説明

セフォゾプランの改良した製造方法

本発明は、一般式(I)のセフォゾプラン、その塩酸塩、その水和物およびその溶媒和物の改良した製造方法に関する。より具体的には、本発明は、セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物の製造方法、セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物の新規な結晶形、ならびにセフォゾプランの医薬組成物の改良した製造方法を提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)のセフォゾプラン、その塩酸塩、その水和物およびその溶媒和物の改良した製造方法に関する。本発明は、セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物の製造方法、セフォゾプラン塩酸塩をさらに提供する。本発明は、セフォゾプラン含有医薬組成物の改良した製造方法も提供する。
【化1】

【0002】
セフォゾプラン、すなわち半合成の非経口セファロスポリンは、肺炎桿菌DT-Sにより引き起こされる急性気道感染症に対処される。肺炎桿菌27により引き起こされる慢性気道感染症のモデルにある。緑膿菌P9により引き起こされる尿路感染症に対するセフォゾプランの治療効果がある。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌N133により引き起こされる大腿筋感染症に対して、セフォゾプランは最も効果のある薬剤であった。マウスでのこれらの実験的な感染症におけるセフォゾプランの強力な治療効果からは、ヒトにおける種々のグラム陽性及びグラム陰性バクテリアにより引き起こされる気道、尿道および軟組織感染症に対する有効性が示唆される。化学的な特定は、1-[[(6R,7R)-7-[[(2Z)-(5-アミノ-1,2,4-チアジゾール-3イル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-2-カルボキシ-8-オキソ-5-チア-1-アザミシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-3-イル]メチル]イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム内塩である。セフォゾプランの商業形態はFIRSTCIN(登録商標)であり、これはセフォゾプラン塩酸塩に炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムとが伴う組み合わせである。
【0003】
セフォゾプランは米国特許第4,864,022号に初めて開示され、そこでは、セフォゾプランとその塩酸塩の製造方法も開示される。該特許では、7-ACAからのセフォゾプラン中間体の製造方法及びセフォゾプラン中間体を活性化アミノチアジアゾールと反応させることによるセフォゾプランの製造方法がさらに開示されている。
【0004】
米国特許第4,978,752号(対応日本国特許第1,932,035号)では、セフォゾプラン塩酸塩の結晶あるいはアセトン及びエタノール溶媒和物の結晶ならびにそれらの製造方法がクレームされている。該特許にて描写される方法を出願人が再現したところ、過剰の溶媒との共存下であっても該固体を分離することは困難であることが判明した。
【0005】
米国特許第6,794,372号ではセフォゾプランの硝酸塩がクレームされ、米国特許第6,642,377号では、対応するシュウ酸塩を無機酸のアルカリ土類金属塩を用いて交換することによるセフォゾプラン塩酸塩の製造方法がクレームされている。セフォゾプランの硝酸塩又はシュウ酸塩をその塩酸塩に転換するには、収率の低下を招く硝酸又はシュウ酸アニオンを除去するために樹脂を要していた。
【0006】
日本国特許第10,152,490号には、水酸化ナトリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムのような塩基を用いて、セフォゾプラン中間体をアミノチアジアゾールの酸塩化物で縮合することによるセフォゾプランの製造方法がクレームされている。
【0007】
国際出願公開第97/39002ではシリル化した7-ACA及びイミダゾ[1,2-b]ピリジアジンを伴うセフォゾプラン中間体の製造方法がクレームされ、酸又はアンモニウム塩又はルイス塩基を含む硫黄の存在する不活性溶媒中で、ヘキサメチルジシラザンで7-ACAのシリル化が行われる。
【0008】
日本国特許第3,737,642号ではセフォゾプラン塩酸塩と塩基性炭酸塩とを水又はエチルアルコール溶液に溶解させ、ついでフリーズドライすることによるセファロスポリン注射液の製造方法がクレームされ、ここでの塩基性炭酸塩は炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムである。この特許は、凍結乾燥のために有機溶媒の使用を伴っていて、それにより最終プロダクトに高い溶媒残渣が生じる結果となり、含まれる公知の不純物がより低量である高純度の有機溶媒が要求され、このことは製造コストをより高くすることになる。さらに、最終の凍結乾燥溶媒におけるエタノールのような二次溶媒の使用により、オペレーターは燃焼性や爆発の可能性に起因する安全性問題に気を配ることになり、さらに環境への悪影響、真空ポンプの故障の可能性があり、それゆえ、商業的には実現可能ではない。
【0009】
セフォゾプランの調製について従来記載された方法では、アセトン、メタノール、THF、水又はそれらの混合物といった溶媒中で、有機アミン塩基の存在下、活性アミノチアジアゾールを伴うセフォゾプラン中間体を縮合することを含む。セフォゾプランの純粋な形態を得るためには、従来法ではセフォゾプランをその硝酸塩又はシュウ酸塩に変換しており、そのため、収量が低減してしまう。さらに、従来法ではセフォゾプランHClの結晶性のアセトン又はエタノール溶媒和物を用いており、本願出願人は、特許に記載された結晶性のアセトン又はエタノール溶媒和物の単離の方法はそれ自体、過剰量のアセトン又はエタノールを用いた後であっても、ラボスケールで再現性が無いことを見出した。そのため、記載の方法は商業的な観点からは適用できない。
【0010】
継続的な研究において、我々は、有機溶媒及び水の混合物中、塩基の存在下で、一般式(III)の活性化チオエステルとともに一般式(II)の中間体を縮合し、反応混合物から直接にセフォゾプランを単離することによる、セフォゾプランの改良された製造方法を見出し、該方法は複雑さが除かれ、通常の作業手順で行われ、良好な純度及び収量にてセフォゾプランが得られる。さらに我々は、ラボスケールおよびバルクスケールにて安定的に再現可能な、セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物及びセフォゾプラン塩酸塩の新規の結晶形を創出し、また、高い品質および色彩であり特に不純物フリーであるその改良された製造方法を創りだした。さらに、金属炭酸塩を伴うセフォゾプラン塩酸塩と塩とを水と水混和性有機溶媒との混合物に溶解し、水非混和性有機溶媒での抽出で水混和性有機溶媒を除去し、得られた溶液をフリーズドライ又は沈降又はスプレードライすることによりプロダクトを単離することによる、セフォゾプランの医薬組成物を調製した。この製法では、最終プロダクトにおける高濃度の溶媒残渣および有機溶媒使用の凍結乾燥を伴う複雑さが回避される。先行技術のいずれも、本発明を示唆しないし、動機付けすら与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,864,022号公報
【特許文献2】米国特許第4,978,752号公報
【特許文献3】特許第1,932,035号公報
【特許文献4】米国特許第6,794,372号公報
【特許文献5】米国特許第6,642,377号公報
【特許文献6】国際特許出願公開第97/39002号パンフレット
【特許文献7】特許第3,737,642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主たる課題は反応混合物から直接に良好な純度の一般式(I)のセフォゾプランを製造する改良した方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の課題はセフォゾプランを直接に分離する実用的な方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の課題は、新規なセフォゾプラン塩酸塩水和物又は溶媒和物ならびにセフォゾプラン塩酸塩又はその水和物の新規な結晶形を提供することである。
【0015】
本発明のいまひとつの課題は新規なセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の課題は、炭酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを含み医薬的に許容されるレベルの溶媒を伴うセフォゾプランの医薬組成物の改良した製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
その結果、本発明により、一般式(I)のセフォゾプラン及びその塩酸塩の改良した製造方法が提供される。
【化2】

【0018】
当該製法は下記工程を有する:
i) 水混和性有機溶媒と水との2以上の混合物中で、有機塩基の存在下、一般式(II)の化合物(但し、HXは酸を示す。)を、一般式(III)のアミノチアジアゾール酢酸の活性チオエステルで縮合すること(ここでの改良は、2以上の水混和性有機溶媒を水とともに用いることにある。);
ii) 任意的に、水混和性溶媒を加えること;
iii) ろ過により一般式(I)のセフォゾプランを単離すること;
iv) 任意的に、セフォゾプランを精製すること;
v) 溶媒中で、セフォゾプランをその塩酸塩へと変換すること;
vi) 工程(v)の溶液とIPAとを混合すること;および、
vii) セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を単離すること。
【化3】

【0019】
別の観点からは、本発明は新規なセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を提供し、その製造方法も提供する。当該製法は下記工程を有する:
a) 溶媒中で、セフォゾプランをその塩酸塩へと変換すること;
b) 工程(a)の溶液とIPAとを混合すること;および、
c) セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を単離すること。
【化4】

【0020】
さらに別の観点からは、本発明は、水分量15〜20%の図1に表されかつ水分量4〜8%の図2に表される、セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物の新規な結晶形を提供し、その製造方法も提供する。当該製法は下記工程を有する:
1) セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を水に溶解させること;
2) セフォゾプラン塩酸塩を結晶化させること;
3) 水分量15〜20%の範囲で図1に表される結晶性セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物を単離すること;および、
4) 任意的に、工程(3)で得られた固体を乾燥して、水分量4〜8%の範囲で図2に表されるセフォゾプラン塩酸塩又はその水和物を得ること。
【0021】
また別の観点からは、本発明は、セフォゾプランを含む医薬組成物の製造のための改良した凍結乾燥方法も提供し、当該製法は下記工程を有する:
i) 水と水混和性有機溶媒との混合物中に、セフォゾプラン塩酸塩を得ること;
ii) 固体及び/又は溶液の形態で、塩化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを混合して又は個別に加えること;
iii) 工程(ii)で得られた溶液を水非混和性有機溶媒で洗浄すること;
iv) 任意的に、該水溶液を脱気すること;および、
v) 工程(iii)又は工程(iv)の水溶液を凍結乾燥してセフォゾプランの医薬組成物を得ること。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】水分量15〜20%の範囲の新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩の結晶形の粉末XRDパターン。
【図2】下記特徴の粉末X線回折装置で測定した、水分量4〜8%の範囲の新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩の結晶形の粉末XRDパターン。 |製造 | BRUKER AXS | |モデル | D8 ADVANCE | |データ処理システム | EVA 12.0.0.0.| |アノード | 銅 | |照射 | 銅 K alpha−1 | |波長 | 1.5406A° | |電流&電圧 | 40kV 30mA |
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施態様において、縮合のために工程(i)で用いる一般式(III)の活性アミノチアジアゾールエステルは2-(5-アミノ-1,2,4-チアジゾール-3イル)-2(Z)-メトキシイミノアセトアミド-2-メルカプトベンチアゾールエステル、2-メルカプト-5-メチル-1,3,4-オキサジアゾリル-(Z)-2-(5-アミノ-1,2,4-チアジゾール-3イル)-2-メトキシイミノアセテート等からなる群から選択され;あるいはその対応ハロ化合物を用いて活性化された2-(5-アミノ-1,2,4-チアジゾール-3イル)-2(Z)-メトキシイミノ酢酸である。
【0024】
本発明の別の実施態様では、工程(i)において縮合のために用いる水混和性有機溶媒はアセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジグリム、ブタノン、スルホラン、ジオキサン、DMF、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等から選択され;好ましくはテトラヒトドフラン、およびアセトンである。反応の為に2つの水混和性有機溶媒と水との組み合わせを用いることにより、高品質のプロダクトが得られ、反応がスムーズに進行することを出願人は見出し、これが本発明の新知見の一つを構成する。
【0025】
本発明のまた別の実施態様で、工程(i)で縮合のために用いる塩基はトリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、TMG(1,1,3,3-テトラメチルグアニジン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン)、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサノン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等から選択され、好ましくはN-エチルジイソプロピルアミンである。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様において、セフォゾプランの単離は、選択的に、水混和性有機溶媒を加えるか或いは反応混合物を冷却することによりなされ、好ましくは水混和性有機溶媒を加えることによる。
【0027】
本発明の別の実施態様において、任意的に、プロダクトの単離の前に反応混合物を超音波に供する。これは沈殿時間を減ずるのに役立つばかりではなく、沈殿の完成を確実にしてそれによりプロダクトの収率を向上するのに役立つ。そのように、該超音波技術は結晶化時間を減らし沈殿の完成を確実にするという意味で有用であり、その結果、全体のコスト及びバッチサイクルが最小化されることが見出された。当該技術は任意の医薬プロダクトへ拡張することができ、それらには、非限定的に、セファクロール、セファドロキシル、セファロニウム、セファロラム、セファマンドール、セファパロール、セファトリアジン、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セファネル、セフカペン、セフクリジン、セフダルオキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェドロロール、セフェムピドン、セフェピム、セフェタメット、セフェテコール、セフェトリアオール、セフィブトリル、セフィクシム、セフマチレン、セフメノキシン、セフメピジウム、セフメタゾール、セミノックス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォセリス、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォヴェシン、セフォクサゾール、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフポキシム、セフプロジル、セフキノム、セフロチル、セフロキサジン、セフスロジン、セフスミド、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチオキシド、セフチオキム、セフトリアキソン、セフラセタミン、セフロキシム、セフゾナム、セレコキシブ、セルゴシヴィル、セリプロロール、セマドチン、セファセトリル、セファドリン、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファランチン、セフラジン、アズトレオナム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、ファロペネム、イミペネム、メロペネム、パニペネム、スロペネム、スルバクタム、タゾバクタム、ピペラジリン、等のベータ−ラクタム抗生物質が含まれる。
【0028】
本発明のさらに別の実施態様において、縮合後の工程(ii)で用いられる水混和性有機溶媒はTHF、アセトン、エチルメチルケトン、ジグリム、ブタノン、ジオキサン、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等から選択され、好ましくはアセトンまたはTHFである。
【0029】
本発明の別の実施態様において、セフォゾプランの精製はセフォゾプランを有機酸で処理することによりセフォゾプランをその有機酸付加塩またはその溶媒和物に変換し、次いで、中和して純粋なセフォゾプランを得ることにより実行される。
【0030】
本発明のまた別の目的においては、セフォゾプランをその有機酸付加塩へ変換するために用いる有機酸はトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸、ギ酸等であり、好ましくはトリフルオロ酢酸である。
【0031】
本発明の別の目的においては、セフォゾプラン有機酸付加塩の中和のために用いる塩基はアンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、TMG(1,1,3,3-テトラメチルグアニジン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン)等であり、好ましくはアンモニアである。
【0032】
本発明のまた別の実施態様において、セフォゾプランをその塩酸塩に変換するために工程(v)又は工程(a)で用いる溶媒はTHF、アセトン、エチルメチルケトン、ジグリム、ブタノン、ジオキサン、DMF、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水等あるいはそれらの混合物から選択され、好ましくはアセトンと水との混合物である。驚くべきことに、IPA溶媒和物としてセフォゾプラン塩酸塩を単離することは、既報の結晶性アセトン又はエタノール溶媒和物に対して、より良い色、高収率およびその純度における高品質がもたらされるため有利であり、さらに、セフォゾプランHCl・IPA溶媒和物を炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムとともに用いて調製されるセフォゾプランの医薬組成物は高い溶解性及び安定性を有することが知見された。出願人は、IPA溶媒和物としての単離はラボスケールでもプラントでも常に再現性があるのに対して、結晶性アセトン又はエタノール溶媒和物の単離は困難であることが分かった。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様において、図1及び2に表される新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩はより良い流動性を備え、熱力学的により安定であり、それ故、産業的により好ましいことが判明した。当該結晶は、セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を水に溶解して得るか、あるいは、反応混合物から直接に得た。好適には、セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を水に溶解することによりセフォゾプラン塩酸塩の水溶液を得る。
【0034】
本発明の別の実施態様において、結晶性セフォゾプラン塩酸塩は反応混合物を攪拌するかあるいは結晶性セフォゾプラン塩酸塩等を種にして結晶化させてなるものであり、好ましくは、反応混合液を攪拌してなるものである。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様において、結晶性セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物の単離はろ過、デカンテーション等によってなされ、好ましくはろ過による。驚くべきことに、本出願人は、15〜20%の範囲の水分量で図1に表されるPXRDを呈する湿ったセフォゾプラン塩酸塩、さらに乾燥して4〜8%の範囲の水分量で図2に表されるPXRDを呈する湿ったセフォゾプラン塩酸塩を得ることを見出した。上述の当該結晶形は開示されておらず、よって、本発明の新知見の1つを構成し、より良い流動性を備え、熱力学的により安定であり、それ故、産業的により好ましいことが分かった。
【0036】
本発明の別の実施態様において、プロダクトの単離の前に、反応混合物を任意的に超音波に供し、それによりプロダクトを特異的に結晶化させ、結果として、高純度及び狭い粒子サイズ分布で単離させ、結晶化の完了に要する時間を短縮させることができる。
【0037】
単離した新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩は良好な純度及び安定性を呈する。さらに、この新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩を用いて調製される緩衝化されたセフォゾプランも良好な純度及び安定性を呈する。
【0038】
本発明のまた別の実施態様において、セフォゾプランの医薬組成物の製造のために工程(i)で用いる水混和性有機溶媒はアセトン、メタノール、エタノール、THF、イソプロピルアルコール等およびそれらの混合物から選択される。
【0039】
本発明の別の実施態様では、塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムとの添加は単独又は組み合わせて、そして、固体及び/又は溶液の形態でなされ、添加の順序は逆であってもよい。
【0040】
本発明のさらに別の実施態様では、セフォゾプランの医薬組成物の製造のために工程(ii)で用いる水非混和性有機溶媒は塩化メチレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル等またはそれらの混合物から選択される。本出願人は、医薬プロダクト及び有機溶媒を含む水溶液を凍結乾燥して単離されるプロダクトは最終プロダクトに多くの溶媒残渣があり、単離されたプロダクトの純度も低いことを見出した。上述の当該方法により単離されたプロダクトは溶媒残渣が医薬的に許容されるレベルであり、高純度であり、それ故、本発明の新知見の1つを構成するものである。
【0041】
本発明のまた別の実施態様では、凍結乾燥に先立って水非混和性有機溶媒で洗浄することにより水溶液から水混和性有機溶媒を除去することは、任意の医薬プロダクトに展開することができ、それらには、非限定的に、セファクロール、セファドロキシル、セファロニウム、セファロラム、セファマンドール、セファパロール、セファトリアジン、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セファネル、セフカペン、セフクリジン、セフダルオキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェドロロール、セフェムピドン、セフェピム、セフェタメット、セフェテコール、セフェトリアオール、セフィブトリル、セフィクシム、セフマチレン、セフメノキシン、セフメピジウム、セフメタゾール、セミノックス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォセリス、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォヴェシン、セフォクサゾール、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフポキシム、セフプロジル、セフキノム、セフロチル、セフロキサジン、セフスロジン、セフスミド、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチオキシド、セフチオキム、セフトリアキソン、セフラセタミン、セフロキシム、セフゾナム、セレコキシブ、セルゴシヴィル、セリプロロール、セマドチン、セファセトリル、セファドリン、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファランチン、セフラジン、アズトレオナム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、ファロペネム、イミペネム、メロペネム、パニペネム、スロペネム、スルバクタム、タゾバクタム、ピペラジリン、等のベータラクタム抗生物質が含まれ、下記工程を有する改良された凍結乾燥方法を用いることで行うことができる:
i) 水と水混和性有機溶媒との混合物中で活性医薬成分を得ること;
ii) 任意的に、他の賦形剤を加えること;
iii) 工程(ii)で得られた溶液を水非混和性有機溶媒で洗浄すること;および、
iv) 凍結乾燥により医薬組成物を単離すること。
【0042】
本発明で用いる出発物質は文献にて入手可能な製法あるいはスキーム−(III)の製法を利用して調製される。
【化5】

【0043】
このように、有機溶媒、好ましくはジクロロメタン中でヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤を用いて7-アミノセファロスポラニン酸(7-ACA)をシリル化し、次いで、シリル化された7-ACAをトリメチルシリルヨージド(ヘキサメチルジシランとヨウ素とを有機溶媒、好ましくはジクロロメタン中で処理することにより調製される。)の溶液に反応させ、次の生成物をトリエチルアミンとイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(これは文献で提示される方法またはスキーム−IV又はVに表される方法を用いることにより調製される。)で処理することにより本発明の出発物質を調製する。反応混合物をメタノールと希HClとの混合物へ入れてクエンチし、次いで、トリエチルアミンを用いて水相のpHを調整(〜3へ)することにより、一般式IIの化合物を反応混合物から単離する。任意的に、粗化合物をメタノールと希釈HClとの混合物へ溶解し、次いで、このクリアな溶液をカーボン処理に供し、EDTAと亜ジチオン酸ナトリウムとの存在下でTEAを用いて水相のpHを3に調整することにより、上記で得た一般式IIの化合物を精製する。
【化6】

【0044】
異なる方式で開示された発明を適用したり、開示に照らして本発明を改良することにより、多くの他の有用な結果を得ることができる。
【0045】
下記実施例により本発明を説明するが、これらは説明のみのために提示され、本発明の範囲を限定するためのものとみなすべきではない。
【実施例1】
【0046】
<実施例 1: セフォゾプランの調製:>
<メソッド-A:>
THF(125 mL)、アセトン(62.5 mL)および純水(62.5 mL)の混合物へ、一般式(II)の化合物(25 g)と2-(5-アミノ-1,2,4-チアジゾール-3-イル)-2(Z)-メトキシイミノアセトアミド-2-メルカプトベンゾチアゾールエステル(ZAEM)(27.6 g)とを加えた。N-エチルジイソプロピルアミンを用いて反応混合物のpHを7.0-8.0に、温度を25-35℃に維持した。反応が終了した後に、アセトンを加えた。沈殿したプロダクトをろ別して、アセトン、THF及び水、次いで、THF及びアセトンで洗浄した。窒素下で乾燥してセフォゾプラン(23.1 g;HPLCによる純度97.98%)を得た。
【0047】
<メソッド-B:>
一般式(II)の化合物(100 g)とZAEM (113 g)とを水(500 mL)とアセトン(2.0 L)との混合物に25-35℃にて加えた。トリエチルアミンを加えてpH7.0 - 8.0、30-40℃に、1-2時間、維持した。反応が終了した後に、形成した固体をろ別して、アセトン、水およびアセトンで洗浄した。湿ったマテリアルを乾燥してセフォゾプラン(95 g)を得た。
【0048】
<メソッド-C:>
一般式(II)の化合物(100 g)とZAEM (113 g)とを水(500 mL)とアセトン(2.0 L)との混合物に25-35℃にて加えた。トリエチルアミンを加えてpH7.0 - 8.0、30-40℃に、1-2時間、維持した。反応物を周波数50Hzの超音波が供される装置に循環して、形成した固体をろ別して、アセトン、水およびアセトンで洗浄した。湿ったマテリアルを乾燥してセフォゾプラン(105 g)を得た。

【0049】
<メソッド-D:>
一般式(II)の化合物(100 g)とZAEM (152.9 g)とを水(800 mL)とTHF(1300 mL)との混合物に加えた。トリエチルアミン(26.0 g)をゆっくり加えて、25-30℃にてpHを7.5に調節した。次いで、反応が終了するまで、pHを7.0から8.0の間に常に維持しながら反応混合物の温度を30-40℃に上げた。反応混合物を25℃にまで冷却して攪拌した。結晶化したプロダクトをろ別して、THF(500 mL)、次いで、アセトン(500 mL)で洗浄した。湿ったプロダクトを真空中で乾燥してセフォゾプラン(95.0 g)を得た。
【0050】
<セフォゾプランの精製:>
アセトン(又はメタノール。エタノールの溶液等)中のセフォゾプラン(40.0 g;純度:97.60%)の懸濁液に、25-30℃にて、トリフルオロ酢酸を加えて透明な溶液を得た。この透明溶液をIPA(1.6 L)に加えた。形成した沈殿をろ別して、IPAで洗浄した。湿ったケークを25-30℃にて水(400 mL)に加えた。透明な溶液を得た後に、pHをアンモニア水で調節した。結晶化したプロダクトをろ別して、アセトンで洗浄した。固体を乾燥することによりセフォゾプラン(34.0 g;純度:99.86%)を得た。
【実施例2】
【0051】
<実施例2:セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物の調製:>
<メソッドA:>
セフォゾプラン(20 g)を純水(80 mL)とアセトン(40 mL)との混合物へ0-5℃にて加えた。希HClを用いて反応混合物のpHを< 0.5に調節した。この透明な溶液にカーボン(2.0 g)を加えた。ろ過によりカーボンを除去して、ベッドを純水で洗浄した。ろ液をゆっくりとイソプロピルアルコール(1000 mL)に加えた。セフォゾプラン塩酸塩のIPA溶媒和物の沈殿をろ別して、イソプロピルアルコールで洗浄した。窒素下で乾燥してセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物(溶媒和:セフォゾプラン塩酸塩に対して0.4-0.7モル)を得た。このサンプルのPXRDは事実上のアモルファスを呈した。湿り窒素を通し、次に、乾燥窒素で乾燥することにより、溶媒和したIPAを除去した。IPAを除去した後のPXRDはアモルファス状を呈した(収量18.6 g;HPCLによる純度98.6%;GCによるIPA含量85 ppm)。
【0052】
<メソッド B:>
セフォゾプラン(25 g)を純水(62.5 mL)とメタノール(100 mL)との混合物中で25-35℃にて攪拌した。この混合物に希HClを加えて25-35℃にてpHを0.50-1.50に調節し、カーボン(2.5g)で処理した。ろ過によりカーボンを除去して、透明なろ液を25-35℃にてIPAに加えた。得られたプロダクトをろ別して、IPAで洗浄した。このサンプルのPXRDは事実上のアモルファスを呈した。湿り窒素を通し、次に、乾燥窒素で乾燥することにより、溶媒和したIPAを除去した。IPAを除去した後のPXRDはアモルファスを呈した(収量:21.0g)。
【0053】
<メソッド C:>
セフォゾプラン(25 g)を純水(62.5 mL)とメタノール(100 mL)との混合物中で25-35℃にて攪拌した。この混合物に希HClを加えて25-35℃にてpHを0.50-1.50に調節し、カーボン(2.5g)で処理した。ろ過によりカーボンを除去して、透明なろ液を25-35℃にてIPAに加えた。反応物を周波数50Hzの超音波が供される装置に循環した。得られたプロダクトをろ別して、IPAで洗浄し、湿り窒素、次に、乾燥窒素で乾燥して、セフォゾプラン塩酸塩を得た(収量: 23.0 g)。
【実施例3】
【0054】
<実施例3:結晶性セフォゾプラン塩酸塩の調製:>
<メソッド-A:>
水(50 mL)中のセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物(10 g)の溶液を25-30℃にて、セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物が結晶化するに足る時間、攪拌した。結晶化したプロダクトをろ別して、水で洗浄して、図1に表される新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩(水分量は15-20%の範囲)を得た。
【0055】
<メソッド-B:>
水(50 mL)中のセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物(10 g)の溶液を25-30℃にて、セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物が結晶化するに足る時間、攪拌した。結晶化したプロダクトをろ別して、水で洗浄し、乾燥して、図2に表される新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩(水分量は4-8%の範囲)を得た。
【実施例4】
【0056】
<実施例4:炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムを伴うセフォゾプランの医薬組成物の調製: >
<メソッド-A:>
実施例2(A)により得られたセフォゾプラン塩酸塩(5 g)、塩化ナトリウム(0.56 g)および炭酸ナトリウム(0.96 g)をアセトン(25 mL)に加えた。そこに、25-30℃にて純水(50 mL)を加えて攪拌して透明な溶液を得た。この透明な溶液をジクロロメタン(2x50 mL)で洗浄した。水相をカーボンで処理して0.2ミクロンろ紙でろ過した。透明な溶液をフリーズドライして医薬的に許容し得るレベルの溶媒残渣を伴うセフォゾプランの医薬組成物を得た。
【0057】
洗浄前の溶媒残渣:アセトン:25.6 %
洗浄後の溶媒残渣:アセトン:0.17-0.70%;ジクロロメタン:検出せず。
【0058】
<メソッド-B:>
実施例3(A)に従い調製されたセフォゾプラン塩酸塩(5 g)、塩化ナトリウム(0.56 g)および炭酸ナトリウム(0.96 g)をエタノール(25 mL)に加えた。そこに、25-30℃にて純水(50 mL)を加えて攪拌して透明な溶液を得た。この透明な溶液をジクロロメタン(2x50 mL)で洗浄した。水相をカーボンで処理して0.2ミクロンろ紙でろ過した。透明な溶液をフリーズドライして医薬的に許容し得るレベルの溶媒残渣を伴うセフォゾプランの医薬組成物を得た。
【0059】
<メソッド-C:>
セフォゾプラン塩酸塩(25 g)をアセトン(125 mL)に加えて攪拌してスラリーを作製した。このスラリーに、25-30℃にて水(125 mL)を加えて攪拌して透明な溶液を得た。炭酸ナトリウム(4.8 g)および塩化ナトリウム(2.8 g)の水溶液(62.5 mL)をゆっくり加えて、pHを7.0-9.0に調節した。得られた溶液を25-30℃にて15分間攪拌した。得られた溶液を酢酸エチルで洗浄した。水相を活性炭で処理してろ過によりカーボンを除去した。ろ液を0.2ミクロンフィルターでろ過してフリーズドライして、緩衝化されたセフォゾプランを得た。
【0060】
<メソッド-D:>
セフォゾプラン塩酸塩(25 g)をアセトン(125 mL)に加えて攪拌してスラリーを作製した。このスラリーに、25-30℃にて水(125 mL)を加えて攪拌して透明な溶液を得た。炭酸ナトリウム(4.8 g)および塩化ナトリウム(2.8 g)の水溶液(62.5 mL)をゆっくり加えて、pHを8.0-9.0に調節した。得られた溶液を25-30℃にて60分間攪拌した。得られた溶液をジクロロメタンで洗浄した。水相を活性炭で処理してろ過によりカーボンを除去した。ろ液を0.2ミクロンフィルターでろ過してフリーズドライして、緩衝化されたセフォゾプランを得た。
【0061】
<メソッド-E:>
セフォゾプラン塩酸塩(25 g)をアセトン(125 mL)に加えて攪拌してスラリーを作製した。このスラリーに、25-30℃にて水(125 mL)を加えて攪拌して透明な溶液を得た。炭酸ナトリウム(4.8 g)および塩化ナトリウム(2.8 g)の水溶液(62.5 mL)をゆっくり加えて、pHを8.0-9.0に調節した。得られた溶液を25-30℃にて120分間攪拌した。得られた溶液を酢酸エチルで洗浄した。水相を活性炭で処理してろ過によりカーボンを除去した。ろ液を0.2ミクロンフィルターでろ過してフリーズドライして、緩衝化されたセフォゾプランを得た。
【0062】
共溶媒としてアセトンを用いることにより調製された凍結乾燥プロダクトを再溶解させると実に最長3日間、透明な溶液が得られるが、しかし、(実施例4Bにより)エタノールを用いることにより調製されたプロダクトは再溶解中、1時間後に濁った。
【実施例5】
【0063】
<実施例5:超音波を用いたイミペネム一水和物の調製:>
MOPS溶液を含有するイミペネムp-ニトロベンジルエステル塩酸塩のエタノール溶液を酢酸エチルで洗浄して、10%のPd-Cを加えた。得られた懸濁液を水素圧力下で水素付加した。反応終了後、触媒をろ過により除去した。水相をジクロロメタンで洗浄し、活性炭で処理した。活性炭をろ過で除去して、カーボンベッドを水で洗浄した。透明なろ液に冷アセトンを加え、反応物を周波数50Hzの超音波が供される装置に2〜4時間循環して、イミペネム一水和物の完全な結晶を得た。この結晶をろ別してアセトン水、次いで、アセトンで洗浄した。真空下で乾燥して純粋なイミペネム一水和物の結晶が得られた。
【実施例6】
【0064】
<実施例6:無菌のメロペネム三水和物の調製:>
メロペネム三水和物の水懸濁液に透明な溶液が得られるまでアンモニア溶液を加えた。この透明な溶液をカーボン処理に供し、ついで、無菌エリアでろ過した。ろ液のpHをギ酸で約2-4に調節した。反応物を周波数50Hzの超音波が供される装置に1時間循環した。得られた固体をろ別して、水性テトラヒドロフランで洗浄し、乾燥して、掲題の化合物を純粋な形態で得た(純度:99.00 - 99.88%、水分量:11.4 - 13.4%).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セフォゾプランを含有する医薬組成物の製造のための改良された凍結乾燥方法であって、当該方法は:
i) 水と水混和性有機溶媒との混合物中でセフォゾプラン塩酸塩を得ること;
ii) 塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを、混合して又は個別に、固体及び/又は溶液の形態で、加えること;
iii) 工程(ii)で得られた溶液を水非混和性有機溶媒で洗浄すること;
iv) 任意的に、該水溶液を脱気すること;および、
v) 工程(iii)又は工程(iv)の水溶液を凍結乾燥してセフォゾプランの医薬組成物を得ること;
の工程を有する、上記方法。
【請求項2】
セフォゾプランを含有する医薬組成物の製造のための改良された凍結乾燥方法であって、当該方法は:
i) 水とアセトンとの混合物中でセフォゾプラン塩酸塩を得ること;
ii) 塩化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを、混合して又は個別に、固体及び/又は溶液の形態で、加えること;
iii) 任意的に、工程(ii)で得られた溶液を水非混和性有機溶媒で洗浄すること;
iv) 任意的に、該水溶液を脱気すること;および、
v) 工程(iii)又は工程(iv)の水溶液を凍結乾燥してセフォゾプランの医薬組成物を得ること;
の工程を有する、上記方法。
【請求項3】
改良された凍結乾燥方法であって、当該方法は:
i) 水と水混和性有機溶媒との混合物中で活性医薬成分を得ること;
ii) 任意的に、他の賦形剤を加えること;
iii) 工程(ii)で得られた溶液を水非混和性有機溶媒で洗浄すること;および、
iv) 凍結乾燥により医薬組成物を単離すること;
の工程を有する、上記方法。
【請求項4】
工程(i)で用いる水混和性有機溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルケトン、メタノール、エタノール、THF、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等またはそれらの混合物から選択される請求項1および3記載の方法。
【請求項5】
工程(iii)で用いる水非混和性有機溶媒がジクロロメタン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル等またはそれらの混合物から選択される請求項1および3記載の方法。
【請求項6】
新規なセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物。
【請求項7】
新規なセフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物の製造方法であって、当該製造方法は:
a) 溶媒中で、セフォゾプランをその塩酸塩へと変換すること;
b) 工程(a)の溶液とIPAとを混合すること;および、
c) セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を単離すること;
の工程を有する上記製造方法。
【請求項8】
水分量15〜20%の範囲で実質的に図1に表される、新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩。
【請求項9】
実質的に図2に表される、新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩。
【請求項10】
水分量4〜8%の範囲である請求項8記載の新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩。
【請求項11】
水分量15〜20%の図1に表されかつ水分量4〜8%の図2に表される、新規な結晶性セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物の製造方法であって、当該製造方法は:
i) セフォゾプラン塩酸塩IPA溶媒和物を水に溶解させること;
ii) セフォゾプラン塩酸塩を結晶化させること;および、
iii) 水分量15〜20%の範囲で図1に表される結晶性セフォゾプラン塩酸塩又はその水和物を単離すること;および、
iv) 任意的に、工程(iii)で得られた固体を乾燥して、水分量4〜8%の範囲で図2に表されるセフォゾプラン塩酸塩又はその水和物を得ること;
の工程を有する上記製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−520866(P2011−520866A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509028(P2011−509028)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005564
【国際公開番号】WO2009/138847
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508111305)オーキッド ケミカルズ アンド ファーマシューティカルズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】