説明

セパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法

【課題】ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷することを抑制することが可能なセパレーターを提供する。また、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造装置を提供する。さらにまた、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造方法を提供する。
【解決手段】基材層10と、「基材層10との接合に用いられる接合ナノ繊維22」及び無機粒子26を含むナノ繊維層20とを有し、基材層10とナノ繊維層20とは、接合ナノ繊維22により接合されていることを特徴とするセパレーター1。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、セパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法に関する。
【0002】
従来、基材層(多孔質フィルム)と、ナノ繊維及び無機粒子(例えば、アルミナ)を含むナノ繊維層とを有するセパレーターが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来のセパレーターによれば、アルミナのような無機粒子を含むナノ繊維層を有するため、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、それぞれ異なる性質を有する基材層とナノ繊維層とを用いることにより、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、基材層が有する性質にナノ繊維層が有する性質(広い表面積や微細な空隙等)を付加することにより、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、繊維の平均径や空隙が微細なナノ繊維層を備えるため、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【0004】
なお、「基材層」とは、ナノ繊維層を形成するための基材となる層のことをいう。また、「ナノ繊維」とは、ポリマー材料からなり、平均径が数nm〜数千nmの繊維のことをいう。さらにまた、「セパレーター」とは、電池(一次電池及び二次電池を含む。)やコンデンサー(キャパシターともいう。)等に用いるセパレーター(仕切り)のことをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−44935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のセパレーターにおいては、基材層とナノ繊維層との結合強度が小さいため、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷してしまうおそれがあるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能なセパレーターを提供することを目的とする。また、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造装置を提供することを目的とする。さらにまた、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明のセパレーターは、基材層と、「前記基材層との接合に用いられる接合ナノ繊維」及び無機粒子を含むナノ繊維層とを有し、前記基材層と前記ナノ繊維層とは、前記接合ナノ繊維により接合されていることを特徴とする。
【0009】
このため、本発明のセパレーターによれば、基材層とナノ繊維層とが接合ナノ繊維により接合されているため、基材層とナノ繊維層とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【0010】
また、本発明のセパレーターによれば、無機粒子を含むナノ繊維層を有するため、従来のセパレーターと同様に、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
【0011】
また、本発明のセパレーターによれば、それぞれ異なる性質を有する基材層とナノ繊維層とを用いることにより、従来のセパレーターと同様に、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【0012】
また、本発明のセパレーターによれば、基材層が有する性質にナノ繊維層が有する性質(広い表面積や微細な空隙等)を付加することにより、従来のセパレーターと同様に、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【0013】
また、本発明のセパレーターによれば、繊維の平均径や空隙が微細なナノ繊維層を備えるため、従来のセパレーターと同様に、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【0014】
[2]本発明のセパレーターにおいては、前記接合ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記ナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した前記接合ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることにより、基材層とナノ繊維層とを加熱することにより容易に接合することが可能となる。
【0016】
なお、熱接合性を有する樹脂とは、いわゆる熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)に加え、ポリウレタンのように熱による接合性を有する樹脂も広く含めたもののことをいう。
【0017】
[3]本発明のセパレーターにおいては、前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点よりも低いことが好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、基材層を構成する材料の融点と熱接合性を有する樹脂の融点との間の温度で加熱することにより接合ナノ繊維を選択的に溶融することが可能となる。
【0019】
[4]本発明のセパレーターにおいては、前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点よりも10℃以上低いことが好ましい。
【0020】
このような構成とすることにより、基材層を構成する材料の融点と、熱接合性を有する樹脂の融点とに十分な差があるため、加熱することにより接合ナノ繊維を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【0021】
[5]本発明のセパレーターにおいては、前記接合ナノ繊維の平均径は、50nm〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、基材層とナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態となり、かつ、セパレーターの通液性が低下するのを抑制することが可能となる。
【0023】
なお、本発明において、接合ナノ繊維の平均径を50nm〜1000nmの範囲内にしたのは、当該平均径が50nmより小さい場合には基材層とナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態にならない場合があるためであり、当該平均径が1000nmより大きい場合にはセパレーターの通液性が低下してしまう場合があるためである。
【0024】
[6]本発明のセパレーターにおいては、前記ナノ繊維層は、前記熱接合性を有する樹脂の融点よりも高い融点を有する材料からなる高融点ナノ繊維をさらに含むことが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、ナノ繊維層の構造が加熱により壊れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0026】
[7]本発明のセパレーターにおいては、前記接合ナノ繊維は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記ナノ繊維層とは、少なくとも一部が前記所定の溶媒で溶解した接合ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることにより、基材層とナノ繊維層とを所定の溶媒を用いて容易に接合することが可能となる。
【0028】
[8]本発明のセパレーターにおいては、前記ナノ繊維層は、前記所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂よりも前記所定の溶媒に対して低い溶解性を有する材料からなる低溶解性ナノ繊維をさらに含むことが好ましい。
【0029】
このような構成とすることにより、ナノ繊維層の構造が溶媒により壊れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0030】
[9]本発明のセパレーターにおいては、前記接合ナノ繊維は、電界紡糸法により得られたものであることが好ましい。
【0031】
このような構成とすることにより、所望の性質(組成、厚さ、目付、接合ナノ繊維の平均径、溶融温度、溶媒に対する溶解性等)を有するナノ繊維層を形成することが可能となる。
【0032】
[10]本発明のセパレーターにおいては、前記無機粒子の平均径は、5nm〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。
【0033】
このような構成とすることにより、無機粒子の取り扱いを容易なものとすることが可能となり、かつ、ナノ繊維層の空間構造が崩壊するのを抑制することが可能となる。
【0034】
なお、本発明において無機粒子の平均径を5nm〜1000nmの範囲内としたのは、当該平均径が5nmより小さい場合には無機粒子の取り扱いが困難なものとなる場合があるためであり、当該平均径が1000nmより大きい場合には無機粒子の大きさに起因してナノ繊維層の空間構造が崩壊してしまう場合があるためである。
上記観点からは、無機粒子の平均径が8nm〜500nmの範囲内にあることが一層好ましく、当該平均径が10nm〜100nmの範囲内にあることがより一層好ましい。
【0035】
[11]本発明のセパレーターにおいては、前記無機粒子は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなることが好ましい。
【0036】
無機酸化物、無機窒化物及び無機炭化物は熱的安定性及び電解液に対する親和性が特に優れているため、上記のような構成とすることにより、一層高い熱的安定性と、電解液に対する一層高い親和性を有するセパレーターとすることが可能となる。
【0037】
無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物としては、非水系電解液に対して溶解度が低く、膨潤しにくいものを好適に用いることができる。上記のものの中では無機酸化物を好適に用いることができ、その具体例としては、シリカ、アルミナ及び二酸化チタンを挙げることができる。
【0038】
[12]本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に、「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」を形成する機構を有する電界紡糸装置と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【0039】
本発明のセパレーター製造装置によれば、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0040】
[13]本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、前記接合ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する電界紡糸装置と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【0041】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0042】
[14]本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する電界紡糸装置と、前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【0043】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0044】
[15]本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する電界紡糸装置と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記接合ナノ繊維を含む層とを接合する接合装置と、前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置とを備えることを特徴とする。
【0045】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0046】
[16]本発明のセパレーター製造装置においては、前記接合装置は、前記基材層と、前記ナノ繊維層又は前記接合ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなることが好ましい。
【0047】
このような構成とすることにより、熱接合性を有する樹脂からなる接合ナノ繊維を用いた場合において、基材層とナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【0048】
[17]本発明のセパレーター製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に、「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」を形成する電界紡糸工程と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【0049】
本発明のセパレーター製造方法によれば、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0050】
[18]本発明のセパレーター製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、前記接合ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする電界紡糸工程と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【0051】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0052】
[19]本発明のセパレーターの製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する電界紡糸工程と、前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【0053】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0054】
[20]基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する電界紡糸工程と、前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記接合ナノ繊維を含む層とを接合する接合工程と、前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【0055】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【0056】
[21]本発明のセパレーター製造方法においては、前記接合工程は、前記基材層と、前記ナノ繊維層又は前記接合ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により前記接合ナノ繊維の少なくとも一部を熱で溶融させて前記基材層と前記ナノ繊維層又は前記接合ナノ繊維を含む層とを前記接合ナノ繊維で接合することが好ましい。
【0057】
このような方法とすることにより、熱接合性を有する樹脂からなる接合ナノ繊維を用いた場合において、基材層とナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施形態1に係るセパレーター1を説明するための図である。
【図2】実施形態1に係るセパレーター製造装置100の正面図である。
【図3】実施形態1に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図4】実施形態1に係るセパレーター製造方法を説明するための図である。
【図5】実施形態1における接合工程S3を説明するために示す図である。
【図6】実施形態2に係るセパレーター製造装置102の正面図である。
【図7】実施形態2に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図8】実施形態2に係る電界紡糸工程S12及び無機粒子含有化工程S13を説明するために示す図である。
【図9】実施形態3に係るセパレーター製造装置104の正面図である。
【図10】実施形態3に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図11】実施形態4に係るセパレーター2を説明するための図である。
【図12】実施形態5に係るセパレーター製造装置106の正面図である。
【図13】実施形態5に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図14】変形例に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明のセパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法について図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0060】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るセパレーター1の構成
まず、実施形態1に係るセパレーター1の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係るセパレーター1を説明するための図である。図1(a)は芯材(符号を図示せず。)に巻いた状態のセパレーター1の斜視図であり、図1(b)はセパレーター1の拡大断面図であり、図1(c)は図1(b)のAで示す範囲をさらに拡大して示す模式図(以下、拡大模式図という。)である。
【0061】
実施形態1に係るセパレーター1は、図1に示すように、基材層10と、ナノ繊維層20とを有する。セパレーター1においては、基材層10とナノ繊維層20とは、接合ナノ繊維22により接合されている。具体的には、図1(c)に示すように、基材層10とナノ繊維層20とは、少なくとも一部が熱で溶融した接合ナノ繊維24により接合されている。
セパレーター1の厚さは、1μm〜100μmの範囲内にあり、例えば、20μmである。
【0062】
実施形態1に係るセパレーター1は、後述するように、実施形態1に係るセパレーター製造装置100を用いて、実施形態1に係るセパレーター製造方法を実施することにより得ることができる。
【0063】
基材層10は長尺シートの形態を取っており、基材層10としては、各種材料からなる不織布、織物、編物、紙等、通気性(通液性)のあるものを用いることができる。実施形態1においては、基材層10として繊維質の基材層を用いており、図1(c)中、符号12で示すのは基材層10中の基材繊維である。なお、基材層10としては、繊維質以外のもの(例えば、多孔性のフィルム)も用いることができる。
基材層10の厚さは、例えば1μm〜90μmのものを用いることができる。基材層10の長さは、例えば10m〜10kmのものを用いることができる。
【0064】
ナノ繊維層20は、ナノ繊維22及び無機粒子26を含む。なお、ナノ繊維層は接合ナノ繊維及び無機粒子を含んでいればよく、その上であれば接合ナノ繊維及び無機粒子以外の物質を含んでもよい。接合ナノ繊維22は熱接合性を有する樹脂からなる。接合ナノ繊維22の平均径は、50nm〜1000nmの範囲内にあり、例えば、100nmである。接合ナノ繊維22は、後述するように電界紡糸法により得ることができる。
無機粒子26の平均径は、5nm〜1000nmの範囲内にあり、例えば、50nmである。無機粒子26は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなり、例えば、アルミナからなる。
【0065】
セパレーター1においては、熱接合性を有する樹脂の融点は、基材層10を構成する材料(基材繊維12)の融点よりも低く、さらにいえば、10以上低い。
【0066】
2.実施形態1に係るセパレーター製造装置100の構成
次に、実施形態1に係るセパレーター製造装置100の構成を説明する。
図2は、実施形態1に係るセパレーター製造装置100の正面図である。なお、図2においては、一部の部材(筐体200や原料タンク232等)は断面図として示している。
【0067】
セパレーター製造装置100は、搬送装置110と、電界紡糸装置120と、接合装置130とを備える。セパレーター製造装置100は、電界紡糸装置120を1つ備える。
【0068】
搬送装置110は、基材層10を所定の搬送速度で搬送する。搬送装置110は、基材層10を繰り出す繰り出しローラー111、基材層10を巻き取る巻き取りローラー112、基材層10の張りを調整するテンションローラー113,118及び繰り出しローラー111と巻き取りローラー112との間に位置する補助ローラー114を備える。繰り出しローラー111及び巻き取りローラー112は、図示しない駆動モーターにより回転駆動される構造となっている。
【0069】
電界紡糸装置120は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子26を混合した混合ポリマー溶液を用いて、基材層10における一方の面(実施形態1においては下方の面)に、接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’を形成する機構を有する(後述する図4(b)参照。)。
電界紡糸装置120は、図2に示すように、筐体200と、ノズルユニット210と、ポリマー溶液供給部230と、コレクター250と、電源装置260と、補助ベルト装置270とを備える。電界紡糸装置120は、後述する複数の上向きノズル220の吐出口からポリマー溶液をオーバーフローさせながら吐出してナノ繊維層20’を形成する。
【0070】
筐体200は、導電体からなる。
ノズルユニット210は、複数の上向きノズル220を有する。
【0071】
上向きノズル220は、ポリマー溶液供給部230から供給される「接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液(熱接合性を有する樹脂のポリマー溶液)に無機粒子26を混合した混合ポリマー溶液」を吐出口から吐出するノズルである。上向きノズル220は、ポリマー溶液を吐出口から上向きに吐出する。上向きノズル220を構成する材料としては導電体を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等を用いることができる。
【0072】
上向きノズル220は、例えば、1.5cm〜6.0cmのピッチで配列されている。上向きノズル220の数は、例えば、36個(縦横同数に配列した場合、6個×6個)〜21904個(縦横同数に配列した場合、148個×148個)とすることができる。
実施形態1における上向きノズル220は、電界紡糸装置100における、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子26を混合した混合ポリマー溶液を用いて、基材層10における一方の面に、「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」を形成する機構のひとつとして、無機粒子26よりも大きい径を有する。具体的には、無機粒子26の粒子径に対して100倍以上の径を有することが好ましい。
【0073】
なお、実施形態1においては、ノズルとして上向きノズル220を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。ノズルとして横向きノズルを用いてもよいし、下向きノズルを用いてもよい。
【0074】
ポリマー溶液供給部230は、ポリマー溶液をノズルユニット210に供給する。ポリマー溶液供給部230は、原料タンク232、撹拌装置233及び供給装置234を備える。電界紡糸装置120の原料タンク232には、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子26を混合した混合ポリマー溶液が入る。
【0075】
コレクター250は、ノズルユニット210の上方に配置されている。コレクター250は導電体からなり、図2に示すように、絶縁部材252を介して筐体200に取り付けられている。
電源装置260は、上向きノズル220と、コレクター250との間に高電圧を印加する。電源装置260の正極はコレクター250に接続され、電源装置260の負極は筐体200を介してノズルユニット210に接続されている。
【0076】
補助ベルト装置270は、基材層10の搬送速度に同期して回転する補助ベルト272と、補助ベルト272の回転を助ける5つの補助ベルト用ローラー274とを有する。5つの補助ベルト用ローラー274のうち1つ又は2つ以上の補助ベルト用ローラーが駆動ローラーであり、残りの補助ベルト用ローラーが従動ローラーである。コレクター250と基材層10との間に補助ベルト272が配設されているため、基材層10は、正の高電圧が印加されているコレクター250に引き寄せられることなくスムーズに搬送されるようになる。
【0077】
接合装置130は、接合ナノ繊維22を用いて基材層10とナノ繊維層20とを接合する装置である。接合装置130は、基材層10と、ナノ繊維層20’とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなる。接合装置130としては、図2に示すように、カレンダーロールを備えた熱接合装置を例示することができる。なお、加熱するための手段としては、例えば、カレンダーロール内にヒーター機能(図示せず。)を組み込んだものを用いることができるが、これ以外にも、たとえば、抵抗加熱器、赤外線加熱器、乾燥器、熱風発生器等を用いることも可能である。なお、図2においては、カレンダーロールは、上下1個ずつのローラーによってナノ繊維積層体30を挟むような構成のものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、上下2個ずつのローラーが存在するもの等種々の構成を有するカレンダーロールを使用することができる。
【0078】
3.実施形態1に係るセパレーター製造方法
次に、実施形態1に係るセパレーター製造方法を説明する。
図3は、実施形態1に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
図4は、実施形態1に係るセパレーター製造方法を説明するための図である。図4(a)は基材準備工程S1のときの基材10の拡大断面図であり、図4(b)は電界紡糸工程S2後のナノ繊維積層体30の拡大断面図である。
図5は、実施形態1における接合工程S3を説明するために示す図である。図5(a)は接合工程S3の前の拡大模式図であり、図5(b)は接合工程S3の後の拡大模式図である。
【0079】
実施形態1に係るセパレーター製造方法は、図3に示すように、基材層準備工程S1と、電界紡糸工程S2と、接合工程S3とをこの順番で含む。実施形態1に係るセパレーター製造方法は、実施形態1に係るセパレーター製造装置100を用いて行う。
【0080】
1.基材層準備工程S1
基材準備工程S1は、図4(a)に示すように、基材層10を準備する工程である。実施形態1においては、基材層10は長尺シートの形態を取っている。なお、本発明のセパレーター製造方法においては、長尺シート以外の形態を取る種々の形状の基材層を用いることもできる。
実施形態1においては、基材層10の準備後、長尺シートである基材層10を搬送装置110にセットし、基材層10を繰り出しローラー111から所定の搬送速度で搬送させる。
【0081】
2.電界紡糸工程S2
電界紡糸工程S2は、図4(b)に示すように、電界紡糸法により、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子26を混合した混合ポリマー溶液を用いて、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層10における一方の(下方の面)に、「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」を形成する工程である。
電界紡糸工程S2は、上記した電界紡糸装置120を用いて行う。具体的には、まず、混合ポリマー溶液を、電界紡糸装置120におけるポリマー溶液供給部230を通じてノズルユニット210へ供給する。次に、コレクター250とノズルユニット210との間に電圧をかけて、上向きノズル220からポリマー溶液を吐出させ、長尺シートである基材層10の下方の面にナノ繊維層20’を形成し、ナノ繊維積層体30とする。
【0082】
3.接合工程S3
接合工程S3は、図5に示すように、接合ナノ繊維22を用いて、基材層10とナノ繊維層20とを接合する工程である。接合工程S3は、基材層10と、ナノ繊維層20とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により接合ナノ繊維22の少なくとも一部を熱で溶融させて、基材層10とナノ繊維層20とを接合ナノ繊維22で接合する。
接合工程S3は、上記した接合装置130を用いて行う。
【0083】
以下に、実施形態1における紡糸条件を例示的に示す。
【0084】
接合ナノ繊維22の材料としては、熱接合性を有する樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)等を用いることができる。
【0085】
ポリマー溶液を製造するための溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、THF等を用いることができる。また、溶媒として複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、導電性向上剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0086】
搬送速度は、例えば0.2m/分〜100m/分に設定することができる。上向きノズル220とコレクター250とノズルユニット210に印加する電圧は、10kV〜80kVに設定することができ、50kV付近に設定することが好ましい。
【0087】
紡糸区域の温度は、例えば25に設定することができる。紡糸区域の湿度は、例えば30%に設定することができる。
【0088】
以下、実施形態1に係るセパレーター1、セパレーター製造装置100及びセパレーター製造方法の効果を記載する。
【0089】
実施形態1に係るセパレーター1によれば、接合ナノ繊維22を含むナノ繊維層20を有し、基材層10とナノ繊維層20とが接合ナノ繊維22により接合されているため、基材層とナノ繊維層とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【0090】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、無機粒子26を含むナノ繊維層20を有するため、従来のセパレーターと同様に、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
【0091】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、それぞれ異なる性質を有する基材層10とナノ繊維層20とを用いることにより、従来のセパレーターと同様に、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【0092】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、基材層10が有する性質にナノ繊維層20が有する性質(広い表面積や微細な空隙等)を付加することにより、従来のセパレーターと同様に、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【0093】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、繊維の平均径や空隙が微細なナノ繊維層20を備えるため、従来のセパレーターと同様に、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【0094】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、接合ナノ繊維22は、熱接合性を有する樹脂からなるため、基材層とナノ繊維層とを加熱することにより容易に接合することが可能となる。
【0095】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、熱接合性を有する樹脂の融点が基材層10を構成する材料の融点よりも低いため、基材層を構成する材料の融点と熱接合性を有する樹脂の融点との間の温度で加熱することにより接合ナノ繊維を選択的に溶融することが可能となる。
【0096】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、熱接合性を有する樹脂の融点が基材層10を構成する材料の融点よりも10℃以上低いため、基材層を構成する材料の融点と、熱接合性を有する樹脂の融点とに十分な差があるため、加熱することにより接合ナノ繊維を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【0097】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、接合ナノ繊維22の平均径が50nm〜1000nmの範囲内にあるため、基材層とナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態となり、かつ、セパレーターの通液性が低下するのを抑制することが可能となる。
【0098】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、接合ナノ繊維22が電界紡糸法により得られたものであるため、所望の性質(組成、厚さ、目付、接合ナノ繊維の平均径、溶融温度、溶媒に対する溶解性等)を有するナノ繊維層を形成することが可能となる。
【0099】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、無機粒子26の平均径が5nm〜1000nmの範囲内にあるため、無機粒子の取り扱いを容易なものとすることが可能となり、かつ、ナノ繊維層の空間構造が崩壊するのを抑制することが可能となる。
【0100】
また、実施形態1に係るセパレーター1によれば、無機粒子26が無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなるため、一層高い熱的安定性と、電解液に対する一層高い親和性を有するセパレーターとすることが可能となる。
【0101】
実施形態1に係るセパレーター製造装置100によれば、電界紡糸装置120と、接合装置130とを備えるため、上記したような実施形態1に係るセパレーター1を製造することが可能となる。
【0102】
また、実施形態1に係るセパレーター製造装置100によれば、接合装置130は、基材層10と、ナノ繊維層20とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなるため、熱接合性を有する樹脂からなる接合ナノ繊維を用いた場合において、基材層とナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【0103】
実施形態1に係るセパレーター製造方法によれば、基材層準備工程S1と、電界紡糸工程S2と、接合工程S3とをこの順番で含むため、上記したような実施形態1に係るセパレーター1を製造することが可能となる。
【0104】
また、実施形態1に係るセパレーター製造方法によれば、接合工程S3は、基材層10と、ナノ繊維層20とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により接合ナノ繊維22の少なくとも一部を熱で溶融させて基材層10とナノ繊維層20とを接合ナノ繊維22で接合するため、熱接合性を有する樹脂からなる接合ナノ繊維を用いた場合において、基材層とナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【0105】
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係るセパレーター製造装置102の正面図である。
図7は、実施形態2に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
図8は、実施形態2に係る電界紡糸工程S12及び無機粒子含有化工程S13を説明するために示す図である。図8(a)は電界紡糸工程S12後の拡大模式図であり、図8(b)は無機粒子含有化工程S13後の拡大模式図である。
【0106】
実施形態2においては、セパレーター1を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態1に係るセパレーター製造装置100及びセパレーター製造方法とは異なるものを説明する。
【0107】
実施形態2に係るセパレーター製造装置102は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造装置100と同様の構成を有するが、電界紡糸装置の構成と、無機粒子含有化装置をさらに備えることとが実施形態1に係るセパレーター製造装置100の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0108】
セパレーター製造装置102における電界紡糸装置122は、図6に示すように、実施形態1における電界紡糸装置120と基本的に同様の構成を有するが、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層10の一方の面(実施形態2においては下方の面)に、接合ナノ繊維22を含む層21を形成する機構を有する点が異なる。
【0109】
電界紡糸装置122は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は電界紡糸装置120と同様であるものの、接合ナノ繊維22を含む層21を形成するために細部の構造が異なる。図6においては、説明を簡単にするため、電界紡糸装置122の構成要素について、基本的な構成及び役割が電界紡糸装置120における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、電界紡糸装置122の原料タンク232には、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【0110】
無機粒子含有化装置140は、接合ナノ繊維22を含む層21に無機粒子26をさらに含ませ、接合ナノ繊維22を含む層21を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」とする機構を有する装置である(図8参照。)。具体的には、無機粒子含有化装置140は、電界紡糸装置122と接合装置130との間に配置され、接合ナノ繊維22を含む層21に向かって、溶媒とともに無機粒子26を噴射する装置である。当該溶媒としては、接合ナノ繊維22を損傷させないものを用いることができる。用いることができる溶媒は、用いる接合ナノ繊維の種類により異なるが、例えば、各種アルカン、アセトン、水、シクロヘキサン、THF等を用いることができる。なお、溶媒として複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。また、溶媒を用いず、無機粒子のみを噴射してもよい。
【0111】
実施形態2に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、電界紡糸工程の内容及び無機粒子含有化工程をさらに含む点が実施形態1に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0112】
実施形態2に係るセパレーター製造方法は、図7に示すように、基材層準備工程S11と、電界紡糸工程S12と、無機粒子含有化工程S13と、接合工程S14とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程S11は、実施形態1における基材層準備工程S1と同様の工程である。また、接合工程S14は、実施形態1における接合工程S3と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
【0113】
電界紡糸工程S12は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層10における一方の面に接合ナノ繊維22を含む層21を形成する工程である(図8参照。)。
実施形態2においては、接合ナノ繊維22を含む層21の形成は、上記した電界紡糸装置122を用いて行う。
【0114】
無機粒子含有化工程S13は、接合ナノ繊維22を含む層21に無機粒子26をさらに含ませ、接合ナノ繊維22を含む層21を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」とする工程である。
無機粒子含有化工程S13は、上記した無機粒子含有化装置140を用いて行う。
【0115】
実施形態2に係るセパレーター製造装置102によれば、上記のように、電界紡糸装置122と、無機粒子含有化装置140と、接合装置130とを備えるため、セパレーター1を製造することが可能となる。
【0116】
実施形態2に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程S11と、電界紡糸工程S12と、無機粒子含有化工程S13と、接合工程S14とをこの順番で含むため、セパレーター1を製造することが可能となる。
【0117】
[実施形態3]
図9は、実施形態3に係るセパレーター製造装置104の正面図である。
図10は、実施形態3に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【0118】
実施形態3においては、セパレーター1を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態1に係るセパレーター製造装置100及びセパレーター製造方法とは異なり、また、実施形態2に係るセパレーター製造装置102及びセパレーター製造方法とも異なるものを説明する。
【0119】
実施形態3に係るセパレーター製造装置104は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造装置100と同様の構成を有するが、電界紡糸装置の構成が実施形態1に係るセパレーター製造装置100の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0120】
セパレーター製造装置104における電界紡糸装置124は、図9に示すように、実施形態1における電界紡糸装置120と基本的に同様の構成を有するが、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層10における一方の面(実施形態3においては下方の面)に、接合ナノ繊維22を含む層21を形成する機構を有し、かつ、接合ナノ繊維22を含む層21の形成後に接合ナノ繊維22を含む層21に無機粒子26を含ませ、接合ナノ繊維22を含む層21を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」とする機構を有する点が異なる。
【0121】
電界紡糸装置124は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は電界紡糸装置120と同様であるものの、ノズルユニット210の後段に無機粒子含有化装置142をさらに有する。図9においては、説明を簡単にするため、電界紡糸装置124の構成要素について、基本的な構成及び役割が電界紡糸装置120における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、電界紡糸装置124の原料タンク232には、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【0122】
無機粒子含有化装置142は、接合ナノ繊維22を含む層21に無機粒子26を含ませ、接合ナノ繊維22を含む層21を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」とする機構を有する装置である。無機粒子含有化装置142は、電界紡糸装置124の一部であること以外については、実施形態2における無機粒子含有化装置140と基本的に同様の構成を有するため、詳しい説明は省略する。
【0123】
実施形態3に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、電界紡糸工程の内容が実施形態1に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0124】
実施形態3に係るセパレーター製造方法は、図10に示すように、基材層準備工程S21と、電界紡糸工程S22と、接合工程S23とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程S21は、実施形態1における基材層準備工程S1と同様の工程である。また、接合工程S23は、実施形態1における接合工程S3と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
【0125】
電界紡糸工程S22は、電界紡糸法により、接合ナノ繊維22の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層10における一方の面に接合ナノ繊維22を含む層21を形成し、かつ、接合ナノ繊維22を含む層21の形成後に接合ナノ繊維22を含む層21に無機粒子26を含ませ、接合ナノ繊維22を含む層21を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」とする工程である。
実施形態3においては、ナノ繊維層20の形成は、上記した電界紡糸装置124を用いて行う。
【0126】
実施形態3に係るセパレーター製造装置104によれば、上記のように、電界紡糸装置124と、接合装置130とを備えるため、セパレーター1を製造することが可能となる。
【0127】
実施形態3に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程S21と、電界紡糸工程S22と、接合工程S23とをこの順番で含むため、セパレーター1を製造することが可能となる。
【0128】
[実施形態4]
図11は、実施形態4に係るセパレーター2を説明するための図である。図11(a)は芯材(符号を図示せず。)に巻いた状態のセパレーター2の斜視図であり、図11(b)はセパレーター2の拡大断面図であり、図11(c)は図11(b)のBで示す範囲をさらに拡大して示す模式図である。
【0129】
実施形態4に係るセパレーター2は、基本的には実施形態1に係るセパレーター1と同様の構成を有するが、ナノ繊維層の構成が実施形態1に係るセパレーター1とは異なる。すなわち、実施形態4に係るセパレーター2においては、図11に示すように、ナノ繊維層40は、熱接合性を有する樹脂の融点よりも高い融点を有する材料からなる高融点ナノ繊維46をさらに含む。なお、図11(c)において符号42で示すのは接合ナノ繊維であり、符号44で示すのは溶融した接合ナノ繊維であり、符号48で示すのは無機粒子であり、それぞれ実施形態1における接合ナノ繊維22、溶融した接合ナノ繊維24、無機粒子26と同様の構成を有するものである。
【0130】
高融点ナノ繊維46の材料としては、熱接合性を有する樹脂の融点よりも高い融点を有する材料であれば種々の材料を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、シルク、セルロース、キトサン等を用いることができる。
【0131】
上記のように、実施形態4に係るセパレーター2においては、ナノ繊維層の構成が実施形態1に係るセパレーター1とは異なるが、実施形態1に係るセパレーター1の場合と同様に、基材層10とナノ繊維層40とが接合ナノ繊維42により接合されているため、基材層とナノ繊維層とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【0132】
また、実施形態4に係るセパレーター2によれば、ナノ繊維層40が熱接合性を有する樹脂の融点よりも高い融点を有する材料からなる高融点ナノ繊維46をさらに含むため、ナノ繊維層の構造が加熱により壊れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0133】
なお、実施形態4に係るセパレーター2は、ナノ繊維層の構成以外は実施形態1に係るセパレーター1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るセパレーター1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0134】
[実施形態5]
図12は、実施形態5に係るセパレーター製造装置106の正面図である。
図13は、実施形態5に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【0135】
実施形態5においては、セパレーター1を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態1に係るセパレーター製造装置100及びセパレーター製造方法とは異なり、また、実施形態2に係るセパレーター製造装置102及びセパレーター製造方法とは異なり、さらにまた、実施形態3に係るセパレーター製造装置104及びセパレーター製造方法とも異なるものを説明する。
【0136】
実施形態5に係るセパレーター製造装置106は、基本的には実施形態2に係るセパレーター製造装置102と同様の構成を有するが、無機粒子含有化装置と接合装置との位置が実施形態2に係るセパレーター製造装置102の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0137】
セパレーター製造装置106においては、図12に示すように、無機粒子含有化装置140と接合装置130との位置が、セパレーター製造装置102とは逆になっている。このため、実施形態5においては、接合装置130は、接合ナノ繊維22により基材層10と接合ナノ繊維22を含む層21とを接合する装置であり、無機粒子含有化装置140は、接合ナノ繊維22を含む層に無機粒子をさらに含ませ、接合ナノ繊維22を含む層を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20」とする機構を有する装置である。なお、実施形態5においては、接合装置130は、基材層10と、接合ナノ繊維を含む層21とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなる。
【0138】
実施形態5に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態2に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、無機粒子含有化装置と接合装置との順番が実施形態2に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【0139】
実施形態5に係るセパレーター製造方法は、図13に示すように、基材層準備工程S31と、電界紡糸工程S32と、接合工程S33と、無機粒子含有化S34とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程S31は、実施形態2における基材層準備工程S11と同様の工程である。また、電界紡糸工程S32は、実施形態2における電界紡糸工程S12と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
実施形態5に係るセパレーター製造方法は、上記したセパレーター製造装置106を用いて行う。
【0140】
接合工程S33は、接合ナノ繊維22により基材層10と接合ナノ繊維を含む層21とを接合する工程である。接合工程S33は、基材層10と、接合ナノ繊維を含む層21とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により接合ナノ繊維22の少なくとも一部を熱で溶融させて基材層10と接合ナノ繊維を含む層21とを接合ナノ繊維22で接合する。
接合工程S33は、上記した接合装置130を用いて行う。
無機粒子含有化工程S34は、接合ナノ繊維22を含む層に無機粒子26をさらに含ませ、接合ナノ繊維22を含む層を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20」とする工程である。
無機粒子含有化工程S34は、上記した無機粒子含有化装置140を用いて行う。
【0141】
実施形態5に係るセパレーター製造装置106によれば、上記のように、電界紡糸装置122と、接合装置130と、無機粒子含有化装置140とを備えるため、セパレーター1を製造することが可能となる。
【0142】
実施形態5に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程S31と、電界紡糸工程S32と、接合工程S33と、無機粒子含有化工程S34とをこの順番で含むため、セパレーター1を製造することが可能となる。
【0143】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0144】
(1)上記各実施形態における各構成要素の数、位置関係、大きさは例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0145】
(2)上記各実施形態においては、基材層10及びナノ繊維層20からなるセパレーターを例にとって本発明のセパレーターを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材層及びナノ繊維層以外の構成要素(補強部材等)をさらに備えるセパレーターとしてもよい。
【0146】
(3)上記実施形態1〜3に係るセパレーター1は、実施形態1〜3それぞれに係るセパレーター製造装置を用いて製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーターは、電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているセパレーター製造装置を用いて製造してもよい。このように、本発明のセパレーターは、種々のセパレーター製造装置を用いて製造することができる。
【0147】
(4)上記実施形態1〜3に係るセパレーター1は、実施形態1〜3それぞれに係るセパレーター製造方法により製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーターは、基材層を製造する工程と電界紡糸工程とを同時に行うセパレーター製造方法により製造してもよい。このように、本発明のセパレーターは、種々のセパレーター製造方法を用いて製造することができる。
【0148】
(5)上記各実施形態1〜3に係るセパレーター製造方法は、実施形態1〜3それぞれに係るセパレーター製造装置を用いて行うものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーター製造方法は、電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているセパレーター製造装置を用いて行ってもよい。このように、本発明のセパレーター製造方法は、種々のセパレーター製造装置を用いて行うことができる。
【0149】
(6)上記実施形態3においては、基材層10における一方の面に接合ナノ繊維22を含む層21を形成する機構を有し、かつ、接合ナノ繊維22を含む層21の形成後に接合ナノ繊維22を含む層21に無機粒子26を含ませ、接合ナノ繊維22を含む層21を「接合ナノ繊維22及び無機粒子26を含むナノ繊維層20’」とする機構を有する電界紡糸装置124を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。基材層における一方の面に接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、接合ナノ繊維を含む層の形成中に接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、接合ナノ繊維を含む層を「接合ナノ繊維及び無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する電界紡糸装置を用いてもよい。このような電界紡糸装置としては、例えば、無機粒子含有化装置が複数のノズルにおけるノズル間に配置されている電界紡糸装置や、無機粒子含有化装置がノズルユニットの側面側に配置されている電界紡糸装置等を用いることができる。
【0150】
(7)上記(6)の場合においては、電界紡糸工程として、電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に接合ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、接合ナノ繊維を含む層の形成中に接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、接合ナノ繊維を含む層を「接合ナノ繊維及び無機粒子を含むナノ繊維層」とする電界紡糸工程を行うことにより、セパレーターを得ることができる。
【0151】
(8)上記各実施形態においては、熱接合性を有する樹脂からなる接合ナノ繊維を用い、基材層とナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した接合ナノ繊維により接合されているセパレーターを例にとって本発明を説明したが、本発明のセパレーターはこれに限定されるものではない。図14は、変形例におけるセパレーター製造方法のフローチャートである。例えば、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなる接合ナノ繊維を用い、基材層とナノ繊維層とは、少なくとも一部が所定の溶媒で溶解した接合ナノ繊維により接合されているセパレーターとしてもよい。このようなセパレーターは、例えば図14に示すように、接合ナノ繊維に対して適度な溶解性を有する溶媒にナノ繊維積層体を浸して、又は当該溶媒の蒸気にナノ繊維積層体を通して基材層とナノ繊維層とを接合する工程(接合工程(溶解接合工程)S43)を行うことで製造することができる。このような構成とすることにより、基材層とナノ繊維層とを所定の溶媒を用いて容易に接合することが可能となる。
【0152】
(9)また、上記(8)の場合においては、ナノ繊維層は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂よりも所定の溶媒に対して低い溶解性を有する材料からなる低溶解性ナノ繊維をさらに含むことが好ましい。このような構成とすることにより、繊維の平均径や空隙が微細というナノ繊維層の構造が溶媒により壊れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0153】
(10)上記各実施形態においては、電界紡糸装置を1台備えるセパレーター製造装置を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電界紡糸装置を2台以上備えるセパレーター製造装置を本発明に適用することもできる。
【0154】
(11)上記実施形態2,3,5においては、無機粒子26を噴射することにより、接合ナノ繊維を含む層を「接合ナノ繊維及び無機粒子を含むナノ繊維層」としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、無機粒子を含有する溶液を塗布することにより、接合ナノ繊維を含む層を「接合ナノ繊維及び無機粒子を含むナノ繊維層」としてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1…セパレーター、10…基材層、12…基材繊維、20,40…(接合工程後の)ナノ繊維層、20’…(接合工程前の)ナノ繊維層、21…接合ナノ繊維を含む層、22,42…接合ナノ繊維、24,44…溶融した接合ナノ繊維、26,48…無機粒子、30…ナノ繊維積層体、100,102,104…セパレーター製造装置、110…搬送装置、111…繰り出しローラー、112…巻き取りローラー、113,118…テンションローラー、114…補助ローラー、120,122,124…電界紡糸装置、130…接合装置、140,142…無機粒子含有化装置、200…筐体、210…ノズルユニット、220…上向きノズル、250…コレクター、252…絶縁部材、260…電源装置、270…補助ベルト装置、272…補助ベルト、274…補助ベルト用ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
「前記基材層との接合に用いられる接合ナノ繊維」及び無機粒子を含むナノ繊維層とを有し、
前記基材層と前記ナノ繊維層とは、前記接合ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項2】
請求項1に記載のセパレーターにおいて、
前記接合ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記ナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した接合ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項3】
請求項2に記載のセパレーターにおいて、
前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点よりも低いことを特徴とするセパレーター。
【請求項4】
請求項3に記載のセパレーターにおいて、
前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点よりも10℃以上低いことを特徴とするセパレーター。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記接合ナノ繊維の平均径は、50nm〜1000nmの範囲内にあることを特徴とするセパレーター
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記ナノ繊維層は、前記熱接合性を有する樹脂の融点よりも高い融点を有する材料からなる高融点ナノ繊維をさらに含むことを特徴とするセパレーター。
【請求項7】
請求項1に記載のセパレーターにおいて、
前記接合ナノ繊維は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記ナノ繊維層とは、少なくとも一部が前記所定の溶媒で溶解した接合ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項8】
請求項7に記載のセパレーターにおいて、
前記ナノ繊維層は、前記所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂よりも前記所定の溶媒に対して低い溶解性を有する材料からなる低溶解性ナノ繊維をさらに含むことを特徴とするセパレーター。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記接合ナノ繊維は、電界紡糸法により得られたものであることを特徴とするセパレーター。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記無機粒子の平均径は、5nm〜1000nmの範囲内にあることを特徴とするセパレーター。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記無機粒子は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなることを特徴とするセパレーター。
【請求項12】
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に、「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」を形成する機構を有する電界紡糸装置と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項13】
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、前記接合ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する電界紡糸装置と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項14】
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する電界紡糸装置と、
前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項15】
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する電界紡糸装置と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記接合ナノ繊維を含む層とを接合する接合装置と、
前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれかに記載のセパレーター製造装置において、
前記接合装置は、前記基材層と、前記ナノ繊維層又は前記接合ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項17】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に、「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」を形成する電界紡糸工程と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項18】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、前記接合ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする電界紡糸工程と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項19】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する電界紡糸工程と、
前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項20】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、接合ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記接合ナノ繊維を含む層を形成する電界紡糸工程と、
前記接合ナノ繊維により前記基材層と前記接合ナノ繊維を含む層とを接合する接合工程と、
前記接合ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記接合ナノ繊維を含む層を「前記接合ナノ繊維及び前記無機粒子を含むナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれかに記載のセパレーター製造方法において、
前記接合工程は、前記基材層と、前記ナノ繊維層又は前記接合ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により前記接合ナノ繊維の少なくとも一部を熱で溶融させて前記基材層と前記ナノ繊維層又は前記接合ナノ繊維を含む層とを前記接合ナノ繊維で接合することを特徴とするセパレーター製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−37853(P2013−37853A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172252(P2011−172252)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(508231821)トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】TOPTEC Co., Ltd.
【Fターム(参考)】