説明

セキュリティ文書、セキュリティ文書を製造する方法、およびセキュリティ・エレメントの使用

紙、厚紙、織物、およびポリマー・シートの群から選択される第1の構成部分としてのインプリント可能な下地と、印刷インク、セキュリティ・スレッド、ウィンドウ、繊維、プランシェット、ホイル、およびデカールの群から選択される少なくとも第2の構成部分とを備える、銀行券、有価紙、識別文書、アクセス・カード、セキュリティ・ラベル、包装等のセキュリティ文書であって、同じセキュリティ・エレメントが、少なくとも1回目にその構成部分のうちの1つの中または上に含有され、少なくとも2回目にその構成部分のうちの別の構成部分の中または上に含有される、セキュリティ文書。同じセキュリティ・エレメントが、第1のステップにおいて、少なくとも1回目に文書の1つの構成部分に塗布され、第2のステップにおいて、少なくとも2回目に文書の別の構成部分に塗布されることを特徴とする、セキュリティ文書を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、有価紙(value paper)、ID、アクセスや証明のための文書、セキュリティ・ラベル、包装などのようなセキュリティ文書の分野に属する。本発明は、伝達を行うセキュリティ・エレメントまたはセキュリティ特徴を利用して「セキュリティ・チェーン」をカスタマイズすることを通じて、偽造に対して、特に、セキュリティ文書の製造チェーンからの諸エレメント(紙、インクなど)の流用の関与する偽造に対して、向上した抵抗力を有するセキュリティ文書、ならびに前記の文書を製造する方法、および独立特許クレームに従った関連するセキュリティ特徴を対象とするセキュリティ・エレメントの使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ文書、特に、銀行券やID文書などのような、偽造に対する高い耐性を必要とする長寿命のセキュリティ文書は、通常、幾つかの層の様々なセキュリティ・エレメント(セキュリティ特徴)によって保護され、セキュリティ・エレメントは、異なる技術分野から選択され、異なる供給業者によって製造され、セキュリティ文書の異なる構成部分に組み入れられる。セキュリティ文書を読み解くには、偽造者は、包含される材料を全て取得し、必要とされる処理技術の全てを利用する必要があるはずであるが、これを達成するのは困難である。
【0003】
1つの例として、銀行券の製造には、特殊な銀行券用紙(透かし、セキュリティ・スレッド(security thread)、繊維、プランシェット(planchettes)、発光粒子、ウィンドウ、ホイル(foil)、デカール(decal)、コーティング等を含み得る)を必要とし、この用紙は、専用の凹版印刷およびその他の高セキュリティ印刷装置を使用して、特定のインク(セキュリティ染料、顔料、および更なるセキュリティ添加剤を含有することもある)がインプリント(押印)されなければならない。セキュリティ印刷は、商用印刷の適用例とは異なり、同じ1つの文書上で組み合わされる幾つかの異なる印刷技術に頼っている。最近では、銀行券は、専用装置によって適用されなければならない特定のホイルやその他の付加物も含む。銀行券を作成するのに必要とされるこれらの材料および装置は、専門の供給業者からのみ入手可能であり、銀行券は、熟練作業員による高度なセキュリティ印刷作業でのみ製造できる。
【0004】
セキュリティ・スレッドは、銀行券およびその他のセキュリティ文書用の偽造防止用紙における別の従来のエレメントである。埋込み型のセキュリティ・スレッドは、i)製紙または下地の業者によっては製造できず、ii)下地の製造段階中に製紙工場において印刷下地内に組み込まれる必要があるので、偽造するのが特に困難である。こうした2つの異なる製造技術へのアクセスが必要とされることが、過去の大部分の偽造者が超えることのできなかったハードルであり、従って、偽造者は、発見の容易な印刷による模造品によってセキュリティ・スレッドを模倣せざるを得ず、あるいは、真正のセキュリティ紙を流用または盗用せざるを得なかった。後者は現時点で、セキュリティ文書特有の脅威になりつつある。
【0005】
第1世代の通貨用セキュリティ・スレッドは、全体が通貨用紙内に埋め込まれ、それを透かして見ることによって、あるいは対応するデバイスを利用してその電気的または磁気的特性を検出することによって認証可能な、金属または金属化ポリマー・ストリップであった。より精巧なバージョンのセキュリティ・スレッドは、欧州特許出願公開第059056A1号(A.J.ToothおよびN.Pask)、欧州特許第518740B1号(M.Camus)、同第625431B1号(H.MuckおよびS.Harms)、およびその他に開示されているウィンドウ・スレッド(window−thread)を含む。このウィンドウ・スレッドは、一部が紙の内部に埋め込まれ、一部が紙の表面に曝されており、従って、それが紙の表面に現れる場所においてスレッドの顕在的なセキュリティ特徴を直接視覚的に認証することを可能にする。この視覚的認証能力の直接的な結果として、当技術分野において、インプリントされたおよび/または選択的に脱金属化されたスレッドが多数開示されており、これらは現在、銀行券用紙産業において広範に使用されている(例えば、H.MuckおよびS.Harmsの欧州特許第625431B1号を参照)。
【0006】
セキュリティ・スレッドの押されたあるいは他の方法で組み込まれたセキュリティ・エレメントを保護するために、スレッドは、ポリエステル・ホイルまたは別の適当なプラスチック材料の2つの薄層間にセキュリティ・エレメントを収容する積層サンドイッチとして製造されることが好ましい。そのような積層されたスレッドは、W.Kaule他の米国特許第5324079号および第5509691号において開示された。更に、同様のUVまたはEビーム積層スレッドが、J.Hilburger等の欧州特許出願公開第1348576A2号によって開示された。前記の積層スレッドは、赤外線吸収体、発光化合物、磁性化合物、金属層、光学的可変性層などのような、全てのタイプのセキュリティ・エレメントを備えることができる。
【0007】
光学的可変性干渉コーティング(optically variable interference coating)を備える特定の積層ウィンドウ・スレッドが、J.N.Disano等の米国特許第6447630号に開示されている。前記の干渉コーティングは、多層干渉スタックを担体プラスチック・シート上へ高真空蒸着することによって製造され、その後、その上に第2のプラスチック・シートを積層することによって保護される。視角に応じて色が変わる前記の光学的可変性スレッドを含む通貨用紙は、現在、カナダ企業のAGRA Vadeko Inc.社によって製造されており、非常に多くの通貨に使用されており、とりわけ、100NTD(新台湾ドル)は、マゼンタ色〜緑色(マゼンタ色から緑色)カラー・シフティング・スレッドを含む。Vadeko社のウィンドウ・スレッドでは、幾つかの異なる基調色が利用可能であり、それぞれの色に対応する色の変化を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発行機関には、実際、通貨またはその他のセキュリティ文書の製造において集められる様々なエレメントのソースの安全を確保することに関して、多くの懸念が存在する。かかる安全の確保は、相互に対応する(伝達する)セキュリティ・エレメント(特徴)を利用することによって、即ち、異なる製造段階および場所でセキュリティ文書の異なる構成エレメントにもたらされる2つ以上のセキュリティ・エレメント間の対応関係を意図的に作り出すことによって、実現することができる。
【0009】
国際公開第98/55333A1号パンフレットは、ウィンドウ・スレッドを有するセキュリティ紙を開示し、そのウィンドウ・スレッドは、可視スペクトルの範囲内でそれ自体の周囲(即ち、銀行券用紙)の色および光沢とマッチし、従って、依然として肉眼では見ることができず、このセキュリティ紙は、UV光によって励起されると可視スペクトル範囲内または外の長い波長の光を放射する発光化合物などのような、認証目的の隠れたセキュリティ・エレメントを更に備える。しかしながら、前記のセキュリティ・スレッドは、転用された通貨用紙等の即時的な視覚検出を可能にしない。
【0010】
伝達を行うセキュリティ・エレメントまたはセキュリティ特徴の別の例は、J.C.Taylor等の国際公開第98/15418Al号パンフレットに開示の「Self−verifying security document(自己証明証券)」であり、ここでは、銀行券等のセキュリティ文書は、プラスチック・ウィンドウと、下地上に印刷された証印(indicia)とを備える。前記のウィンドウのプラスチックは、光学フィルタを体現する染料を含有し、前記の証印は、条件等色の対として、即ち、人間の肉眼では区別されない僅かに異なる2つの色(例えば、黄色1(first yellow)と黄色2(second yellow))のインクを使用して印刷される。銀行券の前記のプラスチック・ウィンドウが、前記の条件等色印刷された証印の上に折り返されると、そこで反射する光がプラスチック・ウィンドウによって一部遮られる(フィルタリングされる)ので、幾つかの証印は視覚可能な状態のままとなり、他の証印は見えなくなる。「self−verifying(自己証明)」効果が適切に働くためには、プラスチック・ウィンドウ内の染料(下地の製造中に導入される)と、印刷インク内の1対の条件等色顔料(インク・メーカーから支給され、印刷作業中に塗布される)とは、対応していなければならない。
【0011】
伝達セキュリティ特徴を実装することは、通貨上の光学的可変性インク(OVI(登録商標))の場合に、特定の価値があるはずである。伝達OVI(登録商標)セキュリティ特徴によって、流通紙幣の真正性に関する迅速な視覚的な二重チェックが可能になることに注目すべきである。既に述べた100NTD(新台湾ドル)紙幣は、前記のマゼンタ色〜緑色(マゼンタ色から緑色)カラー・シフト・ウィンドウ・スレッドに加えて、マゼンタ色〜緑色の凹版印刷された「100」というOVI(登録商標)額面金額をも含む。しかしながら、両方のセキュリティ・エレメントが一致した場合でも、即ち、それらが色と角度依存性の色シフトとに関して一致した場合でも、クロス認証を可能にするには十分でない。これは、両方のセキュリティ・エレメントが互いに独立して選択された場合に、結果として仕様および性質が異なることに起因する。
【0012】
注目すべきことに、前記の光学的可変性セキュリティ・スレッドは、均一の生まれつきの薄膜多層干渉スタックを備える。一方、光学的可変性凹版印刷は、光学的可変性顔料の薄膜干渉板の不完全な再構成された層を備える。前記の100NTD紙幣を見て傾斜させれば、スレッド上と額面金額上とのどちらにもマゼンタ色〜緑色の色シフトが存在するとの意見を述べることができるのは、用心深いユーザだけである。しかし、そのユーザでも、前記の両方の光学的可変性セキュリティ・エレメントが同じ共通のソースであるか追跡できるかという点では、前記の両方の光学的可変性セキュリティ・エレメントが一致(対応)しているかどうかを判定することはできない。
【0013】
紙、印刷されるインク、様々な付加物などのような、銀行券の製造に加わる様々な成分の真正性を追跡(トレース)するために、様々な場所でそれらの成分の幾つかへ同じセキュリティ・エレメントを適用することが非常に好ましいはずである。例えば、光学的可変セキュリティ・エレメントを含有するインクを、1回目はセキュリティ・スレッドの内または上に所在させ、2回目は銀行券の下地上の適切な印刷デザインの形で所在させて、どちらも容易に視覚的に比較がなされ得るようにする。他の利益のなかでもとりわけ、このことにより、決定された通貨の版および額面金額を対象とする銀行券の下地の製造を、より良く制御しカスタマイズすることが可能となり、従って、発行機関が通貨用紙およびインクの転用と闘う助けとなるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、セキュリティ文書を開示し、セキュリティ文書は、それ自体の様々な成分の内または上にセキュリティ・エレメントとして実現される伝達セキュリティ特徴を有する。前記のセキュリティ・エレメントは、インク内またはコーティング組成物内に備えることができ、顕在的な(即ち、人間の肉眼で見ることができる)タイプでも、内潜的な(即ち、ある装置を利用してのみ見ることまたは検出することができる)タイプでもよい。前記のセキュリティ・エレメントは、多層薄膜干渉顔料等の光学的可変エレメントの群から選択されることが好ましい。これらを二つ組み込むことによって、通貨の下地、および/またはその構成要素、例えば、セキュリティ・スレッド、繊維、プランシェット、ウィンドウ、ホイル、デカール等、および/または前記の通貨の下地に適用される印刷証印などのものの間に、明白なリンク(関連)を確立することが可能になる。
【0015】
前記の伝達セキュリティ特徴は、少なくとも2回、典型的には、1回目は下地または下地の成分の製造中に、2回目は下地のインプリンティング中にインクまたはコーティングを介して導入されるセキュリティ・エレメントによって実現される。顕在的な特徴の場合には、インクや印刷下地などのセキュリティ文書の構成部分の転用または偽造が、直ちに人間の肉眼で明らかとなるように、また、内潜的な特徴の場合には、対応するデバイスを利用して容易に認識されるように、伝達セキュリティ特徴を、顧客および/またはアプリケーションに特有なものとすることができる。
【0016】
従って、本発明は、紙、インク、ホイル等の転用された通貨成分に関する即時的な視覚または機器による検出を可能にする伝達セキュリティ特徴を担持するセキュリティ文書、ならびに前記のセキュリティ文書を製造する方法、およびセキュリティ特徴としてのセキュリティ・エレメントの使用に関するものである。より具体的には、セキュリティ文書が開示され、同じインク・ベースのセキュリティ・エレメント、好ましくは光学的可変性エレメントが、1回目はこのセキュリティ文書の下地上または下地内、あるいはセキュリティ・スレッド、ウィンドウ、ホイル等のようなセキュリティ文書の成分上または成分内に含有され、2回目は前記のセキュリティ文書の下地上に印刷されるインクまたはコーティング内に含有される。本明細書において、前記の下地は、紙ベース、厚紙ベース、織物ベース、あるいはポリマー・ベースの下地でよい。
【0017】
この記載の全体を通して、「セキュリティ・エレメント」という用語は、薄膜干渉顔料、発光材料、スペクトル選択性吸収体などのような、認証目的でセキュリティ文書内に組み込むことのできる特定の材料に対して用いられるものとする。「識別可能な特性」という用語は、本発明における意味では、セキュリティ・エレメントによって表される視覚的および/またはその他の効果であり、例えば、角度依存性の色変化、光放出、反射、電気的または磁気的特性、吸収、温度依存性変化、およびセンサまたは人間、特に人間の目によって識別可能とし得るその他の物理現象等を包含するものとする。
【0018】
本発明によれば、銀行券、有価紙、識別書類、アクセス・カード、セキュリティ・ラベル、包装などのセキュリティ文書は、第1の構成部分として紙、厚紙、織物、およびポリマー・シートの群から選択される下地と、印刷インク、セキュリティ・スレッド、ウィンドウ、繊維、プランシェット、ホイル、およびデカールの群から選択される少なくとも別の構成部分とを備える。前記のセキュリティ文書は、その構成部分の1つに塗布または添加される第1のセキュリティ・エレメントを有し、前記のセキュリティ・エレメントは、識別可能な特性を有する。これらの特性を、光学的可変性顔料の視角依存性の色変化としたり、熱変色性(thermochromic)またはフォトクロミック(photochromic)材料の色変化としたり、磁性材料におけるヒステリシスの形状としてもよく、セキュリティ文書上の第1のセキュリティ特徴として働かせることができる。「セキュリティ・エレメントを構成部分に添加する」という用語は特に、セキュリティ・エレメントを前記の構成部分に付着させることや組み込むことを包含する。
【0019】
第1のセキュリティ・エレメントと実質的に同じ特性を有する少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメントが、セキュリティ文書の構成部分のうちの少なくとも1つの別の構成部分に塗布または添加される。これらの別のセキュリティ・エレメントは、セキュリティ文書の第2のセキュリティ特徴として働く。このコンテキストでは、「実質的に同じ」という用語は、例えば、セキュリティ・エレメントが同じ方法で製造されていない場合でも、光学的可変性顔料の視角に対する色の依存性や磁気ヒステリシスの形状が、そのセキュリティ文書のために用意された仕様の範囲内で同じであることを意味する。
【0020】
更に、セキュリティ・エレメントは、それらの特性が比較され得るような様式で、セキュリティ文書の構成部分に塗布または添加される。この比較は、セキュリティ・エレメント間の対応性を直接に識別可能なので、第3のセキュリティ特徴の働きをする。セキュリティ・エレメントは、それらの化学組成または物理構成が異なる場合にも、本明細書において説明するように認証目的で使用され得るように、比較可能な特性を有するように実現されなければならない。
【0021】
セキュリティ文書の異なる構成部分に塗布または添加されるセキュリティ・エレメントは、材料的に同じであること、即ち、同じ識別可能な特性を有するだけでなく、同じ化学組成および/または物理構成をも有することが好ましい。
【0022】
更に、前記のセキュリティ・エレメントの少なくとも1つは、インクまたはコーティング内に含有されることが好ましい。コーティング組成物は、多岐にわたる様々な材料上での塗布向けにそれらを配合でき、従って、前記セキュリティ・エレメントに必要とされる少なくとも2つのベクトルの理想的な選択肢である、という利点を有する。本明細書において、セキュリティ・エレメントのベクトルとは、セキュリティ・エレメントを備え且つ塗布(適用)を可能にする担持材料と理解されたい。
【0023】
特定の一実施形態では、前記セキュリティ・エレメントの少なくとも1つは、前記の1回目に、セキュリティ・スレッド、ウィンドウ、繊維、プランシェット、ホイル、およびデカールの群から選択された下地成分または下地自体に塗布または添加される。本明細書において、前記の成分は更に、ポリマー層とコーティング層とを交互にした積層サンドイッチ構造を備える。米国特許第5324079号、同第5509691号、欧州特許出願公開第1348576A2号に開示されるような積層型またはUV接着型のポリマー/コーティング/ポリマー・サンドイッチ・ホイル(polymer−coating−polymer sandwich foil)は、環境の悪影響、例えばセキュリティ・スレッドが印刷下地へ組み込まれる工程中などのような、特に下地の製造工程中に発生する悪影響から、それらの内部に含められたセキュリティ・エレメントを保護する利点がある。
【0024】
しかしながら、例えば欧州特許第490825B1号の開示によれば、前記のセキュリティ・エレメントは、製紙工場でのその製造工程中に、前記の1回目に、前記下地に塗布されるコーティング内に含有されることもある。
【0025】
前記のセキュリティ・エレメントは、前記の2回目に、セキュリティ印刷機によって、前記のインプリント可能な下地上に印刷されるインクまたはコーティング内に含有されることが好ましい。セキュリティ印刷は一般にセキュリティ文書の製造チェーン(連鎖)の最終段階であり、また、この理由の故に、セキュリティ・エレメントの前記の第2の塗布によってこのセキュリティ連鎖を閉じるのに好ましい段階である。
【0026】
前記のセキュリティ・エレメントは、顕在的な(即ち、人間の肉眼で見ることができる)性質でも、内潜的な(即ち、ある装置を利用して見ることができる)性質でもよいが、それらは、光学的可変性顔料、多層薄膜干渉顔料、液晶顔料、ホログラフィック顔料、および干渉被覆粒子(interference−coated particle)を含む群から選択されることが好ましい。前記のセキュリティ・エレメントは、より好ましくは、多層薄膜干渉顔料の群から選択され、最も好ましくは、(金属性の)反射体/誘電体/吸収体サンドイッチ構造を有する顔料の群から選択される。
【0027】
しかしながら、前記のセキュリティ・エレメントは、熱変色性および光互変性の顔料を含む群からも選択することができる。更に、前記のセキュリティ・エレメントは、発光化合物、赤外線吸収性化合物、UV吸収性化合物、および磁性化合物を含む群から選択することもできる。更に、前記のセキュリティ・エレメントは、マイクロ彫刻加工(micro−engraved)またはマイクロ・テクスチャ加工(micro−textured)されたフレーク顔料および法科学的マーキング化合物(forensic marking compound)を含む、内潜的なセキュリティ・エレメントの群から選択することができる。前記のセキュリティ・エレメントを含有するインクまたはコーティングは更に、全てのタイプの更なる顕在的および内潜的なセキュリティ・エレメントを含有することができる。セキュリティ・エレメントの前記の少なくとも2つのベクターには、それらの間の伝達を強化するために、モチーフ、証印、組紐飾り(guilloche)、ロゴなどのようなデザイン要素も導入することができる。
【0028】
第1の構成部分として紙、厚紙、織物、およびポリマー・シートの群から選択されるインプリント可能な下地と、印刷インク、セキュリティ・スレッド、ウィンドウ、繊維、プランシェット、ホイル、およびデカールの群から選択される少なくとも第2の構成部分とを備える、銀行券、有価紙、識別書類、アクセス・カード、セキュリティ・ラベル、包装などのようなセキュリティ文書を製造する方法が更に開示される。前記の方法によれば、識別可能な特性の比較が可能な様式で、識別可能な特性を有するセキュリティ・エレメントが、前記の文書の1つの構成部分に塗布または添加され、実質的に同じ識別可能な特性を有する少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメントが、前記の文書の少なくとも1つの別の構成部分に塗布または添加される。
【0029】
この方法では、同じセキュリティ・エレメントを、セキュリティ文書の少なくとも2つの異なる構成部分に塗布または添加することが可能である。
【0030】
前記セキュリティ・エレメントの少なくとも1つは、場合によっては、1回目はコーティング手順を通じて、下地自体または前記の下地の構成要素に塗布され、前記下地の前記構成要素は、スレッド、ウィンドウ、繊維、プランシェット、ホイル、およびデカールの群から選択することができ、2回目は、セキュリティ印刷機による印刷を通じて、前記インプリント可能な下地に塗布されることが好ましい。
【0031】
更に、コーティングまたは印刷に関する全ての方法は、注目すべきことに、凹版印刷、オフセット印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷など、ならびにロール・コーティング、スリット・コーティング、吹付けコーティング、粉体コーティングなどに前記セキュリティ・エレメントを適用する際に、使用することができる。
【0032】
開示される方法は、セキュリティ下地またはセキュリティ下地の成分(構成要素)と、セキュリティ印刷機によって前記セキュリティ下地上に印刷される少なくとも1つのセキュリティ・エレメントとの間のカスタマイズ可能なリンクを作り出すことによって、紙または下地の作成段階を、より直接的にセキュリティ・チェーン(連鎖)とリンクさせる効果を有する。
【0033】
セキュリティ文書の少なくとも2つの異なる構成部分の内または上で実質的に同じ特性を有する第1のセキュリティ・エレメントおよび少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメントの使用が、更に開示される。この同じセキュリティ・エレメントを、セキュリティ文書の2つ以上の異なる構成部分上で使用することも可能である。
【0034】
次に、添付の図面および例示的な諸実施形態を利用して、本発明を更に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1では、セキュリティ・チェーン(連鎖)のカスタマイズが概略的に示される。セキュリティ・エレメントSが、セキュリティ文書の2つ以上の異なる構成部分1、2、3へ塗布または添加される。異なる構成部分1、2、3の内または上においてセキュリティ・エレメントSが同じであることは強制的ではないが、各セキュリティ・エレメントSの特性は実質的に同じである必要がある。
【0036】
図2では、本発明の可能な一実施形態が提示される。パスポートの2頁目は、通常、認証目的のためのものであり、予め製造されたセキュリティ下地を使用して、オフセット、凹版、スクリーン印刷などの様々な工程により作り出されたセキュリティ特徴の組合せを含む。
【0037】
この例では、印刷下地は、メルク社(イリオジン(登録商標)、カラークリプト(登録商標))やエンゲルハート社(マーリン(登録商標))から取得できるような干渉被覆粒子(例えば、イリデサント顔料)を含む顧客に特有なストライプを備えた、欧州特許第490825B1号の開示に従った、製紙業者によって既にコーティングされたセキュリティ紙である。前記の干渉顔料は、通常の観察下では実際に見ることのできないものであるが、ある視角では、視角に依存した別々の色を示す。様々な基調色の顔料が使用可能であり、更に、その使用可能な顔料を混合することによって、顧客に特有の色を作成することもできる。
【0038】
図2を参照すると、紙の下地Pは、製紙工場において構成部分1としてストライプを備えるように予め被覆され、ある種の観察状況下で決定される色を有する顧客に特有なイリデサントまたは光学的に可変性の顔料Oを含み、別の構成部分2としてスクリーン印刷されたモチーフがインプリントされたものであり、スクリーン・インクもまた同じ前記の顔料Oを含有する。本明細書において、このスクリーン印刷されたモチーフは、既に紙上に所在する予め被覆されたストライプに隣接して配置される。
【0039】
単純な目視および傾斜によって実施される文書の認証は、全ての目視状況下において、予め被覆されたストライプと印刷されたスクリーン・インク・モチーフとの間に視覚可能な差異が現れず、これらのセキュリティ・エレメントの特性が実質的に同じであることに頼る。このことは、紙およびスクリーン・インクは、それぞれ異なる場所で製造され塗布されるが、カスタマイズされた同じセキュリティ・チェーンに属しており、このセキュリティ・チェーンは、文書の追加のセキュリティ特徴として働くことを示唆する。
【0040】
別の例が、図3に提示される。ホログラフィック・フレーク顔料は、米国特許第5415950号(J.G.King等;立体(volume)ホログラフィに基づくもの)、米国特許第6068691号(R.G.Miekka等;表面ホログラフィに基づくもの)、ならびにその他の文書に開示されている。かかる顔料は、顧客仕様に合わせて少量でも大量でも製造することができ、角度依存性および波長依存性の光反射特性をもたらすコーティング組成物の配合を可能にする。
【0041】
図3に関連するこの例の文書は、以下の一連のステップによって製造されるが、これらのステップは、互いに独立して、また、異なる場所で実施してよい。
【0042】
ステップ1:印刷
−コットン・ベースのセキュリティ紙P上にオフセット多色背景Bを印刷する。
−米国特許第6068691号に開示されているような顧客に特有なホログラフィック顔料Hを含む溶剤ベースのスクリーン・インクを使用して、構成部分2としてのモチーフを、オフセット印刷済みの背景Bの上にスクリーン印刷する。
−ニス引きや裁断などの処理を完了する。
ステップ2:個人化
−対応する個人データDを記入し、オプションとして、透明なオーバーラミネート(図示せず)を用いてそれらを保護する。
ステップ3:有効化
−もう1つの別の構成部分1として、やはり前記の顧客に特有のホログラフィック顔料Hを含むホットスタンプ(デカール)を加える。
【0043】
ホットスタンプ・シール(デカルコマニア)は、米国特許第6174634号、同第6143407号、同第5681644号、同第4322467号、同第4299644号、同第3847725号、および他の文書等に開示されているような選択された印刷技術(溶剤ベースまたはUVインク)を使用して、専門の施設において製造される。これは以下の層(上から下に)を備える。
【0044】
−離型剤が被覆された厚さ約100μmのポリエステル担持シート
−デカールの上位保護層としての厚さ約10μmのポリエステル・シート
−グラビア印刷によって付加された厚さ約10μmの前記の顧客に特有なホログラフィック顔料Hを含む、顧客に特有なデザイン層
−熱粘着層。
【0045】
最終的に得られた文書の真正性は、その内部の各セキュリティ・エレメントが実質的に同じ特性を有する故に、視角に関わらずスクリーン印刷された部分とシール(デカール)とが同じ色を示すことを必要とする。
【0046】
図4では、銀行券の好ましい一実施形態が示される。銀行券およびその他のセキュリティ適用例を対象とする多層薄膜干渉顔料は、米国特許第5084351号(R.W.Philps)およびそれに関連する文書に開示されている。
【0047】
図4を参照すると、この例の銀行券は、構成部分1として、積層されウィンドウがもうけられたセキュリティ・スレッドを備え、別の構成部分2として、スクリーン印刷された額面金額モチーフを備え、これらは何れも、緑色〜青色(緑色から青色)の光学的可変性インク(SICPA社のOVI(登録商標))を備える。積層セキュリティ・スレッドは、米国特許第5324079号、同第5509691号、好ましくは欧州特許出願公開第1348576A2号、またはこれらと同様の技術に従って、専門の施設において製造される。前記のサンドイッチ・ホイルのポリマー層は、典型的には10μm以下程度の厚さを有し、コーティング層は、10μm程度の厚さを有し、そのポリマー・サンドイッチ全体の厚さは30μm程度であり、前記のポリマー・サンドイッチ・ホイルがスレッドの形で組み込まれることのできる通貨用紙の厚さは、100μm程度である。
【0048】
10μmのポリエステル・ホイルの片面には、20%の緑色〜青色(緑色から青色)光学的可変性顔料を含有するUV硬化性グラビア・インク(カリフォルニア州サンタローザのFLEX Products Inc.社から供給される)の層が、顧客に特有なモチーフの形でインプリントされた。第2の同様のホイルが、内潜的なセキュリティ・エレメントとして、5%のIR放射発光顔料YVO4:Ndを含有するUV硬化性グラビア・インクの層で、片面に均一に被覆された。両方のホイルのインプリントされたそれぞれの被覆された面を合わせた後、そのホイルをUV光に暴露することによりコーティングが硬化された。その後、このように積層されたシートが、セキュリティ・スレッドへと変換され、ウィンドウ・スレッドとして銀行券用紙に組み込むために製紙業者へと供給された。
【0049】
このようにして得られた銀行券の下地Pには、セキュリティ印刷機の施設において、
−両面多色オフセット背景Bと、
−両面凹版デザインIと、
−20%の緑色〜青色(緑色から青色)光学的可変性顔料を含有する光学的可変性インク(カリフォルニア州サンタローザのFLEX Products Inc.社から供給される)をスクリーン印刷することによって付加される、セキュリティ・スレッドの近傍における片面額面金額モチーフと
がインプリントされた。
【0050】
この銀行券の真正性は、その内部に含有されるセキュリティ・エレメントが実質的に同じ特性を有する故に、視角に関わらず、スクリーン印刷された額面金額とウィンドウ付きセキュリティ・スレッドとが同じ色を示すことを必要とする。
【0051】
このセキュリティ・スレッドは更に機械認証用のUV励起IR発光性も有する。
【0052】
図5では、銀行券の別の可能な実施形態が示される。液晶ポリマー・ベース上の円偏光する光学的可変性顔料、ならびにかかる顔料を含有するコーティング組成物が、米国特許第5362315号(Ch.Muller−Rees等)、同第5683622号(O.Kratschmar等)、同第5824733号(J.Dobert等)、およびそれらに関連する文書に開示されている。かかる顔料およびコーティングは、それら自体の色、色シフト、および偏光の特性を用いて認証され得るので、セキュリティ・エレメントとして有用である(米国特許第6570648号および関連文書を参照)。
【0053】
マイクロ・エンボス加工された透明マーキング顔料フレークが、A.Argoitia等の国際公開第03/11980A1号パンフレット、米国特許出願公開第2003/0031870A1号、およびそれらの関連文書に開示されている。前記のフレークは、数マイクロメートルの大きさの証印を担持し、これは、顧客仕様に合わせて作成することができる。この証印担持フレークは、軸内照明(in-axis illumination)光学顕微鏡または走査電子顕微鏡を利用して、コーティング内で観察および識別することができる。対応する顔料は、カリフォルニア州サンタローザのFLEX Product Inc.社から供給される。
【0054】
銀行券印刷用のポリマー下地が、国際公開第98/13211A1号パンフレット(B.A.Hardwick等)および関連文書に開示されている。これは、100μm程度の厚さの透明プラスチック材料のシート状ベース下地から成る。前記のプラスチック・シートは、光学的二軸方向ポリマー(optically bi-axially oriented polymer)であることが好ましく、これは下にあるセキュリティ特徴の光偏光を攪乱しない。前記のベース下地は、単層シートでも積層シートでもよく、両面が不透明層(opacifying layer)で被覆され、これは、インクによって実現され、グラビア印刷によって適用される。当技術分野で知られているような、プラスチック材料のコロナ前処理を適用することができ、また、接着促進剤をインクに添加することができる。前記のコーティング工程において、選択的なウィンドウまたは半ウィンドウを空けてもよく、また、そのウィンドウ区域が、決定されたセキュリティ・エレメントを担持するようにしてもよい。ポリマーの銀行券の下地は、例えば、オーストラリアのSecurency Pty Ltd.社から、Guardian(登録商標)、Sentinel(登録商標)、Garrison(登録商標)等の商品名のものが入手可能である。
【0055】
図5に関連するこの例では、銀行券は、構成部分1として、印刷された光学的可変性セキュリティ特徴を担持する透明なセキュリティ・ウィンドウWを有し、更に、別の構成部分2として、光学的に可変性の額面金額証印を有し、表面の不透明にされた部分の上に同じタイプの光学的可変性インクで印刷されている、ポリマー下地Pを備える。
【0056】
銀行券のポリマー下地は、次のように製造された。コロナ処理された透明の厚さ100μmの二軸方向(biaxially-oriented)ポリプロピレン・ホイル(UCB社から入手可能)が、ベース下地として供給された。15%の赤色〜緑色(赤色から緑色)左偏光液晶顔料(WACKER Chemie社から入手される;米国特許第5362315号)、ならびに高さ7μmの「F」記号の繰返しを担持する5%のマイクロ・エンボス加工された透明フレーク顔料(FLEX Products Inc.社から入手される)を含有する溶剤ベースのグラビア・インクを使用して、顧客に特有なモチーフが、前記のベース下地の片面区域にインプリントされた。次いで、溶剤ベースの不透明化白色グラビア・コーティングが、ベース下地の両面のそれぞれに2つのパスで塗布され、印刷された光学的可変性特徴の周囲の円形のウィンドウ区域が開放された。
【0057】
その後、銀行券の下地Pには、セキュリティ印刷機の施設において、
−後に加えられる額面金額モチーフの位置に黒色の表面Nを提供するための、表裏(recto−verso)多色オフセット背景Bと、
−表裏凹版デザインIと、
−15%の赤色〜緑色(赤色から緑色)左偏光液晶顔料(WACKER Chemie社から入手される;米国特許第5362315号)、ならびに5%の、高さ7μmの「F」記号の繰返しを担持するマイクロ・エンボス加工された透明フレーク顔料(FLEX Products Inc.社から入手される)を含有する水性の光学的可変性インクをスクリーン印刷することによって、既に設けられている黒色の表面Nの上に付加される、表面の額面金額モチーフと
がインプリントされた。
【0058】
セキュリティ・ウィンドウ内に含有される光学的可変性顔料は、通常の状況下では透明であり、このウィンドウは認証のために黒色の表面上に配置され、この場合、銀行券の真正性は、スクリーン印刷された額面金額モチーフと光学的可変性ウィンドウとが、視角に関わらず同じ色を示すことを必要とする。これもやはり、内部に含有されるそれらのセキュリティ・エレメントが実質的に同じ特性を有することに拠るものである。
【0059】
マイクロ・エンボス加工された透明マーキング顔料は、人間の肉眼では見ることができないが、軸内照明顕微鏡(500倍拡大で)を用いて、セキュリティ・ウィンドウ内と額面金額モチーフ上との何れにおいても認証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、同じセキュリティ・エレメントを、セキュリティ文書の2つ以上の異なる構成部分に適用することによる、セキュリティ・チェーンのカスタマイズ化を示す。
【図2】図2は、提示の一例のパスポートのページを概略的に示す。
【図3】図3は、更なる一例の卒業証書を概略的に示す。
【図4】図4は、伝達セキュリティ特徴を有する銀行券を概略的に示す。
【図5】図5は、銀行券の別の可能な実施形態を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成部分としての下地(P)と、少なくとも1つの別の構成部分(1、2、3)とを備えるセキュリティ文書であって、
第1のセキュリティ・エレメント(S)が、前記の構成部分(P、1、2、3)のうちの1つに塗布または包含され、
前記セキュリティ・エレメント(S)が、識別可能な特性を有し、前記特性の存在が、前記セキュリティ文書のための第1の認証機能として働くものであり、
実質的に同じ識別可能な特性を有する少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメント(S)が、第2のセキュリティ特徴として、前記の構成部分(P、1、2、3)のうちの少なくとも1つの別の構成部分に塗布または包含されることと、
前記セキュリティ・エレメント(S)が、第3のセキュリティ特徴としてのそれらの特性の比較が可能になるような様式で、前記の構成部分(P、1、2、3)に塗布または付加されることと
を特徴とするセキュリティ文書。
【請求項2】
請求項1に記載のセキュリティ文書であって、前記第1のセキュリティ・エレメントおよび前記更なるセキュリティ・エレメントが材料的に同じであることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセキュリティ文書であって、前記セキュリティ文書が、銀行券、有価紙、識別文書、アクセス・カード、セキュリティ・ラベル、または包装であることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記下地(P)が、紙、厚紙、織物、ホイル、印刷層、およびポリマー・シートを含む群から選択されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記別の構成部分(1、2、3)が、印刷インク、セキュリティ・スレッド、ウィンドウ、繊維、プランシェット、ホイル、およびデカールを含む群から選択されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記セキュリティ・エレメント(S)の少なくとも1つがインクまたはコーティングの中に含有されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記セキュリティ・エレメント(S)の少なくとも1つが前記下地(P)またはその成分の1つに含有または塗布されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記下地(P)が、ポリマー層とコーティング層とを交互にした構造を備えることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記セキュリティ・エレメント(S)が、光学的可変性顔料、多層薄膜干渉顔料、液晶顔料、ホログラフィック顔料、干渉被覆粒子、熱変色性顔料、フォトクロミック顔料、発光化合物、赤外線吸収性化合物、UV吸収性化合物、磁性化合物、マイクロ彫刻加工またはマイクロ・テクスチャ加工されたフレーク顔料、および法科学的マーキング化合物を含む群から選択されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れかに記載のセキュリティ文書であって、前記セキュリティ・エレメントが内潜的なセキュリティ・エレメントを含む群から選択されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項11】
第1の構成部分としての下地(P)と、少なくとも1つの別の構成部分(1、2、3)とを備えるセキュリティ文書を製造する方法であって、
第1のセキュリティ・エレメント(S)を前記の構成部分(P、1、2、3)のうちの1つに塗布または添加することと、
前記セキュリティ・エレメント(S)は識別可能な特性を有し、前記特性の存在が、前記セキュリティ文書のための第1の認証機能として働くものであることと、
実質的に同じ特性を有する少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメント(S)を、第2のセキュリティ特徴として、前記の構成部分(P、1、2、3)のうちの1つの別の構成部分に塗布または添加することと
を備え、
前記第1のセキュリティ・エレメント(S)および前記更なるセキュリティ・エレメント(S)が、第3のセキュリティ特徴としてそれらの特性の比較が可能になるような様式で、前記の構成部分(P、1、2、3)に塗布または添加されること
を特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、材料的に同じセキュリティ・エレメント(S)を、前記セキュリティ文書の2つ以上の異なる構成部分(P)に塗布または添加することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、前記セキュリティ・エレメント(S)の少なくとも1つが、コーティングまたは印刷手順によって構成部分(P、1、2、3)に塗布されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
セキュリティ文書の少なくとも2つの異なる構成部分(P、1、2、3)の中または上での、実質的に同じ特性を有する第1のセキュリティ・エレメント(S)および少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメント(S)の使用。
【請求項15】
請求項14に記載の第1のセキュリティ・エレメント(S)および少なくとも1つの更なるセキュリティ・エレメント(S)の使用であって、前記第1のセキュリティ・エレメントおよび前記更なるセキュリティ・エレメントが材料的に同じであることを特徴とする使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−509787(P2007−509787A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538741(P2006−538741)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012465
【国際公開番号】WO2005/044583
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(500269417)シクパ・ホールディング・ソシエテ・アノニム (23)
【Fターム(参考)】