説明

セラミューテイン・モジュレーター

【課題】本発明は、内因性タンパク質の変異体型の抑制剤または活性剤である薬剤、さらにそのような変異体を同定する新規な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、内因性タンパク質の変異形態の抑制剤または活性化剤である薬剤群、およびそのような変異体を同定する方法群に関する。特に関心の持たれているものは、突然変異を起こした遺伝子によりコード化される内因性タンパク質の変異体の抑制剤または活性化剤である。そのような変異体は、対応する突然変異を起こしていない内因性タンパク質の抑制剤または活性化剤として既知の化学剤に晒された後に多くの場合発生するかまたは少なくとも発生したとして最初に同定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミューテイン・モジュレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
患者における薬剤耐性の進行性の発生は、あらゆる種の薬剤を用いた慢性治療、特に癌や感染症の治療領域において、最も重要である。ある種の薬剤耐性現象を仲介して成立させる分子機序が明らかにされているが、その他の場合では獲得耐性も初回耐性も現在のところまだ解明されていない。
【0003】
癌治療の領域において関連があると当初考えられていた獲得薬剤耐性の一つの機序は、糖タンパク質(P-gp)として知られるあるタンパク質の増強発現に関連している。P-gp は、細胞膜に存在し、薬剤流出ポンプとして機能する。このタンパク質は、有毒な化学剤(多くの古典的抗がん剤を含む)を細胞から流出させる能力を持っている。その結果、糖タンパク質のアップレギュレーションは通常、複数の薬剤に対する耐性に帰着する。腫瘍細胞における糖タンパク質のアップレギュレーションは、有毒な化学剤による損傷を防ぐために哺乳動物の細胞において進化した防御機序を象徴するものである。P-gpに類似した機能を持つその他の関連薬剤耐性タンパク質が同定されており、それらにはMRP1 およびABCG2のような複数の薬剤に対する耐性に関連するタンパク質族が含まれる。いずれにしても、ある標的タンパク質に対し特異性を持ち有毒性の低い化合物が開発され、臨床的に重要な薬剤耐性における、糖タンパク質および関連ATP-結合カセット(ABC)トランスポータータンパク質群の重要性は、減少した。
【0004】
また別の獲得薬剤耐性の分子機序は、最初に投与した薬剤がその標的に対し依然として効果を示している場合であっても代替のシグナル経路が細胞の継続生存および代謝の原因であるとするものである。さらに、薬剤の細胞内代謝における改変は、治療効果の喪失にもつながる可能性がある。加えて、遺伝子発現における変化および遺伝子増幅事象が起こる可能性があり、その結果、所与の標的タンパク質の発現が減少あるいは上昇し、同じ効果を維持するために投与量を増やす必要が多くの場合に生じてくる(Adcock and Lane, 2003)。
【0005】
突然変異により誘発される薬剤耐性は、感染疾患領域で頻繁に起こる事象である。例えば、ヒト免疫不全症(HIV)ウィルスゲノムにおいてコード化されるウィルス性逆転写酵素あるいはウィルス性プロテアーゼのどちらかを抑制する薬剤が数種開発された。HIVに感染したAIDS患者を、例えば、ある逆転写酵素抑制剤を用いて繰り返し治療すると、最終的には、当該薬剤に対し感受性の低い当該ウィルスの突然変異型を増やすことになり、このウィルス突然変異型の発生は逆転写酵素をコード化する遺伝子において起こった突然変異に由来するものであり、この突然変異により当該酵素の突然変異型が薬剤の影響を受けにくいものになっているということが、文献において十分に確立されている。
【0006】
HIV治療中に薬剤耐性が現れることは、HIVゲノムに誤りが導入される率を考えれば、驚くに価しない。HIV逆転写酵素は、特に誤りが起こりやすい傾向があるとして知られており、その正突然変異率は、複製サイクル一回あたりの塩基ペアあたり約3.4x10-5回である(Mansky et al., J. Virol. 69:5087-94 (1995))。しかし、哺乳類の細胞にコード化されている内因性遺伝子の類似突然変異率は、累乗数で一つ分低い。
【0007】
新しい証拠により、薬剤耐性が薬剤標的をコード化する遺伝子に関連した突然変異事象からも起こり得るということが示されている(Gorre et al., Science, 2001; PCT/US02/18729)。この場合、患者を特異的治療用物質、例えば特異的対象タンパク質(POIあるいは「標的」タンパク質)を標的とする所与の抗がん剤に晒した後、当該治療用物質の標的であるタンパク質をコード化する遺伝子内で起こった突然変異を持った細胞群の成長が起こる。この細胞集団の成長が、薬剤耐性を持つPOI を発生させる突然変異を既に持った、低いパーセンテージで患者の体内に既に存在していた細胞に起因するのか、あるいはそのような突然変異が、動物あるいはヒトを前記POI を活性化あるいは抑制する能力のある治療用物質に晒している間にあるいは晒した後に、新たに起こるのかは、現在のところ不明である。いずれにしても、そのような突然変異事象は、前記治療用物質による影響を受ける度合いが低いかあるいはおそらく全く影響を受けない突然変異タンパク質(下記にtheramutein [セラミューテイン]として定義する)に帰着する。
【0008】
慢性骨髄性白血病(CML)は、当該疾患の安定期および慢性期に細胞分化の能力を保持する骨髄性始原細胞の過剰増殖を特徴とする。あらゆる証拠により、Abl チロシンキナーゼの不調整が、ある型のCML において、原因となる発癌遺伝子であることがわかっている。Abl チロシンキナーゼの不調整は一般的に、フィラデルフィア染色体(Ph)として知られる染色体の転座と関連しており、この転座の結果として、アベルソンチロシンキナーゼに融合したBCR遺伝子製品から成る融合タンパク質の発現が起こり、チロシンキナーゼ活性を有するp210Bcr-Ablを形成する。当該BCR遺伝子の異なるブレイクポイントから発生したp190Bcr-Ablと名づけられた関連融合タンパク質は、フィラデルフィア染色体が陽性(Ph+)の急性リンパ性白血病(ALL)患者に起こることが報告されている(Melo, 1994; Ravandi et al., 1999)*1。転換は、RAS、MYC、およびJUNに関連するシグナル経路を含む複数のシグナル経路の活性化に起因すると思われる。イマチニブメシレート(「STI-571」あるいは「グリベック」)は、Abl のキナーゼドメインのATP 結合部位を標的とする2-フェニルアミノピリミジンである(Druker et al, NEJM 2001, p. 1038)。次いで、その他の方法により、このイマチニブメシレートは、血小板由来成長因子(PDGF)β受容体およびキットチロシンキナーゼの抑制剤であることが発見され、後者は消化管間質腫瘍の発生に関連している(下記を参照されたい)。
【0009】
所与の内因性細胞タンパク質に対し特異性を有する抑制剤を用いた治療中に、その内因性細胞タンパク質に対応する内因性遺伝子における突然変異が、その細胞機能が抑制剤に対し耐性を有するタンパク質変異体の発現につながる可能性があるということは、最近まで観察されていなかった*2。Charles Sawyers およびその共同研究者等による研究(Gorre et al., Science 293:876-80 (2001); PCT/US02/18729)により、p210Bcr-Ablチロシンキナーゼ(すなわち、STI-571)を抑制する能力のある薬剤を用いて患者を治療すると、その後に、前記患者の体内に臨床的に重要な細胞群が発生し、この細胞群はアベルソンチロンキナーゼドメインを含むp210Bcr-Abl 発癌標的タンパク質をコード化する遺伝子における突然変異を持つということが初めて実証された。多様なそのような突然変異は、グリベックを用いた治療に対し、元来の発癌バージョンに比べてより反応しにくいp210Bcr-Abl の突然変異型を発生させた。特に、発生した突然変異は、突然変異タンパク質キナーゼの元来の基質の特異性をある程度維持しながら、突然変異タンパク質に、タンパク質キナーゼ抑制薬剤の効果に対する比較的な耐性をもたらした。Gorre 等の研究が報告される前は、一般的に当業者の間では、STI-571のようなアベルソンタンパク質キナーゼを抑制する化合物に晒された患者の体内で観察される種の耐性は、先に記したその他の薬剤耐性機序のひとつあるいはそれ以上に起因するか、あるいはその他の未知の機序によって起こるのであろうが、いずれにしても、前記の耐性は、薬剤の標的POIとは全く異なった標的(タンパク質あるいはその他)に関するであろうと考えられていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Senechal, K.ら、The Journal of Biological Chemistry, Volume 271 (September 20, 1996), pp.23255-23261
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、別の方法で既存の治療法の標的である臨床的に関連性のある耐性を有するタンパク質突然変異型を治療する能力は、非常に有用である。そのような突然変異タンパク質(下記にtheramutein [セラミューテイン]として定義する)が、再発性の癌において重要な標的として認識且つ理解されつつあり、さらにその他の疾患においても重要となるであろう。通常効果的な薬剤治療法の前、治療中、さらに治療後に発生するかもしれない、そのような薬剤耐性を有する細胞タンパク質の変異体型に対すし活性を有する治療剤のニーズがある。本発明の主たる目的は、内因的に発生するタンパク質において突然変異により誘発された薬剤耐性を克服する上で有用である、可能性のある治療剤として役に立つ化合物群を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔発明の簡単な要約〕
本発明は、内因性タンパク質の変異体型の抑制剤または活性剤である薬剤、さらにそのような変異体を同定する新規な方法に関する。特に関心が持たれているのは、突然変異を起こした遺伝子によりコード化される内因性タンパク質の変異体の抑制剤または活性剤であり、ここで、変異体は多くの場合、当該の突然変異を起こしていない内因性タンパク質の抑制剤または活性剤として既知である化学剤に晒した後に、変異体は多くの場合発生するかあるいは少なくとも発生したとして最初に同定される。そのようなタンパク質変異体(突然変異を起こしたタンパク質)を、本明細書では「theramutein [セラミューテイン]」と呼ぶ。セラミューテインは生物において自然発生的に起こる場合もあり(ある場合においては既存の突然変異であることもある)、また前記突然変異体は、前記セラミューテインの突然変異を起こしていない型(本明細書では「プロトセラミューテイン」と呼ぶ)を抑制する能力のある所与の化学剤により生物が治療を受けた場合に、選択的圧力の結果として起こる場合もある。ある場合においては、プロトセラミューテインは、POI(例えば、不調整のため、ある疾患を発生させるタンパク質)の「野生型」形態であってよいということが理解されよう。その他の場合においては、プロトセラミューテインは、既に突然変異を起こしていて、それにより前記の先に起こった突然変異の結果として、当該疾患を発生させる「野生型」タンパク質の疾患誘発変異体である。後者のプロトセラミューテインの一例は、P210BCR-ABL発癌タンパク質であり、スレオニン(T)からイソロイシン(I)への突然変異を部位315において起こしたタンパク質の突然変異型はP210BCR-ABL-T315I と呼ばれており、セラミューテインの一例である。本明細書で使用されているように、「P210 BCR-ABL 」という名称は、「p210Bcr-Abl 」、「野生型Bcr-Abl タンパク質」などの語と同義である。
【0013】
セラミューテインは、突然変異を持つ内因性たんぱく質の珍種であり、そのような突然変異により前記タンパク質が、その突然変異を起こしていない相対物を治療上効果的に抑制または活性化するとして知られている薬剤に対する耐性を有するようになる。そのようなタンパク質をいくつかコード化する内因性遺伝子が、現在、ある環境下においてそのような突然変異を呈することが知られている。本発明は、ある種の薬剤耐性を有するアベルソンチロシンキナーゼタンパク質の突然変異体(セラミューテイン)を抑制する成分に関する。このアベルソンチロシンキナーゼタンパク質の突然変異体は、本書で最初にP210-Bcr-Ablと呼んでおり、慢性骨髄性白血病の発生に関与するものである。本発明はまた、全てのセラミューテインを抑制または活性化する化合物を同定する汎用方法群に関する。
【0014】
本方法は、特にセラミューテインの特異的抑制剤あるいは特異的活性剤を同定することに関する。「抑制剤」あるいは「活性剤」(下記の定義を参照されたい)という語が使われている文脈における「特異的」という語は、前記の抑制剤あるいは活性剤がセラミューテインと結合し、セラミューテインの細胞機能を抑制あるいは活性化する(この時、当該細胞内の多様なその他のタンパク質あるいは非タンパク質標的と結合、またそのようなタンパク質あるいは非タンパク質標的を活性化または抑制しない)ということを意味する。熟練研究者は、あるタンパク質の抑制剤または活性剤の作用を検討する場合に、「特異的抑制剤」あるいは「特異的活性剤」という概念および標的タンパク質の「特異性」という関連概念に関しては、医学文献においてある程度の変動があるということをよく承知している。従って、本発明の目的のためには、ある物質が所与の濃度において所与のセラミューテインを、抑制あるいは活性化する能力がある場合に、前記物質は、前記セラミューテインの「特異的抑制剤」あるいは「特異的活性剤」である。この時、対応するフェノレスポンス[phenoresponse]が、当該セラミューテインあるいはその対応するプロトセラミューテインのどちらも本質的には発現しない対応する対照細胞のフェノレスポンス[phenoresponse]に対し同じ濃度で認知可能な効果を有することなく、適切に調節されるようにする。
【0015】
ある種の実施例においては、ある物質がプロトセラミューテインおよびセラミューテインのモジュレーターである。その他の実施例においては、ある物質がプロトセラミューテインおよびセラミューテインのモジュレーターであることに加えて、その物質が、類似した機能を持つタンパク質の活性をも調節する。先に述べたように、p210Bcr Ablチロシンキナーゼを抑制することに加えて、イマチニブメシレートは、ある種の消化管間質腫瘍において過剰発現されるc-キット発癌遺伝子製品(さらにチロシンキナーゼ)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)において発現されるPDGF β受容体を抑制する能力もある。そのような化合物は、時に「適度に特異的な」抑制剤と呼ばれている。
【0016】
本発明はまた、既知の薬剤物質がそのタンパク質の対応「野生型」を抑制する能力と比べて、その抑制能力が同等かあるいはそれより高いあるセラミューテインを活性化あるいは抑制する物質を同定するために使用できる汎用方法をも提供する(しかしながら、当業者は、先に述べたそのようなタンパク質の「野生型」は、前記タンパク質が関与している当該疾患を発生させる過程において既に突然変異を起こしているかもしれないということをよく承知している)。
【0017】
好ましい実施例において、本発明は、構造式Iを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化1】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R2 は、-CR21a-、-NR22b-、および-(C=R23)-から選択されており;
R21 は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(C1-3 アルキル)、-N(C1-3 アルキル)2、-O-(C1-3 アルキル)、OH および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R23 は、O、S、N-R0、およびN-OR0から選択されており;
R3 は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、 -NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R2 が-NR22b- であり R4 が -NR42f-であればR3 は -NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
c is 1 or 2; cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1である。
【0018】
本発明は、癌およびその他の疾患を治療する根本的に新しい方法を提供している。本方法では、あらゆる機序を使い既存の薬剤化合物を用いて行った治療の後に、セラミューテインが発生し、そのセラミューテインがセラミューテインとして同定される場合に(Wakai et al., 2004は、進行中の治療計画中にセラミューテインが発生する例を報告している)、あるいは臨床的に重要なセラミューテイン発現細胞群の成長の前に先制的に、投与できる別の薬剤を提供することにより、同定可能な(臨床的に重要な)セラミューテインが媒介する薬剤耐性が起こる。さらに、ある薬剤が標的とするタンパク質のある種のセラミューテインを発現する個体のサブセットにおいて、ある疾患に対する当該薬剤治療の効果が薄い場合に、本発明では、前記セラミューテインに対し効果を及ぼすであろう別の薬剤を提供することにより、治療をそのような被験体のために特別に合わせることが可能である。
1.本発明は、対応するプロトセラミューテインのモジュレーターとしてのある既知の物質の効果レベルに比較して、ある化学剤が細胞内のセラミューテインのモジュレーターとして少なくとも同等に効果的であるか否かを判断する方法を提供している。本方法の一実施例は、プロトセラミューテインを発現し反応性の表現型の特徴を呈する能力がある対照細胞(当該細胞内のプロトセラミューテインの機能に連結している)を当該プロトセラミューテインの既知のモジュレーターに接触させること、セラミューテインを発現し反応性の表現型の特徴を呈する能力がある被験細胞(当該細胞内のセラミューテインの機能に連結している)を当該の化学剤に接触させること、さらに処理を施した被験細胞の反応を、処理を施した対照細胞の反応と比較し、当該プロトセラミューテインのモジュレーターとしての既知の物質の効果レベルに比較して、当該化学剤が当該セラミューテインのモジュレーターとして少なくとも同等に効果的であるということを判断することから成る。他のある実施例では、一種類の対照細胞は、プロトセラミューテインを全く発現しない。他の実施例では、被験細胞がセラミューテインを発現する量と約同量で、対照細胞がプロトセラミューテインを発現する。さらに別の実施例では、被験細胞がある条件下で反応性の表現型の特徴を呈示する能力とほぼ同じ程度に、対照細胞が反応性の表現型の特徴を呈示する能力を有する。
2.本発明のセラミューテインで特に関心も持たれているセラミューテイン群は、制御機能に関連したセラミューテイン群であり、その例には、酵素、タンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、受容体チロシンキナーゼ、セリンスレオニンタンパク質キナーゼ、二重特異性タンパク質キナーゼ、プロテアーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ、 ホスファターゼ、細胞サイクル制御タンパク質、IRSファミリーの構成員のようなドッキングタンパク質、細胞表面受容体、G-タンパク質、イオン・チャンネル、DNA- および RNA-結合タンパク質、ポリメラーゼなどがある。本発明で使用できるセラミューテインの種類に制限を設ける意図はない。現段階では、BCR-ABL、c-キット、およびEGFR の3つのセラミューテインが既知である。
3.細胞内のセラミューテイン(あるいはプロトセラミューテイン)の存在に連結することができるいかなる反応性の表現型の特徴も、本方法で利用することができ、その例には、例えば、成長または培養特性、セラミューテインの基質のリン酸化状態(あるいはその他の改変)、および細胞の移行的特徴の全種類が挙げられ、それらは詳細に定義されまた検討される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、非変換ベクター制御Ba/F3 細胞(IL-3 依存性)、および「野生型」p210Bcr-Abl (p210Bcr-Abl-wtと名づけられている)を発現するBa/F3 細胞、さらにp210Bcr-Abl-T315I 薬剤耐性突然変異体を発現するBa/F3 細胞について、化合物2(C2)の濃度が異なる場合に、成長および生存度に与える影響を表している。明細書に詳細に記載されているように、細胞数および生存度は、自動細胞カウンターで測定した。細胞数は無地の棒で表されており、細胞の生存度は途中がぶつ切れになった棒で表されている。STI-571は、強力にP210細胞ラインの成長(灰色の棒)を抑制するが、STI-571は、T315I 細胞ラインの成長(白色の棒)を10μM の濃度であっても抑制することができないということに注意されたい。500 nM C2は、この投与量―反応の系列内の最大の特異性の差を示している。T315I細胞ライン(白色の棒)につき、濃度10μM におけるSTI-571と、濃度500nM におけるC2を比較せよ。略語: DMSO: ジメチルスルホキシド(薬剤を溶解するために用いた溶媒)。
【図2】図2は、非変換ベクター制御Ba/F3 細胞(IL-3 依存性)、およびp210Bcr-Abl-T315I 薬剤耐性突然変異体を発現するBa/F3 細胞について、化合物6(C6)の濃度が異なる場合に、成長および生存度に与える影響を表している。その他の詳細は、図1に従う。
【図3】図3は、スクリーニングで同定された多様な化合物を、プロトセラミューテインを発現する細胞ラインおよびセラミューテインを発現する細胞ラインに及ぼすそれらの化合物の効果について比較することにより、特異性の差の多様な定量を表している。化合物3は、対応プロトセラミューテインに対するよりも、セラミューテインに対しはるかに高い効果を及ぼす化合物を同定するための方法の能力の最良の例を表している(パネルE)。パネルA :対照 DMSO 処置;B:負の異種間の特異性の差;C:軽度に正の異種間の特異性の差;D:重度に正の同種間の特異性の差;E:正の異種間の特異性の差。説明については、本文を参照されたい。
【図4】図4は、自己燐酸化活性につき定量した組換P210 Bcr-Abl野生型およびT315I突然変異体キナーゼドメインの放射線写真である。200ngのタンパク質を被験物質群と共に、標準自己燐酸化反応条件下で、約10分間予備インキュベートし、その後、放射線で標識をつけたATPを加え、反応を30OCで約30分間行い、その後、検体をSDS-PAGEにより分離した。ゲルは、銀染色し、真空下で乾燥し、さらにレントゲンフィルムに露光した。濃度が10μMの STI 571は、野生型P210 Bcr-Abl に対しては効果を有したが、T315I キナーゼドメインに対しては最大濃度100μMにおいても事実上効果がなかった。C2 およびC6が同定された中で最良の化合物であり、その後に、C5、C7 およびC4が続いて同定された。全ての化合物のテスト結果が、ある程度まで陽性であった。「 P210 細胞ライン」は、p210 BCR-ABL-wt を発現する細胞群を意味する。「 T315I 細胞ライン」は、p210 BCR-ABL-T315I を発現する細胞群を意味する。
【図5】図5は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図6】図6は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図7】図7は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図8】図8は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図9】図9は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図10】図10は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図11】図11は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図12】図12は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【図13】図13は、本発明の代表的な化合物群の化学構造を示している。
【0020】
〔発明の詳細な説明〕
【0021】
「ハロ」または「ハロゲン」という語は、本明細書で使用されているように、フッ素、塩素、臭素および沃素を含む。
【0022】
「アルキル」という語は、本明細書で使用されているように、1個から6個の炭素原子を有する、置換または非置換の、直鎖または枝分れ鎖のアルキル基を意味する。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどが含まれる。さらに、アルキル基は、任意に、ハロ、CN、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、NO2、およびORから選択された1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されてもよい。
【0023】
「シクロアルキル」という語は、本明細書で使用されているように、置換または非置換の、環状アルキル基を意味する。好ましいシクロアルキル基は、3個から7個の炭素原子を持つ単環シクロアルキル基であり、その例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。その他のシクロアルキル基は、C7 からC10 の二環式系列から、あるいはC9 からC14 の三環式系列から選択されてよい。さらに、シクロアルキル基は、任意に、ハロ、CN、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、NO2、およびORから選択された1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されてもよい。
【0024】
「アルケニル」という語は、本明細書で使用されているように、置換または非置換の、直鎖または枝分れ鎖のアルケン基を意味する。好ましいアルケニル基は、2個から6個の炭素原子を有するアルケニル基である。さらに、アルケニル基は、任意に、ハロ、CN、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、NO2、およびORから選択された1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されてもよい。
【0025】
「アルキニル」という語は、本明細書で使用されているように、置換または非置換の、直鎖または枝分れ鎖のアルキン基を意味する。好ましいアルキニル基は、2個から6個の炭素原子を有するアルキニル基である。さらに、アルキニル基は、任意に、ハロ、CN、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、NO2、およびORから選択された1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されてもよい。
【0026】
「アラルキル」という語は、本明細書で使用されているように、置換基として芳香族の基を有するアルキル基を意味し、この芳香族の基は置換されていても置換されていなくてもよい。アラルキル基は、任意に、ハロ、 CN、CF3、NR2、 環状アミノ、NO2、OR、CF3、-(CH2)xC(O)(CH2)yR、-(CH2)xC(O)N(R')(R")、-(CH2)xC(O)O(CH2)yR、-(CH2)xN(R')(R")、-N(R)SO2R、-O(CH2)xC(O)N(R')(R")、-SO2N(R')(R")、-(CH2)xN(R)-(CH2)y-R、-(CH2)xN(R)-C(O)-(CH2)y-R、-(CH2)xN(R)-C(O)-O-(CH2)y-R、-(CH2)x-C(O)-N(R)-(CH2)y-R、-(CH2)xC(O)N(R)-(CH2)y-R, -O-(CH2)x-C(O)-N(R)-(CH2)y-R、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリル、および置換または非置換複素環から選択される1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されていてもよく、ここで、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アラルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリル、および置換複素環は、ハロ、CN、CF3、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、 NO2、およびOR の1個あるいはそれ以上と置換されていてもよい。
【0027】
「複素環基」あるいは「複素環」という語は、本明細書で使用されているように、少なくとも1個のヘテロ原子を環員として有する芳香族または非芳香族の環状基を意味する。好ましい複素環基は、5個から6個の環原子を有する複素環基であり、これらの環原子は、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、さらにモル フ ォ リ ノ、ピペリジノ、ピロリジノなどの環状アミン、およびテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテルを含む。芳香族の複素環基(「ヘテロアリル」基とも呼ばれている)は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどの、1個から3個のヘテロ原子を含む単環へテロ芳香族基を意味する。ヘテロアリルという語はまた、2個あるいはそれ以上の環を有する多環ヘテロ芳香族系列を含み、この多環ヘテロ芳香族系列では、2個の原子が2個の隣接する環(これらの環は融合されている)に共通であり、ここでは少なくとも1個の環がヘテロアリルであり、例えば他方の環は、シクロアクキル、シクロアルケニル、アリル、複環および/またはヘテロアリルであってよい。多環ヘテロ芳香族系列の例には、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、キノサリン[quinoxaline]、キナソリン[quinaxoline]、ベンジイミダゾール、ベンゾフラン、プリン、イミダゾピリジン、ベンゾトリアゾールなどが含まれる。複素環基は、任意に、ハロ、 CN、CF3、NR2、 環状アミノ、NO2、OR、CF3、-(CH2)xC(O)(CH2)yR、-(CH2)xC(O)N(R')(R")、-(CH2)xC(O)O(CH2)yR、-(CH2)xN(R')(R")、-N(R)SO2R、-O(CH2)xC(O)N(R')(R")、-SO2N(R')(R")、-(CH2)xN(R)-(CH2)y-R、-(CH2)xN(R)-C(O)-(CH2)y-R、-(CH2)xN(R)-C(O)-O-(CH2)y-R、-(CH2)x-C(O)-N(R)-(CH2)y-R、-(CH2)xC(O)N(R)-(CH2)y-R, -O-(CH2)x-C(O)-N(R)-(CH2)y-R、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリル、および置換または非置換複素環から選択される1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されていてもよく、ここで、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アラルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリル、および置換複素環は、ハロ、CN、CF3、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、 NO2、およびOR の1個あるいはそれ以上と置換されていてもよい。
【0028】
「アリル」あるいは「芳香族基」という語は、本明細書で使用されているように、単環芳香族基(例えば、フェニル、ピリジル、ピラゾールなど)および多環式の環系列(ナフチル、キノリンなど)を意味する。この多環ヘテロ芳香族系列は、2個あるいはそれ以上の環を有し、これらの環では、2個の原子が2個の隣接する環(これらの環は融合されている)に共通であり、ここでは少なくとも1個の環が芳香族であり、例えば他方の環は、シクロアクキル、シクロアルケニル、アリル、複環および/またはヘテロアリルであってよい。アリル基は、任意に、ハロ、 CN、CF3、NR2、 環状アミノ、NO2、OR、CF3、-(CH2)xC(O)(CH2)yR、-(CH2)xC(O)N(R')(R")、-(CH2)xC(O)O(CH2)yR、-(CH2)xN(R')(R")、-N(R)SO2R、-O(CH2)xC(O)N(R')(R")、-SO2N(R')(R")、-(CH2)xN(R)-(CH2)y-R、-(CH2)xN(R)-C(O)-(CH2)y-R、-(CH2)xN(R)-C(O)-O-(CH2)y-R、-(CH2)x-C(O)-N(R)-(CH2)y-R、-(CH2)xC(O)N(R)-(CH2)y-R, -O-(CH2)x-C(O)-N(R)-(CH2)y-R、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリル、および置換または非置換複素環から選択される1個あるいはそれ以上の置換基群と置換されていてもよく、ここで、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アラルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリル、および置換複素環は、ハロ、CN、CF3、CO2R、C(O)R、C(O)NR2、NR2、環状アミノ、 NO2、およびOR の1個あるいはそれ以上と置換されていてもよい。
【0029】
「ヘテロ原子」という語は、特に環のヘテロ原子としては、N、O、およびS を意味する。
【0030】
R は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリル、および置換または非置換複素環からそれぞれ独立して選択されており、ここで、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アラルキル、置換アリル、および置換複素環は、ハロ、CN、 CF3、OH、CO2H、NO2、C1-6alkyl、-O-(C1-6アルキル)、-NH2、-NH(C1-6アルキル) および -N(C1-6アルキル)2の1個あるいはそれ以上と置換されていてもよい。R' およびR"は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アラルキル、置換または非置換アリル、および置換または非置換複素環からそれぞれ独立して選択されており、ここで、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アラルキル、置換アリル、および置換複素環は、ハロ、CN、 CF3、OH、CO2H、NO2、C1-6alkyl、-O-(C1-6アルキル)、-NH2、-NH(C1-6アルキル) および -N(C1-6アルキル)2の1個あるいはそれ以上と置換されていてもよい;あるいは、R' およびR"は、あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、最大でさらにもう3個のヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成する*3。 それぞれのxおよびそれぞれのyは、独立して0から4から選択される。
【0031】
好ましい実施例において、本発明は、構造式Iを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化2】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N、N-R0 あるいは C-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R2 は、-CR21a-、-NR22b-、および-(C=R23)-から選択されており;
R21 は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(C1-3 アルキル)、-N(C1-3 アルキル)2、-O-(C1-3 アルキル)、OH および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R23 は、O、S、N-R0、およびN-OR0から選択されており;
R3 は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、 -NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R2 が-NR22b- であり R4 が -NR42f-であればR3 は -NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1である。
【0032】
本明細書で説明している本発明の重要な構成要素および概念教示は、本発明の化合物群のR2 部位およびR3部位のどちらも、いかなる芳香族あるいは非芳香族の環構成の環員ではないということである。我々は、芳香族あるいは非芳香族の環構成の環員としてR2 部位および/またはR3部位を有する化合物は、T315Iセラミューテインを効果的に抑制しないが、その他の好ましい化学基を有しさらにこれらの部位においてそのような環員を持たない本発明の化合物は、T315Iセラミューテインの抑制剤として期待できるということを見出した。
【0033】
本発明の好ましい実施例では、A環は芳香族の環である。
【0034】
本発明の好ましい実施例では、X1 あるいは X2がNである。また別の好ましい実施例では、X1 と X2の双方がNである。本発明の特に好ましい実施例では、A環はピリジン環あるいはピリミジン環である。なお一層さらに好ましい実施例では、A環は下記の構造群から選択される。
【化3】

【0035】
好ましい実施例では、R2 あるいは R4がそれぞれ-NR22b- または -NR42-であると選択されている場合は、R31 はハロ、 -NH2、 -N(H)(R0)、 -N(R0)2、 -O-R0、 あるいは OH から選択されない。
【0036】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式Iaを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化4】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいは C-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R3 は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、-NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R4 が -NR42f-であればR3 は -NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1である。
【0037】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式Ibを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化5】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R4 は、-CR41e-、-(C=R43)-、および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1である。
【0038】
本発明の好ましい実施例では、構造式IのR2、R3 およびR4は、以下の化学基を形成するように選択される:
-N(R22)-N=C(R41)-
-N(R22)-N(R32)-C(=O)-
-N(R22)-N(R32)-C(R41)(R41)-
-N(R22)-C(R31)(R31)-C(R41)(R41)-
-N(R22)-C(R31)(R31)-C(=O)-
-N=N-C(R41)(R41)-
-C(R21)=C=C(R41)-
-C(R21)=C(R31)-C(=O)-
-C(R21)=C(R31)-C(R41)(R41)-
-C(R21)(R21)-C(R31)=C(R41)-
-C(R21)(R21)-C(R31)(R31)-C(=O)-
-C(R21)(R21)-C(R31)(R31)-C(R41)(R41)-
-C(R21)(R21)-N(R32)-C(=O)-
-C(R21)(R21)-N(R32)-C(R41)(R41)-
-N(R22)-C(=O)-C(R41)(R41)-
-N(R22)-C(=O)-N(R41)-
-N(R22)-C(=O)-O-
-C(R21)(R21)-C(=O)-C(R41)(R41)-
-C(R21)(R21)-C(=O)-N(R42)-
-N(R22)-C(=NR34)-N(R42)-
-C(=O)-N(R32)-N(R42)。
R2、R3 およびR4の特に好ましい化学基には、以下の化学基が含まれる:
-N(R22)-N=C(R41)-
-N(R22)-N(R32)-C(=O)-
-N(R22)-C(R31)(R31)-C(R41)(R41)-
-N(R22)-C(R31)(R31)-C(=O)-
-C(R21)(R21)-C(=O)-C(R41)(R41)-
-C(R21)(R21)-C(=O)-N(R42)-
-N(R22)-C(=NR34)-N(R42)-
-C(=O)-N(R32)-N(R42)。
【0039】
さらに好ましい実施例では、R6 あるいは R7 はアリル基であり、このアリル基は任意に置換されていてよい。特に好ましいアリル基には、置換および非置換のフェニルおよびピリジルが含まれる。付加的な実施例あるいは代替の実施例においては、置換基R21 およびR22が、立体容積が小さく好ましくはH および CH3から選択された群、またより好ましくはHである群から、独立して選択されている。
【0040】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式IIを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化6】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており*4
R9 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0041】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式IIaを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化7】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており*5
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0042】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式IIbを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化8】

式中、
R14 は、H およびF から選択されており;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており*5
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R60 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR0、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;
R61 は、アリルおよび複素環から選択されており;
Q は、化学結合あるいは-O-、 -(CH2)i-、-(CH2)iC(O)(CH2)j-、 -(CH2)i-N(R62)-(CH2)j-、 -(CH2)iC(O)-N(R62)-(CH2)j-、-(CH2)iC(O)O(CH2)j-、 -(CH2)iN(R62)C(O)-(CH2)j-、 -(CH2)iOC(O)N(R62)-(CH2)j-、および -O-(CH2)i-C(O)N(R62)-(CH2)j-の化学式群を有する基から選択されており;
R62は、アリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
hは、0 から4 であり;
iは、0 から4 であり;さらに
jは、0 から4 である。
【0043】
構造式IIbの化合物群の好ましい実施例において、R60 は、ハロ、CF3、 およびOH から選択されている。
【0044】
構造式II、IIa あるいは IIb の典型的化合物群は、以下の構造を含む*5
【0045】
【化9A】

【化9B】

【化9C】

【化9D】

【化9E】

【化9F】

【0046】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式IIIを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化10】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R10 は、-Y'-R18から選択されており;
Y' は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R18は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0047】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式IIIaを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化11】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0048】
構造式III あるいはIIIaの典型的化合物群は、以下の構造を含む*6
【化12】

【0049】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式IVを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化13】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R44は、H、アルキル、シクロアルキル、-(C=O)R0、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R45は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0050】
構造式IVの典型的化合物群は、以下の構造を含む:
【化14】

【0051】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式Vを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化15】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルから選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R56は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0052】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式Vaを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化16】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
X3 は、NあるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0053】
構造式VあるいはVaの典型的化合物群は、以下の構造を含む:
【化17】

【0054】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式VIを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化18】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R56は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0055】
さらに好ましい実施例において、本発明は、構造式VIaを有するP210BCR-ABL-T315Iセラミューテインの抑制剤を提供しており、
【化19】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
X3 は、NあるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、 アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し*3
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されている。
【0056】
構造式VIあるいはVIaの典型的化合物群は、以下の構造を含む:
【化20A】

【化20B】

【0057】
本明細書で使用されているように、それぞれの語句(例えば、アルキル、m、n、R、R' など)の定義は、いかなる構造においても一回以上起こる場合には、当該の同一の構造のほかの箇所におけるその定義から独立するものとして意図されている。
【0058】
I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IV、IVa、V、Va、VI、およびVIa の構造を有する化合物群の上記説明のそれぞれについて、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、複素環式基あるいは複素環という語句は、本項の冒頭に記載してあるこれらの語句の定義から、それぞれ独立して選択されている。
【0059】
本明細書に記載されている化学構造には、置換される原子および置換基(群)の許容原子価に従って置換が行われるという暗黙の条件が含まれていること、さらに置換により安定性のある化合物(転位、環化、消失などによる変態を自然に起こさない)が生成されるということを理解されたい。
【0060】
本発明の化合物に1個あるいはそれ以上のキラル中心が存在する場合は、個々の異性体およびその混合物(例えば、ラセミ化合物)が、本明細書に記載されている式により包含される。
【0061】
本発明の化合物に1個あるいはそれ以上の二重結合が存在する場合は、シス異性体およびトランス異性体が、本明細書に記載されている式により包含される。化学構成(例えば、II、IIa、V、Va、VI、およびVIa構造)はシス配列あるいはトランス配列で本明細書に記載されているが、双方の配列とも構造式の各々により包含されている*6
【0062】
ある実施例では、本発明の化合物群は、数種の互変形態で存在していてもよい。従って、本明細書に記載されている化学構造は、説明している化合物の全ての考えられる互変形態を包含している。
【0063】
本発明の化合物群は、市販の出発物質および既知の化学技術を用いて一般的に調製することができる。本発明の実施例は、以下のように合成してよい。医薬化学および合成化学に従事する熟練技術者であれば、以下に示す合成アプローチを行うする手順および技術を熟知しているであろう。
【0064】
R2 = NH、R3 = N、R4 = CH、およびR5 = -aryl である実施例は、ある適切なヒドラジン化合物(例えば、A)とある適切なアルデヒド化合物(例えば、B)とを、Gineinah, et al.による研究(Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 2002, 335, 556-562)の562頁に記載されている条件と類似した条件下で反応させることにより調製することができる。
【0065】
【化21】

【0066】
例えば、Aを1.1 当量のB と共にC1 からC6のアルコールなどのプロトン性溶媒中で24時間加熱し、その後冷却し沈殿物を回収すると、C が得られる。あるいはまた、溶媒を蒸発させ、シリカゲル、アルミナ、あるいはC4 からC18の逆相培地を用いたクロマトグラフィーで浄化することにより、産物C を分離してもよい。R5として定義することができるその他の基に「アリル」を置換する場合、類似した方法を利用することができる。
【0067】
R2 = NH、R3 = NR32、R4 = C(O)、およびR5 = 複素環である実施例は、ある適切なヒドラジン化合物(例えば、D)とある活性化したカルボン酸(例えば、E;ここで、LG は、ハロ、1-ベンゾトリアゾール、ペンタフルオロフェノキシ、p-ニトロフェノキシなどの脱離基である;化合物Eは、対称カルボン酸無水物であってもよい)とを、反応させることにより調製することができる。この場合、Nair およびMehtaの研究(Indian J. Chem. 1967 5, 403-408)の408頁に記載されている条件と類似した条件を利用することができる。
【0068】
【化22】

【0069】
例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、あるいは N,N-ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中で、任意にピリジンあるいは別の第三級アミンのような塩基の存在下で、または4-N,N-ジメチルアミノピリジンのような触媒の存在下で、0o Cから溶媒の沸点の範囲の適温にて、複素環式-C(O)-OC6F5のような活性エステルによりDを処理することにより、Fが得られる。溶媒を蒸発させ、その後、シリカゲル、アルミナ、あるいはC4 からC18の逆相培地を用いたクロマトグラフィーで浄化することにより、得られたFを分離する。上記の活性エステルE は、当該のカルボン酸およびペンタフルオロフェノルから出発し、縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカルボジイミドを用いて、容易に調製できるであろう。R5として定義することができるその他の基に「複素環式」を置換する場合、類似した方法を利用することができる。
【0070】
A およびDのような前駆体は、例えばヒドラジン誘導体のような適切な求核性試薬を、窒素原子に隣接した部位にハロ置換基を有するヘテロ芳香族の化合物に反応させることにより、調製することができる。例えば、Wu, et al. (J. Heterocyclic Chem. 1990, 27, 1559-1563)、Breshears, et al. (J. Am. Chem. Soc. 1959, 81, 3789-3792)、あるいはGineinah, et al. (Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 2002, 335, 556-562)に記載されている方法と類似した方法を用いて、化合物A およびDの例を、例えば2,4-ジハロピリミジン誘導体から出発することにより、調製することができ、そのような化合物の多くは市販されているかあるいは当業者により容易に調製することができる。このように、任意で付加した塩基の存在下で、ある適切な2,4-ジハロピリミジン誘導体Gを、アミンあるいはその他の求核性試薬(Z)で処理すると、ピリミジン環上の4-ハロ置換基が選択的に置換される。 次に得られた産物を、C1 からC6 アルコールなどの溶媒中で、任意に加えた塩基の存在下で、ヒドラジンあるいは ヒドラジン誘導体 などの第二の求核性試薬で処理すると、ピリミジン環上の2-ハロ置換基が置換され、上記の構造A および構造Dを有する例である化合物群が得られる。
【0071】
【化23】

【0072】
R2 が-NR22 であり R3 が -C(=R33)である実施例は、下記の方法群あるいはそれらの簡単な改変により、合成することができる。この合成は、なくてはならない環窒素に隣接した脱離基(LG)を有する適切なA 環誘導体J から出発して、行うことができる。上記の構造G 、および上記に示したような構造Gを求核性試薬Z に反応させて得られた産物は、そのような適切なA 環誘導体Jの例である。適切な脱離基は、ハロ、アルキルチオ、アルキルスルフォニル、アルキルスルホン酸あるいはアリルスルホン酸である。J をアミンR12NH2 で処理すると、脱離基が置換され、その結果として中間体K がもたらされる。R12 がH であり脱離基がCH3SO2-であるこの化学的変態の一例が、Capps, et al. J. Agric. Food Chem. 1993, 41, 2411-2415により報告されており、R12 がH であり脱離基がCl であるこの化学的変態の一例が、Marshall, et al. J. Chem. Soc. 1951, 1004-1015により報告されている。
【0073】
【化24】

【0074】
構造K を有する中間体群は、の要素R3、R4、およびR5の要素を同時にまたは順に導入することにより、本発明の化合物群に変換される。例えば、構造K を有する中間体群を個々のイソシアネートR6-N=C=O で処理することにより、単一ステップで、本発明の構造Mを有する化合物が得られる。この化合物は、本発明の化合物で、R2 = -NR22-、R3 = -C=O- 、R4 = -NH-、およびR5 = -化学結合-R6である。構造K を有する化合物を構造Mを有する化合物に変換するまた別の方法群は、当業者に既知であり、これらの方法においては、R3 を脱離基(例えば、p-ニトリフェノキシあるいはクロロ)と共にまず導入し、次に当該の脱離基を例えばアミン R6-NH2により置換し、R5 and R6を導入する。
【0075】
【化25】

【0076】
あるいはまた、構造K を有する中間体群を、一般的に加熱条件下で、任意に酸の存在下で、酢酸エチルあるいはジオキサンなどの溶媒中で、シアンアミド(NH2-CN)などの試薬で処理することにより、中間体群N が得られる。シアンアミドの代替として、ニトリグアニジンあるいはアミジノスルフォニックアシッド[amidinosulfonic acid] (NH2-C(=NH)-SO3H)を利用してもよい。シアンアミドを用いたそのような変態が、Latham et al., J. Org. Chem. 1950, 15, 884に報告されている。ニトリグアニジンを用いた例が、Davis, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1925, 11, 72に報告されている。アミジノスルフォニックアシッド[amidinosulfonic acid]の使用が、Shearer, et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 1997, 7, 1763に報告されている。
【0077】
【化26】

【0078】
中間体群A あるいはD を、C あるいはFで表されている具現化例に変換する類似方法においては、中間体群K を、P あるいはQで表されている化合物群にそれぞれ変換し、それらの化合物をさらに本発明の具現化例に変換する。
【0079】
【化27】

【0080】
A あるいは K を、ケトンS (上記のスキーム群のアルデヒドB の代わりとしてRは、上記のごとく定義されている)で処理し、構造T あるいはUを有する化合物群がそれぞれ得られる。これらの化合物は、本発明のさらなる具現化例群である。
【0081】
【化28】

【0082】
Uの非グアニジノ炭素−窒素二重結合は、金属(ホウ素、アルミニウム、シリコンなど) 水素化物試薬類などの適切な還元剤(好ましくは、塩基性の性質を有する還元剤)により、選択的に還元することができ、本発明の化合物群Vが得られる。
【0083】
【化29】

【0084】
R2 = CO、R3 = -NR32-、R4 = N-、およびR5 = ZR7の特徴を有する(ここで、Zは炭化水素鎖でありR7 は上記に定義した通りである)本発明の実施例は、以下のように調整することができる。R32 = H の場合、A環由来のカルボン酸W は、対応する酸塩化物、または活性エステル、あるいは類似した誘導体に変換することにより活性化される(このような物質の多くが当業界において既知である)。活性化したカルボン酸をヒドラジンで処理することにより、対応するヒドラジンY が得られる。Y をアルデヒドあるいはケトンで処理することにより(加熱および/または必要であれば弱酸性触媒の条件下で)、望みの最終産物Zが得られる。
【0085】
【化30】

【0086】
A環由来のカルボン酸W が市販されていない場合は、任意に加熱あるいは遷移金属触媒を用いて、上記の出発物質Jをシアン化物イオンで処理し脱離基をシアノ残基と置換することにより、調製することができる。シアノ基に塩基性あるいは酸性加水分解を施すことにより、望みのカルボン酸中間体Wが得られる。
【0087】
R32 がH でない場合は、上記スキームのヒドラジンに代わりに、一置換体のヒドラジンの保護型を用いることができる。このように、W に由来する活性化カルボン酸をR32NHNH-PG (PG は、ベンジルオキシカルボニルあるいはt-ブチルオキシカルボニルのような窒素保護基である)で処理し、次に脱保護し上記の適切なアルデヒドあるいはケトンで処理することにより、本発明のさらなる具現化例であるZ’が得られる。
【0088】
【化31】

【0089】
上記に説明している反応過程は、説明している過程の論理的延長である方法群のより広範囲のまとまりを表しているということは、有機分子合成の当業者には明白である。従って、本発明の請求項に記載されているR2、R3、R4、およびR5に付加的変異体を組み入れた本発明のさらなる実施例は、上記の過程の明白な改変により、調製される。
【0090】
当業者に認識されているように、最終産物を得る過程において一時的な保護基を用いると有利である。「保護基」という語は、本明細書で使用されているように、潜在的反応性官能基の一時的な改変を意味し、望ましくない化学変態から当該潜在的反応性官能基を保護する。そのような保護基の例には、それぞれ、カルボン酸類のエステル類、アルコール類のシリルエーテル類、およびアルデヒド類およびケトン類のアセタール類およびケタール類が挙げられる。保護基化学は、再検討されている(Greene, T. W.; Wuts, P. G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。
【0091】
「ミューテイン」は、突然変異の結果として改変されたアミノ酸配列を有するタンパク質であり、当該突然変異は当該タンパク質の対応遺伝子内で起こる(Weigel et al, 1989)。そのような突然変異は、コード化されたタンパク質の特徴の一つあるいはそれ以上に変化をもたらす可能性がある。例えば、1個あるいはそれ以上のアミノ酸内の変化に起因する改変された触媒活性を有する酵素変異体は、ミューテインである。
【0092】
本発明は、少なくとも1個のアミノ酸残基の改変を有するタンパク質に関し(「アミノ酸配列の変化」あるいは「アミノ酸配列の改変」という語は、少なくとも1個のアミノ酸残基の変化、削除、付加、あるいは変化、削除、付加の全ての組み合わせを含む)、前記タンパク質の非突然変異バージョンの既知の治療用薬剤の対する感受性と比較して、得られたミューテインが当該の既知の治療用薬剤に対し(突然変異の結果として)耐性を有するようになる。本明細書でこれ以降、この特別な種類のミューテインを、セラミューテイン[theramutein]と呼び、突然変異を持たないその対応タンパク質を、プロトセラミューテイン[prototheramutein]と呼ぶ。
【0093】
本明細書で使われているように、「プロトセラミューテイン」という語は、細胞内で内因的に起こるタンパク質を意味し、このタンパク質は、相対的非感受性(すなわち、耐性)を治療用化合物(突然変異を起こさなければ当該タンパク質を抑制または活性化する)に与える突然変異の影響を受けやすい。従って、「セラミューテイン」という語は、細胞内で内因的に起こるタンパク質またはタンパク質の一部分を意味し、このタンパク質は、当該タンパク質の内因性形態と比較して、少なくとも1個のアミノ酸配列の改変を有する。ここで、アミノ酸配列の変化は、同定されているか、既に同定されたか、あるいは同定可能になり、当該のプロトセラミューテインを抑制または活性化するとして知られている物質に少なくとも1個体のヒトを晒した後に、所与の疾患の発生あるいは進行に関し臨床的に重要であるとされるかあるいは既に臨床的に重要であるとされている。前文を定義する目的のためだけに付け加えるが、セラミューテインの存在を最初に定義する目的のため、物質をある化学剤に限定する必要はない。このように、定義上、セラミューテインは、その対応する内因性遺伝子内に突然変異を有するタンパク質であり、前記突然変異は、当該非突然変タンパク質を通常は活性化または抑制することができる薬剤に対する臨床耐性を患者の体内において発生させることに関連するものである。所与のセラミューテインについて、「対応するプロトセラミューテイン」という語は、突然変異を通して前記セラミューテインを増加させるプロトセラミューテインを意味する。同様に、所与のプロトセラミューテインについて、「対応するセラミューテイン」という語は、突然変異により前記プロトセラミューテインから発生したセラミューテインを意味する。
【0094】
従って、セラミューテインをコード化する遺伝子が内因的に起こる遺伝子に限定されるのであるから、セラミューテインの定義からウィルスやバクテリアなどの疾患を起こす感染源によりコード化されるタンパク質が除外されているということは、当業者には明白である。本明細書で使用されているように、「内因性遺伝子」という語は、初めから少なくとも当該遺伝子の非突然変異形態においてその生物の染色体に存在している遺伝子を意味する。「細胞」という語は、本明細書で使用されているように、生きている真核細胞を意味し、当該真核細胞は、生物内にあっても、適切な実験用組織内で保持されていても、あるいは生物の体外の器官培養にあってもよい。
【0095】
本発明の一局面において、セラミューテインは、当該タンパク質の普通に起こる「野生型」(すなわち、プロトセラミューテイン)について初めて改変されたタンパク質である。本発明のまた別の局面では、セラミューテインは、あるタンパク質(プロトセラミューテイン)の変異体であり、このタンパク質自体がすでにミューテインである。さらにまた別の実施例では、セラミューテインは、先に既に存在しているセラミューテインに比べ、さらに突然変異を経ている。そのような場合には、最初のセラミューテイン(例えば、p210 BCR-ABLのT315I突然変異体;下記を参照されたい)*7は、「第一次」セラミューテインと考えられ、それに対し(既に突然変異を起こしている)T315I 変異体の後続の突然変異は、第二次セラミューテイン、第三次セラミューテインなどと呼ぶ。下記に例示するように、本発明のミューテインは、Bcr-Ablチロシンキナーゼの変異体であり、この変異体は、「野生型」Bcr-Ablの抑制剤による抑制を免れるものである。 そのようなBcr-Abl ミューテインを、Bcr-Ablのより普通に起こる形態すなわち「野生型」(これもミューテインである)につき、当該タンパク質の性質が改変されるように改変する。
【0096】
最も関心の持たれているミューテインは、その対応するプロトセラミューテインに比べて、特異的活性が同等、強められた、あるいは弱められたセラミューテインであり、さらにこのセラミューテインは、当該プロトセラミューテインを抑制する能力のある薬剤により抑制されないかあるいはほとんど抑制されないということを理解されたい。同様に、最も関心の持たれている別のミューテインは、(その対応するプロトセラミューテインに比べて)特異的活性が同等、強められた、あるいは弱められたセラミューテインであり、さらに当該プロトセラミューテインを活性化する能力のある薬剤により活性化されないかあるいはほとんど活性化されないセラミューテインである。その他の改変は、当業者には明白である。さらに、セラミューテインには、自然に起こるあるいは普通に観察されるタンパク質変異体(例えば、ある遺伝子の異なった対立遺伝子から発現される変異体)が含まれるということを理解されたい。ある場合においては、そのような変異体は、その通常の細胞機能に関しては、重要でないこともある。というのは、機能上の差異は、当該変異体の細胞機能を様々に抑制または活性化する薬剤の存在下においてのみ明白になってくるからである。例えば、ある酵素の自然に起こる変異体群は、実質的にはあまり差異がない活性プロフィールを有するが、 ある変異体を調整する治療用薬剤は、別の変異体を調整するには効果がない。
【0097】
以下のことを理解されたい:本発明の一局面は、所与の疾患に対する治療中に(なんらかの機序により)発生するあるいは優勢になるセラミューテインに対し活性を有する薬剤の同定であるが、別の局面は、疾患に罹患していない個体集団で普通に見られるミューテインに対し活性を有する薬剤の同定である;しかしながら、ここで、前記ミューテインは、承認されている薬剤による調整により影響を受けにくく、また前記ミューテインが過剰発現されているかまたは異常調節状態に陥っているシグナリングプロセスに関与しているような疾病状態において、当該ミューテインの活性プロフィールにおける改変が重要になる(またそれ故にセラミューテインとして最初に同定される)。例えば、腫瘍性の疾患は、セラミューテインあるいはそのプロトセラミューテイン以外の細胞構成要素の異常調節により起こり、当該のプロトセラミューテインの抑制剤により依然として治療可能であるが、同じ治療が、セラミューテインが存在する場合には、効果が薄かったり効果が現れなかったりする。これは、ある腫瘍の抗がん剤に対する反応が、当該の抗がん剤が標的とする酵素の異なる変異体を発現する個体間で異なるということが観察される場合に、問題になり得る(Lynch et al., 2004)。ここで、当該変異体群は、当該疾患の治療中に増加あるいは優勢にならなかったであろうが、健康な個体集団に既存であり、ある確立された治療に対するそれらの改変された反応によってのみ検知される。
【0098】
本明細書で使用されているように、タンパク質の「作動薬」あるいは「活性化剤」という語は相互に取り替えて使用してよい。活性化剤(作動薬)は、所与のタンパク質に結合しその機能を活性化させる物質に限定される。別途記載がない限り、「活性化剤」、「作動薬」、および「タンパク質の活性化剤」は、全く同義である。活性化剤による活性化は、部分的であってもよくまた完全であってもよい。同様に、本明細書で使用されているように、「拮抗物質」および「抑制剤」という語は、相互に取り替えて使用してよい。抑制剤(拮抗物質)は、所与のタンパク質に結合しその機能を抑制する物質に限定される。物質がタンパク質を「抑制する」というのは、当該物質が当該タンパク質に結合し、細胞内における当該タンパク質の量を物質的に減少させることなく細胞内における当該タンパク質の活性を減少させることを意味する。同様に、物質が、プロトセラミューテインあるいはセラミューテインのようなタンパク質を「活性化する」というのは、当該物質が細胞内における当該タンパク質のレベルを実質的に改変させることなく細胞内における当該タンパク質の機能を増強させることを意味する*8。別途記載がない限り、「抑制剤」、「拮抗物質」、および「タンパク質の抑制剤」という語は、また同義語である。抑制剤による抑制は、部分的であってもよくまた完全であってもよい。モジュレーターとは、活性化剤あるいは抑制剤のことである。例として、「PKCβ1の活性化剤」は、PKCβ1に結合し活性化させる物質を意味するものとして解釈されるべきである。同様に、「p210Bcr-Ablの抑制剤」は、p210Bcr-Ablに結合しその機能を抑制する物質である。物質が「タンパク質を抑制する」には、当該物質の抑制作用を及ぼすために当該物質が当該タンパク質に結合することが必要となる。同様に、物質が「タンパク質を抑制する」というのは、当該物質がタンパク質Xに結合しそれを活性化することである。「結合する」、「結合」および「に結合する」という語群は、2個の物質の間の相互作用を説明するにあたり(酵素-基質、タンパク質-DNA、受容体-リガンド)、生化学分野における通常の意味を持つ。本発明で使用されているように、「に結合する」という語は、ある物質とその対応する標的タンパク質の間の関係を検討する文脈において、「と相互に作用する」という語と同義である。本発明で使用されているように、物質がタンパク質に「作用する」あるいはタンパク質に「影響する」、「その効果をタンパク質に及ぼす」、およびそのような関連語群は全て、一様に(熟練研究者がよく認識しているように)、前記物質が前記タンパク質を活性化あるいは抑制するということを意味する。
【0099】
内因性タンパク質の突然変異型を、その対応する非突然変異同等物のタンパク質に比べより高い度合いで抑制または活性化するという概念が、初めて定義されており、本明細書ではそれを正の「特異性の差」と呼ぶ。一般的な語句を使って、抑制剤を例に挙げて説明すれば、特異性の差は、細胞レベルのアッセイ系においてセラミューテインを抑制する所与の物質の能力を、類似した条件下において、以下に挙げる能力のいずれかと比較した場合の差異を意味する:
a) 類似した条件下において、プロトセラミューテインを抑制する同一の物質の能力、あるいは
b) 類似した条件下において、セラミューテインを抑制する第二の物質(通常プロトセラミューテインの既知の抑制剤)の能力、あるいは
c) 類似した条件下において、プロトセラミューテインを抑制する第二の物質の能力。
【0100】
2個の異なった物質の効果を、セラミューテインに対してだけ比較した(個別にテストした)場合に、その結果を同種間の特異性の差の定量と呼ぶ。
【0101】
また、2個の異なった物質の効果を比較した場合に(常にとは限らないが通常)、それぞれ、そのうちの1個がセラミューテインに対してテストされ、他方がプロトセラミューテインに対してテストされた場合に、その結果を異種間の特異性の差(SG)の定量と呼ぶ。このように、上記の(a)および(c)は、異種間の特異性の差(SG)の定量の例であり(尤も、(a)は双方の場合に同一の物質を使用しているが)、(b)は同種間の特異性の差の定量の例である。
【0102】
図3を参考にすると、これらの概念を理解解明するのに役立つ。
【0103】
活性化剤についても類似事項が当てはまる。「類似した条件」という語句は、2個の異なった化合物を、例えば、同じ濃度でテストすることを含み、その例には、(2個の密接に関連した化合物を比較して相対的力価を定量すること)、あるいは当該プロトセラミューテインまたはセラミューテインに対する2個の異なった化合物の効果を当該化合物のそれぞれのIC50 値で比較することがあるということは、当業者には即座に明白であろう。熟練研究者は、その他の有用な改変および類似した条件を容易に認識するであろう。
【0104】
このように、このアプローチを応用した一実施例では、セラミューテインに対しより効果的である物質は、「正の特異性の差」を有する。「ゼロ、無あるいはなし」の特異性の差は、ある物質のセラミューテインに対する効果がその物質のプロトセラミューテインに対する効果に比較して有意な測定可能な差異がないということを意味し(尤も、そのような化合物は、セラミューテインおよびその対応するプロトセラミューテインの双方を抑制または活性化する能力においては、きわめて有用であることもあるのだが)、「負の特異性の差」は、所与の濃度において、対応するプロトセラミューテイン形態あるいはその他の類似したセラミューテイン形態(異なった突然変異を有するもの)に対する効果に比較して、当該セラミューテインに対する効果が低い物質を意味する。後者の化合物の種類は、前者の化合物の種類に比べ、当該化合物の力値が非常に高く当該のセラミューテインに対する比較的低い硬貨が治療目的の効能という観点からみて問題にならない場合を除いて、一般的に関心度が低い。熟練研究者は、自分のニーズに合わせて特異性の差を定量する多様なアプローチを容易に認識することができる。
【0105】
本発明はまた、望ましい特異性の差を呈する化合物を同定する手段をも提供する。そのような化合物を同定し、セラミューテインを抑制または活性化する当該化合物の能力をin vitro の細胞レベルのアッセイ系を用いて判断することができる。このアッセイ系は、当該タンパク質の突然変異を起こした内因性型の細胞機能に対する物質の効果を、当該タンパク質の突然変異を起こしていない内因性型の細胞機能に対する同じ薬剤の効果と比較するものである。
【0106】
このように、このアッセイ系により、セラミューテインに結合する能力を有し、対応するプロトセラミューテインに対する効果に比べて、当該セラミューテインの細胞機能に対しより強力な調整効果を及ぼす能力を有する化合物の発見が可能になる。さらに、当該アッセイ系により、セラミューテインに結合する能力を有し、既知の化合物がプロトセラミューテインに対し及ぼすことができる効果に比べて、セラミューテインの細胞機能に対し少なくとも同等かあるいはより強力な調整効果を及ぼす能力を有する化合物の発見が可能になる。本発明のある実施例では、以下の化合物をスクリーニングにより同定する:1)最初に使用したの薬剤がプロトセラミューテインに対し有する効果と比較して、少なくとも同等の効果をセラミューテインに対し有する化合物、および/または2)プロトセラミューテインに対してもセラミューテインに対するのと同様に効果的である化合物(すなわち、特異性の差を小さいかあるいは実質的にはゼロである化合物)。
【0107】
本発明のある実施例では、セラミューテインを過剰発現する細胞を用いて、少なくとも選択されたセラミューテインの抑制剤あるいは活性化剤である化学剤(つまり、そのようなセラミューテインに結合し抑制するか、結合し活性化する化学剤)を同定する。当該化学剤は、プロトセラミューテインの抑制剤または活性化剤であってもよく、また同じプロトセラミューテインのその他のセラミューテインの抑制剤または活性化剤であってもよい。本明細書で使用されているように、「化学剤」および「化合物」という語群は、相互に取り替えて使用してよく、これらの語群は、上限が原子質量単位で2000ダルトン未満の分子量を有する物質を排他的に意味する。そのような物質は時に「小分子」と呼ばれることがある。別途記載がない限り、物質という語は、本明細書で使用されているように、化学剤/化合物を排他的に意味し、生物剤を意味しない。本明細書で使用されているように、「生物剤」とは、タンパク質、ポリペプチド、および核酸を含み、その分子量が原子質量単位で2000ダルトン以上である分子である。
【0108】
本発明によれば、セラミューテインを選択し、当該セラミューテインの抑制剤または活性化剤である薬剤を同定するようにデザインされた細胞レベルのアッセイ系で選択されたセラミューテインを使用する。同じプロトセラミューテインに由来する2個あるいはそれ以上のセラミューテインが既知である場合は、当該のアッセイ系で使用可能な最も耐性の強いセラミューテインを選択することが好ましい。一般的に、所与の化学剤に対するセラミューテインの耐性度は、その非突然変異同等物(プロトセラミューテイン)に比較して判断され、この場合、最初に投与され、当該プロトセラミューテインを抑制または活性化するとして知られており、セラミューテインがそれに対して「発生した」実績を持つ薬剤を用いる。そのような耐性度を、例えばIC50 およびAC50 の値の分析により、判断する方法群は、当業においてよく知られておりまた標準でもあるので、本明細書では繰り返して述べない。しかし、所与の治療剤それ自体を用いて患者に施した治療とその後にセラミューテインが出現することとの因果関係は必要ないし、また そのような因果関係を推測する必要もない。むしろ、本発明を実施するために必要なことは、本明細書に記載されている教示に従って、正しいセラミューテインを適切に選択することである。
【0109】
このように、例えば、無作為に作製された部位主導型の既知タンパク質突然変異であって、実験室で作製されているが臨床的に関連があると示されていない突然変異は、本発明の範囲内で使用するのに適切なミューテインではない。そのような突然変異は、無論、セラミューテインとして適切に分類されない。
【0110】
例えば、p210Bcr-Ablの潜在的抑制剤を得ようとして、Huron et al. (2003) は、組換え c-abl 製剤を用い、c-src チロシンキナーゼ活性を抑制すると知られている一連の化合物をスクリーニングした。Huron 等は、当該化合物に対しc-abl キナーゼアッセイを行い、c-abl に対する8nM 抑制剤として最も力値の強力な化合物を同定した。しかし、この化合物(PD166326)を多様なp210Bcr-Abl セラミューテイン群に対しテストすると、当該化合物はp210Bcr-Abl-E255Kのようないくつかの突然変異群には活性を示したが、p210Bcr-Abl-T315I セラミューテインは10倍の耐性を維持することがわかった(Huron et al. 2003、表3) 。さらに、それぞれの場合において、当該化合物は、野生型p210Bcr-Ablに対する効果に比べ、p210Bcr-Abl セラミューテイン群に対する効果が、著しく低かった。当該化合物をp210Bcr-Abl-T315I 突然変異体活性に対しテストすると、当該化合物は、容易に感知できる程度に当該活性を抑制することができなかった(1270ページ、左側、第二段落;図4も参照されたい)。このように、開示されている化合物は、STI-571に部分的な耐性を有するセラミューテインを抑制することができたが、Bcr-AblのT315I突然変異(この突然変異は、この時点で既にSTI-571に対し最も強力な耐性を示すセラミューテインとして知られていた)に対しては全く活性を有していなかった。故に、Huron の方法は、p210Bcr-AblT315I セラミューテインの効果的な抑制剤を同定することが全くできなかった。
【0111】
事実、本発明の開示(本明細書に初めて説明されている詳細なる方法および本明細書に説明されている成分の双方を含む)以前には、野生型 p210Bcr-Ablタンパク質に関しSTI-571 が有する効果と比較して同等またはそれ以上にp210Bcr-AblT315Iセラミューテインを効果的に抑制する化学剤の同定どころか、そのような化学剤を同定することができる方法の同定に成功した研究者は、世界で誰一人としていなかった (Shah et al., Science, July, 2004;O'Hare et al., Blood, 2004;Tipping et al., Leukemia, 2004;Weisberg et al., Leukemia, 2004を参照されたい)。
【0112】
p210Bcr-Abl-T315I セラミューテイン媒介のイマチニブメシレート耐性状態に向かっている患者を治療するための他の方法は現段階では存在しないので、そのような化合物は計り知れないほど有用であるということは、いくら強調しても強調しすぎることはない。患者が一旦そのような耐性を起こすと、他に効果的な治療方法はなく、死に至ることは避けられない。本明細書に記載されている方法は、世界初のp210Bcr-Abl-T315I セラミューテインの効果的な抑制剤を同定し、薬学的に特徴づけ、さらに化学的に合成するアプローチを提供する。さらに、高度に薬剤耐性を有するセラミューテインに対してこのアプローチを応用および汎用することを、熟練研究者は即座に認識できるであろう。
【0113】
本発明では、慎重に選択した表現型の特徴(下記に定義されている)を呈する被験細胞を用い、この表現型の特徴は、対象のセラミューテイン(theramutein-of-interest 、略してTOI)の存在および機能的活性と細胞内で適切な条件下で連結している。この表現型の特徴は、プロトセラミューテインを発現する細胞により呈示される表現型の特徴と量的に同じであるはずだ。表現型の特徴(すなわち、当該細胞の非遺伝子型の特徴)というのは、本明細書で説明しているアッセイ方法で次に使用するために観察(測定)、選択、およびまたは定義する特質である。表現型の特徴の発現は、当該細胞の当該セラミューテインの全活性に対し反応性を有し、当該セラミューテインおよびその特異的活性の絶対量の結果である。多くの場合、表現型の特徴は、セラミューテイン活性のレベルが高まった結果として観察可能であり、当該セラミューテインを低い量で発現しているかあるいはその対応するプロトセラミューテインを低い量で発現している細胞内でははっきり現れない。さらに、表現型の特徴は、当該セラミューテインの抑制剤または活性化剤を用いて当該セラミューテインの特異的活性を調整することにより調整することができるということが多くの場合に実証可能である。尤も、熟練研究者がそのようなプロジェクトを行う場合にTOIの抑制剤または活性化剤が常に入手できるとは限らないので、常に上記の通りであるとは限らない。このように、アッセイ目的で所与の被験細胞と共に次に使用するために表現型の特徴を定義する目的で、熟練研究者は、セラ遺伝子の発現を増強または減少させる(対応するセラミューテインのレベルを増強または減少させることに結果としてつながる)能力を有する物質を使用してよい。こうすることにより、熟練研究者は、セラミューテインの活性化剤または抑制剤(例えば、セラミューテインの自殺抑制剤で、これは不可逆的にTOI に結合し共有結合的にTOI を修飾し、その結果TOI を永久的に不活性にする)の効果を、シミュレートすることができる。こうすれば、有用な細胞レベルのアッセイ系を次に確立するために適切な表現型の特徴を改善する目的で、そのような化合物を実際に入手する必要がなくなる。当業者に既知でそのような目的に有用である例には、アンチセンスDNAアリゴヌクレオチド類、小さな干渉RNA類、その他のRNA干渉に基づいた方法群、およびプロモータ系を含むベクターコンストラクト類の使用が含まれる。このように、選択された表現型の特徴は、被験細胞内のセラミューテインの活性と連結している。特にセラミューテインについては、選択された表現型の特徴はまた、通常、プロトセラミューテインを過剰発現する細胞により呈示され、この細胞内では、当該の表現型の特徴は、当該プロトセラミューテインの既知の抑制剤または活性化剤により調整される。
【0114】
表現型の特徴とは、単に、細胞の遺伝子型の特徴以外の細胞の特徴である。本発明のある実施例の教示に従って、有用な細胞レベルのアッセイ系を作製する目的で本明細書に開示されている適切に定義された表現型の特徴についての特殊な要件を除いて、適切且つ効果的に本発明を実施するためには、いかなる種類または性質のその他の制限も、表現型の特徴という語に関し、なんら意図されておらず、また適切でもない。事実、熟練当業者は、自分のニーズに従って適切な細胞レベルのアッセイ系を確立する実用性を最大限にするような、当該細胞のいかなる特徴をも選択することができるはずである。表現型の特徴は、量的または質的であり得、直接観察または測定することが可能であるが(例えば、裸眼または顕微鏡で観察することができる)、一般的には、当業者に既知の標準自動装置およびアッセイ手順を用いて間接的に測定される。「観察可能」という語は、入手可能な実験室用装置を含む手段を用いて、ある特徴が測定可能、あるいは適切な条件下において検知可能であるということである。「検知可能」という語は、「検知される」という語と同じではない。研究者が当該のアッセイ系をどのようにデザインするかによって、ある特徴は、所与のタイミングでは検知されなくても、熟練当業者には、検知可能であるということがある。例えば、あるプロトセラミューテインの活性化剤を探そうとする場合に、関連した表現型の特徴を、POIを活性化する能力のある既知の活性化剤または被験物質を加えた後にのみ、検知することが望ましい。これにより、当該のアッセイで被験細胞により作り出されるシグナルの強度を最大化する能力が提供される。
【0115】
表現型の特徴群には、成長特性、変換状態、分化状態、基質のリン酸化状態、触媒活性、細胞膜上のイオン流入状態(カルシウム、ナトリウム、塩化物、カリウム、水素イオンなど)、pHの変化、第二メッセンジャー分子およびcAMPのような細胞内細胞内化学種、ホスホイノシチド、環状ヌクレオチド、遺伝子発現の調整などが含まれるが、それらに限定されるものではない。細胞の特徴は、継続的に(例えば、細胞の成長率)、ある期間の後に(例えば、細胞培養の最終密度)、一時的に(例えば、ある突然変異を調整することにより、当該突然変異体の基質のリン酸化状態に一時的変化を引き起こしたり、あるいは細胞膜上のイオン流入に一時的流入を引き起こしたり、あるいは細胞内のcAMP レベルを上昇または減少させたりする)、観察可能または測定可能である。ある実施例においては、選択された表現型の特徴は、当該プロトセラミューテインあるいは当該セラミューテインのモジュレーターの存在下でのみ、検知される。測定用に選択される特徴に関し、いかなる限定も意図されていない。本明細書で使用されているように、「細胞の特徴」、「表現型の特徴」、および単に「特徴」という語群は、それらの語句が被験細胞をある物質により処理した後の当該インタクト細胞または当該細胞の細胞成分分画のある測定可能な特質に言及している場合は、同義である。例えば、表現型の特徴は、選択されたタンパク質を過剰発現している細胞を当該タンパク質の活性化剤の存在下で培養した場合に、観察可能になる焦点を当てているフォーメーションであってよいし、また細胞内の代謝物あるいはイオン(cAMP、カルシウム、ナトリウム、塩化物、カリウム、リチウム、ホスファチジルイノシトール、cGMP、重炭酸塩など)における一時的な上昇または減少であってよい。細胞を被験物質に晒した後、上記のごとく測定された(検査された)特徴を、当該細胞の細胞成分分画上で判断することができるということは、当業者には明白である。しかし、細胞をある物質を用いて行う最初の処理(この処理により、当該物質が当該細胞と接触するようになるのである)は、細胞成分分画ではなく、インタクト細胞に行なわなければならない。
【0116】
測定用に選択される細胞内の特徴は、当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテイン自体の内在性の物理的または化学的特質(例えば、当該細胞内の当該タンパク質の単なる量つまり質量など)であってはならず、上記に詳細に述べているように、当該細胞内の当該セラミューテインの活性に起因する特徴であって、当該セラミューテイン自体とは異なる当該細胞の特徴に影響を及ぼすものでなければならない。例えば、セラミューテインが自己燐酸化(ATP由来の末端リン酸基を自己に移入することにより、酵素が自己の燐酸化を触媒することができるプロセス)を行なう能力を有するタンパク質キナーゼである場合、測定用の細胞の適切な表現型の特徴として、TOIの燐酸化状態を選択することは、適切ではない。これは、そのような特徴が、その他の細胞構成要素に及ぼされるTOIの活性を反映していないという理由による。熟練研究者が承知しているように、自己燐酸化は、必ずしも細胞のタンパク質キナーゼの活性を反映しているとは限らない。というのは、タンパク質キナーゼの突然変異体は、自己燐酸化を行なうに十分な酵素活性を保持するとして知られているが、細胞内のシグナル形質導入に従事する能力を失ってしまっているからである。White et al. (1988)による古典的研究報告が、この点に関し、有益且つ重要である。
【0117】
「反応性を有する表現型の特徴」という語は、所与のタンパク質(プロトセラミューテインあるいはセラミューテイン)の抑制剤または活性化剤に対し反応性を有する細胞の特徴を意味する。「既知の治療剤」という語は、世界のある国で疾患を治療するためにヒトに投与されたことがあるすべての薬剤として定義される。
【0118】
有用な表現型の特徴は、p210Bcr-Abl およびそのセラミューテインに関連して本明細書で例示しているように、細胞の成長および増殖の不調整である。同一あるいは類似したアッセイが、対象の多くの異なったタンパク質について使用するのに適切であるということを特記しておく。例えば、成長、増殖、および/または分化の不調整は、多様な異なった細胞タンパク質の過剰発現に起因する一般的な表現型の特徴である。そのような表現型の特徴を出現させるために、選択されたタンパク質を過剰発現させることにより、当該の特徴は、その選択されたタンパク質の存在、量、特異的活性と適切な条件下で連結され、この連結により、熟練研究者は対象のセラミューテイン(TOI)の抑制剤または活性化剤を望み通りに同定することができるということは、本発明の重要な教示である。従って、表現型の特徴は、当該の選択されたタンパク質のレベルおよび/または特異的活性における変化に対し反応性を有する。そのような反応性を有する表現型の特徴を、本明細書では「フェノレスポンス[phenoresponse]」と呼ぶ。
【0119】
常に必要ではないが、セラミューテインを高度に発現する細胞を使用し、当該セラミューテインの過剰発現に起因する表現型の特徴を選択することが、多くの場合有利である。これは、当該セラミューテインの機能に連結している表現型の特徴が、セラミューテインが大いに過剰発現されると、一般的に、より区別可能になる(測定しやすくなる)という理由による。さらに、当該セラミューテインのモジュレーターに応じて観察されるフェノレスポンスは、多くの場合、当該セラミューテインの機能レベルが上昇すると、増幅される。言い換えれば、当該セラミューテインを過剰発現する細胞内で観察される選択されたフェノレスポンスは、当該セラミューテインのモジュレーターに対し特に感受性が強い。
【0120】
セラミューテインは被験細胞内で安定して発現されることが好ましい。発現が安定していれば、アッセイ中に相対的に変化しない状態に維持される細胞内セラミューテインレベルが得られる。例えば、シグナル経路構成要素の刺激または活性化の後に、当該の構成要素のダウンレギュレーションのためシグナリングが抑制される不応期があってよい。本発明のセラミューテインについては、そのようなダウンレギュレーションは、通常、当該セラミューテインを人工的に過剰発現させることにより十分克服される。言い換えれば、セラミューテインのダウンモジュレーションが次に起こるとしても、アッセイ中に観察される表現型の特徴における変化がそのセラミューテインのレベルにおける変化のためではなく、むしろ主としてセラミューテインの抑制または活性化のために起こるように、発現が十分に維持される*9。これらの理由のため、セラミューテインの安定した発現は好ましいが、以下の条件がある場合に、形質移入の後にセラミューテインの一時的発現を行ってよい:選択された表現型の特徴が測定可能であり、一時的に発現されたセラミューテインのレベルにおける進行性の減少(このようなセラミューテインのレベルにおける進行性の減少は、そのようなアッセイ系で時間の経過とともに予期されるものである)に比較して、アッセイ系の期間が短い。これらの理由のため、安定した発現をしている細胞ラインが好ましい(アメリカ合衆国特許番号 4,980,281)。
【0121】
本発明の好ましい薬剤スクリーニング方法は、以下を含む:
【0122】
1) 新規の抑制剤または活性化剤が望まれているセラミューテインの同定。適切なセラミューテインの同定は、標準テクニックを用いて行なうことができる(Gorre et al., Science, 2001を参照されたい;また、PCT/US02/18729を参照されたい)。要約すれば、既知のまたは擬似プロトセラミューテインの活性化剤または抑制剤を用いて治療の観点から見て効果的な治療を受けた患者で、疾患再発と一致する臨床兆候または症状を呈している患者を確認し、そのような患者に由来する細胞または組織検体を採取する。RT-PCR のような標準臨床検査テクニックを用いて、当該プロトセラミューテインの配列を決定し、先に決定してある既知のプロトセラミューテイン遺伝子の核酸配列あるいはcDNA 配列と比較する。突然変異があれば、それを同定し、再度標準方法を用いて、細胞レベルのアッセイ系あるいはより一般的にはセルフリーアッセイ系で、同定した突然変異とプロトセラミューテインの機能の機能的耐性との相関関係を示す。耐性誘導突然変異が確認されたら、前記の1個あるいはそれ以上の突然変異体が、本明細書に記載されている次の方法で使用することができる定義されたセラミューテインになる。
【0123】
2) 対象のセラミューテインを発現し、当該セラミューテインまたはより一般的には対応するプロトセラミューテインの抑制剤または活性化剤に対し反応性を有すると先に示されている観察可能(測定可能)な表現型の特徴を呈する被験細胞の提供。対象のセラミューテイン(theramutein-of-interest、略してTOI)および/または対象のプロトセラミューテイン(prototheramutein-of-interest,略してpTOI)の抑制剤または活性化剤に対し反応性を有すると先に示されている特異な表現型の特徴が、本明細書で初めてフェノレスポンス[phenoresponse]として定義されている。本発明の一実施例は、TOIの抑制剤または活性化剤である可能性のある化合物を同定することを目的とした、フェノレスポンスの限定的使用である。これは、スループットの高いスクリーニングを使用することにより、所与のTOI(このTOIに対し、適切なフェノレスポンスが同定され特徴付けられている)を過剰生産している細胞ラインを用いて、達成できるであろう*10。あるいはまた、スループットの高い第一のスクリーニングを用い、細胞ラインのより一般的な表現型の特徴(本明細書の教示によるとフェノレスポンスとして適切でない)を使い、次に本明細書の教示により第二のスクリーニングを用い、化合物を、真に正の「当たり」(すなわち、対象のセラミューテインの抑制剤または活性化剤と、対象のセラミューテインの抑制剤または活性化剤ではない虚偽に正の化合物とに区別する。ある実施例においては、反応性を有する表現型の特徴が当業者には明白である適切な培養条件下で存在するように、天然の状態でセラミューテインを発現する細胞を選択している。その他の実施例群では、いくつかの例において、他の場合にはセラミューテインを全く発現しない宿主細胞で、セラミューテインが過剰発現されている。これには、通常、標準のベクター系および方法を用いてセラミューテインを適切な宿主細胞に導入し過剰発現させる発現ベクターの構築が絡む (Gorre et al., 2001; Housey et al., 1988)。 ある実施例においては、過剰発現の結果として、細胞内に通常存在するタンパク質の量の少なくとも約三倍のセラミューテインのレベルが発生ている。あるいはまた、その量は、細胞内に通常存在する量の少なくとも約10倍である。また別の実施例では、当該の量は、細胞内に通常存在する量の少なくとも約20倍、あるいはより好ましくは、少なくとも約50倍である。
【0124】
3) 対象のセラミューテインに対応するプロトセラミューテインを発現する対照細胞の提供。本明細書で説明されているセラミューテインのいくつかは酵素でもあるので、それらのセラミューテインは、通常触媒活性を保持しており、それ故に、対照細胞は実質的には被験細胞と同じ表現型の特徴を呈する。しかし、表現型の特徴は、双方の細胞において量的に類似している必要はない。例えば、プロトセラミューテインの再活性化につながる突然変異はまた、当該細胞内のその基質の1個あるいはそれ以上について、当該プロトセラミューテインの特異的活性を増強、減少、あるいは当該特異的活性に影響を及ぼす。その結果として、選択された表現型の特徴を、より強くあるいはより弱く、呈示する。従って、プロトセラミューテインおよびセラミューテインのどちらかあるいは双方の発現を、被験細胞および対照細胞が表現型の特徴を同程度に呈示するように調整することが、ある場合においては望ましい。これは、例えば、全て標準方法を用いて、プロモータからタンパク質を発現させることにより行なってもよく、このプロモータの活性は存在するインデューサの量を調整することにより調整することができるものである(例えば、Sambrook et al. 1989 & 2001を参照されたい)。
【0125】
適切の定義されたフェノレスポンスが、セラミューテインとその対応するプロトセラミューテインとの間の特異的活性(もしあれば)における差異の結果として、プロトセラミューテインを発現する細胞ラインとセラミューテインを発現する細胞ラインの間で、量的に異なっていることがあるということは、当業者には明白である。セラミューテイン誘導突然変異は、対応するプロトセラミューテインに比べて、前記セラミューテインの特異的活性を増強または減少させる。セラミューテイン発現細胞ラインをプロトセラミューテイン発現細胞ラインと比較した場合に、選択されたフェノレスポンスが双方の細胞種で質的に同じであることが好ましい。このように、熟練研究者は、セラミューテイン発現細胞ラインの活性を、プロトセラミューテイン発現細胞ラインの活性に一致させることを選択することができるし、またその逆を選択することもできる。そのような一致方法は当業における標準である(例えば、Bolstad et al., 2003を参照されたい)。
【0126】
あるいはまた、熟練研究者はまた、未修飾の宿主細胞あるいは発現ベクターを有する宿主細胞を、ある実験手順に用いる対照細胞としてのみ使用してもよい(当該の宿主細胞は、被験細胞を作製するためにセラミューテインをコード化する発現ベクターを導入した細胞である)。これは、前記化合物が対象のプロトセラミューテイン(pTOI)に対し効果を有するか否かに関わらず、研究者が、対象のセラミューテインの特定な抑制剤または活性化剤を同定することにのみ関心を持っているような場合である*11
【0127】
4) 次に、被験細胞および対照細胞を、適切な条件下で、フェノレスポンスを発現し分析できるように、維持するかまたは増殖させる(必ずしも同時ではないが)。プロトセラミューテインを発現する対照細胞を、当該のプロトセラミューテインの既知のモジュレーターを用いて、あるいは被験物質を用いて、処理してよく、また被験細胞を被験化合物を用いて処理し、当該の化合物がセラミューテインに対し活性を有するか否かを、当該のフェノレスポンスを期待された様に調整する前記物質の能力を測定することにより判断する。あるいはまた、プロトセラミューテインを発現していない対照細胞を、熟練研究者が研究に選んだ特定のフェノレスポンスによっては、置換してもよい。その後、物質を被験細胞および任意に対照細胞において同時にあるいは別のタイミングで分析し、得られた結果を比較する。
【0128】
本発明の一実施例では、被験細胞につき活性を有する物質を、例えばプロトセラミューテインの既知のモジュレーターがプロトセラミューテインを発現している対照細胞のフェノレスポンスを改変すると同様に、被験細胞のフェノレスポンスを調整する当該物質の能力により、容易に同定することができる。また別の実施例では、活性を有する物質を、被験細胞のセラミューテインの活性を調整する当該物質の能力{当該物質は、未修飾の(プロトセラミューテイン および/または セラミューテインを発現していない)対照細胞にはほとんどあるいは全く効果を持たない}により、同定することができる。熟練研究者は、例えば、セラミューテインに対しより効果的であるモジュレーター、またはプロトセラミューテインおよび1個あるいはそれ以上の対応する特定のセラミューテイン群の双方に対し同等に効果的であるモジュレーターを同定するために使用できるこのアプローチの多くの変形を容易に理解するであろう。
【0129】
その他のフェノレスポンスを観察および/または測定することができ、そのようなフェノレスポンスには、例えば、プロトセラミューテインの基質の検知、およびセラミューテインの活性により制御される遺伝子発現変化の検知が含まれる。端的に言えば、熟練研究者が先にセラミューテインの機能的活性との相関関係を示した細胞のいかなる特徴も、そのような方法で用いるのに適切である。しかし、所与の特徴を選択するには、熟練研究者はまず、本明細書に詳細に説明されている教示に従って、前記特徴がフェノレスポンスになるための判断基準を満たしているということを確認しなければならない。熟練研究者はまた、セラミューテインを発現する細胞ののフェノレスポンスを、プロトセラミューテインを発現する細胞のフェノレスポンスと一致させてもよい。
【0130】
検知するのに適した特徴は、当業者によく知られた多様な方法により測定することができる。そのような方法には、蛍光標示式細胞分取器(FACS)、タンパク質発現を検知する免疫組織化学(IHC)、競合放射リガンド結合アッセイ、細胞抽出物のノーザン、サザン、ウェスタン・ブロットなどのソリッドマトリックス・ブロッティン・グテクニック類、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、リン酸化検定法、ゲル遅延度アッセイ、膜電位摂動などが含まれるが、それらに限定されるものではない。関連した表現型の特徴を、被験物質で処理後のインタクト細胞で、あるいは被験物質で処理後のインタクト細胞から取った細胞の細胞成分分画で検知することができる。
【0131】
一旦セラミューテインを発現している細胞の望ましい効果を有する化合物が同定されたら、同定された化合物が直接結合機序を経てセラミューテインに効果を及ぼすこと(すなわち、当該の化合物が、本発明の教示に従ってセラミューテインの抑制剤または活性化剤(望みどおりに)としての判断基準を満たすこと)(上記の「活性化剤」および「抑制剤」の定義を参照されたい)を個別に確認することが望ましい(が必要ではない)。これは、当業者に既知である数多くの標準結合検定法群を用いて達成することができ、これらの検定法群は、正しい科学的方法により指示されているように、精製タンパク質検体あるいはインタクト細胞結合検定法を含み、適切なプロトセラミューテインあるいはセラミューテインにより形質移入した細胞を適切な対照と共に用いる。そのような方法群は当業において確立されているので、本明細書では繰り返し述べない。多くの文献がそのようなテクニックについて記載している(例えば、Foreman and Johansen, 2002;Enna S.J. et al. (1991) Current Protocols in Pharmacology, Wiley & Sons, Incorporated;Bonifacino, J.S. et al. (1999) Current Protocols in Cell Biology, Wiley & Sons, Incorporatedを参照されたい) (Housey, G.M. 1988, Chapter 4, およびこの文献の参考文献をも参照されたい;Horowitz et al., 1981も参照されたい)。
【0132】
本発明のある実施例においては、本方法を使用してp210Bcr-Abl-T315I セラミューテインの抑制剤群である物質群を同定している。 プロトセラミューテインおよびセラミューテインが、標準方法によりそれぞれBa/F3 (ネズミ) 細胞で発現されており、観察されたフェノレスポンスは、成長特徴である{慎重に定義された細胞培養の末端細胞密度、およびインターロイキン-3 (IL-3)の不存在下での成長}。未修飾の宿主細胞、あるいは発現ベクターを含む宿主細胞、あるいはそれらの双方を、任意に使用してよい。また別の実施例では、被験細胞のみを、既知の抑制剤または活性化剤を考慮し、あるいはまた既知の抑制剤または活性化剤を考慮せずに、使用してもよい。
【0133】
別の有用な検定法は、p210Bcr-Abl-T315Iの直接基質のリン酸化状態の定量である。そのような基質の一例は、Crkl (Gorre et al., Science 293:876-80 (2001))であり、これはBcr-Abl とRasとの間を媒介するアダプタータンパク質である。CRKL のリン酸化状態は、細胞内のp210Bcr-Abl のシグナリング活性を象徴するものである。また別の下流の基質は、p62DOKである。 無論のことながら、前記基質のリン酸化が細胞内で起こると既に示されおり、さらに前記基質のリン酸化が、上に記載したようにTOI または PTOIの単なる自己リン酸化ではないという条件で、そのような基質は全てこれらの目的に十分である。その他のシグナル形質導入カスケード構成要素をモニターしてもよく、その例には、Src族キナーゼ類、STAT5、PI3 キナーゼ、 raf キナーゼ、 RAS、MEK、ERK1 およびERK2、JNK1、2 および3、MLK1、2 および 3、MKK4、MKK7、AKT、mTOR、HSP90などがある。
【0134】
本明細書で例示しているように、T315I セラミューテインの抑制剤群が、同定されている。さらに、これらの抑制剤群はまた、野生型プロトセラミューテインp210Bcr-Abl-wtに対し、異なったレベルで、活性を有する。
【0135】
本発明により、p210Bcr-Abl セラミューテインの機能的活性を調整する1個あるいはそれ以上の化合物の治療上効果的な量を、それを必要としている哺乳動物に投与する。「投与」という語は、本明細書で使用されているように、本発明の化合物群を望む結果が得られる方法により哺乳動物に投与することを意味する。これらの化合物群を、例えば、経口、非経口(静脈内または筋肉内)、局所、経皮、あるいは吸入の投与経路により、投与する。「哺乳動物」という語は、本明細書で使用されているように、ヒト、実験用動物、ペット、および家畜を含むがそれらの限定されるのもではない。「治療上効果的な量」という語は、哺乳動物に投与した場合に、望ましい治療効果(例えば、キナーゼ活性を抑制する、がん細胞の成長または分裂を抑制するなど)を生むに効果的である化合物の量を意味する。
【0136】
本発明は、セラミューテインのモジュレーターの効果的な量を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物を治療する方法を提供する。本発明に従って治療することができる適切な疾患には、先に投与された薬剤に対し耐性を有するに至った再発性の腫瘍性あるいはその他の増殖性の疾患群が含まれるがそれらに限定されるものではない。本方法はまた、治療対象間における対立遺伝子差異に起因する薬剤治療に対する感受性に関し、個体間の変異を克服するのにも有用である。例えば、CML におけるp210Bcr-Abl チロシンキナーゼシグナリングの役割は、CMLの薬剤耐性再発におけるp210Bcr-Abl のセラミューテインの役割をも有するとして、幅広く実証されている。さらに、p210Bcr-Abl の異なったミューテインは、p210Bcr-Ablの抑制剤群に対する異なった感受性を呈示している。セラミューテインには薬剤治療中に発生するものもあるが、対象集団に既存のものもある。これらの後者の例は、当該疾患が続きその後既知の種類の治療剤により治療が施される時まで、セラミューテインとして認識されない。前記の治療の後初めて、そのような既存のセラミューテインが、当該セラミューテインを有する患者の疾患の進行につながる相対的非反応性の観点から、臨床的に重要であると明らかになる。
【0137】
本発明の一実施例では、セラミューテイン・モジュレーター群を、1個あるいはそれ以上のその他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与している。いかなる抗腫瘍剤(例えば、化学療法剤、放射能治療、あるいはそれらの組み合わせ)を使用してもよい。当該の抗腫瘍剤は、アルキル化剤または抗代謝物であってよい。アルキル化剤の例には、シスプラチン、シクロフォスファミド、メルファラン、およびダカルバジン が含まれるがそれらに限定されるものではない。抗代謝物の例には、ドキソルビシン;ダウノルビシン;パクリタキセル;ジェムサイタビン;および トポイソメラーゼ抑制剤群であるイリノテカン(CPT-11), アミノカンプトテシン、 カンプトテシン、DX-8951f、トポテカン (トポイソメラーゼ I 抑制剤)、エトポシド(VP-16;トポイソメラーゼII抑制剤) 、およびテニポシド(VM-26;トポイソメラーゼII抑制剤)が含まれるがそれらに限定されるものではない*13。抗腫瘍剤が放射線である場合は、放射線源は、治療を受けている患者の外部(外部照射療法-EBRT)にあっても、内部(近接照射療法-BT)にあってもよい。投与する抗腫瘍剤の投与量は多くの因子に拠り、それらの因子には、例えば、薬剤の種類、治療している腫瘍の種類とその重症度、および薬剤の投与経路がある。しかし、本発明は、いかなる特殊な投与量、投与経路、あるいはセラミューテイン・モジュレーターの投与と組み合わされる化学治療剤またはその他の治療計画にも限定されるものではないということを、強調すべきである。
【0138】
現在既知であり評価中である抗腫瘍剤は、多様な種類に分類され、それらの抗腫瘍剤の種類には、例えば、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、抗代謝物、介在抗生物質、成長因子阻害剤、 細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、抗生存剤、生体応答調整物質、抗ホルモン剤、および抗血管形成剤があり、これらは全てセラミューテインの抑制剤または活性化剤と共に投与する。
【0139】
セラミューテインのモジュレーターは、腫瘍の成長に関与しているその他の受容体を中和する抗体と共に投与することができる。さらに、セラミューテインのモジュレーターは、別のやり方でシグナル形質導入経路の構成要素(好ましくは、セラミューテインが活性を有するシグナル形質導入経路の構成要素で、1個あるいはそれ以上のその他のシグナル形質導入経路群に共通である構成要素)を調整する化合物と共に投与することができる。本発明の一実施例では、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する受容体拮抗物質と組み合わせてセラミューテイン・モジュレーターが使用されている。特に好ましいものは、EGFRの細胞外ドメインの結合し、そのリガンドの1個あるいはそれ以上に結合を阻止し、および/またはEGFRのリガンド誘導活性化を中和する抗原結合タンパク質である。EGFR 拮抗物質は、EGFRまたはEGFRのリガンドに結合し、EGFRがそのリガンドに結合するのを抑制する抗体であってよい。EGFRのリガンドには、例えば、EGF、TGF-α、アンフィレグリン、ヘパリン結合EGF (HB-EGF)およびベータセルリンがある。EGFおよびTGF-αは、EGFR媒介の刺激をもたらす主たる内因性リガンド考えられている(尤もTGF-αは、血管形成を促進する上でより可能性があると報告されているが)。EGFR拮抗物質は、EGFRの細胞外の部分(リガンドの結合を阻止できる場合もあり阻止できない場合もある)に外的に結合することが可能であり、または化学剤の場合はチロシンキナーゼドメインに内的に結合することも可能であるということを、理解されたい。EGFR に結合するEGFR拮抗物質の例には、EGFRに特異性を有する抗体(およびその機能的同等物)などの生物剤、およびEGFR の細胞質ドメインに直接作用する合成キナーゼ抑制剤などの化学剤(小分子)が含まれるがそれらに限定されるものではない*14
【0140】
腫瘍形成に関与している成長因子受容体のその他の例には、血管内皮増殖因子 (VEGFR-1 および VEGFR-2)、血小板由来成長因子(PDGFR)、神経成長因子(NGFR)、線維芽細胞成長因子(FGFR)などの受容体がある。
【0141】
組み合わせ療法では、セラミューテイン抑制剤を、別の薬剤との治療開始の前、治療の途中、あるいは治療の後に、また、それらのタイミングを組み合わせて、投与する。すなわち、抗腫瘍剤治療を開始する前と治療の途中に、治療の前と後、治療の途中と後、治療の前と途中と後に、投与する。例えば、セラミューテイン抑制剤を、放射線治療を開始する1日から30日前、好ましくは3日から20日前、より好ましくは5日から12日前に、投与することができる。本発明の好ましい実施例では、抗体療法の前に、同時進行で、あるいはより好ましくはその後に、化学療法を行なっている。
【0142】
本発明においては、いかなる適切な方法または投与経路を用いて、セラミューテイン抑制剤を投与してもよく、任意に、抗腫瘍剤および/またはその他の受容体の拮抗物質を同時投与してもよい。本発明に従って使用できる抗腫瘍剤治療計画には、患者の腫瘍状態の治療に最適と考えられるいかなる治療計画をも含まれる。悪性度が異なれば、特異的な抗腫瘍抗体および特異的な抗腫瘍剤の使用が必要となる場合もあり、それは一人一人の患者の状態に基づいて決定する。投与経路には、経口、静脈内、腹腔内、皮下、あるいは筋肉内投与が含まれる。拮抗物質の投与量は、多くの因子に拠るが、それらの因子には、例えば、拮抗物質の種類、治療している腫瘍の種類とその重症度、および薬剤の投与経路がある。しかし、本発明は、いかなる特殊な方法あるいは投与経路にも限定されるものではないということを、強調すべきである。
【0143】
適切な担体には、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなどのうちの一つあるいはそれ以上、さらにそれらの組み合わせが含まれる。担体はさらに、例えば、湿潤剤または乳化剤、防腐剤または緩衝剤などの、少量の補助剤から成り、これらは、有効成分としてのセラミューテイン・モジュレーターの有効期限または効用を高めるものである。当該の成分は、当業において公知であるように、哺乳動物に投与した後、有効成分の即即放性、徐放性、放出遅延を提供するように、製剤化することが可能である。
【0144】
本発明の成分は、多様な剤型を取ることが可能である。これらの剤型には、例えば、固体、半固体、および液体の剤型があり、錠剤、丸薬、粉剤、溶液、分散剤または懸濁剤、リポソーム、坐薬、注射注入可能または点滴注入可能な溶液が含まれる*15。好ましい剤型は、意図した投与モードおよび治療適用に拠る。
【0145】
本発明のそのような成分を、製薬業で公知の方法で調製する。当該成分を調製する過程において、通常、有効成分を担体と混合するか、あるいは担体で希釈し、および/または担体内に密封する(例えば、カプセル、サチェット、紙、その他の容器の形態の担体)。担体が希釈剤として使われている場合は、担体は、固体、半固体、および液体の物質であることが可能で、有効成分のビヒクル、賦形剤、あるいは媒質としての役割を持つ。このように、当該成分は、錠剤、ロゼンジ錠、サチェット、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、エアロゾル(固体または液体媒質として)、重量で例えば最高10%の有効成分を含む軟膏、ソフトおよびハードゼラチンのカプセル、坐薬、注射液、懸濁剤、滅菌包装粉剤、および局所用貼薬の剤型を取ることが可能である。
【0146】
本発明の方法および成分は、ウサギ、ラット、ネズミなどの哺乳動物に投与することができるということを、理解されたい。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0147】
本発明による化合物群は、塩類として存在してもよい。本発明の文脈において、好ましい塩類は、薬学的に許容可能な塩類である。薬学的に許容可能な塩類とは、本発明の化合物の酸性付加塩または塩基性付加塩を意味し、そのような塩類で得られる対イオンは当業において一般的に薬学的用途に使用可能であると理解されている。薬学的に許容可能な塩類は、無機酸または有機酸を含む本発明の化合物群の塩類であってよい。好ましい塩類は、塩酸、臭化水素酸、リン酸あるいは 硫酸のような無機酸を含む塩類、あるいは酢酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、のような有機カルボン酸;あるいはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、あるいはナフタリンスルホン酸などの有機スルホン酸を含む塩類である。薬学的に許容可能な塩類は、本発明による化合物群の金属塩類またはアンモニウム塩類であってもよい。特に好ましい塩類は、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはカリシウム塩類であり、さらにアンモニウムまたは有機アミンに由来するアンモニウム塩類であり、アンモニウム塩類の例には、エチルアミン、ジ-エチルアミンまたはトリ-エチルアミン、ジ-エタノールアミンまたはトリ-エタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、アルギニン、リシン、エチレンジアミンあるいは2-フェニルエチルアミンがある(Berge et al. J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照されたい)。
【0148】
1.本出願全体において、多様な出版物、参考文献、教科書、技術マニュアル、特許、および特許出願に言及している。これらの出版物、特許、特許出願、およびその他の文献は、本発明の関連する現在到達し得る最先端の技術水準をよりよく説明するために、そのまま参考として本明細書に組み入れられている。
2.本明細書に開示されている本発明の原理の改変は、当業者により行なわれてよく、そのような改変は本発明の範囲内に含められるように意図されているということが、理解され予測されるべきである。
3.以下の例は、本発明をさらに説明しているが、いかなる形態でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。ベクターおよびプラスミドの構築、ポリペプチドをコード化する遺伝子のそのようなベクターおよびプラスミドへの挿入、プラスミドの宿主細胞への導入、および遺伝子および遺伝子製品の発現と発現の定量において使用されているような従来の方法群の詳細なる説明は、以下の多くの出版物から得ることができる:Sambrook, J et al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press;Coligan, J. et al. (1994) Current Protocols in Immunology, Wiley & Sons, Incorporated;Enna, S.J. et al. (1991) Current Protocols in Pharmacology, Wiley & Sons, Bonifacino, J.S. et al. (1999) Current Protocols in Cell Biology, Wiley & Sons, and U.S. Patent 4,980,281。本明細書に記載されている参考文献は全てそのまま組み入れられている。
【0149】
[実施例]
p210Bcr-Abl-T315I は、イマチニブメシレート(商品名グリベック、STI-571)による抑制に対し耐性を有するp210Bcr-Abl タンパク質(p210Bcr-Abl)のセラミューテインである。部位315における突然変異は、スレオニン残基をイソロイシン残基に変換する突然変異であり、耐性を有する患者または疾患が再発した患者に観察されるいくつかの突然変異のうちの一つの突然変異である。しかし、この突然変異は、いままで同定されたそのようなセラミューテインで最も耐性が強い。
【0150】
p210Bcr-Abl-T315I セラミューテインを過剰発現するように作製されたBa/F3細胞ラインについて、フェノレスポンスを定量した。形質転換していないBa/F3 細胞およびp210Bcr-Abl-wtプロトセラミューテインを発現するBa/F3細胞に比較して、当該のフェノレスポンスを定量した。当該フェノレスポンスは、対照の形質転換していないBa/F3 細胞ラインに比較して、類似した培養条件下において、より高い細胞飽和密度まで増殖するT315I突然変異体の能力であり、またインターロイキン 3 (IL-3)(このインターロイキン は、対照の形質転換していないBa/F3 細胞ラインを維持するためには必須であった)の不存在下で増殖するT315I突然変異体の能力であった。当該のフェノレスポンスを、上記の教示に従って、定義し特徴付けた。
【0151】
使用した検知系は、高速細胞画像および計数システムであった。このシステムにおいて、3μlの質量の細胞を5μlオプティカルマイクロセルを用いて順次注入し、デジタル映像を作成し、電子的に保存し、スキャンし、計数した。これらの手順は全て、マイクロコンピュータの制御システムを使って行なった。このシステムは、最小500μlのサイズの検体を培養から直接計数する能力を有し、最少12,500個の細胞しか含まない培養検体から統計的に有意な総細胞数を提供する。細胞計数の表示している図の作成および細胞の生存度の検定には、全てこのシステムを用いた。細胞計数の実行と同時に、このシステムは全体の細胞の生存度を定量する能力を有し、当該計数プロセスは、トリパンブルー色素を取り込まなかった計数済みで撮像済みの細胞(「生存」細胞として計数された細胞)、トリパンブルー色素を取り込んだ細胞(「死細胞」として計数された細胞)を区別することにより行なう。トリパンブルー色素の細胞検体への取り込みは、細胞を同時に計数し撮像するために検体が順次マイクロセルに注入される直前に起こる。
【0152】
当該システムを、高スループットのスクリーニング装置の作業の流れに統合し、感受性が高く正確な細胞計数、および信頼性がより高く、XTT またはAlamar blueなどの代謝性生存度に基づいた細胞検定法の誤謬をおこすような効果の影響を受けにくい細胞の生存度検定システムを提供することができる。
【0153】
最初に、約113,000個の化合物を、10μM から20μMの濃度でスクリーニングし、なんらかの手段でp210Bcr-Abl-T315I セラミューテインを過剰発現しているBa/F3 細胞( Ba/F3 T315I 細胞)の成長に影響を及ぼす能力を有するサブセットを同定した。
【0154】
合計で約11,760個の化合物が50%を超える成長抑制を示し、この数は、約4500の化学種に相当すると思われた。これらの化合物を同じ細胞ラインを用いて再テストし、化合物の反応性のデータベースを作成した。このデータベースを分類し、高い総括成長抑制を呈する化合物に従って階級付けした。この階級付けデータベースから、最も得点の高い130個の化合物(化合物がテストされた最も低い濃度で観察された最強の成長抑制度に基づいて選択した)を、定義された細胞レベルのアッセイ系において、本発明の方法群に従って、Ba/F3 T315I を被験細胞として用い、野生型Ba/F3 を対照細胞として用い、再スクリーニングした。対象の化合物は、形質転換をしていない野生型のBa/F3細胞に比べて、p210Bcr-Abl-T315I セラミューテインを発現しているBa/F3細胞の成長を特異に抑制した化合物であった。望ましい判断基準を満たす6個の化合物を同定し、これら6個の化合物のうちいくつかの化合物をBa/F3 p210Bcr-Abl-wt 細胞ライン(Ba/F3 P210細胞)をも使って、さらに詳細に分析した。さらにテストを行なうためにある化合物を入手したかったが、その化合物は、当該の化学物質サプライヤーから材料が入手できなかったため、入手不能となった。残りの5個の化合物をそれぞれ個別に、前記の細胞ラインを用いた細胞レベルのアッセイで、さらに野生型P210 Bcr-AblとP210 T315I 変異体キナーゼドメインの双方から分離した組換えにより作製したヒト120 Kdキナーゼドメイン断片用いたセルフリー精製タンパク質キナーゼアッセイで、さらに評価した。
【0155】
図4に示したように、自己燐酸化活性の抑制により測定されたところによると、これらの5個の化合物の全部が、p210Bcr-Abl-T315I 120 Kd 活性を抑制した。このように、スクリーニングした113,000個以上の化合物 の中から、最も得点の高かった6個のうち、少なくとも5個の化合物がp210Bcr-Abl-T315I 突然変異体を直接抑制した。化合物第5番が組換えタンパク質バンドをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動ゲル上に広げるように思われるということは、特筆に値する。これは、銀染色ゲル上でも明らかであった(データは示していない)。この化合物は実際に、POIに共有結合的にクロスリンクしその活性を永久的に抑制する「自殺抑制剤」なのかもしれないが、これについてはさらに研究が必要である。
【0156】
本発明の教示および本明細書に記載されている結果を一緒にすれば、当該のシステムが、選択されたセラミューテインの抑制剤または活性化剤を同定する能力を有するという決定的な証拠が提供され、熟練研究者は、そのようなシステムをその他のいかなるセラミューテインにも簡単且つ微小な改変をすることにより容易に応用することができるということを即座に認識するであろう。
【0157】
野生型の形質転換をしていないBa/F3 細胞に比較した、Ba/F3 T315I細胞ラインの成長の選択的抑制を実証する細胞レベルのアッセイ結果の代表的な例を、図1および図2に示した。当該の化合物は、野生型の形質転換をしていないBa/F3 細胞(p210Bcr-Abl-wt および p210Bcr-Abl-T315Iのどちらも発現していない)の成長と細胞生存度が比較的に影響を受けない濃度において、成長を抑制し、T315I セラミューテインを発現する細胞の生存度を減少させた;一方、当該の化合物は、プロトセラミューテインとセラミューテインとの双方を発現する細胞を、実質的に抑制した。ある場合においては、T315I を発現する細胞は、P210 プロトセラミューテインを発現する細胞に比較して、より強力に抑制された(例えば、図3、右側、P210 細胞および T315I 細胞 に対する化合物第3番の結果を参照されたい)。
【0158】
要約すると、本明細書に記載されている方法群は、あらゆるセラミューテインのモジュレーターを作製し同定する汎用アプローチの形で、根本的な進歩を提供する。得られた結果により、ある患者集団では一様に死に至り、現在治療不可能である獲得された薬剤耐性の特異種を克服するために強く必要とされている化合物群を同定する当該方法の力が決定的に実証されている。さらに、本明細書に説明されているテクニック群および方法群は、臨床的重要性を有するいかなる潜在的セラミューテインに対しても、簡単な改変を通して容易に一般化することができるということは、当業者には明らかである。
【0159】
約100,000個の化合物がある程度の成長抑制を呈した100,000個の化合物の第一スクリーニングから、最も可能性の高い成長抑制物質を本明細書に詳細に説明している方法を用いて再スクリーニングし、6個の独特な化合物を同定し、さらに次のテストを行なったこれらの化合物の全部が(1個の化合物が入手不能で、テストを行なうことができなかった)T315I突然変異体を用いたセルフリー精製タンパク質キナーゼアッセイで抑制活性を呈したということは、注目に値する。そのような注目に値する結果に基づき、上記の項に記載した教示および本明細書に参考として組み入れている文献に従ってフェノレスポンスを適切に選択し定義する限り、いかなるセラミューテインの抑制剤または活性化剤の同定についても、当該の方法を効果的に応用することができるということは、当業者には即座に明白になるであろう。例えば、前述の知識があれば、当業者は、薬剤耐性を発生させる突然変異を呈するとして知られているその他のプロトセラミューテイン群に由来するセラミューテイン(そのようなセラミューテインの例には、c-キット 遺伝子製品または上皮成長因子(EGF) 受容体 (EGFR)、または血小板由来成長因子(PDGFR)受容体α およびβがある)の抑制剤群を同定するアッセイ系を容易にデザインすることができるであろう。その対応するフェノレスポンスが検知可能であるいかなる種の哺乳動物細胞に発現しているいかなるセラミューテインにも利用することができるという当該方法の能力に関し、当該方法の功利性に対し推察によりいかなる限定をも課してはならない。
【0160】
全ての出版物、特許、またはその他の引用への参照は、参考として本書に組み入れられている。
【0161】
[参考文献]







【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、ヒトにおける腫瘍性疾患あるいは増殖性の障害を治療する方法であり、
【化1】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R2 は、-CR21a-、-NR22b-、および-(C=R23)-から選択されており;
R21 は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(C1-3 アルキル)、-N(C1-3 アルキル)2、-O-(C1-3 アルキル)、OH および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R23 は、O、S、N-R0、およびN-OR0から選択されており;
R3は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、 -NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R2が-NR22b- であり R4が-NR42f-であればR3は-NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
c is 1 or 2; cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1であることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
X1 が Nである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X2 がNである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
構造式Ia を有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化2】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいは C-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R3 は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、-NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R4 が -NR42f-であればR3 は -NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1であることを特徴とする前記方法。
【請求項5】
X1 がNである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
X2 がNである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
構造式Ib を有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化3】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R4 は、-CR41e-、-(C=R43)-、および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1であることを特徴とする前記方法。
【請求項8】
X1がNである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
X2がNである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
構造式IIを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化4】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており;
R9 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項11】
X1がNである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
X2がNである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
構造式IIaを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化5】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており;
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されているであることを特徴とする前記方法。
【請求項14】
X1がNである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
X2がNである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
構造式IIbを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化6】

式中、
R14 は、H およびF から選択されており;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており;
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R60 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR0、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;
R61 は、アリルおよび複素環から選択されており;
Q は、化学結合あるいは-O-、 -(CH2)i-、-(CH2)iC(O)(CH2)j-、 -(CH2)i-N(R62)-(CH2)j-、 -(CH2)iC(O)-N(R62)-(CH2)j-、-(CH2)iC(O)O(CH2)j-、 -(CH2)iN(R62)C(O)-(CH2)j-、 -(CH2)iOC(O)N(R62)-(CH2)j-、および -O-(CH2)i-C(O)N(R62)-(CH2)j-の化学式群を有する基から選択されており;
R62は、アリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
hは、0 から4 であり;
iは、0 から4 であり;さらに
jは、0 から4 であることを特徴とする前記方法。
【請求項17】
構造式IIIを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化7】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R10 は、-Y'-R18から選択されており;
Y' は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、およびOR0により置換されており;
R18は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項18】
X1がNである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
X2がNである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
構造式IIIaを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化8】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項21】
X1がNである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
X2がNである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
構造式IVを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化9】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R44は、H、アルキル、シクロアルキル、-(C=O)R0、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R45は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項24】
X1がNである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
X2がNである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
構造式Vを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化10】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルから選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R56は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項27】
X1がNである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
X2がNである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
構造式Vaを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化11】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
X3 は、NあるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項30】
X1がNである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
X2がNである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
構造式VIを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化12】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R56は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項33】
X1がNである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
X2がNである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
構造式IVaを有する化合物の治療上効果的な量を投与することから成る、請求項1に記載の方法であり、
【化13】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
X3 は、NあるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、 アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項36】
X1がNである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
X2がNである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
構造式Iを有する化合物をヒトに投与することから成る、P210BCR-ABL-T315I セラミューテインを抑制する方法であり、
【化14】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R2 は、-CR21a-、-NR22b-、および-(C=R23)-から選択されており;
R21 は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(C1-3 アルキル)、-N(C1-3 アルキル)2、-O-(C1-3 アルキル)、OH および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R23 は、O、S、N-R0、およびN-OR0から選択されており;
R3 は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、 -NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R2 が-NR22b- であり R4 が -NR42f-であればR3 は -NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
c is 1 or 2; cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1であることを特徴とする前記方法。
【請求項39】
構造式Ia を有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化15】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいは C-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R3 は、-CR31c- 、-NR32d-、および -(C=R33)-から選択されており;
R31 基は、H、ハロ、-NH2、-N(H)(R0)、-N(R0)2、-O-R0、OHおよびC1-3 アルキルからそれぞれ選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R33 は、O、S、N-R34、およびN-OR0から選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R4 は、-CR41e-、-NR42f-、 -(C=R43)-、 および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R42 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、R4 が -NR42f-であればR3 は -NR32d-でなく、さらにR3 およびR4 の双方が-(C=R33)- と -(C=R43)-とからそれぞれ同時に選択されているのではないという条件で、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1であることを特徴とする前記方法。
【請求項40】
構造式Ib を有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化16】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R32 基は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R4 は、-CR41e-、-(C=R43)-、および -O-から選択されており;
R41は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、 C(O)R0、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ選択されており;
R43は、O、S、N-R0、およびN-OR0からそれぞれ選択されており;
R5 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
aは、1 あるいは2であり;
bは、0 あるいは1であり;
cは、1 あるいは2であり;
dは、0 あるいは1であり;
e は、1 あるいは2であり、さらに
fは、0 あるいは1であることを特徴とする前記方法。
【請求項41】
構造式II を有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化17】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており;
R9 は、-Y-R6 および-Z-R7から選択されており;
Yは、化学結合、O、NR0から選択されており;
R6 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
Zは、1 個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり、任意に1 個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、NO2、およびOR0と置換されており;
R7 は、H であるか、あるいはアリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項42】
構造式IIa を有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化18】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており;
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項43】
構造式IIb を有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化19】

式中、
R14 は、H およびF から選択されており;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており*5
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R60 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR0、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;
R61 は、アリルおよび複素環から選択されており;
Q は、化学結合あるいは-O-、 -(CH2)i-、-(CH2)iC(O)(CH2)j-、 -(CH2)i-N(R62)-(CH2)j-、 -(CH2)iC(O)-N(R62)-(CH2)j-、-(CH2)iC(O)O(CH2)j-、 -(CH2)iN(R62)C(O)-(CH2)j-、 -(CH2)iOC(O)N(R62)-(CH2)j-、および -O-(CH2)i-C(O)N(R62)-(CH2)j-の化学式群を有する基から選択されており;
R62は、アリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
hは、0 から4 であり;
iは、0 から4 であり;さらに
jは、0 から4 であることを特徴とする前記方法。
【請求項44】
構造式IIIを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化20】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R10 は、-Y'-R18から選択されており;
Y' は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R18は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項45】
構造式IIIaを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化21】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項46】
構造式IVを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化22】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルからそれぞれ独立して選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R44は、H、アルキル、シクロアルキル、-(C=O)R0、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R45は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項47】
構造式Vを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化23】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R22 は、H および C1-3 アルキルから選択されており;
R34 は、H、NO2、CN、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R56は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項48】
構造式Vaを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化24】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
X3 は、NあるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項49】
構造式VIを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化25】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
R56は、-Y"-R19から選択されており;
Y" は、化学結合、O、NR0-、および1個から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択されており、さらに任意に、1個あるいはそれ以上のハロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CO2R0、 C(O)R0、C(O)N(R0)2、CN、CF3、N(R0)2、 NO2、 およびOR0により置換されており;
R19は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CF3、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項50】
構造式VIaを有する化合物を投与することから成る、請求項38に記載の方法であり、
【化26】

式中、
A環は、5-、6-、または7-員環、あるいは7- から12-員の融合二環式環であり;
X1は、N、N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
X2は、N, N-R0 あるいはC-R1から選択されており;
破線は任意の二重結合を表しており;
R1 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR11、-(CH2)pC(O)(CH2)qR11、-(CH2)pC(O)N(R12)(R13)、-(CH2)pC(O)O(CH2)qR11、-(CH2)pN(R11)C(O)R11、-(CH2)pN(R12)(R13)、-N(R11)SO2R11、-OC(O)N(R12)(R13)、-SO2N(R12)(R13)、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR1 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
nは0 から6であり、
R11 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
R12 および R13 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR12 および R13 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
pは、0から4であり;
qは、0から4であり;
R55は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から選択されており;
X3 は、NあるいはC-R50であり;
R50 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、 CF3、NO2、OR51、-(CH2)rC(O)(CH2)sR51、 -(CH2)rC(O)N(R52)(R53)、 -(CH2)rC(O)O(CH2)sR51、-(CH2)rN(R51)C(O)R51、 -(CH2)rN(R52)(R53)、 -N(R51)SO2R51、 -OC(O)N(R52)(R53)、 -SO2N(R52)(R53)、 ハロ、アリル、 および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており、さらに付加的にあるいは二者択一的に、隣り合わせた環の原子上の二つのR50 基が、0個から3個のヘテロ原子を含む5- または 6-員の融合環を形成しており;
R51は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、 アリル、および複素環から選択されており;
R52 および R53 は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており; あるいはR52 および R53 は、それらが結合している窒素と共に選択され、さらなるヘテロ原子を任意に含む5- から7- 員環を形成し;
rは、0 から4 であり;
sは、0 から4 であり;
mは、0 から4 であり;さらに
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されていることを特徴とする前記方法。
【請求項51】
構造式IIb を有する化合物であり、
【化27】

式中、
R14 は、H およびF から選択されており;
R8は、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R0、C(O)R0、 アラルキル、アリル、および複素環から成る群から選択されており*5
X3 は、N、CH あるいはC-R50であり;
R60 は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、CN、CF3、NO2、OR0、ハロ、アリル、および複素環から成る群からそれぞれ独立して選択されており;
R61 は、アリルおよび複素環から選択されており;
Q は、化学結合あるいは-O-、 -(CH2)i-、-(CH2)iC(O)(CH2)j-、 -(CH2)i-N(R62)-(CH2)j-、 -(CH2)iC(O)-N(R62)-(CH2)j-、-(CH2)iC(O)O(CH2)j-、 -(CH2)iN(R62)C(O)-(CH2)j-、 -(CH2)iOC(O)N(R62)-(CH2)j-、および -O-(CH2)i-C(O)N(R62)-(CH2)j-の化学式群を有する基から選択されており;
R62は、アリルおよび複素環から選択されており;
R0は、H、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリル、および複素環からそれぞれ独立して選択されており;
hは、0 から4 であり;
iは、0 から4 であり;さらに
jは、0 から4 であることを特徴とする前記化合物。
【請求項52】
ある物質が、検知可能なフェノレスポンスを引き出す能力を有するセラミューテインの抑制剤または活性化剤であるか否かを判断する方法であり、
a) 実質的に一定のレベルで当該のセラミューテインを発現する第一の細胞を当該の物質を用いて培養する段階と、
b) 実質的に一定のレベルで対応するプロトセラミューテインを発現する第二の細胞を当該のプロトセラミューテインの既知の抑制剤または活性化剤を用いて培養する段階と、
c) 当該の第二の細胞の当該の既知の抑制剤または活性化剤に対するフェノレスポンスを当該の第一の細胞の当該物質に対するフェノレスポンスと比較する段階と、さらに
d) 当該の第二の細胞のフェノレスポンスが当該のプロトセラミューテインの既知の抑制剤または活性化剤により抑制または活性化される程度と比較して、少なくとも同程度に、当該の第一の細胞のフェノレスポンスが抑制または活性化されることを判断し、それにより当該物質を当該のセラミューテインの抑制剤または活性化剤として同定する段階とから成ることを特徴とする前記方法。
【請求項53】
当該のセラミューテインを発現する細胞の当該物質に対するフェノレスポンスが、当該のプロトセラミューテインを発現する細胞の当該のセラミューテインの既知の抑制剤または活性化剤に対するフェノレスポンスと比較して、より強力である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ある物質が、あるセラミューテインの特異な抑制剤または特異な活性化剤であるか否かを判断する方法であり、
a)当該セラミューテインを発現し検知可能なフェノレスポンスを発生させる被験細胞を提供する段階と、
b) 当該被験細胞を当該物質で処理する段階と、
c) 処理した細胞を検査し、当該フェノレスポンスが当該物質による処理により調整されている否かを判断する段階とから成ることを特徴とする、前記方法。
【請求項55】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインがシグナル形質導入カスケードの構成要素である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項56】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインが酵素である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項57】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインがタンパク質キナーゼである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項58】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインがチロシンキナーゼである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項59】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインが受容体チロシンキナーゼである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項60】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインがp210Bcr-Ablである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項61】
当該のセラミューテインまたはプロトセラミューテインがp210Bcr-AblのT315I突然変異体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項62】
フェノレスポンスが、当該細胞の培養上の、形態上の、または一過性の特徴における変化である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項63】
当該のフェノレスポンスが、当該セラミューテインの細胞内基質のリン酸化を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項64】
当該のフェノレスポンスが、細胞成分分画上で検知される、当該細胞の請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−5810(P2013−5810A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−195996(P2012−195996)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2007−515309(P2007−515309)の分割
【原出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(506392791)ハウシー・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (2)
【出願人】(506392470)
【Fターム(参考)】