セパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法
【課題】ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷することを抑制することが可能なセパレーターを提供する。また、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造装置を提供する。さらにまた、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造方法を提供する。
【解決手段】基材層１０と、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０とを有し、基材層１０、第１ナノ繊維層２０及び第２ナノ繊維層３０は、基材層１０、第１ナノ繊維層２０、第２ナノ繊維層３０の順番で積層され、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、第１ナノ繊維２２により接合されているセパレーター１。
【解決手段】基材層１０と、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０とを有し、基材層１０、第１ナノ繊維層２０及び第２ナノ繊維層３０は、基材層１０、第１ナノ繊維層２０、第２ナノ繊維層３０の順番で積層され、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、第１ナノ繊維２２により接合されているセパレーター１。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【０００１】
本発明は、セパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法に関する。
【０００２】
従来、基材層（多孔質フィルム）と、ナノ繊維及び無機粒子（例えば、アルミナ）を含むナノ繊維層とを有するセパレーターが知られている(例えば、特許文献１参照。)。
【０００３】
従来のセパレーターによれば、アルミナのような無機粒子を含むナノ繊維層を有するため、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、それぞれ異なる性質を有する基材層とナノ繊維層とを用いることにより、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、基材層が有する性質にナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加することにより、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、繊維の平均径や空隙が微細なナノ繊維層を備えるため、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【０００４】
なお、「基材層」とは、ナノ繊維層を形成するための基材となる層のことをいう。また、「ナノ繊維」とは、ポリマー材料からなり、平均径が数ｎｍ〜数千ｎｍの繊維のことをいう。さらにまた、「セパレーター」とは、電池（一次電池及び二次電池を含む。）やコンデンサー（キャパシターともいう。）等に用いるセパレーター（仕切り）のことをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２０１０−４４９３５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、従来のセパレーターにおいては、基材層とナノ繊維層との結合強度が小さいため、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷してしまうおそれがあるという問題がある。
【０００７】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能なセパレーターを提供することを目的とする。また、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造装置を提供することを目的とする。さらにまた、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
［１］本発明のセパレーターは、基材層と、第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層と、第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層とを有し、前記基材層、前記第１ナノ繊維層及び前記第２ナノ繊維層は、前記基材層、前記第１ナノ繊維層、前記第２ナノ繊維層の順番で積層され、前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、前記第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とする。
【０００９】
このため、本発明のセパレーターによれば、基材層と第２ナノ繊維層とが第１ナノ繊維により接合されているため、基材層とナノ繊維層とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、第２ナノ繊維層（従来のナノ繊維層に相当）がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【００１０】
また、本発明のセパレーターによれば、無機粒子を含む第２ナノ繊維層を有するため、従来のセパレーターと同様に、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１１】
また、本発明のセパレーターによれば、それぞれ異なる性質を有する基材層と第２ナノ繊維層とを用いることにより、従来のセパレーターと同様に、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１２】
また、本発明のセパレーターによれば、基材層が有する性質に第２ナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加することにより、従来のセパレーターと同様に、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１３】
また、本発明のセパレーターによれば、基材層や第２ナノ繊維層と異なる性質を有する第１ナノ繊維層を用いることにより、セパレーターに第１ナノ繊維層が有する性質をさらに付加し、より一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１４】
また、本発明のセパレーターによれば、繊維の平均径や空隙が微細な第２ナノ繊維層を備えるため、従来のセパレーターと同様に、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【００１５】
なお、本発明の「第２ナノ繊維層」は、上述したように、従来のセパレーターにおける「ナノ繊維層」に相当するものである。
【００１６】
［２］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した前記第１ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【００１７】
このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱することにより容易に接合することが可能となる。
【００１８】
なお、熱接合性を有する樹脂とは、いわゆる熱可塑性樹脂（ポリエチレン、ポリプロピレン等）に加え、ポリウレタンのように熱による接合性を有する樹脂も広く含めたもののことをいう。
【００１９】
［３］本発明のセパレーターにおいては、前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも低いことが好ましい。
【００２０】
このような構成とすることにより、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と熱接合性を有する樹脂の融点との間の温度で加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが可能となる。
【００２１】
［４］本発明のセパレーターにおいては、前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも１０℃以上低いことが好ましい。
【００２２】
このような構成とすることにより、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と、熱接合性を有する樹脂の融点とに十分な差があるため、加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【００２３】
［５］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維の平均径は、５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。
【００２４】
このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態となり、かつ、セパレーターの通液性が低下するのを抑制することが可能となる。
【００２５】
なお、本発明において、第１ナノ繊維の平均径を５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にしたのは、当該平均径が５０ｎｍより小さい場合には基材層と第２ナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態にならない場合があるためであり、当該平均径が１０００ｎｍより大きい場合にはセパレーターの通液性が低下してしまう場合があるためである。
【００２６】
［６］本発明のセパレーターにおいては、前記第２ナノ繊維の平均径は、前記第１ナノ繊維の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。
【００２７】
このような構成とすることにより、加熱することにより第２ナノ繊維が受ける影響を抑制し、かつ、ナノ繊維としての性質（広い表面積や微細な空隙等）を損なわないようにすることが可能となる。
【００２８】
なお、本発明において、第２ナノ繊維の平均径を第１ナノ繊維の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にしたのは、当該平均径が第１ナノ繊維の平均径よりも小さい場合や８０ｎｍより小さい場合には加熱することにより第２ナノ繊維が受ける影響が大きくなる場合があるためであり、当該平均径が３０００ｎｍより大きい場合には第２ナノ繊維としての性質が損なわれる場合があるためである。
【００２９】
［７］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が前記所定の溶媒で溶解した第１ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【００３０】
このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とを所定の溶媒を用いて容易に接合することが可能となる。
【００３１】
［８］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維層は、前記第２ナノ繊維層よりも薄いことが好ましい。
【００３２】
このような構成とすることにより、セパレーターにおいてナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加するのが主に第２ナノ繊維層となり、安定した性能を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００３３】
［９］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維及び前記第２ナノ繊維は、電界紡糸法により得られたものであることが好ましい。
【００３４】
このような構成とすることにより、所望の性質（組成、厚さ、目付、各ナノ繊維の平均径、溶融温度、溶媒に対する溶解性等）を有する第１ナノ繊維層及び第２ナノ繊維層を形成することが可能となる。
【００３５】
［１０］本発明のセパレーターにおいては、前記無機粒子の平均径は、５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。
【００３６】
このような構成とすることにより、無機粒子の取り扱いを容易なものとすることが可能となり、かつ、第２ナノ繊維層の空間構造が崩壊するのを抑制することが可能となる。
【００３７】
なお、本発明において無機粒子の平均径を５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内としたのは、当該平均径が５ｎｍより小さい場合には無機粒子の取り扱いが困難なものとなる場合があるためであり、当該平均径が１０００ｎｍより大きい場合には無機粒子の大きさに起因して第２ナノ繊維層の空間構造が崩壊してしまう場合があるためである。
上記観点からは、無機粒子の平均径が８ｎｍ〜５００ｎｍの範囲内にあることが一層好ましく、当該平均径が１０ｎｍ〜１００ｎｍの範囲内にあることがより一層好ましい。
【００３８】
［１１］本発明のセパレーターにおいては、前記無機粒子は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなることが好ましい。
【００３９】
無機酸化物、無機窒化物及び無機炭化物は熱的安定性及び電解液に対する親和性が特に優れているため、上記のような構成とすることにより、一層高い熱的安定性と、電解液に対する一層高い親和性を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００４０】
無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物としては、非水系電解液に対して溶解度が低く、膨潤しにくいものを好適に用いることができる。上記のものの中では無機酸化物を好適に用いることができ、その具体例としては、シリカ、アルミナ及び二酸化チタンを挙げることができる。
【００４１】
［１２］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【００４２】
本発明のセパレーター製造装置によれば、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４３】
［１３］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【００４４】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４５】
［１４］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【００４６】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４７】
［１５］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合装置と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置とを備えることを特徴とする。
【００４８】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４９】
［１６］本発明のセパレーター製造装置においては、前記接合装置は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなることが好ましい。
【００５０】
このような構成とすることにより、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【００５１】
［１７］本発明のセパレーター製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する第２電界紡糸工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５２】
本発明のセパレーター製造方法によれば、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５３】
［１８］本発明のセパレーター製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする第２電界紡糸工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５４】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５５】
［１９］本発明のセパレーターの製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５６】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５７】
［２０］本発明のセパレーターの製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合工程と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５８】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５９】
［２１］本発明のセパレーター製造方法においては、前記接合工程は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により前記第１ナノ繊維の少なくとも一部を熱で溶融させて前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを前記第１ナノ繊維で接合することが好ましい。
【００６０】
このような方法とすることにより、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００６１】
【図１】実施形態１に係るセパレーター１を説明するための図である。
【図２】実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の正面図である。
【図３】実施形態１に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図４】実施形態１に係るセパレーター製造方法を説明するための図である。
【図５】実施形態１における接合工程Ｓ４を説明するために示す図である。
【図６】実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２の正面図である。
【図７】実施形態２に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図８】実施形態２に係る第２電界紡糸工程Ｓ１３及び無機粒子含有化工程Ｓ１４を説明するために示す図である。
【図９】実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４の正面図である。
【図１０】実施形態３に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図１１】実施形態４に係るセパレーター製造装置１０６の正面図である。
【図１２】実施形態４に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図１３】変形例に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００６２】
以下、本発明のセパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法について図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【００６３】
［実施形態１］
１．実施形態１に係るセパレーター１の構成
まず、実施形態１に係るセパレーター１の構成を説明する。
図１は、実施形態１に係るセパレーター１を説明するための図である。図１（ａ）は芯材（符号を図示せず。）に巻いた状態のセパレーター１の斜視図であり、図１（ｂ）はセパレーター１の拡大断面図であり、図１（ｃ）は図１（ｂ）のＡで示す範囲をさらに拡大して示す模式図（以下、拡大模式図という。）である。
【００６４】
実施形態１に係るセパレーター１は、図１に示すように、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを有し、基材層１０、第１ナノ繊維層２０及び第２ナノ繊維層３０は、基材層１０、第１ナノ繊維層２０、第２ナノ繊維層３０の順番で積層されている。セパレーター１においては、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、第１ナノ繊維２２により接合されている。具体的には、図１（ｃ）に示すように、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、少なくとも一部が熱で溶融した第１ナノ繊維２４により接合されている。
セパレーター１の厚さは、１μｍ〜１００μｍの範囲内にあり、例えば、２０μｍである。
【００６５】
実施形態１に係るセパレーター１は、後述するように、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００を用いて、実施形態１に係るセパレーター製造方法を実施することにより得ることができる。
【００６６】
基材層１０は長尺シートの形態を取っており、基材層１０としては、各種材料からなる不織布、織物、編物、紙等、通気性（通液性）のあるものを用いることができる。実施形態１においては、基材層１０として繊維質の基材層を用いており、図１（ｃ）中、符号１２で示すのは基材層１０中の基材繊維である。なお、基材層１０としては、繊維質以外のもの（例えば、多孔性のフィルム）も用いることができる。
基材層１０の厚さは、例えば１μｍ〜９０μｍのものを用いることができる。基材層１０の長さは、例えば１０ｍ〜１０ｋｍのものを用いることができる。
【００６７】
第１ナノ繊維層２０は、第１ナノ繊維２２からなる。なお、第１ナノ繊維層は第１ナノ繊維を含んでいればよく、その上であれば第１ナノ繊維以外の物質を含んでもよい。第１ナノ繊維２２は熱接合性を有する樹脂からなる。第１ナノ繊維２２の平均径は、５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあり、例えば、１００ｎｍである。第１ナノ繊維２２は、後述するように電界紡糸法により得ることができる。
【００６８】
第２ナノ繊維層３０は、第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む。なお、第２ナノ繊維層は第２ナノ繊維及び無機粒子を含んでいればよく、その上であれば第２ナノ繊維及び無機粒子以外の物質を含んでもよい。
第２ナノ繊維３２の平均径は、第１ナノ繊維２２の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあり、例えば、１０００ｎｍである。第２ナノ繊維３２は、後述するように電界紡糸法により得ることができる。
無機粒子３４の平均径は、５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあり、例えば、５０ｎｍである。無機粒子３４は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなり、例えば、アルミナからなる。
【００６９】
セパレーター１においては、熱接合性を有する樹脂の融点は、基材層１０を構成する材料（基材繊維１２）の融点及び第２ナノ繊維層３０を構成する材料（第２ナノ繊維３２）の融点のいずれよりも低く、さらにいえば、１０以上低い。
セパレーター１においては、図１（ｂ）に示すように、第１ナノ繊維層２０は第２ナノ繊維層３０よりも薄い。
【００７０】
２．実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の構成
次に、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の構成を説明する。
図２は、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の正面図である。なお、図２においては、一部の部材（筐体２００や原料タンク２３２等）は断面図として示している。
【００７１】
セパレーター製造装置１００は、搬送装置１１０と、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２１と、接合装置１３０とを備える。セパレーター製造装置１００は、第１電界紡糸装置１２０及び第２電界紡糸装置１２１をそれぞれ１つずつ備える。
【００７２】
搬送装置１１０は、基材層１０を所定の搬送速度で搬送する。搬送装置１１０は、基材層１０を繰り出す繰り出しローラー１１１、基材層１０を巻き取る巻き取りローラー１１２、基材層１０の張りを調整するテンションローラー１１３，１１８及び繰り出しローラー１１１と巻き取りローラー１１２との間に位置する補助ローラー１１４を備える。繰り出しローラー１１１及び巻き取りローラー１１２は、図示しない駆動モーターにより回転駆動される構造となっている。
【００７３】
第１電界紡糸装置１２０は、電界紡糸法により、基材層１０における一方の面（実施形態１においては下方の面）に、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０’を形成する機構を有する（後述する図４（ｂ）参照。）。
第１電界紡糸装置１２０は、図２に示すように、筐体２００と、ノズルユニット２１０と、ポリマー溶液供給部２３０と、コレクター２５０と、電源装置２６０と、補助ベルト装置２７０とを備える。第１電界紡糸装置１２０は、後述する複数の上向きノズル２２０の吐出口からポリマー溶液をオーバーフローさせながら吐出して、第１ナノ繊維層２０’を形成する。
【００７４】
筐体２００は、導電体からなる。
ノズルユニット２１０は、複数の上向きノズル２２０を有する。
【００７５】
上向きノズル２２０は、ポリマー溶液供給部２３０から供給される「第１ナノ繊維２２の原料を溶解したポリマー溶液（熱接合性を有する樹脂のポリマー溶液）」を吐出口から吐出するノズルである。上向きノズル２２０は、ポリマー溶液を吐出口から上向きに吐出する。上向きノズル２２０を構成する材料としては導電体を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等を用いることができる。
【００７６】
上向きノズル２２０は、例えば、１．５ｃｍ〜６．０ｃｍのピッチで配列されている。上向きノズル２２０の数は、例えば、３６個（縦横同数に配列した場合、６個×６個）〜２１９０４個（縦横同数に配列した場合、１４８個×１４８個）とすることができる。
【００７７】
なお、実施形態１においては、ノズルとして上向きノズル２２０を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。ノズルとして横向きノズルを用いてもよいし、下向きノズルを用いてもよい。
【００７８】
ポリマー溶液供給部２３０は、ポリマー溶液をノズルユニット２１０に供給する。ポリマー溶液供給部２３０は、原料タンク２３２、撹拌装置２３３及び供給装置２３４を備える。第１電界紡糸装置１２０の原料タンク２３２には、第１ナノ繊維２２の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【００７９】
コレクター２５０は、ノズルユニット２１０の上方に配置されている。コレクター２５０は導電体からなり、図２に示すように、絶縁部材２５２を介して筐体２００に取り付けられている。
電源装置２６０は、上向きノズル２２０と、コレクター２５０との間に高電圧を印加する。電源装置２６０の正極はコレクター２５０に接続され、電源装置２６０の負極は筐体２００を介してノズルユニット２１０に接続されている。
【００８０】
補助ベルト装置２７０は、基材層１０の搬送速度に同期して回転する補助ベルト２７２と、補助ベルト２７２の回転を助ける５つの補助ベルト用ローラー２７４とを有する。５つの補助ベルト用ローラー２７４のうち１つ又は２つ以上の補助ベルト用ローラーが駆動ローラーであり、残りの補助ベルト用ローラーが従動ローラーである。コレクター２５０と基材層１０との間に補助ベルト２７２が配設されているため、基材層１０は、正の高電圧が印加されているコレクター２５０に引き寄せられることなくスムーズに搬送されるようになる。
【００８１】
第２電界紡糸装置１２１は、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する機構を有する。
第２電界紡糸装置１２１は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は第１電界紡糸装置１２０と同様であるものの、第２ナノ繊維層を形成するために細部の構造が異なる。図２においては、説明を簡単にするため、第２電界紡糸装置１２１の構成要素については、基本的な構成及び役割が第１電界紡糸装置１２０における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、第２電界紡糸装置１２１の原料タンク２３２には、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液が入る。
第２電界紡糸装置１２１は、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液を用いて、基材層１０における一方の面に、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する機構のひとつとして、無機粒子３４よりも大きい径を有する。具体的には、無機粒子３４の粒子径に対して１００倍以上の径を有することが好ましい。
【００８２】
接合装置１３０は、第１ナノ繊維２２を用いて基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを接合する装置である。接合装置１３０は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなる。接合装置１３０としては、図２に示すように、カレンダーロールを備えた熱接合装置を例示することができる。なお、加熱するための手段としては、例えば、カレンダーロール内にヒーター機能（図示せず。）を組み込んだものを用いることができるが、これ以外にも、たとえば、抵抗加熱器、赤外線加熱器、乾燥器、熱風発生器等を用いることも可能である。なお、図２においては、カレンダーロールは、上下１個ずつのローラーによって第２積層体５０を挟むような構成のものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、上下２個ずつのローラーが存在するもの等種々の構成を有するカレンダーロールを使用することができる。
【００８３】
３．実施形態１に係るセパレーター製造方法
次に、実施形態１に係るセパレーター製造方法を説明する。
図３は、実施形態１に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
図４は、実施形態１に係るセパレーター製造方法を説明するための図である。図４（ａ）は基材準備工程Ｓ１のときの基材１０の拡大断面図であり、図４（ｂ）は第１電界紡糸工程Ｓ２後の第１積層体４０の拡大断面図であり、図４（ｃ）は第２電界紡糸工程Ｓ３後の第２積層体の拡大断面図である。
図５は、実施形態１における接合工程Ｓ４を説明するために示す図である。図５（ａ）は接合工程Ｓ４の前の拡大模式図であり、図５（ｂ）は接合工程Ｓ４の後の拡大模式図である。
【００８４】
実施形態１に係るセパレーター製造方法は、図３に示すように、基材層準備工程Ｓ１と、第１電界紡糸工程Ｓ２と、第２電界紡糸工程Ｓ３と、接合工程Ｓ４とをこの順番で含む。実施形態１に係るセパレーター製造方法は、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００を用いて行う。
【００８５】
１．基材層準備工程Ｓ１
基材準備工程Ｓ１は、図４（ａ）に示すように、基材層１０を準備する工程である。実施形態１においては、基材層１０は長尺シートの形態を取っている。なお、本発明のセパレーター製造方法においては、長尺シート以外の形態を取る種々の形状の基材層を用いることもできる。
実施形態１においては、基材層１０の準備後、長尺シートである基材層１０を搬送装置１１０にセットし、基材層１０を繰り出しローラー１１１から所定の搬送速度で搬送させる。
【００８６】
２．第１電界紡糸工程Ｓ２
第１電界紡糸工程Ｓ２は、図４（ｂ）に示すように、電界紡糸法により、第１ナノ繊維２２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層１０における一方の（下方の面）に、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０’を形成する工程である。
具体的には、まず、ポリマー溶液を、第１電界紡糸装置１２０におけるポリマー溶液供給部２３０を通じてノズルユニット２１０へ供給する。次に、コレクター２５０とノズルユニット２１０との間に電圧をかけて、上向きノズル２２０からポリマー溶液を吐出させ、長尺シートである基材層１０の下方の面に第１ナノ繊維層２０’を形成し、第１積層体４０とする。
第１電界紡糸工程Ｓ２は、上記した電界紡糸装置１２０を用いて行う。
【００８７】
３．第２電界紡糸工程Ｓ３
第２電界紡糸工程Ｓ３は、図４（ｃ）に示すように、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液を用いて、第１積層体４０における第１ナノ繊維層２０’の表面に、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する工程である。
具体的には、まず、混合ポリマー溶液を、第２電界紡糸装置１２１におけるポリマー溶液供給部２３０を通じてノズルユニット２１０へ供給する。次に、コレクター２５０とノズルユニット２１０との間に電圧をかけて、上向きノズル２２０から混合ポリマー溶液を吐出させ、既に形成されている第１ナノ繊維層２０’の下方の面に第２ナノ繊維層３０を形成し、第２積層体５０とする。
第２電界紡糸工程Ｓ３は、上記した電界紡糸装置１２１を用いて行う。
【００８８】
４．接合工程Ｓ４
接合工程Ｓ４は、図５に示すように、第１ナノ繊維２２を用いて、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを接合する工程である。接合工程Ｓ４は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により第１ナノ繊維２２の少なくとも一部を熱で溶融させて、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを第１ナノ繊維２２で接合する。
接合工程Ｓ４は、上記した接合装置１３０を用いて行う。
【００８９】
以下に、実施形態１における紡糸条件を例示的に示す。
【００９０】
第１ナノ繊維２２の材料としては、熱接合性を有する樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ポリ乳酸（ＰＬＡ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリ酢酸ビニル（ＰＶＡｃ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリアミド（ＰＡ）、ポリウレタン（ＰＵＲ）、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリアクリロニトリル（ＰＡＮ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、ポリカプロラクトン（ＰＣＬ）、ポリ乳酸グリコール酸（ＰＬＧＡ）等を用いることができる。
【００９１】
第２ナノ繊維３２の原料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ポリ乳酸（ＰＬＡ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリ酢酸ビニル（ＰＶＡｃ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリアミド（ＰＡ）、ポリウレタン（ＰＵＲ）、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリアクリロニトリル（ＰＡＮ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、ポリカプロラクトン（ＰＣＬ）、ポリ乳酸グリコール酸（ＰＬＧＡ）、シルク、セルロース、キトサン等を用いることができる。
【００９２】
各種ポリマー溶液を製造するための溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、ＴＨＦ等を用いることができる。また、溶媒として複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、導電性向上剤等の添加剤を含有させてもよい。
【００９３】
搬送速度は、例えば０．２ｍ／分〜１００ｍ／分に設定することができる。上向きノズル２２０とコレクター２５０とノズルユニット２１０に印加する電圧は、１０ｋＶ〜８０ｋＶに設定することができ、５０ｋＶ付近に設定することが好ましい。
【００９４】
紡糸区域の温度は、例えば２５に設定することができる。紡糸区域の湿度は、例えば３０％に設定することができる。
【００９５】
以下、実施形態１に係るセパレーター１、セパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法の効果を記載する。
【００９６】
実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０を有し、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とが第１ナノ繊維２２により接合されているため、基材層と第２ナノ繊維層（従来のナノ繊維層に相当）とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、第２ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【００９７】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０を有するため、従来のセパレーターと同様に、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
【００９８】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、それぞれ異なる性質を有する基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを用いることにより、従来のセパレーターと同様に、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００９９】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、基材層１０が有する性質に第２ナノ繊維層３０が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加することにより、従来のセパレーターと同様に、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１００】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、基材層や第２ナノ繊維層と異なる性質を有する第１ナノ繊維層を用いることにより、セパレーターに第１ナノ繊維層が有する性質をさらに付加し、より一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１０１】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、繊維の平均径や空隙が微細な第２ナノ繊維層３０を備えるため、従来のセパレーターと同様に、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【０１０２】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２は、熱接合性を有する樹脂からなるため、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱することにより容易に接合することが可能となる。
【０１０３】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、熱接合性を有する樹脂の融点が基材層１０を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層３０を構成する材料の融点のいずれよりも低いため、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と熱接合性を有する樹脂の融点との間の温度で加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが可能となる。
【０１０４】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、熱接合性を有する樹脂の融点が基材層１０を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層３０を構成する材料の融点のいずれよりも１０℃以上低いため、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と、熱接合性を有する樹脂の融点とに十分な差があるため、加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【０１０５】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２の平均径が５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあるため、基材層と第２ナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態となり、かつ、セパレーターの通液性が低下するのを抑制することが可能となる。
【０１０６】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第２ナノ繊維３２の平均径は、第１ナノ繊維２２の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあるため、加熱することにより第２ナノ繊維が受ける影響を抑制し、かつ、ナノ繊維としての性質（広い表面積や微細な空隙等）を損なわないようにすることが可能となる。
【０１０７】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第２ナノ繊維層３０が第１ナノ繊維層２０よりも厚いため、セパレーターにおいてナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加するのが主に第２ナノ繊維層となり、安定した性能を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１０８】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２及び第２ナノ繊維３２が電界紡糸法により得られたものであるため、所望の性質（組成、厚さ、目付、各ナノ繊維の平均径、溶融温度、溶媒に対する溶解性等）を有する第１ナノ繊維層及び第２ナノ繊維層を形成することが可能となる。
【０１０９】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、無機粒子３４の平均径が５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあるため、無機粒子の取り扱いを容易なものとすることが可能となり、かつ、第２ナノ繊維層の空間構造が崩壊するのを抑制することが可能となる。
【０１１０】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、無機粒子３４が無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなるため、一層高い熱的安定性と、電解液に対する一層高い親和性を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１１１】
実施形態１に係るセパレーター製造装置１００によれば、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２１と、接合装置１３０とを備えるため、上記したような実施形態１に係るセパレーター１を製造することが可能となる。
【０１１２】
また、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００によれば、接合装置１３０は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなるため、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【０１１３】
実施形態１に係るセパレーター製造方法によれば、基材層準備工程Ｓ１と、第１電界紡糸工程Ｓ２と、第２電界紡糸工程Ｓ３と、接合工程Ｓ４とをこの順番で含むため、上記したような実施形態１に係るセパレーター１を製造することが可能となる。
【０１１４】
また、実施形態１に係るセパレーター製造方法によれば、接合工程Ｓ４は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により第１ナノ繊維２２の少なくとも一部を熱で溶融させて基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを第１ナノ繊維２２で接合するため、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【０１１５】
［実施形態２］
図６は、実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２の正面図である。
図７は、実施形態２に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
図８は、実施形態２に係る第２電界紡糸工程Ｓ１３及び無機粒子含有化工程Ｓ１４を説明するために示す図である。図８（ａ）は第２電界紡糸工程Ｓ１３後の拡大模式図であり、図８（ｂ）は無機粒子含有化工程Ｓ１４後の拡大模式図である。
【０１１６】
実施形態２においては、セパレーター１を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法とは異なるものを説明する。
【０１１７】
実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造装置１００と同様の構成を有するが、第２電界紡糸装置の構成と、無機粒子含有化装置をさらに備えることとが実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１１８】
セパレーター製造装置１０２における第２電界紡糸装置１２２は、図６に示すように、実施形態１における第２電界紡糸装置１２１と基本的に同様の構成を有するが、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する機構を有する点が異なる。
【０１１９】
第２電界紡糸装置１２２は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は第２電界紡糸装置１２１と同様であるものの、第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成するために細部の構造が異なる。図６においては、説明を簡単にするため、第２電界紡糸装置１２２の構成要素について、基本的な構成及び役割が第２電界紡糸装置１２１における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、第２電界紡糸装置１２２の原料タンク２３２には、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【０１２０】
無機粒子含有化装置１４０は、第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４をさらに含ませ、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する機構を有する装置である（図８参照。）。具体的には、無機粒子含有化装置１４０は、第２電界紡糸装置１２２と接合装置１３０との間に配置され、第２ナノ繊維３２を含む層３１に向かって、溶媒とともに無機粒子３４を噴射する装置である。当該溶媒としては、各ナノ繊維を損傷させないものを用いることができる。用いることができる溶媒は、用いるナノ繊維の種類により異なるが、例えば、各種アルカン、アセトン、水、シクロヘキサン、ＴＨＦ等を用いることができる。なお、溶媒として複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。また、溶媒を用いず、無機粒子のみを噴射してもよい。
【０１２１】
実施形態２に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、第２電界紡糸工程の内容及び無機粒子含有化工程をさらに含む点が実施形態１に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１２２】
実施形態２に係るセパレーター製造方法は、図７に示すように、基材層準備工程Ｓ１１と、第１電界紡糸工程Ｓ１２と、第２電界紡糸工程Ｓ１３と、無機粒子含有化工程Ｓ１４と、接合工程Ｓ１５とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程Ｓ１１は、実施形態１における基材層準備工程Ｓ１と同様の工程である。また、第１電界紡糸工程Ｓ１２は、実施形態１における第１電界紡糸工程Ｓ２と同様の工程である。さらにまた、接合工程Ｓ１５は、実施形態１における接合工程Ｓ４と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
【０１２３】
第２電界紡糸工程Ｓ１３は、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する工程である（図８参照。）。
実施形態２においては、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成は、上記した第２電界紡糸装置１２２を用いて行う。
【０１２４】
無機粒子含有化工程Ｓ１４は、第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４をさらに含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する工程である。
無機粒子含有化工程Ｓ１４は、上記した無機粒子含有化装置１４０を用いて行う。
【０１２５】
実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２によれば、上記のように、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２２と、無機粒子含有化装置１４０と、接合装置１３０とを備えるため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１２６】
実施形態２に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程Ｓ１１と、第１電界紡糸工程Ｓ１２と、第２電界紡糸工程Ｓ１３と、無機粒子含有化工程Ｓ１４と、接合工程Ｓ１５とをこの順番で含むため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１２７】
［実施形態３］
図９は、実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４の正面図である。
図１０は、実施形態３に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【０１２８】
実施形態３においては、セパレーター１を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法とは異なり、また、実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２及びセパレーター製造方法とも異なるものを説明する。
【０１２９】
実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造装置１００と同様の構成を有するが、第２電界紡糸装置の構成が実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１３０】
セパレーター製造装置１０４における第２電界紡糸装置１２３は、図９に示すように、実施形態１における第２電界紡糸装置１２１と基本的に同様の構成を有するが、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する機構を有し、かつ、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成後に第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する点が異なる。
【０１３１】
第２電界紡糸装置１２３は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は第２電界紡糸装置１２１と同様であるものの、ノズルユニット２１０の直後に無機粒子含有化装置１４２をさらに有する。図９においては、説明を簡単にするため、第２電界紡糸装置１２３の構成要素について、基本的な構成及び役割が第２電界紡糸装置１２１における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、第２電界紡糸装置１２３の原料タンク２３２には、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【０１３２】
無機粒子含有化装置１４２は、第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する装置である。無機粒子含有化装置１４２は、第２電界紡糸装置１２３の一部であること以外については、実施形態２における無機粒子含有化装置１４０と基本的に同様の構成を有するため、詳しい説明は省略する。
【０１３３】
実施形態３に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、第２電界紡糸工程の内容が実施形態１に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１３４】
実施形態３に係るセパレーター製造方法は、図１０に示すように、基材層準備工程Ｓ２１と、第１電界紡糸工程Ｓ２２と、第２電界紡糸工程Ｓ２３と、接合工程Ｓ２４とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程Ｓ２１は、実施形態１における基材層準備工程Ｓ１と同様の工程である。また、第１電界紡糸工程Ｓ２２は、実施形態１における第１電界紡糸工程Ｓ２と同様の工程である。さらにまた、接合工程Ｓ２４は、実施形態１における接合工程Ｓ４と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
【０１３５】
第２電界紡糸工程Ｓ２３は、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成し、かつ、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成後に第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする工程である。
実施形態３においては、第２ナノ繊維層３０の形成は、上記した第２電界紡糸装置１２３を用いて行う。
【０１３６】
実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４によれば、上記のように、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２３と、接合装置１３０とを備えるため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１３７】
実施形態３に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程Ｓ２１と、第１電界紡糸工程Ｓ２２と、第２電界紡糸工程Ｓ２３と、接合工程Ｓ２４とをこの順番で含むため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１３８】
［実施形態４］
図１１は、実施形態４に係るセパレーター製造装置１０６の正面図である。
図１２は、実施形態４に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【０１３９】
実施形態４においては、セパレーター１を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法とは異なり、また、実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２及びセパレーター製造方法とは異なり、さらにまた、実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４及びセパレーター製造方法とも異なるものを説明する。
【０１４０】
実施形態４に係るセパレーター製造装置１０４は、基本的には実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２と同様の構成を有するが、無機粒子含有化装置と接合装置との位置が実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１４１】
セパレーター製造装置１０６においては、図１１に示すように、無機粒子含有化装置１４０と接合装置１３０との位置が、セパレーター製造装置１０２とは逆になっている。このため、実施形態４においては、接合装置１３０は、第１ナノ繊維２２により基材層１０と第２ナノ繊維３２を含む層３１とを接合する装置であり、無機粒子含有化装置１４０は、第２ナノ繊維３２を含む層に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する装置である。なお、実施形態４においては、接合装置１３０は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維３２を含む層３１とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなる。
【０１４２】
実施形態４に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態２に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、無機粒子含有化装置と接合装置との順番が実施形態２に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１４３】
実施形態４に係るセパレーター製造方法は、図１２に示すように、基材層準備工程Ｓ３１と、第１電界紡糸工程Ｓ３２と、第２電界紡糸工程Ｓ３３と、接合工程Ｓ３４と、無機粒子含有化Ｓ３５とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程Ｓ３１は、実施形態２における基材層準備工程Ｓ１１と同様の工程である。また、第１電界紡糸工程Ｓ３２は、実施形態２における第１電界紡糸工程Ｓ１２と同様の工程である。さらにまた、第２電界紡糸工程Ｓ３３は、実施形態２における第２電界紡糸工程Ｓ１３と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
実施形態４に係るセパレーター製造方法は、上記したセパレーター製造装置１０６を用いて行う。
【０１４４】
接合工程Ｓ３４は、第１ナノ繊維２２により基材層１０と第２ナノ繊維３２を含む層３１とを接合する工程である。接合工程Ｓ３４は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維を含む層３１とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により第１ナノ繊維２２の少なくとも一部を熱で溶融させて基材層１０と第２ナノ繊維を含む層３１とを第１ナノ繊維２２で接合する。
接合工程Ｓ３４は、上記した接合装置１３０を用いて行う。
無機粒子含有化工程Ｓ３５は、第２ナノ繊維３２を含む層に無機粒子３４をさらに含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする工程である。
無機粒子含有化工程Ｓ３５は、上記した無機粒子含有化装置１４０を用いて行う。
【０１４５】
実施形態４に係るセパレーター製造装置１０６によれば、上記のように、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２２と、接合装置１３０と、無機粒子含有化装置１４０とを備えるため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１４６】
実施形態４に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程Ｓ３１と、第１電界紡糸工程Ｓ３２と、第２電界紡糸工程Ｓ３３と、接合工程Ｓ３４と、無機粒子含有化工程Ｓ３５とをこの順番で含むため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１４７】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【０１４８】
（１）上記各実施形態における各構成要素の数、位置関係、大きさは例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【０１４９】
（２）上記各実施形態においては、基材層１０、第１ナノ繊維層２０及び第２ナノ繊維層３０からなるセパレーターを例にとって本発明のセパレーターを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材層、第１ナノ繊維層及び第２ナノ繊維層以外の構成要素（補強部材等）をさらに備えるセパレーターとしてもよい。
【０１５０】
（３）上記各実施形態に係るセパレーター１は、各実施形態に係るセパレーター製造装置を用いて製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーターは、第１電界紡糸装置、第２電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているセパレーター製造装置を用いて製造してもよい。このように、本発明のセパレーターは、種々のセパレーター製造装置を用いて製造することができる。
【０１５１】
（４）上記各実施形態に係るセパレーター１は、各実施形態に係るセパレーター製造方法により製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーターは、第１電界紡糸工程と第２電界紡糸工程とを同時に行うセパレーター製造方法により製造してもよい。このように、本発明のセパレーターは、種々のセパレーター製造方法を用いて製造することができる。
【０１５２】
（５）上記各実施形態に係るセパレーター製造方法は、各実施形態に係るセパレーター製造装置を用いて行うものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーター製造方法は、第１電界紡糸装置、第２電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているセパレーター製造装置を用いて行ってもよい。このように、本発明のセパレーター製造方法は、種々のセパレーター製造装置を用いて行うことができる。
【０１５３】
（６）上記実施形態３においては、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する機構を有し、かつ、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成後に第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する第２電界紡糸装置１２３を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層の表面に第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、第２ナノ繊維を含む層の形成中に第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する第２電界紡糸装置を用いてもよい。このような第２電界紡糸装置としては、例えば、無機粒子含有化装置が複数のノズルにおけるノズル間に配置されている第２電界紡糸装置や、無機粒子含有化装置がノズルユニットの側面側に配置されている第２電界紡糸装置等を用いることができる。
【０１５４】
（７）上記（６）の場合においては、第２電界紡糸工程として、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層の表面に第２ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、第２ナノ繊維を含む層の形成中に第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする第２電界紡糸工程を行うことにより、セパレーターを得ることができる。
【０１５５】
（８）上記各実施形態においては、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用い、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、少なくとも一部が熱で溶融した第１ナノ繊維２２により接合されているセパレーターを例にとって本発明を説明したが、本発明のセパレーターはこれに限定されるものではない。図１３は、変形例におけるセパレーター製造方法のフローチャートである。例えば、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用い、基材層と第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が所定の溶媒で溶解した第１ナノ繊維により接合されているセパレーターとしてもよい。このようなセパレーターは、例えば図１３に示すように、第１ナノ繊維に対して適度な溶解性を有する溶媒に第２積層体を浸して、又は当該溶媒の蒸気に第２積層体を通して基材層と第２ナノ繊維層とを接合する工程（接合工程（溶解接合工程）Ｓ４４）を行うことで製造することができる。このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とを所定の溶媒を用いて容易に接合することが可能となる。
【０１５６】
（９）上記各実施形態においては、第１電界紡糸装置及び第２電界紡糸装置を１台ずつ備えるセパレーター製造装置を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第１電界紡糸装置及び第２電界紡糸装置を２台以上備えるセパレーター製造装置を本発明に適用することもできる。
【０１５７】
（１０）上記実施形態２〜４においては、無機粒子３４を噴射することにより、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、無機粒子を含有する溶液を塗布することにより、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」としてもよい。
【符号の説明】
【０１５８】
１…セパレーター、１０…基材層、１２…基材繊維、２０…（接合工程後の）第１ナノ繊維層、２０’…（接合工程前の）第１ナノ繊維層、２２…第１ナノ繊維、２４…溶融した第１ナノ繊維、３０…第２ナノ繊維層、３１…第２ナノ繊維を含む層、３２…第２ナノ繊維、３４…無機粒子、４０…第１積層体、５０…第２積層体、１００，１０２，１０４…セパレーター製造装置、１１０…搬送装置、１１１…繰り出しローラー、１１２…巻き取りローラー、１１３，１１８…テンションローラー、１１４…補助ローラー、１２０…第１電界紡糸装置、１２１，１２２，１２３…第２電界紡糸装置、１３０…接合装置、１４０，１４２…無機粒子含有化装置、２００…筐体、２１０…ノズルユニット、２２０…上向きノズル、２５０…コレクター、２５２…絶縁部材、２６０…電源装置、２７０…補助ベルト装置、２７２…補助ベルト、２７４…補助ベルト用ローラー
【背景技術】
【０００１】
本発明は、セパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法に関する。
【０００２】
従来、基材層（多孔質フィルム）と、ナノ繊維及び無機粒子（例えば、アルミナ）を含むナノ繊維層とを有するセパレーターが知られている(例えば、特許文献１参照。)。
【０００３】
従来のセパレーターによれば、アルミナのような無機粒子を含むナノ繊維層を有するため、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、それぞれ異なる性質を有する基材層とナノ繊維層とを用いることにより、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、基材層が有する性質にナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加することにより、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
また、従来のセパレーターによれば、繊維の平均径や空隙が微細なナノ繊維層を備えるため、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【０００４】
なお、「基材層」とは、ナノ繊維層を形成するための基材となる層のことをいう。また、「ナノ繊維」とは、ポリマー材料からなり、平均径が数ｎｍ〜数千ｎｍの繊維のことをいう。さらにまた、「セパレーター」とは、電池（一次電池及び二次電池を含む。）やコンデンサー（キャパシターともいう。）等に用いるセパレーター（仕切り）のことをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２０１０−４４９３５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、従来のセパレーターにおいては、基材層とナノ繊維層との結合強度が小さいため、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷してしまうおそれがあるという問題がある。
【０００７】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能なセパレーターを提供することを目的とする。また、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造装置を提供することを目的とする。さらにまた、上記のようなセパレーターを製造することが可能なセパレーター製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
［１］本発明のセパレーターは、基材層と、第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層と、第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層とを有し、前記基材層、前記第１ナノ繊維層及び前記第２ナノ繊維層は、前記基材層、前記第１ナノ繊維層、前記第２ナノ繊維層の順番で積層され、前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、前記第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とする。
【０００９】
このため、本発明のセパレーターによれば、基材層と第２ナノ繊維層とが第１ナノ繊維により接合されているため、基材層とナノ繊維層とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、第２ナノ繊維層（従来のナノ繊維層に相当）がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【００１０】
また、本発明のセパレーターによれば、無機粒子を含む第２ナノ繊維層を有するため、従来のセパレーターと同様に、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１１】
また、本発明のセパレーターによれば、それぞれ異なる性質を有する基材層と第２ナノ繊維層とを用いることにより、従来のセパレーターと同様に、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１２】
また、本発明のセパレーターによれば、基材層が有する性質に第２ナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加することにより、従来のセパレーターと同様に、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１３】
また、本発明のセパレーターによれば、基材層や第２ナノ繊維層と異なる性質を有する第１ナノ繊維層を用いることにより、セパレーターに第１ナノ繊維層が有する性質をさらに付加し、より一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００１４】
また、本発明のセパレーターによれば、繊維の平均径や空隙が微細な第２ナノ繊維層を備えるため、従来のセパレーターと同様に、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【００１５】
なお、本発明の「第２ナノ繊維層」は、上述したように、従来のセパレーターにおける「ナノ繊維層」に相当するものである。
【００１６】
［２］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した前記第１ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【００１７】
このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱することにより容易に接合することが可能となる。
【００１８】
なお、熱接合性を有する樹脂とは、いわゆる熱可塑性樹脂（ポリエチレン、ポリプロピレン等）に加え、ポリウレタンのように熱による接合性を有する樹脂も広く含めたもののことをいう。
【００１９】
［３］本発明のセパレーターにおいては、前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも低いことが好ましい。
【００２０】
このような構成とすることにより、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と熱接合性を有する樹脂の融点との間の温度で加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが可能となる。
【００２１】
［４］本発明のセパレーターにおいては、前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも１０℃以上低いことが好ましい。
【００２２】
このような構成とすることにより、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と、熱接合性を有する樹脂の融点とに十分な差があるため、加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【００２３】
［５］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維の平均径は、５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。
【００２４】
このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態となり、かつ、セパレーターの通液性が低下するのを抑制することが可能となる。
【００２５】
なお、本発明において、第１ナノ繊維の平均径を５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にしたのは、当該平均径が５０ｎｍより小さい場合には基材層と第２ナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態にならない場合があるためであり、当該平均径が１０００ｎｍより大きい場合にはセパレーターの通液性が低下してしまう場合があるためである。
【００２６】
［６］本発明のセパレーターにおいては、前記第２ナノ繊維の平均径は、前記第１ナノ繊維の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。
【００２７】
このような構成とすることにより、加熱することにより第２ナノ繊維が受ける影響を抑制し、かつ、ナノ繊維としての性質（広い表面積や微細な空隙等）を損なわないようにすることが可能となる。
【００２８】
なお、本発明において、第２ナノ繊維の平均径を第１ナノ繊維の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にしたのは、当該平均径が第１ナノ繊維の平均径よりも小さい場合や８０ｎｍより小さい場合には加熱することにより第２ナノ繊維が受ける影響が大きくなる場合があるためであり、当該平均径が３０００ｎｍより大きい場合には第２ナノ繊維としての性質が損なわれる場合があるためである。
【００２９】
［７］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなり、前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が前記所定の溶媒で溶解した第１ナノ繊維により接合されていることが好ましい。
【００３０】
このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とを所定の溶媒を用いて容易に接合することが可能となる。
【００３１】
［８］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維層は、前記第２ナノ繊維層よりも薄いことが好ましい。
【００３２】
このような構成とすることにより、セパレーターにおいてナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加するのが主に第２ナノ繊維層となり、安定した性能を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００３３】
［９］本発明のセパレーターにおいては、前記第１ナノ繊維及び前記第２ナノ繊維は、電界紡糸法により得られたものであることが好ましい。
【００３４】
このような構成とすることにより、所望の性質（組成、厚さ、目付、各ナノ繊維の平均径、溶融温度、溶媒に対する溶解性等）を有する第１ナノ繊維層及び第２ナノ繊維層を形成することが可能となる。
【００３５】
［１０］本発明のセパレーターにおいては、前記無機粒子の平均径は、５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。
【００３６】
このような構成とすることにより、無機粒子の取り扱いを容易なものとすることが可能となり、かつ、第２ナノ繊維層の空間構造が崩壊するのを抑制することが可能となる。
【００３７】
なお、本発明において無機粒子の平均径を５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内としたのは、当該平均径が５ｎｍより小さい場合には無機粒子の取り扱いが困難なものとなる場合があるためであり、当該平均径が１０００ｎｍより大きい場合には無機粒子の大きさに起因して第２ナノ繊維層の空間構造が崩壊してしまう場合があるためである。
上記観点からは、無機粒子の平均径が８ｎｍ〜５００ｎｍの範囲内にあることが一層好ましく、当該平均径が１０ｎｍ〜１００ｎｍの範囲内にあることがより一層好ましい。
【００３８】
［１１］本発明のセパレーターにおいては、前記無機粒子は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなることが好ましい。
【００３９】
無機酸化物、無機窒化物及び無機炭化物は熱的安定性及び電解液に対する親和性が特に優れているため、上記のような構成とすることにより、一層高い熱的安定性と、電解液に対する一層高い親和性を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００４０】
無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物としては、非水系電解液に対して溶解度が低く、膨潤しにくいものを好適に用いることができる。上記のものの中では無機酸化物を好適に用いることができ、その具体例としては、シリカ、アルミナ及び二酸化チタンを挙げることができる。
【００４１】
［１２］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【００４２】
本発明のセパレーター製造装置によれば、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４３】
［１３］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【００４４】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４５】
［１４］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とする。
【００４６】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４７】
［１５］本発明のセパレーター製造装置は、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合装置と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置とを備えることを特徴とする。
【００４８】
上記の本発明のセパレーター製造装置によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００４９】
［１６］本発明のセパレーター製造装置においては、前記接合装置は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなることが好ましい。
【００５０】
このような構成とすることにより、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【００５１】
［１７］本発明のセパレーター製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する第２電界紡糸工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５２】
本発明のセパレーター製造方法によれば、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５３】
［１８］本発明のセパレーター製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする第２電界紡糸工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５４】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５５】
［１９］本発明のセパレーターの製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５６】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５７】
［２０］本発明のセパレーターの製造方法は、基材層を準備する基材層準備工程と、電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合工程と、前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程とをこの順番で含むことを特徴とする。
【００５８】
上記の本発明のセパレーター製造方法によっても、上記したような本発明のセパレーターを製造することが可能となる。
【００５９】
［２１］本発明のセパレーター製造方法においては、前記接合工程は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により前記第１ナノ繊維の少なくとも一部を熱で溶融させて前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを前記第１ナノ繊維で接合することが好ましい。
【００６０】
このような方法とすることにより、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００６１】
【図１】実施形態１に係るセパレーター１を説明するための図である。
【図２】実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の正面図である。
【図３】実施形態１に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図４】実施形態１に係るセパレーター製造方法を説明するための図である。
【図５】実施形態１における接合工程Ｓ４を説明するために示す図である。
【図６】実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２の正面図である。
【図７】実施形態２に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図８】実施形態２に係る第２電界紡糸工程Ｓ１３及び無機粒子含有化工程Ｓ１４を説明するために示す図である。
【図９】実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４の正面図である。
【図１０】実施形態３に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図１１】実施形態４に係るセパレーター製造装置１０６の正面図である。
【図１２】実施形態４に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【図１３】変形例に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００６２】
以下、本発明のセパレーター、セパレーター製造装置及びセパレーター製造方法について図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【００６３】
［実施形態１］
１．実施形態１に係るセパレーター１の構成
まず、実施形態１に係るセパレーター１の構成を説明する。
図１は、実施形態１に係るセパレーター１を説明するための図である。図１（ａ）は芯材（符号を図示せず。）に巻いた状態のセパレーター１の斜視図であり、図１（ｂ）はセパレーター１の拡大断面図であり、図１（ｃ）は図１（ｂ）のＡで示す範囲をさらに拡大して示す模式図（以下、拡大模式図という。）である。
【００６４】
実施形態１に係るセパレーター１は、図１に示すように、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを有し、基材層１０、第１ナノ繊維層２０及び第２ナノ繊維層３０は、基材層１０、第１ナノ繊維層２０、第２ナノ繊維層３０の順番で積層されている。セパレーター１においては、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、第１ナノ繊維２２により接合されている。具体的には、図１（ｃ）に示すように、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、少なくとも一部が熱で溶融した第１ナノ繊維２４により接合されている。
セパレーター１の厚さは、１μｍ〜１００μｍの範囲内にあり、例えば、２０μｍである。
【００６５】
実施形態１に係るセパレーター１は、後述するように、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００を用いて、実施形態１に係るセパレーター製造方法を実施することにより得ることができる。
【００６６】
基材層１０は長尺シートの形態を取っており、基材層１０としては、各種材料からなる不織布、織物、編物、紙等、通気性（通液性）のあるものを用いることができる。実施形態１においては、基材層１０として繊維質の基材層を用いており、図１（ｃ）中、符号１２で示すのは基材層１０中の基材繊維である。なお、基材層１０としては、繊維質以外のもの（例えば、多孔性のフィルム）も用いることができる。
基材層１０の厚さは、例えば１μｍ〜９０μｍのものを用いることができる。基材層１０の長さは、例えば１０ｍ〜１０ｋｍのものを用いることができる。
【００６７】
第１ナノ繊維層２０は、第１ナノ繊維２２からなる。なお、第１ナノ繊維層は第１ナノ繊維を含んでいればよく、その上であれば第１ナノ繊維以外の物質を含んでもよい。第１ナノ繊維２２は熱接合性を有する樹脂からなる。第１ナノ繊維２２の平均径は、５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあり、例えば、１００ｎｍである。第１ナノ繊維２２は、後述するように電界紡糸法により得ることができる。
【００６８】
第２ナノ繊維層３０は、第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む。なお、第２ナノ繊維層は第２ナノ繊維及び無機粒子を含んでいればよく、その上であれば第２ナノ繊維及び無機粒子以外の物質を含んでもよい。
第２ナノ繊維３２の平均径は、第１ナノ繊維２２の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあり、例えば、１０００ｎｍである。第２ナノ繊維３２は、後述するように電界紡糸法により得ることができる。
無機粒子３４の平均径は、５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあり、例えば、５０ｎｍである。無機粒子３４は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなり、例えば、アルミナからなる。
【００６９】
セパレーター１においては、熱接合性を有する樹脂の融点は、基材層１０を構成する材料（基材繊維１２）の融点及び第２ナノ繊維層３０を構成する材料（第２ナノ繊維３２）の融点のいずれよりも低く、さらにいえば、１０以上低い。
セパレーター１においては、図１（ｂ）に示すように、第１ナノ繊維層２０は第２ナノ繊維層３０よりも薄い。
【００７０】
２．実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の構成
次に、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の構成を説明する。
図２は、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の正面図である。なお、図２においては、一部の部材（筐体２００や原料タンク２３２等）は断面図として示している。
【００７１】
セパレーター製造装置１００は、搬送装置１１０と、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２１と、接合装置１３０とを備える。セパレーター製造装置１００は、第１電界紡糸装置１２０及び第２電界紡糸装置１２１をそれぞれ１つずつ備える。
【００７２】
搬送装置１１０は、基材層１０を所定の搬送速度で搬送する。搬送装置１１０は、基材層１０を繰り出す繰り出しローラー１１１、基材層１０を巻き取る巻き取りローラー１１２、基材層１０の張りを調整するテンションローラー１１３，１１８及び繰り出しローラー１１１と巻き取りローラー１１２との間に位置する補助ローラー１１４を備える。繰り出しローラー１１１及び巻き取りローラー１１２は、図示しない駆動モーターにより回転駆動される構造となっている。
【００７３】
第１電界紡糸装置１２０は、電界紡糸法により、基材層１０における一方の面（実施形態１においては下方の面）に、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０’を形成する機構を有する（後述する図４（ｂ）参照。）。
第１電界紡糸装置１２０は、図２に示すように、筐体２００と、ノズルユニット２１０と、ポリマー溶液供給部２３０と、コレクター２５０と、電源装置２６０と、補助ベルト装置２７０とを備える。第１電界紡糸装置１２０は、後述する複数の上向きノズル２２０の吐出口からポリマー溶液をオーバーフローさせながら吐出して、第１ナノ繊維層２０’を形成する。
【００７４】
筐体２００は、導電体からなる。
ノズルユニット２１０は、複数の上向きノズル２２０を有する。
【００７５】
上向きノズル２２０は、ポリマー溶液供給部２３０から供給される「第１ナノ繊維２２の原料を溶解したポリマー溶液（熱接合性を有する樹脂のポリマー溶液）」を吐出口から吐出するノズルである。上向きノズル２２０は、ポリマー溶液を吐出口から上向きに吐出する。上向きノズル２２０を構成する材料としては導電体を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等を用いることができる。
【００７６】
上向きノズル２２０は、例えば、１．５ｃｍ〜６．０ｃｍのピッチで配列されている。上向きノズル２２０の数は、例えば、３６個（縦横同数に配列した場合、６個×６個）〜２１９０４個（縦横同数に配列した場合、１４８個×１４８個）とすることができる。
【００７７】
なお、実施形態１においては、ノズルとして上向きノズル２２０を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。ノズルとして横向きノズルを用いてもよいし、下向きノズルを用いてもよい。
【００７８】
ポリマー溶液供給部２３０は、ポリマー溶液をノズルユニット２１０に供給する。ポリマー溶液供給部２３０は、原料タンク２３２、撹拌装置２３３及び供給装置２３４を備える。第１電界紡糸装置１２０の原料タンク２３２には、第１ナノ繊維２２の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【００７９】
コレクター２５０は、ノズルユニット２１０の上方に配置されている。コレクター２５０は導電体からなり、図２に示すように、絶縁部材２５２を介して筐体２００に取り付けられている。
電源装置２６０は、上向きノズル２２０と、コレクター２５０との間に高電圧を印加する。電源装置２６０の正極はコレクター２５０に接続され、電源装置２６０の負極は筐体２００を介してノズルユニット２１０に接続されている。
【００８０】
補助ベルト装置２７０は、基材層１０の搬送速度に同期して回転する補助ベルト２７２と、補助ベルト２７２の回転を助ける５つの補助ベルト用ローラー２７４とを有する。５つの補助ベルト用ローラー２７４のうち１つ又は２つ以上の補助ベルト用ローラーが駆動ローラーであり、残りの補助ベルト用ローラーが従動ローラーである。コレクター２５０と基材層１０との間に補助ベルト２７２が配設されているため、基材層１０は、正の高電圧が印加されているコレクター２５０に引き寄せられることなくスムーズに搬送されるようになる。
【００８１】
第２電界紡糸装置１２１は、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する機構を有する。
第２電界紡糸装置１２１は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は第１電界紡糸装置１２０と同様であるものの、第２ナノ繊維層を形成するために細部の構造が異なる。図２においては、説明を簡単にするため、第２電界紡糸装置１２１の構成要素については、基本的な構成及び役割が第１電界紡糸装置１２０における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、第２電界紡糸装置１２１の原料タンク２３２には、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液が入る。
第２電界紡糸装置１２１は、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液を用いて、基材層１０における一方の面に、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する機構のひとつとして、無機粒子３４よりも大きい径を有する。具体的には、無機粒子３４の粒子径に対して１００倍以上の径を有することが好ましい。
【００８２】
接合装置１３０は、第１ナノ繊維２２を用いて基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを接合する装置である。接合装置１３０は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなる。接合装置１３０としては、図２に示すように、カレンダーロールを備えた熱接合装置を例示することができる。なお、加熱するための手段としては、例えば、カレンダーロール内にヒーター機能（図示せず。）を組み込んだものを用いることができるが、これ以外にも、たとえば、抵抗加熱器、赤外線加熱器、乾燥器、熱風発生器等を用いることも可能である。なお、図２においては、カレンダーロールは、上下１個ずつのローラーによって第２積層体５０を挟むような構成のものを例示したが、このような構成に限られるものではなく、上下２個ずつのローラーが存在するもの等種々の構成を有するカレンダーロールを使用することができる。
【００８３】
３．実施形態１に係るセパレーター製造方法
次に、実施形態１に係るセパレーター製造方法を説明する。
図３は、実施形態１に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
図４は、実施形態１に係るセパレーター製造方法を説明するための図である。図４（ａ）は基材準備工程Ｓ１のときの基材１０の拡大断面図であり、図４（ｂ）は第１電界紡糸工程Ｓ２後の第１積層体４０の拡大断面図であり、図４（ｃ）は第２電界紡糸工程Ｓ３後の第２積層体の拡大断面図である。
図５は、実施形態１における接合工程Ｓ４を説明するために示す図である。図５（ａ）は接合工程Ｓ４の前の拡大模式図であり、図５（ｂ）は接合工程Ｓ４の後の拡大模式図である。
【００８４】
実施形態１に係るセパレーター製造方法は、図３に示すように、基材層準備工程Ｓ１と、第１電界紡糸工程Ｓ２と、第２電界紡糸工程Ｓ３と、接合工程Ｓ４とをこの順番で含む。実施形態１に係るセパレーター製造方法は、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００を用いて行う。
【００８５】
１．基材層準備工程Ｓ１
基材準備工程Ｓ１は、図４（ａ）に示すように、基材層１０を準備する工程である。実施形態１においては、基材層１０は長尺シートの形態を取っている。なお、本発明のセパレーター製造方法においては、長尺シート以外の形態を取る種々の形状の基材層を用いることもできる。
実施形態１においては、基材層１０の準備後、長尺シートである基材層１０を搬送装置１１０にセットし、基材層１０を繰り出しローラー１１１から所定の搬送速度で搬送させる。
【００８６】
２．第１電界紡糸工程Ｓ２
第１電界紡糸工程Ｓ２は、図４（ｂ）に示すように、電界紡糸法により、第１ナノ繊維２２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層１０における一方の（下方の面）に、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０’を形成する工程である。
具体的には、まず、ポリマー溶液を、第１電界紡糸装置１２０におけるポリマー溶液供給部２３０を通じてノズルユニット２１０へ供給する。次に、コレクター２５０とノズルユニット２１０との間に電圧をかけて、上向きノズル２２０からポリマー溶液を吐出させ、長尺シートである基材層１０の下方の面に第１ナノ繊維層２０’を形成し、第１積層体４０とする。
第１電界紡糸工程Ｓ２は、上記した電界紡糸装置１２０を用いて行う。
【００８７】
３．第２電界紡糸工程Ｓ３
第２電界紡糸工程Ｓ３は、図４（ｃ）に示すように、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子３４を混合した混合ポリマー溶液を用いて、第１積層体４０における第１ナノ繊維層２０’の表面に、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する工程である。
具体的には、まず、混合ポリマー溶液を、第２電界紡糸装置１２１におけるポリマー溶液供給部２３０を通じてノズルユニット２１０へ供給する。次に、コレクター２５０とノズルユニット２１０との間に電圧をかけて、上向きノズル２２０から混合ポリマー溶液を吐出させ、既に形成されている第１ナノ繊維層２０’の下方の面に第２ナノ繊維層３０を形成し、第２積層体５０とする。
第２電界紡糸工程Ｓ３は、上記した電界紡糸装置１２１を用いて行う。
【００８８】
４．接合工程Ｓ４
接合工程Ｓ４は、図５に示すように、第１ナノ繊維２２を用いて、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを接合する工程である。接合工程Ｓ４は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により第１ナノ繊維２２の少なくとも一部を熱で溶融させて、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを第１ナノ繊維２２で接合する。
接合工程Ｓ４は、上記した接合装置１３０を用いて行う。
【００８９】
以下に、実施形態１における紡糸条件を例示的に示す。
【００９０】
第１ナノ繊維２２の材料としては、熱接合性を有する樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ポリ乳酸（ＰＬＡ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリ酢酸ビニル（ＰＶＡｃ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリアミド（ＰＡ）、ポリウレタン（ＰＵＲ）、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリアクリロニトリル（ＰＡＮ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、ポリカプロラクトン（ＰＣＬ）、ポリ乳酸グリコール酸（ＰＬＧＡ）等を用いることができる。
【００９１】
第２ナノ繊維３２の原料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ポリ乳酸（ＰＬＡ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリ酢酸ビニル（ＰＶＡｃ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリアミド（ＰＡ）、ポリウレタン（ＰＵＲ）、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ポリアクリロニトリル（ＰＡＮ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルイミド（ＰＥＩ）、ポリカプロラクトン（ＰＣＬ）、ポリ乳酸グリコール酸（ＰＬＧＡ）、シルク、セルロース、キトサン等を用いることができる。
【００９２】
各種ポリマー溶液を製造するための溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、ＴＨＦ等を用いることができる。また、溶媒として複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、導電性向上剤等の添加剤を含有させてもよい。
【００９３】
搬送速度は、例えば０．２ｍ／分〜１００ｍ／分に設定することができる。上向きノズル２２０とコレクター２５０とノズルユニット２１０に印加する電圧は、１０ｋＶ〜８０ｋＶに設定することができ、５０ｋＶ付近に設定することが好ましい。
【００９４】
紡糸区域の温度は、例えば２５に設定することができる。紡糸区域の湿度は、例えば３０％に設定することができる。
【００９５】
以下、実施形態１に係るセパレーター１、セパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法の効果を記載する。
【００９６】
実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２を含む第１ナノ繊維層２０を有し、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とが第１ナノ繊維２２により接合されているため、基材層と第２ナノ繊維層（従来のナノ繊維層に相当）とが剥離するのを抑制することが可能となり、その結果、第２ナノ繊維層がセパレーターの製造過程で剥離して損傷するのを抑制することが可能となる。
【００９７】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０を有するため、従来のセパレーターと同様に、高い熱的安定性と、電解液に対する高い親和性とを有するセパレーターとすることが可能となる。
【００９８】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、それぞれ異なる性質を有する基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを用いることにより、従来のセパレーターと同様に、多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【００９９】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、基材層１０が有する性質に第２ナノ繊維層３０が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加することにより、従来のセパレーターと同様に、一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１００】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、基材層や第２ナノ繊維層と異なる性質を有する第１ナノ繊維層を用いることにより、セパレーターに第１ナノ繊維層が有する性質をさらに付加し、より一層多様な性質を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１０１】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、繊維の平均径や空隙が微細な第２ナノ繊維層３０を備えるため、従来のセパレーターと同様に、一般的な繊維層を有するセパレーターと比較して、高い電解液吸収性、低いイオン抵抗性及び高いデンドライト耐性を備え、さらに、総厚の薄いセパレーターとすることが可能となる。
【０１０２】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２は、熱接合性を有する樹脂からなるため、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱することにより容易に接合することが可能となる。
【０１０３】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、熱接合性を有する樹脂の融点が基材層１０を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層３０を構成する材料の融点のいずれよりも低いため、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と熱接合性を有する樹脂の融点との間の温度で加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが可能となる。
【０１０４】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、熱接合性を有する樹脂の融点が基材層１０を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層３０を構成する材料の融点のいずれよりも１０℃以上低いため、基材層を構成する材料の融点及び第２ナノ繊維層を構成する材料の融点と、熱接合性を有する樹脂の融点とに十分な差があるため、加熱することにより第１ナノ繊維を選択的に溶融することが容易に可能となる。
【０１０５】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２の平均径が５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあるため、基材層と第２ナノ繊維層とが十分な強度で接合された状態となり、かつ、セパレーターの通液性が低下するのを抑制することが可能となる。
【０１０６】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第２ナノ繊維３２の平均径は、第１ナノ繊維２２の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあるため、加熱することにより第２ナノ繊維が受ける影響を抑制し、かつ、ナノ繊維としての性質（広い表面積や微細な空隙等）を損なわないようにすることが可能となる。
【０１０７】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第２ナノ繊維層３０が第１ナノ繊維層２０よりも厚いため、セパレーターにおいてナノ繊維層が有する性質（広い表面積や微細な空隙等）を付加するのが主に第２ナノ繊維層となり、安定した性能を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１０８】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、第１ナノ繊維２２及び第２ナノ繊維３２が電界紡糸法により得られたものであるため、所望の性質（組成、厚さ、目付、各ナノ繊維の平均径、溶融温度、溶媒に対する溶解性等）を有する第１ナノ繊維層及び第２ナノ繊維層を形成することが可能となる。
【０１０９】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、無機粒子３４の平均径が５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあるため、無機粒子の取り扱いを容易なものとすることが可能となり、かつ、第２ナノ繊維層の空間構造が崩壊するのを抑制することが可能となる。
【０１１０】
また、実施形態１に係るセパレーター１によれば、無機粒子３４が無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなるため、一層高い熱的安定性と、電解液に対する一層高い親和性を有するセパレーターとすることが可能となる。
【０１１１】
実施形態１に係るセパレーター製造装置１００によれば、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２１と、接合装置１３０とを備えるため、上記したような実施形態１に係るセパレーター１を製造することが可能となる。
【０１１２】
また、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００によれば、接合装置１３０は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなるため、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【０１１３】
実施形態１に係るセパレーター製造方法によれば、基材層準備工程Ｓ１と、第１電界紡糸工程Ｓ２と、第２電界紡糸工程Ｓ３と、接合工程Ｓ４とをこの順番で含むため、上記したような実施形態１に係るセパレーター１を製造することが可能となる。
【０１１４】
また、実施形態１に係るセパレーター製造方法によれば、接合工程Ｓ４は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維層３０とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により第１ナノ繊維２２の少なくとも一部を熱で溶融させて基材層１０と第２ナノ繊維層３０とを第１ナノ繊維２２で接合するため、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用いた場合において、基材層と第２ナノ繊維層とを加熱により接合することが可能となる。
【０１１５】
［実施形態２］
図６は、実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２の正面図である。
図７は、実施形態２に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
図８は、実施形態２に係る第２電界紡糸工程Ｓ１３及び無機粒子含有化工程Ｓ１４を説明するために示す図である。図８（ａ）は第２電界紡糸工程Ｓ１３後の拡大模式図であり、図８（ｂ）は無機粒子含有化工程Ｓ１４後の拡大模式図である。
【０１１６】
実施形態２においては、セパレーター１を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法とは異なるものを説明する。
【０１１７】
実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造装置１００と同様の構成を有するが、第２電界紡糸装置の構成と、無機粒子含有化装置をさらに備えることとが実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１１８】
セパレーター製造装置１０２における第２電界紡糸装置１２２は、図６に示すように、実施形態１における第２電界紡糸装置１２１と基本的に同様の構成を有するが、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する機構を有する点が異なる。
【０１１９】
第２電界紡糸装置１２２は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は第２電界紡糸装置１２１と同様であるものの、第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成するために細部の構造が異なる。図６においては、説明を簡単にするため、第２電界紡糸装置１２２の構成要素について、基本的な構成及び役割が第２電界紡糸装置１２１における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、第２電界紡糸装置１２２の原料タンク２３２には、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【０１２０】
無機粒子含有化装置１４０は、第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４をさらに含ませ、「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する機構を有する装置である（図８参照。）。具体的には、無機粒子含有化装置１４０は、第２電界紡糸装置１２２と接合装置１３０との間に配置され、第２ナノ繊維３２を含む層３１に向かって、溶媒とともに無機粒子３４を噴射する装置である。当該溶媒としては、各ナノ繊維を損傷させないものを用いることができる。用いることができる溶媒は、用いるナノ繊維の種類により異なるが、例えば、各種アルカン、アセトン、水、シクロヘキサン、ＴＨＦ等を用いることができる。なお、溶媒として複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。また、溶媒を用いず、無機粒子のみを噴射してもよい。
【０１２１】
実施形態２に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、第２電界紡糸工程の内容及び無機粒子含有化工程をさらに含む点が実施形態１に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１２２】
実施形態２に係るセパレーター製造方法は、図７に示すように、基材層準備工程Ｓ１１と、第１電界紡糸工程Ｓ１２と、第２電界紡糸工程Ｓ１３と、無機粒子含有化工程Ｓ１４と、接合工程Ｓ１５とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程Ｓ１１は、実施形態１における基材層準備工程Ｓ１と同様の工程である。また、第１電界紡糸工程Ｓ１２は、実施形態１における第１電界紡糸工程Ｓ２と同様の工程である。さらにまた、接合工程Ｓ１５は、実施形態１における接合工程Ｓ４と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
【０１２３】
第２電界紡糸工程Ｓ１３は、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する工程である（図８参照。）。
実施形態２においては、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成は、上記した第２電界紡糸装置１２２を用いて行う。
【０１２４】
無機粒子含有化工程Ｓ１４は、第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４をさらに含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」を形成する工程である。
無機粒子含有化工程Ｓ１４は、上記した無機粒子含有化装置１４０を用いて行う。
【０１２５】
実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２によれば、上記のように、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２２と、無機粒子含有化装置１４０と、接合装置１３０とを備えるため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１２６】
実施形態２に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程Ｓ１１と、第１電界紡糸工程Ｓ１２と、第２電界紡糸工程Ｓ１３と、無機粒子含有化工程Ｓ１４と、接合工程Ｓ１５とをこの順番で含むため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１２７】
［実施形態３］
図９は、実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４の正面図である。
図１０は、実施形態３に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【０１２８】
実施形態３においては、セパレーター１を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法とは異なり、また、実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２及びセパレーター製造方法とも異なるものを説明する。
【０１２９】
実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造装置１００と同様の構成を有するが、第２電界紡糸装置の構成が実施形態１に係るセパレーター製造装置１００の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１３０】
セパレーター製造装置１０４における第２電界紡糸装置１２３は、図９に示すように、実施形態１における第２電界紡糸装置１２１と基本的に同様の構成を有するが、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する機構を有し、かつ、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成後に第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する点が異なる。
【０１３１】
第２電界紡糸装置１２３は、詳しい説明は省略するが、基本的な機械的構成は第２電界紡糸装置１２１と同様であるものの、ノズルユニット２１０の直後に無機粒子含有化装置１４２をさらに有する。図９においては、説明を簡単にするため、第２電界紡糸装置１２３の構成要素について、基本的な構成及び役割が第２電界紡糸装置１２１における相当する構成要素と同様であるものには同様の符号を付した。
なお、第２電界紡糸装置１２３の原料タンク２３２には、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液が入る。
【０１３２】
無機粒子含有化装置１４２は、第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する装置である。無機粒子含有化装置１４２は、第２電界紡糸装置１２３の一部であること以外については、実施形態２における無機粒子含有化装置１４０と基本的に同様の構成を有するため、詳しい説明は省略する。
【０１３３】
実施形態３に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態１に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、第２電界紡糸工程の内容が実施形態１に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１３４】
実施形態３に係るセパレーター製造方法は、図１０に示すように、基材層準備工程Ｓ２１と、第１電界紡糸工程Ｓ２２と、第２電界紡糸工程Ｓ２３と、接合工程Ｓ２４とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程Ｓ２１は、実施形態１における基材層準備工程Ｓ１と同様の工程である。また、第１電界紡糸工程Ｓ２２は、実施形態１における第１電界紡糸工程Ｓ２と同様の工程である。さらにまた、接合工程Ｓ２４は、実施形態１における接合工程Ｓ４と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
【０１３５】
第２電界紡糸工程Ｓ２３は、電界紡糸法により、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０’の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成し、かつ、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成後に第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする工程である。
実施形態３においては、第２ナノ繊維層３０の形成は、上記した第２電界紡糸装置１２３を用いて行う。
【０１３６】
実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４によれば、上記のように、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２３と、接合装置１３０とを備えるため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１３７】
実施形態３に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程Ｓ２１と、第１電界紡糸工程Ｓ２２と、第２電界紡糸工程Ｓ２３と、接合工程Ｓ２４とをこの順番で含むため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１３８】
［実施形態４］
図１１は、実施形態４に係るセパレーター製造装置１０６の正面図である。
図１２は、実施形態４に係るセパレーター製造方法のフローチャートである。
【０１３９】
実施形態４においては、セパレーター１を製造するためのセパレーター製造装置及びセパレーター製造方法であって、実施形態１に係るセパレーター製造装置１００及びセパレーター製造方法とは異なり、また、実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２及びセパレーター製造方法とは異なり、さらにまた、実施形態３に係るセパレーター製造装置１０４及びセパレーター製造方法とも異なるものを説明する。
【０１４０】
実施形態４に係るセパレーター製造装置１０４は、基本的には実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２と同様の構成を有するが、無機粒子含有化装置と接合装置との位置が実施形態２に係るセパレーター製造装置１０２の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１４１】
セパレーター製造装置１０６においては、図１１に示すように、無機粒子含有化装置１４０と接合装置１３０との位置が、セパレーター製造装置１０２とは逆になっている。このため、実施形態４においては、接合装置１３０は、第１ナノ繊維２２により基材層１０と第２ナノ繊維３２を含む層３１とを接合する装置であり、無機粒子含有化装置１４０は、第２ナノ繊維３２を含む層に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する装置である。なお、実施形態４においては、接合装置１３０は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維３２を含む層３１とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなる。
【０１４２】
実施形態４に係るセパレーター製造方法は、基本的には実施形態２に係るセパレーター製造方法と同様の方法であるが、無機粒子含有化装置と接合装置との順番が実施形態２に係るセパレーター製造方法の場合とは異なる。以下、詳細に説明する。
【０１４３】
実施形態４に係るセパレーター製造方法は、図１２に示すように、基材層準備工程Ｓ３１と、第１電界紡糸工程Ｓ３２と、第２電界紡糸工程Ｓ３３と、接合工程Ｓ３４と、無機粒子含有化Ｓ３５とをこの順番で含む。
このうち、基材層準備工程Ｓ３１は、実施形態２における基材層準備工程Ｓ１１と同様の工程である。また、第１電界紡糸工程Ｓ３２は、実施形態２における第１電界紡糸工程Ｓ１２と同様の工程である。さらにまた、第２電界紡糸工程Ｓ３３は、実施形態２における第２電界紡糸工程Ｓ１３と同様の工程である。したがって、これらの工程についての説明は省略する。
実施形態４に係るセパレーター製造方法は、上記したセパレーター製造装置１０６を用いて行う。
【０１４４】
接合工程Ｓ３４は、第１ナノ繊維２２により基材層１０と第２ナノ繊維３２を含む層３１とを接合する工程である。接合工程Ｓ３４は、基材層１０と、第１ナノ繊維層２０と、第２ナノ繊維を含む層３１とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により第１ナノ繊維２２の少なくとも一部を熱で溶融させて基材層１０と第２ナノ繊維を含む層３１とを第１ナノ繊維２２で接合する。
接合工程Ｓ３４は、上記した接合装置１３０を用いて行う。
無機粒子含有化工程Ｓ３５は、第２ナノ繊維３２を含む層に無機粒子３４をさらに含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする工程である。
無機粒子含有化工程Ｓ３５は、上記した無機粒子含有化装置１４０を用いて行う。
【０１４５】
実施形態４に係るセパレーター製造装置１０６によれば、上記のように、第１電界紡糸装置１２０と、第２電界紡糸装置１２２と、接合装置１３０と、無機粒子含有化装置１４０とを備えるため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１４６】
実施形態４に係るセパレーター製造方法によれば、上記のように、基材層準備工程Ｓ３１と、第１電界紡糸工程Ｓ３２と、第２電界紡糸工程Ｓ３３と、接合工程Ｓ３４と、無機粒子含有化工程Ｓ３５とをこの順番で含むため、セパレーター１を製造することが可能となる。
【０１４７】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【０１４８】
（１）上記各実施形態における各構成要素の数、位置関係、大きさは例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【０１４９】
（２）上記各実施形態においては、基材層１０、第１ナノ繊維層２０及び第２ナノ繊維層３０からなるセパレーターを例にとって本発明のセパレーターを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材層、第１ナノ繊維層及び第２ナノ繊維層以外の構成要素（補強部材等）をさらに備えるセパレーターとしてもよい。
【０１５０】
（３）上記各実施形態に係るセパレーター１は、各実施形態に係るセパレーター製造装置を用いて製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーターは、第１電界紡糸装置、第２電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているセパレーター製造装置を用いて製造してもよい。このように、本発明のセパレーターは、種々のセパレーター製造装置を用いて製造することができる。
【０１５１】
（４）上記各実施形態に係るセパレーター１は、各実施形態に係るセパレーター製造方法により製造するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーターは、第１電界紡糸工程と第２電界紡糸工程とを同時に行うセパレーター製造方法により製造してもよい。このように、本発明のセパレーターは、種々のセパレーター製造方法を用いて製造することができる。
【０１５２】
（５）上記各実施形態に係るセパレーター製造方法は、各実施形態に係るセパレーター製造装置を用いて行うものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のセパレーター製造方法は、第１電界紡糸装置、第２電界紡糸装置及び接合装置がそれぞれ別体となっているセパレーター製造装置を用いて行ってもよい。このように、本発明のセパレーター製造方法は、種々のセパレーター製造装置を用いて行うことができる。
【０１５３】
（６）上記実施形態３においては、第２ナノ繊維３２の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層２０の表面に第２ナノ繊維３２を含む層３１を形成する機構を有し、かつ、第２ナノ繊維３２を含む層３１の形成後に第２ナノ繊維３２を含む層３１に無機粒子３４を含ませ、第２ナノ繊維３２を含む層３１を「第２ナノ繊維３２及び無機粒子３４を含む第２ナノ繊維層３０」とする機構を有する第２電界紡糸装置１２３を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層の表面に第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、第２ナノ繊維を含む層の形成中に第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する第２電界紡糸装置を用いてもよい。このような第２電界紡糸装置としては、例えば、無機粒子含有化装置が複数のノズルにおけるノズル間に配置されている第２電界紡糸装置や、無機粒子含有化装置がノズルユニットの側面側に配置されている第２電界紡糸装置等を用いることができる。
【０１５４】
（７）上記（６）の場合においては、第２電界紡糸工程として、電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、第１ナノ繊維層の表面に第２ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、第２ナノ繊維を含む層の形成中に第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする第２電界紡糸工程を行うことにより、セパレーターを得ることができる。
【０１５５】
（８）上記各実施形態においては、熱接合性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用い、基材層１０と第２ナノ繊維層３０とは、少なくとも一部が熱で溶融した第１ナノ繊維２２により接合されているセパレーターを例にとって本発明を説明したが、本発明のセパレーターはこれに限定されるものではない。図１３は、変形例におけるセパレーター製造方法のフローチャートである。例えば、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなる第１ナノ繊維を用い、基材層と第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が所定の溶媒で溶解した第１ナノ繊維により接合されているセパレーターとしてもよい。このようなセパレーターは、例えば図１３に示すように、第１ナノ繊維に対して適度な溶解性を有する溶媒に第２積層体を浸して、又は当該溶媒の蒸気に第２積層体を通して基材層と第２ナノ繊維層とを接合する工程（接合工程（溶解接合工程）Ｓ４４）を行うことで製造することができる。このような構成とすることにより、基材層と第２ナノ繊維層とを所定の溶媒を用いて容易に接合することが可能となる。
【０１５６】
（９）上記各実施形態においては、第１電界紡糸装置及び第２電界紡糸装置を１台ずつ備えるセパレーター製造装置を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第１電界紡糸装置及び第２電界紡糸装置を２台以上備えるセパレーター製造装置を本発明に適用することもできる。
【０１５７】
（１０）上記実施形態２〜４においては、無機粒子３４を噴射することにより、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、無機粒子を含有する溶液を塗布することにより、第２ナノ繊維を含む層を「第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層」としてもよい。
【符号の説明】
【０１５８】
１…セパレーター、１０…基材層、１２…基材繊維、２０…（接合工程後の）第１ナノ繊維層、２０’…（接合工程前の）第１ナノ繊維層、２２…第１ナノ繊維、２４…溶融した第１ナノ繊維、３０…第２ナノ繊維層、３１…第２ナノ繊維を含む層、３２…第２ナノ繊維、３４…無機粒子、４０…第１積層体、５０…第２積層体、１００，１０２，１０４…セパレーター製造装置、１１０…搬送装置、１１１…繰り出しローラー、１１２…巻き取りローラー、１１３，１１８…テンションローラー、１１４…補助ローラー、１２０…第１電界紡糸装置、１２１，１２２，１２３…第２電界紡糸装置、１３０…接合装置、１４０，１４２…無機粒子含有化装置、２００…筐体、２１０…ノズルユニット、２２０…上向きノズル、２５０…コレクター、２５２…絶縁部材、２６０…電源装置、２７０…補助ベルト装置、２７２…補助ベルト、２７４…補助ベルト用ローラー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基材層と、
第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層と、
第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層とを有し、
基材層、前記第１ナノ繊維層及び前記第２ナノ繊維層は、前記基材層、前記第１ナノ繊維層、前記第２ナノ繊維層の順番で積層され、
前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、前記第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項２】
請求項１に記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項３】
請求項２に記載のセパレーターにおいて、
前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも低いことを特徴とするセパレーター。
【請求項４】
請求項３に記載のセパレーターにおいて、
前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも１０℃以上低いことを特徴とするセパレーター。
【請求項５】
請求項２〜４のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維の平均径は、５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることを特徴とするセパレーター
【請求項６】
請求項２〜５のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第２ナノ繊維の平均径は、前記第１ナノ繊維の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあることを特徴とするセパレーター。
【請求項７】
請求項１に記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が前記所定の溶媒で溶解した第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項８】
請求項１〜７のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維層は、前記第２ナノ繊維層よりも薄いことを特徴とするセパレーター。
【請求項９】
請求項１〜８のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維及び前記第２ナノ繊維は、電界紡糸法により得られたものであることを特徴とするセパレーター。
【請求項１０】
請求項１〜９に記載のセパレーターにおいて、
前記無機粒子の平均径は、５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることを特徴とするセパレーター。
【請求項１１】
請求項１〜１０のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記無機粒子は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなることを特徴とするセパレーター。
【請求項１２】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１３】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１４】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１５】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合装置と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１６】
請求項１２〜１５のいずれかに記載のセパレーター製造装置において、
前記接合装置は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１７】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する第２電界紡糸工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項１８】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする第２電界紡糸工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項１９】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項２０】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合工程と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項２１】
請求項１７〜２０のいずれかに記載のセパレーター製造方法において、
前記接合工程は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により前記第１ナノ繊維の少なくとも一部を熱で溶融させて前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを前記第１ナノ繊維で接合することを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項１】
基材層と、
第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層と、
第２ナノ繊維及び無機粒子を含む第２ナノ繊維層とを有し、
基材層、前記第１ナノ繊維層及び前記第２ナノ繊維層は、前記基材層、前記第１ナノ繊維層、前記第２ナノ繊維層の順番で積層され、
前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、前記第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項２】
請求項１に記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維は、熱接合性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が熱で溶融した第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項３】
請求項２に記載のセパレーターにおいて、
前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも低いことを特徴とするセパレーター。
【請求項４】
請求項３に記載のセパレーターにおいて、
前記熱接合性を有する樹脂の融点は、前記基材層を構成する材料の融点及び前記第２ナノ繊維層を構成する材料の融点のいずれよりも１０℃以上低いことを特徴とするセパレーター。
【請求項５】
請求項２〜４のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維の平均径は、５０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることを特徴とするセパレーター
【請求項６】
請求項２〜５のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第２ナノ繊維の平均径は、前記第１ナノ繊維の平均径よりも大きく、かつ、８０ｎｍ〜３０００ｎｍの範囲内にあることを特徴とするセパレーター。
【請求項７】
請求項１に記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維は、所定の溶媒に対して溶解性を有する樹脂からなり、
前記基材層と前記第２ナノ繊維層とは、少なくとも一部が前記所定の溶媒で溶解した第１ナノ繊維により接合されていることを特徴とするセパレーター。
【請求項８】
請求項１〜７のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維層は、前記第２ナノ繊維層よりも薄いことを特徴とするセパレーター。
【請求項９】
請求項１〜８のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記第１ナノ繊維及び前記第２ナノ繊維は、電界紡糸法により得られたものであることを特徴とするセパレーター。
【請求項１０】
請求項１〜９に記載のセパレーターにおいて、
前記無機粒子の平均径は、５ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることを特徴とするセパレーター。
【請求項１１】
請求項１〜１０のいずれかに記載のセパレーターにおいて、
前記無機粒子は、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物からなることを特徴とするセパレーター。
【請求項１２】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１３】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１４】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１５】
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する機構を有する第１電界紡糸装置と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する機構を有する第２電界紡糸装置と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合装置と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする機構を有する無機粒子含有化装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１６】
請求項１２〜１５のいずれかに記載のセパレーター製造装置において、
前記接合装置は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合装置からなることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項１７】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液に無機粒子を混合した混合ポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に、「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」を形成する第２電界紡糸工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項１８】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成し、かつ、前記第２ナノ繊維を含む層の形成中又は形成後に前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子を含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする第２電界紡糸工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項１９】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを接合する接合工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項２０】
基材層を準備する基材層準備工程と、
電界紡糸法により、第１ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記基材層における一方の面に前記第１ナノ繊維を含む第１ナノ繊維層を形成する第１電界紡糸工程と、
電界紡糸法により、第２ナノ繊維の原料を溶解したポリマー溶液を用いて、前記第１ナノ繊維層の表面に前記第２ナノ繊維を含む層を形成する第２電界紡糸工程と、
前記第１ナノ繊維により前記基材層と前記第２ナノ繊維を含む層とを接合する接合工程と、
前記第２ナノ繊維を含む層に無機粒子をさらに含ませ、前記第２ナノ繊維を含む層を「前記第２ナノ繊維及び前記無機粒子を含む第２ナノ繊維層」とする無機粒子含有化工程とをこの順番で含むことを特徴とするセパレーター製造方法。
【請求項２１】
請求項１７〜２０のいずれかに記載のセパレーター製造方法において、
前記接合工程は、前記基材層と、前記第１ナノ繊維層と、前記第２ナノ繊維層又は前記第２ナノ繊維を含む層とを積層した状態で熱圧着する熱接合工程であって、当該熱接合工程により前記第１ナノ繊維の少なくとも一部を熱で溶融させて前記基材層と前記第２ナノ繊維層とを前記第１ナノ繊維で接合することを特徴とするセパレーター製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１３−３７８５４（Ｐ２０１３−３７８５４Ａ）
【公開日】平成２５年２月２１日（２０１３．２．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１７２２５９（Ｐ２０１１−１７２２５９）
【出願日】平成２３年８月５日（２０１１．８．５）
【出願人】（５０４１８０２３９）国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】（５０８２３１８２１）トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】ＴＯＰＴＥＣ Ｃｏ．， Ｌｔｄ．
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年２月２１日（２０１３．２．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年８月５日（２０１１．８．５）
【出願人】（５０４１８０２３９）国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】（５０８２３１８２１）トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】ＴＯＰＴＥＣ Ｃｏ．， Ｌｔｄ．
【Ｆターム（参考）】
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