説明

セグメントの継手構造およびセグメント

【課題】金具やセグメントの設置誤差に幅広く対応可能な継手構造を提供する。
【解決手段】連結対象のセグメントのうち一方のセグメント10において、当接面11に固定されたウェブ部3と、ウェブ部3の一端に備わるフランジ部4と、フランジ部4に略平行に摺動可能である楔部52と、弾性体部60とからなる継手30と、他方のセグメント15において当接面16にて一端が露出するよう固定されたウェブ部3と、ウェブ部3の一端に備わるフランジ部4と、フランジ部4において当接面16と略平行に摺動可能である楔部52と、楔部52に対し当接面16と弾性体部60とからなる継手30とから構成され、セグメント10に備わる凹部45に対し、セグメント15に備わる継手30の楔部52が挿入され、凹部45にて露出している楔部52に対しセグメント15に備わる楔部52が摺動しながら噛合して継手同士が結合し、セグメント間を連結してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントの継手構造およびセグメントに関するものであり、具体的には、金具やセグメントの設置誤差に幅広く対応可能な継手構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法を採用してトンネルを構築する場合には、切羽の掘進に応じて後方でセグメントを連結し、筒状の覆工体を形成していくことが一般的である。こうしたセグメント同士の連結作業を単純化し、エレクタなどによる自動作業を可能とするため、C型およびI型の連結金具を用いた継手構造が提案されている。この継手構造は、セグメントの突き合わせ接合面の対向位置にC型の連結金具を埋め込んでおき、このC型連結金具の開口部に対し、対向するセグメントのI型の連結金具を嵌め込むことによって、セグメント同士の突き合わせ端面を相互に接合させて連結する構造となっている。
【0003】
上記の連結構造において、セグメントへの連結金具の設置精度、或いは連結させるセグメント同士の位置決め精度が十分でなく、例えば、連結金具間の距離が当初想定より小さい場合は締結力が十分に発揮されず、一方、連結金具間の距離が当初想定より大きい場合は締結力が過大となってセグメント損傷を招く懸念もあった。こうした、連結金具の設置精度やセグメント同士の位置決め精度に起因する課題の解消を目指した技術としては、以下のような技術が提案されている。
【0004】
すなわち、接合しようとする一方のプレキャスト部材の継手面から突出する雄継手と、他方のプレキャスト部材の継手面に開口する雌継手との接触面を、雄継手の進入方向に向かって継手面から徐々に離間する傾斜面とした継手であって、継手への楔部材の固定が、締結力が得られた時点で一定の滑動抵抗力を得つつ相対移動可能に変形または破損するようなされた継手(特許文献1)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−184493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来技術においては、雄ないし雌の継手に固定された楔の変形または破損により設置誤差などの吸収を図っているが、楔の弾性変形に頼ったものであってその能力が十分ではなく、上述したようなセグメントへの連結金具の設置誤差、或いは連結させるセグメント同士の位置決め誤差が大きい場合、楔の破損に至ってしまいこれに柔軟に対応することが困難であった。
【0007】
そこで本発明では、金具やセグメントの設置誤差に幅広く対応可能な継手構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のセグメントの継手構造は、セグメント同士を連結する継手構造であり、連結対象のセグメントのうち一方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面の凹部にて一端が露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手と、連結対象のセグメントのうち他方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面にて露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手とから構成され、前記一方のセグメントに備わる前記凹部に対し、前記他方のセグメントに備わる継手の楔部が挿入され、前記凹部にて露出している前記一方のセグメントに備わる楔部に対し、前記他方のセグメントに備わる楔部が摺動しながら噛合して継手同士が結合し、セグメント間を連結してなることを特徴とする。
【0009】
上記継手構造を採用し、あるセグメント同士を連結させる際、各セグメントに備わる継手の楔部同士を接近させ、一方のセグメントにおける凹部にて露出する継手の楔部を、前記セグメントに対向する他方のセグメントにおける当接面で露出する他の継手における楔部に噛合させる。この時、一方の継手の楔部は、前記接合面と略平行にスライドしつつ他方の継手の楔部に当接し、この他方の継手の楔部を押圧することになる。一方の継手の楔部による押圧を受けた前記他方の継手の楔部は、前記一方の継手の楔部のスライドに伴って押圧され、ウェブ部での取り付け面の形状に沿って摺動する。反対に、他方の継手の楔部は、前記一方の継手の楔部を押圧することになる。他方の継手の楔部による押圧を受けた前記一方の継手の楔部は、ウェブ部での取り付け面の形状に沿って摺動する。つまり、噛合する継手同士において、その楔部が互いに摺動していることになる。
【0010】
一方、楔部への押圧に対し抗するのが弾性体部であり、この弾性体部が、楔部同士の噛合に際して各楔部における押圧に適宜反発し、自身が支持する楔部を噛合前の位置に戻そうとそれぞれ働く。各楔部の弾性体部は、当接した楔部同士の噛合動作の進行に合わせてそれぞれ弾性変形し、噛合に際しての楔部の移動を適宜に許容すると共に、楔部を噛合前の位置に戻そうと適宜反発し、楔部同士の噛合を確実に保持することになる。
【0011】
このように本発明によれば、連結対象の各セグメントに備わるそれぞれの継手が、互いの弾性体部にて楔部の摺動を互いに許容しつつ噛合することになり、連結金具やセグメントの設置誤差が大きい場合であってもこれを吸収することが可能となる。すなわち本発明によれば、金具やセグメントの設置誤差に幅広く対応可能な継手構造を提供できる。
【0012】
なお、前記セグメントの継手構造において、セグメント内に固定される前記継手の一端に貫通孔が備わるとしてもよい。これによれば、前記貫通孔に充填され固化したコンクリートが、周囲のコンクリート(セグメントのコンクリート)に対してせん断キーの形となってせん断抵抗を発揮し、継手に対する引き抜き力に対抗することになる。よって、継手をセグメントに埋設固定する際の大がかりなアンカー構造等は不要となり、継手構造の適用に際しコストや手間の低減が可能となる。なお、前記貫通孔を貫くように鉄筋を配置すれば、上記のせん断抵抗が更に大きくなり、引き抜き力へも更に対抗しやくなる。
【0013】
また、本発明のセグメントは、セグメント同士を連結する継手構造であり、連結対象のセグメントのうち一方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面の凹部にて一端が露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手と、連結対象のセグメントのうち他方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面にて露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手とから構成され、前記一方のセグメントに備わる前記凹部に対し、前記他方のセグメントに備わる継手の楔部が挿入され、前記凹部にて露出している前記一方のセグメントに備わる楔部に対し、前記他方のセグメントに備わる楔部が摺動しながら噛合して継手同士が結合し、セグメント間を連結してなることを特徴とするセグメントの継手構造を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金具やセグメントの設置誤差に幅広く対応可能な継手構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるセグメントの継手構造を示す概念図である。
【図2】本実施形態の継手におけるウェブ部とフランジ部の構造例を示す四面図である。
【図3】本実施形態における楔部の構造例を示す三面図である。
【図4】本実施形態における弾性体部の構造例を示す三面図である。
【図5】本実施形態における継手間の相対距離の概念を示す図である。
【図6】本実施形態における継手間距離別の継手構造の各断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態におけるセグメントの継手構造を示す概念図であり、図2〜4は、継手のウェブ部とフランジ部、楔部、および弾性体部の各構造例を示す図である。本実施形態におけるセグメント10は、シールド工法におけるトンネルの覆工体として用いられるものである。シールド工法において、シールド掘進機内では、エレクタ等によりこのセグメント10がトンネル周方向に逐次連結され、筒状の覆工体を形成するのが一般的である。そこで互いに連結されるセグメント10の継手構造として、本実施形態の継手構造100を採用する。
【0017】
当該継手構造100は、図1に示すように、連結対象となるセグメント10、15にそれぞれ設置された1組の継手30から構成されている。一方のセグメント10に設置された継手30は、セグメント内に他端33を埋設固定し、一端32がセグメント同士の当接面11に設けられた凹部45で露出するウェブ部3と、ウェブ部3の一端32に備わるフランジ部4と、フランジ部4の摺動面39を介して当接面11と略平行に摺動可能である楔部52と、楔部52に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部60とを備えている。図2〜4に、こうしたウェブ部3とフランジ部4、楔部52、および弾性体部60の構造例を示している。フランジ部4における摺動面39と楔部52との間は、摺動方向に延びる溝やレールを介して取り付けがなされている形態が想定できる。例えば、摺動面39がレールを備える一方、楔部52は前記レールに対し摺動可能に嵌合する溝を備え、両者がレールとそれに嵌合する溝を介して摺動可能に一体化されている状況がそれにあたる。
【0018】
また、本実施形態の弾性体部60は、楔部52の底部53と、フランジ部4における支持面7との間に備わるものである。なお、楔部52の底部53とは、噛合相手の他の楔部52からの押圧力を弾性体部60に伝達する面であり、図3の例では、楔部52の先端(噛合する他の楔部と対向する頂部)から見て底面にあたる、矩形の平面となっている。しかしながら、この底部53は弾性体部60の設置位置に応じて決まるものであるから、例えば、弾性体部60にせん断方向(すなわち当接面と平行な方向)の付勢力を期待して上述の摺動面39に設置した場合、底部53は楔部52において摺動面39への当接面となる。また、フランジ部4の支持面7とは、楔部52の摺動方向と略直交し、その摺動を受け止める面である。弾性体部60は、楔部52に対し、摺動方向すなわち当接面11と略平行な向きに弾性力を付与するためのバネなどの弾性体を採用できる。弾性体の種類は問わないが、例えばウレタンバネを採用できる。上述した継手としての基本的な構造についてはセグメント10が連結される他セグメント15に設置される継手についても同様である。
【0019】
なお、本実施形態におけるフランジ部4は、図2で示すようにウェブ部3の先端面2と平行ではなく傾斜させてウェブ部3上に配置しているが、ウェブ部3の先端面2と平行に配置してもよい。
【0020】
図1に示す例では、セグメント10において、当接面11よりセグメント内方に凹んだ凹部45にてフランジ部4が露出するよう、継手30を設置した形態となっている。この場合、セグメント10の当接面11には、連結対象の他セグメント15に設置された継手30の板幅34以上であって、継手30のスライド移動が可能な十分な幅と、継手30の最大厚35と同等以上の高さを有した開口である挿通開口40が備わっている。この挿通開口40は、セグメント10の内部に延びる直方体状の空間たる凹部45の開口となる。凹部45の内部には継手30のフランジ部4(とこれに取り付けられた楔部52、弾性体部60)が露出している。凹部45の挿通開口40からの奥行き46は、挿入されてくる他セグメント15の継手30における突出長さ36と同等以上である。また、凹部45におけるセグメント10の厚み方向の高さ47は、他セグメント15の継手30を受け入れる挿通開口40の受入領域41では継手30の受入を容易とすべく最大厚35より数割増し以上とし、凹部45内に露出する継手30と他セグメント15の継手30とが噛合する付近の噛合領域42では継手同士の噛合をセグメント10の厚み方向で保持すべく継手30の最大厚35とほぼ同値とするとしてもよい。なお、上記の最大厚35とは、ウェブ部3の板厚に、フランジ部4の高さ(セグメント10の厚み方向の高さ)と加えた値となる。
【0021】
一方、上述のセグメント10の連結対象となる他セグメント15にも継手30が設置されている。この継手30は、上記のセグメント10の継手30と同様の構造を備えているが、ウェブ部3の一端32は当接面16より突出長さ36だけ露出している。この突出長さ36は、セグメント10の継手30との噛合を許容するべく、凹部45の奥行き46と同等またはそれ以下の長さである。
【0022】
この場合、セグメント連結時において、他セグメント15に設置されている継手30の一端32は、上述した挿通開口40を介してセグメント10の凹部45に挿入され(図1で例示する「挿入」動作)、凹部45の噛合領域42で露出している継手30のフランジ部4らに向けてスライド移動させられることになる(図1で例示する「スライド」動作)。
【0023】
このスライド移動により、継手30のフランジ部4同士は対向して接近し、セグメント10に備わる継手30の楔部52における噛合面8に対し、他セグメント15に備わる継手30の楔部52における噛合面8が当接される。このスライド移動の進行に伴ってこの楔部同士の当接は強くなり、それに応じて楔部52は支持面7に向けて後退(摺動)しつつ噛合することになる。この時、この噛合による楔部52の摺動は弾性体部60における弾性変形によって吸収される。また、楔部52の噛合によって一体化したフランジ部同士は、凹部45の内壁により、凹部45の高さ47以上の離間が規制され、その結合を保ち続ける。こうして継手30同士が結合し、セグメント間の連結がなされる(図1の状態2:ここでは、継手同士の噛合状態を明示する為、セグメントは示していない)。
【0024】
このように、連結対象の各セグメントにおいて同じ継手30を設置すれば本実施形態の継手構造100を構成することが出来るため、C型金物とI型金物をそれぞれ調達して施工する従来技術よりも、部材調達や施工にかかるコストおよび手間が大きく低減可能となる。
【0025】
なお、セグメント10、15に埋設される継手30の他端33には貫通孔37が備わっている。この貫通孔37に充填され固化したコンクリートは、セグメント10、15における継手30の他端33の埋設箇所周囲のコンクリートに対してせん断キーの形となってせん断抵抗を発揮するから、継手30をセグメント10、15から引き抜こうとする引き抜き力に対抗することになる。従って、継手30をセグメント10、15に埋設固定する際の大がかりなアンカー構造等は不要となり、ひいては継手構造100の適用に際しコストや手間の低減が可能となる。継手30の材質としては通常の鋼板を採用できる。なお、前記貫通孔を貫くように鉄筋を配置すれば、上記のせん断抵抗が更に大きくなり、引き抜き力へも更に対抗しやくなる。
【0026】
上述のように、本実施形態の継手構造100においては、連結対象の各セグメント10、15に上述の継手30が同じく設置されて、楔部52同士が摺動可能に噛合し、しかも噛合時における楔部52の摺動を弾性体部60が適宜吸収することが可能である。そのため、セグメント10、15への継手30の設置誤差、或いは連結させるセグメント同士の位置決め誤差が大きい場合でも、それらの誤差を吸収し柔軟に対応できる。図5は本実施形態における継手間の相対距離の概念を示す図であり、図6は本実施形態において継手間距離が異なる場合の継手構造の各断面を示す図である。
【0027】
例えば、セグメント10と他セグメント15が設計値より少し離れて設置・連結されようとした時、或いはセグメント10における継手30aのセグメント内固定位置が設計値より少しセグメント10内側に偏っている場合、或いはセグメント15における継手30bのセグメント内固定位置が設計値より少しセグメント15内側に偏っている場合、対向する各継手30a、30bの楔部52a、52bの相対距離70は、設計値どおりに施工、或いは製造されるものより短くなる。すなわち、継手間距離が狭くなる。
【0028】
この場合、相対距離70が短いので、セグメント10の凹部45に挿入された、セグメント15に備わる継手30bのフランジ部4bが、セグメント10に備わる継手30aのフランジ部4aに向けてスライド移動すると、楔部52a、52bの噛合面8a、8bが互いに強く圧接されるが、弾性体部60は、この圧接による力を変形により十分吸収できるものに設定されており、図6に示すごとく、継手間距離が標準(セグメント10と他セグメント15が設計値どおりの距離で設置・連結され、セグメント10における継手30aのセグメント内固定位置が設計値どおりであり、セグメント15における継手30bのセグメント内固定位置も設計値どおりの場合)である時と比較して大きく圧縮されて楔部52a、52bの摺動を許容する。
【0029】
一方、セグメント10と他セグメント15が設計値より少し近づいて設置・連結されようとした時、或いはセグメント10における継手30aのセグメント内固定位置が設計値より少しセグメント10外側に偏っている場合、或いはセグメント15における継手30bのセグメント内固定位置が設計値より少しセグメント15外側に偏っている場合、対向する各継手30a、30bの楔部52a、52bの相対距離70は、設計値どおりに施工、或いは製造されるものより長くなる。すなわち、継手間距離が広くなる。
【0030】
この場合、相対距離70が長いので、セグメント10の凹部45に挿入された、セグメント15に備わる継手30bのフランジ部4bが、セグメント10に備わる継手30aのフランジ部4aに向けてスライド移動すると、楔部52a、52bの噛合面8a、8bが標準時よりも弱く圧接されるが、弾性体部60は楔部52a、52bの付勢手段でもあるから、噛合面8a、8bにおいて或る程度の圧接が生じていれば、それに応じて適宜に圧縮されつつ、楔部52a、52bの摺動を許容する。
【0031】
なお、上述してきた実施形態における楔部52は、図に例示したように平面形状が直角三角形であった。しかしながらこれに限定されることはなく、楔部間が適宜摺動しつつ確かに噛合できる形状であればその他の三角形状のものも採用できる。例えば、楔部52の先端(対向する他の楔部52と向き合う頂部)の角度を2倍(上記の直角三角形を長辺で貼り合わせた二等辺三角形)にすれば、楔同士の噛み合いに際し、継手30のスライド移動に伴う楔部52の摺動感度も2倍となり、効率的に上述の設置誤差等を吸収できる効果が得られる。こうした、優れた設置誤差吸収の効果は、例えば、上述した本実施形態のフランジ部4(楔部52や弾性体部60含む)を従来のI型継手先端に設けてセグメントの一方に設置し、他方のセグメントにはC型継手を設けて継手構造をなすとした場合の効果と比べても、相対的に更に大きなものとなる。
【0032】
但し、楔部52の先端の角度が所定の角度以上となれば、楔同士の噛み合い構造とはならず、単に正対に近い対向面同士の当接しか生じない。従って、楔部52の噛合面8の摩擦性状と弾性体部60の弾性などを勘案し、上記先端の角度は楔部同士が互いに噛合する範囲の角度とすればよい。
【0033】
以上、本実施形態によれば、金具やセグメントの設置誤差に幅広く対応可能な継手構造を提供できる。
【0034】
本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
3 ウェブ部
4 フランジ部
7 支持面
8 噛合面
10 セグメント
11 当接面
15 他セグメント
16 当接面
30 継手
31フランジ部の幅
32 一端
33 他端
34 継手の板幅
35 継手の最大厚
36 継手における突出長さ
37 貫通孔
39 摺動面
40 挿通開口
41 受入領域
42 噛合領域
45 凹部(凹部)
46 凹部の奥行き
47 凹部の高さ
52 楔部
53 底部
60 弾性体部
100 セグメントの継手構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント同士を連結する継手構造であり、
連結対象のセグメントのうち一方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面の凹部にて一端が露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手と、
連結対象のセグメントのうち他方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面にて露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手とから構成され、
前記一方のセグメントに備わる前記凹部に対し、前記他方のセグメントに備わる継手の楔部が挿入され、前記凹部にて露出している前記一方のセグメントに備わる楔部に対し、前記他方のセグメントに備わる楔部が摺動しながら噛合して継手同士が結合し、セグメント間を連結してなることを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項2】
請求項1において、
セグメント内に固定される前記継手の一端に貫通孔が備わることを特徴とするセグメントの継手構造。
【請求項3】
セグメント同士を連結する継手構造であり、連結対象のセグメントのうち一方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面の凹部にて一端が露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手と、連結対象のセグメントのうち他方のセグメントにおいて、セグメント同士の当接面にて露出するよう固定されたウェブ部と、前記ウェブ部の一端に備わるフランジ部と、前記フランジ部において前記当接面と略平行に摺動可能である楔部と、前記楔部に対し前記当接面と略平行に弾性変形する弾性体部とからなる継手とから構成され、前記一方のセグメントに備わる前記凹部に対し、前記他方のセグメントに備わる継手の楔部が挿入され、前記凹部にて露出している前記一方のセグメントに備わる楔部に対し、前記他方のセグメントに備わる楔部が摺動しながら噛合して継手同士が結合し、セグメント間を連結してなることを特徴とするセグメントの継手構造を備えることを特徴とするセグメント。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104278(P2013−104278A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250947(P2011−250947)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(501122850)株式会社アイ・エル・シー (8)
【Fターム(参考)】