セメント系充填材の長距離圧送注入方法
【課題】従来の材料を用いて長距離圧送しても、パイプが詰まらずに注入施工できる充填材を長距離圧送して注入するセメント系充填材の長距離圧送注入方法を提供すること。
【解決手段】セメント、水に第1増粘剤と第2増粘剤を加えて調整したA液と、無機系充填材、水に前記第1増粘剤と前記第2増粘剤を加えて調整したB液とを混合して増粘させた後に施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液と前記B液を各々別々のパイプ154,174で長距離圧送し、前記A液と前記B液を施工部直前で攪拌装置を介して混合して注入施工する。
【解決手段】セメント、水に第1増粘剤と第2増粘剤を加えて調整したA液と、無機系充填材、水に前記第1増粘剤と前記第2増粘剤を加えて調整したB液とを混合して増粘させた後に施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液と前記B液を各々別々のパイプ154,174で長距離圧送し、前記A液と前記B液を施工部直前で攪拌装置を介して混合して注入施工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネルの覆工コンクリートの背面の空洞等に、セメント系充填材を長距離圧送して注入するセメント系充填材の長距離圧送注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道トンネルや道路トンネルにおいて、トンネルの覆工コンクリートの背面に空洞があり、覆工コンクリートの劣化要因となっていた。トンネル内の覆工コンクリートの背面の空洞は、トンネル施工後、背面土砂の流出により生じた場合と、矢板工法で施工されたトンネルに施工当時から存在したものなどがある。近年、地震時の損傷原因の1つと想定され、それらの空洞にセメント等の充填材を注入して埋める工事が必要とされている。
【0003】
空洞に充填材等を注入する際に、道路トンネルの場合、一車線を通行止めにして片側運行させながら、注入施工現場近くまで充填材製造プラント(プラント設備)を移動させ設置して、そのプラント設備でセメント、硬化促進剤、水に第1増粘剤と第2増粘剤と、消泡剤、を加えたA液(セメント混合液)と、無機系充填材、水に該第1増粘剤と該第2増粘剤とを加えたB液(無機系充填材混合液)とを作成し、それらを混合させ、その場で注入施工することが行われている。
【0004】
一方、鉄道トンネルの場合は、鉄道車両が運行していない夜間に工事を行う必要がある。この場合、以下のような方法が考えられる。すなわち、注入作業車は注入施工現場まで移動できるが、図11に示すように、プラント設備91が大型であるため、トンネル3の坑口31の外に配置せざるを得ない。
プラント設備91は、A液用のプラント設備91aとB液用のプラント設備91bとが準備される。A液用のプラント設備91aは、水タンク911と発電機919と、A液用増粘剤混合プラント915と、A液用攪拌機952とを備えている。
B液用のプラント設備91bは、水タンク911と発電機919と、B液用増粘剤混合プラント917と、B液用攪拌機972とを備えている。
【0005】
そして、別に設けられたセメント製造プラントでセメントと水とを積載してきたA液用のミキサー車960aに、増粘剤混合プラント915により混合された第1増粘剤と第2増粘剤を投入して、セメントと水と第1増粘剤と第2増粘剤とが混合されたA液を攪拌機952に投入しておく。
同様に、無機系充填材製造プラントで無機系充填材と水とを積載したB液用のミキサー車960bに、増粘剤混合プラント917により混合された第1増粘剤と第2増粘剤を投入して、無機系充填材と水と第1増粘剤と第2増粘剤とが混合されたB液を攪拌機972に投入しておく。
なお、プラント設備91aとプラント設備91bとは、鉄道線路脇の同一平面上に設置されるが、図11では便宜上、上下に記載してある。
【0006】
一方、トンネル3内では、図12、図13に示すように、発電機919とA液用の攪拌機951と圧送ポンプ953と、これらを搭載した無蓋貨車923とを備えた注入作業車920aと、B液用の攪拌機971と圧送ポンプ973と、これらを搭載した無蓋貨車924とを備えた注入作業車920bと、さらに高所作業車921を搭載した無蓋貨車922を連結し、これらを機関車925により牽引可能にした注入装置92を準備する。
なお、図12、図13で高所作業車921を搭載した車両を2両連結しているのは、注入作業を効率よく行うためである。
【0007】
そして、図12に示すように、この注入装置92をプラント設備91に近いトンネル3の坑口31に移動させて、A液のプラント設備91aの攪拌機952により攪拌されているA液を、A液の注入車両920aの攪拌機951に、注入パイプ954により圧送して積み替えし、同じくB液のプラント設備91bの攪拌機972により攪拌されているB液を、B液の注入車両920bの攪拌機971に、注入パイプ974により圧送して積み替えし、図13に示す注入施工現場に移動させて、A液をその注入車両920aの注入ポンプ953から注入作業者Mの手元の注入管22に圧送し、また、B液をその注入車両920bの注入ポンプ973から注入作業者Mの手元の注入管22に圧送し、注入管22でA液とB液とを混合させてトンネル3の空洞33に充填材を注入する。
【0008】
注入車両920a又は注入車両920bの攪拌機951又は攪拌機971内のA液又はB液が無くなると、再び注入装置92をトンネル3の坑口の外にあるプラント設備91a、91bまで移動させて、A液又はB液を補充し、再び注入施工現場まで移動して注入作業を続ける。
【0009】
しかし、このような往復移動をすると作業時間がかかり、鉄道車両が運行していない夜間の限られた時間内では、作業が進みにくいため、トンネルの坑口に設置したプラント設備と注入作業車とを直接注入パイプで連結し、A液とB液とを各々別の注入パイプで長距離圧送し、注入作業車の近くで混合して注入施工することが行われる。
【0010】
このようなトンネル内の覆工コンクリートの背面等の空洞内に充填材を長距離圧送して注入する技術として、特許文献1、2に記載されたものがある。
また、上記技術に用いる充填材として、特許文献3〜5に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2006−213589号公報
【特許文献2】特開2003−278144号公報
【特許文献3】特開2006−160544号公報
【特許文献4】特開2007−146082号公報
【特許文献5】特開2004−67887号公報(特許第3973990号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、A液及びB液の各々において、第1増粘剤と第2増粘剤とを同量添加したA液及びB液を別々に圧送して、注入直前に混合することが考えられる。ところが、鉄道トンネルの長さが1km以下の場合には問題とならないが、トンネルの長さが1kmを越えて2km、3kmになると、トンネルの坑口に設置したプラント設備から注入作業車まで注入パイプで長距離圧送すると、A液、B液の粘度が高いため、特にセメントを主剤とするA液の流動性が低下し、注入パイプ内でA液が詰まってしまい、注入施工工事が行えなくなる問題がある。
【0012】
充填材がパイプ内で詰まってしまうのを防止するために粘度を低くすると、図5に示すトンネル3の覆工コンクリート打ち継ぎ目321や、紙面に直交するトンネル3の断面に現れる覆工コンクリート打ち継ぎ目(図略)からの漏出や線路床下の配水管への流出が生じ、注入ができず、たとえ注入できたとしても硬化性(固まろうとする性質)や流動性(押しながら奥に移動する性質)が悪化してしまうという問題がある。
また、特許文献1に記載されたようなベントナイトや水ガラスを用いる注入施工方法、あるいは特許文献2に記載されたような石灰や分散剤を用いる注入工法では、材料の種類が多く、そのための設備や管理費用がかかり、経済的なものとはいえないという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、従来の材料を用いて長距離圧送しても、パイプが詰まらずに注入施工できる充填材を長距離圧送して注入するセメント系充填材の長距離圧送注入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るセメント系充填材の長距離圧送注入方法は、次のような特徴を有している。
(1)セメント、水に第1増粘剤と第2増粘剤を加えて調整したA液と、無機系充填材、水に前記第1増粘剤と前記第2増粘剤を加えて調整したB液とを混合して増粘させた後に施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送し、前記A液と前記B液を施工部直前で攪拌装置を介して混合して注入施工することを特徴とする。
【0015】
(2)(1)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液中の前記第1増粘剤の重量をa1、前記第2増粘剤の重量をa2としたとき、その配合比率 a1/(a1+a2)が、好ましくは1〜99、より好ましくは30〜70、最も好ましくは40〜60であるセメント系充填材を用いて注入することを特徴とする。
【0016】
本願発明者らは、第1増粘剤と第2増粘剤の配合比率a1/(a1+a2)が、1〜99であれば、A液を2Kmから3Km注入パイプで輸送しても、注入パイプで詰まりが発生しないことを実験により確認した。配合比率が1以下のもっと小さい値でも、粘性は高くならず、注入パイプの詰まりが発生しないのであるが、あまり小さな値では、セメントが分離沈降してしまい、注入施工後のセメントの強度が低下する問題がある。したがって、a1/(a1+a2)は、1〜99の値を採ることが望ましい。
特に、配合比率 a1/(a1+a2)が、40〜60であれば、A液中のセメント粒子の沈降及びポンプを大型化しないで済むことを実験により、確認している。ここで、配合比率 a1/(a1+a2)が、40未満の場合は、A液中のセメントの沈降が著しく、パイプの閉塞を招く可能性があり、60を越える場合は、圧送圧の増加により圧送困難となるため、40〜60が好ましいのである。
【0017】
(3)(1)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液の粘度が、50〜300mPa・s、特に100〜200mPa・sであることを特徴とする。
すなわち、最終的には、充填材を所定の粘度にする必要がある。その理由は、トンネル内上面の空洞に充填材を注入施工する際に、粘度が高くないと、コンクリート打ち継ぎ目からの漏出や配水管への流出が生じるからである。注入施工時の充填材は、粘度が高すぎても良くなく、適度の流動性を有することが必要である。
【0018】
流動性とは、空洞に充填材を注入するときに、後から注入される充填材により、先に注入されている充填材が押されて、空洞の奥に流れて移動する性質である。
A液の粘度は、パイプ輸送を行う直前の段階で、100mPa・s以上200mPa・s以下であると、最適である。
A液の粘度が、100mPa・s未満であると、A液中のセメントの沈降を引き起こす可能性が高くなり、200mPa・sを越えると、圧送圧が増加して長距離圧送が困難となる。
その条件を達成するためには、A液とB液の組成は、次に記載する範囲内の重量%を有するとよい。
【0019】
(4)(1)に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
(ア)前記A液の組成が質量で、セメント46%、水47%、第1増粘剤0.77%、第2増粘剤1.41%、硬化促進材4%ならびに消泡剤0.0014%、であり、
(イ)前記B液の組成が質量で、無機系充填材55%、水41%、第1増粘剤0.7%、第2増粘剤0%ならびに硬化調整剤4%である、前記A液及びB液を用いることを特徴とする。
そして、ここで言う無機系充填材とは、フライアッシュ、ボトムアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、硅石微粉末、ベントナイト、炭酸カルシウム、クレイのいずれか単体、若しくは、それらの混合物のいずれでも良い。
【0020】
(5)また、(1)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送する際に、前記A液と前記B液を圧力伝達媒体としての送り水と、該送り水と前記A液又はB液とを前記各パイプ内で区分する仕切材と、を介して圧送することを特徴とする。
これによれば、注入工事当日の施工可能時間や予想注入量により前記A液と前記B液の製造数量が決定され、それによりパイプの中を前記A液と前記B液で満たせない場合があり、このようなときに圧力伝達媒体としての送り水を用いると、この送り水を介して前記A液と前記B液に圧送圧を負荷させて圧送することが可能となる。
また、前記仕切材により前記A液又は前記B液と前記送り水とを区分することができ、A液又は前記B液を送り水により希釈することなく圧送することが可能となる。
この仕切材の材質及び形状は、送り水とA液、並びに送り水とB液を区分できる性能を有するものであれば、材質及び形状を問わないが、A液及びB液を圧送するパイプ径よりも大きく、弾力性のあるものが好ましく、例えば、直径50mmのパイプを使用する場合、発泡ポリウレタン製で直径65mm程度のボールを使用することが望ましい。このような仕切材を使用することにより、A液及びB液が送り水に希釈されて品質を低下させることなく、長距離圧送が可能となる。
【0021】
(6)また、(5)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記仕切材を施工部直前で回収するために、前記撹拌装置の手前の前記A液と前記B液の各々のパイプに設けられた仕切材回収装置を介して圧送することを特徴とする。
これによれば、前記仕切材を施工部直前で回収することができ、従来のようなパイプを分解して仕切材を回収するものと比較して、回収効率を向上させ、作業の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の充填材長距離圧送注入方法によれば、第1増粘剤と第2増粘剤の配合比率が1〜99(特には、40〜60)となるように調整することで、A液の粘度が、50〜300(特には、100〜200)mPa・sとなるように調整して圧送するので、充填材がパイプの途中で詰まることがなく、かつ適度な流動性をもって注入されるので、トンネル坑口から注入施工現場までの距離が2km以上であっても充填材を圧送することができるようになり、注入工事を安価に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係る充填材長距離圧送注入方法の一の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態の充填材長距離圧送注入方法は、鉄道トンネルに適用されたものである。
ここで、図1は、本実施の形態の充填材長距離圧送注入方法に用いる充填材製造プラント及び注入装置を示した平面図であり、図2は、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大平面図である。図3は、充填材長距離圧送注入方法に用いる充填材製造プラント及び注入装置を示した側面図であり、図4は、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大側面図である。
【実施例】
【0024】
充填材製造プラント及びトンネル内の注入装置の構成について説明する。充填材製造プラント(プラント設備)1は、図1、図3に示すように、トンネル3の坑口31の外に設置されるものであり、水タンク11と、沈殿槽12と、排水用貯留タンク13と、A液用のプラント設備15と、B液用のプラント設備17とを備えている。
A液用のプラント設備15は、図2に示すように、セメントを貯留しておくセメントサイロ151と、セメントと水とこれらに添加する特殊な増粘剤とを混合するA液用混合プラント152と、混合プラント152により調整されたA液を注入施工箇所に圧送する長距離圧送ポンプ153とを備えている。
【0025】
一方、B液用のプラント設備17は、無機系充填材を貯留しておく無機系充填材サイロ171と、無機系充填材と水とこれらに添加する特殊な増粘剤とを混合するB液用混合プラント172と、混合プラント172により調整されたB液を注入施工箇所に圧送する長距離圧送ポンプ173とを備えている。
【0026】
トンネル3内の注入施工箇所に充填材を注入する注入装置2は、図3、図5に示すように、高所作業車21と注入管22とを備えている。高所作業車21は、線路の枕木上を走行可能な無端走行帯を有する車両に、先端に注入作業者Mが搭乗可能なケージを有するクレーンを上下動及び旋回可能に設けたものである。
【0027】
そして、トンネル3の坑口31の外側に設置されているA液用の長距離圧送ポンプ153と、注入作業者Mが保持する注入管22との間を連結する注入パイプ154と、同じくB液用の長距離圧送ポンプ173と、注入作業者Mが保持する注入管22との間を連結する注入パイプ174とが、高所作業車21のトンネル3内の移動に伴って伸縮可能に配置される。
【0028】
なお、注入パイプ154、174の、長距離圧送ポンプ153、173と注入管22との間には、図2に示すように、流量計155、175がそれぞれ設けられ、注入管22に送られるA液、B液の流量を記録できるようになっている。
そして、A液、B液用の2本の注入パイプ154、174の先端は、図6に示すように、先端に攪拌装置221を備えたY字状の注入管22に連結され、この注入管22内でA液とB液が初めて混合されるようになっている。
【0029】
そして、図7に示すように、A液用の注入パイプ154の、注入管22のY字状の手前に、リターンパイプ154aが接続され、後述するように、注入作業終了後に注入パイプ154に残留しているA液をプラント設備1に返送するようになっている。同様に、B液注入パイプ225の、注入管22のY字状の手前に、リターンパイプ14が接続され、注入作業終了後に注入パイプ174に残留しているB液をプラント設備1に返送するようになっている。なお、図1及び図2においては、リターンパイプ154aの記載を省略している。
【0030】
つぎに、上記のように構成された充填材製造プラント1で製造され、注入パイプ154、174を通って注入装置2に圧送される充填材Jを説明する。
充填材Jは、A液とB液とを別々に製造し、注入管22で初めて混合されるものであり、本実施の形態のA液とB液の組成は、表1に示すものとした。
【表1】
【0031】
そして、充填材Jが注入パイプ154、174の途中で固まらず長距離の圧送を可能にするためには、特にセメントを含むA液の粘度が重要であり、発明者らの種々の実験結果により、A液の粘度を50mPa・s以上300mPa・s以下であり、特に、100mPa・s以上200mPa・s以下に調整することが最も適していることが判った。
粘度が100mPa・s以下の場合には、A液(セメント液)が増粘剤等から分離沈降してセメントの沈降・固化、注入パイプ154の閉塞を誘発し、200mPa・s以上の場合は、粘度が高いため圧送圧が上がり、長距離圧送ポンプ153の圧送能力を超え、長距離の圧送が困難となる等の問題が発生する恐れがある。
【0032】
そして、長距離圧送を可能としながら設計強度を満たす最適配合(m3当たりの重量配合比率)を実験により求めた結果を表2から表5に示す。すなわち、表2、表3は設計基準強度0.2N/mm2の低強度の配合を示し、表2はA液の、表3はB液の配合を示している。
【表2】
【表3】
【0033】
表4、表5は設計基準強度5N/mm2の高強度の配合を示し、表4はA液の、表5はB液の配合を示している。
【表4】
【表5】
【0034】
すなわち、表2、表3および表4、表5に示すように、高・低強度のいずれの配合においても、A液の第1増粘剤A1の重量a1と第2増粘剤A2の重量a2との配合比率a1/(a1+a2)が好ましくは1〜99、より好ましくは30〜70、最も好ましくは40〜60となるように配合することにより、上記のような粘度が得られ、長距離圧送が可能になった。
配合比率a1/(a1+a2)が40以下の場合は、A液の減粘によりセメントの沈降防止効果が低下して、セメントの沈降・固化、注入パイプ154の閉塞を誘発する恐れがあり、配合比率a1/(a1+a2)が60以上の場合は、A液の増粘により圧送圧が上昇して長距離圧送ポンプ153の圧送能力を超え、長距離圧送が困難となる可能性が高くなる。
【0035】
上記のような粘度にすると、A液とB液が混合された充填材Jは、その圧縮強度が1.5N/mm2以上、比重が1.3〜1.7となり、図8に示すように、充填材Jを円筒に流し込んで直径80mm、高さ80mmの円柱J1となし、この円筒を外した直後の潰れ状況を観察すると、その潰れ部分J2が直径約155mm以下(フロー値が155以下)となるように調整される。なお、充填材Jを円筒に流し込んで5分後に円筒を外すテストでは、潰れが生じないレベル(フロー値が100以下)である。
【0036】
つぎに、上記のように調整された充填材Jをトンネル3の覆工コンクリート32の背面の空洞33に注入する作業について説明する。
まず、トンネル3の坑口31の外側に設置された充填材製造プラント1で、図9の注入フローに示すように、A液用プラント設備15のA液用混合プラント152に、水と第1増粘剤(ボンドVPグラウト100A)A1と第2増粘剤(ボンドVPグラウト100B)A2を、第1増粘剤A1の重量a1と第2増粘剤A2の重量a2との配合比率a1/(a1+a2)が1〜99、より好ましくは30〜70、最も好ましくは40〜60となるように投入し、さらに硬化促進材と消泡剤とを投入して練混水となし、これにセメント(普通ポルトランドセメント)を投入し混合してA液(セメント混合液)を作成する。
【0037】
同様に、充填材製造プラント1に設けられたB液用プラント設備17のB液用混合プラント172に、水と第1増粘剤(ボンドVPグラウト100A)B1と第2増粘剤(ボンドVPグラウト100B)B2を、A液の第1増粘剤A1の重量a1とB液の第1増粘剤B1の重量b1との関係及びA液の第2増粘剤A2の重量a2とB液の第2増粘剤B2の重量b2との関係が(a1+b1)/(a2+b2)=0.8〜1.2となるように第1増粘剤B1と第2増粘剤B2との重量b1、b2を選択して投入し、さらに硬化調整剤としてボンドVPグラウトCも適量混入して練混水となし、これに無機系充填材(JIS灰2種品)を投入し混合してB液(無機系充填材混合液)を作成する。
【0038】
以上のように作成されたA液と圧力伝達媒体としての水(送り水)とを長距離圧送ポンプ153により、途中流量計155を通してトンネル3坑内に配設された注入パイプ154を介して、高所作業車21に乗った注入作業者Mの手元の注入管22まで圧送する。
同様に、B液を長距離圧送ポンプ173により、途中流量計175を通してトンネル3坑内に配設された注入パイプ174を介して、高所作業車21に乗った注入作業者Mの手元の注入管22まで圧送する。
【0039】
注入パイプ154、174により圧送されてきたA液、B液は、図6に示すY字形の注入管22で合流し、攪拌装置221を通過することにより初めて混合され充填材Jとなる。そして、図10に示すように、トンネル3の覆工コンクリート32の背面にある空洞33に設けられた注入孔34から注入される。
注入口34には、詰めパイプ35が周囲のコーキング材351に保持されて固定されている。この詰めパイプ35に注入管22の先端を差し込んで接続される。
注入管22から出た充填材Jは、次々と充填材Jを押しながら空洞33の奥に広がり、やがて空洞33内に充填され空洞33を埋める。
【0040】
そして、始発列車が通過する前に、充填作業を中止する。作業を中止したらリターンパイプ14により注入パイプ154内に残っているA液を吸い出してプラント設備1の沈殿槽12に導入し、沈殿した固形物(ブロック)は産業廃棄物処理を行い、上澄み液を排水用貯留タンク13に導入して、再度、次の充填作業に利用する。
【0041】
このように、本実施の形態の充填材長距離圧送注入方法によれば、A液中の前記第1増粘剤の質量をa1、前記第2増粘剤の質量をa2としたとき、その配合比率 a1/(a1+a2)が、1〜99であるセメント系充填材を用いて圧送するようにしたので、トンネル3の坑口31の外に設置した充填材製造プラント1から注入管22までの距離が2km以上の長距離であっても、A液、B液が注入パイプ154、174の途中で停滞することなく圧送できるようになり、発電機や攪拌機ならびに注入ポンプ等を積載した専用車両を準備する必要がなく、安価に空洞33への充填材Jの注入施工が可能となった。
【0042】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、鉄道トンネルに適用した例で説明したが、これに限られず、道路トンネルや水路トンネルにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、充填材製造プラント及び注入装置を示した平面図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大平面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、充填材製造プラント及び注入装置を示した側面図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大側面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネル及び注入装置の正面断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる注入管の例を示す一部欠載平面図である。
【図7】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる注入パイプ及び注入管の配置を示す平面図である。
【図8】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる充填材の粘度を確認する状況の斜視図である。
【図9】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる注入フローを示す図である。
【図10】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法により注入される充填材の注入状況を示す断面図である。
【図11】従来の充填材長距離圧送注入方法に用いる、充填材製造プラントの側面図である。
【図12】従来の充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネル内の注入装置の側面図である。
【図13】従来の充填材長距離圧送注入方法による、トンネル内での注入施工の様子を示す側面図である。
【図14】従来の充填材の注入状況を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 充填材製造プラント
11 水タンク
15 A液用プラント設備
151 セメントサイロ
152 A液用混合プラント
153 A液用長距離圧送ポンプ
154 注入パイプ
17 B液用プラント設備
171 無機系充填材サイロ
172 B液用混合プラント
173 B液用長距離圧送ポンプ
174 注入パイプ
2 注入装置
21 高所作業車
22 注入管
221 攪拌装置
225 仕切材回収装置
3 トンネル
31 坑口
32 覆工コンクリート
33 空洞
35 詰めパイプ
J 充填材
M 注入作業者
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネルの覆工コンクリートの背面の空洞等に、セメント系充填材を長距離圧送して注入するセメント系充填材の長距離圧送注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道トンネルや道路トンネルにおいて、トンネルの覆工コンクリートの背面に空洞があり、覆工コンクリートの劣化要因となっていた。トンネル内の覆工コンクリートの背面の空洞は、トンネル施工後、背面土砂の流出により生じた場合と、矢板工法で施工されたトンネルに施工当時から存在したものなどがある。近年、地震時の損傷原因の1つと想定され、それらの空洞にセメント等の充填材を注入して埋める工事が必要とされている。
【0003】
空洞に充填材等を注入する際に、道路トンネルの場合、一車線を通行止めにして片側運行させながら、注入施工現場近くまで充填材製造プラント(プラント設備)を移動させ設置して、そのプラント設備でセメント、硬化促進剤、水に第1増粘剤と第2増粘剤と、消泡剤、を加えたA液(セメント混合液)と、無機系充填材、水に該第1増粘剤と該第2増粘剤とを加えたB液(無機系充填材混合液)とを作成し、それらを混合させ、その場で注入施工することが行われている。
【0004】
一方、鉄道トンネルの場合は、鉄道車両が運行していない夜間に工事を行う必要がある。この場合、以下のような方法が考えられる。すなわち、注入作業車は注入施工現場まで移動できるが、図11に示すように、プラント設備91が大型であるため、トンネル3の坑口31の外に配置せざるを得ない。
プラント設備91は、A液用のプラント設備91aとB液用のプラント設備91bとが準備される。A液用のプラント設備91aは、水タンク911と発電機919と、A液用増粘剤混合プラント915と、A液用攪拌機952とを備えている。
B液用のプラント設備91bは、水タンク911と発電機919と、B液用増粘剤混合プラント917と、B液用攪拌機972とを備えている。
【0005】
そして、別に設けられたセメント製造プラントでセメントと水とを積載してきたA液用のミキサー車960aに、増粘剤混合プラント915により混合された第1増粘剤と第2増粘剤を投入して、セメントと水と第1増粘剤と第2増粘剤とが混合されたA液を攪拌機952に投入しておく。
同様に、無機系充填材製造プラントで無機系充填材と水とを積載したB液用のミキサー車960bに、増粘剤混合プラント917により混合された第1増粘剤と第2増粘剤を投入して、無機系充填材と水と第1増粘剤と第2増粘剤とが混合されたB液を攪拌機972に投入しておく。
なお、プラント設備91aとプラント設備91bとは、鉄道線路脇の同一平面上に設置されるが、図11では便宜上、上下に記載してある。
【0006】
一方、トンネル3内では、図12、図13に示すように、発電機919とA液用の攪拌機951と圧送ポンプ953と、これらを搭載した無蓋貨車923とを備えた注入作業車920aと、B液用の攪拌機971と圧送ポンプ973と、これらを搭載した無蓋貨車924とを備えた注入作業車920bと、さらに高所作業車921を搭載した無蓋貨車922を連結し、これらを機関車925により牽引可能にした注入装置92を準備する。
なお、図12、図13で高所作業車921を搭載した車両を2両連結しているのは、注入作業を効率よく行うためである。
【0007】
そして、図12に示すように、この注入装置92をプラント設備91に近いトンネル3の坑口31に移動させて、A液のプラント設備91aの攪拌機952により攪拌されているA液を、A液の注入車両920aの攪拌機951に、注入パイプ954により圧送して積み替えし、同じくB液のプラント設備91bの攪拌機972により攪拌されているB液を、B液の注入車両920bの攪拌機971に、注入パイプ974により圧送して積み替えし、図13に示す注入施工現場に移動させて、A液をその注入車両920aの注入ポンプ953から注入作業者Mの手元の注入管22に圧送し、また、B液をその注入車両920bの注入ポンプ973から注入作業者Mの手元の注入管22に圧送し、注入管22でA液とB液とを混合させてトンネル3の空洞33に充填材を注入する。
【0008】
注入車両920a又は注入車両920bの攪拌機951又は攪拌機971内のA液又はB液が無くなると、再び注入装置92をトンネル3の坑口の外にあるプラント設備91a、91bまで移動させて、A液又はB液を補充し、再び注入施工現場まで移動して注入作業を続ける。
【0009】
しかし、このような往復移動をすると作業時間がかかり、鉄道車両が運行していない夜間の限られた時間内では、作業が進みにくいため、トンネルの坑口に設置したプラント設備と注入作業車とを直接注入パイプで連結し、A液とB液とを各々別の注入パイプで長距離圧送し、注入作業車の近くで混合して注入施工することが行われる。
【0010】
このようなトンネル内の覆工コンクリートの背面等の空洞内に充填材を長距離圧送して注入する技術として、特許文献1、2に記載されたものがある。
また、上記技術に用いる充填材として、特許文献3〜5に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2006−213589号公報
【特許文献2】特開2003−278144号公報
【特許文献3】特開2006−160544号公報
【特許文献4】特開2007−146082号公報
【特許文献5】特開2004−67887号公報(特許第3973990号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、A液及びB液の各々において、第1増粘剤と第2増粘剤とを同量添加したA液及びB液を別々に圧送して、注入直前に混合することが考えられる。ところが、鉄道トンネルの長さが1km以下の場合には問題とならないが、トンネルの長さが1kmを越えて2km、3kmになると、トンネルの坑口に設置したプラント設備から注入作業車まで注入パイプで長距離圧送すると、A液、B液の粘度が高いため、特にセメントを主剤とするA液の流動性が低下し、注入パイプ内でA液が詰まってしまい、注入施工工事が行えなくなる問題がある。
【0012】
充填材がパイプ内で詰まってしまうのを防止するために粘度を低くすると、図5に示すトンネル3の覆工コンクリート打ち継ぎ目321や、紙面に直交するトンネル3の断面に現れる覆工コンクリート打ち継ぎ目(図略)からの漏出や線路床下の配水管への流出が生じ、注入ができず、たとえ注入できたとしても硬化性(固まろうとする性質)や流動性(押しながら奥に移動する性質)が悪化してしまうという問題がある。
また、特許文献1に記載されたようなベントナイトや水ガラスを用いる注入施工方法、あるいは特許文献2に記載されたような石灰や分散剤を用いる注入工法では、材料の種類が多く、そのための設備や管理費用がかかり、経済的なものとはいえないという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、従来の材料を用いて長距離圧送しても、パイプが詰まらずに注入施工できる充填材を長距離圧送して注入するセメント系充填材の長距離圧送注入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るセメント系充填材の長距離圧送注入方法は、次のような特徴を有している。
(1)セメント、水に第1増粘剤と第2増粘剤を加えて調整したA液と、無機系充填材、水に前記第1増粘剤と前記第2増粘剤を加えて調整したB液とを混合して増粘させた後に施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送し、前記A液と前記B液を施工部直前で攪拌装置を介して混合して注入施工することを特徴とする。
【0015】
(2)(1)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液中の前記第1増粘剤の重量をa1、前記第2増粘剤の重量をa2としたとき、その配合比率 a1/(a1+a2)が、好ましくは1〜99、より好ましくは30〜70、最も好ましくは40〜60であるセメント系充填材を用いて注入することを特徴とする。
【0016】
本願発明者らは、第1増粘剤と第2増粘剤の配合比率a1/(a1+a2)が、1〜99であれば、A液を2Kmから3Km注入パイプで輸送しても、注入パイプで詰まりが発生しないことを実験により確認した。配合比率が1以下のもっと小さい値でも、粘性は高くならず、注入パイプの詰まりが発生しないのであるが、あまり小さな値では、セメントが分離沈降してしまい、注入施工後のセメントの強度が低下する問題がある。したがって、a1/(a1+a2)は、1〜99の値を採ることが望ましい。
特に、配合比率 a1/(a1+a2)が、40〜60であれば、A液中のセメント粒子の沈降及びポンプを大型化しないで済むことを実験により、確認している。ここで、配合比率 a1/(a1+a2)が、40未満の場合は、A液中のセメントの沈降が著しく、パイプの閉塞を招く可能性があり、60を越える場合は、圧送圧の増加により圧送困難となるため、40〜60が好ましいのである。
【0017】
(3)(1)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液の粘度が、50〜300mPa・s、特に100〜200mPa・sであることを特徴とする。
すなわち、最終的には、充填材を所定の粘度にする必要がある。その理由は、トンネル内上面の空洞に充填材を注入施工する際に、粘度が高くないと、コンクリート打ち継ぎ目からの漏出や配水管への流出が生じるからである。注入施工時の充填材は、粘度が高すぎても良くなく、適度の流動性を有することが必要である。
【0018】
流動性とは、空洞に充填材を注入するときに、後から注入される充填材により、先に注入されている充填材が押されて、空洞の奥に流れて移動する性質である。
A液の粘度は、パイプ輸送を行う直前の段階で、100mPa・s以上200mPa・s以下であると、最適である。
A液の粘度が、100mPa・s未満であると、A液中のセメントの沈降を引き起こす可能性が高くなり、200mPa・sを越えると、圧送圧が増加して長距離圧送が困難となる。
その条件を達成するためには、A液とB液の組成は、次に記載する範囲内の重量%を有するとよい。
【0019】
(4)(1)に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
(ア)前記A液の組成が質量で、セメント46%、水47%、第1増粘剤0.77%、第2増粘剤1.41%、硬化促進材4%ならびに消泡剤0.0014%、であり、
(イ)前記B液の組成が質量で、無機系充填材55%、水41%、第1増粘剤0.7%、第2増粘剤0%ならびに硬化調整剤4%である、前記A液及びB液を用いることを特徴とする。
そして、ここで言う無機系充填材とは、フライアッシュ、ボトムアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、硅石微粉末、ベントナイト、炭酸カルシウム、クレイのいずれか単体、若しくは、それらの混合物のいずれでも良い。
【0020】
(5)また、(1)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送する際に、前記A液と前記B液を圧力伝達媒体としての送り水と、該送り水と前記A液又はB液とを前記各パイプ内で区分する仕切材と、を介して圧送することを特徴とする。
これによれば、注入工事当日の施工可能時間や予想注入量により前記A液と前記B液の製造数量が決定され、それによりパイプの中を前記A液と前記B液で満たせない場合があり、このようなときに圧力伝達媒体としての送り水を用いると、この送り水を介して前記A液と前記B液に圧送圧を負荷させて圧送することが可能となる。
また、前記仕切材により前記A液又は前記B液と前記送り水とを区分することができ、A液又は前記B液を送り水により希釈することなく圧送することが可能となる。
この仕切材の材質及び形状は、送り水とA液、並びに送り水とB液を区分できる性能を有するものであれば、材質及び形状を問わないが、A液及びB液を圧送するパイプ径よりも大きく、弾力性のあるものが好ましく、例えば、直径50mmのパイプを使用する場合、発泡ポリウレタン製で直径65mm程度のボールを使用することが望ましい。このような仕切材を使用することにより、A液及びB液が送り水に希釈されて品質を低下させることなく、長距離圧送が可能となる。
【0021】
(6)また、(5)に記載のセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、前記仕切材を施工部直前で回収するために、前記撹拌装置の手前の前記A液と前記B液の各々のパイプに設けられた仕切材回収装置を介して圧送することを特徴とする。
これによれば、前記仕切材を施工部直前で回収することができ、従来のようなパイプを分解して仕切材を回収するものと比較して、回収効率を向上させ、作業の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の充填材長距離圧送注入方法によれば、第1増粘剤と第2増粘剤の配合比率が1〜99(特には、40〜60)となるように調整することで、A液の粘度が、50〜300(特には、100〜200)mPa・sとなるように調整して圧送するので、充填材がパイプの途中で詰まることがなく、かつ適度な流動性をもって注入されるので、トンネル坑口から注入施工現場までの距離が2km以上であっても充填材を圧送することができるようになり、注入工事を安価に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係る充填材長距離圧送注入方法の一の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態の充填材長距離圧送注入方法は、鉄道トンネルに適用されたものである。
ここで、図1は、本実施の形態の充填材長距離圧送注入方法に用いる充填材製造プラント及び注入装置を示した平面図であり、図2は、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大平面図である。図3は、充填材長距離圧送注入方法に用いる充填材製造プラント及び注入装置を示した側面図であり、図4は、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大側面図である。
【実施例】
【0024】
充填材製造プラント及びトンネル内の注入装置の構成について説明する。充填材製造プラント(プラント設備)1は、図1、図3に示すように、トンネル3の坑口31の外に設置されるものであり、水タンク11と、沈殿槽12と、排水用貯留タンク13と、A液用のプラント設備15と、B液用のプラント設備17とを備えている。
A液用のプラント設備15は、図2に示すように、セメントを貯留しておくセメントサイロ151と、セメントと水とこれらに添加する特殊な増粘剤とを混合するA液用混合プラント152と、混合プラント152により調整されたA液を注入施工箇所に圧送する長距離圧送ポンプ153とを備えている。
【0025】
一方、B液用のプラント設備17は、無機系充填材を貯留しておく無機系充填材サイロ171と、無機系充填材と水とこれらに添加する特殊な増粘剤とを混合するB液用混合プラント172と、混合プラント172により調整されたB液を注入施工箇所に圧送する長距離圧送ポンプ173とを備えている。
【0026】
トンネル3内の注入施工箇所に充填材を注入する注入装置2は、図3、図5に示すように、高所作業車21と注入管22とを備えている。高所作業車21は、線路の枕木上を走行可能な無端走行帯を有する車両に、先端に注入作業者Mが搭乗可能なケージを有するクレーンを上下動及び旋回可能に設けたものである。
【0027】
そして、トンネル3の坑口31の外側に設置されているA液用の長距離圧送ポンプ153と、注入作業者Mが保持する注入管22との間を連結する注入パイプ154と、同じくB液用の長距離圧送ポンプ173と、注入作業者Mが保持する注入管22との間を連結する注入パイプ174とが、高所作業車21のトンネル3内の移動に伴って伸縮可能に配置される。
【0028】
なお、注入パイプ154、174の、長距離圧送ポンプ153、173と注入管22との間には、図2に示すように、流量計155、175がそれぞれ設けられ、注入管22に送られるA液、B液の流量を記録できるようになっている。
そして、A液、B液用の2本の注入パイプ154、174の先端は、図6に示すように、先端に攪拌装置221を備えたY字状の注入管22に連結され、この注入管22内でA液とB液が初めて混合されるようになっている。
【0029】
そして、図7に示すように、A液用の注入パイプ154の、注入管22のY字状の手前に、リターンパイプ154aが接続され、後述するように、注入作業終了後に注入パイプ154に残留しているA液をプラント設備1に返送するようになっている。同様に、B液注入パイプ225の、注入管22のY字状の手前に、リターンパイプ14が接続され、注入作業終了後に注入パイプ174に残留しているB液をプラント設備1に返送するようになっている。なお、図1及び図2においては、リターンパイプ154aの記載を省略している。
【0030】
つぎに、上記のように構成された充填材製造プラント1で製造され、注入パイプ154、174を通って注入装置2に圧送される充填材Jを説明する。
充填材Jは、A液とB液とを別々に製造し、注入管22で初めて混合されるものであり、本実施の形態のA液とB液の組成は、表1に示すものとした。
【表1】
【0031】
そして、充填材Jが注入パイプ154、174の途中で固まらず長距離の圧送を可能にするためには、特にセメントを含むA液の粘度が重要であり、発明者らの種々の実験結果により、A液の粘度を50mPa・s以上300mPa・s以下であり、特に、100mPa・s以上200mPa・s以下に調整することが最も適していることが判った。
粘度が100mPa・s以下の場合には、A液(セメント液)が増粘剤等から分離沈降してセメントの沈降・固化、注入パイプ154の閉塞を誘発し、200mPa・s以上の場合は、粘度が高いため圧送圧が上がり、長距離圧送ポンプ153の圧送能力を超え、長距離の圧送が困難となる等の問題が発生する恐れがある。
【0032】
そして、長距離圧送を可能としながら設計強度を満たす最適配合(m3当たりの重量配合比率)を実験により求めた結果を表2から表5に示す。すなわち、表2、表3は設計基準強度0.2N/mm2の低強度の配合を示し、表2はA液の、表3はB液の配合を示している。
【表2】
【表3】
【0033】
表4、表5は設計基準強度5N/mm2の高強度の配合を示し、表4はA液の、表5はB液の配合を示している。
【表4】
【表5】
【0034】
すなわち、表2、表3および表4、表5に示すように、高・低強度のいずれの配合においても、A液の第1増粘剤A1の重量a1と第2増粘剤A2の重量a2との配合比率a1/(a1+a2)が好ましくは1〜99、より好ましくは30〜70、最も好ましくは40〜60となるように配合することにより、上記のような粘度が得られ、長距離圧送が可能になった。
配合比率a1/(a1+a2)が40以下の場合は、A液の減粘によりセメントの沈降防止効果が低下して、セメントの沈降・固化、注入パイプ154の閉塞を誘発する恐れがあり、配合比率a1/(a1+a2)が60以上の場合は、A液の増粘により圧送圧が上昇して長距離圧送ポンプ153の圧送能力を超え、長距離圧送が困難となる可能性が高くなる。
【0035】
上記のような粘度にすると、A液とB液が混合された充填材Jは、その圧縮強度が1.5N/mm2以上、比重が1.3〜1.7となり、図8に示すように、充填材Jを円筒に流し込んで直径80mm、高さ80mmの円柱J1となし、この円筒を外した直後の潰れ状況を観察すると、その潰れ部分J2が直径約155mm以下(フロー値が155以下)となるように調整される。なお、充填材Jを円筒に流し込んで5分後に円筒を外すテストでは、潰れが生じないレベル(フロー値が100以下)である。
【0036】
つぎに、上記のように調整された充填材Jをトンネル3の覆工コンクリート32の背面の空洞33に注入する作業について説明する。
まず、トンネル3の坑口31の外側に設置された充填材製造プラント1で、図9の注入フローに示すように、A液用プラント設備15のA液用混合プラント152に、水と第1増粘剤(ボンドVPグラウト100A)A1と第2増粘剤(ボンドVPグラウト100B)A2を、第1増粘剤A1の重量a1と第2増粘剤A2の重量a2との配合比率a1/(a1+a2)が1〜99、より好ましくは30〜70、最も好ましくは40〜60となるように投入し、さらに硬化促進材と消泡剤とを投入して練混水となし、これにセメント(普通ポルトランドセメント)を投入し混合してA液(セメント混合液)を作成する。
【0037】
同様に、充填材製造プラント1に設けられたB液用プラント設備17のB液用混合プラント172に、水と第1増粘剤(ボンドVPグラウト100A)B1と第2増粘剤(ボンドVPグラウト100B)B2を、A液の第1増粘剤A1の重量a1とB液の第1増粘剤B1の重量b1との関係及びA液の第2増粘剤A2の重量a2とB液の第2増粘剤B2の重量b2との関係が(a1+b1)/(a2+b2)=0.8〜1.2となるように第1増粘剤B1と第2増粘剤B2との重量b1、b2を選択して投入し、さらに硬化調整剤としてボンドVPグラウトCも適量混入して練混水となし、これに無機系充填材(JIS灰2種品)を投入し混合してB液(無機系充填材混合液)を作成する。
【0038】
以上のように作成されたA液と圧力伝達媒体としての水(送り水)とを長距離圧送ポンプ153により、途中流量計155を通してトンネル3坑内に配設された注入パイプ154を介して、高所作業車21に乗った注入作業者Mの手元の注入管22まで圧送する。
同様に、B液を長距離圧送ポンプ173により、途中流量計175を通してトンネル3坑内に配設された注入パイプ174を介して、高所作業車21に乗った注入作業者Mの手元の注入管22まで圧送する。
【0039】
注入パイプ154、174により圧送されてきたA液、B液は、図6に示すY字形の注入管22で合流し、攪拌装置221を通過することにより初めて混合され充填材Jとなる。そして、図10に示すように、トンネル3の覆工コンクリート32の背面にある空洞33に設けられた注入孔34から注入される。
注入口34には、詰めパイプ35が周囲のコーキング材351に保持されて固定されている。この詰めパイプ35に注入管22の先端を差し込んで接続される。
注入管22から出た充填材Jは、次々と充填材Jを押しながら空洞33の奥に広がり、やがて空洞33内に充填され空洞33を埋める。
【0040】
そして、始発列車が通過する前に、充填作業を中止する。作業を中止したらリターンパイプ14により注入パイプ154内に残っているA液を吸い出してプラント設備1の沈殿槽12に導入し、沈殿した固形物(ブロック)は産業廃棄物処理を行い、上澄み液を排水用貯留タンク13に導入して、再度、次の充填作業に利用する。
【0041】
このように、本実施の形態の充填材長距離圧送注入方法によれば、A液中の前記第1増粘剤の質量をa1、前記第2増粘剤の質量をa2としたとき、その配合比率 a1/(a1+a2)が、1〜99であるセメント系充填材を用いて圧送するようにしたので、トンネル3の坑口31の外に設置した充填材製造プラント1から注入管22までの距離が2km以上の長距離であっても、A液、B液が注入パイプ154、174の途中で停滞することなく圧送できるようになり、発電機や攪拌機ならびに注入ポンプ等を積載した専用車両を準備する必要がなく、安価に空洞33への充填材Jの注入施工が可能となった。
【0042】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、鉄道トンネルに適用した例で説明したが、これに限られず、道路トンネルや水路トンネルにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、充填材製造プラント及び注入装置を示した平面図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大平面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、充填材製造プラント及び注入装置を示した側面図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネルの坑口の外に設けられた充填材製造プラントを示した拡大側面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネル及び注入装置の正面断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる注入管の例を示す一部欠載平面図である。
【図7】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる注入パイプ及び注入管の配置を示す平面図である。
【図8】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる充填材の粘度を確認する状況の斜視図である。
【図9】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法に用いる注入フローを示す図である。
【図10】本発明の一の実施の形態に係る充填材長距離圧送注入方法により注入される充填材の注入状況を示す断面図である。
【図11】従来の充填材長距離圧送注入方法に用いる、充填材製造プラントの側面図である。
【図12】従来の充填材長距離圧送注入方法に用いる、トンネル内の注入装置の側面図である。
【図13】従来の充填材長距離圧送注入方法による、トンネル内での注入施工の様子を示す側面図である。
【図14】従来の充填材の注入状況を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 充填材製造プラント
11 水タンク
15 A液用プラント設備
151 セメントサイロ
152 A液用混合プラント
153 A液用長距離圧送ポンプ
154 注入パイプ
17 B液用プラント設備
171 無機系充填材サイロ
172 B液用混合プラント
173 B液用長距離圧送ポンプ
174 注入パイプ
2 注入装置
21 高所作業車
22 注入管
221 攪拌装置
225 仕切材回収装置
3 トンネル
31 坑口
32 覆工コンクリート
33 空洞
35 詰めパイプ
J 充填材
M 注入作業者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、水に第1増粘剤と第2増粘剤を加えて調整したA液と、無機系、水に前記第1増粘剤と前記第2増粘剤を加えて調整したB液とを混合して増粘させた後に施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送し、前記A液と前記B液を施工部直前で攪拌装置を介して混合して注入施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項2】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液中の前記第1増粘剤の質量をa1、前記第2増粘剤の質量をa2としたとき、その配合比率 a1/(a1+a2)が、1〜99であるセメント系充填材を用いて注入することを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項3】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液の粘度が、50〜300mPa・sであることを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項4】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
(ア)前記A液の組成が質量で、セメント46%、水47%、第1増粘剤0.77%、第2増粘剤1.41%、硬化促進材4%ならびに消泡剤0.0014%、であり、
(イ)前記B液の組成が質量で、無機系充填材55%、水41%、第1増粘剤0.7%、第2増粘剤0%ならびに硬化調整剤4%である、前記A液及びB液を用いることを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項5】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送する際に、前記A液と前記B液を圧力伝達媒体としての送り水と、該送り水と前記A液又はB液とを前記各パイプ内で区分する仕切材と、を介して圧送することを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項6】
請求項5に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記仕切材を施工部直前で回収するために、前記撹拌装置の手前の前記A液と前記B液の各々のパイプに設けられた仕切材回収装置を介して圧送することを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項1】
セメント、水に第1増粘剤と第2増粘剤を加えて調整したA液と、無機系、水に前記第1増粘剤と前記第2増粘剤を加えて調整したB液とを混合して増粘させた後に施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送し、前記A液と前記B液を施工部直前で攪拌装置を介して混合して注入施工するセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項2】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液中の前記第1増粘剤の質量をa1、前記第2増粘剤の質量をa2としたとき、その配合比率 a1/(a1+a2)が、1〜99であるセメント系充填材を用いて注入することを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項3】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液の粘度が、50〜300mPa・sであることを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項4】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
(ア)前記A液の組成が質量で、セメント46%、水47%、第1増粘剤0.77%、第2増粘剤1.41%、硬化促進材4%ならびに消泡剤0.0014%、であり、
(イ)前記B液の組成が質量で、無機系充填材55%、水41%、第1増粘剤0.7%、第2増粘剤0%ならびに硬化調整剤4%である、前記A液及びB液を用いることを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項5】
請求項1に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記A液と前記B液を各々別々のパイプで長距離圧送する際に、前記A液と前記B液を圧力伝達媒体としての送り水と、該送り水と前記A液又はB液とを前記各パイプ内で区分する仕切材と、を介して圧送することを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【請求項6】
請求項5に記載するセメント系充填材の長距離圧送注入方法において、
前記仕切材を施工部直前で回収するために、前記撹拌装置の手前の前記A液と前記B液の各々のパイプに設けられた仕切材回収装置を介して圧送することを特徴とするセメント系充填材の長距離圧送注入方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−24481(P2009−24481A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156286(P2008−156286)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(591065848)名工建設株式会社 (15)
【出願人】(503177557)ボンドエンジニアリング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(591065848)名工建設株式会社 (15)
【出願人】(503177557)ボンドエンジニアリング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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