セラミックマトリックスを有する複合材料部品およびその製造方法
セラミックマトリックスを有し、2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック転換マトリックス中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによって緻密化された繊維強化材を含む複合材料部品であって、前記中間相(10)は、第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相(12)、および前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッド(14)から成る第2相を含む複合材料部品。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[発明の背景]
本発明は、セラミックマトリックスを有する複合材料部品に関し、特に航空用エンジンまたはロケットエンジンのための部品に関するが、これらに限定されない。
【0002】
セラミックマトリックス複合材(CMC)は、炭素またはセラミック繊維中において、セラミックマトリックスにより緻密化された繊維強化材から成る。これらは、その機械的特性および温度耐性により、使用の際に高温にさらされる構造部品のための使用に適している。
【0003】
しかしながら、CMCは、しばしばその製造のときに、熱機械歪みの影響の下、クラッキングにさらされる。マトリックスを通して広がるクラックによって繊維強化材の繊維が破壊することを防ぎ、さらに、それによりもたらされる機械的特性の急速な劣化を防ぐ目的で、繊維とマトリックスとの間に脆化軽減中間相を配置することが周知である。そのような中間相は、クラックが界面に達すると、局所的な剥離を通してクラッキングエネルギーを散逸させて、クラックを中間相内にそらすことが可能な、層状の構造または組織を有する材料から典型的に作られる。脆化軽減中間相の構成材料は、特に熱分解炭素PyCおよび窒化硼素BNであり、これらは層状構造を有している。米国特許第4752503号および米国特許第5026604号が参照される。例えば、ホウ酸ドープ炭素BCおよびチタンシリコン炭化物Ti3SiC2といったその他の材料を使用することができる。
【0004】
腐食性環境(酸化性または湿性の媒質)にて使用される場合、強化物の繊維に対する、または繊維または中間相がそのような腐食性環境に感受性の高い炭素といった材料から作られている場合には繊維/マトリックス中間相に対する、クラッキングを介した容易な到達を回避することが好ましい。
【0005】
そのため、CMC材料の使用温度において流体状態に変わることによりクラックの封鎖または修復を引き起こすことができるガラスを酸素の存在下で形成することが可能な材料から成る自己修復セラミック相によって、少なくとも部分的にマトリックスを作ることが提案されている。修復セラミック相は、例えば、ホウケイ酸ガラスを形成することが可能な元素Si、BおよびCを含む。例えば、米国特許代5965266号が参照される。
【0006】
さらに、複数のセラミック層からマトリックスを形成し、2つの隣接したマトリックス層(このマトリックス相もまた自己修復できる)の間にクラック転換中間相を配置することで、クラックが繊維/マトリックス中間相に到達する前に、マトリックス内のクラッキングエネルギーを散逸させることが提案された。例えば、米国特許第5074039号および米国特許第6068930号が参照される。
【0007】
しかしながら、自己修復マトリックス相の有効性は特定の温度範囲に限られる。先行技術にて提案されるようなマトリックス相間のクラック転換界面の導入もまた、限定的な有効性を有しており、界面におけるクラックの広がりにより作られる剥離が徐々にCMC材料のはがれをもたらす。
【0008】
[発明の主題および簡単な説明]
したがって、本発明は、腐食性環境において、少なくとも1000℃まで、さらには少なくとも1200℃までの高温での使用に対するより長い寿命を有するCMC部品を提供することを目的とする。
【0009】
この目的は、2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック転換マトリックス中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによって緻密化された繊維強化材を含むCMC部品であって、前記中間相は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッドから成る第2相
を含むCMC部品によって達成される。
【0010】
2つの隣接したマトリックス層の間に位置した中間相を有する複数のマトリックス層を含むCMC材料において、ここで我々は、マトリックス層を横切る方向の第1クラック伝播様式(または様式I)と、中間相内における又は中間相と隣接したマトリックス層との界面における中間相に沿った第2縦方向伝播様式(様式II)とを区別する。
【0011】
本発明は、隣接したマトリックス相から中間相に到達するクラックを第1伝播様式から第2伝播様式に向かうことで転換させ、続いて、第2伝播様式から第1伝播様式に戻ることにより、クラックをその他の隣接したマトリックス相に向け直すことを保証するという中間相の能力に注目すべきである。このようにして、中間相層内の剥離の程度に限定することで、剥がれる危険性は低減され、周囲の媒質が潜在的に繊維強化材の繊維または繊維/マトリックス中間相に接触する可能性がある経路を拡大するクラックに対してねじりの工程を課すことにより、腐食性環境に対する耐性は拡大される。
【0012】
一実施形態では、前記第2相を構成する前記分離性接触パッドは、2つのセラミックマトリックス層の間を局所的に埋める役割を果たす。そして、前記分離性接触パッドは、前記中間相に隣接する前記マトリックス層の間における機械的に接触させる作用により第2結合相を形成する。前記分離性接触パッドは、セラミック、例えば炭化ケイ素SiC、別の構造的炭化物または構造的窒化物から作ることができ、2つの隣接したセラミックマトリックス層の1つと一体に形成することができる。
【0013】
好ましくは、前記分離性接触パッドは、前記中間相の表面の20%から80%を占める。
【0014】
前記中間相の前記第1相の前記材料は、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、ホウ酸ドープ炭素BCおよびMAX相、特にチタンシリコン炭化物Ti3SiC2から成る群から選択できる。
【0015】
好ましくは、前記中間相は、0.01ミクロンから2ミクロンの厚さを有する。
【0016】
別の側面によると、本発明の目的は、上記のとおり定義されたCMC部品の製造を可能にする方法を提供することである。
【0017】
この目的は、繊維性予成形品の製造、および2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック−転換中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによる前記繊維性予成形品の緻密化を含み、前記中間相は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッドから成る第2相
から作られる方法によって達成される。
【0018】
方法の第1の特定の実施形態によると、前記中間相は、前記第1相および前記第2相の化学蒸着浸透による共堆積により作られる。
【0019】
方法の第2の特定の実施形態によると、前記中間相は、前記第1相の前記材料の連続層のセラミックマトリックス層上に化学蒸着浸透堆積を行い、前記堆積した層の前記材料を局所的に除去して不連続層を形成すること、およびそのように形成された空間に前記第2相を構成する材料を堆積することにより充填することにより作られる。前記空間の前記充填は、次のセラミックマトリックス層の形成の間におけるセラミック材料の堆積により行うことができる。
【0020】
方法の第3の特定の実施形態によると、前記中間相は、前記第1相の構成材料または前記材料の先駆物質のセラミックマトリックス層上に不連続堆積を行い、互いに離れたパッチを形成すること、および前記第2相を構成する材料を堆積することにより前記パッチ間の空間を充填することにより作られる。前記空間の前記充填は、次のセラミックマトリックス層の形成の間におけるセラミック材料の堆積により行うことができる。
【0021】
本発明のこの第3の実施形態では、前記第1相の前記構成材料または前記材料の先駆物質の粒子を液体担体中に懸濁し、前記懸濁物を前記セラミックマトリックス層に浸透させ、液体結合剤を除去し、前記セラミックマトリックス層の表面に分散した粒子を得ることにより前記不連続堆積を行うことが可能である。
【0022】
前記不連続堆積は、前記第1相の前記材料の先駆材料により形成される場合、前記先駆材料の変換は、次のセラミックマトリックス層の形成の際に、気相との化学反応により生じてよい。
【0023】
本発明の第4の実施形態では、前記中間相は、セラミックマトリックス層上における、前記第2相の前記分離性接触パッドを形成する団塊の形成、および前記第1相を構成する材料の層の堆積により作られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、先行技術による脆化軽減中間相により分離される幾つかのセラミックマトリックス相を有するCMC材料のマトリックスにおけるクラックの伝播を図示する。
【図2】図2は、中間相により分離される幾つかのセラミックマトリックス相を有する本発明によるCMC材料のマトリックスにおけるクラックの伝播を図示する。
【図3】図3は、本発明に係る中間相の例を図示する。
【図4A】図4Aは、本発明に係る中間相の別の例を図示し、図4Bは、そのような中間相における方向転換(Redirection)を有したクラックの伝播を示す。
【図4B】図4Aは、本発明に係る中間相の別の例を図示し、図4Bは、そのような中間相における方向転換(Redirection)を有したクラックの伝播を示す。
【図5A】図5Aから5Cは、図4Aのような中間相を製造する方法の連続的工程を示す。
【図5B】図5Aから5Cは、図4Aのような中間相を製造する方法の連続的工程を示す。
【図5C】図5Aから5Cは、図4Aのような中間相を製造する方法の連続的工程を示す。
【図6A】図6Aおよび6Bは、図4Aのような中間相を製造する別の方法の連続的工程を示す。
【図6B】図6Aおよび6Bは、図4Aのような中間相を製造する別の方法の連続的工程を示す。
【図7A】図7Aから7Cは、本発明に係る中間相を作るさらに別の方法の連続的工程を示す。
【図7B】図7Aから7Cは、本発明に係る中間相を作るさらに別の方法の連続的工程を示す。
【図7C】図7Aから7Cは、本発明に係る中間相を作るさらに別の方法の連続的工程を示す。
【図8】図8は、C+SiCの共堆積の走査電子顕微鏡画像である。
【図9】図9から11は、クラック伝播様式を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図10】図9から11は、クラック伝播様式を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図11】図9から11は、クラック伝播様式を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図12】図12は、セラミック相の表面に形成された団塊を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図13】図13は、2つのセラミック層の間における本発明に係る中間相を示す走査電子顕微鏡画像である。
【発明の詳細な説明】
【0025】
図1は、複数のセラミックマトリックス層または相M1、M2、M3およびM4並びに2つの隣接したマトリックス層の間に位置した脆化軽減中間相I12、I23およびI34を含む既知のCMC材料の一部を図示する。中間相は、例えばPyC、BN、BCまたはTi3SiC2といったクラック−転換材料から作られており、そのため、隣接したマトリックス層M4を横切って広がる(クラック伝播様式I)中間相I12に到達するクラックFは転換し、伝播は、後者内、または中間相I34と隣接したマトリックス層M3またはM4との間の界面における剥離を通って中間相I34に沿って続く(クラック伝播様式II)。
【0026】
このため、マトリックス全体を通ったCMC材料の繊維に到達するまでのクラックの伝播は回避され、または遅延される。しかしながら、様式IIの伝播に対応する剥離は、当然、CMC材料のはがれの危険性をもたらす。
【0027】
図2は、複数のセラミックマトリックス層または相M1、M2、M3およびM4並びに2つの隣接したマトリックス層の間に位置した混合性中間相J12、J23およびJ34を含む本発明によるCMC材料の一部を図示する。各々の混合性中間相は、次の2つの相の並置により形成される:
−中間相に達するクラックの様式Iから様式IIへの転換を促進することが可能なクラック−転換材料から作られる第1剥離相、および
−中間相に沿って様式IIで伝播するクラックの様式Iへの方向転換(Redirection)を促進することが可能な分離性接触パッド(図2には図示されない)から作られる第2相。
【0028】
このため、中間相に隣接したセラミックマトリックス層を通って様式Iで伝播する中間相に達するクラックFは転換され、中間相に沿って様式IIで限られた距離にわたって伝播し、再び転換されて、中間相に隣接した別のセラミックマトリックス層を通って様式Iでその伝播を続ける。
【0029】
このため、剥離の危険性は排除され、または少なくとも大きく低減する。さらに、クラックの曲った通路は、腐食性の化学種が材料の核に到達することを困難にする。
【0030】
混合性中間相は比較的小さな厚さを有することができ、例えば0.01ミクロンから2ミクロンの間の厚さを有してよい。
【0031】
様式Iから様式IIへの二重転換能力および様式IIから様式Iに戻る方向転換を提供する混合性中間相は、種々の方法で作ることができる。
【0032】
中間相により分離された幾つかのマトリックス層を有するCMC材料部品の製造は、既知の様式において、以下の工程を含む:
(a)製造すべき部品に対応した形状を有する繊維性予成形品であって、炭素またはセラミック繊維からできた予成形品を作る、
(b)繊維上に繊維/マトリックス脆化軽減中間相層であって、おそらく繊維性予成形品を製造する前に形成することが可能な中間相層を形成する、
(c)セラミックマトリックス層を形成する、
(d)セラミックマトリックス層上に中間相を形成する、
(e)セラミックマトリックス層を形成する、および
(f)おそらく1回以上工程(c)から(e)を繰り返す。
【0033】
繊維性予成形品は、例えば、繊維性生地を、おそらく織り糸のシート、伝統的な2次元(2D)織物または3次元(3D)もしくは多層織物といった重ね合わせられた層に成形することにより得ることができる。
【0034】
相対的に複雑な形状によって作られる部品の場合、繊維性予成形品は、炭素またはセラミックの先駆物質樹脂を含む強化組成物を使用して含侵し、その後樹脂の硬化および熱分解することによる液体方法を用いて所望の形状に凍結して強固にしてよい。特にCMC部品を製造することを意図した予成形品用の液体の強固プロセスは、本願出願人による仏国特許出願第0854937号に記述される。
【0035】
繊維/マトリックス中間相層、セラミックマトリックス層の間の中間層、並びにセラミックマトリックス層は、化学蒸着浸透(CVI)によって作ることができる。その目的のために、恐らく強固にされた繊維性予成形品はオーブンに置かれ、堆積すべき材料の1以上の先駆物質を含む反応性気相が、オーブンに導入される。圧力および温度条件は、特に、気相が繊維性予成形品内に拡散し、その中で、気相の成分の分解によってまたはいくつかの成分間の反応によって所望の堆積物が形成されるように選択される。そして、反応的な気相の組成および、適用可能な場合、CVIプロセスのための条件(温度、圧力、気相中の先駆物質濃度、オーブン中の気相の滞留時間等)は、所定の材料中のマトリックス層の堆積の、別の材料中の中間相層への遷移(またはその逆)の際に、修正される。CVIによる脆化軽減中間相またはセラミックマトリックス層の製造に関する記述の冒頭にて引用した文献が参照される。
【0036】
下に示されるように、中間相は、CVIプロセス以外の方法を使用して、少なくとも部分的に作られてよい。
【0037】
図3は、2つのセラミックマトリックス層20および30の間における本発明による混合性中間相10の第1実施形態を図示する。
【0038】
中間相10は、剥離により様式IIへのクラックの転換を促進することができる材料中の第1剥離相12、および様式IIから様式Iへのクラックの方向転換(Redirection)を促進することができるグレインまたは分離性接触パッドから構成された第2相14を含み、相14のグレインまたは接触パッドは、セラミックマトリックス層20および30の間を局所的に埋める結合を作ることができる。
【0039】
剥離相12は、例えば、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、ホウ酸ドープ炭素BC(5%から20%のB、残りはC)またはTi3SiC2といったMAX相から作ることができる。結合相14を形成するグレインまたは接触パッドは、例えば炭化ケイ素SiC、別の構造的炭化物または構造的窒化物といったセラミックから形成することができる。
【0040】
中間相10は、相11および12のセラミックマトリックス層20上での共堆積により得ることができる。例えば、PyC相12およびSiC相14のCVI共堆積は、メチルトリクロルシラン(MTS)および水素H2からできた反応性気相を使用して行うことができ、ここで、H2の割合とMTSの割合との比率αは非常に低く設定され、例えばα<1にされる。
【0041】
中間相10の形成後、次のセラミック層30が形成される。これにより、マトリックス層および中間相は連続的に製造される。
【0042】
図4は、2つのセラミックマトリックス層120および130の間における本発明による混合性中間層110の別の実施形態を図示する。
【0043】
中間相は、様式IIに向けてクラックをディバーティングできる材料から作られた第1剥離相112、およびマトリックス層の1つともに形成される、セラミック材料の層の間における局所的な橋かけによる結合をもたらす分離性接触パッドから作られる第2結合相114を含む。
【0044】
第1分離相112は、例えばPyC、BN、BCまたはTi3SiC2といったMAX相から作ることができる。
【0045】
中間相110を形成する方法の1つは、図5Aから5Cに示される。
【0046】
マトリックス層120の製造の後、剥離相材料の連続層111は、マトリックス層120上にCVIにより形成される(図5A)。
【0047】
層111は局所的に除去され、互いに分離したパッチ112が残される(図5B)。層111の局所的な除去は、化学的または物理的なエッチングによって行うことができる。
【0048】
その後、層130のセラミック材料はCVIによって堆積され、特に、パッチ112の間の空間を占有して、接触パッド114を形成するように堆積される。
【0049】
中間相110を形成する別の方法は、図6Aおよび6Bに示される。
【0050】
セラミックマトリックス層120を生産した後に、剥離相材料または剥離相材料の先駆材料のパッチ112aは、層120の上に形成される(図6A)。パッチ112aは互いに分離している。
【0051】
パッチ112aを形成するために、以下の手法を使用してよい:
−剥離相の材料の粒子のまたは剥離相の材料の先駆材料を液体担体に含む懸濁液の準備、
−懸濁液によるマトリックス層120の含浸、および
−固体担体を除去し、マトリックス層120の表面に分散した単離された粒子を残す、ここで、粒子は層120の表面空隙に固定されるものの、常に余剰の空隙は存在しており、粒子は、製造しようとする中間相の厚さを超えないように選択されたサイズを有している。
【0052】
パッチ112aは、直接的に分離層112を形成することができ、または続くマトリックス層130の堆積の前における気相との化学反応によって、もしくはそのマトリックス層の堆積中の化学反応によって、分離層112を形成することができる。
【0053】
このようにして、チタンを先駆物質として使用してパッチ112aを形成することができ、マトリックス層130を形成するために使用されるSiCガス状先駆物質相との反応によりTi3SiC2から作られた接触パッド112がもたらされる。
【0054】
マトリックス層130のセラミック材料はCVIにより堆積され、特にパッチ112aの間の空間を占有して、接触パッド114が形成される(図6B)。
【0055】
図7Aから7Cは、本発明による混合性中間相を製造するためのまた別の方法を示す。
【0056】
製造しようとする中間相の第2相の分離性接触パッドを形成することが意図された団塊214を、セラミックマトリックス層220に堆積する(図7A)。
【0057】
団塊214は、連続層ではなく分離した団塊によって形成された不連続堆積を産出する堆積条件を選択して、化学蒸着法(CVD)によって得ることができる。この場合、例えば、SiCまたはSiC+Si団塊は、MTS、H2および塩化水素HClの混合物を含む気相を使用して得ることができ、H2とMTSとの間の比率αおよびHClとMTSとの間の比率δは目的に応じて選択され、αは、好ましくは5から25の間に含まれ、δは、好ましくは0.05から2の間に含まれる。
【0058】
その後、剥離相の連続層211が、マトリックス相220および団塊214の上にCVIによって形成される(図7B)。剥離相は、例えばPyC、BN、BCまたはTi3SiC2といったMAX相から作ることができる。これにより、団塊214および層211を含むマトリックス中間相210が得られる。
【0059】
その後、次のマトリックス層230が剥離相211上に形成される。
【0060】
マトリックス相220および230はCVIによって有利に形成され、CVDによる団塊214の製造は、反応的な気相の組成を修正することで、オーブン中でマトリックス相および中間相を形成するための工程に結び付けることを可能にする。
【0061】
中間相の第2相を形成する固体粒子のマトリックス層220上への堆積は、しかしながら、液体担体、例えばSiC中に小さな固体セラミック粒子を含む懸濁液を形成し、マトリックス層220にこの懸濁液を浸透させ、液体担体を除去して、マトリックス層の表面に分散し、表面の空隙に固定されたセラミック粒子を残すことにより行うことができる。
【0062】
中間相の製造例を以下に記載する。これらの例において、中間相は、繊維強化材による複合基体ではなく一体構造基体上に製造されており、この狙いは、中間相の可能性および効果を示すことである。
【0063】
[例1]
アッセンブリー:SiC/SiC+PyC中間相/SiC/SiC+PyC中間相/SiCをシリコン基体上に製造した:
ここにおいて、
−SiC層は、周知の様式でCVIにより得られた化学量論的層であり、MTS+H2気相から、約1000℃の温度にて、約5kPaの圧力下で、H2割合とMTS割合との間の比率αを約6として得られた;
−SiC+PyC中間相はMTS+H2気相からCVIにより得られ、層状構造を有する第1剥離相PyCおよびPyC微結晶からできた第2相が生じており、条件は、比率αが1未満となるように選択されたこと以外は、化学量論的SiCの取得のための条件と同じである。
【0064】
それぞれの中間相の形成について、約0.1に等しい比率α(完全)および1.5分の期間を選択することにより、中間相は、30nmにほぼ等しい厚さで、80%at.のPyCを含み、残りはSiC微結晶により形成された状態で得られた。
【0065】
図8は得られた中間相を示し、図9は、負荷の圧入により生じたクラックの経路を示す。図9において、円は、クラック方向転換(Redirection)ゾーンを示す(様式IIから様式Iへの変換)。
【0066】
[例2]
例1と同様の方法を使用したが、それぞれの中間相の製造の際に、0.25にほぼ近い比率αおよび5分間の期間を使用し、0.3ミクロンにほぼ等しい厚さを有し、70%at.のPyCを含み、残りはSiC微結晶により形成されたSiC+PyC中間相を得た。
【0067】
図10は、負荷の圧入により生じたクラックの経路を示す。第2中間相における様式Iから様式IIへの変換がなく、そのような変換は、第1中間相にて生じた様式Iへの方向転換を伴うことがわかる。
【0068】
[例3]
例1と同様の方法を使用したが、それぞれの中間相の製造の際に、0.5にほぼ近い比率αおよび5分間の期間を使用し、0.2ミクロンにほぼ等しい厚さを有し、60%at.のPyCを含み、残りはSiC微結晶により形成されたSiC+PyC中間相を得た。
【0069】
図11は、負荷の圧入により生じたクラックの経路を示す。両方の中間相において様式Iから様式IIへの変換がないことがわかり、剥離相の存在が不十分であることが反映されている。
【0070】
[例4]
SiC+Si(Siが高度に富化された非化学両論的SiC)団塊は、SiC基体上にCVDにより形成し、ガス状MTS+H2+HCl相を使用し、約1000℃の温度で、約5kPaの圧力下で、比率αおよびδはそれぞれ約8および約0.5に等しい値とし、堆積時間は約30分として形成した。
【0071】
図12は、得られたSiC+Si団塊を示す。これらは、約300nmの平均直径および約100nmの平均高さを有し、団塊間の平均距離は、約5ミクロンである。
【0072】
[例5]
アッセンブリー:SiC/(SiC+Si)+PyC中間相/SiCをシリコン基体上に得た:
ここにおいて、
−SiC層は、例1のようなCVIにより得た化学両論的SiC層である;
−(SiC+Si)+PyC中間相は、分離したSiC+Si団塊のCVD堆積、その後の連続的PyC層のCVI堆積により得た。
【0073】
SiC+Si団塊(Siが高度に富化された非化学両論的SiC)のCVD堆積を、ガス状MTS+H2+HCl相を使用して、約1000℃の温度で、約5kPaの圧力下で、比率αおよびδをそれぞれ約20および約0.5に等しい値とし、堆積時間は約30分で行った。
【0074】
連続的PyC層の堆積を、プロパンを含む気相を使用して、約1000℃の温度で、約5kPaの圧力下で、堆積時間は約2.5分として行った。
【0075】
図13は得られた中間相を示しており、50nmにほぼ等しい厚さを有している。
【発明の概要】
【0001】
[発明の背景]
本発明は、セラミックマトリックスを有する複合材料部品に関し、特に航空用エンジンまたはロケットエンジンのための部品に関するが、これらに限定されない。
【0002】
セラミックマトリックス複合材(CMC)は、炭素またはセラミック繊維中において、セラミックマトリックスにより緻密化された繊維強化材から成る。これらは、その機械的特性および温度耐性により、使用の際に高温にさらされる構造部品のための使用に適している。
【0003】
しかしながら、CMCは、しばしばその製造のときに、熱機械歪みの影響の下、クラッキングにさらされる。マトリックスを通して広がるクラックによって繊維強化材の繊維が破壊することを防ぎ、さらに、それによりもたらされる機械的特性の急速な劣化を防ぐ目的で、繊維とマトリックスとの間に脆化軽減中間相を配置することが周知である。そのような中間相は、クラックが界面に達すると、局所的な剥離を通してクラッキングエネルギーを散逸させて、クラックを中間相内にそらすことが可能な、層状の構造または組織を有する材料から典型的に作られる。脆化軽減中間相の構成材料は、特に熱分解炭素PyCおよび窒化硼素BNであり、これらは層状構造を有している。米国特許第4752503号および米国特許第5026604号が参照される。例えば、ホウ酸ドープ炭素BCおよびチタンシリコン炭化物Ti3SiC2といったその他の材料を使用することができる。
【0004】
腐食性環境(酸化性または湿性の媒質)にて使用される場合、強化物の繊維に対する、または繊維または中間相がそのような腐食性環境に感受性の高い炭素といった材料から作られている場合には繊維/マトリックス中間相に対する、クラッキングを介した容易な到達を回避することが好ましい。
【0005】
そのため、CMC材料の使用温度において流体状態に変わることによりクラックの封鎖または修復を引き起こすことができるガラスを酸素の存在下で形成することが可能な材料から成る自己修復セラミック相によって、少なくとも部分的にマトリックスを作ることが提案されている。修復セラミック相は、例えば、ホウケイ酸ガラスを形成することが可能な元素Si、BおよびCを含む。例えば、米国特許代5965266号が参照される。
【0006】
さらに、複数のセラミック層からマトリックスを形成し、2つの隣接したマトリックス層(このマトリックス相もまた自己修復できる)の間にクラック転換中間相を配置することで、クラックが繊維/マトリックス中間相に到達する前に、マトリックス内のクラッキングエネルギーを散逸させることが提案された。例えば、米国特許第5074039号および米国特許第6068930号が参照される。
【0007】
しかしながら、自己修復マトリックス相の有効性は特定の温度範囲に限られる。先行技術にて提案されるようなマトリックス相間のクラック転換界面の導入もまた、限定的な有効性を有しており、界面におけるクラックの広がりにより作られる剥離が徐々にCMC材料のはがれをもたらす。
【0008】
[発明の主題および簡単な説明]
したがって、本発明は、腐食性環境において、少なくとも1000℃まで、さらには少なくとも1200℃までの高温での使用に対するより長い寿命を有するCMC部品を提供することを目的とする。
【0009】
この目的は、2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック転換マトリックス中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによって緻密化された繊維強化材を含むCMC部品であって、前記中間相は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッドから成る第2相
を含むCMC部品によって達成される。
【0010】
2つの隣接したマトリックス層の間に位置した中間相を有する複数のマトリックス層を含むCMC材料において、ここで我々は、マトリックス層を横切る方向の第1クラック伝播様式(または様式I)と、中間相内における又は中間相と隣接したマトリックス層との界面における中間相に沿った第2縦方向伝播様式(様式II)とを区別する。
【0011】
本発明は、隣接したマトリックス相から中間相に到達するクラックを第1伝播様式から第2伝播様式に向かうことで転換させ、続いて、第2伝播様式から第1伝播様式に戻ることにより、クラックをその他の隣接したマトリックス相に向け直すことを保証するという中間相の能力に注目すべきである。このようにして、中間相層内の剥離の程度に限定することで、剥がれる危険性は低減され、周囲の媒質が潜在的に繊維強化材の繊維または繊維/マトリックス中間相に接触する可能性がある経路を拡大するクラックに対してねじりの工程を課すことにより、腐食性環境に対する耐性は拡大される。
【0012】
一実施形態では、前記第2相を構成する前記分離性接触パッドは、2つのセラミックマトリックス層の間を局所的に埋める役割を果たす。そして、前記分離性接触パッドは、前記中間相に隣接する前記マトリックス層の間における機械的に接触させる作用により第2結合相を形成する。前記分離性接触パッドは、セラミック、例えば炭化ケイ素SiC、別の構造的炭化物または構造的窒化物から作ることができ、2つの隣接したセラミックマトリックス層の1つと一体に形成することができる。
【0013】
好ましくは、前記分離性接触パッドは、前記中間相の表面の20%から80%を占める。
【0014】
前記中間相の前記第1相の前記材料は、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、ホウ酸ドープ炭素BCおよびMAX相、特にチタンシリコン炭化物Ti3SiC2から成る群から選択できる。
【0015】
好ましくは、前記中間相は、0.01ミクロンから2ミクロンの厚さを有する。
【0016】
別の側面によると、本発明の目的は、上記のとおり定義されたCMC部品の製造を可能にする方法を提供することである。
【0017】
この目的は、繊維性予成形品の製造、および2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック−転換中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによる前記繊維性予成形品の緻密化を含み、前記中間相は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッドから成る第2相
から作られる方法によって達成される。
【0018】
方法の第1の特定の実施形態によると、前記中間相は、前記第1相および前記第2相の化学蒸着浸透による共堆積により作られる。
【0019】
方法の第2の特定の実施形態によると、前記中間相は、前記第1相の前記材料の連続層のセラミックマトリックス層上に化学蒸着浸透堆積を行い、前記堆積した層の前記材料を局所的に除去して不連続層を形成すること、およびそのように形成された空間に前記第2相を構成する材料を堆積することにより充填することにより作られる。前記空間の前記充填は、次のセラミックマトリックス層の形成の間におけるセラミック材料の堆積により行うことができる。
【0020】
方法の第3の特定の実施形態によると、前記中間相は、前記第1相の構成材料または前記材料の先駆物質のセラミックマトリックス層上に不連続堆積を行い、互いに離れたパッチを形成すること、および前記第2相を構成する材料を堆積することにより前記パッチ間の空間を充填することにより作られる。前記空間の前記充填は、次のセラミックマトリックス層の形成の間におけるセラミック材料の堆積により行うことができる。
【0021】
本発明のこの第3の実施形態では、前記第1相の前記構成材料または前記材料の先駆物質の粒子を液体担体中に懸濁し、前記懸濁物を前記セラミックマトリックス層に浸透させ、液体結合剤を除去し、前記セラミックマトリックス層の表面に分散した粒子を得ることにより前記不連続堆積を行うことが可能である。
【0022】
前記不連続堆積は、前記第1相の前記材料の先駆材料により形成される場合、前記先駆材料の変換は、次のセラミックマトリックス層の形成の際に、気相との化学反応により生じてよい。
【0023】
本発明の第4の実施形態では、前記中間相は、セラミックマトリックス層上における、前記第2相の前記分離性接触パッドを形成する団塊の形成、および前記第1相を構成する材料の層の堆積により作られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、先行技術による脆化軽減中間相により分離される幾つかのセラミックマトリックス相を有するCMC材料のマトリックスにおけるクラックの伝播を図示する。
【図2】図2は、中間相により分離される幾つかのセラミックマトリックス相を有する本発明によるCMC材料のマトリックスにおけるクラックの伝播を図示する。
【図3】図3は、本発明に係る中間相の例を図示する。
【図4A】図4Aは、本発明に係る中間相の別の例を図示し、図4Bは、そのような中間相における方向転換(Redirection)を有したクラックの伝播を示す。
【図4B】図4Aは、本発明に係る中間相の別の例を図示し、図4Bは、そのような中間相における方向転換(Redirection)を有したクラックの伝播を示す。
【図5A】図5Aから5Cは、図4Aのような中間相を製造する方法の連続的工程を示す。
【図5B】図5Aから5Cは、図4Aのような中間相を製造する方法の連続的工程を示す。
【図5C】図5Aから5Cは、図4Aのような中間相を製造する方法の連続的工程を示す。
【図6A】図6Aおよび6Bは、図4Aのような中間相を製造する別の方法の連続的工程を示す。
【図6B】図6Aおよび6Bは、図4Aのような中間相を製造する別の方法の連続的工程を示す。
【図7A】図7Aから7Cは、本発明に係る中間相を作るさらに別の方法の連続的工程を示す。
【図7B】図7Aから7Cは、本発明に係る中間相を作るさらに別の方法の連続的工程を示す。
【図7C】図7Aから7Cは、本発明に係る中間相を作るさらに別の方法の連続的工程を示す。
【図8】図8は、C+SiCの共堆積の走査電子顕微鏡画像である。
【図9】図9から11は、クラック伝播様式を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図10】図9から11は、クラック伝播様式を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図11】図9から11は、クラック伝播様式を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図12】図12は、セラミック相の表面に形成された団塊を示す走査電子顕微鏡画像である。
【図13】図13は、2つのセラミック層の間における本発明に係る中間相を示す走査電子顕微鏡画像である。
【発明の詳細な説明】
【0025】
図1は、複数のセラミックマトリックス層または相M1、M2、M3およびM4並びに2つの隣接したマトリックス層の間に位置した脆化軽減中間相I12、I23およびI34を含む既知のCMC材料の一部を図示する。中間相は、例えばPyC、BN、BCまたはTi3SiC2といったクラック−転換材料から作られており、そのため、隣接したマトリックス層M4を横切って広がる(クラック伝播様式I)中間相I12に到達するクラックFは転換し、伝播は、後者内、または中間相I34と隣接したマトリックス層M3またはM4との間の界面における剥離を通って中間相I34に沿って続く(クラック伝播様式II)。
【0026】
このため、マトリックス全体を通ったCMC材料の繊維に到達するまでのクラックの伝播は回避され、または遅延される。しかしながら、様式IIの伝播に対応する剥離は、当然、CMC材料のはがれの危険性をもたらす。
【0027】
図2は、複数のセラミックマトリックス層または相M1、M2、M3およびM4並びに2つの隣接したマトリックス層の間に位置した混合性中間相J12、J23およびJ34を含む本発明によるCMC材料の一部を図示する。各々の混合性中間相は、次の2つの相の並置により形成される:
−中間相に達するクラックの様式Iから様式IIへの転換を促進することが可能なクラック−転換材料から作られる第1剥離相、および
−中間相に沿って様式IIで伝播するクラックの様式Iへの方向転換(Redirection)を促進することが可能な分離性接触パッド(図2には図示されない)から作られる第2相。
【0028】
このため、中間相に隣接したセラミックマトリックス層を通って様式Iで伝播する中間相に達するクラックFは転換され、中間相に沿って様式IIで限られた距離にわたって伝播し、再び転換されて、中間相に隣接した別のセラミックマトリックス層を通って様式Iでその伝播を続ける。
【0029】
このため、剥離の危険性は排除され、または少なくとも大きく低減する。さらに、クラックの曲った通路は、腐食性の化学種が材料の核に到達することを困難にする。
【0030】
混合性中間相は比較的小さな厚さを有することができ、例えば0.01ミクロンから2ミクロンの間の厚さを有してよい。
【0031】
様式Iから様式IIへの二重転換能力および様式IIから様式Iに戻る方向転換を提供する混合性中間相は、種々の方法で作ることができる。
【0032】
中間相により分離された幾つかのマトリックス層を有するCMC材料部品の製造は、既知の様式において、以下の工程を含む:
(a)製造すべき部品に対応した形状を有する繊維性予成形品であって、炭素またはセラミック繊維からできた予成形品を作る、
(b)繊維上に繊維/マトリックス脆化軽減中間相層であって、おそらく繊維性予成形品を製造する前に形成することが可能な中間相層を形成する、
(c)セラミックマトリックス層を形成する、
(d)セラミックマトリックス層上に中間相を形成する、
(e)セラミックマトリックス層を形成する、および
(f)おそらく1回以上工程(c)から(e)を繰り返す。
【0033】
繊維性予成形品は、例えば、繊維性生地を、おそらく織り糸のシート、伝統的な2次元(2D)織物または3次元(3D)もしくは多層織物といった重ね合わせられた層に成形することにより得ることができる。
【0034】
相対的に複雑な形状によって作られる部品の場合、繊維性予成形品は、炭素またはセラミックの先駆物質樹脂を含む強化組成物を使用して含侵し、その後樹脂の硬化および熱分解することによる液体方法を用いて所望の形状に凍結して強固にしてよい。特にCMC部品を製造することを意図した予成形品用の液体の強固プロセスは、本願出願人による仏国特許出願第0854937号に記述される。
【0035】
繊維/マトリックス中間相層、セラミックマトリックス層の間の中間層、並びにセラミックマトリックス層は、化学蒸着浸透(CVI)によって作ることができる。その目的のために、恐らく強固にされた繊維性予成形品はオーブンに置かれ、堆積すべき材料の1以上の先駆物質を含む反応性気相が、オーブンに導入される。圧力および温度条件は、特に、気相が繊維性予成形品内に拡散し、その中で、気相の成分の分解によってまたはいくつかの成分間の反応によって所望の堆積物が形成されるように選択される。そして、反応的な気相の組成および、適用可能な場合、CVIプロセスのための条件(温度、圧力、気相中の先駆物質濃度、オーブン中の気相の滞留時間等)は、所定の材料中のマトリックス層の堆積の、別の材料中の中間相層への遷移(またはその逆)の際に、修正される。CVIによる脆化軽減中間相またはセラミックマトリックス層の製造に関する記述の冒頭にて引用した文献が参照される。
【0036】
下に示されるように、中間相は、CVIプロセス以外の方法を使用して、少なくとも部分的に作られてよい。
【0037】
図3は、2つのセラミックマトリックス層20および30の間における本発明による混合性中間相10の第1実施形態を図示する。
【0038】
中間相10は、剥離により様式IIへのクラックの転換を促進することができる材料中の第1剥離相12、および様式IIから様式Iへのクラックの方向転換(Redirection)を促進することができるグレインまたは分離性接触パッドから構成された第2相14を含み、相14のグレインまたは接触パッドは、セラミックマトリックス層20および30の間を局所的に埋める結合を作ることができる。
【0039】
剥離相12は、例えば、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、ホウ酸ドープ炭素BC(5%から20%のB、残りはC)またはTi3SiC2といったMAX相から作ることができる。結合相14を形成するグレインまたは接触パッドは、例えば炭化ケイ素SiC、別の構造的炭化物または構造的窒化物といったセラミックから形成することができる。
【0040】
中間相10は、相11および12のセラミックマトリックス層20上での共堆積により得ることができる。例えば、PyC相12およびSiC相14のCVI共堆積は、メチルトリクロルシラン(MTS)および水素H2からできた反応性気相を使用して行うことができ、ここで、H2の割合とMTSの割合との比率αは非常に低く設定され、例えばα<1にされる。
【0041】
中間相10の形成後、次のセラミック層30が形成される。これにより、マトリックス層および中間相は連続的に製造される。
【0042】
図4は、2つのセラミックマトリックス層120および130の間における本発明による混合性中間層110の別の実施形態を図示する。
【0043】
中間相は、様式IIに向けてクラックをディバーティングできる材料から作られた第1剥離相112、およびマトリックス層の1つともに形成される、セラミック材料の層の間における局所的な橋かけによる結合をもたらす分離性接触パッドから作られる第2結合相114を含む。
【0044】
第1分離相112は、例えばPyC、BN、BCまたはTi3SiC2といったMAX相から作ることができる。
【0045】
中間相110を形成する方法の1つは、図5Aから5Cに示される。
【0046】
マトリックス層120の製造の後、剥離相材料の連続層111は、マトリックス層120上にCVIにより形成される(図5A)。
【0047】
層111は局所的に除去され、互いに分離したパッチ112が残される(図5B)。層111の局所的な除去は、化学的または物理的なエッチングによって行うことができる。
【0048】
その後、層130のセラミック材料はCVIによって堆積され、特に、パッチ112の間の空間を占有して、接触パッド114を形成するように堆積される。
【0049】
中間相110を形成する別の方法は、図6Aおよび6Bに示される。
【0050】
セラミックマトリックス層120を生産した後に、剥離相材料または剥離相材料の先駆材料のパッチ112aは、層120の上に形成される(図6A)。パッチ112aは互いに分離している。
【0051】
パッチ112aを形成するために、以下の手法を使用してよい:
−剥離相の材料の粒子のまたは剥離相の材料の先駆材料を液体担体に含む懸濁液の準備、
−懸濁液によるマトリックス層120の含浸、および
−固体担体を除去し、マトリックス層120の表面に分散した単離された粒子を残す、ここで、粒子は層120の表面空隙に固定されるものの、常に余剰の空隙は存在しており、粒子は、製造しようとする中間相の厚さを超えないように選択されたサイズを有している。
【0052】
パッチ112aは、直接的に分離層112を形成することができ、または続くマトリックス層130の堆積の前における気相との化学反応によって、もしくはそのマトリックス層の堆積中の化学反応によって、分離層112を形成することができる。
【0053】
このようにして、チタンを先駆物質として使用してパッチ112aを形成することができ、マトリックス層130を形成するために使用されるSiCガス状先駆物質相との反応によりTi3SiC2から作られた接触パッド112がもたらされる。
【0054】
マトリックス層130のセラミック材料はCVIにより堆積され、特にパッチ112aの間の空間を占有して、接触パッド114が形成される(図6B)。
【0055】
図7Aから7Cは、本発明による混合性中間相を製造するためのまた別の方法を示す。
【0056】
製造しようとする中間相の第2相の分離性接触パッドを形成することが意図された団塊214を、セラミックマトリックス層220に堆積する(図7A)。
【0057】
団塊214は、連続層ではなく分離した団塊によって形成された不連続堆積を産出する堆積条件を選択して、化学蒸着法(CVD)によって得ることができる。この場合、例えば、SiCまたはSiC+Si団塊は、MTS、H2および塩化水素HClの混合物を含む気相を使用して得ることができ、H2とMTSとの間の比率αおよびHClとMTSとの間の比率δは目的に応じて選択され、αは、好ましくは5から25の間に含まれ、δは、好ましくは0.05から2の間に含まれる。
【0058】
その後、剥離相の連続層211が、マトリックス相220および団塊214の上にCVIによって形成される(図7B)。剥離相は、例えばPyC、BN、BCまたはTi3SiC2といったMAX相から作ることができる。これにより、団塊214および層211を含むマトリックス中間相210が得られる。
【0059】
その後、次のマトリックス層230が剥離相211上に形成される。
【0060】
マトリックス相220および230はCVIによって有利に形成され、CVDによる団塊214の製造は、反応的な気相の組成を修正することで、オーブン中でマトリックス相および中間相を形成するための工程に結び付けることを可能にする。
【0061】
中間相の第2相を形成する固体粒子のマトリックス層220上への堆積は、しかしながら、液体担体、例えばSiC中に小さな固体セラミック粒子を含む懸濁液を形成し、マトリックス層220にこの懸濁液を浸透させ、液体担体を除去して、マトリックス層の表面に分散し、表面の空隙に固定されたセラミック粒子を残すことにより行うことができる。
【0062】
中間相の製造例を以下に記載する。これらの例において、中間相は、繊維強化材による複合基体ではなく一体構造基体上に製造されており、この狙いは、中間相の可能性および効果を示すことである。
【0063】
[例1]
アッセンブリー:SiC/SiC+PyC中間相/SiC/SiC+PyC中間相/SiCをシリコン基体上に製造した:
ここにおいて、
−SiC層は、周知の様式でCVIにより得られた化学量論的層であり、MTS+H2気相から、約1000℃の温度にて、約5kPaの圧力下で、H2割合とMTS割合との間の比率αを約6として得られた;
−SiC+PyC中間相はMTS+H2気相からCVIにより得られ、層状構造を有する第1剥離相PyCおよびPyC微結晶からできた第2相が生じており、条件は、比率αが1未満となるように選択されたこと以外は、化学量論的SiCの取得のための条件と同じである。
【0064】
それぞれの中間相の形成について、約0.1に等しい比率α(完全)および1.5分の期間を選択することにより、中間相は、30nmにほぼ等しい厚さで、80%at.のPyCを含み、残りはSiC微結晶により形成された状態で得られた。
【0065】
図8は得られた中間相を示し、図9は、負荷の圧入により生じたクラックの経路を示す。図9において、円は、クラック方向転換(Redirection)ゾーンを示す(様式IIから様式Iへの変換)。
【0066】
[例2]
例1と同様の方法を使用したが、それぞれの中間相の製造の際に、0.25にほぼ近い比率αおよび5分間の期間を使用し、0.3ミクロンにほぼ等しい厚さを有し、70%at.のPyCを含み、残りはSiC微結晶により形成されたSiC+PyC中間相を得た。
【0067】
図10は、負荷の圧入により生じたクラックの経路を示す。第2中間相における様式Iから様式IIへの変換がなく、そのような変換は、第1中間相にて生じた様式Iへの方向転換を伴うことがわかる。
【0068】
[例3]
例1と同様の方法を使用したが、それぞれの中間相の製造の際に、0.5にほぼ近い比率αおよび5分間の期間を使用し、0.2ミクロンにほぼ等しい厚さを有し、60%at.のPyCを含み、残りはSiC微結晶により形成されたSiC+PyC中間相を得た。
【0069】
図11は、負荷の圧入により生じたクラックの経路を示す。両方の中間相において様式Iから様式IIへの変換がないことがわかり、剥離相の存在が不十分であることが反映されている。
【0070】
[例4]
SiC+Si(Siが高度に富化された非化学両論的SiC)団塊は、SiC基体上にCVDにより形成し、ガス状MTS+H2+HCl相を使用し、約1000℃の温度で、約5kPaの圧力下で、比率αおよびδはそれぞれ約8および約0.5に等しい値とし、堆積時間は約30分として形成した。
【0071】
図12は、得られたSiC+Si団塊を示す。これらは、約300nmの平均直径および約100nmの平均高さを有し、団塊間の平均距離は、約5ミクロンである。
【0072】
[例5]
アッセンブリー:SiC/(SiC+Si)+PyC中間相/SiCをシリコン基体上に得た:
ここにおいて、
−SiC層は、例1のようなCVIにより得た化学両論的SiC層である;
−(SiC+Si)+PyC中間相は、分離したSiC+Si団塊のCVD堆積、その後の連続的PyC層のCVI堆積により得た。
【0073】
SiC+Si団塊(Siが高度に富化された非化学両論的SiC)のCVD堆積を、ガス状MTS+H2+HCl相を使用して、約1000℃の温度で、約5kPaの圧力下で、比率αおよびδをそれぞれ約20および約0.5に等しい値とし、堆積時間は約30分で行った。
【0074】
連続的PyC層の堆積を、プロパンを含む気相を使用して、約1000℃の温度で、約5kPaの圧力下で、堆積時間は約2.5分として行った。
【0075】
図13は得られた中間相を示しており、50nmにほぼ等しい厚さを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックマトリックスを有し、2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック転換マトリックス中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによって緻密化された繊維強化材を含む複合材料部品であって、前記中間相(10;110;210)は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相(12;112;211)、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッド(14;114;214)から成る第2相
を含むことを特徴とする複合材料部品。
【請求項2】
前記第2相を構成する前記分離性接触パッドは、2つのセラミックマトリックス層の間を局地的に埋める役割を果たすことを特徴とする請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記分離性接触パッドはセラミックから作られていることを特徴とする請求項2に記載の部品。
【請求項4】
前記分離性接触パッドは、2つの隣接したセラミックマトリックス層の1つと一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の部品。
【請求項5】
前記分離性接触パッドは、前記中間相の表面の20%から80%を占めることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の部品。
【請求項6】
前記中間相の前記第1相の前記材料は、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、ホウ酸ドープ炭素BCおよびMAX相、特にチタンシリコン炭化物Ti3SiC2から成る群から選択されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の部品。
【請求項7】
前記中間相は、0.01ミクロンから2ミクロンの厚さを有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の部品。
【請求項8】
繊維性予成形品の製造、および2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック−転換中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによる前記繊維性予成形品の緻密化を含み、前記中間相は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッドから成る第2相
から作られる、セラミックマトリックスを有する複合材料部品の製造方法。
【請求項9】
前記中間相は、前記第1相および前記第2相の化学蒸着浸透による共堆積により作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中間相は、前記第1相の前記材料の連続層のセラミックマトリックス層上に化学蒸着浸透堆積を行い、前記堆積した層の前記材料を局所的に除去して不連続層を形成すること、およびそのように形成された空間に前記第2相を構成する材料を堆積することにより充填することにより作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記中間相は、前記第1相の構成材料または前記材料の先駆物質のセラミックマトリックス層上に不連続堆積を行い、互いに離れたパッチを形成すること、および前記第2相を構成する材料を堆積することにより前記パッチ間の空間を埋めることにより作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記不連続堆積は、前記第1相の前記構成材料または前記材料の先駆物質の粒子を液体担体中に懸濁し、前記懸濁物に前記セラミックマトリックス層を浸透させ、前記液体担体を除去し、前記セラミックマトリックス層の表面に分散した粒子を得ることにより行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不連続堆積は、前記第1相の前記材料の先駆材料により形成され、前記先駆材料の変換は、次のセラミックマトリックス層の形成の際に、気相との化学反応により行われることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記空間の前記充填は、次のセラミックマトリックス層の形成の間におけるセラミック材料の堆積により行われることを特徴とする請求項10から13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記中間相は、前記第2相の前記分離性接触パッドを形成する団塊のセラミックマトリックス層上における形成、および前記第1相を構成する材料の層の堆積により作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項1】
セラミックマトリックスを有し、2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック転換マトリックス中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによって緻密化された繊維強化材を含む複合材料部品であって、前記中間相(10;110;210)は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相(12;112;211)、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッド(14;114;214)から成る第2相
を含むことを特徴とする複合材料部品。
【請求項2】
前記第2相を構成する前記分離性接触パッドは、2つのセラミックマトリックス層の間を局地的に埋める役割を果たすことを特徴とする請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記分離性接触パッドはセラミックから作られていることを特徴とする請求項2に記載の部品。
【請求項4】
前記分離性接触パッドは、2つの隣接したセラミックマトリックス層の1つと一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の部品。
【請求項5】
前記分離性接触パッドは、前記中間相の表面の20%から80%を占めることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の部品。
【請求項6】
前記中間相の前記第1相の前記材料は、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、ホウ酸ドープ炭素BCおよびMAX相、特にチタンシリコン炭化物Ti3SiC2から成る群から選択されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の部品。
【請求項7】
前記中間相は、0.01ミクロンから2ミクロンの厚さを有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の部品。
【請求項8】
繊維性予成形品の製造、および2つの隣接したセラミックマトリックス層の間に位置するクラック−転換中間相を有する複数のセラミック層から成るマトリックスによる前記繊維性予成形品の緻密化を含み、前記中間相は、
第1伝播様式に従って前記中間相に隣接した2つのセラミックマトリックス層の1つを横切る方向に前記中間相に到達するクラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が第2伝播様式に従って前記中間相に沿って続くようにすることを促進できる材料からできた第1相、および
前記第2伝播様式に従って前記中間相に沿って伝播する前記クラックを転換させて、前記クラックの前記伝播が転換して前記第1伝播様式に従って前記中間相に隣接したその他のセラミックマトリックス層を通って続くようにすることを促進できる、前記中間相内に分布した分離性接触パッドから成る第2相
から作られる、セラミックマトリックスを有する複合材料部品の製造方法。
【請求項9】
前記中間相は、前記第1相および前記第2相の化学蒸着浸透による共堆積により作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中間相は、前記第1相の前記材料の連続層のセラミックマトリックス層上に化学蒸着浸透堆積を行い、前記堆積した層の前記材料を局所的に除去して不連続層を形成すること、およびそのように形成された空間に前記第2相を構成する材料を堆積することにより充填することにより作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記中間相は、前記第1相の構成材料または前記材料の先駆物質のセラミックマトリックス層上に不連続堆積を行い、互いに離れたパッチを形成すること、および前記第2相を構成する材料を堆積することにより前記パッチ間の空間を埋めることにより作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記不連続堆積は、前記第1相の前記構成材料または前記材料の先駆物質の粒子を液体担体中に懸濁し、前記懸濁物に前記セラミックマトリックス層を浸透させ、前記液体担体を除去し、前記セラミックマトリックス層の表面に分散した粒子を得ることにより行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不連続堆積は、前記第1相の前記材料の先駆材料により形成され、前記先駆材料の変換は、次のセラミックマトリックス層の形成の際に、気相との化学反応により行われることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記空間の前記充填は、次のセラミックマトリックス層の形成の間におけるセラミック材料の堆積により行われることを特徴とする請求項10から13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記中間相は、前記第2相の前記分離性接触パッドを形成する団塊のセラミックマトリックス層上における形成、および前記第1相を構成する材料の層の堆積により作られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−505857(P2013−505857A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530305(P2012−530305)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051545
【国際公開番号】WO2011/036358
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502202281)スネクマ・プロピュルシオン・ソリド (48)
【氏名又は名称原語表記】SNECMA PROPULSION SOLIDE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051545
【国際公開番号】WO2011/036358
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502202281)スネクマ・プロピュルシオン・ソリド (48)
【氏名又は名称原語表記】SNECMA PROPULSION SOLIDE
【Fターム(参考)】
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