セラミックグリーンシートの積層方法及び積層電子部品の製造方法
【課題】緻密なセラミックグリーンシートを用いても、シート積層体の積層ずれや、接着不良を防止することができるセラミックグリーンシートの積層方法を提供する。
【解決手段】セラミックグリーンシート41、42を積み重ねた後、セラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行する。従って、静電気でセラミックグリーンシート41、42を密着させることにより、セラミックグリーンシート相互間41−42の位置を一定に保持することができる。従って、セラミックグリーンシート41、42が緻密でセラミックグリーンシート41、42の通気性が悪くても、シート積層体としてみたときの積層ずれや、接着不良を防止することができる。
【解決手段】セラミックグリーンシート41、42を積み重ねた後、セラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行する。従って、静電気でセラミックグリーンシート41、42を密着させることにより、セラミックグリーンシート相互間41−42の位置を一定に保持することができる。従って、セラミックグリーンシート41、42が緻密でセラミックグリーンシート41、42の通気性が悪くても、シート積層体としてみたときの積層ずれや、接着不良を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、積層セラミックコンデンサなどの積層電子部品を製造するには、内部電極を有する複数枚のセラミックグリーンシートを順次に積み重ねてシート積層体を作製する(例えば特許文献1を参照)。高品質なシート積層体を作製するためには、積み重ねられた各セラミックグリーンシートを一定の位置に保持する必要がある。位置ずれを生じたセラミックグリーンシートがあると、シート積層体としてみて層間の積層ずれや、接着不良を生じるからである。従来、積み重ねられた各セラミックグリーンシートを一定の位置に保持するための手法としては、表面に孔が開口した支持体の上にセラミックグリーンシートを積み重ね、セラミックグリーンシートの通気性を利用してセラミックグリーンシートを吸引することにより、セラミックグリーンシートを一定の位置に保持するといった真空吸着の手法が一般的であった。
【0003】
ところで、近年、移動体通信機器などの電子機器に対する小型化の要求が強まるに伴い、それに搭載される積層電子部品に対しても小型化の要求が強まっている。特に、積層セラミックコンデンサの場合、小型化の一方で大容量化も求められているから、限られた寸法内で容量を確保するには、積層数を増大させるとともに、積層セラミックコンデンサの一層あたりの厚みを減少させる必要がある。このような状況下では、セラミックグリーンシートの厚みを減少させても、セラミックグリーンシートの強度及び耐電圧を確保するために、セラミック粉の充填密度の高い、緻密なセラミックグリーンシートを用いなければならない。
【0004】
ところが、緻密なセラミックグリーンシートは、通気性が悪い。このため、上述した真空吸着の手法では、積み重ねられたセラミックグリーンシートを、一定の位置に保持することができない。この結果、シート積層体としてみて層間の積層ずれや、接着不良を生じる恐れがあり、小型、かつ、大容量の積層セラミックコンデンサを実現するにあたって障害となっていた。
【0005】
また、セラミックグリーンシートの通気性が悪いと、真空吸着の手法では、セラミックグリーンシート間の空気を十分には抜くことができない。この結果、セラミックグリーンシート間に空気が残留すると、デラミネーションや界面剥離などの構造欠陥を生じる恐れがあり、これもまた、小型、かつ、大容量の積層セラミックコンデンサを実現するにあたって障害となっていた。
【特許文献1】特開2004−296937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、緻密なセラミックグリーンシートを用いても、シート積層体の積層ずれや、接着不良を防止することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの課題は、緻密なセラミックグリーンシートを、セラミックグリーンシート間に空気を残留させることがなく積層することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の更にもう一つの課題は、小型、かつ、大容量の積層セラミックコンデンサを製造するのに適したセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明に係るセラミックグリーンシートの積層方法では、少なくとも二枚のセラミックグリーンシートを積み重ねる。次に、積み重ねられた前記セラミックグリーンシートの上で帯電処理工程を実行する。
【0010】
上述した本発明に係るセラミックグリーンシートの積層方法では、セラミックグリーンシートを積み重ねた後、積み重ねられたセラミックグリーンシートの上で帯電処理工程を実行するから、静電気でセラミックグリーンシート相互を密着させることにより、セラミックグリーンシート相互間の位置を一定に保持することができる。従って、セラミックグリーンシートが緻密でセラミックグリーンシートの通気性が悪くても、シート積層体としてみたときの積層ずれや、接着不良を防止することができる。
【0011】
また、静電気でセラミックグリーンシート相互を密着させることにより、セラミックグリーンシート間に存在する空気を、セラミックグリーンシートの外部に排気することができる。よって、セラミックグリーンシート間に空気を残留させることなくセラミックグリーンシートを積層することができる。
【0012】
また、積層セラミックコンデンサを製造する際、シート積層体の積層ずれや、接着不良を生じる恐れなしに、緻密なセラミックグリーンシートを採用することができる。これにより、セラミックグリーンシートの強度及び耐電圧を確保しながら、セラミックグリーンシートの厚みを減少させ、積層数を増大させることができる。よって、限られた寸法内で容量を確保することができ、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0013】
本発明に係る積層電子部品の製造方法は、上述した本発明に係るセラミックグリーンシートの積層方法を含んでいるから、それと同様な作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)緻密なセラミックグリーンシートを用いても、シート積層体の積層ずれや、接着不良を防止することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することができる。
(2)緻密なセラミックグリーンシートを、セラミックグリーンシート間に空気を残留させることがなく積層することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することができる。
(3)小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを製造するのに適したセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る積層電子部品の製造方法の一実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。以下説明される実施形態は、本発明を積層セラミックコンデンサの製造工程に適用した場合を示している。
【0016】
まず、図1に示すように、電極パターンを有しない複数のセラミックグリーンシート41を、支持体11の面111上に積み重ねる。それぞれのセラミックグリーンシート41は、セラミック粉、バインダ及び溶剤を混合したセラミックペーストをPETフィルム上に塗布し、乾燥させた後、PETフイルムから剥離することにより得ることができる。
【0017】
次に、面上に電極パターン5が形成されたセラミックグリーンシート42を、矢印a1に示すように、セラミックグリーンシート41の上に積み重ねる。実施形態の場合、セラミックグリーンシート42は、電極パターン5を上側に位置させた状態でセラミックグリーンシート41の上に積み重ねられている。これとは異なって、電極パターン5を下側に位置させた状態でセラミックグリーンシート41の上に積み重ねられてもよい。電極パターン5は、導体粉、バインダ及び溶剤を混合した導体ペーストをセラミックグリーンシート42上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
【0018】
また、セラミックグリーンシート42をセラミックグリーンシート41の上に積み重ねるための手法としては、吸着法を採用できる。吸着法では、まず、表面に多数の孔が開口した吸着ヘッドを用い、吸着ヘッドの孔を通してセラミックグリーンシート42を吸引することにより、セラミックグリーンシート42を吸着ヘッドに吸着させる。次に、セラミックグリーンシート42を、吸着ヘッドに吸着させた状態で移送し、セラミックグリーンシート41の上に載せる。最後に、吸着ヘッドの吸引動作を停止することにより、セラミックグリーンシート42を吸着ヘッドに吸着させた状態を解除する。
【0019】
図1に示すように、セラミックグリーンシート42をセラミックグリーンシート41の上に積み重ねるとき、セラミックグリーンシート41、42の間に空気が抱き込まれ、残留する可能性がある。仮に、セラミックグリーンシートの通気性が優れていれば、支持体の孔を通してセラミックグリーンシートを吸引するといった従来の手法によって、空気を抜くことができる。
【0020】
しかし、近年、小型化かつ大容量の積層セラミックコンデンサを実現するため、セラミックグリーンシート41、42として、セラミック粉の充填密度が高い、より緻密なセラミックグリーンシートを用いなければならないといった要請があることは、先に述べた通りである。緻密なセラミックグリーンシートは、通気性が悪いので、従来の手法では、セラミックグリーンシート間の空気を十分には抜くことができない。
【0021】
そこで、本発明では、セラミックグリーンシート41、42を積み重ねた後に、積み重ねられたセラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行する。図2には、帯電バー31を用いた帯電処理工程の例を示してある。図2を参照して説明すると、帯電バー31は、紙面奥行き方向に細長く延びた形状となっており、セラミックグリーンシート42の面上において、矢印a2に示すように、セラミックグリーンシート42の一端側421から、それと相対する他端側422に向かって移動できるように設けられている。帯電処理工程を実行するには、帯電バー31に高電圧を印加し、帯電バー31からセラミックグリーンシート42に放電しながら、帯電バー31を、セラミックグリーンシート42の面上でセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって移動させればよい。
【0022】
このようにしてセラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行することにより、セラミックグリーンシート41、42の向かい合う面同士が帯電する。これにより、セラミックグリーンシート41、42を静電吸着力で互いに密着させ、セラミックグリーンシート41−42間に存在する空気を、セラミックグリーンシート41、42の外部へと押し出して抜くことができる。図2では、図示の都合上、セラミックグリーンシート41、42間に隙間が示されているが、実際には、セラミックグリーンシート41、42を互いに密着させて、隙間を殆んどなくすことができる。従って、セラミックグリーンシート41、42が緻密でセラミックグリーンシート41、42の通気性が悪くても、セラミックグリーンシート41、42間に空気を残留させることがなくセラミックグリーンシート41、42を積層することができる。
【0023】
また、セラミックグリーンシート41、42を静電吸着力で互いに密着させることにより、セラミックグリーンシート相互間41−42の位置を一定に保持することができるから、シート積層体としてみたときの積層ずれや、接着不良を防止することができる。
【0024】
よって、積層セラミックコンデンサを製造する際、シート積層体の積層ずれや、接着不良を生じる恐れなしに、緻密なセラミックグリーンシート41、42を用いることができる。これにより、セラミックグリーンシート41、42の強度及び耐電圧を確保しながら、セラミックグリーンシート41、42の厚みを減少させ、積層数を増大させることができる。従って、限られた寸法内で容量を確保することができ、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0025】
更に実施形態では、帯電バー31を、セラミックグリーンシート42の面上でセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって移動させるので、帯電処理それ自体も、セラミックグリーンシート42の面内でみてセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって進行することになる。よって、セラミックグリーンシート41、42間に存在する空気を、一方向に押し出しながら、セラミックグリーンシート41、42を密着させることができる。
【0026】
その後、図3に示すように、電極パターン5が形成されたセラミックグリーンシート42を、更に積み重ねていく。そして、セラミックグリーンシート42を一枚積み重ねるごとに、そのセラミックグリーンシートの面上で帯電バーを矢印a2に示すように移動させて、帯電処理工程を行なう。このようにして、セラミックグリーンシート42の一枚ごとに帯電処理工程を行なうことにより、全体としてセラミックグリーンシート42を密着させて積み重ねた構造を得ることができる。
【0027】
また、セラミックグリーンシート42の面上で帯電バー31を移動させる代わりに、帯電バーを固定しておき、セラミックグリーンシートの側を移動させてもよい。
【0028】
図4は、帯電処理工程の別の例を示す図である。図4に示された帯電処理工程において、帯電バー31に高電圧を印加し、帯電バー31からセラミックグリーンシート42に放電しながら、帯電バー31を、セラミックグリーンシート42の面上でセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって移動させる点は、図2に示した帯電処理工程と同じである。図4に示された帯電処理工程の特徴は、帯電バー31に押圧ローラー32を併用する点にある。具体的に説明すると、押圧ローラー32を、帯電バー31に追従して移動させながら、矢印a3に示すように軸321の周りで回転させ、押圧ローラー32によってセラミックグリーンシート42を押圧する。帯電バー31は、押圧ローラー32を帯電させ続ける。これにより、帯電バー31により直接生じた静電吸着力でセラミックグリーンシート41、42を密着させた後に、帯電した押圧ローラー32が転がりながらセラミックグリーンシート42へ接触しては離れる度にセラミックグリーンシート41、42に更なる帯電処理が行われることになるため、セラミックグリーンシート41、42の密着性を更に高めることができる。
【0029】
その後、セラミックグリーンシート42を一枚積み重ねるごとに、帯電処理工程を繰り返す点については、図2及び図3に示した帯電処理工程と同様である。
【0030】
実施形態では、帯電バー31を用いた帯電処理工程の例を示したが、本発明は、これに限定されることはなく、例えば、イオナイザーによるイオン粒子の吹き付けを用いた帯電処理工程も可能である、
図2及び図3に示した帯電処理工程、または、図4に示した帯電処理工程の後、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42の上に、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を再び積み重ねる。これにより、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42を内層とし、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を外層とするシート積層体が得られる。
【0031】
また、内部電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を積み重ねる際にも、上述した帯電処理工程を適用することにより、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41の密着性向上を図ることができる。
【0032】
次に、図5に示すように、シート積層体401の上面に加圧板31を載せ、加圧板31を介してシート積層体401に積層方向の力F1を加えることにより、シート積層体401を加圧する。加圧により、シート積層体401内部のセラミックグリーンシート41、42は、互いに圧着され、一体化される。加圧の後、加圧板31を取り除く。
【0033】
次に、支持体11からシート積層体401を剥離する。このとき、今までの帯電処理工程によってシート積層体401に静電気が溜まって、シート積層体401が支持体11に吸着してしまい、シート積層体401を剥離しにくくなることがある。
【0034】
そこで、シート積層体401に除電用のガスを吹き付けることにより、シート積層体401を除電する。図6には、エアーイオナイザー21を用いた除電処理の例を示してある。図6を参照して説明すると、支持体11は、ガスを透過させる構造となっており、具体的には、孔を多数有する多孔質材から構成されている。また、エアーイオナイザー21は、除電用のガスとして、プラスイオン及びマイナスイオンを含むガスを生成する。
【0035】
除電処理を行なうには、エアーイオナイザー21からの除電用ガスを、矢印a4に示すように支持体11を通して、シート積層体401の、支持体11に接する面402に吹き付ければよい。これにより、シート積層体401の面402付近に集まった静電気を、除電用ガスで中和し、シート積層体401を除電することができる。この結果、シート積層体401が支持体11に吸着された状態を解除し、シート積層体401を容易に剥離することができる。
【0036】
その後、シート積層体を複数の一チップ領域に裁断することにより、積層グリーンチップが得られる。更に、その積層グリーンチップに対して、脱バインダ、焼成及び端子電極形成などの周知の工程を行うことにより、積層電子部品が得られる。
【0037】
次に、本発明に係る積層電子部品の製造方法の別の実施形態を、図7〜図11に基づいて説明する。
【0038】
まず、図7に示すように、電極パターンを有しない複数のセラミックグリーンシート41を、支持体11の面111の上に積み重ねる点については、先の実施形態と同様である。
【0039】
セラミックグリーンシート41とは別に、支持シート6上に形成されたセラミックグリーンシート42を用意する。支持シート6としては、例えばPETフィルムを用いることができる。セラミックグリーンシート42の両面のうち、支持シート6とは反対側の面には、電極パターン5が形成されている。そして、矢印a1に示すように、このセラミックグリーンシート42を、支持シート6ごと、セラミックグリーンシート41の上に積み重ねる。これにより、セラミックグリーンシート42は、電極パターン5を下側に、かつ、支持シート6を上側に位置させた状態で、セラミックグリーンシート41の上に積み重ねられる。
【0040】
次に、セラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行する。具体的には、図8に示すように、帯電バー31に電気を通じ、帯電バー31から支持シート6に放電しながら、帯電バー31を、矢印a2に示すように、支持シート6の面上で支持シート6の一端側61から他端側62に向かって移動させる。これにより、支持シート6を介してセラミックグリーンシート41、42を帯電させることができる。セラミックグリーンシート41、42の向かい合う面同士を帯電させ、セラミックグリーンシート41、42を静電吸着力で互いに密着させる点は、図2に示した帯電処理工程と同じである。
【0041】
次に、図9に示すように、支持シート42の上に加圧板32を載せ、加圧板32を介して積層方向の力F2を加える。これにより、セラミックグリーンシート41、42の密着性を更に高めることができる。
【0042】
次に、図10に示すように、加圧板32を取り除き、支持シート6をセラミックグリーンシート42から剥離する。支持シート6をセラミックグリーンシート42から剥離することにより、セラミックグリーンシート42の、支持シート6に接触していた面を帯電させることができる。
【0043】
その後、図7〜図10に示した工程を繰り返すことにより、電極パターン5が形成されたセラミックグリーンシート42を、更に積み重ねていく。そして、図11に示すように、セラミックグリーンシート42を一枚積み重ねるごとに、支持シート6の面上で帯電バーを矢印a2に示すように移動させて、帯電処理工程を実行する。
【0044】
この後、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42の上に、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を積み重ねることにより、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42を内層とし、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を外層とするシート積層体を得る点は、先の実施形態と同じである。また、得られたシート積層体を加圧する点、更に、シート積層体を除電する点も、先の実施形態と同じであるので、重複説明を省略する。
【0045】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る積層電子部品の製造方法の一実施形態を説明する断面図である。
【図2】図1に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図3】図2に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図4】帯電処理工程の別の例を示す断面図である。
【図5】図3に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図6】図5に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図7】本発明に係る積層電子部品の製造方法の別の実施形態を説明する断面図である。
【図8】図7に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図9】図8に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図10】図9に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図11】図10に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
31 帯電バー
41、42 セラミックグリーンシート
5 電極パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、積層セラミックコンデンサなどの積層電子部品を製造するには、内部電極を有する複数枚のセラミックグリーンシートを順次に積み重ねてシート積層体を作製する(例えば特許文献1を参照)。高品質なシート積層体を作製するためには、積み重ねられた各セラミックグリーンシートを一定の位置に保持する必要がある。位置ずれを生じたセラミックグリーンシートがあると、シート積層体としてみて層間の積層ずれや、接着不良を生じるからである。従来、積み重ねられた各セラミックグリーンシートを一定の位置に保持するための手法としては、表面に孔が開口した支持体の上にセラミックグリーンシートを積み重ね、セラミックグリーンシートの通気性を利用してセラミックグリーンシートを吸引することにより、セラミックグリーンシートを一定の位置に保持するといった真空吸着の手法が一般的であった。
【0003】
ところで、近年、移動体通信機器などの電子機器に対する小型化の要求が強まるに伴い、それに搭載される積層電子部品に対しても小型化の要求が強まっている。特に、積層セラミックコンデンサの場合、小型化の一方で大容量化も求められているから、限られた寸法内で容量を確保するには、積層数を増大させるとともに、積層セラミックコンデンサの一層あたりの厚みを減少させる必要がある。このような状況下では、セラミックグリーンシートの厚みを減少させても、セラミックグリーンシートの強度及び耐電圧を確保するために、セラミック粉の充填密度の高い、緻密なセラミックグリーンシートを用いなければならない。
【0004】
ところが、緻密なセラミックグリーンシートは、通気性が悪い。このため、上述した真空吸着の手法では、積み重ねられたセラミックグリーンシートを、一定の位置に保持することができない。この結果、シート積層体としてみて層間の積層ずれや、接着不良を生じる恐れがあり、小型、かつ、大容量の積層セラミックコンデンサを実現するにあたって障害となっていた。
【0005】
また、セラミックグリーンシートの通気性が悪いと、真空吸着の手法では、セラミックグリーンシート間の空気を十分には抜くことができない。この結果、セラミックグリーンシート間に空気が残留すると、デラミネーションや界面剥離などの構造欠陥を生じる恐れがあり、これもまた、小型、かつ、大容量の積層セラミックコンデンサを実現するにあたって障害となっていた。
【特許文献1】特開2004−296937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、緻密なセラミックグリーンシートを用いても、シート積層体の積層ずれや、接着不良を防止することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの課題は、緻密なセラミックグリーンシートを、セラミックグリーンシート間に空気を残留させることがなく積層することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の更にもう一つの課題は、小型、かつ、大容量の積層セラミックコンデンサを製造するのに適したセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明に係るセラミックグリーンシートの積層方法では、少なくとも二枚のセラミックグリーンシートを積み重ねる。次に、積み重ねられた前記セラミックグリーンシートの上で帯電処理工程を実行する。
【0010】
上述した本発明に係るセラミックグリーンシートの積層方法では、セラミックグリーンシートを積み重ねた後、積み重ねられたセラミックグリーンシートの上で帯電処理工程を実行するから、静電気でセラミックグリーンシート相互を密着させることにより、セラミックグリーンシート相互間の位置を一定に保持することができる。従って、セラミックグリーンシートが緻密でセラミックグリーンシートの通気性が悪くても、シート積層体としてみたときの積層ずれや、接着不良を防止することができる。
【0011】
また、静電気でセラミックグリーンシート相互を密着させることにより、セラミックグリーンシート間に存在する空気を、セラミックグリーンシートの外部に排気することができる。よって、セラミックグリーンシート間に空気を残留させることなくセラミックグリーンシートを積層することができる。
【0012】
また、積層セラミックコンデンサを製造する際、シート積層体の積層ずれや、接着不良を生じる恐れなしに、緻密なセラミックグリーンシートを採用することができる。これにより、セラミックグリーンシートの強度及び耐電圧を確保しながら、セラミックグリーンシートの厚みを減少させ、積層数を増大させることができる。よって、限られた寸法内で容量を確保することができ、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0013】
本発明に係る積層電子部品の製造方法は、上述した本発明に係るセラミックグリーンシートの積層方法を含んでいるから、それと同様な作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)緻密なセラミックグリーンシートを用いても、シート積層体の積層ずれや、接着不良を防止することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することができる。
(2)緻密なセラミックグリーンシートを、セラミックグリーンシート間に空気を残留させることがなく積層することができるセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することができる。
(3)小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを製造するのに適したセラミックグリーンシートの積層方法及びそれを用いた積層電子部品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る積層電子部品の製造方法の一実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。以下説明される実施形態は、本発明を積層セラミックコンデンサの製造工程に適用した場合を示している。
【0016】
まず、図1に示すように、電極パターンを有しない複数のセラミックグリーンシート41を、支持体11の面111上に積み重ねる。それぞれのセラミックグリーンシート41は、セラミック粉、バインダ及び溶剤を混合したセラミックペーストをPETフィルム上に塗布し、乾燥させた後、PETフイルムから剥離することにより得ることができる。
【0017】
次に、面上に電極パターン5が形成されたセラミックグリーンシート42を、矢印a1に示すように、セラミックグリーンシート41の上に積み重ねる。実施形態の場合、セラミックグリーンシート42は、電極パターン5を上側に位置させた状態でセラミックグリーンシート41の上に積み重ねられている。これとは異なって、電極パターン5を下側に位置させた状態でセラミックグリーンシート41の上に積み重ねられてもよい。電極パターン5は、導体粉、バインダ及び溶剤を混合した導体ペーストをセラミックグリーンシート42上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
【0018】
また、セラミックグリーンシート42をセラミックグリーンシート41の上に積み重ねるための手法としては、吸着法を採用できる。吸着法では、まず、表面に多数の孔が開口した吸着ヘッドを用い、吸着ヘッドの孔を通してセラミックグリーンシート42を吸引することにより、セラミックグリーンシート42を吸着ヘッドに吸着させる。次に、セラミックグリーンシート42を、吸着ヘッドに吸着させた状態で移送し、セラミックグリーンシート41の上に載せる。最後に、吸着ヘッドの吸引動作を停止することにより、セラミックグリーンシート42を吸着ヘッドに吸着させた状態を解除する。
【0019】
図1に示すように、セラミックグリーンシート42をセラミックグリーンシート41の上に積み重ねるとき、セラミックグリーンシート41、42の間に空気が抱き込まれ、残留する可能性がある。仮に、セラミックグリーンシートの通気性が優れていれば、支持体の孔を通してセラミックグリーンシートを吸引するといった従来の手法によって、空気を抜くことができる。
【0020】
しかし、近年、小型化かつ大容量の積層セラミックコンデンサを実現するため、セラミックグリーンシート41、42として、セラミック粉の充填密度が高い、より緻密なセラミックグリーンシートを用いなければならないといった要請があることは、先に述べた通りである。緻密なセラミックグリーンシートは、通気性が悪いので、従来の手法では、セラミックグリーンシート間の空気を十分には抜くことができない。
【0021】
そこで、本発明では、セラミックグリーンシート41、42を積み重ねた後に、積み重ねられたセラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行する。図2には、帯電バー31を用いた帯電処理工程の例を示してある。図2を参照して説明すると、帯電バー31は、紙面奥行き方向に細長く延びた形状となっており、セラミックグリーンシート42の面上において、矢印a2に示すように、セラミックグリーンシート42の一端側421から、それと相対する他端側422に向かって移動できるように設けられている。帯電処理工程を実行するには、帯電バー31に高電圧を印加し、帯電バー31からセラミックグリーンシート42に放電しながら、帯電バー31を、セラミックグリーンシート42の面上でセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって移動させればよい。
【0022】
このようにしてセラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行することにより、セラミックグリーンシート41、42の向かい合う面同士が帯電する。これにより、セラミックグリーンシート41、42を静電吸着力で互いに密着させ、セラミックグリーンシート41−42間に存在する空気を、セラミックグリーンシート41、42の外部へと押し出して抜くことができる。図2では、図示の都合上、セラミックグリーンシート41、42間に隙間が示されているが、実際には、セラミックグリーンシート41、42を互いに密着させて、隙間を殆んどなくすことができる。従って、セラミックグリーンシート41、42が緻密でセラミックグリーンシート41、42の通気性が悪くても、セラミックグリーンシート41、42間に空気を残留させることがなくセラミックグリーンシート41、42を積層することができる。
【0023】
また、セラミックグリーンシート41、42を静電吸着力で互いに密着させることにより、セラミックグリーンシート相互間41−42の位置を一定に保持することができるから、シート積層体としてみたときの積層ずれや、接着不良を防止することができる。
【0024】
よって、積層セラミックコンデンサを製造する際、シート積層体の積層ずれや、接着不良を生じる恐れなしに、緻密なセラミックグリーンシート41、42を用いることができる。これにより、セラミックグリーンシート41、42の強度及び耐電圧を確保しながら、セラミックグリーンシート41、42の厚みを減少させ、積層数を増大させることができる。従って、限られた寸法内で容量を確保することができ、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0025】
更に実施形態では、帯電バー31を、セラミックグリーンシート42の面上でセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって移動させるので、帯電処理それ自体も、セラミックグリーンシート42の面内でみてセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって進行することになる。よって、セラミックグリーンシート41、42間に存在する空気を、一方向に押し出しながら、セラミックグリーンシート41、42を密着させることができる。
【0026】
その後、図3に示すように、電極パターン5が形成されたセラミックグリーンシート42を、更に積み重ねていく。そして、セラミックグリーンシート42を一枚積み重ねるごとに、そのセラミックグリーンシートの面上で帯電バーを矢印a2に示すように移動させて、帯電処理工程を行なう。このようにして、セラミックグリーンシート42の一枚ごとに帯電処理工程を行なうことにより、全体としてセラミックグリーンシート42を密着させて積み重ねた構造を得ることができる。
【0027】
また、セラミックグリーンシート42の面上で帯電バー31を移動させる代わりに、帯電バーを固定しておき、セラミックグリーンシートの側を移動させてもよい。
【0028】
図4は、帯電処理工程の別の例を示す図である。図4に示された帯電処理工程において、帯電バー31に高電圧を印加し、帯電バー31からセラミックグリーンシート42に放電しながら、帯電バー31を、セラミックグリーンシート42の面上でセラミックグリーンシート42の一端側421から他端側422に向かって移動させる点は、図2に示した帯電処理工程と同じである。図4に示された帯電処理工程の特徴は、帯電バー31に押圧ローラー32を併用する点にある。具体的に説明すると、押圧ローラー32を、帯電バー31に追従して移動させながら、矢印a3に示すように軸321の周りで回転させ、押圧ローラー32によってセラミックグリーンシート42を押圧する。帯電バー31は、押圧ローラー32を帯電させ続ける。これにより、帯電バー31により直接生じた静電吸着力でセラミックグリーンシート41、42を密着させた後に、帯電した押圧ローラー32が転がりながらセラミックグリーンシート42へ接触しては離れる度にセラミックグリーンシート41、42に更なる帯電処理が行われることになるため、セラミックグリーンシート41、42の密着性を更に高めることができる。
【0029】
その後、セラミックグリーンシート42を一枚積み重ねるごとに、帯電処理工程を繰り返す点については、図2及び図3に示した帯電処理工程と同様である。
【0030】
実施形態では、帯電バー31を用いた帯電処理工程の例を示したが、本発明は、これに限定されることはなく、例えば、イオナイザーによるイオン粒子の吹き付けを用いた帯電処理工程も可能である、
図2及び図3に示した帯電処理工程、または、図4に示した帯電処理工程の後、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42の上に、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を再び積み重ねる。これにより、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42を内層とし、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を外層とするシート積層体が得られる。
【0031】
また、内部電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を積み重ねる際にも、上述した帯電処理工程を適用することにより、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41の密着性向上を図ることができる。
【0032】
次に、図5に示すように、シート積層体401の上面に加圧板31を載せ、加圧板31を介してシート積層体401に積層方向の力F1を加えることにより、シート積層体401を加圧する。加圧により、シート積層体401内部のセラミックグリーンシート41、42は、互いに圧着され、一体化される。加圧の後、加圧板31を取り除く。
【0033】
次に、支持体11からシート積層体401を剥離する。このとき、今までの帯電処理工程によってシート積層体401に静電気が溜まって、シート積層体401が支持体11に吸着してしまい、シート積層体401を剥離しにくくなることがある。
【0034】
そこで、シート積層体401に除電用のガスを吹き付けることにより、シート積層体401を除電する。図6には、エアーイオナイザー21を用いた除電処理の例を示してある。図6を参照して説明すると、支持体11は、ガスを透過させる構造となっており、具体的には、孔を多数有する多孔質材から構成されている。また、エアーイオナイザー21は、除電用のガスとして、プラスイオン及びマイナスイオンを含むガスを生成する。
【0035】
除電処理を行なうには、エアーイオナイザー21からの除電用ガスを、矢印a4に示すように支持体11を通して、シート積層体401の、支持体11に接する面402に吹き付ければよい。これにより、シート積層体401の面402付近に集まった静電気を、除電用ガスで中和し、シート積層体401を除電することができる。この結果、シート積層体401が支持体11に吸着された状態を解除し、シート積層体401を容易に剥離することができる。
【0036】
その後、シート積層体を複数の一チップ領域に裁断することにより、積層グリーンチップが得られる。更に、その積層グリーンチップに対して、脱バインダ、焼成及び端子電極形成などの周知の工程を行うことにより、積層電子部品が得られる。
【0037】
次に、本発明に係る積層電子部品の製造方法の別の実施形態を、図7〜図11に基づいて説明する。
【0038】
まず、図7に示すように、電極パターンを有しない複数のセラミックグリーンシート41を、支持体11の面111の上に積み重ねる点については、先の実施形態と同様である。
【0039】
セラミックグリーンシート41とは別に、支持シート6上に形成されたセラミックグリーンシート42を用意する。支持シート6としては、例えばPETフィルムを用いることができる。セラミックグリーンシート42の両面のうち、支持シート6とは反対側の面には、電極パターン5が形成されている。そして、矢印a1に示すように、このセラミックグリーンシート42を、支持シート6ごと、セラミックグリーンシート41の上に積み重ねる。これにより、セラミックグリーンシート42は、電極パターン5を下側に、かつ、支持シート6を上側に位置させた状態で、セラミックグリーンシート41の上に積み重ねられる。
【0040】
次に、セラミックグリーンシート41、42の上で帯電処理工程を実行する。具体的には、図8に示すように、帯電バー31に電気を通じ、帯電バー31から支持シート6に放電しながら、帯電バー31を、矢印a2に示すように、支持シート6の面上で支持シート6の一端側61から他端側62に向かって移動させる。これにより、支持シート6を介してセラミックグリーンシート41、42を帯電させることができる。セラミックグリーンシート41、42の向かい合う面同士を帯電させ、セラミックグリーンシート41、42を静電吸着力で互いに密着させる点は、図2に示した帯電処理工程と同じである。
【0041】
次に、図9に示すように、支持シート42の上に加圧板32を載せ、加圧板32を介して積層方向の力F2を加える。これにより、セラミックグリーンシート41、42の密着性を更に高めることができる。
【0042】
次に、図10に示すように、加圧板32を取り除き、支持シート6をセラミックグリーンシート42から剥離する。支持シート6をセラミックグリーンシート42から剥離することにより、セラミックグリーンシート42の、支持シート6に接触していた面を帯電させることができる。
【0043】
その後、図7〜図10に示した工程を繰り返すことにより、電極パターン5が形成されたセラミックグリーンシート42を、更に積み重ねていく。そして、図11に示すように、セラミックグリーンシート42を一枚積み重ねるごとに、支持シート6の面上で帯電バーを矢印a2に示すように移動させて、帯電処理工程を実行する。
【0044】
この後、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42の上に、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を積み重ねることにより、電極パターン5を有するセラミックグリーンシート42を内層とし、電極パターンを有しないセラミックグリーンシート41を外層とするシート積層体を得る点は、先の実施形態と同じである。また、得られたシート積層体を加圧する点、更に、シート積層体を除電する点も、先の実施形態と同じであるので、重複説明を省略する。
【0045】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る積層電子部品の製造方法の一実施形態を説明する断面図である。
【図2】図1に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図3】図2に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図4】帯電処理工程の別の例を示す断面図である。
【図5】図3に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図6】図5に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図7】本発明に係る積層電子部品の製造方法の別の実施形態を説明する断面図である。
【図8】図7に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図9】図8に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図10】図9に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図11】図10に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
31 帯電バー
41、42 セラミックグリーンシート
5 電極パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックグリーンシートの積層方法であって、
少なくとも二枚のセラミックグリーンシートを積み重ね、
次に、積み重ねられた前記セラミックグリーンシートの上で帯電処理工程を実行する、
工程を含むセラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一枚は、その面上に電極パターンを有している、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記帯電処理工程は、前記セラミックグリーンシートの一端側から他端側に向かって進行させる、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記帯電処理工程は、前記セラミックグリーンシートを一枚積み重ねるごとに行なう、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、更に除電工程を含み、
前記除電工程は、前記セラミックグリーンシートを積み重ねることにより作製されたシート積層体を、除電する工程である、
セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項6】
請求項5に記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記除電工程は、前記シート積層体に除電用のガスを吹き付ける工程である、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項7】
積層電子部品の製造方法であって、請求項1乃至6の何れかに記載されたセラミックグリーンシートの積層方法を含む積層電子部品の製造方法。
【請求項1】
セラミックグリーンシートの積層方法であって、
少なくとも二枚のセラミックグリーンシートを積み重ね、
次に、積み重ねられた前記セラミックグリーンシートの上で帯電処理工程を実行する、
工程を含むセラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一枚は、その面上に電極パターンを有している、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記帯電処理工程は、前記セラミックグリーンシートの一端側から他端側に向かって進行させる、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記帯電処理工程は、前記セラミックグリーンシートを一枚積み重ねるごとに行なう、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、更に除電工程を含み、
前記除電工程は、前記セラミックグリーンシートを積み重ねることにより作製されたシート積層体を、除電する工程である、
セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項6】
請求項5に記載されたセラミックグリーンシートの積層方法であって、前記除電工程は、前記シート積層体に除電用のガスを吹き付ける工程である、セラミックグリーンシートの積層方法。
【請求項7】
積層電子部品の製造方法であって、請求項1乃至6の何れかに記載されたセラミックグリーンシートの積層方法を含む積層電子部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−246716(P2008−246716A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88026(P2007−88026)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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