説明

セメント質硬化体補強用金属繊維およびセメント質硬化体

【課題】セメント質硬化体(特に、100MPa以上の圧縮強度を有する高強度のもの)の補強に用いられる補強用金属繊維であって、混練時に金属繊維同士が絡み合うことなく短時間で容易に、均一に分散させることができ、また、母材に対して良好な付着性を有し、セメント質硬化体の靭性を向上させることができ、さらにはセメント質硬化体の曲げ強度等の機械的強度を向上させることのできるセメント質硬化体補強用金属繊維を提供する。
【解決手段】本発明の金属繊維1は、直径が0.3mm以下、引張強度が1.0〜3.5GPaで、螺旋形の形状に加工されてなる金属繊維である。螺旋形の形状は、繊維長さの1.0倍を超え5.0倍以下の周期B、及び、繊維直径の0.5〜3.0倍の振幅Aを有するように定められる。金属繊維1のアスペクト比は20〜200である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、モルタル等のセメント質硬化体(特に、100MPa以上の圧縮強度を有するもの)を補強するのに好適なセメント質硬化体補強用金属繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等のセメント質硬化体の曲げや引張に対する強度、および曲げや引張に対する粘り強さを高める目的で、セメント質硬化体に補強用繊維を混入させてなる繊維補強セメント質硬化体が知られている。この補強用繊維としては、セメント質硬化体のひび割れ等の防止の観点から、補強の対象となる母材(セメント質硬化体中の補強用繊維以外の部分)よりも大きいヤング率を有することが好ましく、例えば、鋼繊維、ガラス繊維等を短く切断したものが用いられている。しかし、このような補強用繊維は、一般的に、引張強度に比べて、母材に対する付着強度が小さいため、補強用繊維と母材との界面で剥離やすべりを生じ、大きな引張強度を有する割には大きな補強効果が得られ難いという問題があった。
そのため、補強用繊維に対して、インデント加工を施したり、繊維の端部を折り曲げたり、あるいは波形又は螺旋形の形状に加工するなどして、母材に対する補強用繊維の付着強度を向上させることが試みられている。
例えば、繊維直径が0.05〜0.5mm、繊維長さが繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)で30〜200であり、表面に繊維直径の0.1倍以上の突起ないし窪みを有しない湾曲した形状を有し、この湾曲した形状が螺旋または波形の形状であり、その振幅が繊維直径の0.3〜3倍であって、その周期が繊維長さの0.1〜0.5倍である高強度組成物補強用鋼繊維が提案されている(特許文献1)
【特許文献1】特開2000−281402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の螺旋または波形の形状を有する補強用繊維によると、従来の補強用繊維に比べて、母材との付着強度を向上させて、セメント質硬化体の曲げや引張に対する強度を高めることができる。
しかし、上述の螺旋または波形の形状を有しかつその周期が繊維長さの0.1〜0.5倍である補強用繊維を、100MPa以上の圧縮強度を有する高強度のセメント質硬化体の補強に用いる場合には、硬化前のセメント質硬化体(母材)の粘度が高いため、混練時に補強用繊維同士が絡み合い易く、補強用繊維をセメント質硬化体(母材)中に均一に分散させるためには、混練時間が長くなるという問題がある。
なお、補強用繊維同士の絡み合いを避けるために、補強用繊維以外の材料を混練した後に補強用繊維を少量ずつ分散させながら添加することも可能であるが、この場合、手間がかかり、作業効率が低下するという問題がある。
一方、補強用繊維は、セメント質硬化体の曲げや引張に対する強度を高めるとともに、曲げや引張に対する粘り強さ(靭性)を高めることが要求される。すなわち、補強用繊維は、大きな負荷が加わったときに、引き抜き等の力に対して金属繊維が適度に荷重を負担して抵抗し、母材との界面における剥離やすべりを抑制することが望まれる。この点、従来の折り曲げ加工等の大きな変形が施された補強用繊維では、大きな負荷が加わったときに、粘り強さを十分に発揮せずに、補強用繊維自身の破断や母材の破壊を生じさせ易いという問題があった。
そこで、本発明は、セメント質硬化体(特に、100MPa以上の圧縮強度を有する高強度のもの)の補強に用いられる補強用金属繊維であって、混練時に金属繊維同士が絡み合うことなく短時間で容易に、均一に分散させることができ、また、母材に対して良好な付着性を有し、セメント質硬化体の靭性を向上させることができ、さらにはセメント質硬化体の曲げ強度等の機械的強度を向上させることのできるセメント質硬化体補強用金属繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の螺旋形状を有するセメント質硬化体補強用金属繊維によると、混練時の分散性や、母材に対する付着性等を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供するものである。
[1]直径が0.3mm以下、引張強度が1.0〜3.5GPaで、螺旋形の形状に加工されてなるセメント質硬化体補強用金属繊維であって、前記螺旋形の形状が、繊維長さの1.0倍を超え5.0倍以下の周期、及び、繊維直径の0.5〜3.0倍の振幅を有することを特徴とするセメント質硬化体補強用金属繊維。
[2]アスペクト比が20〜200である前記[1]に記載のセメント質硬化体補強用金属繊維。
[3]前記[1]又は[2]に記載のセメント質硬化体補強用金属繊維を含み、かつ、圧縮強度が100MPa以上で、破壊エネルギーが20kJ/m2以上であることを特徴とするセメント質硬化体。
【発明の効果】
【0006】
本発明のセメント質硬化体補強用金属繊維(本明細書中、単に「金属繊維」ともいう。)は、特定の螺旋形状を有するため、例えば、100MPa以上の圧縮強度を発現する粘度の大きなセメント質混練物の中に配合する場合であっても、混練時に金属繊維同士が絡まることなく短時間で容易に、セメント質硬化体の母材中に均一に分散することができる。
その結果、混練時間の短縮化による繊維補強セメント質硬化体の製造効率の向上と、特定の金属繊維が母材中に均一に分散することによるセメント質硬化体の物性(曲げ強度、破壊エネルギー等)の向上及びセメント質硬化体の均質化を達成することができる。
特に、本発明では、金属繊維の螺旋形状における周期を繊維長の1.0倍を超え5.0倍以下に定めているので、繊維補強セメント質硬化体に大きな負荷が加わったときに、引き抜き等の力に対して金属繊維が適度に荷重を負担して抵抗することになり、飛躍的に破壊エネルギーを増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の金属繊維としては、鋼繊維、チタン繊維等が挙げられる。中でも、材料のコスト等の観点から鋼繊維が好ましい。鋼繊維としては、特に材質は限定されないが、例えば炭素鋼、ステンレス鋼等からなる鋼繊維が挙げられる。
本発明の金属繊維の引張強度は、1.0〜3.5GPa、好ましくは1.5〜3.5GPaである。引張強度が1.0GPa未満では、金属繊維が破断し易く、十分な補強効果が得られない。すなわち、補強の対象となるセメント質硬化体が、極めて高い機械的強度とヤング係数を持つ場合には、ひび割れる時に解放される弾性エネルギーが大きいため、金属繊維の引張強度は、破断の防止のために1.0GPa以上にする必要がある。一方、金属繊維の引張強度が3.5GPaを超えても、補強効果がほとんど向上しないばかりか、金属繊維のコストが高くなるので、金属繊維の引張強度は、3.5GPa以下とするのが好ましい。
【0008】
本発明の金属繊維の直径は、0.3mm以下、好ましくは0.1〜0.25mm、より好ましくは0.15〜0.2mmである。直径が0.3mmを超えると、セメント質硬化体が硬化するまでの間に金属繊維が沈降し易く、セメント質硬化体中の金属繊維の分散が均一にならないばかりでなく、繊維の強度に比べて界面付着強度が相対的に低下するので、十分な補強効果が得られず、好ましくない。
【0009】
本発明の金属繊維の長さは、金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)で20〜200とするのが好ましい。
アスペクト比が20未満では、セメント質硬化体に発生した亀裂の開口が広がる際に、亀裂の開口箇所を橋渡ししている金属繊維が引き抜け易く、金属繊維による補強効果が低下するので、好ましくない。
アスペクト比が200を超えると、混練時に流動性が低下して、型枠内への混練物の流し込み時等における作業性が劣るばかりでなく、気泡が抜け難くなって、セメント質硬化体の機械的強度が低下するので好ましくない。この場合、金属繊維の混入量を減少させることによって、混練物の流動性を確保することもできるが、繊維量が少ないために金属繊維全体が負担することのできる荷重の大きさが小さくなり、やはり、セメント質硬化体の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
金属繊維のアスペクト比は、特に好ましくは40〜150である。アスペクト比がこの範囲内であれば、混練時の流動性の低下もほとんどなく、しかも、金属繊維の混入量を比較的大きくすることができるので、十分な補強効果を得ることができる。
【0010】
金属繊維の形状は、螺旋形である。本発明では、金属繊維の形状を特定の螺旋形にすることにより、亀裂を橋渡ししている金属繊維と母材との界面が剥離した場合にも、金属繊維と母材との相対運動時に適当な摩擦力を金属繊維と母材との界面に生じさせ、セメント質硬化体の靱性(引張等に対する粘り強さ)を高めることができる。
上記螺旋形の形状における振幅は、金属繊維の直径の0.5〜3.0倍であり、好ましくは0.8〜2.7倍である。
振幅が、金属繊維の直径の0.5倍未満では、金属繊維と母材との相対運動時に発生する摩擦力が小さくなり、セメント質硬化体の靭性を十分に高めることができず、セメント質硬化体が脆性的な破壊を示すため好ましくない。振幅が、金属繊維の直径の3.0倍を超えると、混練時に、繊維同士が絡み合い易くなり混練時間を長くする必要があるうえ、金属繊維が均一に分散しにくくなったり、ファイバーボールが生じるおそれがあるため好ましくない。また、混練の手順によっては、金属繊維を少量ずつ分散させながら添加する必要があり、この場合、手間がかかり作業効率が低下するため好ましくない。
【0011】
上記螺旋形の形状における周期は、金属繊維の長さの1.0倍を超え5.0倍以下であり、好ましくは1.2〜4.0倍であり、より好ましくは1.5〜3.5倍である。
周期が金属繊維の長さの1.0倍以下では、金属繊維同士が絡み合い易くなり混練時間を長くする必要があるうえ、金属繊維が均一に分散しにくくなったり、ファイバーボールが生じるおそれがあるため好ましくない。また、混練の手順によっては、金属繊維を少量ずつ分散させながら添加する必要があり、手間がかかるため好ましくない。
周期が、金属繊維の長さの5.0倍を超えると、金属繊維と母材との相対運動時に発生する摩擦力が小さくなり、セメント質硬化体の靭性を十分に高めることができず、セメント質硬化体が脆性的な破壊を示すため好ましくない。
なお、本明細書中において、「振幅」とは、図1中に符号Aで示すように、金属繊維1の軸線(中心線)が形成する螺旋形に対するものを意味し、具体的には、螺旋形の形状の中心軸(図1中に一点鎖線で示す。)と、金属繊維の軸線との距離である。本明細書中において、「周期」とは、図1中に符号Bで示すように、螺旋形の形状が一周する間の、螺旋形の形状の中心軸方向の距離である。
螺旋形の金属繊維を作製するには、例えば、芯棒の周囲に適当な数の金属繊維を環状に平行に配置させた状態で、任意の軸線を中心として全体を回転させればよい。
【0012】
本発明においては、金属繊維の表面(周面)に、該繊維のヤング係数よりも小さなヤング係数を有する金属層を設けることが好ましい。金属層を設ける理由は、次の通りである。
セメント質硬化体の亀裂を橋渡ししている金属繊維には、引張力が作用するので、金属繊維と、金属繊維に付着しているセメント質硬化体(母材)との界面には、剪断力が生じる。金属繊維の表面に、金属繊維よりも小さなヤング係数を有する金属層を設けると、金属繊維と、金属繊維に付着しているセメント質硬化体(母材)との界面に作用する剪断力は、セメント質硬化体(母材)中に比較的広く分散するようになる。そのため、金属繊維に作用する引張力によって受けるセメント質硬化体の損傷が軽減され、繊維補強セメント質硬化体の曲げや引張の作用時の破断強度や靭性が高まるものと考えられる。
【0013】
更に、金属繊維の表面の金属層が、セメント質硬化体(母材)との付着面において剥離し、該付着面が相対運動する場合においても、金属層は、金属繊維に比べてヤング係数が小さいので、セメント質硬化体(母材)との接触面での応力集中を緩和させる作用を有するとともに、金属層自身の比較的弾塑性変形し易い性質から、金属繊維の引き抜け時における摩擦力を増大させるように作用する。これらの作用は、繊維補強セメント質硬化体の曲げや引張の作用時の破断強度や靭性が高くなることと等価である。
金属層を構成する金属の種類としては、金属繊維として鋼繊維を使用する場合は、例えば、亜鉛、錫、銅、ニッケル、それらの合金等が挙げられるが、中でも、銅合金が好ましい。金属層の厚みは、好ましくは、鋼繊維の直径の5%以下である。
【0014】
本発明の金属繊維を含むセメント質硬化体は、一般的には、100MPa以上の圧縮強度と、30MPa以上の曲げ強度と、20kJ/m2以上の破壊エネルギーとを有するものであり、好ましくは、150MPa以上の圧縮強度と、35MPa以上の曲げ強度と、25kJ/m2以上の破壊エネルギーとを有するものであり、より好ましくは、170MPa以上の圧縮強度と、38MPa以上の曲げ強度と、30kJ/m2以上の破壊エネルギーとを有するものであり、特に好ましくは、180MPa以上の圧縮強度と、40MPa以上の曲げ強度と、35kJ/m2以上の破壊エネルギーとを有するものである。
【実施例】
【0015】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
[1]使用した金属繊維
金属繊維として、次のA〜Eを使用した。なお、金属繊維A〜Cは、本発明の金属繊維であり、金属繊維D、Eは、本発明に該当しない金属繊維である。
A:引張強度2.7GPa、直径0.15mm、長さ15mmの鋼繊維
(材質:炭素鋼;周期30mm、振幅0.2mmの螺旋加工を施したもの)
B:引張強度2.7GPa、直径0.15mm、長さ15mmの鋼繊維
(材質:炭素鋼;周期30mm、振幅0.45mmの螺旋加工を施したもの)
C:金属繊維Aの鋼繊維の表面に、0.2μmの厚さで黄銅を被覆したもの
D:引張強度2.7GPa、直径0.15mm、長さ15mmの鋼繊維
(材質:炭素鋼;周期7.5mm、振幅0.45mmの螺旋加工を施したもの)
E:引張強度2.7GPa、直径0.15mm、長さ15mmの鋼繊維
(材質:炭素鋼;螺旋加工を施さないもの)
【0016】
[2]金属繊維以外の材料
以下に示す材料を使用した。
(1)低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
(2)シリカフューム(平均粒径0.5μm)
(3)石英粉末(平均粒径7μm)
(4)ウォラストナイト(平均長さ0.3mm、長さ/直径の比4)
(5)細骨材(珪砂5号)
(6)減水剤(ポリカルボン酸系高性能減水剤)
(7)水道水
【0017】
[3]金属繊維を含むセメント質硬化体の配合例
金属繊維を含むセメント質硬化体の配合例No.1〜No.3を、表1に示す。
なお、混練方法及び養生条件は、次の通りである。
(a)混練方法
二軸ミキサに金属繊維以外の材料を一括投入し、混練して流動性が現れた後に金属繊維を一括投入し、更に混練(1.5分間)を行なった。
(b)養生条件
湿気箱(20℃)中で24時間養生した後、90℃で48時間蒸気養生した。
【0018】
【表1】

【0019】
[4]物性の測定方法
(a)フロー値
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準じて測定した。ただし、15回の落下運動は行なわずに測定した。
(b)金属繊維の分散性
フロー値の測定の際に、金属繊維の分散状況(分散性)を目視で観察した。ファイバーボールが認められず、金属繊維が均一に分散している場合を「○」、ファイバーボールが認められ、金属繊維が均一に分散していない場合を「×」とした。
(c)圧縮強度
JIS A 1108(コンクリートの圧縮試験方法)を参考にして求めた。供試体の形状は、直径5cm、高さ10cmとした。
(d)曲げ強度
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)を参考にして求めた。供試体の形状は、縦4cm、横4cm、長さ16cmとした。載荷条件は、下支点間距離12cm、上支点間距離4cmの4点曲げとした。
(e)破壊エネルギー
曲げ強度の試験において、荷重が最大荷重に達したのち、最大荷重の1/3まで低下するまでの荷重−荷重点変位の積分値を、供試体の断面積で除した値を、破壊エネルギーとした。
【0020】
[5]実施例1〜3、比較例1、2、参考例1
表1に示す配合例No.1において、金属繊維として、表2に示す金属繊維A〜Eを用いて、繊維補強セメント質硬化体を得た。
また、参考例1として、金属繊維の投入後の混練時間を4分間にしたこと以外は比較例1と同様にして実験した。
得られたセメント質硬化体について、フロー値、金属繊維の分散性、圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギーを測定または評価した。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
[6]実施例4〜6、比較例3、4
表1に示す配合例No.2の材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。
結果を表3に示す。
【表3】

【0023】
[7]実施例7〜9、比較例5、6
表1に示す配合例No.3の材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。
結果を表4に示す。
【表4】

【0024】
表2〜表4から、本発明の金属繊維を配合したセメント質硬化体(実施例1〜9)は、混練時間を短くできるうえ、硬化前には、フロー値が高く良好な流動性を有し、金属繊維が均一に分散し、硬化後には、高い圧縮強度、曲げ強度、破壊エネルギーを得ていることがわかる。一方、本発明に属さない金属繊維を配合したセメント質硬化体(比較例1〜6)は、破壊エネルギーが小さく、また、他の物性(金属繊維の分散性、圧縮強度、曲げ強度)のバランスも悪かった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の金属繊維における振幅及び周期を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
1 金属繊維
A 振幅
B 周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が0.3mm以下、引張強度が1.0〜3.5GPaで、螺旋形の形状に加工されてなるセメント質硬化体補強用金属繊維であって、
前記螺旋形の形状が、繊維長さの1.0倍を超え5.0倍以下の周期、及び、繊維直径の0.5〜3.0倍の振幅を有することを特徴とするセメント質硬化体補強用金属繊維。
【請求項2】
アスペクト比が20〜200である請求項1に記載のセメント質硬化体補強用金属繊維。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセメント質硬化体補強用金属繊維を含み、かつ、圧縮強度が100MPa以上で、破壊エネルギーが20kJ/m2以上であることを特徴とするセメント質硬化体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−137823(P2008−137823A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323584(P2006−323584)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】