説明

セフェム化合物および抗菌薬としての利用

本発明は、式[I]:


(式中、Rは、低級アルキル等であり、かつ、Rは、水素等であるか、またはRおよびRは、一緒に結合して、低級アルキレンを形成し;Rは、



(式中、RおよびRは、独立して、保護されていてもよいアミノ等であり;mおよびnは、独立して、0〜6の整数であり;RおよびRは、独立して、保護されていてもよいアミノ等であり、かつ、qおよびrは、独立して、0〜6の整数であるか、またはRおよびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する)で表される基であり;Rは、低級アルキル等であり;かつ、Rは、アミノ等である)の化合物またはその医薬上許容され得る塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なセフェム化合物およびその医薬上許容され得る塩に関する。より詳細には、本発明は、抗菌活性を有する新規なセフェム化合物およびその医薬上許容され得る塩、その製造方法、それを含む医薬組成物、およびヒトを含む哺乳動物において感染症を治療する方法に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明の1つの目的は、多くの病原性微生物に対して活性が高く、抗菌薬等の医薬として使用するのに適した新規なセフェム化合物およびその医薬上許容され得る塩を提供することである。
【0003】
本発明の他の目的は、当該セフェム化合物およびその塩の製造方法を提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、活性成分として、当該セフェム化合物またはその医薬上許容され得る塩を含む医薬組成物を提供することである。
【0005】
本発明のなおさらなる目的は、病原性微生物によって引き起こされる感染症の治療方法であって、感染した哺乳動物に当該セフェム化合物を投与することを含む方法を提供することである。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のものを提供する:
[1]式[I]:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、
は、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
は、水素もしくはアミノ保護基であるか、または
およびRは、一緒に結合して低級アルキレンを形成する;
は、
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノまたは保護されていてもよいグアニジノであり(但し、RおよびRは同時にアミノ基ではない)、
mおよびnは、独立して、0〜6の整数であり、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノ、保護されていてもよいイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されていてもよいグアニジノまたは保護されていてもよいアミジノであり、かつ
qおよびrは、独立して、0〜6の整数であるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する)で表される基であり、
は、保護されていてもよいカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり、かつ、
は、アミノまたは保護されたアミノである)
の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
[2]Rが、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
が、水素、アリール(低級)アルキルもしくはアシルであるか、または
およびRが、一緒に結合して、低級アルキレンを形成する;
が、カルボキシまたはエステル化されたカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり;
が、アミノ、アリール(低級)アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノまたは低級アルコキシカルボニルアミノであり;
およびRが、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRが、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノもしくはグアニジノであるか、または
およびRが、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する、
[1]記載の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
[3]Rが、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
が、水素、アリール(低級)アルキル、低級アルカノイルもしくは低級アルコキシカルボニルであるか、または
およびRが、一緒に結合して、低級アルキレンを形成し;
が、カルボキシまたはエステル化されたカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり;
が、アミノ、アリール(低級)アルキルアミノまたはアシルアミノであり;
およびRが、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRが、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノもしくはグアニジノであるか、または
およびRが、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、5−もしくは6−員の置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する、
[2]記載の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
[4]Rが、低級アルキルであり、
が、水素であるか、または
およびRが、一緒に結合して、低級アルキレンを形成し;
が、低級アルキルまたはカルボキシ(低級)アルキルであり;
が、アミノであり;
およびRが、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRが、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノもしくはグアニジノであるか、または
およびRが、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、
【0011】
【化3】

【0012】
で表される基を形成する、
[3]記載の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
[5]式[I]:
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、
は、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
は、水素もしくはアミノ保護基であるか、または
およびRは、一緒に結合して低級アルキレンを形成する;
は、
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノまたは保護されていてもよいグアニジノであり(但し、RおよびRは同時にアミノ基ではない)、
mおよびnは、独立して、0〜6の整数であり、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノ、保護されていてもよいイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されていてもよいグアニジノまたは保護されていてもよいアミジノであり、かつ
qおよびrは、独立して、0〜6の整数であるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する)で表される基であり、
は、カルボキシまたは保護されていてもよいカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり、かつ、
は、アミノまたは保護されたアミノである)
の化合物、またはその医薬上許容され得る塩の製造方法であって、
(1)式[II]:
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであるか、またはアミノ基におけるその反応性誘導体である)の化合物またはその塩を、
式[III]:
【0019】
【化7】

(式中、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであるか、またはカルボキシ基におけるその反応性誘導体である)の化合物またはその塩と反応させて、
式[I]:
【0020】
【化8】

【0021】
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりである)の化合物またはその塩を得る工程、あるいは
(2)式[Ia]:
【0022】
【化9】

【0023】
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、Raは、
【0024】
【化10】

【0025】
(式中、
m、n、qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、
aおよびRaは、独立して、保護されたアミノまたは保護されたグアニジノであり、かつ
aおよびRaは、独立して、保護されたアミノ、保護されたイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されたグアニジノまたは保護されたアミジノである)
で表される基である)
の化合物またはその塩を、アミノ保護基の脱離反応に供して、
式[Ib]:
【0026】
【化11】

【0027】
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、Rbは、
【0028】
【化12】

【0029】
(式中、m、n、qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、
bおよびRbは、独立して、アミノまたはグアニジノであり、かつ
bおよびRbは、独立して、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノ、グアニジノまたはアミジノである)で表される基である)の化合物またはその塩を得る工程、あるいは
(3)式[VI]:
【0030】
【化13】

【0031】
(式中、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、R11は、保護されたカルボキシであり、かつ、Yは、脱離基である)の化合物またはその塩を、
式[VII]:
【0032】
【化14】

【0033】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりである)の化合物またはその塩と反応させて、
式[VIII]:
【0034】
【化15】

【0035】
(式中、R、R、R、R、RおよびR11は、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、
【0036】
【化16】

【0037】
は、アニオンである)の化合物またはその塩を得る工程、および
式[VIII]の化合物またはその塩を、カルボキシ保護基の脱離反応に供して、
式[I]:
【0038】
【化17】

【0039】
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりである)の化合物またはその塩を得る工程、
を含む、方法。
[6]医薬として使用するための、[1]記載の化合物またはその医薬上許容され得る塩。
[7]抗菌薬として使用するための、[1]記載の化合物またはその医薬上許容され得る塩。
[8]感染症の治療用医薬を製造するための、[1]記載の化合物またはその医薬上許容され得る塩の使用。
[9]医薬上許容され得る担体と混合した、[1]記載の化合物またはその医薬上許容され得る塩を含む、医薬組成物。
[10][1]記載の化合物またはその医薬上許容され得る塩を哺乳動物に投与することを含む、感染症の治療方法。
【0040】
目的化合物[I]に関し、以下の点に注意すべきである。
【0041】
即ち、目的化合物[I]は、シン異性体(Z体)、アンチ異性体(E体)、およびそれらの混合物を含む。シン異性体(Z体)は、以下の式:
【0042】
【化18】

【0043】
(式中、RおよびRは各々、上記で定義したとおりである)によって表される部分構造を有する1つの幾何異性体を意味し、アンチ異性体(E体)は、以下の式:
【0044】
【化19】

【0045】
(式中、RおよびRは各々、上記で定義したとおりである)によって表される部分構造を有する他方の幾何異性体を意味し、このような幾何異性体およびそれらの混合物の全ては、本発明の範囲内に包含される。
【0046】
本明細書および請求の範囲において、これらの幾何異性体およびそれらの混合物の部分構造は、便宜上、以下の式:
【0047】
【化20】

【0048】
(式中、RおよびRは各々、上記で定義したとおりである)で表される。
【0049】
注意すべき別の点は、化合物[I]のピラゾリオ部分は互変異性の形で存在することもでき、このような互変異性平衡は、以下の式
【0050】
【化21】

【0051】
(式中、R、RおよびR、それぞれ上記で定義したとおりである)によって表すことができる。
【0052】
上記互変異性体の両方が本発明の範囲内に包含されるが、本明細書と請求の範囲では、目的化合物[I]は、便宜上、式(A)のピラゾリオ基の1つの表現によって表される。
【0053】
本発明のセフェム化合物[I]は、以下に示されるように、以下の製造方法によって製造することができる。
製造方法1
【0054】
【化22】

【0055】
製造方法2
【0056】
【化23】

【0057】
製造方法3
【0058】
【化24】

【0059】
製造方法4
【0060】
【化25】

【0061】
製造方法5
【0062】
【化26】

【0063】
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、
11は、保護されたカルボキシであり、
Yは、脱離基であり、
【0064】
【化27】

【0065】
は、アニオンであり、
aは、
【0066】
【化28】

【0067】
(式中、
m、n、qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、
aおよびRaは、独立して、保護されたアミノまたは保護されたグアニジノであり、
mおよびnは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、
aおよびRaは、独立して、保護されたアミノ、保護されたイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されたグアニジノまたは保護されたアミジノである)であり、
bは、
【0068】
【化29】

【0069】
(式中、
m、n、qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ
bおよびRbは、独立して、アミノまたはグアニジノであり、
mおよびnは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ
bおよびRbは、独立して、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノ、グアニジノまたはアミジノである)であり、
aは、保護されたヒドロキシ(低級)アルキルであり、
bは、ヒドロキシ(低級)アルキルであり、
cは、
【0070】
【化30】

【0071】
(式中、
qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ
cおよびRcは、それぞれアミノまたはアミジノである)であり、かつ
sは、2または3である。)
【0072】
出発化合物[II]および[VI]は、以下の方法で製造することができる。
【0073】
製造方法A
【0074】
【化31】

【0075】
製造方法B
【0076】
【化32】

【0077】
(式中、
、R、R、R、R、R11、Yおよび
【0078】
【化33】

【0079】
は、それぞれ上記で定義したとおりであり、
12は、保護されたアミノであり、
13は、保護されたカルボキシであり、かつ
14は、アミノ保護基である。)
【0080】
出発化合物[VII]および[XI]またはその塩は、以下に記載の製造例中に開示する製法またはそれと同様の方法により製造することができる。
【0081】
本明細書の上記および次の記載において、種々の定義の適切な例を以下のとおり詳細に説明する。
【0082】
用語「低級」は、他に断りのない限り、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する基を意味するように用いられる。
【0083】
「ヒドロキシ(低級)アルキル」、「イミノ(低級)アルキルアミノ」、「アリール(低級)アルキル」、「アリール(低級)アルキルアミノ」および「カルボキシ(低級)アルキル」における適切な「低級アルキル」および「低級アルキル」部分としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチルおよびヘキシル等の直鎖または分岐鎖C1−6アルキルが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、C1−4アルキルである。
【0084】
適切な「ヒドロキシ(低級)アルキル」としては、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、5−ヒドロキシペンチルおよび6−ヒドロキシヘキシル等のヒドロキシ(C1−6)アルキルが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、ヒドロキシ(C1−4)アルキルである。
【0085】
適切な「カルボキシ(低級)アルキル」としては、カルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−カルボキシエチル、1−カルボキシプロピル、2−カルボキシプロピル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチルおよび6−カルボキシヘキシル等のカルボキシ(C1−6)アルキルが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、カルボキシ(C1−4)アルキルである。
【0086】
適切なイミノ(低級)アルキルアミノとしては、イミノメチルアミノ、イミノエチルアミノ、イミノプロピルアミノ、イミノブチルアミノ、イミノペンチルアミノおよびイミノヘキシルアミノ等のイミノ(C1−6)アルキルアミノが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、イミノ(C−C)アルキルアミノである。
【0087】
およびRにより形成される適切な「低級アルキレン」としては、直鎖C1−6アルキレン、好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレンおよびテトラメチレン等のC2−4アルキレンが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、直鎖C2−3アルキレンである。
【0088】
「アリール(低級)アルキル」における適切な「アリール」部分としては、フェニルおよびナフチル等のC6−12アリールが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、フェニルである。
【0089】
適切な「アリール(低級)アルキル」および「アリール(低級)アルキル」部分としては、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルおよびトリチル等のモノ−、ジ−またはトリフェニル(低級)アルキルが挙げられる。
【0090】
適切な「アシル」としては、低級アルカノイル[例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ヘキサノイル、ピバロイル等などのC1−6アルカノイル]、モノ(またはジまたはトリ)ハロ(低級)アルカノイル[例、クロロアセチル、トリフルオロアセチル等のモノ(またはジまたはトリ)ハロ(C1−6)アルカノイル]、低級アルコキシカルボニル[例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、tert−ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル]、カルバモイル、アロイル[例、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイル等のC7−13アロイル]、アリール(低級)アルカノイル[例、フェニルアセチル、フェニルプロピオニル等のC6−12アリール(C1−6)アルカノイル]、アリールオキシカルボニル[例、フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等のC6−12アリールオキシカルボニル]、アリールオキシ(低級)アルカノイル[例、フェノキシアセチル、フェノキシプロピオニル等のC6−12アリールオキシ(C1−6)アルカノイル]、アリールグリオキシロイル[例、フェニルグリオキシロイル、ナフチルグリオキシロイル等のC6−12アリールグリオキシロイル]、置換基を有していてもよいアリール(低級)アルコキシカルボニル[例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル等の置換基を有していてもよいC6−12アリールオキシ−カルボニル]等が挙げられる。
【0091】
「低級アルカノイルアミノ」における適切な「低級アルカノイル」および「低級アルカノイル」部分としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルおよびヘキサノイルなどの直鎖または分岐鎖C1−6アルカノイルが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、C1−4アルカノイルである。
【0092】
「低級アルコキシカルボニル」および「低級アルコキシカルボニルアミノ」における適切な「低級アルコキシ」部分としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシおよびヘキシルオキシ等の直鎖または分岐鎖C1−6アルコキシが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、C1−4アルコキシである。
【0093】
「置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環」における適切な「飽和窒素含有ヘテロ環」としては、ピリミジニルおよびイミダゾリジニルなどの5−または6−員の飽和窒素含有ヘテロ環が挙げられる。
【0094】
「置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環」における「置換基」は、任意の置換基であり得、その好ましい例としては、イミノ基等が挙げられる。
【0095】
「保護されたアミノ」における適切な「アミノ保護基」としては、上記のアシル、置換されたまたは非置換のアリール(低級)アルキリデン[例、ベンジリデン、ヒドロキシベンジリデン等]、モノ−、ジ−またはトリフェニル(低級)アルキルなどのアリール(低級)アルキル[例、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、トリチル等]等が挙げられる。
【0096】
「アミノ保護基」の好ましい例としては、上記のアリール(低級)アルキルおよびアシルが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、アリール(低級)アルキル、低級アルカノイルおよび低級アルコキシカルボニルであり、特に好ましいものは、モノ−、ジ−またはトリフェニル(C1−6)アルキル、C1−6アルカノイルおよび(C1−6)アルコキシカルボニルである。
【0097】
「保護されたアミノ」の好ましい例としては、アリール(低級)アルキルアミノおよびアシルアミノが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、アリール(低級)アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノおよび低級アルコキシカルボニルアミノであり、特に好ましいものは、モノ−、ジ−またはトリフェニル(C1−6)アルキルアミノ、C1−6アルカノイルアミノおよび(C1−6)アルコキシカルボニルアミノである。
【0098】
「保護されたイミノ(低級)アルキルアミノ」、「保護されたグアニジノ」および「保護されたアミジノ」における適切な「保護基」としては、上記「保護されたアミノ」における「アミノ保護基」として例示したものを挙げることができる。
【0099】
「保護されたグアニジノ」の好ましい例としては、2,3−ビス[(低級)アルコキシカルボニル]グアニジノなどのアシルグアニジノ(モノアシルグアニジノおよびジアシルグアニジノ)が挙げられ、なかでも、より好ましいものは、2,3−ビス[(C1−6)アルコキシカルボニル]グアニジノ[例、2,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)グアニジノ]である。
【0100】
「保護されたアミジノ」の好ましい例としては、N,N−ビス[(低級)アルコキシカルボニル]アミジノなどのアシルアミジノ(モノアシルアミジノおよびジアシルアミジノ)が挙げられ、なかでも、より好ましいものは、N,N−ビス[(C1−6)アルコキシカルボニル]アミジノ[例、N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミジノ]である。
【0101】
「保護されたヒドロキシ(低級)アルキル」における適切な「保護されたヒドロキシ」としては、アシルオキシ基、アリール(低級)アルキルオキシ基等が挙げられる。「アシルオキシ」における適切な「アシル」部分としては、低級アルカノイル[例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ヘキサノイル、ピバロイル等]、モノ(またはジまたはトリ)ハロ(低級)アルカノイル[例、クロロアセチル、トリフルオロアセチル等]、低級アルコキシカルボニル、[例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、tert−ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等]、カルバモイル等が挙げられる。「アリール(低級)アルキルオキシ」における適切な「アリール(低級)アルキル」部分には、上記のアリール(低級)アルキル等が挙げられる。
【0102】
適切な「保護されたカルボキシ」としては、エステル化されたカルボキシ等が挙げられ、エステル化されたカルボキシの具体例としては、適切な置換基を有していてもよい低級アルコキシカルボニル[例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、1−シクロプロピルエトキシカルボニル等]が挙げられ、適切な置換基は、例えば、低級アルカノイルオキシ(低級)アルコキシカルボニル[例、アセトキシメトキシカルボニル、プロピオニルオキシメトキシカルボニル、ブチリルオキシメトキシカルボニル、バレリルオキシメトキシカルボニル、ピバロイルオキシメトキシカルボニル、1−アセトキシエトキシカルボニル、1−プロピオニルオキシエトキシカルボニル、2−プロピオニルオキシエトキシカルボニル、ヘキサノイルオキシメトキシカルボニル等]、低級アルカンスルホニル(低級)アルコキシカルボニル、[例、2−メシルエトキシカルボニル等]またはモノ(またはジまたはトリ)ハロ(低級)アルコキシカルボニル[例、2−ヨードエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等];低級アルケニルオキシカルボニル[例、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル等];低級アルキニルオキシカルボニル[例、エチニルオキシカルボニル、プロピニルオキシカルボニル等];適切な置換基を有していてもよいアリール(低級)アルコキシカルボニル[例、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル(4-nitrobezyloxycarbonyl)、フェネチルオキシカルボニル、トリチルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、ビス(メトキシフェニル)メトキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルオキシカルボニル等];適切な置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル[例、フェノキシカルボニル、4−クロロフェノキシカルボニル、トリルオキシカルボニル、4−tert−ブチルフェノキシカルボニル、キシリルオキシカルボニル、メシチルオキシカルボニル、クメニルオキシカルボニル等]等である。
【0103】
「保護されたカルボキシ」の好ましい例としては、適切な置換基を有していてもよい低級アルコキシカルボニルおよびアリール(低級)アルコキシカルボニルが挙げられ、なかでも、より好ましいものは、(C−C)アルコキシカルボニルである。
【0104】
適切な「脱離基」としては、ハロゲン[例、塩素、臭素、ヨウ素等]、またはアリールスルホニルオキシ[例、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ等]、低級アルキルスルホニルオキシ[例、メシルオキシ等]、低級アルカノイルオキシ[例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ等]等のアシルオキシが挙げられる。
【0105】
適切な「アニオン」としては、ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、マレイン酸イオン、酒石酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。
【0106】
目的化合物[I]の適切な医薬として許容される塩は、通常の非毒性塩であり、例えば、無機塩基との塩、例えば、アルカリ金属塩[例、ナトリウム塩、カリウム塩等]、アルカリ土類金属塩[例、カルシウム塩、マグネシウム塩等]、アンモニウム塩;有機塩基との塩、例えば、有機アミン塩[例、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等];無機酸付加塩[例、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩等];有機カルボン酸付加塩又は有機スルホン酸付加塩[例、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等];ならびに塩基性又は酸性アミノ酸[例、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等]との塩のような、塩基との塩又は酸付加塩が挙げられる。
【0107】
本発明の化合物[I]の好ましい実施態様は、以下のとおりである。
【0108】
は、低級アルキルまたはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
は、水素、アリール(低級)アルキルまたはアシルであるか、または
およびRは、共に結合して低級アルキレンを形成し;
は、カルボキシまたはエステル化されたカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり;
は、アミノ、アリール(低級)アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノまたは低級アルコキシカルボニルアミノであり;
およびRは、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRは、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノまたはグアニジノであるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する、
化合物[I]またはその医薬上許容され得る塩。
【0109】
は、低級アルキルまたはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
は、水素、アリール(低級)アルキル、低級アルカノイルまたは低級アルコキシカルボニルであるか、または
およびRは、共に結合して低級アルキレンを形成し;
は、カルボキシまたはエステル化されたカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり;
は、アミノ、アリール(低級)アルキルアミノまたはアシルアミノであり;
およびRは、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRは、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノまたはグアニジノであるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、5−または6−員の置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する、
化合物[I]またはその医薬上許容され得る塩。
【0110】
は、低級アルキルであり、
は、水素であるか、または
およびRは、一緒に結合して、低級アルキレンを形成し;
は、低級アルキルまたはカルボキシ(低級)アルキル;
は、アミノであり;
およびRは、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRは、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノまたはグアニジノであるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、
【0111】
【化34】

で表される基を形成する、
化合物[I]またはその医薬上許容され得る塩。
【0112】
本発明の目的化合物の製造方法を、以下に詳細に説明する。
【0113】
製造方法1
化合物[I]またはその塩は、化合物[II]もしくはアミノ基におけるその反応性誘導体またはそれらの塩を、化合物[III]もしくはカルボキシ基におけるその反応性誘導体またはそれらの塩と反応させることにより製造することができる。
【0114】
化合物[II]のアミノ基における適切な反応性誘導体としては、化合物[II]と、アルデヒド、ケトン等のカルボニル化合物との反応によって形成されるシッフ塩基型イミノまたはその互変異性のエナミン型異性体;化合物[II]と、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミド[例、N−(トリメチルシリル)
アセトアミド]、ビス(トリメチルシリル)ウレア等のシリル化合物との反応によって
形成されるシリル誘導体;化合物[II]と、三塩化リンまたはホスゲンとの反応によって形成される誘導体が挙げられる。
【0115】
化合物[II]およびその反応性誘導体の適切な塩は、化合物[I]の適切な塩として例示したものを挙げることができる。
【0116】
化合物[III]のカルボキシ基における適切な反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化アミドおよび活性化エステルが挙げられる。反応性誘導体の適切な例は、酸塩化物;酸アジド;置換されているリン酸(例、ジアルキルリン酸、フェニルリン酸、ジフェニルリン酸、ジベンジルリン酸、ハロゲン化リン酸等)、ジアルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、硫酸、アルカンスルホン酸(例、メタンスルホン酸等)、脂肪族カルボン酸(例、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、2−エチル酪酸、トリクロロ酢酸等)、および芳香族カルボン酸(例、安息香酸等)等の酸との混合酸無水物;対称酸無水物;イミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾールまたはテトラゾールとの活性化アミド;活性化エステル(例、シアノメチルエステル、メトキシメチルエステル、ジメチルイミノメチル[(CH3)=CH−]エステル、ビニルエステル、プロパルギルエステル、p−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエステル、フェニルアゾフェニルエステル、フェニルチオエステル、p−ニトロフェニルチオエステル、p−クレシルチオエステル、カルボキシメチルチオエステル、ピラニルエステル、ピリジルエステル、ピペリジルエステル、8−キノリルチオエステル等);または、N−ヒドロキシ化合物(例、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、1−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール等)とのエステルであってよい。これらの反応性誘導体は、使用する化合物[III]の種類により、上記のものから随意に選択できる。
化合物[III]およびその反応性誘導体の適切な塩は、化合物[I]の適切な塩として例示したものを挙げることができる。
【0117】
反応は通常、水、アルコール[例、メタノール、エタノール等]、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、もしくは反応に有害な影響を与えない任意の他の有機溶媒等の通常の溶媒中で行う。これらの通常の溶媒は、水との混合物中でも使用できる。
【0118】
この反応で、化合物[III]を遊離酸形態またはその塩形態で使用する場合、反応は好ましくは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド;N,N’−ジエチルカルボジイミド;N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;N,N’−カルボニル−ビス−(2−メチルイミダゾール);ペンタメチレンケテン−N−シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミン;エトキシアセチレン;1−アルコキシ−1−クロロエチレン;トリアルキルホスファイト;ポリリン酸エチル;ポリリン酸イソプロピル;オキシ塩化リン(塩化ホスホリル);三塩化リン;塩化チオニル;塩化オキサリル;ハロギ酸低級アルキル[例、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等]、トリフェニルホスフィン;2−エチル−7−ヒドロキシベンゾイソオキサゾリウム塩;2−エチル−5−(m−スルホフェニル)イソオキサゾリウム ヒドロキシド分子内塩;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール;N,N−ジメチルホルムアミドと、塩化チオニル、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、オキシ塩化リン等との反応によって製造されるいわゆるビルスマイヤー試薬等の通常の縮合剤の存在下で行う。
【0119】
反応はまた、アルカリ金属重炭酸塩、トリ(低級)アルキルアミン、ピリジン、N−(低級)アルキルモルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミン等の無機または有機の塩基の存在下でも行うことができる。
反応温度は特に限定されず、反応は通常、冷却下ないし加温下で行う。
【0120】
製造方法2
化合物[Ib]またはその塩は、化合物[Ia]またはその塩を、アミノ保護基の脱離反応に付すことにより製造することができる。
脱離反応は、加水分解等の通常の方法により行う。
加水分解は好ましくは、塩基、またはルイス酸を含む酸の存在下で行う。
適切な塩基として、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例、マグネシウム、カルシウム等)、それらの水酸化物または炭酸塩または炭酸水素塩、トリアルキルアミン(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、ピコリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の無機塩基および有機塩基が挙げられる。
適切な酸として、有機酸(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等)、および無機酸(例、塩酸、臭化水素酸、硫酸、塩化水素、臭化水素等)が挙げられる。
トリハロ酢酸(例、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等)等のルイス酸を用いる脱離は好ましくは、カチオン捕捉剤(例、アニソール、フェノール等)の存在下で行う。
【0121】
反応は通常、水、アルコール[例、メタノール、エタノール等]、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、それらの混合物、または反応に有害な影響を与えない任意の他の溶媒等の溶媒中で行う。液体の塩基または酸もまた、溶媒として使用できる。
反応温度は特に限定されず、反応は通常、冷却下ないし加温下で行う。
【0122】
製造方法3−(i)
化合物[VIII]またはその塩は、化合物[VI]またはその塩を、化合物[VII]またはその塩と反応させることにより製造することができる。
化合物[VI]、[VII]および[VIII]の適切な塩は、化合物[I]の適切な塩として例示したものを挙げることができる。
本反応は、水、リン酸緩衝液、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ニトロベンゼン、塩化メチレン、塩化エチレン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、または反応に有害な影響を与えない任意の他の有機溶媒等の溶媒中で、好ましくは強い極性を有する溶媒中で行われうる。溶媒のうち、親水性溶媒は、水との混合物中で使用できる。化合物[VII]が液体であるとき、それは、溶媒として使用することもできる。
【0123】
反応は好ましくは、塩基の存在下、例えば、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩等の無機塩基、トリアルキルアミン等の有機塩基等の存在下で行う。
反応温度は特に限定されず、反応は通常、室温、加温下または加熱下で行う。本反応は好ましくは、ハロゲン化アルカリ金属(例、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等)、アルカリ金属チオシアン酸塩(例、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等)等の存在下で行う。
アニオン
【0124】
【化35】

【0125】
は、脱離基Y由来のものであってよく、それは、通常の方法によって他のアニオンに変換することができる。
【0126】
製造方法3−(ii)
化合物[I]またはその塩は、化合物[VIII]またはその塩を、カルボキシ保護基の脱離反応に付すことにより製造することができる。
脱離反応は、上記製造方法2の反応と同様に行われ、従って、使用する試薬および反応条件(例、溶媒、反応温度等)は、製造方法2のものを参照することができる。
【0127】
製造方法4
化合物[If]またはその塩は、化合物[Ie]またはその塩を、ヒドロキシ保護基の脱離反応に付すことにより製造することができる。
この脱離反応の適切な方法として、加水分解、還元等の通常のものが挙げられる。
(i)加水分解の場合:
加水分解は好ましくは、塩基、またはルイス酸を含む酸の存在下で行う。
適切な塩基として、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例、マグネシウム、カルシウム等)、それらの水酸化物または炭酸塩または炭酸水素塩、トリアルキルアミン(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、ピコリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の無機塩基および有機塩基が挙げられる。
適切な酸として、有機酸(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等)、および無機酸(例、塩酸、臭化水素酸、硫酸、塩化水素、臭化水素等)が挙げられる。
トリハロ酢酸(例、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等)等のルイス酸を用いる脱離は好ましくは、カチオン捕捉剤(例、アニソール、フェノール等)の存在下で行う。
【0128】
反応は通常、水、アルコール[例、メタノール、エタノール等]、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、それらの混合物、または反応に有害な影響を与えない任意の他の溶媒等の溶媒中で行う。液体の塩基または酸は、溶媒として使用することもできる。
反応温度は特に限定されず、反応は通常、冷却下ないし加温下で行う。
【0129】
(ii)還元の場合:
還元は、化学的還元および接触還元を含む通常の方法で行う。
化学的還元で使用する適切な還元試薬は、金属(例、スズ、亜鉛、鉄等)もしくは金属化合物(例、塩化クロム、酢酸クロム等)と、有機酸もしくは無機酸(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸等)との組み合わせである。
接触還元で使用する適切な触媒は、白金触媒(例、白金板、白金海綿、白金黒、白金コロイド、酸化白金、白金線等)、パラジウム触媒(例、パラジウム海綿、パラジウム黒、酸化パラジウム、パラジウム炭素、パラジウムコロイド、パラジウム硫酸バリウム、パラジウム炭酸バリウム等)、ニッケル触媒(例、還元ニッケル、酸化ニッケル、ラネーニッケル等)、コバルト触媒(例、還元コバルト、ラネーコバルト等)、鉄触媒(例、還元鉄、ラネー鉄等)、銅触媒(例、還元銅、ラネー銅、ウルマン銅等)等の通常の触媒である。
【0130】
還元は通常、水、メタノール、エタノール、プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物等の反応に有害な影響を及ぼさない通常の溶媒中で行う。
更に、化学的還元で使用する上記酸が液体である場合、酸はまた、溶媒として使用できる。
更に、接触還元で使用する適切な溶媒は、上記溶媒、およびジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の他の通常の溶媒、またはそれらの混合物であってよい。
この還元の反応温度は特に限定されず、反応は通常、冷却下ないし加温下で行う。
【0131】
が保護されたアミノであるとき、Rのアミノ保護基は、加水分解等の通常の方法によって除去できる。
【0132】
製造方法5
化合物[Ih]またはその塩は、化合物[Ig]またはその塩のRcを環化することにより製造することができる。
この反応は、下記の実施例11および18の反応と同様にして行うことができる。
【0133】
出発化合物の製造のための製造方法AおよびBを以下に詳細に説明する。
製造方法A−(i)
化合物[XII]またはその塩は、化合物[X]またはその塩を、化合物[XI]またはその塩と反応させることにより製造することができる。
この反応は、上記製造方法3−(i)の反応と同様に行うことができ、従って、使用する試薬および反応条件(例、溶媒、反応温度等)は、製造方法3−(i)のものを参照することができる。
【0134】
製造方法A−(ii)
化合物[II]またはその塩は、化合物[XII]またはその塩を、R12およびR14のアミノ保護基の脱離反応およびR13のカルボキシ保護基の脱離反応に付すことにより製造することができる。
この反応は、上記製造方法2の反応と同様に行うことができ、従って、使用する試薬および反応条件(例、溶媒、反応温度等)は、製造方法2のものを参照することができる。
【0135】
製造方法B
化合物[VI]またはその塩は、化合物[XIII]もしくはアミノ基におけるその反応性誘導体またはそれらの塩を、化合物[XIV]もしくはカルボキシ基におけるその反応性誘導体またはそれらの塩と反応させることにより製造することができる。
この反応は、上記製造方法1の反応と同様に行うことができ、従って、使用する試薬および反応条件(例、溶媒、反応温度等)は、製造方法1のものを参照することができる。
【0136】
上記製造方法1〜4ならびにAおよびBによって得られる化合物は、粉末化、再結晶、カラムクロマトグラフィー、再沈殿等の通常の方法によって単離精製できる。
化合物[I]は、不斉炭素原子、二重結合に基づく、光学異性体、幾何異性体等の立体異性体を1個以上含み得ることに注意すべきである。このような異性体の全てとそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含される。
目的化合物[I]および医薬として許容されるその塩としては、溶媒和化合物[例、包接化合物(例、水和物等)]を含む。
【0137】
目的化合物[I]および医薬として許容されるその塩は、新規であり、高い抗菌活性を示し、グラム陽性菌とグラム陰性菌を含む種々の病原菌の増殖を阻害し、抗菌薬として有用である。
目的化合物[I]の有用性を示すために、本発明の代表的化合物のMIC(最小発育阻止濃度)に関する試験データを以下に示す。
【0138】
試験方法
インビトロ抗菌活性を、下記のように2倍寒天プレート希釈法によって測定した。
各試験菌株をトリプチケース−ソイブロス中で一晩培養して、その1白金耳(生菌数10個/ml)を、各濃度段階の代表的試験化合物を含有するハートインフュージョン寒天(HI−寒天)に接種し、37℃で20時間インキュベーションした後、最小発育阻止濃度(MIC)をμg/mlで表した。
【0139】
試験化合物
化合物(A):7β−[(Z)−2−(5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2−(1−カルボキシ−1−メチルエトキシイミノ)アセトアミド]−3−{3−[1−(3−アミノプロピル)グアニジノ]−2,3−ジヒドロ−5−(1H−イミダゾ[1,2−b]ピラゾリオ)}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート スルファート(実施例1)
化合物(B):7β−[(Z)−2−(5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2−(1−カルボキシ−1−メチルエトキシイミノ)アセトアミド]−3−{3−[1−(2−アミノエチル)グアニジノ]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニオ)}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート スルファート(実施例8)
【0140】
試験結果:
【0141】
【表1】

【0142】
治療投与のために、本発明の目的化合物[I]及び医薬として許容されるその塩は、経口、非経口又は外用投与に適した有機もしくは無機の固体もしくは液体の賦形剤などの医薬として許容される担体と混合して、活性成分として該化合物を含有する通常の医薬製剤の形態で使用される。医薬製剤は、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなどの固体形態、又は溶液、懸濁液、シロップ、エマルション、リモナーデなどの液体形態などであってよい。
【0143】
必要に応じて、上記製剤に、補助物質、安定化剤、湿潤剤、並びに、ラクトース、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、白土、ショ糖、コーンスターチ、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、オリーブ油、カカオバター、エチレングリコールなどの他の通常使用される添加剤を含めてもよい。
【0144】
化合物[I]の投与量は、患者の年齢、状態、疾患の種類、適用される化合物[I]の種類などによって変化しうる。一般的に、1日につき1〜4,000mg、又はそれ以上の量を患者に投与してもよい。本発明の目的化合物[I]の平均1回投与量約50mg、100mg、250mg、500mg、1000mg又は2000mgを、病原菌による感染症の治療に使用しうる。
【0145】
本明細書中で用いられる用語「哺乳動物」としては、ヒトおよび他の動物(例、マウス、ラット、ブタ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等)が挙げられ、好ましくはヒトである。
【実施例】
【0146】
実施例
以下の製造例および実施例は、本発明をより詳細に例示するために記載する。
【0147】
製造例および実施例中の略語は、以下のとおりである。
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc:酢酸エチル
CH2Cl2:塩化メチレン
MgSO4:硫酸マグネシウム
MeOH:メタノール
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム
KHSO4:硫酸水素カリウム
IPA:イソプロピルアルコール
IPE:イソプロピルエーテル
NaI:ヨウ化ナトリウム
【0148】
製造例1
3-(トリチルアミノ)プロピオン酸(99.5 g)およびトリエチルアミン(33.4 g)のテトラヒドロフラン(1200 ml)溶液に、クロロギ酸メチル (31.2 g)を氷冷下で滴下した。混合物を同じ温度で40分撹拌した。反応混合物に、2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-アミン スルファート(73.5 g)およびトリエチルアミン(66.8 g)の水(600 ml)溶液を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にクロロホルム(1500 ml)を添加し、層を分離した。有機層を、10%クエン酸水溶液、食塩水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで粉末化し、N-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-(トリチルアミノ)プロピオンアミド(60.1 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.42-2.44 (2H, m), 2.55-2.58 (2H, m), 3.95-3.98 (2H, m), 4.17-4.20 (2H, m), 4.61 (1H, brs), 7.14 (1H, s), 7.20-7.43 (15H, m), 8.82 (1H, brs)
【0149】
製造例2
N-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-(トリチルアミノ)プロピオンアミド(1.31 g)の塩化メチレン(25 ml)溶液に、1.5 mol/l水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン(12.0 ml)溶液を添加し、混合物を窒素雰囲気下で6.5時間還流した。反応混合物に、塩化メチレン(30 ml)、フッ化ナトリウム(1.5 g)および水(0.6 ml)を氷冷下で添加した。室温で15分撹拌した後、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(2.94 g)を反応混合物に添加し、全混合物を窒素雰囲気下で16時間還流した。冷却後、不溶物質を濾去し、濾液を水および食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、塩化メチレン/メタノール(20/1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む溶出液を濃縮し、残渣をヘキサンおよびジイソプロピルエーテルの混合溶媒で粉末化して、ジ-tert-ブチル ({(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(464 mg)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.36 (18H, brs), 1.76 (2H, tt, J=6.6, 6.4 Hz), 2.08 (2H, t, J=6.4 Hz), 3.82 (2H, t, J=6.6 Hz), 3.88 (2H, t, J=6.9 Hz), 4.10 (2H, t, J=7.8 Hz), 7.03 (1H, s), 7.17 (3H, t, J=7.1 Hz), 7.25 (6H, dd, J=7.8, 7.1 Hz), 7.46 (6H, d, J=7.8 Hz), 9.34 (1H, br)
【0150】
実施例1
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(545 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.6 ml)溶液に、N-(トリメチルシリル)アセトアミド(525 mg)を添加し、混合物を室温で35分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(186 mg)を添加し、混合物を室温で37分撹拌した。反応混合物に、ジ-tert-ブチル ({(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(533 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.0 ml)溶液を添加し、混合物全体を35℃〜40℃で2時間、次いで40℃〜45℃で1.5時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル(50 ml)を添加し、溶液を水(40 ml × 2)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(40 ml)および食塩水(40 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約5 gに濃縮した。濃縮物をジイソプロピルエーテル(80 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(2.5 ml)溶液に、アニソール(0.84 ml)およびトリフルオロ酢酸(2.5 ml)を添加した。得られた溶液を、室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル(80 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して粗製生成物(590 mg)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、15%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 mol/l硫酸(1.70 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(3-アミノプロピル)グアニジノ]-2,3-ジヒドロ-5-(1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾリオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(47 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.60 (3H, s), d 1.61 (3H, s), 2.02 (2H, quint, J=7.8 Hz), 3.02 (2H, t, J=7.8 Hz), 3.35 (1H, d, J=17.9 Hz), 3.58-3.73 (2H, m), 3.68 (1H, d, J=17.9 Hz), 4.22 (2H, t, J=8.7 Hz), 4.41 (1H, q, J=8.7 Hz), 4.49 (1H, q, J=8.7 Hz), 4.98 (1H, d, J=15.4 Hz), 5.10 (1H, d, J=15.4 Hz), 5.28 (1H, d, J=4.8 Hz), 5.85 (1H, d, J=4.8 Hz), 8.27 (1H, s)
【0151】
製造例3
リチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(THF中0.5 M、400 ml)に、アセトニトリル(8.5 g)のTHF(50 ml)溶液を-70℃で滴下した。混合物を同じ温度で30分撹拌した。反応混合物に1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド(20.0 g)を添加し、混合物を同じ温度で1時間撹拌し、次いで室温まで温めた。得られた溶液に10%硫酸水素ナトリウム水溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルの合わせた層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル-ジイソプロピルエーテルから再結晶して、3-ヒドロキシ-3-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロパンニトリルを白色結晶として得た(21.9 g)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.02 (1H, dd, J=16.6, 4.0 Hz), 2.21 (1H, dd, J=16.6, 7.2 Hz), 2.75 (3H, s), 4.17-4.25 (1H, m), 5.19 (1H, d, J=4.5 Hz), 5.82 (1H, s), 7.11-7.31 (16H, m)
【0152】
製造例4
3-ヒドロキシ-3-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロパンニトリル(9.58 g)およびジ-tert-ブチル ジカーボネート(7.67 g)のエタノール(300 ml)溶液を、水素雰囲気下、室温で5日にわたって酸化白金 (2.0 g)で処理した。触媒を濾去した後、濾液を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、tert-ブチル {3-ヒドロキシ-3-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロピル}カルバマートをアモルファス(7.49 g)として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.20-1.60 (2H, m), 1.37 (9H, s), 2.55-2.85 (2H, m), 2.76 (3H, s), 3.85-4.00 (1H, m), 4.18 (1H, d, J=4.4 Hz), 5.65 (1H, s), 6.30-6.50 (1H, m), 7.05-7.35 (16H, m)
【0153】
製造例5
tert-ブチル {3-ヒドロキシ-3-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロピル}カルバマート(5.00 g)のTHF(100 ml)溶液に、ジフェニルホスホリルアジド(2.52 ml)、トリフェニルホスフィン(3.58 g)およびジエチルアゾジカルボキシラート(2.38 g)を氷冷下で添加した。この混合物を、室温で2時間撹拌した。得られた溶液に水を添加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で洗浄した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、tert-ブチル {3-アジド-3-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロピル}カルバマート(4.0 g)を結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.37 (9H, s), 1.37-1.70 (2H, m), 2.55-2.90 (2H, m), 2.78 (3H, s), 3.95-4.20 (1H, m), 5.95 (1H, s), 6.60-6.75 (1H, m), 7.10-7.50 (16H, m)
【0154】
製造例6
THF(80 ml)中のtert-ブチル {3-アジド-3-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロピル}カルバマート(4.00 g)を、水素雰囲気下、2時間にわたって室温でパラジウム炭素(2.0 g)で処理した。触媒を濾去し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をTHF(60 ml)で希釈した。この希釈物に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(7.19 g)およびトリエチルアミン(4.2 ml)を添加した。混合物を、50℃で48時間撹拌した。冷却後、水を混合物に添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製して、ジ-tert-ブチル [(Z)-({3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]プロピル}アミノ)メチリデン]ビスカルバマート (600 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.21 (9H, s), 1.36 (9H, s), 1.45 (9H, s), 1.60-2.00 (2H, m), 2.55-2.75 (2H, m), 3.34 (3H, s), 4.28-4.43 (1H, m), 5.99 (1H, s), 6.45-6.61 (1H, m), 7.10-7.40 (16H, m), 8.17 (1H, d, J=6.9 Hz)
【0155】
実施例2
5-アミノ-4-(3-アミノ-1-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}プロピル)-2-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩(46 mg)を、実施例1と同様の方法に従って合成した。
IR (KBr) 1772, 1668, 1653, 1525, 1111 cm-1
1H-NMR (D2O) δ 1.45-1.60 (2H, m), 1.55 (6H, s), 2.15-2.34 (2H, m), 3.05-3.22 (2H, m), 3.15および3.43 (2H, ABq, J=17.3 Hz), 3.70 (3H, s), 4.80-5.20 (2H, m), 5.24 (1H, d, J=4.8 Hz), 5.83 (1H, d, J=4.8 Hz), 7.96 (1H, s)
Mass (m/z) 705.25
【0156】
製造例7
[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(10.82 g)のDMF(110 ml)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物、828 mg)を氷冷下で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物に3-ブロモ-N-トリチル-1-プロパンアミン(7.88 g)およびヨウ化ナトリウム(3.1 g)を添加し、溶液を室温で3時間撹拌した。この溶液に水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製して、[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル][3-(トリチルアミノ)プロピル]ホルムアミドをアモルファス固体として得た(10.82 g)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.30-1.70 (2H, m), 1.70-1.95 (2H, m), 2.70-2.90 (2H, m), 2.75 (3H, s), 6.02 (1H, s), 7.00-7.40 (15H, m), 7.54 (1H, s)
【0157】
製造例8
[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル][3-(トリチルアミノ)プロピル]ホルムアミド(6.27 g)のメタノール(63 ml)溶液に、濃塩酸(7.7 ml)を添加し、混合物を室温で8時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、揮発性成分を蒸発させた。残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製1-メチル-N-4-[3-(トリチルアミノ)プロピル]-1H-ピラゾール-4,5-ジアミンをアモルファス固体として得た。この化合物を、さらなる精製をすることなく次の工程で用いた。
【0158】
製造例9
上記で合成した粗製1-メチル-N-4-[3-(トリチルアミノ)プロピル]-1H-ピラゾール-4,5-ジアミンのTHF(75 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(7.19 g)を添加し、混合物を50℃で一晩撹拌した。冷却後、混合物に水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製して、ジ-tert-ブチル ((E)-{(5-アミノ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(2.5 g)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.31 (9H, s), 1.33 (9H, s), 1.55-1.57 (2H, m), 1.80-2.05 (2H, m), 3.45-3.60 (2H, m), 3.50 (3H, s), 5.00 (2H, br-s), 6.89 (1H, s), 7.08-7.45 (16H, m), 8.50-8.80 (1H, br)
【0159】
実施例3
5-アミノ-4-[[アミノ(イミノ)メチル](3-アミノプロピル)アミノ]-2-({(6R,7R)-7-[((2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-{[(1S)-1-カルボキシエトキシ]イミノ}アセチル)アミノ]-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル}メチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩(15 mg)を、実施例1と同様の方法に従って合成した。
IR (KBr) 1774, 1662, 1527, 1109 cm-1
1H-NMR (D2O) δ 1.53 (3H, d, J=6.9 Hz), 1.90-2.13 (2H, m), 2.80-3.09 (2H, m), 3.30 (1H, d, J=17.7 Hz), 3.40-3.80 (3H, m), 3.76 (3H, s), 4.83-5.20 (3H, m), 5.20-5.35 (1H, m), 5.78-5.90 (1H, m), 8.10-8.30 (1H, m)
Mass (m/z) 679.36
【0160】
実施例4
5-アミノ-4-[[アミノ(イミノ)メチル](3-アミノプロピル)アミノ]-2-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩を、実施例1と同様の方法に従って、アモルファス固体(55 mg)として合成した。
IR (KBr) 1776, 1655, 1597 cm-1
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (3H, s), 1.62 (3H, s), 1.95-2.10 (2H, m), 2.95-3.20 (2H, m), 3.33 (1H, d, J=17.9 Hz), 3.60-3.80 (3H, m), 3.76 (3H, s), 4.92-5.03 (1H, m), 5.10-5.23 (1H, m), 5.24-5.32 (1H, m), 5.82-5.90 (1H, m), 8.12-8.27 (1H, m)
Mass (m/z) 611.50
【0161】
実施例5
5-アミノ-4-[[アミノ(イミノ)メチル](3-アミノプロピル)アミノ]-2-[((6R,7R)-7-{[(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(メトキシイミノ)アセチル]アミノ}-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル)メチル]-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩(132 mg)を、実施例1と同様の方法に従って合成した。
1H-NMR (D2O) δ 1.31-1.47 (2H, m), 3.71および3.97 (2H, ABq, J = 18.6 Hz), 3.76 (3H, s), 4.10 (3H, s), 4.55-5.05 (6H, m), 5.36 (1H, d, J = 4.8 Hz), 6.00 (1H, d, J = 4.8 Hz), 7.69 (1H, s)
【0162】
実施例6
5-アミノ-4-[[アミノ(イミノ)メチル](3-アミノプロピル)アミノ]-2-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(カルボキシメトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩(48.5 mg)を、実施例1と同様の方法に従って合成した。
IR (KBr) 1774, 1660, 1655, 1113 cm-1
1H-NMR (D2O) δ 1.90-2.15 (2H, m), 3.03 (2H, t, J=7.8 Hz), 3.31 (1H, d, J=17.7 Hz), 3.45-3.85 (3H, m), 3.75 (3H, m), 4.82-5.14 (2H, m), 4.87 (2H, s), 5.27 (1H, d, J=4.7 Hz), 5.87 (1H, d, J=4.7 Hz), 821 (1H, br-s)
Mass (m/z) 652.48
【0163】
製造例10
4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(22 g)の硫酸(100 ml)溶液に、氷冷下で硝酸カリウム(19.9 g)を添加し、反応混合物を、周囲温度で22時間撹拌した。反応混合物を氷水(300 ml)に添加し、1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過により回収し、3-ニトロ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(22.82 g)を得た。
1H-NMR δ 1.97-2.08 (4H, m), 3.96-4.02 (4H, m), 7.85 (1H, s), 7.89 (1H, s)
3-ニトロ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(1.68 g)の硫酸(0.6 ml)、酢酸(100 ml)および水(10 ml)の混合物溶液を、水素雰囲気下、室温で6日にわたって10%パラジウム炭素(0.5 g)で処理した。触媒を濾去した後、濾液を真空下で濃縮した。残渣をエタノールで粉末化し、真空下で乾燥して、3-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン硫酸塩(2.3 g)を固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.97-2.01 (2H, m), 3.22 (2H, t, J=5.0 Hz), 3.98 (2H, t, J=6.0 Hz), 7.22 (1H, s)
【0164】
製造例11
3-(トリチルアミノ)プロピオン酸(13.3 g)のテトラヒドロフラン(100 ml)懸濁液に、トリエチルアミン(5.58 ml)およびクロロギ酸メチル(3.07 ml)を氷冷下で添加し、混合物を室温で25分撹拌した。反応混合物に、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-アミン スルファート(7.35 g)およびトリエチルアミン(13.9 ml)の水(100 ml)溶液を添加し、混合物を室温で2.5時間撹拌した。反応混合物に塩化メチレン(400 ml)を添加し、層を分離した。有機層を、水、希釈したクエン酸水溶液、1 mol/l 水酸化ナトリウム水溶液および食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を塩化メチレンおよびジエチルエーテルの混合溶媒で粉末化して、N-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-(トリチルアミノ)プロピオンアミド(11.5 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.11 (1H, br), 2.12 (2H, quint, J=6.0 Hz), 2.45 (2H, t, J=6.0 Hz), 2.57 (2H, t, J=6.0 Hz), 3.30-3.36 (2H, m), 4.10 (2H, t, J=6.0 Hz), 5.15 (1H, br), 7.11 (1H, s), 7.21 (3H, t, J=7.3 Hz), 7.29 (6H, dd, J=8.3, 7.3 Hz), 7.43 (6H, d, J=8.3 Hz), 8.65 (1H, br)
【0165】
製造例12
N-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-(トリチルアミノ)プロピオンアミド(903 mg)の塩化メチレン(15 ml)溶液に、1.5 mol/l水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン(8.00 ml)溶液を添加し、混合物を窒素雰囲気下で5.5時間還流した。反応混合物に、塩化メチレン(20 ml)、フッ化ナトリウム(1 g)および水(0.4 ml)を氷冷下で添加した。室温で15分撹拌した後、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(1.96 g)を反応混合物に添加し、混合物全体を窒素雰囲気下で17時間還流した。冷却後、不溶物質を濾去し。濾液を酢酸エチル(200 ml)で希釈し、溶液を水および食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、塩化メチレン/メタノール(20/1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む溶出液を濃縮し、残渣をヘキサンおよびジイソプロピルエーテルの混合溶媒で粉末化して、ジ-tert-ブチル ({(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(519 mg)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.35 (18H, brs), 1.50-1.59 (2H, m), 1.66-1.75 (2H, m), 2.07 (2H, t, J=6.2 Hz), 3.14-3.22 (2H, m), 3.72-3.83 (2H, m), 4.02 (2H, t, J=6.2 Hz), 4.36 (1H, br), 6.97 (1H, s), 7.16 (3H, t, J=7.3 Hz), 7.25 (6H, dd, J=7.8, 7.3 Hz), 7.45 (6H, d, J=7.8 Hz), 8.80 (1H, br)。
【0166】
実施例7
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(500 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.5 ml)溶液にN-(トリメチルシリル)アセトアミド(482 mg)を添加し、混合物を室温で36分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(171 mg)を添加し、混合物を室温で37分撹拌した。反応混合物に、ジ-tert-ブチル ({(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(499 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2.0 ml)溶液を添加し、混合物全体を35℃〜40℃で2時間、次いで40℃〜45℃で1.5時間撹拌した。得られた反応混合物に、酢酸エチル(50 ml)を添加し、溶液を水(40 ml × 2)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(40 ml)および食塩水(40 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約5 gに濃縮した。濃縮物をイソプロピルエーテル(80 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(2.3 ml)溶液に、アニソール(0.75 ml)およびトリフルオロ酢酸(2.3 ml)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル (80 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物(540 mg)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、10%アセトニトリル/水で溶出するODS カラムを用いる分取HPLCでさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、0.05 mol/l硫酸(3.49 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(3-アミノプロピル)グアニジノ]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート 硫酸塩(133 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (6H, s), 1.93-2.09 (2H, m), 2.09-2.25 (2H, m), 3.01 (2H, t, J=7.6 Hz), 3.33 (1H, d, J=17.9 Hz), 3.40 (2H, t, J=5.3 Hz), 3.45-3.83 (3H, m), 4.07-4.26 (2H, m), 4.91 (1H, d, J=13.8 Hz), 5.05-5.31 (1H, m), 5.14 (1H, brs), 5.85 (1H, brs), 8.06-8.21 (1H, m)
【0167】
製造例13
(トリチルアミノ)酢酸(79.3 g)およびトリエチルアミン(27.8 g)のテトラヒドロフラン(1000 ml)溶液に、クロロギ酸メチル (26.0 g)を氷冷下で滴下した。混合物を同じ温度で30分撹拌した。反応混合物に、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-アミン 硫酸塩(59.0 g)およびトリエチルアミン(50.6 g)の水(500 ml)溶液を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にクロロホルム(1500 ml)を添加し、層を分離した。有機層に、10%クエン酸水溶液、食塩水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで粉末化して、N-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-2-(トリチルアミノ)アセトアミド (46.4 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.10-2.14 (2H, m), 2.53 (1H, brs), 3.09 (2H, brs), 3.31-3.33 (2H, m), 4.08-4.11 (2H, m), 5.07 (1H, brs), 7.16 (1H, s), 7.19-7.40 (15H, m), 8.67 (1H, brs)
【0168】
製造例14
N-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-2-(トリチルアミノ)アセトアミド(4.38 g)の塩化メチレン(80 ml)溶液に、1.5 mol/l水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン(40.0 ml)溶液を添加し、混合物を窒素雰囲気下で8.5時間還流した。反応混合物に、氷冷下で、塩化メチレン(80 ml)、フッ化ナトリウム(5 g)および水(2 ml)を添加した。室温で15分撹拌した後、反応混合物にジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(9.78 g)を添加し、混合物全体を窒素雰囲気下で19.5時間にわたって還流した。冷却後、不溶物質を濾去し、濾液を水および食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を塩化メチレンおよびジエチルエーテルの混合溶媒で粉末化して、ジ-tert-ブチル ({(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)[2-(トリチルアミノ)エチル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(1.67 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.36 (9H, s), 1.43 (9H, s), 1.94-2.03 (2H, m), 2.38-2.53 (2H, m), 2.97-3.10 (2H, m), 3.30 (1H, br), 3.61-3.90 (2H, m), 3.98 (2H, t, J=6.2 Hz), 5.44 (1H, br), 6.98 (1H, s), 7.18 (3H, t, J=7.3 Hz), 7.27 (6H, dd, J=7.8, 7.3 Hz), 7.40 (6H, d, J=7.8 Hz), 8.81 (1H, br)
【0169】
実施例8
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(817 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2.0 ml)溶液にN-(トリメチルシリル)アセトアミド(788 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(282 mg)を添加し、混合物を室温で47分撹拌した。反応混合物にジ-tert-ブチル ({(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)[2-(トリチルアミノ)エチル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(666 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2.0 ml)溶液を添加し、全混合物を40℃〜50℃で4時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル(50 ml)を添加し、溶液を水(50 ml × 2)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(50 ml)および食塩水(40 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約5 gに濃縮した。濃縮物をジイソプロピルエーテル(100 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。得られた固体を塩化メチレン(3.6 ml)に溶解し、溶液にアニソール(1.2 ml)およびトリフルオロ酢酸 (3.6 ml)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル(100 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して粗製生成物(855 mg)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。所望の生成物を含む溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、15%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 mol/l硫酸(2.64 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(2-アミノエチル)グアニジノ]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(139 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (3H, s), 1.62 (3H, s), 2.10-2.25 (2H, m), 3.20-3.33 (2H, m), 3.33 (1H, d, J=17.9 Hz), 3.41 (2H, t, J=5.5 Hz), 3.53-4.09 (3H, m), 4.10-4.26 (2H, m), 4.93 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.06-5.30 (1H, m), 5.27 (1H, d, J=4.1 Hz), 5.85 (1H, d, J=4.1 Hz), 8.07-8.23 (1H, m)
【0170】
製造例15
0.5 mol/lリチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン(70 ml)溶液に、アセトニトリル(1.56 g)のテトラヒドロフラン(8 ml)溶液を窒素雰囲気下、-70℃にて滴下し、反応混合物を同じ温度で30分撹拌した。反応混合物に2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-カルバルデヒド(1.37 g)を添加し、反応混合物を同じ温度で1時間撹拌した。反応混合物に水(20 ml)を添加し、混合物をクロロホルムで洗浄した。水層を、10% クエン酸水溶液を添加することによりpH 7付近に調整し、50%水性メタノールで溶出するダイヤイオン(登録商標)HP-20(三菱化学株式会社)でのクロマトグラフィーに供した。溶出液を真空下で濃縮した。残渣をアセトンで粉末化して、3-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-ヒドロキシプロピオニトリル(1.17 g)を固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.74-2.83 (2H, m), 3.80-3.84 (2H, m), 3.98-4.01 (2H, m), 4.65-4.69 (1H, m), 4.45 (1H, d, J=4 Hz), 5.62 (1H, brs), 7.18 (1H, s)
【0171】
製造例16
無水酢酸(16 ml)にギ酸(8 ml)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物に、3-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-ヒドロキシプロピオニトリル(1.78 g)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、残渣をアセトンで粉末化して、N-(2,3-ジヒドロ-1-ホルミル-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-ヒドロキシプロピオニトリル (1.46 g)を固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.72-2.85 (0.6H, m), 2.90-2.92 (1.4H, m), 4.27-4.32 (1.4H, m), 4.35-4.38 (2H, m), 4.55-4.58 (0.6H, m), 4.97-5.00 (0.7H, m), 5.39-5.41 (0.3H, m), 5.63 (0.3H, d, J=5.5 Hz), 6.03 (0.7H, d, J=4.1 Hz), 7.38 (0.7H, s), 7.46 (0.3H, s), 8.22 (0.3H, s), 9.00 (0.7H, s)
【0172】
製造例17
N-(2,3-ジヒドロ-1-ホルミル-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-ヒドロキシプロピオニトリル(620 mg)およびジ-tert-ブチル ジカーボネート(980 mg)のメタノール(30 ml)懸濁液を、水素雰囲気下、室温で、4日にわたって酸化白金(IV)(150 mg)で処理した。触媒を濾去した後、濾液を真空下で濃縮した。残渣を7%メタノール/クロロホルムで溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル 3-(2,3-ジヒドロ-1-ホルミル-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-ヒドロキシプロピルカルバマート(320 mg)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.44 (2.7H, s), 1.46 (6.3H, s), 1.86-1.88 (1.4H, m), 1.99-2.00 (0.6H, m), 3.14-3.17 (0.7H, m), 3.22-3.45 (0.3H, m), 3.59-3.66 (0.3H, m), 3.69-3.75 (0.7H, m), 4.32-4.35 (1.4H, m), 4.38-4.41 (0.6H, m), 4.46-4.50 (1.4H, m), 4.56-4.59 (0.6H, m), 4.71-4.73 (0.7H, m), 4.86 (0.7H, brs), 4.89 (0.3H, br), 5.11 (0.3H, br), 7.30 (0.7H, s), 7.40 (0.3H, s), 8.20 (0.3H, s), 9.15 (0.7H, s)
【0173】
製造例18
tert-ブチル 3-(2,3-ジヒドロ-1-ホルミル-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-3-ヒドロキシプロピルカルバマート(3.1 g)、ジフェニルホスホリルアジド(3.3 g)およびトリフェニルホスフィン(3.7 g)のテトラヒドロフラン(100 ml)溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(2.8 ml)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させて、粗製tert-ブチル 3-アジド-3-(2,3-ジヒドロ-1-ホルミル-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)プロピルカルバマート (2.3 g)を油状物として得た。この生成物を、さらなる精製をすることなく、次の工程に直接用いた。上記油状生成物[すなわち、tert-ブチル 3-アミノ-3-(2,3-ジヒドロ-1-ホルミル-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)プロピルカルバマート]のエタノール(100 ml)溶液を、水素雰囲気下、室温で71時間にわたって10%パラジウム炭素(1.0 g)で処理した。触媒を濾去した後、濾液を真空下で濃縮した。
残渣を10%クエン酸水溶液に溶解し、溶液を酢酸エチルで洗浄した。水層を、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH 10付近に調整した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、tert-ブチル 3-アミノ-3-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)プロピルカルバマート(2.86 g)を油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.44 (9H, s), 1.58 (2H, br), 1.71-1.82 (2H, m), 3.11-3.23 (2H, m), 3.87 (1H, t, J=6.0 Hz), 3.97-4.01 (2H, m), 4.10-4.17 (2H, m), 4.40 (1H, br), 4.83 (1H, br), 7.27 (1H, s)
【0174】
製造例19
tert-ブチル 3-アミノ-3-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)プロピルカルバマート(2.44 g)およびトリエチルアミン(1.52 g)のクロロホルム(50 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(5.10 g)を添加し、混合物全体を室温で16時間撹拌した。反応混合物を、10%クエン酸水溶液、食塩水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を4%メタノール/クロロホルムで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル 3-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ]-3-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)プロピルカルバマート(500 mg)を油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.44 (9H, s), 1.47 (9H, s), 1.49 (9H, s), 2.08-2.10 (2H, m), 3.15-3.20 (2H, m), 3.92-3.97 (2H, m), 4.08-4.13 (1H, m), 4.20-4.24 (1H, m), 4.72-4.74 (1H, m), 4.90 (1H, brs), 5.41 (1H, brs), 7.27 (1H, s), 8.46 (1H, d, J=6 Hz), 11.19 (1H, brs)
【0175】
実施例9
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(7.30 g)のN,N-ジメチルホルムアミド(22 ml)溶液にN-(トリメチルシリル)アセトアミド(7.03 g)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(2.49 g)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にtert-ブチル 3-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ]-3-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)プロピルカルバマート(5.10 g)を添加し、混合物全体を40℃で3.5時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル(800 ml)を添加し、溶液を食塩水(400 ml)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(400 ml)および食塩水(400 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約50 mlに濃縮した。濃縮物をジイソプロピルエーテル(700 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(30 ml)溶液に、アニソール(10 ml)およびトリフルオロ酢酸(30 ml)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル(700 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して粗製生成物(8.20 g)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。
所望の生成物を含む第1の溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、15%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 mol/l硫酸(8.80 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[7-(3-アミノ-1-グアニジノプロピル)-2,3-ジヒドロ-5-(1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾリオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート 硫酸塩(438.2 mg)をアモルファス固体として得た。
第2の溶出液を上記のように後処理して(0.05 mol/l硫酸: 8.50 ml)、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[7-(3-アミノ-1-グアニジノプロピル)-2,3-ジヒドロ-5-(1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾリオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート 硫酸塩(428.7 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.16 (6H, d, J=1.8 Hz), 2.23 (2H, dt, J=7.8 Hz), 3.04-3.17 (2H, m), 3.28 (1H, d, J=17.9 Hz), 3.55 (1H, d, J=17.9 Hz), 4.17 (2H, t, J=8.7 Hz), 4.29-4.41 (2H, m), 4.66 (1H, t, J=7.8 Hz), 4.93 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.09 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.26 (1H, d, J=5.0 Hz), 5.85 (1H, d, J=5.0 Hz), 8.04 (1H, s)
1H-NMR (D2O) δ 1.16 (6H, d, J=1.8 Hz), 2.23 (2H, dt, J=7.8 Hz), 3.04-3.17 (2H, m), 3.29 (1H, d, J=17.9 Hz), 3.55 (1H, d, J=17.9 Hz), 4.17 (2H, t, J=8.7 Hz), 4.30 (1H, dt, J=8.7 Hz), 4.39 (1H, dt, J=8.7 Hz), 4.67 (1H, t, J=7.8 Hz), 4.98 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.10 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.26 (1H, d, J=4.6 Hz), 5.86 (1H, d, J=4.6 Hz), 8.06 (1H, s)
【0176】
製造例20
N-(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)-2-(トリチルアミノ)アセトアミド(2.54 g)の塩化メチレン(45 ml)溶液に、1.5 M水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン(16.0 ml)溶液を添加し、混合物を窒素雰囲気下で還流した。4時間後、追加の1.5 M水素化ジイソブチルアルミニウムトルエン溶液(8.0 ml)を反応混合物に添加し、混合物を窒素雰囲気下で1.5時間還流した。反応混合物に、塩化メチレン(60 ml)、フッ化ナトリウム(3.6 g)および水(1.2 ml)を氷冷下で添加した。室温で15分撹拌した後、反応混合物にジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(3.52 g)を添加し、混合物全体を窒素雰囲気下で17.5時間還流した。冷却後、不溶物質を濾去し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルに溶解し、溶液を水および食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、3%メタノール/塩化メチレンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。所望の生成物を含む溶出液を真空下で濃縮して、ジ-tert-ブチル ({(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)[2-(トリチルアミノ)エチル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(990 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.41 (18H, s), 2.45 (2H, t, J=5.5 Hz), 3.78 (2H, t, J=5.5 Hz), 3.82 (2H, t, J=8.0 Hz), 4.08 (2H, t, J=8.0 Hz), 7.00 (1H, s), 7.18 (3H, t, J=7.3 Hz), 7.27 (6H, dd, J=8.2, 7.3 Hz), 7.43 (6H, d, J=8.2 Hz)
【0177】
実施例10
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(841 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2.0 ml)溶液に、N-(トリメチルシリル)アセトアミド(810 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(284 mg)を添加し、混合物を室温で40分撹拌した。反応混合物にジ-tert-ブチル ({(2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-7-イル)[2-(トリチルアミノ)エチル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(619 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2.0 ml)溶液を添加し、混合物全体を40℃〜45℃で4.5時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル(50 ml)を添加し、溶液を水(50 ml × 2)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(50 ml)および食塩水(50 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約6 gに濃縮した。濃縮物をジイソプロピルエーテル(100 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(3.9 ml)溶液にアニソール(1.3 ml)およびトリフルオロ酢酸(3.9 ml)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル(100 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物(1.02 g)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、15%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 M硫酸(1.41 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(2-アミノエチル)グアニジノ]-2,3-ジヒドロ-5-(1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾリオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(62 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (3H, s), 1.61 (3H, s), 3.29 (2H, t, J=7.6 Hz), 3.36 (1H, d, J=18.1 Hz), 3.69 (1H, d, J=18.1 Hz), 3.92 (2H, t, J=7.6 Hz), 4.24 (2H, t, J=8.7 Hz), 4.42 (1H, q, J=8.7 Hz), 4.50 (1H, q, J=8.7 Hz), 5.00 (1H, d, J=15.4 Hz), 5.10 (1H, d, J=15.4 Hz), 5.29 (1H, d, J=4.6 Hz), 5.86 (1H, d, J=4.6 Hz), 8.30 (1H, s)
【0178】
実施例11
7-[[アミノ(イミノ)メチル](3-アミノプロピル)アミノ]-5-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-5-イウム 硫酸水素塩(300 mg)のpH 7リン酸緩衝液(60 ml)溶液を、35℃〜40℃で24時間撹拌した。溶液を、ODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を、真空下で約30 mlに濃縮した。濃縮物を、濃塩酸を添加して約pH 1に調整し、15%水性2-プロパノールで溶出するダイヤイオン(登録商標)HP-20(三菱化学株式会社)でのクロマトグラフィーに供した。溶出液を真空下で約30 mlに濃縮し、これに2 M硫酸水溶液(0.04 ml)を添加した。溶液を凍結乾燥して、5-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-7-(2-イミノテトラヒドロ-1(2H)-ピリミジニル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール-5-イウム 硫酸水素塩(30 mg)を得た。
1H-NMR δ 1.61 (6H, s), 1.90-2.25 (2H, m), 3.25-3.43 (3H, m), 3.50-3.75 (3H, m), 4.10-4.35 (2H, m), 4.35-4.60 (2H, m), 4.85-5.20 (2H, m), 5.28 (1H, d, J=4.9 Hz), 5.86 (1H, d, J=4.9 Hz), 8.23 (1H, s)
MASS (ESI) 675.3 (M+H+)
【0179】
製造例21
水素化ナトリウム(鉱油中55%分散物、5.5 g)のテトラヒドロフラン(460 ml)懸濁液に、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルバルデヒド(17.4 g)を氷冷下で添加した。混合物を同じ温度で30分撹拌した。反応混合物にジ-tert-ブチル ジカーボネート(25.0 g)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物にテトラヒドロフラン(300 ml)を添加し、混合物を同じ温度で3時間撹拌した。反応混合物に水(300 ml)および酢酸エチル(1000 ml)を添加し、層を分離した。有機層を水(500 ml × 2)および食塩水(500 ml)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をヘキサンで粉末化して、tert-ブチル 3-ホルミル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(23.5 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.51 (9H, s), 2.17-2.23 (2H, m), 3.87-3.91 (2H, m), 4.22 (2H, t, J=6.0 Hz), 7.89 (1H, s), 9.90 (1H, s)
【0180】
製造例22
0.5 mol/lリチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン(400 ml)溶液に、アセトニトリル(10.9 ml)のテトラヒドロフラン(40 ml)溶液を窒素雰囲気下、-70℃で滴下し、反応混合物を同じ温度で30分撹拌した。反応混合物にtert-ブチル 3-ホルミル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(20.1 g)を添加し、反応混合物を同じ温度で40分撹拌した。反応混合物に水(200 ml)および酢酸エチル(200 ml)を添加し、層を分離した。有機層を10%クエン酸水溶液(200 ml)、水(200 ml × 2)および食塩水(200 ml)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をジイソプロピルエーテルで粉末化して、tert-ブチル 3-(2-シアノ-1-ヒドロキシエチル)-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(15.9 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.55 (9H, s), 2.09-2.23 (2H, m), 2.80-2.95 (2H, m), 3.61-3.68 (2H, m), 3.93-4.00 (1H, m), 4.14-4.27 (2H, m), 4.37 (1H, brs), 4.89-4.96 (1H, m), 7.52 (1H, s)
【0181】
製造例23
tert-ブチル 3-(2-シアノ-1-ヒドロキシエチル)-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(14.6 g)のメタノール(500 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル ジカーボネート(16.4 g)および酸化白金(IV)(5.0 g)を添加し、混合物を水素雰囲気下、室温で5日にわたって撹拌した。触媒を濾去し、濾液を真空下で濃縮し、残渣を10%メタノール/クロロホルムで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、tert-ブチル 3-[3-(ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヒドロキシプロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート (16.6 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.43 (9H, s), 1.53 (9H, s), 1.84-1.93 (2H, m), 1.98-2.07 (1H, m), 2.07-2.20 (1H, m), 3.11-3.21 (1H, m), 3.36-3.47 (1H, m), 3.52-3.61 (1H, m), 3.93-4.02 (1H, m), 4.10-4.25 (2H, m), 4.56-4.65 (1H, m), 5.14 (1H, brs), 7.46 (1H, s)
【0182】
製造例24
tert-ブチル 3-[(3-ブトキシカルボニルアミノ)-1-ヒドロキシプロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(15.9 g)、ジフェニルホスホリルアジド(10.4 ml)およびトリフェニルホスフィン(14.7 g)のテトラヒドロフラン(400 ml)溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(11.0 g)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。不溶物質を濾過により除去した。濾液を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む溶出液を真空下で濃縮した。残渣をメタノール(200 ml)に溶解し、得られた溶液に10%パラジウム炭素(4.0 g)のメタノール(200 ml)懸濁液を添加した。混合物を水素雰囲気下、室温にて8時間撹拌した。触媒を濾去した後、濾液を真空下で濃縮した。残渣をクロロホルム(300 ml)に溶解し、10%クエン酸水溶液(300 ml × 2)で抽出した。水層を合わせ、炭酸水素ナトリウムを添加することによりpH 8付近に調整し、クロロホルム(200 ml × 2)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水(100 ml × 2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、tert-ブチル 3-[1-アミノ-3-(ブトキシカルボニルアミノ)プロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(10.7 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.43 (9H, s), 1.53 (9H, s), 1.84-1.93 (2H, m), 2.10-2.17 (2H, m), 3.05-3.13 (1H, m), 3.31-3.41 (1H, m), 3.65-3.71 (1H, m), 3.83-3.90 (1H, m), 3.99 (1H, t, J=7.3 Hz), 4.13-4.23 (2H, m), 5.40 (1H, brs), 7.48 (1H, s)
【0183】
製造例25
tert-ブチル 3-[1-アミノ-3-(ブトキシカルボニルアミノ)プロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(2.0 g)の塩化メチレン(10 ml)溶液に、トリエチルアミン(0.70 ml)およびトリフルオロ酢酸エチル(0.60 ml)を添加し、混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物にトリフルオロ酢酸(1.2 ml)を添加し、混合物を同じ温度で17時間撹拌した。得られた反応混合物に塩化メチレン(20 ml)を添加し、溶液を水(20 ml × 2)および食塩水(20 ml)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、tert-ブチル 3-[3-(ブトキシカルボニルアミノ)-1-(トリフルオロアセトアミド)プロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート (2.3 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.43 (9H, s), 1.54 (9H, s), 1.85-1.95 (2H, m), 2.07-2.25 (2H, m), 2.88-2.97 (1H, m), 3.20-3.28 (1H, m), 3.34-3.43 (1H, m), 4.15-4.29 (3H, m), 5.06-5.18 (2H, m), 7.40 (1H, s), 8.67 (1H, s)
【0184】
製造例26
tert-ブチル 3-[3-(ブトキシカルボニルアミノ)-1-(トリフルオロアセトアミド)プロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-4-カルボキシラート(2.2 g)の塩化メチレン(6.6 ml)溶液に、アニソール(2.2 ml)およびトリフルオロ酢酸(6.6 ml)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物に水(20 ml)および塩化メチレン(20 ml)を添加し、層を分離した。有機層を水(20 ml)で抽出した。水層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加することによりpH 7付近に調整した。得られた溶液にジ-tert-ブチル ジカーボネート(980 mg)のテトラヒドロフラン(20 ml)溶液を添加し、混合物を室温で17時間撹拌した。反応混合物にクロロホルム(50 ml)を添加し、層を分離した。水層をクロロホルム(25 ml × 2)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をヘキサンで粉末化して、tert-ブチル 3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-(トリフルオロアセトアミド)プロピルカルバマート(1.7 g)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.43 (9H, s), 2.04-2.16 (4H, m), 3.06-3.15 (1H, m), 3.15-3.27 (1H, m), 3.27-3.34 (2H, m), 4.05-4.09 (2H, m), 4.72-4.79 (1H, m), 7.18 (1H, s)
【0185】
製造例27
tert-ブチル 3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-3-(トリフルオロアセトアミド)プロピルカルバマート(1.6 g)のメタノール(16 ml)溶液に、炭酸カリウム(1.2 g)の水(16 ml)溶液を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。追加の炭酸カリウム(1.2 g)を反応混合物に添加し、混合物を同じ温度で1時間撹拌した。反応混合物にヘキサン(20 ml)および水(20 ml)を添加した。層を分離し、水層をジイソプロピルエーテル(20 ml × 2)で洗浄した。水層をクロロホルム(20 ml × 4)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、tert-ブチル 3-アミノ-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルカルバマート(770 mg)を油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.44 (9H, s), 1.69-1.78 (1H, m), 1.80-1.88 (1H, m), 2.07-2.18 (2H, m), 3.10-3.26 (2H, m), 3.26-3.34 (1H, m), 3.27-3.34 (2H, m), 3.89 (1H, t, J=6.4), 4.05-4.14 (2H, m), 4.70 (1H, brs), 5.01 (1H, brs), 7.13 (1H, s)
【0186】
製造例28
tert-ブチル 3-アミノ-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルカルバマート(770 mg)の塩化メチレン(5 ml)溶液に、トリエチルアミン(0.37 mg)およびジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(1.0 g)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(40 ml)を添加した。得られた溶液を、水(30 ml × 2)および食塩水(30 ml × 2)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を5%メタノール/クロロホルムで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル 3-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ]-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルカルバマート (900 mg)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.44 (9H, s), 1.47 (9H, s), 1.49 (18H, s), 2.02-2.18 (4H, m), 3.15-3.35 (4H, m), 4.00-4.14 (2H, m), 4.69-4.78 (2H, m), 6.47 (1H, brs), 7.20 (1H, s), 8.49 (1H, m), 11.3 (1H, brs)
【0187】
製造例29
tert-ブチル 3-アミノ-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルカルバマート(1.98 g)のクロロホルム(5 ml)溶液に、4 M塩化水素のジオキサン溶液(10 ml)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテル(20 ml)を添加した。結晶沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製1-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロパン-1,3-ジアミン 塩酸塩(1.66 g)を固体として得た。この生成物を、さらなる精製をすることなく、次の工程に直接用いた。
粗製1-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロパン-1,3-ジアミン 塩酸塩(830 mg)のクロロホルム(5 ml)溶液に、トリエチルアミン(1.40 ml)およびジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(1.97 g)を添加した。混合物を室温で17時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(50 ml)を添加し、得られた溶液を水(40 ml × 2)および食塩水(40 ml)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、50%ヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル {3-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ]-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルアミノ}[(tert-ブトキシカルボニル)イミノ]メチルカルバマート(360 mg)を固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.47 (9H, s), 1.48 (9H, s), 1.49 (18H, s), 2.05-2.24 (4H, m), 3.17-3.37 (2H, m), 3.38-3.53 (2H, m), 3.98-4.13 (2H, m), 4.67-4.77 (1H, m), 6.60 (1H, brs), 7.23 (1H, s), 8.33 (1H, t, J=5.0 Hz), 8.53 (1H, d, J=7.3 Hz), 11.26 (1H, s), 11.45 (1H, s)
【0188】
実施例12
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(681 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.5 ml)溶液に、N-(トリメチルシリル)アセトアミド(656 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(232 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にtert-ブチル 3-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ]-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルカルバマート(430 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.5 ml)の溶液を添加し、混合物全体を50℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル(50 ml)を添加した。溶液を、水(40 ml × 2)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(40 ml)および食塩水(40 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約5 mlに濃縮した。濃縮物をジイソプロピルエーテル(80 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(2.8 ml)溶液に、アニソール(0.9 ml)およびトリフルオロ酢酸 (2.8 ml)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル(80 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物(780 mg)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、15%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 mol/l 硫酸(1.9 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[3-(3-アミノ-1-グアニジノプロピル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート (83.5 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (6H, d, J=2.3 Hz), 2.05-2.19 (2H, m), 2.19-2.28 (2H, m), 3.03-3.16 (2H, m), 3.19-3.28 (1H, m), 3.32-3.48 (3H, m), 4.03-4.18 (2H, m), 4.60-4.66 (1H, m), 4.90-4.98 (1H, m), 5.18-5.26 (2H, m), 5.85 (1H, d, J=5.0), 7.92 (1H, d, J=4.1)
【0189】
製造例30
4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(3 g)の酢酸(30 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル (2-オキソ-1,3-プロパンジイル)ビスカルバマート(8.08 g)を添加し、混合物を70℃で4.5時間撹拌した。反応混合物を水および酢酸エチルの混合物に注ぎ、pHを炭酸水素ナトリウム水溶液で7に調整した。分離した有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ジ-tert-ブチル [(1Z)-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-1-プロペン-1,3-ジイル]ビスカルバマート(1.39 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.38 (9H, s), 1.42 (9H, s), 1.85-2.01 (2H, m), 3.08-3.18 (2H, m), 3.74 (2H, d, J=6.12 Hz), 3.98 (2H, t, J=5.96 Hz), 5.59 (1H, br-s), 6.40 (1H, d, J=10.1 Hz), 7.14 (1H, s), 7.15-7.18 (1H, m), 8.61 (1H, d, J=10.1 Hz)
【0190】
製造例31
ジ-tert-ブチル [(1Z)-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-1-プロペン-1,3-ジイル]ビスカルバマート(1.38 g)のメタノール(20 ml)およびテトラヒドロフラン(30 ml)の混合物溶液に、10%パラジウム炭素(700 mg)を添加し、混合物をバルーン圧下で15時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)のベッドを通して濾過し、濾液を真空下で濃縮して、ジ-tert-ブチル [2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-1,3-プロパンジイル]ビスカルバマート(1.03 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.36 (18H, s), 1.92-2.05 (2H, m), 2.58-2.65 (1H, m), 2.95-3.05 (4H, m), 3.08-3.18 (2H, m), 3.88-3.97 (2H, m), 5.42 (1H, s), 6.48-6.65 (2H, m), 6.92 (1H, s)
【0191】
製造例32
ジ-tert-ブチル [2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-1,3-プロパンジイル]ビスカルバマート(1.02 g)のメタノール(5 ml)溶液に、塩化水素(酢酸エチル中4M溶液、5 ml)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物にIPE(イソプロピルエーテル:50 ml)を添加し、得られた沈殿物を濾過により回収して、1,3-ジアミノ-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロパン 二塩酸塩(692 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.98-2.09 (2H, m), 2.88-3.47 (7H, m), 3.95-4.13 (2H, m), 7.79 (1H, s)
【0192】
製造例33
1,3-ジアミノ-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロパン 二塩酸塩(700 mg)の塩化メチレン(10 ml)中混合物に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(2.25 g)およびトリエチルアミン(2.18 ml)を室温で添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、混合物を水および酢酸エチルの混合物に注いだ。分離した有機層を水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジ-tert-ブチル [(1E,7Z)-7-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-11,11-ジメチル-9-オキソ-4-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-10-オキサ-2,6,8-トリアザドデク-7-エン-1-イル-1-イリデン]ビスカルバマート(1.774 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.40 (18H, s), 1.47 (18H, s), 1.95-2.04 (2H, m), 3.01-3.12 (1H, m), 3.22-3.33 (2H, m), 3.35-3.48 (4H, m), 3.91-3.99 (2H, m), 6.03 (1H, br-s), 7.00 (1H, s), 8.38-8.52 (2H, m), 11.51 (2H, s)
【0193】
実施例13
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(1.3 g)の1-メチル-2-ピロリドン(3.9 ml)溶液に、1,3-ビス(トリメチルシリル)尿素(1.95 g)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(443 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にジ-tert-ブチル [(1E,7Z)-7-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-11,11-ジメチル-9-オキソ-4-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-10-オキサ-2,6,8-トリアザドデク-7-エン-1-イル-1-イリデン]ビスカルバマート (1.43 g)を添加し、混合物を35℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチルを添加し、溶液を水、10% チオ硫酸ナトリウム水溶液、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液および食塩水で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、IPEに注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(6.48 ml)溶液にアニソール(2.16 ml)およびトリフルオロ酢酸(6.48 ml)を添加し、得られた溶液を室温で4時間撹拌し、IPEに注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む溶出液を2M-硫酸でpH 1.5に調整し、15%水性IPAで溶出するダイヤイオン(登録商標)HP-20(三菱化学株式会社)でのクロマトグラフィーに供した。溶出液を真空下で約350 mlに濃縮し、2M 硫酸(0.18 ml)を溶液に添加した。溶液を凍結乾燥して、3-[2-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}-1-({[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}メチル)エチル]-1-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-1-イウム 硫酸水素塩(424 mg)を得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (6H, s), 2.07-2.22 (2H, m), 3.12-3.61 (9H, m), 4.08-4.17 (2H, m), 4.85-5.21 (2H, m), 5.23 (1H, d, J=4.8 Hz), 5.84 (1H, d, J=4.8 Hz), 7.84 (1H, s)
【0194】
製造例34
[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(12.47 g)のDMF(ジメチルホルムアミド: 125 ml)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物、1.43 g)を氷冷下で分割しながら添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物に(4-ブロモブトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(9.20 g)およびNaI(5.38 g)を室温で添加し、混合物を同じ温度で一晩撹拌した。得られた混合物を水に注ぎ、EtOAc(酢酸エチル)で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残存する固体をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製して、 (4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ブチル)[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(7.80 g)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 0.00 (6H, s), 0.83 (9H, s), 1.20-1.40 (4H, m), 2.70-2.95 (2H, m), 2.74 (3H, s), 3.45-3.55 (2H, m), 6.02 (1H, s), 7.00-7.35 (16H, m), 7.59 (1H, s)
【0195】
製造例35
(4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ブチル)[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(7.00 g)のTHF(70 ml)溶液に、1.0 MテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF(13 ml)溶液を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。得られた混合物に水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残存する固体をカラムクロマトグラフィーにより精製して、(4-ヒドロキシブチル)[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(4.68 g)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.13-1.38 (4H, m), 2.70-2.90 (2H, m), 2.76 (3H, s), 3.25-3.40 (2H, m), 4.35 (1H, t, J=5.2 Hz), 6.03 (1H, s), 7.00-7.35 (16H, m, J=7.58 Hz), 7.58 (1H, s)
【0196】
製造例36
(4-ヒドロキシブチル)[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(455 mg)のCH2Cl2(9 ml)溶液に、トリエチルアミン(0.28 ml)およびメタンスルホニルクロリド(0.103 ml)を氷冷下で添加した。混合物を室温で0.5時間撹拌した。得られた混合物に水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残存する固体をカラムクロマトグラフィーにより精製して、4-{ホルミル[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]アミノ}ブチル メタンスルホナート(484 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.17-1.38 (2H, m), 1.38-1.60 (2H, m), 2.76 (3H, s), 2.89 (2H, t, J=7.1 Hz), 3.14 (3H, s), 4.07-4.18 (2H, m, J=6.04 Hz), 6.04 (1H, s), 7.02-7.32 (16H, m), 7.60 (1H, s)
【0197】
製造例37
4-{ホルミル[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]アミノ}ブチル メタンスルホナート(5.00 g)のDMF(50 ml)溶液に、アジ化ナトリウム(1.22 g)を添加した。混合物を80℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、水を得られた混合物に添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、(4-アジドブチル)[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(4.50 g)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.08-1.45 (4H, m), 2.76 (3H, s), 2.80-2.95 (2H, m), 3.20-3.30 (2H, m), 6.04 (1H, s), 7.02-7.32 (16H, m), 7.60 (1H, s)
【0198】
製造例38
(4-アジドブチル)[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(418 mg)のTHF(4 ml)溶液に、10%パラジウム炭素(200 mg)を添加した。反応混合物をH2雰囲気下、40℃で2時間撹拌した。触媒を濾去し、触媒をTHFで洗浄した。合わせた濾液を真空下で濃縮した。残渣をCH2Cl2(4 ml)で希釈し、この溶液にトリエチルアミン(0.15 ml)およびトリチルクロリド(292 mg)を添加した。室温で2時間撹拌した後、得られた混合物に水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル][4-(トリチルアミノ)ブチル]ホルムアミド(192 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 0.95-1.45 (4H, m), 1.72-1.95 (2H, m), 2.60-2.90 (2H, m), 2.74 (3H, s), 6.02 (1H, s), 7.00-7.48 (31H, m), 7.63 (1H, s)
【0199】
製造例39
[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル][4-(トリチルアミノ)ブチル]ホルムアミド(3.4 g)のMeOH(34 ml)溶液に、濃HCl(4.2 ml)を添加した。反応混合物を室温で8時間撹拌した。反応混合物にNaHCO3(2.23 g)および水を添加した。揮発性成分を蒸発させ、残渣にNaHCO3(223 mg)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製1-メチル-N-4-[4-(トリチルアミノ)ブチル]-1H-ピラゾール-4,5-ジアミンを得た。この物質を、さらなる精製をすることなく、次の工程に用いた。
【0200】
製造例40
粗製1-メチル-N-4-[4-(トリチルアミノ)ブチル]-1H-ピラゾール-4,5-ジアミン(2.15 g)のTHF(43 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(2.38 g)およびトリエチルアミン(1.27 ml)を添加した。反応混合物を50℃で一晩撹拌した。得られた溶液に水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製して、ジ-tert-ブチル ((E)-{(5-アミノ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[4-(トリチルアミノ)ブチル]アミノ}メチリデン)ビスカルバマート(510 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.20-1.55 (4H, m), 1.33 (9H, s), 1.35 (9H, s), 1.80-2.00 (2H, m), 3.30-3.48 (2H, m), 3.50 (3H, s), 5.07 (2H, s), 5.76 (1H, s), 7.02 (1H, s), 7.11-7.45 (16H, m), 8.57 (1H, br-s), 9.15 (1H, s), 11.52 (1H, s)
【0201】
実施例14
5-アミノ-4-{(4-アミノブチル)[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}-2-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩を、実施例13と同様の方法に従って合成した。
1H-NMR (D2O) δ 1.55-1.78 (4H, m), 1.61 (6H, s), 2.90-3.10 (2H, m), 3.31 (1H, d, J=17.8 Hz), 3.40-3.88 (5H, m), 3.75 (3H, s), 4.75-5.35 (3H, m), 5.75-5.95 (1H, m), 8.05-8.25 (1H, m)
【0202】
製造例41
4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-アミン スルファート(10 g)のテトラヒドロフラン(100 ml)懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(16.22 ml)およびベンジル {2-[(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)オキシ]-2-オキソエチル}カルバマート(14.26 g)を氷冷下で添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、水および酢酸エチルの混合物に注いだ。混合物に炭酸水素ナトリウムおよび塩化ナトリウムを添加した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で蒸発させて、ベンジル [2-オキソ-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エチル]カルバマート(13.51 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.88-2.02 (2H, m), 3.12-3.21 (2H, m), 3.72 (2H, d, J=6.1 Hz), 3.94 (2H, t, J=6.02 Hz), 5.04 (2H, s), 5.43 (1H, s), 7.05 (1H, s), 7.32-7.41 (5H, m), 7.50 (1H, t, J=6.1 Hz), 9.23 (1H, s)
【0203】
製造例42
ベンジル [2-オキソ-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エチル]カルバマート(7 g)のメタノール(140 ml)溶液に、10%パラジウム炭素(700 mg)を添加し、混合物をバルーン圧下で4時間水素化した。反応混合物をセライト(登録商標)のベッドを通して濾過し、濾液を真空下で濃縮して、2-アミノ-N-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)アセトアミド(4 g)を得た。
1H-NMR δ 1.90-2.04 (2H, m), 3.15-3.42 (4H, m), 3.94 (2H, t, J=6.04 Hz), 5.55 (1H, s), 7.15 (1H, s)
【0204】
製造例43
2-アミノ-N-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)アセトアミド(4 g)の塩化メチレン(160 ml)懸濁液に、水素化ジイソブチルアルミニウム (トルエン中1.01 M溶液)(122 ml)を室温で添加し、反応混合物を窒素雰囲気下で5時間還流した。0℃〜5℃に冷却した後、混合物を追加の塩化メチレン(160 ml)で希釈し、混合物にフッ化ナトリウム(24 g)を一度に添加した。混合物に水(4 ml)を氷冷下で滴下し、室温まで温めた。室温で30分撹拌した後、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(17.64 g)を混合物に添加した。混合物を18時間還流し、不溶物質を濾去した。濾液を水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製して、ジ-tert-ブチル [(1E,6Z)-6-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-10,10-ジメチル-8-オキソ-2-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-9-オキサ-2,5,7-トリアザウンデク-6-エン-1-イル-1-イリデン]ビスカルバマート(650 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.32-1.51 (36H, m), 1.92-2.01 (2H, m), 3.11-3.20 (2H, m), 3.31-3.55 (2H, m), 3.60-3.71 (2H, m), 3.89-3.98 (2H, m), 5.78 (1H, br-s), 7.09 (1H, s), 8.32 (1H, m), 11.43 (1H, s)
【0205】
実施例15
3-[[アミノ(イミノ)メチル](2-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}エチル)アミノ]-1-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-1-イウム 硫酸水素塩を、実施例13と同様の方法に従って合成した。
1H-NMR (D2O) δ 1.58 (6H, s), 2.12-2.25 (2H, m), 3.13-3.92 (8H, m), 4.09-4.21 (2H, m), 4.65-4.98 (2H, m), 5.27 (1H, m), 5.83 (1H, d, J=4.74 Hz), 7.98-8.18 (1H, m)
【0206】
実施例16
4-メトキシベンジル 7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-クロロメチル-3-セフェム-4-カルボキシラート(477 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.0 ml)溶液にN-(トリメチルシリル)アセトアミド(459 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(162 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にtert-ブチル {3-[2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ]-3-(4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)プロピルアミノ}[(tert-ブトキシカルボニル)イミノ]メチルカルバマート (340 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.0 ml)溶液を添加し、混合物全体を50℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチル(30 ml)を添加し、溶液を水(25 ml × 2)、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液(25 ml)および食塩水(25 ml)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で約3 mlに濃縮した。濃縮物をジイソプロピルエーテル(40 ml)に注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(2.0 ml)溶液に、アニソール(0.66 ml)およびトリフルオロ酢酸(2.0 ml)を添加した。得られた溶液を室温で4時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル(40 ml)に注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物(580 mg)を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。所望の生成物を含む第1の溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、20%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 M 硫酸(0.7 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[3-(1,3-ジグアニジノプロピル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(29 mg)をアモルファス固体として得た。
第2の溶出液を、上記のように後処理して(0.05 mol/l 硫酸: 0.3 ml)、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[3-(1,3-ジグアニジノプロピル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(19 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.62 (3H, s), 1.62 (3H, s), 2.05-2.23 (4H, m), 3.20-3.49 (6H, m), 4.04-4.22 (2H, m), 4.64 (1H, t, J=7.3 Hz), 4.95 (1H, d, J=16.5 Hz), 5.21 (1H, d, J=16.5 Hz), 5.26 (1H, d, J=4.6 Hz), 5.85 (1H, d, J=4.6 Hz), 7.91 (1H, s)
1H-NMR (D2O) δ 1.63 (3H, s), 1.63 (3H, s), 2.05-2.23 (4H, m), 3.20-3.49 (6H, m), 4.08-4.19 (2H, m), 4.64 (1H, t, J=7.3 Hz), 4.90 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.19 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.26 (1H, d, J=5.0 Hz), 5.85 (1H, d, J=5.0 Hz), 7.90 (1H, s)
【0207】
実施例17
7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(2-アミノエチル)グアニジノ]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(395 mg)の水(8 ml)溶液に、炭酸カリウム(380 mg)およびエチルアセトイミダート 塩酸塩(880 mg)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を、ODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、20%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 M硫酸(4.6 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[3-{1-[2-(アセトイミドイルアミノ)エチル]グアニジノ}-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(186 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.63 (6H, s), 2.16-2.25 (2H, m), 2.23 (3H, s), 3.31-4.01 (8H, m), 4.11-4.27 (2H, m), 4.92-5.01 (1H, m), 5.10-5.25 (1H, m), 5.29 (1H, d, J=4.6 Hz), 5.85 (1H, d, J=4.6 Hz), 8.03-8.25 (1H, m)
【0208】
実施例18
7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(2-アミノエチル)グアニジノ]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(395 mg)のリン酸緩衝溶液(pH 6.8, 100 ml)溶液を、37℃で24時間撹拌した。反応混合物を、ODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、20%アセトニトリル/水で溶出するODSカラムを用いる分取HPLCによりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 M 硫酸(2.0 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[3-(2-イミノイミダゾリジン-1-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)]メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(73 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.63 (3H, s), 1.63 (3H, s), 2.12-2.25 (2H, m), 3.27 (1H, d, J=18.3 Hz), 3.36-3.46 (2H, m), 3.59 (1H, d, J=18.3 Hz), 3.80 (2H, t, J=8.7 Hz), 3.88-3.99 (2H, m), 4.17 (1H, t, J=6.0 Hz), 4.98 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.22 (1H, d, J=15.6 Hz), 5.28 (1H, d, J=5.0 Hz), 5.88 (1H, d, J=5.0 Hz), 8.12 (1H, s)
【0209】
実施例19
7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-{3-[1-(2-アミノエチル)グアニジノ]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート スルファート(395 mg)の水(8 ml)溶液に、炭酸カリウム(380 mg)およびイソプロピル ホルムイミダート 塩酸塩(880 mg)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を、ODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。所望の生成物を含む溶出液を、真空下で約20 mlに濃縮した。濃縮物を、20%アセトニトリル/水で溶出するODS カラムを用いる分取HPLC によりさらに精製した。溶出液を真空下で約10 mlに濃縮し、これに0.05 M硫酸(1.2 ml)を添加した。得られた溶液を凍結乾燥して、7β-[(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-(1-カルボキシ-1-メチルエトキシイミノ)アセトアミド]-3-[3-{1-[2-(ホルムイミドイルアミノ)エチル]グアニジノ}-4,5,6,7-テトラヒドロ-1-(ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニオ)}メチル-3-セフェム-4-カルボキシラート 硫酸塩(54 mg)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.63 (6H, s), 2.12-2.26 (2H, m), 3.27-4.05 (8H, m), 4.10-4.27 (2H, m), 4.89-5.00 (1H, m), 5.09-5.26 (1H, m), 5.29 (1H, d, J=4.1 Hz), 5.85 (1H, d, J=4.1 Hz), 8.04-8.23 (1H, m)
【0210】
製造例44
N-[1-(2-ヒドロキシエチル)-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド (4.3 g)のDMF(43 mL)撹拌溶液に、窒素下、0℃で水素化ナトリウム(459 mg, 60%油状物懸濁液)を添加し、混合物を同じ温度で15分撹拌した。3-ブロモ-N-トリチルプロパン-1-アミン(4.36 g)のDMF(10 mL)およびNaI(1.72 g)溶液を混合物に添加し、混合物を室温まで加温しながら2時間撹拌した。10% KHSO4水溶液を反応溶液に添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。有機溶媒を減圧下で除去して、残存油状物を得、これをオープンカラムクロマトグラフィー (SiO2;CH2Cl2→CH2Cl2: EtOAc = 2:1)で精製して、N-[1-(2-ヒドロキシエチル)-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]-N-[3-(トリチルアミノ)プロピル]ホルムアミド(4.52 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.7-3.5 (10H, m), 4.7-4.9 (1H, m), 5.48 & 6.07 (1H, s), 7.0-7.6 (33H, m)
ESI Mass: 710.3 [M-H]- (ネガティブ)
【0211】
製造例45
[N-[1-(2-ヒドロキシエチル)-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]-N-[3-(トリチルアミノ)プロピル]ホルムアミド(4.4 g)のMeOH(45 ml)溶液に、濃塩酸(5.3 ml)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物にNaHCO3(5.3 g)を添加し、揮発性成分を蒸発により除去した。残渣をEtOAcで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製2-(5-アミノ-4-{[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}-1H-ピラゾール-1-イル)エタノールを得た。この物質を、さらなる精製をすることなく、次の工程に用いた。
【0212】
製造例46
粗製2-(5-アミノ-4-{[3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(1.4 g)のTHF(30 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(1.86 g)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。追加のジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(620 mg)を混合物に添加し、混合物を同じ温度で一晩撹拌した。得られた溶液に水を添加し、溶液をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して、ジ-tert-ブチル [(E)-{[5-アミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル][3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン]ビスカルバマート(1.39 g)をアモルファス固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.30 (9H, s), 1.32 (9H, s), 1.5-1.7 (2H, m), 1.8-2.0 (2H, m), 3.4-3.7 (4H, m), 3.8-4.0 (2H, m), 4.8-5.0 (3H, m), 6.94 (1H, s), 7.1-7.5 (16H, m), 8.5-8.7 (1H, m)
ESI Mass: 706.3 [M+H]+ (ポジティブ)
【0213】
実施例20
4-メトキシベンジル (6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(2-tert-ブトキシ-1,1-ジメチル-2-オキソエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-3-(クロロメチル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシラート(1.3 g)のDMF(3.9 ml)溶液に、1,3-ビス(トリメチルシリル)尿素(1.95 g)を添加し、混合物を室温で40分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(443 mg)を添加し、混合物を室温で40分撹拌した。反応混合物にジ-tert-ブチル [(E)-{[5-アミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル][3-(トリチルアミノ)プロピル]アミノ}メチリデン]ビスカルバマート(1.37 g)を添加し、混合物を38℃で一晩撹拌した。得られた反応混合物にEtOAcを添加し、溶液を水、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液および食塩水で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をIPEに注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。得られた固体を塩化メチレン(6.48 ml)に溶解し、アニソール(2.16 ml)およびトリフルオロ酢酸(6.48 ml)を溶液に添加した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、IPEに注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む溶出液のpHを2M-硫酸で1.5に調整し、溶出液を15%水性IPAで溶出するダイヤイオン(登録商標)HP-20(三菱化学株式会社)上でのクロマトグラフィーに供した。溶出液を真空下で約350 mlに濃縮した。濃縮した溶液に等量の2M-硫酸を添加し、混合物を凍結乾燥して、5-アミノ-4-{[アミノ(イミノ)メチル](3-アミノプロピル)アミノ}-2-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩を得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (6H, s), 1.8-2.2 (2H, m), 2.9-3.1 (2H, m), 3.2-3.8 (4H, m), 3.8-4.0 (2H, m), 4.3-4.5 (2H, m), 4.8-5.2 (2H, m), 5.2-5.3 (1H, m), 5.8-5.9 (1H, m), 8.1-8.3 (1H, m)
【0214】
製造例47
N-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]ホルムアミド(8 g)のDMF(60 mL)撹拌溶液に、窒素下、0℃でNaH(920 mg, 60%油状物懸濁液)を添加し、混合物を15分間同じ温度で撹拌した。(2-ブロモエチル)トリチルアミン(8.43 g)のDMF(20 mL)およびNaI(3.45 g)溶液を混合物に添加し、混合物を室温まで加温しながら2時間撹拌した。10%水性KHSO4を反応溶液に添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。有機溶媒を減圧下で除去して、残存油状物を得、これをオープンカラムクロマトグラフィー(SiO2;CH2Cl2→CH2Cl2: EtOAc = 2:1)で精製して、N-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]-N-[2-(トリチルアミノ)エチル]ホルムアミド(11.5 g)を得た。
ESI Mass: 691.1 [M+Na]+ (ポジティブ)
1H-NMR (CDCl3) δ 2.5-3.3 (4H, m), 2.57 & 2.71 (3H, s), 5.24 & 5.96 (1H, s), 6.8-7.5 (32H, m), 7.64 & 7.70 (1H, s)
【0215】
製造例48
N-[1-メチル-5-(トリチルアミノ)-1H-ピラゾール-4-イル]-N-[2-(トリチルアミノ)エチル]ホルムアミド(3 g)のMeOH(30 ml)溶液に、濃塩酸(3.7 ml)を添加した。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物にNaHCO3(3.77 g)を添加し、揮発性成分を蒸発により除去した。残渣をEtOAcで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製1-メチル-N-4-[2-(トリチルアミノ)エチル]-1H-ピラゾール-4,5-ジアミンを得た。この物質を、さらなる精製をすることなく、次の工程に用いた。
【0216】
製造例49
粗製1-メチル-N-4-[2-(トリチルアミノ)エチル]-1H-ピラゾール-4,5-ジアミン(1.79 g)のTHF(36 ml)溶液に、ジ-tert-ブチル ({[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミノ}メチレン)ビスカルバマート(3.51 g)およびトリエチルアミン(1.88 ml)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。得られた溶液に水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ジ-tert-ブチル [(E)-{(5-アミノ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[2-(トリチルアミノ)エチル]アミノ}メチリデン]ビスカルバマート(450 mg)をアモルファス固体として得た。
ESI Mass: 638.3 [M-H]- (ネガティブ)
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.35 (18H, s), 2.1-2.2 (2H, m), 3.46 (3H, s), 3.5-3.7 (2H, m), 5.14 (2H, s), 6.74 (1H, s), 7.1-7.5 (17H, m)
【0217】
実施例21
4-メトキシベンジル (6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(2-tert-ブトキシ-1,1-ジメチル-2-オキソエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-3-(クロロメチル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボキシラート(1 g)のDMF(3 ml)溶液に、1,3-ビス(トリメチルシリル)尿素(1.5 g)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。溶液にヨウ化カリウム(341 mg)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。反応混合物にジ-tert-ブチル [(E)-{(5-アミノ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[2-(トリチルアミノ)エチル]アミノ}メチリデン]ビスカルバマート(986 mg)を添加し、混合物を38℃で一晩撹拌した。得られた反応混合物に酢酸エチルを添加し、溶液を水、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、10%トリフルオロ酢酸ナトリウム水溶液および食塩水で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、IPEに注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥した。固体の塩化メチレン(6 ml)溶液にアニソール(2 ml)およびトリフルオロ酢酸(6 ml)を添加し、得られた溶液を室温で3時間撹拌し、IPEに注いだ。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥して、粗製生成物を得、これをODSカラムを用いる分取高速液体クロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物を含む溶出液のpHを、2M-硫酸で1.5に調整し、溶出液を15%水性IPAで溶出するダイヤイオン(登録商標)HP-20(三菱化学株式会社)上でのクロマトグラフィーに供した。精製した溶出液を、真空下で約350 mlに濃縮した。溶液に等量の2M-硫酸を添加し、溶液を凍結乾燥して、5-アミノ-4-{(2-アミノエチル)[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}-2-{[(6R,7R)-7-({(2Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2-[(1-カルボキシ-1-メチルエトキシ)イミノ]アセチル}アミノ)-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル}-1-メチル-1H-ピラゾール-2-イウム 硫酸水素塩を得た。
1H-NMR (D2O) δ 1.61 (6H, s), 3.2-3.4 (3H, m), 3.5-4.2 (3H, m), 4.7-5.2 (2H, m), 5.28 (1H, d, J = 4.8 Hz), 5.86 (1H, d, J = 4.6 Hz), 8.2-8.3 (1H, m)
【産業上の利用可能性】
【0218】
産業上の利用可能性
本発明は、新規なセフェム化合物およびその医薬上許容され得る塩、ならびにその製造方法を提供する。セフェム化合物およびその医薬上許容され得る塩は、優れた抗菌活性を示し、抗菌薬などの医薬に有用である。
本願は、2006年3月16日に出願された米国特許仮出願第60/782,536号に基づき、その内容は本明細書中で参照として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[I]:
【化1】

(式中、
は、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
は、水素もしくはアミノ保護基であるか、または
およびRは、一緒に結合して低級アルキレンを形成する;
は、
【化2】

(式中、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノまたは保護されていてもよいグアニジノであり(但し、RおよびRは同時にアミノ基ではない)、
mおよびnは、独立して、0〜6の整数であり、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノ、保護されていてもよいイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されていてもよいグアニジノまたは保護されていてもよいアミジノであり、かつ
qおよびrは、独立して、0〜6の整数であるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する)で表される基であり、
は、保護されていてもよいカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり、かつ、
は、アミノまたは保護されたアミノである)
の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
【請求項2】
が、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
が、水素、アリール(低級)アルキルもしくはアシルであるか、または
およびRが、一緒に結合して、低級アルキレンを形成する;
が、カルボキシまたはエステル化されたカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり;
が、アミノ、アリール(低級)アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノまたは低級アルコキシカルボニルアミノであり;
およびRが、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRが、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノもしくはグアニジノであるか、または
およびRが、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する、
請求項1の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
【請求項3】
が、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
が、水素、アリール(低級)アルキル、低級アルカノイルもしくは低級アルコキシカルボニルであるか、または
およびRが、一緒に結合して、低級アルキレンを形成し;
が、カルボキシまたはエステル化されたカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり;
が、アミノ、アリール(低級)アルキルアミノまたはアシルアミノであり;
およびRが、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRが、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノもしくはグアニジノであるか、または
およびRが、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、5−もしくは6−員の置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する、
請求項2の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
【請求項4】
が、低級アルキルであり、
が、水素であるか、または
およびRが、一緒に結合して、低級アルキレンを形成し;
が、低級アルキルまたはカルボキシ(低級)アルキルであり;
が、アミノであり;
およびRが、独立して、グアニジノまたはアミノであり;かつ
およびRが、独立して、アミジノ、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノもしくはグアニジノであるか、または
およびRが、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、
【化3】

で表される基を形成する、
請求項3の化合物、またはその医薬上許容され得る塩。
【請求項5】
式[I]:
【化4】

(式中、
は、低級アルキルもしくはヒドロキシ(低級)アルキルであり、かつ
は、水素もしくはアミノ保護基であるか、または
およびRは、一緒に結合して低級アルキレンを形成する;
は、
【化5】

(式中、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノまたは保護されていてもよいグアニジノであり(但し、RおよびRは同時にアミノ基ではない)、
mおよびnは、独立して、0〜6の整数であり、
およびRは、独立して、保護されていてもよいアミノ、保護されていてもよいイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されていてもよいグアニジノまたは保護されていてもよいアミジノであり、かつ
qおよびrは、独立して、0〜6の整数であるか、または
およびRは、隣接するアルキレンおよび窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい飽和窒素含有ヘテロ環を形成する)で表される基であり、
は、カルボキシまたは保護されていてもよいカルボキシで置換されていてもよい低級アルキルであり、かつ、
は、アミノまたは保護されたアミノである)
の化合物、またはその医薬上許容され得る塩の製造方法であって、
(1)式[II]:
【化6】

(式中、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであるか、またはアミノ基におけるその反応性誘導体である)の化合物またはその塩を、
式[III]:
【化7】

(式中、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであるか、またはカルボキシ基におけるその反応性誘導体である)の化合物またはその塩と反応させて、
式[I]:
【化8】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりである)の化合物またはその塩を得る工程、あるいは
(2)式[Ia]:
【化9】

(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、Raは、
【化10】

(式中、
m、n、qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、
aおよびRaは、独立して、保護されたアミノまたは保護されたグアニジノであり、かつ
aおよびRaは、独立して、保護されたアミノ、保護されたイミノ(低級)アルキルアミノ、保護されたグアニジノまたは保護されたアミジノである)
で表される基である)
の化合物またはその塩を、アミノ保護基の脱離反応に供して、
式[Ib]:
【化11】

(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、Rbは、
【化12】

(式中、m、n、qおよびrは、それぞれ上記で定義したとおりであり、
bおよびRbは、独立して、アミノまたはグアニジノであり、かつ
bおよびRbは、独立して、アミノ、イミノ(低級)アルキルアミノ、グアニジノまたはアミジノである)で表される基である)の化合物またはその塩を得る工程、あるいは
(3)式[VI]:
【化13】

(式中、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりであり、R11は、保護されたカルボキシであり、かつ、Yは、脱離基である)の化合物またはその塩を、
式[VII]:
【化14】

(式中、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりである)の化合物またはその塩と反応させて、
式[VIII]:
【化15】

(式中、R、R、R、R、RおよびR11は、それぞれ上記で定義したとおりであり、かつ、
【化16】

は、アニオンである)の化合物またはその塩を得る工程、および
式[VIII]の化合物またはその塩を、カルボキシ保護基の脱離反応に供して、
式[I]:
【化17】

(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ上記で定義したとおりである)の化合物またはその塩を得る工程、
を含む、方法。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1の化合物またはその医薬上許容され得る塩。
【請求項7】
抗菌薬として使用するための、請求項1の化合物またはその医薬上許容され得る塩。
【請求項8】
感染症の治療用医薬を製造するための、請求項1の化合物またはその医薬上許容され得る塩の使用。
【請求項9】
医薬上許容され得る担体と混合した、請求項1の化合物またはその医薬上許容され得る塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1の化合物またはその医薬上許容され得る塩を哺乳動物に投与することを含む、感染症の治療方法。

【公表番号】特表2009−530228(P2009−530228A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543333(P2008−543333)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/JP2007/056136
【国際公開番号】WO2007/119511
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【出願人】(000250100)湧永製薬株式会社 (51)
【Fターム(参考)】