説明

セルライトを処理するための装置

【課題】セルライトの処理の効果を向上させること。
【解決手段】吸引によるマッサージングのための手段と、四角形の本体(3)であり、その本体の各頂点に少なくとも1つの複数の支持要素(31)を有する四角形の本体(3)とを備え、前記支持要素(31)が、処理すべき皮膚(5)と接触状態である丸い先端部(32)で終端する、セルライトを処理するための装置であって、複数のレーザエミッタ(1)が四角形の本体上に収容され、支持要素ごとに少なくとも1つの複数の電流エミッタ電極(2)が支持要素(31)上に収容され、前記電極(2)が、複数のレーザ(1)からの、及び電極(2)によって生成される電流からの放射(41)の組み合わせた作用が与えられる皮膚(5)上の部分(4)を画定することを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、セルライトを処理するための装置であり、この装置は、局部的に蓄積された脂肪を迅速で安全に除去し、その状態が長続きする非侵襲性技法で使用される。本発明は、この脂肪の除去に有利なレーザと電流の特定の組み合わせを使用する装置を含み、脂肪酸内に蓄積されたトリグリセリドと脂肪細胞内のグリセロールを分解し、脂肪細胞壁の浸透性を高め、それらを膜孔を通して放出して、それらが血液及びリンパ系を通る循環に入り、燃料に変わり、毎日の運動中に消失されるのを助けるプロセスを生成するものである。
【背景技術】
【0002】
セルライトは、脂肪、水、及びトキシンの脂肪小結節を形成する、身体の幾つかの部位内の脂肪組織の蓄積として一般に知られている。この実体の別名は、ジノイドリポジストロフィー(gynoid lipodystrophy)、オレンジピール症候群、又は「マットレス」現象である。女性の85%〜98%は思春期以降にセルライトの幾つかの徴候を示し、一部の民族では他の民族よりも一般的である。セルライトの発生にはホルモン要素があると考えられ、セルライトは男性にはめったに見られない。
【0003】
セルライトの幾つかの程度、柔らかいセルライト、硬いセルライトがあり、最も良く知られているのは硬化セルライト(オレンジピール症候群)である。セルライトの病像は、脂肪層(皮下組織)の循環の変化の結果である。脂肪層が成長し、側壁が膨張して、くぼみが形成される。そのため、殿筋及び大腿の強化にランニングなど身体運動が重要なのである。
【0004】
脂肪細胞は、遺伝的に配置されやすい領域に自然に配置される。脂質生成と呼ばれるこの機序の働きは、貯蔵脂肪を生物体のために蓄えることである。座りがちな生活は、この脂肪貯蔵の十分な使用、脂肪分解、脂肪の使用又は放出の機序を妨げ、その活動の実行を次第に停止させてしまう。
【0005】
最新技術には、一方では電流を使用し、他方ではソフトレーザでの処理を含むセルライトに対する周知の処理が含まれる。しかし、現時点まで使用されているもの(スポットビーム)のような長手方向ビームの形態のレーザエミッタの使用、回路の耐熱帯化(tropicalisation)、より具体的には、高周波電極を絶縁材料で覆い、ダイオードの後部を樹脂に浸し、放射ヘッドがアルミニウムの散逸器に差し込まれたままにし、その後部も樹脂に浸すことは、スプリアスジャンプ、又は干渉が全くない状態で組み合わせて使用することができるようにするが、それは、現時点まで2つの技法を不適合にするものであった。
【0006】
さらに、脂肪細胞膜上のレーザと電流の相乗作用は、細胞をより浸透性にし、交互の適用を用いた場合に得られるものよりもはるかに優れた効果をもたらすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決する技術的課題は、セルライトの処理の効果の向上に関する。この技術的課題は、本発明によって提供されるセルライトを処理するための装置によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
より具体的には、セルライトを処理するための装置は、四角形の本体であり、その本体の各頂点に少なくとも1つの複数の支持要素を有する四角形の本体に関し、前記要素が、処理すべき皮膚と接触状態である丸い先端部で終端し、複数のレーザエミッタがそのヘッドの本体に取り付けられ、支持要素ごとに少なくとも1つの、電流を出す複数の電極が支持要素内に収容され、前記電極が、複数のレーザの、及び電極によって生成される電流の組み合わせた作用を受ける皮膚上の領域を画定することを特徴とする。
【0009】
実際の実施形態では、ヘッドの本体の中心に中央ダイオードに対して十字の形に均等に配置された5つのレーザエミッタが存在する。さらに、レーザダイオードは、組織中に15mmを超えて侵入する深い赤色の可視光の形態の波長範囲640〜690nm、好ましくは640nmを有する。レーザエミッタは、非スポットビームの形態で放射する。
【0010】
実際の実施形態では、支持要素内部に収容され、丸い先端部を通して皮膚と接触状態の4つの電極が存在する。電極は絶縁され、好ましくは高電圧電流を出す。
【0011】
本発明の第2の態様では、セルライトの処理のための装置の使用を特許請求するものである。
【0012】
記載の出願の装置、及び方法によって、この脂肪の放出に有利な特定の組み合わせが得られ、脂肪細胞内に蓄積されたトリグリセリドが脂肪酸とグリセロールに分解されるプロセスが生成される。
【0013】
本発明の他の利点は、脂肪細胞壁の浸透性を高めて、前記トリグリセリドが膜中の孔を通って流れ、血液及びリンパ系内で循環し、燃料に変わることができるようにすることであり、したがって、身体運動によるトリグリセリドの除去に有利である。
【0014】
高密度レーザエミッタ(640〜690nm)と電流エミッタの組み合わせ、及びマッサージヘッドは、セルライトの処理に有効な組み合わせをもたらすものである。この革新的な組み合わせによって、脂肪細胞を空にし、蓄積した脂肪を除去し、組織を丈夫にすることができる。それによって、体積が減少する他に、処理される領域が形づくられる。
【0015】
記載、及び特許請求の範囲を通して、語「備える」、及びその変形は、他の技術的特性、付加物、構成要素、又はステップを除外しないものとする。当業者には、本発明の他の目的、利点、及び特性が、一部は記載から、一部は本発明の実施から考えられるであろう。以下の例、及び図面は、例として含まれるものであり、特許請求する本発明を限定するものとして解釈すべきではない。さらに、本発明は、本明細書に記載する特定、及び好ましい実施形態の全ての可能な組み合わせを包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の対象である、セルライトを処理するための装置を示す正面図、及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の対象である装置及び方法の一実施形態は、局部的脂肪の蓄積を迅速で安全に除去し、その状態が長続きする非侵襲性処置について説明するものである。本発明は、基本的に、低出力レーザ処理(LLLT)として知られた本発明の適用と、中波、高電圧、且つ低強度の電流を組み合わせたものである。
【0018】
レーザの適用により、脂肪細胞のミトコンドリアに影響を与える刺激によって、脂肪細胞内の脂肪(トリグリセリド)の分解が促進され、脂肪酸とグリセロールが生成され、それによって、細胞エネルギを獲得する際の塩基ヌクレオチドであるATP、すなわち、アデノシン3リン酸が生成される。アデノシン3リン酸は、5’炭素(carbon5)に結合した3つのリン酸基を有するペントース糖、リボースから1’炭素(carbon1)に付着した窒素塩基(アデニン)から成る。アデノシン3リン酸は、光合成及び細胞呼吸中に生成され、幾つかの化学プロセスの触媒で多くの酵素によって消費される。
【0019】
脂肪酸分子が得られた後、こうした脂肪酸分子が除去可能になるように可動化されるが、脂肪酸分子が細胞内部から出ることができるようにすることが必要である。これは、(絶縁材料で作製された電極を使用して)中間周波数、高電圧、且つ低強度の電流を加えて、こうした細胞膜中の孔を開放することによって行われ、この膜を通して脂肪酸分子が除去される。印加電流により、こうした細胞膜の浸透性が向上される。
【0020】
深い赤色の可視光の形態の放射範囲640〜690nm、好ましくは640nmのレーザダイオードを通した高密度レーザ放射は、組織中に、すなわち皮膚の表面下に15mmを超えて侵入するが、そこは脂肪(脂肪細胞)を蓄積する働きをする生物体中の細胞が見つけられるところである。
【0021】
電流のアプリケータとの組み合わせは、脂肪細胞膜受容体に安全で選択的に作用し、蓄積された脂肪の除去に有利な生化学的刺激を与える。
【0022】
図1で見ることができるように、本発明の実際の実施形態では、装置は、複数のレーザ光エミッタ(1)、及び複数の電流エミッタ(2)、好ましくは5つのレーザ光エミッタ(1)、及び4つの電流エミッタ(2)、並びに、図で示していないヘッド、又はマッサージング要素を備える。
【0023】
より具体的には、エミッタ、又はレーザダイオード(1)は、装置の本体(3)の中心に配置され、中央エミッタに対して十字の形に均等に配置され、エミッタ、又は電流電極(2)は前記装置の本体(3)の頂点に配置され、下部に走り、丸い先端部(32)を有するシリンダ(31)の内部に収容され、電極(2)の間に間隙(4)が画定され、電極(2)が、放射された電流とレーザが共に作用する領域の範囲を定めるように、レーザダイオード(1)の皮膚(5)上への放射(41)が間隙(4)に集束される。
【0024】
装置の本体(3)内に配置されたシリンダ、又は支持要素(31)は、絶縁材料で内張りされた金属で作製された電極(2)を備える。
【0025】
前記レーザエミッタ、及び電流エミッタを最長20分間にわたり適用してから、しわ寄せ揺さぶり(fold rolling)による吸引での排液を伴う皮下治療が行われて、生成された廃棄物が吸収され、マッサージヘッドを使用する深部の排液が実行される。さらに、皮膚の平滑化効果がもたらされ、それによって皮膚の外観が改善され、丈夫になる。
【0026】
他の最先端技法とは対照的に、本発明の対象である処置は、脂肪細胞壁、又は付近の組織に損傷を全く与えず、単に脂肪の蓄積の除去を誘発し、処理される組織を丈夫にし、血管新生の他に細胞代謝も向上させる。しかし、有効な処理を行うには、装置の適用を、タンパク質に富み、脂肪の少ない食事、並びに、運動で補助して、脂肪細胞から抽出される脂質を除去しなければならない。
【0027】
処置を受ける身体上の装置の各要素(レーザエミッタ、電流エミッタ、及びマッサージヘッド)の効果の説明を以下に記載する。
【0028】
レーザエミッタ
レーザ放射は高精度技法であり、その波長によって、人体に様々な働きをする。波長640nmは、赤色光の吸収能力を考慮すると、人体組織中に深く浸透するために、好ましく選択される。これは又、脂肪細胞内のミトコンドリアを刺激し、酵素リパーゼにより自然に脂肪分解を行うことができ、それによってトリグリセリド及び長鎖脂肪が、脂肪酸とグリセロールに変換される。こうした比較的軽い脂質は、後に排液ヘッドにより蓄積脂肪から除去され、毎日の身体運動の際のエネルギ源として使用される。この生物刺激は、無熱であり、熱が生成されず、タンパク質構造も変化させない。
【0029】
その利点の1つは、脂肪細胞壁を永久に変化させるわけではなく、脂肪細胞壁の浸透性を一次的に向上させることである。さらに、自然の酵素プロセス(リパーゼ)によって分解を活性化させ、細胞反応を向上させ、重い脂肪酸の鎖(トリグリセリド)を生物体によって自然に消費される比較的軽いもの(脂肪酸とグリセロール)に変える。
【0030】
極性生体電流(Polarbio-current)
これは、脂肪細胞(fatcell)、又は脂肪細胞(adipocyte)を電気的に刺激する技法である。生成される電界の作用下で、脂肪細胞が脂肪細胞の交換を再活性化させ、脂肪細胞の内容物を全て放出する。装置によって出される周波数(450〜950Hz)は、共振によって生体高分子と細胞受容体を活性化させることができる。その理由は、生体高分子と細胞受容体のコミュニケーション及び同期性が向上されるからである。
【0031】
こうした電流は、細胞内機序を活性化させ、正常な状態にする。その1つは、膜内のタンパク質鎖の結合を調整し、膜を脱分極させ、したがって膜の浸透性を増加させることから成り、それは、細胞内部代謝での燃焼から生成されるカタボライト、及び全ての他の残留物を圧出し、間質液からより大量の栄養素、及び酸素、並びにエネルギ代謝の活性化剤(皮質ホルモン、及びT3/T4)、及びエネルギ生産によって生じる細胞ペプチドを受けるのに有利である。この全てによって、細胞が平衡状態、すなわち、永久酸化し、DH酵素が減少される。これは、膜からのフラビン電子の一定の流れを示す。こうした変化はシステム周波数によって与えられる刺激に応答するものであり、こうした変化で酵素の合成が開始され、それによって細胞の食作用が開始される。
【0032】
この装置を脂肪異栄養症の治療に適用すると、一連の作用機序が誘発される。
a)水性脂質の(hydrolipidic)作用機序。自律神経系終末の刺激によって、脂肪細胞内部からサイクリックAMPを放出させ、トリグリセリドの変性を引き起こす。セルライト領域では、脂肪細胞が「静止」細胞として濃縮される。電流の印加により、細胞燃焼からの脂質分解産物、及び残留物の循環を促進することによって、こうした細胞を可動化させる。
b)抗炎症作用。代謝産物の再吸収によって水腫性反応の低下を招く。電流の影響により分極が変わり、それによって細胞膜の浸透性が変わり、Na+、及びK+イオンの分布、並びに細胞内の水含量が変わる。
c)血管拡張作用。電流が脈管の神経を刺激するため、この血管過多によって細胞代謝が変わり、細胞の交換が盛んになり、細胞の栄養を向上させることができるようになる。
【0033】
揺さぶりによるエンドマッサージ吸引(endomassage suction by rolling)
陥凹、及び波状起伏は、セルライトの通常の形状であり、脂肪細胞(adipocyte)、又は脂肪細胞(fat cell)の集合化によるものである。脂肪細胞は、大きさが増大し、線維構造とともに寄り集まって小結節になり、それが結合組織線維の間に「閉じ込められた」血液及びリンパの回路を圧迫する。
【0034】
本発明の対象である装置は、負圧によって皮下レベルのマッサージングに作用する吸引によるマッサージ手段を提供するものである。伝統的なマッサージでは、組織を身体の内部に向かって押し付けるが、本発明の装置に含まれるマッサージヘッドによって実行されるしわ寄せ揺さぶりによるエンドマッサージは、内部から外部にマッサージし、それによって流体が内部から外部に流れることができるようにし、その流体がリンパ系によって再吸収される。
【0035】
しわ寄せ揺さぶりの形の吸引によって引き起こされる前記線維の強力な伸長により、こうした線維が破壊され、脂肪組織の均質化が可能になる。この深部吸引によるマッサージは、自然の排泄回路に向けた手動の変位によって、血管新生、正しい排液を向上させ、脂肪分解からの廃棄物及び水貯留を再吸収することができるようにする。これは、セルライトの抵抗によって生じた浮腫を消失させるのに有利である。
【0036】
したがって、こうした蓄積によって生じた皮膚の陥凹が低減され、それによって突出が低減され、「オレンジピール皮膚」の外観が改善される。記載される生理学的効果は以下のとおりである。
a)作用を受ける様々な組織の酸素化に有利である。皮膚線条が関係する場合、組織の血管新生を向上させ、組織の外観に好ましい効果を有する。
b)皮膚を柔軟にし、丈夫にする。
c)セルライトが、乏しい血液循環による「冷たい領域」を生成することが知られていることを考えると、血管拡張により体温がより均一化される。
【符号の説明】
【0037】
1 レーザエミッタ
2 電流エミッタ電極
3 装置の本体
4 間隙
5 皮膚
31 支持要素
32 丸い先端部
41 放射

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引によるマッサージングのための手段と、
四角形の本体(3)であり、前記本体の各頂点に少なくとも1つの複数の支持要素(31)を有する四角形の本体(3)と
を備える、セルライトを処理するための装置であって、
前記支持要素(31)が、処理すべき皮膚(5)と接触状態である丸い先端部(32)で終端する、装置において、
複数のレーザエミッタ(1)が前記四角形の本体(3)上に収容され、前記支持要素ごとに少なくとも1つの複数の電流エミッタ電極(2)が前記支持要素(31)上に収容され、前記電極(2)が、前記複数のレーザ(1)からの放射(41)と、前記電極(2)によって生成される電流からの放射(41)との組み合わせた作用が与えられる前記皮膚(5)上の部分(4)を画定することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記四角形の本体(3)の中心に中央ダイオードに対して十字の形に均等に配置された5つのレーザエミッタ(1)が存在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持要素(31)内部に収容され前記丸い先端部(32)を通して前記皮膚(5)と接触状態の4つの電極(2)が存在する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記レーザエミッタ(1)が、波長640〜690nmのレーザダイオードである、前記請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記レーザダイオード(1)が、組織中に15mmより深く侵入する深い赤色の可視光の形態の波長640nmを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
セルライトの処理のための請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置の使用。

【図1】
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