説明

セグメント

【課題】セグメントの構成を簡略化してコストダウンと施工性の改善を実現する。
【解決手段】筒状分割体の形態の鋼製フレーム10を対の主桁11と対の端面板16により構成し、主桁をウェブ12と対のフランジ13からなる断面コ状の鋼材により形成し、坑口側のフランジの外周縁部と切羽側のフランジの外周縁部のいずれか一方に凸部14を設け、他方に該凸部が係合する凹部15を設ける。坑口側の主桁のウェブと切羽側の主桁のウェブのいずれか一方にキー21を設けるとともに他方にキー溝22を設け、双方の端面板の一方にキーを設けるとともに他方にキー溝を設けると良い。フラットバーを凹溝内に溶接してキーを形成すると良い。一方のウェブ端部にT字形突起23(先端拡大形状の突起)を設けるとともに他方にそれが係合する切り欠き部24を設けると良い。鋼製フレーム内にコンクリートを充填して合成セグメントとしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールドトンネルを構築するためのセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のセグメントとしてはコンクリートセグメントや鋼製セグメントが広く用いられているが、特に大断面トンネルに適用して好適なものとしてたとえば特許文献1、2に示されるような複合構造のセグメント、すなわち鋼製のフレーム内にコンクリートを充填した合成セグメントも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297906号公報
【特許文献2】特開2007−297907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来一般の各種のセグメントはいずれも構造が複雑であって必然的に高価であり、また組み立て作業が面倒で効率的な施工が望めないものも多い。特に特許文献1、2に示される合成セグメントは鋼製枠をH形鋼材により構成していることからセグメント間に隙間が生じてしまうものであり、したがって覆工体の構築に際してはセグメント間の隙間にモルタル等の充填材を充填する手間を必要とし、その点で施工性が良くないものであった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明はこの種のセグメントの構成を簡略化し、以てコストダウンと施工性の改善を実現し得る有効適切なセグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、トンネル周方向に沿いかつトンネル軸方向に間隔をおいて対向する対の主桁と、それら主桁の両端間を連結している対の端面板とによって構成した筒状分割体の形態の鋼製フレームに、鋼板からなるスキンプレートを設けてなり、トンネルの施工に際して地山に面して配置されて該トンネルの周方向および軸方向に互いに連結されることにより覆工体を構築するためのセグメントであって、前記鋼製フレームにおける前記主桁をウェブと対のフランジからなる断面コ状の鋼材により形成して、前記ウェブどうしおよび前記端面板どうしを密着させた状態でセグメントどうしを連結する構成とし、前記主桁における前記フランジに、トンネル軸方向に連結するセグメントどうしのトンネル周方向の位置決め機能と応力伝達機能をもたせるべく、坑口側のフランジの外周縁部と切羽側のフランジの外周縁部のいずれか一方に凸部を設けるとともに他方に該凸部が係合する凹部を設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明のセグメントであって、前記主桁における前記ウェブに、トンネル軸方向に連結するセグメントどうしのトンネル径方向の応力伝達機能をもたせるべく、坑口側の主桁のウェブと切羽側の主桁のウェブのいずれか一方にキーを設けるとともに他方に該キーが係合するキー溝を設けてなることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明のセグメントであって、前記端面板に、トンネル周方向に連結するセグメントどうしのトンネル径方向の応力伝達機能をもたせるべく、双方の端面板の一方にキーを設けるとともに他方に該キーが係合するキー溝を設けてなることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明のセグメントであって、前記キーとしてのフラットバーを凹溝内に溶接してなることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセグメントであって、前記ウエブ端部に、トンネル周方向に連結するセグメントどうしの位置決め機能と係合機能を持たせるべく、いずれか一方のウエブ端部に先端拡大形状の突起を設けるとともに、他方のウェブ端部に該突起が係合する先端拡大形状の切り欠き部を設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明のセグメントであって、前記鋼製フレーム内にコンクリートを充填してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセグメントによれば、主桁をコ字状断面の鋼材により形成して、その主桁のフランジの外周縁部に互いに係合する凸部と凹部を形成し、トンネル軸方向に隣接するセグメントどうしをそれら凸部と凹部とを係合させた状態で連結するので、セグメントを組み立てる際には凸部と凹部の係合により自ずと精度良く位置決めがなされるばかりでなく、組立後には凸部と凹部との間でトンネル周方向の応力伝達が確実になされる。
そして本発明のセグメントは、主桁のウェブどうしや端面板どうしを密着させた状態でセグメントどうしを連結するという単純な構成であるので、従来の各種セグメントに比べて構成の単純化とコストダウンを実現できるし、特に従来の合成セグメントのようにセグメント間に隙間があくことがないからセグメント間にモルタルを充填するといった面倒な作業を必要とせず、その点で従来のセグメントに比べて施工性を改善することができる。
【0013】
加えて、請求項2,3の発明によれば、主桁のウェブどうしや端面板どうしをキーとキー溝とを係合させた状態で連結することによりトンネル径方向の応力伝達も確実になされて、覆工体全体として充分な強度と安定性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のセグメントの実施形態を示すもので、同セグメントにより構築される覆工体の組立状態を示す図である。
【図2】同、セグメントの外観を示す図である。
【図3】同、セグメントの組立状態を示す図である。
【図4】同、セグメントの平面図である。
【図5】同、断面図である。
【図6】同、断面図である。
【図7】同、正面図および背面図である。
【図8】同、両側面図である。
【図9】同、セグメントどうしの組立状態を示す図である。
【図10】同、セグメントどうしの組立状態を示す図である。
【図11】同、セグメントの組立状態を示す図である。
【図12】同、凸部と凹部の係合による応力伝達機能の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本実施形態のセグメントにより構築された覆工体の組立状態を示すもので、(a)は横断面図、(b)は展開図である。
【0016】
本実施形態のセグメントは、図2、図3に示すように基本的には従来一般の鋼製セグメントと同様に、円筒(筒状)分割体の形態の鋼製フレーム10にスキンプレート18を取り付けたことを基本とするものであって、たとえば図1に示す例のように3種全8台のセグメント、すなわちキーセグメントとしての1台のKセグメントと、そのKセグメントの両側にそれぞれ連結されるB1セグメントおよびB2セグメントと、それらB1セグメントおよびB2セグメントの間に連結される5台のAセグメント(さらに細かく区別すれば、1台のA1セグメント、2台のA2セグメント、2台のA3セグメント)を1組として、それらをトンネル周方向に連結して1リング分の覆工体を形成し、その1リング分の覆工体を(b)に示すようにトンネル周方向にずらした状態でトンネル軸方向に連結することにより覆工体全体を形成するものである。
【0017】
この場合、各セグメントどうしの連結は、トンネル軸方向に隣接するセグメントどうしを従来一般のワンタッチ式のピン継手、たとえばピン27(図7(b)参照)をピン受28(図7(a)参照)に挿入する形式の継手を用いて連結することを基本とするが、本実施形態では各セグメントどうしをトンネル周方向およびトンネル径方向に応力伝達可能な状態で互いに係合させた状態で連結するようにしており、そのためセグメントの各辺を以下のように構成している。
なお、本発明のセグメントは上記のAセグメントを基本とし、KセグメントおよびB1セグメント、B2セグメントはAセグメントと形状および寸法が異なるだけで同様に構成され同様に機能するものであるので、以下ではAセグメントについて具体的に説明する。
【0018】
本実施形態のセグメントは、図2、図3に示すように、トンネルの断面形状に対応してトンネル周方向に沿って湾曲している対の主桁11をトンネル軸方向に間隔をおいて対向し、それら主桁11の両端間を鋼板からなる対の端面板16により連結して基本的な矩形枠状のフレームとし、そのフレーム内に適宜間隔で鋼板からなる補強リブ17を設けて鋼製フレーム10を構成し、その鋼製フレーム10の外側(地山に面する側)の表面に湾曲鋼板からなるスキンプレート18を溶接した構成とされている。
【0019】
そして、本実施形態のセグメントでは、上記の主桁11をウェブ12と対のフランジ13からなる断面コ状の溝形の鋼材により形成しており、双方の主桁11における対のフランジ13の双方の外周縁部に互いに係合可能な凸部14および凹部15を形成したことを主眼とする。なお、主桁11の対のフランジ13のうち、鋼製フレーム10の外側(地山に面する側)に位置するものを上フランジとし、内側(トンネル内面に面する側)に位置するものを下フランジとすれば、スキンプレート18は上フランジに溶接されている。
図示例のセグメントでは、坑口側のフランジ13の外周縁部に等間隔で4つのテーパ状の凸部14がフランジ13と同じ厚みで形成されているとともに、切羽側のフランジ13の外周縁部には同様に等間隔で4つのテーパ状の凹部15が切り欠かれて形成されていて、図1、図9、図10に示すようにトンネル軸方向に隣接するセグメントどうしはそれら凸部14と凹部15を係合させた状態で連結されるようになっている。
したがって、トンネル軸方向に連結される双方のセグメントはそれら凸部14と凹部15とが係合することによってトンネル周方向の位置決めが自ずとなされ、かつそれらの間でトンネル軸方向の応力伝達が確実になされるようになっている。
【0020】
なお、凸部14の突出寸法および凹部15の切り欠き寸法は、図6(b)に示すようにウェブ12の厚みの範囲で形成することが好ましく、通常はそれで充分であるが、図6(c)に示すように凹部15の切り欠き寸法がウェブ12の厚みを超える場合には上フランジとウェブ12との間に隙間ができて止水性が確保できなくなってしまうので、その場合は上フランジの下面側にその隙間を塞ぐように止水鋼板30を溶接する等の止水対策を施せば良い。
また、凸部14および凹部15に形成するテーパ角(トンネル軸線に対する傾斜角)は15〜60°程度の範囲で任意に設定すれば良い。
また、上記のようにAセグメントに設ける凸部14および凹部15の数を4とする場合には、図1に示すように、Kセグメントに設ける凸部14と凹部15の数を2とし、BIセグメントとB2セグメントに設ける凸部14と凹部15の数を3とすれば良いが、各セグメントに設ける凸部14と凹部15の数は、各セグメントの形状・寸法を考慮して所望の位置決め精度と応力伝達機能を確保し得る範囲内で適宜増減すれば良い。
さらに、上記とは逆に切羽側のフランジ13に凸部14を形成して坑口側のフランジ13に凹部15を形成することでも機能的には同様であるが、切羽側のフランジ13にはシールドマシンを推進させるためのスプレッダが押圧されるので、それとの干渉を回避するためには図示例のように凸部14は坑口側のフランジ13に設けることが現実的である。
【0021】
また、図7、図9に示すように上記の主桁11におけるウェブ12には互いに嵌合可能なキー21およびキー溝22が設けられている。
すなわち、図示例では切羽側の主桁11のウェブ12にキー溝22が設けられているとともに、坑口側の主桁11のウェブ12にはそのキー溝22に嵌合可能なキー21が設けられていて、図9に示すようにそれらキー21およびキー溝22の嵌合によりトンネル軸方向に連結されるセグメントどうしのトンネル径方向の応力伝達がなされるようになっている。
【0022】
なお、坑口側の主桁11のウェブ12にキー21を設けるためには、そのウェブ12にキー21としての凸条をはじめから形成しておくことでも良いが、それよりも、図9に示すように切羽側のウェブ12に形成されているキー溝22と同様の凹溝21aを坑口側のウェブ12にも形成しておいて、その凹溝21a内にキー21としての鋼材からなるフラットバーを嵌合して溶接すれば良く、そのためにはフラットバーに予め溶接孔21bを形成しておいてその内部から凹溝21aの底面に対して溶接を行えば良い。この場合、フラットバーはセグメント全体にわたる長さとしても良いが、所望の応力伝達機能を確保できる場合にはセグメントの一部に対して取り付けることでも良いし、複数個所に離散状態で取り付けることでも良い。
このような手法でキー21を設けることとすれば、双方の主桁11のウェブ12を同一断面形状とできるし、必要に応じてキー21を坑口側のウェブ12に設けることに代えて切羽側のウェブ12に設けることも可能である。但し、上述したように切羽側のウェブ12にはシールドマシンを推進させるためのスプレッダが押圧されるので、図示例のようにキー21は坑口側のウェブ12に設けることが現実的である。
【0023】
また、図8、図10に示すように、鋼製フレーム10における両側の端面板16には、トンネル周方向に連結されるセグメントどうしのトンネル径方向の応力伝達機能をもたせるべく、双方の端面板16の一方にキー21を設けるとともに他方には該キー21が係合するキー溝22が設けられている。
図示例では切羽側から見て左側の側面にキー21が設けられているとともに、右側の側面にはそのキー21が嵌合可能なキー溝22が設けられており、図10に示すようにそのキー溝22にキー21を嵌合させた状態でセグメントどうしをトンネル周方向に連結することで双方のセグメントの間でトンネル径方向の応力伝達がなされるようになっている。
なお、端面板16にキー21を設けるためには、上記の主桁11におけるウェブ12に対してキー21を設ける場合と同様に、キー21としてのフラットバーを凹溝21a内に溶接すれば良い。
また、端面板16の形状も単なる平板状の鋼板ではなく、端面板16の地山側に面する端面に、主桁11のウェブ12に対する上フランジと同様な形で、上フランジを取り付けて端面板16としても良い。このようにすれば、補強になるとともに、スキンプレート18を上フランジに溶接できる。
【0024】
さらに、図7、図8、図10に示すように、切羽側の主桁11におけるウェブ12の一方の端部(図示例では切羽側からみて左側の端部)には先端部がT字形に拡大しているT字形突起(先端拡大形状の突起)23が設けられ、他方の端部(同、右側の端部)にはそのT字形突起23が係合する先端拡大形状の切り欠き部24が形成されており、双方のセグメントをトンネル周方向に組み付けると同時にそれらT字形突起23と切り欠き部24が係合して双方のセグメントの位置決めがなされ、トンネル周方向に連結されるようになっている。なお、本実施形態では、T字形突起23の厚みはウェブ12の厚みと同じにしている。
【0025】
ところで、このT字形突起23とそれが係合する切り欠き部24を、切羽側の主桁11のウェブ12に設けるだけでなく、坑口側の主桁11のウェブ12にも設けるようにしても良い。このようにすれば、T字形突起23とそれが係合する切り欠き部24とによるセグメント継手として曲げモーメントを分担することができる。
この場合は、図11に示すように、セグメントリングの組み立て順序((1)〜(8)として示す)を考慮し、最初に組み立てるセグメント(A1セグメント)と最後に組み立てるキーセグメント(Kセグメント)を除き、展開視においてセグメントの対角にT字形突起23とそれが係合する切り欠き部24を配置する。
T字形突起23と、それが係合する切り欠き部24を、セグメントの切羽側と坑口側の両方に設けることの効果として、曲げモーメントの伝達機構が、凸部14と凹部15の係合によるものと、T字形突起23と切り欠き部24の係合によるものが合成されるので、より曲げ剛性の高いセグメントリングとすることができる。
さらに、このT字形突起23によるセグメント継手をセグメントの切羽側と坑口側に設けた場合、この継手だけでも曲げモーメントを分担できるので、セグメントリング間においては、セグメントのフランジ12での凸部14と凹部15による係合を省略してフランジ外周縁端面を平らにし、図7に示したようなピン27とピン受28とによるワンタッチ式のピン継手やキー21とキー溝22とによる係合だけとすることもできる。
【0026】
なお、本実施形態のセグメントにおいても、従来一般のセグメントと同様に、双方の主桁11のウェブ12および双方の端面板16には止水用のシール材(図示略)を充填するためのシール溝26を2条づつ形成しておくと良い。
以上の構成に加えて、スキンプレート18の内面側となるトンネル内面側に、鉄筋を配筋したうえで鋼製フレーム10内にコンクリートを充填することにより、特許文献1,2に示されるような合成セグメントとして機能するものとなる。
【0027】
本実施形態のセグメントによれば、主桁11をコ字状断面の溝形の鋼材により形成し、その主桁11の上下のフランジ13それぞれの外周縁部に互いに係合する凸部14と凹部15を形成して、トンネル軸方向に隣接するセグメントどうしをそれら凸部14と凹部15とを係合させた状態で連結するので、セグメントを組み立てる際には凸部14と凹部15の係合により自ずと精度良く位置決めがなされるし、組立後には凸部14と凹部15との間でトンネル周方向の応力伝達が確実になされる。
すなわち、図12に示すように覆工体に対して作用するトンネル周方向の引張力や曲げモーメントは、上下のフランジそれぞれで凸部14と凹部15との係合により隣接セグメントに対して効果的に伝達されるので、それらセグメントの全体で充分なせん断剛性を確保することができる。
しかも、本実施形態のセグメントによれば、主桁11のウェブ12どうしおよび端面板16どうしをそれぞれキー21とキー溝22とを係合させた状態で接合するので、それらキー21とキー溝22の係合によりトンネル径方向の応力伝達も効果的になされて、覆工体全体として充分な強度と構造安定性、信頼性を有するものとなる。
【0028】
また、本実施形態のセグメントは従来の各種セグメントと同様にワンタッチ継手によりボルトレスでの組立が可能であるばかりでなく、特許文献1,2に示される従来の合成セグメントに比べて効率的に組み立てることが可能である。
すなわち、従来の合成セグメントは主桁をH形鋼材により構成していることからセグメント間に隙間が生じるものであり、したがってその隙間にモルタルを充填する作業が必要となるが、本実施形態のセグメントでは主桁11の上下それぞれのフランジ13の外周縁端面は凸部14と凹部15を除きウェブ12の外側面と面一になっているので、ウェブ13どうしは密着した状態で連結でき、また端面板16にしてもその名の通り鋼製フレーム10の端面に位置しているので端面板16どうしは密着させた状態で連結できる。したがってそれらの間に隙間が生じることがなく、セグメントの組立後にさらにモルタルを充填するといった面倒な作業を必要とせず、その点で従来の合成セグメントによる場合に比べて施工性を大きく改善できるものである。
【0029】
以上で本発明のセグメントの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論なく、各部の具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、すなわち主桁をコ字状断面の溝形の鋼材により形成してそのフランジの外周縁部に互いに係合可能な凸部と凹部を設ける限りにおいて、それ以外の各構成要素は省略することも含めて適宜の設計的変更や応用が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0030】
10 鋼製フレーム
11 主桁
12 ウェブ
13 フランジ
14 凸部
15 凹部
16 端面板
17 補強リブ
18 スキンプレート
21 キー(フラットバー)
21a 凹溝
21b 溶接孔
22 キー溝
23 T字形突起(先端拡大形状の突起)
24 切り欠き部(先端拡大形状の切り欠き部)
26 シール溝
27 ピン
28 ピン受
30 止水鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル周方向に沿いかつトンネル軸方向に間隔をおいて対向する対の主桁と、それら主桁の両端間を連結している対の端面板とによって構成した筒状分割体の形態の鋼製フレームに、鋼板からなるスキンプレートを設けてなり、トンネルの施工に際して地山に面して配置されて該トンネルの周方向および軸方向に互いに連結されることにより覆工体を構築するためのセグメントであって、
前記鋼製フレームにおける前記主桁をウェブと対のフランジからなる断面コ状の鋼材により形成して、前記ウェブどうしおよび前記端面板どうしを密着させた状態でセグメントどうしを連結する構成とし、
前記主桁における前記フランジに、トンネル軸方向に連結するセグメントどうしのトンネル周方向の位置決め機能と応力伝達機能をもたせるべく、坑口側のフランジの外周縁部と切羽側のフランジの外周縁部のいずれか一方に凸部を設けるとともに他方に該凸部が係合する凹部を設けてなることを特徴とするセグメント。
【請求項2】
請求項1記載のセグメントであって、
前記主桁における前記ウェブに、トンネル軸方向に連結するセグメントどうしのトンネル径方向の応力伝達機能をもたせるべく、坑口側の主桁のウェブと切羽側の主桁のウェブのいずれか一方にキーを設けるとともに他方に該キーが係合するキー溝を設けてなることを特徴とするセグメント。
【請求項3】
請求項1または2記載のセグメントであって、
前記端面板に、トンネル周方向に連結するセグメントどうしのトンネル径方向の応力伝達機能をもたせるべく、双方の端面板の一方にキーを設けるとともに他方に該キーが係合するキー溝を設けてなることを特徴とするセグメント。
【請求項4】
請求項2または3記載のセグメントであって、
前記キーとしてのフラットバーを凹溝内に溶接してなることを特徴とするセグメント。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のセグメントであって、
前記ウエブ端部に、トンネル周方向に連結するセグメントどうしの位置決め機能と係合機能を持たせるべく、いずれか一方のウエブ端部に先端拡大形状の突起を設けるとともに、他方のウェブ端部に該突起が係合する先端拡大形状の切り欠き部を設けてなることを特徴とするセグメント。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のセグメントであって、
前記鋼製フレーム内にコンクリートを充填してなることを特徴とするセグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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