説明

セメント混和剤及びセメント組成物

【課題】高い分散性を発揮するとともに、スランプ保持性に優れ、早期に強度を発現することができるセメント混和剤及びこのようなセメント混和剤を含んでなるセメント組成物を提供する。
【解決手段】不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを含んでなる共重合体を必須成分として含有するセメント混和剤であって、上記共重合体は、特定の条件を満たすセメント混和剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント混和剤及びセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントに水を添加したセメントペーストや、これに細骨材である砂を混合したモルタル、更に粗骨材である小石を混合し、セメント混和剤により流動性を向上させたコンクリートは、各種構造材等に大量に使用されている。このようなコンクリートにおいては、コンクリート二次製品(プレキャスト)の需要が欧米を中心に増してきている。コンクリート二次製品は、工場において型枠にコンクリートを流し込んで作られる。そして作られたコンクリート部材を現場に運び、組み立てることになる。このようなコンクリート二次製品の製造方法では、工場内での生産性を高める目的から、早期に型枠から脱型することが求められており、通常の混和剤では、硬化遅延の度合いが大きく、脱型させるまでの時間が長く必要である。一般に工場内では蒸気養生が行われているが、このような場合においても、型枠の回転が増し、生産性を向上することが求められている。
【0003】
生コンクリートの分野でも、コンクリートを打設後、早く型枠を脱型することができれば次の工程に速やかに移ることができるため、コンクリート二次製品の分野と同様に、早期に強度が発現するようなセメント混和剤が求められている。また、生コンクリートの打設中にセメントの硬化が始まり、ワーカビリティーを損なうことは作業の効率を低下させるため、長い作業時間を確保しつつ(保持性)、硬化開始後に高い早期強度が発現できるようにすることも求められている。
【0004】
従来のセメント混和剤としては、種々のポリカルボン酸系のセメント混和剤が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。しかしながら、早期強度とより高い保持性という観点から更に改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−220417号公報
【特許文献2】特開2002−121055号公報
【特許文献3】特開2002−121056号公報
【特許文献4】特開2004−519406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、高い分散性を発揮するとともに、スランプ保持性に優れ、早期に強度を発現することができるセメント混和剤及びこのようなセメント混和剤を含んでなるセメント組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、セメント混和剤について種々検討したところ、ポリカルボン酸系共重合体がセメント組成物等に対して減水性能を発揮することができることにまず着目し、このようなポリカルボン酸系共重合体において、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構成単位を特定割合以上含むこととすると、早期強度発現性が良好であることを見いだし、しかもスランプ保持性をも発揮できることを見いだした。すなわち、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構成単位の種類に応じて共重合体中の該構成単位の質量割合を特定することにより、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、下記一般式(2)で示される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを含んでなる共重合体を必須成分として含有するセメント混和剤であって、上記共重合体は、以下の条件(a)、(b)及び(c)のうちいずれかを満たすセメント混和剤である。
(a)一般式(1)中のYが炭素数2〜3のアルケニル基を表す場合、該共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)は90質量%以上である。
(b)一般式(1)中のYが炭素数4〜8のアルケニル基を表し、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが80未満の場合、該共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)は92質量%以上である。
(c)一般式(1)中のYが炭素数4〜8のアルケニル基を表し、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが80以上の場合、該共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)は94質量%以上である。
【0009】
【化1】

【0010】
(一般式(1)中、Yは、炭素数2〜8のアルケニル基を表す。Tは、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基を表す。ROは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す。mは、0又は1を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。)
【0011】
【化2】

【0012】
(一般式(2)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)
【0013】
本発明はまた、上記セメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなるセメント組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明のセメント分散剤は、上記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、上記一般式(2)で示される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを含み、しかも上述した条件(a)、(b)及び(c)のうちいずれかを満たす共重合体を含有するものである。なお、更に、上記の条件(a)、(b)又は(c)を満たす1種以上の共重合体を混合して使用してもよい。
【0015】
上記一般式(1)において、Yで示されるアルケニル基の炭素原子数としては、2〜8が適当であるが、5以下がより好ましい。炭素原子数2〜8のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基が好適であるが、これらの中でも、アリル基、メタリル基、3−メチル−3−ブテニル基が好ましい。
【0016】
上記一般式(1)中のTは、同一又は異なって、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基を表し、mは0又は1を表す。
上記一般式(1)において、オキシアルキレン基ROにおけるRの炭素原子数としては、2〜18が適当であるが、2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物については、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれでも用いることができる。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として含むことが好ましく、全オキシアルキレン基100モル%に対し、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。
【0017】
上記一般式(1)において、オキシアルキレン基の平均付加モル数nは、1〜500であることが適当である。この平均付加モル数が小さいほど、得られる重合体の親水性が低下して分散性能が低下する傾向があり、500を超えると、共重合反応性が低下する傾向となる。好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、更に好ましくは10以上であり、特に好ましくは15以上であり、最も好ましくは20以上であり、また、300以下である。また、好適範囲としては、2〜500が好ましく、より好ましくは5〜500、更に好ましくは10〜500、特に好ましくは15〜500、最も好ましくは20〜300である。
なお、上記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが1〜500の範囲において異なる2種以上の組み合わせであってもよい。
【0018】
上記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)としては、例えば、ポリアルキレングリコールビニルエーテル類、ポリアルキレングリコールアリルエーテル類等が挙げられ、より具体的には、アリルアルコール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドを1〜500モル付加した化合物を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
上記一般式(2)において、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基(プロトン化された有機アミン)を表すが、一価金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が好ましく、二価金属原子としては、例えば、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の二価の金属原子等が好適である。また、有機アミン基としては、例えば、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。
【0020】
上記一般式(2)で示される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、又はこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも特に、アクリル酸、メタクリル酸又はその塩が好ましい。
【0021】
本発明において、上記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)と上記一般式(2)で示される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)とを含む単量体成分を共重合して得られる重合体が高い早期強度を発現するためには、実際に得られた共重合体中に含まれる単量体(a)の質量割合が大きいことが望まれる。上記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)には単独重合性の低いものが多く、重合後の反応率が100%に達さずに未反応モノマーとして残留することが多いため、仕込みの組成と、実際に得られた共重合体の組成とが大きく異なることがある。早期強度等の性能は仕込みの組成よりも、実際に得られた共重合体の組成に大きく左右される。
以下に述べる単量体の質量割合は、実際に得られた共重合体中の質量組成(実組成)を示す。また実際に得られた共重合体中の質量組成の測定方法は後述する。
【0022】
(a)上記一般式(1)中のYが炭素数2〜3のアルケニル基である場合には、実際に得られた共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)が90質量%以上であることが適当である。90質量%未満であると、早期強度発現性が充分ではなく、また、スランプ保持性を充分に向上することができないおそれがある。好ましくは91質量%以上であり、より好ましくは92質量%以上であり、更に好ましくは93質量%以上である。
【0023】
(b)上記一般式(1)中のYが炭素数4〜8のアルケニル基を表し、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが80未満の場合には、実際に得られた共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)の質量組成は92質量%以上であることが適当である。92質量%未満であると、上述した条件(a)の場合と同様に、早期強度発現性が充分ではなく、また、スランプ保持性を充分に向上することができないおそれがある。好ましくは92.5質量%以上であり、より好ましくは93質量%以上であり、更に好ましくは93.5質量%以上である。
【0024】
(c)上記一般式(1)中のYが炭素数4〜8のアルケニル基を表し、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが80以上の場合には、実際に得られた共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)の質量組成は94質量%以上である。94質量%未満であると、上述した場合と同様に、早期強度発現性が充分ではなく、また、スランプ保持性を充分に向上することができないおそれがある。好ましくは94.5質量%以上である。
【0025】
ここで、上記オキシアルキレン基の平均付加モル数nが増加すると、同一質量比での不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)のモル数が減少することになる。すなわち、平均付加モル数nが大きいものと、小さいものとでは、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)との仕込み比(質量比)が同じであっても、nが大きいものでは、単量体(b)と単量体(a)とのモル数の比が大きくなるので重合率(反応率)が高くなり、逆にnが小さいものでは、該モル数の比が小さくなるので重合率(反応率)が低くなる。
本発明では、このような側面から、上記条件(b)の場合と条件(c)の場合とを区別して規定しているのであるが、実際に得られた共重合体100質量%中に含まれる構成単位(I)の質量組成が、上記条件(b)では92質量%以上、上記条件(c)では94質量%以上とすることによって初めて、高い分散性を発揮するとともに、さらに、スランプ保持性に優れ、早期に強度を発現することができるという本発明の作用効果を発揮できるのである。
【0026】
また本発明では、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、Yで表されるアルケニル基を有する不飽和アルコールにアルキレンオキシドを付加することにより得られるものであることが好適であるが、ここでYが炭素数2〜3のアルケニル基である場合、すなわち不飽和アルコールがアリルアルコールやビニルアルコール等である場合には、Yが炭素数4〜8のアルケニル基である場合、すなわち不飽和アルコールがメタリルアルコールや3−メチル−3−ブテン−1−オール等である場合よりも重合率(反応率)が低くなる。そのため、Yが炭素数2〜3のアルケニル基である場合は、Yが炭素数4〜5のアルケニル基である場合よりも、単量体(a)の実組成での割合が少なくなる傾向にある。
本発明では、このような側面から、上記条件(a)の場合と条件(b)及び条件(c)の場合とを区別して規定しているのであるが、実際に得られた共重合体100質量%中に含まれる構成単位(I)の質量組成が、上記条件(a)では90質量%以上とすることによって初めて、上記条件(b)や(c)の場合と同様に、高い分散性を発揮するとともに、さらに、スランプ保持性に優れ、早期に強度を発現することができるという本発明の作用効果を発揮できるのである。
【0027】
本発明のセメント混和剤が必須とする共重合体としては、上記構成単位(I)及び構成単位(II)の他に、上記単量体(a)及び/又は単量体(b)と共重合可能な単量体(c)由来の構成単位(III)を含むものであってもよい。
このような単量体(c)としては、例えば、以下の化合物等の1種又は2種以上を使用することができる。
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類及びこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;炭素数1〜30のアルコールに炭素数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類とのエステル類;(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノメタクリレート等の、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの1〜500モル付加物類;マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、及びこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;
【0028】
メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、等のビニルエーテル或いはアリルエーテル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体;等。
これらの中でも特に、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)以外のカルボキシル基を有する単量体(c)として、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体が好適である。
【0029】
本発明のセメント混和剤の必須成分である共重合体は、例えば、上記単量体成分を重合開始剤の存在下で共重合させることにより容易に得ることができるが、このような形態のみに限定されるものではない。例えば、上記単量体(a)の代わりに、アルキレンオキシドを付加する前の単量体、すなわちアリルアルコール等の不飽和アルコールを用い、これを重合開始剤の存在下で上記単量体(b)と共重合させた後(必要に応じ、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体(c)を更に共重合させてもよい)、アルキレンオキシドを平均1〜500モル付加する方法によっても、本発明の共重合体を得ることができる。
【0030】
上記共重合体を得る際の共重合は、溶液重合や塊状重合等の公知の方法で行うことができる。溶液重合は回分式でも連続式でも行うことができ、その際に使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物;等が挙げられるが、原料単量体及び得られる共重合体の溶解性から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶剤工程を省略できる点で更に好ましい。
【0031】
上記水溶液重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。中でも、過酸化水素とL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。
【0032】
また低級アルコール、芳香族若しくは脂肪族炭化水素、エステル化合物、又は、ケトン化合物を溶媒とする溶液重合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。
更に水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤又はラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
【0033】
上記塊状重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が用いられる。
【0034】
上記共重合の際の反応温度は、特に制限はないが、例えば、過硫酸塩を開始剤とした場合、反応温度は40〜90℃の範囲が適当であり、42〜85℃の範囲が好ましく、45〜80℃の範囲がより好ましい。また、過酸化水素と促進剤としてL−アスコルビン酸(塩)とを組み合わせて開始剤とした場合、反応温度は30〜90℃の範囲が適当であり、35〜85℃の範囲が好ましく、40〜80℃の範囲がより好ましい。
上記共重合の際の重合時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10時間の範囲が適当である。重合時間が、この範囲より、長すぎたり短すぎたりすると、重合率の低下や生産性の低下をもたらし好ましくない。好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜6時間の範囲である。
【0035】
上記共重合の際の全単量体成分の使用量は、他の原料を含む全原料100質量%に対して、30〜95質量%であることが好ましい。特に全単量体成分の使用量がこの範囲より低すぎると、重合率や生産性の低下をもたらすおそれがある。好ましくは40〜93質量%、より好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは60〜90質量%である。
【0036】
上述した各単量体の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法のいずれでも良い。具体的には、単量体(a)の全量と単量体(b)の全量とを反応容器に連続投入する方法、単量体(a)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りと単量体(b)の全量とを反応容器に連続投入する方法、単量体(a)の一部と単量体(b)の一部とを反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りと単量体(b)の残りとをそれぞれ反応容器に交互に数回に分けて分割投入する方法等が挙げられる。更に、反応途中で各単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えて、各単量体の単位時間あたりの投入質量比を連続的又は段階的に変化させることにより、構成単位(I)と構成単位(II)との比率が異なる2種以上の共重合体を重合反応中に同時に合成するようにしてもよい。なお、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでも良く、反応容器へ滴下しても良く、また目的に応じてこれらを組み合わせても良い。
【0037】
上記共重合の際には、得られる共重合体の分子量調整のため、連鎖移動剤を用いることができる。特に、全単量体成分の使用量が、重合時に使用する原料の全量100質量%に対して30質量%以上となる高濃度で重合反応を行う場合には、連鎖移動剤を用いるのが好ましい。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤を用いることができ、2種類以上の連鎖移動剤の併用も可能である。更に、共重合体の分子量調整のためには、単量体(c)として、(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0038】
所定の分子量の共重合体を再現性よく得るには、共重合反応を安定に進行させることが重要であることから、溶液重合を行う場合には、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を5ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは0.01〜4ppm、更に好ましくは0.01〜2ppm、最も好ましくは0.01〜1ppmの範囲がよい。なお、溶媒に単量体を添加後、窒素置換等を行う場合には、単量体をも含んだ系の溶存酸素濃度を上記範囲とすればよい。
なお、溶媒の溶存酸素濃度の調整は、重合反応槽で行なってもよく、あらかじめ溶存酸素量を調整した溶媒を用いてもよい。溶媒中の酸素を追い出す方法としては、例えば、下記の(1)〜(5)の方法が挙げられる。
【0039】
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填した後、密閉容器内の圧力を下げることにより、溶媒中の酸素分圧を低くする。窒素気流下で密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま、液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に、窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
【0040】
上述したようにして得られた共重合体は、そのままでもセメント分散剤の主成分として用いることもできるが、取り扱い性の観点からは、pHを5以上に調整しておくことが好ましい。重合をpH5以上で行ってもよいが、その場合、重合率の低下が起こると同時に、共重合性が悪くなりセメント分散剤として性能が低下するので、pH5未満で共重合反応を行い、共重合後にpHを5以上に調整することが好ましい。pHの調整は、例えば、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン;等のアルカリ性物質を用いて行うことができる。また、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。また、上記共重合体は、水溶液の形態でそのままセメント分散剤の主成分として使用しても良いし、あるいは、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用しても良い。
【0041】
上記共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と呼ぶ。)によるポリエチレングリコール換算で10000〜300000の範囲が好ましい。このような重量平均分子量の範囲を選ぶことで、より高い分散性能を発揮するセメント分散剤が得られる。より好ましくは10000〜100000の範囲であり、更に好ましくは10000〜80000の範囲であり、特に好ましくは10000〜70000の範囲である。
なお、本明細書中、重合体の重量平均分子量は、後述するGPC測定条件により測定される値である。
【0042】
本発明のセメント分散剤は、上記共重合体を必須とするものである。本発明のセメント分散剤における上記共重合体の含有量は、特に制限されないが、分散剤中の固形分、すなわち不揮発分100質量%中、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
【0043】
本発明のセメント混和剤はまた、2種以上の共重合体が組み合わせされたものであってもよい。例えば、構成単位(I)と構成単位(II)との比率が異なる2種以上の共重合体の組み合わせや、上記単量体(a)により導入された構成単位(I)のオキシアルキレン基の平均付加モル数が異なる2種以上の共重合体の組み合わせ等が可能である。また、上記の条件(a)、(b)又は(c)を満たす共重合体と、該条件のうち該共重合体とは別の条件を満たす共重合体とを含むものであってもよい。
【0044】
本発明のセメント混和剤としては、各種水硬性材料、すなわち、セメントや、石膏等のセメント以外の水硬性材料に用いることができる。そして、水硬性材料と水と本発明のセメント分散剤とを含有し、更に必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。
上記例示の水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、そのようなセメント組成物は、上記本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなる。このように、上記セメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなるセメント組成物もまた、本発明の1つである。
【0045】
上記セメント組成物において、セメントとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等が挙げられ、更に、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加しても良い。又、骨材として、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
【0046】
上記セメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比には特に制限はなく、例えば、単位水量100〜185kg/m、使用セメント量250〜800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7、好ましくは単位水量120〜175kg/m、使用セメント量270〜800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.15〜0.65が推奨される。このように、本発明のセメント組成物は、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。また、本発明のセメント組成物は、比較的高減水率の領域、すなわち、水/セメント比(質量比)=0.15〜0.5(好ましくは0.15〜0.4)といった水/セメント比の低い領域においても、良好に使用することができる。
【0047】
上記セメント組成物における本発明のセメント分散剤の配合割合については、特に限定はないが、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.02〜5重量部、更に好ましくは0.05〜3重量部となる比率の量を添加すればよい。この添加により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01重量部未満では性能的に充分ではなく、逆に10重量部を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
【0048】
上記セメント組成物はまた、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、更に、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0049】
本発明のセメント組成物は、公知のセメント分散剤を含有していても良い。使用可能な公知のセメント分散剤としては、特に限定はなく、分子中にスルホン酸基を有する各種スルホン酸系分散剤や、分子中にポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤が挙げられる。
上記スルホン酸系分散剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系等が挙げられる。
【0050】
上記ポリカルボン酸系分散剤としては、例えば、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2〜3のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの3種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2〜3のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アリルスルホン酸(塩)(あるいはビニルスルホン酸(塩)あるいはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)のいずれか)の3種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;エチレンオキシドを平均付加モル数で2〜50付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アリルスルホン酸(塩)の3種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体に更に(メタ)アクリルアミド及び/又は2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合した共重合体;エチレンオキシドを平均付加モル数で5〜50付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体とエチレンオキシドを平均付加モル数で1〜30付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アリルスルホン酸(塩)(あるいはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)のいずれか)の4種の単量体を必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体とマレイン酸系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系単量体とマレイン酸のポリアルキレングリコールエステル系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコール3−メチル−3−ブテニルエーテル系単量体とマレイン酸系単量体とを必須成分として含む単量体成分を共重合して得られる共重合体;等が挙げられる。なお、上記公知のセメント分散剤は、複数の併用も可能である。
【0051】
なお、上記公知のセメント分散剤を用いる場合、本発明のセメント分散剤と公知のセメント分散剤との配合質量比は、使用する公知のセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的には決められないが、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10の範囲内である。
【0052】
上記セメント組成物は更に、以下の(1)〜(20)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルローズエーテル類;メチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化若しくはヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として含有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
【0053】
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖などの単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
【0054】
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
【0055】
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フエニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フエニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
【0056】
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
【0057】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、例えば、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。なお、上記公知のセメント添加剤(材)は、複数の併用も可能である。
【0058】
本発明のセメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の1)〜7)が挙げられる。
1)(1)本発明のセメント混和剤、(2)オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(2)のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、(1)のセメント混和剤100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
2)(1)本発明のセメント混和剤、(2)炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報、特開平9−241056号公報等参照)、(3)オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。なお、(1)のセメント分散剤と(2)の共重合体との配合質量比としては、5:95〜95:5の範囲が好ましく、10:90〜90:10の範囲がより好ましい。(3)のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、(1)のセメント混和剤と(2)の共重合体との合計量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0059】
3)(1)本発明のセメント混和剤、(2)分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。なお、(1)のセメント分散剤と(2)のスルホン酸系分散剤との配合質量比としては、5:95〜95:5の範囲が好ましく、10:90〜90:10の範囲がより好ましい。
4)(1)本発明のセメント混和剤、(2)リグニンスルホン酸塩の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(1)のセメント分散剤と(2)のリグニンスルホン酸塩との配合質量比としては、5:95〜95:5の範囲が好ましく、10:90〜90:10の範囲がより好ましい。
【0060】
5)(1)本発明のセメント混和剤、(2)材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルローズエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。なお、(1)のセメント混和剤と(2)の材料分離低減剤との配合質量比としては、10:90〜99.99:0.01の範囲が好ましく、50:50〜99.9:0.1の範囲がより好ましい。この組み合わせからなるセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
6)(1)本発明のセメント分散剤、(2)遅延剤の2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。なお、(1)のセメント分散剤と(2)の遅延剤との配合質量比としては、50:50〜99.9:0.1の範囲が好ましく、70:30〜99:1の範囲がより好ましい。
7)(1)本発明のセメント分散剤、(2)促進剤の2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。なお、(1)のセメント分散剤と(2)の促進剤との配合質量比としては、10:90〜99.9:0.1の範囲が好ましく、20:80〜99:1の範囲がより好ましい。
【発明の効果】
【0061】
本発明のセメント混和剤は、高い分散性を発揮するととに、スランプ保持性に優れ、早期に強度を発現することができるものであり、このようなセメント混和剤を含んでなるセメント組成物は、土木・建築分野等、種々の分野において非常に有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとし、また、表中、アクリル酸を「AA」、アクリル酸ナトリウムを「SA」、2−ヒドロキシエチルアクリレートを「HEA」と略す。
なお、下記の実施例等において、スランプフロー値、空気量の測定及び硬化コンクリートの圧縮強度測定は、日本工業規格JIS A1101(1998)、1128(1999)、6204(2000)に準拠して行った。
【0063】
下記製造例等において、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体の製造時に副生するポリアルキレングリコールの生成量は、下記の条件で測定した。
<ポリアルキレングリコールの生成量の測定条件>
機種:島津製作所社 LC−10検出器:示差屈折計(RI)検出器(HITACHI 3350 RI MONITOR)
溶離液:種類 イオン交換水
流量:1.5ml/分
カラム:種類 昭和電工社製「ShodexGF−310」4.6×300mm
温度:40℃
【0064】
下記製造例等における各単量体の反応率及び得られた共重合体の重量平均分子量は、下記の条件で測定した。不飽和ポリアルキレングルコールエーテル系単量体の反応率は、下記の測定で残存する未反応の不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体及び単量体製造時に副生するポリアルキレングリコールの合計量を定量し、仕込んだポリアルキレングリコールを含む不飽和ポリアルキレングルコールエーテル系単量体の質量減少分から算出した。
【0065】
<各原料単量体の反応率測定条件>
機種:日本分光社 Borwin
検出器:示差屈折計(RI)検出器(HITACHI 3350 RI MONITOR)
溶離液:種類 アセトニトリル/0.1%りん酸イオン交換水溶液=50/50(vol%)
流量:1.0ml/分
カラム:種類 東ソー社製「ODS−120T+ODS−80Ts」各4.6×250mm
温度:40℃
【0066】
<共重合体の重量平均分子量(Mw)測定条件>
機種:Waters LCM1検出器:示差屈折計(RI)検出器(Waters410)
溶離液:種類 アセトニトリル/0.05M酢酸ナトリウムイオン交換水溶液=40/60(vol%)、酢酸でpH6.0に調整
流量:0.6ml/分
カラム:種類 東ソー社製、「TSK−GEL G4000SWXL」+「G3000SWXL」+「G2000SWXL」+「GUARD COLUMN」各 7.8×300mm、6.0×40mm
温度:40℃
検量線:ポリエチレングリコール基準
【0067】
<実際に得られた共重合体中の質量組成の算出方法>
上記の<各原料単量体の反応率測定条件>によって、残存する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体及び不飽和モノカルボン酸系単量体の量を定量する。残存する単量体以外は全て共重合体として組み込まれたものとして、実際に得られた共重合体中の質量組成を計算する。
【0068】
製造例1(共重合体(1))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を676.00g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)1104.00g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸2.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸52.00gを水60.00gに溶解させた不飽和カルボン酸系単量体水溶液を3時間かけて滴下する。アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にメルカプトエタノール1.92g、水130.00gからなる連鎖移動剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム5.86gを水130.00gに溶解させた開始剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後2時間引き続いて58℃を維持し重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量33000の共重合体(1)の水溶液を得た。また、3−メチル3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを50モル付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は、78.80%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0069】
製造例2(共重合体(2))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を252.14g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)518.94g、不飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸0.98g仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸26.67gを水92.69gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にメルカプトエタノール0.51g、水49.94gからなる、連鎖移動剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム2.91gを水55.23gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量30000の共重合体(2)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は93.5%、アクリル酸の重合率は99.90%であった。
【0070】
製造例3(共重合体(3))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を253.27g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)521.27g、不飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸0.98g仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸24.52gを水98.05gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にメルカプトエタノール0.47g、水46.05gからなる、連鎖移動剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム2.77gを水52.62gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量30000の共重合体(3)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は91.4%、アクリル酸の重合率は99.90%であった。
【0071】
製造例4(共重合体(4))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を257.65g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)530.28g、不飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸1.00g仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸15.93gを水94.51gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にメルカプトエタノール0.26g、L−アスコルビン酸0.31g、水55.61gからなる、連鎖移動剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム2.22gを水42.22gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量30000の共重合体(4)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は69.6%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0072】
製造例5(共重合体(5))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を597.03g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)1060.46g、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で78℃に昇温した後、アクリル酸33.86gを水73.04gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にL−アスコルビン酸1.23g、水123.28gからなる、還元剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム4.44gを水106.66gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、78℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量32000の共重合体(5)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は77.00%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0073】
製造例6(共重合体(6))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を254.34g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)523.46g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.98gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸15.98g、2−ヒドロキシエチルアクリレート7.75gを水17.53gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、不飽和カルボン酸単量体水溶液を滴下し始めると同時にL−アスコルビン酸0.40g、水39.90gからなる、還元剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム1.44gを水138.23gに溶解させた開始剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5まで中和して、重量平均分子量31000の共重合体(6)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は77.40%、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレートの重合率は100.00%であった。
【0074】
比較製造例1(比較共重合体(1))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を696.00g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)1104.00g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸2.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液23.25gを添加し、アクリル酸66.60gを水60.00gに溶解させた不飽和カルボン酸系単量体水溶液を3時間かけて滴下した。アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸3.05g、水130.00gからなる連鎖移動剤水溶液、及び、L−アスコルビン酸1.26gを水130.00gに溶解させた開始剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後2時間引き続いて58℃を維持し重合反応を完結させ、そして30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量33000の比較共重合体(1)の水溶液を得た。また、3−メチル3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを50モル付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は、83.10%、アクリル酸の重合率は99.90%であった。得られた比較共重合体(1)中の質量組成比を表1に示した。
【0075】
比較製造例2(比較共重合体(2))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を247.55g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを6.7質量%含む)509.49g、不飽和カルボン酸単量体として、アクリル酸0.96g仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸35.31gを水59.70gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にメルカプトエタノール0.79g、水77.07gからなる、連鎖移動剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム3.46gを水65.68gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量30000の比較共重合体(2)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は80.2%、アクリル酸の重合率は99.90%であった。
【0076】
製造例7(共重合体(7))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を258.64g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを2.5質量%含む)532.30g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸1.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液4.01gを加え、アクリル酸15.99gを水138.03gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にメルカプトエタノール0.33g、L−アスコルビン酸0.21g、水52.87gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量30000の共重合体(7)の水溶液を得た。また、メタリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は59.10%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0077】
比較製造例3(比較共重合体(3))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を234.06g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを2.5質量%含む)481.72g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.91gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液15.37gを加え、アクリル酸64.23gを水100.22gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸1.73g、L−アスコルビン酸0.80g、水100.96gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量33000の比較共重合体(3)の水溶液を得た。また、メタリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は92.50%、アクリル酸の重合率は98.00%であった。
【0078】
製造例12(共重合体(12))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を166.00g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、アリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを2.5%含む)410g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸1.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、そこへ20.0%過酸化水素水溶液12.62gを加え、アクリル酸12.10gを水138.03gに溶解させた不飽和カルボン酸系単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.30g、L−アスコルビン酸0.96g、水52.87gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続いて80℃を維持し重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量38000の共重合体(12)の水溶液を得た。また、アリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は、42.00%、アクリル酸の重合率は98.40%であった。
【0079】
比較製造例8(比較共重合体(8))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を166.00g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、アリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数50モル、ポリエチレングリコールを2.5%含む)410g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸1.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃に昇温した後、そこへ20.0%過酸化水素水溶液12.62gを加え、アクリル酸53.10gを水138.03gに溶解させた不飽和カルボン酸系単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.99g、L−アスコルビン酸3.26g、水52.87gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続いて80℃を維持し重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して重量平均分子量36000の共重合体(8)の水溶液を得た。また、アリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は、65.00%、アクリル酸の重合率は97.80%であった。
【0080】
製造例8(共重合体(8))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を255.06g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数25モル、ポリエチレングリコールを4.6質量%含む)524.94g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.99gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸20.18gを水90.31gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にL−アスコルビン酸0.39g、水38.05gからなる、還元剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム3.50gを水65.58gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量60000の共重合体(8)の水溶液を得た。また、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は65.10%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0081】
比較製造例4(比較共重合体(4))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を249.66g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数25モル、ポリエチレングリコールを4.6質量%含む)513.82g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.97gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、アクリル酸30.50gを水65.14gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を5時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時にL−アスコルビン酸0.58g、水56.55gからなる、還元剤水溶液、及び、過硫酸ナトリウム4.14gを水78.66gに溶解させた開始剤水溶液を5.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量58000の比較共重合体(4)の水溶液を得た。また、3−メチル−3ブテン−1−オールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は78.00%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0082】
製造例9(共重合体(9))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を255.06g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、ジエチレングリコールモノビニルエーテルのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数23モル(合計25モル))527.86g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.99gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で30℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液5.02gを加え、アクリル酸20.31g、30%水酸化ナトリウム水溶液7.88gを水124.74gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.53g、L−アスコルビン酸0.26g、水78.57gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、30℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量27000の共重合体(9)の水溶液を得た。また、ジエチレングリコールモノビニルエーテルにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は67.00%、アクリル酸の重合率は100.00%であった。
【0083】
比較製造例5(比較共重合体(5))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を245.34g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、ジエチレングリコールモノビニルエーテルのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数23モル(合計25モル))504.94g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.95gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で30℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液10.15gを加え、アクリル酸42.04g、30%水酸化ナトリウム水溶液15.91gを水128.29gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸1.14g、L−アスコルビン酸0.53g、水66.63gからなる、連鎖移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、30℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量28000の比較共重合体(5)の水溶液を得た。また、ジエチレングリコールモノビニルエーテルにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は80.00%、アクリル酸の重合率は99.70%であった。
【0084】
製造例1〜9、12で得られた共重合体(1)〜(9)、(12)、及び、比較製造例1〜5、8で得られた比較共重合体(1)〜(5)、(8)について、表1にまとめた。なお、表中、AO体とは、不飽和アルコールにアルキレンオキシドを付加した後の化合物、すなわち、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)を意味し、また、不飽和アルコールの種類を示す「A」〜「D」の記号については以下のとおりである。
A:3−メチル−3−ブテン−1−オール
B:メタリルアルコール
C:ジエチレングリコールモノビニルエーテル
D:アリルアルコール
【0085】
【表1】

【0086】
ここで、製造例7と製造例12とでは、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)と不飽和カルボン酸系単量体(b)との仕込み組成は、ともに96/4(質量%)であり、アルキレンオキシド鎖長も同じである。一方で、表2に示すように、アリルアルコールを使用して得られる単量体(a)を用いた製造例12では、該単量体(a)の反応率が低く、該単量体(a)の実組成が低くなっている。また、比較製造例3と比較製造例8とでは、単量体(a)と単量体(b)との仕込み組成における単量体(a)の割合が、比較製造例8の方が多いのにも関わらず、アリルアルコールを使用して得られる単量体(a)を用いた比較製造例8では、該単量体(a)の反応率が低く、該単量体(a)の実組成が低くなっている。
【0087】
【表2】

【0088】
実施例1〜9、12、比較例1〜5、8
得られたセメント混和剤(共重合体水溶液)を所定量、セメント、粗骨材、細骨材に添加してセメント組成物を調整し、以下の条件で試験に供した。結果を表3に示す。
<コンクリート試験条件>
1)使用材料
セメント:太平洋セメント
粗骨材:青梅産砕石
細骨材:小笠山産/千葉県君津産山砂
2)単位量(kg/m
W/C=51.9
s/a=49.0
空気=45.0
水=166.0
セメント=320.0
石=942.0
砂=846
AE剤としてMA202(ポゾリス物産社製)をセメントに対し、0.008%配合した。
3)使用ミキサー
太平洋機工 TM55(55リットル強制練パン型ミキサー)、練り量30リットル
4)混練方法、試験方法
細骨材とセメントとをミキサーに投入し、10秒空練りを行い、次いでセメント混和剤込みの水及び粗骨材を投入して90秒間混練を行った後、コンクリートを排出しスランプ値及び空気量を測定し、各測定時間にスランプ値の測定を行った。
【0089】
【表3】

【0090】
実施例1’、比較例1’
得られた共重合体(1)及び比較共重合体(1)の水溶液を用いて、共重合体の添加量が表4に示す量になるように添加して、以下の条件でコンクリート試験を行った。得られた結果を併せて表4に示す。
【0091】
<コンクリート試験条件>
得られたセメント混和剤(共重合体水溶液)を所定量、セメント、粗骨材、細骨材に添加してセメント組成物を調製し、圧縮強度試験に供した。
1)使用材料
セメント:米国 Ashgrove社製 TYPE I/II
粗骨材:八戸産 石灰砕石(MS20)
細骨材:千葉産 君津山砂(5mmカット)
2)単位量(kg/m3)
W/C=39.5
s/a=43.0
空気=45.0
水=158.0
セメント=400.0
石=1060.0
砂=800.0
3)使用ミキサー
太平洋機工 TM55(55リットル強制練パン型ミキサー)、練り量30リットル
4)
(4)混練方法、測定方法
細骨材とセメントをミキサーに投入し10秒間空練りを行い、次いでセメント混和剤込みの水及び粗骨材を投入し120秒間混練を行った後コンクリートを排出しフロー値及び空気量を測定し、圧縮強度試験用試料を作製し、以下の条件にて20時間後、24時間後の圧縮強度を測定した。
供試体作製:100mm×200mm 紙製供試体 3本
供試体養生:温度20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生
供試体研磨:供試体面 研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
【0092】
【表4】

【0093】
製造例10(共重合体(10))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を259.79g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数100モル、ポリエチレングリコールを3.4質量%含む)532.61g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸1.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液3.98gを加え、アクリル酸15.87gを水73.17gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.15g、L−アスコルビン酸0.21g、水114.22gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量52000の共重合体(10)の水溶液を得た。また、メタリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は54.20%、アクリル酸の重合率は80.00%であった。
【0094】
比較製造例6(比較共重合体(6))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を248.91g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数100モル、ポリエチレングリコールを3.4質量%含む)512.28g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.96gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液8.35gを加え、アクリル酸34.43gを水113.19gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸1.56g、L−アスコルビン酸0.43g、水79.89gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量61000の比較共重合体(6)の水溶液を得た。また、メタリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は85.30%、アクリル酸の重合率は95.20%であった。
【0095】
製造例11(共重合体(11))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を258.22g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数150モル、ポリエチレングリコールを6.0質量%含む)531.45g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸1.00gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液4.18gを加え、アクリル酸16.72gを水61.34gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.44g、L−アスコルビン酸0.22g、水126.42gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量52000の共重合体(11)の水溶液を得た。また、メタリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は55.80%、アクリル酸の重合率は78.00%であった。
【0096】
比較製造例7(比較共重合体(7))
温度計・攪拌機・滴下ロート・窒素導入管・還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水を254.85g、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体として、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシド平均付加モル数150モル、ポリエチレングリコールを6.0質量%含む)524.85g、不飽和カルボン酸系単量体として、アクリル酸0.99gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で58℃に昇温した後、そこへ4質量%過酸化水素水溶液5.73gを加え、アクリル酸23.31gを水91.94gに溶解させた不飽和カルボン酸単量体水溶液を3時間かけて滴下し、アクリル酸水溶液を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.68g、L−アスコルビン酸0.30g、水97.72gからなる、移動剤水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後1時間引き続きていて、58℃を維持し、重合反応を完結させた。そして、30℃まで冷却後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量41000の比較共重合体(7)の水溶液を得た。また、メタリルアルコールにエチレンオキシドを付加した不飽和アルコール付加物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和アルコールの重合率は76.40%、アクリル酸の重合率は92.50%であった。
【0097】
製造例10〜11で得られた共重合体(10)〜(11)、及び、比較製造例6〜7で得られた比較共重合体(6)〜(7)について、表5にまとめた。なお、AO体とは、上述したとおりである。
【0098】
【表5】

【0099】
実施例10〜11、比較例6〜7
得られたセメント混和剤(共重合体水溶液)を所定量、セメント、粗骨材、細骨材に添加してセメント組成物を調整し、以下の条件で試験に供した。結果を表6に示す。
<コンクリート試験条件>
1)使用材料
セメント:太平洋セメント
粗骨材:青梅産砕石
細骨材:小笠山産/千葉県君津産山砂
2)単位量(kg/m
W/C=30.0
s/a=47.0
空気=45.0
水=172.0
セメント=573.0
石=863.0
砂=738
3)使用ミキサー
太平洋機工 TM55(55リットル強制練パン型ミキサー)、練り量30リットル
4)混練方法、試験方法
細骨材とセメントとをミキサーに投入し、10秒空練りを行い、次いでセメント混和剤込みの水及び粗骨材を投入して120秒間混練を行った後、コンクリートを排出しスランプ値及び空気量を測定し、各測定時間にスランプ値の測定を行った。
【0100】
【表6】

【0101】
実施例10’〜11’、比較例6’〜7’
得られたセメント混和剤(共重合体水溶液)を所定量、セメント、粗骨材、細骨材に添加してセメント組成物を調整し、以下の条件で試験に供した。結果を表7に示す。
<コンクリート試験条件>
1)使用材料
セメント:太平洋セメント
粗骨材:青梅産砕石
細骨材:小笠山産/千葉県君津産山砂
2)単位量(kg/m
W/C=30.0
s/a=47.0
空気=45.0
水=172.0
セメント=573.0
石=863.0
砂=738
3)使用ミキサー
太平洋機工 TM55(55リットル強制練パン型ミキサー)、練り量30リットル
4)混練方法、試験方法
細骨材とセメントとをミキサーに投入し10秒空練りし、次いでセメント混和剤込みの水及び粗骨材を投入して120秒間混練を行った後、コンクリートを排出し、空気量を測定し、圧縮強度試験用試料を作製し、以下の条件にて24時間後の圧縮強度を測定した。
供試体作製:100mm×200mm 紙製供試体 3本
供試体養生:温度20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生
供試体研磨:供試体面 研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
【0102】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、下記一般式(2)で示される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを含んでなる共重合体を必須成分として含有するセメント混和剤であって、
該共重合体は、以下の条件(a)及び(b)のうちいずれかを満たすことを特徴とするセメント混和剤。
(a)一般式(1)中のYが炭素数2〜3のアルケニル基を表す場合、該共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)は90質量%以上である(但し、構成単位(II)の割合は、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)の量をそのナトリウム塩で換算した値とする。)。
(b)一般式(1)中のYが炭素数4〜8のアルケニル基を表し、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが80未満の場合、該共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)は92質量%以上である(但し、構成単位(II)の割合は、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)の量をそのナトリウム塩で換算した値とする。)。
【化1】

(一般式(1)中、Yは、炭素数2〜8のアルケニル基を表す。Tは、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基を表す。ROは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す。mは、0又は1を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜500の数を表す。)
【化2】

(一般式(2)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)
【請求項2】
前記条件(b)において、前記共重合体100質量%中に含まれる前記構成単位(I)は92.5質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤。
【請求項3】
下記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、下記一般式(2)で示される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを含んでなる共重合体を必須成分として含有するセメント混和剤であって、
該共重合体100質量%中に含まれる該構成単位(I)は94質量%以上である(但し、構成単位(II)の割合は、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)の量をそのナトリウム塩で換算した値とする。)。
【化3】

(一般式(1)中、Yは、炭素数4〜8のアルケニル基を表す。Tは、同一若しくは異なって、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基を表す。ROは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表す。mは、0又は1を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、150〜500の数を表す。)
【化4】

(一般式(2)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなることを特徴とするセメント組成物。

【公開番号】特開2012−144434(P2012−144434A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97976(P2012−97976)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2006−260555(P2006−260555)の分割
【原出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】