説明

セメント組成物

【課題】流動性が高く、かつ硬化速度が大きい、超高強度を発現するセメント組成物を提供する。
【解決手段】セメント、BET比表面積5〜15m2/gの微粉末、ブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末、アルカリ土類金属塩、細骨材、減水剤及び水を含むセメント組成物であって、前記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント及び/又は中庸熱ポルトランドセメントで、前記アルカリ土類金属塩が、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムで、前記減水剤が、ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤であり、
前記各材料の配合割合が、セメント100質量部に対して、微粉末5〜50質量部、無機粉末5〜50質量部、アルカリ土類金属塩0.03〜0.3質量部、細骨材50〜250質量部、減水剤(固形分換算)0.1〜1.0質量部及び水10〜30質量部であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高強度を発現するセメント組成物に関し、特に、流動性が高く、かつ硬化速度が大きいセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モルタルやコンクリートの製造において、セメントの配合割合を大きくし、必要に応じてシリカフュームのような微粉末を添加し、更に、高性能AE減水剤等の減水剤を大量に使用して単位水量を大幅に低減することによって、圧縮強度が100N/mm2以上となるように超高強度化する技術が知られている。例えば、低熱ポルトランドセメントを使用し、水/セメント比が25質量%、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(固形分換算)/セメント比が1.0質量%、砂/セメント比が100質量%となるように各材料を配合したモルタルでは、120N/mm2程度の圧縮強度が発現する。また、水/セメント比が22質量%、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(固形分換算)/セメント比が1.0質量%、シリカフューム/セメント比が30質量%、砂/セメント比が100質量%となるように各材料を配合したモルタルでは、200N/mm2以上の圧縮強度が発現する。
【0003】
圧縮強度が100N/mm2以上の超高強度モルタルやコンクリートの製造においては、自己収縮によるひび割れ発生を防止するために、一般に、セメント混練物を型枠を用いて成形し、一次養生(例えば、20℃で静置)後脱型し、さらに二次養生(蒸気養生等)することが行われている。そして、超高強度モルタルやコンクリートの製造においては、脱型は、一般に終結から10時間程度経過後に行われている。
前記のような減水剤の大量使用は、モルタルやコンクリートの凝結を著しく遅延させる。そのため、超高強度モルタルやコンクリートを現場打ちで施工する場合には、脱型が遅くなって、工事期間が長期化し、製品工場においては、前養生時間が長くなり、生産性の低下を招くという問題がある。
そのため、超高強度モルタルやコンクリートを製造する際に、特定のカルシウム塩(蟻酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム等)を添加して凝結を促進する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
上記特許文献1の方法では、始発時間が30〜32時間、終結時間が35〜37時間程度である超高強度モルタルに対して、特定のカルシウム塩を添加することにより、一定時間流動性を確保しつつ、始発時間を15〜20時間、終結時間を18〜25時間程度に短縮することが可能である。
しかしながら、上記特許文献1の方法でも、超高強度のモルタルやコンクリートの製造において、成形後24時間以内に脱型することは困難であった。そのため、工事期間の短縮や生産性の向上の観点から、より一層硬化速度を大きくすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−37653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、流動性が高く、かつ硬化速度が大きい、超高強度を発現するセメント組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、超高強度のモルタルやコンクリートの製造において、特定のセメント、減水剤やアルカリ土類金属塩等を特定の割合で使用することによって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、セメント、BET比表面積5〜15m2/gの微粉末、ブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末、アルカリ土類金属塩、細骨材、減水剤及び水を含むセメント組成物であって、前記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント及び/又は低熱ポルトランドセメントで、前記アルカリ土類金属塩が、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムで、前記減水剤が、ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤であり、前記各材料の配合割合が、セメント100質量部に対して、微粉末5〜50質量部、無機粉末5〜50質量部、アルカリ土類金属塩0.03〜0.3質量部、細骨材50〜250質量部、減水剤(固形分換算)0.1〜1.0質量部及び水10〜30質量部であることを特徴とするセメント組成物である。
また、本発明においては、上記セメント組成物に、セメント組成物の体積の4%未満となる量の金属繊維及び/又はセメント組成物の体積の10%未満となる量の有機質繊維を含むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセメント組成物では、高流動性を有し、かつ、90分以上高流動性を確保することができる。また、本発明のセメント組成物では、硬化速度が大きいので、成形後20時間以内に脱型することも可能である。さらに、本発明のセメント組成物では、130N/mm2以上の超高強度を発現させることができる。
従って、本発明のセメント組成物を使用して超高強度モルタル等を製造する場合、現場打ちの施工においては、良好な作業性を確保しつつ工事期間を短縮化することができ、あるいは、製品工場においては、生産効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセメント組成物は、セメント、BET比表面積5〜15m2/gの微粉末、ブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末、アルカリ土類金属塩、細骨材、減水剤及び水を含むものである。
セメントは、中庸熱ポルトランドセメント及び/又は低熱ポルトランドセメントを使用する。中庸熱ポルトランドセメント及び/又は低熱ポルトランドセメントを使用することにより、高流動性を有するうえ、90分以上高流動性を確保することができる。
【0010】
微粉末は、BET比表面積が5〜15m2/gであることが必要であり、7〜15m2/gであることが好ましい。BET比表面積が5m2/g未満であると、硬化後の強度等が低下する。一方、BET比表面積が15m2/gを超えると、所定の流動性を得るための水量が多くなるたり、硬化後の強度等が低下するうえ、硬化速度も遅くなる。
微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ、石灰石粉末等が挙げられる。一般に、シリカフュームやシリカダストは、そのBET比表面積が5〜15m2/gであり、粉砕等をする必要がないので、本発明で用いる微粉末として好適である。また、被粉砕性や流動性等の観点から、石灰石粉末も本発明で用いる微粉末として好適である。
微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。配合量が前記範囲以外では、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の強度等が低下するうえ、硬化速度も小さくなる。
【0011】
無機粉末は、ブレーン比表面積が4000〜10000cm2/gであることが好ましく、5000〜9000cm2/gであることがより好ましい。ブレーン比表面積が4000cm2/g未満であると、流動性が低下するうえ、硬化後の強度等も低下するため好ましくない。一方、ブレーン比表面積が10000cm2/gを超えると、流動性が低下したり、あるいは、硬化後の強度等が低下することがある。さらに、この場合、コストも増大する。
無機粉末としては、セメント以外の無機粉末、例えば、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、スラグ、フライアッシュ、石灰石粉末、石英粉末は、コストの点や硬化後の品質安定性の点で好ましく用いられる。
無機粉末の配合量は、セメント100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。配合量が前記範囲以外では、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の強度等が低下するうえ、硬化速度も小さくなる。
【0012】
アルカリ土類金属塩は、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムを使用する。硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムを使用することにより、流動性を高めたうえで、90分以上高流動性を確保することができる。また、硬化速度を大きくして成形後20時間以内に脱型することができる。
アルカリ土類金属塩の配合量は、セメント100質量部に対して0.03〜0.3質量部が好ましく、0.04〜0.25質量部がより好ましい。配合量が0.03質量部未満では、硬化速度が小さくなり脱型時間も遅くなる。一方、配合量が0.3質量部を超えると、流動性の経時変化が大きくなるうえ、硬化後の強度等が低下することがある。
【0013】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂またはこれらの混合物を使用することができる。
なお、本発明においては、セメント組成物の流動性や施工性、硬化後のクラック抵抗性等から、細骨材の85%質量累積粒径は2mm以下であることが好ましい。さらに、セメント組成物の分離抵抗性や硬化後の強度発現性等から、最大粒径が2mm以下であることがより好ましく、最大粒径が1.5mm以下であることが特に好ましい。
また、セメント組成物の流動性や施工性等から、細骨材中の0.15mm未満の粒子の割合が5質量%以下であることが好ましい。
細骨材の配合量は、セメント100質量部に対して50〜250質量部が好ましく、70〜150質量部がより好ましい。配合量が前記範囲外では、収縮率が大きくなることがある。また、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化速度も小さくなることがある。
【0014】
減水剤は、ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤を使用する。ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤を使用することにより、流動性を高めたうえで、90分以上高流動性を確保することができる。また、硬化速度を大きくして成形後20時間以内に脱型することができる。
減水剤の配合量は、セメント100質量部に対して固形分換算で0.1〜1.0質量部が好ましく、0.3〜0.8質量部がより好ましい。配合量が0.1質量部未満では、流動性が低下するうえ、流動性の経時変化が大きくなる。一方、配合量が1.0質量部を超えると、硬化速度が小さくなり脱型時間も遅くなる。また、硬化後の強度等が低下することがある。
【0015】
水としては、水道水等を使用することができる。
水の配合量は、セメント100質量部に対して10〜30質量部が好ましく、15〜25質量部がより好ましい。配合量が10質量部未満では、流動性が低下するうえ、流動性の経時変化が大きくなる。一方、配合量が30質量部を超えると、硬化速度が小さくなり脱型時間も遅くなる。また、硬化後の強度等が低下することがある。
【0016】
本発明のセメント組成物は、硬化後の曲げ強度や破壊エネルギー等を高める観点から、金属繊維及び/又は有機質繊維を含むことができる。
金属繊維としては、鋼繊維、アモルファス繊維等が挙げられるが、なかでも鋼繊維は強度に優れており、またコストや入手のし易さの点からも好ましいものである。金属繊維は、直径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。直径が0.01mm未満では繊維自体の強度が不足し、張力を受けた際に切れやすくなる。直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、曲げ強度や破壊エネルギーを向上させる効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際ファイバーボールが生じやすくなる。長さが2mm未満では曲げ強度や破壊エネルギーを向上させる効果が低下する。
金属繊維の配合量は、セメント組成物の体積の4%未満が好ましく、より好ましくは3%未満である。金属繊維の配合量が多くなると混練時の作業性等を確保するために単位水量も増大し、硬化後の強度等が低下する。また、硬化速度が小さくなり脱型時間も遅くなることがある。
金属繊維の配合量は、セメント組成物の体積の0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上である。金属繊維の配合量を0.5%以上とすれば、曲げ強度や破壊エネルギーの向上の効果を高めることができる。
【0017】
有機質繊維としては、ポリビニルアルコール繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機質繊維は、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。有機質繊維の直径が0.005mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、単位重量当たりの本数が少なくなり、破壊エネルギーを向上させる効果が低下する。有機質繊維の長さが2mm未満では、マトリックスに対する付着力が低下し、破壊エネルギーを向上させる効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなる。
有機質繊維の配合量は、セメント組成物の体積の10%未満が好ましく、より好ましくは7%未満である。有機質繊維の配合量が多くなると混練時の作業性等を確保するために単位水量も増大し、硬化後の強度等が低下する。また、硬化速度が小さくなり脱型時間も遅くなることがある。
有機質繊維の配合量は、セメント組成物の体積の0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上である。有機質繊維の配合量を0.5%以上とすれば、破壊エネルギーの向上の効果を高めることができる。
なお、金属繊維と有機質繊維は、各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0018】
本発明のセメント組成物は、平均粒度が1mm以下の繊維状粒子又は薄片状粒子を含むことができる。ここで、粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。該繊維状粒子又は薄片状粒子を含有することにより、硬化後の靱性を高めることができる。また、金属繊維を使用する場合は、金属繊維の分離防止を図ることもできる。
繊維状粒子としては、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が、薄片状粒子としては、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
繊維状粒子又は薄片状粒子の配合量は、硬化前の施工性や硬化後の靱性等から、セメント100質量部に対して35質量部以下が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化後の靱性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
【0019】
本発明においては、セメント組成物の混練方法は、特に限定されるものではない。
また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
セメント組成物の成形・養生方法も、特に限定されるものではないが、本発明のセメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体の生産性や強度発現性等を考慮すると、下記に示す一次養生・二次養生を行うことが好ましい。
まず、混練したセメント組成物を所定の型枠を用いて成形し、一次養生を行う。ここで、成形方法は、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の慣用の成形方法を採用することができる。一次養生としては、型枠に混練したセメント組成物を収納した状態で、5〜50℃で所定時間(例えば、3〜20時間程度)静置する方法が挙げられる。本発明のセメント組成物は、硬化速度が大きいので、一次養生は3〜20時間程度行えば十分である。
なお、一次養生においては、セメント組成物の凝結が始発した後、養生温度を高くすることができる。始発後に養生温度を高くすることにより、一次養生時間を短縮することができる。
一次養生終了後、脱型する。ここで、脱型時のセメント質硬化体の圧縮強度は、10N/mm2以上であることが好ましく、20N/mm2以上であることがより好ましい。圧縮強度が10N/mm2未満では脱型が困難である。
脱型後、二次養生し、セメント質硬化体を製造する。二次養生としては、75〜95℃で10〜48時間蒸気養生する方法が挙げられる。
なお、本発明のセメント組成物は、通常モルタルとして製造される。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔1.使用材料〕
以下の材料を使用した。
・セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
・微粉末;シリカフューム(BET比表面積10m2/g)
・無機粉末;石英粉末(ブレーン比表面積7500cm2/g)
・アルカリ土類金属塩;A:硝酸カルシウム(試薬特級)
B:亜硝酸カルシウム(試薬特級)
・細骨材;珪砂(粒径0.15〜0.6mm)
・減水剤;ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤
・水;水道水
・金属繊維;鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
・有機質繊維;ポリビニルアルコール繊維(直径:0.3mm、長さ:15mm)
【0021】
[2.セメント組成物の調製]
セメント100質量部、微粉末32質量部、無機粉末30質量部、細骨材120質量部、水20質量部、金属繊維(セメント組成物中の体積の)2%及び表1に示す割合のアルカリ土類金属塩と減水剤(固形分換算)を、二軸練りミキサに一括投入し、8分間混練した。
【0022】
[3.セメント組成物の評価]
各セメント組成物のフロー値を「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行わないで測定した。なお、フロー値の測定は、混練直後及び90分経過後に行った。
また、各セメント組成物の凝結時間を、「JIS A 6204 (コンクリート用化学混和剤)附属書1 コンクリートの凝結時間測定方法」に準じて測定した。
また、各セメント組成物を、φ50×100mmの型枠を用いて成形し、20℃で一次養生(静置)後、脱型し、さらに90℃で48時間蒸気養生(二次養生)後、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて圧縮強度を測定した。なお、脱型は、終結時間から10時間経過後に行った。
なお、評価は、環境温度5℃、20℃及び30℃で行った。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表1から、本発明のセメント組成物は、高流動性を有し、かつ、90分以上高流動性を確保できることが分かる。また、本発明のセメント組成物では、凝結時間が短く、硬化速度が大きいことも分かる。さらに、本発明のセメント組成物では、200N/mm2以上の超高強度を発現することも分かる。
なお、本発明のセメント組成物では、成形後20時間以内に脱型することが可能であった。
【0025】
[4.セメント組成物の調製]
セメント100質量部、微粉末32質量部、無機粉末30質量部、細骨材120質量部、減水剤(固形分換算)0.62質量部、水20質量部、有機質繊維(セメント組成物中の体積の)3%及び表2に示す割合のアルカリ土類金属塩を、二軸練りミキサに一括投入し、8分間混練した。
各セメント組成物のフロー値、凝結時間及び圧縮強度を、上記3.と同様の方法で測定した。
なお、評価は、環境温度20℃で行った。その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
表2から、本発明のセメント組成物は、高流動性を有し、かつ、90分以上高流動性を確保できることが分かる。また、本発明のセメント組成物では、凝結時間が短く、硬化速度が大きいことも分かる。さらに、本発明のセメント組成物では、160N/mm2以上の超高強度を発現することも分かる。
なお、本発明のセメント組成物では、成形後20時間以内に脱型することが可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、BET比表面積5〜15m2/gの微粉末、ブレーン比表面積4000〜10000cm2/gの無機粉末、アルカリ土類金属塩、細骨材、減水剤及び水を含むセメント組成物であって、
前記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント及び/又は低熱ポルトランドセメントで、前記アルカリ土類金属塩が、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムで、前記減水剤が、ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤であり、
前記各材料の配合割合が、セメント100質量部に対して、微粉末5〜50質量部、無機粉末5〜50質量部、アルカリ土類金属塩0.03〜0.3質量部、細骨材50〜250質量部、減水剤(固形分換算)0.1〜1.0質量部及び水10〜30質量部であることを特徴とするセメント組成物。
【請求項2】
セメント組成物の体積の4%未満となる量の金属繊維及び/又はセメント組成物の体積の10%未満となる量の有機質繊維を含む請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項3】
金属繊維が、径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmの鋼繊維である請求項2記載のセメント組成物。
【請求項4】
有機質繊維が、径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのポリビニルアルコール繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維から選ばれる1種以上の繊維である請求項2記載のセメント組成物。

【公開番号】特開2010−228953(P2010−228953A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76964(P2009−76964)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】