説明

セリ科植物由来抽出物およびその製造方法

本発明は、セリ科植物、もしくはその処理物を、含水アルコールで抽出して得られる抽出物、当該抽出物の製造方法、前記抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患及び/又は糖尿病の合併症の治療剤又は予防剤、前記抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様作用剤、前記抽出物を含有することを特徴とする食品、飲料又は飼料、前記抽出物を有効成分として含有することを特徴とする細胞へのグルコース取り込み促進剤、前記抽出物を有効成分として含有することを特徴とする脂肪細胞への分化誘導剤、並びに前記抽出物を有効成分として含有することを特徴とするアルドースレダクターゼ阻害剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、生理活性成分を多く含有するセリ科植物由来の抽出物、その製造方法、および当該抽出物を含有する医薬、食品、飲料又は飼料に関する。
【背景技術】
アシタバはセリ科の大型多年性草本であり、さまざまな健康促進効果が知られている。例えば、アシタバの有する生理活性としては、抗菌作用、抗腫瘍作用、胃酸分泌抑制作用、抗癌効果、神経成長因子産生増強効果、肝細胞増殖因子産生増強作用が知られている(例えば、国際公開第01/76614号パンフレット参照)。しかし、抗糖尿病作用や抗肥満作用等のインスリン様作用についてはこれまで知られていなかった。
インスリンは、哺乳動物の正常な炭水化物、タンパク質、及び脂肪代謝に必要なホルモンである。I型糖尿病のヒトは、生命を支えるホルモンであるインスリンが十分産生されないので、生存のために外部からのインスリン投与を必要とする。II型糖尿病のヒトは、インスリン産生量の不足、インスリン抵抗性などの要因による不適切な血液グルコース量の適切な量への制御のために、インスリンの投与やインスリン分泌促進薬の投与が必要となる。しかし、II型糖尿病のヒトの中でも、高インスリン血症やインスリン受容体異常、インスリン受容体の下流シグナルの異常などにより起こるインスリン抵抗性が要因の糖尿病患者については、インスリンやインスリン分泌促進薬を投与しても治療効果は見られないことがある。
近年、インスリンの副作用や上記の問題を解決するため、インスリンと同様の生理機能を有する物質(以下、インスリン様物質と称することもある)の開発が行われてきており、合成のベンゾキノン誘導体がインスリン様物質であること(例えば、国際公開第99/51225号パンフレット)、またシコン(紫根)由来のシコニンがインスリン様物質であること(例えば、Kamei R.他7名,Biochem.Biophys.Res.Commun.,2002年,Vol.292,P642−651)が判明している。これらのようなインスリン様物質は、I型糖尿病患者だけでなく、II型糖尿病患者、さらにはインスリン抵抗性が要因のII型糖尿病患者についても、インスリンと同様の生理活性を示すことにより症状を改善することが期待されている。
【発明の開示】
本発明の目的は、天然物由来で安全で、簡便に摂取可能な、生理活性成分を多く含有するセリ科植物由来の抽出物、その製造方法、および当該抽出物を含有する医薬、食品、飲料又は飼料を提供することにある。
以下、本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、セリ科植物、もしくはその処理物を、含水アルコールで抽出して得られる抽出物に関する。
本発明の第2の発明は、セリ科植物、もしくはその処理物を含水アルコールで抽出する工程を有する、セリ科植物、もしくはその処理物由来の抽出物の製造方法に関する。
本発明の第1及び第2の発明において、セリ科植物としては、好適にはアシタバが例示される。また、含水アルコールとしては、濃度40(v/v)%以上100(v/v)%未満のエタノール水溶液が例示される。
本発明の第3の発明は、本発明の第1の発明の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患及び/又は糖尿病の合併症の治療剤又は予防剤に関する。
本発明の第4の発明は、本発明の第1の発明の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様作用剤に関する。
本発明の第5の発明は、本発明の第1の発明の抽出物を含有することを特徴とする食品、飲料又は飼料に関する。本発明の第5の発明において、食品、飲料又は飼料は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症の治療用又は予防用の食品、飲料又は飼料が例示される。
本発明の第6の発明は、本発明の第1の発明の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする細胞へのグルコース取り込み促進剤に関する。
本発明の第7の発明は、本発明の第1の発明の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする脂肪細胞への分化誘導剤に関する。
本発明の第8の発明は、本発明の第1の発明の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするアルドースレダクターゼ阻害剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において、セリ科植物とは、被子植物類セリ科に属する植物であって、例えばアシタバ、セリ、ミツバ、シシウド、ニンジン、セロリ、パセリ等が例示される。本発明においては、アシタバが特に好適に使用できる。また、本発明に使用されるセリ科植物は、特に限定はないが、果実、種子、種皮、花、葉、茎、根、根茎及び/又は植物全体そのままを使用することができる。
本発明の抽出物の原料としては前記セリ科植物の他、その処理物を使用する。ここで処理物としては、特に限定はないが、例えばセリ科植物の粉砕物、細断物、乾燥物、搾汁液等が使用できる。また、セリ科植物を公知の方法で茶葉状にし、これに本発明の抽出方法を施して得られた抽出物も、本発明の抽出物として使用することができる。また、原料となるセリ科植物としては、複数のセリ科植物若しくはそれらの処理物の混合物であってもよい。なお、本発明においては、由来する植物が異なる抽出物、由来する植物の部位が異なる抽出物、由来する部位は同じであるが、組成の異なる含水アルコールで抽出して得られた抽出物、又はそれらの組み合わせにより得られた抽出物をそれぞれ単独で若しくは2種以上を混合して本発明の抽出物として使用することができる。また、本発明の抽出物が含まれておれば、本発明の抽出物の製造方法とは異なる抽出法で得られた抽出物を含むものも本発明の抽出物として使用することができる。
セリ科植物の粉砕物は、例えば、植物を乾燥させ、粉砕機を使用して粉砕することにより、また、凍結粉砕することにより、得ることができる。細断物は、セリ科植物を適宜細かく切断することにより、乾燥物は、例えば、凍結乾燥することにより、それぞれ得ることができる。搾汁液は、公知の植物の搾汁方法、例えば、スクリュー式、ギア式、カッター式等の搾り機やジューサーを用いてセリ科植物を搾汁することにより得ることができる。
本発明において、含水アルコールとは、特に限定はないが、例えばエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール等のアルコール類と水との混合物(アルコール水溶液)のことをいい、特に好適には含水エタノールが例示される。本発明に用いる含水アルコールとしては、得られる抽出物中に生理活性物質がより多く含有され得ることから、特に限定はないが、例えばアルコール含量がその濃度で、好適には40(v/v)%以上100(v/v)%未満、より好適には45〜80(v/v)%、特に好適には50〜70(v/v)%の含水アルコールが使用される。通常、含水アルコールとしては、濃度40(v/v)%以上100(v/v)%未満のエタノール水溶液を用いるのが適当である。また、これらの含水アルコールは、所望により単独で、もしくは適宜各種アルコールを混合した含水アルコールとして用いることができる。
本発明において、抽出物とは抽出溶媒を用いて抽出操作を行う工程を経て得られる物質のことをいう。抽出は、公知の抽出方法により以下のようにして行うことができる。例えば、抽出は、原料であるセリ科植物の特定の部位をそのまま、又は該植物を粉砕もしくは細断した後、溶媒を用いてバッチ式もしくは連続式で行うことができる。抽出溶媒の量は適宜決定すればよいが、通常、原料植物に対し、使用時の原料植物の形態そのまま(例えば、原料植物が生の植物であれば生の植物)の重量の、好ましくは0.1〜100倍量の抽出溶媒を使用すれば良い。抽出温度も適宜、目的に応じて決定すれば良いが、好適には0〜80℃、より好適には0〜60℃、さらに好適には0〜50℃、特に好適には0〜40℃の範囲である。抽出時間も、抽出効率を考慮し決定すればよいが、通常、好ましくは数秒〜数日間、より好ましくは5分〜24時間の範囲となるように、原料、抽出溶媒、抽出温度を設定するのが好適である。抽出操作は、たとえば、攪拌しながら又は静置して行えばよく、また、必要に応じて数回繰り返してもよい。以上の操作により、セリ科植物由来の抽出物(以下、本発明の抽出物と称することがある。)が得られる。抽出物にさらに必要に応じ、ろ過、遠心分離、濃縮、限外ろ過、分子ふるい等の処理を施し、濃縮してもよい。
このようにして得られた本発明の抽出物は、例えば原料にセリ科植物の一種であるアシタバを使用した場合、生理活性を有するカルコン類化合物である4−ハイドロキシデリシンやキサントアンゲロールを高濃度に含有し、さらに本発明者らにより見出された2種のカルコン類化合物(以下、TB1、TB2と称する)についても高濃度に含有する新規な抽出物である。なお、これまでにTB1もしくはTB2を高濃度に含有することを指標としてセリ科植物から抽出物を得たという報告はなく、本発明者らによりはじめて実施されたものである。TB1およびTB2の化学構造をそれぞれ下記式(化1)および下記式(化2)に示す。


本発明の抽出物に含まれる以上の4種のカルコン類化合物(4−ハイドロキシデリシン、キサントアンゲロール、TB1、TB2)は後述の参考例1及び2に記載のとおり、天然由来のインスリン様活性成分である。さらに、TB1およびTB2については、アルドースレダクターゼ阻害作用も有しており、糖尿病の合併症に対してその効果が期待されることが、本発明者らにより見出されている(国際公開第2004/031165号パンフレット)。
さらにアシタバから得られる本発明の抽出物中には、カルコン類化合物であるキサントアンゲロールH、イソババカルコン、ババクロマノールや、フラバノン類化合物であるムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFが含有されており、これらの化合物は後述の実施例11、参考例1及び2にも示すとおり、アルドースレダクターゼ阻害作用やインスリン様作用を有している。
すなわち、本発明により得られる抽出物は、健常人への糖尿病の予防効果、糖尿病予備軍と呼ばれる初期の糖尿病の人々に対する改善効果、および糖尿病患者でその合併症の症状が見られる人々に対する糖尿病とその合併症の改善効果を有する、総合的な糖尿病改善又は予防用の医薬品、機能性食品素材として極めて有用である。なお、本発明の抽出物の有するインスリン様作用は、細胞へのグルコース取り込み促進作用、脂肪細胞への分化誘導作用を指標にして、後述の実施例5〜7において示されている。また、本発明の抽出物のアルドースレダクターゼ阻害作用は後述の実施例8、9において示されている。
また、上記のTB1、TB2はアルドースレダクターゼ阻害作用以外にも、神経細胞保護作用、NO産生抑制作用、インターロイキン産生抑制作用、骨形成促進作用等を有していることから(例えば、国際公開第2004/031165号パンフレット参照)、本発明の抽出物はこれらの生理活性を利用した天然由来の医薬品、健康食品素材としても有用である。
なお、本発明においてインスリン様作用とは、インスリンの有する生理活性のうち、少なくとも1つを示すものであれば特に限定はなく、例えば、細胞における糖、アミノ酸の取り込み促進、グリコーゲン、タンパク質合成及び分解抑制などの代謝調節作用のうち少なくとも1つが例示される。また、インスリン様作用の有無については、後述の実施例5又は6に記載の方法により簡便に測定することができる。本発明の有効成分はインスリン様作用を有することから、治療上または予防上、インスリンの使用が有効であるあらゆる疾患に対し治療効果または予防効果を発揮し得る。
また、本発明のセリ科植物由来の抽出物を公知の方法で分画することによって得られる画分や、分画操作を複数回繰り返すことにより得られる画分も本発明の抽出物に包含される。上記の分画手段としては、抽出、分別沈殿、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等が挙げられる。
本発明において、本発明の抽出物の形状は、特に限定はないが、粉状、固形状、液状のいずれの形状であってもよい。粉状とする場合、特に限定はないが、原料より含水アルコールを溶媒として抽出された本発明の抽出物を濃縮し、さらに賦形剤等を添加し、乾燥、粉砕することにより、粉状の本発明の抽出物を得ることができる。また、当該抽出物を公知の方法で造粒して得た粒状の固形物を、本発明の抽出物として使用することもできる。造粒方法としては、特に限定はないが、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、気流造粒、押出し造粒、圧縮成型造粒、解砕造粒、噴射造粒又は噴霧造粒等が例示される。また、液状の抽出物としては、含水エタノール抽出物そのもの、その濃縮物や希釈物の他、前記の粉状の抽出物を液体、例えば水やアルコール等に溶解して液状としたものが例示される。
また、本発明は、本発明の抽出物を高濃度又は高純度に含有する食品、飲料又は飼料を提供するが、これらは従来の食品、飲料又は飼料と比べて、本発明の食品、飲料又は飼料中に前記のカルコン類化合物やフラバノン類化合物が高濃度及び/又は高純度に含有されていることを意味する。
なお、本発明において、本発明の抽出物を本発明の有効成分と称し、本発明の有効成分を含有するインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症の治療剤又は予防剤を、本発明の治療剤又は予防剤と称することがある。また、該治療剤、予防剤の他、インスリン様作用剤を含めて本発明の医薬という場合がある。
本発明に係る有効成分には、後述するように特に毒性は認められない。また、副作用の発生の心配もない。それゆえ、安全かつ適切に疾患の治療又は予防を行うことができる。従って、当該有効成分を含んでなる本発明の治療剤、予防剤、食品、飲料または飼料は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症の治療または予防に有効である。
本発明において、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患としては、血中のインスリンレベルの変化、インスリンもしくはインスリン受容体の活性のレベルの変化、インスリン受容体の下流シグナルの異常、及びそれらの組み合わせから選択される因子によって特徴づけられる疾患が挙げられ、例えば、糖尿病、肥満症、高血圧、動脈硬化、コカイン禁断症状、鬱血性心不全、健忘症、心臓血管痙攣、大脳血管痙攣、クロム親和性細胞腫、神経節神経芽腫、ハンチントン病、高脂血症が例示される。糖尿病としては、I型糖尿病、II型糖尿病のいずれもが例示される。また、II型糖尿病としては、インスリンやインスリン分泌促進薬を投与しても治療効果の見られないようなインスリン抵抗性が要因の疾患についても包含される。
インスリン量又はインスリン応答の変調を伴う疾患は、その発症段階において、インスリン産生量が不足していたり、あるいはインスリン抵抗性が原因となってインスリンによる作用が不十分となることが多い。本発明の有効成分はインスリン様作用を示すことにより、インスリン量又はインスリン応答の変調を伴う疾患の発症を抑制することができることから、当該疾患の予防効果をも期待でき、ひいては糖尿病の合併症の予防効果をも期待できる。
インスリン抵抗性の状態においてはインスリンによるインスリンレセプターからの信号が阻害されており、インスリンの持つ多彩な機能が発揮されず、種々の代謝異常が生じる。本発明に使用される有効成分は、インスリン抵抗性の症状に対してもインスリン様の効果を発揮することができる。すなわち、本発明の予防剤または治療剤を用いることで、インスリン抵抗性が要因の疾患、例えばインスリンやインスリン分泌促進薬を投与しても治療効果の見られないようなII型糖尿病に対しても治療もしくは予防効果を発揮することができる。また、本発明の有効成分は、血中インスリン量の低下効果をも発揮し得る。すなわち、本発明の医薬を、治療又は予防にインスリン量の低下を要する疾患の治療又は予防剤として使用することもできる。当該疾患としては、特に限定はないが、高インスリン血症やアルツハイマー病等が例示される。また、インスリン受容体を介する刺激と延命効果については密接な関係があるという報告もあることから(Science,vol.299,P572〜574(2003年);Nature,vol.424,P277〜284(2003年))、本発明の医薬を老化防止剤として使用することもできる。
インスリンは前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化誘導を促進することが知られており、また成熟した脂肪細胞ではグルコースを取り込み、細胞内にトリグリセリドが蓄積されることが知られている(J.Biol.Chem.,Vol.253,No.20,P7570〜7578(1978年))。すなわち、この知見を利用して、インスリンの代わりに被験物質を投与し、脂肪細胞への分化や細胞中のトリグリセリド量を測定することで、被験物質のインスリン様作用を測定することができる。
また、インスリンは細胞へのグルコース取り込み促進作用が知られており、成熟した脂肪細胞ではインスリンの作用により細胞内へのグルコースの取り込みが促進されることが知られている(J.Biol.Chem.,Vol.253,No.20,P7579−7583(1978年))。すなわち、この知見を利用して、インスリンの代わりに被験物質を投与し、成熟脂肪細胞内へのグルコースの取り込み量を測定することで、被験物質のインスリン様作用を測定することができる。
本発明において、糖尿病の合併症としては、例えば、糖尿病性網膜症、糖尿病性末梢神経症、白内障、難聴、知覚異常、筋力の委縮等の糖尿病精神症、腎不全等の糖尿病性腎症、動脈硬化や脳梗塞等の糖尿病性血管疾患、白血球の食菌作用の低下に起因する感染病、糖尿病性昏睡等が例示される。
本発明の治療剤または予防剤としては、本発明に係る前記有効成分を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化したものが挙げられる。また、本発明の治療剤または予防剤としては、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えば、公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤、アルドースレダクターゼ阻害剤などと配合することもできる。
本発明の治療剤または予防剤の製造は、通常、前記有効成分を薬学的に許容できる液状または固体状の担体と配合することにより行われ、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品や、その他、外用剤とすることもできる。
医薬用担体は、治療剤または予防剤の投与形態および剤型に応じて選択することができる。固体組成物からなる経口剤とする場合は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等とすることができ、たとえば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩などが利用される。また経口剤の調製に当っては、更に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを配合することもできる。たとえば、錠剤または丸剤とする場合は、所望によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。液体組成物からなる経口剤とする場合は、薬理学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などとすることができ、たとえば、精製水、エタノールなどが担体として利用される。また、さらに所望により湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、防腐剤などを添加してもよい。
一方、非経口剤とする場合は、常法に従い本発明の前記有効成分を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどに溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えることにより調製することができる。また、固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
外用剤としては、経皮投与用または経粘膜(口腔内、鼻腔内)投与用の、固体、半固体状または液状の製剤が含まれる。また、座剤なども含まれる。たとえば、乳剤、ローション剤などの乳濁剤、外用チンキ剤、経粘膜投与用液剤などの液状製剤、油性軟膏、親水性軟膏などの軟膏剤、フィルム剤、テープ剤、パップ剤などの経皮投与用または経粘膜投与用の貼付剤などとすることができる。
以上の各種製剤は、それぞれ公知の医薬用担体などを利用して、適宜、常法により製造することができる。また、かかる製剤における有効成分の含有量は、その投与形態、投与方法などを考慮し、好ましくは後述の投与量範囲で当該有効成分を投与できるような量であれば特に限定されるものではない。本発明の治療剤又は予防剤中の有効成分の含有量としては通常0.1〜100重量%程度である。
本発明の治療剤又は予防剤は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、たとえば静脈内、筋肉内、皮下、皮内などに投与し得、外用剤では、たとえば、座剤をその適する投与方法により投与すればよい。
本発明の治療剤または予防剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的および当該治療剤または予防剤の投与対象である患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。一般には、製剤中に含有される前記有効成分の投与量が、乾燥重量で、成人1日当り好ましくは0.001mg〜10g/kg体重、より好ましくは0.1mg〜1g/kg体重となる量である。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で、または数回に分けて行ってもよい。投与期間も任意である。また、本発明の治療剤または予防剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
また、本発明は前記有効成分を含むインスリン様作用剤を提供することもできる。当該インスリン様作用剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該インスリン様作用剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、たとえば、公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。当該インスリン様作用剤における前記有効成分の含有量は、当該インスリン様作用剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。典型的なインスリン様作用剤中の有効成分の含有量としては、0.1〜100重量%程度である。また、当該インスリン様作用剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。インスリン様作用剤は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患において有用である。また、当該インスリン様作用剤はインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該インスリン様作用剤は、インスリンによる細胞への作用メカニズム研究や、その細胞の物理的変化に関する機能研究にも有用である。また、当該インスリン様作用剤は、血清やインスリン製剤のかわりに、もしくはそれらと共に細胞・組織・臓器培養用の培地に添加して使用することもできる。当該培地は血清やインスリン製剤を低減もしくは含まない細胞・組織・臓器培養用の培地として使用するのに非常に有用である。
また、本発明のインスリン様作用剤をヒトに投与することにより、血中インスリン量の低下を期待することができる。すなわち、本発明のインスリン様作用剤を、治療又は予防にインスリン量の低下を要する疾患の治療又は予防剤として使用することもできる。当該疾患としては、特に限定はないが、高インスリン血症やアルツハイマー病等が例示される。また、インスリン受容体を介する刺激と延命効果については密接な関係があるという報告もあることから(Science,vol.299,P572〜574(2003年);Nature,vol.424,P277〜284(2003年))、本発明のインスリン様作用剤を老化防止剤として使用することもできる。
本発明に係る有効成分には、後述するように特に毒性は認められない。また、副作用の発生の心配もない。それゆえ、安全かつ適切にインスリン様作用、及び/又はアルドースレダクターゼ阻害作用を生体内で発させることができる。従って、当該有効成分を含んでなる本発明の医薬、食品、飲料または飼料は、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症の治療または予防に有効である。
また、本発明は、本発明の抽出物を含有してなる食品、飲料又は飼料を提供する。本発明の食品、飲料または飼料は、そのインスリン様作用、アルドースレダクターゼ阻害作用により、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、糖尿病の合併症の症状改善や予防に対して極めて有用である。さらに、本発明の食品又は飲料は、血糖値を低下させる作用を有する、血糖値低下用の食品又は飲料であり、血糖値が気になる方や体脂肪が気になる方に対して有効な機能性食品又は飲料として有用である。
本発明の食品、飲料または飼料は、抗糖尿病作用を有することが知られている他の物質、たとえば、公知のインスリン様作用物質、インスリン分泌促進作用を有する物質、インスリン抵抗性改善作用を有する物質、食後過血糖改善作用を有する物質、アルドースレダクターゼ阻害物質などと配合することもできる。たとえば、難消化性デキストリン等と配合することもできる。
なお、本発明の食品、飲料または飼料において「含有」とは、含有、添加及び/又は希釈を意味する。ここで、「含有」とは食品、飲料または飼料中に本発明の抽出物が含まれるという態様を、「添加」とは食品、飲料または飼料の原料に、本発明の抽出物を添加するという態様を、「希釈」とは本発明の抽出物に、食品、飲料または飼料の原料を添加するという態様をいうものである。
本発明の食品、飲料または飼料の製造法に特に限定はない。たとえば、配合、調理、加工などは一般の食品、飲料または飼料のものに従えばよく、それらの製造法により製造することができ、得られた食品、飲料または飼料に本発明の抽出物が含有されていれば良い。
本発明の食品または飲料としては特に限定はないが、たとえば、本発明の抽出物が含有されてなる、穀物加工品(小麦粉加工品、デンプン類加工品、プレミックス加工品、麺類、マカロニ類、パン類、あん類、そば類、麩、ビーフン、はるさめ、包装餅など)、油脂加工品(可塑性油脂、てんぷら油、サラダ油、マヨネーズ類、ドレッシングなど)、大豆加工品(豆腐類、味噌、納豆など)、食肉加工品(ハム、ベーコン、プレスハム、ソーセージなど)、水産製品(冷凍すりみ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、すじ、魚肉ハム、ソーセージ、かつお節、魚卵加工品、水産缶詰、つくだ煮など)、乳製品(原料乳、クリーム、ヨーグルト、バター、チーズ、練乳、粉乳、アイスクリームなど)、野菜・果実加工品(ペースト類、ジャム類、漬け物類、果実飲料、野菜飲料、ミックス飲料など)、菓子類(チョコレート、ビスケット類、菓子パン類、ケーキ、餅菓子、米菓類など)、アルコール飲料(日本酒、中国酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウオッカ、ブランデー、ジン、ラム酒、ビール、清涼アルコール飲料、果実酒、リキュールなど)、嗜好飲料(青汁、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、乳酸飲料など)、調味料(しょうゆ、ソース、酢、みりんなど)、缶詰・瓶詰め・袋詰め食品(牛飯、釜飯、赤飯、カレー、その他の各種調理済み食品)、半乾燥または濃縮食品(レバーペースト、その他のスプレッド、そば・うどんの汁、濃縮スープ類)、乾燥食品(即席麺類、即席カレー、インスタントコーヒー、粉末ジュース、粉末スープ、即席味噌汁、調理済み食品、調理済み飲料、調理済みスープなど)、冷凍食品(すき焼き、茶碗蒸し、うなぎかば焼き、ハンバーグステーキ、シュウマイ、餃子、各種スティック、フルーツカクテルなど)、固形食品、液体食品(スープなど)、香辛料類などの農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品などが挙げられる。
本発明の食品は、本発明の抽出物が単独もしくは複数含有、添加および/または希釈されており、特にその形状に限定はなく、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の形状の経口的に摂取可能な形状物も包含する。
タブレット状食品の製造方法としては、公知の方法により製造することができ、特に限定はないが、例えばアシタバ乾燥粉末を60(v/v)%エタノール水溶液で抽出し、次いで濃縮した抽出物に、賦形剤、例えば、デキストリン、難消化性デキストリン、コーンスターチ、タピオカデンプン、サイクロデキストリン等を添加して凍結乾燥、粉砕することにより、アシタバ抽出物の乾燥粉末を得た後、さらに乳糖、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、還元麦芽糖、リン酸カルシウム、卵殻カルシウム、微粒二酸化ケイ素、CMC−Ca、トレハロース、ビタミンC等の各種ビタミン類、クエン酸、ブドウ糖、砂糖、糖アルコール、ステビア等の甘味料、香料、粉末果汁、海藻由来粉末(例えば、フコイダン含有粉末、アガロオリゴ糖粉末等)、きのこ粉末、乾燥野菜粉末(例えばアシタバ等のセリ科植物粉末)等を適宜混合し、必要に応じて造粒工程を施し、ロータリー式打錠機により打錠して製造することができる。
また、顆粒状食品の製造方法としては、公知の方法により製造することができ、特に限定はないが、例えば上記のタブレット状食品の製造工程においてロータリー式打錠機に施す前に得られる各種混合した粉末に、エタノールを添加して練合し、押出し造粒機により造粒し、これを乾燥させて振動篩で整粒して顆粒状食品を製造することができる。
また、カプセル状食品の製造方法としては、公知の方法により製造することができ、特に限定はないが、例えば上記のタブレット状食品の製造工程においてロータリー式打錠機に施す前に得られる各種混合した粉末を、1号カプセルに充填して製造することができる。また、充填前の粉末にグリセリン脂肪酸エステル、ミツロウ等を添加して乳化させ、ゼラチンとグリセリンを被包材としてソフトカプセルを製造することもできる。
なお、本発明の抽出物はセリ科植物独特の苦味や渋味が低減されており、食品原料としても優れている。すなわち、本発明の食品又は飲料は、嗜好的にも優れた食品又は飲料である。
また、本発明の飲料としては、公知の方法により製造することができ、特に限定はないが、例えばアシタバ乾燥粉末を60(v/v)%エタノール水溶液で抽出し、濃縮した抽出物に、賦形剤、例えば、デキストリン、難消化性デキストリン、コーンスターチ、タピオカデンプン、サイクロデキストリン等を添加して凍結乾燥し、粉砕することにより、アシタバ抽出物の乾燥粉末を得た後、これに適宜香料、甘味料、果汁、粉末果汁、野菜エキス、野菜ペースト、海藻由来粉末や海藻抽出物(例えば、フコイダン含有物、アガロオリゴ糖含有物等)、きのこ粉末、セリ科植物の乾燥粉末等を添加し、水やアルコールに溶解することにより本発明の飲料を製造することができる。また、アシタバ抽出物の乾燥粉末を水に溶解した後、公知の清涼飲料の製造方法に準じて本発明の飲料を製造することもできる。また、アシタバ抽出物の乾燥粉末の代わりにアシタバ抽出物の濃縮物を使用することもできる。さらに、アシタバの含水アルコール抽出物を用いて、本発明の飲料としてアルコール飲料を製造することもできる。
本発明の食品又は飲料中の前記有効成分の含有量は特に限定されず、その官能と活性発現の観点から適宜選択できるが、例えば、前記有効成分の乾燥重量で、食品中、好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.0001〜90重量%、更に好適には0.0006〜80重量%であり、例えば、飲料中、好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.0001〜90重量%、更に好適には0.0006〜80重量%である。また本発明の食品又は飲料は、それらに含有される有効成分が、例えば成人1日当たり、好ましくは0.001mg〜10g/kg体重、より好ましくは0.1mg〜1g/kg体重となるように摂取すればよい。
また、本発明は、本発明の抽出物を含有、添加および/または希釈してなる、生物用の飼料を提供するものであり、さらに、別の一態様として、本発明の抽出物を生物に投与することを特徴とする生物の飼育方法をも提供する。また、本発明の別の一態様として、本発明の抽出物を含有することを特徴とする生物飼育用剤が提供される。
これらの発明において、生物とはたとえば養殖動物、ペット動物などであり、養殖動物としては家畜、実験動物、家禽、魚類、甲殻類または貝類が例示される。飼料としては体調の維持および/または改善用飼料が例示される。生物飼育用剤としては浸漬用剤、飼料添加剤、飲料用添加剤が例示される。
これらの発明によれば、それらを適用する前記例示するような生物において、本発明に使用される本発明の抽出物のインスリン様作用、アルドースレダクターゼ阻害作用に基づき、本発明の前記治療剤または予防剤によるのと同様の効果の発現が期待できる。すなわち、本発明の飼料等は、当該生物におけるインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患や糖尿病の合併症の治療または予防効果を発揮し得る。
本発明に使用される本発明の抽出物は通常、対象生物の体重1kg、1日当たり好ましくは0.01〜2000mg投与される。投与は、たとえば、当該有効成分を、対象生物に供する人工配合飼料の原料中に添加混合しておくか、人工配合飼料の粉末原料と混合した後、その他の原料にさらに添加混合することで行うことができる。また、本発明の抽出物の飼料中の含有量は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定すれば良いが、例えば前記有効成分の乾燥重量で0.001〜15重量%の割合が好適である。生物飼育用剤における本発明の有効成分の含有量も同程度とすればよい。
本発明の飼料の製造法に特に限定はなく、また配合も一般の飼料に準ずるものであればよく、製造された飼料中に本発明の抽出物が含まれていればよい。生物飼育用剤も同様にして調製することができる。
本発明が適用できる生物としては限定はないが、養殖動物としては、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物、ニワトリ、アヒル、七面鳥、駝鳥などの家禽、ペット動物としてはイヌ、ネコなどが挙げられ、広く適用できる。
本発明においては、例えば、本発明の抽出物を含んでなる飼料を摂取させること、または本発明の抽出物の含有液(例えば、前記浸漬用剤を水に溶解させたもの)に対象生物を浸漬することにより、家畜、実験動物、家禽、ペット動物などの体調を良好に維持し、または、改善させることができる。なお、これらの態様は本発明における生物の飼育方法の一態様である。
また、本発明は前記有効成分を含む細胞へのグルコース取り込み促進剤を提供することもできる。当該グルコース取り込み促進剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該グルコース取り込み促進剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、たとえば、公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。当該グルコース取り込み促進剤における前記有効成分の含有量は、当該グルコース取り込み促進剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。典型的なグルコース取り込み促進剤中の有効成分の含有量としては、乾燥重量で0.1〜100重量%程度である。また、該グルコース取り込み促進剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。当該グルコース取り込み促進剤は、治療又は予防に細胞へのグルコース取り込み促進作用を要する疾患の治療又は予防に有用である。当該疾患としては、例えば上記のインスリン様作用を要する疾患のほか、心臓疾患、特に心筋梗塞、虚血後の心臓損傷等が例示される。また、当該グルコース取り込み促進剤は、細胞によるグルコースの取り込みを促進することから、筋肉細胞においては当該作用が機能することにより、筋肉増強作用、疲労回復作用を誘発することができる。また、当該グルコース取り込み促進剤は、これらの疾患に対する治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造に使用することもできる。これらの食品、飲料又は飼料については、本発明の前述の食品、飲料又は飼料に準じて使用することができる。また、当該グルコース取り込み促進剤は上記の治療又は予防に細胞へのグルコース取り込み促進作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該グルコース取り込み促進剤は、細胞によるグルコース取り込み作用のメカニズム研究やその細胞の物理的変化等の機能研究にも有用である。
また、本発明は前記有効成分を含む脂肪細胞への分化誘導剤を提供することもできる。当該分化誘導剤が脂肪細胞に分化誘導できる前駆細胞としては、脂肪細胞に分化しうる細胞であれば特に限定はないが、例えば前駆脂肪細胞の他、繊維芽細胞や間葉系幹細胞等が挙げられる。当該分化誘導剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該分化誘導剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、たとえば、公知のインスリン製剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後過血糖改善剤、インスリン様作用剤などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。当該分化誘導剤における前記有効成分の含有量は、当該分化誘導剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。典型的な脂肪細胞への分化誘導剤中の有効成分の含有量としては、乾燥重量で0.1〜100重量%程度である。また、当該分化誘導剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。当該分化誘導剤は、治療又は予防に脂肪細胞への分化誘導作用を要する疾患の治療又は予防に有用である。当該疾患としては、例えば上記のインスリン様作用を要する疾患のほか、痛風、脂肪肝、胆石症、月経異常、不妊症等が例示される。また、当該分化誘導剤は、これらの疾患に対する治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造に使用することもできる。これらの食品、飲料又は飼料については、本発明の前述の食品、飲料又は飼料に準じて使用することができる。また、当該分化誘導剤は上記の治療又は予防に脂肪細胞への分化誘導剤を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該分化誘導剤は、脂肪細胞への分化誘導作用のメカニズム研究やその物理的変化等の機能研究にも有用である。
また、本発明は前記有効成分を含むアルドースレダクターゼ阻害剤を提供することもできる。当該阻害剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。当該阻害剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えばエパルレスタットなどと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。当該阻害剤における前記有効成分の含有量は、当該阻害剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。典型的なアルドースレダクターゼ阻害剤中の有効成分の含有量としては、乾燥重量で0.1〜100重量%程度である。また、当該阻害剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得る量であれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量の範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。当該阻害剤は、治療又は予防にアルドースレダクターゼ阻害作用を要する疾患の治療又は予防に有用である。当該疾患としては、例えば前述の糖尿病の合併症が例示される。また、当該阻害剤は、これらの疾患に対する治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造に使用することもできる。これらの食品、飲料又は飼料については、前述の本発明の食品、飲料又は飼料に準じて使用することができる。また、当該阻害剤は上記の糖尿病の合併症に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらに当該阻害剤は、ポリオール代謝や糖尿病の合併症のメカニズム研究やその物理的変化等の機能研究にも有用である。
また、本発明の抽出物は化粧料素材としても使用することができる。該抽出物は、化粧料として使用可能な任意の物質と混合して使用可能である。一般的には、水、アルコール類、油脂類、脂肪酸類、グリセロール、無機塩類、防腐剤、界面活性剤、ビタミン類、アミノ酸類、糖類等と混合し、ローション、乳液、クリーム等として使用できる。化粧料中の本発明の抽出物の含有量としては、乾燥重量で0.1〜80重量%程度が好適である。
また、本発明の別の態様として、キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ババクロマノール、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン及びプロストラトールFからなる群より選択される少なくとも1つ以上を有効成分として含有することを特徴とするアルドースレダクターゼ阻害剤が提供される。これらの有効成分の製造方法としては公知の方法により得ることができる。また、当該アルドースレダクターゼ阻害剤の製造方法としては、前述の本発明の治療剤又は予防剤の製造に従って製造することができる。
本発明で使用される前記有効成分は、その作用発現にとっての有効量の投与を生体に行っても毒性は認められない。たとえば経口投与の場合、アシタバの60(v/v)%エタノール水溶液抽出物の乾燥物をそれぞれ1g/kg体重でマウスに単回投与しても死亡例は認められない。また、前記有効成分は、ラットへの経口投与において1g/kg体重を経口単回投与しても死亡例は認められない。
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は特に記載がなければすべて容量(v/v)%を意味する。
【実施例1】
アシタバ葉茎部の凍結乾燥物を粉砕したもの2gに、40mLの抽出溶媒(40、50、60、70、80%エタノール水溶液ならびに100%エタノール)を加え、25℃で30分間抽出を行った。遠心後の上清についてHPLCを用いてカルコン類の定量を行った。カラムはTSK gel ODS−80Ts QA(4.6mm×25cm:東ソー社製)を用いた。溶媒A(蒸留水とアセトニトリルを容量比4対1で混合したもの、0.1%トリフルオロ酢酸を含む)と溶媒B(蒸留水とアセトニトリルを容量比1対9で混合したもの、0.1%トリフルオロ酢酸を含む)の溶出比は0〜45分までは溶媒B比を直線的に0〜100%に、つづく10分間は溶媒B比を100%に保持した。溶出速度は1mL/分、検出は215nm、カラム温度は30℃で行った。
表1にその結果を示す。表1に示すように、アシタバ葉茎部からのTB1とTB2の抽出には100%エタノールよりも含水エタノール抽出の方が、効率が良いことが明らかとなった。また、アシタバ葉茎部からのキサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシンの抽出には60%、70%、80%エタノール水溶液の方が100%エタノールよりも効率が良いことが明らかとなった。

【実施例2】
アシタバ根部の凍結乾燥物を粉砕したものについて実施例1と同様の抽出を行い、抽出液中のカルコン類の定量を行った。表2にその結果を示す。表2に示すように、アシタバ根部からのTB1とTB2の抽出には100%エタノールよりも含水エタノール抽出の方が、効率が良いことが明らかとなった。また、アシタバ根部からのキサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシンの抽出には60%、70%、80%エタノール水溶液の方が100%エタノールよりも効率が良いことが明らかとなった。

実施例3 アシタバ葉茎部抽出物の調製
アシタバ葉茎部の凍結乾燥物を粉砕したもの2gに、40mLの抽出溶媒(40、50、60、70、80%エタノール水溶液ならびに100%エタノール)を加え、室温で30分間抽出を行った。遠心後の上清30mLを濃縮乾固し0.75mLのジメチルスルホキシドに溶解した。
実施例4 アシタバ根部抽出物の調製
アシタバ根部の凍結乾燥物を粉砕したもの2gに、40mLの抽出溶媒(40、50、60、70、80%エタノール水溶液ならびに100%エタノール)を加え、室温で30分間抽出を行った。遠心後の上清30mLを濃縮乾固し0.75mLのジメチルスルホキシドに溶解した。
実施例5 アシタバ葉茎部抽出物の脂肪細胞への分化誘導活性
(1)脂肪細胞への分化誘導
脂肪細胞への分化誘導はRubin C.S.らの方法(J.Biol.Chem.,Vol.253,No.20,p7570〜7578(1978年))を一部改良して行った。200μMアスコルビン酸を含む10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有ダルベッコ改良イーグル培地(シグマ社製,D6046)(以下A−D−MEM培地)に前駆脂肪細胞株3T3−L1(ATCC CCL−92.1)を4×10個/mLになるように懸濁し、12穴マイクロタイタープレートのウェルに2mLずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で7日間培養した。なお、2,4日目に同培地により培地交換を行った。7日目に、0.25μMデキサメタゾンを含むA−D−MEM培地に交換後、各ウエルそれぞれ実施例3で調製したアシタバ葉茎部40%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.1%、0.033%となるように、50%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.1%、0.033%、0.011%となるように、また60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.2%、0.067%、0.022%となるように添加した。なお陽性対照として4μLの5mg/mLインスリン(タカラバイオ社製)水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。45時間後にA−D−MEM培地に交換し、各ウエルそれぞれアシタバ葉茎部40%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.1%、0.033%となるように、50%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.1%、0.033%、0.011%となるように、また60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.2%、0.067%、0.022%となるように添加し、陽性対照として2μLの5mg/mLインスリン水溶液、陰性対照としてジメチルスルホキシドを添加し,さらに7日間培養した。なお、2、4日目に培地を交換し、その際各ウェルに、アシタバ葉茎部40%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.1%、0.033%となるように、50%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.1%、0.033%、0.011%となるように、また60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物ジメチルスルホキシド溶液を終濃度0.2%、0.067%、0.022%となるように添加した。陽性対照として2μLの5mg/mLインスリン水溶液、陰性対照としてジメチルスルホキシドを添加した。
(2)トリグリセリド生合成量の測定
成熟脂肪細胞への分化誘導の指標として、またインスリン様作用の評価として細胞中のトリグリセリドの量を測定した。培養終了後、培地を除き、リン酸緩衝塩溶液で2回細胞を洗浄し、1mLのヘキサン:イソプロパノール=3:2の溶媒を添加して30分間室温に置いた後上清を回収した。この操作を再度繰り返し、得られた2mLの上清を濃縮乾固した。沈殿を100μLのイソプロパノールに溶解後、溶液10μL中に含まれるトリグリセリドの量をトリグリセライドE−テスト(和光純薬社製、code 432−40201)を用い測定した。また、測定は全て2連で行った。
この結果、ジメチルスルホキシド添加区分と比較してアシタバ葉茎部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物添加区分において、インスリンを添加した区分と同様にトリグリセリド生合成の誘導が確認できた。すなわち、アシタバ葉茎部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物に脂肪細胞への分化誘導活性が認められた。
実施例6 アシタバ根部抽出物によるグルコース取り込み促進作用
(1)成熟脂肪細胞の調製
成熟脂肪細胞への分化誘導は前述のRubin C.S.らの方法を一部改良し、行った。200μMアスコルビン酸を含む10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地に3T3−L1細胞を4×10個/mLになるように懸濁し、12穴マイクロタイタープレートのウエルに2mLずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で7日間培養した。7日目に、200μMアスコルビン酸、0.25μMデキサメタゾン及び10μg/mLインスリン、0.5mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(ナカライテスク社製、19624−44)を含む10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地2mLに交換した。45時間後に200μMアスコルビン酸及び5μg/mLインスリンを含む10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地2mLに交換し、さらに2日後、4日後に同培地を交換し7日間培養することで成熟脂肪細胞を調製した。
(2)成熟脂肪細胞へのグルコース取り込み促進作用の測定
グルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として成熟脂肪細胞においてサンプル(実施例4で調製したアシタバ根部抽出物)刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
培養終了後、培地を除き、0.1(w/v)%牛血清アルブミン(シグマ社製、A8022)含有ダルベッコ改良イーグル培地で2回細胞を洗浄した後、各ウエルそれぞれ終濃度0.1%、0.067%、0.022%の実施例4で調製したアシタバ根部40%、50%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.2%、0.067%、0.022%のアシタバ根部60%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.067%、0.022%のアシタバ根部70%、80%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液あるいはアシタバ根部100%エタノール抽出物ジメチルスルホキシド溶液を含む同培地1mLを添加し、5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を設定した。一晩培養後、ヘペス緩衝塩溶液(140mM NaCl、5mM KCl、2.5mM MgSO、1mM CaCl、20mM HEPES−Na (pH 7.4))で2回細胞を洗浄し、各ウエルそれぞれ終濃度0.1%、0.067%、0.022%のアシタバ根部40%、50%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.2%、0.067%、0.022%のアシタバ根部60%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.067%、0.022%のアシタバ根部70%、80%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液あるいはアシタバ根部100%エタノール抽出物ジメチルスルホキシド溶液を含む同緩衝液0.9mLを添加し、37℃で75分培養した。この際陽性対照として、45分経過した時点でサンプルを添加していないウエルで終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。その後、0.5μCi/mL 2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコース(パーキンエルマーライフサイエンス社製、NET549A)、1mM 2−デオキシグルコース(ナカライテスク社製、10722−11)含有ヘペス塩緩衝液100μLを添加しさらに37℃で10分培養した。培養終了後、上清を除去し、4℃に冷却したリン酸塩緩衝液で3回細胞を洗浄後、1%ノニデットP−40含有リン酸塩緩衝液0.5mLを添加し細胞を溶解することで、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを溶出した。上清25μLを用いてウルチマゴールド(パーキンエルマーライフサイエンス社製、6013329)をシンチレーションカクテルとして液体シンチレーションカウンターLS6500(ベックマン社製)により放射活性を測定した。
この結果、アシタバ根部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物を添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、アシタバ根部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物にグルコース取り込み促進活性が認められた。
実施例7 アシタバ根部抽出物の脂肪細胞への分化誘導
実施例4によって調製したアシタバ根部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物の成熟脂肪細胞への分化誘導作用(インスリン様作用)を実施例5の方法に準じて測定した。
すなわち、サンプルとして、各ウエルそれぞれ終濃度0.1%、0.033%のアシタバ根部40%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.033%、0.011%のアシタバ根部50%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.022%のアシタバ根部70%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液、終濃度0.067%、0.022%のアシタバ根部60%、80%エタノール水溶液抽出物ジメチルスルホキシド溶液あるいは100%エタノール抽出物ジメチルスルホキシド溶液を添加した区分を設定した。なお陽性対照として4μLの5mg/mLインスリン(タカラバイオ社製)水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。この後実施例5記載の方法と同様に、培地およびサンプルの交換を行い、サンプル添加7日後に細胞中のトリグリセリドの量を測定した。
この結果、アシタバ根部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物添加区分においてトリグリセリド生合成の誘導が認められた。すなわち、アシタバ根部40%、50%、60%、70%、80%エタノール水溶液抽出物あるいは100%エタノール抽出物に成熟脂肪細胞への分化誘導作用が認められた。
調製例1 アシタバ葉茎部、根部水抽出物の調製
アシタバ葉茎部、および根部の凍結乾燥物を粉砕したもの2gに、40mLの水を加え、室温で30分間抽出を行った。遠心後の上清30mLを濃縮乾固し0.75mLの水に溶解し、アシタバ葉茎部、根部水抽出物とした。
実施例8 アシタバ根部抽出物のアルドースレダクターゼ阻害作用
アシタバ根部抽出物のアルドースレダクターゼ阻害作用を以下の方法により測定した。サンプルとして実施例4で調製したアシタバ根部各種エタノール抽出物、および調製例1で調製したアシタバ根部水抽出物(50%ジメチルスルホキシド水溶液に溶解したもの)10μL、0.2Mリン酸緩衝液(pH6.2)100μL、1mM NADPH(リン酸緩衝液)20μL、人筋肉細胞由来アルドースレダクターゼ溶液(0.1U/mL、和光純薬工業社製、リン酸緩衝液)10μLに100mMメチルグリオキサール溶液20μLを加え、30秒経過の後より180秒間、NADPHの340nmにおける吸光度の変化を測定した。陰性対照としてサンプルの代わりに50%ジメチルスルホキシド水溶液を使用した。また、各サンプルのブランクとしてメチルグリオキサール溶液の代わりに蒸留水を使用して吸光度を測定した。測定値は2回の実験値の平均値で示した。アルドースレダクターゼ阻害率(%)は以下の式により算出した。
阻害率(%)=[1−(△As−△Asb)/(△Ac−△Acb)]×100
ここで、△As及び△Acはそれぞれサンプル溶液、陰性対照溶液の1分間あたりの吸光度変化を示し、△Asb及び△Acbはそれぞれサンプル溶液、陰性対照溶液のブランク溶液の1分間あたりの吸光度変化を示す。
サンプルの添加量は最終濃度を表3に示す通りとした。表3に示すように、アシタバ根部含水エタノール抽出物は水抽出物やエタノール抽出物よりも高いアルドースレダクターゼ阻害作用を示すことが明らかとなった。

実施例9 アシタバ葉茎部抽出物のアルドースレダクターゼ阻害作用
実施例3で調製したアシタバ葉茎部抽出物のアルドースレダクターゼ阻害活性を実施例8と同様の方法により測定した。表4にその結果を示す。表4に示すように、アシタバ葉茎部60%エタノール水溶液抽出物は水抽出物やエタノール抽出物よりも高いアルドースレダクターゼ阻害活性を示すことが明らかとなった。

実施例10 キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ババクロマノール、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFの調製
実施例3で調製したアシタバ葉茎部40、50、60、70、および80%エタノール抽出物と実施例4で調製したアシタバ根部40、50、60、70、および80%エタノール抽出物について、実施例1に示す条件でHPLCによる分析を行った結果、これらの抽出物中にキサントアンゲロールH、イソババカルコン、ババクロマノール、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFが含まれていることを確認した。これらの化合物を各種クロマトグラフィーを用いて単離した。
実施例11 アシタバ根部抽出物に含まれる物質のアルドースレダクターゼ阻害活性
実施例10で調製したキサントアンゲロールH、イソババカルコン、ババクロマノール、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFのアルドースレダクターゼ阻害活性を実施例8と同様の方法で測定した。
表5にその結果を示す。表5に示すように、キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ババクロマノール、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFには濃度依存的にアルドースレダクターゼ阻害活性があることが明らかとなった。
実施例1および2において含水エタノール抽出物中にTB1、TB2が含有されていることを確認しているが、本発明者らは国際公開第2004/031165号パンフレットにおいてTB1およびTB2にアルドースレダクターゼ阻害作用があることを明らかにしている。すなわち、実施例1および2に示す含水エタノール抽出物中には、TB1、TB2以外にもアルドースレダクターゼ阻害作用を有する物質が多く含まれていることが明らかとなった。

参考例1 キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、TB1、TB2、キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFの脂肪細胞への分化誘導活性
キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、TB1、TB2、キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFの成熟脂肪細胞への分化誘導作用(インスリン様作用)を実施例5の方法に準じて測定した。
すなわち、サンプルとして、各ウエルにそれぞれキサントアンゲロール(終濃度1、3、10μM)、4−ハイドロキシデリシン(終濃度3、10μM)、TB1(終濃度3、10μM)、TB2(終濃度3、10μM)、イソババカルコン(終濃度3、10μM)、キサントアンゲロールH(終濃度1.3、4、13μM)、ムンドゥレアフラバノンA(終濃度3、10μM)、イソババチン(終濃度3、10、30μM)、プロストラトールF(終濃度3、10μM)のジメチルスルホキシド溶液を添加した区分を設定した。なお陽性対照として4μLの5mg/mLインスリン(タカラバイオ社製)水溶液添加の区分を、陰性対照としてジメチルスルホキシド添加の区分を設定した。この後実施例5記載の方法と同様に、培地およびサンプルの交換を行い、サンプル添加7日後に細胞中のトリグリセリドの量を測定した。
この結果、キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、TB1、TB2、キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールF添加区分において、それぞれトリグリセリド生合成の誘導が認められた。すなわち、キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、TB1、TB2、キサントアンゲロールH、イソババカルコン、ムンドゥレアフラバノンA、イソババチン、プロストラトールFに成熟脂肪細胞への分化誘導作用が認められた。
参考例2 キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、キサントアンゲロールH、イソババカルコンによるグルコース取り込み促進作用
キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、キサントアンゲロールH、イソババカルコンのグルコース取り込み促進作用の評価として、またインスリン様作用の評価として、実施例6記載の方法に準じて成熟脂肪細胞でのサンプル刺激時の細胞内への2−デオキシグルコース取り込み量を測定した。
すなわち、サンプルとして各ウエルそれぞれキサントアンゲロール(終濃度3、10μM)、4−ハイドロキシデリシン(終濃度3、10、30μM)、キサントアンゲロールH(終濃度30μM)、イソババカルコン(終濃度3、10、30μM)のジメチルスルホキシド溶液を用いた。なお、陰性対照としてサンプルを添加しない区分を、陽性対照として、終濃度1μg/mLとなるようにインスリンを添加した区分を設定した。この後同様に、細胞中に取り込まれた2−デオキシ−[1,2−H(N)]−グルコースを測定した。
この結果、キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、キサントアンゲロールH、イソババカルコンを添加した区分で陰性対照と比較してインスリンを添加した区分と同様に2−デオキシ[1,2−H(N)]−グルコース取り込みの促進が見られた。すなわち、キサントアンゲロール、4−ハイドロキシデリシン、キサントアンゲロールH、イソババカルコンにグルコース取り込み促進活性が認められた。
【実施例12】
アシタバ乾燥粉末40kgを400Lの55%エタノールに加え、25℃で1時間抽出した。その後、アシタバ粉末を濾過分離し、この抽出液を濃縮缶により減圧濃縮し、150Lのアシタバ抽出濃縮液を得た。この濃縮液に賦形剤としてデキストリンを10kg添加し、凍結乾燥、粉砕を行い、アシタバ抽出粉末22kgを得た。
【実施例13】
混合機に実施例12で得たアシタバ抽出粉末2.5kg、結晶セルロース10.0kg、ショ糖脂肪酸エステル0.6kgを順次投入後15分間攪拌した。この混合物をロータリー式打錠機により打錠形成し、錠剤13.1kgを得た。また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末の錠剤を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物を含有する錠剤の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例14】
混合機に実施例12で得たアシタバ抽出粉末5.0kg、結晶セルロース5.0kg、乳糖5.0kg、ショ糖脂肪酸エステル0.7kgを順次投入後15分間攪拌した。この混合物をロータリー式打錠機により打錠形成し、錠剤15.7kgを得た。また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末の錠剤を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物を含有する錠剤の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例15】
混合機に実施例12で得たアシタバ抽出粉末2.5kg、結晶セルロース10.0kg、ショ糖脂肪酸エステル0.6kgを順次投入後15分間攪拌した。さらに60%エタノール水溶液を添加して練合し、得られた混合物を押出し造粒機により造粒した。更にこれを棚式温風乾燥機で60℃、6時間乾燥し、振動篩で整粒し20〜100メッシュの顆粒品13.1kgを得た。また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末の顆粒品を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物を含有する顆粒品の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例16】
混合機に実施例12で得たアシタバ抽出粉末 2.0kg、乳糖 3.0kg、トレハロース 5.0kg、結晶セルロース 3.5kg、ショ糖脂肪酸エステル 0.8kg、ビタミンC 0.5kg、クエン酸 0.2kgを順次投入後15分間攪拌した。さらに60%エタノール水溶液を添加して練合し、押出し造粒機により造粒した。更に、これを棚式温風乾燥機で60℃、6時間乾燥し、振動篩で整粒し20〜100メッシュ品の顆粒品15kgを得た。また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末の顆粒品を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物を含有する顆粒品の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例17】
混合機に実施例12で得たアシタバ抽出粉末2.9kg、乳糖10.78kg、ショ糖脂肪酸エステル0.9kg、ビタミンC0.1kg、タルク0.07kg、香料0.25kgを順次投入後15分間攪拌し15kgの混合粉末を得た。その後この混合粉末を300mgずつ1号カプセルに充填し、アシタバ抽出粉末を配合したカプセルを得た。
【実施例18】
混合機にベースオイルとして大豆油10.0kgを入れ、それに実施例12で得たアシタバ抽出粉末2.0kg、ビタミンE1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル1.0kg、ミツロウ0.8kgを添加し乳化した。得られた乳化物をゼラチンとグリセリンを被包材としたソフトカプセルに充填した。
【実施例19】
アシタバ抽出物含有清涼飲料水を調製した。配合を表6に示す。

表6の材料を順次混合し、均一化させた後、プレートヒーターで95℃、15秒間加熱殺菌し、50mL容量のガラス瓶に充填した。その後、パストライザーにより更に75℃、15分間の殺菌を行った。
また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末含有清涼飲料水を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物含有清涼飲料水の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例20】
アシタバ抽出物含有清涼飲料水を調製した。配合を表7に示す。

表7の材料を順次混合し、均一化させた後、プレートヒーターで95℃、15秒間加熱殺菌し、50mL容量のガラス瓶に充填した。その後、パストライザーにより更に75℃、15分間の殺菌を行った。
また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末含有清涼飲料水を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物含有清涼飲料水の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例21】
アシタバ抽出物含有清涼飲料水を調製した。配合を表8に示す。

表8の材料を順次混合し、均一化させた後、プレートヒーターで98℃、15秒間加熱殺菌し、200mL容量の缶に190g充填した後、パストライザーにより更に85℃、5分間の殺菌を行った。
また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末含有清涼飲料水を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物含有清涼飲料水の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例22】
実施例12で得られたアシタバ抽出濃縮液を使用した清涼飲料水を調製した。配合を表9に示す。

表9の材料を順次混合し、均一化させた後、プレートヒーターで95℃、15秒間加熱殺菌し、50mL容量のガラス瓶に充填した。その後、パストライザーにより更に75℃、15分間の殺菌を行った。
また、対照として実施例12に記載のアシタバ乾燥粉末を使用する以外は同様の方法でアシタバ乾燥粉末含有清涼飲料水を製造した。パネルメンバー20名によりこれらの官能検査を行ったところ、アシタバ抽出物含有清涼飲料水の方が苦味も渋味も低減されており、嗜好的に優れているとの評価であった。
【実施例23】
上記実施例19〜22により製造した清涼飲料水を、ガラス瓶や缶のかわりに200mL容量の口栓付きパウチまたは100mL容量のレトルトパウチにも同様にして充填、殺菌しパウチ飲料とした。
【産業上の利用可能性】
本発明により、セリ科植物由来の含水アルコール抽出物およびその製造方法が提供される。当該抽出物中には、天然物由来の生理活性物質(例えば、前記インスリン様作用、アルドースレダクターゼ阻害作用を示す物質等)が多く存在しており、当該抽出物は、糖尿病または肥満症等のインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症に効果のある医薬、食品、飲料又は飼料の素材として有用である。また、該食品又は飲料は、日常の飲食品として摂取することにより、インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症の症状予防、改善等が可能となる。従って、本発明の抽出物を含有する機能性飲食品はそのインスリン様作用及び/又はアルドースレダクターゼ阻害作用により、生体の恒常性の維持に有用な機能性飲食品である。また、本発明により、本発明の抽出物を含有するインスリン様作用剤も提供され、該インスリン様作用剤はインスリンの機能研究、インスリンに関連する疾患用医薬のスクリーニングに有用である。また、本発明により、本発明の抽出物を含有する細胞へのグルコース取り込み促進剤も提供され、該グルコース取り込み促進剤は、治療又は予防に細胞へのグルコース取り込み促進作用を要する疾患の治療又は予防、当該疾患の治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造、該グルコース取り込み促進作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。また、本発明により、本発明の抽出物を含有する脂肪細胞への分化誘導剤も提供され、該分化誘導剤は、治療又は予防に脂肪細胞への分化誘導作用を要する疾患の治療又は予防、当該疾患の治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造、該分化誘導作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。また、本発明により、本発明の抽出物を含有するアルドースレダクターゼ阻害剤も提供され、該阻害剤は、治療又は予防にアルドースレダクターゼ阻害作用を要する疾患の治療又は予防、当該疾患の治療又は予防用の食品、飲料又は飼料の製造、該阻害作用を要する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリ科植物、もしくはその処理物を、含水アルコールで抽出して得られる抽出物。
【請求項2】
セリ科植物がアシタバである請求項1記載の抽出物。
【請求項3】
含水アルコールが、濃度40(v/v)%以上100(v/v)%未満のエタノール水溶液である請求項1又は2記載の抽出物。
【請求項4】
セリ科植物、もしくはその処理物を含水アルコールで抽出する工程を有する、セリ科植物、もしくはその処理物由来の抽出物の製造方法。
【請求項5】
セリ科植物がアシタバである請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
含水アルコールが、濃度40(v/v)%以上100(v/v)%未満のエタノール水溶液である請求項4又は5記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3いずれか1項に記載の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患及び/又は糖尿病の合併症の治療剤又は予防剤。
【請求項8】
請求項1〜3いずれか1項に記載の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様作用剤。
【請求項9】
請求項1〜3いずれか1項に記載の抽出物を含有することを特徴とする食品、飲料又は飼料。
【請求項10】
インスリン量またはインスリン応答の変調を伴う疾患、及び/又は糖尿病の合併症の治療用又は予防用である請求項9記載の食品、飲料又は飼料。
【請求項11】
請求項1〜3いずれか1項に記載の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする細胞へのグルコース取り込み促進剤。
【請求項12】
請求項1〜3いずれか1項に記載の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする脂肪細胞への分化誘導剤。
【請求項13】
請求項1〜3いずれか1項に記載の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするアルドースレダクターゼ阻害剤。

【国際公開番号】WO2004/112817
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507286(P2005−507286)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008913
【国際出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】