説明

セルフレベリング材用分散剤

【課題】
高流動性に伴うブリージング水の発生を抑制し、従来の分散剤よりも低添加量で分散性能を発揮する分散剤を提供する。
【解決手段】
ポリオキシアルキレン基を有するアルケニルエーテル誘導体であることを特徴とする単量体(A)、及び(メタ)アクリル酸等の特定の単量体(B)由来の構成単位を含む(メタ)アクリル酸系重合体をセルフレベリング材用分散剤として用いる。好ましくは、これらの単量体と共重合可能な単量体(C)とを共重合して得られる該分散剤である。また該分散剤は、セメント、石膏等の水硬性組成物(セルフレベリング材)、必要に応じ更に骨材とプレミックスして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント、石膏等の水硬性化合物を用いたセルフレベリング材用の添加剤(分散剤)に関する。
【背景技術】
【0002】
セルフレベリング材用分散剤として従来からナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボン酸共重合体などが、用いられている。特にポリカルボン酸共重合体は他の分散剤に比べて、流動性が高いあるいは可使時間が長いという利点を有する。例えば、特開2003−2716にはポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸共重合体を分散剤としたものが開示されている。また、セルフレベリング性セメント水硬性組成物としては特公平1−1425などが開示されている。
しかしながら、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸の共重合体を分散剤とした場合、多くのブリージング水を発生させ作業効率を低下させる、十分な流動性を得る為に多くの添加量を必要とするといった問題も見られる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−2716号公報
【特許文献2】特公平1−1425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、セメント、石膏等を用いたセルフレベリング材について、ブリージング水を低減し、より少ない添加量で水硬性組成物を製造することが出来る分散剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一般式(A)で表される単量体と一般式(B)で表される単量体由来の構成単位を含むセルフレベリング材用分散剤に関する。また、本発明における分散剤とは水硬性組成物(セルフレベリング材)中のセメント、石膏等の水硬性粉体を水に分散させる添加剤をいう。なお、上記単量体を重合することで得られる本発明の共重合体は、本発明で開示の製法に限定されず、本発明の共重合体は、上記単量体由来の構成単位を含むものであればよい。上記単量体由来の構成単位とは、重合反応によって、各単量体の重合性2重結合が開いた構造(2重結合(C=C)が、単結合(−C−C−)となった構造)に相当する。
好ましくは、下記の一般式(A)で表される単量体と一般式(B)で表される単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な単量体(C)とを共重合して得られる(メタ)アクリル酸系重合体(共重合体)を含有する、セルフレベリング材用分散剤に関する。
一般式
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、
〜R;水素原子又は炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基、
p:0〜5の数、
AO:同一、又は異なっていてもよく炭素数2〜18のオキシアルキレン基、
q:0〜300の数
((AO)p中のAOが異なったオキシアルキレン基である場合、その配列はブロック、ランダムのどちらでも良いものとする。)
X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。)
一般式
【0008】
【化2】

【0009】
(式中
〜R:水素又はメチル基又は(CHm1COOMであり、(CHm1COOMはCOOM又は他の(CHm1COOMと無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM、Mは存在しない。
、M:水素、一価アルカリ金属、二価アルカリ土類金属、アンモニウム基もしくはトリエタノールアミンより誘導される基
m1:0〜2の数字を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の分散剤は、低添加量で高い流動性能をセルフレベリング材に付与し、ブリージング水の発生を抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体(共重合体(ア))の製造に用いられる単量体(A)は、R〜Rが水素原子又は炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基であり、pは0〜5の数、Xは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基である。また、(AO)qで示されるポリオキシアルキレン基において、その配列はブロック、ランダムを問わず、AOは同一、又は異なっていてもよく炭素数2〜18のオキシアルキレン基であり、qが0〜300の数である。
上記単量体(A)の具体例としては、公知の方法で合成できるポリエチレングリコール-3-メチル−3−ブテニルエーテル、ポリエチレングリコール−3−ブテニルエーテル、ポリエチレングリコール-2-メチル−2−プロペニルエーテル、ポリエチレングリコール−3−プロペニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリプロピレングリコール-3-メチル−3−ブテニルエーテル、ポリプロピレングリコール−3−ブテニルエーテル、ポリプロピレングリコール-2-メチル−2−プロペニルエーテル、ポリプロピレングリコール−3−プロペニルエーテル、ポリプロピレングリコールビニルエーテル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることが出来る。
共重合体(ア)を使用した場合に、硬化時間が遅れないようにする為には、単量体(A)において、アルキレンオキサイドの付加モル数qが5≦qであることが、好ましく、10≦qであることが更に好ましく、20≦qであることが更に好ましい。
上記一般式(B)で表される単量体(B)のR、Rは水素、またはメチル基、M、Mは一価アルカリ金属、二価アルカリ土類金属、アンモニウム基もしくはトリエタノールアミンより誘導される基である。上記単量体(B)のM、Mにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子などの一価金属原子;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属原子などの二価金属原子などが挙げられる。
【0012】
また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基などのアルカノールアミン基;トリエチルアミンなどのアルキルアミン;更にアンモニウム基などが挙げられる。
上記単量体(B)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類およびこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩類が挙げられる。
【0013】
上記単量体(A)及び(B)と共重合可能な単量体(C)は、所望する共重合体の種類によって適宜選択することが出来る。
【0014】
具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルなどの直鎖状または分枝状の不飽和ジカルボン酸エステル;マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、およびその直鎖状または分枝状の不飽和ジカルボン酸エステル;スチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐メチルスチレンなどのビニル芳香族類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどのジエン類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどの不飽和シアン類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジンなどの不飽和アミン類;ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレートなどのシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテルなどのアリル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)などのシロキサン誘導体なども挙げられる。さらには、N−ビニルコハクイミド、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニル化合物なども挙げられる。単量体(C)にメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の加水分解性単量体を用いることが好ましい形態の一つである。
目的とするセルフレベリング材用分散剤に含まれる共重合の組成としては
単量体(A)を10〜99重量%、(B)を90〜1重量%の比率で含まれる。単量体(A)と(B)の合計量は50〜100重量%であることが好ましく、80〜100重量%であることが好ましい。
好ましくは単量体(A)及び単量体(B)の単量体と共重合可能な単量体(C)をさらに構成単位として含む(但し、(C)は0〜50重量%であり(A)、(B)および(C)の合計は100重量%)である。
下記に具体的な形態を示す。
単量体(A)10〜99重量%、(B)を90〜1重量%および(C)を0〜50重量%(但し、(A)、(B)および(C)の合計は100重量%である。)が好ましく、更に好ましくは単量体(A)を60〜95重量%、および該(メタ)アクリル酸系単量体(B)を5〜40重量%および(C)を0〜20重量%(但し、(A)、(B)および(C)の合計は100重量%である。)である。
上記、単量体(A)、(B)を必須とする重合反応は、特に限定されるものではなく、溶液重合や塊状重合などの公知の方法を採用することができる。特に反応の制御や、重合物の取り扱い易さの点を考慮すると、溶液重合が好ましい。
【0015】
溶液重合を行う場合、溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノールなどの低級アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチルなどのエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン化合物;等の1種または2種以上を用いることができる。中でも水、メチルアルコール、エチルアルコール、2プロパノールなどが特に好ましい。
【0016】
重合反応に利用される開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドなどのパーオキシドが使用できるが、反応温度を抑えた重合反応を行う場合には、開始剤効率が高い、過酸化水素、上記パーオキシドを使用したレドックス系が好ましい。
【0017】
レドックス系において開始剤と併用される還元剤としてはモール塩に代表される鉄(II)、スズ(II)、チタン(III)、クロム(II)、V(II)、Cu(II)等の低原子価状態にある金属の塩類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン,ヒドラジンなどのアミン化合物もしくはその塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ二亜硫酸ナトリウム、亜ニ酸チオン酸ナトリウムなどの低級酸化物もしくはその塩;ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物などの−SH基、−SOH基、−NHNH基、−COCH(OH)−基等の基を有する有機系化合物もしくはその塩;D−フルクトース、D−グルコース等の転化糖;チオウレア、二酸化チオウレアなどのチオウレア化合物;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸エステルがある。
【0018】
得られる重合体の分子量調整には、チオール系連鎖移動剤が併用でき、所望する分子量を、移動剤添加量で適宜、作り分けることができる。
【0019】
この際に用いられるチオール系連鎖移動剤は
一般式(D)
HS−R−E (D)
で表される。
式中Rは炭素原子数1〜2のアルキル基を表し、Eは−OH、−COOM、COORまたは−SO基を表し、Mは水素、一価金属、二価金属、アンモニウム基、または有機アミン基を表し、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、lは1〜2の整数を表す。
具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。共重合の反応温度は、0〜120℃が好ましい。
上記の製造法により得られるポリカルボン酸系重合体は、酸型のままでも利用できるが、単量体(C)にメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の加水分解性単量体を用いた場合には、酸性条件下におけるエステルの加水分解を抑制する観点から、アルカリ中和によって塩の形にすることが望ましい。このアルカリとしては、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アミン、モノ、ジ、トリアルカノール(炭素数2〜8)アミンなどを挙げることが出来る。単量体(C)に加水分解性単量体を用いる場合には、一部又は完全中和することが好ましい。
共重合体(ア)の重量平均分子量は、セメント分散剤としての性能を考慮した場合、GPCによる、ポリエチレングリコール換算の値で、重量平均分子量(Mw)で、5,000〜300,000が好ましく、より好ましくは5,000〜200,000、特に好ましくは7、000〜150,000である。
GPC測定条件
使用カラム:東ソー社製TSKguardcolumn SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウムでpH6.0に調整したものを用いる。
打ち込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、
7100、1470
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.3.21
以上の方法で製造された共重合体混合物(ア)は、公知の方法で粉末化して粉末状分散剤とすることが出来る。具体的には、噴霧乾燥法、薄膜乾燥法などが挙げられる。また、共重合体混合物(ア)の一価金属塩では粉末性状が十分でないときには、二価金属塩とすることで粉末性を向上させることも可能である。
本発明の分散剤の添加量は、各用途により異なるが、通常、セメント、石膏等の水硬性化合物に対して固形分で0.01〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.02〜3重量%である。
更に本発明の分散剤(ア)は、公知の添加剤(材)、例えば、AE剤、AE減水剤、高性能減水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、増粘剤、防水剤、防泡剤などの各種添加剤(材)を含有しても良く、分散剤(ア)が50重量%以上含まれていることが好ましく、更には70%〜100重量%含まれていることが好ましい。
なお、本発明においてセルフレベリング材とは、セメント等の水硬性粉体、水を必須成分とし、公知の骨材、上記に記した添加剤(材)を含む水硬性組成物のうち、建築物の床下地や基礎天端部分を水平に調整する為に用いられる水硬性組成物をいう。
本発明のセルフレベリング材に用いるセメントとしては、ポルトランドセメントとして普通セメント、早共セメント、超早強セメント、中庸熱セメント、耐硫酸塩セメント等、また混合セメントとして高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等が使用できる。
本発明のセルフレベリング材には、凝結硬化後のセメントの硬化乾燥に際して発生する収縮によるひび割れを防止する為の膨張材を利用することができる。かかる膨張材としては、石灰を主成分とするもの、カルシウムスルホアルミネートを主成分とするもの等が挙げられる。具体的に市販品としては、石灰を主成分とする太平洋エクスパン(太平洋マテリアル株式会社製)などがあり、カルシウムスルホアルミネートを主成分とする電化CSA(電気化学工業社製)等がある。
【0020】
本発明のセルフレベリング材には、スランプ特性の(充填性)の調性、材料分離抵抗性の向上、ブリージングの防止、吹き付け工法における粉塵発生の抑制などを目的に増粘剤を使用することが出来る。増粘剤としては、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、多糖類等が用いられる。増粘剤はセメント100重量部に対して、7重量部以下の割合で配合する。好ましくは5重量部以下の割合で配合する.配合割合が多すぎると、流動性を得る為の水量、分散剤量が著しく増え、結果として強度の低下を招くなどの問題を生じる。
【0021】
本発明のセルフレベリング材に用いる消泡剤は、気泡よる床面の膨れ、凹みなどを防止するためのものである。かかる消泡剤としては、一般に使用されているシリコーン系または非イオン系界面活性剤等の消泡剤を使用できる。消泡剤はセメント100重量部に対して2重量部以下の割合で配合することが好ましく、配合割合が上記より多くとも消泡効果はそれ以上変わらない。
【0022】
本発明のセルフレベリング材に用いる骨材としては、川砂、海砂、陸砂、砕砂、珪砂などが使用できる。これらの砂は乾燥砂であることが望ましいが、湿潤していても支障はない。また、初期の物性に悪影響を及ぼさない限り、例えば増量剤として、炭酸カルシウム、石膏、シリカ質日粉末、フライアッシュなどを使用できる。
【0023】
本発明の分散剤が粉末状の場合、該粉末状分散剤は、セメント、石膏等の水硬性組成物、必要に応じ更に骨材とプレミックスして使用することができる。水硬性組成物としてはポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、天然石膏、副生石膏等が挙げられる。
【実施例】
【0024】
〈共重合体(ア)〉表1に示す単量体を用いて、表2に示す共重合体混合物を製造した。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
実施例1(セルフレベリング材試験)
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)420g、焼石膏20g、珪砂7号480gに、分散剤、消泡剤(MA404;NMB社製)の1%水溶液10g、増粘剤(SFCA2000、信越化学工業社製)0.15gに水を加え200gとしたものを用意し、JIS R5201に示される強さ試験用の混錬方法を採用し、セルフレベリング材を調整した。
流動性(フロー試験)
SUS製の平滑な板の上で、セルフレベリング材スラリーを、直径50mm、高さ50mmのSUSパイプに詰め、SASパイプを持ち上げ、円盤状に広がったセルフレベリング材の長径と短径を測定し、これらの平均値をフロー値とした。
ブリージング試験
セルフレベリング材スラリー800gを600mlのパックエースに詰め、3時間、5時間でスラリー上部に溜まった浮き水を採取し、その重量を測定した。(5時間の水量は、積算値である。)
その結果を表3に示す。
【0028】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式
【化1】

(式中、
〜R;水素原子又は炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数6〜9のアリール基、
p:0〜5の数、
AO:同一、又は異なっていてもよく炭素数2〜18のオキシアルキレン基、
q:0〜300の数、
((AO)q中のAOが異なったオキシアルキレン基である場合、その配列はブロック、ランダムのどちらでも良いものとする。)
X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。)
で示されるポリアルキレングリコールアルケニルエーテル単量体 (A)、
下記一般式
【化2】

(式中
〜R:水素又はメチル基又は(CHm1COOMであり、(CHm1COOMはCOOM又は他の(CHm1COOMと無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM、Mは存在しない。
、M:水素、一価アルカリ金属、二価アルカリ土類金属、アンモニウム基もしくはトリエタノールアミンより誘導される基
m1:0〜2の数字を表す。)
で示される(メタ)アクリル酸系単量体(B)由来の構成単位がそれぞれ(A)を10〜99重量%、(B)を90〜1重量%の比率で含まれる(メタ)アクリル酸系重合体であることを特徴とする、セルフレベリング材用分散剤。
【請求項2】
前記単量体(A)及び前記単量体(B)の単量体と共重合可能な単量体(C)をさらに構成単位として含む(但し、(C)は0〜50重量%であり(A)、(B)および(C)の合計は100重量%)ことを特徴とする請求項1に記載のセルフレベリング材用分散剤。
【請求項3】
前記単量体(C)は、加水分解性単量体であることを特徴とする請求項2に記載のセルフレベリング材用分散剤。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のセルフレベリング材用分散剤を含むセルフレベリング材。

【公開番号】特開2006−306663(P2006−306663A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131355(P2005−131355)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】