説明

セメント組成物

【課題】低水/セメント比でセメント硬化体を製造する場合であっても、収縮低減剤の効果を損なうことがなく、また流動性確保のために添加した分散剤の効果を低減させることがないセメント組成物を提供する。
【解決手段】普通ポルトランドセメントと、下記一般式(1);


で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2);


で表される繰り返し単位を含む共重合体からなる分散剤と、収縮低減剤とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートやモルタル等のセメント硬化体を製造する際に、セメント硬化体の強度発現性を維持したまま、収縮低減効果を損なうことなく、流動性の低下を防止することのできるセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の高強度化を図る方法として、従来、高強度コンクリート用のセメント組成物が知られている(例えば下記特許文献1)。この種の高強度コンクリート用セメント組成物によれば、圧縮強度を90N/mm2以上に高め得ることが報告されている。
【0003】
一方、普通ポルトランドセメントを使用した場合であっても、水/セメント比を下げることによってある程度の高強度化を図り得ることが、従来知られている。しかし、水/セメント比を下げることによって高強度化を図ろうとする場合には、セメント組成物に水等を加えて調製したセメントペースト、セメントモルタル又はコンクリート(以下、モルタル等という)の流動性低下を抑制して作業性を確保したり、また、硬化の際の乾燥収縮を防止するといった種々の問題を解決する必要がある。
【0004】
具体的には、水/セメント比を下げた状態でモルタル等の流動性を確保するためには、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤等のセメント分散剤の添加が必要である。また、硬化後のセメント硬化体の乾燥収縮を低減するためには収縮低減剤の添加が必要であり、たとえば下記特許文献2乃至7に記載されたような収縮低減剤を使用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−174414号公報
【特許文献2】特公昭56−51148号公報
【特許文献3】特公平1−53214号公報
【特許文献4】特公平1−53215号公報
【特許文献5】特開昭59−152253号公報
【特許文献6】特公平6−6500号公報
【特許文献7】特許第2825855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者等が鋭意研究したところ、普通ポルトランドセメントを用いて低水/セメント比のモルタル等を調製する際に、セメント分散剤と収縮低減剤とを併用すると、セメント分散剤により本来発揮されるべき効果が損なわれ、所望の流動性が得られない場合が多いことを見出した。すなわち、従来、セメント分散剤と収縮低減剤とを併用しても双方の性能に悪影響はないことが、建築学会JASS 5にも記載のとおり当業者の技術常識となっていたが、セメントの硬化後の強度を高めるために水/セメント比を大きく下げ、且つその状態(低水/セメント比)でも所定の流動性を確保するべくセメント分散剤を相当量添加し、同時に収縮低減剤を添加した場合には、これまでの技術常識に反し、収縮低減剤によってセメント分散剤の効果が損なわれ、流動性が低下するという問題点を見出した。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、低水/セメント比でセメント硬化体を製造する場合であっても、収縮低減剤の効果を損なうことがなく、また流動性確保のために添加した分散剤の効果を低減させることがないセメント組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記のような課題を解決すべくさらに鋭意研究を重ねた結果、分散剤として特定のポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤であれば、普通ポルトランドセメントを用いた低水/セメント比のモルタル等において種々の収縮低減剤と併用した場合にも、その分散剤の効果が低減され難いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、水/セメント比が40%以下で用いられるセメント組成物であって、普通ポルトランドセメントと、下記一般式(1);
【化1】

(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表す。nは、平均付加モル数を表し、10〜300の数である。)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2);
【化2】

(式中、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される繰り返し単位を含む共重合体からなる分散剤と、収縮低減剤とを含有することを特徴とするものである。
収縮低減剤としては、たとえば低級アルコールのアルキレンオキシド付加物、低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、グリコールエーテル系誘導体、ポリエーテル誘導体、アルキレンオキシド系化合物、ポリオキシアルキレン化合物、ポリプロピレングリコール系化合物等を用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、普通ポルトランドセメントを用いた低水/セメント比においても、セメント分散剤と収縮低減剤を併用しても、流動性を低下させることのないコンクリートやモルタルを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のセメント組成物は、上述のように、水/セメント比が40%以下で用いられるセメント組成物であって、下記一般式(1);
【化3】

で表される繰り返し単位と、下記一般式(2);
【化4】

で表される繰り返し単位とを有する共重合体(以下には、ポリエチレンオキシド鎖を持つポリアクリル酸系共重合体、又は、単にポリアクリル酸系共重合体等ともいう)を含むものである。
【0012】
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表す。R1としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基が例示され、これらの中でも、水素原子が好適である。オキシエチレン基の平均付加モル数nは、10〜300の数であり、好ましくは、15〜200であり、更に好ましくは、25〜100である。
【0013】
また上記一般式(2)において、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。一価の金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等が例示され、二価金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等が例示される。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基、有機アンモニウム基等が例示される。これらの中でも、ナトリウム、カルシウムであることが好ましい。すなわち、上記一般式(2)で表される単量体は、ナトリウム塩、カルシウム塩であることが好ましい。
【0014】
また上記分散剤は、上記一般式(1)、(2)とは別の構成単位(繰り返し単位であってもなくてもよい)を更に含んでいてもよい。尚、上記ポリアクリル酸系共重合体において、一般式(1)、(2)の繰り返し単位、及び必要に応じて含まれることになる構成単位の共重合の形態としては、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合等のいずれであってもよい。
【0015】
このようなポリエチレンオキシド鎖を持つポリアクリル酸系共重合体を含む分散剤を、収縮低減剤とともに、普通ポルトランドセメントを用いた低水/セメント比のモルタル等に混和剤として混合しても、そのモルタル等の流動性が低下することもない。
【0016】
上記ポリアクリル酸系共重合体において、一般式(1)の繰り返し単位、一般式(2)の繰り返し単位、及びその他の繰り返し単位の比率は、質量比で、一般式(1)の繰り返し単位/一般式(2)の繰り返し単位/その他の繰り返し単位=98〜2/2〜98/0〜50であることが好ましい。より好ましくは、95〜50/5〜50/0〜50であり、更に好ましくは、95〜70/5〜30/0〜50である。ただし、一般式(1)の繰り返し単位、一般式(2)の繰り返し単位、及びその他の繰り返し単位の合計は100質量%である。
【0017】
一般式(1)の繰り返し単位を与える単量体としては、3−メチル−2−ブテン−1−オールにエチレンオキシドの10〜300モル重合体を付加した化合物、3−メチル−2−ブテン−1−オールにエチレンオキシドの10〜300モル重合体を付加させた後、末端の水酸基をアルキル基で置換した化合物、3−メチル−2−ブテン−1−オールにポリエチレングリコールモノアルキルエーテルを反応させた化合物が挙げられる。
【0018】
また一般式(2)の繰り返し単位を与える単量体としては、アクリル酸が挙げられる。
【0019】
さらに、その他の繰り返し単位を与える単量体としては、他の単量体の少なくとも1つと共重合可能な単量体であればよく、たとえば下記のものが例示される。
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜4のアルコールとのハーフエステル、ジエステル;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル。
【0020】
マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフアミド;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類。
【0021】
ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等不飽和モノカルボン酸系類、並びにそれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩。
【0022】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜4のアルコールとのエステル;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類。
【0023】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類。
【0024】
ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体;2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等の不飽和リン酸エステル類。
【0025】
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミンとマロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバチン酸、又はこれらと炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物等の二塩基酸又は二塩基酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステルとの縮合物に更に(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物等とを特定の割合で縮合させたポリアマイドポリアミンにアルキレンオキシドを特定量付加させた化合物;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミンの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物又は(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化物との縮合物等の窒素原子を有するカチオン性単量体。
【0026】
上記ポリアクリル酸系共重合体を得るには、重合開始剤を用いて上記単量体成分を重合させればよい。重合は、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行うことができる。溶媒中での重合は回分式でも連続式でも行うことができ、その際使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族又は脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物の1種又は2種以上が例示される。原料単量体及び得られるポリアクリル酸系共重合体の溶解性並びにポリアクリル酸系共重合体の使用時の便宜性からは、水及び炭素原子数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。その場合、炭素原子数1〜4の低級アルコールの中でも、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等が特に好ましい。
【0027】
上記ポリアクリル酸系共重合体を得るために水媒体中で重合を行うときには、重合開始剤としてアンモニウム若しくはアルカリ金属の過硫酸塩又は過酸化水素等の水溶性の重合開始剤を使用することが好ましい。この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩、アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等の促進剤を併用することもできる。また、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物又はケトン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が重合開始剤として用いることが好ましい。この際、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。更に、水−低級アルコール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始剤又は重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜120℃であり、30℃以上が好ましい。より好ましくは50℃以上である。また、100℃以下が好ましい。より好ましくは95℃以下である。
【0028】
また塊状重合を行うときには、通常では重合開始剤としてベンゾイルパーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を用い、50〜200℃で行なわれる。
【0029】
更に得られるポリアクリル酸系共重合体の分子量調節のために、次亜リン酸(塩)やチオール系連鎖移動剤を併用することもできる。この際に用いられるチオール系連鎖移動剤は、一般式HS−R2−Eg(式中、R2は、炭素原子数1〜2のアルキル基を表す。Eは、−OH、−COOM、−COOR3又はSO3M基を表す。Mは、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。R3は、炭素原子数1〜30のアルキル基を表す。gは、1〜2の整数を表す。)で表され、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチルが好適である。また、水酸基やカルボキシル基等の官能基をもたない炭素数3以上の炭化水素基をもつチオール化合物を連鎖移動剤として用いてもよい。ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノールがそのようなチオール化合物として好適である。また、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン等の不飽和炭化水素化合物を連鎖移動剤として用いてもよい。これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、ポリアクリル酸系共重合体の分子量調整のためには、単量体として(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0030】
上記ポリアクリル酸系共重合体は、そのままでも用いることができるが、水に対する溶解性が不足するような場合には、水に対する溶解性を向上させて有機溶媒を含まない水媒体液の形態で取り扱うために、更に一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物)のアルカリ性物質で中和して得られる重合体塩として用いることが好ましい。
【0031】
上記ポリアクリル酸系共重合体の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算で、5000〜1000000が適当である。重量平均分子量が5000未満であると、材料分離低減性能が低下するおそれがあり、1000000を超えると、分散性能が低下するおそれがあるからである。この観点からは、10000以上500000以下であることが好ましく、10000以上300000以下であることがより好ましい。
【0032】
(重量平均分子量測定条件)
機種:Waters LCM1
検出器:Waters 410 示差屈折検出器
解析ソフト:Waters MILLENNIUM Ver.2.18
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整した溶離液を用いる。
溶離液流速:0.8ml/min」
カラム温度:35℃
カラム:東ソー製 TSKgel GuardColumnSWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
【0033】
一方、収縮低減剤としては、たとえば低級アルコールのアルキレンオキシド付加物、低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、グリコールエーテル系誘導体、ポリエーテル誘導体、アルキレンオキシド系化合物、ポリオキシアルキレン化合物、ポリプロピレングリコール系化合物等を用いることができる。
【0034】
さらに、本発明のセメント組成物に含まれるセメントとしては、普通ポルトランドセメントが用いられる。
【0035】
尚、本発明のセメント組成物には、上記のようなセメント、収縮低減剤、分散剤の他に、石膏、消包剤、AE剤、促進剤、増粘剤、膨張材等の成分を含有させることも可能である。また、細骨材及び粗骨材等の骨材を含有させることも可能である。細骨材としては、砂が好適であり、粗骨材としては、川砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記のような分散剤をセメント組成物に配合する場合、セメント100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、また、2.0質量部以下が好ましい。分散剤がセメント100質量部に対して0.1質量部未満であると、性能面で不十分となるおそれがあり、2.0質量部を超える量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。かかる観点からは、セメント100質量部に対して0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましい。また、セメント100質量部に対して1.6質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以下であることが更に好ましい。
【0037】
また、上記のような収縮低減剤をセメント組成物に配合する場合、セメント100質量部に対し0.1質量部以上が好ましく、また、1.5質量部以下が好ましい。水和発熱抑制剤がセメント100質量部に対して0.1質量部未満であると、性能面で不十分となるおそれがあり、1.5質量部を超える量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。かかる観点から、セメント100質量部に対して0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましい。また、セメント100質量部に対して1.0質量部以下であることがより好ましく、0.8質量部以下であることが更に好ましい。
【0038】
さらに、細骨材や粗骨材をセメント組成物に配合する場合、セメント100質量部に対して細骨材100〜500質量部、粗骨材200〜400質量部配合されることが望ましい。
【0039】
またセメント硬化体を製造する場合の水/セメント比は40%以下であり、好ましくは35%以下である。このような低水/セメント比においては、モルタル等の流動性が低下することがないという本発明のセメント組成物の効果が顕著に発揮されるからである。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、上記ポリエチレンオキシド鎖を持つポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤(表1ではイと略す)と、低級アルコールのアルキレンオキシド付加物からなる収縮低減剤(表1ではAと略す)とを、それぞれ普通ポルトランドセメント(表1ではNCと略す)に添加してセメント組成物を調製した。セメント組成物の配合比は、普通ポルトランドセメント100質量部に対して収縮低減剤2.0質量部とし、分散剤0.24質量部とした。
【0041】
普通ポルトランドセメントとしては、住友大阪セメント株式会社製のものを用いた。また低級アルコールのアルキレンオキシド付加物としては、テトラガード(商品名:太平洋マテリアル株式会社製)を用いた。
【0042】
ポリエチレンオキシド鎖を持つポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤は、次のようにして調製した。すなわち、温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応器に、水76.91g、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル149.28gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換して窒素雰囲気下で60℃まで加熱した。内温が60℃で安定したところで、過酸化水素0.23gと水11.01gとを含む過酸化水素水溶液を添加した。次に、アクリル酸20.17gを3時間、並びに、水40.74gにL−アスコルビン酸0.3g、3−メルカプトプロピオン酸0.79gを溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持し、重合反応を終了した。重合終了後、水酸化ナトリウムで中和、水で希釈し重合成分の濃度が40質量%になるように調整した。得られたポリアクリル酸系共重合体の重量平均分子量を下記の条件により求めたところ、37000であった。
【0043】
重量平均分子量測定条件
機種:Waters LCM1
検出器:Waters 410示差屈折検出器
解析ソフト:Waters MILLENNIUM Ver.2.18
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウムでpH6に調整した溶離液を用いる。
溶離液流速:0.8ml/min
カラム温度:35℃
カラム:東ソー製 TSKgel GuardColumnSWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
【0044】
(実施例2)
収縮低減剤として、上記実施例1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えて低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体(表1ではBと略す)を配合した以外は、配合成分及び配合比は実施例1と同じとした。低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体としては、デンカエスケーガード(商品名:電気化学工業株式会社製)を用いた。
【0045】
(実施例3)
収縮低減剤として、上記実施例1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてグリコールエーテル系誘導体(表1ではCと略す)を配合した以外は、配合成分及び配合比は実施例1と同じとした。グリコールエーテル系誘導体としては、ヒビガード(商品名:株式会社フローリック製)を用いた。
【0046】
(実施例4)
収縮低減剤として、上記実施例1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリエーテル誘導体(表1ではDと略す)を配合した以外は、配合成分及び配合比は実施例1と同じとした。ポリエーテル誘導体としてはヒビダンB(商品名:竹本油脂株式会社製)を用いた。
【0047】
(実施例5)
収縮低減剤として、上記実施例1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてアルキレンオキシド系化合物(表1ではEと略す)を配合した以外は、配合成分及び配合比は実施例1と同じとした。アルキレンオキシド系化合物としてはテスターF(商品名:住友大阪セメント株式会社製)を用いた。
【0048】
(実施例6)
収縮低減剤として、上記実施例1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリオキシアルキレン化合物(表1ではFと略す)を配合した以外は、配合成分及び配合比は実施例1と同じとした。ポリオキシアルキレン化合物としてはシュドックス(商品名:日油株式会社製)を用いた。
【0049】
(実施例7)
収縮低減剤として、上記実施例1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリプロピレングリコール系化合物(表1ではGと略す)を配合した以外は、配合成分及び配合比は実施例1と同じとした。ポリプロピレングリコール系化合物としてはe−SRA Plus(商品名:グレースケミカルズ株式会社製)を用いた。
【0050】
(比較例1−1)
分散剤として、上記実施例1のポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤に代えてナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物からなるナフタレン系分散剤(商品名マイティ150:花王株式会社製)(表1ではロと略す)を配合して、比較例1−1のセメント組成物を調製した。収縮低減剤及び普通ポルトランドセメントは実施例1と同じものを用いた。セメント組成物の配合比は、普通ポルトランドセメント100質量部に対して収縮低減剤2.0質量部とし、分散剤2.0質量部とした。
【0051】
(比較例1−2)
収縮低減剤として、比較例1−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えて低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体[商品名デンカエスケーガード:電気化学工業株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例1−1と同じとした。
【0052】
(比較例1−3)
収縮低減剤として、比較例1−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてグリコールエーテル系誘導体[商品名ヒビガード:株式会社フローリック製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例1−1と同じとした。
【0053】
(比較例1−4)
収縮低減剤として、比較例1−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリエーテル誘導体[商品名ヒビダンB:竹本油脂株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例1−1と同じとした。
【0054】
(比較例1−5)
収縮低減剤として、比較例1−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてアルキレンオキシド系化合物[商品名テスターF:住友大阪セメント株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例1−1と同じとした。
【0055】
(比較例1−6)
収縮低減剤として、比較例1−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリオキシアルキレン化合物[商品名シュドックス:日油株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例1−1と同じとした。
【0056】
(比較例1−7)
収縮低減剤として、比較例1−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリプロピレングリコール系化合物[商品名e−SRA Plus:グレースケミカルズ株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例1−1と同じとした。
【0057】
(比較例2−1)
分散剤として、実施例1のポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤に代えて末端スルホン酸基を有するポリカルボン酸基含有多元ポリマー(表1ではハと略す)[商品名チューポールHP−8:竹本油脂株式会社製]を配合して、比較例2−1のセメント組成物を調製した。収縮低減剤及び普通ポルトランドセメントは実施例1と同じものを用いた。セメント組成物の配合比は、普通ポルトランドセメント100質量部に対して収縮低減剤1.0質量部とし、分散剤2.0質量部とした。
【0058】
(比較例2−2)
収縮低減剤として、比較例2−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えて低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体[商品名デンカエスケーガード:電気化学工業株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例2−1と同じとした。
【0059】
(比較例2−3)
収縮低減剤として、比較例2−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてグリコールエーテル系誘導体[商品名ヒビガード:株式会社フローリック製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例2−1と同じとした。
【0060】
(比較例2−4)
収縮低減剤として、比較例2−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリエーテル誘導体[商品名ヒビダンB:竹本油脂株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例2−1と同じとした。
【0061】
(比較例2−5)
収縮低減剤として、比較例2−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてアルキレンオキシド系化合物[商品名テスターF:住友大阪セメント株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例2−1と同じとした。
【0062】
(比較例2−6)
収縮低減剤として、比較例2−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリオキシアルキレン化合物[商品名シュドックス:日油株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例2−1と同じとした。
【0063】
(比較例2−7)
収縮低減剤として、比較例2−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリプロピレングリコール系化合物[商品名e−SRA Plus:グレースケミカルズ株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例2−1と同じとした。
【0064】
(比較例3−1)
セメントとして、上記実施例1の普通ポルトランドセメントに代えて超速硬セメントを配合した。超速硬セメント(表1ではJCと略す)としては、住友大阪セメント株式会社製のものを用いた。収縮低減剤は実施例1と同じものを用いた。セメント組成物の配合比は、超速硬セメント100質量部に対して収縮低減剤2.0質量部とし、分散剤1.0質量部とした。
【0065】
(比較例3−2)
収縮低減剤として、比較例3−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えて低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体[商品名デンカエスケーガード:電気化学工業株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例3−1と同じとした。
【0066】
(比較例3−3)
収縮低減剤として、比較例3−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてグリコールエーテル系誘導体[商品名ヒビガード:株式会社フローリック製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例3−1と同じとした。
【0067】
(比較例3−4)
収縮低減剤として、比較例3−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリエーテル誘導体[商品名ヒビダンB:竹本油脂株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例3−1と同じとした。
【0068】
(比較例3−5)
収縮低減剤として、比較例3−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてアルキレンオキシド系化合物[商品名テスターF:住友大阪セメント株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例3−1と同じとした。
【0069】
(比較例3−6)
収縮低減剤として、比較例3−1の低級アルコールのアルキレンオキシド付加物に代えてポリプロピレングリコール系化合物[商品名e−SRA Plus:グレースケミカルズ株式会社製]を配合した以外は、配合成分及び配合比は比較例3−1と同じとした。
【0070】
[試験例1]
上記実施例1〜7、比較例1−1〜1−7、比較例2−1〜2−7、比較例3−1〜3−6のセメント組成物について、そのセメント組成物に水を添加したセメントペーストの流動性の評価を行うべく、フロー値を測定した。水/セメント比は40%とした。各セメント組成物の各成分を、上記配合比で常温(20℃)下、ホバートミキサーで3分間混合し、フロー値(0打フロー値)を測定した。フロー値はJIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。試験結果を表1に示す。
【0071】
表1からも明らかなように、ポリエチレンオキシド鎖を持つポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤を用いた実施例1〜7では、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物からなるナフタレン系分散剤を用いた比較例1−1〜1−7や、末端スルホン酸基を有するポリカルボン酸基含有多元ポリマーからなる分散剤を用いた比較例2−1〜2−7に比べてフロー値が大きく、セメントペーストの流動性が良好であることがわかった。
【0072】
また、ポリエチレンオキシド鎖を持つポリアクリル酸系共重合体からなる分散剤を用いているがセメントとして超速硬セメントを用いた比較例3−1〜3−6との対比においては、普通ポルトランドセメントを用いた実施例1〜7は、比較例3−1〜3−6に比べてフロー値が大きく、セメントペーストの流動性が良好であることがわかった。
【0073】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水/セメント比が40%以下で用いられるセメント組成物であって、普通ポルトランドセメントと、下記一般式(1);
【化1】

(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表す。nは、平均付加モル数を表し、10〜300の数である。)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2);
【化2】

(式中、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される繰り返し単位を含む共重合体からなる分散剤と、収縮低減剤とを含有することを特徴とするセメント組成物。
【請求項2】
収縮低減剤が、低級アルコールのアルキレンオキシド付加物、低分子量エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、グリコールエーテル系誘導体、ポリエーテル誘導体、アルキレンオキシド系化合物、ポリオキシアルキレン化合物、ポリプロピレングリコール系化合物の少なくともいずれかである請求項1記載のセメント組成物。

【公開番号】特開2012−184129(P2012−184129A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47812(P2011−47812)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】