説明

セリンプロテアーゼ(特に、HCVNS3−NS4Aプロテアーゼ)のインヒビター

【課題】本発明の課題は、効果的な抗HCV治療を提供することである。
【解決手段】本発明は、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの混合物に関し、これらは、セリンプロテアーゼ活性、特に、C型肝炎ウイルスNS3−NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する。このようにして、これらは、C型肝炎ウイルスの生活環を妨害することによって作用し、そして抗ウイルス剤として有用である。本発明はさらに、上記化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物に関し、これは、エキソビボでの使用か、またはHCV感染を罹患する患者への投与のいずれかのためのものである。また本発明はさらに、上記化合物を調製するためのプロセスに関する。本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的組成物を投与することによる、患者におけるHCV感染を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、発明の名称「セリンプロテアーゼ(特に、HCV NS3−NS4Aプロテアーゼ)のインヒビター」の、米国仮特許出願第60/513,765号(2003年10月23日出願)の利益を主張する。この米国仮特許出願第60/513,765号の内容全体は、本明細書中で参考として援用される。本出願はまた、発明の名称「セリンプロテアーゼ(特に、HCV NS3−NS4Aプロテアーゼ)のインヒビター」の、米国特許出願第10/412,600号(2003年4月11日出願)の利益を主張する。この米国特許出願第10/412,600号の内容全体は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特に、C型肝炎ウイルスNS3−NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する化合物に関する。それ自体で、上記化合物は、C型肝炎ウイルスの生活環を妨害することにより作用し、そして上記化合物はまた、抗ウイルス剤として有用である。本発明はさらに、エキソビボでの使用、またはHCV感染を罹患する患者への投与のいずれかのための、これらの化合物を含む薬学的組成物に関する。本発明はまた、上記化合物を調製するためのプロセス、および本発明の化合物を含む薬学的組成物を投与することにより患者におけるHCV感染を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
C型肝炎ウイルス(「HCV」)による感染は、ヒトの切実な医学的問題である。HCVは、非A型肝炎、非B型肝炎の大部分の症例についての原因となる因子として認識され、全世界的に3%というヒト血清の有病率が見積もられている[A.Albertiら,「Natural History of Hepatitis C」,J.Hepatology,31.,(補遺1),pp.17−24(1999)]。米国のみにおいても約400万人の個体が感染され得る[M.J.Alterら,「The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States,Gastroenterol.Clin.North Am.,23,pp.437−455(1994);M.J.Alter「Hepatitis C Virus Infection in the United States」,J.Hepatology,31.,(補遺1),pp.88−91(1999)]。
【0004】
HCVへの最初の曝露の際に、感染した個体の約20%のみが、急性臨床肝炎を発症し、他方、その他は、自然に感染を消すようである。しかし、約70%の場合において、このウイルスは、数十年間持続する慢性感染を確立する[S.Iwarson,「The Natural Course of Chronic Hepatitis」,FEMS Microbiology Reviews,14,pp.201−204(1994);D.Lavanchy,「Global Surveillance and Control of Hepatitis C」,J.Viral Hepatitis,6,pp.35−47(1999)]。これは、通常、再発性かつ進行性の悪化する肝炎をもたらし、これは多くの場合、より重篤な疾患状態(例えば、肝硬変および肝細胞癌)をもたらす[M.C.Kew,「Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma」,FEMS Microbiology Reviews,14,pp. 211−220(1994);I.Saitoら,「Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,pp.6547−6549(1990)]。不幸なことに、慢性HCVの進行を弱くするための広く効果的な処置はない。
【0005】
HCVゲノムは、3010〜3033アミノ酸のポリタンパク質をコードする[Q. L.Chooら,「Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,pp.2451−2455(1991);N.Katoら,「Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patients with Non−A,Non−B Hepatitis」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,pp.9524−9528(1990);A.Takamizawaら,「Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers」,J.Virol.,65,pp.1105−1113(1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製のための必要不可欠的な触媒機構を与えると推定される。上記NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解切断によって誘導される[R.Bartenschlagerら,「Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions」,J.Virol.,67,pp.3835−3844(1993);A.Grakouiら,「Characterization of the Hepatitis C Virus−Encoded Serine Proteinase:Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites」,J.Virol.,67,pp.2832−2843(1993);A.Grakouiら,「Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products」,J.Virol.,67,pp.1385−1395(1993);L.Tomeiら,NS3 is a serine protease required for processing of hepatitis C virus polyprotein」,J.Virol.,67,pp.4017−4026(1993)]。
【0006】
HCV NSタンパク質3(NS3)は、ウイルス性酵素の大部分をプロセシングすることを補助するセリンプロテアーゼ活性を含み、従って、ウイルス複製およびウイルス感染性に必要不可欠であると考えられる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼの変異が、ウイルス感染性を減少させることが公知である[Chambers,T.J.ら,「Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From Yellow Fever Virus is a Serine Protease Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,pp.8898−8902(1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つの下流部位を全てプロセシングする、NS3のセリンプロテアーゼドメインを含むと示された[C.Linら,「Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase:Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics」,J.Virol.,68,pp.8147−8157(1994)]。
【0007】
HCV NS3セリンプロテアーゼおよびその関連補助因子NS4Aは、ウイルス性酵素の全てをプロセシングすることを補助し、従って、ウイルス複製に必要不可欠であると考えられる。このプロセシングは、ヒト免疫不全ウイルスアスパルチルプロテアーゼにより行われるものと類似であると思われ、これはまた、ウイルス酵素プロセシングに関与する。HIVプロテアーゼインヒビター(これは、ウイルスタンパク質プロセシングを阻害する)は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、このことは、ウイルスの生活環のこの段階を妨害することにより、治療活性剤がもたらされると示している。結果として、HCV NS3セリンプロテアーゼはまた、薬物発見に魅力的な標的である。
【0008】
さらに、HCVの現在の理解は、いかなる他の満足な抗HCV薬剤も処理ももたらしていない。最近まで、HCV疾患に対して確立された治療は、インターフェロン処置のみである。しかし、インターフェロンは、有意な副作用を有しており[M.A.Wlakerら,「Hepatitis C Virus:An Overview of Current Approaches and Progress」,DDT,4,pp.518−29(1999);D.Moradpourら,「Current and Evolving Therapies for Hepatitis C」,Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.,11,pp.1199−1202(1999);H.L.A.Janssenら「Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis」,J.Hepatol.,21,pp.241−243(1994);P.F.Renaultら,「Side Effects of Alpha Interferon」,Seminars in Liver Disease,9,pp.273−277.(1989)]、そして、症例の一部分(約25%)だけにおいて長時間の緩解を誘導する[O.Weiland,「Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection」,FEMS Microbiol.Rev.,14,pp.279−288(1994)]。最近の、インターフェロンのペグ化形態(PEG−Intron(登録商標)およびPegasys(登録商標))の導入、ならびにリバビリンおよびペグ化インターフェロン(Rebetrol(登録商標))の組み合わせ治療は、緩解率の適度の向上だけ、および副作用の部分的な減少だけをもたらした。さらに、効果的な抗HCVワクチンに対する見通しは、不確定なままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、より効果的な抗HCV治療が必要とされている。このようなインヒビターは、プロテアーゼインヒビターとして、詳細にはセリンプロテアーゼインヒビターとして、より詳細にはHCV NS3プロテアーゼインヒビターとして、治療的可能性を有している。具体的には、このような化合物は、抗ウイルス剤として、詳細には抗HCV剤として有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、式Iの化合物:
【化1】

またはその薬学的に受容可能な塩、もしくはそれらの混合物を提供し、ここで:
Wは、以下:
【化2】

であり、
ここで各Rは独立して、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であるか、または、
各R中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置き換えられ得;
ここでRは、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて、5〜6員の芳香環系または3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで3個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、およびSOで置き換えられ得、ここでこれらの環系は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有し;
ここで各Rは、独立して−OR’であるか;またはこのR基は、ホウ素原子と一緒になって、(C3〜C10)員のヘテロシクリル式環を必要に応じて形成し得、該複素環式環は、該ホウ素原子に加えて、N、NH、O、S、SO、およびSOで必要に応じて置き換えられ得る3個までの環原子を有し;
【0011】
Jは、以下:
【化3】

であり;ここで;
R’は、独立して、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−;
から選択され;
ここでR’中の5個までの原子は、必要に応じてかつ独立して、Jで置換され得;
ここで同じ原子に結合した2つのR’基は、必要に応じて、5〜6員の芳香環系または3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで3個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、およびSOから独立して選択されるヘテロ原子で置き換えられ得、ここでこれらの環系は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有し;
【0012】
およびR5’は、各々独立して、水素または(C1〜C12)−脂肪族であり、ここで任意の水素は、必要に応じてハロゲンで置き換えられ得;ここでRの任意の末端炭素原子は、必要に応じて、スルフヒドリルもしくはヒドロキシで置換され得るか;または、RはPhもしくは−CHPhであり、そしてR5’はHであり、ここで上記Ph基もしくは−CHPh基は、必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得るか;あるいは
およびR5’は、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて、3〜6員の飽和もしくは部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで2個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、SO、またはSOで置換され得;ここで上記環系は、Jから独立して選択される2つまでの置換基を有し;
、RおよびRは、各々独立して、以下:
水素−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−(C1〜C12)−脂肪族−、または
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−であり;
ここでR、RおよびRの各々の中の2個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置き換えられ得;
ここでR、RおよびRの各々は、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;
およびRは、各々独立して、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
であり;
ここでRおよびRの各々中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置き換えられ得;
ここでRおよびRの各々は、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;
【0013】
、R9’、R10およびR10’は、各々独立して、−X−Y−Zであり;
Xは、結合、−C(H)(R)−、−O−、−S−、または−N(R11)−であり;
11は、以下:
水素−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくはシクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここで各R11中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR11は、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
11およびZは、それらが結合している原子と一緒になって、窒素含有5〜7員単環式環系または、窒素含有6〜11員二環式環系を必要に応じて形成し得、上記環系は、3つまでのJ置換基で必要に応じて置換され得、ここで上記環系中の3つまでの環原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でO、NH、S、SO、またはSOで置換され得;
Yは、結合、−CH−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)(NR12)−であり;
12は、以下:
水素−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここで各R12中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR12は、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得;
Zは、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで任意の環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;
Vは、−C(O)−、−S(O)−、または−S(O)−であり;
Rは、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、−N(R12)−、−O−、または結合であり;
【0014】
Tは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでT中の3個までの脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで各Tは、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
Tは、−N(R)(R6’)から選択され;そして
6’は、以下:
水素−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であるか;あるいは
ここで各R6’中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR6’は、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
およびR6’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、(C3〜C10)−ヘテロシクリル式環系を必要に応じて形成し得、ここで上記環系は、Jから独立して選択される3つまでの置換基で必要に応じて置換され得る。
【0015】
本発明はまた、上記化合物を調製するためのプロセス、および上記化合物を含有する組成物、ならびにそれらの使用に関する。このような組成物は、患者に挿入される侵襲性デバイスを事前処理するために、患者への投与の前に生物学的サンプル(例えば、血液)を処理するために、および患者への直接投与のために、使用され得る。各場合において、上記組成物は、HCV複製を阻害するために、およびHCV感染の危険性または重篤度を低減するために使用される。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式Iの化合物:
【化4】

またはその薬学的に受容可能な塩、もしくはそれらの混合物を提供し、ここで:
Wは、以下:
【化5】

であり、
ここで各Rは独立して、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であるか、または、
各R中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでRは、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
2つのR基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、必要に応じて、5〜6員の芳香環系または3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで3個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、およびSOで置換され得、ここでこれらの環系は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有し;
ここで各Rは、独立して−OR’であるか;またはこのR基は、ホウ素原子と一緒になって、(C3〜C10)員のヘテロシクリル式環を必要に応じて形成し得、R基は、上記ホウ素原子に加えて、N、NH、O、S、SO、およびSOで必要に応じて置換され得る3個までの環原子を有し得;
【0017】
Jは、以下:
【化6】

であり;ここで;
R’は、独立して、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、および
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−;
から選択され;
ここでR’中の5個までの原子は、必要に応じてかつ独立して、Jで置換され得;
ここで同じ原子に結合した2つのR’基は、必要に応じて、5〜6員の芳香環系または3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで3個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、およびSOから独立して選択されるヘテロ原子で置換され得、ここでこれらの環系は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有し;
【0018】
およびR5’は、各々独立して、水素または(C1〜C12)−脂肪族であり、ここで任意の水素は、必要に応じてハロゲンで置換され得;ここでRの任意の末端炭素原子は、必要に応じて、スルフヒドリルもしくはヒドロキシで置換され得るか;または、RはPhもしくは−CHPhであり、そしてR5’はHであり、ここで上記Ph基もしくは−CHPh基は、必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得るか;あるいは
およびR5’は、それらが結合している原子と一緒になって、必要に応じて、3〜6員の飽和もしくは部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで2個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、またはSOで置換され得;ここで上記環系は、Jから独立して選択される2つまでの置換基を有し;
、RおよびRは、各々独立して、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−(C1〜C12)−脂肪族−、または
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−であり;
ここでR、RおよびRの各々の中の2個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR、RおよびRの各々は、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;
およびRは、各々独立して、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
であり;
ここでRおよびRの各々中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでRおよびRの各々は、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;
【0019】
、R9’、R10およびR10’は、各々独立して、−X−Y−Zであり;
Xは、結合、−C(H)(R)−、−O−、−S−、または−N(R11)−であり;
11は、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここで各R11中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR11は、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
11およびZは、それらが結合している原子と一緒になって、窒素含有5〜7員単環式環系または、窒素含有6〜11員二環式環系を必要に応じて形成し得、上記環系は、3つまでのJ置換基で必要に応じて置換され得、ここで上記環系中の3つまでの環原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でO、NH、S、SO、またはSOで置換され得;
Yは、結合、−CH−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)(NR12)−であり;
12は、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここで各R12中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR12は、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得;
Zは、以下:
水素、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで任意の環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから選択される3つまでの置換基で置換され得;
Vは、−C(O)−、−S(O)−、または−S(O)−であり;
Rは、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、−N(R12)−、−O−、または結合であり;
【0020】
Tは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでT中の3個までの脂肪族炭素原子は、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで各Tは、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
Tは、−N(R)(R6’)から選択され;そして
6’は、以下:
水素−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であるか;あるいは
ここで各R6’中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでR6’は、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換され得るか;あるいは
およびR6’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、(C3〜C10)−ヘテロシクリル式環系を必要に応じて形成し得、ここで上記環系は、Jから独立して選択される3つまでの置換基で必要に応じて置換され得る。
【0021】
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」は、単環式または二環式の炭素環式芳香環系を意味する。フェニルは、単環式芳香環系の一例である。二環式芳香環系としては、両方の環が芳香族である系(例えば、ナフチル)、および2つの環のうちの1つのみが芳香族である系(例えば、テトラリン)が挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「(C6〜C10)−アリール−」は、C6、C7、C8、C9、およびC10の、単環式または二環式の炭素環式芳香環のうちの任意の1つを含むことが理解される。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクリル」は、単環式または二環式の非芳香環系であって、上記非芳香環系が、各環中に、O、N、NH、S、SO、またはSOから選択される1〜3個のヘテロ原子またはヘテロ原子基を、化学的に安定な配置で有する、非芳香環系を意味する。「ヘテロシクリル」の二環式非芳香環系の実施形態において、1つまたは両方の環は、上記へテロ原子またはヘテロ原子基を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「(C5〜C10)−ヘテロシクリル−」は、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10の単環式もしくは二環式の非芳香環系であって、上記非芳香環系は、各環中に、O、N、NH、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を、化学的に安定な配置で有する非芳香環系のうちの任意の1つを含むことが理解される。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、単環式または二環式の芳香環系であって、各環中に、O、N、NH、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を、化学的に安定な配置で有する芳香環系を意味する。「ヘテロアリール」のこのような二環式芳香環系の実施形態において:
−1つまたは両方の環は、芳香族であり得;そして
−1つまたは両方の環は、上記へテロ原子またはヘテロ原子基を含み得る。
本明細書中で使用される場合、用語「(C5〜C10)−ヘテロアリール−」は、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10の単環式もしくは二環式の芳香環系であって、上記非芳香環系は、各環中に、O、N、NH、およびSから選択される1〜3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を、化学的に安定な配置で有する芳香環系のうちの任意の1つを含むことが理解される。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「脂肪族」は、直鎖状もしくは分枝鎖状の、アルキル、アルケニルまたはアルキニルを意味する。本明細書中で使用される場合、用語「(C1〜C12)−脂肪族−」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、およびC12の直鎖状または分枝鎖状の、炭素原子のアルキル鎖のうちの任意の1つを含むことが理解される。アルケニルまたはアルキニルの実施形態は、上記脂肪族鎖中に少なくとも2つの炭素原子が必要であることもまた、理解される。用語「シクロアルキルまたはシクロアルケニル」とは、芳香族ではない、単環式環系または縮合型もしくは架橋型の二環式炭素環式環系をいう。シクロアルケニル環は、1つ以上の不飽和単位を有する。本明細書中で使用される場合、用語「(C3〜C10)−シクロアルキル−または(C3〜C10)−シクロアルケニル」が、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10の、単環式環または縮合型もしくは架橋型の二環式炭素環式環のうちの任意の1つを包含することがまた、理解される。好ましいシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロへプチル、シクロへプテニル、ノルボルニル(nornbornyl)、アダマンチルおよびデカリン−イルが挙げられる。
【0025】
本明細書中で使用される場合、句「化学的に安定な配置」とは、化合物を十分に安定にさせて、当該分野で公知の方法によって製造および哺乳動物への投与を可能にする、化合物構造をいう。代表的には、このような化合物は、40℃以下の温度で、湿度または他の化学反応条件の非存在下で、少なくとも1週間安定である。
【0026】
(実施形態)
式Iの化合物の1つの実施形態に従って、上記
【化7】

基は、
【化8】

であり、ここで;
、R10、およびR10’において、XおよびYは、両方とも結合であり、そしてZは水素であり;そしてR9’において;
Xは結合であり;
Yは、結合、−CH−、または−C(O)−であり;そして
Zは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで任意の環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0027】
別の実施形態に従って、R9’において;
Xは結合であり;
Yは結合であり;そして
Zは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで任意の環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0028】
別の実施形態に従って、R9’において;
Xは結合であり;
Yは結合であり;そして
Zは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、または
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0029】
別の実施形態に従って、R9’は、以下:
【化9】

である。
【0030】
別の実施形態に従って、R9’は、以下:
【化10】

である。
【0031】
別の実施形態に従って、R9’はエチルである。
【0032】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、R、R10、およびR10’において、XおよびYは、両方とも結合であり、そしてZは水素であり;そしてR9’において;
Xは結合であり;
Yは、−C(O)−であり;そして
Zは、(C1〜C12)−脂肪族−、または
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで任意の環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0033】
別の実施形態に従って、Zは、−O−(C1〜C6)−脂肪族または−N(R’)であり、ここで上記窒素原子に結合している2つのR’基は、必要に応じて、3〜7員の飽和または部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで3個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、およびSOから独立して選択されるヘテロ原子で置換され得、ここで上記環系は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有する。
【0034】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、Zは、−N(R’)であり、ここで上記窒素原子に結合している2つのR’基は、必要に応じて、3〜7員の飽和または部分的に不飽和の環系を形成し得、ここで3個までの環原子は、必要に応じて、N、NH、O、S、SO、およびSOから独立して選択されるヘテロ原子で置換され得、ここで上記環系は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有する。
【0035】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、RおよびR10において、XおよびYは、両方とも結合であり、そしてZは水素であり;そして、R9’およびR10’の各々において、独立して;
Xは結合であり;
Yは、結合であり;そして
Zは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここで任意の環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0036】
別の実施形態に従って、R9’およびR10’の各々中のZは、独立して、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、または
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくはシクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでZ中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0037】
別の実施形態に従って、R9’およびR10’の各々中のZは、独立して、(C1〜C6)−脂肪族−である。
【0038】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、R10およびR10’において、XおよびYは両方とも結合であり、そしてZは水素であり;そして、RおよびR9’において;
Xは結合であり;
Yは結合であり;そして
Zは、(C1〜C6)−脂肪族−であり、
ここでZは、独立してかつ必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得る。
【0039】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、Wは、
【化11】

であり;
ここでWにおいて、NRは、−NH−(C1〜C6脂肪族)、−NH−(C3〜C6シクロアルキル)、−NH−CH(CH)−アリール、または−NH−CH(CH)−ヘテロアリールから選択され、ここで上記アリールまたは上記ヘテロアリールは、必要に応じて、3個までのハロゲンで置換される。
【0040】
Wにおける別の実施形態に従って、NRは、以下:
【化12】

である。
【0041】
Wにおける別の実施形態に従って、NRは、以下:
【化13】

である。
【0042】
Wにおける別の実施形態に従って、NRは、以下:
【化14】

である。
【0043】
Wにおける別の実施形態に従って、NRは、以下:
【化15】

である。
【0044】
式Iの化合物における別の実施形態に従って、Wにおいて、NRは、以下:
【化16】

である。
【0045】
別の実施形態に従って、Wにおいて、NRは、以下:
【化17】

である。
【0046】
別の実施形態に従って、Wにおいて、NRは、以下:
【化18】

である。
【0047】
別の実施形態に従って、式Iの化合物中のWは、以下:
【化19】

であり、ここでRは、上で定義された通りである。
【0048】
別の実施形態に従って、各Rは、ホウ素原子と一緒になって、ホウ素原子および2つの酸素原子以外のさらなるヘテロ原子を有さない(C5〜C10)員のヘテロシクリル式環である。
【0049】
別の実施形態において、Wは、以下:
【化20】

であり、ここでR’は、(C1〜C6)−脂肪族である。
【0050】
別の実施形態において、R’はメチルである。
【0051】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、R5’は水素であり、そしてRは、以下:
【化21】

である。
【0052】
別の実施形態に従って、R5’は水素であり、そしてRは、以下:
【化22】

である。
【0053】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、R5’およびRは、以下:
【化23】

である。
【0054】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、R、R、およびRは各々独立して、H、メチル、エチル、またはプロピルである。
別の実施形態に従って、R、R、およびRは、各々水素である。
【0055】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、Rは、以下:
【化24】

である。
【0056】
別の実施形態に従って、Rは、以下:
【化25】

である。
【0057】
別の実施形態に従って、Rは、以下:
【化26】

である。
【0058】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、Rは、以下:
【化27】

である。
【0059】
別の実施形態に従って、Rは、以下:
【化28】

である。
【0060】
別の実施形態に従って、Rは、イソプロピルまたはシクロヘキシルである。
【0061】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、上記
【化29】

基は、
【化30】

であり、
ここで:
、R6’、RおよびR12は、本明細書中の任意の実施形態で定義された通りである。
【0062】
別の実施形態に従って、上記
【化31】

基において;
6’およびRは、両方とも水素であり;
は、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキルもしくは−シクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−であり;
ここでR中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;そして
ここでRは、必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;そして
12は、本明細書中の任意の実施形態で定義された通りである。
【0063】
別の実施形態に従って、Rは、以下:
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、または
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−であり;
ここでR中の3個までの脂肪族炭素原子は、必要に応じて、化学的に安定な配置でS、−S(O)−、−S(O)−、−O−、−N−、または−N(H)−で置換され得;
ここでRは、必要に応じて、Jから独立して選択される3つまでの置換基で置換され得;そして
12は、本明細書中の任意の実施形態で定義された通りである。
【0064】
別の実施形態に従って、上記の基は、
【化32】

である。
【0065】
別の実施形態に従って、上記
【化33】

基は、
【化34】

である。
【0066】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、Vは−C(O)−であり、そして
Rは結合である。
【0067】
式Iの化合物の別の実施形態に従って、Vは−C(O)−であり、Rは結合であり、そして
Tは:
(C3〜C10)−ヘテロシクリルまたは(C5〜C10)ヘテロアリール−であり;
ここで各Tは、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換される。
【0068】
別の実施形態に従って、Tは、(C5〜C6)ヘテロシクリル−または(C5〜C6)ヘテロアリール−であり;
ここで各Tは、必要に応じて、3つまでのJ置換基で置換される。
【0069】
別の実施形態に従って、Tは、以下:
【化35】

であり、
ここで:
Z’は、独立して、O、S、NR’、またはC(R’)である。
【0070】
別の実施形態に従って、Tは、
【化36】

である。
【0071】
別の実施形態に従って、本発明は、以下の化合物を含まない:
1. 3−アセチル−4,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(シクロヘキシル−{1−[3−シクロヘキシル−2−(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−2,2−ジメチル−プロピルカルバモイル}−メチル)−アミド;
2. 3−アセチル−4,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(シクロヘキシル−{1−[2−(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチルカルバモイル)−3−イソプロピル−ピロリジン−1−カルボニル]−2,2−ジメチル−プロピルカルバモイル}−メチル)−アミド;
3. 3−アセチル−4,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(シクロヘキシル−{1−[2−(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチルカルバモイル)−4−(キナゾリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−1−カルボニル]−2,2−ジメチル−プロピルカルバモイル}−メチル)−アミド;ならびに
4. 3−アセチル−4,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸({1−[4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−2−(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−2,2−ジメチル−プロピルカルバモイル}−シクロヘキシル−メチル)−アミド(例えば、WO 03/087092の化合物63、64、66、および67)。
【0072】
さらに別の実施形態に従って、本発明は、以下:
Vは−C(O)−であり、Rは結合であり、Tは(C5〜C10)−ヘテロアリール3−アセチル−4,5−ジメチル−1H−ピロールであり、そして
【化37】

基は、以下:
【化38−1】

【化38−2】

である、
化合物(例えば、WO 03/087092の56頁および57頁の置換プロリン基)を含まない。
【0073】
別の実施形態に従って、本発明は:
Vが−C(O)−であり;
Rが結合であり;そして
Tが、3−アセチル−4,5−ジメチル−1H−ピロールである、
化合物(例えば、WO 03/087092の85頁の式II’’の化合物)を含まない。
【0074】
別の実施形態に従って、本発明は、TがC5−ヘテロアリールである化合物(例えば、WO 03/087092の22頁の式IIの化合物)を含まない。
【0075】
別の実施形態に従って、本発明は、Tが必要に応じて置換されているピロール基である化合物(例えば、WO 03/087092の22頁の式IIの化合物)を含まない。
【0076】
別の実施形態に従って、本発明は、以下の化合物を含まない:
Vが−C(O)−、−S(O)−、または−S(O)−であり;
Rが結合であり;そして
Tが、以下:
【化39】

であり、
ここで:
14は、以下:
【化40】

であり;
15およびR16は、独立して、以下:
【化41】

であり;
は、=O、=NR’、=NOR’、または=C(R’)であり;
19は、以下:
【化42】

であり;ここで
2つのR’基は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜10員の芳香環または非芳香環を形成し、上記環は、N、NH、O、S、SO、またはSOから独立して選択される3個までのヘテロ原子を有し、ここで上記環は、必要に応じて、(C6〜C10)アリール、(C5〜C10)ヘテロアリール、(C3〜C10)シクロアルキル、もしくは(C3〜C10)ヘテロシクリルに縮合され得、ここで任意の環は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有するか;あるいは
各R’は、独立して、以下:
水素−、
(C1〜C12)−脂肪族−、
(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくは(C3〜C10)−シクロアルケニル−、
[(C3〜C10)−シクロアルキル−もしくはシクロアルケニル]−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C6〜C10)−アリール−、
(C6〜C10)−アリール−(C1〜C12)脂肪族−、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル、
(C3〜C10)−ヘテロシクリル−(C1〜C12)−脂肪族−、
(C5〜C10)−ヘテロアリール−、または
(C5〜C10)−ヘテロアリール−(C1〜C12)−脂肪族−
から選択され、
ここでR’は、Jから独立して選択される3つまでの置換基を有し;そして
は、以下:
【化43】

である、化合物(例えば、WO 03/087092の22頁の式IIの化合物)。
【0077】
式Iの化合物における別の好ましい実施形態に従って、上記化合物は、以下である:
【化44】

【0078】
【化45】

【0079】
【化46】

【0080】
【化47】

【0081】
【化48】

【0082】
【化49】

【0083】
【化50】

【0084】
【化51】

【0085】
【化52】


【0086】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を含み得、従って、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物ならびに個々のジアステレオマーとして存在し得る。これらの化合物のこのような異性体型の全ては、明白に、本発明に包含される。各立体認知(stereogenic)炭素は、R立体配置またはS立体配置であり得る。
【0087】
別の実施形態において、本発明の化合物は、化合物1〜77で表される構造および立体化学を有する。
【0088】
上記された任意の実施形態(上の種類の実施形態を含む)は、本発明の好ましい実施形態を生成するために組み合わされ得る。
【0089】
当業者に理解され得るように、示される合成スキームは、本出願で記載および特許請求した化合物を合成し得る全ての手段の包括的な列挙を含むようには意図されていない。他の等価なスキーム(これは、有機化学の当業者にとって容易に明らかである)が、代替的に、以下の一般スキームに例示されるような分子の種々の部分を合成するために使用され得る。さらに、上記の種々の合成工程は、代替の順序または順番で実施され、所望の化合物を獲得し得る。他の等価なスキーム(これは、有機化学の当業者にとって容易に明らかである)が、代替的に、以下の一般スキーム、および以下の調製実施例に例示されるような分子の種々の部分を合成するために使用され得る。
【0090】
以下のスキーム、調製、および実施例で使用される略語は、以下である:
DCM:ジクロロメタン
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N,−ジメチルホルムアミド
EtOAc:酢酸エチル
AcOH:酢酸
NMM:N−メチルモルホリン
NMP:N−メチルピロリジノン
EtOH:エタノール
t−BuOH:tert−ブタノール
EtO:ジエチルエーテル
DMSO:ジメチルスルホキシド
DCCA:ジクロロ酢酸
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
MeCN:アセトニトリル
TFA:トリフルオロ酢酸
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
EDC:塩化1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
BocO:ジ−tert−ブチルジカルボネート
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
Cbz−Cl:ベンジルクロロホルメート
Fmoc:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
SEM:シリルエトキシメチル
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
Chg:シクロヘキシルグリシン
t−BG:tert−ブチルグリシン
mCBPA:3−クロロペルオキシ安息香酸
DAST:三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄
TEMPO:2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、フリーラジカル
PyBOP:トリス(ピロリジノ)ブロモホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
TBTUまたはHATU:2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
rtまたはRT:室温
ON:一晩
ND:検出せず
MS:質量分析
LC:液体クロマトグラフィー
(一般合成法)
本発明の化合物は、一般的に、当業者に公知の方法によって調製され得る。以下のスキーム1〜6は、本発明の化合物に対する合成経路を例示する。他の等価なスキーム(これは、有機化学の当業者に容易に明らかである)は、代替的に、以下の一般スキーム、および以下に続く調製実施例で例示されるような分子の種々の部分を合成するために使用され得る。
【0091】
【化53】

【0092】
【化54】

【0093】
【化55】

【0094】
【化56】

【0095】
【化57】

【0096】
【化58】

上記のスキーム1〜6は、本発明の化合物の調製のための合成経路を提供する。出発プロリン誘導体の多くは、当業者に公知の化学供給業者から商業的に購入され得る。中間体A1は、J.Med.Chem.39,p.2367(1996)に示される手順に従って調製され得る。
【0097】
特定の実施形態が以下に示され、記載されるが、本発明の化合物は、当業者に一般的に利用可能な適切な出発物質を使用して、上記の一般的に記載された方法に従って、調製され得ることが理解される。
【0098】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物を提供する。別の実施形態に従って、式Iの化合物は、サンプルまたは患者におけるウイルス負荷を減少させるのに有効な量で存在し、ここで、上記ウイルスは、ウイルスの生活環に必要なセリンプロテアーゼをコードする。
【0099】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩が、これらの組成物に使用される場合、これらの塩は、好ましくは、無機酸または有機酸、および無機塩基または有機塩基から誘導される。これらの酸性塩としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジクルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩。塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)、ならびにアミノ酸を有する塩(例えば、アルギニン、リシンなど)。
【0100】
また、塩基性窒素含有基は、以下のような薬剤で四置換(quaternize)され得る:低級アルキルのハロゲン化物(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピルおよび塩化ブチル、ならびに臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピルおよび臭化ブチル、ならびにヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピルおよびヨウ化ブチル);ジアルキル硫酸塩(例えば、ジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩、ジブチル硫酸塩およびジアミル硫酸塩);長鎖のハロゲン化物(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチルおよび塩化ステアリル、ならびに臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチルおよび臭化ステアリル、ならびにヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチルおよびヨウ化ステアリル);アラルキルのハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)など。水溶性生成物もしくは油溶性生成物または水分散可能な生成物もしくは油分散可能な生成物が、これらによって得られ得る。
【0101】
本発明の組成物および方法で利用される化合物はまた、付加する適切な官能基によって修飾され、選択的な生物学的特性を高め得る。このような修飾は、当該分野で公知であり、そしてこのような修飾としては、以下の修飾が挙げられる:所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加させる修飾、経口的アベイラビリティを増加させる修飾、注射による投与を可能にする溶解度を増加させる修飾、代謝を変化させる修飾、および排泄速度を変化させる修飾。
【0102】
これらの組成物中で使用され得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、ホスフェート)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0103】
別の実施形態に従って、本発明の組成物は、哺乳動物への薬学的投与のために処方される。別の実施形態において、本発明の組成物は、ヒトへの薬学的投与のために処方される。
【0104】
本発明のこのような薬学的組成物は、以下のように投与され得る:経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、経口腔粘膜的に、経膣的に、または移植されたレザバーを介して。本明細書中で使用される用語「非経口的」とは、以下の技術を含む:皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、包膜内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の、注射技術または注入技術。別の実施形態において、この組成物は、経口的にまたは静脈内に投与される。
【0105】
本発明の組成物の無菌性注射可能物の形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。この無菌性注射可能調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌性注射用溶液または無菌性注射用懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌性の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来的に使用される。この目的で、任意の無刺激性不揮発性油が使用され得、この無刺激性不揮発性油としては、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが挙げられる。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、注射可能物の調製に有用である。同様に、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油)が、特にこれらのポリオキシエチレン化バージョンにおいて、注射可能物の調製に有用である。これらの油性溶液または油性懸濁液はまた、長鎖アルコールの希釈剤もしくは分散剤(dispersant)(例えば、カルボキシメチルセルロース)、または類似の分散剤(dispersing agent)を含み得る。これらの希釈剤または分散剤は、乳濁液および懸濁液を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方物に一般的に使用される。他の一般的に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Span)、および、薬学的に受容可能な固体、液体、または他の投薬形態の製造に一般的に使用される、他の乳化剤またはバイオアベイラビリティエンハンサーもまた、処方の目的で使用され得る。
【0106】
1日あたりの体重1kg当たり約0.01mgと約100mgとの間(好ましくは1日あたりの体重1kg当たり約0.5mgと約75mgとの間)の投薬量レベルの、本明細書中で記載されるプロテアーゼインヒビター化合物は、抗ウイルス媒介性疾患、特に抗HCV媒介性疾患の予防および処置のための単独療法に有用である。代表的には、本発明の薬学的組成物は、1日当たり約1〜約5回投与されるか、あるいは連続的注入として投与される。このような投与は、慢性治療または急性治療として使用され得る。単一投与形態を作製するためにキャリア物質と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に依存して変動する。代表的な調製物は、約5%〜約95%(w/w)の活性化合物を含む。別の実施形態において、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0107】
本発明の組成物が、式Iの化合物と1種以上のさらなる治療剤または予防剤との組み合わせを含む場合、上記化合物およびさらなる薬剤の両方は、約10%〜100%の間の用量レベルで存在するべきであり、そして別の実施形態においては、約10%〜約80%の用量が、単独療法レジメンで通常投与される。
【0108】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態で経口的に投与され得る。この経口的に受容可能な投与形態としては、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。経口的使用のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的に添加される。カプセル剤形態での経口的投与について、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口的使用に必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤もまた、添加され得る。
【0109】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸的投与のために坐剤の形態で投与され得る。この坐剤は、薬剤と適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製され得る。この賦形剤は、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で融解し、薬物を放出する。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0110】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、処置の標的として、局所的適用によって容易に受容可能である領域または器官が挙げられる場合、局所的に投与され得る。これらの領域または器官としては、眼の疾患、皮膚の疾患、または下部の腸管の疾患が挙げられる。適切な局所的処方物は、これらの領域または器官のそれぞれのために容易に調製される。
【0111】
下部の腸管についての局所的適用は、直腸の坐剤処方物で(上記を参照のこと)、または適切な浣腸剤処方物で達成され得る。局所経皮的なパッチもまた、使用され得る。
【0112】
局所的適用について、薬学的組成物は、1つ以上のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏剤で処方され得る。本発明の化合物の局所的投与のためのキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン化合物、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水。あるいは、薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁または溶解された活性成分を含む、適切なローション剤またはクリームに処方され得る。適切なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0113】
眼使用について、薬学的組成物は、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤を有して、または有さないかのいずれかで、等張性の、pH調整された無菌生理食塩水中への微粒子化(micronized)懸濁液として、または、好ましくは、等張性の、pH調整された無菌生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼使用について、この薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏剤で処方され得る。
【0114】
本発明の薬学的組成物はまた、経鼻的エアロゾルまたは経鼻的吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野で周知の技術に従って調製され、そして以下を使用する生理食塩水中の溶液として調製され得る:ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進因子、フッ化炭素、および/または他の従来的な可溶化剤もしくは分散剤。
【0115】
別の実施形態において、上記薬学的組成物は、経口投与のために処方される。
【0116】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、別の薬剤(シトクロムP−450インヒビターを含む)をさらに含む。このようなシトクロムP−450インヒビターとしては、リトナビルが挙げられるが、これに限定されない。
【0117】
別の実施形態において、本発明の組成物は、別の抗ウイルス剤(抗HCV剤を含む)をさらに含有する。このような抗ウイルス剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:免疫調節剤(例えば、α−インターフェロン、β−インターフェロン、およびγ−インターフェロン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、ならびにチモシン);他の抗ウイルス剤(例えばリバビリン、アマンタジン、およびテルビブジン);C型肝炎プロテアーゼのほかのインヒビター(NS2−NS3インヒビターおよびNS3−NS4Aインヒビター);HCV生活環における他の標的のインヒビター(ヘリカーゼインヒビターおよびポリメラーゼインヒビターが挙げられるがこれらに限定されない);内部リボソーム侵入のインヒビター;ブロードなスペクトルのウイルスインヒビター(例えば、IMPDHインヒビター(例えば、VX−497インヒビターおよび米国特許第5,807,876号および同第6,498,178号に開示された他のIMPDHインヒビター、ミコフェノール酸およびそれらの誘導体));シトクロムP−450のインヒビター(例えば、リトナビル)、または上記の任意のものの組み合わせ。
【0118】
患者の状態の改善の際に、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量は、必要な場合、投与され得る。引き続いて、投与の投薬量もしくは頻度、またはその両方は、症状の関数として、改善した状態が維持されるレベルまで減少され得、症状が所望のレベルまで軽減された場合、処置をやめるべきである。しかし患者は、疾患症状の任意の再発に関する長期間の基準に基づいて、断続的な処置を必要とし得る。
【0119】
任意の特定患者についての特定の投薬および処置レジメンは、種々の因子に依存することも理解されるべきであり、この因子としては、以下が挙げられる:使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、担当医の判断、および処置される特定の疾患の重篤度。活性成分の量はまた、上記組成物中の、特に記載された化合物、ならびにさらなる抗ウイルス剤の存在または非存在および性質に依存する。
【0120】
別の実施形態に従って、本発明は、ウイルスで感染された患者を処置するための方法を提供し、上記方法は、ウイルスにコードされたセリンプロテアーゼ(セリンプロテアーゼは、上記ウイルスの生活環に必要である)によって特徴付けられており、上記患者に本発明の薬学的に受容可能な組成物を投与することによる。別の実施形態において、本発明の方法は、HCV感染を罹患する患者を処置するために使用される。このような処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重篤度を低減させる。別の実施形態において、本発明の方法は、HCV感染を罹患する患者を処置するために使用され、ここで上記患者はヒトである。
【0121】
代替の実施形態において、本発明の方法は、上記患者に抗ウイルス剤(好ましくは抗HCV剤)を投与する工程をさらに包含する。このような抗ウイルス剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:免疫調節剤(例えば、α−インターフェロン、β−インターフェロン、およびγ−インターフェロン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、ならびにチモシン);他の抗ウイルス剤(例えばリバビリン、アマンタジン、およびテルビブジン);C型肝炎プロテアーゼの他のインヒビター(NS2−NS3インヒビターおよびNS3−NS4Aインヒビター);HCV生活環における他の標的のインヒビター(ヘリカーゼインヒビターおよびポリメラーゼインヒビターが挙げられる);内部リボソーム進入のインヒビター;広範なスペクトルのウイルスインヒビター(例えば、IMPDHインヒビター(例えば、VX−497インヒビターおよび米国特許第5,807,876号および同第6,498,178号に開示された他のIMPDHインヒビター、ミコフェノール酸およびそれらの誘導体));シトクロムP−450のインヒビター(例えば、リトナビル)、または上記の任意のものの組み合わせ。
【0122】
このようなさらなる薬剤は、本発明の化合物およびさらなる抗ウイルス剤の両方を含む単一投与形態の一部として上記患者に投与され得る。あるいは、上記さらなる薬剤は、複数投与形態の一部として、本発明の化合物とは別々に投与され得、ここで上記さらなる薬剤は、本発明の化合物を含む組成物の前か、一緒か、またはその後に投与される。
【0123】
さらに別の実施形態において、本発明は、患者への投与のために意図される生物学的物質を前処理する方法を提供し、上記方法は、上記生物学的物質と、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物とを接触させる工程を包含する。このような生物学的物質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:血液およびその構成要素(例えば、血漿、血小板、血液細胞の亜集団など);器官(例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺など);精子および卵子;骨髄およびその構成要素、ならびに患者に注入される他の流体(例えば、生理食塩水、デキストロースなど)。
【0124】
別の実施形態に従って、本発明は、潜在的にウイルスと接触することになり得る物質を処理する方法を提供し、上記方法は、ウイルスの生活環に必要な、ウイルスによりコードされたセリンプロテアーゼによって特徴付けられる。この方法は、上記物質と本発明に従う化合物とを接触させる工程を包含する。このような物質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:外科用装置および外科用衣服(garment)(例えば、衣服(clothes)、グローブ、エプロン、ガウン、マスク、眼鏡、履物など);実験室の装置および衣服(garment)(例えば、衣服(clothes)、グローブ、エプロン、ガウン、マスク、眼鏡、履物など);血液収集装置および材料;ならびに侵襲性デバイス(例えば、シャント、ステントなど)。
【0125】
別の実施形態において、本発明の化合物は、ウイルスによりコードされたセリンプロテアーゼの単離を補助するための実験用ツールとして使用され得る。この方法は、以下の工程を包含する:固体支持体に結合される本発明の化合物を提供する工程;上記固体支持体とウイルスセリンプロテアーゼとを、このプロテアーゼをこの固体支持体に結合させる条件下で接触させる工程;および上記セリンプロテアーゼを上記固体支持体から溶出する工程。別の実施形態において、この方法によって単離されたウイルスセリンプロテアーゼは、HCV NS3−NS4Aプロテアーゼである。
【0126】
本発明がより完全に理解されるために、以下の調製実施例および試験実施例を示す。これらの実施例は、例示目的のためだけであり、本発明の範囲をいかなる点においても限定するように解釈されるべきでない。
【実施例】
【0127】
H−NMRスペクトルを、Bruker AMX 500機器を使用して500 MHzで記録した。質量分析サンプルを、MicroMass ZQ質量分析計またはQuattro II質量分析計で分析し、この質量分析計は、電子スプレーイオン化を用いる単一MSモードで操作した。サンプルを、フローインジェクション(FIA)またはクロマトグラフィーを使用して質量分析計に導入した。全ての質量スペクトル分析用の移動相は、調節剤(modifier)として0.2%蟻酸を含むアセトニトリル−水混合物からなった。
【0128】
本明細書中で使用される場合、用語「R(分)」とは、上記化合物に関連するHPLC保持時間(分)をいう。列挙されるHPLC保持時間は、質量分析データから得られたか、または以下の方法を使用して得られたかのいずれかであった:
機器:Hewlett Packard HP−1050;
カラム:YMC C18(カタログ番号326289C46);
勾配/勾配時間:9分間にわたって、10〜90% CHCN/H2O、次いで、100%CHCN、2分間;
流速:0.8ml/分;
検出器波長:215nMおよび245nM。
【0129】
本明細書中の選択された化合物についての化学命名は、CambridgeSoft Corporations ChemDraw Ultra(登録商標)バージョン7.0.1によって提供された命名プログラムを使用して達成された。
【0130】
(実施例1:ピラジン−2−カルボン酸(シクロヘキシル−{1−[2−(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチルカルバモイル)−3−イソプロピル−ピロリジン−1−カルボニル]−2,2−ジメチル−プロピルカルバモイル}−メチル)−アミド(56))
−20℃の100mLの乾燥エーテル中の臭化銅−ジメチルスルフィド(9.1g、44.28mmol)の撹拌懸濁液に、イソプロペニルマグネシウムブロミド0.09M(100mL)を添加した。15分撹拌した後、温度を−78℃に下げ、そして50mLのエーテル中のエノン4a(4.0g、8.86mmol、JACS,117,p.10775,(1995)の手順に従って調製される)を添加し、続いてTMSCl(2.25mL、18mmol)を添加した。この反応混合物を、−78℃で1時間撹拌し、そして100mLの水酸化アンモニウム−塩化アンモニウム溶液(1:4)でクエンチした。エーテルで抽出し、そして有機相を洗浄し、銅塩の全てを取り除いた。このエーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(エーテル−ヘキサン(2:3))に供し、3.5g(73%)の所望の中間体のオレフィンを得た。
【数1】

1気圧の水素下での10%Pd−Cでの水素化により、3.5g(100%)の所望のプロリン5bを得た。
【0131】
−20℃の5b(3.5g、6.47mmol)の50mL酢酸エチル溶液に、HClガスを5分間バブリングした。−20℃で30分間撹拌し、次いでrtに温め、そして1時間撹拌した。これを減圧下で濃縮し、1.71g(100%)の油状物を得、これを還流下で4時間、THF溶液中2.5等量の1M LAHで還元した。冷却し、そしてFieserの後処理に供し、これにより1.35g(85%)の所望の化合物8bを得た。
【数2】

【0132】
4mLの水中の炭酸カリウム(190mg、1.38mmol)の溶液に、rtで撹拌しながら、5mL THF中の8b(357mg、2.5mmol)を添加した。この溶液を−2℃に冷却し、そして温度を0℃〜−2℃に維持しながら塩化Cbz(0.447mL、3.13mmol)を滴下した。これをさらに15分間撹拌し、氷水中に注いだ。この水相を塩で飽和させ、そしてこの有機相を分離した。全ての化合物を抽出するのに、さらに酢酸エチルでの抽出が必要であった。これらの合わせた有機相を、5%HCl、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、416mg(60%)のベンゾイル化ヒドロキシメチルピロリドン中間体を得た。この物質の328mgを、Jones試薬で酸化し、260mg(75%)のプロリン中間体を得た。上記プロリン(260mg、0.889mmol)を、rtで、48時間、密封容器中で、触媒量の濃硫酸を含むジクロロメタン中イソブチレンでエステル化し、289mg(96%)の中間体エステルを得た。
【数3】

酢酸エチル中10%Pd/Cでの水素化により、290mg(100%)の所望の化合物9bを得た。
【0133】
0℃の2mL DCM中Cbz−tert−ブチルグリシン(271mg、1.02mmol)の溶液に、EDC(235mg、1.23mmol)、HOBt(203mg、1.33mmol)およびDIEA(0.534mL、3.07mmol)を添加した。得られた混合物を、0℃で15分間撹拌し、この後に、上記アミノエステル9bを2mLのDCM中にゆっくりと添加した。この得られた反応混合物を、rtで16時間撹拌した。残渣にまで濃縮し、これをEtOAcに再溶解した。0.5N HCl、NaHCO飽和水溶液およびブラインでの連続的な洗浄を行い、乾燥(NaSO)および減圧下での濃縮後、所望の生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/80%ヘキサン)に供し、480mg(100%)の純粋なジペプチドを得た。
【数4】

上記ジペプチドのCbz基を、上で記載したように取り除き、そして得られたアミノエステルジペプチドを、Cbz−シクロヘキシルグリシン(これは、次の工程で示される)に結合させた。
【0134】
0℃の2mL DCM中Cbz−シクロヘキシルグリシン(289mg、1mmol)の溶液に、EDC(228mg、1.19mmol)、HOBt(190mg、1.29mmol)およびDIEA(0.517mL、2.97mmol)を添加した。得られた混合物を、0℃で15分間撹拌し、この後に、上記アミノエステルを2mLのDCM中にゆっくりと添加した。この得られた反応混合物を、rtで16時間撹拌した。残渣にまで濃縮し、これをEtOAcに再溶解した。0.5N HCl、NaHCO飽和水溶液およびブラインでの連続的な洗浄を行い、乾燥(NaSO)および減圧下での濃縮後、所望の生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/80%ヘキサン)に供し、556mg(90%)の純粋なトリペプチドを得た。このトリペプチドのCbz基を、上で記載したように取り除き、そして得られたアミノエステルトリペプチドを、1,4−ピラジンカルボン酸(これは、次の工程で示される)に結合させた。
【0135】
2mL DCM中の1,4−ピラジンカルボン酸(110mg、0.891mmol)の溶液に、PyBrOP(457mg、0.98mmol)およびDIEA(0.465mL、2.67mmol)を添加した。得られた混合物を、rtで15分間撹拌し、この後に、上記アミノエステルを2mLのDCM中にゆっくりと添加した。この得られた反応混合物を、rtで16時間撹拌した。残渣にまで濃縮し、これをEtOAcに再溶解した。0.5N HCL、NaHCO飽和水溶液およびブラインでの連続的な洗浄を行い、乾燥(NaSO)および減圧下での濃縮後、所望の生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/50%ヘキサン)に供し、410mg(79%)の純粋なキャップ化トリペプチドを得、これは一貫したH NMR(CDCl)を有する。
【0136】
上記キャップ化トリペプチド(410mg、0.688mmol)のt−ブチルエステル基を、rtで45分間、TFA−DCMの1:1混合物で開裂し、そして減圧下で濃縮させた。この得られたアミノエステルトリペプチドを、ヒドロキシアミド(次の工程に詳細に記載される)に結合した。
【0137】
0℃の、上記に由来するキャップ化トリペプチドを含む6mL乾燥DMF溶液に、PyBOP(376mg、0.722mmol)を添加し、続いてNMM(0.226mL、2.06mmol)を添加した。反応混合物を、1時間rtで撹拌し、この後に、ヒドロキシアミド(168mg、0.758mmol)と0.226mLのNMMとの溶液をゆっくりと添加した。この結合反応物を16時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、そして水(3×)、10%クエン酸、水およびブラインで連続的に洗浄した。この有機相を乾燥(NaSO)させ、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(2.5%MeOH/97.5%酢酸エチル)により、362mgのヒドロキシアミドテトラペプチドを得、これをrtで3時間、5mLのDCM中のDess−Martinペルヨージナン試薬(650mg、1.53mmol)およびt−ブタノール(0.65mL)で酸化した。この反応混合物を、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液(2mL)でクエンチし、そしてこの2相がはっきりと分離するまで撹拌した。この有機相を、5mLより多くのDCMで希釈し、そして10%炭酸カリウム水溶液(5mL)で洗浄し(3×)、乾燥(NaSO)させ、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(2.5%MeOH/97.5%酢酸エチル)により、270mgのケトアミドテトラペプチド56を得た。LCMS M+H=706.42、M−H=704.42。保持時間(9分間にわたって0.1%TFAを含む10〜90% MeCN−HO)=7.73〜8.81分。LCMS M+H=682.2。
【0138】
(実施例2:3−tert−ブチル−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−5−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(6a))
THF中t−ブチル亜鉛ブロミド0.5M溶液(3.7mL、1.83mmol)を、−30℃で、5分間にわたって、BFOEt(350μL、2.75mmol)およびTMSCl(465μL)を含むTHF中のエノン4a(280mg、0.85mmol)の溶液に添加した。この不均一混合物を、−30℃で3.5時間撹拌し、次いで飽和NHCl溶液でクエンチした。エーテル(3×)で抽出し、そしてこの抽出物を合わせて、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−ヘキサン)により、210mg(64%)の6aを得た。
【数5】

【0139】
(実施例3:3−ベンジル−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−5−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7a))
−78℃のn−ブチルリチウム(5.5mL、0.0086mol)とTHFとの混合物に、TMEDAおよびベンジルフェニルスルフィド(1.91g、0.0095mol)を添加した。無色溶液が、淡黄色に変わった、−78℃での15分の撹拌後、10mLのTHF中のピロリドン4(2.4g、0.0073mol)を滴下した。その添加が完了した後、この反応混合物を、1時間−78℃で撹拌した。この反応を、飽和NHCl溶液でクエンチし、そしてこの混合物をrtに温め、そして水に注いだ。エーテル混合物をエチルエーテルで抽出し、そしてその有機相をブラインで洗浄し、乾燥させて減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキサン)により、1.69g(45%)の所望の中間体を得た。アセトン−水(1:1)で12時間還流して、16.9gのRa−Niでの還元により、クロマトグラフィー(2%アセトン−クロロホルム)の後、1.11g(83%)の所望の化合物7を得た。
【数6】

【0140】
(実施例4:ピラジン−2−カルボン酸({1−[3−ベンジル−2−(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−2,2−ジメチル−プロピルカルバモイル}−シクロヘキシル−メチル)−アミド(65))
中間体7aから出発して、上のスキーム1で記載したように調製し、65を得、これは、一貫した分析データを示した。保持時間(6分間にわたって、0.1%TFAを含む10−90% MeCN−HO)=8.0〜9.2分。LCMS M+H=730.2。
【0141】
(実施例5:3−シクロヘキシル−ピロリジン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(12a))
3−フェニルプロリン10aを、50psiの水素下で18時間、エタノール/酢酸/水(7/2/1)中の触媒の酸化白金で水素化し、3−シクロヘキシルプロリンを定量的に得た。化合物12aを、実施例1;工程3から、ベンゾイル化およびエステル化に従って調製した。
【0142】
(実施例6:3−シクロプロピルメチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(A))
丸底フラスコ中で、乾燥DCE中アリルプロリン(358mg、1.33mmol)の溶液を0℃に冷却し、そして15%ヘキサン中のジエチル亜鉛(5.5mL、6.63mmol)を、シリンジによってゆっくりと添加した。この溶液に、クロロヨードメタン(967μL、13.3mmol)を滴下した。この溶液を0℃で20分間撹拌し、rtまで温め、そして1時間撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却し、飽和NHCl溶液でクエンチし、そして10分間力強く撹拌した。ジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキサン)により、65mg(17%)の所望の生成物Aを得た。
【数7】

【0143】
(実施例7:3−シクロプロピルメチル−1−(3−メチル−2−{3−メチル−2−[(ピラジン−2−カルボニル)−アミノ]−ブチリルアミノ}−ブチリル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステル(C))
トリペプチドCを、シクロプロピルメチルプロリンA(41mg、0.16mmol)およびキャップ化ジペプチドB(52mg、0.16mmol)とEDC/HOAtとを結合させることにより調製し、クロマトグラフィー(1:1酢酸エチル−ヘキサン)の後、60mg(77%)の所望のトリペプチドCを得た。
【数8】

【0144】
(実施例8:2−(3−{[3−シクロプロピルメチル−1−(3−メチル−2−{3−メチル−2−[(ピラジン−2−カルボニル)−アミノ]−ブチリルアミノ}−ブチリル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−オキソ−ヘキサノイルアミノ)−3−フェニル−プロピオン酸(D))
実施例1のように調製した。保持時間(6分間にわたって、0.1%TFAを含む10−90% MeCN−HO)=7.55−7.78分。LCMS M+H=748.3。
【0145】
(実施例9)
(HCVレプリコン細胞アッセイプロトコル)
C型肝炎ウイルス(HCV)レプリコンを含む細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、0.25mg/mlのG418を適切な補助剤とともに含有するDMEM中に維持した(培地A)。
【0146】
1日目、レプリコン細胞単層を、トリプシン:EDTA混合物で処理し、取り除き、次いで、培地Aを1mlあたり100,000個の細胞という最終濃度に希釈した。100μl中10,000個の細胞を、96ウェル組織培養プレートの各ウェルにプレートし、組織培養インキュベーター中37℃で一晩培養した。
【0147】
2日目、化合物(100%DMSO中)を、2%FBS、0.5%DMSOを、適切な補助剤とともに含有するDMEMに連続的に希釈した(培地B)。DMSOの最終濃度を、一連の希釈にわたって0.5%に維持した。
【0148】
レプリコン細胞単層上の培地を取り除き、次いで、種々の濃度の化合物を含む培地Bを添加した。いかなる化合物も含まない培地Bを、化合物を有さないコントロールとして他のウェルに加えた。
【0149】
細胞を、37℃の組織培養インキュベーター中で48時間、培地B中の化合物または0.5%DMSOと共にインキュベートした。48時間のインキュベーションの終わりに、上記培地を取り除き、そしてレプリコン細胞単層を、1度PBSで洗浄し、そしてRNA抽出の前に−80℃で保存した。
【0150】
処理したレプリコン細胞単層を含む培養プレートを解凍し、固定量の別のRNAウイルス(例えば、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV))を各ウェルの細胞に加えた。RNA抽出試薬(例えば、RNeasyキットからの試薬)を、RNAの分解を避けるために細胞にすぐ添加した。全RNAを、抽出の効率および一貫性を向上させるように改変を加えながら製造業者の指示に従って抽出した。最終的に、全細胞RNA(HCVレプリコンRNAを含む)を溶出し、そしてさらなる処理まで−80℃で保存した。
【0151】
TaqmanリアルタイムRT−PCR定量アッセイは、特定のプライマーおよびプローブの2つのセットで構成された。1つは、HCVのためのものであり、そしてもう1つはBVDVのためのものである。処理したHCVレプリコン細胞からの全RNA抽出物を、同じPCRウェル中のHCV RNAおよびBVDV RNAの両方の定量のために、PCR反応に加えた。実験の失敗に、各ウェル中のBVDV RNAのレベルに基づいて注意し、却下した。各ウェル中のHCV RNAのレベルは、同じPCRプレートにおいて実行した標準曲線に従って計算した。化合物処理に起因するHCV RNAレベルの阻害または減少の百分率を、0%の阻害として、DMSOまたは化合物を有さないコントロールを使用して計算した。IC50(HCV RNAレベルの50%阻害が観察される濃度)を、任意の所定の化合物の力価決定曲線から計算した。
【0152】
(実施例10)
(HCV Kiアッセイプロトコル)
(5AB基質および生成物の分離のためのHPLCミクロボア(Microbore)方法)
基質:NH−Glu−Asp−Val−Val−(α)Abu−Cys−Ser−Met−Ser−Tyr−COOH
20mM 5AB(または任意の選択による濃度)のストック溶液を、DMSO w/0.2M DTT中に作製した。これを、アリコートの状態で、−20℃で保存した。
緩衝液:50 mM HEPES、pH 7.8;20%グリセロール;100 mM NaCl。
アッセイ容積の合計は100μLであった。
【0153】
【表1】

【0154】
上記緩衝液、KK4A、DTT、およびtNS3を合わせた;96ウェルプレートのウェルに78μLを各々分配した。これを、30℃で約5〜10分間インキュベートした。
【0155】
2.5μLの適切な濃度の試験化合物を、DMSO(コントロール用にDMSOのみ)に溶解し、各ウェルに加えた。これを、室温で15分間インキュベートした。
【0156】
20μLの250μM 5AB基質の添加によって、反応が開始された(25μM濃度は、5ABのKmと均等であるか、またはそれよりわずかに低い)。
30℃で20分間インキュベートした。
25μLの10%TFAの添加により、反応を終結させた。
120μLのアリコートを、HPLCバイアルに移した。
【0157】
SMSY生成物を、以下の方法によって基質およびKK4Aから分離した:
ミクロボア(Microbore)分離法
機器:Agilent 1100
脱気装置:G1322A
バイナリーポンプ:G1312A
オートサンプラー:G1313A
カラムサーモスタットチャンバー:G1316A
ダイオードアレイ検出器:G1315A
カラム:
Phenomenex Jupiter;5ミクロンC18;300Å;150×2mm;P/O 00F−4053−B0
カラムサーモスタット:40℃
注入容積:100μL
溶媒A=HPLC等級の水+0.1%TFA
溶媒B=HPLC等級のアセトニトリル+0.1%TFA
【0158】
【表2】

停止時間:17分
予備運転時間:10分。
【0159】
以下の表1は、本発明の特定の化合物のIC50データを示す。
0.5μM〜>1μMの範囲のKiを有する化合物を、Aと命名する。0.5μM〜0.1μMの範囲のKiを有する化合物を、Bと命名する。0.1μM未満のKiを有する化合物を、Cと命名する。
1μM〜>10μMの範囲のIC50を有する化合物を、Aと命名する。1μM〜0.5μMの範囲のIC50を有する化合物を、Bと命名する。0.5μM未満のIC50を有する化合物を、Cと命名する。NDは、データなしを意味する。
【0160】
【表3】

【0161】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物1ないし77
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


から選択される化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの混合物。
【請求項2】
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、セリンプロテアーゼを阻害するのに有効な量の、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはそれらの混合物;および受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含む、組成物。
【請求項3】
前記組成物が、患者への投与のために処方される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物であって、該組成物が、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの第2のインヒビター;HCV生活環における別の標的のインヒビター;およびシトクロムP−450インヒビター;またはこれらの組み合わせから選択されるさらなる薬剤を含む、組成物。
【請求項5】
前記免疫調節剤が、α−インターフェロン、β−インターフェロン、もしくはγ−インターフェロン、またはサイモシンであり;前記抗ウイルス剤が、リバビリン、アマンタジン、またはテルビブジンであるか;あるいは前記HCV生活環における別の標的のインヒビターが、HCVヘリカーゼのインヒビター、ポリメラーゼのインヒビター、またはメタロプロテアーゼのインヒビターである、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記シトクロムP−450インヒビターが、リトナビルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
セリンプロテアーゼの活性を阻害する方法であって、該方法は、該セリンプロテアーゼと請求項1に記載の化合物とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項8】
前記セリンプロテアーゼが、HCV NS3プロテアーゼである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者におけるHCV感染を処置するための医薬の製造における、請求項3に記載の組成物の使用。
【請求項10】
請求項3に記載の組成物を、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの第2のインヒビター;HCV生活環における別の標的のインヒビター;またはこれらの組み合わせから選択されるさらなる薬剤と組み合わせて使用し、ここで該さらなる薬剤は、請求項3に記載の組成物の一部として、または別々の投与形態として、前記患者に投与されるものである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記免疫調節剤が、α−インターフェロン、β−インターフェロン、もしくはγ−インターフェロン、またはサイモシンであり;前記抗ウイルス剤が、リバビリン、またはアマンタジンであるか;あるいは前記HCV生活環における別の標的のインヒビターが、HCVヘリカーゼのインヒビター、ポリメラーゼのインヒビター、またはメタロプロテアーゼのインヒビターである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
生物学的サンプル、または医薬、または実験室装置のHCV夾雑を排除もしくは減少する方法であって、該方法は、該生物学的サンプル、または該医薬、または該実験室装置と、請求項2に記載の組成物とを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項13】
前記生物学的サンプルまたは前記装置が、血液、他の体液、生物学的組織、外科的器具、外科的衣服、実験室装置、実験的衣服、血液もしくは他の体液収集装置;血液もしくは他の体液保存材料から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記体液が、血液である、請求項13に記載の方法。

【公開番号】特開2011−68655(P2011−68655A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243570(P2010−243570)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2006−509873(P2006−509873)の分割
【原出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】