説明

セリシンイオン水

【課題】 植物、生物生体等の使用対象が持つ酸或いはアルカリ特性等に左右されず、これらの使用対象に悪影響を及ぼす事無く所望のセリシンイオン水効果を発揮し得、効率良く製造する事が出来る新規なセリシンイオン水を提供する。
【解決手段】純水に繭、死海の塩、プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を投入し50〜70℃で加熱しつつ2〜24時間加水分解し得られた集合体をフィルターを用いセリシンイオン水を効率良く得る。得られたセリシンイオン水は、成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等に優れた効果を有し、植物生物生体に対して影響も少ない。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明はセリシンイオン水に関し、詳しくは、生長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等に優れた効果を有し且つ植物、生物生体に対する影響が少ない新規なセリシンイオン水に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセリシン抽出方法として例えば特許第3516059号、特許第3716293号、特許3959452号等に開示されるような温度の処理が知られている。これらのセリシン抽出方法は一定の特性を持つもので、使用対象がその特性に適合する場合に所望の効果を得られるものの使用対象がその特性、条件等の変更によって効果が期待出来なくなる場合もあり適応範囲が限られるものである。このように従来のセリシン抽出方法に限られた使用範囲において所望の効果を奏するものであって、使用範囲が広く且つ所望のセリシン抽出効果を発揮するセリシン抽出の開発が望まれている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の様な従来事情に鑑み成されたものでその目的とするところは、死海の塩を用いたイオン化、細菌由来のエンド型プロテアーゼを用いた酵素による繭からセリシン抽出、且つこれら使用象に悪影響を及ぼすこと無く所望の生長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能を発揮し得る新規なセリシンイオン水を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するためには本願発明者は、セリシンイオン水の製造における重要な因子として、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)の関与と作用に着目し鋭意研究を重ねた結果、従来から知られた技法とは異なり、繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ類を投入する事により、セリシンイオン水の安定が向上し得る且つ繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ類を所定範囲にすることで得られたセリシンイオン水のセリシン濃度0.01〜0.15%、PH6〜8の範囲内に安定させることが出来ることを知見した。
【0005】
さらに本発明の死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)類が有用であり、このような繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)類を純水中に投入し50〜70℃で2〜24時間抽出した後フィルターを用いフィブロインその他の不純物を除去する。上記課題を解決するに極めて有用であることを知見し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、純水に繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を含有し50〜70℃で2〜24時間抽出した後フィルターを用いフィブロインその他の不純物除去により製造したセリシンイオン水であって、セリシン濃度が0.01〜0.15%塩類0.001〜0.01%含有し、PH6〜8の中性のセリシンイオン水である。本発明に係るセリシンイオン水の製造方法として下記例を例示することが出来る。まず原水▲1▼純水化処理▲2▼この純水に対して所定の繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を投入する。▲3▼得られた集合体を50〜70℃で加熱しつつ2〜24時間加水分解する▲4▼得られた集合体をフィルターを用いセリシンイオン水を分離し▲5▼セリシン濃度(0.01〜0.15%)で且つ微量塩類濃度(0.001〜0.1%)を含有しPH6〜8の中性のセリシンイオン水を得る▲6▼例えば医薬品等(化粧品類)や植物等の生育促進剤、食品添加として用いる場合も有用である。
【0007】
また、本発明のセリシンイオン水は、原液での使用とこの原液を10〜1,000倍程度に薄めての使用する事も考慮したものである。即ち原液で使用する場合はセリシン濃度が0.01〜0.15%塩類濃度が0.001〜0.1%であるセリシン塩類を含有するセリシンイオン水である。薄めて使用する場合はセリシン濃度0.001〜0.000015%、塩類濃度0.001〜0.0001%、PH6〜8であるセリシン塩類を含有するセリシンイオン水である。
【0008】
上記の塩類は少なくとも死海の塩、酵素は細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)であることが好ましい。
【0009】
上記の死海の塩は、自然界に存在する死海の湖の湖水を乾燥したものであり、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を用いる事が最も好ましい。
【0010】
繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を原体とし該原体を純水に対して5〜50、0.001〜0.1、0.05〜3重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0011】
本発明の如く死海の塩を純水中に投入することにより長期的に安定され所定濃度のセリシンイオン水を得ることが出来る。また、得られたセリシンイオン水がPH6〜8の間で安定し植物、生物生体等の使用対象に対して優しく緩和な状態で馴染みこれら使用対象の酸又はアルカリ性質等に影響をすること無く所定の効果を得ることが出来る。よって、セリシンイオン水が持つ成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能効果を直接的に発現させ、使用対象の特性に左右されることなくこれら効果を得ることが出来る。また、セリシン濃度0.01〜0.15%で且つ塩類を含有するセリシンイオン水としたもので、セリシンイオン水による成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等の各種効果の増進を図ることが出来る。セリシン濃度が0.01%以上の高濃度であった場合、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等において顕著な効果が得られる。
【0012】
繭、死海の塩、酵素(細菌由来のエンド型プロテアーゼ)によりイオン化する事で、セリシンイオン水による成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等の各種効果の増進が図られよって顕著な効果が得られる。
【0013】
死海の塩は、自然界(死海湖の湖水乾燥物)から取り出されたものを用いまた、酵素(細菌由来のエンド型プロテアーゼ)は熱処理を用いる事で使用対象に対する影響を低減しながら前途の効果を得る事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について説明する。
本例の繭抽出液は、従来から知られた水中に繭を投入熱を加えた加熱法PH8以上のアルカリ水中に繭を投入熱を加えたアルカリ加熱法、PH5以下の酸性水中に繭を投入熱を加えた酸性加熱法、又は、水中に繭を投入高熱を加え高熱法による製法とは異なり純水中に繭、死海の塩、酵素(細菌由来のエンド型プロテアーゼ)を投入定めた熱を加え塩類を含有する酵素による加水分解法で得られるものである。
【0015】
繭抽出液の沈降速度を比較試験した結果、従来から知られた水中に繭を投入熱を加えた加熱法は、製造時繭100%、1か月後0.085%、2か月後0.074%、3か月後0.068%で減少した。セリシンイオン水製造時0.01%、1か月後0.01%、2か月後0.01%、3か月後0.01%。従来製造法は沈降速度の結果、所定濃度を下まわった。セリシンイオン水は、沈降速度の結果、所定濃度は好ましい範囲である事が推測される。(表1)
【0016】
セリシンの特徴
セリシンは繭の20〜30%を占めている蛋白質である。
セリシンのアミノ酸構成は表の通りである。(表2)
その際にポリペプチド鎖には、OH,COOH,NHなどに新水基の側鎖が頻繁に出現していて保湿性、保水性に優れ水に分散する性質がある。
【0017】
セリシンの機能性
紫外線のカット作用
セリシンには人体に最も有害とされる波長と200〜300ナノメートルの紫外線の透過を抑える事が実験で確認された。(表3)
保湿効果
セリシンには保湿効果に深く関わるアミノ酸であるセリンが含有されている。セリンは人の皮膚に含まれ水分保持作用のある天然保湿因子(NMF)中に最も多く含まれるアミノ酸であり、正常な皮膚とトラブルのある皮膚の角質層のアミノ酸組成の違いはセリンの含有量の違いであるとされる。つまりセリシンは人の肌と同種の蛋白質で保水性が良く肌をしっとりとさせる働きがある。(表4)
抗酸化効果(フリーラジカル消去活性)
セリシンの活性酸素の働きを抑える効果はビタミンCと同等のレベルであり、シワやシミの発生を防ぐ効果があると期待されている。繭層のフリーラジカル消去活性に及ぼす影響を試験した結果は確実な消去活性が認められた。フリーラジカル消去活性がセリシン層に関っている事示唆されています。(表5)(表6)
チロシナーゼ活性阻害作用(美白効果)
セリシンイオン水の100μg/ml及び200μg/mlを添加するとチロシナーゼ活性が対照に比較して61%、48%と有意に低下する事が証明された。
【0018】
以上の各試験結果から本発明に係るセリシンイオン水が成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等に顕著な効果を奏ずる事が確認出来た。
【0019】
上記の各試験を基に医薬品等(医薬部外品、化粧品)食品における成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等をも発揮する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明は、繭、死海の塩、プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を用いて抽出法により製造したセリシンイオン水としたもので、従来のセリシン水と比較してセリシンが安定し効率良く製造が出来る。また、死海の塩、プロテアーゼ(EC3,4,24,27)の配合によりPH6〜8の中性セリシンイオン水としたもので、植物、生物、生体等の使用対象に対し優しく緩和な状態で馴染みこれらの使用対象の酸又はアルカリ特性に影響する事無くセリシンイオン水が持つ特性を直接的に発現させ、使用対象の特性に左右される事なく成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等に顕著な効果を得る事が出来る。
【0021】
セリシン濃度0.01〜15%以上の高濃度とした場合、成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等により顕著な効果を得る事が出来た。
【0022】
死海の塩は、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムその他の微量金属からなる5種類の塩類とした場合セリシンイオン水による成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等の各種効果の増進が図られさらに顕著な効果を得る事が出来る。
【0023】
プロテアーゼ(EC3,4,24,27)は、繭を基質とした加水分解返応触媒です。プロテアーゼ用い製造されたセリシンイオン水は、成長促進機能、抗酸化機能、保湿機能、美白機能等の各種効果の増進が図られさらに顕著な効果を得る事が出来る。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】セリシンイオン水製造工程の概略を示す模式図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繭を切断、さなぎを取り出し不純物を除去洗浄、純粋に繭、死海の塩、細菌由来のエンド型プロテアーゼ(EC3,4,24,27)基質と50〜70℃で2〜24時間加熱し加水分解返応させた後フィルターを用いフィブロインを除去する。製造したセリシンイオン水であって、セリシン濃度が0.01〜0.15%で、且つ微量の塩類を含有し、PH6〜8であることを特徴とするセリシンイオン水。
【請求項2】
上記セリシン濃度が0.01〜0.15%である請求項1記載のセリシンイオン水。
【請求項3】
上記繭中には(セリシン20〜30%フィブロイン70〜80%)セリシンアミノ酸組成成はセリン、アスパラギン酸、グリシン、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、バリン、リジン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリン、シスチン)16種類が判明している。死海の塩は、少なくとも塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、その他の微量金属から成り立っている。プロテアーゼ(EC3,4,24,27)製剤は高温細菌の一種Bacllus stearothermophilus由来のエンド型プロテアーゼで金属プロテアーゼに分類されタンパク質を基質とした加水分解反応触媒である請求項1又は2記載のセリシンイオン水。
【請求項4】
上記繭(いろどり)は、日本種の「いろ」と中国種の「どり」を交配得られた交雑種で独特の笹色を有する品種、死海の塩は、イスラエル死海の湖水乾燥塩、プロテアーゼ(EC3,4,24,27)は、天野エンザイム株式会社製のサモアーゼPC10Fを用い含有されたものである。請求項1〜又は3項記載のセリシンイオン水。
【請求項5】
上記繭(いろどり)、死海の塩、プロテアーゼ(EC3,4,24,27)を原体とし該原体を純水100に対し繭(いろどり)5〜50死海の塩0.001〜0.1、プロテアーゼ(EC3,4,24,27)0.05〜3重量%の範囲で含有し2〜24時間加熱(50〜70℃)後常温まで温度を下げる。

【図1】
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【公開番号】特開2012−144510(P2012−144510A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17205(P2011−17205)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(595065105)フジケミカル株式会社 (3)
【Fターム(参考)】