説明

セスキテルペン誘導体の用途

【課題】 本発明はセスキテルペン誘導体を有効性分として含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、肥満の予防および治療方法、活性を有するセスキテルペン誘導体をイトスギ属植物から分離する方法を提供する。
【解決手段】セスキテルペン誘導体は体脂肪量の減少、内蔵脂肪量の減少、総コレステロール濃度の減少、血漿中性脂肪および肝組織中性脂肪の減少を招く、高脂肪食餌に誘導された肥満現象を顕著に緩和や空腹時に血糖値および血中インスリン濃度の有意な減少を招来し、高脂血症、脂肪肝、糖尿、肥満を改善する効能を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イトスギ属抽出物またはセスキテルペン誘導体を含む高脂血症、脂肪肝、糖尿または肥満の予防および治療用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生活スタイルおよび生活環境の変化により現代人の内臓脂肪型肥満が増加し、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、インスリン抵抗性などを伴うメタボリックシンドロームの発病が急増している。これらの疾患は相互間の発生危険を増加させ、老化、ストレス、および免疫機能低下などの多元的な生体代謝変化に関わる共通疾患である。
【0003】
2005年国民健康・栄養調査によれば、20歳以上の韓国成人の32パーセントが肥満であるという結果が出た(成人男性の35.2%、女性の28.3%)。韓国人の小児肥満発病率も最近は急増しており、2005年には小学生の11.3%、中学生の10.7%、高校生の16%は肥満と分類され(BMI≧25kg/m)、過体重(BMI≧23kg/m)または肥満青少年の17%がメタボリックシンドロームであった。
【0004】
このような過体重および肥満人口の増加は慢性疾患有病率の増加に繋がるが、その例として、2005年、30歳以上の韓国人の高血圧(男性30.2%、女性25.6%)、糖尿病(男性9.0%、女性7.2%)、また高コレステロール血症有病率(男性7.5%、女性8.8%)ともに他の国に比べ、とても高く現れている。
【0005】
肥満による社会経済的な損失は、2001年現在年間1兆17億ウォンと推定される。従って、政府は成人肥満率を20%未満、青少年肥満率を15%未満に減らすことを2010年国民健康増進の主要目標として設定し、目標達成のための試行戦略として、肥満に対する正確な定義や測定方法を図ることにしたという事実がある。
【0006】
肥満は食事療法、運動療法と行動修正療法を並行して行うことにより最高の治療効果を得ることができるが、このような方法は時間と努力がかなり要求されるため実行が難しく、肥満治療剤、またはダイエット製品が多く利用されている。しかしながら、現在肥満治療剤として利用されているオルリスタットは、脂肪便、腸内ガス発生、腹部膨満感などの副作用があり、シブトラミンは頭痛、口渇、食欲不振、不眠、便秘などの副作用が知られている。また、オルリスタットは、ビタミンEとビタミンDの吸収を抑え、フェンテルミンとシブトラミンは心拍数の増加、心悸亢進或いは目眩を招来するという副作用がある。
【0007】
このように合成医薬品の副作用と慢性疾患の克服に西洋医学には限界があり、生薬剤に対する価値が注目されている。よって、本発明者らは自生植物から肥満を抑える活性物質を探索する過程で、シダレイトスギ(柏木 Cupressus funebris)に注目するようになった。
【0008】
シダレイトスギは、イトスギ属に属する常緑針葉高木として、中国の中部および南西部からベトナムまで主に暖かい地域と海抜2000m以下の地域に分布する。シダレイトスギの学名はCupressus funebrisであるが、Chamaecypris funebrisとも同じ植物であり、一般名はChinese weeping cypressである。中国では柏木と呼ばれていて韓国ではクプレッサスフネブリスと呼ばれる。シダレイトスギは、砂や粘土のような強い酸性の土壌でよく育ち、水はけのよい降水量の少ない乾燥した地域でよく育ち、陰地ではよく育たない。シダレイトスギは直径2m、高さ20〜35mまで成長できる巨木に属する。葉は最長5mmで、鱗状で枝の下に吊り下がって育つ。
【0009】
中国では、シダレイトスギの医学的用途としては、痔または月経過多の治療に使われてきた(J.A.Duke and E.S.Ayensu,Medcinal Plants of China,pp.705, Reference Publications,Inc.、1985)。ベトナムではシダレイトスギを香りの製造、エッセンシャルオイル原料、または、石鹸とシャンプーの香料として使ってきた(Luu and Thomas,2004.p.20−22,Conifers of Vietnam,Darwin Initiative)。水蒸気の蒸留から抽出したシダレイトスギの精油成分は、香りの原料として多く使われてきているが、葉にはモノテルペン(monoterpenes)系列の成分が多い反面、木質部にはセスキテルペンが主流である。セスキテルペンはイソプレン(C)3個が生合成となる化合物であり、C1524が基本構造である。セスキテルペンはリング(ring)の個数が0、1、2、または3個からなるが、シダレイトスギには主に3個のリングを有するセスキテルペンが主流をなしている。シダレイトスギの木質部に含まれたセスキテルペンの種類ではツヨプセン(thujopsene,29.9%)、α−セドレン(alpha−cedrene,26.4%)、β−セドレン(beta−cedrene,9.2%)、セドロール(cedrol,9.6%)、ウィッドロール(widdrol,9.5%)、α−フネブレン(alpha−funebrene,0.7%)、β−フネブレン(beta−funebrene,0.2%)、酢酸セドリル(cedryl acetate,0.1%)などが報告されている(Duquesnoyなど、2006,Flavour and Fragrance Journal,21:453−457;Adams,1991,Modern Methods of Plant Analysis New Series,vol. 12,pp. 159−173)。
【0010】
また、前記シダレイトスギの他にもマクナブイトスギ(Cupressus macnabiana;Laurence G.Cool,Phytochemistry,58(6):969−972(2001))、クプレッサスノートカテンシス(Cupressus nootkatensis;Erdtman,H.et al.、Acta Chem. Scand.、11:1157−1161(1957))、クプレッサスセンペルヴィレンス(Cupressus sempervirens;Seyyed Ahmad Emami et al.、Iranian Journal of Pharmaceutical Sciences,2(2):103−108(2006))、 クプレッサスマクロカルパ(Cupressus macrocarpa;Srikrishna et al.、Synthetic Communications,37(17):2855−2860(2007))、クプレッサスバーケリー(Cupressus bakeri;Koon−Sin Ngo et al.,J.Chem. Soc.,Perkin Trans.1,189−194(2000))等、イトスギ属に属する多くの種の植物がセスキテルペン類を含んでいることが明らかにされた。
【0011】
3個のリングを有するセスキテルペン類は、有機合成法で多様な誘導体が合成されるが、その大部分が半合成で誘導体を合成する。代表的な合成、または半合成セスキテルペン類にはセドレンエポキシド(cedrene epoxide,C1524O)、ギ酸セドリル(cedryl formate,C1626)、メチルセドリルエーテル(methyl cedryl ether,C1628O)、クロベン(clovene,C1524)、ネオクロベン(neoclovene,C1524)、8(15)−セドレン−9−オール(8(15)−cedren−9−ol,C1524O)、サチベン(sativene,C1524)、エピセドロール(epicedrol,C1526O)、メチルセドリルケトン(methyl cedryl ketone,C1726O)およびセドレノール(cedrenol,C1524O)等がある。
【0012】
米国特許第7071195号は、ノイロペプチドY Y5のリガンド作用をするアミンおよびアミド誘導体を利用し、肥満を治療する方法が開示されている。米国特許第7022722号は糖尿、高脂血症、または肥満を治療するためのチアゾリジンジオン類似体を開示している。
【0013】
米国特許第6987131号は、フェニルアセチルグルタミン、フェニルアセチルイソグルタミンまたはフェニル酢酸を含む高脂血症治療用組成物を開示している。米国特許第6942967号は動脈硬化症、高脂血症、肥満および糖尿病治療向けのapobec−1蛋白質を開示している。
【0014】
本明細書の全体を通して多数の論文および特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文および特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参考として挿入され、本発明が属する技術分野の水準および本発明の内容がより詳しく説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7,071,195号
【特許文献2】米国特許第7,022,722号
【特許文献3】米国特許第6,987,131号
【特許文献4】米国特許第6,942,967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明者らは、抗肥満、抗脂血、および/または抗糖尿などの活性を有する天然物質を開発しようと努力した。その結果、イトスギ属(Cupressus)植物のシダレイトスギ(Cupressus funebrisまたはChamaecyparis funebris)抽出物およびシダレイトスギの抽出物から分離したセスキテルペン誘導体、またこれら誘導体と構造が類似した合成セスキテルペンが、前記の活性を有するという事実を確認することによって本発明を完成した。
【0017】
したがって本発明の目的は、セスキテルペン誘導体を有効性分として含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、肥満の予防または治療用組成物を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、前記活性を有するセスキテルペン誘導体をイトスギ属植物から分離する方法を提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、高脂血症、脂肪肝、糖尿、肥満の予防または治療方法を提供することにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的および利点は、下記の発明の詳細な説明、請求範囲、および図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一様態によれば、セスキテルペン誘導体を有効成分として含む高脂血症、脂肪肝、糖尿または肥満の予防、或いは治療用組成物を提供する。セスキテルペン誘導体は下記の化1、2または3の構造を有する。
【0022】
【化1】

【0023】
【化2】

【0024】
【化3】

【0025】
前記化学式でRは、水素、ヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキルまたは−CO−Rで、Rは水素またはC−Cアルキルであり、Rは水素、ヒドロキシまたはC−Cアルキルで、RおよびRは結合しあってエポキシドを形成することができるものであり、Rは 水素、ヒドロキシ、C−Cアルキル、−O−CO−RまたはC−Cアルコキシで、Rは水素またはC−Cアルキルで、Rは水素、ヒドロキシまたはC−Cアルコキシであり、Rは 水素、ヒドロキシまたはC−Cアルコキシで、実線および点線からなる二重線は単一結合または二重結合を示し、リング構造内の実線および点線からなる二重線が二重結合の場合、Rは水素、ヒドロキシまたはC−Cアルキルで、Rの隣の実線および点線からなる二重線が二重結合の場合RはCHで、Rがメチル基でRがヒドロキシで、Rが水素の場合Rは水素ではない。
【0026】
本発明の他の様態によれば、本発明は前記セスキテルペン誘導体を含む組成物を投与対象(subject)に投与する段階を含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、肥満の予防または治療方法を提供する。
【0027】
本発明者らは、抗肥満、抗高脂血、および/または抗糖尿などの活性を有する天然物質を開発しようと努力した。その結果、イトスギ属植物のシダレイトスギ抽出物、およびシダレイトスギの抽出物から分離したセスキテルペン誘導体、またこれらの誘導体と構造が類似した合成セスキテルペンが、前記の活性を有するという事実を発見した。
【0028】
本発明の好ましい実施例によれば、前記Rは水素、ヒドロキシまたは−CO−Rで、RはC−Cアルキルであり、RはヒドロキシまたはC−Cアルキルで、RおよびRは結合しあってエポキシドを形成することができ、Rはヒドロキシ、C−Cアルキル、−O−CO−RまたはC−Cアルコキシで、Rは水素またはC−Cアルキルであり、Rは水素またはヒドロキシで、Rは水素またはヒドロキシで、実線および点線からなる二重線は単一結合または二重結合を示し、リング構造内の実線および点線からなる二重線が二重結合の場合、RはC−Cアルキルであり、Rの隣の実線および点線からなる二重線が二重結合の場合、RはCHで、Rがメチル基で、Rがヒドロキシで、Rが水素の場合、Rは水素ではない。
【0029】
本発明の好ましい実施例によれば、前記Rは水素、ヒドロキシまたは−CO−CHで、Rはヒドロキシまたは−CHであり、RおよびRは結合しあってエポキシドを形成できるものであり、Rはヒドロキシ、−CH,−O−CO−CHまたは−O−CHであり、Rは水素またはヒドロキシで、Rは水素またはヒドロキシで、実線および点線からなる二重線は単一結合または二重結合を示しリング構造内の実線および点線からなる二重線が二重結合の場合、RはCHであり、Rの隣の実線および点線からなる二重線が二重結合の場合、RはCHで、Rがメチル基でRがヒドロキシで、Rが水素の場合、Rは水素ではない。
【0030】
前記化合物らを定義する化学式で、用語「C−Cアルキル基」は炭素数1−3の直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を意味しており、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルを含む低級アルキルである。用語「ハロ基」はハロゲン族元素を示し、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含み、好ましくは、プルオロ、クロロまたはブロモである。用語「アルコキシ」は−Oアルキル基を意味する。C−C置換アルキル基によって置換される場合にはハロ、好ましくはクロロまたはフルオロ、より好ましくはフルオロ置換アルキル基に置換される。用語、「エポキシド」は一つの分子の中で酸素原子が二つの炭素原子と結合しリングになるというリング型エーテルを意味する。
【0031】
前記化1、2、または3の化合物は高脂血症、脂肪肝、または肥満の予防または治療活性を示す。下記実施例で立証された通り、セスキテルペン誘導体は体脂肪量の減少、内蔵脂肪量の減少、総コレステロール濃度の減少、血漿中性脂肪、および肝組織中性脂肪の減少を招く、高脂肪食餌に誘導された肥満現象を顕著に緩和する効能を発揮する。また、セスキテルペン誘導体は空腹時に血糖値、および血中インスリン濃度の有意な減少を招来し、第2型糖尿またはインスリン抵抗性を改善する効果およびこれと密接に関連した代謝性炎症反応を改善する効能も発揮する。
【0032】
本発明の好ましい実施例によれば、前記セスキテルペン誘導体はイトスギ属植物の抽出物または分画物に含まれているものである。
【0033】
イトスギ属植物とは、ヒノキ科(Cupressaceae)に属する約20種余りの常緑針葉高木をいい、観賞用・木材用に使われ、アジア・ヨーロッパ・北アメリカの温和な気候帯と亜熱帯地方に広く広まっている。同科の他の属に属する植物の中で、特に扁柏類とサイプレスパインのように、樹脂が分泌され香りのする多くの常緑高木をサイプレスともする。背が25mまで成長し、特に幼い時の木の模様はピラミッド状である。本発明で利用されるイトスギ属植物は、セスキテルペン誘導体を含む限り、特別に制限されず、好ましくはクプレッサマクナブイトスギ(Cupressus macnabiana;Laurence G. Cool,Phytochemistry,58(6):969−972(2001))、クプレッサスノートカテンシス(Cupressus nootkatensis;Erdtman,H. et al.、Acta Chem. Scand.、11:1157−1161(1957))、クプレッサスセンペルヴィレンス(Cupressus sempervirens;Seyyed Ahmad Emami et al.、Iranian Journal of Pharmaceutical Sciences,2(2):103−108(2006))、クプレッサスマクロカルパ(Cupressus macrocarpa;Srikrishna et al.、Synthetic Communications,37(17):2855−2860(2007))、クプレッサスバーケリー(Cupressus bakeri;Koon−Sin Ngo et al.、J. Chem. Soc.、Perkin Trans. 1,189−194(2000))または、柏木(クプレッサスフネブリス、Cupressus funebris)であり、最も好ましくはシダレイトスギである。
【0034】
セスキテルペン誘導体を含むイトスギ属抽出物はイトスギ属植物(好ましくは、イトスギ属植物の木質部)に通常の抽出溶媒を利用して得ることができ、好ましくは(a)炭素数1−4の無水または含水低級アルコール(例:メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびn−ブタノールなど),(b)前記低級アルコールと水との混合溶媒、(c)アセトン、(d)酢酸エチル、(e)クロロホルム、(f)1,3−ブチレングリコール、(g)ヘキサン、(h)ジエチルエーテル、(i)酢酸ブチルまたは(j)水を抽出溶媒として得ることができる。
【0035】
セスキテルペン誘導体を含むイトスギ属分画物は、イトスギ属抽出物を追加的に分離/精製して得たより単利/精製された形態(form)を意味する。例えば、イトスギ属抽出物を一定の分子量カットオフ値を有する限外ろ過膜を通過させて得た分画、多様なクロマトグラフィー(大きさ、電荷、疏水性または、親和性にともなう分離のために製作されたこと)による分離など、追加的に実施された多様な精製方法を通して得られた分画もイトスギ属分画物に含まれるものである。本発明で利用されるイトスギ属植物を分画して収得されるセスキテルペン誘導体は特別に制限されず、好ましくは下記化4で表される酢酸セドリル(cedryl acetate)、化5で表されるα−セドレン(α−cedrene)、化6で表されるβ−セドレン(β−cedrene)、化7で表されるα−フネブレン(α−funebrene)、または化8で表されるβ−フネブレン(β−funebrene)であり、より好ましくは酢酸セドリル、α−セドレン、またはβ−セドレンである。
【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
【化7】

【0040】
【化8】

【0041】
また、前記のセスキテルペン誘導体は化学的に合成することができる。本発明の好ましい実施例によれば、セスキテルペン誘導体は前記イトスギ属植物から分離する以外に合成して製造された多様なセスキテルペン誘導体を含む。より好ましくは、下記の化9に表示されるセドレンエポキシド(cedrene epoxide)、化10に表示されるギ酸セドリル(cedryl formate)、化11に表示されるメチルセドリルエーテル(methyl cedryl ether)、化12に表示される8(15)−セドレン−9−オール(8(15)−cedren−9−ol)、化13に表示されるエピセドロール(epicedrol)、化14に表示されるメチルセドリルケトン(methyl cedryl ketone)または化15に表示されるセドレノール(cedrenol)を含み、最も好ましくは、セドレンエポキシド、メチルセドリルエーテル、メチルセドリルケトンまたはセドレノールを含む。
【0042】
【化9】

【0043】
【化10】

【0044】
【化11】

【0045】
【化12】

【0046】
【化13】

【0047】
【化14】

【0048】
【化15】

【0049】
本発明のまた他の様態によれば、本発明は活性物質としてセスキテルペン誘導体を含む高脂血症、脂肪肝、糖尿または肥満の予防または治療用医薬的組成物、または食品組成物を提供する。
【0050】
本発明の組成物が医薬的組成物として製造される場合、本発明の医薬的組成物は医薬的に許される担体を含む。本発明の医薬的組成物に含まれる医薬的に許される担体は、製剤時に通常利用されるものとして、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カリウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細決定性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロフィールヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の医薬的組成物は、前記成分以外に潤滑剤、湿潤制、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加で含むことができる。
【0051】
適合した医薬的に許容される担体および製剤はRemington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0052】
本発明の医薬的組成物は経口、または非経口投与をすることができ、好ましくは経口投与方式で適用される。
【0053】
本発明の医薬的組成物の適合した投与量は製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、および反応感応性のような要因によって多様に処方することができる。本発明の医薬的組成物の好ましい投与量は成人を基準として0.001−100mg/kgの範囲である。
【0054】
本発明の医薬的組成物は、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、医薬的に許される担体および/または賦形剤を利用して製剤化することによって単位容量形態で製造されたり、または多用量容器内に内入させ製造されることができる。この時、剤形はオイル、または水性媒質中の溶液、懸濁液、シロップ剤、または乳化液形態かエクストラクト、酸剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤形態であることもあって、分散剤、または安定化剤を追加的に含むことができる。
【0055】
本発明の組成物が食品組成物として製造される場合、有効性分としてイトスギ属抽出物だけでなく、食品製造時に通常添加される成分を含み、例えば、蛋白質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤、および香味剤を含む。前述した炭水化物の例はモノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など、ジサッカライド、例えばマルトース、スクロース、オリゴ糖等およびポリサッカライド、例えばデキストリン、サイクロデキストリンなどのような通常の糖およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。香味剤として天然香味剤[タウマチン、ステビア抽出物(例えばレバウディオサイド A, グリチルリチンなど)]および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使うことができる。
【0056】
例えば、本発明の食品組成物がドリンク剤で製造される場合には、本発明のイトスギ属抽出物以外にクエン酸、液状果糖、ショ糖、ブドウ糖、硝酸、リンゴ酸、果汁、杜仲抽出液、ナツメ抽出液、および/または甘草抽出液などを追加で含ませることができる。
【0057】
イトスギ属抽出物を有効性分として含む本発明の組成物は、体脂肪量の減少、内蔵脂肪量の減少、総コレステロール濃度の減少、血漿中性脂肪および肝組織中性脂肪の減少、空腹時血糖減少および血中インスリン濃度の減少を招来し、最終的に高脂血症、脂肪肝、糖尿、または肥満の予防または治療活性を示す。
【0058】
本明細書で使われる用語「高脂血症」とは、中性脂肪とコレステロール等の脂肪代謝がうまく成り立たなくなることにより血液中に脂肪量が多く誘発された疾患をいう。より具体的に高脂血症とは、血液内の中性脂肪、LDLコレステロール、リン脂質および遊離脂肪酸などの脂質成分が増加した状態の、発生頻度の高い高コレステロール高脂血症をいう。
【0059】
本明細書で使われる用語「脂肪肝」は、肝臓の脂肪代謝障害で脂肪が肝細胞に過度な量で蓄積された状態をいい、これは狭心症、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、脂肪肝およびすい臓炎などのような多様な病気の原因となる。
【0060】
本明細書で使われる用語「糖尿病」は、耐糖能障害を招くインスリンの相対的または絶対的不足として特徴される慢性疾患を意味する。用語糖尿病はすべての種類の糖尿病を含み、例えば、第一型糖尿、第二型糖尿および遺伝性糖尿を含む。第一型糖尿は、インスリン依存性糖尿病として、β−細胞の破壊によって主にもたらされる。第二型糖尿は、インスリン非依存性糖尿病として、食事後不充分なインスリン分泌によってもたらされたり、またはインスリン耐性によってもたらされる。
【0061】
本発明の好ましい実施例によれば、本発明の組成物は第二型糖尿、より好ましくはインスリン耐性による第二型糖尿の予防または治療に適用される。
【0062】
本発明のまた他の様態によれば、本発明は下記段階を含むセスキテルペン誘導体の製造方法を提供する。
(a)クプレッサス属植物に抽出溶媒を添加し抗肥満効能を有する抽出物を収得する段階および、
(b)前記抽出物を分画し抗肥満効能を有する分画物を選別しセスキテルペン誘導体を収得する段階。
本発明の製造方法をそれぞれの段階別で詳細に説明すると次の通りである。
【0063】
(a)イトスギ属抽出物の分離
抽出物を得るためのイトスギは多様なイトスギ属植物が利用され、好ましくはクプレッサスマクイトスギ、クプレッサスノートカテンシス、クプレッサスセンペルヴィレンス、クプレッサスマクロカルパ、クプレッサスバーケリーまたは、シダレイトスギを利用して得、より好ましくはシダレイトスギ、最も好ましくはシダレイトスギの木質部を利用して得る。
【0064】
抽出物を得るための溶媒は当業界で通常利用されるいかなる溶媒も含む。好ましくは、前記抽出溶媒は非極性溶媒で、より好ましくはジクロロメタン、ヘキサン、クロロホルムおよびエチルエーテルで構成された群から選択される非極性溶媒で、最も好ましくはジクロロメタンである。
【0065】
本発明の好ましい実施例によれば、抽出過程後、抽出物をろ過および濃縮する。前記イトスギの総抽出物に対しシー・エレガンス(C.elegans)を利用し実験を実施すると抗肥満効能を有することが確認できる。
【0066】
(b)抽出物の分画化によるセスキテルペン誘導体の収得
イトスギ属抽出物の分画化は、当業界で通常利用される分画化方法、または精製方法により実施することができる。最も好ましくは、分画化はシリカゲルコラムにイトスギ属抽出物を適用して実施する。
【0067】
本発明の好ましい実施例によれば、段階(b)は段階(a)の抗肥満効能を有する抽出物を大型シリカゲルコラムに適用してイトスギ属抽出物をローディングしてセスキテルペン誘導体を分離する。展開溶媒では当業界に公示された多様な溶媒を利用することができ、好ましくは非極性溶媒で、より好ましくはジクロロメタン、ヘキサン、クロロホルム、またはエチルエーテル、最も好ましくはジクロロメタン、および/またはノーマル−ヘキサンを利用して抗肥満効能を有するセスキテルペン誘導体を収得することができる。展開溶媒としてジクロロメタン、およびノーマルヘキサンを利用する場合、ノーマルヘキサンから始めてジクロロメタンの濃度を高めながら化合物を分離する。
【発明の効果】
【0068】
本発明の特徴および利点を要約すると次の通りである。
(i)本発明は化1、2または3に表示されるセスキテルペン誘導体を有効性分として含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、肥満の予防または治療用組成物を提供する。
(ii)本発明の組成物はイトスギ属植物を利用して分離することができ、化学的方法を用いても合成可能である。
(iii)イトスギ属抽出物、またはセスキテルペン誘導体を有効性分として含む本発明の組成物は、体脂肪量の減少、内蔵脂肪量の減少、総コレステロール濃度の減少、血漿中性脂肪および肝組織中性脂肪の減少、空腹時血糖減少および血中インスリン濃度の減少を招来し、最終的に高脂血症、脂肪肝、糖尿または肥満の予防または治療活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】シダレイトスギから分離した成分のシー・エレガンスで抗肥満効能を見せる。図面で写真内の数字はナイルレッド試薬で染色された脂肪含量であり、数字が小さいほど脂肪含量が少ないことを示す。
【図2】合成誘導体成分のシー・エレガンスで抗肥満効能を見せる。図面で写真内の数字はナイルレッド試薬で染色された脂肪含量であり、数字が小さいほど脂肪含有量が少ないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、実施例に依拠して本発明をより詳しく説明する。これら実施例はひたすら本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨により本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないということは当業界で通常の知識を有する者において自明である。
【0071】
実施例1: シダレイトスギの抗肥満成分抽出および分離
イトスギ属に属するシダレイトスギ(クプレッサスフネブリス、Cupressus funebris)の木質部を陰で完全に乾燥させて粉砕機で粉末に作った。シダレイトスギ粉末10kgにジクロロメタン55リットルを加え、25℃の室温で2週間抽出した。抽出は2回繰り返し、一次抽出物と二次抽出物を合わせてろ過した後に減圧状態で50℃のウォーターバス(water bath)で回転減圧濃縮して140gの総抽出液を得た。シダレイトスギの総抽出物に対しシー・エレガンス(Caenorhabditis elegans)を利用し、抗肥満効能があることを確認した後、大型シリカゲルコラムを利用し分離した。コラム用シリカゲル(230−400 mesh,Merck,Germany)を利用し、直径65mm、高さ80cmの大型コラムを使い、シダレイトスギ総抽出物140gをローディングし分離した。展開溶媒ではノーマルヘキサンで始めてジクロロメタンを0.1%から1%まで増加させることにより、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、および化合物6の6種の化合物を分離した。これら6種の化合物に対し抗肥満実験を実施した。
【0072】
実施例2: シダレイトスギから分離した化合物の構造分析
シダレイトスギから分離した6種の化合物に対し質量分析、H−NMR、13C−NMRなどの機器分析を実施して酢酸セドリル(Cedryl acetate:化合物1)、(−)−α−セドレン((−)−α−Cedrene:化合物2)、(+)−β−セドレン((+)−β−Cedrene:化合物3)、(+)−セドロール((+)−Cedrol:化合物4)、(+)−α−フネブレン((+)−α−Funebrene:化合物5)および(+)−β−フネブレン((+)−β−フネブレン:化合物6)であることを確認し、各化合物の機器分析結果と化学構造は次の通りである。
【0073】
化合物1の構造分析
化合物1の性状は結晶粉末で融点は44−46℃であり、分子式はC1728で、質量分析を実施した結果、分子量は264であった。
H−NMR分析を実施した結果は次の通りである。H−NMR(400 MHz in CDCl)δ0.83(d、J=7.2,3H)、0.97(s、3H)、1.17(s、3H)、1.25−1.29(1H)、1.30−1.45(4H)、1.52(s、3H)、1.61−1.68(1H)、1.78−1.82(1H)、1.85−1.91(1H)、1.95(s、3H)、2.00−2.03(1H)、2.38−2.42(1H)。
【0074】
また、化合物1に対する13C−NMR分析を実施した。13C−NMR(150 MHz,in CDCl):δ(ppm)
25.8(C1)、37.0(C2)、41.0(C3)、54.0(C3a)、31.2(C4)、33.2(C5)、86.2(C6)、56.9(C7)、43.4(C8)、56.7(C8a)、41.3(C9)、15.5(C10)、25.3(C11)、170.3(C12)、22.8(C13)、26.9(C14)、28.4(C15)。
以上の機器分析から化合物1は酢酸セドリル(C1728)であり、その化学構造は下記の化学式の通りである。

【0075】
化合物2の構造分析
化合物2の性状は液体であり、分子式はC1524で、質量分析を実施した結果分子量は204であった。
化合物2に対するH−NMR分析を実施した結果は次の通りである。H−NMR(400 MHz in CDCl)δ0.84(d、J=7.2,3H)、0.95(s、3H)、1.02(s、3H)、1.33−1.42(3H)、1.55−1.62(1H)、1.63−1.64(1H)、1.66−1.67(3H)、1.69−1.71(1H)、1.73−1.76(1H)、1.78−1.87(2H)、2.14−2.19(1H)、5.22(1H)。
【0076】
また、化合物2に対する13C−NMR分析を実施した。13C−NMR(100 MHz in CDCl):δ(ppm) 24.8(C1)、36.1(C2)、41.5(C3)、53.9(C3a)、38.1(C4)、119.2(C5)、140.3(C6)、54.9(C7)、48.1(C8)、59.0(C8a)、40.7(C9)、15.4(C10)、24.7(C11)、25.6(C12)、27.7(C13)。
以上の機器分析から化合物2は(−)−α−セドレン(C1524)であり、その化学構造は下記の化学式の通りである。

【0077】
化合物3の構造分析
化合物3の性状は液体であり、分子式はC1524であり質量分析を実施した結果分子量は204であった。
化合物3のH−NMR分析を実施した結果は次の通りである。H−NMR(400 MHz in CDCl)δ0.84(d、J=7.2,3H)、0.94(s、3H)、0.97(s、3H)、1.18−1.21(1H)、1.28−1.34(1H)、1.36−1.45(1H)、1.47−1.49(1H)、1.51−1.58(2H)、1.66−1.72(1H)、1.75−1.83(2H)、1.85−1.90(1H)、2.19(1H)、2.31−2.34(2H)、4.58(1H)、4.59(1H)。
【0078】
また、化合物3に対する13C−NMR分析を実施した。13C−NMR(150 MHz,in CDCl):δ(ppm) 25.7(C1)、37.0(C2),42.1(C3)、54.4(C3a)、33.7(C4),29.7(C5)、151.9(C6)、60.7(C7),42.3(C8)、56.4(C8a)、45.1(C9)、15.4(C10)、107.6(C11)、25.9(C12)、26.6(C13)。
以上の機器分析から化合物3は(+)−β−セドレン(C1524)であり、その化学構造は下記の化学式の通りである。

【0079】
化合物4の構造分析
化合物4の性状は結晶粉末で、融点は55−59℃で、分子式はC1526であり、質量分析を実施した結果分子量は222であった。
H−NMR分析を実施した結果は次の通りである。H−NMR(CDCl)δ0.85(3H)、1.00(3H)、1.26(3H)、1.27−1.29(1H)、1.32(3H)、1.35−1.43 (4H)、1.51−1.58(3H)、1.61−1.71(3H)、1.78−1.89(3H)。
【0080】
また、化合物4に対する13C−NMR分析を実施した。13C−NMR(150 MHz,in CDCl):δ(ppm) 25.4(C1)、37.0(C2)、41.5(C3)、54.1(C3a)、31.6(C4)、35.4(C5)、75.1(C6)、61.1(C7)、43.4(C8)、56.5(C8a)、42.0(C9)、15.6(C10)、30.2(C11)、27.7(C12)、28.9(C13)。
以上の機器分析から化合物4は(+)−セドロール(C15H26O)であり、その化学構造は下記の化学式の通りである。

【0081】
化合物5の構造分析
化合物5の性状は液体であり、分子式はC1524で質量分析を実施した結果分子量は204であった。
化合物5のH−NMR分析を実施した結果は次の通りである。H−NMR(CDCl)δ0.81−0.95 (6H)、1.06(s、3H)、1.25−1.31 (1H)、1.32−1.46 (3H)、1.54−1.61 (2H)、1.61−1.64 (3H)、1.74−1.82 (1H)、1.92−1.99 (1H)、2.07−2.10 (1H)、2.15−2.32 (2H)、5.11 (1H)。
【0082】
また、化合物5に対する13C−NMR分析を実施した。13C−NMR(150 MHz,in CDCl):δ(ppm) 21.8(C1)、34.1(C2)、37.2(C3)、55.5(C3a)、36.4(C4)、119.0(C5)、141.8(C6)、58.1(C7、7.3(C8)、61.2(C8a)、36.6(C9)、18.1(C10)、18.4(C11)、24.3(C12)、24.3(C13)。
以上の機器分析から化合物5は(+)−α−フネブレン(C1524)であり、その化学構造は下記の化学式の通りである。
【0083】

【0084】
化合物6の構造分析
化合物6の性状は液体であり、分子式はC1524で質量分析を実施した結果、分子量は204であった。
化合物6のH−NMR分析を実施した結果は次の通りである。H−NMR(CDCl)δ0.82−0.90(6H)、1.06(s、3H)、1.18−1.24(1H)、1.24−1.35(2H)、1.35−1.41(1H)、1.41−1.50(1H)、1.12(1H)、1.62−1.68(1H)、1.71−1.80(1H)、1.91−1.95(1H)、2.22−2.38(2H)、2.55−2.58 (1H)、4.57(1H)、4.58(1H)。
【0085】
また、化合物6に対する13C−NMR分析を実施した。13C−NMR(150 MHz,in CDCl):δ(ppm) 19.4(C1)、34.1(C2)、35.1(C3)、55.6(C3a)、32.5(C4)、27.6(C5)、152.5(C6)、62.9(C7)、37.3(C8)、59.7(C8a)、36.6(C9)、18.3(C10)、106.6(C11)、21.6(C12)、21.6(C13)。
以上の機器分析から化合物6は(+)−β−フネブレン(C1524)であり、その化学構造は下記の化学式の通りである。

【0086】
実施例3: シダレイトスギに存在するセスキテルペン(sesquiterpene)系統化合物と構造が類似した合成化合物の構造
シダレイトスギから分離した6種のセスキテルペン系化合物は、全3個のリングを有する構造であることがわかったので、これと類似した構造を有する合成セスキテルペンに対しても抗肥満実験を実施した。本発明で抗肥満実験に使われた合成セスキテルペン系化合物の種類と化学構造は次の通りである。合成セスキテルペン系化合物は、購入可能なものとして下記の会社から購入した。
【0087】
化合物7の化学構造
セドレンエポキシド(Cedrene epoxide,C1524)、浙江黄岩香料有限公司(中国)

【0088】
化学物−8の化学構造
ギ酸セドリル(Cedryl formate, C1626)、シグマ(米国)

【0089】
化学物−9の化学構造
メチルセドリルエーテル(Methyl cedryl ether, C1628O)、 浙江黄岩香料有限公司(中国)

【0090】
化学物−10の化学構造
(−)−クロベン((−)−Clovene, C1524)、シグマ(米国)

【0091】
化学物−11の化学構造
(+)−8(15)−セドレン−9−オール((+)−8(15)−Cedren−9−ol, C1524O)、シグマ(米国)

【0092】
化学物−12の化学構造
(+)−サチベン((+)−Sativene, C1524)、シグマ(米国)

【0093】
化学物−13の化学構造
(−)−エピセドロール((−)−Epicedrol, C1526O)、シグマ(米国)

【0094】
化学物−14の化学構造
メチルセドリルケトン(Methyl cedryl ketone)、浙江黄岩香料有限公司(中国)

【0095】
化学物−15の化学構造
セドレノール(Cedrenol, C1524O)、江西樟樹冠京香料有限公司(中国)

【0096】
実施例4: シー・エレガンスを利用した15種のセスキテルペン系化合物の抗肥満効能測定
解剖顕微鏡(倍率50倍)を使って第4段階(L4,成虫段階)のシー・エレガンス(C. elegans)7匹をコレステロールを追加したS培地(NaCl、KHPO、KHPO、コレステロール、クエン酸塩、微量金属、CaClおよびMgSOを含む)3mlに移した後、前日O/Nして液内培養したE.coli OP50(OD600=0.2)100ulを追加した。シー・エレガンスが入っている液体培地に紫檀香分画試料を加え16℃の暗室で100rpmで回転培養した。試料はDMSOに溶かして培養培地に加え、DMSOの最終濃度は1%以下にした。1%DMSOはシー・エレガンスの脂肪合成と成長に全く影響を及ぼさなかった。シー・エレガンスに試料を処理して24時間後に10μg/mlのナイルレッド試薬30ulを加え(ナイルレッドの最終濃度は100ng/mlでオーダーメード、2日間回転培養を継続した。
【0097】
スライドグラスに0.3% NaN 20ulを点滴して、ここにナイルレッドを加えた後2日間液内培養させたシー・エレガンス(C. elegans)溶液100ulを加えて運動を停止させた。蛍光顕微鏡を利用して暗室で赤色蛍光で発光するシー・エレガンスの脂肪細胞を撮影し、対照群と比較して脂肪量を判定した。脂肪含有量が少ない場合+1で表示し、脂肪含有量が多ければ+4で表示した。本実験では卵(egg)を産む直前状態の成体(L4 stage)シー・エレガンスを使った。したがって試料処理後で卵が孵化することになり、試料処理後3日目には成体がほとんど死滅し、新しく孵化して成長するシー・エレガンスの脂肪含有量を観察するようになる。
【0098】
シダレイトスギをジクロメタンで抽出した総抽出物に対し、シー・エレガンスを利用して抗肥満実験を実施した。総抽出物の濃度を0,1,10,100μg/mlで線虫に加えて抗肥満実験を実施した結果、表1に示した通り10μg/ml以上の濃度で有意性のある抗肥満効能を示した。
表1
【0099】
【表1】

(表で、脂肪含有量は+1から+4まで表示しており、+1は脂肪含有量が最も少ないことを意味する)
シダレイトスギの木質部から分離した酢酸セドリル、(−)−α−セドレン、(+)−β−セドレン、(+)−セドロール、(+)−α−フネブレン、および(+)−β−フネブレンなどの6種と、これと構造が類似した化合物のセドレンエポキシド、ギ酸セドリル、メチルセドリルエーテル、(−)−クロベン、(+)−8(15)−セドレン−9−オール、(+)−サチベン、(−)−エピセドロール、メチルセドリルケトン、およびセドレノールなどの9種をそれぞれシー・エレガンスに濃度別(0,1,10,100μg/ml)に加えて脂肪合成を抑制する程度を暗室で蛍光顕微鏡で判定した。その結果、植物から分離した総6種のセスキテルペン系化合物が表2および図1に示す通り全てが1μg/ml、10μg/ml、または100μg/mlという優秀な脂肪合成抑制作用を示した。特に、シダレイトスギ植物から分離した化合物中で(−)−α−セドレン、(+)−β−セドレン、(+)−α−フネブレンおよび(+)−β−フネブレンなどが1μg/mlの低濃度でも脂肪合成を強く抑制した。
【0100】
シダレイトスギから分離した成分のシー・エレガンスでの抗肥満効能
【0101】
【表2】

【0102】
(表で脂肪含量は+1から+4まで表示しており、+1は脂肪含量が最も少ないということを意味する)
またシー・エレガンスを対象に合成セスキテルペン系化合物の抗肥満効能を評価した結果、表3および図2に示す通り、全部1μg/ml、10μg/mlまたは、100μg/mlという優秀な脂肪抑制効能を示した。これら合成化合物の中で、特にギ酸セドリル、メチルセドリルエーテル、(−)−クロベン、(+)−8(15)−セドレン−9−オール、(+)−サチベン、(−)−エピセドロール、メチルセドリルケトンおよびセドレノールなどは1μg/mlの低濃度でも優秀な抑制効能を示した。
【0103】
したがって、本発明に使われた総15種のセスキテルペン系列の化合物は、全て優秀な体脂肪減少効能を表し、抗肥満治療剤として使用できることを確認した。
【0104】
合成誘導体成分のシー・エレガンスでの抗肥満効能
【0105】
【表3】

【0106】
(表で、脂肪含量は+1から+4まで表示しており、+1は脂肪含量が最も少ないことを意味する)
本発明で使った総15種のセスキテルペン系化合物は、天然から分離したものでもなく、合成して得たものでもなく、全て水には溶けず、エタノールより極性の小さい有機溶媒にはよく溶ける性質を有しているので全て脂溶性である。したがって、これら化合物は全て経口服用した場合に小腸での吸収が容易であるという長所を持っている。したがって、製品開発時に粉末形態の成分および液状の化合物は錠剤または軟質カプセル剤として手軽に服用できる最終製品として生産することができる。各化合物の中で沸騰点が100℃以下の化合物は、セドレンエポキシド(沸騰点:94−95℃)で、沸騰点が200℃以下の化合物は(+)−8(15)−セドレン−9−オール(沸騰点:166−168℃)およびセドレノール(沸騰点:166−169℃)であり、その他の化合物は全て200℃以上であり、室温で非常に安定した化合物である。各化合物の物理的特性は表4の通りである。
【0107】
化合物の物理的特性
【0108】
【表4】

【0109】
実施例5:マウスを利用した8種のセスキテルペン系化合物の体重および内蔵脂肪減少効能実験食餌製造および実験動物の飼育
本実験で使った肥満誘導食餌は、本研究責任者によって開発された高脂肪食餌(hgh fat diet,HFD:40%脂肪カロリー、17gラード+ 3%トウモロコシオイル/100gダイエット)であり、セスキテルペン系化合物が含まれた食餌はHFDと組成が同様だが、種類別に8種のセスキテルペン系化合物が0.2%水準で含まれた(酢酸セドリル含有食餌、(−)−α−セドレン含有食餌、(+)−β−セドレン含有食餌、セドレンエポキシド含有食餌、メチルセドリルエーテル含有食餌、メチルセドリルケトン含有食餌、セドレノール含有食餌、および(+)−セドロール含有食餌)。実験食餌の組成は下記表5の通りである。
【0110】
実験食餌組成
【0111】
【表5】

【0112】
6週齢の雄C57BL/6Jマウスを固形飼料で一週間実験室環境に適応させた後、卵塊法により高脂肪食餌対照群(HFD)と8種類の実験群に任意配置し、総6週間飼育した。食餌は毎日午前10〜11時間に水と共に供給し、食餌摂取量は毎日、そして体重は3日に一回ずつ測定した。飼料摂取にともなう突然の体重変化を防ぐために飼料筒を除去して2時間後体重を測定し、食餌効率は実験食餌供給日から犠牲日までを総実験期間とし、実験期間の累積体重増加量を総食餌摂取量で分けて算出した。実験動物を12時間以上禁食させた後、ジエチルエーテルで麻酔をかけた状態で血液、肝および内蔵脂肪組織(副睾丸脂肪、腎臓周辺脂肪、腸間膜脂肪および後腹腔脂肪)を採取し、0.1Mリン酸緩衝溶液(pH7.4)で洗浄した後、重さを測定した。腹部大動脈から採血された血液は、1000×gで15分間遠心分離して血漿を分離した。
【0113】
体重および内蔵脂肪量の変化確認
実験食餌を8週間摂取させた後、8週間の体重増加量を調べると、高脂肪食餌対照群(HFD)に比べ8種類のセスキテルペン系化合物を摂取させた群で、25−60%範囲で全て有意に減少した。その中でもメチルセドリルケトン摂取群の体重減少効果が最も大きく現れ、対照群に比べ8週間の体重増加量が80%減少していて、その次が(−)−α−セドレン、(+)−β−セドレン、酢酸セドリル、メチルセドリルエーテル、セドレノール、(+)−セドロール、そしてセドレンエポキシドの順で対照群に比べ体重増加量がさらに低く現れた(P<0.05)。
【0114】
実験食餌を8週間摂取させた後、副睾丸脂肪、腎臓周辺脂肪、腸間膜脂肪および後腹腔脂肪を合わせた総内蔵脂肪の重さを測定した結果、8種のセスキテルペン系化合物摂取群で対照群に比べ、すべて総内蔵脂肪量が25−55%有意に減少した(P < 0.05)。その中でもメチルセドリルケトン摂取群の内蔵脂肪量減少効果が最も明確であり、その次が(−)−α−セドレン、酢酸セドリル、(+)−β−セドレン、メチルセドリルエーテル、セドレノール、そしてセドレンエポキシドの順で内蔵脂肪量減少効果がさらに強く現れ(P < 0.05)、(+)−セドロール群の場合、対照群に比べ内蔵脂肪量がさらに高い傾向を示した。したがって、前記8種のセスキテルペン系化合物は、0.2%(wt/wt,実験食餌添加量)水準で全て非常に卓越した体重減少効果があり、(+)−セドロールを除く前記7種の化合物は全て優秀な内蔵脂肪量減少効果があるということが確認された(表6)。
表6 化合物を摂取させたマウスの体重増加量および総内蔵脂肪の重さ
【0115】
【表6】

P<0.05におけるt−試験によれば高脂肪食餌群の評価とは有意に異なる。
【0116】
実施例6:セスキテルペン系化合物(総8種)の肥満性高脂血症、脂肪肝と2型糖尿の予防および治療効能
血漿総コレステロール、中性脂肪およびブドウ糖濃度は商業用測定キット(Bio Clinical system)を利用し各々2回反復測定しており、インスリン濃度はマウスインスリンキット(株式会社シバヤギ,日本)を利用してELISAで測定した。肝組織の脂質成分をFolchなどの方法に準じて抽出した。0.25gの肝組織に1mLの蒸溜水を加えた後、polytron均質機(IKA−WERKE GmbH & Co.、Ultra−Turrax,シュタウフェン,ドイツ)を使って均質化させた。均質液にクロロホルム:メタノール溶液(2:1,v/v)5mLを加えてよく混合した後、1000×gで10分間遠心分離して下層液を分離し、上層液にまたクロロホルム:メタノール溶液(2:1,v/v)2mLを添加した後、同一過程を繰り返して肝臓の脂質成分を完全に分離した。このように得た下層液にクロロホルム:メタノール:0.05% CaCl2(3:48:47,v/v/v)溶液3mLを加え、1分間混合した後1000×gで10分間遠心分離し、最終下層液を採取して質素ガスで完全に乾燥させた後、乾燥した脂質を1mLのメタノールに溶解して脂質成分分析に使った。肝組織脂質抽出液の中性脂肪濃度は、血漿の分析のために使われたものと同じ商業用脂質分析キット(Bio Clinical system)を使って測定した。
【0117】
表7から分かるように、表5に提示された実験食餌を8週間摂取させたマウスの血漿脂質濃度を調べたところ、総コレステロール濃度がメチルセドリルエーテル摂取群で高脂肪食餌対照群に比べ46%有意に減少し、その他(−)−α−セドレン、セドレノール、酢酸セドリル、(+)−β−セドレン、メチルセドリルケトン、セドレンエポキシド、そして(+)−セドロール摂取群でも対照群に比べて29−43%範囲で血漿総コレステロール濃度が全て有意に減少した。
【0118】
血漿中性脂肪濃度は(−)−α−セドレン 群で対照群に比べ50%有意に減少し、酢酸セドリル群およびメチルセドリルケトン摂取群では対照群に比べ30%有意に減少した。その他、(+)−セドロール、(+)−β−セドレン、そしてセドレンエポキシド摂取群でも血漿中性脂肪濃度が対照群に比べ18−25%範囲で全て有意に減少した。したがって、前記8種のセスキテルペン系化合物は、高脂肪食餌で誘導された肥満に現れる高脂血症現象を顕著に緩和する効果があるということが分かる。
【0119】
肝組織の中性脂肪濃度もやはり(−)−α−セドレンおよび(+)−β−セドレン摂取群で対照群に比べ64%および63%で最も顕著に減少し、メチルセドリルケトン、酢酸セドリル、メチルセドリルエーテル、セドレノール、およびセドレンエポキシド摂取群で対照群に比べ37−56%の範囲で全て有意に減少した。したがって、(+)−セドロールを除く前記7種のセスキテルペン系化合物は、高脂肪食餌で誘導された肥満に表れる脂肪肝現象を顕著に緩和する効果があるということが分かる。
【0120】
食餌性肥満動物モデル、または人体肥満では血中インスリン濃度が増加しながら同時に空腹時血糖が増加する2型糖尿現象が伴うということは良く知られている事実である。ちなみに、栄養素、または代謝物質供給過剰によって発生する炎症反応に対し、最近「metaflammation」という用語が登場し、肥満を「慢性的に進行させる低水準の炎症反応(chronic and low−level inflammation)」と解釈するなど、肥満と免疫体系との相関関係に対する研究が活発に進行中である。すなわち、多様な肥満合併症(2型糖尿、インスリン抵抗性、動脈硬化、癌および喘息など)は肥満が進行する過程で免疫体系との相互作用によって発生するという新しい見解が提起されている。その例として、先天性免疫反応に関与するTLR4(toll−like receptor 4)の場合、食餌性脂肪(特に、飽和脂肪酸)をリガンドで使って炎症反応およびインスリン抵抗性経路で重要な要素として作用する一方、中枢神経系では食欲調節にも関与すると提示される。
【0121】
本実験では、高脂肪食餌を摂取したマウスを対象に8週間酢酸セドリルを摂取させた結果、高脂肪食餌対照群に比べ空腹時血糖が54%顕著に低下しただけでなく、血中インスリン濃度も49%有意に減少し、インスリン抵抗性指標(insulin resistance index,IRI)もまた73%顕著に減少した。その他にもメチルセドリルエーテル、(−)−α−セドレン、(+)−β−セドレン、メチルセドレンケトン、セドレノール、そしてセドレンエポキシドを8週間摂取させた群でも対照群に比べ空腹時血糖(29−46%水準で)、インスリン濃度(26−40%水準で)およびインスリン抵抗性指標(42−63%水準で)が全て有意に低下した。(+)−セドロール摂取群の場合、空腹時血糖、インスリン濃度、およびインスリン抵抗性指標が全て対照群に比べ減少する傾向を見せたが、統計的有意性は現れなかった。したがって、これらセスキテルペン系化合物は全て2型糖尿、またはインスリン抵抗性を改善する効果があり、これと密接に関連した代謝性炎症反応を改善するという効果もまた期待される。
【0122】
セスキテルペン系化合物を摂取させたマウスの血液および肝組織の肥満関連生化学指標
【0123】
【表7】

P<0.05におけるt−試験によれば高脂肪食餌群の評価とは有意に異なる。
IRI(insulin resistance index)=10−3pmol インスリンxmmol ブドウ糖xL−2
【0124】
以上のように本発明の特定部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を持つ者においてこのような具体的な技術は、単に好ましい実施例であるだけであり、これに本発明の範囲が制限されないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は添付された請求項とその等価物によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化1、2、または3で表されるセスキテルペン誘導体(sesquiterpene derivatives)を有効性分として含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、または肥満の予防または治療用組成物:
【化1】

【化2】

【化3】

前記の化学式でRは水素、ヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキルまたは−CO−Rであり、Rは水素またはC−Cアルキルで、Rは水素、ヒドロキシまたはC−C アルキルで、RおよびRは結合しあってエポキシドを形成することができ、Rは水素、ヒドロキシ、C−Cアルキル、−O−CO−RまたはC−Cアルコキシで、Rは水素またはC−Cアルキルで、Rは水素、ヒドロキシまたはC−Cアルコキシで、Rは水素、ヒドロキシまたはC−C アルコキシで、実線および点線からなる二重線は単一結合または二重結合を表し、リングの構造内の実線および点線からなる二重線が二重結合である場合、Rは水素、ヒドロキシまたはC−Cアルキルで、Rの隣の実線および点線からなる二重線が二重結合である場合、RはCHで、Rがメチル基で RがヒドロキシでRが水素の場合Rは水素ではない。
【請求項2】
前記Rは水素、ヒドロキシまたは−CO−Rで、RはC−C アルキルで、RはヒドロキシまたはC−Cアルキルで、RおよびRは結合しあってエポキシドを形成することができ、Rはヒドロキシ、C−Cアルキル、−O−CO−RまたはC−Cアルコキシで、Rは水素またはC−Cアルキルで、Rは水素またはヒドロキシで、Rは水素またはヒドロキシで、実線および点線からなる二重線は単一結合または二重結合を表わし、リングの構造内の実線および点線からなる二重線が二重結合である場合、RはC−Cアルキルで、Rの隣の実線および点線からなる二重線が二重結合である場合、RはCHで、Rがメチル基でRがヒドロキシでRが水素である場合Rは水素でないことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記Rは水素、ヒドロキシまたは−CO−CHで、Rはヒドロキシまたh−CHで、RおよびRは結合しあってエポキシドを形成することができ、Rはヒドロキシ、−CH、−O−CO−CHまたは−O−CHで、Rは水素またはヒドロキシで、Rは水素またはヒドロキシで、実線および点線からなる二重線は単一結合または二重結合を表し、リングの構造内の実線および点線からなる二重線が二重結合である場合、RはCHで、Rの隣の実線および点線からなる二重線が二重結合である場合RはCHで、Rがメチル基で、RがヒドロキシでRが水素である場合、Rは水素でないことを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記セスキテルペン誘導体は、イトスギ属(クプレッサス、Cupressus)植物の抽出物、または分画物に含まれたことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記イトスギ属植物はクプレッサスマクイトスギ(Cupressus macnabiana)、クプレッサスノートカテンシス(Cupressus nootkatensis)、クプレッサスセンペルヴィレンス(Cupressus sempervirens)、クプレッサスマクロカルパ(Cupressus macrocarpa)、クプレッサスバーケリー(Cupressus bakeri)、およびシダレイトスギ(クプレッサスプネブリス、Cupressus funebris)で構成された群から選択されることを特徴とする請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記イトスギ属植物は、シダレイトスギであることを特徴とする請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記セスキテルペン誘導体は、下記化4で表される酢酸セドリル(cedryl acetate)、化5で表されるα−セドレン(α−cedrene)、化6で表されるβ−セドレン(β−cedrene)、化7で表されるα−フネブレン(α−funebrene)、または化8で表されるβ−フネブレン(β−funebrene)であることを特徴とする請求項4記載の組成物。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【請求項8】
前記セスキテルペン誘導体は、酢酸セドリル、α−セドレンまたはβ−セドレンであることを特徴とする請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記セスキテルペン誘導体は、下記化9で表されるセドレンエポキシド(cedrene epoxide)、化10で表されるギ酸セドリル(cedryl formate)、化11で表されるメチルセドリルエーテル(methyl cedryl ether)、化12で表される8(15)−セドレン−9−オール(8(15)−cedren−9−ol)、化13で表されるエピセドロール(epicedrol)、化14で表されるメチルセドリルケトン(methyl cedryl ketone)、または化15で表されるセドレノール(cedrenol)であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【請求項10】
前記セスキテルペン誘導体は、セドレンエポキシド、メチルセドリルエーテル、メチルセドリルケトン、またはセドレノールであることを特徴とする請求項9記載の組成物。
【請求項11】
(a)医薬的有効量のイトスギ属抽出物;および(b)医薬的に許される担体を含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、または肥満の予防または治療用医薬的組成物。
【請求項12】
前記イトスギ属植物は、クプレッサスマクイトスギ、クプレッサスノートカテンシス、クプレッサスセンペルヴィレンス、クプレッサスマクロカルパ、クプレッサスバーケリー、およびシダレイトスギで構成された群から選択されることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記イトスギ属植物は、シダレイトスギであることを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項14】
有効性分としてイトスギ属抽出物を含む高脂血症、脂肪肝、糖尿、または肥満の予防または治療用食品組成物。
【請求項15】
前記イトスギ属植物は、クプレッサスマクイトスギ、クプレッサスノートカテンシス、クプレッサスセンペルヴィレンス、クプレッサスマクロカルパ、クプレッサスバーケリー、およびシダレイトスギで構成された群から選択されることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項16】
前記イトスギ属植物は、シダレイトスギであることを特徴とする請求項15記載の組成物。
【請求項17】
組成物を投与対象(subject)に投与する段階を含む請求項1乃至16のうちいずれか一項記載の高脂血症、脂肪肝、糖尿、または肥満の予防または治療方法.
【請求項18】
次の段階
(a)イトスギ属植物に抽出溶媒を添加し、抗肥満効能を有する抽出物を収得する段階および、
(b)前記抽出物を分画して抗肥満効能を有する分画物を選別してセスキテルペン誘導体を収得する段階
を含む前記請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項19】
前記セスキテルペン誘導体は、酢酸セドリル、α−セドレン、β−セドレン、α−フネブレンまたはβ−フネブレンであることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記抽出溶媒は、ジクロロメタン、ヘキサン、クロロホルム、およびエチルエーテルで構成された群から選択される非極性溶媒であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記抽出溶媒は、ジクロロメタンであることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記段階(b)はシリカゲルコラムを利用して実施することを特徴とする請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−502094(P2012−502094A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526796(P2011−526796)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006198
【国際公開番号】WO2010/030054
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511027356)クァンドン ファーム カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】