セグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造

【課題】止水性及び耐熱性に優れたセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造を提供する。
【解決手段】トンネルTの掘削面T1を覆う複数のセグメント1の互いに隣り合うセグメント1の端面1a間に設けられて、セグメント1の端面1a間からの漏水を防止するためのセグメント用シール材2を、シリコンゴム2aに吸水性ポリマーを混入して形成する。また、吸水性ポリマーをクロロプレンゴム2bに混入し、クロロプレンゴム2bの一部の外面を外部に露出させた状態でシリコンゴム2aを設けてセグメント用シール材2を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシールドマシンで掘削したトンネルの掘削面を覆う複数のセグメントの互いに隣り合うセグメントの端面間に設けられて、セグメントの端面間からの漏水を防止するセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばシールド工法等により掘削したトンネル掘削面には、この掘削面の曲率半径と略等しい曲率半径を備えた複数の円弧状のセグメントが周方向に連続して設けられ、周方向の掘削面を被覆して支持する環状のセグメントリング体が形成される。そして、このような周方向の掘削面を支持するセグメントリング体がトンネル軸方向に連続するように接続されて、掘削面を被覆支持するトンネルの覆工が形成される。また、この種のセグメントには、一般に、鋼製セグメントやコンクリート製セグメント、これら鋼とコンクリートを複合した合成セグメントが用いられ、隣接するセグメント同士が一体に接合されて設置される。また、互いに隣り合うセグメント同士の端面間には、地山側(掘削面側)から地下水が侵入してトンネル内に漏水が生じないようシール材(セグメント用シール材)が介装される。この種のシール材には、地下水が接触すると膨潤しセグメント同士の端面間の隙間を埋めて漏水を止水する水膨張型ゴム系シール材などの樹脂(高分子)系材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特に道路トンネルや鉄道トンネルなどでは、トンネル火災が発生した際に、火災による熱でセグメントが損傷されないように、トンネルの内側の部分に耐火層(耐火パネル)を備えて耐火性が付与されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−264466号公報
【特許文献2】特開2004−323330号公報
【特許文献3】特開2001−311395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トンネル掘削面を覆うセグメントは、上記の耐火層を備えて火災に対する耐性を有する一方で、セグメント同士の端面間に配されるゴム系のシール材は、その耐熱温度が例えば120℃程度であり、トンネル火災で発生する熱によって損傷されてしまう。このため、火災を受けたシール材は、所要の止水性能が低下し、かつトンネル掘削面を支持する多数のセグメントの間に介装されている関係上その交換が困難で、火災後に、トンネル内への漏水を止水することができず、他の漏水対策を必要とするなど多大な労力を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑み、止水性及び耐熱性に優れたセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0007】
本発明のセグメント用シール材は、トンネルの掘削面を覆う複数のセグメントの互いに隣り合うセグメントの端面間に設けられ、前記セグメントの端面間からの漏水を防止するためのセグメント用シール材であって、シリコンゴムと吸水性ポリマーを備えて構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のセグメント用シール材においては、前記シリコンゴムに前記吸水性ポリマーが混入されていることが望ましい。
【0009】
さらに、本発明のセグメント用シール材においては、前記シリコンゴムが、前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムの一部の外面を外部に露出させた状態で、前記クロロプレンゴムの外面を覆うように設けられていてもよい。
【0010】
また、本発明のセグメント用シール材においては、前記シリコンゴムが、略筒状に形成されるとともに外面から内面に貫通し中空部と外部を連通させる貫通孔が形成されており、前記中空部に前記吸水性ポリマーもしくは前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムが設けられていることがより望ましい。
【0011】
さらに、本発明のセグメント用シール材においては、前記シリコンゴムの貫通孔には、前記外部の水を前記中空部内に導水する導水材が設けられていることがさらに望ましい。
【0012】
本発明のトンネル構造は、トンネルの掘削面を覆う複数のセグメントと、互いに隣り合うセグメントの端面間に設けられ該セグメントの端面間からの漏水を防止するセグメント用シール材とを備えたトンネル構造において、前記セグメント用シール材が、シリコンゴムと吸水性ポリマーを備えて形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のトンネル構造においては、前記セグメント用シール材が、前記シリコンゴムに前記吸水性ポリマーを混入して形成されていることが望ましい。
【0014】
さらに、本発明のトンネル構造において、前記セグメント用シール材は、前記シリコンゴムが前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムの一部の外面を外部に露出させた状態で前記クロロプレンゴムの外面を覆うように設けられて形成されており、前記クロロプレンゴムの露出した外面を前記掘削面側に向けて設置されていることがより望ましい。
【0015】
また、本発明のトンネル構造において、前記セグメント用シール材は、前記シリコンゴムが略筒状に形成されるとともに外面から内面に貫通し中空部と外部を連通させる貫通孔を備え、前記吸水性ポリマーもしくは前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムが前記中空部に設けられており、前記貫通孔の開口側を前記掘削面側に向けて設置されていることが望ましい。
【0016】
さらに、本発明のトンネル構造において、前記シリコンゴムの貫通孔には、前記外部の水を前記中空部内に導水する導水材が設けられていることがより望ましい。
【0017】
また、本発明のトンネル構造においては、前記セグメントがコンクリート製セグメントもしくは鋼とコンクリートを複合した合成セグメントとされ、該セグメントのコンクリートが、水セメント比40%以下で、且つ有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入して形成されていることがさらに望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造によれば、セグメント用シール材がシリコンゴムと吸水性ポリマーを備えていることによって、掘削面側から隣り合うセグメントの端面間に侵入した地下水が接触するとともに吸水性ポリマーがこれを吸水し、吸水性ポリマーの吸水に伴いセグメント用シール材を膨張させることができる。これにより、隣り合うセグメントの端面間の隙間を確実にセグメント用シール材で遮断することができ、確実に漏水の発生を防止することができる。また、セグメント用シール材がトンネル火災によって加熱された場合においても、吸水性ポリマーが地下水を吸水して保水していることで、セグメント用シール材を低温状態で維持することができ、加熱による損傷を防止できる。これにより、火災後も確実に漏水を止水することができる。
【0019】
また、本発明のセグメント用シール材及びトンネル構造においては、シリコンゴムに吸水性ポリマーが混入されていることによって、セグメント用シール材に止水性と耐火性を付与することができる。
【0020】
さらに、シリコンゴムが吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムの一部の外面を露出させた状態で設けられてセグメント用シール材が形成され、クロロプレンゴムの露出した外面を掘削面側に向けて設けられていることによって、確実に地下水を吸水性ポリマーに接触させることができる。これにより、上記効果を確実に得ることができる。
【0021】
また、シリコンゴムが中空部と貫通孔を有し、この中空部に吸水性ポリマーもしくは吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムが設けられ、貫通孔の開口側を掘削面側に向けてセグメント用シール材が設置されていることによって、貫通孔を通じて地下水を吸水性ポリマーに接触させることができる。さらに、貫通孔に導水材を設けることによって、確実に吸水性ポリマーに地下水を吸水させることができる。これにより、上記効果を得ることができる。
【0022】
さらに、コンクリート製セグメントもしくは合成セグメントのコンクリートが、水セメント比40%以下で、且つ有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入して形成されていることによって、このセグメントが加熱された際に、有機繊維がコンクリート内に微細な空隙をつくり、この空隙がコンクリート表層の熱膨張力や内部で膨張した気体の圧力を緩和して、コンクリート表層の剥離・飛散を防止することができる。これにより、トンネルの内側の部分に耐火パネルを具備せずとも、セグメント用シール材とともにセグメントに耐火性を付与することができ、耐火性に優れたトンネル構造を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の第1実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造について説明する。本実施形態は、例えばシールド工法などによって構築される道路トンネルの互いに隣り合うセグメントの端面間に配置されて漏水の発生を防止するセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造に関するものである。
【0024】
本実施形態のトンネル構造Aは、複数のセグメント1と、セグメント1に取り付けられたセグメント用シール材(シール材)2を備えて構成されている。各セグメント1は、図1に示すように、シールドマシンによって掘削したトンネルTの掘削面T1の曲率半径と略等しい曲率半径を備える円弧盤状に形成されている。また、セグメント1は、周方向の周長が、設置した状態でトンネルの軸O2と平行するセグメント1の軸O1方向の幅よりも大きく形成されるとともに、径方向の厚さが周方向に沿って一定に形成されている。そして、このように形成された複数のセグメント1は、トンネルTの掘削面T1に沿ってトンネルTの周方向に連続して設けられ、周方向の掘削面T1を被覆しつつ支持する環状のセグメントリング体3を形成している。また、トンネルTの軸O2方向に、セグメントリング体3が連続するように隣接されて、シールドマシンで掘削した掘削面T1が複数のセグメント1で被覆されつつ支持されトンネルTの覆工が形成される。なお、各セグメント1は、図示せぬリング間継手とセグメント間継手によって相互に接合される。
【0025】
また、本実施形態のセグメント1には、図1及び図2に示すように、隣り合うセグメント1同士の接合端面(端面)1aに内側に凹む凹部1bが形成されている。この凹部1bは、セグメント1の各端面1aに2条ずつ設けられ、各端面1aの延設方向に沿って一端から他端まで平行に延設されている。また、凹部1bは、隣り合うセグメント1の端面1a同士を接合した状態で、一方のセグメント1の凹部1bと他方のセグメント1の凹部1bが対向配置されるように形成されている。
【0026】
上記のように形成される本実施形態のセグメント1は、コンクリート製セグメントもしくは鋼とコンクリートを複合した合成セグメントとされている。また、セグメント1のコンクリートは、水セメント比40%以下で、且つ例えば直径10〜200μm、長さ1〜20mmのポリアセタールやポリプロピレンなどの有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入して形成されている。このようなコンクリートを備えたセグメント1は、例えば特開2004−323330号公報に記載されるように、火災によって加熱された際に、有機繊維が分解してコンクリート内に微細な空隙をつくり、この空隙がコンクリート表層の熱膨張力や内部で膨張した気体の圧力を緩和して、コンクリート表層の剥離・飛散を防止する。これにより、このようなコンクリートを備えたセグメント1は、耐火性に優れ、これを具備した本実施形態のトンネル構造に優れた耐火性を付与する。
【0027】
一方、本実施形態のシール材2は、図2に示すように、断面L字状に形成したシリコンゴム2aと、シリコンゴム2aに固着された断面矩形状のクロロプレンゴム2bとから構成され、シリコンゴム2aとクロロプレンゴム2bを一体にした状態で断面矩形状を呈するように形成されている。また、クロロプレンゴム2bは、吸水性ポリマーが混入されており、断面視で2つの外面2c、2dがシリコンゴム2aのL字状の内面にそれぞれ固着されて覆われ、残りの2つの外面2e、2fが外部に露出している。
【0028】
そして、このように形成されたシール材2は、図1及び図2に示すように、クロロプレンゴム2bの露出する2つの外面2e、2fを、トンネルTの掘削面T1側と隣り合うセグメント1の端面1a側とにそれぞれ向けた状態で、セグメント1の各凹部1bに設置されている。また、シール材2は、凹部1bから隣り合うセグメント1の端面1a側に僅かに突出するように設けられ、凹部1bに沿って、すなわちセグメント1の各端面1aの延設方向に沿って一端から他端まで延設されている。そして、隣り合うセグメント1同士を接合するとともに、互いに対向するシール材2のクロロプレンゴム2bの露出した外面2f同士が密着し、一対のシール材2が隣り合うセグメント1の端面1a間に介装される。これにより、一対のシール材2によって隣り合うセグメント1の端面1a間が遮断される。また、このとき、一対のシール材2のトンネルTの掘削面T1側を向くクロロプレンゴム2bの外面2eが露出しつつ面一とされている。
【0029】
ついで、上記の構成からなるセグメント用シール材2及びこれを備えたトンネル構造Aの作用及び効果について説明する。
【0030】
セグメント1同士を接合し、互いに対向するシール材2をセグメント1の端面1a間に介装した状態で、掘削面T1側から地下水が侵入した場合には、掘削面T1側に露出するクロロプレンゴム2bの外面2eに地下水が接触する。そして、クロロプレンゴム2bに混入した吸水性ポリマーがこの地下水を吸収して膨張し、これに伴いクロロプレンゴム2bが膨張して、一対のシール材2がより強固に密着する。これにより、一対のシール材2が、隣り合うセグメント1の端面1a間を確実に遮断することになり、トンネルTの内側に漏水が生じることがない。
【0031】
一方、トンネルT内で火災が発生した場合には、セグメント1やシール材2が加熱されることになるが、本実施形態においては、前述したように水セメント比40%以下で、且つ有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入したコンクリートを備えてセグメント1が形成されていることで、コンクリート表層の剥離・飛散が防止され、セグメント1が損傷されることがない。また、本実施形態のシール材2は、クロロプレンゴム2bに混入した吸水性ポリマーが地下水を吸収し、かつ保水しているため、火災時の熱を受けた場合においてもその温度が低温状態に維持される。このため、火災時の加熱によってシール材2が損傷することがなく、火災後のシール材2は、その止水性能がほぼ火災前の状態で維持され、漏水の発生を阻止する。
【0032】
したがって、本実施形態のセグメント用シール材2及びトンネル構造Aによれば、吸水性ポリマーが地下水を吸水して膨張することによって、隣り合うセグメント1の端面1a間を確実に遮断することができる。これにより、確実に漏水の発生を防止することが可能になる。また、セグメント用シール材2がトンネル火災によって加熱された場合においても、吸水性ポリマーが地下水を吸水して保水していることで、セグメント用シール材2を低温状態で維持することができ、加熱による損傷を防止できる。これにより、火災後も確実に漏水を止水することができる。
【0033】
また、吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴム2bの露出する外面2eを掘削面T1側に向けてセグメント用シール材2を設置することによって、確実に地下水を吸水性ポリマーに接触させることができ、止水性及び耐熱性を確実に得ることができる。
【0034】
さらに、本実施形態のトンネル構造Aにおいては、セグメント1のコンクリートが、水セメント比40%以下で、且つ有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入して形成されていることによって、セグメント1に優れた耐火性を付与することができ、このようなセグメント1と上記のセグメント用シール材2を備えることで、優れた耐火性を有するトンネル構造Aを構築することが可能になる。
【0035】
以上、本発明に係るセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造の実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、セグメント用シール材2が、断面L字状のシリコンゴム2aと、吸水性ポリマーが混入された断面矩形状のクロロプレンゴム2bとから構成され、隣り合うセグメント1を接合した状態で、一対のセグメント用シール材2のクロロプレンゴム2bの露出する外面2f同士が密着するものとしたが、図3に示すように、シリコンゴム2aの外面同士が密着するようにセグメント用シール材2をセグメント1の凹部1bに設置してもよく、このようにした場合には、掘削面T1側を向いて露出するクロロプレンゴム2bの外面2eに地下水が接触するとともに吸水性ポリマーが地下水を吸収し、これに伴いクロロプレンゴム2bが膨張することによって一対のセグメント用シール材2のシリコンゴム2a同士が強固に密着し、止水性を確保することが可能になる。
【0036】
また、図4に示すように、断面コ字状に形成したシリコンゴム2aの内孔に、吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴム2bを嵌装固定してセグメント用シール材2を構成してもよく、この場合においても、図3に示したセグメント用シール材2と同様に、シリコンゴム2a同士が強固に密着し、止水性を確保することが可能である。
【0037】
さらに、図5に示すように、平板状のシリコンゴム2aの一面に、吸水性ポリマーを混入した断面矩形状のクロロプレンゴム2bの外面を固着させてセグメント用シール材2を形成してもよく、この場合においてもシリコンゴム2aをトンネルTの内側に配し、クロロプレンゴム2bの露出する外面2eを掘削面T1側に配した状態で設置することにより、止水性及び耐熱性を得ることが可能である。
【0038】
さらに、図6に示すように、吸水性ポリマーをシリコンゴム2bに混入してセグメント用シール材2を形成してもよく、この場合には、地下水がセグメント用シール材2に接触するとともに、シリコンゴム2a内の吸水性ポリマーに地下水が吸収され、シリコンゴム2aが膨張することによって止水性を確保することができ、かつ地下水を保水した吸水性ポリマーによって耐熱性を得ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、セグメント用シール材2が断面矩形状に形成されているものとしたが、この限りではなく、断面円形や断面台形状に形成されていてもよい。さらに、本実施形態では、セグメント用シール材2がセグメント1の各端面1aに2条ずつ設けられているものとしたが、セグメント用シール材2の設置数は、特に限定を必要とせず、例えば1条であってもよい。
【0040】
さらに、本実施形態では、セグメント1がコンクリート製セグメントもしくは鋼とコンクリートを複合した合成セグメントとされ、また、セグメント1のコンクリートは、水セメント比40%以下で、且つ例えば直径10〜200μm、長さ1〜20mmのポリアセタールやポリプロピレンなどの有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入して形成されているものとしたが、コンクリートに有機繊維を混入していないコンクリート製セグメントや合成セグメントを備えたトンネル構造、さらに鋼製セグメントを備えたトンネル構造に、本発明のセグメント用シール材2を適用してもよい。
【0041】
ついで、以下に、図1及び図7を参照し、本発明の第2実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造について説明する。本実施形態は、第1実施形態と同様に、例えばシールド工法などによって構築される道路トンネルの互いに隣り合うセグメントの端面間に配置されて漏水などの発生を防止するためのセグメント用シール材及びこれを備えるトンネル構造に関するものである。よって、ここでは、第1実施形態に共通する構成に対して同一符号を付し、その詳細についての説明を省略する。
【0042】
本実施形態のセグメント用シール材(シール材)2は、シリコンゴム2aが略断面矩形の略筒状に形成されるとともに、1つの外面2gからこの外面2gに対向する内面に貫通した断面円形の貫通孔2hがシール材2の延設方向に所定の間隔をもって複数形成されている。また、この貫通孔2hによって外部に連通するシリコンゴム2aの中空部2jには、吸水性ポリマー2kが装填されている。そして、このように形成したシール材2は、貫通孔2hの開口側を掘削面T1側に配してセグメント1の凹部1bに設置される。
【0043】
上記の構成からなるシール材2及びこれを備えたトンネル構造Bでは、セグメント1同士を接合して、互いに対向するシール材2をセグメント1の端面1a間に介装した状態で、掘削面T1側から侵入した地下水が、貫通孔2hを通じて中空部2j内の吸水性ポリマー2kに吸水される。そして、地下水の吸水とともに吸水性ポリマー2kが膨張することによって、互いに対向するシリコンゴム2aの外面が強固に密着する。これにより、トンネルT内側に漏水が生じることが阻止される。
【0044】
一方、トンネルT内で火災が発生した場合においても、シリコンゴム2aで内包した吸水性ポリマー2kが地下水を吸収しているため、シール材2の温度が低温状態に維持され、火災時の熱によってシール材2が損傷することがない。
【0045】
したがって、本実施形態のセグメント用シール材2及びトンネル構造Bによれば、シリコンゴム2aが中空部2jと貫通孔2hを有し、この中空部2jに吸水性ポリマー2kが装填され、貫通孔2hの開口側を掘削面T1側に向けてセグメント用シール材2が設置されていることによって、貫通孔2hを通じて地下水を吸水性ポリマー2kに接触させて吸水させることができる。これにより、第1実施形態と同様に、止水性と耐熱性をセグメント用シール材2に付与することができる。
【0046】
なお、上記の第2実施形態の変形例として、次のようなセグメント用シール材2及びトンネル構造Bを採用してもよい。本実施形態では、セグメント用シール材2のシリコンゴム2aに外面から内面に貫通する断面円形の貫通孔2hが複数設けられているものとしたが、貫通孔2hは、例えば断面矩形状に形成されていてもよく、また、セグメント用シール材2の延設方向に沿って開口する1本のスリットであってもよい。さらに、図8に示すように、この貫通孔2hの内部に導水材4が設けられていてもよく、この場合には、掘削面T1側からの地下水をシリコンゴム2aの中空部2j内の吸水性ポリマー2kに向けて導水することができ、吸水性ポリマー2kに確実に地下水を吸収させることができる。これにより、確実にセグメント用シール材2の止水性及び耐熱性を向上させることが可能になる。
【0047】
また、本実施形態では、シリコンゴム2aの中空部2jに吸水性ポリマー2kが装填されているものとしたが、例えば第1実施形態で示した吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴム2bが中空部2jに設けられていてもよいものである。この場合においても、貫通孔2hを通じて中空部2j内に入った地下水が吸水性ポリマーに吸収され、これとともにクロロプレンゴム2bが膨張することで、止水性及び耐熱性をセグメント用シール材2に付与することができる。
【0048】
さらに、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、セグメント用シール材2は、断面矩形状に形成されることに限定する必要はなく、断面円形や断面台形状に形成されていてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態に係るトンネル構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るトンネル構造に具備されるセグメント用シール材を示す図1のX−X線矢視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを具備するトンネル構造の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを具備するトンネル構造の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを具備するトンネル構造の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを具備するトンネル構造の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るトンネル構造に具備されるセグメント用シール材を示す図1のX−X線矢視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るセグメント用シール材及びこれを具備するトンネル構造の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 セグメント
1a 端面
1b 凹部
2 セグメント用シール材(シール材)
2a シリコンゴム
2b 吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴム
2e 外面
2g 外面
2h 貫通孔
2j 中空部
2k 吸水性ポリマー
4 導水材
A トンネル構造
B トンネル構造
T トンネル
T1 掘削面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの掘削面を覆う複数のセグメントの互いに隣り合うセグメントの端面間に設けられ、前記セグメントの端面間からの漏水を防止するためのセグメント用シール材であって、
シリコンゴムと吸水性ポリマーを備えて構成されていることを特徴とするセグメント用シール材。
【請求項2】
請求項1記載のセグメント用シール材において、
前記シリコンゴムに前記吸水性ポリマーが混入されていることを特徴とするセグメント用シール材。
【請求項3】
請求項1記載のセグメント用シール材において、
前記シリコンゴムが、前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムの一部の外面を外部に露出させた状態で、前記クロロプレンゴムの外面を覆うように設けられていることを特徴とするセグメント用シール材。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載のセグメント用シール材において、
前記シリコンゴムが、略筒状に形成されるとともに外面から内面に貫通し中空部と外部を連通させる貫通孔が形成されており、前記中空部に前記吸水性ポリマーもしくは前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムが設けられていることを特徴とするセグメント用シール材。
【請求項5】
請求項4記載のセグメント用シール材において、
前記シリコンゴムの貫通孔には、前記外部の水を前記中空部内に導水する導水材が設けられていることを特徴とするセグメント用シール材。
【請求項6】
トンネルの掘削面を覆う複数のセグメントと、互いに隣り合うセグメントの端面間に設けられ該セグメントの端面間からの漏水を防止するセグメント用シール材とを備えたトンネル構造において、
前記セグメント用シール材が、シリコンゴムと吸水性ポリマーを備えて形成されていることを特徴とするトンネル構造。
【請求項7】
請求項6記載のトンネル構造において、
前記セグメント用シール材が、前記シリコンゴムに前記吸水性ポリマーを混入して形成されていることを特徴とするトンネル構造。
【請求項8】
請求項6記載のトンネル構造において、
前記セグメント用シール材は、前記シリコンゴムが前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムの一部の外面を外部に露出させた状態で前記クロロプレンゴムの外面を覆うように設けられて形成されており、前記クロロプレンゴムの露出した外面を前記掘削面側に向けて設置されていることを特徴とするトンネル構造。
【請求項9】
請求項6または請求項8に記載のトンネル構造において、
前記セグメント用シール材は、前記シリコンゴムが略筒状に形成されるとともに外面から内面に貫通し中空部と外部を連通させる貫通孔を備え、前記吸水性ポリマーもしくは前記吸水性ポリマーを混入したクロロプレンゴムが前記中空部に設けられており、前記貫通孔の開口側を前記掘削面側に向けて設置されていることを特徴とするトンネル構造。
【請求項10】
請求項9記載のトンネル構造において、
前記シリコンゴムの貫通孔には、前記外部の水を前記中空部内に導水する導水材が設けられていることを特徴とするトンネル構造。
【請求項11】
請求項6から請求項10のいずれかに記載のトンネル構造において、
前記セグメントがコンクリート製セグメントもしくは鋼とコンクリートを複合した合成セグメントとされ、該セグメントのコンクリートが、水セメント比40%以下で、且つ有機繊維を0.05容積%〜0.3容積%混入して形成されていることを特徴とするトンネル構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−291753(P2007−291753A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121866(P2006−121866)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】