。
【0014】
連結具(20)は、図1乃至図5に示すように、連結具(20)の基端側外殻を形成する円筒状の第1ケーシング(22)と、該第1ケーシング(22)の先端側に回動自在に連繋され、連結具(20)の先端側外殻を形成する第2ケーシング(30)を有する。
第2ケーシング(30)の先端からは、器具の矩形スリットに嵌まる係合部材(90)(90)(94)の先端が臨出しており、ケーシング(22)(30)の内部には、係合部材(90)(90)(94)を支持する支持手段(70)、係合部材(94)の揺動を規制する規制部材(80)、及び、規制部材(80)を出没させるロック手段(40)とを有している。
【0015】
第1ケーシング(22)は、図2、図6乃至図9に示すように、両端が開口しており、図2乃至図4及び図9に示すように、側部には、後述するケーブル(100)を回転自在且つ傾動可能に支持するケーブル止め(23)が突設されている。
ケーブル止め(23)は、ケーブル(100)の先端に取り付けられた球ジョイント(101)(後述する)を挿入するための挿入孔(24)と、該挿入孔(24)に連続し、球ジョイント(101)を回動可能に支持する受部(25)を有し、受部(25)には、球ジョイント(101)を傾動可能に案内するガイド溝(26)が開設されている。ガイド溝(26)は、第1ケーシング(22)の側方から基端側に向けて開口しており、ケーブル(100)を連結具(20)の側方から後方に向けて傾動可能に支持している。また、ガイド溝(26)は、受部(25)よりも幅狭に形成されて、球ジョイント(101)の脱落を防止する。
【0016】
第2ケーシング(30)は、図2に示すように、先端側が閉塞しており、先端閉塞面には、係合部材(90)(90)(94)が臨出する矩形の開口(31)が開設されている。第2ケーシング(30)の基端側は、図6等に示すように開口しており、基端周面には、第1ケーシング(22)の先端に嵌まる段部(32)が形成されている。
また、第2ケーシング(30)の側面には、図9に示すように、第2ケーシング(30)を後述する支持手段(70)と一体に連結する固定用孔(33)が開設されており、第2ケーシング(30)の基端側側面には、図6等に示すように、後述の第2係合部材(94)の揺動用レバー(99)を臨出させる切欠き(34)が形成されている。
第2ケーシング(30)の先端には、連結具(20)を器具に取り付けたときに、連結具(20)のぐらつきを防止する軟質の緩衝部材(37)が貼付されている。緩衝部材(37)には、第2ケーシング(30)の開口(31)に対応する位置に開口(38)が開設されている。
【0017】
ケーシング(22)(30)の内部には、筒状の支持手段(70)が収容され、該支持手段(70)には、先端側に係合部材(90)(90)(94)、基端側に付勢手段(82)、規制部材(80)、及び、ロック手段(40)が収容されている。
【0018】
支持手段(70)は、図2等に示すように、円筒状の部材であって、先端側が小径に形成され、基端側周面には、第1ケーシング(22)の基端と当接する鍔部材(71)が突設されている。
支持手段(70)の先端側は、図2、図6等に示すように、断面矩形の凹所(72)が形成されている。該凹所(72)の短辺側の面には、前記第2ケーシング(30)の切欠き(34)に連通するスライド用孔(73)が開設されており、スライド用孔(73)の対向面には、第2係合部材(94)を付勢する付勢部材(95)が取り付けられる取付孔(74)が開設されている。
また、凹所(72)の長辺側面の略中央には、図2、図9に示すように、後述する揺動支持軸(70a)を支持する支持孔(75)(75)が開設されている。支持孔(75)よりも基端側には、前記第2ケーシング(30)の固定用孔(33)と連通する有底の固定用穴(76)が開設されている。支持手段(70)に第2ケーシング(30)を被せた状態で、固定用孔(33)と固定用穴(76)を位置合わせして、固定ピン(35)を挿入し、支持手段(70)と第2ケーシング(30)が固定される。
凹所(72)の底面には、図6乃至図9に示すように、断面矩形の貫通孔(77)が開設されており、該貫通孔(77)には、後述する規制部材(80)が出没可能となっている。
【0019】
支持手段(70)の基端側は、断面円形のロック手段収容部(78)が形成されている。該収容部(78)は、前記貫通孔(77)により凹所(72)と連通しており、収容部(78)の周面には、図6等に示すように、ロック手段(40)をスライド可能に案内するスライドガイド(79)が開設されている。また、該スライドガイド(79)と対向する位置には、該スライドガイド(79)よりも先端側に、ロック手段(40)のロック用ロッド(61)が出没可能に嵌まるロック用孔(79a)が開設されている。
【0020】
上記ロック手段収容部(78)には、図2、図6乃至図9に示すように、付勢手段(82)を具え、規制部材(80)が突設されたロック手段(40)が収容される。付勢手段(82)は、ロック手段(40)を支持手段(70)内で、基端側に向けて付勢している。付勢手段(82)として、図に示すような円錐バネを例示できる。
【0021】
ロック手段収容部(78)に収容されるロック手段(40)として、所謂八万ロックを例示することができる。八万ロックは、公知のものを用いることができる。
例えば、図2に示すように、錠シリンダー(41)の内部に、丸キー(110)によって回転可能且つ錠シリンダー(41)にスライド可能に配備された第1円盤体(50)と、錠シリンダー(41)にスライド可能に配備された第2円盤体(60)とを具える。
【0022】
錠シリンダー(41)は、支持手段(70)のロック手段収容部(78)にスライド可能に嵌まっている。錠シリンダー(41)の周面には、図2及び図6等に示すように、ロック手段収容部(78)に形成されたスライドガイド(79)と対向する位置に、ガイド部材(42)及びガイド部材(42)の保持リング(43)を取り付ける孔(44)が開設されている。また、ロック手段(40)を収容部(78)内で最も押し込んだ状態で、収容部(78)のロック用孔(79a)と対向する位置に錠シリンダー(41)側のロック用孔(45)が開設されている。
また、錠シリンダー(41)の内面には、第1円盤体(50)が所定角度回転可能且つスライド可能となるように幅広の凹み(46)が形成されている。また、該凹み(46)に対向して、第2円盤体(60)がスライド可能となるように、凹み(46)よりも幅狭な溝(47)が形成されている。
錠シリンダー(41)の基端側は、第1円盤体(50)が脱落しないように内向きに鍔(48)が形成されている。
【0023】
第1円盤体(50)は、丸キー(110)が差し込まれる環状の差込孔(51)と、該差込孔(51)に沿って複数開設されたタンブラー用孔(52)(52)を有する。タンブラー用孔(52)には、夫々タンブラーピン(53)(53)が差し込まれている。タンブラーピン(53)(53)の長さは、丸キー(110)の周面に形成された凹溝(111)(111)に応じて異なっており、丸キー(110)を差込孔(51)に差し込んだ状態で、タンブラーピン(53)(53)の先端が揃うことで、第2円盤体(60)に対して第1円盤体(50)が回転可能となり、開錠される。タンブラーピン(53)(53)の基端は、一部が前記錠シリンダー(41)の鍔(48)に当たることで、脱落しないようにしている。4
第1円盤体(50)の周面には、錠シリンダー(41)の内部の凹み(46)に嵌まる突条(54)が形成されている。該突条(54)は、凹み(46)よりも幅狭に形成されており、第1円盤体(50)は、錠シリンダー(41)に収容された状態で、所定角度の回転と、軸方向のスライドが許容される。
また、第1円盤体(50)の先端には、開錠時に後述する第2円盤体(60)のロック用ロッド(61)を後退させる解除片(55)が偏心した位置に突設されている。
【0024】
第2円盤体(60)は、周面に前記錠シリンダー(41)の溝(47)にスライド可能に嵌まる突条(62)が形成されており、先端に第2係合部材(94)の揺動を阻止する断面矩形の規制部材(80)が突設されている。
第2円盤体(60)には、開錠状態で前記第1円盤体(50)のタンブラー用孔(52)と連通する有底のタンブラー用穴(63)が複数開設されている。タンブラー用穴(63)には、図2、図6等に示すように、タンブラーピン(64)(64)が挿入されており、タンブラーピン(64)(64)は、バネ(65)(65)によって、基端側に向けて付勢されている。
【0025】
また、第2円盤体(60)の基端側には、図2、図6等に示すように、前記第1円盤体(50)の解除片(55)が侵入する断面円形の凹み(66)が形成されており、該凹み(66)の底部分には、凹み(66)に連通し、第2円盤体(60)の周面を貫通する孔(67)(68)が開設されている。孔(67)は断面半円形、孔(68)は断面円形とすることができる。
半円形孔(67)には、先端断面が半円形のロック用ロッド(61)がスライド可能に挿入される。ロック用ロッド(61)の基端は、円柱状となっており、前記第1円盤体(50)の解除片(55)に押されて、後退可能となっている。
円形孔(68)には、先端が小径のガイド部材(42)が、保持リング(43)によって挿入されている。
ロック用ロッド(61)とガイド部材(42)との間には、圧縮コイルバネ(69)が挿嵌されており、ロック用ロッド(61)を半円形孔(67)から外向きに押し出す方向に付勢している。
【0026】
支持手段(70)の凹所(72)に収容される係合部材(90)(90)(94)は、揺動不能な左右一対の第1係合部材(90)(90)と、該第1係合部材(90)(90)間に配備され、揺動可能且つ固定可能に支持される第2係合部材(94)から構成される。
第1係合部材(90)(90)及び第2係合部材(94)は、夫々前記第2ケーシング(30)の開口(31)から臨出しており、先端に横方向に延びる爪片(91)(91)(96)が形成されている。第1係合部材(90)(90)の爪片(91)(91)と、第2係合部材(94)の爪片(96)は、互いに方向が逆向きに形成されている。
また、係合部材(90)(90)(94)には、前記揺動支持軸(70a)を遊嵌する支持用孔(92)(92)(97)が夫々開設されている。
【0027】
第1係合部材(90)(90)の基端側が支持手段(70)の凹所(72)に揺動不能に嵌まるように幅広に形成されており、基端側中央には、規制部材(80)が嵌まる係合溝(93)(93)が形成されている。
また、第2係合部材(94)の基端側は、凹所(72)内で揺動可能となるように幅狭に形成されており、基端側中央には、規制部材(80)が嵌まる係合溝(98)が形成されている。
さらに、第2係合部材(94)の側面からは、使用者が操作可能な揺動用レバー(99)が突設されており、揺動支持軸(70a)に該揺動用レバー(99)は、凹所(72)のスライド用孔(73)から臨出し、先端が、第2ケーシング(30)に開設された切欠き(34)から臨出している。
【0028】
連結具(20)には、ケーブル(100)が取り付けられる。ケーブル(100)は、図2に示すように、一端にリング(105)が形成されており、他端には、球ジョイント(101)を圧入するための取付穴(106)が形成されている。球ジョイント(101)は、外周形状が略球形の球状部(102)と該球状部(102)から延びる杆部(103)から構成され、杆部(103)の先端は、抜止め(104)が周設されている。
【0029】
球ジョイント(101)は、第1ケーシング(22)に形成されたケーブル止め(23)に挿入される。球ジョイント(101)は、ケーブル止め(23)の受部(25)側から杆部(103)を挿入し、抜止め(104)がガイド溝(26)を貫通した状態で、ケーブル(100)の取付穴(106)に圧入する。
【0030】
連結具(20)にケーブル(100)を取り付けることで、本発明のセキュリティロック(10)が作製される。
【0031】
上記構成のセキュリティロック(10)について、ロック手段(40)の動作と、第2係合部材(94)の揺動動作について説明する。
【0032】
まず、ケーブル(100)を柱や机の脚等の固定物に掛けて、ケーブル(100)のリング(105)に連結具(20)を挿入することで、セキュリティロック(10)を固定物に取り付ける。
【0033】
この状態で、セキュリティロック(10)を器具に連結する。
図6は、第2係合部材(94)が、付勢部材(95)の付勢力により、第1係合部材(90)に対してズレた状態となっている。この状態から、揺動用レバー(99)を図6の矢印A方向に引っ張ると、第2係合部材(94)が揺動用支持軸(70a)を中心に揺動し、図7に示すように、第1係合部材(90)と第2係合部材(94)が重なる。これにより、係合部材(90)(94)は、第2係合部材(94)の揺動方向の厚みを薄くすることができ、器具の矩形スリットに容易に挿入できるようになる。
使用者が、揺動用レバー(99)から手を離すと、付勢手段(82)の付勢力によって、第2係合部材(94)が図6に示すように、第1係合部材(90)から位置のズレた状態に復帰する。これにより、係合部材(90)(94)の爪片(91)(96)が、矩形スリットに引っ掛かり、連結具(20)は、器具の矩形スリットに取り付けられる。
【0034】
この状態から、再度、揺動用レバー(99)を図6の矢印A方向に引っ張ることで、矩形スリットから連結具(20)を取り外すことができる。従って、丸キー(110)で開錠することなく、連結具(20)を器具に仮止めすることができる。
【0035】
連結具(20)を器具に取り付ける際又は連結具(20)を器具に取り付けた状態で、ケーブル(100)は、連結具(20)に対して、回動自在であり、且つ、ガイド溝(26)によって側方から後方に向けて傾動可能となっている。また、係合部材(90)(94)が突出する第2ケーシング(30)は、第1ケーシング(22)に対して回動自在である。従って、連結具(20)、特に係合部材(90)(94)に対するケーブル(100)の自由度が高く、ケーブル(100)が屈曲しにくく、ケーブル(100)に無理な力が作用しにくい。従って、例えば、狭い作業スペースで器具に連結具(20)を取り付ける場合や、セキュリティロック(10)を連結した後に、器具を机上で移動させる場合や、器具を壁際等の障害物の近くに移動させる場合でも、ケーブル(100)が連結具(20)に対して回動、傾動し、さらに、連結具(20)内で、第2ケーシング(30)が第1ケーシング(22)に対して回動するから、作業性の向上や、ケーブル(100)や連結具(20)、器具の矩形スリット等に加わる負荷を可及的に低減でき、これらの破損を防止できる。
【0036】
連結具(20)を矩形スリットに固定するには、図6の状態から、図8に示すように、ロック手段(40)の基端を押し込むことにより行なわれる。ロック手段(40)を、付勢手段(82)の付勢力に抗して基端から押し込むと、規制部材(80)が係合部材(90)(90)(94)の係合溝(93)(93)(98)に侵入し、第2係合部材(94)が揺動不能となる。また、ロック用ロッド(61)が支持手段(70)のロック用孔(79a)に嵌まり、ロック手段(40)が後退不能となる。
これによって、器具と連結具(20)との連結が完了し、器具は、連結具(20)及びケーブル(100)を介して、柱等の固定物に連繋され、盗難や持ち出し等から防御することができる。
【0037】
連結具(20)を器具から取り外しは、次の要領で実施できる。
まず、丸キー(110)を差込孔(51)に差し込み、丸キー(110)の凹溝(111)(111)によって、タンブラーピン(53)(53)を揃える。この状態から、丸キー(110)を回転させると、第2円盤体(60)に対して第1円盤体(50)が回転し、解除片(55)がロック用孔(79a)からロック用ロッド(61)を後退させる。ロック用ロッド(61)がロック用孔(79a)から抜けると、付勢手段(82)の付勢力により、図8の状態から図6に示すように、ロック手段(40)が基端側に押し戻され、第2係合部材(94)を揺動不能に規制していた規制部材(80)が、第2係合部材(94)の係合溝(98)から外れ、第2係合部材(94)が揺動可能な状態となる。ロック手段(40)が後退して開錠が行なわれると、丸キー(110)は、連結具(20)から取り外してよい。
【0038】
開錠が行なわれた後、揺動用レバー(99)を図6の矢印A方向に引っ張ると、第2係合部材(94)が揺動用支持軸(70a)を中心に揺動し、図7に示すように、第1係合部材(90)と第2係合部材(94)が重なる。これにより、係合部材(90)(94)を器具の矩形スリットから引き抜くことができ、器具との連結が解かれ、器具の移動が可能となる。
【0039】
上記実施例では、第1係合部材(90)は、支持軸(70a)に支持した構造としているが、第1係合部材(90)は、第2ケーシング(30)に直接形成してもよい。また、支持軸(70a)は、支持手段(70)を貫通せず、第1係合部材(90)に支持される構造としてもよい。また、第1係合部材(90)は、第2係合部材(94)を挟む左右一対の構成としているが、何れか一方としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、キーがなくても器具への連結、レバー操作で仮止めが可能なセキュリティロックとして有用である。また、ケーブルは、連結具に対して自由度が高いため、ケーブルに無理な力が掛かりにくく、器具との連結や、連結後の器具の配置も容易となるセキュリティロックとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のセキュリティロックの斜視図である。
【図2】本発明のセキュリティロックの分解図である。
【図3】連結具の底面図である。
【図4】連結具の側面図である。
【図5】連結具の背面図である。
【図6】図3の線A−Aに沿う連結具の断面図であって、開錠状態を示している。
【図7】図3の線A−Aに沿う連結具の断面図であって、第2係合部材を揺動させた状態を示している。
【図8】図3の線A−Aに沿う連結具の断面図であって、施錠状態を示している。
【図9】図3の線B−Bに沿う連結具の断面図であって、施錠状態を示している。
【符号の説明】
【0042】
(10) セキュリティロック
(20) 連結具
(40) ロック手段
(80) 規制部材
(90) 第1係合部材
(94) 第2係合部材
(99) 揺動用レバー
(100) ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具の盗難を防止するために器具に形成された矩形スリットに取り付けられる連結具と、該連結具に連繋されたケーブルを具えたセキュリティロックにおいて、
連結具は、
ケーブルの一端が連繋され、先端側に開口を有するケーシングと、
ケーシングの先端から軸方向に略垂直に突出され、先端に横方向に延びる爪片が形成された第1係合部材と、
前記ケーシングの開口から前記第1係合部材と平行に配備され、先端に前記第1係合部材とは逆方向に形成された爪片を有し、第1係合部材に対して揺動可能に支持された第2係合部材であって、該第2係合部材は、基端側に凹設された係合溝と、揺動面内に突設され先端がケーシングの側面から突出する揺動用レバーを具えた第2係合部材と、
該第2係合部材を傾斜方向に付勢する付勢部材と、
前記第2係合部材に向けてスライド可能に配備され、先端が第2係合部材の前記係合溝と係合して第2係合部材の揺動を規制する規制部材と、
規制部材のスライドを許容及び阻止するロック手段と、
を具えたことを特徴とするセキュリティロック。
【請求項2】
ケーシングの外周には、ケーブルを回転自在に連繋するケーブル止めを有し、該ケーブル止めは、ケーブルをケーシングに対して横方向から後方に傾動可能に支持している請求項1に記載のセキュリティロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−332578(P2007−332578A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163029(P2006−163029)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(500202687)有限会社ケイ・ワイ・ティ (2)
【出願人】(506202906)優護國際企業股▲ふん▼有限公司 (2)