説明

セメント粉砕助剤

【課題】式(I)の少なくとも1種のポリマーAを含む水性組成物を、セメント粉砕助剤として、特にアミノアルコール類との組み合わせにおいて用いることができることを発見した。さらに、ポリマーAと、慣用されるセメント粉砕助剤との組み合わせ物が、ポリマーAの有利な効果を失うことなく、公知の粉砕助剤の欠点を改善しまたは大きく低減しうることを発見した。
【解決手段】本発明は、セメント粉砕助剤の形態で用いられ、有効に粉砕時間を短縮可能にし、且つ優れた特性を示すセメントを得ることを可能にする、水性ポリマー組成物に関する。ポリマーAと公知のセメント粉砕助剤の組み合わせを含むセメント粉砕助剤もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント粉砕助剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントの製造は非常に複雑なプロセスである。セメントは、水が液体で存在するか又は気体状態で存在するかに関わらず、水に対して非常に敏感であることが知られているが、なぜならセメントは水硬性硬化する、すなわち短時間内に水の影響下で硬化し、非常に安定な固体を与えるからである。セメント製造の中心の工程は、クリンカーの粉砕である。クリンカーは非常に硬いので、粉砕は非常に困難である。セメントの性質にとっては、セメントが微細な粉末として存在することが重要である。したがって、セメントの微細さは重要な品質特性である。粉体への粉砕を容易にするために、いわゆるセメント粉砕助剤が用いられている。これは粉砕時間とエネルギーコストを非常に短縮し低減する。そのようなセメント粉砕助剤は、グリコール類、例えばアルキレングリコール、アミン、又はアミノアルコール、を含む群から一般に選択される。
【0003】
例えば、米国特許第5084103号明細書は、トリアルカノールアミン、例えば、トリイソプロパノールアミン(TIPA)又はN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(2-ヒドロキシプロピル)アミン、及びトリス(2-ヒドロキシブチル)アミンを、クリンカーに対する粉砕助として記載している。
【0004】
さらに、水溶性ポリカルボキシレートは、特に製紙業において用いるための、石灰又は顔料などの鉱物の水性懸濁液の製造のための粉砕助剤として、国際公開第97/10308号又は欧州特許出願公開第0100947A1によって知られている。米国特許出願公開第2002/0091177A1号公報は、粉末鉱物フィラーの水性懸濁液を製造するための粉砕助剤としての、エチレン性不飽和モノマーから構成されたポリマーの使用を記載している。この文献は、そのような水性懸濁液と混合されたセメントが、改善された初期強度をもたらすことをさらに開示している。しかし、これらの文献のいずれも、セメント粉砕助剤を開示していない。
【0005】
いわゆるコンクリート流動化剤はかねてから公知である。例えば、欧州特許公報第1138697B1号又は同1061089B1号は、エステルと任意選択によるアミド側鎖とを有していてもよい(メタ)アクリレートポリマーが、コンクリート流動化剤として適していることを開示している。この場合、このコンクリート流動化剤は添加剤としてセメントに添加されるか又は粉砕前にセメントに添加され、それらから製造されるコンクリート又はモルタルの高流動化、例えば、水の必要量の低減、をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5084103号明細書
【特許文献2】国際公開第97/10308号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0100947A1号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0091177A1号公報
【特許文献5】欧州特許公報第1138697B1号
【特許文献6】欧州特許公報第1061089B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
驚くべきことに、式(I)の少なくとも1種のポリマーAを含む水性組成物を、セメント粉砕助剤として、特にアミノアルコール類との組み合わせにおいて用いることができることを発見した。さらに、驚くべきことに、ポリマーAと、慣用されるセメント粉砕助剤との組み合わせ物が、ポリマーAの有利な効果を失うことなく、公知の粉砕助剤の欠点を改善しまたは大きく低減しうることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、セメント粉砕助剤としての水性組成物の使用に関する。本水性組成物は、下記式(I)の少なくとも1種のポリマーAを含む。
【化1】

【0009】
上記式中、Mはそれぞれ独立して、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、2価又は3価の金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウム基である。「それぞれ独立して」の語は、ここ又は以下においてそれぞれの場合に、置換基が同一分子内で様々な利用可能な定義を有することができることを意味する。例えば、式(I)のポリマーAは、同時にカルボン酸基とカルボン酸ナトリウム塩基とを有することができ、この場合にはHとNaがそれぞれ独立してRに対する意味を表す。
【0010】
第一に、上記基はカルボキシレートであり、これにイオンMが結合していること、そして第二に、多価イオンMの場合には電荷は対イオン(カウンターイオン)によってバランスがとられていなければならないことが、当業者には明らかである。
【0011】
さらに、置換基Rはそれぞれ独立して、水素又はメチルである。このことは、ポリマーAが置換されたポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、又はポリ((メタ)アクリレート)であることを意味する。
【0012】
さらに、置換基R及びRはそれぞれ独立して、C〜C20のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、又は-[AO]-Rである。この式中、AはC〜Cアルキレン基であり、RはC〜C20のアルキル、シクロヘキシル、又はアルキルアリール基であり、nは2〜250、特に8〜200、より好ましくは11〜150である。
【0013】
さらに、置換基Rはそれぞれ独立して、−NH、−NR、−ORNRである。これらの置換基において、R及びRはそれぞれ独立して、H又はC〜C20のアルキル、シクロアルキル、又はアルキルアリール、又はアリール基、又はヒドロキシアルキル基、又はアセトキシエチル(CH3-CO-O-CH2-CH2-)又はヒドロキシイソプロピル(HO-CH(CH3)-CH2-)、又はアセトキシイソプロピル基(CH3-CO-O-CH(CH3)-CH2-)であるか、又はR及びRは一緒になって環を形成し、環の一部が窒素であってモルホリン又はイミダゾリン環を形成する。さらに、置換基R及びRはここではそれぞれ独立してC〜C20のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール、又はヒドロキシアルキル基であり、RはC〜Cアルキレン基である。
【0014】
最後に、添え字a、b、c、及びdは、式(I)のポリマーA中のこれらの構造要素のモル比である。これらの構造要素は互いに対して以下の割合である。
a/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.8)/(0〜0.3)、特にa/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.5)/(0〜0.1)、好ましくはa/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.3)/(0〜0.06)であり、a+b+c+dの合計=1である。C+dの合計は、好ましくは0より大きい。
【0015】
ポリマーAは以下の具体的なモノマー類:
【化2】

のフリーラジカル重合により、又は下記式(III):
【化3】

のポリカルボン酸のいわゆるポリマー類似反応によって調製できる。このポリマー類似反応においては、上記ポリカルボン酸は、対応するアルコール類、アミン類でエステル化又はアミド化される。ポリマー類似反応の詳細は、例えば、欧州特許第1138697B1号公報の第7頁第20行から第8頁第50行及びその実施例、又は欧州特許第1061089B1号公報の第4頁第54行から第5頁第38行及びその実施例に開示されている。その変法においては、欧州特許出願公開第1348729A1号公報の第3頁から第5頁とその実施例に記載されているように、ポリマーAは固体状態で調製可能である。
【0016】
上記ポリマーの特に好ましい態様は、c+d>0、特にd>0であることを発見した。特に有利なR基は、特に-NH-CH2-CH2-OHであることを発見した。そのようなポリマーAは、化学的に結合したエタノールアミンを有し、これは極めて有効な腐食防止剤である。この腐食防止剤を化学的に結合することは、それを単に混合した場合と比較して臭気を低減する。さらに、そのようなポリマーAはまた、顕著に大きな流動化特性を有することを発見した。
【0017】
本水性組成物は、式(I)のポリマーAの調製において水を添加すること、又は続いて式(I)のポリマーAを水と混合することによって調製される。
【0018】
通常、式(I)のポリマーAの比率は、本水性組成物の重量を基準に10〜90重量%、特に25〜50重量%である。
【0019】
式(I)のポリマーAの種類に応じて、懸濁液又は溶液が形成される。溶液が好ましい。
【0020】
本水性組成物はさらなる成分を含んでもよい。それらの例は、コンクリート技術において慣用の溶媒又は添加剤であり、特に、界面活性剤、熱及び光安定剤、染料、消泡剤、促進剤、遅延剤、腐食防止剤、気泡形成剤である。
【0021】
本発明の一つの態様において、セメント粉砕助剤として用いる水性組成物(以下CAという)は、式(I)の少なくとも1種のポリマーAは別にして、さらなる粉砕助剤を含有しない。
【0022】
本発明の好ましい態様において、セメント粉砕助剤として用いる水性組成物(以下、CAGAと記す)は、上述した少なくとも1種の式(I)のポリマーAに加えて、少なくとも1種のさらなる粉砕助剤を含有する。このさらなる粉砕助剤は、特に、グリコール類、有機アミン類、及び有機アミンとカルボン酸とのアンモニウム塩を含む群から選択される。
【0023】
好適なグリコール類は、特にアルキレングリコール類であり、特に、式OH-(CH2-CH2-O)n-CH2CH2-OH(式中、n=0〜20、特に、0、1、2、又は3である。)のアルキレングリコールである。
【0024】
好適な有機アミン類は、特にアルカノールアミン類であり、特に、トリアルカノールアミン類、好ましくは、トリイソプロパノールアミン(TIPA)又はトリエタノールアミン(TEA)である。
【0025】
本水性組成物は、粉砕前にクリンカーに添加され、次に粉砕してセメントを与える。概ね、本水性組成物はまた、粉砕工程で添加することもできる。しかし、粉砕前での添加が好ましい。この添加は、石膏及び適切な場合はその他の粉砕添加剤(例えば、石灰、高炉スラグ、フライアッシュ、又はポゾラン)の添加前、添加時、添加後に行うことができる。
【0026】
本水性組成物はまた、混合セメントの製造用に用いてもよい。このためには、本水性組成物を用いた粉砕によってそれぞれ個別に調製した個々のセメントを混合することができ、あるいは混合セメントを得るために、複数のセメントクリンカーの混合物を本水性組成物とともに粉砕する。
【0027】
たとえ好ましいことではなくても、水性組成物CAGAの代わりに、粉砕助剤とともに水性組成物CAを混合して用いることが可能であることは評価される。このことは、この水性組成物が、粉砕において別の粉砕助剤とは別個に用いられることを意味する。
【0028】
本水性組成物は、式(I)のポリマーAが、粉砕されるクリンカーを基準にして0.001〜1.5重量%、特に0.005〜0.2重量%、好ましくは0.005〜0.1重量%となるようにクリンカーに添加されることが好ましい。
【0029】
したがって、とりわけ、流動化添加剤としてセメントに添加されることが知られている濃度(すなわち通常0.2〜1.5%のポリマーA)よりも、セメントに対して顕著に低い濃度のポリマーAでさえ、セメント粉砕助剤として有効に作用しうることを発見した。
【0030】
粉砕工程は、通常、セメント粉砕機中で行われる。しかし、セメント工業で公知の他の粉砕機を使用することも原理上可能である。粉砕時間に応じて、セメントは異なる微粉度を有する。セメントの微粉度は通常はBlaine(ブレーン法)に準拠してcm/gで表される。一方、粒径分布もまた、微細度についての実務に関連する。そのような粒径分析は通常、レーザー粒径分析計又はエアージェット篩によって測定される。
【0031】
本発明の水性組成物の使用は、所望する微細度を達成するための粉砕時間を短縮することを可能にする。結果として低減されるエネルギーコストは、これらのセメント粉砕助剤の使用を経済的に非常に魅力あるものにする。
【0032】
本水性組成物がセメント粉砕助剤として非常に適していることを発見した。多種多様な様々なセメントをクリンカーから製造するために、本水性組成物を用いることが可能であり、セメントは特に、DIN EN 197−1に準拠して分類されるCEM I(ポルトランドセメント)、CEM II及びCEM III(高炉セメント)である。CEM Iが好ましい。
【0033】
本水性組成物の添加は、例えば、特にブレーン微細度の達成までの粉砕時間を短縮した。したがって、本発明の水性組成物は、所望する微細度を達成するための粉砕時間を短縮することを可能にする。結果として低減されたエネルギーコストは、これらのセメント粉砕助剤の使用を経済的に非常に興味あるものにする。
【0034】
さらに、水性組成物CAを用いた場合は、セメントと配合された水硬性組成物、特にモルタルに、空気が存在する場合には少量の空気しか入り込まないが、粉砕助剤としてアルカノールアミンを用いた場合には特に多い量で存在することを発見した。
【0035】
さらに、アルカノールアミンの場合に知られる水の必要量の増加が、水性組成物CAの場合には生じないか、または完全に粉砕助剤なしのセメントと比較してさえこれが低減されることを発見した。
【0036】
驚くべきことに、水性組成物CAGA中での式(I)のポリマーAと、さらなる粉砕助剤との組み合わせが、ポリマーAと粉砕助剤の利点を結合し、あるいはそれらの欠点をむしろ低減するか又は改善さえするセメント粉砕助剤をもたらすことも発見した。
【0037】
例えば、ポリマーAとアルカノールアミンとを含む水性組成物CAGAは優れた粉砕助剤であるばかりでなく、それによって製造されたセメントは、粉砕助剤としてアルカノールアミンのみを用いたセメントと比較して、大きく低減された水の必要量をもち、優れた初期強度が達成されうることを発見した。
【0038】
さらに、例えば、ポリマーAとアルキレングリコールとを含有する水性組成物CAGAは優れた粉砕助剤を構成し、それによって製造されるセメントは優れた硬化特性を有することを発見した。
【0039】
特に有利な水性組成物CAGAは、ポリマーAとアルカノールアミンとさらにアルキレングリコールとを含有するものであることを発見した。そのような組成物は非常に有効な粉砕助剤であることを発見した。それにより製造されるセメントは、大きな程度の広がりと、特に優れた初期強度を有する。
【0040】
このように粉砕されたセメントは、その他の粉砕されたセメントと同様に、コンクリート、モルタル、成型材料、注入、又は下塗りにおいて広い用途がある。
【0041】
かなり多量のポリマーAを、クリンカーの粉砕前にセメントに添加した場合は、ポリマーAについて知られている流動化特性が、それらを水と混合した後に明らかになる。したがって、本発明のさらなる好ましい態様においては、任意選択によりさらなる粉砕助剤とともに、充分量のポリマーAを、水性組成物の形態で、実質的に粉砕前にクリンカーに添加することが可能であって、これは水との接触で所望の流動性を達成するために添加剤としてセメントに通常添加されるようにである。典型的には、この量は、セメントに対して0.2〜1.5重量%のポリマーAである。したがって、この態様においては、その後の流動化剤の混合は必要なく、したがって、セメントの使用者にとって作業工程が省略される。したがって、そのようなセメントは大量に製造することができる「すぐに使用可能な」製品となる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[実施例]
〔用いたポリマーA〕
【表1】

【0043】
表2で特定したポリマーAは、公知の方法で、具体的なポリ(メタ)アクリル酸と、対応するアルコール及び/又はアミンとのポリマー類似反応によって調製した。ポリマーA−1〜A−12は、部分的にNaOHで中和した形態で存在する(M=H、Na)。
【0044】
ポリマーAは、水性溶液として、セメント粉砕助剤として用いる。本ポリマーの含有量は、30重量%(A−4)、35重量%(A−2)、又は40重量%(A−1、A−3、A−5〜A−12)である。これらの水性溶液は、A−1L、A−2L、A−3L、A−4L、A−5L、A−6L、A−7L、A−8L、A−9L、A−10L、A−11、及びA−12Lという。以下に続く表中でAに対して特定した濃度は、それぞれポリマーAの含有量に基づく。
【0045】
【表2】

【0046】
〔さらなるセメント粉砕助剤〕
【表3】

【0047】
〔用いたクリンカー〕
【表4】

【0048】
〔硫酸塩担体なしでのクリンカーの粉砕〕
クリンカーは最初に約4mmの粒径に粉砕した。クリンカーを基準にした、表5で特定した様々な濃度のポリマーAをクリンカー(400g)に添加し、石膏を添加せずに、外部加熱なしで、400回転/分の回転速度で、Fritsch社製の実験室用ボールミル中で粉砕した。
【0049】
〔硫酸塩担体を用いたクリンカーの粉砕〕
具体的クリンカーの混合物20〜25kgと、それぞれの場合に最適化したセメント用の硫酸塩担体を混合し、表6〜10で特定した用量で特定の粉砕助剤とブレンドするか又はブレンドせず、Siebtechnik社製の加熱可能なボールミル中で、100〜120℃の温度で粉砕した。粉砕時間と篩残留分に加えて、さらに通常のセメント特性を、粉砕したセメントについて測定した。
【0050】
〔試験方法〕
− 粉砕時間4500: 混合物が、ボールミル中での粉砕後、4500cm/gのブレーン粒度を達成するまでの時間を測定した。
− 微粉度(粒度): 微粉度は、Wasag Chemie社製のブレーン値測定装置を用いてブレーン法にしたがって測定した。
− 篩残留分: 4500cm/gのブレーン微粒度まで粉砕されたセメントを、Alpine Hosokawa社製のエアージェット篩を使用して、32マイクロメートルより大きな粒子径を有する粒子の画分である篩残留分を決定するために用いた。
− 水の必要量: いわゆる「標準スティフネス」のための水の必要量を、セメントライムについてDIN EN 196に準拠して測定した。
− 篩残留分4000: 4000cm/gのブレーン微粒度まで粉砕されたセメントを、Alpine Hosokawa社製のエアージェット篩を使用して、32マイクロメートルより大きな粒子径を有する粒子の画分である篩残留分を決定するために用いた。
− 水の必要量: いわゆる「標準スティフネス」のための水の必要量を、セメントライムについてDIN EN 196に準拠して測定した。
− フローテーブルスプレッド(flow table spread): フローテーブルスプレッドは標準モルタルについてDIN EN 196に準拠して測定した(水/モルタル=0.5)。
− 空気量: 空気量はDIN EN 196に準拠して測定した。
− 圧縮強度: 硬化したプリズム体の圧縮強度をDIN EN 196に準拠して測定した。
【0051】
以下に示した本発明の実施例及び比較例の結果は、各場合において、すぐ連続して行った一組の試験から導き、その全ては同じ表中にまとめた。
【0052】
〔セメント粉砕助剤としての様々なポリマーAの比較〕
クリンカー: 硫酸塩担体なしのK−3
【表5】

【0053】
〔アルカノールアミンと比べた、様々なポリマーAの比較〕
クリンカー: 硫酸塩担体を用いたK−1
【表6】

【0054】
〔粉砕助剤の比較〕
クリンカー: 硫酸塩担体を用いたK−1
【表7】

【0055】
〔粉砕助剤としての、ポリマーA/アルカノールアミン混合物(CAGA)〕
クリンカー:硫酸塩担体を用いたK−1
【表8】

【0056】
〔粉砕助剤としてのポリマーA/アルカノールアミン混合物(CAGA)〕
クリンカー:硫酸塩担体を用いたK−2
【表9】

【0057】
〔粉砕助剤としての、ポリマーA/アルカノールアミン/アルキレングリコール混合物(CAGA)〕
クリンカー:硫酸塩担体を用いたK−1
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

〔上記式中、
Mはそれぞれ独立して、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、2価又は3価の金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウム基であり、
Rはそれぞれ独立して、水素又はメチルであり、
及びRはそれぞれ独立して、C〜C20のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、又は-[AO]-Rであり(AはC〜Cアルキレン基であり、RはC〜C20のアルキル、シクロヘキシル、又はアルキルアリール基であり、nは2〜250である)、
は、−NH、−NR、−ORNRであり(R及びRはそれぞれ独立して、H又はC〜C20のアルキル、シクロアルキル、又はアルキルアリール、又はアリール基であるか、又はヒドロキシアルキル基であるか、又はアセトキシエチル(CH3-CO-O-CH2-CH2-)又はヒドロキシイソプロピル(HO-CH(CH3)-CH2-)、又はアセトキシイソプロピル基(CH3-CO-O-CH(CH3)-CH2-)であるか、
あるいは、R及びRは一緒になって環を形成し、環の一部が窒素であってモルホリン又はイミダゾリン環を形成しており(ここで、RはC〜Cアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立してC〜C20のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール、又はヒドロキシアルキル基であり)、
添え字a、b、c、及びdはモル比であって、a/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.8)/(0〜0.3)であり、a+b+c+dの合計=1である。〕
の少なくとも1種のポリマーAを含有する水性組成物の、セメント粉砕助剤としての使用。
【請求項2】
nが8〜200、より好ましくは11〜150であることを特徴とする、請求項1記載の水性組成物の使用。
【請求項3】
a/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.5)/(0〜0.1)、好ましくはa/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.3)/(0〜0.06)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性組成物の使用。
【請求項4】
c+d>0であることを特徴とする、請求項3に記載の水性組成物の使用。
【請求項5】
水性組成物の重量を基準にして、前記式(I)のポリマーの比率が10〜90重量%、特に25〜50重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性組成物の使用。
【請求項6】
組成物が分散液であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性組成物の使用。
【請求項7】
組成物が溶液であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性組成物の使用。
【請求項8】
水性組成物がさらなる粉砕助剤を含むか、又は水性組成物がさらなる粉砕助剤と混合されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性組成物の使用。
【請求項9】
前記のさらなる粉砕助剤が、グリコール類、有機アミン類、及び有機アミンとカルボン酸とのアンモニウム塩を含む群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の水性組成物の使用。
【請求項10】
前記有機アミンが、トリアルカノールアミン、特に、トリイソプロパノールアミン又はトリエタノールアミンであるであることを特徴とする、請求項9に記載の水性組成物の使用。
【請求項11】
前記水性組成物が、粉砕されるクリンカーを基準にして0.001〜1.5重量%、特に0.005〜0.2重量%、好ましくは0.005〜0.1重量%となるように、式(I)のポリマーAがクリンカーに添加されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性組成物の使用。
【請求項12】
下記式(I):
【化2】

〔上記式中、
Mはそれぞれ独立して、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、2価又は3価の金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウム基であり、
Rはそれぞれ独立して、水素又はメチルであり、
及びRはそれぞれ独立して、C〜C20のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、又は-[AO]-Rであり(AはC〜Cアルキレン基であり、RはC〜C20のアルキル、シクロヘキシル、又はアルキルアリール基であり、nは2〜250である)、
は、−NH、−NR、−ORNRであり(R及びRはそれぞれ独立して、C〜C20のアルキル、シクロアルキル、又はアルキルアリール、又はアリール基であるか、又はヒドロキシアルキル基であるか、又はアセトキシエチル(CH3-CO-O-CH2-CH2-)又はヒドロキシイソプロピル(HO-CH(CH3)-CH2-)、又はアセトキシイソプロピル基(CH3-CO-O-CH(CH3)-CH2-)であるか、
あるいは、R及びRは一緒になって環を形成し、環の一部が窒素であってモルホリン又はイミダゾリン環を形成しており(ここで、RはC〜Cアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立してC〜C20のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、アリール、又はヒドロキシアルキル基であり)、
添え字a、b、c、及びdはモル比であって、a/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.8)/(0〜0.3)であり、a+b+c+dの合計=1である。〕
の少なくとも1種のポリマーAを含有する水性組成物を、粉砕前にクリンカーに添加し、次に混合物を粉砕してセメントを得ることを特徴とする、セメントの製造方法。

【公開番号】特開2011−26197(P2011−26197A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201911(P2010−201911)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【分割の表示】特願2007−517289(P2007−517289)の分割
【原出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】