説明

セラミックフィルタ

【課題】外形体積に制約がある場合においても、大きな膜表面積を有し、流体圧力を増大させることなく濾過流量を増大させることができる、セラミックフィルタを提供する。
【解決手段】第1円板5と第2円板6とを交互に複数積層して構成された、円筒状の積層体20からなっており、環状円板は、中央に貫通孔を有しており、且つ、表面に、2種類の溝部を、1本以上ずつ、有しており、一方の溝部は、外周面のみに開口しており、他方の溝部は、内周面のみに開口しており、積層体の外周面から内周面に向けて、又は、積層体の内周面から外周面に向けて、流体を通過させることによって、流体の濾過処理を行うようになっていることを特徴としているセラミックフィルタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質な焼結セラミックからなるセラミックフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔質な焼結セラミックからなるセラミックフィルタは、従来から、種々知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3269600号公報
【特許文献2】特開1993−253451号公報
【特許文献3】特開1999−347376号公報
【特許文献4】特開2003−080041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セラミックフィルタでは、一般に、フィルタ膜として機能する部分の膜表面積と濾過流量とが、トレードオフの関係にある。そのため、外形体積に制約がある場合には、濾過流量を増大させるために流体圧力を増大させる必要があった。
【0005】
本発明は、外形体積に制約がある場合においても、大きな膜表面積を有することができ、しかも、流体圧力を増大させることなく濾過流量を増大させることができる、セラミックフィルタを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多孔質な焼結セラミックからなり、通過する流体の濾過処理を行う、セラミックフィルタにおいて、環状円板を複数積層して構成された、円筒状の積層体からなっており、環状円板は、中央に貫通孔を有しており、且つ、表面に、2種類の溝部を、1本以上ずつ、有しており、一方の溝部は、外周面のみに開口しており、他方の溝部は、内周面のみに開口しており、積層体の外周面から内周面に向けて、又は、積層体の内周面から外周面に向けて、流体を通過させることによって、流体の濾過処理を行うようになっている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、環状円板の表面に溝部が形成されているので、濾過膜として機能する際の膜表面積が非常に大きくなっている。したがって、本発明によれば、外形体積に制約がある場合でも、大きな膜表面積を確保できる。
【0008】
しかも、本発明においては、流体が、積層体を通り抜ける際に、溝部を流れるので、積層体を通り抜けやすい。したがって、本発明によれば、流体圧力を増大させることなく、所望の濾過流量を確保できる。
【0009】
よって、本発明のフィルタを用いた浄水器によれば、外形体積に制約がある場合においても、大きな膜表面積を有することができ、しかも、流体圧力を増大させることなく濾過流量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態のセラミックフィルタを備えた浄水器の断面図である。
【図2】セラミックフィルタの外観斜視図である。
【図3】第1円板の斜視図である。
【図4】第1円板の平面図である。
【図5】第2円板の斜視図である。
【図6】第2円板の平面図である。
【図7】把持状態の積層体の斜視図である。
【図8】図1の拡大部分図である。
【図9】表面側に向かって凸状形態の環状円板を示す断面図である。
【図10】裏面側に向かって凸状形態の環状円板を示す断面図である。
【図11】裏面に位置決め部を有する第1円板と第2円板との関係を示す斜視図である。
【図12】2層構造の第1円板の断面部分図である。
【図13】3層構造の第1円板の断面部分図である。
【図14】外周面に縦溝を有する積層体の斜視図である。
【図15】図14の積層体を把持具によって把持した状態を示す斜視図である。
【図16】焼結一体化された積層体の斜視図である。
【図17】浄水器の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態のセラミックフィルタを備えた浄水器の断面図である。この浄水器1は、セラミックフィルタ2と筐体3とを備えている。
【0012】
筐体3は、上面31、下面である基台32、及び円筒状の本体33からなっている。上面31は、中央に流入口311を有している。基台32は、中央に流出口321を有している。セラミックフィルタ2は、流入口311と流出口321とを隔てるように配置されている。
【0013】
図2は、セラミックフィルタ2の外観斜視図である。なお、図1のフィルタ2は、図2のI−I断面に相当している。このフィルタ2は、2種類の環状円板、すなわち、第1円板5と第2円板6とを、交互に複数積層して構成された、円筒状の積層体20からなっている。
【0014】
図3は、第1円板5の斜視図である。図4は、第1円板5の平面図である。第1円板5は、中央に第1貫通孔50を有しており、且つ、表面に、第1溝部51及び第2溝部52を、4本ずつ、有している。
【0015】
第1溝部51は、半径方向に延びて外周面5Aに開口している直線溝511と、直線溝511を中心として第1円板5と同心円状に延びている円弧溝512と、からなっている。すなわち、第1溝部51は、外周面5Aのみに開口している。なお、ここでは、円弧溝512は、1本形成されている。第2溝部52は、半径方向に延びて内周面5Bに開口している直線溝521と、直線溝521を中心として第1円板5と同心円状に延びている円弧溝522と、からなっている。すなわち、第2溝部52は、内周面5Bのみに開口している。なお、ここでは、円弧溝522は、2本形成されている。
【0016】
そして、第1溝部51は、第1円板5の表面において、円周方向等間隔置きに、設けられている。第2溝部52は、隣接する2本の第1溝部51の間に、設けられており、第2溝部52も、第1円板5の表面において、円周方向等間隔置きに、設けられている。更に、第1溝部51及び第2溝部52は、第1溝部51と第2溝部52とを隔てる壁部53の厚さTが均一となるように、設けられている。また、両溝部51、52の深さは、底壁の厚さDが厚さTと同じになるように、設定されている。したがって、両溝部51、52は、図4に示されるような形態を有している。
【0017】
図5は、第2円板6の斜視図である。図6は、第2円板6の平面図である。第2円板6は、中央に第2貫通孔60を有しており、且つ、表面に、第3溝部61及び第4溝部62を、4本ずつ、有している。
【0018】
第3溝部61は、平面視で第1溝部51と同じ形態を有しているが、内周面6Bのみに開口している。すなわち、第3溝部61は、半径方向に延びて内周面6Bに開口している直線溝611と、直線溝611を中心として第2円板6と同心円状に延びている円弧溝612と、からなっている。第4溝部62は、平面視で第2溝部52と同じ形態を有しているが、外周面6Aのみに開口している。すなわち、第4溝部62は、半径方向に延びて外周面6Aに開口している直線溝621と、直線溝621を中心として第2円板6と同心円状に延びている円弧溝622と、からなっている。ここでは、円弧溝622は、2本形成されている。
【0019】
そして、第3溝部61は、第2円板6の表面において、円周方向等間隔置きに、設けられている。第4溝部62は、隣接する2本の第3溝部61の間に、設けられており、第4溝部62も、第2円板6の表面において、円周方向等間隔置きに、設けられている。更に、第3溝部61及び第4溝部62は、第3溝部61と第4溝部62とを隔てる壁部63の厚さTが均一となるように、設けられている。また、両溝部61、62の深さは、底壁の厚さDが厚さTと同じになるように、設定されている。したがって、両溝部61、62は、図6に示されるような形態を有している。
【0020】
そして、積層体20において、第1円板5と第2円板6とは、平面視で第1貫通孔50と第2貫通孔60とが重なるように、且つ、平面視で第1溝部51と第3溝部61とが重なるように、且つ、平面視で第2溝部52と第4溝部62とが重なるように、交互に積層されている。第1貫通孔50及び第2貫通孔60は、重なって連続することにより、縦方向に延びた内通路102を構成している。
【0021】
次に、上記構成のフィルタ2、更には浄水器1の、製造方法について、説明する。
(1)環状円板5、6の作製
92〜99.7wt%のアルミナと、珪藻土と、その他のセラミック材料とを、4〜7wt%のキタンサンガムと混合して、水に攪拌分散して、スラリーを作製した。このスラリーを、スプレードライヤー等によって乾燥造粒して、セラミック顆粒を作製した。このセラミック顆粒を、所定形状のキャビティ内に充填してプレス成形して、環状円板の成形体を作製した。この成形体を、常温から500℃程度までの脱脂ゾーンと、1300℃程度までの焼結ゾーンとで、連続処理することにより焼結処理して、環状円板の焼結体を作製した。この焼結体が、第1円板5及び第2円板6である。なお、成形方法は、プレス成形に限らず、射出成形又はキャスト成形でもよい。
【0022】
(2)積層体20の作製
第1円板5と第2円板6とを、交互に積層した。その際、第1貫通孔50と第2貫通孔60とが平面視で重なるように、且つ、第1溝部51と第3溝部61とが平面視で重なるように、且つ、第2溝部52と第4溝部62とが平面視で重なるように、積層した。
【0023】
(3)浄水器1の作製
図7に示されるように、積層体20を基台32上に載置するとともに、積層体20の上にセラミック円板21を載せ、積層体20及びセラミック円板21を、把持具35によって縦方向及び横方向から把持して、基台32上に固定した。その際、積層体20は、内通路102が基台32の流出口321と平面視で重なるように、基台32上に載置した。そして、基台32に固定された積層体20を、筐体3内に下方から入れ、基台32の周縁を、Oリング(図示せず)を介して筐体3の下縁に固定した。
【0024】
上記のようにして、フィルタ2を備えた浄水器1を作製した。
【0025】
上記構成の浄水器1では、流体は、フィルタ2を次のように流れて濾過処理される。
【0026】
図1に示されるように、流体は、矢印X1のように、流入口311から筐体3内に流入すると、矢印X2のように、積層体20の周囲の空間101に流れていく。空間101に流れて来た流体は、積層体20の外周面20Aに、すなわち、第1円板5の外周面5A及び第2円板6の外周面6Aに、至る。そして、流体は、積層体20において、次のように流れ、それによって、濾過処理される。
【0027】
(a)第1円板5において、流体は、図4において矢印A1で示されるように、直線溝511に、すなわち第1溝部51に、流れ込む。なお、流体の一部は、矢印A2で示されるように、壁部53を通り抜けて、第2溝部52へ流れ込む。第1溝部51に流れ込んだ流体は、第1溝部51を流れながら、矢印A3に示されるように壁部53を通り抜けて第2溝部52に流れ込み、また、矢印A4に示されるように壁部53を通り抜けて内通路102に流出し、また、図8において矢印A5に示されるように、底壁54を通り抜けて、第2円板6の第3溝部61に流れ込む。第2溝部52に流れ込んだ流体は、第2溝部52を流れて、矢印A6に示されるように内通路102に流出し、また、底壁54を通り抜けて、第2円板6の第4溝部62に流れ込む。
【0028】
(b)第2円板6において、流体は、図6において矢印B1で示されるように、直線溝621に、すなわち第4溝部62に、流れ込む。なお、流体の一部は、矢印B2で示されるように、壁部63を通り抜けて、第3溝部61へ流れ込む。第4溝部62に流れ込んだ流体は、第4溝部62を流れながら、矢印B3に示されるように壁部63を通り抜けて第3溝部61に流れ込み、また、矢印B4に示されるように壁部63を通り抜けて内通路102に流出し、また、図8において矢印B5に示されるように、底壁64を通り抜けて、第1円板5の第1溝部51に流れ込む。第3溝部61に流れ込んだ流体は、第3溝部61を流れて、矢印B6に示されるように内通路102に流出し、また、底壁64を通り抜けて、第1円板5の第2溝部52に流れ込む。
【0029】
上記のように、積層体20の外周面20Aへ流れて来た流体は、第1〜第4溝部51、52、61、62を流れながら、壁部53、63及び底壁54、64を通り抜けて、内通路102に流出する。内通路102に流出して来た流体は、矢印X3に示されるように、流出口321から流出する。そして、この際、流体は、壁部53、63及び底壁54、64を通り抜ける際に、濾過処理される。すなわち、上記構成の浄水器1においては、積層体20の外周面20Aから内周面20Bに向けて、流体を通過させることによって、流体の濾過処理が行われている。
【0030】
したがって、上記構成の浄水器1によれば、流入口311から流入して来た流体を、積層体20自身が濾過膜として機能して濾過処理して、流出口321から流出させることができる。
【0031】
上記構成のフィルタ2においては、第1及び第2円板5、6の表面に第1〜第4溝部51、52、61、62が形成されているので、濾過膜として機能する際の膜表面積が非常に大きくなっている。したがって、外形体積に制約がある場合でも、大きな膜表面積を確保できる。
【0032】
しかも、上記構成のフィルタ2においては、流体が、積層体20を通り抜ける際に、第1〜第4溝部51、52、61、62を流れるので、積層体20を通り抜けやすい。したがって、流体圧力を増大させることなく、所望の濾過流量を確保できる。
【0033】
よって、上記構成のフィルタ2及びそれを用いた浄水器1によれば、外形体積に制約がある場合においても、大きな膜表面積を有することができ、しかも、流体圧力を増大させることなく濾過流量を増大させることができる。
【0034】
なお、上記構成のフィルタ2及び浄水器1は、次のような変形構造を採用してもよい。
【0035】
(1)図9に示されるように、第1円板5及び第2円板6が、共に、表面側に向かって凸状の同じ形態を有している。凸状の形態とは、具体的には、例えば、スピーカコーン状の形態である。
【0036】
上記構成によれば、両円板5、6を積層する際に、表裏面を間違えるのを防止できる。また、把持具35によって把持する前の積層体20を、倒れ難くできる。
【0037】
(2)図10に示されるように、第1円板5及び第2円板6が、共に、裏面側に向かって凸状の同じ形態を有している。凸状の形態とは、具体的には、例えば、スピーカコーン状の形態である。
【0038】
上記構成によれば、両円板5、6を積層する際に、表裏面を間違えるのを防止できる。また、把持具35によって把持する前の積層体20を、倒れ難くできる。
【0039】
(3)図11に示されるように、第1円板5の裏面に、第2円板6に対して位置決めするための位置決め部が、形成されている。この位置決め部は、具体的には、複数個の凸部である。図11の例では、第2溝部52の直線溝521の半径方向外側部分の裏面に、凸部551、552が形成されており、第1溝部51の直線溝511の半径方向内側部分の裏面に、凸部553〜556が形成されている。したがって、第1円板5を第2円板6上に重ねる際には、凸部551、552を、第2円板6の第4溝部62の直線溝621の半径方向外側端部に嵌入できるとともに、凸部553〜556を第3溝部61の直線溝611の半径方向内側端部に陥入できる。これにより、第1円板5の第1溝部51は第2円板6の第3溝部61の真上に確実に位置し、且つ、第1円板5の第2溝部52は第2円板6の第4溝部62の真上に確実に位置する。
【0040】
上記構成によれば、第1円板5を第2円板6上に積層する際の、第2円板6に対する第1円板5の位置精度を、向上できる。また、位置決め部は裏面に形成されているので、第1円板5を積層する際に、表裏面を間違えるのを防止できる。
【0041】
なお、上記と同様に、第2円板6の裏面に、第1円板5に対して位置決めするための位置決め部を、形成してもよい。これによれば、第2円板6を第1円板5上に積層する際に、第1円板5に対する第2円板6の位置精度を、向上できる。また、位置決め部は裏面に形成されているので、第2円板6を積層する際に、表裏面を間違えるのを防止できる。
【0042】
更に、第1円板5と第2円板6との間で、凸部の形態を異ならせてもよい。これによれば、両円板5、6を取り違えるのを防止できる。
【0043】
(4)図12に示されるように、第1円板5が、下セラミック層561と上セラミック層562とからなる2層構造を有している。下セラミック層561は、相対的に粗な気孔率を有しており、上セラミック層562は、相対的に密な気孔率を有している。
【0044】
下セラミック層561は、相対的に粒径寸法が大きいセラミック顆粒で形成され、上セラミック層562は、相対的に粒径寸法が小さいセラミック顆粒で形成される。そして、第1円板5は、キャビティ内に、粒径寸法が大きいセラミック顆粒をまず充填し、その上に、粒径寸法が小さいセラミック顆粒を充填して、プレス成形して、得られる。或いは、第1円板5は、キャビティ内に、粒径寸法が大きいセラミック顆粒を充填して、プレス成形して、成形体を得た後に、成形体の表面に、釉薬等を塗布して、得られる。
【0045】
上記構成によれば、上セラミック層562によって流体から微細な不純物を除去できるとともに、流体が下セラミック層561を通り抜ける際の流体圧力を低減できる。
【0046】
なお、上記と同様の構成を第2円板6に採用してもよい。それによっても、上記と同様の効果を発揮できる。
【0047】
(5)図13に示されるように、第1円板5が、下セラミック層561と、上セラミック層562と、上セラミック層562上に形成された銀層563と、からなる、3層構造を有している。下セラミック層561及び上セラミック層562は、図12の例の場合と同じである。銀層563は、スパッタリング又は蒸着等によって、形成される。
【0048】
上記構成によれば、上セラミック層562によって流体から微細な不純物を除去できるとともに、流体が下セラミック層561を通り抜ける際の流体圧力を低減でき、更には、銀層563によって、除菌効果を発揮できる。
【0049】
なお、上記と同様の構成を第2円板6に採用してもよい。それによっても、上記と同様の効果を発揮できる。
【0050】
(6)図14に示されるように、積層体20の外周面20Aに、縦溝208が形成されており、図15に示されるように、把持具35が、縦溝208に嵌入して取り付けられている。
【0051】
上記構成によれば、把持具35を積層体20に安定して取り付けることができるので、より安定した把持状態を実現できる。
【0052】
(7)図16に示されるように、積層体20は、焼結する前の成形体の状態の両円板5、6を積層した後に、一体的に上記と同様に焼結処理して、形成されている。
【0053】
この製造方法によれば、積層体20の強度を向上でき、また、把持具35を不要にできる。
【0054】
(8)図17に示されるように、浄水器1においては、積層体20が、流入口311に内通路102が通じ、且つ、空間101が流出口321に通じるように、設けられている。したがって、この浄水器1においては、流体の内外方向の流れが、図1の場合とは逆になるだけであり、流体は、積層体20において図1の場合と同様に濾過処理される。
【0055】
上記構成の浄水器1によっても、図1の場合と同様の効果を発揮できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のセラミックフィルタは、外形体積に制約がある場合においても、大きな膜表面積を有することができ、しかも、流体圧力を増大させることなく濾過流量を増大させることができるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0057】
1 浄水器 2 セラミックフィルタ 20 積層体 20A 外周面 20B 内周面 3 筐体 311 流入口 321 流出口 35 把持具 5 第1円板 5A 外周面 5B 内周面 50 第1貫通孔 51 第1溝部 511 直線溝 512 円弧溝 52 第2溝部 521 直線溝 522 円弧溝 53 壁部 54 底壁 561 下セラミック層 562 上セラミック層 563 銀層 6 第2円板 6A 外周面 6B 内周面 60 第2貫通孔 61 第3溝部 611 直線溝 612 円弧溝 62 第4溝部 621 直線溝 622 円弧溝 63 壁部 64 底壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質な焼結セラミックからなり、通過する流体の濾過処理を行う、セラミックフィルタにおいて、
環状円板を複数積層して構成された、円筒状の積層体からなっており、
環状円板は、中央に貫通孔を有しており、且つ、表面に、2種類の溝部を、1本以上ずつ、有しており、
一方の溝部は、外周面のみに開口しており、
他方の溝部は、内周面のみに開口しており、
積層体の外周面から内周面に向けて、又は、積層体の内周面から外周面に向けて、流体を通過させることによって、流体の濾過処理を行うようになっている、
ことを特徴とするセラミックフィルタ。
【請求項2】
環状円板が、第1円板及び第2円板であり、
第1円板は、中央に第1貫通孔を有しており、且つ、表面に、第1溝部及び第2溝部を、1本以上ずつ、有しており、
第1溝部は、外周面のみに開口しており、
第2溝部は、内周面のみに開口しており、
第2円板は、中央に第2貫通孔を有しており、且つ、表面に、第3溝部及び第4溝部を有しており、
第3溝部は、平面視で第1溝部と同じ形態を有し、且つ、内周面のみに開口しており、
第4溝部は、平面視で第2溝部と同じ形態を有し、且つ、外周面のみに開口しており、
第1円板と第2円板とは、平面視で第1貫通孔と第2貫通孔とが重なるように、且つ、平面視で第1溝部と第3溝部とが重なるように、且つ、平面視で第2溝部と第4溝部とが重なるように、交互に積層されている、
請求項1記載のセラミックフィルタ。
【請求項3】
第1溝部は、半径方向に延びて外周面のみに開口している直線溝と、第1円板と同心円状に延びている、1本以上の円弧溝と、からなっており、
第2溝部は、半径方向に延びて内周面のみに開口している直線溝と、第1円板と同心円状に延びている、1本以上の円弧溝と、からなっており、
第3溝部は、半径方向に延びて内周面のみに開口している直線溝と、第2円板と同心円状に延びている、1本以上の円弧溝と、からなっており、
第4溝部は、半径方向に延びて外周面のみに開口している直線溝と、第2円板と同心円状に延びている、1本以上の円弧溝と、からなっており、
第1溝部と第2溝部とを隔てる壁部の厚さ、第3溝部と第4溝部とを隔てる壁部の厚さ、及び各溝の底壁の厚さが、全て均一である、
請求項2記載のセラミックフィルタ。
【請求項4】
全ての環状円板が、表面側のみに又は裏面側のみに向かって、凸状の形態を有している、
請求項1〜3のいずれか一つに記載のセラミックフィルタ。
【請求項5】
第1円板の裏面に、第2円板に対する位置決めのための位置決め部が、形成されており、
及び/又は、
第2円板の裏面に、第1円板に対する位置決めのための位置決め部が、形成されている、
請求項2〜3のいずれか一つに記載のセラミックフィルタ。
【請求項6】
環状円板が、相対的に粗な気孔率を有する下セラミック層と、相対的に密な気孔率を有する上セラミック層と、からなる、2層構造を有している、
請求項1〜5のいずれか一つに記載のセラミックフィルタ。
【請求項7】
環状円板が、相対的に粗な気孔率を有する下セラミック層と、相対的に密な気孔率を有する上セラミック層と、上セラミック層上に形成された銀層と、からなる、3層構造を有している、
請求項1〜6のいずれか一つに記載のセラミックフィルタ。
【請求項8】
積層体を、縦方向及び横方向から、把持する、把持手段を、備えている、
請求項1〜7のいずれか一つに記載のセラミックフィルタ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載のセラミックフィルタと、
流体の流入口及び流出口を有する筐体と、
を備えており、
セラミックフィルタは、積層体の外周面が流入口に通じるように、且つ、積層体の内周面が流出口に通じるように、筐体内に設けられており、
又は、
セラミックフィルタは、積層体の内周面が流入口に通じるように、且つ、積層体の外周面が流出口に通じるように、筐体内に設けられている、
ことを特徴とする浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−24686(P2012−24686A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165123(P2010−165123)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】