説明

セグメント情報管理システムによるセグメント管理方法

【課題】組み立てた各セグメントの生産履歴を含めた製造データを、セグメント施工データと結合させて適切に管理できるセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法を提供する。
【解決手段】セグメント情報管理システムは、セグメント製造データ記憶部14及びセグメント施工データ記憶部15を有するコンピュータ11と、セグメント10に取り付けられた識別情報部12と、読取りリーダー部13とからなる。搬入時に識別情報部12を読取りリーダー部13で読み取ってセグメント製造データがセグメント製造データ記憶部14に記憶される。組立時に識別情報部12を読み取って各セグメント10が組み立てられるリングが特定されて、シールド掘進管理システム16からのセグメント施工データと共にセグメント施工データ記憶部15に記憶される。識別情報部12の製造番号を介してセグメント製造データとセグメント施工データとが結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工事に用いる多数のセグメントを管理するためのセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工事においては、多数のセグメントをシールド掘進機の後方において順次リング状に組み立てて行くことによってトンネルを構築して行くことになる。また、シールド工事によって構築されたトンネルの品質管理を、当該トンネルの供用後も将来に亘って長期間、適切に管理することができるようにするためには、多数組み立てられた各セグメントの製造データを、生産履歴等を含めて管理する必要があると共に、組み立てられた各リングのセグメントの施工データを、漏れの無いないように管理する必要がある。
【0003】
一方、各セグメントの製造データとしては、主として、セグメント製造番号、セグメント種別、セグメントピース種別、セグメント幅、製造工場、コンクリート打設日、使用したコンクリートのスランプ値等の製造データが含まれ、各セグメントの施工データとしては、組立てた各リングに支持させてシールド掘進機を掘進させた際のリング番号、掘進開始時刻、掘進終了時刻、組立方向、シールド蛇行量、推進力、カッタートルク等のシールド掘進データや、シールド掘進機の後方において、例えばシールドトンネルとして設置された各リングを測量することによって得られた、リング番号、セグメント蛇行量、真円度、ローリング、目違い量、目開き量等の測量データを挙げることができる。
【0004】
これらのうちのセグメント施工データについては、コンピュータに組み込まれた公知の各種のシールド掘進管理システムを用いて、シールド工法に使用する各種の計測器から収集される計測値や、データ入力される測量値を、確立された方法により効率良く一元化して管理することができるが、これらのシールド掘進管理システムによって管理されるデータは、セグメントがリングとして組み立てられた後のデータであって、各リングを構成するセグメントの生産履歴等の製造データを含めた、いわゆるトレーサビリティが可能な管理を適切に行えるものではなかった。
【0005】
これに対して、各セグメントに、それぞれのセグメントを識別するための識別情報を記録した識別記号として、例えばバーコードを付しておき、工場から現場基地への搬入管理、現場基地でのセグメントの在庫管理、セグメントの切羽への搬送管理、切羽でのセグメントの施工管理を、識別記号を読み取って個々のセグメントを識別しつつ行うようにした管理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−21496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の管理方法は、セグメントの搬入計画や現場基地での在庫管理を厳密に行えるようにすると共に、切羽で多種多様のセグメントを誤りなく使い分けるようにすることを目的として用いられる方法であり、多数組み立てられた各セグメントの生産履歴等を含めた製造データを、組み立てられた各リングのセグメントの施工データと結合させて適切に管理できるようにするものではなかった。
【0008】
本発明は、多数組み立てられた各セグメントの生産履歴等を含めた製造データを、組み立てられた各リングのセグメントの施工データと結合させて適切に管理することのできるセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シールド工事に用いる多数のセグメントを管理するためのセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法であって、前記セグメント情報管理システムは、コンピュータと、多数のセグメントに各々取り付けられた各セグメントを識別するための識別情報部と、該識別情報部の情報を読み込む読取りリーダー部とからなり、前記コンピュータは、各セグメントに関する製造データを記憶するセグメント製造データ記憶部と、セグメントを組み立てた後の各リングに関するセグメント施工データを記憶するセグメント施工データ記憶部とを含んでおり、前記セグメント製造データ記憶部は、製造工場から送られる各セグメントに関する製造データを記憶するようになっており、前記セグメント施工データ記憶部は、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値及びデータ入力される測量値を一元管理する機能を備える、シールド掘進管理システムから送られる各リングに関するセグメント施工データを記憶するようになっており、各セグメントは、シールド工事現場において前記識別情報部を前記読取りリーダー部で読み込むことによって、その情報が前記製造工場から送られる各セグメントに関する製造データと結合されて前記セグメント製造データ記憶部に記憶されるようになっており、セグメント組立時に各セグメントの前記識別情報部を前記読取りリーダー部で読み込むことによって、各セグメントが組み立てられるリングが特定されると共に、各リング毎に、前記シールド掘進管理システムから送られるセグメント施工データが前記セグメント施工データ記憶部に記憶されるようになっており、前記読取りリーダー部で読み込まれた前記識別情報部の製造番号を介して、前記セグメント製造データ記憶部に記憶されたセグメント製造データと、前記セグメント施工データ記憶部に記憶されたセグメント施工データとが結合されるようになっており、且つ前記セグメント施工データ記憶部に記憶されたセグメント施工データは、組み立てられた全リングに関する施工データが、前記シールド掘進管理システムから所定のタイミング毎に前記セグメント施工データ記憶部に更新データとして送られて、逐次更新されるようになっているセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法では、組み立てられた全リングに関する施工データが更新データとして前記シールド掘進管理システムから前記セグメント施工データ記憶部に送られる前記所定のタイミングは、各リングの組立時に、前記読取りリーダー部でセグメントの前記識別情報部が読み込まれる際のタイミングであることが好ましい。
【0011】
また、本発明のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法では、前記識別情報部がQRコードからなっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法によれば、多数組み立てられた各セグメントの生産履歴等を含めた製造データを、組み立てられた各リングのセグメントの施工データと結合させて適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るセグメント管理方法が実施されるセグメント情報管理システムの構成を説明する説明図である。
【図2】セグメント製造データ記憶部、シールド掘進データ記憶部、セグメント施工データを記憶されるデータの説明図である。
【図3】ディスプレイに表示されたセグメント施工データ、セグメント製造データ、及びシールド掘進データを例示する説明図である。
【図4】ディスプレイに表示されたセグメントの製造履歴や出荷履歴等の工場データを例示する説明図である。
【図5】ディスプレイに表示されたトンネル情報シートを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい一実施形態に係るセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法は、図1に示すように、シールド工事において用いられる多数のセグメント10に関する生産履歴等を含む製造データを、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値及びデータ入力される測量値を一元管理する機能を備える、公知のシールド掘進管理システム16によるセグメントの施工データと結合させて、いわゆるトレーサビリティが可能な管理を適切に行えるようにすると共に、組み立てられた各リングのセグメントの施工データを、漏れの無いないように管理できるようにするためのコンピュータ11を用いた管理方法として採用されたものである。
【0015】
そして、本実施形態のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法は、シールド工事に用いる多数のセグメント10を管理するための管理方法であって、セグメント情報管理システムは、コンピュータ11と、多数のセグメント10に各々取り付けられた各セグメント10を識別するための識別情報部12と、これらの識別情報部12の情報を読み込む読取りリーダー部13とからなり、コンピュータ11は、各セグメント10に関する製造データを記憶するセグメント製造データ記憶部14と、セグメント10を組み立てた後の各リングに関するセグメント施工データを記憶するセグメント施工データ記憶部15とを含んでいる。
【0016】
また、セグメント製造データ記憶部14は、製造工場から送られる各セグメント10に関する製造履歴データ、出荷履歴データ等の製造データを記憶するようになっており、セグメント施工データ記憶部15は、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値及びデータ入力される測量値を一元管理する機能を備える、シールド掘進管理システム16から送られる各リングに関するセグメント施工データを記憶するようになっている。
【0017】
さらに、各セグメント10は、シールド工事現場において識別情報部12を読取りリーダー部13で読み込むことによって、その受入履歴データに関する情報が製造工場から送られる各セグメント10に関する製造データと結合されてセグメント製造データ記憶部14に記憶されるようになっており、セグメント組立時に各セグメント10の識別情報部12を読取りリーダー部13で組立履歴データとして読み込むことによって、各セグメント10が組み立てられるリングが特定されると共に、各リング毎に、シールド掘進管理システム16から送られるセグメント施工データがセグメント施工データ記憶部15に記憶されるようになっている。
【0018】
さらにまた、読取りリーダー部13で読み込まれた識別情報部12の製造番号を介して、セグメント製造データ記憶部14に記憶されたセグメント製造データと、セグメント施工データ記憶部15に記憶されたセグメント施工データとが結合されるようになっており、且つセグメント施工データ記憶部15に記憶されたセグメント施工データは、組み立てられた全リングに関する施工データが、シールド掘進管理システム16から所定のタイミング毎にセグメント施工データ記憶部15に更新データとして送られて、逐次更新されるようになっている。
【0019】
また、本実施形態のセグメント管理方法では、組み立てられた全リングに関する施工データが更新データとしてシールド掘進管理システムからセグメント施工データ記憶部15に送られる所定のタイミングは、好ましくは各リングの組立時に、読取りリーダー部13でセグメント10の識別情報部12が読み込まれる際のタイミングとなっている。
【0020】
本実施形態では、セグメント情報管理システムは、コンピュータ11と、多数のセグメント10に各々取り付けられた識別情報部12と、識別情報部12の情報を読み取る読取りリーダー部13とによって構成される。
【0021】
コンピュータ11は、データベースサーバとして機能する公知のものであり、例えばパーソナルコンピュータ等を使用することができる。コンピュータ11としてのデータベースサーバは、CPU、ROM、RAM、I/F、記憶手段、入力手段、表示手段、出力手段等を備えている。データベースサーバのCPUは、ROMに組み込まれた制御プログラムに従って、RAMをワークエリアとして使用しながら、データベースサーバの全体の動作を制御する。また、CPUは、各種のコンピュータプログラムがROMに組み込まれていることにより、記憶手段、入力手段、表示手段、出力手段等を機能させると共に、セグメント10の管理に関する種々の情報をデータベース部に記憶させ、所定の情報をディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることができるようになっている。
【0022】
識別情報部12は、多数のセグメントを各々識別するための識別情報を記録した識別記号として、例えばQRコード、バーコード等を付したもの貼付して用いることができる。識別情報部12としてQRコード、バーコード等を付したものを貼付して用いることにより、例えばICタグを用いる場合と比較して、安価に識別情報部12を設けることが可能になり、またセグメント10の搬送や組立作業に支障をきたすことがない。また、特に識別情報部12としてQRコードからなるものを用いることにより、QRコードは、例えばその3割〜4割程度の部分が傷ついて読み取りが困難になっても、残りの部分で情報を読み取ることが可能なので、識別情報部12が傷付きやすいシールド工事現場において使用するのに適している。
【0023】
読取りリーダー部13は、コンピュータ11と有線又は無線の通信ネットワークを介して接続された、QRコードやバーコードを読み取る専用の読取り装置を用いることができる他、携帯電話等の携帯端末を使用することもできる。
【0024】
そして、本実施形態では、セグメント情報管理システムを構成するコンピュータ11は、セグメント製造データ記憶部14と、セグメント施工データ記憶部15とを含んでいる。
【0025】
セグメント製造データ記憶部14は、シールド工事に使用される多数のセグメント10の各々の製造データを記憶する部分であり、このような各セグメントに関する製造データとしては、図2に示すように、例えばセグメントID(製造番号)、セグメント種別、セグメントピース種別、セグメント幅、製造工場、コンクリート打設日、使用したコンクリートのスランプ値、空気量、塩化物量、28日強度、細骨材の産地、粗骨材の産地等を挙げることができる。これらの製造データは、例えば製造工場において各セグメント10に取り付けれらた識別情報部12の中のセグメントID(製造番号)とリンクさせて形成された電子データを、通信ネットワークや外部記憶媒体を介して製造工場から入手して、セグメント製造データ記憶部14に記憶させることができる。
【0026】
ここで、各セグメント10に関する製造データをセグメント製造データ記憶部14に記憶させるには、例えば製造工場が製造データをMS−Excel(株式会社マイクロソフト社製)等の市販の表計算ソフトを用いて作成し、その製造データをセグメント情報管理システムのコンピュータ11にメール送信する。受信されたセグメント製造データは、コンピュータ11上に予め設定したフォルダに保存される。
【0027】
一方、シールド工事現場のストックヤードにおける入荷時に、セグメントに貼り付けた識別情報部12のQRコードが専用の読み取り装置で読み込まれることにより、QRコードに書かれたセグメントの製造番号を含む情報がセグメント情報管理システムのコンピュータ11に送られて保存される。この際、セグメントの製造番号の情報とともに保存時刻の情報が生成され、製造番号の情報と対になるようにデータ管理される。また、上述のコンピュータ11のフォルダに保存されたセグメント製造データの製造番号と、QRコードから読み込んだ製造番号とが照合されることにより、セグメント10の製造工場からの製造データとシールド工事現場に搬入された各セグメント10の情報とが結合された状態で、セグメント製造データ記憶部14に記憶されることになる。
【0028】
また、セグメント施工データ記憶部15は、セグメント10を組み立てた後の各リングに関するセグメント施工データを記憶する部分であり、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値及びデータ入力される測量値を一元管理する機能を備える、公知のシールド掘進管理システム16から送られる各リングに関するセグメント施工データを記憶するようになっている。
【0029】
ここで、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値やデータ入力される測量値を一元管理する公知のシールド掘進管理システム16としては、好ましくは株式会社演算工房社製の「シールド掘進管理システム」を用いることができる。このような公知のシールド掘進管理システムは、例えばシールド工法における各種計測器から収集された計測値を一元管理し、その情報を整理して技術者や作業者へ提供することにより現場施工管理の支援を行う機能や、経時変化や統計処理の結果に基づいて地山の状況や掘削土砂の状況、シールドマシンの付加状況などを推測する機能や、或いは計測結果を入力することによりシールドマシンやセグメントの位置を計算し基線からの偏差を求める機能等を備えている。
【0030】
シールド掘進管理システム16から送られるセグメント施工データのうちの、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値を含む、シールド掘進機の掘進に伴って蓄積されるシールド掘進データとしては、図2に示すように、例えばリング番号、掘進開始時刻、掘進終了時刻、組立方向、シールド蛇行量(鉛直、水平)、掘進時平均土圧、推進力、カッタートルク、ピッチング、ローリング、裏込め注入量、裏込め注入圧力、中折角度等を挙げることができる。
【0031】
また、シールド掘進管理システム16から送られるセグメント施工データのうちの、シールド掘進機18の後方に設置された各リングの出来形測量の測量値を含む、職員によってデータ入力される現場施工データとしては、図2に示すように、例えばリング番号、セグメント蛇行量(鉛直、水平)、真円度(鉛直、水平)、ローリング、目違い量、目開き量等を挙げることができる。
【0032】
シールド掘進管理システム16から送られるセグメント施工データをセグメント施工データ記憶部15に記憶させるには、例えばシールド工事現場におけるシールド掘進機18の直後のセグメント10の組立作業ヤードにおいて(図1参照)、識別情報部12のQRコードが専用の読み取り装置で読み込まれることにより、製造番号を含む情報がセグメント施工データ記憶部15に保存される。またこれによって、各セグメント10が組み立てられるリングが特定されると共に、各リング毎に、シールド掘進管理システム16から送られるセグメント施工データをセグメント施工データ記憶部15に記憶することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態では、好ましくは新たに組み立てられるリングのセグメント10のQRコードを読み込んだタイミングで、セグメント施工データ記憶部15に記憶されている、先行して組み立てられた全てのリングに関するセグメント施工データが、シールド掘進管理システム16から更新データとして新たに送られてくるセグメント施工データと置き換えられて、逐次更新されるようになっている。
【0034】
すなわち、本実施形態では、既に組み立てられた全てのリングに関する全ての項目のセグメント施工データが、所定のタイミング毎に、セグメント施工データ記憶部16に読み込まれて上書き保存されることにより、逐次更新されるようになっている。これによって、シールド掘進管理システム16において新たに追加された測量データや、修正、変更された既に組み立てられたリングに関する全てのセグメント施工データが、その都度切り替えし更新されることになり、セグメント施工データ記憶部15に、既に組み立てられたリングの最新のセグメント施工データを記憶することか可能になると共に、膨大な量のセグメント施工データを、漏れなく管理することが可能になる。
【0035】
ここで、本実施形態では、シールド掘進管理システム16において掘進管理データのリング番号を更新する毎に、シールド掘進管理システム16からセグメント施工データの更新データをセグメント施工データ記憶部15に送るようにすることもできる。このようなタイミングでセグメント施工データを逐次更新することによっても、新たに追加された測量データや、修正、変更された全てのセグメント施工データが、その都度繰り返し更新されることになり、セグメント施工データ記憶部15に、既に組み立てられたリングの最新のセグメント施工データを記憶することか可能になると共に、膨大な量のセグメント施工データを、漏れなく管理することが可能になる。
【0036】
そして、本実施形態のセグメント管理方法では、セグメント製造データ記憶部14からセグメント製造データを抽出し、セグメント施工データ記憶部15からセグメント施工データを抽出してセグメント情報管理ファイルを作成し、これらのセグメント情報管理ファイルに基づいて、セグメント10の情報を管理するようになっている。
【0037】
ここで、セグメント製造データ記憶部14のセグメント製造データには、シールド工事現場のストックヤードで読み込まれた識別情報部12のQRコードのセグメントの製造番号が含まれており、セグメント施工データ記憶部15のセグメント施工データには、組立作業ヤードで読み込まれら識別情報部12のQRコードのセグメントの製造番号が含まれているので、セグメント情報管理ファイルにおいて、これらの製造番号を介して、セグメント製造データと、セグメント施工データとを容易に結合することができるようになっている。
【0038】
また、作成されたセグメント情報管理ファイルから、例えば図3に示すように、セグメント現場施工データや、セグメント製造データや、或いはシールド掘進データを、セグメント情報管理シートとして必要に応じて適宜ディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることが可能になる。また、例えば図4に示すように、セグメント10の製造履歴や出荷履歴等の工場データを、必要に応じて適宜ディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることが可能になる。さらに、例えば図5に示すように、トンネル情報シートを、必要に応じて適宜ディスプレイ17に表示させたり、プリンタから出力させたりすることが可能になる。
【0039】
そして、上述の構成を備える本実施形態のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法によれば、シールド工事によって構築されたトンネルを構成する多数組み立てられた各セグメント10の生産履歴等を含めた製造データを、組み立てられた各リングのセグメント施工データと結合させて適切に管理することが可能になる。
【0040】
すなわち、本実施形態では、セグメント情報管理システムは、セグメント製造データ記憶部14及びセグメント施工データ記憶部15を有するコンピュータ11と、セグメント10に取り付けられた識別情報部12と、読取りリーダー部13とからなり、シールド工事現場において識別情報部12を読取りリーダー部13で読み取ることによって各セグメント10の製造データがセグメント製造データ記憶部14に記憶され、セグメント組立時に識別情報部12を読み取ることによって、各セグメント10が組み立てられるリングが特定されて、シールド掘進管理システム16から送られるセグメント施工データと共にセグメント施工データ記憶部15に記憶されるようになっているので、識別情報部12の製造番号を介してセグメント製造データとセグメント施工データと結合させて、一元化されたデータとして効率良く管理することが可能になり、これによってトンネルを構成する多数のセグメント10の各々の生産履歴等を含めたトレーサビリティが可能な総合的な情報を、当該トンネルの供用後も長期間に亘って適切に管理することが可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、セグメント施工データ記憶部15に記憶されたセグメント施工データは、組み立てられた全リングに関する施工データが、シールド掘進管理システム16から所定のタイミング毎にセグメント施工データ記憶部15に更新データとして送られて、逐次更新されるようになっているので、新たに追加された測量データや、修正、変更された全てのセグメント施工データを含めた最新のセグメント施工データをセグメント施工データ記憶部15に記憶させることが可能になって、膨大な量のセグメント施工データを、漏れなく管理することが可能になる。
【0042】
なお、本発明は上記本実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、セグメント製造データとセグメント施工データとを結合させるために識別情報部に書き込まれた情報は、セグメントID(製造番号)である必要は必ずしも無く、各セグメントを識別可能なその他の情報であっても良い。
【0043】
また、本実施形態では、例えばシールド工事現場の組立作業ヤードにおいて、エレクタの後方で各リングのセグメント10が並べられた状態では、これらのセグメント10はエレクタを用いて順次周方向に組み立てる順番に並べられていることから、並べれられた順番に従って各セグメント10の識別情報部12を順次読み取ってゆくことにより、各リングにおける各々のセグメント10の組立位置を容易に特定することが可能になる。これによって、各リングにおける各々のセグメント10の組立位置を含めた、より詳細になセグメント10の管理を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
10 セグメント
11 コンピュータ
12 識別情報部
13 読取りリーダー部
14 セグメント製造データ記憶部
15 セグメント施工データ記憶部
16 シールド掘進管理システム
17 ディスプレイ
18 シールド掘進機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド工事に用いる多数のセグメントを管理するためのセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法であって、
前記セグメント情報管理システムは、コンピュータと、多数のセグメントに各々取り付けられた各セグメントを識別するための識別情報部と、該識別情報部の情報を読み込む読取りリーダー部とからなり、
前記コンピュータは、各セグメントに関する製造データを記憶するセグメント製造データ記憶部と、セグメントを組み立てた後の各リングに関するセグメント施工データを記憶するセグメント施工データ記憶部とを含んでおり、
前記セグメント製造データ記憶部は、製造工場から送られる各セグメントに関する製造データを記憶するようになっており、
前記セグメント施工データ記憶部は、シールド工法における各種の計測器から収集される計測値及びデータ入力される測量値を一元管理する機能を備える、シールド掘進管理システムから送られる各リングに関するセグメント施工データを記憶するようになっており、
各セグメントは、シールド工事現場において前記識別情報部を前記読取りリーダー部で読み込むことによって、その情報が前記製造工場から送られる各セグメントに関する製造データと結合されて前記セグメント製造データ記憶部に記憶されるようになっており、
セグメント組立時に各セグメントの前記識別情報部を前記読取りリーダー部で読み込むことによって、各セグメントが組み立てられるリングが特定されると共に、各リング毎に、前記シールド掘進管理システムから送られるセグメント施工データが前記セグメント施工データ記憶部に記憶されるようになっており、
前記読取りリーダー部で読み込まれた前記識別情報部の製造番号を介して、前記セグメント製造データ記憶部に記憶されたセグメント製造データと、前記セグメント施工データ記憶部に記憶されたセグメント施工データとが結合されるようになっており、
且つ前記セグメント施工データ記憶部に記憶されたセグメント施工データは、組み立てられた全リングに関する施工データが、前記シールド掘進管理システムから所定のタイミング毎に前記セグメント施工データ記憶部に更新データとして送られて、逐次更新されるようになっているセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法。
【請求項2】
組み立てられた全リングに関する施工データが更新データとして前記シールド掘進管理システムから前記セグメント施工データ記憶部に送られる前記所定のタイミングは、各リングの組立時に、前記読取りリーダー部でセグメントの前記識別情報部が読み込まれる際のタイミングである請求項1記載のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法。
【請求項3】
前記識別情報部がQRコードからなる請求項1又は2記載のセグメント情報管理システムによるセグメント管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−196444(P2010−196444A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46030(P2009−46030)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(591284601)株式会社演算工房 (22)
【Fターム(参考)】