説明

セグメント化ポリアリーレンエーテルブロックコポリマー

本発明は、一般式A−K−X−K−Aによるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーに関し、ここで、−X−は、少なくとも5,000g/molの数平均分子量を有するポリアリーレンエーテルセグメントであり、かつA−は、一般構造R2NH−(R1−NH−CO−Ar−CO−NH)n−R1−NH−[式中、R1は炭素原子2〜12個を有する線状又は分枝鎖状のアルキレン基であり、かつArは炭素原子6〜18個を有するアリーレン基であり、R2はアリーロイル、アルキロイル及びHから選択され、かつnは個数基準の重み付き平均で1〜3である]のセグメントであり、かつそれぞれAは、構造−CO−Ar3−CO−[式中、Ar3は炭素原子6〜18個を有する芳香族基である]のカップリング基Kを介してXに結合されている。本発明はさらに、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの製造方法、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーを含有するポリマー組成物並びに成形体、フィルム、繊維又はフォームを製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式A−K−X−K−Aによるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーに関するものであり、ここで、
・−X−は、少なくとも5,000g/molの数平均分子量を有するポリアリーレンエーテルセグメントであり、かつ
・A−は、一般構造
2NH−(R1−NH−CO−Ar−CO−NH)n−R1−NH−
[式中、R1は、炭素原子2〜12個を有する線状又は分枝鎖状のアルキレン基であり、かつArは、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基であり、R2は、アリーロイル、アルキロイル及びHから選択され、かつ式中、nは、個数基準の重み付き平均で1〜3である]で示されるセグメントであり、かつ
・それぞれAは、構造−CO−Ar3−CO−[式中、Ar3は、炭素原子6〜18個を有する芳香族基である]のカップリング基Kを介してXに結合されている。
【0002】
本発明は、さらに、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの製造方法、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーを含有するポリマー組成物並びに成形体、フィルム、繊維又はフォームを製造するためのそれらの使用に関する。
【0003】
ポリアリーレンエーテルは、高性能熱可塑性プラスチックの群に属しており、かつそれらの高い熱変形温度及び耐薬品性に基づいて、高度に要求される用途において使用される。文献からは、そのうえ、官能化ポリアリーレンエーテルが、熱硬化性マトリックスの靭性向上剤(Zaehmodifier)として使用できることが知られている(R.S. Raghava, J. Polym. Sci., Part B: Polym. Phys., 25, (1987) 1017; J.L. Hedrick, I. Yilgor, M. Jurek, J.C. Hedrick, G.L. Wilkes, J.E. McGrath, Polymer, 32 (1991), 2020)。
【0004】
ポリアリーレンエーテルの耐応力亀裂性及び耐溶剤性は、しかしながら多くの用途にとって満足のいくものではない。
【0005】
Husken et al., Polymer 45 (2004), 4837-4843には、ポリ(テトラメチレンオキシド)セグメントとテトラミドセグメントとから構成されている、均一なアミドセグメントを有するセグメント化ブロックコポリマーが記載されている。
【0006】
国際公開(WO)第03/070806号には、少なくとも3個のアミド基を有するアミドセグメントと、高いガラス転移温度を有するポリマーをベースとするセグメントとから構成されているセグメント化ブロックコポリマーが記載されている。前記ブロックコポリマーは、前記のセグメントが互いに交互に結合しているマルチブロック構造を有する。セグメント化構造は、溶融物からの迅速な結晶化をもたらす。
【0007】
しかしながら、そのようなセグメント化マルチブロック構造は、匹敵しうる機械的性質の場合に、高いガラス転移温度を有する無定形ポリマーの耐溶剤性及び耐応力亀裂性の全ての用途に十分な改善をもたらさない。
【0008】
本発明の課題は、前記の欠点を有しないか又はより少ない程度で有する、ポリアリーレンエーテルをベースとする材料を提供することであった。
【0009】
特に、本発明の課題は、高い衝撃強さ、高いガラス転移温度及び高い強さと同時に高い耐応力亀裂性を有する材料を提供することにあった。公知のポリアリーレンエーテルスルホンの耐溶剤性及び耐応力亀裂性は、機械的性質の有意な悪化を受けることなく、改善されるべきであった。
【0010】
前記の課題は、本発明によるポリマー組成物により及び本発明による方法により解決される。公知のポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの構造の最適化により及び新規の製造方法の開発により、前記材料の性質は、現在の技術水準に比べて改善されることができた。
【0011】
好ましい実施態様は、特許請求の範囲及び以下の記載から読みとることができる。好ましい実施態様の組合せは、本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0012】
本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーは、一般式A−K−X−K−Aによる構造を有し、ここで、
・−X−は、少なくとも5,000g/molの数平均分子量を有するポリアリーレンエーテルセグメントであり、かつ
・A−は、一般構造
2NH−(R1−NH−CO−Ar−CO−NH)n−R1−NH−
[式中、R1は、炭素原子2〜12個を有する線状又は分枝鎖状のアルキレン基であり、かつArは、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基であり、R2は、アリーロイル、アルキロイル及びHから選択され、かつ式中、nは、個数基準の重み付き平均で1〜3である]で示されるセグメントであり、かつ
・それぞれAは、構造−CO−Ar3−CO−[式中、Ar3は、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基である]のカップリング基Kを介してXに結合されている。
【0013】
ポリアリーレンエーテルセグメントX
好ましくは、Xは、一般式I:
【化1】

[式中、次の意味を有する
t、qは、互いに独立して0、1、2又は3であり、
Q、T、Yは、互いに独立してそれぞれ、化学結合又は−O−、−S−、−SO2−、S=O、C=O、−N=N−、−CRab−から選択される基であり、ここでRa及びRbは互いに独立してそれぞれ、水素原子を表すか又はC1〜C12−アルキル基、C1〜C12−アルコキシ基又はC6〜C18−アリール基を表し、ここでQ、T及びYの少なくとも1個は、−O−とは異なり、かつQ、T及びYの少なくとも1個は、−SO2−を表し、かつ
Ar1、Ar2は、互いに独立して、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基である]で示される繰返し単位から構成されている。
【0014】
ブロックXは、両端で好ましくは酸素原子を介して、カップリング基Kと結合している。
【0015】
少なくとも5,000g/molであるブロックXの個数基準の重み付き平均分子量は、幅広い範囲にわたっていてよい。Xが、少なくとも10,000g/mol、特に少なくとも15,000g/mol及び特に好ましくは少なくとも20,000g/molの数平均分子量を有する場合が好ましい。この範囲内の分子量は、機械的性質、特に衝撃強さ及び引張破壊ひずみに有利な影響を及ぼす。個数基準の重み付き平均分子量は、本発明の範囲内で、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて0.1%トリフルオロ酢酸を有する溶剤テトラヒドロフラン中で標準として狭い分布のポリスチレンに対して測定される。
【0016】
Q、T又はYが、前記の前提条件下で化学結合である場合には、左側に隣接した基及び右側に隣接した基が、化学結合を介して互いに直接結合して存在することであると理解されるべきである。
【0017】
好ましくは、式(I)中のQ、T及びYはいずれにせよ、互いに独立して、化学結合及び官能基−O−及び−SO2−から選択されるが、但し、Q、T及びYからなる群の少なくとも1個が−SO2−を表す。
【0018】
Q、T又はYが−CRab−である場合には、Ra及びRbは、互いに独立してそれぞれ、水素原子を表すか又はC1〜C12−アルキル基、C1〜C12−アルコキシ基又はC6〜C18−アリール基を表す。
【0019】
好ましいC1〜C12−アルキル基は、炭素原子1〜12個を有する線状及び分枝鎖状の、飽和アルキル基を含む。特に、次の基を挙げることができる:C1〜C6−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、2−又は3−メチル−ペンチル及び長鎖の基、例えば非分岐のヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル及びそれらの一分岐又は多分岐した類似体。
【0020】
前記の使用可能なC1〜C12−アルコキシ基中のアルキル基として、炭素原子1〜12個を有するさらに上記で定義されたアルキル基が考慮に値する。好ましくは使用可能なシクロアルキル基は、特にC3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロペンチルブチル、シクロペンチルペンチル、シクロペンチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルジメチル、シクロヘキシルトリメチルを含む。
【0021】
Ar1及びAr2は、互いに独立して、C6〜C18−アリーレン基を意味する。Ar1は、好ましくは、電子豊富で、求電子的な攻撃を受けやすい芳香族物質から誘導され、これは好ましくはヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシナフタレン、特に2,7−ジヒドロキシナフタレン、及び4,4′−ビスフェノールからなる群から選択される。好ましくは、Ar1は、非置換のC6−又はC12−アリーレン基である。
【0022】
6〜C18−アリーレン基として、Ar1及びAr2は特にフェニレン基、例えば1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン、ナフチレン基、例えば1,6−、1,7−、2,6−及び2,7−ナフチレン、並びにアントラセン、フェナントレン及びナフタセンから誘導されたアリーレン基が考慮に値する。
【0023】
好ましくは、Ar1及びAr2は、式(I)による好ましい実施態様において、互いに独立して、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、特に2,7−ジヒドロキシナフチレン、及び4,4′−ビスフェニレンからなる群から選択される。
【0024】
式Iによる好ましい繰返し単位は、次の繰返し構造単位Ia〜Ioの少なくとも1種を含有するものである:
【化2】

【0025】
【化3】

【0026】
好ましくは存在する構成要素Ia〜Ioに加えて、1種又はそれ以上の1,4−ジヒドロキシフェニル単位が、レソルシノール単位又はジヒドロキシナフタレン単位により置き換えられている構成要素も好ましい。
【0027】
一般式Iの構成要素として特に好ましいのは、構成要素Ia、Ig及びIkである。さらに、ポリアリーレンエーテルが一般式Iの構成要素の種類から、特にIa、Ig及びIkから選択される構成要素から実質的に構成されている場合が特に好ましい。構成要素Ia、IgもしくはIkをベースとするポリアリーレンエーテルスルホンは、本発明の範囲内で、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)もしくはポリエーテルスルホン(PESU)と呼ばれる。
【0028】
特に好ましい一実施態様において、Ar1=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=−C(CH32−及びY=SO2である。この構造は、ポリスルホン(PSU)に相当する。
【0029】
セグメントA
本発明によれば、A−は、一般構造
2NH−(R1−NH−CO−Ar−CO−NH)n−R1−NH−
[式中、
・R1は、炭素原子2〜12個を有する線状又は分枝鎖状のアルキレン基であり、かつ
・Arは、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基であり、
・R2は、アリーロイル、アルキロイル及びHから選択され、
・式中、nは、個数基準の重み付き平均で1〜3であり、かつ
・ここで、それぞれAは、構造−CO−Ar3−CO−[式中、Ar3は、炭素原子6〜18個、好ましくは6〜12個を有するアリーレン基である]のカップリング基Kを介してXに結合されている]で示されるセグメントである。
【0030】
1は、好ましくは、線状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基、すなわち炭素原子2〜8個を有するアルキレン基、特に炭素原子2〜8個を有する線状の脂肪族炭化水素基である。
【0031】
1は特に好ましくは、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、ジメチルプロピレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン(ヘキサメチレン)、n−オクチレン又はn−ドデシレンを意味する。極めて特に好ましくは、R1はヘキサメチレンである。
【0032】
Arは、Ar3と同じように、好ましくは1,4−フェニレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,2′−、2,4′−、又は4,4′−ビフェニレンを意味する。好ましくは、Ar=1,4−フェニレンである。
【0033】
特に好ましくは、R1は、炭素原子2〜8個を有する線状の脂肪族炭化水素基(アルキレン基)であり、かつAr=1,4−フェニレンである。
【0034】
好ましくは、nは数平均で1〜2、特に実質的に1である。特に好ましくはn=1である。このことは、相応するセグメントの低い多分散性及び特に高い結晶化度並びに有利な性質をもたらす。
【0035】
好ましい一実施態様において、R2はアリーロイル又はアルキロイルである。アリーロイルという概念は、カルボニル基と結合している芳香族炭化水素基を表す(アリール−CO−)。アルキロイルという概念は、カルボニル基と結合している脂肪族炭化水素基を表す(アルキル−CO−)。もちろん、カルボニル基と結合している芳香脂肪族基も考慮に値する(アラリファート−CO−)。
【0036】
前記の基R2(アリーロイル又はアルキロイル)の使用は、それゆえ存在している付加的なアミド基が、熱安定性の改善及び母体であるセグメントAの融点の増加をもたらし、このことが、セグメントXのTgに比べてより高い温度差を生じるという利点を有する。これにより、溶融物は有利には結晶化時間をより多く得る。特に好ましくはR2=アリーロイルである。
【0037】
好ましいアリーロイル基は、構造Ar−CO−を有し、ここでArは上記で定義された意味を有する。アリーロイル基中及びセグメントAの"内部"での同一の基Arの使用は、前記構造の構造的類似性に基づいて、結晶化度傾向を改善し、かつ特に良好な耐応力亀裂性及び耐溶剤性をもたらす。アリーロイル基は、原則的には、炭素原子6〜18個、特に炭素原子6〜12個を有する芳香族基をベースとしていてよい。
【0038】
アリーロイルの好ましい例は、ベンジロイル、ナフチロイル及びフェニルプロピオニルである。
【0039】
好ましいアルキロイル基は、構造R4−CO−を有する。R4は、原則的には、炭素原子1〜20個、特に2〜10個、好ましくは炭素原子3〜8個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であってよい。
【0040】
アルキロイルの好ましい例は、ブチリル、バレリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル及びシクロヘキサンカルボニルである。
【0041】
好ましくは、R2は、この第一実施態様の範囲内でベンゾイルである。
【0042】
好ましい第二実施態様において、R2=Hである。この実施態様の利点は、満足のいく熱安定性と同時に単純な生産性にある。しかしながら、前記の第一実施態様が、前記の理由から第二実施態様(R2=H)に比べて好ましい。
【0043】
前記のセグメントAは、当業者にそれ自体として知られており、かつKrijgsman et al., Polymer 44 (2003), p.7043-7053に記載されており、それらの内容は参照により全面的に取り入れられる。xTxと呼ばれるそこに記載されたセグメントは、有利に本発明の範囲内で使用されることができる。"x"は、その際にx個のメチレン基を有するアルキレン基を表す(すなわち6=ヘキサメチレン等)。
【0044】
本発明によれば、カップリング基は、構造K−CO−Ar3−CO−を有し、ここでAr3は、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基である。Ar3は、Arのもとで説明された意味を有していてよい。
【0045】
好ましくはAr=Ar3である。これにより、それぞれの構成要素は、高められた構造的類似性を有する。このことは、機械的性質が変わらない場合に、より高い結晶化度及び改善された耐溶剤性及び耐応力亀裂性をもたらす。
【0046】
カップリング基Kは、好ましくは−CO−1,4−フェニレン−CO−である。これにより、高いレベル(Auspraegung)の結晶核の形成が促進され、このことは、特に高い耐応力亀裂性をもたす。
【0047】
本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの製造方法
本発明によれば、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの製造方法は、次の工程:
(a)本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの範囲内で定義されるような繰返し単位から構成されており、かつ実質的にフェノラート末端基又はフェノール性末端基を有する少なくとも1種のポリアリーレンエーテルX*、及び本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの範囲内で定義されるような意味を有する構造NH2−(R1−NHCO−Ar−CO−NH)n−R1−NH2のアミドセグメントA*を用意する工程及び引き続き
(b)構造要素−CO−Ar−CO−[式中、Arは、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの範囲内で定義されるような意味を有する]を有するカップリング剤K*を用いて、X* 1mol対A* 2molの化学量論比でX*及びA*をカップリングする工程
を含む。
【0048】
当業者には、表記X*、A*及びK*が、本発明による方法において反応性である適した末端基を付加的に有する、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの構造X、A及びKに相当することは自明である。この種の末端基は、当業者に知られている。A*は、Aとは、R2=Hであることによっても相違することが挙げられる。後者の基は、引き続き反応により、R2=アリーロイル又はアルキロイルへ変換されることができる、下記参照。
【0049】
フェノラート末端基は、本発明の範囲内で、芳香核に結合されている末端基型の負に帯電した酸素原子であると理解される。これらの末端基は、フェノール性末端基から、プロトンの除去により誘導される。フェノール性末端基は、本発明の範囲内で、芳香核に結合されているヒドロキシ基であると理解される。
【0050】
"実質的にフェノラート末端基又はフェノール性末端基"という概念は、存在している末端基の少なくとも80%(すなわち100個のうち少なくとも80個)が、フェノラート末端基又はフェノール性末端基のいずれかであると理解されるべきである。
【0051】
好ましくは、ポリアリーレンエーテルX*の末端基の少なくとも85%、特に少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、極めて特に好ましくは少なくとも98%が、フェノラート末端基又はフェノール性末端基である。
【0052】
フェノラート末端基もしくはフェノール性末端基の割合の測定は好ましくは、電位差滴定を用いてOH末端基として測定し、かつ原子分光法を用いて有機結合したハロゲン末端基を測定し、引き続きそれぞれの数の割合[%]を計算することにより行われる。相応する方法は、当業者に知られている。選択的に、それぞれの末端基の割合の測定は、13C−核スピン共鳴分光法を用いて行われることができる。
【0053】
当業者には、フェノラート末端基が、アミド基の形成の際により高い反応性を有することが知られている。当業者は、それゆえ好ましくは、存在している場合には、フェノール性末端基を、塩基の添加によりまず最初に又はその場で、部分的に又は完全にフェノラート末端基へ変換させる。
【0054】
好ましいセグメントX*は、それゆえ、Xの範囲内で定義されるような繰返し単位を有し、その際に末端基は、フェノラート末端基又はフェノール性末端基である。この種のポリアリーレンエーテルは、以下に単純化してOH末端ポリアリーレンエーテルと呼ぶ。
【0055】
OH末端ポリアリーレンエーテルの製造は、当業者に十分に知られている。OH末端ポリアリーレンエーテルの製造は一般的に、双極性非プロトン性溶剤(好ましくはN−メチルピロリドン)及び塩基としての炭酸カリウム中での芳香族ジハロゲン化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物の求核重縮合により行われる。その際に、芳香族ジヒドロキシ化合物は、芳香族ジハロゲン化合物1molに対して通常1.05〜1.08molのモル過剰量で使用される。
【0056】
OH末端ポリアリーレンエーテルは、好ましい第一実施態様において、溶剤(L)中に溶解された反応生成物として直ちに、さらに後処理せずに使用されることができる。この変法は、これがプロセス工学的に特に単純に実施できるという利点を有する。
【0057】
好ましい第二実施態様において、OH末端ポリアリーレンエーテルは、後処理により純品で取得される。そのような後処理は、好ましくは、ろ過及び引き続き水中又は水とN−メチルピロリドンとの混合物中での沈殿である。
【0058】
好ましくは、使用されるポリアリーレンエーテルのフェノール性末端基の割合は、ポリマー組成物の全量を基準としてOHの質量として計算して、OH 少なくとも0.1質量%、特に少なくとも0.12質量%、特に好ましくは少なくとも0.15質量%である。
【0059】
ポリアリーレンエーテルの全量を基準として、OHの質量としてのフェノール性末端基の測定は、電位差滴定を用いて行われる。このためには、前記ポリマーは、ジメチルホルムアミドに溶解され、かつトルエン/メタノール中の水酸化テトラブチルアンモニウムの溶液で滴定される。終点検出は、電位差測定により行われる。
【0060】
アミドセグメントA*の製造は、好ましくは相応する二酸及び相応するジアミンとの反応により行われ、その際にジアミンは、好ましくは3対1〜10対1、特に6対1〜8対1の過剰量で使用される。生成物は、引き続き沈殿され、洗浄され、かつ再結晶される。これにより、特に均一な生成物が得られることができる。
【0061】
アミドセグメントA*の製造は、その際に、好ましくは、一般式H2N−R1−NH−CO−Ar−CO−NH−R1−NH2のセグメントとして行われ、ここでR1及びArは、上記で定義された意味を有する。
【0062】
適したアミドセグメントA*の製造は、Krijgsman et al., Polymer 44 (2003), p.7043-7053に記載されている。
【0063】
本発明によれば、処理工程(b)により、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの範囲内で定義されるような構造要素−CO−Ar3−CO−を有するカップリング剤K*を用いて、X* 1mol対A* 2molの化学量論的比でのX*及びA*のカップリングが行われる。
【0064】
カップリングは、その際に、X*、A*及びK*の化学反応により行われる。第一実施態様においては、第一工程においてX*はK*と反応される。これにより、末端基が変性されたものである反応性ポリアリーレンエーテルが得られることができ。好ましくは、前記反応は、塩基、好ましくは脂肪族アミン、特にN−エチルジイソプロピルアミンの存在で行われる。第二工程において、引き続き、得られた生成物とA*との反応が行われる。
【0065】
本発明に本質的であるのは、X* 1mol対A* 2molの化学量論比でX*及びA*のカップリングを実施することである。これにより、本発明によるトリブロックコポリマーが形成される。X* 1mol対A* 2molの化学量論比は、X* 1molあたりA* 1.9〜2.15molが使用されることによって、好ましくは達成される。特に好ましいのは、X* 1molあたりA* 1.95〜2.05molの比である。
【0066】
好ましい第二実施態様において、第一工程においてA*はK*と反応される。これにより、変性アミドセグメントが得られる。第二工程において、引き続きX*との反応が行われる。
【0067】
構造要素−CO−Ar3−CO−を有するカップリング剤K*の末端基として、アミン基及びヒドロキシ基に対して反応性である末端基が考慮に値する。
【0068】
適した反応性末端基は、特に無水物及び酸ハロゲン化物、特に酸塩化物である。好ましくは、カップリング剤K*は酸二塩化物である。特に好ましくは、カップリング剤Kはテレフタル酸ジクロリドである。
【0069】
好ましい一実施態様において、工程(b)の後に、工程(c)により、得られた反応生成物と構造Ar−CO−Clの化合物との反応が行われ、ここでArは、上記で定義された意味を有する。
【0070】
好ましくは、本発明による方法の工程(d)により、引き続き、固体としてのポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの取得が行われる。
【0071】
原則的に、固体として取得する多様な方法が考慮に値する。しかしながら、沈殿によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの取得が好ましい。
【0072】
好ましい沈殿は、特に溶剤(L)と貧溶剤(L′)との混合物により行われることができる。貧溶剤は、ポリアリーレンエーテルブロックコポリマーが溶解しない溶剤である。そのような貧溶剤は、好ましくは、非溶剤及び溶剤の混合物である。好ましい非溶剤は水である。溶剤と非溶剤との好ましい混合物(L′)は、好ましくは溶剤(L)、特にN−メチル−4−ピロリドンと、水との混合物である。工程(b)もしくは工程(c)からのポリマー溶液を貧溶剤(L′)に添加することが好ましく、このことはポリマー組成物の沈殿をもたらす。その際に、好ましくは貧溶剤の過剰量が使用される。特に好ましくは、工程(b)もしくは工程(c)からの微細分散した形、特に液滴形のポリマー溶液の添加が行われる。
【0073】
貧溶剤(L′)として、溶剤(L)、特にN−メチル−2−ピロリドンと、非溶剤、特に水との混合物が使用される場合には、1:2〜1:100、特に1:3〜1:50の溶剤:非溶剤の混合比が好ましい。
【0074】
沈殿は、溶剤(L)中のポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの含量が、ポリマー組成物及び溶剤(L)の混合物の全質量を基準として10〜50質量%、好ましくは15〜35質量%である場合に、特に効率的に行われる。
【0075】
ポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの精製は、当業者に知られた方法、例えば、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーが好ましくは実際上不溶である適した溶剤での洗浄により、行われる。
【0076】
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーを含有するポリマー組成物である。本発明によるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーは、特に成形体、フィルム、繊維又はフォームの製造に適している。
【0077】
本発明による構造により、よい機械的性質及び改善された耐溶剤性の特に有利な組合せが達成される。トリブロックコポリマー構造は、セグメントXの与えられた分子量のために材料中の結晶質割合を最大限にすることを可能にする。そのうえ、セグメントXの高い分子量は、良好な機械的性質を生じさせるために有利である。
【0078】
次の実施例は本発明をより詳細に説明するが、本発明を限定するものではない。
【0079】
実施例
ポリアリーレンエーテルの粘度数を、DIN EN ISO 1628-1に従いN−メチルピロリドンの1%溶液中で25℃で測定した。
【0080】
機械的試験:衝撃強さ試験を、ISO179-2/1eU(ノッチなし、an)及びISO179-2/1eA(ノッチ付き、ak)に従って実施した(いわゆるシャルピー衝撃強さ)。引張試験を、ISO 527-2に従って実施した。ISO 527-2による引張試験の範囲内で、引張破壊ひずみ及び降伏点並びに弾性率Eを測定した。
【0081】
耐溶剤性:視覚的な観察を、80℃の温度で溶剤FAM B中で射出成形片(中央部分80×10×4mm3を有するダンベル形試験片)の形態のそれぞれの材料を24hかけて貯蔵した後に、行った。
【0082】
Mn=20,000g/molを有するOH−PSU−OHの合成(生成物PSU20):
ポリアリールエーテルを、NMP 1053ml中の炭酸カリウム297.15gの作用下でのジクロロジフェニルスルホン 574.16g、ビスフェノールA 466.77gの求核芳香族重縮合により得た。この混合物を、窒素雰囲気下に190℃で6時間保持した。その後、バッチをNMP 1947mlの添加により希釈し、固体成分をろ過により分離し、前記ポリマーを、NMP/水 1/4中での沈殿により単離した。水での入念な洗浄後に、生成物を真空下に120℃で12h乾燥させた。生成物の粘度数は、40ml/gであった。
【0083】
Mn=10,000g/molを有するOH−PSU−OHの合成(生成物PSU10):
ポリアリールエーテルを、NMP 1053ml中の炭酸カリウム297.15gの作用下でのジクロロジフェニルスルホン574.16g、ビスフェノールA 477.22gの求核芳香族重縮合により得た。この混合物を、窒素雰囲気下に190℃で6時間保持した。その後、バッチをNMP 1947mlの添加により希釈し、固体成分をろ過により分離し、前記ポリマーを、NMP/水 1/4中での沈殿により単離した。水での入念な洗浄後に、生成物を、真空下に120℃で12h乾燥させた。生成物の粘度数は、27ml/gであった。
【0084】
アミドセグメント6T6の合成:
アンカー撹拌機、還流冷却器及びN2不活性化装置を備えた4l二重ジャケット反応器中に、1,6−ジアミノヘキサン696g(6.0mol)を装入し、80℃に加熱した。ジメチルテレフタラート145.5g(0.75mol)を前記ジアミンに計量供給し、混合物を4時間撹拌した。引き続き、反応媒体を冷却し、1.5lトルエン中に希釈した。生成物は沈殿し、ろ過により単離した。これを熱トルエン(80℃)で洗浄し、ろ別した。この過程を8回実施した。引き続き、前記方法を室温でジエチルエーテルで2回繰り返した。ろ過ケークを、50℃で一晩にわたって真空下に乾燥させた。
【0085】
PSU20からのセグメント化トリブロックコポリマー6T6T−PSU−T6T6の合成(例1):
PSU20 500gを、反応器中で、30℃でジクロロメタンに溶解させた。この溶液に、N−エチルジイソプロピルアミン19.4gを計量供給した。5min後に、ジクロロメタン 250mlに溶解したテレフタル酸ジクロリド(10.2g)を計量供給した。15min後に、NMP 800mlに120℃で溶解させた6T6 18.1gを、この反応混合物に計量供給した。引き続き、90℃で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタンを留去し、同時にNMPで希釈した。生成物の後処理を、NMP/水 1/4中でのコポリマーの沈殿により行った。生成物を、入念に水で洗浄し、真空下に150℃で2日間乾燥させた。生成物の粘度数は、84ml/gであった。
【0086】
最後に、生成物を、PTW16二軸スクリュー押出機中で330℃(バレル温度)で粒状化させ、射出成形機中で引張試験片に射出した(abgespritzt)。
【0087】
PSU10からのセグメント化トリブロックコポリマー6T6T−PSU−T6T6の合成(例2):
PSU10 500gを、反応器中で、30℃でジクロロメタンに溶解させた。この溶液に、N−エチルジイソプロピルアミン38.7gを計量供給した。5min後に、ジクロロメタン250mlに溶解したテレフタル酸ジクロリド(20.3g)を計量供給した。15min後に、NMP 800mlに120℃で溶解させた6T6 36.2gを、この反応混合物に計量供給した。引き続き、90℃で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタンを留去し、同時にNMPで希釈した。生成物の後処理を、NMP/水 1/4中でのコポリマーの沈殿により行った。生成物を、入念に水で洗浄し、真空下に150℃で2日間乾燥させた。生成物の粘度数は、68ml/gであった。
【0088】
最後に、生成物をPTW16二軸スクリュー押出機中で330℃(バレル温度)で粒状化させ、射出成形機中で引張試験片に射出した。
【0089】
PSU10からのセグメント化マルチブロックコポリマー(PSU−T6T6)nの合成(比較例3、V3):
PSU10 500gを、反応器中で、30℃でジクロロメタンに溶解させた。この溶液に、N−エチルジイソプロピルアミン38.7gを計量供給した。5min後に、ジクロロメタン250mlに溶解したテレフタル酸ジクロリド(20.3g)を計量供給した。15min後に、NMP 800mlに120℃で溶解させた6T6 18.1gを、この反応混合物に計量供給した。引き続き、90℃で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタンを留去し、同時にNMPで希釈した。生成物の後処理を、NMP/水 1/4中でのコポリマーの沈殿により行った。生成物を、入念に水で洗浄し、真空下に150℃で2日間乾燥させた。
【0090】
最後に、生成物を、PTW16二軸スクリュー押出機中で330℃(バレル温度)で粒状化させ、射出成形機中で引張試験片に射出した。
【0091】
セグメント化トリブロックコポリマーB6T6T−PSU−T6T6Bの合成(例4):
ポリアリーレンエーテルを、NMP 714ml中の炭酸カリウム201.5gの作用下でのジクロロジフェニルスルホン389.3g、ビスフェノールA 316.5gの求核芳香族重縮合により得た。この混合物を、窒素雰囲気下に190℃で6時間保持した。その後、バッチをNMP 1036mlの添加により希釈した。
【0092】
NMP中のPSU溶液に、N−エチルジイソプロピルアミン23.26gを計量供給した。5min後に、ジクロロメタン 250mlに溶解したテレフタル酸ジクロリド(12.18g)を計量供給した。15min後に、NMP 500mlに120℃で溶解させた6T6 21.75gを、この反応混合物に計量供給した。引き続き、80℃で1時間撹拌した。反応媒体を、引き続き30℃に冷却した。塩化ベンゾイル8.43gを計量供給した。30min後に、溶液をNMP 500mlで希釈した。
【0093】
生成物の後処理を、固体成分のろ過及び前記コポリマーのNMP/水 1/4中での沈殿により行った。生成物を、入念に水で洗浄し、真空下に150℃で2日間乾燥させた。生成物の粘度数は、51ml/gであった。
【0094】
最後に、生成物を、ZSK18二軸スクリュー押出機中で325℃(バレル温度)で粒状化させ、ついでガラス繊維40%と共にZSK30二軸スクリュー押出機中で330℃(バレル温度)で配合し、射出成形機中で引張試験片に射出した。
【0095】
比較試験として、次の材料の相応する値を求めた:
比較例5(V5):18,500g/molの個数基準の重み付き平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)を有し、かつガラス繊維40質量%を有するPSU型のポリスルホン。
【0096】
比較例6(V6):18,500g/molの個数基準の重み付き平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)を有するPSU型のポリスルホン。
【0097】
前記の例の材料を、引張試験片(中央部分80×10×4mm3を有するダンベル形試験片)を80℃で24h、FAM B中で貯蔵することによって、耐応力亀裂試験にかけた。引き続き、試料を視覚的に判定した。基準は、その際に、試験の条件下での引張試験片の寸法安定性であった、それというのも、これは、耐溶剤性を半定量的に表現するからである。
【0098】
【表1】

1) 棒の半分が降伏点前に破壊した(脆性破壊)。
2) ここで、σy及びεBはそれぞれ降伏点及び引張破壊ひずみを表す。
3) 耐応力亀裂性:++=容易に膨潤、しかし形状安定;+=膨潤、しかし実質的に形状安定;−=著しく膨潤かつ形状安定でない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造A−K−X−K−Aで示されるポリアリーレンエーテルブロックコポリマーであって、ここで、
・−X−は、少なくとも5,000g/molの数平均分子量を有するポリアリーレンエーテルセグメントであり、かつ
・A−は、一般構造
2NH−(R1−NH−CO−Ar−CO−NH)n−R1−NH−
[式中、R1は、炭素原子2〜12個を有する線状又は分枝鎖状のアルキレン基を表し、かつArは、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基であり、R2はアリーロイル、アルキロイル及びHから選択され、かつnは個数基準の重み付き平均で1〜3である]で示されるセグメントであり、かつ
・ここで、それぞれAは、構造−CO−Ar3−CO−[式中、Ar3は、炭素原子6〜18個を有する芳香族基である]のカップリング基Kを介してXに結合されている、
ポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項2】
Xが、一般式I
【化1】

[式中、
t、qは、互いに独立して0、1、2又は3であり、
Q、T、Yは、互いに独立してそれぞれ、化学結合又は−O−、−S−、−SO2−、S=O、C=O、−N=N−、−CRab−から選択される基であり、ここでRa及びRbは互いに独立してそれぞれ、水素原子又はC1〜C12−アルキル基、C1〜C12−アルコキシ基又はC6〜C18−アリール基を表し、ここでQ、T及びYの少なくとも1個は−O−とは異なり、かつQ、T及びYの少なくとも1個は−SO2−を表し、かつ
Ar1、Ar2は、互いに独立して炭素原子6〜18個を有するアリーレン基である]
の繰返し単位から構成されている、請求項1記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項3】
Xが、ビスフェノールAをベースとするポリアリーレンエーテルスルホンである、請求項1又は2記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項4】
Xが、ポリスルホン(PSU)である、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項5】
Xが、少なくとも15,000g/molの数平均分子量を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項6】
1がヘキサメチレンである、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項7】
Ar及びAr3が1,4−フェニレンである、請求項1から6までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項8】
nが、個数基準の重み付き平均で1〜2である、請求項1から7までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項9】
n=1である、請求項1から8までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項10】
カップリング基Kが、−CO−1,4−フェニレン−CO−である、請求項1から9までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項11】
2がベンゾイル又はHである、請求項1から10までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの製造方法であって、次の工程:
(a)請求項1から11に定義された繰返し単位から構成されており、かつ実質的にフェノラート末端基又はフェノール性末端基を有する少なくとも1種のポリアリーレンエーテルX*と、請求項1から11に定義された意味を有する構造NH2−(R1−NHCO−Ar−CO−NH)n−R1−NH2のアミドセグメントA*とを用意する工程、引き続き
(b)請求項1から11に定義された構造要素Kを有するカップリング剤K*を用いてX* 1mol対A* 2molの化学量論比でX*及びA*をカップリングする工程
を含むことを特徴とする、ポリアリーレンエーテルブロックコポリマーの製造方法。
【請求項13】
カップリング剤K*が酸二塩化物である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
カップリング剤K*がテレフタル酸ジクロリドである、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
ポリアリーレンエーテルX*の末端基の少なくとも80%が、フェノラート末端基又はフェノール性末端基である、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
工程(b)に続き、工程(c)により、得られた反応生成物と、構造Ar−CO−Cl[式中、Arは請求項1から11に定義された意味を有する]の化合物との反応を行う、請求項12から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1から11までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマーを含有する、ポリマー組成物。
【請求項18】
成形体、フィルム、繊維又はフォームを製造するための、請求項1から11までのいずれか1項記載のポリアリーレンエーテルブロックコポリマー又は請求項17記載のポリマー組成物の使用。

【公表番号】特表2012−529544(P2012−529544A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514417(P2012−514417)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057521
【国際公開番号】WO2010/142548
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】