説明

セリンプロテアーゼ、特にHCVNS3‐NS4Aプロテアーゼの阻害剤

【課題】セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウィルスNS3‐NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する化合物を提供する。
【解決手段】C型肝炎ウィルスのライフサイクルを妨害することによって作用し、抗ウィルス剤として有用である、C型肝炎ウィルスNS3‐NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する化合物。前記化合物を含有する組成物。前記化合物を含有する組成物を投与することによって、患者のHCV感染を治療する方法。また、これらの化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウィルス(hepatitis C Virus)NS3‐NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する化合物に関する。それらはC型肝炎ウィルスのライフサイクルを妨害することによって作用し、抗ウィルス剤としても有用である。本発明は、また、これらの化合物の製造方法に関する。更に、本発明は、エクスビボ(ex vivo)用またはHCVに感染する患者への投与用のこれらの化合物を含有する組成物に関する。本発明は、また、本発明の化合物を含有する組成物を投与することによって、患者のHCV感染を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
C型肝炎ウィルス(”HCV”;hepatitis C Virus)による感染は、抵抗しがたい人類の医療問題である。HCVは、世界中でのヒトの血清有病率3%を有する非A非B型肝炎のほとんどのケースの病原体として認識されている(非特許文献1)。アメリカ合衆国だけで、ほぼ400万人が感染している(非特許文献2および3)。
【0003】
HCVへの第1暴露において、感染者の約20%だけに臨床的急性肝炎が発現し、その他は感染を自然的に消散すると思われる。しかしながら、ほぼ70%の例において、上記ウィルスは、10年間持続する慢性感染となる(非特許文献4および5)。これにより通常、より深刻な疾病状態、例えば肝硬変および肝細胞癌を引き起こす、再発するおよび徐々に悪化する肝臓炎症となる(非特許文献6および7)。不運にも、慢性HCVの進行を衰弱させるための広く有効な治療法はない。
【0004】
HCVゲノムにより、3010〜3033のアミノ酸のポリプロテインを解読する(非特許文献8〜10)。上記HCV非構造(NS;nonstructural)蛋白は、ウィルス複製のための最も重要な触媒機構を提供するものと推定される。上記NS蛋白は、上記ポリプロテインの蛋白質分解性開裂によって誘導される(非特許文献11〜14)。
【0005】
上記HCV NS蛋白3(NS3)は、大多数のウィルス酵素の加工処理を補助し、従って、ウィルスの複製および感染力には不可欠と考えられるセリンプロテアーゼ活性を含む。黄熱病ウィルスNS3プロテアーゼ中の突然変異体は、ウィルスの感染力を低減する(非特許文献15)。NS3の第1の181のアミノ酸(ウィルスポリプロテインの残基1027〜1207)は、上記HCVポリプロテインの4つの転写末端部(downstream site)すべてを加工処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている(非特許文献16)。
【0006】
上記 HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびその会合した共同因子NS4Aは、ウィルス酵素のすべての加工処理を補助し、従って、ウィルスの複製には不可欠と考えられる。この加工処理は、ウィルスプロテイン加工処理を阻害し、ヒトの強い抗ウィルス剤であるHIVプロテアーゼ阻害剤を加工処理するウィルス酵素にも含まれるヒト免疫欠損ウィルスアスパラギン酸プロテアーゼによって行われる加工処理に類似していると思われ、ウィルスのライフサイクルのこの段階を妨害することが治療の活性剤となることを示している。
【0007】
多くの潜在性HCVプロテアーゼ阻害剤が記載されてきた(特許文献1〜12および非特許文献17〜21)。
【0008】
現在、満足のいく抗HCV剤または治療はない。唯一確立されたHCV疾病用の治療は、インターフェロン治療である。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し(非特許文献22〜25)、多くの事例の内のほんの一部分(〜25%)において、長期の回復が見られる(非特許文献26)。更に、有効な抗HCVワクチンに対する見込みは、なお不確定なままである。
【0009】
従って、抗HCV治療に有用な化合物に対する要求がある。そのような化合物は、プロテアーゼ阻害剤として、特にセリンプロテアーゼ阻害剤として、更にHCV NS3プロテアーゼ阻害剤として、治療の可能性を有する。これらの化合物は、抗ウィルス剤として、特に抗HCV剤として、有用である。特に、向上した酵素阻害または細胞活性を有する化合物に対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第WO 02/18369号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO 02/08244号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO 00/09558号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO 00/09543号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO 99/64442号パンフレット
【特許文献6】国際公開第WO 99/07733号パンフレット
【特許文献7】国際公開第WO 99/07734号パンフレット
【特許文献8】国際公開第WO 99/50230号パンフレット
【特許文献9】国際公開第WO 98/46630号パンフレット
【特許文献10】国際公開第WO 98/17679号パンフレット
【特許文献11】国際公開第WO 97/43310号パンフレット
【特許文献12】米国特許第5,990,276号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】A.アルベルティ(Alberti)等、”Natural History of Hepatitis”、J.Hepatology、31、(Suppl.1)、第17〜24頁(1999年)
【非特許文献2】M.J.アルター(Alter)等、”The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”、Gastroenterol.Clin.North Am.、23、第437〜455頁(1994年)
【非特許文献3】M.J.アルター(Alter)、”Hepatitis C Virus Infection in the United States”、J.Hepatology、31、(Suppl.1)、第88〜91頁(1999年)
【非特許文献4】S.イワーソン(Iwarson)、”The Natural Course of Chronic Hepatitis”、FEMS Microbiology Reviews、14、第201〜204頁(1994年)
【非特許文献5】D.ラバンシー(Lavanchy)、”Global Surveillance and Control of Hepatitis C”、J.Viral Hepatitis、6、第35〜47頁(1999年)
【非特許文献6】M.C.キュウ(Kew)、”Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”、FEMS Microbiology Reviews、14、第211〜220頁(1994年)
【非特許文献7】I.サイトウ(Saito)等、”Hepatitis C Virus Infection is Associared with theDevelopment of Hepatocellular Carcinoma”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87、第6547〜6549頁(1990年)
【非特許文献8】Q.L.チョー(Choo)等、”Genetic Organization and Diversity of the Hapatitis C Virus”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88、第2451〜2455頁(1991年)
【非特許文献9】N.カトウ(Kato)等、”Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patients with Non‐A,Non‐B,Hepatitis”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87、第9524〜9528頁(1990年)
【非特許文献10】A.タカミザワ(Takamizawa)等、”Structure and Organization of the Hapatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers”、J.Virol.、65、第1105〜1113頁(1991年)
【非特許文献11】R.バルテンシュラーガー(Bartenschlager)等、”Nonstructural Protein 3 of the Hapatitis C Virus Encodes a Serine‐type Proteinase Required for Cleavege at the NS3/4 and NS4/5 Junctions”、J.Virol.、67、第3835〜3844頁(1993年)
【非特許文献12】A.Grakoui等、”Characterization of the Hepatitis C Virus‐Encoded Serine Porteinases: Determination of Proteinase‐Dependent Polyprotein Cleavage Sites”、J.Virol.、67、第2832〜2843頁(1993年)
【非特許文献13】A.Grakoui等、”Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products”、J.Virol.、67、第1385〜1395頁(1993年)
【非特許文献14】L.トメイ(Tomei)等、”NS3 is a serine portease required for processing of hepatitis C virus polyprotein”、J.Virol.、67、第4017〜4026頁(1993年)
【非特許文献15】チャンバーズ(Chambers),T.J.等、”Evidence that the N‐terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From Yellow Fever Virus is a Serine Protease Responsible for Site‐Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87、第8898〜8902頁(1990年)
【非特許文献16】C.リン(Lin)等、”Hepatitis C Virus NS3 Serine Protease: Trans‐Cleavage Requirements and Processing Kinetics”、J.Virol.、68、第8147〜8157頁(1994年)
【非特許文献17】M.ライナス‐ブルーネット(Llinas‐Brunet)等、Bioorg.Med.Chem.Lett.、8、第1713〜18頁(1998年)
【非特許文献18】W.ハン(Han)等、Bioorg.Med.Chem.Lett.、10、第711〜13頁(2000年)
【非特許文献19】R.ダンスドン(Dunsdon)等、Bioorg.Med.Chem.Lett.、10、第1571〜79頁(2000年)
【非特許文献20】M.ライナス‐ブルーネット(Llinas‐Brunet)等、Bioorg.Med.Chem.Lett.、10、第2267〜70頁(2000年)
【非特許文献21】S.ラプラント(LaPlante)等、Bioorg.Med.Chem.Lett.、10、第2271〜74頁(2000年)
【非特許文献22】M.A.レイカー(Wlaker)等、”Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress”、DDT、4、第518〜29頁(1999年)
【非特許文献23】D.モラドポア(Moradpour)等、”Current and Evolving Therapies for Hepatitis C”、Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.、11、第1199〜1202頁(1999年)
【非特許文献24】H.L.A.ジャンセン(Janssen)等、”Suicide Associated with Alfa‐Interferon Therapy for Chronic Viral Hepoatitis”、J.Hepatol.、21、第241〜243頁(1994年)
【非特許文献25】P.F.レナウ(Renault)等、”Side Effects of Alpha Interferon“、Seminars in Liver Disease、9、第273〜277頁(1989年)
【非特許文献26】O.ウェイランド(Weiland)、”Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”、FEMS Microbiol.、Rev.、14、第279〜288頁(1994年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以下の式I:
【化1】

(式中、記号は本明細書中で定義したものと同様である)
の化合物を提供することによって、これらの要求を解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、また、上記化合物を含有する組成物およびそれらの使用方法に関する。そのような組成物は、患者内に挿入される侵襲的な器具を前処理するのに、患者に投与する前に、および患者への直接投与のために、生物試料、例えば血液を処理するのに用いてもよい。各場合において、HCV複製を阻害するのに、およびHCV感染のリスクまたは苦しみを低減するのに上記組成物を用いる。
【0014】
本発明はまた、式Iの化合物を製造する方法に関する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の式I:
【化2】

(式中、
ArはO、S、N(H)、SOおよびSOから選択される4以下のヘテロ原子を有する5員〜10員芳香環であり、ここで、1〜3の環原子は任意におよび独立して以下に定義の置換基Jで置換されていてもよく;
およびRは、独立して、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、RおよびR中の3以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置において、O、N、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびRのそれぞれは独立しておよび任意に、J置換基から独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよく;
およびR3’は、独立して水素または(C〜C12)‐脂肪族基であり、ここで、如何なる水素も任意にハロゲンで置換されていてもよく、Rの如何なる末端炭素原子も、任意にスルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されていてもよいか;または、Rはフェニルまたは‐CHフェニルであり、ここで該フェニル基は任意に、J置換基から独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよいか;またはRおよびR3’は、それらが結合する原子と共に、N、NH、O、SOまたはSOから選択される2以下のヘテロ原子を有する3員〜6員環であり、該環がJ置換基から独立して選択される2以下の置換基を有し;
およびR4’は、独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐であり、ここで、RおよびR4’中の2以下の脂肪族炭素原子は、O、N、S、SOおよびSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびR4’のそれぞれは独立しておよび任意に、J置換基から独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよく;
Wは
【化3】

(式中、各Rは独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であるか、或いは
同一窒素原子に結合した2つのR基がその窒素原子と共に(C〜C10)‐複素環を形成し、ここで、Rは任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく、各Rは独立して‐OR’であるか、またはホウ素原子と共に該基Rは該ホウ素に加えて、N、NH、O、SOおよびSOから選択される3以下の別のヘテロ原子を有する(C〜C10)‐含有複素環となる)
であり;
Tは、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、各Tは任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく;
J置換基は、ハロゲン、‐OR’、‐NO、‐CN、‐CF、‐OCF、‐R’、オキソ、チオオキソ、1,2‐メチレンジオキシ、1,2‐エチレンジオキシ、=N(R’)、=N(OR’)、‐N(R’)、‐SR’、‐SOR’、‐SOR’、‐SON(R’)、‐SOR’、‐C(O)R’、‐C(O)C(O)R’、‐C(O)CHC(O)R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐C(O)OR’、‐C(O)C(O)OR’、‐C(O)C(O)N(R’)、‐OC(O)R’、‐C(O)N(R’)、‐OC(O)N(R’)、‐C(S)N(R’)、‐(CH)0‐2NHC(O)R’、‐N(R’)N(R’)COR’、‐N(R’)N(R’)C(O)OR’、‐N(R’)N(R’)CON(R’)、‐N(R’)SOR’、‐N(R’)SON(R’)、‐N(R’)C(O)OR’、‐N(R’)C(O)R’、‐N(R’)C(S)R’、‐N(R’)C(O)N(R’)、‐N(R’)C(S)N(R’)、‐N(COR’)COR’、‐N(OR’)R’、‐C(=NH)N(R’)、‐C(O)N(OR’)R’、‐C(=NOR’)R’、‐OP(O)(OR’)、‐P(O)(R’)、‐P(O)(OR’)、または‐P(O)(H)(OR’)であり;
R’は、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐から独立して選択され、ここでR’は任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく、同一原子に結合した2個のR’基は、N、O、S、SOまたはSOから独立して選択される3以下のヘテロ原子を有する3員〜10員の芳香環または非芳香環を形成し、該環は任意に縮合していてもよく、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール、(C〜C10)‐シクロアルキル、または(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐となり、いずれの環もJ置換基から独立して選択される3以下の置換基を有する)
の化合物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
これらの化合物により、改良された酵素および/または細胞活性を有する化合物を提供することによって、上記問題を解決する。例えば、本発明の化合物、特に好ましい化合物は、特許文献10の化合物より良好な酵素阻害を示す。本発明の化合物はまた、他の記載された化合物(本明細書中で引用された文献を参照)より良好な細胞データを有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1つの態様では、Rがシクロヘキシル、Rがt‐ブチル、R3’がH、Rがt‐プロピル、Wが‐C(O)C(O)N(H)‐シクロプロピル、およびTが、
【化4】

である場合、Arは4‐キナゾリンまたは5‐クロロ‐2‐ピリジルである。
【0018】
本発明はまた、以下の式I:
【化5】

(式中、
nは0または1であり;
ArはO、S、N(H)、SOおよびSOから選択される4以下のヘテロ原子を有する5員〜10員芳香環であり、ここで、1〜3の環原子は任意におよび独立してJで置換されており;
、R、R12およびR13は、独立して、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、RおよびR中の3以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置において、O、N、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびRのそれぞれは独立しておよび任意に、各置換可能な位置において、Jから独立して選択される3以下の置換基で置換されており;
およびR3’は、独立して水素または(C〜C12)‐脂肪族基であり、ここで、如何なる水素も任意にハロゲンで置き換えられ、Rの如何なる末端炭素原子も、任意にスルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されるか;または、Rはフェニルまたは‐CHフェニルであり、ここで該フェニル基は任意に、Jから独立して選択される3以下の置換基で置換されるか;またはRおよびR3’は、それらが結合する原子と共に、N、NH、O、SOおよびSOから選択される2以下のヘテロ原子を有する3員〜6員環であり、該環がJから独立して選択される2以下の置換基を有し;
およびR4’は、独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐であり、ここで、RおよびR4’中の2以下の脂肪族炭素原子は、O、N、S、SOおよびSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびR4’のそれぞれは独立しておよび任意に、Jから独立して選択される3以下の置換基で置換されており;
Wは
【化6】

(式中、Yは、‐COH、‐COHの誘導体、または‐COHの生物学的等価体であり;、
各Rは独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であるか、或いは
同一窒素原子に結合した2つのR基がその窒素原子と共に(C〜C10)‐複素環を形成し、ここで、Rは任意に3以下のJ置換基で置換され、各Rは独立して‐OR’であるか、またはホウ素原子と共に該Rは該ホウ素に加えて、N、NH、O、SOおよびSOから選択される3以下の別のヘテロ原子を有する(C〜C10)‐含有複素環となる)
であり;
Tは、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、各Tは任意に3以下のJ置換基で置換され;T中の3以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置において、O、N、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、Tがピロールであり、Jが‐C(O)R’、‐C(O)C(O)R’、‐C(O)CHC(O)R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐C(O)OR’、‐C(O)C(O)OR’、‐C(O)C(O)N(R’)、‐C(O)N(R’)、‐C(S)N(R’)、‐C(=NH)N(R’)、‐C(O)N(OR’)R’、‐C(=NOR’)R’である場合、該ピロールは3位においてJで置換されておらず;
Jは、ハロゲン、‐OR’、‐NO、‐CN、‐CF、‐OCF、‐R’、オキソ、チオオキソ、1,2‐メチレンジオキシ、1,2‐エチレンジオキシ、=N(R’)、=N(OR’)、‐N(R’)、‐SR’、‐SOR’、‐SOR’、‐SON(R’)、‐SOR’、‐C(O)R’、‐C(O)C(O)R’、‐C(O)CHC(O)R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐C(O)OR’、‐C(O)C(O)OR’、‐C(O)C(O)N(R’)、‐OC(O)R’、‐C(O)N(R’)、‐OC(O)N(R’)、‐C(S)N(R’)、‐(CH)0‐2NHC(O)R’、‐N(R’)N(R’)COR’、‐N(R’)N(R’)C(O)OR’、‐N(R’)N(R’)CON(R’)、‐N(R’)SOR’、‐N(R’)SON(R’)、‐N(R’)C(O)OR’、‐N(R’)C(O)R’、‐N(R’)C(S)R’、‐N(R’)C(O)N(R’)、‐N(R’)C(S)N(R’)、‐N(COR’)COR’、‐N(OR’)R’、‐C(=NH)N(R’)、‐C(O)N(OR’)R’、‐C(=NOR’)R’、‐OP(O)(OR’)、‐P(O)(R’)、‐P(O)(OR’)、または‐P(O)(H)(OR’)であり;
R’は、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここでR’は任意に3以下のJ基で置換され、同一原子に結合した2のR’基は、N、O、S、SOまたはSOから独立して選択される4以下のヘテロ原子を有する3員または10員の芳香環または非芳香環を形成し、該環は任意に縮合して(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール、(C〜C10)‐シクロアルキル、または(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐となり、いずれの環もJから独立して選択される3以下の置換基を有する)
の化合物を提供する。
【0019】
1つの態様では、Rがシクロヘキシル、Rがt‐ブチル、R3’がH、Rがn‐プロピル、Wが‐C(O)C(O)N(H)‐シクロプロピル、およびTが、
【化7】

である場合、Arは4‐キナゾリンまたは5‐クロロ‐2‐ピリジルでない。
【0020】
他の態様では、Tがピロールである場合、上記ピロールはJで置換されていないが、任意に5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環に縮合している。
【0021】
他の態様では、Tがピロールである場合、上記ピロールは3位をJで置換されていないが、任意に5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環に縮合している。
【0022】
他の態様では、Tは
【化8】

ではない。
【0023】
他の態様では、Tはピロールでない。
【0024】
更に特定の態様では、本発明はnが0である化合物を提供し、上記化合物は以下の式I‐A:
【化9】

(式中、記号は、本明細書中の態様のいずれかにおいて定義されているのと同様である)
を有する。式I‐Aの化合物において、Wは好ましくは
【化10】

である。
【0025】
更に特定の態様では、本発明はnが1である化合物を提供し、上記化合物は以下の式I‐B:
【化11】

(式中、記号は、本明細書中の態様のいずれかにおいて定義されているのと同様である)
を有する。式I‐Bの化合物において、Wは好ましくは
【化12】

である。
【0026】
(用語の定義)
本明細書中で用いられる「アリール」の語は、単環式または二環式の炭素環式芳香環系を意味する。フェニルは、単環式芳香環系の1つの例である。二環式芳香環系には、両環芳香である族系、例えばナフチル、および二環の内の一方だけが芳香族である系、例えばテトラリン(tetralin)が含まれる。
【0027】
本明細書中で用いられる「生物学的等価体(bioisostere)」‐COHの語は、生物学的活性分子中のカルボン酸基に対して置換してもよい化学部分を表す。そのような基の例は、クリストファー(Christopher)A.リピンスキー(Lipinski)、”bioisosteres in Drug Design”、Annual Reports in Medicinal Chemistry、21、第286〜88頁(1986年)、およびC.W.ソーンベル(Thornber)、”Isosterism and Molecular Modification in Drug Design”、Chemical Society Reviews、第563〜580頁(1979年)に開示されている。そのような基の例には、それらに限定されないが、‐COCHOH、‐CONHOH、SONHR’、‐SOH、‐PO(OH)NH、‐CONHCN、‐OSOH、‐CONHSOR’、‐PO(OH)、‐PO(OH)(OR’)、‐PO(OH)(R’)、‐OPO(OH)、‐OPO(OH)(OR’)、‐OPO(OH)(R’)、HNPO(OH)、‐NHPO(OH)(OR’)、‐NHPO(OH)(R’)、
【化13】

【化14】

が挙げられる。
【0028】
本明細書中で用いられる「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」の語は、化学的に安定な配置において、O、N、NH、S、SOまたはSOから選択される、各環中に1〜3のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する単環式または二環式の非芳香環系を意味する。「ヘテロシクリル」の二環式の非芳香環系の態様においては、一方または両方の環が、上記ヘテロ原子またはヘテロ原子基を含んでもよい。
【0029】
複素環の例には、3‐1H‐ベンズイミダゾール‐2‐オン、3‐(1‐アルキル)‐ベンズイミダゾール‐2‐オン、2‐テトラハイドロフラニル、3‐テトラハイドロフラニル、2‐テトラハイドロチオフェニル、3‐テトラハイドロチオフェニル、2‐モルホリノ、3‐モルホリノ、4‐モルホリノ、2‐チオモルホリノ、3‐チオモルホリノ、4‐チオモルホリノ、1‐ピロリジニル、2‐ピロリジニル、3‐ピロリジニル、1‐テトラハイドロピペラジニル、2‐テトラハイドロピペラジニル、3‐テトラハイドロピペラジニル、1‐ピペリジニル、2‐ピペリジニル、3‐ピペリジニル、1‐ピラゾリニル、3‐ピラゾリニル、4‐ピラゾリニル、5‐ピラゾリニル、1‐ピペリジニル、2‐ピペリジニル、3‐ピペリジニル、4‐ピペリジニル、2‐チアゾリジニル、3‐チアゾリジニル、4‐チアゾリジニル、1‐イミダゾリジニル、2‐イミダゾリジニル、4‐イミダゾリジニル、5‐イミダゾリジニル、インドリニル、テトラハイドロキノリニル、テトラハイドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3‐ジヒドロ‐イミダゾール‐2‐オンが挙げられる。
【0030】
本明細書中で用いられる「ヘテロアリール」の語は、化学的に安定な配置において、O、N、NHまたはSから選択される、各環中に1〜3のヘテロ原子またはヘテロ原子基を有する単環式または二環式の芳香環系を意味する。「ヘテロアリール」の二環式の芳香環系の態様においては、一方または両方の環が芳香環であってもよく、一方または両方の環が上記ヘテロ原子またはヘテロ原子基を含んでもよい。
【0031】
ヘテロアリール環の例には、2‐フラニル、3‐フラニル、N‐イミダゾリル、2‐イミダゾリル、4‐イミダゾリル、5‐イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、3‐イソキサゾリル、4‐イソキサゾリル、5‐イソキサゾリル、2‐オキサゾリル、4‐オキサゾリル、5‐オキサゾリル、N‐ピロリル、2‐ピロリル、3‐ピロリル、2‐ピリジル、3‐ピリジル、4‐ピリジル、2‐ピリミジニル、4‐ピリミジニル、5‐ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3‐ピリダジニル)、2‐チアゾリル、4‐チアゾリル、5‐チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5‐テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2‐トリアゾリルおよび5‐トリアゾリル)、2‐チエニル、3‐チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2‐インドリル)、ピラゾリル(例えば、2‐ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3‐オキサジアゾリル、1,2,5‐オキサジアゾリル、1,2,4‐オキサジアゾリル、1,2,3‐トリアゾリル、1,2,3‐チアジアゾリル、1,3,4‐チアジアゾリル、1,2,5‐チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5‐トリアジニル、キノリニル(例えば、2‐キノリニル、3‐キノリニル、4‐キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1‐イソキノリニル、3‐イソキノリニル、または4‐イソキノリニル)が挙げられる。
【0032】
本明細書中で用いられる「脂肪族基(aliphatic)」の語は、直鎖状または分岐状アルキル、アルケニルまたはアルキニルを意味する。アルケニルまたはアルキニルの態様は、その脂肪族鎖中に少なくとも2の炭素原子が必要であると解される。「シクロアルキルまたはシクロアルケニル」の語により、芳香族でない単環式或いは縮合または橋架け(bridged)の二環式炭素環式環系を表す。シクロアルケニル環は、1以上の不飽和ユニットを有する。好ましいシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、アダマンチルおよびデカリン‐イルが挙げられる。
【0033】
本明細書中で用いられているように、炭素原子の表示には、表示された整数および間にある整数を有してもよい。例えば、(C〜C)‐アルキル基中の炭素原子数は、1、2、3、または4である。これらの表示は、上記適合基中の原子の総数と解するべきである。例えば、(C〜C10)‐ヘテロシクリル中では、炭素原子中の炭素原子の総数は、3(アジリジン中として)、4、5、6(モルホリン)、7、8、9、または10である。
【0034】
本明細書中で用いられる「化学的に安定な配置(chemically stable arrangement)」の語句により、化合物を、当業者に公知の方法によって製造および哺乳動物への投与を可能とするのに十分に安定にする化合物の構造を表す。通常、そのような化合物は、湿分の不在下または他の化学的反応条件下で、40℃以下の温度で少なくとも1週間安定である。
【0035】
(好ましい態様)
本発明の他の態様では、Arが、フェニル、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、またはナフチルであり、各基が、任意に1、2または3のJ基で置換されている。
【0036】
本発明の他の態様では、Arが、
【化15】

【化16】

である。
【0037】
本発明の他の態様では、Arが、
【化17】

である。
【0038】
特に好ましい態様では、Arが、
【化18】

である。
【0039】
本発明の他の態様では、Arが、0、1、または2の窒素ヘテロ原子を有する6員または10員芳香環であり、1、2または3の環原子が任意におよび独立してJで置換されている。
【0040】
本発明の態様のいくつかにおいては、Arの各J基が、独立して、OR’、NO、CN、CF、OCF、R’、COR’、C(O)OR’、C(O)N(R’)、SOR’、SON(R’)、1,2‐メチレンジオキシ、1,2‐エチレンジオキシ、NR’C(O)OR’、またはNR’SOR’である。
【0041】
本発明の態様のいくつかにおいては、Arの各J基が、好ましくは、および独立して、OR’、ハロゲン、CN、CF、R’、またはCOR’である。より好ましくは、このJはハロゲン(特にクロロ)である。
【0042】
本発明の他の態様では、Arの各J基が、独立して、ハロ、トリフルオロメチル、メチル、またはNOである。
【0043】
好ましい態様では、Tが、(C〜C10)‐アリール‐または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐であり、各Tが、任意に、1、2または3のJ置換基で置換されている。
【0044】
好ましい態様では、Tが、6員または10員アリール基である。別の好ましい態様では、Tが、任意に別の5員または6員アリールまたはヘテロアリール基に縮合している6員ヘテロアリール基である。
【0045】
より好ましい態様は、Tが、
【化19】

である化合物である。
【0046】
より好ましい態様では、Tは
【化20】

またはピラジンである。
【0047】
本発明のある態様では、如何なるTも、任意に5員または6員アリールまたはヘテロアリール基に縮合している。
【0048】
従って、本発明の1つの態様により、Tが
【化21】

である化合物を提供し、各T基が任意に5員または6員アリールまたはヘテロアリール基に縮合している。
【0049】
他の態様では、Tは
【化22】

であり、Tは任意に5員または6員アリールまたはヘテロアリール基に縮合している。
【0050】
本発明のある態様では、Tは他の環に縮合していない。
【0051】
本発明のどの態様においても、Tの各アリールまたはヘテロアリール基は任意におよび独立して、‐CH、‐HCH、ハロゲン、アセチル、‐COH、‐(ClCアルキル)‐COH、または‐OR’から選択される1、2または3の基で置換されている。
【0052】
ある態様では、T中の1の脂肪族炭素原子を、化学的に安定な配置において、O、N、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられる。上記ヘテロ原子は、好ましくはOまたはNHである。別の態様では、どの脂肪族炭素原子もTで置き換えられていない。
【0053】
本発明のある化合物では、脂肪族基は、分子の残りの部分に対して、Tに結合している。一般に、これらの中で、脂肪族炭素原子の脂肪族結合置き換えは、nが1である化合物中で好ましい。nが1である化合物においては、この脂肪族結合基は、好ましくは、ヘテロ原子置き換えはなされていない。更に、nが1である化合物は好ましくは、脂肪族結合基を有していない。
【0054】
好ましい態様により、Wは、‐C(O)‐C(O)‐Rである。好ましくは、Rは、フェニル、ピリジル、(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐シクロアルキル、‐OH、‐O‐(C〜C)‐アルキル、‐N(H)‐(C〜C)‐シクロアルキル、‐N(H)‐C(H)(CH)‐(C〜C10)‐アリール、‐N(H)‐C(H)(CH)‐(C〜C10)‐ヘテロシクリル、または‐N(H)‐C(H)(CH)‐(C〜C10)‐ヘテロアリールであり、各アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールは、任意にハロゲンで置換されている。好ましい態様は、
【化23】

から選択される。より好ましくは、Rはイソプロピルである。
【0055】
1つの態様により、Wは‐C(O)‐C(O)‐ORである。この態様では、Rは、好ましくは水素、(C〜C12)‐脂肪族基(より好ましくは、C〜C‐アルキル)、(C〜C10)‐アリール、(C〜C10)‐シクロアルキルまたは‐シクロアルケニル、(C〜C10)‐ヘテロシクリル、(C〜C10)‐ヘテロアリール、C〜C‐シクロアルキル‐(C〜C)‐アルキルであり、上記シクロアルキルは、好ましくはシクロプロピルである。上記アリール基は、任意に3以下のJ基で置換され、Jはハロゲン、好ましくはクロロまたはフルオロである。より好ましくは、Rは、Hまたはメチルである。
【0056】
他の態様により、Wは、‐C(O)‐C(O)‐N(R)であり、Rは水素、(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐シクロアルケニル、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C)‐アルキル‐、または、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C)‐アルキル‐であり、Rは任意に3以下のJ基で置換されている。好ましくは、Rは水素、(C〜C10)‐シクロアルキルまたは‐シクロアルケニル、或いは(C〜C10)‐ヘテロシクリルである。更に、1つのRは水素であり、もう一方は(C〜C10)‐アリール‐(C〜C)‐アルキル‐であり、上記アルキルは、任意にCOH、(C〜C)‐シクロアルキル‐、(C)‐ヘテロシクリル‐(C〜C)‐アルキル‐、または(C〜C)‐アルケニル‐で置換されており、各Rは(C〜C)‐アルキル‐である。
【0057】
より好ましくは、W中の‐NHR
【化24】

である。この態様中の上記アルキルおよびアリール基の好ましいJ置換基は、ハロゲン、カルボキシ、およびヘテロアリールである。上記アリール基のより好ましくは置換基は、ハロゲン(好ましくはクロロまたはフルオロ)であり、上記アルキルのより好ましいJ置換基は、カルボキシ、およびヘテロアリールである。
【0058】
式Iの更に他の好ましい態様により、Wは
【化25】

(式中、NRが、‐NH‐(C〜C脂肪族基)、‐NH‐(C〜Cシクロアルキル)、‐NH‐CH(CH)‐アリール、または‐NH‐CH(CH)‐ヘテロアリールであり、該アリールまたはヘテロアリールが任意に3以下のハロゲンで置換されている)
である。
【0059】
Wのどんな好ましい態様においても、上記NRが、
【化26】

である。
【0060】
Wのどんな好ましい態様においても、上記NRが、
【化27】

である。
【0061】
Wのどんなより好ましい態様においても、上記NRが、
【化28】

である。
【0062】
Wのどんなより好ましい態様においても、上記NRが、
【化29】

である。
【0063】
1つの態様により、R
【化30】

から選択される。
【0064】
好ましい態様により、R
【化31】

から選択される。
【0065】
他の態様により、R
【化32】

である。
【0066】
他の態様により、R
【化33】

である。
【0067】
最も好ましくは、Rはシクロヘキシルである。
【0068】
1つの態様により、Rは、
【化34】

である。
【0069】
他の態様により、R
【化35】

である。
【0070】
どんな好ましい態様によっても、R
【化36】

である。
【0071】
どんな好ましい態様によっても、R
【化37】

である。
【0072】
最も好ましい態様では、Rは、t‐ブチルである。
【0073】
1つの態様では、R
【化38】

である。
【0074】
好ましい態様では、R
【化39】

である。
【0075】
より好ましくは、Rはプロピル(好ましくは、n‐プロピル)である。
【0076】
本発明の好ましい態様では、R3’はHである。
【0077】
他の態様により、RおよびR3’は、それらが結合する原子と共に、以下の式:
【化40】

の環系を形成する。
【0078】
他の態様により、R3’が水素であり、R
【化41】

である。
【0079】
好ましい態様により、R3’が水素であり、R
【化42】

である。
【0080】
本発明の更に他の態様では、R3’が水素であり、R
【化43】

である。
【0081】
1つの態様により、RまたはR4’の内の1つは、水素である。
【0082】
他の態様により、RまたはR4’の内の1つは、(C〜C)‐アルキルである。
【0083】
好ましい態様により、RおよびR4’は水素である。
【0084】
ある態様では、R、R、R、またはRの内の1または2の炭素原子は、任意におよび独立して、N、NH、O、またはSで置き換えられる。
【0085】
従って、本発明の1つの態様により、Rがシクロヘキシルであり、1または2の炭素原子は任意に、N、NH、O、またはSで置き換えられ、各原子は任意におよび独立して、1、2、または3のJ基で置換されており、Jはハロゲン、OH、OR’、NH、N(R’)(R’は好ましくは(C〜C)‐アルキルである)である化合物を提供する。
【0086】
ある他の態様では、R、R、R、およびRの内のどの炭素原子も、N、NH、O、またはSで置き換えられていない。他の態様では、これらの基は、J置換基を有さない。
【0087】
本発明の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含有してもよく、従って、ラセミ化合物およびラセミ混合物、1つのエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在してもよい。これらの化合物のそのようなすべての異性体の形は、特に本発明に包含される。各ステレオジェニック(stereogenic)炭素は、R配置またはS配置を有してもよい。
【0088】
好ましくは、本発明の化合物は、化合物1〜76に示された構造および立体化学を有する。
【0089】
前述の種類におけるそれらの態様を含む好ましい態様のいくつかは、個々に式Iを限定しても、または組み合わされて本発明の好ましい態様を作成してもよい。
【0090】
スキーム、調製および実施例中で用いられる略語は以下の通りである。
THF:テトラヒドロフラン
DMF: N,N‐ジメチルホルムアミド
EtOAc:酢酸エチル
AcOH:酢酸
HOBt:1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
EDC:1‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐3‐エチルカルボジイミドヒドロクロリド
NMM:N‐メチルモルホリン
NMP:N‐メチルピロリジノン
EtOH:エタノール
t‐BuOH:t−ブタノール
EtO:ジエチルエーテル
BOC:t‐ブチルオキシカルボニル
BOCO:ジ‐t‐ブチルジカーボネート
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
Chg:シクロヘキシルグリシン
TbG:t‐ブチルグリシン
Fmoc:9‐フルオレニルメチルオキシカルボニル
DMSO:ジメチルスルホキシド
TFA:トリフルオロ酢酸
DCCA:ジクロロ酢酸
DCE:ジクロロエタン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
MeCN:アセトニトリル
PyBrOP:トリス(ピロリジノ)ブロモホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
TBTUまたはHATU:2‐(1H−ベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐1,1,3,3‐テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
DMAP:4‐ジメチルアミノピリジン

PPTS:ピリジニウムp‐トルエンスルホネート
IBX:ペルヨード安息香酸
AIBN:2,2'‐アゾビスイソブチロニトリル
TEMPO:2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシ、フリーラジカル)
rtまたはRT:室温
ON:一晩
ND:測定せず
MS:質量分析法
LC:液体クロマトグラフィ
【0091】
(一般的合成方法論)
本発明の化合物を一般的に当業者に公知の方法によって製造してもよい。スキーム1〜7は、後述のように、本発明の化合物に対する合成経路を示す。以下の一般的スキームに例示したように、有機化学分野の当業者に容易に理解される他の同等のスキームを用いて分子の様々な部分を合成してもよく、その調製例を以下に示す。
【化44】

【化45】

【0092】
上記スキーム1により、Tがピラジンであり、Rがシクロヘキシルであり、R2がt‐ブチルであり、Wが‐C(O)C(O)‐N(H)‐シクロプロピルである、様々なArを有する式Iの化合物の調製の一般的合成経路を提供する。当業者には明らかなように、前述のもの以外のT、R、およびRを有する式Iの化合物を、合成経路を変更することによって調製してもよい。
【0093】
例えば、適当なカップリング条件下で、化合物5を(Z基を除去した後)式T‐C(O)‐OHの化合物と反応させることによって、Tがピラジン以外である式Iの化合物を調製してもよい。
【0094】
同様に、化合物3を化合物4に変換するのに、別のアミノ酸誘導体をZ‐Tbg‐OHと置換し、また、化合物4を化合物5に変換するのに、別のアミノ酸誘導体をZ‐Chg‐OHと置換することによって、様々なRおよびR基を有する化合物をそれぞれ提供する。
【化46】

【0095】
上記スキーム2により、化合物59の調製の一般的合成経路を提供する。
【化47】

【0096】
本発明の化合物を調製するための別の方法を、スキーム3に示す。この方法では、4‐ヒドロキシプロリン誘導体13を化合物14に反応させて、化合物15を提供する。スキーム3においては、pは水素または適当なアミン保護基であり、pは水素または適当なカルボキシ保護基であり、Arは前述のものと同様であり、Xは適当な脱離基である。前述のような1つの態様においては、pはt‐ブトキシカルボニルであり、pは水素であり、Arは4‐クロロ‐2‐ピリジンであり、XはClであり、tBuck、DMSO、およびTHFの存在下で、上記化合物13および14を反応させる。
【0097】
当業者には明らかなように、次いで、常套の方法によって、上記化合物15を式Iの化合物に変換してもよい。そのような1つの方法を、以下のスキーム4に示す。
【化48】

【化49】

【0098】
スキーム5には、本発明の化合物59を調製する別の方法を示す。スキーム5で用いた工程は、例えば、異なる試薬を用いるか、または上記反応を異なる順番で行うことによって、変更することができる。
【化50】

【0099】
スキーム6には化合物28を調製する方法を示す。この態様では、水素化分解条件下で、ベンジルオキシカルボニル保護基の除去によって、化合物27を化合物28に変換する。このスキーム6は、当業者に公知の技術を用いて変更することができる。
【化51】

【0100】
本発明の化合物を調製するための別の方法を、スキーム7に示す。スキーム7においては、記号は前述と同様である。
【0101】
従って、本発明の1つの態様により、本明細書中に記載の態様のいくらかに示したように、式IIIの化合物の存在下で、式IIの化合物を反応させて、以下の式IV:
【化52】

(式中、R10はアミン保護基、本明細書中に記載のHCVプロテアーゼ阻害剤のP3‐残基、または本明細書中に記載のHCVプロテアーゼ阻害剤のP4‐P3‐残基であり、該P3‐残基およびP4‐P3‐残基が任意にアミノ末端キャッピング基として保護され、R11はカルボキシ保護基または本明細書中に記載のHCVプロテアーゼ阻害剤のP1残基であり、該P1残基はカルボキシ末端保護基またはWで任意に置換される)
の化合物を提供する工程を含む、式Iの化合物を調製する方法を提供する。Arは、本明細書中に記載のいくつかの態様と同様である。Xは、適当な脱離基である。当業者には明らかなように、適当な脱離基はインシトゥで生成されてもよい。
【0102】
別の態様においては、式II中の4‐ヒドロキシ基を脱離基に変換してもよい。そのような態様においては、Xは、式IIの化合物と反応して式IVの化合物を提供する求核性酸素である。
【0103】
本明細書中で用いられるように、P1、P3、P4は、本技術分野で定義され、当業者に公知のように、HCVプロテアーゼ阻害剤の残基である。
【0104】
本明細書中に記載の方法に従って、式IVの化合物を、式Iの化合物に変換してもよい。
【0105】
ある例示的態様が以下に示され、記載されているが、当業者に一般的に入手可能な適当な出発原料を用いる前述の方法に従って、本発明の化合物を調製することができる。
【0106】
本発明の別の態様により、式Iの化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含有する組成物を提供する。好ましい態様により、式Iの化合物は試料中または患者内のウイルス量を低減するのに有効な量で存在し、上記ウイルスはウイルスのライフサイクルに必要なセリンプロテアーゼ、および許容可能なキャリアを暗号化する。
【0107】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩をこれらの組成物に使用する場合、それらの塩は好ましくは無機または有機の酸または塩基から誘導される。そのような酸の塩に含まれるものとして、アセテート、アジペート、アルギナート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ブチレート、シトレ−ト、カンファレート(camphorate)、カンファー(camphor)、スルホネート、シクロペンタン‐プロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2‐ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2‐ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、パモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3‐フェニル‐プロピオネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、タルトレート、チオシアネート、トシレートおよびウンデカノエートが挙げられる。塩基の塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N‐メチル‐D‐グルカミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)を有する塩等が挙げられる。
【0108】
また、塩基性窒素含有基を、ハロゲン化低級アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル;長鎖ハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ハロゲン化アラルキル、例えば臭化ベンジルおよび臭化フェネチル等の薬品で4級化してもよい。それによって、水または油溶性および分散性の生成物が得られる。
【0109】
本発明の組成物および方法に用いられる化合物は、また、選択的生化学特性を向上するために、適当な官能基を追加することによって変性してもよい。そのような変性は当業者に公知であり、所定の生化学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生化学的浸透を向上させるもの、経口有効性を向上するもの、注射による投与を可能にする溶解度を向上するもの、代謝を変えるもの、および排泄を変えるものを含む。
【0110】
これらの組成物に用いられてもよい薬学的に許容可能なキャリアは、それらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清蛋白、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン‐ポリオキシプロピレン‐プロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0111】
好ましい態様により、本発明の組成物は、哺乳動物、好ましくは人間への薬剤投与用に処方される。
【0112】
本発明のそのような薬剤組成物は、経口投与、非経口投与、吸入噴霧による投与、局所投与、直腸投与、鼻腔投与、口内投与、膣投与または差し込んだ貯蔵容器による投与してもよい。本明細書中で用いられる「非経口(parenteral)」の語には、皮下、静脈、筋肉、関節内、滑液包内、胸骨内、鞘内、肝臓内、皮下内、頭蓋内注射または点滴技術を包含する。好ましくは、上記組成物は、経口または静脈投与される。
【0113】
本発明の組成物の無菌注射可能な形は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、好適な分散助剤または湿潤剤および沈降防止剤を用いて、当業者に公知の技術によって処方されてもよい。上記無菌注射可能な製剤は、無毒性非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3‐ブタンジオール溶液であってもよい。用いることができる許容可能な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液(Ringer’s solution)および等浸透圧塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発油が従来、溶媒または懸濁媒として用いられている。この用途では、合成モノグリセリドまたはジグリセリド等の、どのような刺激性の低い不揮発油を用いてもよい。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に許容可能な油、例えばオリーブ油、ひまし油、特にそれらのポリオキシエチル化したものは、注射可能な製剤に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース、或いはエマルジョンおよび懸濁液などの薬学的に許容可能な投与形の製剤に通常用いられる類似の分散助剤を含有してもよい。他の通常用いられる界面活性剤、例えばトゥイーンズ(Tweens)、スパンズ(Spans)および他の乳化剤、或いは薬学的に許容可能な固形、液状または他の投与形の製造に通常用いられる生物学的利用率向上剤(bioavailability enhancer)を製剤用に用いてもよい。
【0114】
本明細書中に記載のプロテアーゼ阻害剤化合物の投与量約0.01〜約100mg/kg体重、1日当たり、好ましくは約0.5〜約75mg/kg体重、1日当たりが、抗ウィルス、特に抗HCV媒介疾病の予防および治療のための単剤投与に有効である。通常、本発明の薬剤組成物は、持続点滴として1日当たり約1〜約5回投与される。そのような投与は、慢性または急性治療として用いることができる。単剤投与形を製造するためにキャリア材料と組み合わせてもよい活性成分量は、治療した被移植体および特定の投与モードに依存して変化する。典型的な製剤には、約5%〜約95%(w/w)の活性化合物を含有する。好ましくは、そのような化合物は約20%〜約80%(w/w)の活性化合物を含有する。当業者には明らかなように、インターフェロン投与量は通常、IU単位で測定される(例えば、約4百万IU〜約千2百万IU)。
【0115】
本発明の組成物が式Iの化合物および1以上の別の治療薬または予防薬を含有する場合、上記化合物および上記別の薬品の両方は、単剤投与管理において通常投与される量の約10〜100%、好ましくは約10〜80%の投与量で含有すべきである。
【0116】
本発明の薬剤組成物は、それらに限定されないが、カプセル、タブレット、水性懸濁液または溶液を含む如何なる許容可能な経口投与形態で経口投与されてもよい。経口用のタブレットの場合、通常用いられるキャリアにはラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤も、通常用いられる。カプセル形態の経口投与に対して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口投与に必要である場合、その活性成分を乳化剤および沈降防止剤と組み合わせる。要すれば、ある一定の甘味料、調味料または着色剤を加えてもよい。
【0117】
更に、本発明の薬剤組成物は、直腸投与用の座薬の形態であってもよい。これらは、上記薬品を、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、従って直腸中で溶解して薬剤を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することによって製造してもよい。そのような材料には、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0118】
本発明の薬剤組成物は、目、皮膚または下部腸管の疾病等の、特に治療対象が局所適用によって容易に接触可能な領域または臓器を含む場合、局所投与してもよい。好適な局所投与製剤は、これらの領域または臓器のそれぞれのために容易に製造することができる。
【0119】
下部腸管用の局所適用は、直腸座薬製剤(前述)または好適な浣腸製剤に有効である。局所経皮パッチを用いてもよい。
【0120】
局所用途のために、上記薬剤組成物を1以上のキャリア中に懸濁または溶解した活性成分を含有する好適な軟膏に処方してもよい。本発明の化合物の局所投与用キャリアには、それらに限定されないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。更に、上記薬剤組成物は、1以上の薬学的に許容可能なキャリア中に懸濁または溶解した活性成分を含有する好適なローションおよびクリームに配合してもよい。好適なキャリアには、それらに限定されないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2‐オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0121】
眼病用途に対して、上記薬剤組成物は、等浸透圧、pH調整無菌塩水中の微細化懸濁液として、好ましくは等浸透圧、pH調整無菌塩水溶液として、いずれも塩化ベンジルアルコニウム等の予防剤なしで、処方されてもよい。更に、眼病用途に対して、上記薬剤組成物は、ペトロラタム等の軟膏に処方されてもよい。
【0122】
本発明の薬剤組成物は、鼻用エアゾールまたは吸入によって投与されてもよい。そのような組成物は、薬学処方の技術分野で公知の技術によって製造され、生物学的利用率を向上するためのベンジルアルコールまたは他の好適な予防剤、吸収促進剤を用い、フルオロカーボンおよび/または他の従来の溶解剤または分散剤を用いる塩水溶液として製造されてもよい。
【0123】
最も好ましいのは、経口投与用に処方された薬剤組成物である。
【0124】
他の態様では、本発明の組成物には、更に、別の抗ウィルス剤、好ましくは抗HCV剤を含有する。そのような抗ウィルス剤には、それらに限定されないが、免疫調節剤、例えばα‐、β‐、およびγ‐インターフェロン、ペグ化(pegylated)誘導インターフェロン‐α化合物、並びにチモシン;他の抗ウィルス剤、例えばリバビリン(ribavirin)、アマンタジン(amantadine)、テルビブジン(telbivudine);C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2‐NS3阻害剤およびNS3‐NS4阻害剤);HCVライフサイクルにおける別のターゲットの阻害剤、例えばヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害剤;インターナル・リボゾーム・エントリー(internal ribosome entry)の阻害剤;広域スペクトル・ウィルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤(例えば、米国特許第5,807,876号明細書、同6,498,178号、同6,344,465号、同6,054,472号、国際公開第WO 97/40028号パンフレット、同98/40381号、同00/56331号の化合物、およびミコフェノール酸およびそれらの誘導体、それらに限定されないが、例えばVX‐497、VX‐148、および/またはVX‐944);前述のものの内のいくつかの組み合わせ;が挙げられる。W.マークランド(Markland)等の”Antimicrobial & Antiviral Chemotherapy”、44、第859頁(2000年)および米国特許第6,541,496号明細書も参照。
【化53】

【0125】
以下の定義を本明細書中で用いる(登録商標は本願出願日に入手可能な製品を表す)。
【0126】
「Peg−Intron」は、シェーリング社(Schering Corporation,Kenilworth,NJ)から市販の「PEG−Intron」を意味する;
【0127】
「Intron」は、シェーリング社(Schering Corporation,Kenilworth,NJ)から市販の「Intron‐A」、インターフェロンα‐2b;
【0128】
「ribavirin」は、ICN Pharmaceuticals, Inc.(Costa Mesa,CA)から市販され、メルク・インデックス(Merck Index)エントリー(entry)8365、第12版に記載されており;シェーリング社(Schering Corporation,Kenilworth,NJ)から「Rebetols」として、またはホフマン・ラ ロシュ社(Hoffmann‐La Roche,Nutley,NJ)から「Copegus」として市販のリバビリン(ribavirin、1‐β‐D‐リボフラノジル‐1H‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐カルボキシアミドを意味する;
【0129】
「Pagasys」は、ホフマン・ラ ロシュ社(Hoffmann‐La Roche,Nutley,NJ)から市販の「Pegasys」、ペグインターフェロン(peginterferon)α‐2aを意味する;
【0130】
「Roferon」は、ホフマン・ラ ロシュ社(Hoffmann‐La Roche,Nutley,NJ)から市販の「Roferon」、組み換え型インターフェロンα‐2aを意味する;
【0131】
「Berefor」は、ベーリンガー・インゲルハイム社(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc.,Ridgefield,CT)から市販の「Berefor」、インターフェロンα 2を意味する;
【0132】
「Sumiferon」は、天然α‐インターフェロン、例えばスミトモ(Sumitomo, 日本)から市販の「Sumiferon」の精製ブレンドである;
【0133】
「Wellferon」は、(Glaxo Wellcome LTd., 英国)から市販のインターフェロンα n1である;
【0134】
「Alferon」は、インターフェロン・サイエンシス(Interferon Sciences)により製造され、(Purdue Frederick Co., CT)から市販の天然α‐インターフェロンの混合物である;
【0135】
本明細書中で用いられる「インターフェロン(interferon)」の語は、ウィルスの複製および細胞の増殖を阻害し、免疫応答を調節する特定蛋白の同族種のファミリーのメンバー、例えばインターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγを意味する。メルク・インデックス(Merck Index)エントリー(entry)5015、第12版;
【0136】
本発明の1つの態様により、上記インターフェロンが、α‐インターフェロンである。他の態様により、本発明の治療化合物には天然α‐インターフェロン2aを用いる。もしくは、本発明の治療化合物には、天然α‐インターフェロン2bを用いる。別の態様では、本発明の治療化合物には、組み換え型α‐インターフェロン 2aまたは2bを用いる。更に別の態様では、上記インターフェロンは、ペグ化α‐インターフェロン2aまたは2bである。本発明に好適なインターフェロンαには、
(a)Intron(インターフェロンα‐2B、シェーリング・プロウ)、
(b)Peg‐Intron、
(c)Pegasis、
(d)Roferon、
(e)Berofor、
(f)Sumiferon、
(g)Wellferon、
(h)アムゲン社(Amgen, Inc., Newbury Park,CA)から市販のコンセンサスα‐インターフェロン
(i)Alferon、
(J)Viraferon
(k)Infergen
が挙げられる。
【0137】
当業者には明らかなように、プロテアーゼ阻害剤は好ましくは経口投与される。インターフェロンは、通常、経口投与されない。それにもかかわらず、本明細書中では、本発明の方法または化合物は、如何なる特定の投与形態または養生法にも限定されるものではない。従って、本発明の化合物の各成分は、別々に、一緒に、またはそれらの組み合わせにより投与されてもよい。
【0138】
1つの態様では、上記プロテアーゼ阻害剤およびインターフェロンを、別々の投与形態で投与する。1つの態様では、上記プロテアーゼ阻害剤を有する単一投与形態の一部として、または分離投与形態として、どのような付加的薬品も投与する。本発明は化合物の組み合わせを包含するので、特定量の各化合物は、特定量の他の各化合物に組み合わせて依存する。当業者には明らかなように、インターフェロンの投与量は通常、IU単位で測定される(例えば、約4百万IU〜約千2百万IU)。
【0139】
従って、本発明の化合物との組み合わせに用いられる薬品(免疫調節剤として機能するか、そうでないかどうか)には、それらに限定されないが、インターフェロン‐α 2B(Intron A、シェーリング・プロウ);Rebatron(シェーリング・プロウ、インターフェロンα 2B+Ribavirin);ペグ化インターフェロンα[レディ(Reddy)K.R.等の”Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd)interferon alpha−2a compared with interferon alpha−2a in noncirrhotic patients with chronic hepatitis C”、Hepatology,33,第433〜438頁(2001年)];コンセンサス インターフェロン(Kao,J.H., et al.,”Efficacy of Consensus Interferon in the Treatement of Chronic Hepatitis”、J.Gastroenterol.Hepatol.,15,第1418〜1423頁(2000年);インターフェロン‐α 2A[Roferon A; ロッシュ(Roche)、lymphoblastoidor”natural”interferon;インターフェロンτ[クライエッテ(Clayette)、P.等、”IFN‐τ,A Interferon Type I with Antiretroviral activity”、Pathol. Biol.、(Paris) 47,第553〜559頁(1999年);interleukin 2[ディビス(Davis),G.L.等、”Future Options for the Management of Hepatitis C.”、Seminars in Liver Disease,19,第103〜112頁(1999年)];Interleukin 6[ディビス(Davis)等、”Future Options for the Management of Hepatitis C.”、Seminars in Liver Disease,19,第103〜112頁(1999年)];interleukin 12[ディビス(Davis),G.L.等、”Future Options for the Management of Hepatitis C.”、Seminars in Liver Disease,19,第103〜112頁(1999年)];Ribavirin;およびタイプ1ヘプターT細胞応答の発達を向上する化合物[ディビス(Davis)等、”Future Options for the Management of Hepatitis C.”、Seminars in Liver Disease,19,第103〜112頁(1999年)];が挙げられる。インターフェロンは、直接抗ウィルス作用を発揮することによって、および/または感染に対する免疫応答を改質することによって、ウィルス感染を改善する。インターフェロンの抗ウィルス作用はしばしば、ウィルスの侵入または脱穀、ウィルスRNAの合成、ウィルス蛋白の変換、および/またはウィルスの組立ておよび放出の阻害によって媒介する。
【0140】
細胞中のインターフェロンの合成を刺激する化合物[タズラコーバ(Tazulakhova),E.B.等、”Russian Experience in Screening,analysis,and Clinical Application of Novel Interferon Inducers”、J.Interferon Cytokine Res.,21、第65〜73頁]には、それらに限定されないが、二重鎖RNA、単独またはトブラマイシンとの組み合わせ、およびImiquimod[3M Pharmaceuticals;サウダー(Sauder),D.N.”Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod”、J.AM.Acad.Dermatol.、43、 第S6〜11頁(2000頁)]が挙げられる。
【0141】
他の非免疫調節または免疫調節化合物を、本発明の化合物と組み合わせて用いてもよく、それらは限定されないが、国際公開第WO 02/18369号パンフレットに特定される化合物が挙げられ、その記載を本明細書中に挿入する(第273頁、第9〜22行および第274頁第4行〜第276頁背第11行参照)。
【0142】
本発明には、また、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤を投与することを含んでもよい。CYP阻害剤は、CYPによって阻害される化合物の肝臓での濃度を増加するのに、および/または血中濃度を増加するのに有用である。
【0143】
本発明の1つの態様がCYP阻害剤を含む場合、関連するNS3/4Aプロテアーゼの薬物動力学を向上する如何なるCYP阻害剤を、本発明の方法に用いてもよい。これらのCYP阻害剤は、それらに限定されないが、リトナビル(国際公開第WO 94/14436号パンフレット)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4‐メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX‐944およびVX‐497が挙げられる。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4‐メチルピラゾール、シクロスポリン、およびクロメチアゾールが挙げられる。リトナビルの好ましい投与形態に関しては、米国特許第6,037,157号およびそこに引用された文献、米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号並びに国際公開第WO 95/07696号パンフレットおよび同95/09614号を参照。
【0144】
化合物のシトクロムP50モノオキシゲナーゼ活性を阻害する能力を測定する方法は、公知である[米国特許第6,037,157号およびユン(Yun)等のDrug Metabolism & Disposition、第21巻、第403〜407頁(1993)]。
【0145】
要すれば、患者のコンディションを改善することにより、維持用量の本発明の化合物、組成物または組み合わせを投与してもよい。次いで、症状が所望のレベルまで軽減された場合、症状の関数として、投与量または投与回数、或いはその両方を、改善されたコンディションを維持する量まで減らしてもよく、治療を止めるべきである。しかしながら、患者は、疾病症状の再発により、長期の断続的治療を要求するかもしれない。
【0146】
また、特定の患者に対する特定投与量および治療養生法は、種々の要因、例えば用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、総合的健康状態、性別、日常食、投与回数、排泄量、薬剤組み合わせ、治療する内科医の判断および治療する特定の疾病の辛さに依存するものと解されるべきである。活性成分量もまた、特定の記載された化合物、並びに組成物中の付加的な抗ウィルス剤の有無および性状に依存する。
【0147】
別の態様に従って、本発明により、本発明の薬学的に許容可能な組成物を患者に投与することによって、ウィルスのライフサイクルに必要なウィルスにより暗号化したセリンプロテアーゼを特徴とするウィルスに感染した患者を治療する方法を提供する。好ましくは、本発明の方法を用いて、HCV感染に苦しむ患者を治療する。そのような治療により、ウィルス感染を完全に撲滅するか、またはそれらの辛さを低減する。更に好ましくは、患者が人間である。
【0148】
更なる態様において、本発明の方法は更に、患者に抗ウィルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与する工程を含む。そのような抗ウィルス剤には、それらに限定されないが、免疫調節剤、例えばα‐、β‐、およびγ‐インターフェロン、ペグ化誘導インターフェロンα化合物、並びにチモシン;他の抗ウィルス剤、例えばリバビリンおよびアマンタジン;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2‐NS3阻害剤およびNS3‐NS4阻害剤);HCVライフサイクルにおける別のターゲットの阻害剤、例えばヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害剤;インターナル・リボゾーム・エントリー(internal ribosome entry)の阻害剤;広域スペクトル・ウィルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤(米国特許第5,807,876号明細書に開示のIMPDH阻害剤、ミコフェノール酸およびそれらの誘導体);または前述のものの内のいくつかの組み合わせ;が挙げられる。
【0149】
そのような付加的薬品を、本発明の化合物および抗ウィルス剤の両者を含有する単一投与形態の一部として、患者に投与してもよい。更に、上記付加的薬品を、多数投与形態の一部として、本発明の化合物と別々に投与してもよく、上記付加的薬品は、本発明の化合物を含有する組成物の前、上記組成物と共に、または上記組成物の後に投与する。
【0150】
更に別の態様では、本発明により、生物学的物質を本発明の化合物を含有する薬学的に許容可能な組成物に接触させる工程を含む、患者への投与を意図する生物学的物質を前処理する方法を提供する。そのような生物学的物質には、それらに限定されないが、血液およびその成分、例えば血漿、血小板、血液細胞の特定生物型群等;臓器、例えば腎臓、肝臓、心臓、肺臓等;精子および卵子;骨髄およびその成分;患者に注入する他の流体、例えば塩水、デキストローゼ等;が挙げられる。
【0151】
他の態様に従って、本発明により、ウィルスのライフサイクルに必要なウィルスにより暗号化したセリンプロテアーゼを特徴とする、ウィルスと接触するようになるかもしれない材料を処理する方法を提供する。この方法には、上記材料を本発明の化合物と接触させる工程を含む。そのような材料には、それらに限定されないが、外科用器械および手術用衣服(例えば、衣服、手袋、エプロン、手術着、マスク、メガネ、履物等);実験装置および実験用衣服(例えば、衣服、手袋、エプロン、手術着、マスク、メガネ、履物等);血液回収装置および材料;侵襲的な器具、例えばシャント、ステント等;が挙げられる。
【0152】
他の態様では、ウィルスにより暗号化したセリンプロテアーゼの単離を補助するのに、本発明の化合物を実験用具として用いてもよい。この方法には、固体支持体に結合した本発明の化合物を提供する工程;上記固体支持体を、上記プロテアーゼを上記固体支持体に結合させる条件下で、ウィルス性のセリンプロテアーゼを含有する試料に接触させる工程;および上記セリンプロテアーゼを上記固体支持体から溶出させる工程;を含む。好ましくは、この方法により単離した上記ウィルス性のセリンプロテアーゼが、HCV NS3−NS4Aプロテアーゼである。
【0153】
更に十分に本発明を理解するために、以下の調製例および試験実施例を示す。これらの実施例は、説明することのみを目的とし、如何なる方法によっても本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0154】
「Bruker AMX 500」装置を用いて、H‐NMRスペクトルを500MHzで記録した。エレクトロスプレー・イオン化を用いてシングルMSモードで操作した「MicroMass ZQ」または「Quattro II」質量スペクトロメーターで、質量スペクトル試料を分析した。フローインジェクション(FIA)またはクロマトグラフィーを用いて、試料を上記質量スペクトロメーターに導入した。すべての質量スペクトル分析用の移動相は、改質剤としての0.2%ギ酸を含有するアセトニトリル‐水混合物からなった。
【0155】
本明細書中で用いられる「Rt(分)」または「RT」の語は、化合物に関連したHPLCの保持時間を表す。列挙したHPLC保持時間は、以下の方法(方法B)質量スペクトルデータから、または以下の方法(方法B)を用いて得られた。
装置:Hewlett Packard HP‐1050;
カラム:YMC C18 (Cat.No.326289C46);
グラジエント/グラジエント時間:9分間かけて10〜90%CHCN/HO、次いで100%CHCNで2分間
流速:0.8mL/分
検出器波長:215nMおよび245nM
【0156】
本明細書中で選択された化合物の化学名は、CambridgeSoft Corporations ChemDraw UltraR、バージョン7.0.1を 用いて命名した。
【0157】
(実施例1)
化合物59の調製
4‐ヒドロキシ‐ピロリジン‐1,2‐ジカルボン酸 1‐ベンジルエステル 2‐t‐ブチルエステル(3)
市販のZ‐ヒドロキシ‐プロリン(1)(10g、42.51ミリモル、Bachem社)を90mLのTHF(テトラハイドロフラン)に溶解し、氷水浴を用いて、0℃まで冷却した。ここへ、滴下漏斗によって30分間かけて、予め調製したt‐ブチル N,N‐ジイソプロピル‐イミドカルバメート(2)(27mL、135ミリモル)を加えた。加えた後、冷却浴を取り除き、上記反応物を周囲温度で24時間撹拌した。上記反応物の体積が低減し、次いでジエチルエーテルを加えて、飽和二炭酸ナトリウム、次いで0.5M塩酸、次いで水、最後に塩水(ブライン)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して15gの原料を得た。原料をSiOプラグを通過させ、45%EtOAc‐ヘキサンで溶出し、無色の油11.0g(81%)としての4‐ヒドロキシ‐ピロリジン‐1,2‐ジカルボン酸 1‐ベンジルエステル 2‐t‐ブチルエステル(3)を得た。
H NMR(CDCl、ppm)δ 7.35 (m, 5H), 5.2 (m, 2H), 4.3 (m,2H), 4.65 (m, 3H), 2.35 (m, 1H), 2.1 (t, 1H), 1.35, 1.55 (rotomers, 1.45, 9H).
【0158】
1‐(2‐{シクロヘキシル‐2‐[(ピラジン‐2‐カルボニル)‐アミノ]‐アセチルアミノ}‐3,3‐ジメチル‐ブチリル)‐4‐ヒドロキシ‐ピロリジン‐2‐カルボン酸 t‐ブチルエステル(6)
EtOH中で(3)を混合し、触媒量の炭素上の10%Pdを加え、次いで風船を用いて水素1気圧下で撹拌した。12時間後、tlcによって反応が完了したことを示し、上記触媒を濾過し、EtOHで洗浄した。濾液を濃縮し、高真空下で乾燥して黄色固体としてのアミンを得、それを次の工程で用いた。Z‐Tbg‐OH(8.3g、31.1ミリモル)をNMPに溶解し、EDC(6.0g、31.1ミリモル)、HOBT(4.2g、31.1ミリモル)、DMAP(340mg、2.8ミリモル)を加え、氷水浴を用いて、0℃まで冷却した。この混合物にNMP溶液としての上記アミンを加え、上記反応物を2日間撹拌した。上記反応物を氷の上に注ぎ、0.5N塩酸でpH5に酸性化し、次いでEtOAcで抽出した。有機抽出物を飽和二炭酸ナトリウム、次いで水、最後に塩水(ブライン)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して14.8gの原料を得た。SiOのクロマトグラフィープラグを用いて、50%EtOAc‐ヘキサンで溶出し、精製を行った。均一フラクションの濃縮により、無色の発泡体(85%)としての10.5gの4を得、それを次の工程で用いた。
【0159】
EtOH中の4の混合物(10.5g、24.16ミリモル)に、触媒量の炭素上の10%Pdを加え、次いで風船を用いて水素1気圧下で撹拌した。12時間後、tlcによって反応が完了したことを示し、上記触媒を濾過し、EtOHで洗浄した。濾液を濃縮し、高真空下で乾燥して黄色固形物としてのアミンを得、それを次の工程で用いた。Z‐Chg‐OH(7.7g、36.6ミリモル)をNMPに溶解し、そこへEDC(5.1g、26.7ミリモル)、HOBT(3.6g、26.6ミリモル)を加え、氷水浴を用いて、0℃まで冷却した。この混合物にNMP溶液としての上記予め調製したアミンを加え、上記反応物を2日間撹拌した。上記反応物を氷および塩水(ブライン)の上に注ぎ、次いでEtOAcで抽出した。有機抽出物を0.5N塩酸、飽和二炭酸ナトリウム、次いで水、最後にブラインで洗浄した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、原料としての15.31gの5を得、それを次の工程で用いた。
【0160】
5のEtOH溶液(5.6g、9.76ミリモル)に、触媒量の炭素上の10%Pdを加え、次いで風船を用いて水素1気圧下で撹拌した。12時間後、tlcによって反応が完了したことを示し、上記触媒を濾過し、EtOHで洗浄した。濾液を濃縮し、高真空下で乾燥して非晶質固形物としてのアミンを得、それを次の工程で用いた。ピラジン‐2‐カルボン酸(1.45g、11.7ミリモル)をNMPに溶解し、そこへEDC(2.24g、11.7ミリモル)、HOBT(1.34g、11.7ミリモル)を加え、氷浴を用いて、0℃まで冷却した。この混合物にNMP溶液としての上記予め調製したアミンを加え、上記反応物を2日間撹拌した。上記反応物を氷および塩水(ブライン)の上に注ぎ、次いでEtOAcで抽出した。有機抽出物を0.5N塩酸、飽和二炭酸ナトリウム、次いで水、最後にブラインで洗浄した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、無色発泡体としての5.3g(99%)の6を得、それを次の工程で用いた。
【0161】
ピラジン‐2‐カルボン酸({1‐(4‐(5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐2‐(1‐シクロプロピルアミノオキサリル‐ブチルカルバモイル)‐ピロリジン‐1‐カルボニル]‐2,2‐ジメチル‐プロピルカルバモイル}‐シクロヘキシル‐メチル)‐アミド(59)
無水THF中の6の溶液(0.15g、0.28ミリモル)に、トリフェニルホスフィン(0.131g、0.5ミリモル)、2‐ヒドロキシ‐4‐クロロ‐ピリジン(65mg、0.5ミリモル)、最後にジエチルアゾカルボキシレート(0.100mL、1.85ミリモル)を加えた。上記反応物が残余している6を示さなくなるまで、HPLCで上記反応物を、室温で18時間撹拌した。上記反応物からTHFを除去し、次いで上記材料をEtOAc中に入れて、0.1NのNaOH、0.5Nの塩酸、水、最後にブラインで洗浄した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、t‐ブチルエステルを得た。ジクロロエタン中の50%トリフルオロ酢酸で3時間処理することによって、上記t‐ブチルエステル基を上記カルボン酸に加水分解した。上記溶媒を真空下で除去し、次いで残渣を0.1NのNaOHで集め、EtOAcで洗浄した。水性相を5%のクエン酸で酸性化し、次いでEtOAcで抽出した。得られた有機相を水および次いでブラインで洗浄し、続いて有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、無色の発泡体としての4‐(5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐1‐(2‐(2‐シクロヘキシル‐2‐[(ピラジン‐2‐カルボニル)‐アミノ]‐アセチルアミノ}‐3,3‐ジメチル‐ブチリル)‐ピロリジン‐2‐カルボン酸7aを得、次の工程で用いた。ジメチルホルムアルデヒド2mL中の7aの溶液に、TBTU(0.15g、0.47ミリモル)、DIEA(0.15mL、1.1ミリモル)を加え、反応物を1.5時間撹拌し、次いでアミン10[U.Schoellkogf等のJustus Liebigs Ann.Chem.GE、第183〜202頁(1976年)およびJ.Semple等のOrg.Letts.、2、第2769〜2772頁(2000年)] を、次いで4‐メチルモルホリン(0.2mL、1.82ミリモル)を、上記混合物に加えた。上記反応物を、周囲温度で12時間撹拌し、次いで水の上に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、無色の発泡体としてのピラジン‐2‐カルボン酸[(1‐{4‐(5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐2‐[1‐(シクロプロピルカルバモイル‐ヒドロキシ‐メチル)‐ブチルカルバモイル]‐ピロリジン‐1‐カルボニル}‐2,2‐ジメチル‐プロピルカルバモイル)‐シクロヘキシル‐メチル]‐アミド11a(40mg)を得、次の工程で用いた。ジクロロメタン(4mL)中の11a(40mg)の溶液に、t‐ブタノール0.1mL、ドレス‐マーチン(Dress‐Martin)ペルヨージナン(40mg、0.086ミリモル)を加え、次いで周囲温度で6時間撹拌した。上記反応物に、1Nのチオ硫酸ナトリウム:飽和二炭酸ナトリウムの1:1混合物1mLを加えた。15分後、上記反応物をEtOAcで抽出し、次いで上記溶媒を真空下で除去した。SiO2のクロマトグラフィーを用いて、50%EtOAc‐ヘキサンで溶離し、精製を行った。均一フラクションの濃縮により、無色の発泡体(85%)としての0.095gの59を得た(6の0.28ミリモルをベースとして4.5%)。
H NMR(CDCl、ppm)δ 9.39 (s,1H), 8.76 (s,1H), 8.56 (s,1H), 8.24 (d, 1H,J=9. 6Hz), 8.08 (s,1H), 7.8 (d,lH, 6.4Hz), 7.69 (s,lH), 7.47‐7. 40 (m, 2H), 7.47 (d,lH, J=8.75Hz), 5.63 (s,1H), 5.60‐5. 50 (m,1H), 4.90 (m, 1H), 4.70 (m, 1H), 4.11 (d,lH,J=11. 6Hz), 4.0 (m,lH), 2.90 (m,lH) 2.60 (m,lH), 2.25 (m,1H), 2.0 (m, 1.90‐1. 4 (m,1H), 1.25‐0. 8 (m, 18H), (0.73 (m, 2H);LC/MS : RT = 3.61分, 4.15分 (10‐90% CH3CN/7分); MH+ = 767.3,M‐ = 765. 5.
【0162】
(実施例2)
化合物59の別の調製
Boc‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐OH(15a)
Boc‐Hyp‐OH(130g、562.16ミリモル)を無水DMSO(1.6L)に溶解し、内部温度を25℃に維持しながら、この溶液に、THF(1.4L、140ミリモル)中の1Mのカリウムt‐ブトキシドを加えた。この溶液を室温で1.5時間撹拌後、2,5‐ジクロロ‐ピリジン(90.0g、608.15ミリモル)を加え、上記反応混合物を室温で18時間撹拌した。上記混合物を水(2.5L)中に注入し、エチルエーテル(1L)で抽出して、過剰の2,5‐ジクロロ‐ピリジンを除去した。次いで、水性層を1N‐HCL(0.8L)で酸性化し、酢酸エチル(2.5L)で2回抽出した。有機層を集めてブラインで洗浄した。酢酸エチルを硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の油状物の210gの原料を得た。
【0163】
Boc‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(16)
Boc‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐OH(15a)(210g、557ミリモル)を無水アセトニトリル(1.5L)に溶解し、2,3,4,6,7,8,9,10‐オクタヒドロ‐ピリミド[1,2‐a]アゼピン(DBU)(0.13L、869.28ミリモル)および臭化アリル(81.5g、673.66ミリモル)を連続して加え、上記反応混合物を室温で18時間撹拌した。上記混合物を濃縮し、得られた油状物を酢酸エチル(2L)で希釈し、水500mLで2回およびブライン500mLで連続して洗浄した。上記酢酸エチル層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の油状物を得、それを塩化メチレンでシリカカラムに塗布し、ヘキサン中の25%酢酸エチルで溶出して、2段階で黄色油状物181g(472.77ミリモル、収率84%)を得た。
【0164】
Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(17)
Boc‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(16)(181g、427.77ミリモル)を0℃の冷却したトリフルオロ酢酸:塩化メチレン90:10(440mL)で処理した。上記混合物を室温まで冷却して、3時間攪拌した。3時間後、400mLのトルエンを上記混合物に加え、減圧下で濃縮して、(17)のトリフルオロ酢酸塩を得た。
【0165】
Boc‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(18)
Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(17)(187g、理論値)、上記トリフルオロ酢酸塩を、400mLの塩化メチレン中のBoc‐Tbg‐OH(110g、475.56ミリモル)、NMM(155mL、1,410ミリモル)、EDC(99g、518.32ミリモル)、HOBt(70g、518.32ミリモル)の冷却した0℃の溶液と1つにした。上記混合物を室温まで冷却して、18時間攪拌した。上記混合物を濃縮して、得られた油状物を酢酸エチル(2L)で希釈し、0.5NのHClを500mLで2回、水500mLおよびブライン500mLで連続して洗浄した。上記酢酸エチル層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の油状物を得、それを塩化メチレンでシリカカラムに塗布し、ヘキサン中の15%酢酸エチルで溶出して、2段階で淡黄色発泡体180g(362.83ミリモル、収率77%)を得た。
【0166】
Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(19)
Boc‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(18)(180g、362.83ミリモル)を0℃の冷却したトリフルオロ酢酸:塩化メチレン90:10(330mL)で処理した。上記混合物を室温まで冷却して、3時間攪拌した。3時間後、トルエン(200mL)を上記混合物に加え、減圧下で濃縮して、黄色油状物(17)を得、そこへ塩化メチレン(100mL)、エチルエーテル(1.5L)を連続して加えた。上記混合物を攪拌し、4N‐HClジオキサンを加え(50mL)、撹拌を1時間続け、粗製HClジペプチド塩を濾過し、0℃の冷却したエチルエーテルで洗浄して、142.5g(323.86ミリモル、収率91%)を得た。
【0167】
Boc‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(20)
Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(19)(142.5g、323.86ミリモル)を、400mLの塩化メチレン中のBoc‐Tbg‐OH(94g、365.29ミリモル)、NMM(109mL、994.18ミリモル)、EDC(69g、361.26ミリモル)、HOBt(48.77g、361.26ミリモル)の冷却した0℃の溶液と1つにした。上記混合物を室温まで冷却して、18時間攪拌した。上記混合物を濃縮して、得られた油状物を酢酸エチル(2L)で希釈し、0.5NのHClを500mLで2回、水500mLおよびブライン500mLで連続して洗浄した。上記酢酸エチル層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の油状物を得、それを塩化メチレンでシリカカラムに塗布し、ヘキサン中の25%酢酸エチルで溶出して、淡黄色発泡体180g(362.83ミリモル、収率77%)を得た。
【0168】
Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(21)
Boc‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(20)(65g、102.33ミリモル)を0℃の冷却したトリフルオロ酢酸:塩化メチレン90:10(250mL)で処理した。上記混合物を室温まで冷却して、3時間攪拌した。3時間後、トルエン(200mL)を上記混合物に加え、減圧下で濃縮して、黄色油状物を得、そこへ塩化メチレン(200mL)を加えて上記混合物を攪拌し、エチルエーテル(1.5L)を連続して加え、粗製TFAトリペプチド塩を濾過し、0℃の冷却したエチルエーテルで洗浄して、66g(101.53ミリモル、収率98%)を得た。
【0169】
ピラジン‐2‐カルボニル‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(22)
Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(21)(66g、101.53ミリモル)、粗製TFA塩を、500mLの塩化メチレン中のピラジン‐2‐カルボン酸(13.6g、109.69ミリモル)、NMM(44mL、400.19ミリモル)、EDC(21g、109.95ミリモル)、HOBt(14.85g、109.95ミリモル)の冷却した0℃の溶液と1つにした。上記混合物を室温まで冷却して、18時間攪拌した。上記混合物を濃縮して、得られた油状物を酢酸エチル(2L)で希釈し、0.5NのHClを500mLで2回、水500mLおよびブライン500mLで連続して洗浄した。上記酢酸エチル層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の油状物を得、それを塩化メチレンでシリカカラムに塗布し、ヘキサン中の45%酢酸エチルで溶出して、淡黄色発泡体64.66g(100.85ミリモル、収率99%)を得た。
【0170】
ピラジン‐2‐カルボニル‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐OH(23)
ピラジン‐2‐カルボニル‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐アリルエステル(22)(64.66g、100.85ミリモル)を0℃の冷却したアセトニトリル:塩化メチレン50:50の無水混合物(250mL)に溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)‐パラジウム(0)触媒(1.5g、1.30ミリモル)、次いでピロリジン(8.55mL、102.44ミリモル)を加えた。上記反応混合物を室温で18時間攪拌した。18時間後、溶媒を蒸発させた。得られた油状物を酢酸エチル(2L)で溶解し、10%クエン酸(250mL)で2回、ブライン(500mL)で抽出した。上記酢酸エチル層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、淡黄色固形物58.5g(97.32ミリモル、収率96%)を得た。
【0171】
3‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐ヘキサン酸シクロプロピルアミド(24)
[1‐(シクロプロピルカルバモイル‐ヒドロキシ‐メチル)‐ブチル]‐カルバミン酸ベンジルエステル(48g、149.82ミリモル)をメタノール(1L)に溶解し、窒素で5分間脱気し、活性炭上の10重量%パラジウム(2.5g)を加え、次いで水素を18時間加えた。18時間後、水素を除去し、反応物を窒素で脱気し、濾過し、得られた濾液を蒸発させ、高真空下で乾燥して、白色固形物26.9g、144.42ミリモル、97%を得た。
【0172】
ピラジン‐2‐カルボニル‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐Nva‐ヒドロキシ シクロプロピルアミド(25)
3‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐ヘキサン酸シクロプロピルアミド(24)20g、107.37ミリモルを、250mLの塩化メチレン中のピラジン‐2‐カルボニル‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐OH(23)58.5g、97.32ミリモル、NMM(11.76mL、106.96ミリモル)、EDC(20.4g、107.07ミリモル)、HOBt(14.45g、107.07ミリモル)と1つにした。上記混合物を、18時間攪拌した。上記混合物を濃縮して、得られた油状物を酢酸エチル(2L)で希釈し、0.5NのHClを500mLで2回、水500mLおよびブライン500mLで連続して洗浄した。上記酢酸エチル層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色の油状物を得、それを塩化メチレンでシリカカラムに塗布し、酢酸エチル中の2%メタノールで溶出して、淡黄色発泡体61.5g、79.94ミリモル、74%を得た。
【0173】
ピラジン‐2‐カルボン酸({1‐[4‐(5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐2‐(1‐シクロプロピルアミノオキサリル‐ブチルカルバモイル)‐ピロリジン‐1‐カルボニル]‐2,2‐ジメチル‐プロピルカルバモイル}‐シクロヘキシル‐メチル)‐アミド(59)
オーバーヘッドスターラー、熱電対および可動窒素引き込み口を装備した4Lの丸底フラスコに、EDC(229.0g、151.83ミリモル)、次いで、無水酢酸ビニル1230mLを加え、撹拌を始めて濃厚なスラリーを得た。ここへ、ピラジン‐2‐カルボニル‐Chg‐Tbg‐Pro(4(R)‐5‐クロロ‐ピリジン‐2‐イルオキシ)‐Nva‐ヒドロキシ シクロプロピルアミド(25)61.5g、79.94ミリモル、溶解した酢酸エチル(250mL)を加え、次いで無水DMSO(460mL)を加えた。冷却浴を用いて内部温度を7℃とした。酢酸エチル(100mL)中のジクロロ酢酸(65.94mL、787.20ミリモル)の7℃の冷却溶液を、内部温度を12〜25℃に維持できるように、加えた。上記冷却浴を除去し、希薄なスラリーを1時間攪拌した。冷却浴を用いて、温度を15〜25℃に維持しながら、上記反応物を1N‐HCl(1,230mL)で冷却した。有機層を分離し、水(200mL)で3回およびブライン(500mL)で洗浄した。上記酢酸エチル層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、浴温度40℃以下で、褐色の油状物を得、それを塩化メチレンでシリカカラムに塗布し、ヘキサン中の90%酢酸エチルで溶出して、淡黄色発泡体44.0g、57.34ミリモル、72%を得た。H NMR(CDCl)9.39 1H (s), 8.76 1H (s), 8.55 1H (s), 8.22 1H (d), 8.08 1H (s), 7.47 1H (NH), 7.45 1H (d) 7.35 1H (NH), 7.01 1H (NH), 6.49 1H (d), 5.63 1H (m), 5.53 1H (m), 4.88 1H (m), 4.70 1H (d), 4.67 1H (m), 4.11 1H (m), 4.01 1H (m), 2.86 1H (m), 2.57 1H (m), 2.25 1H (m), 1.96 1H (m), 1.80 1H (m), 1.70 6H (m), 1.60 2H (m), 1.50 2H (m), 1.25 3H (m), 0.96 12H (m), 0.91 2H (m), 0.72 2H (m).
【0174】
(実施例3)
化合物1〜72および74〜76を、実質的に本明細書中に記載のように調製した。これら化合物の分析データは、上記化合物の開示された構造と一致した。更に、選択したデータを以下に示す。

LC質量分析法
【表1】





【0175】
RT:保持時間
方法A:Hypersil BDS C18カラム 5μm、2.1×50mm、流速:1.0mL/分、分析時間:2.39分、溶媒:0〜95%MeCN
方法B:前述と同様
【0176】
【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【0177】
(実施例4)
HCVレプリコン細胞アッセイ・プロトコル
C型肝炎ウィルス(HCV)レプリコンを含有する細胞を、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum、FBS)、0.2mg/mLのG418および適当なサプリメントを含有するDMEM中で保持した(媒体A)。
【0178】
1日目、レプリコン細胞単層をトリプシン:EDTA混合物で処理し、除去し、次いで媒体Aを100,000細胞/mL witの最終濃度に希釈した。100μL中10,000細胞を、96ウェルの組織培養プレートの各ウェルに培養し、37℃の組織培養器なかで一晩培養した。
【0179】
2日目、化合物(100%DMSO中)を、2%FBS、0.5%DMSOおよび適当なサプリメントを含有するDMEMに連続して希釈した(媒体B)。DMSOの最終濃度を、上記希釈系全体にわたって0.5%に維持した。
【0180】
上記レプリコン細胞単層上の媒体を除去し、次いで様々な濃度の化合物を含有する媒体Bを加えた。どんな化合物も含有しない媒体Bを、如何なる化合物も抑制しないように他のウェルに加えた。
【0181】
化合物または媒体B中の0.5%DMSOを用いて、37℃で、組織培養器中で48時間、細胞を培養した。48時間の培養の終わりに、上記媒体を除去し、レプリコン細胞単層をPBSで1回洗浄し、RNA抽出前に、‐80℃で貯蔵した。
【0182】
処理したレプリコン細胞単層を有する培養プレートを解凍し、固定量の他のRNAウィルス、例えば牛ウイルス性下痢ウイルス(Bovine viral diarrhea virus;BVDV)を各ウェルにおいて細胞に加えた。RNA抽出試薬(例えばRNeasy kitsからの試薬)を細胞に直ちに加えて、RNAの劣化を回避する。すべてのRNAを、製造者の教示に従って、改質剤を用いて抽出して、抽出効率およびコンシステンシーを向上する。最後に、HCVレプリコンRNAを含む、すべてのRNAを溶離し、更に加工処理するまで‐80℃で貯蔵した。
【0183】
タックマン・リアルタイム(Taqman real‐time)RT‐PCR定量化アッセイを、2セットの特定のプライマーおよびプローブを用いて設定した。一方は、HCV用であり、他方はBVDV用である。処理したHCVレプリコン細胞からのすべてのRNA抽出溶媒を、同一PCRウェル内のHCVおよびBVDV RNA両方の定量化用PCR反応物に加えた。各ウェル内におけるBVDV RNA量をベースとして、実験誤差は大きく、不適当であった。各ウェル内におけるHCV RNA量を、同一PCRプレートにおいて用いる標準曲線に従って計算した。化合物治療による阻害率またはHCV RNA量の減少を、DMSOを用いて、または阻害0%として化合物対象標準なしで計算した。IC50(HCV RNA量50%阻害を観察)を、いくつかの所定の化合物の滴定曲線から計算した。
【0184】
(実施例5)
HCV Ki アッセイ・プロトコル
5AB培養基および生成物の分離用のHPLCマイクロボア法
培養基:NH‐Glu‐Asp‐Val‐Val‐(alpha)Abu‐Cys‐Ser‐Met‐Ser‐Tyr‐COOH
【0185】
20mM5ABの原液(または選択した濃度)を、DMSO w/0.2M DTTに作製した。これを、いくつかに等分して、‐20℃で貯蔵した。
【0186】
緩衝剤:50mM HEPES、pH7.8;20%グリセロール;100mM NaCl
【0187】
合計分析物体積は、100μLであった。
【表2】

【0188】
緩衝剤、KK4A、DTT、およびtNS3を組み合わせ;96ウェルプレートのウェル中に各78μLを分配した。これを、30℃で5〜10分間培養した。
【0189】
2.5μLの適当な濃度の試験化合物をDMSO(対照標準用はDMSOのみ)に溶解し、各ウェルに加えた。これを室温で15分間培養した。
【0190】
20μLの250μM 5AB培養基を加えることによって、反応を開始した(25μM濃度は、5ABのKmと等しいか、またはKmよりわずかに低い)。
30℃20分間培養し
25μLの10%TFAを加えることによって、反応を停止し、
120μLのアリコートをHPLCバイラルに移動した。
【0191】
SMSY生成物を、以下の方法によって、培養基およびKK4Aから分離した。
マイクロボア分離法:
装置:Agilent 1100
デガッサー(Degasser)G1322A
バイナリポンプ(Binary pump)G1312A
オートサンプラー(Autosampler)G1313A
カラム自動温度調節チャンバー(Column thermostated chamber)G1316A
ダイオードアレイ検出器(Diode array detector)G1315A
カラム:
Phenomenex Jupiter;5ミクロンC18;300Å;150×2mm;P/O 00F‐4053‐B0
カラム自動温度調節器:40℃
注入体積(Injection volume):100μL
溶媒A=HPLCグレード水 +0.1%TFA
溶媒B=HPLCグレードアセトリトリル +0.1%TFA
【表3】

停止時間(Stop time):17分
後分析時間:10分
【0192】
本発明の化合物を、実施例4および/または実施例5の分析物において試験し、HCV NS3‐NS4Aプロテアーゼ阻害活性を有することを示した。本発明のある好ましい化合物は、比較できる細胞(実施例4)および酵素学(実施例5)データを有する。化合物2、7、12、13、14、18、22、24、26、34、45、50、53、54、55、57、59、61、65、および66は、比較できる細胞および酵素データを有する。より好ましい化合物は、比較できる細胞および酵素データ、並びにカテゴリーAの範囲内となる両タイプのデータを有する化合物24、45、53、54、59および61である。
【0193】
本発明の化合物を、実施例5(酵素)と同様にして試験し、以下のように、Ki値<0.1μM(カテゴリーA);0.1〜0.3μM(カテゴリーB);および>0.3μM(カテゴリーC)を有することがわかった。
カテゴリーA:15、19、20、24、32、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、49、51、52、53、54、56、58、59、61,64,67、および69.
カテゴリーB:1、2、3、4、5、7、8、10、12、13、14、16、18、22、23、25、30、31、33、26、34、48、50、55、57、60、65、66、70、71、および76.
カテゴリーC:6、9、11、17、21、27、28、29、47、74、75、および76.
【0194】
本発明の化合物を、実施例4(細胞)と同様に試験し、以下のように、IC50値<0.5μM(カテゴリーA);0.5〜1.0μM(カテゴリーB);および>1.0μM(カテゴリーC)を有することがわかった。
カテゴリーA:7、12、13、14、15、18、19、22、24、34、35、36、38、39、40、42、43、44、45、46、47、48、50、53、54、55、56、26、57、58、59、61、64、65、66、および67
カテゴリーB:1、2、3、4、5、8、10、16、20、および70.
カテゴリーC:6、11、41、46、47、48、49、51、60、および71.
【0195】
本発明の態様の数を記載した一方、本発明のベースの実施例は、本発明の化合物および方法を用いる他の態様を提供するために変更してもよいことが明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施例によって表される特定の実施態様によってよりむしろ、添付の特許請求の範囲によって画定されるべきものと認められる。本明細書中で引用された文献は、その記載をここに挿入する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

(式中、
ArはO、S、N(H)、SOおよびSOから選択される4以下のヘテロ原子を有する5員〜10員芳香環であり、ここで、1〜3の環原子は任意におよび独立して以下に定義の置換基Jで置換されていてもよく;
およびRは、独立して、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、RおよびR中の3以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置において、O、N、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびRのそれぞれは独立しておよび任意に、J置換基から独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよく;
およびR3’は、独立して水素または(C〜C12)‐脂肪族基であり、ここで、如何なる水素も任意にハロゲンで置換されていてもよく、Rの如何なる末端炭素原子も、任意にスルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されていてもよいか;または、Rはフェニルまたは‐CHフェニルであり、ここで該フェニル基は任意に、J置換基から独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよいか;またはRおよびR3’は、それらが結合する原子と共に、N、NH、O、SOおよびSOから選択される2以下のヘテロ原子を有する3員〜6員環であり、該環がJ置換基から独立して選択される2以下の置換基を有し;
およびR4’は、独立して、水素、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐であり、ここで、RおよびR4’中の2以下の脂肪族炭素原子は、O、N、S、SOおよびSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびR4’のそれぞれは独立しておよび任意に、J置換基から独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよく;
Wは
【化2】

(式中、各Rは独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であるか、或いは
同一窒素原子に結合した2つのR基がその窒素原子と共に(C〜C10)‐複素環を形成し、ここで、Rは任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく、各Rは独立して−OR’であるか、またはホウ素原子と共に該基Rは該ホウ素に加えて、N、NH、O、SOおよびSOから選択される3以下の別のヘテロ原子を有する(C〜C10)‐含有複素環となる)
であり;
Tは、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基-、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、各Tは任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく;
J置換基は、ハロゲン、−OR’、−NO、−CN、−CF、−OCF、−R’、オキソ、チオオキソ、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、=N(R’)、=N(OR’)、−N(R’)、−SR’、−SOR’、−SOR’、−SON(R’)、−SOR’、−C(O)R’、−C(O)C(O)R’、−C(O)CHC(O)R’、−C(S)R’、−C(S)OR’、−C(O)OR’、−C(O)C(O)OR’、−C(O)C(O)N(R’)、−OC(O)R’、−C(O)N(R’)、−OC(O)N(R’)、−C(S)N(R’)、−(CH)0−2NHC(O)R’、−N(R’)N(R’)COR’、−N(R’)N(R’)C(O)OR’、−N(R’)N(R’)CON(R’)、−N(R’)SOR’、−N(R’)SON(R’)、−N(R’)C(O)OR’、−N(R’)C(O)R’、−N(R’)C(S)R’、−N(R’)C(O)N(R’)、−N(R’)C(S)N(R’)、−N(COR’)COR’、−N(OR’)R’、−C(=NH)N(R’)、−C(O)N(OR’)R’、−C(=NOR’)R’、-OP(O)(OR’)、−P(O)(R’)、−P(O)(OR’)、または−P(O)(H)(OR’)であり;
R’は、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここでR’は任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく、同一原子に結合した2個のR’基は、N、O、S、SOまたはSOから独立して選択される3以下のヘテロ原子を有する3員〜10員の芳香環または非芳香環を形成し、該環は任意に縮合していてもよく、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール、(C〜C10)‐シクロアルキル、または(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐となり、いずれの環もJ置換基から独立して選択される3以下の置換基を有する)
の化合物。
【請求項2】
以下の式I:
【化3】

(式中、
nは0または1であり;
ArはO、S、N(H)、SOおよびSOから選択される4以下のヘテロ原子を有する5員〜10員芳香環であり、ここで、1〜3の環原子は任意におよび独立してJで置換されていてもよく;
、R、R12およびR13は、独立して、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、RおよびR中の3以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置において、O、N、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置換されていてもよく、RおよびRのそれぞれは独立しておよび任意に、各置換可能な位置において、Jから独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよく;
およびR3’は、独立して水素または(C〜C12)‐脂肪族基であり、ここで、如何なる水素も任意にハロゲンで置換されていてもよく、Rの如何なる末端炭素原子も、任意にスルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されていてもよいか;または、Rはフェニルまたは‐CHフェニルであり、ここで該フェニル基は任意に、Jから独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよいか;またはRおよびR3’は、それらが結合する原子と共に、N、NH、O、SOおよびSOから選択される2以下のヘテロ原子を有する3員〜6員環であり、該環がJから独立して選択される2以下の置換基を有し;
およびR4’は、独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐であり、ここで、RおよびR4’中の2以下の脂肪族炭素原子は、O、N、S、SOおよびSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、RおよびR4’のそれぞれは独立しておよび任意に、Jから独立して選択される3以下の置換基で置換されていてもよく;
Wは
【化4】

(式中、Yは、‐COH、‐COHの誘導体、または‐COHの生物学的等価体であり;、
各Rは独立して、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であるか、或いは
同一窒素原子に結合した2つのR基がその窒素原子と共に(C〜C10)‐複素環を形成し、ここで、Rは任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく、各Rは独立して−OR’であるか、またはホウ素原子と共に該基Rは該ホウ素に加えて、N、NH、O、SOおよびSOから選択される3以下の別のヘテロ原子を有する(C〜C10)‐含有複素環となる)
であり;
Tは、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここで、各Tは任意に3以下のJ置換基で置換されていてもよく;T中の3以下の脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置において、O、N、NH、S、SOまたはSOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよく、
ただし、Tがピロールであり、Jが−C(O)R’、−C(O)C(O)R’、−C(O)CHC(O)R’、−C(S)R’、−C(S)OR’、−C(O)OR’、−C(O)C(O)OR’、−C(O)C(O)N(R’)、−C(O)N(R’)、−C(S)N(R’)、−C(=NH)N(R’)、−C(O)N(OR’)R’、−C(=NOR’)R’である場合、該ピロールは3位においてJで置換されておらず;
Jは、ハロゲン、−OR’、−NO、−CN、−CF、−OCF、−R’、オキソ、チオオキソ、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、=N(R’)、=N(OR’)、−N(R’)、−SR’、−SOR’、−SOR’、−SON(R’)、−SOR’、−C(O)R’、−C(O)C(O)R’、−C(O)CHC(O)R’、−C(S)R’、−C(S)OR’、−C(O)OR’、−C(O)C(O)OR’、−C(O)C(O)N(R’)、−OC(O)R’、−C(O)N(R’)、−OC(O)N(R’)、−C(S)N(R’)、−(CH)0−2NHC(O)R’、−N(R’)N(R’)COR’、−N(R’)N(R’)C(O)OR’、−N(R’)N(R’)CON(R’)、−N(R’)SOR’、−N(R’)SON(R’)、−N(R’)C(O)OR’、−N(R’)C(O)R’、−N(R’)C(S)R’、−N(R’)C(O)N(R’)、−N(R’)C(S)N(R’)、−N(COR’)COR’、−N(OR’)R’、−C(=NH)N(R’)、−C(O)N(OR’)R’、−C(=NOR’)R’、-OP(O)(OR’)、−P(O)(R’)、−P(O)(OR’)、または−P(O)(H)(OR’)であり;
R’は、水素‐、(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル基‐、[(C〜C10)‐シクロアルキル‐または‐シクロアルケニル]‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐アリール基‐、(C〜C10)‐アリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐、(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐(C〜C12)‐脂肪族基‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール基‐、または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐(C〜C12)‐脂肪族基‐であり、ここでR’は任意に3以下のJ基で置換されていてもよく、同一原子に結合した2のR’基は、N、O、S、SOまたはSOから独立して選択される3以下のヘテロ原子を有する3員または10員の芳香環または非芳香環を形成し、該環は任意に縮合していてもよく、(C〜C10)‐アリール‐、(C〜C10)‐ヘテロアリール、(C〜C10)‐シクロアルキル、または(C〜C10)‐ヘテロシクリル‐となり、いずれの環もJから独立して選択される3以下の置換基を有する)
の化合物。
【請求項3】
Arが、フェニル、ピリジル、キノリニル、ピリミジニル、またはナフチルであり、各基が、任意に1、2または3のJ基で置換されていてもよい、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Arが、
【化5】

である請求項1または2記載の化合物。
【請求項5】
Arが、
【化6】

である請求項1または2記載の化合物。
【請求項6】
Arが、0、1、または2の窒素ヘテロ原子を有する6員または10員芳香環であり、1、2または3の環原子が任意におよび独立してJで置換されていてもよい、請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
Arの各J基が、独立して、OR’、NO、CN、CF、OCF、R’、COR’、C(O)OR’、C(O)N(R’)、SOR’、SON(R’)、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、NR’C(O)OR’、またはNR’SOR’である請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
Arの各J基が、独立して、OR’、ハロゲン、CN、CF、R’、またはCOR’である請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
Arの各J基が、独立して、ハロ、トリフルオロメチル、メチル、またはNOである請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Wが、
【化7】

(式中、NRが、‐NH‐(C〜C脂肪族)、‐NH‐(C〜Cシクロアルキル)、‐NH‐CH(CH)‐アリール、または‐NH‐CH(CH)‐ヘテロアリールであり、該アリールまたは該ヘテロアリールが任意に3以下のハロゲンで置換されていてもよい)
である請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
前記Wにおいて、NRが、
【化8】

である請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
前記Wにおいて、NRが、
【化9】

である請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
前記Wにおいて、NRが、
【化10】

である請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
前記Wにおいて、NRが、
【化11】

である請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
3’が水素であり、R
【化12】

である請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
3’が水素であり、R
【化13】

である請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】

【化14】

である請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】

【化15】

である請求項17記載の化合物。
【請求項19】

【化16】

である請求項18記載の化合物。
【請求項20】

【化17】

である請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】

【化18】

である請求項20記載の化合物。
【請求項22】
が、シクロヘキシルである請求項21記載の化合物。
【請求項23】
Tが、(C〜C10)‐アリール‐または(C〜C10)‐ヘテロアリール‐であり、各Tが、任意に、1、2または3のJ置換基で置換されていてもよい請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
Tが、
【化19】

であり、各T基が任意に5員または6員アリールまたはヘテロアリール基に縮合していてもよい請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
Tが、
【化20】

である請求項24記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が、
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】


である請求項1記載の化合物。
【請求項27】
セリンプロテアーゼを阻害するのに有効な量で請求項1〜26のいずれか1項記載の化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩;および許容可能なキャリア、補助剤または賦形剤を含有する組成物。
【請求項28】
患者への投与用に処方される請求項27記載の組成物。
【請求項29】
免疫調節剤、抗ウィルス剤、HCVプロテアーゼの第2阻害剤、HCVライフサイクルにおける別のターゲットの阻害剤、シトクロムP‐450阻害剤、またはそれらの組み合わせから選択される別の薬品を含有する請求項28記載の組成物。
【請求項30】
前記免疫調節剤が、α‐、β‐、またはγ‐インターフェロン或いはチモシンであり;前記抗ウィルス剤が、リバビリン(ribavirin)、アマンタジン、またはテルビブジンであるか;あるいは、前記HCVライフサイクルにおける別のターゲットの阻害剤が、HCVヘリカーゼ、ポリメラーゼ、またはメタロプロテアーゼの阻害剤である請求項29記載の組成物。
【請求項31】
前記シトクロムP‐450阻害剤がリトナビルである請求項30記載の組成物。
【請求項32】
セリンプロテアーゼを請求項1〜26のいずれか1項記載の化合物と接触させる工程を含むセリンプロテアーゼの活性を阻害する方法。
【請求項33】
前記プロテアーゼが、HCV NS3プロテアーゼである請求項32記載の方法。
【請求項34】
患者に請求項27記載の組成物を投与する工程を含む患者のHCV感染を治療する方法。
【請求項35】
免疫調節剤、抗ウィルス剤、HCVプロテアーゼの第2阻害剤、HCVライフサイクルにおける別のターゲットの阻害剤、またはそれらの組み合わせから選択される別の薬品を患者に投与する別の工程を含み、該別の薬品が請求項30記載の組成物の一部としてまたは別の剤形として患者に投与される請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記免疫調節剤が、α‐、β‐、またはγ‐インターフェロン或いはチモシンであり;前記抗ウィルス剤が、リバビリン(ribavarin)またはアマンタジンであるか;あるいは、前記HCVライフサイクルにおける別のターゲットの阻害剤が、HCVヘリカーゼ、ポリメラーゼ、またはメタロプロテアーゼの阻害剤である請求項35記載の方法。
【請求項37】
生物学的サンプル或いは医療用装置または実験装置を請求項1〜26のいずれか1項記載の化合物と接触させる工程を含む、生物学的サンプル或いは医療用装置または実験装置のHCV混入を排除または低減する方法。
【請求項38】
前記サンプルまたは装置が、体液、生物学的組織、外科用器械、手術用衣服、実験装置、実験用衣服、血液または他の体液回収装置、血液または他の体液貯蔵材料から選択される請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記体液が血液である請求項38記載の方法。
【請求項40】
式IIの化合物を式IIIの化合物の存在下で反応させて以下の式IV:
【化50】

(式中、R10はアミン保護基、HCVプロテアーゼ阻害剤のP3‐残基、またはHCVプロテアーゼ阻害剤のP4‐P3‐残基であり、該P3‐残基およびP4‐P3‐残基が任意にアミノ末端キャッピング基で保護されていてもよく、R11はカルボキシ保護基またはHCVプロテアーゼ阻害剤のP1残基であり、該P1残基は末端カルボキシ位置でカルボキシ保護基またはWで任意に置換されていてもよい)
の化合物を提供する工程を含む、請求項1〜26のいずれか1項記載の式Iの化合物を製造する方法。

【公開番号】特開2011−157369(P2011−157369A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−58412(P2011−58412)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2006−525519(P2006−525519)の分割
【原出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】