説明

セラミック基材用塗料

高度に力学耐性及び化学耐性のあるセラミック基材、特にタイルを製造するための方法が提供され、該方法は、前記基材に熱硬化性又は放射線硬化性粉体塗料組成物の下塗り層を塗装するステップと、その塗布された粉体塗料組成物を硬化させるステップと、液体塗料組成物の更なる層を塗布し、その組成物を熱にさらして硬化させるステップとを含む。塗装されたセラミック基材、特にタイルも又提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基材にさまざまな塗料組成物を塗装するための方法及びそれによって得られるセラミック基材に関する。本発明は、更に又、セラミック基材用の塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常タイル又は衛生器具等のセラミック基材は、高度に装飾的である他に引っ掻き、磨耗及び溶媒に耐性があるようにするためにエナメルで塗装される。しかしながら、エナメル加工は、大量のエネルギーを消費し、装飾の点でも限界がある。
【0003】
米国特許第4143181号は、プライマーと上塗りとからなる塗料(単数又は複数)をガラス基材に塗布する方法に関する。基材を衝撃の際の損傷から保護することが意図されたそのプライマーは、ヒドロキシ官能性ポリエステルから成る熱硬化性バインダーを含む溶液として塗布され、粉体の上塗りは、苛性ソーダに対する耐性を改良するために寄与し、同様にヒドロキシ官能性ポリエステルから成る熱硬化性バインダーを含む。
【0004】
DE19748927は、耐熱性非金属基材上のポリエステル又はポリウレタン樹脂を含む熱硬化性組成物から得られる耐引っ掻き性のある装飾又は機能性塗料を得るための方法に関する。この基材は、塗布されるその塗料の軟化温度より上の温度まで加熱される。その後、その粉体は、その加熱された基材に、その基材自体が電気的に絶縁されているため、静電界は使用しないで塗布される。次に、その基材は、その熱硬化性粉体を硬化させるためにオーブンに移される。2回塗り方式が示されており、最初のブラックの粉体塗料、ポリエステルTGIC系は、200ミクロンの厚さで塗布されて10分間硬化される。続いて真鍮のフレークを含んでいる同じポリエステルTGIC系の2番目の透明層が、高度に装飾性の塗膜を得るために塗布されてもう10分間硬化される。
【0005】
WO2008/055921は、セラミック基材に、カルボキシ及び/又はヒドロキシ官能基を有する少なくとも1つのポリエステル及びこのポリエステルの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤を含む下塗りとしての粉体塗料組成物並びに放射線硬化性樹脂を含む更なる層としての塗料組成物を塗装するための方法に関する。
【0006】
WO2008/055922は、セラミック基材に、カルボキシ、ヒドロキシ及び/又はグリシジル官能基を含んでいる少なくとも1つのアクリルコポリマー及びこのアクリルコポリマーの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤を含むこの基材に対する粉体塗料組成物を塗装する方法に関する。
【0007】
米国特許第6982137号は、タイル又はガラスにカラー画像を形成する方法であって、該基材に最初に透明な粉体ポリマー塗料を塗装して80%〜95%硬化させ、次に乾式複写法によりカラー画像を適用し、最後に同じポリマーの別の層を塗布し、その後その系を加熱して完全な硬化を達成する方法に関する。
【0008】
これら先行技術の塗料はどれも、耐引っ掻き性及び耐薬品性等の優れた力学的及び化学的性能を有する高い装飾仕上げを得ることはない。
【0009】
これまでに提案された仕上がりの硬度は、多くの場合不十分であり、特に優れた溶媒及び熱ショックに対する耐性と組み合わされた極度の硬度(3H〜4H)は、技術的難関を形成した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
我々は、上記の欠点のいくつか又は全部を克服する塗料を今や見出した。それ故、本発明は、セラミック基材(例えばタイル)を塗装する方法であって、前記基材に下塗り層として粉体塗料組成物を塗布するステップと、塗布した組成物を硬化するステップと、更なる層として液体の塗料組成物を塗布し、塗布した液体組成物を熱に曝露することによって硬化させるステップとを含む上記方法に関する。該粉体塗料組成物は、熱硬化性粉体塗料組成物(A1)又は放射線硬化性粉体塗料組成物(A2)であり得る。熱硬化性粉体塗料組成物が好ましい。好ましくは、下塗りとして塗布される該粉体塗料組成物は、カルボキシ及び/又はヒドロキシ官能基を有する少なくとも1つのポリエステル及び、一般的には、そのポリエステルの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤を含む。有利には、この粉体塗料組成物は、熱硬化性粉体塗料組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される「セラミック基材」とは、土類原材料のような無機非金属材料に対する熱の作用によって製造した製品を意味する。セラミック基材は、一般的には、ケイ素をその酸化物及びケイ酸塩として知られる錯化合物と共に含んでいる材料を主として含む。このセラミック基材は、好ましくは、構造粘土製品、例えば、レンガ、タイル、テラコッタ又は艶出し加工した建築用レンガなどである。
【0012】
セラミックタイルが好ましく、特にセラミック壁用タイル、セラミック床タイル、より具体的にはセラミックの屋内壁用タイルが好ましい。
【0013】
該熱硬化性粉体塗料組成物(A1)は、一般的には熱的に硬化される。該放射線硬化性粉体塗料組成物(A2)は、一般的には化学線及び/又は紫外線及び/又は電離放射線(例えば電子線など)などの放射線への曝露によって硬化される。
【0014】
本明細書で使用される用語「熱への曝露による硬化」とは、物理的乾燥と、空気乾燥及び加熱乾燥の両方を指す。空気乾燥及びより具体的には加熱乾燥が好ましい。「空気乾燥」とは、それにより熱が空気から引き出され、樹脂の特定の基が空気からの酸素と反応して、架橋、硬化及び乾燥するプロセスを指す。しばしばその架橋に触媒作用をする有機金属塩又は「ドライヤー」が添加される。金属錯体の形のオイル乾燥剤は、添加して乾燥を促進することができる。「加熱乾燥」又は「焼付け」又は「オーブン焼付け」は、架橋剤又は硬化剤の存在下で中程度から高温(特に90℃より上)で硬化させることを指す。
【0015】
用語の「熱への曝露による硬化」は、特に、そこでは熱は、樹脂を溶融するためには使用され得るが、硬化(又は樹脂の架橋)のためには化学線及び/又は紫外線(場合によって光開始剤等のその他の成分の存在下で)及び/又は電離放射線(例えば電子線など)への曝露が必要となる「放射線への曝露による硬化」を除外する。本発明による方法において、該液体塗料組成物は熱的に硬化されるのが有利である。
【0016】
本発明の第1の好ましい実施形態において、セラミック基材(例えばタイル)への下塗り層として塗布される粉体塗料組成物は、カルボキシ及び/又はヒドロキシ官能基を有する少なくとも1つのポリエステルと、前記ポリエステルの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤とを含む。好ましくはこのポリエステルは、非晶性ポリエステルである。使用される該粉体塗料組成物は、熱硬化性粉体塗料組成物であるのが有利である。本発明のこの第1の実施形態において使用される粉体塗料組成物は、細かい粉末の形で提供され、それは、一旦基材に塗布されて加熱される際に、該セラミック基材上に塗膜を形成し、その過程の間に、該ポリエステルからの官能基の少なくとも一部が該硬化剤の官能基の少なくとも一部と反応する。
【0017】
本発明のこの第1の実施形態において使用されるポリエステルは、70〜100モル%の芳香族ポリカルボン酸及び/又はそれらの無水物、及び0〜30モル%の脂肪族又は脂環式ポリ酸及び/又はそれらの無水物を含むポリ酸成分から、並びに70〜100モル%の脂肪族ジオール、及び0〜30モル%の脂環式ジオール及び/又は(環状)脂肪族ポリオールを含むポリオール成分から一般に調製される。「(環状)脂肪族ポリオール」とは、脂環式ポリオール又は2つ以上の−OH基を有する脂肪族ポリオールを示すことを意味する。
【0018】
芳香族ポリカルボン酸は、好ましくは、テレフタル酸及びイソフタル酸並びにそれらの混合物である。脂肪族ジオールは、好ましくは、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びそれらの混合物である。
【0019】
本発明のこの第1の実施形態において使用されるポリエステルは、例えば、15〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜70mgKOH/gの酸価(D0029300による)を有するカルボキシ官能性ポリエステルであり得るか、又は、例えば、15〜300mgKOH/g、より好ましくは30〜100mgKOH/gのヒドロキシ価(D0067200による)を有するヒドロキシ官能性ポリエステルであり得る。カルボキシ官能性ポリエステルが好ましい。「カルボキシ官能性」とは、ヒドロキシ価より高い酸価を有するポリエステルを意味する。「ヒドロキシ官能性ポリエステル」とは、酸価より高いヒドロキシ価を有するポリエステルを意味する。
【0020】
この第1の実施形態によるポリエステルは、ポリスチレンを標準として使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定して600から15000までの範囲の数平均分子量(Mn)を好ましくは有する。好ましくはそのMnは少なくとも1100である。好ましくはそのMnは、最大で8500である。
【0021】
この第1の実施形態によるポリエステルは、1分当り20℃の加熱勾配によるASTM D3418に従う示差走査熱量測定法により測定して35〜80℃のガラス転移温度(Tg)を好ましくは有する。本発明の方法において使用可能なポリエステルは、より好ましくは、50℃を超えるTgを有する。
【0022】
この第1の実施形態によるポリエステルは、175℃で測定して5mPaから200℃で測定して15000mPaまでの範囲のASTM D4287−88に従うブルックフィールド(コーン/プレート)粘度を好ましくは有する。
【0023】
本発明のこの第1の実施形態において使用されるポリエステルは、従来技術において知られており、金属塗料で使用されることが記載されている。
【0024】
カルボキシ官能性ポリエステルが本発明のこの第1の実施形態で使用される場合、このポリエステルの反応性の基と反応できる反応性の基を含んでいる硬化剤は、ポリエポキシ化合物、β(ベータ)−ヒドロキシアルキルアミド含有化合物及びそれらの混合物から好ましくは選択される。好ましいのは、室温で固体であり、1分子当り少なくとも2個のエポキシ基を含むポリエポキシ化合物である。トリグリシジルイソシアヌレート、例えば、Araldite(登録商標)PT810の名称で市販されているものなど、ジグリシジルテレフタレートとトリグリシジルトリメリテートのブレンド、例えば、Araldite(登録商標)PT910又はAraldite(登録商標)PT912の名称で市販されているものなど、及びビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂、例えば、Araldite(登録商標)GT7004又はD.E.R(商標)692などが特に好ましい。グリシジルメタクリレート及び/又はグリシジルアクリレート及びその他の(メタ)アクリルモノマー並びに場合によってその他のエチレン性モノ不飽和モノマーから得られたグリシジル基を含んでいるアクリルコポリマーを使用することもできる。好ましいアクリルコポリマーは、Estron Chemical Incにより市販され、WO91/01748に記載されているGMA−300である。
【0025】
少なくとも1つ、好ましくは2つのビス(β(ベータ)−ヒドロキシアルキル)アミド基を含むβ(ベータ)−ヒドロキシアルキルアミドは特に好ましい。かかる化合物は、例えば、米国特許第4,727,111号に記載されている。
【0026】
本明細書で上に記載した硬化剤は、その硬化剤中に存在するエポキシ又はβ(ベータ)−ヒドロキシアルキル基1当量当りの該ポリエステル中に存在するカルボキシル基の当量が、0.25〜1.40、好ましくは0.60〜1.05の量で一般に使用される。
【0027】
本発明のこの第1の実施形態で使用されるヒドロキシ官能性を持たせたポリエステルが使用される場合、その硬化剤は、ブロックイソシアネート架橋剤から好ましくは選択される。ブロックポリイソシアネート架橋性化合物の例としては、VESTAGON(登録商標)B1530、Ruco(登録商標)NI−2及びCargill(登録商標)2400として市販されているε(イプシロン)−カプロラクタムによりブロックされたイソホロンジイソシアネート又はCargill(登録商標)2450として市販されているε(イプシロン)−カプロラクタムによりブロックされたトルエン−2,4−ジイソシアネートに基づくもの、及びフェノールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0028】
使用することができるブロックポリイソシアネート化合物のその他の種類は、イソホロンジイソシアネートとジオールの1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオンダイマーの付加物であり、但し、その付加物の形成においてNCO対OH基の比は、約1:0.5〜1:0.9であり、ジアゼチジン対ジオールのモル比は、2:1〜6:5であり、その付加物中の遊離イソシアネート基の含量は、8重量パーセント以下であり、その付加物は、約500〜4000の分子量及び約70〜130℃の融点を有する。かかる付加物は、VESTAGON(登録商標)BF1540の名称の下で市販されている。
【0029】
該硬化剤は、硬化剤中に存在する(ブロックされているかブロックされていない)イソシアネート1当量当りの該ポリエステル中に存在するヒドロキシ基の当量が、0.3〜1.4、好ましくは0.7〜1.2の量で一般に使用される。
【0030】
本発明のこの第1の実施形態における下塗り層として使用されるこの粉体塗料組成物は、本明細書で上に記した1つ又は複数のポリエステルを含むバインダー及び1つ又は複数の硬化剤以外に粉体塗料組成物中に通常使用される他の添加剤、充填剤及び/又は顔料を含むことができる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、該粉体に基づく塗膜は顔料着色されている。本発明のこの第1の実施形態で使用される粉体塗料組成物は、当技術分野で周知の少なくとも1つの顔料及び/又は着色剤及び/又は充填剤を更に含むことが有利である。又、この粉体塗料組成物には、例えば、DE19748927及びWO2008/09540に記載されている真鍮フレーク、金属顔料及び真珠光沢顔料のような特殊効果を提供する顔料を加えることもできる。金属顔料の例としては、銅、ニッケル及び/又はアルミニウム顔料が挙げられる。或いは、この粉体塗膜は透明塗膜であり得る。
【0032】
本発明のこの第1の実施形態において使用される粉体塗料組成物は、好ましくは、重量で30%〜97%のポリエステル;3%〜50%、より好ましくは3〜60重量%の硬化剤;重量で0%〜50%、より好ましくは5%〜30%の着色剤及び/又は顔料及び/又は充填剤並びに重量で0%〜10%のその他の添加剤を含む。
【0033】
本発明のこの第1の実施形態において使用される粉体塗料組成物の成分は、ミキサー又はブレンダー、例えば、ドラムミキサー中で乾式混合によって混ぜ合わせることができる。そのプレミックスは、次に単独スクリュー又は二重スクリュー押出し機中70〜150℃で変動する温度で通常は均質化される。その押出し物は、冷却されて、好ましくは10〜150μmの粒径を有する粉末に砕かれる。
【0034】
本発明のこの第1の実施形態において使用される粉体塗料組成物は、任意の粉体塗装プロセスによってセラミック基材に塗布することができる。粉末にされた組成物は静電気コロナ(CORONA)ガン又はトライボ(TRIBO)ガン等の粉体ガンの使用によってセラミック基材上に置くことができる。他方で、粉末堆積の周知の方法、例えば流動層技術などを使用することができる。
【0035】
本発明の第2の実施形態においては、放射線硬化性粉体塗料組成物(A2)が、セラミック基材(例えばタイル)上の下塗り層として塗布される。かかる放射線硬化性粉体塗料組成物は、当技術分野で周知である。好ましくは、この放射線硬化性粉体塗料組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有ポリエステル(A21)及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂(A22)を含む。「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル、メタクリロイル及びそれらの混合物を意味する。好ましくは、ポリエステル(A21)は、EP1268695に開示されているような非晶性のポリエステルである。好ましくは、該エポキシ樹脂(A22)は、その内容が本明細書に参照により組み込まれているEP1268695に開示されているようなポリフェノキシ樹脂である。
【0036】
本発明のこの第2の実施形態において好ましいのは、放射線硬化性粉体塗料組成物(A2)であり、それは:
10〜90重量パーセントの少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含んでいる非晶性のポリエステル(A21)、
10〜60重量パーセントの少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有ポリフェノキシ樹脂(A22)、及び
0〜30重量パーセントのエチレン性不飽和オリゴマー及び/又は(メタ)アクリロイル基を含んでいる半結晶性ポリエステルから選択される少なくとも1つの化合物(A23)、
を含み、その重量パーセントは、成分(A21)、(A22)、及び(A23)の総重量に基づく。
【0037】
これらのエチレン性不飽和オリゴマー及び半結晶性ポリエステルは、重合可能な二重結合を含んでいるので、それらは放射線硬化にも加わり、その結果、改良されたフロー及び更に増大されている表面硬度を有する塗膜を提供する。想定される用途によって、本発明の粉体塗料組成物(A2)は、該組成物の化合物(A21)、(A22)及び(A23)の100部当り、0〜20、又は2〜10重量部のエチレン性不飽和オリゴマー及び/又は0〜30、又は5〜20重量部の少なくとも1つの半結晶性ポリエステルを含むことができる。
【0038】
(メタ)アクリロイル基を含む非晶性ポリエステル(A21)は、1グラムのポリエステル当り、0.15〜1.80、特に0.35〜1.25ミリ当量の二重結合の不飽和の度合いを好ましくは示す。これらのポリエステル(A21)は、更に:
−ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定して、1100〜16000、好ましくは1300と8500の間の数平均分子量(Mn)、
−ASTM D3418−82に従う示差走査熱量測定法(DSC)により測定して35〜80℃のガラス転移温度(Tg)、
−ASTM D4287−88に従うコーン/プレート粘度計(ICI粘度という名前で知られる)により200℃で測定して、1〜20000mPaの溶融状態での粘度、
を好ましくは有する。
【0039】
(メタ)アクリロイル基含有ポリフェノキシ(A22)は、1グラムの樹脂当り、0.2〜6.0、特に0.5〜4.5ミリ当量の二重結合の不飽和の度合いを好ましくは示す。これらの(メタ)アクリロイル基含有ポリフェノキシ(A22)は、更に:
−ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定して、500〜5000、好ましくは650と3500の間の数平均分子量(Mn)、
−ASTM D3418−82に従う示差走査熱量測定法(DSC)により測定して30〜80℃のガラス転移温度(Tg)、
−ASTM D4287−88に従うコーン/プレート粘度計(ICI粘度という名前で知られる)により200℃で測定して、1〜25000mPaの溶融状態での粘度、
を好ましくは有する。
【0040】
粉体塗料組成物(A2)中で使用することができるエチレン性不飽和オリゴマー(A23)の例としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、エポキシ化合物(例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)のアクリル又はメタクリル酸との反応によって形成されるエポキシアクリレート及びメタクリレート、有機ジ−又はポリイソシアネートのヒドロキシアルキルアクリレート又はヒドロキシアルキルメタクリレート及び場合によってモノ−及び/又はポリヒドロキシル化アルコールとの反応によって形成されるウレタンアクリレート及びメタクリレート(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートとの反応生成物)、例えば、(メタ)アクリル酸のn−ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレート等のアクリルモノマーの共重合によって得られたグリシジル基を含んでいるコポリマーとの反応生成物等のアクリルアクリレート又はメタクリレート、などが挙げられる。
【0041】
本発明による方法で使用されるこの粉体塗料組成物(A2)の成分は、ミキサー又はブレンダー、例えば、ドラムミキサー中で乾式混合によって混ぜ合わせることができる。そのプレミックスは、次に単独スクリュー又は二重スクリュー押出し機中70〜150℃で変動する温度で通常は均質化される。その押出し物は、冷却されて、好ましくは10〜150μmの粒径を有する粉末に砕かれる。
【0042】
粉体塗料組成物(A2)は、任意の粉体塗装プロセスによってセラミック基材に塗布することができる。粉末にされた組成物は静電気CORONAガン又はTRIBOガン等の粉体ガンの使用によってセラミック基材上に置くことができる。他方で、粉末堆積の周知の方法、例えば流動床技術などを使用することができる。堆積の後は、一般的には、かくして得られた塗料の80〜150℃の温度で例えば約0.5〜10分間の加熱による融解及び溶融状態の塗料の例えばUV照射又は加速された電子ビームによる硬化が続く。UV照射は、一般的には、この目的のために普通に使用されるものから選択される少なくとも1つの光開始剤の標準的に適用される濃度での存在下で行なわれる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、かくして調製された該粉体に基づく塗膜は顔料着色されている。本発明による方法で使用される粉体塗料組成物(A2)は、当技術分野で周知の少なくとも1つの顔料及び/又は着色剤及び/又は充填剤を更に含むのが有利である。又、この粉体塗料組成物には、例えば、DE19748927及びWO2008/09540に記載されている真鍮フレーク、金属顔料及び真珠光沢顔料のような特殊効果を提供する顔料を加えることもできる。金属顔料の例としては、銅、ニッケル及び/又はアルミニウム顔料が挙げられる。或いは、この粉体塗膜は透明塗膜であり得る。
【0044】
本発明による方法の好ましい実施形態において、該セラミック基材、例えばタイルは、最初にその粉体塗料組成物のガラス転移温度より上の温度まで予備過熱し、より好ましくは、その基材をそれが60〜200℃の温度を有するまで予備過熱する。該粉体(熱硬化性又は放射線硬化性)を、次にその予備過熱した基材に、好ましくは電界を使用せずに、より好ましくは該基材が熱的及び電気的に絶縁されていることを確認して塗布する。堆積後、その粉体を含むセラミック基材は、一般に、120と300℃の間の温度に1〜60分間の硬化時間加熱され、粒子が流れて融合することが起こり、滑らかで、均一で、連続した、クレーターのない塗膜が基材表面に形成される。
【0045】
本発明による方法の好ましい実施形態において、該セラミック基材、例えばタイルは、本発明の(熱硬化性又は放射線硬化性)粉体塗料組成物を塗布する前に力学的に研磨する(例えば砂により)。
【0046】
一般に、化学的前処理は、例えば油混じりの泥の汚れがそのセラミック基材の表面にない限りは必要ない。
【0047】
好ましくは、本発明において使用されるセラミック基材は(どの実施形態においても)、艶出し加工されておらず、より具体的には艶出し加工されていないセラミックタイルである。
【0048】
本発明による方法の任意の実施形態において、該基材は、本明細書の上で記されている複数の粉体塗料組成物を塗装することができる。この場合、その塗料組成物は、同じか異なるものであり得る。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、該セラミック基材は、単一の粉体塗料を塗装して場合によって顔料着色されている単層の下塗りを形成することができる。本発明の第1の実施形態による粉体塗料組成物から調製された単一層の下塗りは、i)上記のような適切な硬化剤と共に(更なる)カルボキシ又はヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はii)酸無水物硬化剤(例えばCytecから商標BECOPOX(商標)EH694のもとで市販されているものなど)及び/又は上記のようなイソシアネート硬化剤(例えば、Cytecから商標ADDITOL(登録商標)932のもとで市販されているものなど)と一緒の高度にヒドロキシ官能性のポリエステル及び/又はiii)ビスフェノールA由来のエポキシ樹脂と一緒のカルボキシ官能性アクリルポリマー、及び/又はiv)熱硬化した不飽和ポリエステルを場合によって含むことができる。
【0050】
本発明の別の好ましい実施形態において、該セラミック基材は、2つの異なる粉体塗料により連続的に塗装して2層の下塗り(そのどちらの層も場合によって顔料着色することができる)を形成することができる。本発明の第1の実施形態による粉体塗料組成物から調製された下塗りの場合、それぞれの層は、単一の下塗り層用として上の実施形態で記載した成分(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)のどれでも場合によって含むことができる。
【0051】
いずれの実施形態においても、本発明で使用される粉体塗料組成物は、好ましくは何らかの(他の)プライマー塗料が該粉体塗料組成物を塗布する前に塗布されることなく直接該セラミック基材上に塗布される。
【0052】
いずれの実施形態による粉体塗料組成物を含む層の厚さも、硬化後一般に25〜250μm(マイクロメーター)である。この層の厚さは、該基材の表面にあるどんな欠陥も目に見えないようにするために、好ましくは少なくとも50μm(マイクロメーター)である。
【0053】
本発明のいずれの実施形態による方法においても、液体の塗料組成物が、更なる塗膜層として塗布される。最も好ましくは、該液体層(単数又は複数)は、該セラミック基材、例えばセラミックタイルの外面層を形成する。好ましくは、該液体層は、上塗りである。
【0054】
本発明による方法において使用される液体塗料組成物は、(i)アルキッド樹脂又はそのハイブリッド、(ii)アクリル樹脂又はそのハイブリッド、(iii)ポリエステル樹脂又はそのハイブリッド、(iv)ポリウレタン分散体又はそのハイブリッド、(v)ヒドロキシル化ポリオール、(vi)有機シリコーン、(vii)エポキシ樹脂と組み合わされたものであり得るフェノール樹脂、及び(viii)アクリル樹脂と組み合わされたポリエステル樹脂からなるリストから選択される少なくとも1つの樹脂を好ましくは含む。好ましくは、その液体塗料組成物は、次の樹脂:(i)アクリル樹脂又はそのハイブリッド、(ii)ポリエステル樹脂又はそのハイブリッド、(iii)ポリウレタン分散体又はそのハイブリッド、(iv)ヒドロキシル化ポリオール、又は(v)有機シリコーンの少なくとも1つを含む。
【0055】
用語「ハイブリッド」は、反応による樹脂の物理的又は化学的変態を指す。適切なハイブリッドは、当技術分野で周知である。ハイブリッドの例としては、例えば、アクリル−ポリウレタングラフトコポリマーを用いるアクリル−ポリウレタンハイブリッドエマルション又は分散液が挙げられる。別の例は、例えば、最適性能のためのアルキッドのコアとアクリルのシェルとによるコアシェル技術を形成する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、該液体塗料組成物は、少なくとも1つのアクリル樹脂及び/又は少なくとも1つのポリエステル樹脂を含む。最も好ましくは、使用されるその液体塗料組成物は、少なくとも1つのアクリル樹脂及び少なくとも1つのポリエステル樹脂を含む。好ましくはそのアクリル樹脂は、ヒドロキシル化アクリル樹脂である。好ましくは、そのポリエステル樹脂は、ヒドロキシル化ポリエステル樹脂である。
【0057】
上記では、用語「アクリル樹脂」は、アクリル樹脂ハイブリッドを含める。同様に用語「ポリエステル」は、ポリエステル樹脂ハイブリッドを含める。
【0058】
適当なアクリル樹脂ハイブリッドの例は、フィルムの柔軟性を改良するためにポリエステルで変性したアクリル樹脂である。適当なポリエステルハイブリッドのいくつかの例が、以下に提供されている。
【0059】
本発明の液体塗料組成物中に使用されるアクリル樹脂は、場合によって、ヒドロキシル化アクリル樹脂である。使用されるこのアクリル樹脂は、水性であってもよいが、好ましくは溶剤型である。溶剤型アクリル樹脂は、熱可塑性であってもよいが、好ましくは熱硬化性アクリル樹脂である。最も好ましくは、使用されるこのアクリル樹脂は、好ましくは熱硬化性である溶剤型ヒドロキシル化アクリル樹脂である。
【0060】
このアクリル樹脂は、好ましくは、約50%を上回り、より好ましくは少なくとも55%、最も好ましくは、又は少なくとも、60%の固形分の質量分率(DIN EN ISO 3251により測定される)を特徴とする。この固形分の質量分率は、99%を超えないことが好ましい。
【0061】
該アクリル樹脂は、50と40000mPaの間のそれらの溶液の動的粘度(23℃でのDIN EN ISO 3219による)を好ましくは有する。その粘度は、好ましくは少なくとも500mPa、より好ましくは少なくとも700mPaである。その粘度は、好ましくは最高10000mPa、より好ましくは最高8000mPa、最も好ましくは最高6000mPaである。
【0062】
使用されるこのアクリル樹脂は、好ましくは10と300mgKOH/gの間の固体樹脂についてのヒドロキシル(OH)価(DIN EN ISO 4629による)を有する。そのOH価は、好ましくは少なくとも35mgKOH/g、より好ましくは少なくとも50mgKOH/gである。そのOH価は、好ましくは最大で200mgKOH/g、より好ましくは最大で150mgKOH/gである。
【0063】
本発明による液体塗料組成物中に使用されるポリエステルは、水性であってもよいが好ましくは溶剤型である。そのポリエステルは、好ましくはヒドロキシル化ポリエステル、より具体的には溶剤型のヒドロキシル化ポリエステルである。
【0064】
該ポリエステルは、線状、分枝状又はわずかに分枝状であり得る。分枝状ポリエステルが好ましい。使用されるこのポリエステルは、好ましくは、少なくとも60%、有利には少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%の固形分の質量分率(DIN EN ISO 3251により測定される)を特徴とする。この固形分の質量分率は、99%を超えないことが好ましい。
【0065】
このポリエステル溶液は、好ましくは、動的粘度(23℃でのDIN EN ISO 3219による)が50〜35000mPaであることを特徴とする。その粘度は、好ましくは少なくとも500mPa、より好ましくは少なくとも1000mPa、最も好ましくは少なくとも1500mPaである。その粘度は、好ましくは最大で30000mPa、より好ましくは最大で25000mPa、最も好ましくは最大で20000mPaである。
【0066】
使用されるこのポリエステルは、好ましくは10と300mgKOH/gの間の固体樹脂についてのヒドロキシル(OH)価(DIN EN ISO 4629による)を有する。そのOH価は、好ましくは少なくとも80mgKOH/g、より好ましくは少なくとも100mgKOH/g、最も好ましくは少なくとも150mgKOH/gである。そのOH価は、好ましくは最大で250mgKOH/gである。
【0067】
特に適したポリエステルは、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,258,897号及び米国特許第6,087,469号に記載されているような2000g/モルを超えない重量平均モル質量(Mw)を有している低いモル質量のポリエステルポリオールで、特に80〜300mgKOH/gのヒドロキシル価及び5〜35mgKOH/gの酸価を有するものである。
【0068】
かかるポリエステルは、a)1〜45%の1分子当り少なくとも2個のヒドロキシル基を有する脂肪族多環式ポリヒドロキシ化合物、b)5〜50%の分枝した脂肪族アクリルジヒドロキシ化合物、c)30〜50%の脂肪族環状ポリカルボン酸、d)0〜30%の1分子当り3個以上のヒドロキシル基を有する脂肪族非環式又は単環式ポリヒドロキシ化合物、及びe)0〜10%の脂肪族線状及び単環式ジヒドロキシ化合物、脂肪族線状及び分枝したジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、及び1分子当り3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、そして又、f)0〜10%のモノカルボン酸及びモノアルコールから選択される単官能性化合物の反応混合物における物質量分画の反応から好ましくは得られる。a)、b)、c)、d)、e)及びf)のもとでそれぞれの場合に示される物質量分画は、合計100%になるのが有利である。
【0069】
本発明による液体塗料組成物中で使用するための適切なポリエステルポリオールの例及びそれらのポリエステルポリオールのための適切な溶媒の例は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,258,897号及び米国特許第6,087,469号の中で見出すことができる。
【0070】
該低モル質量ポリエステルポリオールは、例えば、イソシアネート化合物又はオキシラン基を含む化合物との反応によって化学的又は物理的に変性することができる。その他の可能な変態としては、低モル質量尿素誘導体の組み込みが挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,258,897号、EP0776920及びEP0896991に記載されているように、(グラフトした)アクリレートポリマーの基盤でもあり得る。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、該液体塗料組成物は、少なくとも1つのアクリル樹脂及び少なくとも1つのポリエステル樹脂を、ポリエス樹脂:アクリル樹脂の4:1と2:1の間、好ましくは3.5:1と2.5:1の間、より好ましくは3.2:1と2.2:1の間、最も好ましくは3:1と2.2:1の間の比率で含む。
【0072】
好ましくは、本発明による方法において使用される液体塗料組成物は、少なくとも1つの硬化剤を更に含む。適当な硬化剤は当技術分野で周知である。
【0073】
本発明による液体塗料組成物において使用される該(場合によってヒドロキシル化されている)ポリエステル及び/又は(場合によってヒドロキシル化されている)アクリル樹脂は、任意の望ましい方法で硬化させることができる。考えられる硬化剤(又は架橋剤)としては、(ブロックされているか非ブロックの)ポリイソシアネート、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリカルボン酸及びそれらの無水物(米国特許第6,258,897号参照)が挙げられる。非ブロックの形のポリイソシアネートは、あまり高くない温度又は室温で硬化させるために使用することができる。高温で硬化させるためには、ブロックポリイソシアネート及びポリカルボン酸及びそれらの無水物もまた更に適切である。
【0074】
アミノ樹脂、より具体的には、尿素樹脂、メラミン樹脂及び/又はベンゾグアナミン樹脂は好ましい硬化剤(又はキュアリング剤)である。これらは、それぞれ、エーテル化尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ベンゾ−グアナミン−ホルムアルデヒド縮合生成物である。特に好ましいのはメラミン樹脂で、特にヘキサメトキシメチルメラミン樹脂等の高固形分のメチル化メラミン樹脂である。
【0075】
この文脈における「高固形分」とは、少なくとも70%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも95%の固形分の質量分率を指す。適当な硬化剤は、例えば、98%を超える固形分の質量分率を有するヘキサメトキシメチルメラミン樹脂である。その他の好ましい例としては、78%〜82%の固形分の質量分率を有する高イミノ樹脂が挙げられる。
【0076】
好ましくは、硬化剤としてアミノ樹脂が使用される場合、酸触媒が添加される。本発明の実施形態において、使用される液体塗料組成物は酸触媒を更に含む。
【0077】
完全にアルキル化されているアミノ樹脂は、多くの場合CYCAT(登録商標)4045等の強酸触媒を必要とし、一方部分的にアルキル化されているアミノ樹脂及び高イミノ樹脂は、一般に弱酸触媒を必要とするのみである。又、尿素及びグリコルリル樹脂は、強酸触媒により良く反応する。
【0078】
可能性のある触媒の例としては、アミンブロックしたp−トルエンスルホン酸(pTSA)、ジメチルピロホスフェート(DMAPP)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)及びジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)が挙げられる。好ましい触媒は、ADDITOL(登録商標)VXK6395及びCYCAT(登録商標)4045のようなアミンブロックしたp−トルエンスルホン酸である。
【0079】
好ましくは該液体塗料組成物中の樹脂(単数又は複数)の質量分率は、10%と90%の間である。好ましくは該樹脂の質量分率は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%である。好ましくは該樹脂の質量分率は、最大で85%、より好ましくは最大で80%である。
【0080】
好ましくは該液体塗料組成物中の硬化剤の質量分率は、5%と70%の間である。好ましくは該硬化剤の質量分率は少なくとも10%、より好ましくは少なくとも12%である。好ましくは該硬化剤の質量分率は、最大で40%、より好ましくは最大で25%である。
【0081】
該樹脂(単数又は複数)及び該硬化剤(単数又は複数)の質量分率の比率は、好ましくは6:1と1:1の間、より具体的には5:1と2:1の間である。
【0082】
該液体塗料組成物中の場合によっての酸触媒の質量分率は、好ましくは0%と10%の間であり、より具体的には0.1%と10%の間である。好ましくは、場合によっての触媒の質量分率は、少なくとも0.3%である。好ましくは、場合によっての触媒の質量分率は、8%を超えない。
【0083】
本発明による液体塗料組成物は、水中の溶液又は分散液から塗布することができるが、好ましくは有機溶媒中の溶液から塗布される。
【0084】
本発明の樹脂及び特に好ましいオリゴエステルポリオール及び/又はアクリル樹脂のための適切な溶媒の例としては、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素類、例えば、アルキルベンゼン、例えばキシレン、トルエンなど;エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、より長いアルコール残基との酢酸エステル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、それに対応するメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなど;エーテル類、例えばエチレングリコールモノエチル、モノメチル又はモノブチルエーテル;グリコール類;アルコール類;ケトン類、例えばメチルイソアミルケトン及びメチルイソブチルケトンなど;ラクトン類並びにかかる溶媒の混合物が挙げられる。使用することができる更なる溶媒としては、ラクトン類のグリコール又はアルコールとの反応生成物が挙げられる。特に好ましいのは、ジメチルエステル(DME−1、アジピン酸、グルタル酸及びコハク酸のサントゾール(santosol)ジメチルエステルのような)とS−100(HuaLun Chemistriesからの芳香族炭化水素溶媒)との混合物である。ブタノールは、塗料保存を安定化するのに役立ち得る。
【0085】
液体塗料組成物中の任意の溶媒の質量分率は、一般的には0%と50%の間である。これら任意の溶媒の質量分率は、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。これら任意の溶媒の質量分率は、好ましくは最大で40%、より好ましくは最大で30%である。
【0086】
本発明の方法において使用される液体塗料組成物は、顔料及び/又は着色剤及び/又は充填剤を更に含むことができる。充填剤の例としては、タルク、雲母、カオリン、白亜、石英粉末、スレート粉末、さまざまなシリカ、ケイ酸塩などが挙げられる。該液体塗料組成物中の任意の顔料及び/又は着色剤及び/又は充填剤の質量分率は、好ましくは0%と50%の間、より好ましくは2%と40%の間である。
【0087】
しかしながら、好ましくは、好ましくは上塗りを形成する液層は、実質的に透明(透明)であり、即ち、顔料等の着色成分を実質的に含まない。本発明による方法において使用される液体塗料組成物は、好ましくは透明塗料であり、着色剤及び/又は顔料及び/又は充填剤を含んでいない。好ましくは、上塗りを形成する液体塗料層は、透明塗膜である。粉体の下塗りと好ましくは透明塗膜である液体の上塗りの間に1つ又は複数のその他の層、例えば、別の液体層、放射線硬化性インク層(例えば、放射線硬化性インクジェットインク層)などが存在してもよい。
【0088】
本発明で使用される液体塗料組成物は、その他の成分、例えばまだ述べられていない塗料技術において通例の助剤又は添加剤を含むこともできる。これらとしては、特に、スリップ及びレベリング剤、シリコーンオイル、セルロースエステル、特にセルロースアセトブチレート等の添加剤、可塑剤、例えばリン酸エステル及びフタル酸エステルなど、粘度調整剤、流動性改良剤、艶消し剤、UV吸収剤及び光安定剤、酸化防止剤及び/又は過酸化物捕捉剤、消泡剤及び/又は湿潤剤、分散剤、活性希釈剤/反応性希釈剤などが挙げられる。該液体塗料組成物の任意のその他の成分の質量分率は、好ましくは0%と5%の間である。好ましくはその任意の成分の質量分率は、少なくとも0.2%である。好ましくはその任意の成分の質量分率は、最大で2%、より好ましくは最大で1%である。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、使用される液体塗料組成物は、重量で10%〜90%、通常は重量で30%〜90%、好ましくは重量で50%〜90%の樹脂と、重量で5%〜40%、より好ましくは重量で10%〜40%の硬化剤と、場合によって重量で5%〜40%の溶媒と、場合によって重量で0%〜8%の酸触媒と、場合によって重量で0%〜50%の着色剤及び/又は顔料及び/又は充填剤と、場合によって重量で0%〜2%の更なる成分と、を含む。
【0090】
該液体塗料組成物の樹脂は、セラミック基材にそれに適する任意の塗装プロセスによって塗布することができる。それらの例は、はけ塗り、浸し塗り、流し塗り、ローラー塗り又はブレード塗りであるが、特に吹付け塗りによるものである。それらは加熱して塗布することができ、必要に応じて超臨界溶媒(例えばCO2)の注入によって塗装準備ができている形に持ち込むことができる。
【0091】
該液体塗料組成物による基材の塗装後、該組成物を硬化させる。硬化、即ち架橋は、当業者には周知の任意の適当な方法によって達成することができる。本発明の目的に対して、該液体塗料成分は、一般に20℃〜160℃、好ましくは23℃〜140℃の温度範囲で、例えば5分間〜10日間、より具体的には15分〜120分間硬化させる。
【0092】
本発明による方法において、該基材は、本明細書の上で記した複数の液体塗料組成物により塗装することができる。この場合、その液体塗料組成物は、同じか異なるものであり得る。本発明の一実施形態において、同じか異なるものであり得る2つの液体塗料層が粉体の下塗り層を有するタイル上に提供される。例えば、顔料着色されている液体層を、上塗りとしての液体の透明塗料を塗布する前に塗布することができる。別法では、両方の液体塗料層が透明塗膜であり得る。
【0093】
該液体塗料組成物を含む層の厚さは、硬化後、一般に1〜120μm(マイクロメーター)、好ましくは10〜80μm、より好ましくは20〜70μmである。該液体塗料組成物は、該粉体の下塗り(単数又は複数)上に直接塗布することができ、又は1つ又は複数の中間層をその粉体の下塗りと好ましくは液体の上塗りである液体塗膜の間に塗布することができる。
【0094】
好ましい実施形態において、本発明の該方法は、該セラミック基材、例えばタイルにカラー画像を提供する更なるステップを含む。「カラー画像」とは、少なくとも1つのカラー、或いは複数のカラーの画像、プリント又はデザインを意味する。複数のカラーによるカラー画像が多くの場合好ましい。用語の「カラー」は、金、銀、金属などのような特別なカラーを含める。
【0095】
好ましくは、該カラー画像は、該セラミック基材に粉体の下塗りを塗装するステップの後で、液体の塗料組成物を更なる層として塗布するステップの前に塗布される。好ましくは該セラミック基材、例えばタイルは、該カラー画像を塗布する前に、最初に力学的に研磨される(例えば砂により)。本発明による方法の好ましい実施形態において、該セラミック基材、より具体的には粉体の下塗りを塗装した該セラミックタイルは、カラー画像を塗布する前、有利には粉体の下塗りが塗布された後、及び或いは又、該粉体の下塗りを塗布する前に研磨される。
【0096】
本発明の好ましい実施形態において、該カラー画像は、該セラミック基材、例えばタイルに、例えば印刷インク昇華法、より具体的には昇華型印刷を用いて塗布する。
【0097】
カラー画像を該セラミック基材、例えばタイル、に提供することが可能な方法は、熱転写印刷である。当技術分野で周知の熱転写紙を例えば使用することができる。市販されている熱転写紙を使用するか、又は適当な紙に印刷するためのコンピューター又はカラー複写機を用いて1つのそれ自体のデザインを生み出すことができる。
【0098】
その最も単純な形式において、転写シートは、粉体の下塗り層が塗装されているセラミック基材に対して押し付けられ、バッキング層が剥離される。画像を提供するその他の方法は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6982137号に記載されている。
【0099】
熱転写印刷機械のような適切な装置も、当技術分野で周知であり、市販されている。典型的には、裏紙に塗布されている乾式複写法により生成されたカラー画像を、粉体の下塗りに例えば約40psiの圧力で例えば約180℃〜220℃のプレス温度により例えば約10分〜30分間押し付け、その材料をそのまま冷却し、そこに更なる液体層を塗布する。セラミックタイル等のセラミック基材上に画像を形成するためのその他の適当な技術、例えばUVフォト画像化などが存在し、使用することができる。特に適するのは、例えば、UV硬化性インクジェットインクの使用である。特に好ましい実施形態において、カラー画像はインクジェット印刷技術によって塗布される。さまざまな会社が、放射線硬化性インクジェットインク、より具体的にはUV硬化性インクジェットインク(UVデジタルインクとも称される)の供給を専門としている。本発明の方法での使用に適する放射線硬化性インクジェットインク、より具体的にはUV硬化性インクジェットインクが、最近では市販されている。Sunjet、SericolなどのようなUVインクジェットインクに対するさまざまな供給業者が存在し、そのインクは塗装したセラミック基材(例えばタイル)に印刷するために使用することができる。
【0100】
本発明による方法を用いて提供することができるデザイン又はプリントのいくつかの例は、人造大理石、ウッドヴェイン、メタリックカラーなどである。それとは対照的に、高い焼付け条件(>1200℃)による艶出しタイルは、多くの場合高い装飾の要求を満たすことができない。
【0101】
本発明による方法は、高い装飾仕上げ並びに卓越した力学的及び化学的性能、例えば、耐引っ掻き性、耐汚染性及び耐薬品性などをもたらすセラミック基材、特にタイルを得ることを可能にする。これによりこれらタイルを、例えば、高い抵抗力が必要である浴室、台所及びその他の環境で使用するために適するものとする。
【0102】
特に、耐汚染性、光沢及び彩度は、多くの場合艶出しタイルに対するよりも良好であった。顔料選択に関する柔軟性は、より高く、高い装飾画像及びデザインを幅広い範囲の光沢に対して得ることができる。従来の艶出し技術と比較して本発明の方法は、消費するエネルギーが少なく、より環境に優しい。本発明の方法は、例えば、従来の艶出し技術と比較してエネルギー消費を90%削減することを可能にする。焼付け温度は例えばはるかに低く、一般的には200℃前後である。従来の艶出し及び焼成プロセスで使用されたような高温装置は従って必要ではない。
【0103】
本発明の態様は、本発明の方法によって得ることができる(又は手に入る)セラミック基材、特にタイルに関する。本発明は、特に、上記のような粉体塗料組成物から得られた少なくとも1つの下塗り層(A)と、上記のような液体塗料組成物から得られた少なくとも1つの更なる層(B)とを含んでいるセラミック基材、特にタイルに関する。本発明は、特に、上記のような、熱硬化性粉体塗料組成物(A1)から、又は放射線硬化性粉体塗料組成物(A2)から得られた少なくとも1つの下塗り層と、上記のような液体塗料組成物から得られた少なくとも1つの更なる層(B)とを含んでいるセラミック基材、特にタイルに関する。本発明による好ましい実施形態において、該セラミック基材、特にタイルは、少なくとも1つのカルボキシ及び/又はヒドロキシ官能性ポリエステルと該ポリエステルの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤とを含んでいる粉体塗料組成物から得られた少なくとも1つの下塗り層(A)、並びに上記のような液体塗料組成物から得られた少なくとも1つの更なる層(B)を含む。好ましくは、本明細書で使用される粉体塗料組成物は、熱硬化性粉体塗料組成物である。本発明のもう1つの実施形態は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有しているポリエステル(A21)及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有しているエポキシ樹脂(A22)を含んでいる放射線硬化性粉体塗料組成物から得られた少なくとも1つの下塗り層(A)と、上記のような液体塗料組成物から得られた少なくとも1つの更なる層(B)とを含んでいるセラミック基材、特にタイルに関する。
【0104】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の該セラミック基材、特にタイルは、少なくとも2H、好ましくは少なくとも3H、より好ましくは少なくとも4Hの鉛筆硬度(Wolff Wilbornによる引っ掻き硬度テスターによる)を有する。5H又は6Hの鉛筆硬度さえも本発明の方法により得ることができる。
【0105】
本発明の好ましい実施形態において、該セラミック基材上の粉体の下塗り層は、顔料着色されており、この下塗り層の上部に直接提供される液体層は透明塗膜である。別法では、この液体層は顔料着色されている。
【0106】
本発明の別の好ましい実施形態において、該粉体塗膜及び該液体塗膜は両方共、透明塗膜であり、該液体塗膜を塗布する前にカラー画像が該タイルに提供される。別法では、該下塗り層は顔料着色されており、その上部に提供されるカラー画像のための背景カラー(例えば白色)を提供する。そのカラー画像は、例えば熱転写紙に基づく例えば印刷インク昇華法、又は例えばUVインクジェットインクに基づくインクジェット印刷技術を用いる任意の適当な方法により提供することができる。
【0107】
本発明の更に別の好ましい実施形態において、該粉体塗膜及び該液体塗膜は両方共、透明塗膜であり、顔料着色された液体塗料組成物がその粉体の下塗りと液体の上塗りの間に塗布される。本発明の特定の実施形態において、この(最初の)液体層は、特別な効果(例えば金属効果)を提供する顔料を含む。該粉体の下塗りは、透明塗膜である代わりに顔料着色されて、例えば白色であってもよい。
【0108】
好ましくは、該上塗りは(実施形態のいずれにおいても)液体の上塗り、より好ましくは液体の透明塗膜である。
【0109】
該任意的な顔料は(上記のいずれにおいても)有機及び/又は無機であり得る。
【0110】
本発明のもう1つの態様は、セラミック基材用で、(i)少なくとも1つのアクリル樹脂及び/又は少なくとも1つのポリエステル樹脂と、(ii)少なくとも1つのメラミン硬化剤とを含んでいる液体塗料組成物に関する。適切なアクリル樹脂及びポリエステル樹脂については上で説明した。好ましくは、該アクリル樹脂はヒドロキシル化アクリル樹脂であり、該ポリエステルはヒドロキシル化ポリエステルである。液体塗料組成物用の任意の更なる化合物及び/又は成分が上で説明されている。
【実施例】
【0111】
次に続く実施例は、本発明を説明するがそれを限定しない。
【0112】
(調製例1):カルボキシ官能性ポリエステルPE1の合成
408.37gのネオペンチルグリコールを、撹拌器、水冷凝縮器に接続されている蒸留塔、窒素用注入口及び温度調節器に取り付けられている温度計を備えた従来の四つ口丸底フラスコに仕込んだ。そのフラスコの中身を、窒素下で撹拌しながらおよそ130℃の温度に加熱し、その時点で532.59gのテレフタル酸、59.18gのアジピン酸及び2.00gのn−ブチルスズトリオクトエートを加えた。加熱を続けて徐々に230℃の温度にした。180℃になった直後から水が反応器から留出した。大気圧下の留出が停止したとき50mmHg(約6666Pa)の真空を徐々に適用した。230℃及び50mmHgで3時間後、次の特性を有するポリエステルが得られた:AN=3mgKOH/g、OHN=42mgKOH/g。その反応混合物を次に170℃〜190℃に冷却し、続いて119.18gの無水トリメリット酸を加えた。温度を、その反応混合物が透明になるまで180℃に維持した。
【0113】
次の特性を有するカルボキシ官能性ポリエステルが得られた:AN=72mgKOH/g、OHN=6mgKOH/g、ブルックフィールド(175℃)粘度(コーン/プレート)=10.000mPa、Tg(DSC、20K/分)=58℃。
【0114】
(調製例2):カルボキシ官能性ポリエステルPE2の合成
423.82gのネオペンチルグリコールを反応器に仕込み、窒素下で撹拌しながらおよそ130℃の温度に加熱し、その時点で、720.34gのイソフタル酸及び2.5gのn−ブチルスズトリオクトエートを加えた。加熱を続けて徐々に230℃の温度にすると、180℃になった直後から水が反応器から留出した。大気圧下の留出が停止したとき50mmHgの真空を徐々に適用した。230℃及び50mmHgで3時間後、次の特性を有するカルボキシ官能性ポリエステルが得られた:AN=32mgKOH/g、OHN=2mgKOH/g、ブルックフィールド(200℃)粘度(コーン/プレート)=3000mPa、Tg(DSC、20K/分)=57℃。
【0115】
(調製例3):ヒドロキシ官能性ポリエステルPE3の合成
439.94gのネオペンチルグリコール及び14.14gのトリメチロールプロパンの混合物を反応器に仕込み、窒素下で撹拌しながらおよそ130℃の温度に加熱し、その時点で、645.62gのテレフタル酸、33.98gのアジピン酸及び2.5gのn−ブチルスズトリオクトエートを加えた。加熱を続けて徐々に230℃の温度にすると、180℃になった直後から水が反応器から留出した。大気圧下の留出が停止したとき50mmHgの真空を徐々に適用した。230℃及び50mmHgで3時間後、次の特性を有するヒドロキシ官能性ポリエステルが得られた:AN=3mgKOH/g、OHN=32mgKOH/g、ブルックフィールド(200℃)粘度(コーン/プレート)=7800mPa、Tg(DSC、20K/分)=56℃。
【0116】
(調製例4):カルボキシ官能性ポリエステルPE4の合成
421.17gのネオペンチルグリコールを反応器に仕込み、窒素下で撹拌しながらおよそ130℃の温度に加熱し、その時点で、605.51gのテレフタル酸及び1.5gのn−ブチルスズトリオクトエートを加えた。加熱を続けて徐々に230℃の温度にした。180℃になった直後から水が反応器から留出した。大気圧下の留出が停止したとき、0.5gのトリブチルホスファイト及び110.33gのイソフタル酸を加えた。加熱を230℃で2時間続け、0.7gのトリブチルホスファイト及び0.5gのn−ブチルスズトリオクトエートを加えた。次に50mmHgの真空を1時間の中で徐々に加えた。230℃及び50mmHgで2時間後、次の特性を有するカルボキシ官能性ポリエステルが得られた:AN=35mgKOH/g、OHN=4mgKOH/g、ブルックフィールド(200℃)粘度(コーン/プレート)=5700mPa、Tg(DSC、20K/分)=62℃。
【0117】
このポリエステルを200℃まで冷却し、0.5gのn−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2.5部のIrganox1076及び2.5gのHostanox PAR24を加えた。200℃で0.5時間の撹拌後、その反応器の中身を出した。
【0118】
(参考例1〜3):
調製例1〜3のポリエステル樹脂を次の配合に従ってブラックの粉体に配合した。
【表1】

【0119】
粉体組成物1〜3の粉体を、それぞれ非研磨のタイルに塗布した。ここでそのタイルは、200℃で予備加熱し、次いで、電気絶縁性を持たせるために木の支持体に移動した。その後電界の適用なしでGema Volstatic PCG1を使用して160μm(マイクロメーター)の層の厚さで吹き付けた。そのタイルを次に対流式オーブンに移し、そこでそれを200℃で30分間硬化させた。
【0120】
(調製例5):ポリエステルポリオールの合成
撹拌器、ヒーター、水分離器及び不活性ガス注入口を備えた2リットルの四つ口フラスコに、2.45モルの3(4),8(9)−ビスヒドロキシメチル−トリシクロ−[5.2.1.02,6]デカン、1.35モルのネオペンチルグリコール、4.0モルのヘキサヒドロ無水フタル酸及び2.2モルのトリメチロールプロパンを仕込んだ。その出発成分を窒素下で200℃に加熱し、形成された反応水を継続的に除去した。温度を、酸価が25mgKOH/gより下になるまで220℃まで継続的に上げた。
【0121】
その後、そのポリエステルポリオールを120℃まで冷却し、酢酸ブチルで希釈して固形分78%の質量分率(DIN EN ISO 3251により測定)に調整した。最終生成物は透明であり、次の特性を有した:酸価21.0mgKOH/g、ヒドロキシル価219mgKOH/g、動的粘度(DIN EN ISO 3219により測定)10838mPa、重量平均分子量Mw1315g/モル、及び上記のように測定して多分散性Uは1.6。
【0122】
(調製例6):ヒドロキシル化アクリル樹脂HAR1の合成
撹拌器、加熱及び冷却システム、不活性ガス注入口並びに送り装置を備えた2リットルの四つ口フラスコに、369gのソルベントナフサ150/180(沸点範囲が150℃から180℃までの炭化水素混合物)を仕込み、この最初の仕込みを窒素で不活性にし、148℃に加熱した。その後360gのスチレン、325gのアクリル酸ブチル、176gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び18gのアクリル酸の混合物を、6時間にわたって滴下ロートにより計量しながら供給した。同時に88gのソルベントナフサ(上記参照)に溶解した26gのジ−t−ブチルペルオキシドを計量しながら供給した。6時間後、その温度を148℃で2時間維持した。その後その混合物を120℃まで冷却し、120gの酢酸ブチルで希釈して固形分60%の質量分率(DIN EN ISO 3251により測定)に調整した。最終生成物は透明であり、次の特性を有した:酸価17.0mgKOH/g、ヒドロキシル価91mgKOH/g、動的粘度(DIN EN ISO 3219により測定)1487mPa、重量平均分子量Mw10460g/モル、及び多分散性U=Mw/Mnは4.0であり、但し、Mnは、数平均分子量であり、すべてポリスチレン標準のGPCにより測定した。
【0123】
(調製例7):ヒドロキシル化アクリル樹脂HAR2の合成
撹拌器、加熱及び冷却システム、不活性ガス注入口並びに送り装置を備えた1リットルの四つ口フラスコに、65gのn−ブタノール及び100gのキシレンを仕込んだ。この最初の仕込みを窒素で不活性にし、加熱して還流させた(約122℃)。その後150gのメタクリル酸メチル、130gのメタクリル酸ブチル、115gの2−エチルヘキシルアクリレート、90gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び8gのアクリル酸の混合物を、6時間にわたって滴下ロートにより計量しながら供給し、その間還流を維持した(温度は128℃まで徐々に上昇した)。同時に50gのキシレンに溶解した7gのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートを計量しながら供給した。6時間後、添加を終了し、その温度を更に128℃で2時間維持した。その後その混合物を120℃まで冷却し、40gのキシレンで希釈して固形分含量65質量%(DIN EN ISO 3251により測定)に調整し、755gの樹脂をもたらした。最終生成物は透明であり、次の特性を有した:酸価13.0mgKOH/g、動的粘度(DIN EN ISO 3219により測定)17709mPa、重量平均モル質量は、Mw23471g/モルであり、多分散性Uは、2.7であった。
【0124】
配合
例5の樹脂は、例8の塗料配合中に配合される。
(例8):
量はグラムである。
組成A:
80.00 例5のポリエステル
7.50 メチルアミルケトン
1.85 ブチルグリコールアセテート
3.15 メトキシプロピルアセテート
1.15 Troysol S366 1)
1.06 Metatin 712/キシレン中1% 2)
0.55 Tinuvin 292 3)
1.60 Tinuvin 1130 3)
1.90 メチルアミルケトン
0.44 ブチルグリコールアセテート
0.80 メトキシプロピルアセテート
組成B:
47.30 Desmodur N 3300 4)
18.90 メチルアミルケトン
12.60 ブチルグリコールアセテート
【0125】
例6の樹脂は、例9の塗料配合中に配合される。
(例9):
量はグラムである。
組成A:
64.40 例6のアクリル
18.40 CYMEL(登録商標)MB−14−B 5)
1.60 n−ブタノール
1.60 ブチルグリコールアセテート
6.90 酢酸イソブチル
2.00 Troysol S 366 1)
0.80 Tinuvin 292 3)
2.80 Tinuvin 1130 3)
1.50 酢酸ブチル
組成B:
26.20 ソルベントナフサ150/180
7.50 酢酸ブチル
【0126】
例5のポリエステルと例6のアクリル樹脂の(3/1)−ブレンドが、例10の塗料配合中に配合される。下の量は重量百分率である。
(例10):
% 組成A
38.3 例5のポリエステル
12.4 例6のアクリル
16.2 CYMEL(登録商標)3629 5)
2 Modaflow 9200(10%) 6)
2 BYK 333(10%) 7)
0.3 Cycat 4045 8)
6 N−ブタノール
6 DME−1 9)
16.8 S−100 10)
【0127】
例5のポリエステルと例6のアクリル樹脂の(3/1)−ブレンドが、例11の塗料配合中に配合される。下の量は重量百分率である。
(例11):
% 組成A
38.3 例5のポリエステル
12.4 例6のアクリル
16.2 CYMEL(登録商標)303 LF 5)
4 Modaflow 9200(10%) 6)
3 Additol VXL4930(10%) 11),
0.3 Cycat 4045 8)
6 N−ブタノール
6 DME−1 9)
3.8 S−100 10)
10 IRGANOX(登録商標)1010(20%) 12)
BYK333(10%)−7)であってもよい
【0128】
1)スリップ及びレベリング剤(Troy Chem. Comp.)
2)触媒(Acima AG)
3)UV吸収剤(Ciba Geigy AG)
4)架橋剤(Bayer AG)
5)架橋剤(Cytec Ind.)
6)流動性改良剤(Cytec Ind.)
7)スリップ及び湿潤剤(BYK Chemie)
8)触媒(Cytec Ind.)
9)アジピン酸、グルタル酸及びコハク酸のサントゾール(Santosol)ジメチルエステル(Cytec Ind.)
10)芳香族炭化水素溶媒、HuaLun Chem. Ind. Co. Ltd)
11)スリップ及び湿潤剤(Cytec Ind.)
12)酸化防止剤(Ciba)
【0129】
上記の塗料組成物は、当業者には周知のやり方で調製する。
【0130】
例8、9、10及び11の塗料組成物については、組成物Aの成分を最初によく混合する。例8の塗料組成物については、処理のすぐ前に組成Bを加え、得られた混合物のフロー時間(スプレー粘度)を更なる希釈剤により粘度カップ(DIN52211、23℃)で21秒に調整する。例9の塗料組成物については、スプレー粘度を組成Bの溶媒混合物の添加により粘度カップで21秒に調整する。
【0131】
その塗料を次に1.8mmのノズル及び0.7バールのノズルでの圧力を有する高容量低圧スプレーガンを用い、約40μmの乾燥塗膜の層の厚さで吹き付ける。
【0132】
試験結果
(例12):
例8の塗料配合物を、先に説明したように、粉体組成物1を塗装したタイルに室温から80℃の温度で吹き付ける。80℃で30分間硬化した後、そのタイルを評価のために冷却する。
【0133】
(例13):
例9の塗料配合物を、先に説明したように、粉体組成物3を塗装したタイルに室温で吹き付ける。その塗料の塗布の10分後に、その温度を130℃に上昇させる。130℃で30分後、そのタイルを評価のために冷却する。
【0134】
(例14):
例10の塗料配合物を、先に説明したように、粉体組成物2を塗装したタイルに室温から180℃の温度で吹き付ける。その塗料の塗布後、温度を180℃で30分間維持する。そのタイルは次いで評価のために冷却する。
【0135】
(例15):
例11の塗料配合物を、粉体塗料組成物8を塗装したタイルに室温から180℃の温度で吹き付ける。その塗料の塗布後、温度を180℃で30分間維持する。そのタイルを次いで評価のために冷却する。粉体塗料組成物8は、表6に示されており、以下を参照されたい。
【0136】
試験結果を表2にまとめる。
この表において:
縦列1は、ISO 15184による引っ掻き硬度試験器に従う鉛筆硬度を示す。
縦列2は、ASTM D523に従って測定した60°光沢を示す。
縦列3は、ISO 10545−11による亀裂抵抗を示す。
縦列4は、ISO 10545−13による耐薬品性を示す。以下は、とりわけ、HCl(3%)及びKOH(30g/l)に対する抵抗を試験した。
縦列5は、ISO 10545−14による耐汚染性を示す。
縦列6は、ISO 10545−9による耐ヒートショック性を示す。材料は摂氏150〜15度のもとで15サイクルにわたって試験した。
縦列7は、ISO 4582による耐候性を示す。
【表2】

【0137】
それぞれ例12〜15で得られたタイル、並びに参考例1〜3で得られたタイルは、どんなクレーター及び/又は欠陥もない非常に滑らかな仕上がりを立証している。
【0138】
この表における結果は、本発明の方法によって得られたセラミックタイル(例12〜15)が優秀な光沢及び硬度と共に非常に良好な亀裂抵抗並びに耐ヒートショック性を有することを示している。3H〜4H以上の鉛筆硬度を、本発明の方法により得ることができる。5H又は6Hの鉛筆硬度さえ本発明の方法により達成することができる。例15で得られたタイルは、例14で得られたものと比較して改良されたオーバーベーク耐性を示した。
【0139】
粉体層のみを有していたセラミックタイル(参考例1〜3)、又は液体の下塗りと粉体の上塗りによるセラミックタイルは、望ましい特性を与えなかった。例えば、硬度が不十分であった。
【0140】
(調製例16):(メタ)アクリロイルを含む非晶質ポリエステルの合成
ステップ1
369.7部のネオペンチルグリコール、10.2部のトリメチロールプロパンの2.1部のn−ブチルスズトリオクトエート触媒と一緒の混合物を従来の四つ口丸底フラスコに入れる。そのフラスコの内容を窒素下で撹拌しながらおよそ140℃の温度に加熱する。その後すぐに、528.7部のテレフタル酸を27.8部のアジピン酸と共に撹拌しながら加え、その混合物を230℃の温度まで徐々に加熱する。留出が約190℃から始まる。理論量の約95%の水が留出し、透明なプレポリマーが得られた後、その混合物を200℃まで冷却する。
【0141】
かくして得られたヒドロキシル官能化プレポリマーは、次の特性がある:
【表3】

【0142】
ステップ2
200℃を示す第1ステップのプレポリマーに、96.5部のイソフタル酸を加える。その後すぐに、その混合物を225℃に徐々に加熱する。225℃で2時間経った後でその反応混合物が透明になったとき、0.8部のトリブチルホスファイトを加え、50mmHgの真空を徐々に適用する。
【0143】
225℃及び50mmHgで3時間後、次の特性が得られる:
【表4】

【0144】
ステップ3
該カルボキシル官能化ポリエステルを150℃に冷却し、0.9部のジ−t−ブチルヒドロキノンを4.6部のエチルトリフェニルホスホニウムブロミドと共に加える。その後77.3部のグリシジルメタクリレートを酸素下で撹拌しながらゆっくり加える(30分)。その添加が終わって1時間後、次の特性を有するメタクリロイル不飽和ポリエステルが得られる:
【表5】

【0145】
(調製例17):(メタ)アクリロイルを含むポリフェノキシ樹脂の合成
攪拌機、酸素用入口、(メタ)アクリル酸用入口、及び温度調節器に取り付けた熱電対を装備した、通常の四つ口丸底フラスコの中で、910部のAraldite GT7004(ビスフェノールAポリフェノキシ樹脂で、715〜750のEEW及び95〜101℃の軟化点を有する)を酸素下で140℃の温度に加熱する。その後、0.8部のエチルトリフェニルホスホニウムブロミドを加え、そして0.2部のジ−t−ブチルヒドロキノンを含有する90部のアクリル酸の添加を開始する。アクリル酸の添加は3時間で終了する。アクリル酸の添加終了後1時間半したら、次の特性を持つ樹脂が得られる:
【表6】

【0146】
配合
(例18及び19):
例18:白色粉体が、例16の不飽和ポリエステルから調製される。
例19:白色粉体が、例16の不飽和ポリエステルと例17のエポキシ樹脂のブレンド(1/1)から調製される。これらの粉体の配合は次の通りである:
【表7】

【0147】
粉体組成物5及び6は、(メタ)アクリロイル基を含む樹脂と光開始剤を、粉体ペイントの製造のために従来使用されているさまざまな更なる物質とから練りすることによって調製する。得られた混合物は、Prism16mm(L/D=15/1)2軸押出し機(Prism社製)中約70〜140℃の温度で均質化し、その押出し物をAlpine100UPZ(Alpine社製)の粉砕機中で粉砕する。仕上げに、その粉体は、10と110μmの間の粒径を得るためにふるいにかける。
【0148】
タイルの塗装
粉体組成物5及び6の粉体を、それぞれ非研磨のセラミックタイルに塗布する。ここでそのタイルは、200℃で10分間予備加熱し、次いで、電気絶縁性を持たせるために木の支持体に移動する。その後その粉体を、静電スプレーガンを60kVの電圧で使用して160μm(マイクロメーター)の層の厚さで吹き付ける。その堆積した塗料を、溶融後、次いで160W/cmのガリウムをドープしたUVバルブにより、続いて160W/cmの中圧水銀蒸気UVバルブ(Fusion UV Systems Ltd.)により合計4000mJ/cmのUV放射線量で放出される紫外線照射に曝露する。
【0149】
その後、例11の塗料配合物を、先に説明したように、粉体組成物5及び6をそれぞれ塗装したタイルに室温から180℃の温度で吹き付ける。その塗料の塗布後、温度を180℃で30分間維持する。そのときのそのタイルは、次いで評価のために冷却する。
【0150】
(例20)
表4に記載の粉体塗料組成物7を調製した。かくして調製されたその粉体塗料組成物を砂研磨したタイルに塗布した。タイルは200℃で10分間予備加熱し、次いで、電気絶縁性を持たせるために木の支持体に移動した。その後電界の適用なしでGema Volstatic PCG1を使用して200μm(マイクロメーター)の層の厚さで粉体を吹き付けた。そのタイルを次に対流式オーブンに移し、そこでそれを200℃で30分間硬化させた。
【0151】
その後、そのポリエステルを塗装したタイルは砂研磨し、その後熱転写紙(Shanghai Tinayu Banner Factory)を用いて画像のデザイン移動のステップを続けた。その紙は粉体塗料を有するタイルを覆っており、200℃で20分間加熱した。このステップの後、例10の塗料配合物を、先に説明したように、このタイルに室温から180℃の温度で吹き付けた。その塗料の塗布後、温度を180℃で15分間維持する。そのタイルは次いで評価のために冷却する。この上塗りの厚さは、60μm(マイクロメーター)である。
【表8】

【0152】
DER663Uは、Dow chemical製のエポキシ硬化剤である。Ceridust3910は、Clariant Pigments and Additives製の白色のビ−ステアリルエチレン−ジアミドワックスである。R−706は、DuPont製のDuPon(商標)Ti−Pure(登録商標)ルチル型二酸化チタン顔料を表す。AEROXIDE(登録商標)Alu Cは、Degussa−Evonik製の酸化アルミニウムである。
【0153】
試験結果を表5にまとめる:
【表9】

【0154】
上の結果は、優れた品質の高度に装飾的仕上がりが本発明の方法によって得られることを示している。
【0155】
(例21)
例20に記したような試験を繰り返すが、今回は、下塗りには表6に記した粉体塗料組成物8を、液体の上塗りには例11の塗料配合物を使用する。粉体塗料組成物8は、この場合粉体塗料組成物9により置き換えることができる。
【表10】

【0156】
PT−810は、Humtsman製のエポキシ硬化剤Araldite(登録商標)PT810(TGIC)架橋剤である。HCOは、Shanghai Wen Hua Chemical Pigment CO;Ltd製の水素化ヒマシ油(100%)である。CaCOは、Shanghai Da Yu Chem Biochemistry Co; Ltd製の充填剤である。AT−168及びAT−76は、Ningbo Jinhai Albemarle Chemical and Industry Co; Ltd製の熱安定剤である。必要に応じて、透明塗膜を、二酸化チタンを炭酸カルシウム(CaCO)に置き換えることにより調製することができる。
【0157】
粉体組成物8及び9は、オーバーベーク耐性改善することが見出された。
【0158】
試験結果を表7にまとめる:
【表11】

【0159】
(例22)
表6に記載の粉体塗料組成物8を調製した。かくして調製されたその粉体塗料組成物を砂研磨したタイルに塗布した。タイルは200℃で10分間予備過熱し、次いで、電気絶縁性を持たせるために木の支持体に移動した。その後電界の適用なしでGema Volstatic PCG1を使用して200μm(マイクロメーター)の層の厚さで粉体を吹き付けた。そのタイルを次に対流式オーブンに移し、そこでそれを200℃で30分間硬化させ、次いで室温まで冷却した。その後その粉体を塗装したタイルを研磨した。
【0160】
その粉体の下塗りの上部に市販のUVインクジェットインク(ShenZhen Runtianzhi image Technology Co.,Ltd製のFLORAデジタル印刷システム)を、8〜10μmの層の厚さで塗布した。そのインクジェットインクは、インクジェット印刷機に取り付けられている中圧Hgランプにより硬化させる。そのタイルは、ほぼ直ちに次の作業のための準備が整っている。
【0161】
このUVインクジェット層を塗布後、例11の塗料配合物を、先に説明したように、このタイルに室温から180℃の温度で吹き付けた。その塗料の塗布後、温度を180℃に15分間維持する。そのタイルは次いで評価のために冷却する。この上塗りの厚さは、60μm(マイクロメーター)である。
【0162】
例20及び21と比較して、ここに記載したようにして製造したタイルは、より良好なオーバーベーク耐性及び耐薬品性を示した。その上、そのカラー画像はより高い品質のものであった。
【0163】
試験結果を表8にまとめる:
【表12】

【0164】
上記の例を繰り返すが、今回は次のUVインク(単数又は複数)を、粉体を塗装したタイルに8〜10μmの最終厚さで塗布する。
【表13】

【0165】
例7の樹脂は、例23の塗料配合物中に配合される。
(例23):
量は重量百分率である。
組成A:
22.40 Ceratix(登録商標)8461 1)
21.70 CAB−381−20(15%) 2)
11.80 例7のアクリル樹脂
3.00 Cymel303 3)
2.00 Resimene HF480 4)
0.30 Additol XL480 5)
14.00 アルミニウムペースト30% 6),
4.00 PMA 7)
3.00 n−ブタノール
7.00 酢酸ブチル
10.80 キシレン
【0166】
1)溶剤型効果塗料用レオロジー調節剤(BYK)
2)セルロースアセテートブチレートグレード(Eastman)
3)架橋剤(Cytec Ind.)
4)ブチルウレタン及びホルムアルデヒドに基づく軟化作用のあるカルバミン酸樹脂(Cytec Ind.)
5)レベリング剤(Cytec Ind.)
6)アルミニウムペースト(Ekart)
7)PMA=メトキシプロピルアセテート(X)
所望される色に依存し、従って異なる顔料であり得る
【0167】
(例24)
表6に記載の粉体塗料組成物8を調製した。かくして調製されたその粉体塗料組成物を砂研磨したタイルに塗布した。タイルは200℃で10分間予備過熱し、次いで、電気絶縁性を持たせるために木の支持体に移動した。その後電界の適用なしでGema Volstatic PCG1を使用して200μm(マイクロメーター)の層の厚さで粉体を吹き付けた。そのタイルを次に対流式オーブンに移し、そこでそれを200℃で30分間硬化させた。その後そのポリエステルを塗装したタイルは砂研磨した。
【0168】
その粉体の下塗りの上部に例23の配合に基づく更なる層を吹き付けにより15〜20μmの層の厚さで塗布した。この層を次に約5〜10分間空気乾燥させた。このステップの後、例11の塗料配合物を、先に説明したように、このタイルに室温から180℃の温度で吹き付けた。その塗料の塗布後、温度を200℃で30分間維持する。そのタイルは次いで評価のために冷却する。その上塗りの厚さは、60μm(マイクロメーター)である。
【0169】
製造されたセラミックタイルは、優れた硬度と非常に良好な光沢、亀裂抵抗、耐薬品性、耐汚染性及びヒートショック耐性とを兼ね備えた。金属効果は、必要に応じて獲得することができる。
【0170】
試験結果を表9にまとめる:
【表14】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基材を塗装する方法であって、基材に下塗り層として粉体塗料組成物を塗布するステップと、塗布した組成物を硬化するステップと、更なる層として液体塗料組成物を塗布し、塗布した液体組成物を熱に曝露することによって硬化させるステップとを含む上記方法。
【請求項2】
粉体塗料組成物が、カルボキシ及び/又はヒドロキシ官能基を有する少なくとも1つのポリエステルと、前記ポリエステルの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリエステルが、カルボキシ官能化ポリエステルから選択され、硬化剤が、ポリエポキシ化合物、β(ベータ)−ヒドロキシアルキルアミド含有化合物及びそれらの混合物から選択されるか、又は、前記ポリエステルが、ヒドロキシ官能化ポリエステルから選択され、硬化剤がブロックイソシアネート架橋剤から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
粉体塗料組成物が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有ポリエステル及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂を含む放射線硬化性粉体塗料組成物である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
セラミック基材を、最初に粉体塗料組成物のガラス転移温度より上の温度に予備加熱し、その後粉体塗料組成物を基材に塗布し、前記粉体を含んでいるセラミック基材を、120から300℃の間の温度に1〜60分間の硬化時間にわたって加熱する請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
更なる層を作製するために使用される液体塗料組成物が、少なくとも1つのアクリル樹脂及び/又は少なくとも1つのポリエステル樹脂を含む請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アクリル樹脂がヒドロキシル化されたアクリル樹脂であり、ポリエステルがヒドロキシル化されたポリエステルである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更なる層を作製するために使用される液体塗料組成物が、アミノ樹脂を更に含む請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
更なる層を作製するために使用される液体塗料組成物を、有機溶媒中の溶液として塗布する請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
セラミック基材にカラー画像を提供するステップを更に含む請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
カラー画像が、セラミック基材に粉体の下塗りを塗装するステップの後、液体塗料組成物を更なる層として塗布するステップの前に提供される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
カラー画像が、印刷インク昇華法又はインクジェット印刷技術を用いてセラミック基材に施される請求項10又は11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
カラー画像が、放射線硬化性インクジェットインクを用いて施される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
粉体の下塗りが、任意選択的に顔料着色されており、液体塗膜が、上塗りを形成しており、透明塗膜である請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
粉体塗料組成物ら得られた少なくとも1つの下塗り層(A)、及び請求項1から14までのいずれか一項に記載の液体塗料組成物から得られた少なくとも1つの更なる層(B)を含むセラミック基材。
【請求項16】
粉体塗料組成物が、少なくとも1つのカルボキシ及び/又はヒドロキシ官能性ポリエステルと、ポリエステルの官能基と反応できる官能基を有する少なくとも1つの硬化剤とを含む請求項15に記載のセラミック基材。
【請求項17】
粉体塗料組成物が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有ポリエステル及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂を含む放射線硬化性粉体塗料組成物である請求項15に記載のセラミック基材。

【公表番号】特表2013−512095(P2013−512095A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541299(P2012−541299)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001214
【国際公開番号】WO2011/066712
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【出願人】(512141806)サイテック サーフェース スペシャリティーズ (シャンハイ) カンパニー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】