説明

セラミック台座石及び冶金容器

【課題】向上した断熱性を維持しながら密度の減少を達成する等の、最適化された冶金容器で使用される台座石を提供する。
【解決手段】本発明は溶融金属を保持するための冶金容器で使用されるセラミック台座石であって、全体または一部がセラミック繊維、中空の円筒形、または泡状セラミックから形成されていることを特徴とするセラミック台座石を提供することによって上述の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融金属のための冶金容器で使用されるセラミック台座石に関する。本発明はまた、そのようなセラミック台座石を備えた冶金容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の構成は特に、溶融した鋼鉄、鉄、及び鋳鉄等の高い融点を有する金属と関連して使用される。このような場合において、それらの部材は台座石と呼ばれる冶金容器のライニング(または、内面部材)またはノズルの一部として使用される。台座石は溶融金属のための容器のノズル開口に配置され、冶金ノズルの上部が台座石に嵌め込まれる。
【0003】
例えば、特許文献1または2等にはこのような装置が開示されている。台座石はまた、特許文献3または4等にも開示されている。また、特許文献5等には、制限された、開いた多孔を備えた台座石が開示されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許5858260号明細書
【特許文献2】独国特許10150032号明細書
【特許文献3】欧州特許653261号明細書
【特許文献4】欧州特許916436号明細書
【特許文献5】独国特許2807123号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、例えば、向上した断熱性を維持しながら密度の減少を達成する等の、冶金容器で使用される台座石等の周知の部材の材料を最適化することである。
【0006】
この課題は本発明の独立請求項に記載されている特徴によって解決され、また、本発明の他の優れた構成は従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセラミック台座石は、全体または一部がセラミック繊維、中空の円筒形(または、中空の球形)、または泡状セラミックから形成され、中実材料に比べて小さい密度を呈すると同時に、向上した断熱特性を呈する。本発明において、台座石の、少なくとも1つの溶融金属と接触することが意図されている表面はセラミック繊維、中空の円筒形、または泡状セラミックから形成されることが望ましい。上述のセラミック繊維、中空の円筒形(または、中空の球形)、または泡状セラミックは酸化アルミニウム、好ましくは安定化二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、尖晶石等の酸化カルシウムから成る群から選択される、好ましくは95%純度、さらに好ましくは99.5%純度の材料から形成される。材料は、好ましくは25%以上の相対的な多孔性を有する、閉じた多孔性を呈する。本発明において、セラミック台座石は理論的な密度の少なくとも80%以上の密度、及び1W/mK以下の熱伝導性を呈することが望ましい。そのような低い熱伝導性は上述した条件において便利であることが判明している。
【0008】
本発明において、上述の課題は酸化アルミニウム、好ましくは安定化二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、尖晶石等の酸化カルシウムから成る群から選択される、少なくとも95%純度の材料から全体または一部が形成されるセラミック台座石によって解決される。台座石の、少なくとも1つの溶融金属と接触することが意図されている表面は少なくとも95%純度の材料、好ましくは99.5%純度の材料から形成される。材料は好ましくは、セラミック繊維、中空の円筒形(または、中空の球形)、または泡状セラミックから形成される。
【0009】
台座石の外径は同一の方向で測定されたときに、それの内径の少なくとも2倍、好ましくは、少なくとも3倍以上である。
【0010】
上述された台座石はノズルを備えた排出口または流出用開口を有する本発明の冶金容器の一部であってもよく、そこにおいて、台座石は該ノズルの上部に配置され、台座石の外径は同一の方向で測定されたときに、該ノズルの内径の少なくとも4倍、好ましくは、少なくとも6倍以上である。冶金容器は特に、セラミック繊維、中空の円筒形(または、中空の球形)、または泡状セラミック材料から作製されたライニング(または、内面部材)を備え、該ライニングは少なくとも95%純度の材料、好ましくは少なくとも99.5%純度の材料から形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面とともに本発明を詳細に説明する。図1及び2に図示されている台座石1は実質的に99.5%純度の酸化アルミニウムから中空の円筒形(または、中空の球形)の形状で形成される。この材料は25%より大きい多孔性、及び材料の理論的な密度の80%未満の密度を呈する。材料の熱伝導性は1W/mK未満である。台座石の内径に対する外径の比率は約2または3である。
【0012】
図3は台座石1に隣接した冶金容器の底部のノズルを示している。台座石1は冶金容器の壁2の内側に配置されている。この容器は溶融鋼鉄の分配装置(または、供給装置)である。底部のノズルは上部のオリフィス3を有する。オリフィス3には電気化学効果を生ずるための、または加熱のための電極4が配置されている。壁2は耐熱性材料から構成された複数の異なった層を有し、外側に鋼鉄外被5を有する。上部のオリフィス3の下には溶融金属の流量を調節するためのスライド弁6が配置されている。スライド弁6の下には下部のオリフィス7が配置されており、溶融金属容器8の内部に拡張している。例として、溶融金属容器8は鋼鉄のための連続的な鋳造機械の一部を形成していてもよい。溶融金属容器8の内部に直接拡張している下部のオリフィス7の部分9は基本的に、二酸化ジルコニウムから構成されている。ノズル3の内径に対する台座石の外径の比率は約4または5である。
【0013】
本発明に従ったセラミック部分のために使用される材料は良好な断熱性、及び溶融鋼鉄の浸透を防止する、閉じた多孔性を有する。また、同時に、それは比較的小さい密度を有し、そして、溶融鋼鉄と反応しない。それゆえ、それは比較的長い寿命を有すると同時に、溶融鋼鉄と接触したときに、溶融鋼鉄及びそれの構成要素が材料に全くまたは少量しか付着しない限り、優れた特性を与える。したがって、図3に示されているように、材料は溶融鋼鉄と直接接触した状態で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】台座石の断面図である。
【図2】台座石の斜視図である。
【図3】冶金容器のノズルの断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 台座石
2 冶金容器の壁
3 上部のオリフィス
4 電極
5 鋼鉄外被
6 スライド弁
7 下部のオリフィス
8 溶融金属容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を保持するための冶金容器で使用するためのセラミック台座石であって、全体または一部がセラミック繊維、中空の円筒形、または泡状セラミックから形成されているセラミック台座石。
【請求項2】
前記台座石の少なくとも1つの溶融金属と接触する表面がセラミック繊維、中空の円筒形、または泡状セラミックから形成されている、請求項1に記載のセラミック台座石。
【請求項3】
前記セラミック繊維、中空の円筒形、または泡状セラミックが酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または尖晶石から成る群から選択される、少なくとも95%純度、好ましくは少なくとも99.5%純度の材料から形成される、請求項1または2に記載のセラミック台座石。
【請求項4】
それの外径が同一の方向で測定されたときに、それの内径の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項5】
閉じた多孔性を呈する、請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項6】
25%より大きい多孔性を呈する、請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項7】
理論的な密度の最大で80%の密度を呈する、請求項1〜6のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項8】
最大で1W/mKの熱伝導性を呈する、請求項1〜7のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項9】
溶融金属を保持するための冶金容器で使用するためのセラミック台座石であって、全体または一部が酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または尖晶石から成る群から選択される、少なくとも95%純度の材料から形成されるセラミック台座石。
【請求項10】
前記台座石の少なくとも1つの溶融金属と接触する表面が酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または尖晶石から成る群から選択される、少なくとも95%純度の材料から形成される、請求項9に記載のセラミック台座石。
【請求項11】
酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または尖晶石から成る群から選択される前記材料が少なくとも99.5%の純度を有する、請求項9または10に記載のセラミック台座石。
【請求項12】
酸化アルミニウム、好ましくは安定化二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または尖晶石から成る群から選択される前記材料が繊維、中空の円筒形、または泡状セラミックとして形成される、請求項9〜12のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項13】
それの外径が同一の方向で測定されたときに、それの内径の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍以上である、請求項9〜12のいずれかに記載のセラミック台座石。
【請求項14】
ノズル及び請求項1〜13のいずれかに記載の台座石を有する冶金容器であって、前記台座石が該ノズルの上部に配置され、前記台座石の外径が同一の方向で測定されたときに該ノズルの内径の少なくとも4倍である冶金容器。
【請求項15】
セラミック繊維、中空の円筒形、または泡状セラミック材料のライニングを呈する、請求項14に記載の冶金容器。
【請求項16】
酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、または尖晶石から成る群から選択される、少なくとも95%純度、好ましくは99.5%純度の材料のライニングを呈する、請求項14または15に記載の冶金容器。
【請求項17】
前記台座石の外径が前記ノズルの内径の少なくとも6倍である、請求項14または16に記載の冶金容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−167956(P2007−167956A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339989(P2006−339989)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(598083577)ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ (37)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B−3530 Houthalen,Belgium
【Fターム(参考)】