説明

セメント体強度試験用供試体の型枠及びセメント体強度試験用供試体の作製方法

【課題】セメント体強度試験用供試体を作製する際に、供試体を効率良く作製することができると共に、確実に所定形状の供試体を作製することができる。
【解決手段】筒状の容器本体11と、容器本体11の一端側に設けられる底部12と、容器本体11の他端側に着脱自在に設けられる蓋部13とを有し、容器本体11の周壁に容器本体の軸方向の延びる開口112を形成し、開口112にセメント材料が透過可能なメッシュ113を張設し、開閉可能なジッパー付き開口142を有し且つ開口112を介して容器本体11の内部と連通する袋体14を設けるセメント体強度試験用供試体の型枠10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、モルタル、セメントミルク、各種セメント系グラウト材等のセメント体の強度試験用供試体の型枠及びセメント体強度試験用供試体の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント製品や現場で打設するセメント構造体には圧縮強度試験が義務付けられているものがあり、従来から圧縮強度試験が行われている。圧縮強度試験はJIS等に準拠し、図6(c)に示すように円筒状の供試体1を一方の端面を下にして台座3に載置し、供試体の上面を圧縮試験機の押圧部で押圧して行われる。圧縮強度試験で用いられる供試体は、例えばセメント製品の作製或いはセメント構造体の打設前に、同じ練り混ぜ材料を円筒状の型枠に流し込み、これを所定期間養生して作製される。
【0003】
この圧縮強度試験で用いられる供試体は双方の端面が平滑であることが求められているが、供試体の上端面にはレイタンス(上層部に浮かんでくる余剰水(ブリージング水)と不純物とからなる低強度の部分)が生ずるため、図6(a)に示すように、供試体1aの上端面近傍を削り取った後にセメントペースト等のキャップ2aでキャッピングをしたり、図6(b)に示すように、予め長めに作製したものの上端部を切断或いは研磨した供試体1bを用いる手法が行われている。
【0004】
しかしながら、こうした作業は煩雑であり、又、そのコストは1回当たり約1500円(テストピース3本)と高価であるため、特許文献1では供試体の端面を別途に整える必要がない型枠が提案されている。特許文献1の型枠は、円筒状の容器本体と、容器本体の一端側と多端側に設けられる蓋体と、容器本体の外周面に設けられ、容器本体の内部に連通する注入穴を有する注入用筒部及び排出穴を有する排出用筒部を備えるものであり、注入用筒部及び排出用筒部を上側にしてセメント材料を充填するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−61221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の型枠で供試体を作製すると、図7に示すように、供試体1の注入穴と排出穴に対応する部分に凸部4が形成されるが、この凸部4を除去するために試験前にやすり等で削る作業が必要になる。そのため、供試体の作製効率に手間がかかるという問題がある。また、セメント製品には様々な配合のものがあり、レイタンスがどの程度になるかは一律でなく、又、型枠内に充填したつもりでも十分な充填が行われていない場合があるため、図7に示すように、凸部4に加えて、凸部4・4間や凸部4よりも端部側に凹領域5が形成されてしまい、供試体が圧縮強度試験の規格の形状に合致しない場合も生ずる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、供試体を効率良く作製することができると共に、確実に所定形状の供試体を作製することができるセメント体強度試験用供試体の型枠及びセメント体強度試験用供試体の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるセメント体強度試験用供試体の型枠は、筒状の容器本体と、前記容器本体の一端側に設けられる底部と、前記容器本体の他端側に着脱自在に設けられる蓋部とを有し、前記容器本体の周壁に前記容器本体の軸方向に延びる開口を形成し、前記開口にセメント材料が透過可能なメッシュを張設し、開閉可能なエア抜き用開口を有し且つ前記開口を介して前記容器本体の内部と連通する袋体を設けることを特徴とする。
前記構成では、キャッピングや研磨の手間が要らずに端面を整形できると共に、開口のメッシュにより、供試体の本体を傷つけることなく、セメント材料の袋体内への溢れ出し部分を簡単に取り除くことができ、供試体を効率良く作製することができる。また、蓋部を外してセメント材料を容器本体内に注入し、軸方向に延びる開口からセメント材料を溢れ出させることが可能であるから、凹領域が形成されること等を防止して容器本体内に十分にセメント材料を充填することができる。従って、傷が付かないように溢れ出し部分をメッシュで除去できることと相俟って、確実に所定形状の供試体を作製することができる。特に、ブリージング水が多くでるセメントミルク等の材料でも確実に所定形状の供試体を作製することができる。また、開閉可能なエア抜き用開口により、セメント材料の充填時に開放して袋体内にスムーズにセメント材料を充填できる。
【0009】
本発明によるセメント体強度試験用供試体の作製方法は、上記型枠を用いるセメント体強度試験用供試体の作製方法であって、前記エア抜き用開口を開放し且つ前記蓋部を外した状態で前記容器本体の他端側の端部開口から前記容器本体の内部及び前記袋体にセメント材料を充填する工程と、前記容器本体の前記端部開口に前記蓋部を取付けてセメント材料の一部を前記袋体内に押し出す工程と、前記エア抜き用開口を閉塞し、前記袋体が上側に位置するように前記型枠を横向きに寝かせた状態で養生する工程と、前記養生後に前記袋体と前記蓋部と前記容器本体を取り外して供試体を取り出す工程とを備えることを特徴とする。
前記構成では、上記袋体を有する型枠を用いる場合の作用効果に加え、蓋部を取付けてセメント材料の一部を袋体内に押し出すと共に、袋体を上側に位置させて型枠を横向きに寝かせた状態で養生することにより、一層確実に所定形状の供試体を作製することができる。また、エア抜き用開口をセメント材料の充填時に開放して袋体内にスムーズにセメント材料を充填できると同時に、袋体を上側にして養生する際に、エア抜き用開口を閉塞してセメント材料が袋体から漏れることを防止できる。
【0010】
本発明によるセメント体強度試験用供試体の型枠は、筒状の容器本体と、前記容器本体の一端側に設けられる底部と、前記容器本体の他端側に設けられる蓋部とを有し、前記容器本体の周壁に前記容器本体の軸方向に延びる開口を形成し、前記開口にセメント材料が透過可能なメッシュを張設し、前記開口を介して前記容器本体の内部と連通する枠体を設けることを特徴とする。
前記構成では、キャッピングや研磨の手間が要らずに端面を整形できると共に、開口のメッシュにより、供試体の本体を傷つけることなく、セメント材料の枠体内への溢れ出し部分を簡単に取り除くことができ、供試体を効率良く作製することができる。また、軸方向に延びる開口からセメント材料を注入し且つ溢れ出させることが可能であるから、凹領域が形成されること等を防止して容器本体内に十分にセメント材料を充填することができる。従って、傷が付かないように溢れ出し部分をメッシュで除去できることと相俟って、確実に所定形状の供試体を作製することができる。特に、ブリージング水が多くでるセメントミルク等の材料でも確実に所定形状の供試体を作製することができる。
【0011】
本発明によるセメント体強度試験用供試体の作製方法は、上記型枠を用いるセメント体強度試験用供試体の作製方法であって、前記枠体を上側にして前記枠体から前記開口を介して前記容器本体の内部にセメント材料を充填する工程と、前記枠体が上側に位置するように前記型枠を横向きに寝かせた状態で養生する工程と、前記養生後に前記枠体と前記容器本体を取り外して供試体を取り出す工程とを備えることを特徴とする。
前記構成では、上記枠体を有する型枠を用いる場合の作用効果に加え、枠体を上側に位置させて型枠を横向きに寝かせた状態で養生することにより、一層確実に所定形状の供試体を作製することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるセメント体強度試験用供試体の型枠、或いはセメント体強度試験用供試体の作製方法は、供試体を効率良く作製することができると共に、確実に所定形状の供試体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明による第1実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠を示す斜視説明図、(b)は同図(a)の横断面図。
【図2】(a)〜(e)は第1実施形態の型枠によるセメント体強度試験用供試体の作製工程を示す工程説明図。
【図3】(a)は本発明による第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠を示す斜視説明図、(b)は同図(a)の横断面図。
【図4】第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠の組立前の状態を示す斜視図。
【図5】(a)〜(e)は第2実施形態の型枠によるセメント体強度試験用供試体の作製工程を示す工程説明図。
【図6】(a)は従来の供試体の第1例を示す斜視図、(b)は従来の供試体の第1例を示す斜視図、(c)は供試体の圧縮強度試験を説明する説明図。
【図7】従来の注入用筒部及び排出用筒部を有する型枠で作成した供試体を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠及びその作製方法〕
本発明による第1実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠について説明する。図1は第1実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠を示す図である。
【0015】
第1実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠10は、使い捨てタイプであり、図1に示すように、円筒状の容器本体11と、容器本体11の軸方向の一端側に設けられる底部12と、容器本体の軸方向の他端側に設けられる蓋部13とを有し、蓋部13は容器本体11の端部開口111に、該開口111を形成する本体11縁部より蓋面全体が若干沈み込む形となるよう(図2(b)参照)嵌め込む等で、本体11に対して着脱自在に取付けられている。
【0016】
容器本体11の周壁には、容器本体11の軸方向に延びる開口112が形成され、本実施形態における開口112は略長方形で容器本体11の両端部近傍の位置まで形成されている。開口112には、セメント材料が透過可能なスチールメッシュ等のメッシュ113が張設され、開口112の全域に亘って設けられるように本体に固定されている。容器本体11の素材、大きさ等の例としては、例えばブリキ製とし、内寸法φ50mm×高さ100mmとし、その周壁に10mm×90mmの窓状の開口112を長手方向に延びるように開ける。また、容器本体11の開口112と異なる位置(図示例では開口112と対向する位置)には、容器本体11の軸方向に延び、両側の筋溝に挟まれた部分である引裂部114が設けられ、引裂部114を引裂いて容器本体11を解体可能になっている。
【0017】
開口112には、容器本体11の内部と開口112を介して連通する袋体14が設けられている。袋体14には、容器本体11の開口112と対応する形状及び大きさで、開口112と連通する開口141が側面に設けられていると共に、その上部にジッパーで開閉自在なジッパー付き開口142が設けられている。袋体14の開口141は、容器本体11の開口112と位置を合わせられ、開口141の周縁と開口112の周縁が接着固定される。前記接着部分の周囲にはセメント材料の漏出を防止するシール143が設けられる。
【0018】
第1実施形態の型枠10でセメント体強度試験用供試体1を作製する際には、図2(a)に示すように、エア抜き用開口に相当するジッパー付き開口142を開放状態にすると共に、蓋部13を外した状態で容器本体11の他端側の端部開口111を上側にし、その端部開口111から容器本体11の内部に流動体であるセメント材料を充填していく。充填されていくセメント材料の一部は、メッシュ113を透過して開口112から袋体14内に溢れ出し、容器本体11の内部及び袋体14内にセメント材料が充填されていく。その後、図2(b)に示すように、蓋部13を端部開口111に嵌め込んで取り付ける。すると、蓋体13は開口111を形成する本体11縁部より蓋面全体が若干沈み込む形となるよう嵌め込まれるので、これによって、セメント材料を容器本体11の内部から袋体14内に押し出すようにする。
【0019】
そして、図2(c)に示すように、ジッパー付き開口142を閉状態にし、袋体14が上側に位置するように型枠10を横向きに寝かせ、その状態で24時間〜48時間程度の養生を行う。養生後には、図2(d)、(e)に示すように、袋体14と蓋部13を取り外し、袋体14と共に袋体14へのセメント材料の溢れ出し部分をメッシュ113で切断して除去すると共に、引裂部114を引裂いて解体することにより容器本体11を取り外し、供試体1を取り出して、僅かに側面にメッシュ痕を有するだけの円柱状の供試体1の作製が完了する。
【0020】
第1実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠或いはその作製方法は、キャッピングや研磨の手間が要らずに供試体1の両端面を平滑に整形できると共に、開口112のメッシュ113により、供試体1を傷つけることなく、セメント材料の袋体14内への溢れ出し部分を簡単に剥がして取り除くことができ、供試体1を効率良く作製することができる。また、蓋部13を外してセメント材料を容器本体11内に注入し、軸方向に延びる開口112からセメント材料、特にブリージング水等を含む脆弱な部分を袋体14内に溢れ出させることが可能であるから、凹領域が形成されること等を防止して容器本体11内に十分にセメント材料を充填することができる。従って、傷がつかないように溢れ出し部分をメッシュ113で除去できることと相俟って、正確な円柱等の所定形状の供試体1を確実に作製することができる。
【0021】
また、蓋部13を取付けてセメント材料の一部を袋体14内に押し出すと共に、この状態で袋体14を上側に位置させて型枠10を横向きに寝かせた状態で養生することにより、一層確実に所定形状の供試体を作製することができる。また、ジッパー付き開口142をセメント材料の充填時に開放して袋体14内にスムーズにセメント材料を充填できると同時に、袋体14を上側にして養生する際に、ジッパー付き開口142を閉塞してセメント材料が袋体14から漏れることを防止できる。
【0022】
〔第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠及びその作製方法〕
次に、本発明による第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠について説明する。図3は第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠を示す図、図4はその型枠の組立前の状態を示す斜視図である。
【0023】
第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠20は、使い捨てタイプであり、図3及び図4に示すように、円筒状の容器本体21と、容器本体21の軸方向の一端側に設けられる底部22と、容器本体21の軸方向の他端側に設けられる蓋部23とを有する。本実施形態における底部22、蓋部23は、それぞれ容器本体21の端部開口211に嵌め込む等で着脱自在に取付けられているが、それぞれ或いは双方を容器本体21に一体的に設けることも可能である。
【0024】
容器本体21の周壁には、容器本体21の軸方向に延びる開口212が形成され、本実施形態における開口212は略長方形で容器本体21の両端部近傍の位置まで形成されている。開口212には、セメント材料が透過可能なスチールメッシュ等のメッシュ213が張設され、開口212の全域に亘って設けられるように本体に固定されている。
【0025】
より詳細には、図4に示すように、内側にメッシュ213が張設されたメッシュ枠25と、メッシュ枠25の周縁に設けられたシール26と、シール26の周囲に広がるように設けられたビニール膜27とから構成される構造体28を用い、構造体28のメッシュ枠25を対応する形状及び大きさの開口212の周縁に配置し、メッシュ枠25と開口212の周縁を接着固定し、前記接着部分の周囲にセメント材料の漏出を防止するシール26が配置される。ビニール膜27は、後述する枠体24の内側を通して枠体24の外側に引き出される。
【0026】
容器本体21の素材、大きさ等の例としては、第1実施形態と同様に、例えばブリキ製とし、内寸法φ50mm×高さ100mmとし、その周壁に10mm×90mmの窓状の開口212を長手方向に延びるように開ける。また、容器本体21の開口212と異なる位置(図示例では開口212と対向する位置)には、容器本体21の軸方向に延び、両側の筋溝に挟まれた部分である引裂部214が設けられ、引裂部214を引裂いて容器本体21を解体可能になっている。
【0027】
開口212には、容器本体21の内部と開口212を介して連通する枠体24が設けられている。枠体24は、開口212と形状及び大きさと略対応する平面視略長方形の角筒状で、長辺方向の側壁241と短辺方向の側壁242とを周壁として形成されている。枠体24は、開口212及びメッシュ枠25と位置を合わせてメッシュ枠25の外側に設置され、その下端縁を弾性部材であるシール26に接着固定されている。この状態で、シール26の一部は、枠体24の下端縁の外側に位置し、枠体24とメッシュ枠25との接着部分からのセメント材料の漏出も防止される。
【0028】
第2実施形態の型枠20でセメント体強度試験用供試体1を作製する際には、先ず、図5(a)に示すように、容器本体21に構造体28、枠体24を取付けて型枠20を形成する。そして、図5(b)に示すように、枠体24が上側に位置するように型枠20を横向きに寝かせた状態で配置し、枠体24及び枠体24の内側から上側に引き出されているビニール膜27の内側に流動体であるセメント材料を投入する。投入されたセメント材料は、メッシュ213を透過し開口212を介して容器本体21の内部に充填され、セメント材料が枠体24内の位置に達するまで充填が行われる。
【0029】
その後、図5(c)に示すように、枠体24が上側に位置するように型枠20を横向きに寝かせた状態のまま、24時間〜48時間程度の養生を行う。養生後には、養生後には、図5(d)、(e)に示すように、枠体24と構造体28を取り外し、これらと共に枠体24内のセメント材料の溢れ出し部分をメッシュ213で切断して除去すると共に、引裂部214を引き裂いて解体することにより容器本体21を取り外し、供試体1を取り出して、僅かに側面にメッシュ痕を有するだけの円柱状の供試体1の作製が完了する。
【0030】
第2実施形態のセメント体強度試験用供試体の型枠或いはその作製方法は、キャッピングや研磨の手間が要らずに供試体1の両端面を平滑に整形できると共に、開口212のメッシュ213により、供試体1を傷つけることなく、セメント材料の枠体14内への溢れ出し部分を簡単に取り除くことができ、供試体1を効率良く作製することができる。また、軸方向に延びる開口212からセメント材料を注入し且つ枠体24内にブリージング水を含む脆弱な部分等を溢れ出させることが可能であるから、凹領域が形成されること等を防止して容器本体21内に十分にセメント材料を充填することができる。従って、傷が付かないように溢れ出し部分をメッシュ213で除去できることと相俟って、確実に所定形状の供試体1を作製することができる。また、枠体24を上側に位置させて型枠20を横向きに寝かせた状態で養生することにより、一層確実に所定形状の供試体1を作製することができる。
【0031】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、下記のような変形例も包含される。
【0032】
例えば本発明に於ける開閉可能なエア抜き用開口は、第1実施形態のジッパー付き開口142に限定されず適宜である。また、第2実施形態におけるビニール膜27は、供試体1からの離型を容易にして供試体1が傷つくことを防止できる、枠体24が汚れることを防止して掃除の手間を省くことができることから、設置することが好ましいが、設置しないことも可能である。また、第2実施形態における枠体24の短辺方向の側壁242の下端縁は、円筒状の容器本体21の周壁に倣う円弧状に形成すると好適であり、この場合には例えばシール26を設けずに、円弧状の側壁242の下端縁をメッシュ枠25或いは容器本体21の周壁に直接固着することが可能である。
【0033】
尚、本発明におけるセメント体には、セメント製品の他に現場で打設するセメント構造体等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、セメント体強度試験用供試体を作製する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1、1a、1b…供試体 2a…キャップ 3…台座 4…凸部 5…凹領域
10、20…型枠
11、21…容器本体 111、211…端部開口 112、212…開口 113、213…メッシュ 114、214…引裂部
12、22…底部
13、23…蓋部
14…袋体 141…開口 142…ジッパー付き開口 143…シール
24…枠体 241、242…側壁
25…メッシュ枠
26…シール
27…ビニール膜
28…構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の容器本体と、
前記容器本体の一端側に設けられる底部と、
前記容器本体の他端側に着脱自在に設けられる蓋部とを有し、
前記容器本体の周壁に前記容器本体の軸方向の延びる開口を形成し、
前記開口にセメント材料が透過可能なメッシュを張設し、
開閉可能なエア抜き用開口を有し且つ前記開口を介して前記容器本体の内部と連通する袋体を設けることを特徴とするセメント体強度試験用供試体の型枠。
【請求項2】
請求項1記載の型枠を用いるセメント体強度試験用供試体の作製方法であって、
前記エア抜き用開口を開放し且つ前記蓋部を外した状態で前記容器本体の他端側の端部開口から前記容器本体の内部及び前記袋体にセメント材料を充填する工程と、
前記容器本体の前記端部開口に前記蓋部を取付けてセメント材料の一部を前記袋体内に押し出す工程と、
前記エア抜き用開口を閉塞し、前記袋体が上側に位置するように前記型枠を横向きに寝かせた状態で養生する工程と、
前記養生後に前記袋体と前記蓋部と前記容器本体を取り外して供試体を取り出す工程とを備えることを特徴とするセメント体強度試験用供試体の作製方法。
【請求項3】
筒状の容器本体と、
前記容器本体の一端側に設けられる底部と、
前記容器本体の他端側に設けられる蓋部とを有し、
前記容器本体の周壁に前記容器本体の軸方向に延びる開口を形成し、
前記開口にセメント材料が透過可能なメッシュを張設し、
前記開口を介して前記容器本体の内部と連通する枠体を設けることを特徴とするセメント体強度試験用供試体の型枠。
【請求項4】
請求項3記載の型枠を用いるセメント体強度試験用供試体の作製方法であって、
前記枠体を上側にして前記枠体から前記開口を介して前記容器本体の内部にセメント材料を充填する工程と、
前記枠体が上側に位置するように前記型枠を横向きに寝かせた状態で養生する工程と、
前記養生後に前記枠体と前記容器本体を取り外して供試体を取り出す工程とを備えることを特徴とするセメント体強度試験用供試体の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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