説明

セッション制御装置、ネットワークシステム、および論理網構築方法

【課題】ノード側で遅延時間、経由ルータ数などの計測処理を行うことなく、ノード間の物理的な位置関係を考慮した論理網を構築する。
【解決手段】論理網を構築するセッション制御装置1であって、複数の端末2の端末情報を記憶する記憶手段17と、論理網への参加を要求する要求元端末2から参加要求を受け付ける要求受付手段12と、参加要求に含まれる要求元端末2の電話番号を抽出する抽出手段14と、記憶手段17から論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得手段15と、要求元端末2の電話番号と各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から要求元端末2と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較手段16と、比較手段16が決定した接続先端末の電話番号を要求元端末2に通知する通知手段13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIP(Session Initiation Protocol)によるセッション制御サービスを提供するIP網上で、論理網を構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のSIPサーバを用いたファイル共有や動画配信用の論理網(オーバレイネットワーク)においては、(1)新規ノード(SIP端末)が論理網に参加する際に、SIPサーバが、新規ノードと接続先ノードの物理的な位置関係を考慮することなく接続先ノードを選択して論理網を構成する、もしくは、(2)SIPサーバが論理網を構成する複数の接続候補のノードを新規ノードに通知し、新規ノードが各ノードに対しICMPパケットを用いて遅延時間・経由ルータ数等を計測することで、物理網の形態を推測し、距離が近いと予測されるノードを接続先ノードとすることで論理網を構成する(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Mimura, N. Nakauchi, K. Morikawa, H. Aoyama, T, ”A middleware approach for supporting application-level multicast services,” Proc. of ISADS 2005, pp.689-694, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記(1)の場合、ノード間の物理的な距離が長い論理網が構成される場合があり、この場合、非効率的な網構成となるため網全体のスループットが劣化する。また上記(2)場合、ノード側に計測機構の実装が必要となる。また、論理網を構成するノードの数が増えると各ノードの計測処理のオーバヘッドが増加し、さらに網内に流通する計測用パケット数も増加し、網性能の劣化につながる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ノード側で遅延時間、経由ルータ数などの計測処理を行うことなく、ノード間の物理的な位置関係を考慮した論理網を構築することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、論理網を構築するセッション制御装置であって、複数の端末の端末情報を記憶する記憶手段と、前記論理網への参加を要求する要求元端末から、参加要求を受け付ける要求受付手段と、前記参加要求に含まれる前記要求元端末の電話番号を抽出する抽出手段と、前記記憶手段から、前記論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得手段と、前記要求元端末の電話番号と、前記各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から前記要求元端末と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較手段と、前記比較手段が決定した接続先端末の電話番号を、前記要求元端末に通知する通知手段と、を有する。
【0007】
また、本発明は、論理網を構築するセッション制御装置と、複数の端末とを備えるネットワークシステムであって、前記複数の端末の内の前記論理網への参加を要求する要求元端末は、前記論理網への参加要求を、前記セッション制御装置に送信する要求送信手段と、前記セッション制御装置から通知された電話番号に接続する接続手段と、を有し、前記セッション制御装置は、前記複数の端末の端末情報を記憶する記憶手段と、前記要求元端末から、前記参加要求を受け付ける要求受付手段と、前記参加要求に含まれる前記要求元端末の電話番号を抽出する抽出手段と、前記記憶手段から、前記論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得手段と、前記要求元端末の電話番号と、前記各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から前記要求元端末と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較手段と、前記比較手段が決定した接続先端末の電話番号を、前記要求元端末に通知する通知手段と、を有する。
【0008】
また、本発明は、セッション制御装置が行う論理網を構築する論理網構築方法であって、前記セッション制御装置は、複数の端末の端末情報を記憶する記憶部を有し、前記論理網への参加を要求する要求元端末から、参加要求を受け付ける要求受付ステップと、前記参加要求に含まれる前記要求元端末の電話番号を抽出する抽出ステップと、前記記憶部から、前記論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得ステップと、前記要求元端末の電話番号と、前記各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から前記要求元端末と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較ステップと、前記比較ステップで決定した接続先端末の電話番号を、前記要求元端末に通知する通知ステップと、を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノード側で遅延時間、経由ルータ数などの計測処理を行うことなく、ノード間の物理的な位置関係を考慮した論理網を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワークシステムの構成図である。
【図2】加入者データの一例を示す図である。
【図3】本実施形態の処理を示すシーケンス図である。
【図4】本実施形態の処理を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態のSIPサーバの処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の比較例の処理を示すシーケンス図である。
【図7】第1の処理例を説明するための説明図である。
【図8】第2の比較例の処理を示すシーケンス図である。
【図9】第2の処理例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るネットワークシステムの全体構成図である。図示するネットワークシステムは、SIPサーバ1(セッション制御装置)と、当該SIPサーバ1とIP(Internet Protocol)網9を介して接続された複数のSIP端末2(ノード)とを有する。
【0013】
SIPサーバ1は、0AB-J番号の電話番号をURI(Uniform Resource Identifier)としてSIPによるセッション制御サービスを提供するIP網上に、ファイル共有や動画配信用の論理網(オーバレイネットワーク)を構築・構成する。
【0014】
図示するSIPサーバ1は、各SIP端末2とのインターフェース部11と、論理網管理部14と、DB管理部15と、比較処理部16と、加入者データDB17とを有する。そして、インターフェース部11は、要求受付部12(要求受付手段)と、通知部13(通知手段)とを有する。要求受付部12は、IP網9を介してSIP端末2から論理網への参加要求を受信し、当該参加要求を論理網管理部14に通知する。通知部13は、論理網管理部14から通知された接続先ノード情報を、IP網9を介してSIP端末2に送信する。
【0015】
論理網管理部14(抽出手段)は、IP網上に構成された論理網を管理する。また、論理網管理部14は、要求受付部12から受け取った参加要求から電話番号を抽出し、当該電話番号を比較処理部16に送出する。また、論理網管理部14は、DB管理部15に、加入者データDB17から論理網に参加している全ての参加ノード(SIP端末2)の抽出を指示する。
【0016】
DB管理部15(取得手段)は、加入者データDB17のデータを管理するとともに、論理網管理部14からの参加ノード抽出指示により、加入者データDB17から各参加ノードの電話番号を抽出し、抽出した電話番号を比較処理部16に送出する。
【0017】
比較処理部16(比較手段)は、論理網管理部14から受け取った参加要求に含まれる電話番号と、DB管理部15から受け取った参加ノードの各電話番号とを比較して、接続先ノードを決定し、論理網管理部14に通知する。
【0018】
加入者データDB17には、論理網を利用する加入者(SIP端末2、ノード)に関する各種の情報が記憶されている。図2は、加入者データDB17の一例を示す図である。図示する加入者データDB17は、各ノード(SIP端末2)毎に、ノード名、電話番号、IPアドレス、論理網参加有無情報などが記憶されている。
【0019】
本実施形態の電話番号は、「0AB−J」番号であって、物理的な位置に関連する値を示すものであり。すなわち、「0AB−J」番号の市外局番および市内局番から、ノードの物理的な位置を特定することができる。論理網参加有無情報は、現在、論理網に参加しているか否かを示す情報である。論理網に接続したタイミング(INVITE信号の送信)で、参加中・接続中であることを示すフラグ(図示する例では「○」)が設定され、論理網への接続を切断したタイミング(BYE信号の送信)で、非参加であることを示すフラグ(図示する例では「×」)が設定される。
【0020】
SIP端末2は、SIP対応の端末機器であって、例えば、IP電話機、携帯端末、ソフトフォン等を用いることができる。SIP端末2は、論理網への参加要求を、SIPサーバ1に送信するとともに、SIPサーバ1から通知された電話番号の接続先SIP端末2に接続し、論理網に参加する。
【0021】
なお、上記説明したSIPサーバ1およびSIP端末2は、少なくともCPU、メモリ、HDD等の外部記憶装置などを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。例えば、SIPサーバ1およびSIP端末2の各機能は、SIPサーバ1用のプログラムの場合はSIPサーバ1のCPUが、そして、SIP端末2用のプログラムの場合はSIP端末2のCPUがそれぞれ実行することにより実現される。
【0022】
次に、本実施形態の論理網構成処理について説明する。
【0023】
図3は、論理網構成処理の概要を示すシーケンス図である。なお、以下に説明する、新規ノード、参加ノードおよび接続先ノードは、SIP端末2である。
【0024】
まず、新規ノードは、論理網に参加する場合、参加要求をSIPサーバ1に送信する(S11)。参加要求は、具体的にはINVITE信号であって、送信元情報(From)として新規ノードの電話番号(「0AB−J」番号)が設定されている。SIPサーバ1は、加入者データDB17を参照し、現在、論理網に参加している全ての参加ノードの電話番号(「0AB−J」番号)と、新規ノードの電話番号(「0AB−J」番号)とを比較し、参加ノードの中から物理的に最も近い参加ノードを接続先ノードとして決定する(S12)。そして、SIPサーバ1は、決定した接続先ノードの電話番号を新規ノードに通知する(S13)。新規ノードは、通知された電話番号を宛先として接続先ノードに接続する(S14)。具体的には、新規ノードは、送信元情報(From)に当該新規ノードの電話番号を設定し、送信先情報(To)には通知された電話番号を設定したINVITE信号を送信する。これにより、新規ノードは、論理網に参加することができる。
【0025】
図4は、図2に示す加入者データDB17の場合における、図3の処理を具体的に説明するための説明図である。図2に示す加入者データDB17で、論理網参加有無情報に「○」が設定されてノードA、ノードBおよびノードCが、図4においても論理網に参加していることを示している。
【0026】
この状態で、ノードD(新規ノード)のSIP端末2が、SIPサーバ1に参加要求を送信する(S11)。なお、ノードDの電話番号の市外局番は、「093」であるため、物理的な位置は九州である。SIPサーバ1は、加入者データDB17を参照し、現在、論理網に参加しているノードA、ノードB、ノードCの電話番号と、ノードDの電話番号とを比較し、参加ノードの中から物理的に最も近いノードCを接続先ノードとして決定し(S12)、ノードDに通知する(S13)。そして、ノードDは、通知されたノードCに接続する(S14)。
【0027】
図5は、SIPサーバ1のS12およびS13の接続先ノード決定処理を説明するフローチャートである。
【0028】
SIPサーバ1の要求受付部12は、論理網への参加を要求する新規ノードから、接続要求としてSIPのINVITE信号を受信し、当該INVITE信号を論理網管理部14に出力する。論理網管理部14は、受け取ったINVITE信号のFromに設定された新規ノードの電話番号を抽出し、抽出した電話番号を比較処理部16に出力する(S21)。
【0029】
そして、論理網管理部14は、DB管理部15を用いて、加入者データDB17から現時点で論理網に参加している全ての参加ノードの電話番号を抽出し、比較処理部16に出力する(S22)。なお、図2の加入者データDB17の場合、論理網参加有無情報に「○」が設定されているノードA、ノードBおよびノードCの各電話番号が、比較処理部16に出力される。
【0030】
比較処理部16は、S21で抽出された新規ノードの電話番号と、S22で加入者データDB17から抽出された参加ノードの電話番号の各々とを比較する(S23)。具体的には、新規ノードの電話番号の2桁目(0AB−J番号のA桁)から市内局番までと、各参加ノードの電話番号の2桁目(0AB−J番号のA桁)から市内局番までとを、ロンゲストマッチングでそれぞれ比較する。
【0031】
そして、比較処理部16は、参加ノードの中から新規ノードと物理的に最も近い位置の参加ノードを接続先端末として決定する。すなわち、比較処理部16は、一致する桁数が最も多い電話番号の参加ノードを接続ノードとして決定し、通知部13は、決定した接続ノードの電話番号を新規ノードに通知する(S24)。具体的には、比較処理部16は、新規ノードの電話番号と各参加ノードの電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、不一致となるまでの一致桁数が最大の参加ノードを接続先ノードとして決定する。
【0032】
なお、一致する桁数が最多の参加ノードが複数存在する場合、比較処理部16は、一致する桁数が最多の参加ノードの中から1つの参加ノードを接続先ノードとして決定し、1つの接続先ノードの電話番号を新規ノードに通知してもよく、あるいは、一致する桁数が最多の複数の参加ノードを全て新規ノードに通知してもよい。
【0033】
一方、比較処理部16は、新規ノードの電話番号と各参加ノードの電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較した結果、2桁目で全ての参加ノードと不一致の場合(S23:一致なし)、新規ノードの2桁目の値から各参加ノードの2桁目の値を、それぞれ減算し、減算値を算出する(S25)。
【0034】
そして、比較処理部16は、各減算値の中から最小の絶対値となる参加ノードを接続先ノードとして決定し、通知部13は決定した参加ノードの電話番号を新規ノードに送信する(S26)。
【0035】
例えば、図2に示す加入者データDB17において、ノードDが新規ノードの場合、新規ノードの2桁目の値は「9」である。また、参加ノードの2桁目の各値は、ノードAが「1」、ノードBが「3」、ノードCが「5」である。比較処理部16は、新規ノードと各参加ノードとの2桁目の減算を行うことにより、ノードAとの減算値「8」、ノードBとの減算値「6」、ノードCとの減算値「4」をそれぞれ取得する。そして、各減算値の中から最小の絶対値であるノードCを接続先ノードとして決定する。
【0036】
これにより、新規ノードの電話番号の2桁目と一致する参加ノードが存在しない場合(すなわち、一致桁数が「0」)の場合であっても、参加ノードの中から物理的に一番近い参加ノードを接続先ノードとして決定することができる。
【0037】
次に、本実施形態の比較例の説明をする。
【0038】
図6および図7は、第1の比較例を説明するためのシーケンス図および説明図である。図6に示すように、第1の比較例のSIPサーバは、新規ノードから論理網への参加要求を受け付けると(S31)、新規ノードおよび各参加ノードの物理構成(物理的位置)を考慮することなく、加入者データDBを参照して参加ノードの中から所定のアルゴリズムで(例えば、ランダムに)、接続先ノードを決定し(S32)、新規ノードに通知する(S33)。新規ノードは、通知された接続先ノードに接続し、論理網に参加する(S34)。
【0039】
そのため、第1の比較例では、図7に示すようにノードDが、参加要求をSIPサーバに送信した場合、SIPサーバでは、各ノードの物理的構成を考慮することなく接続先ノードを決定するため、九州のノードDの接続先として北海道のノードAを通知する場合がある。一般に、物理的な距離が大きいと経由するルータ数、伝送リンク長が大きくなるため、遅延やジッタ等が発生し、伝送品質が劣化する。また、ノードDからノードBへのデータ送信時に、ノードA−ノードB間、ノードA−ノードD間の一部で、物理リンクを共有する場合もあり、ネットワークの利用効率が悪くなる。すなわち、ノード間の物理的な距離が長い論理網が構成される場合があり、この場合、非効率的な網構成となるため網全体のスループットが劣化する事態が発生する。
【0040】
図8および図9は、第2の比較例を説明するためのシーケンス図および説明図である。図8に示すように、第2の比較例のSIPサーバは、新規ノードから論理網への参加要求を受け付けると(S41)、新規ノードおよび各参加ノードの物理構成(物理的位置)を考慮することなく、加入者データDBを参照して論理網に参加している参加ノードの全てを抽出し、候補ノード(候補ノード群)として新規ノードに通知する(S42、S43)。
【0041】
新規ノードは、通知された通知された各候補ノードに対して、ICMPパケットを用いて、遅延時間、経由ルータ数等を計測し(S44、S44’)、計測結果から物理網の形態を推測し、距離が近いと予測される候補ノード(例えば、遅延時間が最も小さいノード、経由ホップ数が最も少ないノード等)を接続先ノードとして決定する。そして、新規ノードは、決定した接続先ノードに接続し、論理網に参加する(S45)。
【0042】
そのため、第2の比較例では、図8および図9に示すように各ノードに遅延時間、経由ルータ数等を計測する計測機構の実装が必要である。また、論理網の参加ノードが多くなれば多くなるほどノード側での計測処理のためのオーバヘッドが大きくなり、さらに網内に流通する計測用パケットも多くなる。その結果、網性能が劣化する。
【0043】
また、計測結果からの物理的位置の推測であるため、一時的な要因により、実際には距離が近いにもかかわらず、遠距離に存在するノードと判断される場合もある。例えば、図9に示すノードDとノードCとの間で、一時的なネットワーク障害が発生したことにより、ノードBを接続先ノードとして決定する場合がある。
【0044】
このような第1および第2の比較例に対して、本実施形態では、SIPを用いてセッション制御サービスを提供するIP網上に論理網を構成する際に、SIPサーバ1が新規ノードの電話番号と、加入者データDB17上の論理網を構成する各参加ノードの電話番号とをそれぞれ比較することで、物理的に最も近い位置の参加ノードを接続先ノードとして決定し、新規ノードに通知する。そして、新規ノードは、通知された接続先ノードに接続し、論理網に参加する。
【0045】
これにより、本実施形態では、新規ノードが物理的に近い参加ノードに接続することで、効率的な網構成を実現し、網全体のスループットの低下を防止することができる。すなわち、本実施形態では、物理的な位置関係を考慮した論理網を構築することができ、論理網で提供されるサービスの品質維持を実現することができる。
【0046】
また、本実施形態では、SIPサーバ1側から物理的に近い接続先ノードが通知されるため、ノード側での各参加ノードに対する計測処理および接続先ノードの決定処理が不要となる。これにより、計測用パケットが網内に流通しないため、計測処理による網性能の劣化が発生しない。また、SIPサーバ1は、電話番号に基づいて物理的に近い参加ノードを接続先ノードとして決定するため、新規ノードは、現在論理網を構成する参加ノードの中から、確実に物理的に近い位置の参加ノードに接続することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 SIPサーバ
2 SIP端末
11 インタフェース部
12 要求受付部
13 通知部
14 論理網管理部
15 DB管理部
16 比較処理部
17 加入者データDB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理網を構築するセッション制御装置であって、
複数の端末の端末情報を記憶する記憶手段と、
前記論理網への参加を要求する要求元端末から、参加要求を受け付ける要求受付手段と、
前記参加要求に含まれる前記要求元端末の電話番号を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から、前記論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得手段と、
前記要求元端末の電話番号と、前記各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から前記要求元端末と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較手段と、
前記比較手段が決定した接続先端末の電話番号を、前記要求元端末に通知する通知手段と、を有すること
を特徴とするセッション制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のセッション制御装置であって、
前記電話番号は0AB−J番号であり、
前記比較手段は、前記要求元端末の電話番号と前記各参加端末の電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、不一致となるまでの一致桁数が最大の参加端末を接続先端末として決定すること
を特徴とするセッション制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のセッション制御装置であって、
前記比較手段は、前記要求元端末の電話番号と前記各参加端末の電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、2桁目で全ての参加端末と不一致の場合、前記要求元端末の2桁目の値から各参加端末の2桁目の値を減算し、減算値の絶対値が最小となる参加端末を、接続先端末として決定すること
を特徴とするセッション制御装置。
【請求項4】
論理網を構築するセッション制御装置と、複数の端末とを備えるネットワークシステムであって、
前記複数の端末の内の前記論理網への参加を要求する要求元端末は、
前記論理網への参加要求を、前記セッション制御装置に送信する要求送信手段と、
前記セッション制御装置から通知された電話番号に接続する接続手段と、を有し、
前記セッション制御装置は、
前記複数の端末の端末情報を記憶する記憶手段と、
前記要求元端末から、前記参加要求を受け付ける要求受付手段と、
前記参加要求に含まれる前記要求元端末の電話番号を抽出する抽出手段と、
前記記憶手段から、前記論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得手段と、
前記要求元端末の電話番号と、前記各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から前記要求元端末と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較手段と、
前記比較手段が決定した接続先端末の電話番号を、前記要求元端末に通知する通知手段と、を有すること
を特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項4記載のネットワークシステムであって、
前記電話番号は0AB−J番号であり、
前記セッション制御装置の前記比較手段は、前記要求元端末の電話番号と前記各参加端末の電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、不一致となるまでの一致桁数が最大の参加端末を接続先端末として決定すること
を特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
請求項5記載のネットワークシステムであって、
前記セッション制御装置の前記比較手段は、前記要求元端末の電話番号と前記各参加端末の電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、2桁目で全ての参加端末と不一致の場合、前記要求元端末の2桁目の値から各参加端末の2桁目の値を減算し、減算値の絶対値が最小となる参加端末を、接続先端末として決定すること
を特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
セッション制御装置が行う論理網を構築する論理網構築方法であって、
前記セッション制御装置は、複数の端末の端末情報を記憶する記憶部を有し、
前記論理網への参加を要求する要求元端末から、参加要求を受け付ける要求受付ステップと、
前記参加要求に含まれる前記要求元端末の電話番号を抽出する抽出ステップと、
前記記憶部から、前記論理網に参加している各参加端末の電話番号を取得する取得ステップと、
前記要求元端末の電話番号と、前記各参加端末の電話番号とを比較し、参加端末の中から前記要求元端末と物理的に最も近い参加端末を接続先端末として決定する比較ステップと、
前記比較ステップで決定した接続先端末の電話番号を、前記要求元端末に通知する通知ステップと、を行うこと
を特徴とする論理網構築方法。
【請求項8】
請求項7記載の論理網構築方法であって、
前記電話番号は0AB−J番号であり、
前記比較ステップは、前記要求元端末の電話番号と前記各参加端末の電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、不一致となるまでの一致桁数が最大の参加端末を接続先端末として決定すること
を特徴とする論理網構築方法。
【請求項9】
請求項8記載の論理網構築方法であって、
前記比較ステップは、前記要求元端末の電話番号と前記各参加端末の電話番号の2桁目から市内局番までを順次同じ桁同士で比較し、2桁目で全ての参加端末と不一致の場合、前記要求元端末の2桁目の値から各参加端末の2桁目の値を減算し、減算値の絶対値が最小となる参加端末を、接続先端末として決定すること
を特徴とする論理網構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−166506(P2011−166506A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27877(P2010−27877)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】