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セルロースを含有するキャンディ
説明

セルロースを含有するキャンディ

【課題】
セルロースやエリスリトールは消化されにくく、最もカロリーの低い炭水化物とされているが、生理的および嗜好的な欠点を有する。セルロースとエリスリトールの欠点を相補しつつ、相互の生理的利点が活かされ、表面の滑らかな低カロリーキャンディを提供する。
【解決手段】
結晶セルロースを配合させた芯材部3と、エリスリトールを主成分とした被覆部2よりなり、前記芯材部3が前記被覆部2で覆われていて、この被覆部2がエリスリトールを再結晶化させて得られるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンディに関し、詳しくは、セルロースとエリスリトールを用いたキャンディに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会、生活習慣病の増加による医療費の破綻問題の対策として、厚生労働省は、2001年に特定保健用食品の制度改定、2008年に特定健診指導制度発足させた。これらの政策は、生活習慣病の因子を抑制する機能性食品を食させることや、健診指導によって食生活を変容させることによって、国民の健康を推進し、結果的に我が国の医療費を削減させることを目的としている。
【0003】
特に生活習慣病の中でも、糖尿病は治療に高額な医療費を要する疾病であり、予防が重要とされている。また、糖尿病は、高脂血症、高血圧、肥満、脳卒中、心疾患にも影響を及ぼし、悪化すると寝たきり、失明、手足の切断等の障害を生じるという、我々のQOL(QUOLITY OF LIFE)を著しく低下させる恐ろしい疾患である。
【0004】
このような背景のもと、生活習慣病と称される疾患の予防法の一つとして、食品からのカロリー摂取を抑えるという意識が高まってきている。市場では、低カロリー食品、更には、飲料、ゼリーのような高水分系の食品においても、カロリーゼロの商品開発が活発化している。
健康増進法において、100gが5kcal未満の場合、ゼロカロリー、或いは、ノンカロリー等と、また、100gが40kcal未満の場合、低カロリー等と表示することができる。
なお、本稿におけるゼロカロリー、ノンカロリー及び低カロリーなる記載は、上記健康増進法に準ずるものである。
【0005】
更には、近年、カロリーという、アトウォーター係数を食品中の成分グラム数に乗じて算出するという指標ばかりではなく、実際に食後の血糖値の推移を測定して算出するグリセミックインデックス(GI)という指標もあり、低GI食品というものも開発が望まれている。
【0006】
しかしながら、一方では、前記のような高水分系の飲料、ゼリー以外の食品においては、極度にカロリーを抑えた商品開発はほとんど見られず、例えば、高品質のゼロカロリーキャンディのようなものは市場では見受けられない。
【0007】
健康意識の高い人々にとっては、キャンディのような甘いものを食することを躊躇し、また、糖尿病患者をはじめとするカロリー制限者にとっては、キャンディのような高カロリー食品を基本的には摂取できず、食の楽しみが失われた状態にあることから、その開発が望まれる。
【0008】
極度にカロリーを抑えた食品の原料としては、体内でほとんど消化されないとされているエリスリトールをはじめとする糖アルコール類、寒天等の多糖類を主原料としたものが多い(例えば、非特許文献1、2参照)。なお、これらの原料は、厚生労働省の平成13年厚生労働省告示第98号においてカロリー値をゼロと設定されている。
【0009】
キャンディにおいても、極度にカロリーを抑える主原料としては、価格面、加工特性から最も相応しいものとして、エリスリトールが挙げられる。
【0010】
しかしながら、エリスリトールを主原料とし、尚且つ、高品質であるゼロカロリーキャンディは未だ市販されていない。その理由としては以下のことが考えられる。
a)エリスリトールは結晶性が極めて高いため、結晶化を制御して量産成型することが困難である
b)過剰摂取により下痢をおこしてしまう
c)甘味が弱いにも関わらず、独特なくどい甘味を有する
d)原料の価格が砂糖に比較すると高価である
以上a)〜c)の問題点に関する詳細を以下に説明する。
【0011】
a)結晶性の問題に関して
一般的なキャンディ製法は、糖液を煮詰めて、水分が0.2〜15.0重量%程度になるまで濃縮し、この糖濃縮液を鋳型に充填し、冷却させて固化させる充填成型法と、糖濃縮液を冷却して粘土状の軟らかさに調節し、ロープ状に伸ばし、スタンピング(型押し)で切断するスタンピング成型法がある。
【0012】
しかし、これらの成型法でエリスリトールを主原料とするキャンディを成型する場合、エリスリトールの結晶性が高いことと、その結晶が不均一であることにより、充填成型法においてはキャンディ表面がひどく凹凸のあるものになったり、一方のスタンピング成型法においては、冷却する段階で、液状の糖液が一気に結晶化して固化してしまいロープ状にすることすらできないという問題がある。
【0013】
また、その他の成型法として糖衣法がある。これは、回転釜で芯材を回転させているところに高濃度の糖液を滴下させ、芯材に糖液を塗付し、乾燥させることによって糖質を結晶化させながら芯材を被覆していくという方法であり、エリスリトールを主原料とするキャンディの成型法としては最も実現化の可能性が高いものと考えられる。
【0014】
エリスリトールを主としたキャンディの被覆法については、技術的な既存情報が少ないが、例えば、エリスリトール:水:ヒドロキシアルキル化デキストリン=52:43:5の重量比で配合し、60℃の液温で芯材に掛けていく方法(例えば、特許文献1、2参照)、エリスリトール:ヒドロキシプロピルメチルセルロース:水=10〜50:1〜10:40〜89の重量比で配合し、40℃以下の液温で掛けることで、糖液の結晶化を制御して表面を滑らかにする方法(例えば、特許文献3参照)がある。これらは、エリスリトールを用いる糖衣層の結着性が悪かったり、崩壊性が高いために、補強剤や結合剤を配合するというものである。
【0015】
しかしながら、その補強剤や結合剤そのものがカロリーを有するため、本発明の意図する極めてカロリーの低いキャンディには相応しくない配合技術である。
【0016】
b)下痢問題に関して
ヒト実験によるエリスリトールの下痢に対する最大無作用量の検討がなされており、男性で0.66g/kg体重、女性で0.80g/kg体重とされている(例えば、非特許文献3参照)。この量は、他の糖アルコール類の最大無作用量と比較すると多い値であり、すなわち、エリスリトールは比較的多く摂取しても下痢を起こしにくいという結果となっている。しかし、ヒトの個人差や摂取時の体調等によっては変動するものであり、最大無作用量以下であれば絶対下痢をおこさないという性質の値ではない。
【0017】
よって、エリスリトールを用いて、美味しいキャンディができたとしても、下痢の心配により摂取することを躊躇する場面が想定される。
【0018】
ここで、キャンディに配合するゼロカロリーの素材としては、下痢の問題を有するエリスリトールのみならず、逆に下痢の抑制機能を有するとされているセルロースも挙げることができる。
【0019】
エリスリトールが下痢を抑制する例としては、胃瘻増設患者に投与される経腸栄養剤にセルロースを6重量%含ませたところ、経腸栄養剤に起因する下痢症状が抑制されている(例えば、非特許文献4参照)、或いは、抗生物質摂取で腸内細菌が減少することに起因する下痢症状にも効能が示されている(例えば、特許文献4参照)、或いは、健常人において、マルチトールやラクチトールなどの糖アルコールやフラクトオリゴ糖のような下痢の原因となる糖類に対し、グアガム、低分子化アルギン酸、セルロースを10重量%配合したところ一過性の下痢症状が抑制されている(例えば、非特許文献5参照)。セルロースは、不溶性であり、味も無く、濃縮、成型もできず、セルロースだけではキャンディの主原料とはしにくいが、エリスリトールと併用する利点は十分に考えられる。
【0020】
c)味の問題に関して
合成甘味料のような単に味の強いものを配合することで、悪い味を感じにくくするのみならず、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン又はナリンジンジヒドロカルコンのような苦味物質を配合することでいがらっぽいえぐ味等の不快感を低減するという方法が報告されている(例えば、特許文献5参照)。
【0021】
また、エリスリトールをキャンディの主原料とした場合、エリスリトールの甘味度が低い(ショ糖の甘さを100%とした場合の、ショ糖に対する相対甘味度が75%)ことから、合成甘味料を多く添加するほうが好ましい甘味となる。しかしながら、合成甘味料を配合した場合もまた不快なえぐ味が発生してくる。この合成甘味料のえぐ味の低減化もまた、苦味物質である塩酸キニーネ、ブルシン等を配合することにより低減化すると報告されている(例えば、特許文献6参照)。
【0022】
これらの甘味料の味改良法は、苦味の強い物質を、苦味が感じない程度に配合するという方法であるが、その調整が困難であり、食品によっては、或いは、人によっては口中に苦味物質が残る場合もある。
【0023】
【特許文献1】特開2003−292436号公報
【特許文献2】特開2007−176908号公報
【特許文献3】特開平9−25245号公報
【特許文献4】特開平6−219953号公報
【特許文献5】特開平10−262599号公報
【特許文献6】特開平9−238641号公報
【非特許文献1】「栄養表示基準等の取扱いについて」の一部改正について、食新発第0217001号、平成15年2月17日発行、厚生労働省医薬局食品保健部企画課新開発食品保健対策室長
【非特許文献2】「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」の一部改正について、食新発第0217002号、平成15年2月17日発行、厚生労働省医薬局食品保健部企画課新開発食品保健対策室長
【非特許文献3】BIO Clinica, 1996年11月発行、 奥恒之著、p28〜32
【非特許文献4】JJPEN. Vol.14 No.9、1992年発行、中尾誠ほか著、p1337〜1343
【非特許文献5】日本栄養・食糧学会総会講演要旨集、 Vol.60th、2006年発行、本郷涼子ほか著、p306
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
これまで述べてきたように、エリスリトールを主原料とする、極めてカロリーの低いキャンディの製法としては、糖衣法が最も実現の可能性が高いと考えられる。また、エリスリトールの過剰摂取による下痢症状という問題に対しては、セルロースを併用することで抑制するという方法を採用した。
【0025】
しかし、本発明者が実際にエリスリトールとセルロースを併用して、従来の糖衣法で試作した結果、得られたキャンディは問題点を有していた。すなわち、エリスリトールとセルロースを併用すると、セルロースは不溶性であるがゆえに、口溶けが悪いどころか、ざらつきを生じ、キャンディのテクスチャーを極めて悪いものにしてしまう。極微細な結晶セルロース粉末を利用すると、ざらつきは多少改善されるが、滑らかさや口解けが解消されるとは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述した課題を解決するために、ざらつきの原因となるセルロースをキャンディ芯部に配合させ、外側部にはエリスリトールを主体とする糖衣を形成させ、表面の滑らかなセルロース高含有であるキャンディを糖衣製法によって得ることができた。
【0027】
しかして本発明に係るセルロースを含有するキャンディは、結晶セルロースを配合させた芯材部と、エリスリトールを主成分とした被覆部よりなり、前記芯材部が前記被覆部で覆われていて、この被覆部がエリスリトールを再結晶化させて得られるもので構成してなるものとしてある。
【0028】
また前記芯材部が錠剤、球状顆粒物、キャンディあるいはガムである構成のものとしてある。
【0029】
さらに前記芯材部が、エリスリトール、寒天、低分子化アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、ゼラチンのうち少なくとも一種類を含む構成のものとしてある。
【0030】
また前記被覆部が、セルロース、寒天、低分子化アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、ゼラチンのうち少なくとも一種類を含む構成のものとしてある。
【0031】
そして前記芯材部が、メントール香料を含む構成のものとしてある。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、エリスリトールを主成分とし、極度にカロリーの低い、概ね100g当り5kcalであるキャンディを心地好い食感で美味しく摂取することが可能となり、すなわち、エリスリトールの結晶性の強さを利用してコーティング製法により成型し、更に、過剰摂取による下痢に対して、下痢を抑制するとされているセルロースを高配合し、セルロース特有のざらつきをキャンディ芯材部に集中させることで回避する。
【0033】
なお、下痢抑制の検証については、実際には下痢の症状には個体差があるため実験は供せず、他の文献の情報を参考とした。また、セルロースには血糖上昇抑制作用もあるとされているが、本発明のキャンディにおいても、エリスリトール自体、かなり血糖上昇が少ない糖質であるが、セルロースを配合することにより、血糖値上昇の更なる抑制傾向が見られた。また、エリスリトール特有の後味のえぐ味に対しては、芯材部にメントールを配合することで改善することができた。
【0034】
本発明の実施により、近年、急速に増加している糖尿病の抑制、或いは、既に罹患し、甘いものを欲している食事制限者に対し、キャンディを食するという楽しみを提供することが期待される。
【0035】
また、本発明によるキャンディベースは、サプリメントなどの機能性食品の基材として、或いは、口腔ケア用の基材、更には、医薬品の基材としての応用も可能である。
【0036】
カロリーは、我々が生活するうえで必要なエネルギーであり、勿論、健康を維持していくためには、様々な栄養素とともに十分摂取しなければならない。しかし、一方では、甘いものをノンカロリーで楽しむ食品も必要な現代となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明のセルロース含有するキャンディを添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0038】
図1は、芯材部3の占める割合を20重量%とし、セルロースを芯材部3中に30重量%配合させた、コーティングキャンディ1を示している。
【0039】
この場合の芯材部3は、球状顆粒ノンパレル(登録商標)を核とし、糖衣により得られる芯材とする。
【0040】
本実施例のコーティングキャンディ1における芯材部3用の糖衣シラップの調製法は以下のとおりである。
50重量部の水に、38重量部のエリスリトールを溶解させ、これに対し、結晶セルロース微粉を18重量部、結合剤としての寒天を2重量部、及び、酸味料、メントール含有香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を配合させた糖衣シラップを調製し、65℃に保管した。
【0041】
また本実施例のコーティングキャンディ1における芯材部3用の糖衣パウダーの調製法は以下のとおりである。
68重量部のエリスリトール微粉と30重量部の結晶セルロース微粉、酸味料、メントール含有香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を混合した糖衣パウダーを調製した。
【0042】
さらに本実施例のコーティングキャンディ1における芯材部3用の糖衣法は以下のとおりである。
エリスリトールと還元パラチノースからなるノンパレル(2mm、4mg)を核とし、これを100g回転釜に投入し、40rpmの回転数で回転させる。この際、糖衣室の湿度は30%、温度は23℃とした。
【0043】
本実施例の芯材は、次の手順で製造する。
回転する核に対し、上記製法により得られた糖衣シラップを4gずつ滴下し、シラップが芯材の表面に満遍なく広がるように1分間回転させる。糖衣シラップは、不溶性のセルロースが沈殿するので、よく攪拌し、懸濁液として滴下する。
【0044】
続いて、糖衣パウダーを4g投入し、パウダーが満遍なく広がるように1分間回転させ、湿度20%の乾燥エアーを回転釜内に送風し、2分間乾燥させ、エリスリトールを結晶化させる。
【0045】
一連のこの作業を数十回繰り返すことにより、直径5mm、粒重量0.2g程度の芯材を作製した。
【0046】
本実施例のコーティングキャンディ1における被覆部2用の糖衣シラップの調整法は以下のとおりである。
50重量部の水に、46重量部のエリスリトールを溶解させ、これに対し、結合剤としての寒天を2重量部、及び、酸味料、フルーツ香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を配合させた糖衣シラップを調製し、65℃に保管した。
【0047】
本実施例のコーティングキャンディ1における被覆部2用の糖衣パウダーの調整法は以下のとおりである。
98重量部のエリスリトール微粉と、酸味料、フルーツ香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を混合した糖衣パウダーを調製した。
【0048】
本実施例のコーティングキャンディ1における被覆部2の糖衣法は以下のとおりである。
上記の製法で作製した結晶セルロースを30重量%含む芯材を100g回転釜に投入し、40rpmの回転数で回転させる。この際、糖衣室の湿度は30%、温度は23℃とした。
【0049】
本実施例のものは、次の手順で製造する。
回転する芯材に対し、上記調製法により得られた被覆部2用の糖衣シラップを4gずつ滴下し、シラップが芯材の表面に満遍なく広がるように1分間回転させた。
【0050】
続いて、糖衣パウダーを4g投入し、パウダーが満遍なく広がるように1分間回転させ、湿度20%の乾燥エアーを回転釜内に送風し、2分間乾燥させ、エリスリトールを結晶化させた。
【0051】
一連のこの作業を数十回繰り返すことにより、直径11.3mm、粒重量1g程度のキャンディが完成した。
【実施例2】
【0052】
図2は芯材部6の占める割合を20重量%とし、セルロースを芯材部6中に30重量%配合させた、コーティングキャンディ4を示している。
【0053】
この場合の芯材部6は、打錠法により得られる錠剤を芯材とする。
【0054】
本実施例における打錠法による芯材部錠剤の製法は以下のとおりである。
60重量部のエリスリトール微粉、30重量部の結晶セルロース微粉、及び、酸味料、メントール含有香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を粉体混合させる。寒天を2重量部とエリスリトール5重量部を混合したものに、水を15重量部加えて、90℃まで加熱溶解させたものを結合剤とし、粉体混合したものに添加して混練する。この混練したものを押出し式造粒機に投入し、顆粒を作製する。この顆粒を50℃の乾燥庫に入れ、顆粒水分0.5〜1.5重量%程度になるように乾燥させる。得られた顆粒を直打式打錠機に投入し、約1トンの圧で打錠し、直径7mm、0.2gの錠剤を作製した。
【0055】
この際、結晶セルロースの配合量は任意である。エリスリトールは崩壊性が高く、打錠によりキャッピングが起こりやすいが、概ね上記配合により、結晶セルロースを配合しなくてもキャッピングが発生しない。但し、結晶セルロースを配合しない場合、直打用打錠機の打錠圧や顆粒の水分範囲を狭く設定しておかないと、比較的、品質のぶれが生じやすく、キャッピングが起こりやすい。一方、実施例2のように結晶セルロースを配合したほうが、比較的安定した、強固な錠剤となり、ハンドリングが改善される。
【0056】
本実施例における被覆部5用の糖衣シラップの調整法は以下のとおりである。
50重量部の水に、46重量部のエリスリトールを溶解させ、これに対し、結合剤としての寒天を重量2部、及び、酸味料、香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を配合させた糖衣シラップを調製し、65℃に保管した。
【0057】
また本実施例における被覆部5用の糖衣パウダーの調整法は以下のとおりである。
98重量部のエリスリトール微粉と、酸味料、フルーツ香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を混合した糖衣パウダーを調製した。
【0058】
さらに本実施例における被覆部5の糖衣法は以下のとおりである。
上記の製法で作製した結晶セルロースを30重量%含む錠剤の芯材を100g回転釜に投入し、40rpmの回転数で回転させる。この際、糖衣室の湿度は30%、温度は23℃とした。
【0059】
本実施例のものは、次の手順で製造する。
回転する芯材に対し、上記調製法により得られた被覆部5用の糖衣シラップを4gずつ滴下し、シラップが芯材の表面に満遍なく広がるように1分間回転させた。
【0060】
続いて、糖衣パウダーを4g投入し、パウダーが満遍なく広がるように1分間回転させ、湿度20%の乾燥エアーを回転釜内に送風し、2分間乾燥させ、エリスリトールを結晶化させた。
【0061】
一連のこの作業を数十回繰り返すことにより、直径11.3mm、粒重量1g程度のキャンディが完成した。
【0062】
本発明によって得られるキャンディは、極めてカロリーが低く、100g当たり5kcal未満のキャンディを生産することができ、更に、下痢症状を抑制するとされているセルロースを6重量%程度、その中心部に配合し、尚且つ、セルロースを配合した際に発生するざらつきの問題も解消される構造となっている。
【0063】
なお、実施例1、実施例2における芯材部3,6としては、小粒キャンディやガムを利用することも可能であるが、加工が比較的実施しやすいノンパレルや錠剤を使用している。
【比較例1】
【0064】
図3は、セルロースをキャンディ全体に均等に配合させた糖衣キャンディ7を示している。
【0065】
本比較例の糖衣キャンディ7における糖衣シラップの調製法は以下のとおりである。
50重量部の水に、43重量部のエリスリトールを溶解させ、これに対し、結晶セルロース微粉を3重量部、結合剤としての寒天を2重量部、及び、酸味料、フルーツ香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を配合させた糖衣シラップを調製し、65℃に保管した。
【0066】
また、同比較例の糖衣キャンディ7における糖衣パウダーの調製法は以下のとおりである。
92重量部のエリスリトール微粉と6重量部の結晶セルロース微粉、酸味料、フルーツ香料、着色料、ミネラルを合計で2重量部を混合した糖衣パウダーを調製した。
【0067】
さらに、同比較例の糖衣キャンディ7における糖衣法は以下のとおりである。
球状顆粒ノンパレル(直径2mm、重量4mg)を核とし、これを100g回転釜に投入し、40rpmの回転数で回転させる。この際、糖衣室の湿度は30%、温度は23℃とした。
【0068】
本比較例のものは、次の手順で製造する。
回転する芯材に対し、上記製法により得られた糖衣シラップを4gずつ滴下し、シラップが芯材の表面に満遍なく広がるように1分間回転させる。糖衣シラップは、不溶性の結晶セルロースが沈殿するので、よく攪拌し、懸濁液として滴下する。
【0069】
続いて、糖衣パウダーを4g投入し、パウダーが満遍なく広がるように1分間回転させ、湿度20%の乾燥エアーを回転釜内に送風し、2分間乾燥させ、エリスリトールを結晶化させる。
【0070】
一連のこの作業を数十回繰り返すことにより、直径11.3mm、粒重量1g程度のキャンディが完成する。
【0071】
なお、本糖衣法としては、糖衣パウダーを使用せず、糖衣シラップのみで実施することも可能であり、作業性の効率化や、目標製品の味、食感によって任意に糖衣パウダーの量を調整することができる。
【0072】
また、結合剤として寒天を使用しているが、低分子化アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、ゼラチン等を使用することも可能である。但し、通常の市販ゲル化剤は、ゲル強度、溶解性、安定性、使用利便性などの加工特性を高めるために、賦形剤や緩衝剤等が含まれており、これらが高いカロリーを有する場合があるので注意する。ゼラチンにおいては、少量配合でも結合能は高いが、主成分であるたんぱく質のカロリーが4kcal/gと高いので、カロリーを低くする目的においては多糖類を使用するほうが望ましい。
【0073】
上述した実施例1、2の構成による本発明のセルロース含有キャンディと比較例1との評価を検証すべく、以下の実験を行なった。
<実験例1>
被験者として社内の同意を得た6名を使用して官能試験を実施した。官能試験は、実施例1、2、比較例1の実施により作製したセルロース含有キャンディを最後まで食してもらい、表1に示した評価基準に則り、ざらつきと後味についてスコアによる評点法を行った。
【0074】
結果は、6名のスコアの平均値として表2に示した。実施例1、実施例2は比較例1と比較すると、セルロースの有する不快なざらつきを感じることなく摂食することができた。
【0075】
通常、糖衣キャンディのようなハードキャンディは舐めて食すものだが、舐め続けて残りわずかの小粒の状態になると噛み砕いて飲み込むという摂食法をとる消費者が多い。本発明のキャンディにおいても、被覆部を舐めて食し、残りわずかになり、セルロース入りの芯材部が露出してくるところで噛み砕いて飲み込むという摂食法が想定される。
【0076】
また、エリスリトール特有の後味のえぐ味も、メントールを芯材部に配合することにより、改善されている。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
<実験例2>
本発明によるキャンディの機能性の補足実験として、血糖上昇とインスリン誘発に対する影響を調べてみた。前に述べたように、結晶セルロースの配合により、食後血糖値の上昇が抑制されるという報告がされており、本発明によるセルロース6重量%配合のキャンディについても、血糖上昇とインスリン誘発について分析に供してみた。
【0080】
検体として、
イ)エリスリトール100重量部
ロ)実施例3の主原料であるエリスリトール100重量部+セルロース6重量部+寒天2重量部
ハ)市販の砂糖・水飴からなるキャンディA100重量部
二)市販のマルチトールからなるキャンディB100重量部
のそれぞれの調整液を、前日より約18時間絶食させたウィスター(Wister)系ラットに10ml/kgで経口単回投与した。血糖値は、摂食前、摂食後10、30、60、120分に頸静脈より0.3〜0.4mlの血液を採取し、酵素電極法を用いた血糖自己測定器ワンタッチウルトラ(商品名)により血糖値を測定した。血糖値推移の結果を図4に示す。また、残りの血液は4℃、3000rpm、15分間で遠心分離して血漿を採取し、レビス(登録商標)インスリン測定キット、及び、マイクロプレートリーダーを用いてインスリンを測定した。インスリン推移の結果を図5に示す。
【0081】
砂糖・水飴を主成分とする市販品Aが最も血糖、インスリンを上昇させやすく、マルチトールを主成分とする市販品Bはかなり血糖上昇が抑えられていた。これらと比較し、本発明による低カロリーキャンディの構成成分をラットに投与した場合は、更に血糖値の上昇が緩やかであり、インスリンにおいては全く上昇していないという結果が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る実施例1のキャンディを示す断面図。
【図2】本発明に係る実施例2のキャンディを示す断面図。
【図3】本発明に係る比較例1のキャンディを示す断面図。
【図4】実験例2の結果(摂食後の血糖値推移)を示すグラフ。
【図5】実験例2の結果(摂取後のインスリン推移)を示すグラフ。
【符号の説明】
【0083】
1 実施例1のコーティングキャンディ
2 被覆部
3 セルロース含有の糖衣芯材部
4 実施例2のコーティングキャンディ
5 被覆部
6 セルロース含有の錠剤芯材部
7 比較例1の糖衣キャンディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶セルロースを配合させた芯材部と、エリスリトールを主成分とした被覆部よりなり、前記芯材部が前記被覆部で覆われていて、この被覆部がエリスリトールを再結晶化させて得られるもので構成してなるキャンディ。
【請求項2】
前記芯材部が錠剤、球状顆粒物、キャンディあるいはガムである請求項1のキャンディ。
【請求項3】
前記芯材部が、エリスリトール、寒天、低分子化アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、ゼラチンのうち少なくとも一種類を含む請求項1のキャンディ。
【請求項4】
前記被覆部が、セルロース、寒天、低分子化アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、ゼラチンのうち少なくとも一種類を含む請求項1のキャンディ。
【請求項5】
前記芯材部が、メントール香料を含む請求項1のキャンディ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51234(P2010−51234A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219143(P2008−219143)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(391004218)カンロ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】