説明

セグメントの組立装置及び組立方法

【課題】環状のセグメントを周方向に複数に分割したピースセグメントの組立順序を自動設定できるセグメントの組立装置及び組立方法を提供する。
【解決手段】セグメントSが、周方向に分割された複数のピースセグメントPからなり、かつそのうち最後に組み付けられるピースセグメントがキーセグメントKである。キーセグメントP及びピースセグメントKの寸法と相対位置を含むセグメントデータD1を記憶し(S1)、キーセグメントの位置、最初に組み立てるピースセグメントのピース番号(「第1ピース番号」)、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する「組立パターン」、及び組立順序の優先順位を示す「優先基準」を含む順序決定条件D2を入力し(S2)、セグメントデータD1と順序決定条件D2から各ピースセグメントPの組立順序を決定し(S3)、決定した組立順序をエレクタ装置7に出力して(S4)、エレクタ装置7により前記組立順序に基づきピースセグメントPを組み立てる(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機により掘削されたトンネルの内周壁に沿って環状に組み立てられるセグメントの組立装置及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、カッタヘッド、エレクタ装置、シールドジャッキなどを備える。カッタヘッドは、シールド掘削機本体の前部に設けられ、駆動モータによって回転駆動され、これにより、トンネルを掘削する。エレクタ装置は、トンネルの内周壁に沿ってセグメントを環状に組み付ける動作を行う。シールドジャッキは、シールド掘削機本体の周方向に複数配置され、組み付けられたセグメントを後方に押し付けることで、セグメントから押し付け反力を受け、これにより、シールド掘削機本体を前進させる。
【0003】
上述したシールド掘削機は、例えば特許文献1に開示され、セグメントの組立装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3081328号公報、「土圧系シールド機械の自動運転制御方法」
【特許文献2】特開2001−193399号公報、「セグメントの組立位置決め装置及び方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したシールド掘削機において、環状のセグメントは、周方向に複数の分割片(以下、「ピースセグメント」と呼ぶ)に分割されており、そのうち1つがトンネルの円形を保持するためにクサビ状の形状をしており、軸挿入により最後に組み立てられ、キーセグメントと呼ばれる。
【0006】
従来、セグメントの組み立てにおいて、キーセグメントの位置と、最初に組み立てるピースセグメントの位置は、トンネルの施工上の要求から予め設定される。
しかし、キーセグメントと最初に組み立てるピースセグメント以外のピースセグメントの組立順序は、従来は任意であり、設計者やオペレータが、適宜設定し、セグメントの組立順序を示すテーブルを作成していた。しかし、ピースセグメントの組立パターンは多数あるため、人為的ミスが発生しやすく、これに基づくエレクタ装置の運転に支障がでるおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、環状のセグメントを周方向に複数に分割したピースセグメントの組立順序を自動設定できるセグメントの組立装置及び組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、トンネルの内周壁に沿って環状に組み立てるセグメントの組立方法であって、
前記セグメントは、周方向に分割された複数のピースセグメントからなり、かつそのうち最後に組み付けられるピースセグメントがキーセグメントであり、
前記キーセグメント及びピースセグメントの寸法と相対位置を含むセグメントデータを記憶し、
キーセグメントの位置、最初に組み立てるピースセグメント、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する組立パターン、及び組立順序の優先順位を示す優先基準を含む順序決定条件を選択し、
前記セグメントデータと順序決定条件から、前記各ピースセグメントの組立順序を決定し、
決定した組立順序をエレクタ装置に出力して、前記エレクタ装置により前記組立順序に基づきピースセグメントを組み立てる、ことを特徴とするセグメントの組立方法が提供される。
【0009】
本発明の実施形態によれば、(A)前記組立パターンから、2番目に組み立てるピースセグメントを決定し、
(B)次いで、既に決定しているピースセグメントの周方向両側に接続する2つのピースセグメントを選択し、
そのうち一方がキーセグメントである場合に、他方のピースセグメントを次に組み立てるピースセグメントに決定し、
前記2つのピースセグメントがキーセグメントでない場合に、前記優先基準に基づき、いずれかを次に組み立てるピースセグメントに決定し、
(C)未決定のピースセグメントがキーセグメントのみになるまで、前記(B)を繰返し、
(D)前記選択した順に、前記各ピースセグメントの組立順序を決定する。
【0010】
また本発明によれば、トンネルの内周壁に沿って環状に組み立てるセグメントの組立装置であって、
前記セグメントは、周方向に分割された複数のピースセグメントからなり、かつそのうち最後に組み付けられるピースセグメントがキーセグメントであり、
前記キーセグメント及びピースセグメントの寸法と相対位置を含むセグメントデータを記憶する記憶装置と、
キーセグメントの位置、最初に組み立てるピースセグメント、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する組立パターン、及び組立順序の優先順位を示す優先基準を含む順序決定条件を選択する入力装置と、
前記セグメントデータと順序決定条件から、前記各ピースセグメントの組立順序を決定する演算装置と、
決定した組立順序をエレクタ装置に出力する出力装置とを備え、
前記エレクタ装置により前記組立順序に基づきピースセグメントを組み立てる、ことを特徴とするセグメントの組立装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の方法及び装置によれば、記憶装置によりセグメントデータを予め記憶し、入力装置により順序決定条件を選択し、演算装置によりセグメントデータと順序決定条件から、施工上の要望を反映させた各ピースセグメントの組立順序を自動的に決定することができる。
【0012】
また、出力装置により決定した組立順序をエレクタ装置に出力するので、従来人為的に行っていたテーブル管理が不要となり、人為的ミスを防止し、エレクタ装置により前記組立順序に基づきピースセグメントを組み立てて、エレクタ装置を円滑に稼動させることができる。

【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の装置を備えたシールド掘削機を示す概略断面図である。
【図2】組み立てられたセグメントの正面図である。
【図3】本発明によるセグメント組立装置の構成図である。
【図4】本発明によるセグメント組立方法のフローチャートである。
【図5】ピースセグメントの組立順序を決定するフロー図である。
【図6】ピースセグメントの組立順序のパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の装置を備えたシールド掘削機を示す概略断面図である。
この図において、本発明によるセグメント組立装置10は、エレクタ装置7を制御するために設置されている。セグメント組立装置10の設置位置は、この図ではエレクタ装置7の後方に示しているが、エレクタ装置7に近接して設置してもよい。
【0016】
シールド掘削機1は、シールド掘削機の本体2、カッタヘッド3、シールドジャッキ4を有する。シールド掘削機の本体2は、筒状に形成されている。カッタヘッド3は、本体2の前方(図の左側)において、本体2に固定されたフレーム5に回転可能に取り付けられトンネル切削する。切削した土砂はスクリューコンベア(図示せず)等で後方側に排出される。シールドジャッキ4は、フレーム5に取り付けられている。シールドジャッキ4は、その伸長ストロークにより、組み付けられた複数のピースセグメントPからなるセグメントSを後方側に押し、その反力で本体2を前方側に移動させる。なお、エレクタ装置7によるピースセグメントの組付時には、シールドジャッキ4は、エレクタ装置7とピースセグメントに干渉しないように収縮する。
【0017】
シールド掘削機1は、搬送装置6を有する。搬送装置6は、台車6a、ホイスト式のクレーン6b、およびピースセグメントのコンベヤ6cを備える。台車6aは、シールド掘削機1に掘削されたトンネル内を、その後方側(図の右側)からその前方側(図の左側)へピースセグメントPを載せてトンネル軸方向(図の左右方向)に走行し、これによりピースセグメントPをトンネルの前方側へ搬送する。クレーン6bは、トンネル前方側へ走行してきた台車6a上のピースセグメントPを持ち上げて、トンネル前方側へ水平移動し、コンベヤ6cへ当該ピースセグメントPを吊り降ろす。コンベヤ6cは、ローラコンベヤで構成され、クレーン6bによりローラコンベヤ6cに吊り降ろされたピースセグメントPをトンネル前方側へ移動させる。
【0018】
ピースセグメントPは、予め設定された組付順序の順にクレーン6bによりローラコンベヤ6cに吊り降ろされて、組付順序が先のピースセグメントPほどローラコンベヤ6cにおけるトンネル前方側に位置させられる。エレクタ装置7は、ローラコンベヤ6cにおける最もトンネル前方側にあるピースセグメントPから順に、ピースセグメントPを把持しその組付位置へ組み付ける。このようにして、予め設定された組付順序の順にピースセグメントPが組み付けられる。
【0019】
エレクタ装置7は、複数のピースセグメントPを環状のセグメントSに組み立てる。エレクタ装置7は、旋回リング7a、半径方向移動部7d、軸方向移動部7b、および把持装置7cを有する。
旋回リング7aは、図示しない駆動装置によりトンネルの中心軸周りに旋回駆動されるようにフレーム5に支持される。半径方向移動部7dは、トンネルの中心に対する半径方向に往復移動可能である。軸方向移動部7bは、半径方向移動部7dに固定され水平方向に延びるガイド部材8に沿って、図示しない駆動装置により往復移動させられるようにガイド部材8に支持される。把持装置7cは、軸方向移動部7bに取り付けられる。
【0020】
この構成で、エレクタ装置7は次のように動作する。把持装置7cが、最もトンネル前方側にあるピースセグメントのコンベヤ6c上のピースセグメントPを把持し、軸方向移動部7bの移動によりシールド掘削機1のカッタヘッド3があるトンネルの前方側(図の左側)へ移動し、半径方向移動部7dの移動によりピースセグメントをトンネル中心に引き寄せ、次いで、旋回リング7aが中心軸C周りに旋回して把持装置7cを旋回方向に位置決めし、その後、半径方向移動部7dの移動により、前記半径方向に関して組付位置まで外側に移動して、軸方向移動部7bの移動により、把持装置7cが直前に組み立てたセグメントSへ向けて軸方向(例えば、トンネルの軸方向)に移動させて把持しているピースセグメントPのボルト(図示せず)をセグメントのボルト孔(図示せず)へ挿入することができる。これにより、当該ピースセグメントを、上述の組付位置に完全に組み付けることができる。
【0021】
図2は、組み立てられたセグメントの正面図である。この図は、図1において、坑口側(右側)から切羽側(左側)を見た図に相当する。
この図に示すように、トンネルの内周壁に沿って環状に組み立てるセグメントSは、周方向に分割された複数のピースセグメントPからなり、そのうち最後に組み付けられるピースセグメントPがキーセグメントKである。
【0022】
ピースセグメントPは、トンネルの周方向に間隔を隔てて配置された連結部9でトンネルの軸方向にボルトとナット等で連結される。この連結部9の周方向位置は、セグメントの種類が異なっても同一であり、例えば、トンネル頂部から図で右回りに順に位置が設定されている。
図2において、この連結位置番号を、周方向に30分割したB1〜B30とする。
【0023】
また、セグメントSを構成するピースセグメントPの寸法と相対位置は、セグメントの種類毎に予め決められている。
図2の例において、セグメントSを構成するピースセグメントPのピース番号を、キーセグメントKから図で右回りに、P1〜P7とする。
以下、特に区別しない限り、キーセグメントKを含めてピースセグメントPと呼び、個々のピースセグメントはピース番号P1〜P7で区別する。
【0024】
図3は、本発明によるセグメント組立装置の構成図である。
この図に示すように、本発明のセグメント組立装置10は、記憶装置12、入力装置14、演算装置16、及び出力装置18を備える。
【0025】
記憶装置12は、コンピュータの記憶装置(例えば、ROM、RAM、ハードディスク、メモリーカード)であり、種々のセグメントのセグメントデータD1を記憶する。セグメントデータD1は、セグメントの種類毎のキーセグメントK及びピースセグメントPの寸法と相対位置を含む。
セグメントデータD1は、入力装置14から入力しても、図示しない入力装置(例えばキーボード、カードリーダ)により入力してもよい。
【0026】
入力装置14は、例えばコンピュータのキーボードであり、順序決定条件D2を選択し、記憶装置12に入力する。
順序決定条件D2は、「セグメントの種類」、キーセグメントKの位置(以下、「K位置」という)、最初に組み立てるピースセグメントのピース番号(以下、「第1ピース番号」という)、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する「組立パターン」、及び組立順序の優先順位を示す「優先基準」を含む。
【0027】
「K位置」は、キーセグメントKの位置する周方向位置である。この位置は、例えば、キーセグメントKの最初の連結位置を図2に示した連結位置番号(B1〜B30)を指定することで定めることができる。
「K位置」が決まると、上述したセグメントデータD1からセグメントSを構成するピースセグメントP(上述したピース番号P1〜P7)の相対位置が一意に決定される。
【0028】
「第1ピース番号」は任意であり、施工上の要望に基づき設計者又はオペレータが、例えばピース番号P1〜P7の1つを選択する。また、「なし」を選択することもできる。
「第1ピース番号」が指定された場合、指定されたピース番号P1〜P7のピースセグメントPが1番目のピースセグメントとなる。
また、「なし」が選択された場合、トンネル底部に最も近いピース番号P1〜P7のピースセグメントPが1番目のピースセグメントとなる。
なお、「なし」が選択された場合に、トンネル底部に最も近いピース番号以外を選択するように、予め設定してもよい。
【0029】
「組立パターン」は、「+」(プラスパターン)、「−」(マイナスパターン)である。
「+」(プラスパターン)は、2番目に組み立てるピースセグメントを、1番目のピースセグメントに対し、図2で右側のピース番号に決定する。また、「−」(マイナスパターン)は、2番目に組み立てるピースセグメントを、1番目のピースセグメントに対し、図2で左側のピース番号に決定する。
この組立パターンは、施工上の要望を反映させるものであり、この基準を省略することもできる。
【0030】
「優先基準」は、2番目以降のピースセグメントを決定する基準であり、「下基準」又は「1番目基準」のいずれかを選択する。また、この指定を省略することもできる。
「下基準」とは、トンネル底部に最も近いピースセグメントを優先する基準であり、「1番目基準」とは1番目のピースセグメントに最も近いピースセグメントを優先する基準である。
この指定を省略した場合には、「下基準」が選択されるが、「1番目基準」を選択するようにしてもよい。
【0031】
2番目のピースセグメントを決定するときに、「優先基準」は「組立パターン」で相反する組付位置になった場合は、「優先基準」を選択するように予めルールを決めておき、一意に組立順序が決まるようにする。なお、「優先基準」ではなく「組立パターン」を選択するようにしてもよい。
3番目以降のピースセグメント優先基準に基づきピースセグメントを決定するときに、候補が2つになった場合(比較するピースセグメントの距離が同じ場合)、前ピースで組み立てたセグメントの反対方向を選択するように予めルールを決めておき、一意に組立順序が決まるようにする。なお、前ピースで組み立てたセグメントと同じ方向を選択するようにしても良い。
【0032】
演算装置16は、コンピュータの演算装置であり、上述したセグメントデータD1と順序決定条件D2から、各ピースセグメントPの組立順序、すなわちピース番号P1〜P7の順序を決定する。
【0033】
出力装置18は、決定した組立順序、すなわちピース番号P1〜P7の順序をエレクタ装置7に出力する。なお、この出力を例えばCRT、プリンタ等の出力装置に出力してもよい。
【0034】
エレクタ装置7は、決定した組立順序、すなわちピース番号P1〜P7の順序に基づきピースセグメントPを組み立てる。
【0035】
図4は、本発明によるセグメント組立方法のフローチャートである。この図に示すように、本発明の方法は、S1〜S5の各ステップ(工程)からなる。
【0036】
S1では、記憶装置12により、セグメントの種類毎のキーセグメントK及びピースセグメントPの寸法と相対位置を含むセグメントデータD1を記憶する。
セグメントデータD1は、入力装置14から入力しても、図示しない入力装置(例えばキーボード、カードリーダ)により入力してもよい。
【0037】
S2では、入力装置14により、順序決定条件D2を選択し、記憶装置12に入力する。順序決定条件D2は、上述したキーセグメントKの位置、最初に組み立てるピースセグメントのピース番号、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する組立パターン、及び組立順序の優先順位を示す優先基準を含む。
【0038】
S3では、演算装置16により、セグメントデータD1と順序決定条件D2から、各ピースセグメントPの組立順序、すなわちピース番号P1〜P7の順序を決定する。
【0039】
S4では、出力装置18により、決定した組立順序、すなわちピース番号P1〜P7の順序をエレクタ装置7に出力する。
【0040】
S5では、エレクタ装置7により、決定した組立順序、すなわちピース番号P1〜P7の順序に基づきピースセグメントPを組み立てる。
【0041】
図5は、ピースセグメントの組立順序を決定するフロー図であり、ステップS3の詳細図である。また、図6は、ピースセグメントの組立順序のパターンを示す図である。
【0042】
図6において、「組立パターン」、「第1ピース番号」、「優先基準」は、以下の通りである。なお、この例で「K位置」はすべて共通である。
(A)組立パターン:「+」、第1ピース番号:なし、優先基準:下基準、
(B)組立パターン:「−」、第1ピース番号:P4、優先基準:1番目基準、
(C)組立パターン:「−」、第1ピース番号:P4、優先基準:下基準、
(D)組立パターン:「+」、第1ピース番号:P4、優先基準:1番目基準
【0043】
また、図6において、Kはキーセグメント、P1〜P7はピースセグメントPのピース番号、N1〜N7はピースセグメントPの組立順序であり、キーセグメントKは最後に組み付けられる。
【0044】
以下、図6を参照して図5を説明する。
図5に示すように、図4のステップS3は、S31〜S37の各ステップ(工程)からなる。
【0045】
S31では、指定されている「第1ピース番号」から1番目に組み立てるピースセグメントを決定する。
「第1ピース番号」が指定されている場合、指定されたピース番号のピースセグメントPである。図6(B)〜(D)の例では、ピース番号P4が1番目に組み立てるピースセグメントPとなる。
「なし」が選択された場合、トンネル底部に最も近いピース番号のピースセグメントPである。図6(A)の例では、ピース番号P3が1番目に組み立てるピースセグメントPとなる。
【0046】
S32では、指定されている「組立パターン」から、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する。
「+」(プラスパターン)が指定されている場合、1番目のピースセグメントに対し、図2で右側のピース番号に決定する。図6(A)と図6(D)が該当し、図6(A)は、P3の右側のP2が2番目に組み立てるピースセグメントであり、図6(D)は、P4の右側のP3が2番目に組み立てるピースセグメントとなる。
「−」(マイナスパターン)が指定されている場合、図2で左側のピース番号に決定する。図6(B)が該当し、P4の左側のP5が2番目に組み立てるピースセグメントとなる。
【0047】
「優先基準」と「組立パターン」が相反する組付位置になった場合は、「優先基準」が適用される。図6(C)が該当し、図6(C)は、「優先基準」ではP4の右側のP3が2番目に組み立てるピースセグメントであり、「組立パターン」ではP4の左側のP5が2番目に組み立てるピースセグメントとなり、互いに相反するため、「優先基準」を適用し、2番目に組み立てるピースセグメントはP3となる。
【0048】
S33では、既に決定しているピースセグメントの周方向両側に接続する2つのピースセグメントを選択する。
S34で一方がキーセグメントである場合(YES)、S35で他方のピースセグメントを次に組み立てるピースセグメントに決定する(S35)。
S34で一方がキーセグメントでない場合(NO)、すなわち選定した2つのピースセグメントがキーセグメントでない場合に、いずれか1つを「優先基準」に基づき、次に組み立てるピースセグメントに決定する(S36)。
【0049】
S37において、未決定のピースセグメントがキーセグメントのみになるまで(YES)、S33〜S36を繰返す。
S37で未決定のピースセグメントがキーセグメントのみの場合(YES)、選択した順に、各ピースセグメントの組立順序を決定し、終了する。
【0050】
図6(A)の例において、S31でピース番号P3が1番目(N1)であり、S32はパスしている場合、2番目はピース番号P2、P4を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P2を2番目(N2)に決定し、S37でS33に戻り、3番目はピース番号P1、P4を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P4を3番目(N3)に決定し、S37でS33に戻り、4番目はピース番号P1、P5を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P1を4番目(N4)に決定し、5番目はピース番号P5とKセグンメントを選択し(S33)、S34、S35でピース番号P5を5番目(N5)に決定し、同様にピース番号P6を6番目(N6)、ピース番号P7を7番目(N7)に決定し、S37でYESとなり終了する。
【0051】
図6(D)の例において、S31でピース番号P4が1番目(N1)、S32でピース番号P3が2番目(N2)である場合、3番目はピース番号P2、P5を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P5を3番目(N3)に決定し、S37でS33に戻り、4番目はピース番号P2、P4を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P2を4番目(N4)に決定し、S37でS33に戻り、5番目はピース番号P1、P6を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P6を5番目(N5)に決定し、6番目はピース番号P1、P7を選択し(S33)、S34、S36でピース番号P1を6番目(N6)に決定し、7番目はピース番号P7とKセグメントを選択し(S33)、S34、S35でピース番号P7を7番目(N7)に決定し、S37でYESとなり終了する。
【0052】
図6におけるその他のパターンも同様である。
【0053】
上述した本発明の方法及び装置によれば、記憶装置12によりセグメントデータD1を予め記憶し、入力装置14により順序決定条件D2を選択し、演算装置16によりセグメントデータD1と順序決定条件D2から、施工上の要望を反映させた各ピースセグメントPの組立順序を自動的に決定することができる。
【0054】
また、出力装置18により決定した組立順序をエレクタ装置7に出力するので、従来人為的に行っていたテーブル管理が不要となり、人為的ミスを防止し、エレクタ装置7により前記組立順序に基づきピースセグメントPを組み立てて、エレクタ装置7を円滑に稼動させることができる。
【0055】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 シールド掘削機、2 本体、3 カッタヘッド、
4 シールドジャッキ、5 フレーム、6 搬送装置、
6a 台車、6b クレーン、6c コンベヤ、
7 エレクタ装置、7a 旋回リング、
7b 軸方向移動部、7c 把持装置、7d 半径方向移動部、
8 ガイド部材、9 連結部、
10 セグメント組立装置、
12 記憶装置、14 入力装置、
16 演算装置、18 出力装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内周壁に沿って環状に組み立てるセグメントの組立方法であって、
前記セグメントは、周方向に分割された複数のピースセグメントからなり、かつそのうち最後に組み付けられるピースセグメントがキーセグメントであり、
前記キーセグメント及びピースセグメントの寸法と相対位置を含むセグメントデータを記憶し、
キーセグメントの位置、最初に組み立てるピースセグメント、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する組立パターン、及び組立順序の優先順位を示す優先基準を含む順序決定条件を選択し、
前記セグメントデータと順序決定条件から、前記各ピースセグメントの組立順序を決定し、
決定した組立順序をエレクタ装置に出力して、前記エレクタ装置により前記組立順序に基づきピースセグメントを組み立てる、ことを特徴とするセグメントの組立方法。
【請求項2】
(A)前記組立パターンから、2番目に組み立てるピースセグメントを決定し、
(B)次いで、既に決定しているピースセグメントの周方向両側に接続する2つのピースセグメントを選択し、
そのうち一方がキーセグメントである場合に、他方のピースセグメントを次に組み立てるピースセグメントに決定し、
前記2つのピースセグメントがキーセグメントでない場合に、前記優先基準に基づき、いずれかを次に組み立てるピースセグメントに決定し、
(C)未決定のピースセグメントがキーセグメントのみになるまで、前記(B)を繰返し、
(D)前記選択した順に、前記各ピースセグメントの組立順序を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載のセグメントの組立方法。
【請求項3】
トンネルの内周壁に沿って環状に組み立てるセグメントの組立装置であって、
前記セグメントは、周方向に分割された複数のピースセグメントからなり、かつそのうち最後に組み付けられるピースセグメントがキーセグメントであり、
前記キーセグメント及びピースセグメントの寸法と相対位置を含むセグメントデータを記憶する記憶装置と、
キーセグメントの位置、最初に組み立てるピースセグメント、2番目に組み立てるピースセグメントを決定する組立パターン、及び組立順序の優先順位を示す優先基準を含む順序決定条件を選択する入力装置と、
前記セグメントデータと順序決定条件から、前記各ピースセグメントの組立順序を決定する演算装置と、
決定した組立順序をエレクタ装置に出力する出力装置とを備え、
前記エレクタ装置により前記組立順序に基づきピースセグメントを組み立てる、ことを特徴とするセグメントの組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−87464(P2012−87464A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232406(P2010−232406)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(509355142)ジャパントンネルシステムズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】