説明

セラミック外装部材

【課題】衝撃により建物の外装部材のセラミック部分が破壊されても、セラミック部材の破片が飛散し、落下することがなく、電磁波の影響を少なくできる建物の外装部材を提供する。
【解決手段】セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、端部の少なくとも一部が肉厚に形成されており、前記肉厚部には、構造部材の取付け部の止めネジ部材に螺合可能のネジ孔が形成されていることを特徴とする建築物のセラミック外装部材にあり、金属部材の使用を少なくして、電磁波の影響を少なくでき、セラミック部分が破壊されても、その破片は繊維強化プラスチックライニング層に付着された侭で、芯材に保持され、落下するに至らない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛散防止及び落下防止機能を有し、温度変化によるクラックの発生を防止し、電磁波の透過性を高めて、電磁波の反射が少ないセラミック外装部材に関し、特に、外力により、飛散し、落下することがなく、昼夜の温度差及び季節の温度差によるヒートショックによるクラックの発生がなく、電磁波を透過して周辺への影響が少ないセラミック外装部材に関する。さらに、本発明は、飛散防止及び落下防止機能を有する建築物のセラミック外装部材に関し、特に、全長に亙って金属製芯材の使用を少なくして、比較的大きな引張り強さや弾性を有するプラスチック材料が内設されて、飛散防止、落下防止及びクラック発生防止機能を有する、建築物の外壁パネル等に使用されるセラミック外装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外装部材は、雨、風、雪、太陽光など、気候の変動に伴って、種々の作用を受けるので、耐候性及び劣化抵抗性が要求される。しかも、建物の外壁は、建物の印象を左右する一つであり、その選択には、仕上げ材料の中でも、特に注意が払われている。耐水性、耐熱性、耐摩耗性及び耐食性などの点で優れ、色調や生地が豊富であって、意匠の新鮮さなどが容易に得られる点から、外装材料として、セラミックタイル等が使用されている。
【0003】
しかし、セラミックタイルは、ひび割れや剥離を起こす場合があり、建物の高層化に伴い、このようなセラミック外装部材のクラックや破損による落下は、人命に係る危険があり問題とされている。そこでセラミックタイルの両端部に繊維強化プラスチック材を補強材として接着することにより、セラミック外装・外壁材のクラックや破損による落下を防止することが提案されている(特許文献1)。また、このようなセラミック外装材全面に、100N/cm以上の引張り強さを有し、且つ50%以上の伸びを有するプラスチック材を被着させて、さらに、セラミック外装材を、その全長に亙って金属製の支持ブロックで支持した金属製の芯材で固定してセラミックタイル外装材料のクラックや破損による落下を防止することが提案されている(特許文献2)。しかし、セラミックタイル外装部材に、補強材を接着したり又は金属製の芯材を設けても、例えば金属製の芯材及びセラミック部分と接触するプラスチック部材のヒートショックによりクラックの発生等の劣化を避けることができず、延いては、セラミック外装部材の破壊をもたらして、破片の飛散及び落下の危険を招くこととなり、依然、問題とされている。また、芯材や芯材固定ブロックに、金属材料を使用するために、金属材料による電磁波の反射により、セラミック外装部材の例えばセラミックタイルに微振動を与えることとなって、クラック発生の原因となる上に、周辺の電子機器の誤動作を招くこととなって問題である。
本発明は、このようなセラミック外装部材としてのセラミックタイル等の落下防止技術により派生する問題点及び周辺の電子機器の誤動作に係る問題点を解決することを目的としている。
【特許文献1】特開平10−152970号公報
【特許文献2】特開2002−70289号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、芯材等の金属部材の熱膨張や熱収縮による影響を抑制し、また、風その他の外力又は衝撃により、セラミック部分が破壊されても、セラミック部材の破片が飛散し、落下することがない建築物用のセラミック外装部材を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、端部の少なくとも一部に、構造部材の取付け部の止めネジ部材に係合可能の孔が形成されていることを特徴とするセラミック外装部材にあり、また、本発明は、セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているゴム部材と、前記ゴム部材の裏面又は内面の全面に固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、端部の少なくとも一部に、構造部材の取付け部の止めネジ部材に係合可能の孔が形成されていることを特徴とするセラミック外装部材にあり、さらに本発明は、中空筒形セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているゴム部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分に挿通され、両端部にネジ部を有する芯部材と、前記ゴム部材を有するセラミック成形部材の両端部に設けられ、芯部材のネジ部に螺合可能のネジ孔及び構造部材の取付け部の止めネジ部材のネジ部に係合可能の孔が形成されている芯材固定ブロック部材とを備えていることを特徴とするセラミック外装部材にあり、さらにまた、本発明は、中空筒形セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているブチルゴム部材と、前記ブチルゴム部材の裏面又は内面の全面に固定されている繊維強化プラスチック部材と、前記繊維強化プラスチック部材が固定されているセラミック成形部材の中空部分に挿通され、両端部にネジ部を有する芯部材とを備えており、繊維強化プラスチック部材は、両端部に、芯部材のネジ部に螺合可能のネジ孔及び構造部材の取付け部の止めネジ部材のネジ部に螺合可能のネジ孔が形成されている肉厚部を備えていることを特徴とするセラミック外装部材にあり、さらに加えて、本発明は、中空筒形セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているブチルゴム部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分に、両端部にネジ部分を有して挿通されている芯部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分の一方の側の端部に設けられて、端部取付け部の止めネジ部材が螺合可能のネジ孔を有する第一のブロック部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分の他方の側の端部に設けられて、端部取付け部の止めネジ部材がネジ孔を有する第二のブロック部材と、セラミック成形部材の中空部内において、前記第一のブロック部材の内側端部から突き出たネジ部材のネジ部分に一方の端部において螺着し、他方の端部において前記芯材の一方の側のネジ部分に螺着する第一の引き締めネジ部材と、前記第二のインナーブロック部材の内側端部から突き出た止めネジ部材のネジ部分に一端部において螺着し、他端部において前記芯材の他方の側のネジ部分に螺着する第二の引き締めネジ部材とを備えていることを特徴とする中空筒形のセラミック外装部材にある。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、端部の少なくとも一部に、構造部材の取付け部の止めネジ部材に係合可能の孔が形成されているので、セラミック成形部材は、前記繊維強化プラスチック部材により保持されて、構造部材にネジ止めにより安全に取り付けることができる。また、本発明によると、セラミック外装部材は、繊維強化プラスチック部材を使用することにより、金属部材の使用を少なくでき、比較的軽量となるにも拘わらず、外力による衝撃によりセラミック成形部材が破壊されても、力学的特性が優れる繊維強化プラスチック部材により保持されているために、破片が脱落して落下したり、飛散したりするに至らず、したがって、外力による衝撃に対し、破片の飛散及び落下を防止して、セラミック成形部材の安全性の向上を図ることができる。
また、本発明によると、芯材及び芯材固定ブロックを、繊維強化プラスチック材料製として、金属材料の使用を避けることができるので、従来のセラミック外装部材における金属材料による熱膨張及び熱収縮によるヒートショックを避けて、軽量化を図ることができ、耐久性及び施工性を改善することができる。また、本発明においては、金属材料を殆ど使用しなくても済むので、従来のセラミック外装部材における電磁波の反射による種々の弊害を解消することができる。
【0006】
本発明において使用されるゴム部材は、1.0kg/cm以上の接着性を有するものであり、粘着力があるために、昼夜の温度変化及び夏冬の温度変化によって繰り返して起こる熱膨張や熱収縮を緩和するものであり、それによって、微振動が防止され、繰り返し強度を大きくする。したがって、従来のプラスチック部材を使用するものに比して、耐候性が良くなり、耐久性、耐水性及び施工性を良くすることができる。本発明において、芯材又は芯材ブロックに金属材料を使用しても、例えばブチルゴム等のゴム部材を金属材料に接して使用することとなり、金属材料の熱膨張及び熱収縮により起きるヒートショックを抑制して、金属材料とセラミック間の強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のセラミック外装部材において、セラミック成形部材の裏面又は内面には、ゴム及び/又は繊維強化プラスチック部材が、被着される。本発明において、セラミック成形部材の裏面又は内面に被着されるゴム部材は、接着性が1.0kg/cm以上であって、耐久性、耐水性及び施工性に優れ、また、衝撃緩衝性を有して、例えば、金属部の熱膨張及び熱収縮を抑制し、昼夜の温度差や夏冬の温度差などによる繰り返し変化に対する強度が大きいものが、クラックの発生や剥離を防止することができるので好ましい。このようなゴム材料としては、ブチルゴム、シリコンゴム及びフッ素ゴム等がある。これらのゴムの中で、ブチルゴムは、衝撃吸収が大きく、耐候性及び耐熱性に優れるので好ましい。
【0008】
また、本発明において、被着される繊維強化プラスチックは、前記セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に、プライマーを介して接着固定される。殊に、繊維強化プラスチックは、軽量であり、耐食性に優れ、機械的強度が強いものが好ましい。ガラス繊維を強化繊維とする繊維強化プラスチックの場合は、透光性が優れ、電波透過性が優れ、セラミック成形部材に被着して、電磁波を殆ど透過することとなって、周辺への電波障害等を少なくでき、また、セラミック成形部材への微振動を防止することができ、また、軽量化されて、耐久性及び施工性を良くすることができるので好ましい。
【0009】
本発明において、セラミック部材は、例えば、テラコッタ等のセラミックスであって、押し出し成形され、1000℃を超える高温において焼成されて製造される。このようにして製造されたセラミック成形部材への繊維強化プラスチックの被着は、セラミック成形部材が平板状の場合には、セラミック成形部材の裏面を上に向けて、セラミック成形部材を成形下型内に入れ、その裏面の上に、硬化剤と共にプライマー用の樹脂合成用の液状の配合材料を流し、成形上型を成形下型内に入れて、加圧し流動させて、樹脂合成用の液状の配合材料を常温又は加熱下で硬化させて、セラミック成形部材と一体に成形する。プライマー用の樹脂が硬化して、セラミック成形部材と一体に成形されたところで、繊維強化プラスチックが被着される面上に、強化用繊維のガラス繊維を配置し、離型剤で型面が被覆された上型を被せて型を閉じ、その型内に硬化剤を混合した繊維強化プラスチック用の樹脂合成用の液状の配合材料、例えば、エポキシ樹脂合成用の液状の配合材料を供給して、ガラス繊維に含浸させ、減圧乃至加圧下に樹脂を硬化させて成形する。
【0010】
本発明において、このようなプライマー用の樹脂としては、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂がある。これらのプライマー用の樹脂の中で、エポキシ樹脂は、接着性に優れ、硬化時の収縮が少なく、寸法安定性がよく、耐薬品性、電気絶縁性が優れている点で好ましい。また、本発明において、繊維強化プラスチック用の樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、アリル樹脂又はポリイミド樹脂等がある。これらの樹脂の中で、エポキシ樹脂は、接着性に優れ、硬化時の収縮が少なく、寸法安定性がよく、耐薬品性、電気絶縁性が優れている。繊維強化プラスチックの繊維強化材としては、ガラス繊維の他に、炭素繊維、ボロン繊維又はアラミド繊維がある。エポキシ樹脂の繊維強化プラスチックで、その内面全体が被着されたセラミック成形部材は、力学的特性が優れて、容易に破壊され難いエポキシ樹脂の繊維強化プラスチック部材により保持されることとなり、セラミック成形部材が破壊されても、破壊されずに残るエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックにより破片に保持されるので、破片が脱落して落下したり、飛散したりすることを防止できるので好ましい。また、不飽和ポリエステル樹脂は、添加される架橋用ビニルモノマーにより種々の性質のものとすることができるので好ましい。
【0011】
本発明において、中空筒型のセラミック部材にあっても、前記平板のセラミック部材と同様に、成形され焼成される。このようにして焼成された中空筒型のセラミック成形部材は、中空筒型のセラミック成形部材の中空開口部を横に向けて、成形下型内に入れられ、そのセラミック成形部材の中空部内に、離型剤で外面が被覆されたスライド型を挿入し、スライド型の外周に硬化剤を含むプライマー用の樹脂合成用の液状の配合材料、例えば、エポキシ樹脂合成用の液状の配合材料を流して、成形型内において常温で硬化して、セラミック成形部材とプライマー樹脂を一体に成形する。プライマー用の樹脂が硬化して、セラミック成形部材と一体に成形されたところで、スライド型を取出し、形成された中空部内に、離型剤で型外面が被覆された別のスライド型を挿入し、スライド型の外周に、ガラス繊維及び硬化剤を混合した繊維強化プラスチック用の樹脂合成用の液状の配合材料を供給し、型を被せて閉じ、型内で樹脂を硬化させて成形する。成形が終えたところで、型を開いて、スライド型を取出し、次いで、繊維強化プラスチックを被着させた製品とする。
【0012】
本発明において、押し出し成形され、1000℃を超える高温において焼成されて、製造された平板状のセラミック成形部材にゴム部材、例えば、ブチルゴムを被覆する場合には、セラミック成形部材の裏面を上に向けて、成形型内に入れ、その裏面の上に、硬化剤と共に、プライマー用の樹脂合成用の液状の配合材料、例えば、エポキシ樹脂合成用の液状の配合材料を流し、成形型内で常温で硬化して、プライマー用の樹脂合成用の液状の配合材料をセラミック部材と一体に成形し、プライマー用の樹脂合成用の液状の配合材料がセラミック部材と一体に成形された板状のセラミック部材の面上に、両面接着剤付きのブチルゴムシートを貼り付け、加圧圧着して製品とする。
例えば、止めネジ挿通用の孔が形成されている平板状のセラミック成形部材に、ゴム部材、例えば、ブチルゴムを被覆する場合には、孔付きの平板状のセラミック成形部材を下型内に配置し、平板状のセラミック部材の孔の部分を除いて、硬化剤と共にプライマー用の樹脂合成用の液状の配合材料を流し、成形上型を下型内に入れて、加圧し流動させて、液状樹脂を常温又は加熱下で硬化させて、セラミック成形部材と一体に成形する。プライマー用の樹脂が硬化して、セラミック成形部材と一体に成形されたところで、孔の部分を除いて、セラミック成形部材と一体に形成されたプライマー用の樹脂の面上に、液状の未加硫のブチルゴムを流し、加熱下に加硫固化して製品とする。
さらに、このブチルゴムの上に繊維強化プラスチックを被着する場合は、下型内にブチルゴムを圧着したセラミック成形部材を配置し、繊維強化プラスチック層が形成される面上に、孔の部分を除いて、強化用繊維のガラス繊維を配置し、強化用繊維のガラス繊維に、硬化剤を混合した繊維強化プラスチック用の樹脂合成用の液状の配合材料、例えば、ビスフェノールA型樹脂等のエポキシ樹脂材料の主体、硬化剤、可塑剤等の改質成分及び希釈剤等の流動調整成分を含む、エポキシ樹脂合成用の液状の配合材料を供給して、ガラス繊維に含浸させ、離型剤で型面が被覆された上型を被せて型を閉じ、減圧乃至加圧下に硬化させて成形する。これらプラスチック層にネジ孔を設けるときは、メネジ孔を設けたインサート部材を、成形ネジの手法又はポストインサートネジの手法でプラスチック層内に埋設して形成することができる。
【0013】
本発明において、押し出し成形され、1000℃を超える高温において焼成されて、製造された中空筒形のセラミック成形部材へのブチルゴムの被覆は、例えば、セラミック成形部材の中空部を横に向けて、成形型内に入れ、そのセラミック成形部材の中空部内に、離型剤で外面が被覆されたスライド型を入れ、スライド型の外周に硬化剤と共にエポキシ樹脂を流して、成形型内で常温で硬化して、セラミック成形部材と一体に成形する。エポキシ樹脂が硬化して、セラミック成形部材と一体に成形されたところで、スライド型を取出し、形成された中空部内に、ブチルゴムをスプレー塗布し、加圧圧着して製品とする。さらに、このブチルゴムの上に繊維強化プラスチックを被着する場合は、ブチルゴムが被着したセラミック成形部材の中空部内に、離型剤で型外面が被覆された別のスライド型を挿入し、スライド型の外周に、ガラス繊維及び硬化剤を混合した液状の樹脂合成用材料を供給し、上型を被せて型を閉じ、型内で硬化させて成形する。成形が終えたところで、スライド型を取出し、繊維強化プラスチックを被着させた製品とする。
本発明において、セラミック外装部材は、例えば、カーテンウォールの外壁パネルに取り付けることができる。又は、建物の躯体若しくは構造部材に直接取り付けて、例えば窓部の遮光ルーバとして使用することができる。
【実施例】
【0014】
以下に、図を参照して本発明の実施例を説明するが、本発明は、以下の実施例及び説明により、何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施例の中空筒形の外装部材についての、その使用態様における概略の説明図である。図2は、図1に示す実施例の中空筒形の外装部材についての使用態様を示す概略の側面断面図である。図3は、図1に示す実施例の中空筒形の外装部材についての、図2の実施例とは異なる一実施例の平形の外装部材についての使用態様を示す概略の側面断面図である。図4は、図1乃至図3の実施例と異なる一実施例の平板状の外装部材についての概略の正面断面図である。
図5は、図4の実施例の平板状の外装部材についてその使用態様を示す概略の側面断面図である。図6は、図1乃至図5の実施例と異なる一実施例の中空筒形の外装部材についての概略の側面断面図である。図7は、図6の実施例の中空筒形の外装部材についてその一部を切り欠いて示す概略の側面断面図である。図8は、図1乃至図7の実施例と異なる一実施例の中空筒形の外装部材についての概略の側面断面図である。図9は、図1乃至図8の実施例と異なる一実施例の実施例の中空筒形の外装部材についてその一部を切り欠いて示す概略の側面断面図である。図1乃至図9において、対応する箇所には同一の符号が付されている。
【0015】
図1に示す実施例は、セラミック外装部材1が建築物の外壁部の窓部の遮光部材、例えばルーバーとして使用される事例であり、遮光性を発揮するために中空筒形に形成されており、構造部材の取付け部に、止めネジ等を介して取り付けられる。
セラミック外装部材1は支持部材2に取り付けられており、この支持部材2は、I型鋼やH型鋼の構造部材又は躯体(図示されていない)に取り付けられる。本例においては、図1に示すように、支持部材2は、接合板部3と、該接合板部3の内側面4から垂直方向に延びる垂直板部5及び該垂直板部5から水平方向に張出して、取付け板部6が形成されている。
【0016】
本例において、取付け板部6は、セラミック外装部材1の端部7の下部開口部8に差込み可能に形成されている。接合板部3にはネジ挿通孔9が形成されており、このネジ挿通孔9を、構造部材又は躯体の取り付け部のネジ挿通孔(図示されていない)に合わせて、ボルトを通し、ナットで止めて取付けられる。本例において、支持部材2の接合板部3に設けられている取付け板部6には、ネジ挿通孔10が形成されており、取付け板部6をセラミック外装部材1の端部開口部8内に差込み、該取付け板部6のネジ挿入孔10を、セラミック外装部材1のインサート部材11に形成されている取付用ネジ孔12(図2参照)に合わせ、止めネジ部材13を該取付け板部6のネジ挿通孔10を通し、セラミック外装部材1のインサート部材11の取付用ネジ孔12に螺合させて、セラミック外装部材1を支持材2に固定する。
【0017】
図2に示す実施例において、セラミック外装部材1は、両端部において、断面が下方に開くコの字形に形成され、中間部が断面ロの字形に形成されている中空筒形に形成されている。本例において、セラミック成形部材14は、例えば、高温焼成されたテラコッタ等のセラミック材料製であり、断面が四角形状の中空筒形に成形されており、このセラミック成形部材14の中空部分の内側には、セラミック成形部材14の破断時に、セラミック成形部材14の破片が、飛散しないように、セラミック成形部材14の破片を繋ぎ止めるように、比強度が大きい繊維強化プラスチックを被着させて、繊維強化プラスチック層17が形成されている。本例において使用された繊維強化プラスチックは、ガラス繊維を補強材として使用したエポキシ樹脂の繊維強化プラスチックである。
【0018】
本例において、セラミック成形部材14の内面15に、層状にエポキシ樹脂が被着されて、プライマーとしてのエポキシ樹脂層16が形成されており、その上に繊維強化プラスチックが層状に被着されて、繊維強化プラスチック層17を形成している。本例において、この繊維強化プラスチック層17には、その長手方向端部18に、ねじ孔12を備えるインサート部材11を埋設して、下方に突き出る肉厚部19が形成されている。支持部材2の取付け板部6には、セラミック外装部材1をネジ止めできるように、ボルト等の止めネジ部材13の挿通孔10が設けられている。セラミック外装部材1を支持部材3に取付けるときは、セラミック外装部材1の繊維強化プラスチック層16のネジ孔12を、前記取付け板部6の挿通孔10に整合させて、止めネジ部材13を、前記挿通孔10を通して、前記ネジ孔12に螺合して、セラミック外装部材1を、支持部材3の取付け板部6に取り付けることができる。本例において、セラミック成形部材14にエポキシ樹脂層16を介して取付けられる繊維強化プラスチックは、比強度が大きく、耐食性及び耐薬品性が優れ、光透過性よく、電波透過性がよいなど、優れており、金属材料製の芯材の使用を避けることができ、電波障害等を避けることができる。
【0019】
本例は以上のように構成されているので、セラミック成形部材14に、ハンマ打撃を加えてその結果を、目視により観察した。このハンマ打撃により、セラミック外装部材1の中で、テラコッタ製のセラミック成形部材14は破壊したが、その破片は総て、破壊されずに残る繊維強化プラスチック層17に付着して、セラミック成形部材14の破片が飛散し、落下することはなかった。
【0020】
図3に示す実施例は、図2に示す実施例に対し、セラミック部材と繊維強化プラスチックの間及び取付け部材と繊維強化プラスチックの間にブチルゴムを介在させた点で相違するものである。
即ち、本例においても、セラミック外装部材1は、中空筒形状に形成されたセラミック成形部材14を有しており、セラミック成形部材14の内面15に、エポキシ樹脂が層状に被着されて、プライマーとしてエポキシ樹脂層16を形成している。本例においては、エポキシ樹脂層16の上に層状にブチルゴムが被着されて、ブチルゴム層20を形成しており、このブチルゴム層20の上に繊維強化プラスチックが層状に被着されて、繊維強化プラスチック層17を形成している。本例においては、繊維強化プラスチック層17には、その長手方向の一方の端部、例えば正面側端部18に、ねじ孔12を備えるインサート部材11を埋設して、下方に突き出る肉厚部19が形成されており、肉厚部19の下端面21には、ブチルゴムを層状に被着して、下部ブチルゴム層22が形成されている。下部ブチルゴム層22には、繊維強化プラスチック層16のネジ孔12に連続して、止めネジ部材13の挿通孔22が形成されている。本例においても、図2に示した実施例と同様に、支持部材3の取付け板部6には止めネジ部材13の挿通孔10が設けられている。本例において、セラミック外装部材1の肉厚部19の下部ブチルゴム層22のインサート部材11のネジ挿通孔23を、取付け板部6の挿通孔10に整合させて、止めネジ部材13を、前記挿通孔10及び23を通して、前記ネジ孔12に螺合して、セラミック外装部材1を、取付け部材6に取り付けることができる。本例において、セラミック成形部材14に、エポキシ樹脂層16を介して取付けられるブチルゴムは、衝撃吸収が大きく、化学的に安定しており、耐候性及び耐熱性が優れて、金属部分の熱膨張や熱収縮の影響を緩和し、また、昼夜及び夏冬の繰返し温度差の影響を緩和することができ、耐水性及び施工性が良いので好ましい。
【0021】
本例は以上のように構成されているので、図1の実施例と同様に、セラミック成形部材14にハンマ打撃加えた結果を、目視により観察した。このハンマ打撃により、セラミック外装部材1の中で、テラコッタ製の平板形のセラミック成形部材14は破壊したが、その破片は総てブチルゴム層20に付着しており、繊維強化プラスチック層17は破壊されずに残っており、中空筒形状のセラミック成形部材14の破片が飛散し、落下することはなかった。
【0022】
図4及び図5に示す実施例は、図1乃至3に示す実施例に対し、平板状に形成されている点で相違している。例えばセラミックタイル等の平板状のセラミック外装部材1は、平板状のセラミック成形部材14を有しており、この平板状のセラミック成形部材14の裏側全体に、エポキシ樹脂が被着されて、エポキシ樹脂層16が形成されている。本例においては、エポキシ樹脂層16の上に、繊維強化プラスチックが層状に被着されて、繊維強化プラスチック層17が形成されている。本例において、セラミック外装部材1には、その裏側の側部両端部及び中央部に下方に突き出る脚部24、25及び26が形成されており、側部両端部の脚部24及び26には、夫々、その長手方向の端部18には、ねじ孔12を備えるインサート部材11を埋設して、両端部にインサート部材11に設けられたネジ孔部12を有する肉厚部19が形成されている。本例は以上のように構成されているので、ルーバーとして又は外壁部材として、躯体又は構造部材に取り付けて使用される。本例において、躯体又は構造部材の支持部材2の取付け板部6には、セラミック外装部材1をネジ止めできるように、止めネジ部材13の挿通孔10が設けられているので、セラミック外装部材1を支持部材3に取付けるときは、セラミック外装部材1の繊維強化プラスチック層17のインサート部材11のネジ孔12を、前記取付け板部6の挿通孔10に整合させて、止めネジ部材13を、前記挿通孔10を通して、前記ネジ孔12に螺合して、セラミック外装部材1を、支持部材3の取付け板部6に取り付けることができる。
【0023】
本例においても、セラミック外装部材1には、繊維強化プラスチック層17が設けられ、そして、繊維強化プラスチック層17を介して躯体又は構造部材の取付け部材2に取り付けられているので、外力により、セラミック外装部材1に衝撃が加えられて、例えばテラコッタ製の板状のセラミック成形部材14の部分が破壊されても、その破片は、破壊されずに残る繊維強化プラスチック層17に付着した状態で保持されており、セラミック成形部材14の破片が飛散し、落下することは防止された。
【0024】
図2、図3及び図5に示す実施例においては、肉厚部19にインサート11を設けているが、繊維強化プラスチック層17の厚みがインサート11を設けるのに十分である場合は、特に肉厚部を形成することは必要でない。
【0025】
図6及び図7に示す実施例において、セラミック外装部材1には、ブチルゴムを、エポキシ樹脂16を介して、セラミック成形部材14に被着させることにより、ブチルゴム層20が形成されている。本例において、ブチルゴム層20は、例えば、成形され高温焼成されたテラコッタ等のセラミック材料製の断面が四角形状の中空筒状のセラミック成形部材14の中空部分内側に被着形成されており、セラミック成形部材14の破断時に、破断されたセラミック成形部材14の破片が、ブチルゴム層20により繋ぎ止められて、飛散しないようにされている。本例においてブチルゴム層20は、セラミック成形部材及び芯材として使用される金属材料に接して、繰り返し温度変化による劣化を避けることができる。
【0026】
本例において、セラミック成形部材14の内側15には、層状にエポキシ樹脂が被着されてエポキシ樹脂層16が形成されており、本例においては、エポキシ樹脂層16の上に層状にブチルゴムが被着されて、ブチルゴム層20が形成されている。本例においては、ブチルゴム層20が形成された中空筒状セラミック成形部材14の中空部内側にステンレス鋼製の芯材27が挿通されている。本例において、ステンレス鋼製の芯材27の両端部には、左ネジのネジ部分28が形成されており、この左ネジ部分28は、引き締めネジ継ぎ手部材29に螺合している。引き締めネジ継ぎ手部材、即ちターンバクル29には、一方でステンレス鋼材製の芯材27の左ネジのネジ部分28が螺合し、他方で止めネジ部材30の右ネジのネジ部分31が螺合している。引き締めネジ継ぎ手部材29は、ステンレス鋼製の芯材が螺合する側は左ネジの雌ネジ部32に形成され、止めネジ部材30が螺合する側は右ネジの雌ネジ部33に形成されている。
【0027】
本例において、止めネジ部材30は、中空筒状セラミック成形部材14の開口端部34側で、ステンレス鋼製のインナーブロック35の下部に形成されているネジ孔36に螺合している。このネジ孔36は、インナーブロック35の下方に配置された支持部材2の取付け板部6のネジ挿通孔10と整合され、取付け板部6のネジ挿通孔10を通した止めネジ部材13に螺着して、インナーブロック35を取付け板部6に固定する。これにより、取付け板部6を、インナーブロック35を介して、ブチルゴム層21を有する中空筒状のセラミック成形部材13内に固定することができる。
【0028】
本例において、カバープレート37は、インナーブロック35とは別個に形成されている。本例において、インナーブロック35の上部には、ネジ孔38が、カバープレート37の上部ネジ孔39に整合可能の位置に形成されている。カバープレート37の下部には、開口部40が形成されている。本例において、エポキシ樹脂層16及びブチルゴム層20が形成されている中空筒状のセラミック成形部材14は、開口端部34側の端部中空部分41には、底壁が設けられておらず、下方に開口する断面コの字形に形成されている。したがって、本例においては、中空筒状のセラミック成形部材14の底壁端部42は、該セラミック成形部材14の端面43から後退した位置に形成されている。本例において、ステンレス鋼等の金属製のインナーブロック35へのカバープレート37の取付けは、インナーブロック35に形成されているネジ孔38とカバープレート37のネジ挿通孔39の位置を合わせて、ネジ部材44をカバープレート37のネジ挿通孔39を通して、インナーブロック35に形成されているネジ孔38に螺合して、カバープレート37とインナーブロック35を互いに固定することができる。
【0029】
本例は以上のように構成されているので、セラミック組立てブロック部材1に、ハンマ打撃を加えてその結果を、目視により観察した。このハンマ打撃により、セラミック外装部材1の中で、テラコッタ製の中空筒状セラミック成形部材14は破壊したが、その破片は総て、ブチルゴム層20に付着して、芯材27に保持されており、セラミック成形部材14の破片が飛散し、落下することはなかった。
【0030】
これらブチルゴム層及び/又は繊維強化プラスチック層が中空部内部に形成されている中空筒状の高温焼成のテラコッタ等のセラミック外装部材1は、ハンマー打撃を加えて、セラミック成形部分を破壊しても、その破片が飛散することはなかった。これに対し、これらのプラスチックライニング層を形成しない場合と、被着後の引張り強さ1000N/cmで、破断時の伸びが5%のエポキシ樹脂系組成物の場合は、ハンマー打撃を加えた後の状況を目視で観察した結果は、セラミック成形部材は割れて、その破片は飛散した。本例においては、芯材としてステンレス鋼製のものを使用するが、ステンレス鋼線、ピアノ線等の鋼製の線材又はステンレス鋼その他鋼製の棒材などを芯材として使用することができる。また、本例においては、芯材としてステンレス鋼製又はその他鋼製の棒材を使用するが、棒材端部外周に雄ネジ付きのインサート部材を装着して、繊維強化プラスチック製の棒材を、ステンレス鋼製又はその他鋼製の棒材に代えて使用することができる。
【0031】
図8は、図2に示す実施例に対して、取付け板部6のネジ挿通孔10に整合するセラミック成形部材14の箇所に、セラミック成形部材14を貫通してネジ挿通孔45を形成し、また、前記ネジ挿通孔10に整合して、エポキシ樹脂層16を貫通してネジ挿通孔46を形成し、さらに、繊維強化プラスチック層17を貫通してネジ挿通孔47を形成して、ネジ挿通孔45,46及び47に取付けネジ48を挿通して、セラミック成形部材の中空部内でナット49により固定させる点でのみ相違する事例である。
【0032】
即ち、セラミック外装部材1は、両端部において、断面が下方に開くコの字形に形成され、中間部が断面ロの字形に形成されている中空筒形に形成されている。本例においても、セラミック外装部材14は、例えば、高温焼成されたテラコッタ等のセラミック材料製であり、断面が四角形状の中空筒形に成形されており、このセラミック成形部材14の中空部分の内側には、セラミック成形部材14の破断時に、セラミック成形部材14の破片が、飛散しないように、セラミック成形部材14の破片を繋ぎ止めるように、比強度が大きい繊維強化プラスチックを被着させて、繊維強化プラスチック層17が形成されている。
【0033】
本例において、セラミック成形部材14には、端部にネジ挿通孔45が形成されており、セラミック成形部材14の内面には、ネジ挿通孔45を除く面に層状にエポキシ樹脂が被着されて、ネジ挿通孔46を備えるプライマーとしてのエポキシ樹脂層16が形成されており、その上に同じくネジ挿通孔46を除く面に層状に繊維強化プラスチック層17が被着されて、ネジ挿通孔47を備える繊維強化プラスチック層17が形成されている。このように、本例においては、セラミック成形部材14にエポキシ樹脂層16が被着し、該エポキシ樹脂層16に繊維強化プラスチック層17は、ネジ挿通孔、45,46及び47を直線状に連通して接着しているので、セラミック外装部材1を支持部材3に取付けるときは、取付けねじ48を、セラミック成形部材14のネジ挿通孔45、エポキシ樹脂層16のネジ挿通孔46及び繊維強化プラスチック層17のネジ挿通孔47にボルト48を挿通し、セラミック成形部材14の中空内部で、ボルト48をナット49により固定することができる。
【0034】
このようにセラミック成形部材14、エポキシ樹脂層16及び繊維強化プラスチック層17を通した一本の止めネジのボルト48により固定することにより、繊維強化プラスチック層17内にインサート部材を設けることなく、セラミック成形部材14、エポキシ樹脂層16及び繊維強化プラスチック層17を、支持部材3の取付け板部6に締め付け固定して、取り付けることができる。本例において、セラミック成形部材14にエポキシ樹脂層16を介して取付けられる繊維強化プラスチックは、比強度が大きく、耐食性及び耐薬品性が優れ、光透過性よく、電波透過性がよいなど、優れており、金属材料製の芯材の使用を避けることができ、電波障害等を避けることができる。
【0035】
本例は以上のように構成されているので、セラミック成形部材14に、ハンマ打撃を加えてその結果を、目視により観察した。このハンマ打撃により、セラミック外装部材1の中で、テラコッタ製のセラミック成形部材14は破壊したが、その破片は総て、破壊されずに残る繊維強化プラスチック層17に付着して、セラミック成形部材14の破片が飛散し、落下することはなかった。
【0036】
図9は、図3に示す実施例に対して、取付け板部6のネジ挿通孔10に整合するセラミック成形部材14の箇所にネジ挿通孔45を形成し、また、前記ネジ挿通孔10に整合して、エポキシ樹脂層16にネジ挿通孔46を貫通して形成し、さらに、前記ネジ挿通孔10に整合して、ブチルゴム層20にネジ挿通孔50を貫通して形成し、さらにまた、前記ネジ挿通孔10に整合して、繊維強化プラスチック層17にネジ挿通孔47を貫通して形成して、ネジ挿通孔45,46、50及び47に取付けネジ48を挿通して、セラミック成形部材14の中空内部でナット49により固定させる点でのみ相違する事例である。
即ち、セラミック外装部材1は、両端部において、断面が下方に開くコの字形に形成され、中間部が断面ロの字形に形成されている中空筒形に形成されている。本例においても、支持部材3の取付け板部6には止めネジ部材13の挿通孔10が設けられている。本例において、
【0037】
本例において、セラミック成形部材14には、端部にネジ挿通孔45が貫通して形成されており、セラミック成形部材14の内面には、ネジ挿通孔45を除いて層状にエポキシ樹脂を被着して、ネジ挿通孔46を備えるプライマーとしてのエポキシ樹脂層16を形成し、次いで、前記エポキシ樹脂層16の面にネジ挿通孔46を除いて、層状にブチルゴムを被着して、ネジ挿通孔50を備えるブチルゴム層20を形成し、さらに、前記ブチルゴム層20の面に前記ネジ挿通孔50を除いて層状に繊維強化プラスチックを被着して、ネジ挿通孔47を備える繊維強化プラスチック層17を形成し、さらに、前記繊維強化プラスチック層17の面に前記ネジ挿通孔47を除いて層状にブチルゴムを被着して、ネジ挿通孔51を備えるブチルゴム層22を形成している。
【0038】
このように、本例においては、ネジ挿通孔45を備えるセラミック成形部材14に、ネジ挿通孔46を備えるエポキシ樹脂層16が被着形成され、該エポキシ樹脂層16に、ネジ挿通孔50を備えるブチルゴム層20が被着形成され、該ブチルゴム層20に、ネジ挿通孔47を備える繊維強化プラスチック層17が形成され、該繊維強化プラスチック層17に、ネジ挿通孔51を備えるブチルゴム層22が被着形成されているので、ネジ挿通孔45,46、50,47及び51は直線状に連通して形成されており、セラミック外装部材1を支持部材3に取付けるときは、取付けねじ48を、セラミック成形部材14のネジ挿通孔45、エポキシ樹脂層16のネジ挿通孔46、ブチルゴム層20のネジ挿通孔50、繊維強化プラスチック層17のネジ挿通孔47及びブチルゴム層22のネジ挿通孔51にボルト48を挿通し、セラミック成形部材14の中空部内で、ボルト48をナット49により固定することができる。
【0039】
このようにセラミック成形部材14、エポキシ樹脂層16、ブチルゴム層20、繊維強化プラスチック層17及びブチルゴム層22を一本の止めネジのボルト48を通して固定することにより、エポキシ樹脂層16、繊維強化プラスチック層17並びにブチルゴム層20及び22内にインサート金具を設けることなく、セラミック成形部材14、エポキシ樹脂層16、繊維強化プラスチック層17並びにブチルゴム層20及び22を、支持部材3の取付け板部6に締め付け固定して、取り付けることができる。
【0040】
本例において、セラミック成形部材14に、エポキシ樹脂層16を介して取付けられるブチルゴム層20は、セラミック成形部材14と繊維強化プラスチック層17の間で繰り返される温度変化による劣化を避けることができ、また、ブチルゴム層22は、繊維強化プラスチック層17と取付け板部の間で、繰り返される温度変化による劣化を避けることができる。このように、ブチルゴム層20及び22は、衝撃吸収が大きく、化学的に安定しており、耐候性及び耐熱性が優れて、金属部分の熱膨張や熱収縮の影響を緩和し、また、昼夜及び夏冬の繰返し温度差の影響を緩和することができ、耐水性及び施工性が良いので好ましい。また、繊維強化プラスチックは、比強度が大きく、耐食性及び耐薬品性が優れ、光透過性よく、電波透過性がよいなど、優れており、金属材料製の芯材の使用を避けて、電波障害等を避けることができる。
【0041】
本例は以上のように構成されているので、セラミック成形部材14にハンマ打撃加を加えた結果を目視により観察した。このハンマ打撃により、セラミック外装部材1の中で、テラコッタ製の平板形のセラミック成形部材14は破壊したが、その破片は総て破壊されずに残るブチルゴム層20に付着し、破壊されずに残る繊維強化プラスチック層17に保持されており、このような場合においても、中空筒形状のセラミック成形部材14の破片が飛散し、落下することはなかった。
【0042】
図8及び図9に示す実施例においては、セラミック成形部材14にネジ挿通孔を設けて、肉厚部19にインサート11を設けずに、取付け部材6にナットを用いてボルト止めをしているが、セラミック成形部材14から肉厚部19までのネジ挿通孔をインサート11を設けて形成して、ナットを用いてボルト止めをしてもよい。また、セラミック成形部材14から肉厚部19までのネジ挿通孔をインサート11を設けて形成する場合には、繊維強化プラスチック層17の厚みがインサート11を設けるのに十分である場合は、特に肉厚部を形成することは必要でない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明においては、セラミック外装部材は、セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、例えば、端部の少なくとも一部を肉厚に形成して、螺合可能のネジ孔を設けているので、該ネジ孔に、構造部材の取付け部の止めネジ部材を螺合して、構造部材の取付け部に固定することができ、従来のセラミック外装部材における金属材料による熱膨張及び熱収縮による劣化を避けて、軽量化を図ることができ、耐久性及び施工性を改善して、安全性の高いセラミック外装部材とすることができる。また、本発明においては、金属材料の使用を極めて少なくでき、従来のセラミック外装部材における電磁波の反射による種々の弊害を解消することができる。
本発明において、セラミック外装部材は、セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているブチルゴム等のゴム部材とを備えており、特に前記ブチルゴム部材にあっては、粘着力を有し、衝撃吸収が大きく、耐候性及び耐熱性に優れており、昼夜の温度差、夏冬の温度差等の繰り返し変化に対する強度を有し、防振強度もあるために、セラミック成形部材の補強材として優れており、従来のセラミック外装部材における金属材料との共用による熱膨張及び熱収縮による劣化を避けることができ、耐久性及び施工性を改善して、安全性の高いセラミック外装部材とすることができる。また、本発明において、ゴム部材と繊維強化プラスチック材料を使用する場合は、金属材料を殆ど使用しないで済むので、従来のセラミック外装部材における電磁波の反射による種々の弊害を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例の中空筒形の外装部材についての、その使用態様における概略の説明図である。
【図2】図1に示す実施例の中空筒形の外装部材についての使用態様を示す概略の側面断面図である。
【図3】図1に示す実施例の中空筒形の外装部材についての、図2の実施例とは異なる一実施例の平形の外装部材についての使用態様を示す概略の側面断面図である。
【図4】図1乃至図3の実施例と異なる一実施例の平板状の外装部材についての概略の正面断面図である。
【図5】図4の実施例の平板状の外装部材についてその使用態様を示す概略の側面断面図である。
【図6】図1乃至図5の実施例と異なる一実施例の平板状の外装部材についての概略の側面断面図である。
【図7】図6の実施例の平板状の外装部材についてその使用態様を一部を切り欠いて示す概略の側面断面図である。
【図8】図1乃至図7の実施例と異なる一実施例の中空筒形の外装部材についての概略の側面断面図である。
【図9】図1乃至図8の実施例と異なる一実施例の実施例の中空筒形の外装部材についてその使用態様を一部を切り欠いて示す概略の側面断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 セラミック外装部材
2 支持部材
3 接合板部
4 接合板部3の内側側面
5 垂直板部
6 取付け板部
7 セラミック外装部材1の端部
8 セラミック外装部材1の端部7の下部開口部
9 ネジ挿通孔
10 取付け板部6のネジ挿通孔
11 インサート部材
12 セラミック外装部材1の取付用ネジ孔
13 止めネジ部材
14 セラミック成形部材
15 セラミック成形部材13の内面
16 エポキシ樹脂層
17 繊維強化プラスチック層
18 繊維強化プラスチック層17の長手方向端部
19 繊維強化プラスチック層17の肉厚部
20 ブチルゴム層
21 繊維強化プラスチック層17の肉厚部20の下面
22 下部ブチルゴム層
23 インサート部材に形成された止めネジ用の挿通孔
24、25及び26 脚部
27 芯材
28 芯材27の左ネジ部分
29 引き締めネジ部材
30 止めネジ部材
31 止めネジ部材30の右ネジ部分
32 引き締めネジ部材29の左ネジの雌ネジ部
33 引き締めネジ部材29の右ネジの雌ネジ部
34 セラミック外装部材1の開口端部
35 インナーブロック
36 インナーブロック34の下部のネジ孔
37 カバープレート
38 インナーブロック34に形成されたネジ孔
39 カバープレートのネジ孔
40 カバープレート37の下方に形成されている開口部
41 中空筒形のセラミック成形部材14のコの字形中空部
42 中空筒形のセラミック成形部材14の底壁部の端部
43 中空筒形のセラミック成形部材14の端部
44 カバープレート37の止めネジ部材
45 セラミック成形部材14のネジ挿通孔
46 エポキシ樹脂層16のネジ挿通孔
47 繊維強化プラスチック層17のネジ挿通孔
48 取付けネジ
49 ナット
50 ブチルゴム層20のネジ挿通孔
51 下部ブチルゴム層22のネジ挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、端部の少なくとも一部に、構造部材の取付け部の止めネジ部材に係合可能の孔が形成されていることを特徴とするセラミック外装部材。
【請求項2】
セラミック成形部材は、その端部に、構造部材の取付け部の止めネジ部材に係合可能の孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミック外装部材。
【請求項3】
セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているゴム部材と、前記ゴム部材の裏面又は内面の全面に固定されている繊維強化プラスチック部材とを備えており、前記繊維強化プラスチック部材は、端部の少なくとも一部に、構造部材の取付け部の止めネジ部材に係合可能の孔が形成されていることを特徴とするセラミック外装部材。
【請求項4】
セラミック成形部材が中空筒形に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のセラミック外装部材。
【請求項5】
中空筒形セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているゴム部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分に挿通され、両端部にネジ部を有する芯部材と、前記ゴム部材を有するセラミック成形部材の両端部に設けられ、芯部材のネジ部に螺合可能のネジ孔及び構造部材の取付け部の止めネジ部材のネジ部に係合可能の孔が形成されている芯材固定ブロック部材とを備えていることを特徴とするセラミック外装部材。
【請求項6】
中空筒形セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているブチルゴム部材と、
前記ブチルゴム部材の裏面又は内面の全面に固定されている繊維強化プラスチック部材と、前記繊維強化プラスチック部材が固定されているセラミック成形部材の中空部分に挿通され、両端部にネジ部を有する芯部材とを備えており、繊維強化プラスチック部材は、両端部に、芯部材のネジ部に螺合可能のネジ孔及び構造部材の取付け部の止めネジ部材のネジ部に螺合可能のネジ孔が形成されている肉厚部を備えていることを特徴とするセラミック外装部材。
【請求項7】
中空筒形セラミック成形部材と、該セラミック成形部材の裏面又は内面の全面に接着固定されているブチルゴム部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分に、両端部にネジ部分を有して挿通されている芯部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分の一方の側の端部に設けられて、端部取付け部の止めネジ部材が螺合可能のネジ孔を有する第一のブロック部材と、前記ブチルゴム部材を有するセラミック成形部材の中空部分の他方の側の端部に設けられて、端部取付け部の止めネジ部材がネジ孔を有する第二のブロック部材と、セラミック成形部材の中空部内において、前記第一のブロック部材の内側端部から突き出たネジ部材のネジ部分に一方の端部において螺着し、他方の端部において前記芯材の一方の側のネジ部分に螺着する第一の引き締めネジ部材と、前記第二のインナーブロック部材の内側端部から突き出た止めネジ部材のネジ部分に一端部において螺着し、他端部において前記芯材の他方の側のネジ部分に螺着する第二の引き締めネジ部材とを備えていることを特徴とする中空筒形のセラミック外装部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−38456(P2008−38456A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213975(P2006−213975)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(500408212)アルコニックス株式会社 (2)
【出願人】(591261336)松下環境空調エンジニアリング株式会社 (29)
【出願人】(500408441)株式会社アルテック (1)
【Fターム(参考)】