説明

セリシステム

【課題】平均成約価格を高くでき、期間を通して成約価格の変動が小さく、総売上を多くできるセリシステムの提供。
【解決手段】セリシステムXのセリ市場側装置2は、2単位以上の応札単位を入力した大口買受人と1単位の小口買受人とに買受人らを分ける規模判別手段24と、大口買受人らが入力した応札価格は1.2倍して評価価格とし、小口買受人らが入力した各々の応札価格はそのまま評価価格とし、総単位量まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とする応札を行う分配手段25とを備える。このセリシステムXでセリを行えば、平均成約価格を高くでき、期間を通して成約価格の変動が小さく、総売上を多くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入荷が不安定で、長期の保存が効かない生鮮物のセリを行うセリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
市場に入荷する大量の生鮮物を短時間に取り引きする必要があるので、近年、手セリから機械セリ(非特許文献1、2参照)へ移行してきている。
【非特許文献1】“きぬた花きへようこそ。”、[online]、株式会社東京・砧花き、[ 平成16年7 月22日検索] 、インターネット<URL:http://www.kinuta-kaki.co.jp/pages/siset.html >
【非特許文献2】“明電舎:情報・通信分野:花き市場総合情報化システム”、[online]、株式会社明電舎、[ 平成16年7 月22日検索] 、インターネット<URL:http://www.meidensha.co.jp/pages/prod16/prod16-4d _5.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械セリは、長期的視野に立った仲卸業者を中心とする大口買受人の継続的購買力や価格調整機能を評価せず、その場で示された価格のみが評価される。また、最初の落札者が決まると、残りの商品を同じ応札価格で分配してもらえる希望者(マリ)を先着順で募集する、マリ有り方式の機械セリも行われている。
この様な機械セリは、以下に示す課題がある。
【0004】
・マリ有り方式の機械セリの場合、最初の落札者が決まるとマリを先着順で募集するので、買受人らの応札価格が評価されず(応札価格の高い順に残りの商品が分配されない)、ボタンを早く押すことができる反射神経が評価される。この様な分配は、経済学的に非効率であるので消費余剰を削ることになり、追加需要を生み難く、商品寿命を縮める結果となる。
・機械セリは、需要の動向に敏感に反応する。このため、相場が激しく乱高下する。例えば、初出荷の商品や人気商品の出始めは引き合いが強く、価格が高騰する。
【0005】
・機械セリは、以下に示す理由により、長期的視点に立った価格調整ができないとともに、商品の売れ残りが発生し易い。
卸売市場が担当する地域は決まっており、取引契約を交わした買受人と市場との間でセリ取引が行われる。このため、セリ取引で商品を仕入れた買受人は、その商品を売り切るまでの間、同一商品の仕入れを行わないのが現実的である。また、図5の需要曲線のイメージに示す如く、セリの進行に従って需要(取引価格、取引量)が逓減していく傾向を示す。
【0006】
農産物等(生鮮物)の出荷は、一定期間、継続されることから、最大の売上高をセリ市場が図るためには、人気商品や初出荷商品の価格の高騰を抑え、一定期間を通して安定した価格で売り抜くことが必要とされる。手セリの場合には、セリ人が大口買受人を中心に分配を行っていたので、初期の高騰を抑え、一定期間を通して安定価格で長く売ることができた。これに対して、機械セリの場合には、忠実にその場の需要に反応するので出荷初期の高騰を招くとともに、セリ末期に商品が売れ残り易い。
【0007】
・機械セリの場合は、相場が下がるのが早く、低価格化が進む。
・生産者から指示された指し値を落札価格が下回り易い。
・大ロット出荷すると相場が下がり易い。
【0008】
・機械セリは、以下に示す理由により、セリで商品を大量に購入する大口買受人に不利である。
表1は、或る県の或る花きの大規模市場(機械セリ方式)に登録されている買受人の業種別購入状況(2002年の実例)である。
この表から判る様に、大口買受人(卸売業者、地方市場、量販店)は、小口買受人である小売店と比べ、明らかに購入額が大きい。
これは、大口買受人は、セリで仕入れた商品を小売店等に再販売したり支店に分配して捌くのに対し、小売店は、直接、消費者に小売りすることによる。
【0009】
【表1】

【0010】
表2は、上記大規模市場の大口買受人と小口買受人の取引状況の比較である。
【0011】
【表2】

【0012】
大口買受人の年間購入額と小口買受人の年間購入額との割合は、約3:1(76.5%:23.5%)であるが、1社あたりの1日の平均購入量では、約4:1(4774:1328)である。
大口買受人は、再販売や大量流通で捌くので、次の需要が発生するまでの時間が短く、短期間にセリで商品を仕入れる。これに対して、小口買受人は、小売りで消費者に販売するので、次の需要が発生するまでの時間が長く、売場の在庫が無くなるまで仕入れを行わない。
期間を通して見れば、大口買受人は、小口買受人に比べて4倍の購入力の差が有るのに、機械セリのため、1アイテム当たり小口買受人の約1.5倍の購入数量である。
【0013】
目盛に沿って変化する針の動きを買受人がボタンを押してストップさせて落札価格が決まる機械セリの場合は、全ての買受人が同じ場所に集まってセリを行うという同時性を必要とする。
この様なストップ式の機械セリでは、通信回線を介してセリに参加する買受人は不利である。また、離れた場所に買受人ら(全員)がいる場合には、通信速度が遅く、通信遅れが大きい買受人程、不利である。
【0014】
本発明の第1の目的は、平均成約価格を高くでき、期間を通して成約価格の変動が小さく、総売上を多くできるセリシステムの提供にある。
本発明の第2の目的は、同時性を必要とせず、離れた場所から通信回線を介して優劣無くセリに参加することができるセリシステムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
〔請求項1について〕
セリシステムは、セリに参加する買受人が操作する複数の取引参加端末と、市場側に設置されたセリ市場側装置とにより構成される。
取引参加端末は、買受人が応札価格とその応札単位を入力するための応札情報入力手段と、応札情報やセリ情報を送受信する端末側通信手段と、セリ情報が表示される表示手段とを有する。
【0016】
取引参加端末の応札情報入力手段は、セリに参加する買受人が、セリ取引される生鮮物に対して、購入したい応札価格とその応札単位を入力するためのものである。
取引参加端末の端末側通信手段は、セリ市場側装置の通信手段から送られるセリ情報を受信する。また、取引参加端末の応札情報入力手段から買受人が入力した応札情報(応札価格や応札単位等)をセリ市場側装置の通信手段へ送信する。
取引参加端末の表示手段には、セリ情報(セリ取引される生鮮物の総単位量等の商品情報、セリの進行状態、および応札結果等)が表示される。
【0017】
セリ市場側装置は、情報の送受信を行う通信手段と、買受人を分ける規模判別手段と、応札を行う分配手段とを備える。
通信手段は、各取引参加端末の端末側通信手段との間で、セリ情報や応札情報の送受信を行う。
規模判別手段は、セリ中の生鮮物に対して、複数の買受人が取引参加端末の応札情報入力手段から入力した応札価格を、通信手段が受信した応札情報に基づいて集計し、その生鮮物のセリに対して各買受人を、所定単位r以上の応札単位を入力した大口と、所定単位r未満の応札単位を入力した小口とに分ける。
【0018】
分配手段は、大口と判別された各買受人が入力した各々の応札価格はm倍して評価価格とし、小口と判別された各買受人が入力した各々の応札価格はそのまま評価価格とし、総単位量まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とする応札を行う。
【0019】
〔請求項2について〕
生鮮物は、入荷が不安定で長期の保存が効かず短期間に消費される、花き、農産物、畜産物、または海産物である。
【0020】
〔請求項3について〕
セリ中の生鮮物に対して買受人が、取引参加端末の応札情報入力手段から応札価格とともに入力した応札単位に対し、応札単位≧所定単位rを大口とし、応札単位<所定単位rを小口とする選別に用いる所定単位rの取り得る範囲は、2〜33 が好適である。
なお、単位とは、セリ中の生鮮物を買受人が買うことができる個数であり、1、2、3…の様な整数である。
r=1であると大口と小口の選別が行えなくなる。また、通常、33 を超える様な単位でセリを行わないのでr≦33 とする。
【0021】
大口と判別された買受人らが入力した各々の応札価格をm倍して評価価格とするmの値は、1 を超え、1.5未満の値が好適である。
m=1は通常の分配であるので、mは1を超える値にする必要がある。
また、mの値が1.5以上であると、小口の買受人の購買意欲を著しく減退させるので、通常の分配(m=1)よりも総売上が減少してしまう。
【0022】
〔請求項4について〕
セリ中の生鮮物に対して買受人が、取引参加端末の応札情報入力手段から応札価格とともに入力した応札単位に対し、応札単位≧所定単位rを大口とし、応札単位<所定単位rを小口とする選別に用いる所定単位rは、生鮮物の総単位量や市場規模に応じて決める。 例えば、セリに出される生鮮物の総単位量が多い場合や、市場規模が大きい場合には、大口の敷居を高くするため、所定単位rを3、4、5、6…と大きく設定する。
【0023】
〔請求項5について〕
(大口の買受人の購買力):(小口の買受人の購買力)が大きい程、大口の買受人を有利にする必要があるので、大口の買受人らの各々の応札価格をm倍して評価価格とするmの値を大きく設定する。
セリに出される生鮮物の総単位量が多い程、セリ取引の期間が長くなるので、大口の買受人を有利にするため、総単位量が多い程、所定単位rを大きく設定する。
セリ開始初期は、大口の買受人に相場を支えて貰うため、大口の買受人を有利にするため、セリ開始からの経過時間が短い程、mの値を大きくする。
【発明の効果】
【0024】
〔請求項1について〕
セリシステムは、規模判別手段が、複数の買受人が取引参加端末の応札情報入力手段から入力したセリ中の生鮮物に対する応札価格を、通信手段が受信した応札情報に基づいて集計し、その生鮮物のセリに対して買受人を、所定単位r以上の応札単位を入力した大口と、所定単位r未満の応札単位を入力した小口とに分ける。そして、セリ取引される生鮮物に対する、大口の買受人の応札価格をm倍して評価価格とし、小口の買受人の応札価格はそのまま評価価格とし、総単位量まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とし、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とする応札を分配手段が行う構成である。
【0025】
これにより、大口の買受人の生鮮物に対する継続的購買力と価格調整機能とが評価され、大口の買受人が小口の買受人よりセリ取引が有利になり、以下に示す利点が生じる。
・需要の動向に敏感に反応しなくなり、期間を通して成約価格の変動が小さく、相場が安定する。
・長期間の視点に立った価格調整ができ、生鮮物の売れ残りが発生し難くなる。
・平均成約価格を高くでき、価格の維持が図れる。
・生産者が生鮮物を大ロット出荷しても、相場が下がり難い。
・セリ市場側において、セリ期間の総売上を多くできる。
・最初の落札者が決まるまで待ち、決まった瞬間にボタンを早押してマリに参加するという、買受人のマリ待ち戦略を完全に排除できる。
・セリシステムは、全ての買受人が同じ場所に集まってセリを行うという同時性を必要としない。このため、離れた場所から通信回線を介してセリに参加しても不利にならず、在宅の遠隔セリに好適である。この場合、通信環境に左右されず、通信回線の通信速度が遅い場合や、通信遅れがあっても優劣無くセリに参加することができる。
【0026】
〔請求項2について〕
セリシステムは、セリ取引される生鮮物が、入荷が不安定で長期の保存が効かず短期間に消費される生鮮物である場合に効果がある。
例えば、花き、農産物、畜産物、または海産物である。
【0027】
〔請求項3について〕
2≦所定単位r≦33 としているので、大口の買受人と小口の買受人との選別を的確に行うことができる。
また、1 <m<1.5としているので、小口の買受人の購買意欲を著しく減退させることなく、大口の買受人が小口の買受人よりセリ取引を適度に有利にでき、セリ期間の総売上を多くすることができる。
【0028】
〔請求項4について〕
セリに出される生鮮物の総単位量や、市場規模に応じて所定単位rを決める構成であるので、生鮮物の総単位量や市場規模に関わらず、大口の買受人と小口の買受人との選別を的確に行うことができる。
【0029】
〔請求項5について〕
大口の買受人の購買力が大きい程、大口と判別された買受人の割合が大きい程、セリ取引される期間が長い生鮮物程、またはセリ開始からの経過時間が短い程、mの値を大きくする構成であるので、大口の買受人の購買力、大口の買受人の割合、生鮮物のセリ取引期間、またはセリの経過時間に関わらず、大口の買受人を小口の買受人よりセリ取引を適度に有利にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
生鮮物のセリシステムは、セリ情報(商品情報、セリの進行状態、応札結果等)を表示するモニター、応札情報(セリ商品の応札価格、応札単位)を入力するための入力キー、応札情報やセリ情報の送受信を行う端末側通信回路を備え、買受人が操作する取引参加端末と、各取引参加端末の端末側通信回路との間でセリ情報や応札情報の送受信を行う通信回路、上場中の生鮮物に対して複数の買受人が入力した応札情報に基づいて集計し各買受人を大口(2単位以上で応札)と小口(2単位未満で応札)に判別する規模判別手段、大口と判別された各買受人の応札価格を1.2倍して評価価格とし小口と判別された各買受人の応札価格はそのまま評価価格とし、その生鮮物の総単位量まで評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とする応札を行う分配手段を備えるセリ市場側装置とにより構成される。
【0031】
これにより、大口の買受人の生鮮物に対する継続的購買力と価格調整機能とが評価され、大口の買受人が小口の買受人よりセリ取引が有利になり、平均成約価格を高くでき、期間を通して成約価格の変動が小さく、総売上を多くできる。
生鮮物のセリシステムは、最初の落札者が決まるまで待ち、決まった瞬間にボタンを早押してマリに参加するという、買受人のマリ待ち戦略を完全に排除できる。
生鮮物のセリシステムは、同時性を必要とせず、買受人がセリ市場から離れた場所から通信回線を介して優劣無くセリに参加することができる。
【実施例1】
【0032】
本発明の実施例1(請求項1、2、3に対応)を、図1、図2、および表3〜表5に基づいて説明する。
実施例1のセリシステムXは、固有の買受人IDを有する買受人が操作する複数台の取引参加端末1と、落札者と成約価格を決める応札を行うセリ市場側装置2とにより構成される。
【0033】
取引参加端末1は、表示手段であるモニター11、ID読取機12、応札情報入力手段である入力キー13、マイクロコンピュータ14、端末側通信手段である通信回路15、およびスピーカ16等を備え、図示しないセリ市場内の買受人参加席に1台づつ設置されている。
モニター11は、セリ取引される花き(生鮮物)の品名、号数、総単位量、生産地等の商品情報、セリの進行状態、および応札結果等のセリ情報を買受人に報知するためのものである。
なお、商品情報、セリの進行状態、およびセリ情報のモニター11への表示は、セリ商品データベース23に格納された商品のデジタルデータ(画像や音声等)、セリ取引される花きが通過するセリ部屋内を撮影するカメラのライブ映像(動画や静止画)、および落札結果に基づいてマイクロコンピュータ22が作成した文字や数字等が用いられる。
【0034】
ID読取機12は、IDカードを読み取るためのものである。IDカードは、買受人がセリ市場内で携帯するカードであり、買受人の固有のIDを磁気記憶させてある。
入力キー13は、セリ取引される花きを購入したい応札価格およびその応札単位等を入力するための複数のボタンであり、各ボタンの上面には、それぞれ異なる数字が印刷されている。
【0035】
通信回路15は、セリ市場側装置2の通信回路21との間で通信を有線で双方向に行い、セリ市場側装置2から送出されるセリ情報を受信し、入力キー13から入力された応札情報をセリ市場側装置2へ送信する。
応札情報は、各買受人が取引参加端末1の入力キー13で入力した、セリ商品の応札価格と応札単位(花きを購入したい価格と単位数)である。
【0036】
スピーカ16は、セリ市場内で集音されたマイク音声、セリ商品データベース23に格納されたセリ取引中の花きに関する音声による商品説明、セリの進行状態、およびセリの応札結果等を、音声で買受人に報知するためのものである。
【0037】
セリ市場側装置2は、通信手段である通信回路21、マイクロコンピュータ22、セリ商品データベース23等を備え、セリ市場の適所に設置されている。
通信回路21は、複数台の取引参加端末1の通信回路15との間で、通信を有線で双方向に行い、各取引参加端末1から応札情報を受信し、セリ情報を各取引参加端末1へ送信する。
なお、セリ市場側装置2が各取引参加端末1へ送信するセリ情報は、セリ室内でセリ取引される花きの商品情報(品種、号数、総単位量、生産地等)、セリの進行状態(セリ準備中/セリ中/セリ終了)、および応札結果(落札/落札できず、成約価格)等である。
【0038】
セリ商品データベース23には、セリ取引される全部の花きの商品情報が格納されており、セリ取引に連動して機器管理者がスイッチを操作して操作信号を入力すると、該当する花きのデータが、通信回路21、15を介してセリ市場側装置2から取引参加端末1へ送られる。
【0039】
マイクロコンピュータ22は、買受人を大口と小口に分ける規模判別手段24と、応札を行う分配手段25とを、ソフトウェア(プログラム)で構成し、下記に示す様に動作する。
規模判別手段24は、セリの為に上場された花きに対して、全ての買受人が入力キー13で入力した応札価格を、通信手段21が受信した応札情報に基づいて集計し、その花きのセリに対して各買受人を、入力した応札単位が2単位以上(所定単位r以上)である大口と、入力した応札単位が2単位未満(所定単位r未満)の小口とに分ける。
【0040】
分配手段25は、規模判別手段24が大口と判別した買受人らが入力した各々の応札価格を1.2倍(m倍)して評価価格とする。また、規模判別手段24が小口と判別した買受人らが入力した各々の応札価格はそのまま評価価格とする。そして、上場中の花きの総単位量まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とする分配(LTS;以下、ラージトランザクションと呼ぶ)を行う。なお、mをアドバンテージ乗数と定義する。
【0041】
つぎに、規模判別手段2による買受人らの規模判別、および分配手段25による上場商品の分配の具体例を示す。
総単位量が3で上場された花きに対して、希望の応札価格と応札単位とを、買受人A〜Jが、取引参加端末1の入力キー13から入力した場合の評価の分布および分配結果を表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
規模判別手段24は、買受人A〜Jが入力した応札価格と応札単位とを集計し、応札単位が1単位の買受人A、B、C、E、G、Iを小口と認定し、応札単位が2単位以上の買受人D、F、H、Jを大口と認定する。
分配手段25は、規模判別手段24が大口と判別した買受人D、F、H、Jが入力した応札価格80、76、65、54を1.2倍して評価価格96、91.2、78、64.8とする。また、規模判別手段24が小口と判別した買受人A、B、C、E、G、Iが入力した応札価格95、88、82、78、70、60はそのまま評価価格95、88、82、78、70、60とする。そして、3単位まで(上場中の花きの総単位量)まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値(80)を落札者全員(買受人D、A)の成約価格80とするLTSを行う。
【0044】
1人目の落札者;買受人D…応札価格80、評価価格96、成約価格80、成約単位2 2人目の落札者;買受人A…応札価格95、評価価格95、成約価格80、成約単位1 −−−− 買受人F…評価価格91.2
−−−− 買受人B…評価価格88
−−−− 買受人C…評価価格82
−−−− 買受人E…評価価格78
−−−− 買受人H…評価価格78
−−−− 買受人G…評価価格70
−−−− 買受人J…評価価格64.8
−−−− 買受人I…評価価格60
【0045】
なお、通常セリを行った場合の分配を以下に示す。
通常セリは、3単位まで(上場中の花きの総単位量)まで、応札価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値(82)を落札者全員(買受人A、B、C)の成約価格82とする分配を行う。
1人目の落札者;買受人A…応札価格95、成約価格82、成約単位1
2人目の落札者;買受人B…応札価格88、成約価格82、成約単位1
3人目の落札者;買受人C…応札価格82、成約価格82、成約単位1
−−−− 買受人D…応札価格80
−−−− 買受人E…応札価格78
−−−− 買受人F…応札価格76
−−−− 買受人G…応札価格70
−−−− 買受人H…応札価格65
−−−− 買受人I…応札価格60
−−−− 買受人J…応札価格54
上記表3は、買受人A〜Jに対する評価の分布、LTSを用いたセリおよび通常セリによる分配結果であるが、これは、セリ初日を意味する。
【0046】
つぎに、上記表2を参考に、大口買受人の購買行動をより正確に捉えるために、長期的に評価するためのモデルを考える。
セリで仕入れた商品を、4日間で、大口買受人は4単位、小口買受人は1単位、売り切る能力が有ると定義する。
また、大口買受人は2単位または3単位で商品を仕入れ、小口買受人は1単位で商品を仕入れるものとする。
更に、大口買受人は仕入れた(2単位)次の日は仕入れを休み、その翌日に次の仕入れを行うものとし、小口買受人は仕入れる(1単位)と、その翌日から4日目以降に次の仕入れを行うものとする。
【0047】
買受人A〜Jが希望の応札価格と応札単位とを入力し、評価の分布および分配結果が表3である場合に、通常セリによる分配およびLTSを採用したセリによる分配を4日間、続けると、表4(通常セリ)および表5(LTS)に示す分配結果となる。
【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
表4および表5において、期間を通した成約価格の推移(セリ1日目〜4日目)をグラフにしたものを図2に示す。
通常セリによる分配の場合では、セリの進行に伴って成約価格が急激に下落して行くのに対し、LTSを採用したセリによる分配では、成約価格は高値で安定に推移する。
LTSを採用したセリによる分配を行い、仕入れ周期が短い大口買受人を優遇して(アドバンテージを与える)優先的に分配すると、期間全体の総需要が増加する結果が得られた。
つまり、LTSを採用したセリによる分配の方が通常セリによる分配よりも総売上高が多く、成約価格の変動も少ないという結果が得られた。
【0051】
以下、実施例1のセリシステムXの作用効果について述べる。
セリシステムXは、先ず、セリ市場側装置2の規模判別手段24が、セリの為に上場された花きに対して、全ての買受人が入力キー13で入力した応札価格を、取引参加端末1からの応札情報に基づいて集計し、その花きのセリに対して各買受人を、入力した応札単位が2単位以上である大口と、入力した応札単位が2単位未満の小口とに分ける。
そして、セリ市場側装置2の分配手段25が、大口買受人らが入力した応札価格を各々1.2倍して評価価格とし、小口買受人らが入力した各々の応札価格はそのまま評価価格とし、3単位(上場中の花きの総単位量)迄、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とするLTS分配を行っている。 大口買受人らの応札価格を1.2倍して評価価格とすることにより、大口買受人の継続的購買力と価格調整機能とが評価され、大口買受人が小口買受人より花きのセリ取引が有利になり、以下に示す状態が発生する。
【0052】
花きの出荷は、一定期間、継続されることから、最大の売上高をセリ市場が図るためには、人気花きや初出荷花きの価格の高騰を抑え、一定期間を通して安定した価格で売り抜くことが必要とされる。
セリシステムXを用いてセリ取引を行えば、手セリの様に、大口買受人に対して優先的に分配を行うことができるので、応札価格の初期の高騰を抑え、一定期間を通して安定価格で長く売ることができる。
つまり、セリ取引が需要の動向に敏感に反応しなくなり、期間を通して成約価格の変動が小さく(図2参照)、相場の安定化が図れる。このため、初出荷の花きや人気花きの出始めであっても、引き合いを抑制でき、応札価格の高騰を防止できる。
また、長期的視点に立った価格調整が成され、セリ末期における花きの売れ残りが生じ難く、応札価格が『指し値』を下回るという事態も防止できる。なお、生産地から『指し値』が指示された花きについては、商品を継続して出荷して貰うために、セリ市場として忠実に売り続けることが重要である。
【0053】
LTSを採用したセリでは、大口買受人は、小口買受人の約83%の応札価格でセリ落とすことができるので、積極的に買う行為を行う様になる。このため、主に、大口買受人の潜在購買力を堀り起こすことができ、通常のセリ取引よりセリ期間内での花きの総売り上げを多くすることができる。これにより、セリ市場側において利益の増大が図れる。
【0054】
LTSを採用し、最初の落札者が決まるとマリを先着順で募集するというマリ待ち戦略を完全に排除したたセリシステムXは、買受人らの応札価格が正当に評価される(応札価格の高い順に花きが分配される)セリシステムである。このため、経済学的に効率的であり、消費余剰を掘り起こし、追加需要を生み易く、商品寿命を延ばすことができる。
【実施例2】
【0055】
つぎに、本発明の実施例2(請求項1〜5に対応)を、図1〜図3、図4、表1、表6〜表9に基づいて説明する。
実施例2のセリシステムYは、下記の点がセリシステムXと異なる。
セリ市場側装置2のマイクロコンピュータ22は、買受人を大口と小口に分ける規模判別手段24と、応札を行う分配手段25とを、ソフトウェア(プログラム)で構成し、下記に示す様に動作する。
【0056】
規模判別手段24は、セリの為に上場された花きに対して、全ての買受人が入力キー13で入力した応札価格を、通信手段21が受信した応札情報に基づいて集計し、その花きのセリに対して各買受人を、入力した応札単位が所定単位r以上である大口と、入力した応札単位が所定単位r未満の小口とに分ける。
セリシステムYでは、買受人を大口と小口に判別するための規模判別手段24の所定単位rが、セリに上場される花きの総単位量や市場規模に応じてセリ市場の管理者が決める(2〜33 の範囲の)構成である。
【0057】
分配手段25は、規模判別手段24が大口と判別した買受人(大口買受人)らが入力した各々の応札価格をm倍して評価価格とする。また、規模判別手段24が小口と判別した買受人(小口買受人)らが入力した各々の応札価格はそのまま評価価格とする。そして、上場中の花きの総単位量まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とするLTS分配を行う。
【0058】
セリシステムYでは、大口買受人の応札価格をm倍して評価価格とするアドバンテージ乗数mを下記の条件に即してセリ市場の管理者が決める(1<mの設定範囲<1.5の範囲)ことが可能である。
・大口買受人の購買力が大きい程、アドバンテージ乗数mの値を大きくする。
・大口買受人の割合が大きい程、アドバンテージ乗数mの値を大きくする。
・セリ取引される期間が長い花き程、アドバンテージ乗数mの値を大きくする。
・セリ初日はアドバンテージ乗数mの値を大きくし、セリ期間の経過とともに、アドバンテージ乗数mの値を小さくしていく。
【0059】
つぎに、このセリシステムYを、現実のデータ(表1、表2)を参考にして設定した評価モデル1に基づいて稼動させたシュミレーション1の結果について説明する。
〔シュミレーション1〕
(評価モデル1)
・買受人の商品(花き)に対する応札価格の分布は、0〜100の間の一様分布とする。・セリに参加する買受人は、10人(大口5人、小口5人)とする。
・小口買受人の商品購入力:大口買受人の商品購入力=1:4とする。
小口買受人は商品を仕入れる(1単位)と、その翌日から4日目以降に次の仕入れを行うものとする。なお、花きは長期保存が効かない生鮮品であるので、小口買受人は1回のセリで最大1単位購入するものとする。
大口買受人は1日1単位の販売力があるものとし、商品を2単位仕入れたら、次の日は仕入れを休み、その翌日に次の仕入れを行うものとする。通常、一度に2単位づつ仕入れるが、残数の関係で1単位の仕入れになることもあるが、その場合には、翌日の仕入れは1単位とする(なお、LTSでは1単位の仕入れ時に小口と判別される)。つまり、連続する2日間の購入量は最大2単位である。
・セリの期間は、4日間(4回)とする。また、毎回、3単位の商品(花き)が上場されるものとする。
・大口と小口の判別基準の所定単位rは2とする。
・アドバンテージ乗数mは、1.2(固定)とする。
【0060】
上記の評価モデル1を構築したパソコン上で、通常セリによる分配と、セリシステムYでm=1.2に固定したLTSを採用したセリによる分配とを、一様分布に従い、分布を変えて1000回のシュミレーションを行った結果(4日間の総売上の平均、成約価格の平均、4日間の成約価格の標準偏差の平均)を表6に示す。
【0061】
【表6】

【0062】
4日間の総売上の平均は、LTSを採用したセリによる分配の方が、通常セリによる分配よりも多いという結果が得られた。
成約価格の平均は、LTSを採用したセリによる分配の方が、通常セリによる分配よりも高いという結果が得られた。
4日間の成約価格の標準偏差の平均は、LTSを採用したセリによる分配の方が、通常セリによる分配よりも小さい(バラツキが少ない)という結果が得られた。
【0063】
なお、1000回のシュミレーション中、分布によっては、双方の分配結果が略同一になったり、通常セリによる分配の方が総売上が高になることもある(表7参照)。
表7で示す様に、1000回のシュミレーション中、通常セリによる分配の方が総売上が大きくなる結果が339回発生し、LTSの250回より回数が多い。
しかし、LTSは、毎回の上回り量が大きいので、全体ではLTSの分配の方が4日間の総売り上げの平均が大きくなる。
別の見方をすれば、通常セリによる分配では、セリ後半に成約価格が大幅に下落しているのに対し、LTSを採用したセリによる分配では成約価格が余り下落せず、相場を持ちこたえているためである(図2参照)。
【0064】
【表7】

【0065】
〔シュミレーション2〕
(評価モデル2)
アドバンテージ乗数mを1.05〜1.35とし、その他は、評価モデル1と同様に設定し、評価モデル2とする。
上記の評価モデル2を構築したパソコン上で、通常セリによる分配と、アドバンテージ乗数m(m=1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35)を変えてセリシステムYによる分配とを、一様分布に従い、分布を変えて1000回のシュミレーションを行った結果(4日間の総売上の平均、発生件数)を表8、表9に示す。
【0066】
【表8】

【0067】
【表9】

【0068】
表8からは、アドバンテージ乗数mが1.05〜1.3の範囲では、4日間の総売上の平均は、LTSを採用したセリによる分配の方が、通常セリによる分配よりも多いことが判る。また、アドバンテージ乗数mが1.15の時に、4日間の総売上の平均が最大になることが判る。
これは、アドバンテージ乗数mの増大に伴って大口買受人の購買意欲が増加して取引量が増えていくが、大口買受人は評価価格でなく成約価格(=応札価格)で支払うので、mが大き過ぎると、総売り上げが減少してしまう。
【0069】
表9からは、アドバンテージ乗数mを大きくする程、4日間の総売上の平均が、通常セリによる分配の方がLTSを採用したセリによる分配の方より大きくなる傾向にあることが判る。
【0070】
〔シュミレーション3〕
(評価モデル3)
シュミレーション3に用いる評価モデル3では、評価モデル1における買受人の応札価格の分布の条件を下記の様に変更する。
大口買受人は、大量に商品(花き)を仕入れる関係上、価格に厳しいので、購入大口買受人の商品に対する応札価格の分布を、0〜90の間の一様分布とする。なお、小口買受人の買応札価格の分布は、0〜100の間の一様分布とする。
そして、アドバンテージ乗数m(m=1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3)を変化させる。
上記の評価モデル3を構築したパソコン上で、一様分布に従い、分布を変えて1000回のシュミレーションを行った結果(4日間の総売上の平均)を図3の−□−のカーブで示す。
シュミレーション3では、アドバンテージ乗数mが1.1〜1.2の範囲が良好であり、m=1.15に最大値(4日間の総売上の平均)が得られた。
【0071】
〔シュミレーション4〕
(評価モデル4)
シュミレーション4に用いる評価モデル4では、評価モデル1における、大口・小口構成比の条件を下記の様に変更する。
評価モデル1、2、3では、花き産地近傍のセリ市場は、産地を代表する市場という観点から、大口・小口構成比を1:1の同数に設定している。
しかし、都市に有るセリ市場では、小口買受人の割合が多くなるので、評価モデル4では、大口・小口構成比を4:6とし、セリに参加する買受人を10人(大口4人、小口6人)とする。
そして、アドバンテージ乗数m(m=1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3)を変化させる。
上記の評価モデル4を構築したパソコン上で、一様分布に従い、分布を変えて1000回のシュミレーションを行った結果(4日間の総売上の平均)を図3の−◇−のカーブで示す。
シュミレーション4では、アドバンテージ乗数mが1.1〜1.15の範囲が良好であり、m=1.15に最大値(4日間の総売上の平均)が得られた。
【0072】
〔シュミレーション5〕
(評価モデル5)
シュミレーション5に用いる評価モデル5では、評価モデル1における、小口買受人の商品購入力と大口買受人の商品購入力の比を下記の様に変更する。
評価モデル1〜4では、小口買受人の商品購入力と大口買受人の商品購入力の比を、1:4(4倍)としているが、シュミレーション5に用いる評価モデル5では、購入力の比を1:3(3倍)および1:2(2倍)としている。
そして、アドバンテージ乗数m(m=1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35)を変化させる。
上記の評価モデル5を構築したパソコン上で、一様分布に従い、分布を変えて1000回のシュミレーションを行った結果(4日間の総売上の平均)を図4に示す。なお、通常セリによる分配の総売上の平均を基準の1としている。
シュミレーション5においては、購入力4倍、3倍、2倍に対し、総売上の平均の最大値が1.15、1.10、1.05となり、ピークの移動が見られた。
【0073】
つぎに、実施例2のセリシステムYの作用効果について述べる。
セリシステムYは、買受人を大口と小口に判別するための規模判別手段24の所定単位rを、セリ市場へ上場される花きの総単位量や市場規模に応じてセリ市場の管理者が決める(2〜33 の範囲)構成であるので、セリシステムYを様々な花き市場に設置しても、大口の買受人と小口の買受人との選別を的確に行うことができる。
セリシステムYは、大口買受人の応札価格をm倍して評価価格とするアドバンテージ乗数mを下記の条件に基づいてセリ市場の管理者が決める(1<mの設定範囲<1.5の範囲)ことが可能である。具体的には、大口の買受人の購買力が大きい程、大口と判別された買受人の割合が大きい程、セリ取引される期間が長い生鮮物程、またはセリ開始からの経過時間が短い程、mの値を大きくする。
このため、様々なセリ取引の条件(大口の買受人の購買力の大小、大口の買受人の割合、生鮮物のセリ取引期間の長さ、セリの経過時間の長さ)に関わらず、大口買受人のセリ取引を小口買受人より適度に有利にでき、大口買受人の潜在購買力を効率良く堀り起こすことができ、セリ期間内での花きの総売り上げを最大にすることができる。これにより、セリ市場側において最高の利益が得られる。
【0074】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.セリシステムX、Yにおいて、取引参加端末1を市場外に設置し、この取引参加端末1とセリ市場側装置2とをインターネットや専用回線で電気接続する構成にしても良い。 このセリシステムでは、遠隔地の買受人がセリ市場から離れた場所から優劣無くセリに参加することができる。また、通信環境(通信速度等)や応札情報入力の時間差に左右されず、落札者や成約価格が変わらない。
【0075】
b.セリシステムX、Yでセリ取引する生鮮物は、花き以外に、入荷が不安定で長期の保存が効かず短期間に消費される、農産物、畜産物、海産物であっても良い。
c.セリシステムX、Yにおいて、取引参加端末1とセリ市場側装置2とを、有線でなく、ワイヤレス(電波や赤外線)で接続しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1、2に係るセリシステムのブロック図である。
【図2】従来の通常セリおよび実施例1の各セリシステムにおいて、全期間を通した成約価格の推移を示すグラフである。
【図3】実施例2のセリシステムにおいて、シュミレーション3、4を実施した場合の総売上の変化を示すグラフである。
【図4】実施例2のセリシステムにおいて、シュミレーション5を実施した場合の総売上の変化を示すグラフである。
【図5】需要曲線のイメージを示すグラフである。
【符号の説明】
【0077】
1 取引参加端末
2 セリ市場側装置
11 モニター(表示手段)
13 入力キー(応札情報入力手段)
15 通信回路(端末側通信手段)
21 通信回路(通信手段)
24 規模判別手段
25 分配手段
X、Y セリシステム
A〜J 買受人
r 所定単位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1−a)セリ取引される生鮮物の総単位量等の商品情報、セリの進行状態、および応札結果等のセリ情報を表示する表示手段と、前記セリに参加する複数の買受人が、前記生鮮物を購入したい応札価格とその応札単位を入力するための応札情報入力手段と、応札情報や前記セリ情報の送受信を行う端末側通信手段とを有し、前記セリに参加する買受人が操作する複数の取引参加端末と、
(1−b)各取引参加端末の前記端末側通信手段との間で、前記セリ情報や前記応札情報の送受信を行う通信手段と、セリ中の生鮮物に対して各買受人が入力した応札価格を、前記通信手段が受信した応札情報に基づいて集計し、その生鮮物のセリに対して各買受人を、所定単位r以上の応札単位を入力した大口と、前記所定単位r未満の応札単位を入力した小口とに分ける規模判別手段と、大口と判別された各買受人が入力した各々の応札価格はm倍して評価価格とし、小口と判別された各買受人が入力した各々の応札価格はそのまま評価価格とし、前記総単位量まで、評価価格が高い方から優先的に落札者とするとともに、応札価格の最低値を落札者全員の成約価格とする応札を行う分配手段とを備えたセリ市場側装置とからなるセリシステム。
【請求項2】
前記生鮮物は、入荷が不安定で長期の保存が効かず短期間に消費される、花き、農産物、畜産物、または海産物であることを特徴とする請求項1に記載のセリシステム。
【請求項3】
2≦所定単位r≦33 であり、1 <m<1.5であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセリシステム。
【請求項4】
前記生鮮物の総単位量や市場規模に応じて所定単位rを決めることを特徴とする請求項3に記載のセリシステム。
【請求項5】
大口の買受人の購買力が大きい程、大口と判別された買受人の割合が大きい程、セリ取引される期間が長い生鮮物程、またはセリ開始からの経過時間が短い程、mの値を大きくすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のセリシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−72734(P2006−72734A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255754(P2004−255754)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(300063460)豊明花き株式会社 (1)