説明

セサミン含有食品配合物

【課題】 高血圧症又はそれに起因する医学的症状については降圧剤が処方されている場合でも、その効果が切れている時間帯では安全域を外れている場合もある。医薬によって血圧を低減することは可能であるが天然成分を用いて安定した血圧を保つことが人体の血圧によるリスクを低減することになる。
【解決手段】 セサミン類5mg、ルチン50mg、ヘスペリジン50mgの2種以上をオレイン酸リッチな油脂に配合したソフトゼラチンカプセルを毎日3粒を目安に摂取することによって安定した血圧を保持できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、主として胡麻に含有されるセサミン及びそばに多く含まれるルチン、柑橘類に含まれるヘスペリジンを有効成分とし、オレイン酸を主成分とする動植物油に配合してなる高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防剤及び血流改善を目的とした血流改善剤、並びにセサミン及びそばに多く含まれるルチン、柑橘類に含まれるヘスペリジンを主成分とする抽出物を添加し、オレイン酸を主成分とする動植物油に配合してなる高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は改善効果、血流改善効果を有する飲食品、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常血圧が持続的に高い状態を高血圧症というが、WHOでは次のように決められている。正常範囲を140/90mmHg以下、160/95mmHg以上を高血圧としている。ただし年齢とか性別によって修正される。臨床的には最大血圧150mmHg、最小血圧90mmHg以上を高血圧とみなす場合が多い。これらの高血圧を改善する上で血流を改善することも効果を期待される1つの方法であろう。
【0003】
セサミン類はゴマに含有されるリグナン化合物の一種であり、セサミンとその立体異性体であるエピセサミンに関しては、血中コレステロール低下作用及び血中中性脂質低下作用、肝機能改善作用、活性酸素消去作用、Δ5不飽和化酵素阻害作用、過酸化脂質生成抑制作用、抗高血圧作用、悪酔防止作用、乳癌抑制作用等の種々の生理活性が報告されている(特許文献1)。
【0004】
ルチンは、薬草などとして用いられていたミカン科のヘンルーダRuta graveolensから発見された柑橘フラボノイドの一種。しかし、ミカン科の植物に限らずマメ科のエンジュやタデ科のソバなどからも見出されている。クエルセチンの3位の酸素にβ−ルチノース(6−O−α−L−ラムノシル−D−β−グルコース)が結合した配糖体である。水から再結晶したものは通常3水和物で淡黄色の針状結晶。214−215℃で分解する。天然ルチンは水に不溶性でアルコールには溶解する。
【0005】
ヘスペリジン(Hesperidin)は、温州みかんや八朔、ダイダイなどの果皮及び薄皮に多く含まれるフラボノイドでポリフェノールの一種である。漢方の陳皮の主成分である。ビタミンPと呼ばれるものの一部で毛細血管を強化し、血管透過性を抑える働きがある。
(非特許文献1)
さらに血流を改善する効果も報告されている。(非特許文献2)
【0006】
上記3種の有効成分を摂取する上でオレイン酸を主成分とする動植物油に溶解、分散させる。オレイン酸は炭素数18、9位にシス体の2重結合を有するカルボン酸であり、動植物油脂に多く含まれている。さらに通常の動植物油脂では炭素数18,2重結合をω6位、9位に2重結合を含むリノール酸などを多く含むが生体内でアラキドン酸に移行しアレルギー発生や発がん因子など生理活性上好ましくない働きをする危険性があることから最近ではこれを多く摂取することについては好ましくないと言われている。従って本発明においては有効成分を希釈する油脂としてはオレイン酸を主成分とする動植物油を用いる。
【0007】
高血圧症は、近年の研究では血圧は高いほど合併症のリスクが高まるため、収縮期血圧で120mmHg未満が血管にとって負担が少ないとされている。又、降圧剤が処方されている場合でも、その効果が切れている時間帯では安全域を外れている場合もある。逆に、医師が測定すると血圧が上昇して、高血圧と診断される場合もあり、“白衣高血圧”とよばれる。糖尿病患者では起立性低血圧の症例が有るため、座位だけでなく臥位・立位でも測定する。
【0008】
高血圧症は原因が明らかでない本態性高血圧症とホルモン異常などによって生じる二次性高血圧に分類される。本態性高血圧の原因は単一ではなく、両親から受け継いだ遺伝的素因が、生まれてから成長し、高齢化するまでの食事、ストレスなどの様々な環境因子によって修飾されて高血圧症が発生するとされる。本態性高血圧症は高血圧症のうち最も多く、約80%を占める。
【0009】
本態性高血圧症は、35〜40歳頃から発症し始め血圧は動揺性で、日時の経過とともに高血圧は持続性となり、心室肥大、動脈硬化、細動脈硬化が起こり、脳、心臓、腎臓などの虚血性障害をきたす。壮年期以降に脳出血、脳血栓、うっ血性心不全、心筋梗塞、尿毒症などを発生し死亡する。高血圧症は、種々の血管に関する疾患、特に心臓、脳における血管障害に悪影響を与える疾患であり、これをいかに予防・治療するかが重要な問題である。
【0010】
近年降圧剤が開発され、重症な高血圧症でも血圧を下げることは可能となっているが、高血圧症の治療には長期の薬物療法が必要であり、副作用が少なく、効果の高い薬剤の開発が必要となる。又、同じ高血圧症であっても、降圧の作用が異なるため、種々の異なった降圧剤が必要である。又、軽度の場合、副作用のない降圧剤が求められている。
【0011】
これらのことからより安全で天然物からの抽出物で降圧効果の優れたものの探索が進められている。合成品の降圧剤と異なり、副作用のリスクが少なく、安全性が高く、しかも有効性に優れた配合剤が求められる。
【特許文献1】WO2006/070856号
【非特許文献1】Liu L.,et.al.,J Agric Food Chem.56(3)824−9(2008)
【非特許文献2】Hirata K.,et.al.,Anticancer Res.2005 Sep−Oct 25(5)3367−74
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、より安全で、副作用が少ない新規な高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防及び血流改善を目的とした血流改善剤、並びに安全性の高い天然物の抽出物を配合してなる高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は血流改善効果を有する飲食品及びその製造方法を提供することを目的とものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、胡麻種子、胡麻粕又は胡麻油等から抽出又は単離した、セサミン、エピセサミンなどの胡麻リグナン類濃縮物とそばに多く含まれるルチン、柑橘類に含まれるヘスペリジンの配合物が高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防及び血流改善に有効であることを見出し本発明を完成した。
【0014】
従って本発明は、次の化学式(I):
【化1】

で示されるセサミン及びその類縁化合物、及び化学式(II)
【化2】

で示されるルチン、及び化学式(III)
【化3】

で示されるヘスペリジンを含む3種の化合物の配合によって成り立っており、これらの3種の化合物をを有効成分として含有してなる高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は改善剤及び血流改善剤を提供しようとするものである。
【0015】
又これらの1種もしくは複数種を主成分とする抽出物を、単独で又は混合して添加することを特徴とする高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は改善作用及び血流改善作用を有する飲食品、及びその製造方法を提供しようとするものである。
【具体的な説明】
【0016】
本発明の有効成分であるセサミンは、ゴマに含有されるリグナン化合物の一種であり、セサミンとその立体異性体であるエピセサミンに関しては、血中コレステロール低下作用及び血中中性脂質低下作用、肝機能改善作用、活性酸素消去作用、Δ5不飽和化酵素阻害作用、過酸化脂質生成抑制作用、抗高血圧作用、悪酔防止作用、乳癌抑制作用等の種々の生理活性が報告されている。
【0017】
具体的には、セサミン、セサミノール、エピセサミン、エピセサミノール、セサモリンを主成分とする抽出物は、本発明の化合物を含有する天然物から常法に従って抽出することができる。本発明の誘導体を含有する天然物としては、胡麻油、胡麻粕、胡麻油製造過程の脱臭時に発生するスカムなどの副産物、胡麻種子、五加皮、桐木、白果樹皮、ヒハツ、細辛等を挙げることができる。
【0018】
これらの化合物は、配糖体の形であっても良く、抽出された胡麻リグナン類の含有量は30重量%以上が望ましい。より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上含有することが好ましい。
【0019】
例えば胡麻油から、本発明の化合物を主成分とする抽出物を得るには、胡麻油と非混和性であり本発明の化合物を抽出・溶解することができる有機溶剤(例えばアセトン、エタノール等)を用いて抽出・濃縮することができる。一例として、胡麻油とエタノールを加熱して均一に混合した後、低温において静置し、遠心分離して相分離を行い、溶剤画分から溶剤を蒸発除去して得る方法が挙げられ、さらに具体的には、胡麻油を2〜10倍、好ましくは6〜8倍容量のエタノールに60℃で溶かした後、−20℃で一晩放置し、その結果油成分が相分離し分液して得た液からエタノールを留去し、本発明の化合物を主成分とする抽出物を得る。
【0020】
本発明の誘導体は、前述の方法等によって調製された胡麻油抽出物、胡麻粕抽出物あるいは胡麻種子抽出物から、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、液々交流分配クロマトグラフィー等の常法に従って処理することにより目的の化合物を単離することができる。セサミン、セサモリン等の本発明の誘導体が得られる。なお、本発明の誘導体や該誘導体を主成分とする抽出物を得る方法及び精製方法は、これらに限られるものではない。
【0021】
又、本発明におけるルチンについては抽出材料として例えば、ソバの葉茎、エンジュのつぼみ(槐花)、エニシダのつぼみ、ユーカリの葉茎、イチョウの葉茎、柑橘類果実などが有利に利用できる。ソバの葉部と茎部とからなる乾燥物を入手し、粉砕機により粉砕した。この粉砕物5kgを抽出用の原料として使用した。原料粉砕物にエタノール濃度90%の含水エタノールを約10倍量加え、2時間加熱還流して抽出を行った。その後、含水エタノール抽出液をろ過して残渣を除き、ろ液の溶媒を除去してソバ抽出物を得た。ルチン含有量は約5%であった。
【0022】
ヘスペリジンは柑橘類等の果皮などに含まれるポリフェノールの一種で、ビタミンPとも呼ばれるビタミン様物質です。毛細血管の透過性が良くなりすぎると、血管中の水分や栄養分が漏れだし、出血や高血圧などの症状を引き起こす恐れがある。ヘスペリジンは毛細血管を強化して透過性を適度に保つといわれている。その他、毛細血管の柔軟性を保つ作用で末梢神経の血流を改善し、冷え症をやわらげる働きもあるとされます。また血中コレステロール値の改善、中性脂肪の低下、免疫力を高めるビタミンCの吸収を良くする働きについても期待されている。
【0023】
ヘスペリジンはみかん、レモン、グレープフルーツなど柑橘類等の果皮・果汁・種子、アンズ、さくらんぼなどに多く含有される。みかんには、実の部分よりも皮や袋、スジに多く含まれています。ヘスペリジンは例えば、柑橘類の果皮又は果汁よりアルカリ水溶液で抽出することにより得られる。食品添加物(既存添加物)として市販されているヘスペリジンも使用することができる。
【0024】
本発明のセサミン類、ルチン、ヘスペリジンを主成分とする抽出物類は、副作用が少なくかつ血圧の上昇を有意に抑制するため、本態性又は二次性の高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は改善に有効であり、高血圧によってひき起こされる左心室肥大、動脈硬化、細動脈硬化、脳、心臓、腎臓などの虚血性障害(例えば脳卒中、狭心症、心筋梗塞等)や、壮年期又は老年期における脳出血、脳血栓、うっ血性心不全、尿毒症等を低減できる。さらに本発明において、血流の改善効果も付与される。
【0025】
本発明の誘導体を医薬品として用いる場合、投与形態は、経口投与又は非経口投与が都合よく行われるものであればどのような剤形のものであってもよく、例えば注射液、輪液、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、外用液剤、湿布剤、点鼻剤、点耳剤、点眼剤、吸入剤、軟膏剤、ローション剤、坐剤等を挙げることができ、これらを症状に応じてそれぞれ単独で、又は組み合わせて使用することができる。
【0026】
又、本発明の化合物の総量として、1日あたりセサミン類で1mg〜1g、好ましくは1mg〜100mg、さらに好ましくは5mg〜30mgの範囲で適宜調節して投与することができる。ルチンはソバの抽出物として5mg〜1g、好ましくは10mg〜500mg、より好ましくは30mg〜300mgの範囲で調節して投与することが出来る。ヘスペリジンについては食品添加物として5mg〜1g、好ましくは10mg〜500mg、より好ましくは30mg〜300mgの範囲で調節して投与することが出来る。
【0027】
これらを製剤化する上で粉体を賦形剤を用いて打錠したり、顆粒化してスティック充填したりハードカプセルに充填する方法があるが本発明においてはこれらを植物油に溶解、分散させソフトカプセルに充填する方法が用いられる。植物油としてはω−6系の脂肪酸はほとんど含まないハイオレイックのひまわり油や茶油などオレイン酸を多く含む油脂を用いた。
【0028】
本発明の希釈剤として用いるオレイン酸主体の植物油とセサミン類、ルチン、ヘスペリジンの比率はセサミンを10部としてルチン30〜100部、ヘスペリジンも30〜100部を配合しこれにオレイン酸油100〜300部を配合したものとする。セサミン10部に対してルチン40〜60部、ヘスペリジン40〜60部、オレイン酸油150〜200部を配合したものがより好ましい。
【0029】
本発明の化合物又は該化合物を主成分とする抽出物の配合物を飲食品として用いる場合、その形態は、ソフトカプセルやハードカプセルなどの医薬製剤の形態でも良いが、嗜好品、例えばパン、めん類、菓子類(ビスケット、キャンデー、和菓子)、胡麻豆腐などの農産食品、薬用酒、食酢、醤油などの発酵食品、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン、ショートニングなどの油脂食品、かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品、飲料等の加工形態であってもよい。
【0030】
又、健康食品、機能性食品として用いる場合は、その形態は、上記医薬製剤や飲食品の形態でもよいが、例えば蛋白質としてはアミノ酸バランスのとれた栄養価の高い乳蛋白質、魚肉蛋白質、卵アルブミン等の蛋白質が最も広く使用されるが、これらの分解物、卵白のオリゴペプチド、魚肉加水分解物等の他、アミノ酸単体の混合物や、自然流動食、ドリンク剤等の加工形態であってもよい。
【0031】
本発明の飲食品は、高血圧症又はそれに起因する医学的症状に対する予防改善や血流改善を目的として、目安として1日あたり本発明の3種の成分の配合総量が1mg〜10g、好ましくは10mg〜2g、さらに好ましくは30mg〜300mgの範囲で経口摂取されることが望ましい。さらに本発明の飲食品において、本発明の3種の化合物を主成分とする配合物は、抗酸化剤、特にトコフェロール類とともに摂取することにより、本発明の3種の化合物のもつ高血圧症又はそれに起因する医学的症状に対する予防改善や血流改善の作用が増強されるため、目安として1日あたり本発明の誘導体の総量が0.1mg〜1g、好ましくは0.1mg〜500mg、さらに好ましくは0.1mg〜100mgの範囲で、かつ本発明の3種の配合物と抗酸化剤との配合比率は、本発明の3種の配合物1重量部に対して抗酸化剤が0.001〜100重量部、好ましくは0.01〜50重量部、さらに好ましくは0.03〜20重量部の範囲で、経口摂取されることが望ましい。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
溶解槽にセサミン90%含有物50g、ルチン(ソバ抽出物)500g、ヘスペリジン500g、ハイオレイックひまわり油1700g、乳化分散剤250gを加え50℃の加熱下で攪拌溶解後豚ゼラチンを用いてソフトカプセル1粒中に300mgになるように製造した。
【実施例2】
【0033】
セサミン90%含有物50g、ルチン(ソバ抽出物)500g、ヘスペリジン500g、に乳糖1500g、結晶セルロース300g、ショ糖脂肪酸エステル150gを混合し1粒450mgとなるように打錠成形した。
【実施例3】
【0034】
上記カプセル1日3カプセルを1ヶ月摂取した後、1ヶ月摂取しない期間を置き、打錠品1日2錠を1ヶ月摂取したところ、カプセルについては血圧の低減効果が現れたが打錠品については低減効果は弱いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、健康食品の分野において有効に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セサミン、ルチン、ヘスペリジンの2種以上の化合物を含有することを特徴とする高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は改善剤及び血流改善剤。
【請求項2】
セサミン、ルチン、ヘスペリジンの2種以上の配合物をオレイン酸主体の動植物油に溶解分散させることを特徴とする請求項1記載の高血圧症又はそれに起因する医学的症状の予防又は改善剤及び血流改善剤。
【請求項3】
前記がソフトゼラチンカプセルであることを特徴とする請求項1又は2記載の予防又は改善剤及び血流改善剤。

【公開番号】特開2011−236192(P2011−236192A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123495(P2010−123495)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(310013093)株式会社公知貿易 (1)
【出願人】(503295323)
【Fターム(参考)】