セラミックス部品の適用方法
【課題】信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供する。
【解決手段】セラミックス材料からなるセラミックス部品を加工した後、加工による残留応力を熱処理により低下させる熱処理工程(111)と、所定温度においてセラミックス部品に一定荷重を負荷する予荷重負荷を与えることにより、高応力部でのクリープ変形を進める予荷重負荷工程(112)と、予荷重負荷工程(112)の後、セラミックス部品が設計強度を有するか否かを調べる保証試験工程(115)とを具備したセラミックス部品の適用方法。
【解決手段】セラミックス材料からなるセラミックス部品を加工した後、加工による残留応力を熱処理により低下させる熱処理工程(111)と、所定温度においてセラミックス部品に一定荷重を負荷する予荷重負荷を与えることにより、高応力部でのクリープ変形を進める予荷重負荷工程(112)と、予荷重負荷工程(112)の後、セラミックス部品が設計強度を有するか否かを調べる保証試験工程(115)とを具備したセラミックス部品の適用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス材料からなるセラミックス部品を、機械部品や構造部品等として適用するためのセラミックス部品の適用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスは脆性のために、かつては機械部品や構造部品としての利用が困難であると考えられていたが、近年新しいセラミックスの開発が進められ、耐熱性、強度、破壊靭性などにおいて従来の材料を大きく上回るものが開発され、機械部品や構造部品への適用に大きな期待を寄せられるようになった。しかし、実用部品にセラミックスを適用するにつれて、セラミックスに関する利用経験の浅さや設計法の未熟さから、多くの失敗を生み出すこととなっている。
【0003】
セラミックスは耐熱性、硬さ、耐摩耗性、化学的安定性、耐食性、剛性、軽量性等の点において、金属よりはるかに優れるが、一方では、金属に比して著しく塑性や、靭性が劣る。セラミックスの破断ひずみは一般的には0.2%程度、またはそれ以下であり、破壊靭性値は2〜7MPa・m1/2程度に過ぎない。金属材料における破断ひずみが約>1%、破壊靭性値が>20MPa・m1/2であるのと比較すると、その差はかなり大きい。
【0004】
耐熱性、硬さなどの特性は、セラミックスが利用される環境の絶対値を定めて、システム全体の機能を決定する諸量であるのに対して、破断ひずみや破壊靭性等は主として、セラミックスを利用したり、製造する環境を如何に管理するかの技術と深く関わることになる。システムの技術を高めるためにはセラミックスが必要とされるが、セラミックスの特性、特に破断ひずみや破壊靭性等の値に応じて設計、製造技術の高度化が行われなければ、求める機能を引き出すことはできない。
【0005】
このため、従来は高純度・均質で微細な粉末を合成し、良好に制御した条件で焼結し、微細で均質な寸法・形状の結晶粒からなる微構造を作ることで、高強度で高信頼性のセラミックスが実現されるとされていた。しかし、近年では材料の複合化の考えにより、高強度、高信頼性の材料が提案されている。
【0006】
図20は、母相200の結晶粒界に微細な分散粒子201を配して、材料を複合化した例を示すものである。また、結晶粒内に分散粒子を配する技術も知られており、いずれも従来の材料に比べて強度や靭性の増加が認められている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
図19は、セラミックス材料の破壊強度と温度との関係を示すものである。図中に示すAl2O3/SiCおよびMgO/SiC複合材は、それぞれ原料粉末を混合し、ホットプレスで焼結することにより得られる。Al2O3/SiCではAl2O3の緻密なマトリックスの中に微細なSiC粒子が均一に分散している。このような複合化により高温での強度低下が著しく抑制され、Al2O3の場合は1000℃でも室温と同程度の強度を示し、MgOの場合には1400℃の高温まで強度低下しないという高温強度の改善効果が得られている。なお、図19中には、Al2O3およびMgOの破壊強度と温度との関係についても示してある。
【0008】
上記複合材の場合には、一般的に緻密化が不可欠であり、機械的加圧を行うホットプレス焼結などの方法で焼結する必要があり、複雑な形状の製品への適用が困難であった。このため、常圧焼結と雰囲気加圧焼結を併用して、開気孔を減少させる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。すなわち、この方法では、図18に示すように、マトリックスとなるセラミックス粒子2に微細な分散粒子1を添加混合することにより、液層3が形成されて常圧焼結段階で閉気孔化が促進され、開気孔を飛躍的に低減させた一次焼結体を得ることができる。さらに一次焼結体は二次焼結によってさらに緻密な材料を得ることができる。
【0009】
別の複合材としては、金属基複合材料がある。この金属基複合材料では、金属基としてシリコン(Si)を用いて、セラミックス基材であるSiCとの複合材を作成したものである(例えば、特許文献3参照。)。この方法ではSiC粉末とカーボン(C)粉末を所定の形状に成型したものに溶融したSiを含浸させることにより、カーボン(C)とSiが高温で反応し、図17に示すように、より微細なSiC粒子6を生成して、成型時のSiC3とともにシリコン/炭化ケイ素複合材料1を作るものである。シリコンのうちカーボンと反応しなかったものは、SiC粒子の周りにネットワーク状に遊離シリコン7として連続して存在する。このため、その強度を、従来のモノリシックSiCに比べて大幅に向上させることができる。
【特許文献1】特開平7−149577号公報
【特許文献2】特開2000−34174号公報
【特許文献3】特開2007−22914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、セラミックス材料は複合化により強度面ではかなりの向上が図られるようになったが、実際に材料として適用する場合には内在する欠陥からのき裂によって破壊し、金属材料と比較するとその信頼性は未だにかなり低く、高信頼性の材料の実現とともに、材料の適用において信頼性を得られる方法の実現が重要な技術的課題であった。
【0011】
構造材料としてセラミックスを利用するには、セラミックスのもつ本質的な特性である脆性を理解し、克服することが必要である。すなわち、セラミックスは強度面からみて、き裂に敏感であり、基本的には破壊力学で示された次式で破壊強度σfが決められる。
σf∝Kc/C1/2
ここで、Kcは破壊靭性値、Cは限界き裂の大きさである。セラミックスでは原子間の結合強度は高いが、材料にはマクロ的なき裂が存在し、そのき裂先端に応力が集中して、低応力で破壊することになる。強度に及ぼす間接的にき裂となりうるものとしては、材料内の気孔や加工き裂、表面粗さ、加工ひずみなどがある。
【0012】
セラミックス特有の性質として強度のばらつきが大きいことも破壊がき裂から生じていることに起因している。破壊強度が弾性係数などのような材料の平均的な性質でなく、材料中に含まれる最大欠陥によって支配されるため、破壊強度は確定値ではなく、統計的な量として捉えられる。このため、破壊は必ずしも見かけの最大応力部から発生するとは限らず、通常は安全係数をかなり大きくとる必要がある。さらに、大きな材料ほど大きな欠陥を含む確率が高くなるため、破壊強度に寸法的な効果が生まれ、単純な引張試験での破壊強度は3点曲げの破壊強度の1/2になる場合もある。
【0013】
また、セラミックス材料内や表面のき裂は一定の大きさに保たれているわけではなく、材料に負荷する応力によってその大きさを増す。通常は、時間に依存したき裂進展特性を示し、短時間負荷では問題なく使用できる場合でも、長時間にわたって同一の負荷を与えると破壊することになる。このき裂進展は時間とともに生じ、負荷の量が変動する場合においても同様に評価でき、さらに使用温度によって異なった特性をもっている。
【0014】
このため、解決すべき課題としては、破壊強度にばらつきを有し、材料の大きさによって破壊強度が変化して、負荷応力によってき裂が進展するセラミックス特有の破壊形態を考慮し、設計寿命内において破壊や損傷が生じることのない、信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を与えることである。
【0015】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたもので、信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のセラミックス部品の適用方法の一態様は、セラミックス材料からなるセラミックス部品を加工した後、加工による残留応力を熱処理により低下させる熱処理工程と、所定温度において前記セラミックス部品に一定荷重を負荷する予荷重負荷を与えることにより、高応力部でのクリープ変形を進める予荷重負荷工程と、前記予荷重負荷工程の後、前記セラミックス部品が設計強度を有するか否かを調べる保証試験工程とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態のセラミックス部品の適用方法を示す流れ図である。
【0019】
本実施形態では、図1に示すように、要求されたセラミックス部品の使用条件(101)に対して、まず適用材料の選定を行う(102)。上記セラミックス部品の使用条件には、温度、荷重、雰囲気などの条件が含まれる。適用材料の選定では、セラミックス部品の使用条件に合致するセラミックス材料として、新規材料の適用とし(103)、セラミックス材料を新規に開発するか、既存材料の適用とし(104)、既存材料から選択するかを決定する。
【0020】
新規材料を開発する場合には、母相となる原料や焼結助剤等を選定し、また材料を複合化する場合には分散粒子やセラミックス繊維を選定する材料設計を行う(105)。次に、原料の混合、造粒、成型後、焼成(焼結)して新材料の製作を行う(106)。部品化のためには表面研磨加工などの表面仕上げを実施する(107)。同時に試験片を同一条件で作成し、基本的な試験片による強度データを取得して(108)、この強度データを材料データベース(109)に蓄積する。
【0021】
一方、既存材料を適用する場合には、材料データベース(109)に蓄積されている情報から材料を選定して、材料を取得し、新材料の場合と同様に表面研磨加工などの表面仕上げをして(110)、セラミックス部品とする。
【0022】
次に、表面研磨加工などによって表面やその下部に生じた残留応力等を低減するために許容温度で、表面改質のための熱処理を実施する(111)。
【0023】
さらに、セラミックス部品に実際の使用温度またはそれ以上の温度において、予荷重を負荷する(112)。この予荷重の付加では、予め実施するセラミックス部品に応力、ひずみ解析を行い(113)、その結果を用いて予荷重条件設定を行う(114)。一般的には、実荷重の数分の一の荷重を一定時間、段階的に増加して与える。この予荷重の負荷は一般的には内在する欠陥からき裂を進展させ、結果として部品の寿命を低下させることになるが、適用部品に予負荷中において、クリープ変形しやすい特性を与えることにより、実負荷によって生じる応力を緩和させ、その結果として部品強度を見かけ上向上する効果が得られる。
【0024】
セラミックス部品の健全性確認は、最終的には部品の保証試験により行う(115)。この部品の保証試験は、実荷重より大きな荷重かまたは使用温度より高い温度において、設計仕様による設計寿命より短時間高い負荷をかけて高負荷短時間強度を得る保証試験条件設定がなされ(116)る。
【0025】
そして、保証試験の結果、等価強度以上の強度があることが確認されれば、実条件の負荷に対して十分に設計寿命を満足することが確認される。すなわち、この保証試験において、許容合格率>部品破壊確率となる部品か否かが判断され(117)、許容合格率>部品破壊確率となる部品が破損しない部品として、実際に適用される(118)。一方、部品破壊確率が許容合格率を超える場合には、最初の使用条件(101)から見直して材料の適用を再検討する。
【0026】
以上のように、本実施形態では、研磨加工などの表面仕上げを施してセラミックス部品を作製した後、研磨加工などによって表面やその下部に生じた残留応力等を低減するために許容温度で熱処理(111)を実施する。
【0027】
図2は、縦軸を残留応力及びクリープひずみ、横軸を時間として、残留応力と発生するクリープひずみの時間変化を示したものである。研磨加工等によって生じた表面の残留応力は、表面の極表層が引張応力状態にあるが、高温状態に置かれることにより局部的にクリープ変形して、応力緩和し、応力の低下を生ずる。低下応力Δσはクリープひずみεcとヤング率Eにより、Δσ=E・εcとなる。
【0028】
セラミックス単結晶のクリープは転移の移動や上昇などの格子機構によるが、変形を生じにくい共有結合性多結晶体の変形においては、粒界の関与する機構が重要となり、図3に示すように粒界すべりクリープ(図3(a))や拡散クリープ(図3(b))、粘性流動などの機構によってクリープ変形する。粒界すべりクリープは、多結晶体の粒子相互のすべりにより変形の生じる機構である。拡散クリープは、粒界に働く応力によって空孔濃度の差が生じ、空孔が拡散する過程で粒界が変形しクリープ変形する機構である。粒界にアモルファス相が存在する場合あるいは粒界がニュートン流動的な挙動を示す層で構成されている場合には、粘性流動によってクリープ変形する。以上のように様々な機構によりセラミックス材料はクリープ変形し、それに伴って応力緩和が生ずる。
【0029】
さらに、本実施形態では、上記したように、セラミックス部品に実際の使用温度またはそれ以上の温度において、予荷重を負荷する(112)。
【0030】
図4に、セラミックス部品に予荷重を負荷した直後(a)と、クリープ変形後(b)の等応力線図を比較して示す。負荷直後では、局部的に応力分布が急減に変化しており、最大となっている応力値も大きいが、予荷重を一定時間負荷し、応力の大きい部分のクリープ変形が進行すると応力分布もなだらかになり、最大応力も大きく低下する。これは応力の大きい部分ほどクリープ変形が進みやすく、クリープひずみが緩和応力に変換することによって応力緩和が図られるからである。
【0031】
図5は、縦軸を応力、横軸を最大応力位置からの距離として、最大応力部を含む断面の応力分布の変化を示す図である。図5に示されるように、初期の最大応力値はクリープ変形によって大きく低下するとともに、応力の低い部分の応力は多少上昇する。セラミックス材料の破壊は最大応力値と応力の大きい部分の体積(有効体積)によって決められるため、最大応力値の低下は破損を防ぐためには非常に有効となる。
【0032】
図6は、縦軸を応力、横軸を時間として、最大応力部と最小応力部の応力の時間変化を示したものである。初期状態では応力値に大きな差があるが、クリープ変形が進行することにより両応力の差異は小さくなる傾向にある。しかし、予荷重は実荷重に比べて破損防止のために小さい値を設定して与えるため、発生するクリープひずみも小さくなり、予荷重が小さいほど最大応力の低下も小さくなる。
【0033】
図7は、一般的なセラミックス材料の時間依存破壊強度特性を示す線図である。前述したようにセラミックスは、内在する欠陥からのき裂進展によって破壊することになるが、負荷応力が小さいほど破壊までの時間は長くなり、負荷応力をσ、破断時間tfとするとtf=Cσnで示される指数式で表示される。こごて指数nは非常に小さい負の値であり、き裂進展速度式の指数の負の逆数となる。しかし、この時間依存式で表される強度特性はあくまで材料の中央強度特性であり、材料は一定の確率を持ってこの中央特性付近の強度で破壊することになる。すなわち、破壊特性は時間に対して一定の傾きを有する範囲で示される特性となる。
【0034】
図8は、材料の破壊特性(強度特性)線図と予荷重により発生する応力の履歴を併記したものである。まず材料の破壊特性線図に対して一定の安全率を設けて、設計曲線を設け、この線上に設計条件となる応力と時間を設定する。この設計条件での時間強度を満足できればセラミックス部品として実際に適用することができることになる。
【0035】
予荷重は負荷段階での破損を防ぐため、設計条件の荷重に比べてかなり小さな荷重から負荷を行う。一定荷重の負荷により発生する最大応力は応力緩和により低下するので負荷直後から、時間の経過とともに除々に低下する。一定時間負荷した後、予荷重を増大して再負荷する。この際、最初の予荷重負荷によって、破壊特性線図と同じ傾きの想定線図(破線)を想定した場合、実際の部品の強度特性は想定した想定線図以上の特性を有することは確認されたことになる。すなわち、2回目の予荷重負荷にでは想定線図上に位置する強度までは保証されたことになるので、予荷重を負荷した直後に破損することはない。
【0036】
2回目の予荷重負荷も同様に一定時間負荷した後、次の予荷重に増大させて負荷する。最終的には実荷重までの荷重を負荷するところで予荷重の負荷を終える。この場合、予荷重負荷によって最大応力部を中心にクリープ変形が進行することになり、このため実荷重を負荷する際でも、予荷重なしに最初から実荷重を負荷する場合と異なり、発生する最大応力もかなり緩和され低下していることになる。すなわち、見かけ上は破壊強度が増大することになる。
【0037】
セラミックス部品の健全性確認は最終的には保証試験により行うが、保証試験は実荷重より大きな荷重かまたは使用温度より高い温度において、設計仕様時間(設計寿命)より短時間負荷することにより得られる高負荷短時間強度が等価強度の検証値を満足できるか否かで判断される。
【0038】
図9は、使用温度での保証試験における負荷履歴を示す図である。使用温度における保証試験は、設計荷重より大きな荷重を負荷して設計時間より短時間で、等価強度が得られるまで実施する。保証試験中もクリープ変形が進むため、これを考慮して保証試験条件を決定する。
【0039】
図10は、使用温度より高い温度での保証試験における負荷履歴を示す図である。高温では材料強度特性が低下することを考慮して保証試験の条件を決定する必要があり、設計仕様時間で等価となる強度までの負荷を行う。荷重は設計荷重とほぼ同じか多少大きな荷重となる。保証試験の条件は予負荷条件とともに、部品のクリープ解析を実施して決定する必要がある。
【0040】
クリープ解析は、図11に示すような応力レベルごとに実施した材料のクリープ曲線データを基にして、一定荷重条件下での応力変化を有限要素法(FEM)解析で求めて算出する。この等価強度以上の強度があることが確認されれば、実条件の負荷に対して十分に設計寿命を満足することが確認される。この保証試験において破損しない部品を実際に適用することとなるが、合格率が許容する割合に満たない場合には、最初の使用条件から見直して材料の適用を検討する必要がある。
【0041】
以上の説明から分かるように、本実施形態では、設計仕様条件に適合するセラミックス材料を選択する段階で、ある程度のクリープ変形性のあるセラミックス材料を選ぶことが好ましい。これにより、熱処理により部品化において生じた残留応力などの低減、除去が加速し、また、予荷重負荷において段階的な負荷中にクリープ変形が進行して、応力分布の平準化が進行し、見かけ上の部品強度の向上が図られる。
【0042】
上記の本実施形態では、要求されたセラミックス部品の使用条件に対して、適用材料を選定する際に、条件に合致するセラミックス材料を新規に開発する場合、既存材料から選択する場合のどちらの場合でも、得られた基本的な強度データは材料データベース109に蓄積し、既存材料データとして活用することにより、材料の選択から使用条件の決定まで有機的に適用できる。
【0043】
なお、材料選択において重要なことは材料のクリープ変形性の大きさであり、実荷重において応力集中等により局所的に応力が大きくなる場合には、応力分布を平準化するため、ある程度クリープ変形性の大きい材料を選択する。しかし、クリープ変形があまりに大きくなる場合には短時間でクリープ破断となる場合があるため、予め応力ひずみ解析を実施してクリープ変形の有効性を確認する。
【0044】
また、研磨加工などによって表面やその下部に生じた残留応力等を低減、除去するために許容温度で熱処理を実施するが、この段階でも材料のクリープ変形性は重要であり、クリープ変形が生じにくい材料では高温化の熱処理によっても残留応力の低減は望めない。
【0045】
さらに、部品に実際の使用温度またはそれ以上の温度において、予荷重を負荷する。この予荷重の負荷は一般的には内在する欠陥からき裂を進展させ、結果として部品の寿命を低下させることになるが、適用部品に予負荷中において、クリープ変形しやすい特性を与えることにより、実負荷によって生じる応力を緩和させ、その結果として部品強度の見かけ上の向上する効果が得られる。予荷重は一定荷重を段階的に増加させて行うが、一定負荷中である場合においても、応力の集中する部分の応力はその部分のクリープ変形によって低減する。破壊強度は最大応力によってほぼ定められるので、最大応力を低減することにより、破壊強度は逆に増大することになる。予荷重は段階的に荷重を増大させることにより、その間にクリープ変形が進行するために、予荷重を与えない場合よりも設計荷重における破壊強度ははるかに高くなる。
【0046】
セラミックス部品の健全性確認は、最終的には保証試験により行うが、保証試験は実荷重より大きな荷重かまたは使用温度より高い温度において設計仕様時間より短時間負荷することにより得られる高負荷短時間強度が等価強度の検証値を満足できるか否かで判断される。この等価強度以上の強度があることが確認されれば、実条件の負荷に対して十分に設計寿命を満足することが確認される。保証試験は設計荷重より大きな荷重を負荷することにより、設計時間よりもはるかに短時間で部品の健全性を評価することができる。また、予荷重によって生じたクリープ変形によって、設計荷重より大きな荷重であっても、実質的な荷重は設計荷重かそれ以下の荷重となっているため、保証試験をより緩和された条件で実施することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、まず材料選定段階で材料のクリープ変形性を考慮することにより、研磨加工後の残留応力などの有害な損傷を低減、除去することを加速させることができるだけでなく、予荷重において一定荷重を段階的に負荷させることにより、クリープ変形が徐々に進行するため、最大応力がその間に緩和し、見かけ上部品強度を増大させることができるとともに、保証試験を実荷重より緩和させた条件で、短時間に実施し、その健全性を保証することができる。
【0048】
セラミックス材料としては、図12に示すように、セラミックス結晶120の結晶粒界に、ナノ粒子(セラミックスの微細なナノサイズの分散粒子)121を配した複合材を使用することができる。窒化珪素等のセラミックス材料に炭化珪素(SiC)の微細な粒子を一定量以上複合すると、粒子は母相のみならず、粒界にも分散し、金属材料並みの塑性変形特性を得ることができる。このようなセラミックス材料では、塑性変形性によっても、上記実施形態で示したクリープ変形性と同様な応力緩和特性を短時間で与えることができる。
【0049】
また図13に示すセラミックス材料は、セラミックス結晶130の結晶粒界に、ナノサイズの微細な開気孔であるナノ開気孔131を設けて、粒界での変形性を高めた例である。一般には開気孔は材料欠陥となり、き裂の進展、材料破壊の起点となる有害なものであるが、ナノサイズまで微細に気孔を小さくすることにより、粒界での気孔が粒界での変形性を高めてクリープ変形性が向上する。このようなセラミックス材料も、用いることができる。
【0050】
図14は、金属基複合材料の例を示すものである。この金属基複合材料では、セラミックス結晶140の結晶粒界に、シリコン(Si)等の金属粒界141を配することにより、高温において粒界における変形性が増大して、材料自体のクリープ変形性を向上させることができる。
【0051】
以上のように、結晶粒界に、ナノサイズのセラミックス粒子や開気孔を設けたり、金属基複合材料として粒界に金属を配することにより、材料自体の強度を高めるとともに、クリープ変形性を向上させて、本実施形態で示した熱処理や予荷重、保証試験での応力緩和特性を向上させ、見かけ上の強度も向上させることができる。
【0052】
セラミックス部品としては、図15に示すように、部品形状から応力が集中し、応力が高くなる部位に、上記したようなクリープ性の高い高クリープ性材料150を配置し、応力集中部では応力の低下をもたらし、同時に他の部位では過度のクリープ変形を防止するようにクリープ性の低い材料151を配置することにより、高応力部の応力低下とその他の部位でのクリープ変形の防止を両立させることができ、部品強度と健全性を大きく向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態における熱処理工程では、図16に示すように、熱処理における材料の酸化を利用して図16(a)に示す研磨加工により生じた加工傷160を図16(b)に示すように補修することができる。研磨加工後の熱処理は、通常は表面の酸化防止のために不活性ガスなどの酸化しない雰囲気で実施されるが、酸化が許容される場合には酸化雰囲気で熱処理を行うことにより、表面の微細な加工傷160に、材料中のSi又はSiC161が酸素と反応してSiO2162を作り、傷を補修することができる。この傷補修効果は見かけ上の表面欠陥の除去であり、残留応力低減効果と相まって、表面改質効果は大きくなる。
【0054】
以上のように、本実施形態では、信頼性の高い、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態を説明する流れ図。
【図2】研磨加工後の熱処理による残留応力の低下とクリープひずみの変化を説明するグラフ。
【図3】(a)および(b)は各々粒界すべりクリープ、粒界拡散クリープにおけるクリープ変形を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図4】(a)および(b)は負荷直後とクリープ変形後におけるクリープ変形による応力分布の変化を説明するためのセラミックス部品の断面図。
【図5】クリープ変形による応力分布形状の変化を説明するためのグラフ。
【図6】クリープ変形による応力の時間変化を説明するためのグラフ。
【図7】一般的なセラミックス材料の時間破壊強度を説明するためのグラフ。
【図8】予荷重の履歴を説明するためのグラフ。
【図9】高温での保証試験における応力履歴の一実施形態を説明するためのグラフ。
【図10】高温での保証試験における応力履歴の一実施形態を説明するためのグラフ。
【図11】クリープ解析におけるクリープひずみデータの一例を説明するためのグラフ。
【図12】粒子分散複合材を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図13】粒界にナノ開気孔を設けた材料を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図14】金属複合材料を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図15】高応力部へのクリープ性の高い材料の適用を説明するためのセラミックス部品の断面図。
【図16】(a)および(b)は加工傷発生時と補修後を各々示す、熱処理における加工傷の補修効果を説明するためのセラミックス部品の拡大断面図。
【図17】従来のセラミックス複合材料の構造を模式的に示す拡大断面図。
【図18】従来のセラミックス複合材料の構造を模式的に示す拡大断面図。
【図19】従来の粒子分散複合材における材料強度を説明するためのグラフ。
【図20】従来のセラミックス複合材料の構造を模式的に示す拡大断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス材料からなるセラミックス部品を、機械部品や構造部品等として適用するためのセラミックス部品の適用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスは脆性のために、かつては機械部品や構造部品としての利用が困難であると考えられていたが、近年新しいセラミックスの開発が進められ、耐熱性、強度、破壊靭性などにおいて従来の材料を大きく上回るものが開発され、機械部品や構造部品への適用に大きな期待を寄せられるようになった。しかし、実用部品にセラミックスを適用するにつれて、セラミックスに関する利用経験の浅さや設計法の未熟さから、多くの失敗を生み出すこととなっている。
【0003】
セラミックスは耐熱性、硬さ、耐摩耗性、化学的安定性、耐食性、剛性、軽量性等の点において、金属よりはるかに優れるが、一方では、金属に比して著しく塑性や、靭性が劣る。セラミックスの破断ひずみは一般的には0.2%程度、またはそれ以下であり、破壊靭性値は2〜7MPa・m1/2程度に過ぎない。金属材料における破断ひずみが約>1%、破壊靭性値が>20MPa・m1/2であるのと比較すると、その差はかなり大きい。
【0004】
耐熱性、硬さなどの特性は、セラミックスが利用される環境の絶対値を定めて、システム全体の機能を決定する諸量であるのに対して、破断ひずみや破壊靭性等は主として、セラミックスを利用したり、製造する環境を如何に管理するかの技術と深く関わることになる。システムの技術を高めるためにはセラミックスが必要とされるが、セラミックスの特性、特に破断ひずみや破壊靭性等の値に応じて設計、製造技術の高度化が行われなければ、求める機能を引き出すことはできない。
【0005】
このため、従来は高純度・均質で微細な粉末を合成し、良好に制御した条件で焼結し、微細で均質な寸法・形状の結晶粒からなる微構造を作ることで、高強度で高信頼性のセラミックスが実現されるとされていた。しかし、近年では材料の複合化の考えにより、高強度、高信頼性の材料が提案されている。
【0006】
図20は、母相200の結晶粒界に微細な分散粒子201を配して、材料を複合化した例を示すものである。また、結晶粒内に分散粒子を配する技術も知られており、いずれも従来の材料に比べて強度や靭性の増加が認められている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
図19は、セラミックス材料の破壊強度と温度との関係を示すものである。図中に示すAl2O3/SiCおよびMgO/SiC複合材は、それぞれ原料粉末を混合し、ホットプレスで焼結することにより得られる。Al2O3/SiCではAl2O3の緻密なマトリックスの中に微細なSiC粒子が均一に分散している。このような複合化により高温での強度低下が著しく抑制され、Al2O3の場合は1000℃でも室温と同程度の強度を示し、MgOの場合には1400℃の高温まで強度低下しないという高温強度の改善効果が得られている。なお、図19中には、Al2O3およびMgOの破壊強度と温度との関係についても示してある。
【0008】
上記複合材の場合には、一般的に緻密化が不可欠であり、機械的加圧を行うホットプレス焼結などの方法で焼結する必要があり、複雑な形状の製品への適用が困難であった。このため、常圧焼結と雰囲気加圧焼結を併用して、開気孔を減少させる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。すなわち、この方法では、図18に示すように、マトリックスとなるセラミックス粒子2に微細な分散粒子1を添加混合することにより、液層3が形成されて常圧焼結段階で閉気孔化が促進され、開気孔を飛躍的に低減させた一次焼結体を得ることができる。さらに一次焼結体は二次焼結によってさらに緻密な材料を得ることができる。
【0009】
別の複合材としては、金属基複合材料がある。この金属基複合材料では、金属基としてシリコン(Si)を用いて、セラミックス基材であるSiCとの複合材を作成したものである(例えば、特許文献3参照。)。この方法ではSiC粉末とカーボン(C)粉末を所定の形状に成型したものに溶融したSiを含浸させることにより、カーボン(C)とSiが高温で反応し、図17に示すように、より微細なSiC粒子6を生成して、成型時のSiC3とともにシリコン/炭化ケイ素複合材料1を作るものである。シリコンのうちカーボンと反応しなかったものは、SiC粒子の周りにネットワーク状に遊離シリコン7として連続して存在する。このため、その強度を、従来のモノリシックSiCに比べて大幅に向上させることができる。
【特許文献1】特開平7−149577号公報
【特許文献2】特開2000−34174号公報
【特許文献3】特開2007−22914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、セラミックス材料は複合化により強度面ではかなりの向上が図られるようになったが、実際に材料として適用する場合には内在する欠陥からのき裂によって破壊し、金属材料と比較するとその信頼性は未だにかなり低く、高信頼性の材料の実現とともに、材料の適用において信頼性を得られる方法の実現が重要な技術的課題であった。
【0011】
構造材料としてセラミックスを利用するには、セラミックスのもつ本質的な特性である脆性を理解し、克服することが必要である。すなわち、セラミックスは強度面からみて、き裂に敏感であり、基本的には破壊力学で示された次式で破壊強度σfが決められる。
σf∝Kc/C1/2
ここで、Kcは破壊靭性値、Cは限界き裂の大きさである。セラミックスでは原子間の結合強度は高いが、材料にはマクロ的なき裂が存在し、そのき裂先端に応力が集中して、低応力で破壊することになる。強度に及ぼす間接的にき裂となりうるものとしては、材料内の気孔や加工き裂、表面粗さ、加工ひずみなどがある。
【0012】
セラミックス特有の性質として強度のばらつきが大きいことも破壊がき裂から生じていることに起因している。破壊強度が弾性係数などのような材料の平均的な性質でなく、材料中に含まれる最大欠陥によって支配されるため、破壊強度は確定値ではなく、統計的な量として捉えられる。このため、破壊は必ずしも見かけの最大応力部から発生するとは限らず、通常は安全係数をかなり大きくとる必要がある。さらに、大きな材料ほど大きな欠陥を含む確率が高くなるため、破壊強度に寸法的な効果が生まれ、単純な引張試験での破壊強度は3点曲げの破壊強度の1/2になる場合もある。
【0013】
また、セラミックス材料内や表面のき裂は一定の大きさに保たれているわけではなく、材料に負荷する応力によってその大きさを増す。通常は、時間に依存したき裂進展特性を示し、短時間負荷では問題なく使用できる場合でも、長時間にわたって同一の負荷を与えると破壊することになる。このき裂進展は時間とともに生じ、負荷の量が変動する場合においても同様に評価でき、さらに使用温度によって異なった特性をもっている。
【0014】
このため、解決すべき課題としては、破壊強度にばらつきを有し、材料の大きさによって破壊強度が変化して、負荷応力によってき裂が進展するセラミックス特有の破壊形態を考慮し、設計寿命内において破壊や損傷が生じることのない、信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を与えることである。
【0015】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたもので、信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のセラミックス部品の適用方法の一態様は、セラミックス材料からなるセラミックス部品を加工した後、加工による残留応力を熱処理により低下させる熱処理工程と、所定温度において前記セラミックス部品に一定荷重を負荷する予荷重負荷を与えることにより、高応力部でのクリープ変形を進める予荷重負荷工程と、前記予荷重負荷工程の後、前記セラミックス部品が設計強度を有するか否かを調べる保証試験工程とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、信頼性が高く、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態のセラミックス部品の適用方法を示す流れ図である。
【0019】
本実施形態では、図1に示すように、要求されたセラミックス部品の使用条件(101)に対して、まず適用材料の選定を行う(102)。上記セラミックス部品の使用条件には、温度、荷重、雰囲気などの条件が含まれる。適用材料の選定では、セラミックス部品の使用条件に合致するセラミックス材料として、新規材料の適用とし(103)、セラミックス材料を新規に開発するか、既存材料の適用とし(104)、既存材料から選択するかを決定する。
【0020】
新規材料を開発する場合には、母相となる原料や焼結助剤等を選定し、また材料を複合化する場合には分散粒子やセラミックス繊維を選定する材料設計を行う(105)。次に、原料の混合、造粒、成型後、焼成(焼結)して新材料の製作を行う(106)。部品化のためには表面研磨加工などの表面仕上げを実施する(107)。同時に試験片を同一条件で作成し、基本的な試験片による強度データを取得して(108)、この強度データを材料データベース(109)に蓄積する。
【0021】
一方、既存材料を適用する場合には、材料データベース(109)に蓄積されている情報から材料を選定して、材料を取得し、新材料の場合と同様に表面研磨加工などの表面仕上げをして(110)、セラミックス部品とする。
【0022】
次に、表面研磨加工などによって表面やその下部に生じた残留応力等を低減するために許容温度で、表面改質のための熱処理を実施する(111)。
【0023】
さらに、セラミックス部品に実際の使用温度またはそれ以上の温度において、予荷重を負荷する(112)。この予荷重の付加では、予め実施するセラミックス部品に応力、ひずみ解析を行い(113)、その結果を用いて予荷重条件設定を行う(114)。一般的には、実荷重の数分の一の荷重を一定時間、段階的に増加して与える。この予荷重の負荷は一般的には内在する欠陥からき裂を進展させ、結果として部品の寿命を低下させることになるが、適用部品に予負荷中において、クリープ変形しやすい特性を与えることにより、実負荷によって生じる応力を緩和させ、その結果として部品強度を見かけ上向上する効果が得られる。
【0024】
セラミックス部品の健全性確認は、最終的には部品の保証試験により行う(115)。この部品の保証試験は、実荷重より大きな荷重かまたは使用温度より高い温度において、設計仕様による設計寿命より短時間高い負荷をかけて高負荷短時間強度を得る保証試験条件設定がなされ(116)る。
【0025】
そして、保証試験の結果、等価強度以上の強度があることが確認されれば、実条件の負荷に対して十分に設計寿命を満足することが確認される。すなわち、この保証試験において、許容合格率>部品破壊確率となる部品か否かが判断され(117)、許容合格率>部品破壊確率となる部品が破損しない部品として、実際に適用される(118)。一方、部品破壊確率が許容合格率を超える場合には、最初の使用条件(101)から見直して材料の適用を再検討する。
【0026】
以上のように、本実施形態では、研磨加工などの表面仕上げを施してセラミックス部品を作製した後、研磨加工などによって表面やその下部に生じた残留応力等を低減するために許容温度で熱処理(111)を実施する。
【0027】
図2は、縦軸を残留応力及びクリープひずみ、横軸を時間として、残留応力と発生するクリープひずみの時間変化を示したものである。研磨加工等によって生じた表面の残留応力は、表面の極表層が引張応力状態にあるが、高温状態に置かれることにより局部的にクリープ変形して、応力緩和し、応力の低下を生ずる。低下応力Δσはクリープひずみεcとヤング率Eにより、Δσ=E・εcとなる。
【0028】
セラミックス単結晶のクリープは転移の移動や上昇などの格子機構によるが、変形を生じにくい共有結合性多結晶体の変形においては、粒界の関与する機構が重要となり、図3に示すように粒界すべりクリープ(図3(a))や拡散クリープ(図3(b))、粘性流動などの機構によってクリープ変形する。粒界すべりクリープは、多結晶体の粒子相互のすべりにより変形の生じる機構である。拡散クリープは、粒界に働く応力によって空孔濃度の差が生じ、空孔が拡散する過程で粒界が変形しクリープ変形する機構である。粒界にアモルファス相が存在する場合あるいは粒界がニュートン流動的な挙動を示す層で構成されている場合には、粘性流動によってクリープ変形する。以上のように様々な機構によりセラミックス材料はクリープ変形し、それに伴って応力緩和が生ずる。
【0029】
さらに、本実施形態では、上記したように、セラミックス部品に実際の使用温度またはそれ以上の温度において、予荷重を負荷する(112)。
【0030】
図4に、セラミックス部品に予荷重を負荷した直後(a)と、クリープ変形後(b)の等応力線図を比較して示す。負荷直後では、局部的に応力分布が急減に変化しており、最大となっている応力値も大きいが、予荷重を一定時間負荷し、応力の大きい部分のクリープ変形が進行すると応力分布もなだらかになり、最大応力も大きく低下する。これは応力の大きい部分ほどクリープ変形が進みやすく、クリープひずみが緩和応力に変換することによって応力緩和が図られるからである。
【0031】
図5は、縦軸を応力、横軸を最大応力位置からの距離として、最大応力部を含む断面の応力分布の変化を示す図である。図5に示されるように、初期の最大応力値はクリープ変形によって大きく低下するとともに、応力の低い部分の応力は多少上昇する。セラミックス材料の破壊は最大応力値と応力の大きい部分の体積(有効体積)によって決められるため、最大応力値の低下は破損を防ぐためには非常に有効となる。
【0032】
図6は、縦軸を応力、横軸を時間として、最大応力部と最小応力部の応力の時間変化を示したものである。初期状態では応力値に大きな差があるが、クリープ変形が進行することにより両応力の差異は小さくなる傾向にある。しかし、予荷重は実荷重に比べて破損防止のために小さい値を設定して与えるため、発生するクリープひずみも小さくなり、予荷重が小さいほど最大応力の低下も小さくなる。
【0033】
図7は、一般的なセラミックス材料の時間依存破壊強度特性を示す線図である。前述したようにセラミックスは、内在する欠陥からのき裂進展によって破壊することになるが、負荷応力が小さいほど破壊までの時間は長くなり、負荷応力をσ、破断時間tfとするとtf=Cσnで示される指数式で表示される。こごて指数nは非常に小さい負の値であり、き裂進展速度式の指数の負の逆数となる。しかし、この時間依存式で表される強度特性はあくまで材料の中央強度特性であり、材料は一定の確率を持ってこの中央特性付近の強度で破壊することになる。すなわち、破壊特性は時間に対して一定の傾きを有する範囲で示される特性となる。
【0034】
図8は、材料の破壊特性(強度特性)線図と予荷重により発生する応力の履歴を併記したものである。まず材料の破壊特性線図に対して一定の安全率を設けて、設計曲線を設け、この線上に設計条件となる応力と時間を設定する。この設計条件での時間強度を満足できればセラミックス部品として実際に適用することができることになる。
【0035】
予荷重は負荷段階での破損を防ぐため、設計条件の荷重に比べてかなり小さな荷重から負荷を行う。一定荷重の負荷により発生する最大応力は応力緩和により低下するので負荷直後から、時間の経過とともに除々に低下する。一定時間負荷した後、予荷重を増大して再負荷する。この際、最初の予荷重負荷によって、破壊特性線図と同じ傾きの想定線図(破線)を想定した場合、実際の部品の強度特性は想定した想定線図以上の特性を有することは確認されたことになる。すなわち、2回目の予荷重負荷にでは想定線図上に位置する強度までは保証されたことになるので、予荷重を負荷した直後に破損することはない。
【0036】
2回目の予荷重負荷も同様に一定時間負荷した後、次の予荷重に増大させて負荷する。最終的には実荷重までの荷重を負荷するところで予荷重の負荷を終える。この場合、予荷重負荷によって最大応力部を中心にクリープ変形が進行することになり、このため実荷重を負荷する際でも、予荷重なしに最初から実荷重を負荷する場合と異なり、発生する最大応力もかなり緩和され低下していることになる。すなわち、見かけ上は破壊強度が増大することになる。
【0037】
セラミックス部品の健全性確認は最終的には保証試験により行うが、保証試験は実荷重より大きな荷重かまたは使用温度より高い温度において、設計仕様時間(設計寿命)より短時間負荷することにより得られる高負荷短時間強度が等価強度の検証値を満足できるか否かで判断される。
【0038】
図9は、使用温度での保証試験における負荷履歴を示す図である。使用温度における保証試験は、設計荷重より大きな荷重を負荷して設計時間より短時間で、等価強度が得られるまで実施する。保証試験中もクリープ変形が進むため、これを考慮して保証試験条件を決定する。
【0039】
図10は、使用温度より高い温度での保証試験における負荷履歴を示す図である。高温では材料強度特性が低下することを考慮して保証試験の条件を決定する必要があり、設計仕様時間で等価となる強度までの負荷を行う。荷重は設計荷重とほぼ同じか多少大きな荷重となる。保証試験の条件は予負荷条件とともに、部品のクリープ解析を実施して決定する必要がある。
【0040】
クリープ解析は、図11に示すような応力レベルごとに実施した材料のクリープ曲線データを基にして、一定荷重条件下での応力変化を有限要素法(FEM)解析で求めて算出する。この等価強度以上の強度があることが確認されれば、実条件の負荷に対して十分に設計寿命を満足することが確認される。この保証試験において破損しない部品を実際に適用することとなるが、合格率が許容する割合に満たない場合には、最初の使用条件から見直して材料の適用を検討する必要がある。
【0041】
以上の説明から分かるように、本実施形態では、設計仕様条件に適合するセラミックス材料を選択する段階で、ある程度のクリープ変形性のあるセラミックス材料を選ぶことが好ましい。これにより、熱処理により部品化において生じた残留応力などの低減、除去が加速し、また、予荷重負荷において段階的な負荷中にクリープ変形が進行して、応力分布の平準化が進行し、見かけ上の部品強度の向上が図られる。
【0042】
上記の本実施形態では、要求されたセラミックス部品の使用条件に対して、適用材料を選定する際に、条件に合致するセラミックス材料を新規に開発する場合、既存材料から選択する場合のどちらの場合でも、得られた基本的な強度データは材料データベース109に蓄積し、既存材料データとして活用することにより、材料の選択から使用条件の決定まで有機的に適用できる。
【0043】
なお、材料選択において重要なことは材料のクリープ変形性の大きさであり、実荷重において応力集中等により局所的に応力が大きくなる場合には、応力分布を平準化するため、ある程度クリープ変形性の大きい材料を選択する。しかし、クリープ変形があまりに大きくなる場合には短時間でクリープ破断となる場合があるため、予め応力ひずみ解析を実施してクリープ変形の有効性を確認する。
【0044】
また、研磨加工などによって表面やその下部に生じた残留応力等を低減、除去するために許容温度で熱処理を実施するが、この段階でも材料のクリープ変形性は重要であり、クリープ変形が生じにくい材料では高温化の熱処理によっても残留応力の低減は望めない。
【0045】
さらに、部品に実際の使用温度またはそれ以上の温度において、予荷重を負荷する。この予荷重の負荷は一般的には内在する欠陥からき裂を進展させ、結果として部品の寿命を低下させることになるが、適用部品に予負荷中において、クリープ変形しやすい特性を与えることにより、実負荷によって生じる応力を緩和させ、その結果として部品強度の見かけ上の向上する効果が得られる。予荷重は一定荷重を段階的に増加させて行うが、一定負荷中である場合においても、応力の集中する部分の応力はその部分のクリープ変形によって低減する。破壊強度は最大応力によってほぼ定められるので、最大応力を低減することにより、破壊強度は逆に増大することになる。予荷重は段階的に荷重を増大させることにより、その間にクリープ変形が進行するために、予荷重を与えない場合よりも設計荷重における破壊強度ははるかに高くなる。
【0046】
セラミックス部品の健全性確認は、最終的には保証試験により行うが、保証試験は実荷重より大きな荷重かまたは使用温度より高い温度において設計仕様時間より短時間負荷することにより得られる高負荷短時間強度が等価強度の検証値を満足できるか否かで判断される。この等価強度以上の強度があることが確認されれば、実条件の負荷に対して十分に設計寿命を満足することが確認される。保証試験は設計荷重より大きな荷重を負荷することにより、設計時間よりもはるかに短時間で部品の健全性を評価することができる。また、予荷重によって生じたクリープ変形によって、設計荷重より大きな荷重であっても、実質的な荷重は設計荷重かそれ以下の荷重となっているため、保証試験をより緩和された条件で実施することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、まず材料選定段階で材料のクリープ変形性を考慮することにより、研磨加工後の残留応力などの有害な損傷を低減、除去することを加速させることができるだけでなく、予荷重において一定荷重を段階的に負荷させることにより、クリープ変形が徐々に進行するため、最大応力がその間に緩和し、見かけ上部品強度を増大させることができるとともに、保証試験を実荷重より緩和させた条件で、短時間に実施し、その健全性を保証することができる。
【0048】
セラミックス材料としては、図12に示すように、セラミックス結晶120の結晶粒界に、ナノ粒子(セラミックスの微細なナノサイズの分散粒子)121を配した複合材を使用することができる。窒化珪素等のセラミックス材料に炭化珪素(SiC)の微細な粒子を一定量以上複合すると、粒子は母相のみならず、粒界にも分散し、金属材料並みの塑性変形特性を得ることができる。このようなセラミックス材料では、塑性変形性によっても、上記実施形態で示したクリープ変形性と同様な応力緩和特性を短時間で与えることができる。
【0049】
また図13に示すセラミックス材料は、セラミックス結晶130の結晶粒界に、ナノサイズの微細な開気孔であるナノ開気孔131を設けて、粒界での変形性を高めた例である。一般には開気孔は材料欠陥となり、き裂の進展、材料破壊の起点となる有害なものであるが、ナノサイズまで微細に気孔を小さくすることにより、粒界での気孔が粒界での変形性を高めてクリープ変形性が向上する。このようなセラミックス材料も、用いることができる。
【0050】
図14は、金属基複合材料の例を示すものである。この金属基複合材料では、セラミックス結晶140の結晶粒界に、シリコン(Si)等の金属粒界141を配することにより、高温において粒界における変形性が増大して、材料自体のクリープ変形性を向上させることができる。
【0051】
以上のように、結晶粒界に、ナノサイズのセラミックス粒子や開気孔を設けたり、金属基複合材料として粒界に金属を配することにより、材料自体の強度を高めるとともに、クリープ変形性を向上させて、本実施形態で示した熱処理や予荷重、保証試験での応力緩和特性を向上させ、見かけ上の強度も向上させることができる。
【0052】
セラミックス部品としては、図15に示すように、部品形状から応力が集中し、応力が高くなる部位に、上記したようなクリープ性の高い高クリープ性材料150を配置し、応力集中部では応力の低下をもたらし、同時に他の部位では過度のクリープ変形を防止するようにクリープ性の低い材料151を配置することにより、高応力部の応力低下とその他の部位でのクリープ変形の防止を両立させることができ、部品強度と健全性を大きく向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態における熱処理工程では、図16に示すように、熱処理における材料の酸化を利用して図16(a)に示す研磨加工により生じた加工傷160を図16(b)に示すように補修することができる。研磨加工後の熱処理は、通常は表面の酸化防止のために不活性ガスなどの酸化しない雰囲気で実施されるが、酸化が許容される場合には酸化雰囲気で熱処理を行うことにより、表面の微細な加工傷160に、材料中のSi又はSiC161が酸素と反応してSiO2162を作り、傷を補修することができる。この傷補修効果は見かけ上の表面欠陥の除去であり、残留応力低減効果と相まって、表面改質効果は大きくなる。
【0054】
以上のように、本実施形態では、信頼性の高い、安全に運用可能なセラミックス部品の適用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態を説明する流れ図。
【図2】研磨加工後の熱処理による残留応力の低下とクリープひずみの変化を説明するグラフ。
【図3】(a)および(b)は各々粒界すべりクリープ、粒界拡散クリープにおけるクリープ変形を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図4】(a)および(b)は負荷直後とクリープ変形後におけるクリープ変形による応力分布の変化を説明するためのセラミックス部品の断面図。
【図5】クリープ変形による応力分布形状の変化を説明するためのグラフ。
【図6】クリープ変形による応力の時間変化を説明するためのグラフ。
【図7】一般的なセラミックス材料の時間破壊強度を説明するためのグラフ。
【図8】予荷重の履歴を説明するためのグラフ。
【図9】高温での保証試験における応力履歴の一実施形態を説明するためのグラフ。
【図10】高温での保証試験における応力履歴の一実施形態を説明するためのグラフ。
【図11】クリープ解析におけるクリープひずみデータの一例を説明するためのグラフ。
【図12】粒子分散複合材を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図13】粒界にナノ開気孔を設けた材料を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図14】金属複合材料を説明するためのセラミックス材料の拡大断面図。
【図15】高応力部へのクリープ性の高い材料の適用を説明するためのセラミックス部品の断面図。
【図16】(a)および(b)は加工傷発生時と補修後を各々示す、熱処理における加工傷の補修効果を説明するためのセラミックス部品の拡大断面図。
【図17】従来のセラミックス複合材料の構造を模式的に示す拡大断面図。
【図18】従来のセラミックス複合材料の構造を模式的に示す拡大断面図。
【図19】従来の粒子分散複合材における材料強度を説明するためのグラフ。
【図20】従来のセラミックス複合材料の構造を模式的に示す拡大断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス材料からなるセラミックス部品を加工した後、加工による残留応力を熱処理により低下させる熱処理工程と、
所定温度において前記セラミックス部品に一定荷重を負荷する予荷重負荷を与えることにより、高応力部でのクリープ変形を進める予荷重負荷工程と、
前記予荷重負荷工程の後、前記セラミックス部品が設計強度を有するか否かを調べる保証試験工程と
を具備したことを特徴とするセラミックス部品の適用方法。
【請求項2】
前記予荷重負荷工程において、段階的に荷重を増加させるとともに、増加させた荷重条件をセラミックス材料の強度特性曲線から決定することを特徴とする請求項1記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項3】
前記セラミックス部品の使用環境温度より高温にて、前記予荷重負荷工程及び前記保証試験工程を実施することを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項4】
前記保証試験工程において、前記セラミックス部品の設計寿命と等価強度となる高負荷短時間強度をセラミックス材料の強度特性から取得することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項5】
前記セラミックス部品の使用負荷での応力解析及びクリープ解析を実施し、前記予荷重負荷工程および前記保証試験工程の条件を決定することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項6】
前記セラミックス材料として、結晶粒界にナノサイズの分散粒子を配したセラミックス複合材料を用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項7】
前記セラミックス材料として、結晶粒界にナノサイズの開気孔を設けることによりクリープ変形性を高めた材料を用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項8】
前記セラミックス材料として、セラミックスと金属の複合材料において結晶粒界に金属材料を残留させクリープ変形性を高めた材料を用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項9】
前記セラミックス部品の高い応力が加わる部分に、他の部分の材料よりクリープ変形性の高い材料を局部的に用いることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項10】
前記熱処理工程を酸化雰囲気中で実施することにより、加工時に発生した損傷部を酸化物質で充填することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項1】
セラミックス材料からなるセラミックス部品を加工した後、加工による残留応力を熱処理により低下させる熱処理工程と、
所定温度において前記セラミックス部品に一定荷重を負荷する予荷重負荷を与えることにより、高応力部でのクリープ変形を進める予荷重負荷工程と、
前記予荷重負荷工程の後、前記セラミックス部品が設計強度を有するか否かを調べる保証試験工程と
を具備したことを特徴とするセラミックス部品の適用方法。
【請求項2】
前記予荷重負荷工程において、段階的に荷重を増加させるとともに、増加させた荷重条件をセラミックス材料の強度特性曲線から決定することを特徴とする請求項1記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項3】
前記セラミックス部品の使用環境温度より高温にて、前記予荷重負荷工程及び前記保証試験工程を実施することを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項4】
前記保証試験工程において、前記セラミックス部品の設計寿命と等価強度となる高負荷短時間強度をセラミックス材料の強度特性から取得することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項5】
前記セラミックス部品の使用負荷での応力解析及びクリープ解析を実施し、前記予荷重負荷工程および前記保証試験工程の条件を決定することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項6】
前記セラミックス材料として、結晶粒界にナノサイズの分散粒子を配したセラミックス複合材料を用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項7】
前記セラミックス材料として、結晶粒界にナノサイズの開気孔を設けることによりクリープ変形性を高めた材料を用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項8】
前記セラミックス材料として、セラミックスと金属の複合材料において結晶粒界に金属材料を残留させクリープ変形性を高めた材料を用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項9】
前記セラミックス部品の高い応力が加わる部分に、他の部分の材料よりクリープ変形性の高い材料を局部的に用いることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【請求項10】
前記熱処理工程を酸化雰囲気中で実施することにより、加工時に発生した損傷部を酸化物質で充填することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のセラミックス部品の適用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−257783(P2009−257783A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103922(P2008−103922)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(395009938)東芝アイテック株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(395009938)東芝アイテック株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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