説明

セラミックス膜形成用組成物の製造方法、圧電セラミックス膜及び2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法

【課題】 危険有害性の高い材料を用いることなく、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むセラミックス膜形成用組成物を容易に製造することができるセラミックス膜形成用組成物の製造方法、圧電セラミックス膜及び2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法を提供する。
【解決手段】 酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱して、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含む錯体溶液を得る工程と、を具備し、前記錯体溶液を含むセラミックス膜形成用組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス薄膜を作製するためのセラミックス膜形成用組成物の製造方法、圧電セラミックス膜及び2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス膜、ガラス、金属皮膜等を形成するための原料としては、金属錯体が用いられている。例えば、セラミックス膜形成用組成物等に好適に用いられる金属錯体として、2−エチルヘキサン酸を配位子とする金属錯体が挙げられる。セラミックス膜は、かかる金属錯体等を含むセラミックス膜形成用組成物を被対象物上に塗布した後、これを乾燥して焼成させることにより形成される。
【0003】
この2−エチルヘキサン酸を配位子とする金属錯体の製造方法としては、金属の酢酸塩と、2−エチルヘキサン酸と、溶媒とを混合し、蒸発皿で温める方法が公知となっている(非特許文献1参照)。この方法では、2−エチルヘキサン酸クロムや2−エチルヘキサン酸銅を容易に製造することができる。
【0004】
また、硝酸ナトリウム等のアルカリ金属塩を触媒として、金属粉末と2−エチルヘキサン酸とを反応させて、2−エチルヘキサン酸を配位子とする金属錯体を製造する方法(特許文献1参照)や硝酸ビスマスの酸性溶液に2−エチルヘキサンアミドを加えて、2−エチルヘキサン酸ビスマスを製造する方法(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−208249号公報
【特許文献2】特開2000−178291号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 60. 1986 Materials Research Society p.35-42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1では、他の金属を用いた場合について開示されておらず、金属の種類によっては金属の酢酸塩が2−エチルヘキサン酸に溶解し難く、均一系溶液とはならず、非特許文献1の方法を適用することができないという問題があった。また、特許文献1に記載の方法では、アルカリ金属を触媒として使用するため、溶液中にアルカリ金属が残留する懸念があり、この方法により製造される2−エチルヘキサン酸を配位子とする金属錯体はセラミックス膜形成用組成物に用いるには不適切であった。特許文献2に記載の方法では、抽出が必要であるため合成時に大量の廃液が生じるという問題があり、また、抽出溶媒として揮発性及び危険有害性の高いトルエンを使用しており、環境汚染の問題や作業者の健康への影響が懸念されていた。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、危険有害性の高い材料を用いることなく、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むセラミックス膜形成用組成物を容易に製造することができるセラミックス膜形成用組成物の製造方法、圧電セラミックス膜及び2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の態様は、酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱して、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含む錯体溶液を得る工程と、を具備し、前記錯体溶液を含むセラミックス膜形成用組成物を得ることを特徴とするセラミックス膜形成用組成物の製造方法にある。
かかる態様では、危険有害性の高い材料を用いることなく、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むセラミックス膜形成用組成物を容易に製造することができる。
【0010】
また、前記温度が2−エチルヘキサン酸の沸点未満であるのが好ましい。これによれば、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むセラミックス膜形成用組成物をより容易に製造することができる。
【0011】
本発明の好適な実施態様としては、前記混合溶液は、さらに、酢酸鉄、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マンガン、酢酸ランタン、酢酸セリウム、酢酸コバルト、及び酢酸クロムからなる群から選択される少なくとも1つの第2酢酸塩を含み、前記錯体溶液は、さらに、前記2−エチルヘキサン酸と前記第2酢酸塩とが反応して得られる2−エチルヘキサン酸を配位子とする第2金属錯体を含むものが挙げられる。これによれば、2−エチルヘキサン酸ビスマスと同時に2−エチルヘキサン酸を配位子とする第2金属錯体を生成することができ、2−エチルヘキサン酸ビスマス及び2−エチルヘキサン酸を配位子とする他の金属錯体を含むセラミックス膜形成用組成物をより容易に製造することができる。
【0012】
前記錯体溶液に液体アルカンを添加する工程をさらに具備するのが好ましい。これによれば、膜厚が一定で膜均一性が良好なセラミックス膜を容易に形成することができるセラミックス膜形成用組成物とすることができる。
【0013】
本発明の好適な実施態様としては、前記錯体溶液に、さらに、鉄、チタン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マンガン、ランタン、セリウム、コバルト、及びクロムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属錯体を添加する工程をさらに具備するものが挙げられる。これによれば、前記金属を含むビスマス系のセラミックス膜を容易に形成することができるセラミックス膜形成用組成物を製造することができる。
【0014】
本発明の他の態様は、上記セラミックス膜形成用組成物の製造方法により製造されたセラミックス膜形成用組成物を塗布し、結晶化することにより形成されるものであり、鉄酸ビスマス系又はチタン酸ビスマス系のペロブスカイト構造の複合酸化物からなることを特徴とする圧電セラミックス膜にある。
かかる態様によれば、危険有害性の高い材料を用いことなく、セラミックス膜を容易に製造することができる。
【0015】
本発明の他の態様は、酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製し、前記混合溶液を酢酸の沸点以上の温度で加熱して、2−エチルヘキサン酸ビスマスを得ることを特徴とする2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法にある。
かかる態様では、危険有害性の高い材料を用いることなく、2−エチルヘキサン酸ビスマスを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のTG−DTA測定結果を示すグラフである。
【図2】実施例3のTG−DTA測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例3のXRD測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例1のH−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】実施例2〜6のH−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図6】試験例4のXRD測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のセラミックス膜形成用組成物の製造方法は、酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む不均一系の混合溶液を調製する工程と、混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱することにより、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含む錯体溶液を得る工程と、を具備し、錯体溶液を含むセラミックス膜形成用組成物を得るものである。
【0018】
具体的には、まず、酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製する(混合溶液調製工程)。混合溶液は、詳しくは後述するが、酢酸ビスマスが2−エチルヘキサン酸にほとんど溶解しないため、不均一系混合溶液となっている。
【0019】
混合溶液調製工程では、酢酸ビスマスと2−エチルヘキサン酸とに加えて、さらに、他の金属の酢酸塩(第2酢酸塩)を添加して、混合溶液が第2酢酸塩を含むようにしてもよい。第2酢酸塩は、2−エチルヘキサン酸に対する溶解度が高いものであっても溶解度が低いものであってもよく、溶解度が酢酸ビスマスよりも低いものであってもよい。第2酢酸塩としては、酢酸鉄、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マンガン、酢酸ランタン、酢酸セリウム、酢酸コバルト、酢酸クロム等が挙げられ、これらを2種類以上含むようにしてもよい。なお、混合溶液が、アルコール、酢酸等の溶媒を含むようにしてもよいが、特に溶媒を添加する必要はない。
【0020】
次に、混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱する(加熱工程)。これにより、不均一系反応が進行し、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含む錯体溶液を得ることができる。1気圧下の酢酸の沸点は118℃であるため、1気圧下の場合は118℃以上に加熱すればよい。また、この加熱温度は、2−エチルヘキサン酸の沸点未満であるのが好ましく、2−エチルヘキサン酸の沸点は227℃であるため、1気圧下の場合は118℃以上227℃未満に加熱するのが好ましく、特に好ましくは150〜200℃である。118℃以上227℃未満に加熱することにより、酢酸を選択的に揮発させることができる。また、150〜200℃に加熱することにより、後述する酢酸の揮発をより促進させることができ、酢酸と2−エチルヘキサン酸の配位子置換反応を速やかに進行させることができる。なお、本実施形態では、混合溶液を1気圧下で200℃に加熱した。
【0021】
ここで、酢酸ビスマスと2−エチルヘキサン酸との反応について、以下詳細に説明する。
【0022】
まず、酢酸ビスマス(Bi(OOCCH)と2−エチルヘキサン酸(CH(CHCH(C)COOH)との反応が平衡反応である場合は、下記の3つの平衡が存在することになる。
【0023】
【化1】

【0024】
したがって、上述した平衡は、下記式のような平衡反応とみなすことができる。
【0025】
【化2】

【0026】
しかしながら、酢酸ビスマスと2−エチルヘキサン酸とを混合した場合、酢酸ビスマスは、2−エチルヘキサン酸への溶解度が非常に低くほとんど溶解しない。また、酢酸ビスマスは、酢酸への溶解度も低くほとんど溶解しない。すなわち、本実施形態で用いる混合溶液は、不均一系の混合溶液となっている。このような不均一系の混合溶液は、通常の加熱温度、例えば、40〜80℃程度に混合溶液を昇温させても、配位子置換反応はほとんど進行しない。
【0027】
本発明では、加熱工程において、混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱することにより、酢酸ビスマスと2−エチルヘキサン酸との反応により生成した酢酸が揮発して非平衡状態となり、酢酸ビスマスと2−エチルヘキサン酸との配位子置換反応が促進される。これにより、下記に示すように、2−エチルヘキサン酸ビスマスが生成する。なお、加熱温度を酢酸の沸点以上2−エチルヘキサン酸の沸点未満とした場合は、酢酸を選択的に揮発させることができる。
【0028】
【化3】

【0029】
上述したように、本実施形態の加熱工程では、不均一系混合溶液を高温に加熱することにより、生成する酢酸を除去して反応を進行させる、すなわち、不均一系反応を進行させている。なお、この不均一系反応は、酢酸を除去していることで不可逆反応である。
【0030】
また、混合溶液が他の金属の酢酸塩(M(OOCCH)を含有する場合は、加熱工程において、他の金属でも同様の反応が進行して、2−エチルヘキサン酸を配位子とした金属錯体(M(OOC(C)CH(CHCH)が形成される。
【0031】
【化4】

【0032】
上述した式は、金属(M)の価数が変化しない理想状態を示す式であるが、金属(M)によっては、酸化等により一部の価数が変化することがある。すなわち、価数が変化していない錯体と、酸化等により価数が変化した錯体とが同時に形成される場合がある。しかしながら、価数が変化した錯体が形成される場合の理想状態からのズレは無視できる程度である。いずれにしても、酢酸の揮発による非平衡反応で2−エチルヘキサン酸を配位子とした金属錯体が生成される。
【0033】
加熱温度を酢酸の沸点以上2−エチルヘキサン酸の沸点未満とした場合、加熱工程では、実際には2−エチルヘキサン酸の揮発も起こるが、酢酸の揮発量と比較して非常に少ない。このため、混合溶液調製工程において、混合溶液が2−エチルヘキサン酸を十分量(具体的には、配位子として必要な量及び揮発量を考慮した量)含むように調製したり、加熱工程において2−エチルヘキサン酸の不足分を系中に添加したりすることにより、特に問題とはならない。
【0034】
ここで、混合溶液は、2−エチルヘキサン酸の含有量が酢酸鉄との反応に必要な量以上、すなわち、酢酸ビスマスの3等量以上となるようにすればよい。2−エチルヘキサン酸の含有量は、酢酸ビスマスの3等量以上であれば、上限は特に限定されず、過剰に2−エチルヘキサン酸を含むようにしてもよい。混合溶液が過剰に2−エチルヘキサン酸を含む場合は、加熱工程において、2−エチルヘキサン酸の沸点以上の温度で加熱することにより、酢酸及び過剰な2−エチルヘキサン酸の一部もしくは全部を揮発させて、所定の金属モル濃度(0.1〜1.0molL−1)となるようにすればよい。なお、混合溶液が第2酢酸塩を含む場合は、2−エチルヘキサン酸の含有量は、酢酸ビスマスと反応する2−エチルヘキサン酸の量と、第2酢酸塩と反応する2−エチルヘキサン酸の量と、を考慮して、適宜調整すればよい。
【0035】
上述した加熱工程により得られる錯体溶液は、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むものとなる。なお、混合溶液が第2酢酸塩を含んでいた場合は、錯体溶液は、2−エチルヘキサン酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸を配位子とした第2金属錯体と、を含むものとなる。すなわち、加熱工程において、2−エチルヘキサン酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸を配位子とした第2金属錯体と、が得られる。
【0036】
本発明にかかるセラミックス膜形成用組成物は、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含む錯体溶液を含むものであり、必要に応じて、他の金属錯体を添加したものであってもよい。言い換えれば、本発明にかかるセラミックス膜形成用組成物は、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むものであればよく、セラミックス膜を構成する金属の一部のみを含んだものであってもよく、セラミックス膜を構成する金属すべてを含んだものであってもよい。
【0037】
セラミックス膜を構成する金属をすべて含むセラミックス膜形成用組成物は、セラミックス膜を構成する金属が所望のモル比となっているのが好ましい。セラミックス膜を構成する金属をすべて含むセラミックス膜形成用組成物としては、本発明にかかる錯体溶液のみからなるものと、本発明にかかる錯体溶液に他の錯体溶液を添加したものとが挙げられる。
【0038】
セラミックス膜形成用組成物が本発明にかかる錯体溶液のみからなり且つセラミックス膜を構成する金属をすべて含む場合とは、混合溶液がセラミックス膜を構成する金属の酢酸塩(第2酢酸塩)を含むことにより、錯体溶液が2−エチルヘキサン酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸を配位子とした第2金属錯体(場合によっては、2種以上の第2金属錯体)とを含むことで、セラミックス膜を構成する金属をすべて含んだものとなっている。
【0039】
また、本発明にかかる錯体溶液に添加する他の錯体溶液としては、セラミックス膜を構成する金属を含む金属錯体に溶媒を添加したものが挙げられる。セラミックス膜を構成する金属としては、鉄、チタン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マンガン、ランタン、セリウム、コバルト、クロムが挙げられる。金属錯体としては、例えば、セラミックス膜を構成する金属のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、若しくはブトキシド等のアルコキシド、有機酸塩、又はβジケトン錯体等が挙げられる。また、溶媒は、特に限定されるものではないが、有機酸、アルコール等の有機溶媒が挙げられる。例えば、鉄酸ビスマスからなる膜を形成するための鉄酸ビスマス膜形成用組成物の場合には、他の錯体溶液として、鉄酸ビスマスを構成する金属、すなわち、鉄(Fe)のアルコキシド、又はアセテート化合物を含むものが用いられる。
【0040】
セラミックス膜を構成する金属の一部のみを含んだセラミックス膜形成用組成物としては、2−エチルヘキサン酸ビスマスのみを含む錯体溶液からなるもの、2−エチルヘキサン酸ビスマスと第2金属錯体とを含む錯体溶液からなるもの、本発明にかかる錯体溶液に他の錯体溶液を添加したものが挙げられる。セラミックス膜を構成する金属の一部のみを含んだセラミックス膜形成用組成物を用いてセラミックス膜を形成する場合は、セラミックス膜を形成する前に所定の錯体溶液を添加して、セラミックス膜を構成する金属が所望のモル比となるようにすればよい。
【0041】
また、セラミックス膜形成用組成物は、必要に応じて、溶媒等を添加したものであってもよい。
【0042】
セラミックス膜形成用組成物は、2−エチルヘキサン酸ビスマスにおけるビスマスの物質量をα、2−エチルヘキサン酸の物質量をβとしたときに1≦β/α≦12を満たすのが好ましく、1≦β/α≦6を満たすのがさらに好ましい。これによれば、セラミックス膜形成用組成物の粘度を比較的低く維持しつつ、化学的に安定したものとすることができる。なお、錯体溶液が第2金属錯体を含む場合は、セラミックス膜形成用組成物は、2−エチルヘキサン酸ビスマスにおけるビスマスの物質量をα、第2金属錯体に含まれる金属の総物質量をα、2−エチルヘキサン酸の物質量をβとしたときに1≦β/(α+α)≦12を満たすのが好ましく、1≦β/(α+α)≦6を満たすのがさらに好ましい。セラミックス膜形成用組成物の金属の物質量が上述した値となるように、混合溶液調製工程において2−エチルヘキサン酸の添加量を調整してもよいが、得られた錯体溶液に2−エチルヘキサン酸を添加して所定の物質量となるようにしてもよい。
【0043】
また、セラミックス膜形成用組成物は、液体アルカンを含有していてもよい。すなわち、得られた錯体溶液に、溶媒として液体アルカンを添加してもよい(液体アルカン添加工程)。ここでいう液体アルカンとは、常温・常圧において液状のアルカンを指し、具体的には、炭素数が1〜17のアルカンを指す。液体アルカンとしては、n−オクタンを用いるのが好ましい。2−エチルヘキサン酸の粘性率は7.73cP(20℃)であり、セラミックス膜形成用組成物の溶媒としてしばしば利用される2−メトキシエタノールの粘性率1.72cP(20℃)と比較して非常に大きい。2−エチルヘキサン酸の含有量が多い場合、セラミックス膜形成用組成物の粘度が高くなり、膜の均一性が低下する虞があるが、粘性率が低い液体アルカン、例えば、n−オクタン(粘性率0.55cP(20℃))を添加することにより、セラミックス膜形成用組成物の粘度を低下させて所望の値とすることができる。このように、液体アルカンを添加することにより、セラミックス膜形成用組成物の粘度を調整して、膜厚が一定で膜均一性が良好なセラミックス膜を容易に形成することができるものとなる。
【0044】
セラミックス膜形成用組成物は、さらに他の溶媒を含有していてもよい。すなわち、得られた錯体溶液に他の溶媒を添加してもよい。他の溶媒としては、カルボン酸、アルコール等が挙げられるが危険有害性の高いものは含有しないのが好ましい。
【0045】
上述したように、酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製し、混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱することにより、危険有害性の高い材料、例えば、トルエンや2−メトキシエタノールを用いることなく、不均一系混合溶液の反応を進行させて、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むセラミックス膜形成用組成物を容易に製造することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、液体アルカンを添加してセラミックス膜形成用組成物としている。これにより、2−メトキシエタノールやトルエン等の危険有害性の高い溶媒を含まず、膜厚が一定で膜均一性が良好なセラミックス膜を容易に形成することができるセラミックス膜形成用組成物とすることができる。
【0047】
なお、本発明のセラミックス膜形成用組成物を用いてセラミックス膜を製造する方法は特に限定されないが、ゾル−ゲル法やMOD(Metal−Organic Decomposition)法等の化学溶液法(CSD法:Chemical Solution Deposition)により製造することができる。具体的には、セラミックス膜形成用組成物を塗布乾燥し、高温で焼成して結晶化することで金属酸化物からなるセラミックス膜を得ることができる。詳述すると、例えば、セラミックス膜形成用組成物を被対象物上にスピンコート法、ディップコート法、インクジェット法等で塗布しセラミックス前駆体膜を形成する(塗布工程)。次いで、このセラミックス前駆体膜を所定温度(例えば140〜200℃程度)に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥したセラミックス前駆体膜を所定温度(例えば300〜400℃程度)に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、ここで言う脱脂とは、セラミックス前駆体膜に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
【0048】
次に、セラミックス前駆体膜を所定温度(550〜800℃、好ましくは、600〜750℃程度)に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、例えば0.1〜2.0μmのセラミックス膜を形成する(焼成工程)。
【0049】
なお、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。また、上記では一定時間所定温度に保持した状態で、乾燥・脱脂・焼成を行う方法を例示したが、昇温し続けてもよい。
【0050】
また、セラミックス膜は、上述した塗布工程、乾燥工程及び脱脂工程や、塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程を所望の膜厚等に応じて複数回繰り返すことにより、複数層のセラミックス膜からなるものとしてもよい。
【0051】
セラミックス膜形成用組成物から形成されるセラミックス膜としては、例えば、鉄酸ビスマス系、チタン酸ビスマス系のペロブスカイト構造の複合酸化物が挙げられる。鉄酸ビスマス系としては、鉄酸ビスマス(BiFeO)、鉄酸アルミニウム酸ビスマス(Bi(Fe,Al)O)、鉄酸マンガン酸ビスマス(Bi(Fe,Mn)O)、鉄酸マンガン酸ビスマスランタン((Bi,La)(Fe,Mn)O)、鉄酸マンガン酸チタン酸ビスマスバリウム((Bi,Ba)(Fe,Mn,Ti)O)、鉄酸コバルト酸ビスマス(Bi(Fe,Co)O)、鉄酸ビスマスセリウム((Bi,Ce)FeO)、鉄酸マンガン酸ビスマスセリウム((Bi,Ce)(Fe,Mn)O)、鉄酸ビスマスランタンセリウム((Bi,La,Ce)FeO)、鉄酸マンガン酸ビスマスランタンセリウム((Bi,La,Ce)(Fe,Mn)O)、鉄酸ビスマスサマリウム((Bi,Sm)FeO)、鉄酸マンガン酸チタン酸ビスマスバリウム((Bi,Ba)(Fe,Mn,Ti)O)、鉄酸クロム酸ビスマス(Bi(Cr,Fe)O)、鉄酸マンガン酸チタン酸ビスマスカリウム((Bi,K)(Fe,Mn,Ti)O)等が挙げられる。また、チタン酸ビスマス系としては、チタン酸ビスマスナトリウムカリウム((Bi,Na,K)TiO)、チタン酸亜鉛酸ビスマスバリウムナトリウム((Bi,Na,Ba)(Zn,Ti)O)、チタン酸銅酸ビスマスバリウムナトリウム((Bi,Na,Ba)(Cu,Ti)O)が挙げられる。また、他のセラミックス膜としては、チタン酸ビスマスカリウム((Bi,K)TiO)、クロム酸ビスマス(BiCrO)等が挙げられる。また、上述した複合酸化物に、例えば、Bi(Zn1/2Ti1/2)O、(Bi1/21/2)TiO、(Bi1/2Na1/2)TiO、(Li,Na,K)(Ta,Nb)Oを添加したものであってもよい。
【0052】
以下、本発明のセラミックス膜形成用組成物の製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
まず、ビーカー及びスターラーチップの重さを測定した。次に、酢酸ビスマス(III)3.86g(0.01mol)及び2−エチルヘキサン酸15mLをビーカーに加えた。その後、200℃のホットプレート上で約1時間加熱攪拌して、錯体溶液を得た。次に、室温まで空冷した後、ビーカー、スターラーチップ、及び錯体溶液の重さを測定し、ビーカー及びスターラーの重さを引くことで、錯体溶液の質量を測定した。この錯体溶液に、2−エチルヘキサン酸がBi換算4.5等量となるように2−エチルヘキサン酸を加えて、溶液の質量が5.62gとなるように調製した。その後、n−オクタンを10mL加えることで、実施例1の2−エチルヘキサン酸ビスマスを含むセラミックス膜形成用組成物を製造した。
【0053】
(実施例2)
まず、ビーカー及びスターラーチップの重さを測定した。次に、酢酸ビスマス(III)1.93g(0.005mol)、酢酸鉄(II)0.87g(0.005mol)、及び2−エチルヘキサン酸15mLをビーカーに加えた。その後、200℃のホットプレート上で約1時間加熱攪拌して、錯体溶液を得た。次に、室温まで空冷した後、ビーカー、スターラーチップ、及び錯体溶液の重さを測定し、ビーカー及びスターラーの重さを引くことで、錯体溶液の質量を測定した。この錯体溶液に、2−エチルヘキサン酸がBiFeO換算(Bi及びFeの総モル量に対して)6等量となるように2−エチルヘキサン酸を加えて、溶液の質量が5.62gとなるように調製した。その後、n−オクタンを10mL加えることで、実施例2のセラミックス膜形成用組成物を製造した。
【0054】
(実施例3〜6)
実施例2と同様に、BFO換算で2−エチルヘキサン酸の量が6.6等量、9等量、12等量、24等量となるようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例3、実施例4、実施例5、及び実施例6のセラミックス膜形成用組成物を調製した。
【0055】
(試験例1)
実施例1〜6のセラミックス膜形成用組成物、2−エチルヘキサン酸、及びn−オクタンについて、示差走査熱熱重量同時測定(TG−DTAの測定)を行った。なお、TG−DTAの測定は、Bruker製『TG−DTA2000SA』を使用し、温度範囲は、室温〜525℃、昇降温速度は5℃/分、空気雰囲気下で行った。
【0056】
図1に実施例1のセラミックス膜形成用組成物のTG−DTA測定結果を示す。図1のTGより、70℃以下ではn−オクタンの揮発に帰属される急峻な重量減少が、120〜220℃では2−エチルヘキサン酸の揮発に帰属される緩慢な重量減少が、220〜300℃では2−エチルヘキサン酸を配位子とする金属錯体の分解に伴う重量減少が、370〜410℃では酸化ビスマスの生成による重量変化が観測された。DTAでは、前記TGと対応する形で、70℃以下の領域では吸熱ピークが、120〜220℃では弱い吸熱ピークが、220〜320℃では強い発熱ピークが、370〜410℃では発熱ピークが観測された。以上のことから、この溶液は加熱により、n−オクタンの揮発、2−エチルヘキサン酸の揮発、2−エチルヘキサン酸ビスマスの分解、及び酸化ビスマスの生成、という過程を経てセラミックスを形成することがわかった。
【0057】
図2に実施例3のセラミックス膜形成用組成物のTG−DTA測定結果を示す。図2のTGより、70℃以下ではn−オクタンの揮発に帰属される急峻な重量減少が、120〜220℃では2−エチルヘキサン酸の揮発に帰属される緩慢な重量減少が、220〜320℃では2−エチルヘキサン酸を配位子とする金属錯体の分解に伴う重量減少が観測された。DTAでは、70℃以下の領域では吸熱ピークが、220〜320℃では強い発熱ピークが観測されたが、120〜220℃では顕著なピークが観測されなかった。これは、2−エチルヘキサン酸の量が少なく、且つ緩慢な揮発であったため、温度あたりの熱量変化が少なく、ピークとして検出されなかったためである。
【0058】
なお、実施例2のセラミックス膜形成用組成物、及び実施例4のセラミックス膜形成用組成物も同様の結果が得られた。また、実施例5及び実施例6のセラミックス膜形成用組成物は2−エチルヘキサン酸の揮発がDTAで吸熱ピークとして観測された他は、同様であった。
【0059】
また、400〜440℃のピークは次項で述べるようにBiFeOの結晶化に起因しており、実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物で顕著な差は見られなかった。
【0060】
以上のことから、実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物の錯体の分解温度及び結晶化温度は同じであることがわかった。
【0061】
(試験例2)
Rigaku製『MRD』を用い、X線源にCuKα線を使用したX線回折広角法(XRD)により、室温で実施例3のセラミックス膜形成用組成物のTG−DTA測定後に回収した粉末のX線回折チャートを求めた。結果を図3に示す。図3に示すように、ABOに起因するXRDパターンが得られた。このことから、前項で述べたように、400〜440℃において、実施例3のセラミックス膜形成用組成物はABOの結晶化が起こることが明らかとなった。なお、図3のXRDでは2θ=27〜28°付近に異相に起因するピークが観測されるが、このような異相は、参考文献に示すように、BFOで一般的に見られるものであり、異常ではない。
[参考文献]J.Appl.Phys.,101,074108(2007)
【0062】
(試験例3)
Varian社製『Varian/500NB』を使用し、室温にて実施例1のセラミックス膜形成用組成物、及び実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物のH−NMR測定を行った。
【0063】
図4に実施例1のセラミックス膜形成用組成物のH−NMRスペクトルを示す。図4に示すように、それぞれのピークは2−エチルヘキサン酸、及びn−オクタンに帰属され、酢酸に帰属されるピークは観測されなかった。このことから、酢酸と2−エチルヘキサン酸の配位子置換、及び酢酸の揮発は十分に進行していることがわかった。
【0064】
図5に実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物のH−NMRスペクトルを示す。図5に示すように、セラミックス膜形成用組成物においても、酢酸に帰属されるピークは観測されなかった。加えて、2−エチルヘキサン酸の量によらず、酢酸に帰属されるピークは観測されなかった。なお、実施例1のセラミックス膜形成用組成物と比較してピークがブロードニングしているのは、添加元素である鉄の磁性の影響であり、酢酸の有無の判断には影響を与えるものではない。以上のことから、実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物においても、酢酸と2−エチルヘキサン酸の配位子置換、及び酢酸の揮発は十分に進行していることがわかった。
【0065】
<圧電セラミックス膜の製造>
(実施例7〜11)
実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物を使用し、基板上にスピンコート法により圧電セラミックス膜を形成した。基板としては、サイズが一辺2.5cmのプラチナ被覆シリコン基板、具体的には、Pt/TiO/SiO/Siを使用した。
【0066】
まず、セラミックス膜形成用組成物を基板上に滴下し、1500rpmで基板を回転させて圧電セラミックス前駆体膜を形成した(塗布工程)。次に、150℃のホットプレート上で2分間加熱した後、350℃で3分間加熱した(乾燥及び脱脂工程)。この工程を3回繰り返した後、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を使用し、650℃で3分間焼成して結晶化させた。これにより計3層からなる実施例7〜11の圧電セラミックス膜を形成した。なお、実施例7の圧電セラミックス膜の厚さは353nm、実施例8の圧電セラミックス膜の厚さは397nm、実施例9の圧電セラミックス膜の厚さは325nm、実施例10の圧電セラミックス膜の厚さは250nm、実施例11の圧電セラミックス膜の厚さは163nmであった。
【0067】
(試験例4)
ブルッカ社製『D8 Discover』を用い、X線源にCuKα線を使用したX線回折広角法(XRD)により、室温で実施例7〜11の圧電セラミックス膜のX線回折チャートを求めた。結果を図6に示す。図6に示すように、実施例7〜11の圧電セラミックス膜においてペロブスカイト構造単相の鉄酸ビスマス(BFO)が形成していることが明らかとなった。また、図3と同様に異相が見られるが、前述したように鉄酸ビスマス(BFO)では異相の形成は一般的に見られるものであり、異常ではない。
【0068】
以上のことから、実施例2〜6のセラミックス膜形成用組成物はBFO薄膜形成に適した組成物であることがわかった。
【0069】
(他の実施形態)
本発明のセラミックス膜形成用組成物の製造方法により製造されるセラミックス膜形成用組成物は、強誘電体デバイス、焦電体デバイス、圧電体デバイス、及び光学フィルターの強誘電体薄膜を形成するのに好適に用いることができる。強誘電体デバイスとしては、強誘電体メモリ(FeRAM)、強誘電体トランジスタ(FeFET)等が挙げられ、焦電体デバイスとしては、温度センサー、赤外線検出器、温度−電気変換器等が挙げられ、圧電体デバイスとしては、液体吐出装置、超音波モーター、加速度センサー、圧力−電気変換器等が挙げられ、光学フィルターとしては、赤外線等の有害光線の遮断フィルター、量子ドット形成によるフォトニック結晶効果を使用した光学フィルター、薄膜の光干渉を利用した光学フィルターが挙げられる。
【0070】
また、本発明の2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法により形成される2−エチルヘキサン酸ビスマスは、上述したようなセラミックス膜を形成することができるセラミックス膜形成用組成物の原料として好適なものであるが、例えば、ガラス、金属皮膜等を形成するための原料としても好適に用いることができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製する工程と、
前記混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱して、2−エチルヘキサン酸ビスマスを含む錯体溶液を得る工程と、を具備し、
前記錯体溶液を含むセラミックス膜形成用組成物を得ることを特徴とするセラミックス膜形成用組成物の製造方法。
【請求項2】
前記温度が2−エチルヘキサン酸の沸点未満であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス膜形成用組成物の製造方法。
【請求項3】
前記混合溶液は、さらに、酢酸鉄、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マンガン、酢酸ランタン、酢酸セリウム、酢酸コバルト、及び酢酸クロムからなる群から選択される少なくとも1つの第2酢酸塩を含み、
前記錯体溶液は、さらに、前記2−エチルヘキサン酸と前記第2酢酸塩とが反応して得られる2−エチルヘキサン酸を配位子とする第2金属錯体を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス膜形成用組成物の製造方法。
【請求項4】
前記錯体溶液に液体アルカンを添加する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックス膜形成用組成物の製造方法。
【請求項5】
前記錯体溶液に、さらに、鉄、チタン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マンガン、ランタン、セリウム、コバルト、及びクロムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属錯体を添加する工程をさらに具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックス膜形成用組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックス膜形成用組成物の製造方法により製造されたセラミックス膜形成用組成物を塗布し、結晶化することにより形成されるものであり、鉄酸ビスマス系又はチタン酸ビスマス系のペロブスカイト構造の複合酸化物からなることを特徴とする圧電セラミックス膜。
【請求項7】
酢酸ビスマスと、2−エチルヘキサン酸と、を含む混合溶液を調製し、前記混合溶液を酢酸の沸点以上の温度に加熱して、2−エチルヘキサン酸ビスマスを得ることを特徴とする2−エチルヘキサン酸ビスマスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−136487(P2012−136487A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291346(P2010−291346)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】