説明

セラミックシート製造用剥離フィルム、その製造方法及びそのリサイクル方法

【課題】表面平滑性に優れ、シリコーンコート層が不要のセラミックシート製造用剥離フィルム、及び使用後のセラミックシート製造用剥離フィルムを有効に再利用できるリサイクル方法を提供する。
【解決手段】シンジオタクチックポリスチレンからなる原反シートを、同時二軸延伸する、セラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法、並びにグリーンシート残渣物を除去する工程、リサイクルペレットを作製する工程、リサイクル原反シートを作製する工程及び、リサイクル剥離フィルムを得る工程を含むセラミックシート製造用剥離フィルムのリサイクル方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンジオタクチックポリスチレン(シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体)から形成される、セラミックシート製造の際に用いられる剥離フィルム、その製造方法及びそのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、積層セラミックコンデンサ等のセラミックシートは、キャリアフィルム上にグリーンシートを形成し、それを加工、切り取り、焼結等することで製造されている。グリーンシートは、チタン酸バリウム、アルミナ等のセラミック粉末を分散させた水系ないし有機系溶媒に、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等の高分子バインダと可塑剤、分散剤とを加えたものを、高速ミキサーやボールミルにより混合分散し、得られたセラミックスラリーをキャリアフィルム上にドクターブレード法により数百μm〜数μmの厚さに塗布し、乾燥させて巻き取ることにより一般に製造されている。
【0003】
その際、キャリアフィルムとしては、逐次延伸方法により二軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにシリコーン系コート層を設けた剥離フィルムが一般的に使用されている(例えば、特許文献1,2)。
さらに、リサイクルの際シリコーン樹脂やセラミックの混入を避けるために、特許文献3には、PETフィルム片面にワックス含有ポリエステルを積層しそのうえにポリビニルアルコール層を積層した剥離フィルムが開示されている。
【0004】
また、シンジオタクチックポリスチレンを用いた剥離フィルムも知られている(特許文献4〜7)。
【0005】
積層セラミックコンデンサやインダクタ等の積層型電子部品の製造に使用された後の剥離フィルムは、資源の有効利用の観点から、リサイクルされることが好ましい。
しかしながら、特許文献1,2に示されるPETフィルムにシリコン系コート剤を塗布したものは、コート剤の分離が困難なため、使用後の再利用は困難である。特許文献3に示される剥離フィルムは、PVA層がリサイクルされないため、省資源化効果が低い。このように、従来の方法ではリサイクルが困難、又はリサイクルの効果が低かった。
【0006】
尚、特許文献8は、2つの粘着ロールを用いた剥離ポリエステルフィルムのリサイクル方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−72471号公報
【特許文献2】特開2003−318072号公報
【特許文献3】特開2003−118058号公報
【特許文献4】特表2002−535473号公報
【特許文献5】特開2001−310422号公報
【特許文献6】特開2001−310428号公報
【特許文献7】特開2000−38461号公報
【特許文献8】特開2010−5597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、表面平滑性に優れ、シリコーンコート層が不要のセラミックシート製造用剥離フィルムを提供することである。
本発明の目的は、使用後のセラミックシート製造用剥離フィルムを有効に再利用できるリサイクル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、従来の逐次延伸では、縦延伸がロールによる延伸のため、表面にキズがつき表面平滑性が低下し、かつ横延伸では流れ方向の弛緩が十分に確保できないために、流れ方向と幅方向の収縮率の制御が不十分であることを見出し、さらに、同時二軸延伸によれば表面にキズがつき難く、両方向共に収縮率を制御できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明によれば、以下のセラミックシート製造用剥離フィルム、その製造方法及びそのリサイクル方法が提供される。
1.シンジオタクチックポリスチレンからなる原反シートを、同時二軸延伸する、セラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
2.第1のシンジオタクチックポリスチレンと、前記第1のシンジオタクチックポリスチレンと同一又は異なる第2のシンジオタクチックポリスチレンとを共押し出しして、原反シートを形成し、
前記原反シートを同時二軸延伸し、
前記第1のシンジオタクチックポリスチレンからなる第1の層と、前記第2のシンジオタクチックポリスチレンからなる第2の層を含む、セラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
3.前記第2の層がアンチブロッキング剤を含み、
前記第1の層の前記第2の層が形成されていない面を剥離面とする2記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
4.前記同時二軸延伸がパンタグラフテンター方式である1〜3のいずれか記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
5.前記原反シートが、ベルトプロセス又は金属弾性ロールで成形されたものである1〜4のいずれか記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
6.1〜5のいずれか記載の製造方法により製造されたセラミックシート製造用剥離フィルム。
7.使用済みの、6に記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの上にある、グリーンシート残渣物を除去する工程、
前記残渣物が除去された剥離フィルムを溶融押出し、切断してリサイクルペレットを作製する工程、
前記リサイクルペレットを、バージンのシンジオタクチックポリスチレンからなるペレットと混合し、溶融し、押出成形してリサイクル原反シートを作製する工程、及び
前記リサイクル原反シートを延伸して、リサイクル剥離フィルムを得る工程、
を備えるセラミックシート製造用剥離フィルムのリサイクル方法。
8.使用済みの、6に記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの上にある、グリーンシート残渣物を除去する工程、
前記残渣物が除去された剥離フィルムを溶融押出し、切断してリサイクルペレットを作製する工程、
前記リサイクルペレットを、バージンのシンジオタクチックポリスチレンからなるペレットと混合する工程、
前記混合物から得られる混合層と、バージンのシンジオタクチックポリスチレンから得られるバージン層とを含む、多層原反シートを作製する工程、及び
前記多層原反シートを延伸して、リサイクル剥離フィルムを得る工程、
を備えるセラミックシート製造用剥離フィルムのリサイクル方法。
9.前記多層原反シートが、前記バージン層が、前記混合層の両側にある三層構造である8記載のリサイクル方法。
10.前記リサイクル剥離フィルムの少なくとも片面の表面粗さRaが200nm以下である7〜9のいずれか記載のリサイクル方法。
11.前記リサイクル剥離フィルムの厚みが10μm以上50μm以下である7〜10のいずれか記載のリサイクル方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面平滑性に優れ、シリコーンコート層が不要のセラミックシート製造用剥離フィルムが提供できる。
本発明によれば、使用後のセラミックシート製造用剥離フィルムを有効に再利用できるリサイクル方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るセラミックシート製造用剥離フィルムの一実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係るリサイクル方法に用いることのできるグリーンシート残渣物剥離装置を示す図である。
【図3】グリーンシート残渣物剥離装置の粘着ロールの清掃装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のセラミックシート製造用剥離フィルムは、シンジオタクチックポリスチレンからなる原反シート(未延伸シート)を、同時二軸延伸して製造する。
【0014】
剥離フィルムの好適な製造方法を以下に説明するが、これに限定されるものではない。
シンジオタクチックポリスチレンを290〜320℃に温度設定した押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出して製造する。
フィルム内の異物を除去するため濾過精度1μm〜100μmのリーフディスクタイプポリマーフィルターを用いると好適である。
【0015】
次に、Tダイスより押出された溶融樹脂を40℃〜120℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化する。キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングやエアーチャンバー、エアーナイフ、真空エアーチャンバーを用いてもよい。
表面の平滑性をより高めるため、金属ベルトや金属弾性ロールを用いた引取り方式が望ましい。
【0016】
冷却固化したシートを同時二軸延伸機にて延伸する。同時二軸延伸には延伸前シートを把持するクリップの動作を機械的に行うパンタグラフ方式と電磁気力による駆動を行う方式が公知であるが、設備コスト面で前者が好ましい。
延伸温度は、好ましくは、予熱温度90℃〜120℃、延伸温度100℃〜160℃、熱固定温度180℃〜260℃に設定する。
延伸倍率は、好ましくは、MD(流れ方向)は2.0〜4.0倍、TD(流れと垂直方向)は2.0倍〜4.0倍とする。
熱固定部にてMD,TD共に0〜30%の範囲で弛緩を行ってもよい
延伸後、剥離強度を調整するためにフィルム表面にコロナ処理を行ってもよい。
【0017】
本発明のフィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、10〜300μm、10〜200μm、10〜100μm程度である。
セラミックシートは厚みが均一である方が品質が安定するため、本発明のフィルムの表面粗さRaは200nmが好ましく、より好ましくは100nm以下である。表面粗さRaは例えばキャストロールの金属表面を研磨してキャストロール表面の表面粗さを低減させることにより少なくできる。
【0018】
表面粗さは、JIS B 0601:2001に準拠し、Ra(算術平均粗さ)を算出して求める。本明細書において、表面粗さは全てこの方法で求める。例えば、レーザーテック株式会社製「OPTELICS H1200」を用い、50倍レンズにて観察して求めることができる。
【0019】
本発明におけるシンジオタクチックポリスチレンとはシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体である。シンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素-炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。本発明で用いるシンジオタクチックポリスチレンは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、又はラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン) 、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体及びこれらの混合物、又はこれらを主成分とする共重合体である。ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等がある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等、またポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。
【0020】
好ましいスチレン系共重合体は、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体である。
【0021】
スチレン系共重合体のコモノマーとしては、上述のシンジオタクチックポリスチレンのモノマーのほか、エチレン,プロピレン,ブテン,ヘキセン,オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン,イソプレン等のジエンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチル,無水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等が挙げられる。
【0022】
より好ましいスチレン系共重合体は、スチレンのホモポリマー、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体、及びスチレンとエチレンとの共重合体である。
シンジオタクチックポリスチレンの重量平均分子量は通常18〜35万程度である。
【0023】
本発明のフィルムは、シンジオタクチックポリスチレンからなる層の2層構成としてもよい。2層を構成するシンジオタクチックポリスチレンは同じでも異なってもよい。
また、本発明のフィルムは、シンジオタクチックポリスチレンからなる層の3層以上の構成としてもよい。層を構成するシンジオタクチックポリスチレンは同じでも異なってもよい。
【0024】
多層フィルムは、多層原反シートを多層押し出しで形成し、この多層原反シートを同時二軸延伸して製造できる。
【0025】
本発明のシンジオタクチックポリスチレンフィルムは、本発明の目的を阻害しない限り各種添加剤を配合することができる。例えば、剥離強度を調整するためにシリコーン化合物やスリップ剤、帯電防止性を付与するために帯電防止剤、フィルムの滑り性を付与するためにアンチブロッキング剤を添加してもよい。添加量は通常0.01〜15重量%程度である。
【0026】
スリップ剤としては、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0027】
アンチブロッキング剤としては、弗化リチウム、ホウ砂(硼酸ナトリウム含水塩)等のIA族元素化合物、炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、酸化マグネシウム(マグネシア)、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、弗化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム含水塩(タルク)、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、弗化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウム、燐酸バリウム、硫酸バリウム、亜硫酸バリウム等のIIA族元素化合物、二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、一酸化ジルコニウム等のIVA族元素化合物、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデン等のVIA族元素化合物、塩化マンガン、酢酸マンガン等のVIIA族元素化合物、塩化コバルト、酢酸コバルト等のVIII族元素化合物、沃化第一銅等のIB族元素化合物、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等のIIB族元素化合物、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、弗化アルミニム、ゼオライト、アルミナシリケート(珪酸アルミナ、カオリン、カオリナイト、)等のIIIB族元素化合物、酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラス等のIVB族元素化合物、カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱等の天然鉱物の粒子等が挙げられる。また、有機粒子として、テフロン(登録商標)、メラミン系樹脂、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、アクリル系レジンシリコーン及びそれらの架橋体等が挙げられる。
【0028】
アンチブロッキング剤を添加するとき、アンチブロッキング剤を添加する層と添加しない層の最低2層構成としてもよい。添加剤は多層押し出しするときに添加できる。剥離面は添加剤を添加していない層の面が好ましい。図1に2層構成のフィルムの一例を示す。剥離フィルム1は、アンチブロッキング剤が添加されているシンジオタクチックポリスチレン層20と添加されていないシンジオタクチックポリスチレン層10からなる。層10は、剥離面12と、剥離面12と対向する面14を有し、層20は面14に形成される。剥離面はキャストロールと接触させる等により平滑性を高めることが好ましい。層10と層20では、フィードブロック方式やマルチマニホールド方式により溶融状態の2層をTダイス出口以前で積層することが好ましい。
層10と層20の比は10:1〜1:1が好ましい。
【0029】
このようにして得られた剥離フィルムは、シンジオタクチックポリスチレンの高い表面精度を有する延伸前シートの表面を傷つけることなく、同時二軸延伸しているので、表面が平滑で、収縮特性を低収縮率でバランスよく制御できる。
また、同時二軸延伸して得られるシンジオタクチックポリスチレンフィルムは、コート剤を用いることなく、セラミックシートとの剥離性を確保できる。従って、コート層のないシンジオタクチックポリスチレン樹脂の単一樹脂とすることができ、使用後のマテリアルリサイクルが可能である。さらにコート層を設けるコストも軽減できる。
【0030】
本発明の剥離フィルムは、使用後、以下の工程を含む方法でリサイクルできる。
使用済みの、シンジオタクチックポリスチレンからなるセラミックシート製造用剥離フィルムの上にある、グリーンシート残渣物を除去する工程、
上記残渣物が除去された剥離フィルムを溶融押出し、切断してリサイクルペレットを作製する工程、
上記リサイクルペレットを、バージンのシンジオタクチックポリスチレンからなるペレットと混合し、溶融し、押出成形してリサイクル原反シートを作製する工程、及び
上記リサイクル原反シートを延伸して、リサイクル剥離フィルムを得る工程。
【0031】
本発明において、グリーンシートとは、セラミックスラリーを塗工し、加熱乾燥などにより固形化したものである。
セラミックシートとは、グリーンシートから加工、切り取り、焼結等して得られるものである。セラミックシートとしてはセラミックコンデンサー、セラミック基板等が挙げられる。
例えば、セラミックコンデンサーの製造工程では、通常、剥離フィルムの少なくとも片面にペースト状のセラミックスラリーを塗工し、加熱乾燥してグリーンシートを得る。例えば、このグリーンシート上に電極を印刷し、電極を含むセラミックコンデンサーを剥離フィルムから型抜きして剥離する。
【0032】
具体的には、ペースト状のセラミックスラリーは、例えば高誘電率のセラミック粉体と適当な溶剤とポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ブチラール系バインダー、アクリル系バインダー等のバインダー及びフタル酸ジオクチル等の可塑剤とを混合して調製する。
セラミック粉体としては、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)を、PbTiO、KNbO、Pb(Ni1/3Nb2/3)O等、さらにはCdNb、PbNb、PbTa等が挙げられる。
【0033】
上記ペースト状のセラミックスラリーをドクターブレード等を用いて上記剥離フィルム上に塗工し、乾燥処理して通常20μm以下の厚みのグリーンシートを形成する。
上記のようにして得られたグリーンシート上に、例えばパラジウム、銀、ニッケル等の金属導電体を含む印刷導体ペーストを用い、スクリーン印刷等により所望の電極パターンを形成する。
【0034】
電極を印刷したグリーンシートを所望の大きさに型抜きし、剥離フィルムから剥離することでセラミックコンデンサーが得られる。
また、このセラミックコンデンサーを通常100枚以上積層し、加熱圧着後、裁断して所望のチップ形状とした後、焼成を行い焼結することにより、内部電極を備えたモノリシック構造のチップ状セラミックコンデンサーが得られる。
【0035】
セラミックコンデンサーを剥離した、使用済みの剥離フィルム上のグリーンシート残渣物を除去する。粘着ロール等の粘着部材に接触させて除去することが好ましい。
また、グリーンシート残渣(誘電体残渣)と共に、電極材料の残渣や埃等があればこれらも除去される。
【0036】
図2は、剥離フィルム上のグリーンシート残渣物の剥離装置の一例を示す。
剥離装置2は、複数の粘着ロール32(粘着部材)を回転自在に備える大ロール30を備える。剥離フィルム100のグリーンシートを形成した面が粘着ロール32と接触するようにする。図2において、剥離フィルム100の下側がグリーンシートを形成した面である。粘着ロール32と剥離フィルム100が接触した際に、粘着ロール32の粘着力によって剥離フィルム100の表面からグリーンシート残渣物が粘着ロール32に付着し、剥離フィルム100の表面からグリーンシート残渣物が除去される。
【0037】
大ロール30の直径は例えば50〜5000mmである。スプリング34を備えることにより大ロールとフィルム100の接触を調節してもよい。大ロール30は粘着ロール32を例えば3本以上、好ましくは6本有する。
【0038】
大ロール30の角速度をA(°/分)、粘着ロール40の角速度をB(°/分)、粘着ロール40の本数をn(本)とすると、好ましくはA>B/nである。
【0039】
粘着ロール32のJIS K6253:2006タイプAデュロメータ硬さ試験による硬度は5〜90度が好ましく、より好ましくは10度〜50度である。90度を超えると粘着力が低下し、セラミック残渣がフィルム上に残るおそれがある。5度を下回ると、粘着ゴムロールの粘着材成分がフィルムに転写し、リサイクル時に不具合が生じるおそれがある。
粘着ロール32の直径は例えば20〜500mmである。
粘着ロールの材質としてはシリコーンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、ウレタンエラストマー、軟質PO(ポリオレフィン)等の粘着性を有する素材が挙げられる。粘着ロールは帯電防止処理をしていると望ましい。
【0040】
剥離ロール機構のコストを低減するために、剥離フィルム100に対して上側に大ロール30と同様の大ロール40を設けてもよい。このとき、粘着ロール32の代わりに金属ロール又はゴムロール42を用いると好ましい。また、大ロール40は金属ロール又はゴムロール42を有さない構造としてもよい。
【0041】
粘着ロール32に付着した残渣物を除去して再度粘着ロール32を使用する。
図3は粘着ロール32を清掃し付着した残渣物を除去する装置の一例を示す。粘着ロール清掃装置3は洗浄槽60、ブラシロール62及び乾燥ブロワー64を備える。
粘着ロール32が剥離フィルム表面から離れるタイミングで、洗浄槽60内の洗浄液内で粘着ロール32の表面にブラシロール62のブラシを押し当てて、粘着ロール32を湿式洗浄し、粘着ロール32に転写したグリーンシート残渣物を除去する。
また、洗浄はブラシロールのみ又は洗浄液のみで残渣物の除去を行ってもよい。
【0042】
ブラシは動物の毛であってもよいし、合成樹脂製であってもよい。ブラシの代わりに不織布を用いてもよい。
洗浄液としては、誘電体や電極材料の残渣を膨潤、溶解させるものであれば特に限定されず、水、アルコール類、ケトン類、トルエン等の有機溶剤が挙げられ、これらのうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、アルコール類、ケトン類として、エタノール、プロパノール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等を用いることができる。例えば、洗浄溶媒として、水単独を用いてもよいが、水にアルコール、又はケトン類を混合したものを用いてもよい。尚、洗浄液は室温で用いてもよく、洗浄液の沸点以下の温度に加熱してもよい。
【0043】
その後、粘着ロール40の表面を乾燥ブロワー64で乾燥し、粘着力を復元させる。粘着ロール32は上記タイミングで大ロール30から取り外して清掃してもよい。乾燥ブロワー64の温風の温度は、好ましくは30℃〜120℃である。
乾燥ブロワー64で乾燥された後の粘着ロール32の表面は、再び剥離フィルム100に接触する。
【0044】
グリーンシート残渣を除去した剥離フィルムを例えば280〜350℃で溶融押出し、切断してリサイクルペレット(リペレット)を作成する。具体的には、剥離フィルムを裁断した状態、又は剥離フィルムを圧縮溶着後に切断した状態、又は剥離フィルムをそのままの状態で二軸押出機若しくは単軸押出機のホッパー口より入れて、溶融押出し、ダイスよりストランド状に押出し、ロータリーカッター等により切断する。
ストランド状に押出す手前にフィルム内の異物を除去するために濾過サイズ100μm以下のポリマーフィルターを設けてもよい。
【0045】
上記のようにして得られたリサイクルペレットを、例えば混合後の全量に対して5〜99%、好ましくは10〜95%、品質とコスト面を考慮すると、さらに好ましくは30%〜90%でバージンペレットに混合する。その後、混合物を溶融し、単軸又は二軸押出機、Tダイ等により押出成形してリサイクル原反シートを得る。
Tダイの前にギヤポンプを通して、濾過サイズ100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下のポリマーフィルターを通過させてもよい。
【0046】
次に、上記リサイクル原反シートを延伸してリサイクル剥離フィルムを製造する。
例えば、Tダイスより押出されたリサイクル原反シートを、キャスト成形後、40〜120℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化する。キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングやエアーチャンバー、エアーナイフ、真空エアーチャンバーを用いてもよい。表面の平滑性をより高める為、金属ベルトや金属弾性ロールを用いた引取り方式が望ましい。
【0047】
好ましくは、冷却固化したシートを逐次二軸延伸又は同時二軸延伸等により、より好ましくはパンタグラフ方式同時二軸延伸機により延伸する。延伸温度は、例えば予熱温度90℃〜120℃、延伸温度100℃〜160℃、熱固定温度180℃〜260℃である。延伸倍率は例えばMD(流れ方向)2.0〜4.0倍、TD(流れと垂直方向)2.0倍〜4.0倍とする。
【0048】
熱固定部にてMD,TD共に0〜30%の範囲で弛緩を行ってもよい。延伸後、剥離強度を調整する為にフィルム表面にコロナ処理を行ってもよい。
セラミックシートは厚みが均一である方が品質が安定するため、リサイクル剥離フィルムの表面粗さRaは200nmが好ましく、より好ましくは100nm以下である。表面粗さRaは例えばキャストロールの金属表面を研磨してキャストロール表面の表面粗さを低減させることにより少なくできる。また、リサイクル剥離フィルムの厚さは10μm以上50μmが好ましい。
【0049】
グリーンシート残渣が完全に除去されずに微量含まれる場合は、上記リサイクル原反シートの少なくとも片面に、バージンのシンジオタクチックポリスチレンから得られるバージン層を設けて多層原反シートとし、この多層原反シートを上記のように延伸してリサイクル剥離フィルムを製造することが好ましい。
【0050】
上記バージン層には、本発明の目的を阻害しない限り各種添加剤を配合することができる。例えば、剥離強度を調整するためにシリコーン化合物やスリップ剤、帯電防止性を付与するために帯電防止剤を添加してもよい。添加量は通常0.01〜15重量%程度である。
【0051】
また、リサイクル原反シートの両面にバージン層を設けて2種3層構成フィルムとし、この2種3層構成フィルムを延伸してリサイクル剥離フィルムとしてもよい。好ましくは外層:中間層:外層の厚みの比は1:10:1〜2:1:2である。
【0052】
この場合、例えば2種の押出機を用い、一方の押出機にはリペレット化したリサイクルペレットを混合後の全量に対して5〜99%、好ましくは10〜95%、品質とコスト面を考慮すると、さらに好ましくは30%〜90%ブレンドした材料を投入し、他方の押出機にはバージンペレットを投入する。
【0053】
上記多層のリサイクル剥離フィルムの少なくとも片面の表面粗さRaは好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。表面粗さRaは、例えばキャストロールの金属表面を研磨してキャストロール表面の表面粗さを低減させることにより少なくできる。また、上記多層のリサイクル剥離フィルムの厚さは10μm以上50μm以下が好ましい。
【実施例】
【0054】
<実施例1>(剥離フィルムの作製)
(1)シンジオタクチックポリスチレンの原反シートの作製
重量平均分子量29万、7%パラメチルスチレンがランダムに共重合されたスチレン重合体(シンジオタクチックポリスチレン)を300℃の温度設定にて押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出した。具体的には、押出機を2台使用し、一台の押出機には上記スチレン重合体にアンチブロッキング剤(AB剤)としてゼオライト微粒子を1000ppm添加し、もう一台の押出機には上記スチレン重合体のみを用い、フィードブロックにて両押出機の樹脂を積層し、Tダイスより押出した。AB剤を添加した樹脂をキャストロールとの接触面と反対側の面とした。
厚み方向でAB剤を添加した樹脂層の厚みが20%となるよう押出量を調整した。
Tダイスより押出された溶融樹脂を85℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化した。その際、キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングを用いた。
【0055】
(2)同時二軸延伸
次に、冷却固化したシートをパンタグラフ方式同時二軸延伸機にて延伸した。同時二軸延伸機は流れ方向に予熱部、延伸部、熱固定部に分かれており、それぞれ循環熱風による加熱を行った。
各部の温度を予熱110℃、延伸部130℃、熱固定部220℃とし、MD倍率を3.5倍、TD倍率を3.5倍として延伸を行い、延伸部後半にてMD,TD共に3%の弛緩を行い30μmの剥離フィルムを得た。
【0056】
(3)剥離性の評価
チタン酸バリウム(純正化学製)100重量部、ポリビニルブチラール(アクロス製)7重量部、フタル酸ジ−n−オクチル(東京化成工業製)3重量部、トルエン40重量部、エタノール40重量部を混合し、ボールミルで24時間分散し、ペースト状のセラミックスラリーを得た。
上記剥離フィルムロールを巻き出し、セラミックスラリーを乾燥後の厚みが10μmになるようにドクターブレードを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥したのち、乾燥後のセラミックとバインダー樹脂の混合物であるグリーンシートを5mm間隔で切り目を入れ、切れ目の端にセロハンテープを用いて剥離を行い、10cmの長さグリーンシートが切断せずに剥離出来た場合を○とした。10cmまで到達せずにグリーンシートが切断した場合は×とした。上記剥離フィルムでの評価結果は○であった。また剥離後はスチレン重合体単体のフィルムとなるため、マテリアルリサイクルが可能である。
【0057】
(4)表面平滑性の評価
レーザー顕微鏡にて表面を観察しMD方向のキズの有無を確認した。上記製法で作製した剥離フィルムの表面キズは見当たらなかった。
【0058】
<比較例1>(従来の逐次延伸法)
実施例1(1)と同様にして原反シートを作製した。
加熱ロールを用いて縦延伸を実施した。ロール温度は105℃、延伸倍率は3.3倍であった。
その後、テンター方式の横延伸機にて横延伸を実施した。横延伸機は流れ方向に予熱部、延伸部、熱固定部に分かれており、それぞれ循環熱風による加熱を行った。各部の温度を予熱130℃、延伸部160℃、熱固定部220℃とした。TD倍率3.5倍で延伸を行い、延伸部後半にてTDに5%の弛緩を行い30μmのフィルムを得た。
剥離評価は○であったが、表面に縦延伸時に発生したと推定されるキズが観察された。これらのキズはグリーンシートの厚みムラを引き起こし、セラミックコンデンサーとしての品質安定性を損なわせる原因となる。
【0059】
<比較例2>(ポリエステルの同時二軸延伸)
テレフタル酸とエチレングリコールをエステル重合して得られたポリエステルを用いて実施例の方法でフィルム製膜し30μmのフィルムを得た。
剥離評価は×であり、表面にキズは観察されなかった。剥離性が不良なため、剥離フィルムとしては不適である。
【0060】
<実施例2>(剥離フィルムのリサイクル)
(1)初期剥離フィルムの製造
実施例1と同様にして剥離フィルムを得た。
(2)グリーンシートの作製と使用
実施例1と同様にして剥離フィルム上にグリーンシートを作製した。グリーンシートの抜き取りが終わった剥離フィルムはロール状に巻き取った。
【0061】
(3)剥離フィルムのリサイクル
上記グリーンシート抜き取り後に巻き取った剥離フィルムを繰出し、図2に示すグリーンシート残渣物剥離装置2によりフィルム上に残っているグリーンシート残渣物を除去した。粘着ロールの径は200mm、本数は6本とし、粘着ロールは720°/分、大ロールは180°/分で回転させた。
粘着ロールとして材質がシリコンゴム系粘着ロールで帯電防止処理を施したものを使用し、その硬度は30度であった。
【0062】
粘着ロールに転写したグリーンシート残渣物を、粘着ロールが剥離フィルム表面から離れるタイミングで水とアルコールの混合物を用いて洗浄した。ブラシは動物の毛を使用した。また、乾燥ブロワーの温度を50℃として乾燥を行った。
【0063】
120℃に加熱した2本の金属ロールの間に上記フィルムを挿入し、熱と圧力にてストランドを作り、ロータリーカッターにて幅約5mm、長さ約5mmにカットした。
300℃に温度設定した二軸押出機にて上記フィルムを口金より、溶融ストランド状で押出し、直径約2mm、長さ3mmにカットし、リサイクルペレットを得た。この際押出機出口に濾過サイズ20μmのポリマーフィルターを設置した。
【0064】
このリサイクルペレットを用いて、300℃の温度設定にて押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出し、2種3層構造の未延伸フィルムを製造した。
具体的には、押出機1には混合後の全量に対して80%のリサイクルペレットをバージンのシンジオタクチックポリスチレンペレットにブレンドした混合ペレットを投入し、押出機2にはバージンのシンジオタクチックポリスチレンペレットを投入した。
フィードブロックにて両押出機の樹脂を積層し、Tダイスより押出した。Tダイスより押出された溶融樹脂を85℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化した。その際、キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングを用いた。
【0065】
次に、冷却固化したシートを初期剥離フィルムと同様にして、パンタグラフ方式同時2軸延伸を行い、ロール状フィルムを得た。
得られたフィルムの厚さは30μm、外層:中間層:外層の厚みの比は1:3:1、フィルムの表面粗さRaは100nmであった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の剥離フィルムは、セラミックコンデンサー、セラミック基板等のセラミックシート製造用工程フィルムとして好適に使用できる。また、本発明のリサイクル方法により、使用済みの剥離フィルムを再利用でき省資源化できる。
【符号の説明】
【0067】
1 剥離フィルム
2 グリーンシート残渣物剥離装置
3 粘着ロール清掃手段
10 アンチブロッキング剤が添加されていないシンジオタクチックポリスチレン層
12 剥離面
14 剥離面と反対の面
20 アンチブロッキング剤が添加されているシンジオタクチックポリスチレン層
30,40 大ロール
32 粘着ロール
34 スプリング
42 金属ロール又はゴムロール
50 繰り出しロール
52 巻取りロール
54,56 ガイドロール
60 洗浄槽
62 ブラシロール
64 乾燥ブロワー
100 剥離フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンジオタクチックポリスチレンからなる原反シートを、同時二軸延伸する、セラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
【請求項2】
第1のシンジオタクチックポリスチレンと、前記第1のシンジオタクチックポリスチレンと同一又は異なる第2のシンジオタクチックポリスチレンとを共押し出しして、原反シートを形成し、
前記原反シートを同時二軸延伸し、
前記第1のシンジオタクチックポリスチレンからなる第1の層と、前記第2のシンジオタクチックポリスチレンからなる第2の層を含む、セラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記第2の層がアンチブロッキング剤を含み、
前記第1の層の前記第2の層が形成されていない面を剥離面とする請求項2記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記同時二軸延伸がパンタグラフテンター方式である請求項1〜3のいずれか記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記原反シートが、ベルトプロセス又は金属弾性ロールで成形されたものである請求項1〜4のいずれか記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の製造方法により製造されたセラミックシート製造用剥離フィルム。
【請求項7】
使用済みの、請求項6に記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの上にある、グリーンシート残渣物を除去する工程、
前記残渣物が除去された剥離フィルムを溶融押出し、切断してリサイクルペレットを作製する工程、
前記リサイクルペレットを、バージンのシンジオタクチックポリスチレンからなるペレットと混合し、溶融し、押出成形してリサイクル原反シートを作製する工程、及び
前記リサイクル原反シートを延伸して、リサイクル剥離フィルムを得る工程、
を備えるセラミックシート製造用剥離フィルムのリサイクル方法。
【請求項8】
使用済みの、請求項6に記載のセラミックシート製造用剥離フィルムの上にある、グリーンシート残渣物を除去する工程、
前記残渣物が除去された剥離フィルムを溶融押出し、切断してリサイクルペレットを作製する工程、
前記リサイクルペレットを、バージンのシンジオタクチックポリスチレンからなるペレットと混合する工程、
前記混合物から得られる混合層と、バージンのシンジオタクチックポリスチレンから得られるバージン層とを含む、多層原反シートを作製する工程、及び
前記多層原反シートを延伸して、リサイクル剥離フィルムを得る工程、
を備えるセラミックシート製造用剥離フィルムのリサイクル方法。
【請求項9】
前記多層原反シートが、前記バージン層が、前記混合層の両側にある三層構造である請求項8記載のリサイクル方法。
【請求項10】
前記リサイクル剥離フィルムの少なくとも片面の表面粗さRaが200nm以下である請求項7〜9のいずれか記載のリサイクル方法。
【請求項11】
前記リサイクル剥離フィルムの厚みが10μm以上50μm以下である請求項7〜10のいずれか記載のリサイクル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−104986(P2011−104986A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127482(P2010−127482)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】