説明

セラミックフィルタ

【課題】十分な耐震性を有することにより破損が生じにくく、良好な信頼性を有するセラミックフィルタを提供する。
【解決手段】本発明は、一端側に開口部(2)を有し他端側が閉鎖された円筒形状にセラミック材料を焼結して形成されたセラミックフィルタ(100)に関する。特に、円筒形状の外周面と内周面との間に金属材料からなる補強部材(10)が内装されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端側に開口部を有し他端側が閉鎖されるように円筒形状にセラミック材料を焼結して形成されたセラミックフィルタの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所で用いられるボイラ設備などにおいて発生する排ガスには、様々な有害物質が含まれる。そのため、このような施設から排ガスを外部に排出する際には、予め排ガスに対して有害物質の除去処理が施される。このような有害物質の除去処理の一種として、排ガスを多孔性フィルタに通すことで、排ガスに含まれる煤塵を濾過して、排ガスの浄化を行う手法がある。特にボイラ設備などから排出される排ガス温度は数百度と高温であるため、多孔性フィルタとして、耐熱性に優れたセラミックフィルタが使用されている。
【0003】
このような排ガス浄化用に使用されるセラミックフィルタの典型的な構成を、図5に示す。ここで、図5(a)は典型的なセラミックフィルタ100´を重力方向上側から見た平面図であり、図5(b)は図5(a)のA―A線断面図であり、図5(c)は図5(b)のB―B線断面図である。
【0004】
セラミックフィルタ100´は所定の型を用いてセラミック材料を成形した後、焼結させて製造されたものであり、所定の材質(典型的には炭化ケイ素(SiC)が用いられるが、アルミナセラミックのように耐性に優れた材質を用いてもよい)及び粒径のセラミック粒子をセラミックバインダで結合し、内部に多数の気孔を有する多孔質セラミック体から形成されている。セラミックフィルタ100´は円筒形状を有する本体部1を有しており、その一端側に開口部2が設けられ、他端側には閉鎖されるように底部3が設けられている。一端側には開口部2から放射状に広がるようにフランジ部4が形成されており、セラミックフィルタ100´を所定の取付箇所5に固定支持可能になっている。フランジ部4は重力方向上側に設置される押さえ板6と、フランジ部4を挟んで押さえ板6と反対側に設置された受け板7とをボルト8で締め付け固定することによって、取付箇所5に固定されるようになっている。
【0005】
このように構成されたセラミックフィルタ100´は、図5(b)に示すように、重力方向上側から下側に向かって本体部1が延在するように設置される。セラミックフィルタ100´の外側は煤塵を含む排ガスで満たされており、セラミックフィルタ100´の内側又は開口部2近傍を不図示のポンプ等によって減圧することで、セラミックフィルタ100´の内外圧力差を利用して、排ガスをセラミックフィルタ100´の内部(中心軸空間50)に導く(図5(b)及び(c)の矢印を参照)。このときセラミックフィルタ100´が有する多数の気孔を排ガスが通過することにより、排ガス中に含まれる煤塵が濾過される。煤塵が除去された排ガスは開口部2から上方側に排出される。
【0006】
ところで、この種のセラミックフィルタはセラミック材料を焼結して形成されるため、比較的強度が弱く、地震発生時などに振動した際に破損し易い構造物である。セラミックフィルタはその用途上、作業員が立ち入り困難な煤塵を含む排ガス雰囲気中に設置される。そのため、破損修復などのメンテナンスのために設置環境に極力作業員が立ち入る機会を少なくするために、良好な耐震性が求められる。
【0007】
セラミックフィルタの耐震性対策は、従来から様々な手法が提案されている。例えば特許文献1には水平方向に沿って配置されている点において、図5で説明したセラミックフィルタと異なっているが、振動時に応力が集中し易いフランジ部に緩衝材(特許文献1の図2及び図3に示す符号14、24、31を参照)を配置することによって、耐震性を向上させている。また特許文献1では別態様として、セラミックフィルタの他端側(底部近傍)をリング状の金具(特許文献1の図4に示す符号30を参照)で固定することにより、一端側と併せて2点支持構造とし、耐震性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4658519号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示されている緩衝材は、フランジ部の破損防止に少なからず効果があると考えられる。しかしながら、フランジ部以外の部位に関しては耐震対策がなされておらず、依然として十分な耐震対策が施されているとは言えない。またリング状の金具を設置する際には、その構成上、セラミックフィルタとリング状金具との間には少なからず隙間が存在する。そのため、地震発生時の初期振動に対しては隙間が存在する分だけ、制振効果が発揮されるまでに遅延が生じる。また初期振動の大きな地震が発生した際には、セラミックフィルタの表面がリング状金具に衝突することとなり、これが原因で破損が生じてしまうおそれがある。このように特許文献1における耐震対策は十分ではなく、更なる耐震性の向上が望まれているのが現状である。
【0010】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、十分な耐震性を有することにより破損が生じにくく、良好な信頼性を有するセラミックフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るセラミックフィルタは上記課題を解決するために、一端側に開口部を有し他端側が閉鎖された円筒形状にセラミック材料を焼結して形成されたセラミックフィルタであって、前記円筒形状の外周面と内周面との間に金属材料からなる補強部材が内装されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、セラミック材料を焼結してなる比較的柔軟なセラミックフィルタに、高剛性を有する金属材料からなる補強部材を内装することにより、セラミックフィルタ全体の剛性を高めて耐震性を向上させることができる。
【0013】
好ましくは、前記一端側には前記開口部から放射状に広がるように形成されることにより支持固定可能なフランジ部が形成されており、前記補強部材は前記円筒形状を有する本体部から前記フランジ部に至るまで連続的に形成されているとよい。この態様によれば、地震発生時に応力が集中し易いフランジ部に至るまで補強部材を形成することにより、セラミックフィルタの破損し易い部位を保護し、破損リスクを効果的に低減することができる。
【0014】
本発明の一態様では、前記補強部材は、前記円筒形状を有する本体部の延在方向に沿って形成され、且つ、前記円筒形状の断面円周方向に沿って配置された複数の軸鋼線と、該複数の軸鋼線に外周側から接触するように前記円筒形状の断面円周方向に沿って形成され、且つ、前記本体部の延在方向に沿って所定間隔で配置された複数のリング状鋼線とを含んでなる。この態様によれば、高剛性を有する鋼線を内装することによって、セラミックフィルタの耐震性を向上させることができる。特に内装する鋼線を複数の軸鋼線とリング状鋼線とから構成することにより、円筒形状を有するセラミックフィルタを延在方向と断面円周方向との両方向に対して補強することができ、より良好な耐震性を得ることができる。
【0015】
この場合、前記他端側は重力方向下方に配置されており、前記補強部材は前記一端側から前記他端側にかけて次第に占有密度が少なくなるように形成されているとよい。これによれば、破損が生じやすいフランジ部が設けられた一端側の鋼線の占有密度を大きくすることでフランジ部の補強を行う一方で、他端側の補強部材の占有密度を少なくすることで軽量化を行い、セラミックフィルタの重力負担を軽減することができる。
【0016】
具体的な態様としては、前記複数のリング状鋼線は前記一端側から前記他端側にかけて隣り合うリング状鋼線との間隔が大きくなるように配置されているとよい。また、前記複数の軸鋼線は前記一端側から前記他端側にかけて延在する本数が少なくなるように形成されていてもよい。
【0017】
本発明の他の態様では、前記補強部材は金属材料からなるメッシュ部材である。メッシュ部材は上述の鋼線に比べて、焼結製造時にセラミック材料と密接に絡み合うため、構造体として、よりよい安定性を得ることができる。そのため、仮にセラミックフィルタに破損が生じたとしても、破損部位がメッシュ部材と結合することにより落下を防止でき、修復のために作業員がセラミックフィルタの設置場所に立ち入る機会を効果的に減少させることができる。また、鋼線に比べて柔軟性に富むため、内装時の加工も容易である。
【0018】
好ましくは、前記補強部材は、前記円筒形状を有する本体部から前記閉鎖された他端部に至るまで連続的に形成されているとよい。これによれば、他端部側が破損した場合であっても、メッシュ部材から破損部位が完全に離脱して落下する事態を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、セラミック材料を焼結してなる比較的柔軟なセラミックフィルタに、高剛性を有する金属材料からなる補強部材を内装することにより、セラミックフィルタ全体の剛性を高めて耐震性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施例に係るセラミックフィルタの全体構成を示す模式図である。
【図2】第1実施例に係るセラミックフィルタから補強部材を抽出して示す模式図である。
【図3】図2に示した鋼線からなる補強部材の変形例を示す側面図である。
【図4】第2実施例に係るセラミックフィルタの全体構造を示す模式図である。
【図5】従来例に係るセラミックフィルタの全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0022】
尚、以下に説明する実施例に係るセラミックフィルタ100は、背景技術にて図5を参照して説明した従来例と共通する構成を部分的に有しており、当該対応する箇所には共通の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略することとする。
【0023】
(第1実施例)
図1は第1実施例に係るセラミックフィルタ100の全体構成を示す模式図である。図1(a)はセラミックフィルタ100を重力方向上側から見た場合の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA―A線断面図であり、図1(c)は図1(b)のB−B線断面図である。セラミックフィルタ100は重力方向に沿って円筒形状に延在してなる本体部1を有しており、該本体部1の重力方向上方の一端側には開口部2が設けられ、重力方向下方の他端側には底部3が設けられることにより閉鎖されている。尚、本実施例に係るセラミックフィルタ100は本体部1の重力方向の長さが約2〜3mであり、その直径は約20〜30cm程度のものであり、重量は約10kgである。
【0024】
セラミックフィルタ100はセラミック材料を焼結することによって形成される。本発明に特有の特徴として、少なくとも円筒形状を有する本体部1の外周面と内周面との間には、補強部材10が内装されている。この補強部材10は金属材料からなっており、このようにセラミック材料で形成された本体部1の内側に内装されることにより、セラミックフィルタ100の剛性を高め、良好な耐震性を得ることができる。特に補強部材10をセラミックフィルタに内装することによりセラミック材料と一体的に構成することで、地震発生初期時においてもその耐震性を良好に発揮できる。また初期振動が大きな場合であっても、補強部材10がセラミックフィルタ100の表面に衝突して破損することがない。
【0025】
本実施例では特に、補強部材10は円筒形状を有する本体部1からフランジ部4に至るまで連続的に形成されている。フランジ部4は地震発生時にセラミックフィルタ100が振動した際に、応力が集中し易いため、破損が生じやすい箇所である。そのため、本体部1に内装される補強部材10をフランジ部4に至るまで延在させることにより、破損が生じやすいフランジ部4を効果的に保護している。
【0026】
第1実施例では特に、セラミックフィルタ100に内装される補強部材10として鋼線が用いられている。図2は第1実施例に係るセラミックフィルタ100から補強部材10を抽出して示す模式図である。図2(a)及び(b)は、それぞれ当該補強部材10を重力方向上方と側面側から見た場合の構成を示している。
【0027】
補強部材10は、円筒形状を有する本体部1の延在方向に沿って形成され、且つ、該円筒形状の断面円周方向に沿って配置された複数の軸鋼線11と、該複数の軸鋼線11に外周側から接触するように円筒形状の断面円周方向に沿って形成され、且つ、本体部1の延在方向に沿って所定間隔で配置された複数のリング状鋼線12とからなる。このように鋼線からなる補強部材10を軸鋼線11とリング状鋼線12との組み合わせとして形成することにより、互いに直交する円筒形状の断面円周方向と軸方向に沿って剛性を強化することができるため、本体部1の耐震性を効果的に向上できる。
【0028】
図2の例では、軸鋼線11は断面円周方向に沿って等間隔に配置されており、図2(a)に示すようにフランジ部4において開口部2から放射状に広がるように形成されている。これにより主に本体部1の軸線方向の剛性を補強する軸鋼線11を用いて、破損が生じやすいフランジ部4まで効果的に保護することができる。
【0029】
一方、リング状鋼線12は本体部1において軸鋼線11に直交するように配置されており、特に隣り合うリング状鋼線12同士の間隔が等しくなるように構成されている。これにより重力方向に延在する本体部1全体を均一的に補強することができる。
【0030】
尚、ボイラ施設などに使用されるセラミックフィルタ100の場合、濾過する排ガスの温度は約250度程度である。そのため、補強部材10として用いられる鋼線は鉄などの一般的な金属材料を用いても熱伸縮の影響が少ないため、問題とならない。更に高温の排ガスを取り扱う場合には、熱膨張率の小さい金属材料を用いた鋼線を使用するとよい。
【0031】
図3は、図2に示した鋼線からなる補強部材10の変形例を示す側面図である。この変形例では、セラミックフィルタ100における補強部材10の占有密度が一端側から他端側にかけて次第に少なくなるように形成されている。図3(a)に係る補強部材10´では、リング状鋼線12が一端側から他端側にかけて隣り合うリング状鋼線12との間隔が大きくなるように配置されている。一方、図3(b)に係る補強部材10´´では軸鋼線11が一端側から他端側にかけて延在する本数が少なくなるように形成されている。これにより、破損が生じやすいフランジ部4が設けられた一端側の鋼線の占有密度を大きくすることでフランジ部4の補強を行う一方で、他端側の補強部材10の占有密度を少なくすることで軽量化を行い、セラミックフィルタ100の重力負担を軽減することができる。
【0032】
尚、図2及び図3に示す補強部材はセラミックフィルタ100の底部3近傍に存在していないが、セラミックフィルタ100の表面に沿って底部3に至るまで、これらの補強部材10を延在させてもよい。この場合、底部3に至るまで補強できるのでセラミックフィルタ100の構造をより安定化できる観点から好ましいが、その分重量が増加してフランジ部4の負担が増加することも懸念されるため、その兼ね合いで設計するとよい。
【0033】
(第2実施例)
図4は第2実施例に係るセラミックフィルタ100の全体構造を示す模式図である。図4(a)はセラミックフィルタ100を重力方向上側から見た平面図であり、図4(b)は図4(a)のA―A線断面図であり、図4(c)は図4(b)のB−B線断面図である。
【0034】
第2実施例に係るセラミックフィルタ100では補強部材10として鋼線に代えて、金属材料からなるメッシュ部材13を用いている。メッシュ部材13は上述の鋼線に比べて、セラミックフィルタ100を焼結製造する際にセラミック材料と密接に絡み合い構造体として、よりよい安定性が得られる。そのため、仮にセラミックフィルタ100に破損が生じたとしても、メッシュ部材13から剥離して破損部位が落下することを防止することができる。その結果、修復のために作業員がセラミックフィルタ100の設置場所に立ち入る機会を効果的に減少することができる。また、メッシュ部材13は鋼線に比べて柔軟性に富むため、セラミックフィルタ100に内装時のレイアウト加工も容易である。
【0035】
本実施例では特にメッシュ部材13は、円筒形状を有する本体部1から閉鎖された底部3に至るまで連続的に形成されている。セラミックフィルタ100は重力方向に沿って設置されており、そのメンテナンス等は煤塵の少ない上方側から行う(煤塵の多い下方は作業員のリスクが大きいため、極力立ち入りを避けたい)。本実施例ではメッシュ部材13によってセラミックフィルタ100が破損した場合であっても、メッシュ部材13から破損部位が完全に離脱して落下する事態を効果的に防止することができる。
【0036】
尚、上述したように補強部材10として、鋼線やメッシュ部材を用いることができるが、鋼線はメッシュ部材に比べて高い剛性を有するため、セラミックフィルタ100に内装した際に良好な耐震性を得ることができる。一方で、メッシュ部材はその柔軟性から加工性に優れており、取り扱いが容易である。また、メッシュ部材は周囲のセラミック材料との結合性がよいので、セラミックフィルタ100に破損が生じた際の脱落防止効果をより良好に発揮できる。
【0037】
(製造方法)
続いて上述したセラミックフィルタ100の製造方法について説明する。ここでは第1実施例に係るセラミックフィルタ100の製造方法について説明するが、第2実施例に係るセラミックフィルタ100の製造方法も基本的に類似しており、特段の記載がない限り第1実施例と同様であるとして詳細な説明は省略することとする。
【0038】
まず、セラミックフィルタの材料として、SiC粒子に成形助剤を添加した配合物を用意する。この材料としては前述したように、アルミナセラミック等の他のセラミック材料を用いてもよい。ここで、この配合物を所定形状の型を用いて、セラミックフィルタ100を図1(b)において破線で示した中心線の右側及び左側に分割した形状(略半円筒形状)に成形する。より具体的に説明すると、まず、用意した半円筒形状の型に所定厚さ(セラミックフィルタ100の厚さとして意図する厚さの半分程度が好ましい)で配合物を積層する。
【0039】
続いて、積層した配合物の表面に、セラミックフィルタに内装する補強部材10を配置する。補強部材10の配置レイアウトは、上記実施例(図1及び図4を参照)に倣って行えばよいが、メッシュ部材13は鋼線に比べて柔軟性に富み、加工が容易である点で有利である。そして、補強部材10の配置後は、その上層側から下層側に積層した配合物と同様のものを積層し、半円筒形状のセラミックフィルタの成形が完了する。
【0040】
続いて、成形した半円筒形状のセラミックフィルタを十分に乾燥した後、2000℃以上の高温で焼結することにより、略半円筒形状のセラミックフィルタの完成体が得られる。このように得られた略半円筒形状のセラミックフィルタを複数用意し、これらを接着剤などの結合剤によって接合することにより、図1等に示す略円筒形状のセラミックフィルタ100が完成する。
【0041】
尚、実際に鋼線を内装する場合には、半円形状のリング状鋼線を精度よく半円筒形状のセラミックフィルタ内に設置することが難しい場合も考えられる。このような場合、半円形状のリング鋼線を余分にU字型に形成し、その両端部が半円筒形状のセラミックフィルタから突出するように内装した後、これらを互い違いになるように配置して構成してもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係るセラミックフィルタによれば、セラミック材料を焼結してなる比較的柔軟なセラミックフィルタに、高剛性を有する金属材料からなる補強部材を内装することにより、セラミックフィルタ全体の剛性を高めて耐震性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、一端側に開口部を有し他端側が閉鎖されるように円筒形状にセラミック材料を焼結して形成されたセラミックフィルタに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 本体部
2 開口部
3 底部
4 フランジ部
6 押さえ板
7 受け板
8 ボルト
10 補強部材
11 軸鋼線
12 リング状鋼線
13 メッシュ部材
100 セラミックフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に開口部を有し他端側が閉鎖された円筒形状にセラミック材料を焼結して形成されたセラミックフィルタであって、
前記円筒形状の外周面と内周面との間に金属材料からなる補強部材が内装されていることを特徴とするセラミックフィルタ。
【請求項2】
前記一端側には前記開口部から放射状に広がるように形成されることにより支持固定可能なフランジ部が形成されており、
前記補強部材は前記円筒形状を有する本体部から前記フランジ部に至るまで連続的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項3】
前記補強部材は、
前記円筒形状を有する本体部の延在方向に沿って形成され、且つ、前記円筒形状の断面円周方向に沿って配置された複数の軸鋼線と、
該複数の軸鋼線に外周側から接触するように前記円筒形状の断面円周方向に沿って形成され、且つ、前記本体部の延在方向に沿って所定間隔で配置された複数のリング状鋼線と
を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックフィルタ。
【請求項4】
前記他端側は重力方向下方に配置されており、
前記補強部材は前記一端側から前記他端側にかけて次第に占有密度が少なくなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のセラミックフィルタ。
【請求項5】
前記複数のリング状鋼線は前記一端側から前記他端側にかけて隣り合うリング状鋼線との間隔が大きくなるように配置されていることを特徴とする請求項4に記載のセラミックフィルタ。
【請求項6】
前記複数の軸鋼線は前記一端側から前記他端側にかけて延在する本数が少なくなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のセラミックフィルタ。
【請求項7】
前記補強部材は金属材料からなるメッシュ部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックフィルタ。
【請求項8】
前記補強部材は、前記円筒形状を有する本体部から前記閉鎖された他端部に至るまで連続的に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のセラミックフィルタ。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−94730(P2013−94730A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239655(P2011−239655)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】