説明

セルライト治療のための経口組成物

本発明は、遊離型またはリン脂質複合体型のヨーロッパブドウエキス、ツボクサトリテルペン、およびイチョウ葉フラボノイド二量体を含む、セルライト治療のための経口薬剤組成物および経口化粧品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルライト治療のための、植物由来成分を含む経口薬剤組成物および経口化粧品組成物に関する。より詳細には、本発明は、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)エキス、イチョウ葉(Ginkgo biloba)フラボノイド二量体、およびツボクサ(Centella asiatica)トリテルペンを有効成分に含む、セルライト治療のための薬剤および化粧品の経口組成物に関する。本発明によれば、前記有効成分は遊離型、またはリン脂質複合体型である。
【背景技術】
【0002】
セルライトは、西欧人人口の著しい割合、特に、肥満になっていない正常体重を有する多くの成人女性を含む、女性に影響を与えており、かつその割合は増加している。セルライトは、末梢循環不良、浮腫、線維症、脂肪細胞の代謝変化を特徴とするパニキュロパシー(panniculopathy)の状態に関係しており、理想的な治療を行うにはこれらすべての側面を考慮する必要がある。
【0003】
セルライト治療のための薬剤組成物および化粧品組成物が、現在多く市販されている。それらは一般に、ツタ,トチノキ、あるいはコーラノキ(ツボクサ)のエキス、カフェイン、β−アドレナリン作動薬、メチルキサンチンなどの植物由来の活性成分を基にしている。しかし、これまでのところ、実際に有効であることが証明されたものはなく、改善がみられる場合は、前記組成物自体の効果というより概して前記組成物の使用に一般的に関連した食事療法によることが多い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的である、植物由来活性成分の組合せを含む経口薬剤組成物および/または経口化粧品組成物は、セルライト治療に最適な結果をもたらし、皮下脂肪および「オレンジ皮」様皮膚の沈着を著しく減少させることが明らかになっている。これは、抗浮腫、抗ホスホジスエステル化(antiphosphodiesterasis)、および血管運動活性(vasokinetic activity)を発揮し、コラーゲン産生を促進する、さまざまな成分による異なる活性を組み合わせた結果である。また、本発明の組成物は、下肢の静脈不全治療にも効果があることが証明されている。
【0005】
本発明のすべての活性成分は既知のものであり、薬剤および/または化粧品として使用されている。しかし、注目すべきは、本組成物が相乗効果を示すものであり、また別々に使用した単独の活性成分の活性は、組み合わせて使用した活性成分の活性よりもはるかに低いことである。
【0006】
本発明の組成物は、用量単位あたり10〜500mgのヨーロッパブドウ標準化エキス、10〜500mgのイチョウ葉フラボノイド二量体、および10〜500mgのツボクサ、または当量を含んだこれらと対応するリン脂質錯体を含んでいる。
【0007】
遊離型の成分a)〜c)は市販されている。
【0008】
ヨーロッパブドウ標準化エキスのリン脂質複合体(「成分a)」ともいう)は、欧州特許275.224に開示されている。ヨーロッパブドウの種子に含まれるポリフェノール画分(fraction)を含む前記エキスは、没食子酸やカテキン、エピカテキンの単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、エプタマーを、遊離型または没食子酸エステルとして含有している。
【0009】
in vitroおよびin vivio試験では、前記エキスの高い抗酸化活性(実験モデルによっては、ビタミンEの抗酸化活性の10〜200倍)が示されている。これにより、ほとんどの反応性ラジカル種を排除し、その有害作用の影響を弱めることができる。さらに、前記エキスはキサチン酸化酵素を阻害し、Cu2+およびFe2+をキレートすることができるため、組織における酵素触媒によるフリーラジカル産生を防止する。最後に、ヨーロッパブドウエキスは、コラゲナーゼおよび他のプロテアーゼを阻害するため、紫外線照射の際や皮膚の炎症反応の過程で放出されるタンパク分解酵素の有害作用から結合組織および皮膚を保護する。さらに、前記エキスは、皮膚および、微小血管や毛細血管などの循環構造に選択的親和性を有するため、循環器官に対する保護作用も発揮する。
【0010】
EP0275005に開示されているイチョウ葉フラボノイド二量体のリン脂質複合体(「成分b)」ともいう)は、遊離型のイチョウ葉フラボン二量体と同じ活性を有するが、活性成分の放出時間が長く、より高いバイオアベイラビリティを有する。イチョウ葉フラボノイド二量体は、ヒスタミンやcAMPホスホジエステラーゼの肥満細胞からの放出を阻害する事実を背景とする、きわめて強い血管作用薬である。特に、cAMPホスホジエステラーゼを阻害すると、cAMP値の上昇を引き起こす。cAMPは脂肪細胞の代謝を活性化することができるため、これらの複合体は脂肪分解作用を発揮し、微小血管の潅流や皮膚の栄養状態を改善する。
【0011】
ツボクサ標準化エキスのリン脂質複合体(「成分c)」ともいう)は、EP0283713に開示されている。このエキスは、コラーゲン代謝に高い活性を示す3つの異なる分子、アシアチコシド(asiaticoside)、アシアチン酸(asiatic acid)、マデカシン酸(madecassic acid)の4:3:3の混合からなる。これらの分子は、線維芽細胞のアミノ酸、主にL−プロリンおよびL−ヒドロキシプロリンの取り込みを改善する。これらのアミノ酸は、質的観点および量的観点の双方からコラーゲン構造における最も重要なアミノ酸である。コラーゲンの生合成の改善に伴い、劣化した古い線維と新しい線維との交換が加速される。
【0012】
本発明の組成物は、液体(シロップ、溶液、懸濁液など)または固形(錠剤、糖衣錠、カプセル、チュアブル錠など)のいずれか適した剤形で経口投与される。製剤は、「Remington‘s Pharmaceutical Handbook」Mack Publishing Co.,NY,USAに開示されているような従来の方法に従い、好適な賦形剤を用いて調製される。
【0013】
本発明による組成物の実施例を以下に報告する。
実施例1:錠剤
リン脂質複合体
ヨーロッパブドウエキス 240mg
イチョウ葉フラボノイド二量体のリン脂質複合体 100mg
ツボクサトリテルペンのリン脂質複合体 60mg
クロスカラメローズ(croscaramellose)ナトリウム 28mg
二酸化ケイ素 8mg
タルク 4mg
実施例2:
ヨーロッパブドウエキス 150mg
イチョウ葉二量体フラボノイド 100mg
ツボクサトリテルペン 10mg
リン酸二カルシウム二水和物 150mg
微晶質セルロース 100mg
クロスカラメローズナトリウム 28mg
二酸化ケイ素 8mg
ステアリン酸マグネシウム 9mg
タルク 3mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来型の賦形剤および担体と混合して、
a)ヨーロッパブドウ標準化エキスまたはそのリン脂質複合体、
b)イチョウ葉フラボノイド二量体またはそのリン脂質複合体、
c)ツボクサまたはそのリン脂質複合体、
を含む経口組成物。
【請求項2】
前記成分a)乃至c)が遊離型である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分a)乃至c)がリン脂質複合体型である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
セルライト治療のための経口薬剤組成物および経口化粧品組成物の調製のための、
a)ヨーロッパブドウ標準化エキスまたはそのリン脂質複合体、
b)イチョウ葉フラボノイド二量体またはそのリン脂質複合体、
c)ツボクサまたはそのリン脂質複合体、
の組合せの使用。
【請求項5】
下肢の静脈不全治療のための、
a)ヨーロッパブドウ標準化エキスまたはそのリン脂質複合体、
b)イチョウ葉フラボノイド二量体またはそのリン脂質複合体、
c)ツボクサまたはそのリン脂質複合体、
の組合せの使用。
【請求項6】
セルライト治療の目的のための、請求項1から3に記載の化粧品組成物の使用。

【公表番号】特表2007−505850(P2007−505850A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526567(P2006−526567)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010148
【国際公開番号】WO2005/027947
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】